説明

過放電防止回路および過放電防止方法

【課題】変電所の複雑な電力線系統を適正に遮断しつつ、変電所に設置された直流電源装置用の蓄電池の過放電を防止する過放電防止回路を提供する。
【解決手段】直流電源装置16は、変電所2の電力線系統の制御系27を駆動するための直流電源を、交流入力電源の交流を整流して供給する、または交流入力電源なしの状態のときには蓄電池23に切り替えて供給する。蓄電池23が放電終止電圧直近の電圧まで低下した場合、または、交流入力電源なしの状態になってから所定時間(第1の所定時間)経過した場合、特高系統に備えられている特高真空遮断器13を、蓄電池23の放電終止電圧直近の残存エネルギを用いてトリップ(OFF)する。そして、特高真空遮断器13のトリップ後に所定時間(第2の所定時間)経過したとき、蓄電池23の放電終止電圧直近の残存エネルギを用いて、蓄電池23の出力側の気中遮断器24を開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変電所に設置された直流電源装置用の蓄電池の過放電を防止する過放電防止技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、蓄電池(二次電池)は、放電終止電圧を下回る電圧まで過放電が進行すると、再充電の機能を喪失してしまうおそれがある。また、過放電状態になった蓄電池を再充電すると、充電電流として大きな突入電流が流れるので、整流器が過負荷状態となって直流電源装置にダメージを与えるおそれがある。そのため、蓄電池の過放電を防止する技術が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、電子交換システム用の直流電源装置において、蓄電池の過放電を防止する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、停電等が長引いて蓄電池の電圧が所定値より低下すると、蓄電池から負荷である電子交換システムに至る給電経路を遮断して、蓄電池が過放電状態になるのを防止している。これによって、停電復旧時に直ちに電子交換システムへの給電経路を接続しても、蓄電池に適正な充電電流を供給しながら負荷(電子交換システム)へ必要な電流を供給することができる。
【0004】
また、特許文献2には、無停電電源装置において、蓄電池が放電終止電圧に到達したか、または停電が所定時間に亘って継続した場合は、無停電電源装置を自動停止して負荷への電力供給を中断させることで蓄電池の過放電を防止する技術が開示されている。この特許文献2に記載の技術によれば、高価な蓄電池が過放電によって使用不能になることを未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−170321号公報
【特許文献2】特開平3−93424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、蓄電池の電圧が所定値より低下したときは、負荷である電子交換システムに電力を供給する給電経路を遮断して蓄電池の過放電を防止することはできるが、どのようにしてその蓄電池の放電経路を遮断するかについての技術は開示されていない。また、特許文献2に記載の技術は、蓄電池の電圧が所定値以下に低下したときは、無停電電源装置は自身を停止させることによって蓄電池の過放電を防止しているが、蓄電池の負荷が例えば変電設備のような複雑な系統負荷の場合の電力線系統を適正に遮断する技術を開示しているものではない。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、変電所の複雑な電力線系統を適正に遮断しつつ、変電所に設置された直流電源装置用の蓄電池の過放電を防止する過放電防止回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る過放電防止回路は、変電所の制御系を駆動する直流電源装置用の蓄電池の過放電を防止する回路であって、蓄電池の放電終止電圧直近(放電終止電圧より僅かに高い電圧)の残存エネルギを用いて、変電所の電力線系統を開閉する主回路系の遮断器を開放する第1の駆動手段と、第1の駆動手段によって遮断器を開放した後に、さらに蓄電池の残存エネルギを用いてその蓄電池の放電経路を開放する第2の駆動手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変電所の複雑な電力線系統を適正に遮断しつつ、変電所に設置された直流電源装置用の蓄電池の過放電を防止する過放電防止回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】蓄電池の過放電防止回路が適用される発変電システムの構成例を示す図である。
【図2】第1実施例における蓄電池の過放電防止回路の論理シーケンスを示す図である。
【図3】第1実施例の変形例における蓄電池の過放電防止回路の論理シーケンスを示す図である。
【図4】第2実施例における蓄電池の過放電防止回路の論理シーケンスを示す図である。
【図5】第3実施例における蓄電池の過放電防止回路の論理シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(以降、本実施形態という。)に係る蓄電池の過放電防止回路は、無人または有人の変電所の制御系を駆動する直流電源装置に用いられる蓄電池の過放電を防止するものである。すなわち、この過放電防止回路は、変電所における直流電源装置の交流入力電源が喪失して所定時間が経過した場合、または直流電源装置に接続された蓄電池の電圧が放電終止電圧直近にまで低下した場合において、その蓄電池の残存エネルギを利用して、変電所の特別高圧(特高)系統の遮断器(CB:Circuit Breaker)を自動的にトリップ(OFF)させた後、蓄電池の放電経路を開放するように構成されている。このように自動化された過放電防止回路は、特に変電所が無人の場合に有効であり、変電所における特高系統を適正に遮断しながら、直流電源装置の蓄電池の過放電を防止することができる。
【0012】
(発変電システムの構成)
まず、本実施形態において、蓄電池の過放電防止回路が適用される発変電システムの構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、発変電システムは、自然エネルギ用の発電設備を備える自然エネルギ発電所1と、自然エネルギ発電所1で発生させた電圧を特高電圧に昇圧して電力会社の高圧鉄塔線3の特高電圧系統へ送電する変電所2とによって構成されている。自然エネルギ発電所1は、例えば、風力発電所であれば、市街地から離れた風の強い海岸線沿いの高台等に設置される。そして、変電所2は、一般的に、自然エネルギ発電所1から電力線系統の経路で1〜2km離れた無人地点に設置される。
【0013】
自然エネルギ発電所1は、自然エネルギを利用して発電する発電機、その発電機が発生した電圧を22kVの高圧電圧に変換する高圧変換器、および発電機の電力線系統を開閉する遮断器等を、発電設備として備えている。
【0014】
変電所2は、自然エネルギ発電所1からの電力線系統に接続されてその経路を開閉する高圧真空遮断器(52F1・VCB)11と、その高圧真空遮断器(52F1・VCB)11に接続された経路の22kVの高圧電圧を66kVの特高電圧に昇圧する特高変圧器12と、66kVの特高電圧の経路と電力会社の高圧鉄塔線3とを結ぶ経路を開閉する特高真空遮断器(152・VCB)13と、高圧真空遮断器(52F1・VCB)11に接続された経路の22kVの高圧電圧を200Vの商用電圧に降圧する低圧変圧器15と、200Vの商用電圧を受電して直流電源を生成する直流電源装置16とを備えている。
【0015】
直流電源装置16は、低圧変圧器15からの200Vの商用電圧を検出する停電検出器14、低圧変圧器15からの200Vの商用電圧を100Vの制御用電圧に変圧する制御用変圧器21、制御用変圧器21の100Vの交流電圧を100Vの直流電圧に変換する整流器22、整流器22によって充電される定格直流電圧100Vの蓄電池23、整流器22と蓄電池23との間の経路を開閉する気中遮断器24、蓄電池23の電圧を検出する蓄電池電圧検出器25、および端子群26を備えて構成されている。端子群26は、整流器22または蓄電池23からの直流100Vの電圧を、特高真空遮断器(152・VCB)13および高圧真空遮断器(52F1・VCB)11、気中遮断器24、各種リレー、および制御回路等の制御系27に分配する。
【0016】
(発変電システムの動作)
次に、発変電システムの動作について、図1を用いて説明する。自然エネルギ発電所1における発電設備の遮断器、変電所2における高圧真空遮断器(52F1・VCB)11、特高真空遮断器(152・VCB)13、および直流電源装置16の気中遮断器24は、それぞれ導通状態(ON)になっているものとする。
【0017】
自然エネルギ発電所1は、自然エネルギを利用して発電する発電機が発生させた電圧を、高圧変圧器によって22kVの電圧に昇圧して、変電所2の電力線系統へ供給する。
【0018】
変電所2の電力線系統においては、高圧真空遮断器(52F1・VCB)11が、自然エネルギ発電所1から供給された22kVの高圧電力を受電し、さらに、特高変圧器12が22kVの高圧電圧を66kVの特高電圧に昇圧する。そして、66kVの特高電圧は、特高真空遮断器(152・VCB)13を経由して、66kVの電力会社の高圧鉄塔線3へ供給される。なお、自然エネルギ発電所1が発電できない場合(例えば、無風状態等の場合)は、高圧鉄塔線3から変電所2へ電力が供給されて、変電所2の各種機器の制御用電力として使用される。
【0019】
高圧真空遮断器(52F1・VCB)11が自然エネルギ発電所1から受電した22kVの高圧電力は、低圧変圧器15によって200Vの商用電圧に降圧されて直流電源装置16に供給される。直流電源装置16においては、制御用変圧器21が、低圧変圧器15からの200Vの商用電圧を交流100Vの制御用電圧に降圧する。そして、制御用変圧器21から出力された交流100Vの制御用電圧は、整流器22によって100Vの直流電圧に整流される。
【0020】
整流器22で整流された100Vの直流電圧は、蓄電池23を充電しながら端子群26に供給され、端子群26から、特高真空遮断器(152・VCB)13および高圧真空遮断器(52F1・VCB)11、気中遮断器24、各種リレー、および制御回路等の制御系27へ分配される。また、停電時においては、蓄電池23から100Vの直流電圧が端子群26へ印加されて、制御系27に分配される。また、停電検出器14は蓄電池用交流入力電源の有無を常時検出し、蓄電池電圧検出器25は蓄電池23の電圧を常時監視する。
【0021】
(蓄電池の過放電防止機能)
ここで、停電等によって蓄電池23への充電が行われなくなり、蓄電池23の電圧が放電終止電圧直近になったことを蓄電池電圧検出器25が検出したとする。例えば、定格直流電圧100Vの蓄電池23の放電終止電圧が直流電圧80Vで、放電終止電圧直近の電圧が直流電圧81Vであったとする。その場合、端子群26からの直流電圧81Vによって特高真空遮断器(152・VCB)13がトリップ(OFF)され、その後、気中遮断器24がトリップ(OFF)される。すなわち、蓄電池23の放電終止電圧直近の残存エネルギによって、特高真空遮断器(152・VCB)13がトリップされ、その後に、蓄電池23の放電経路が開放される。
【0022】
なお、特許請求の範囲に記載の第1の駆動手段は、放電終止電圧直近の残存エネルギを有する蓄電池23と、停電検出器14と、蓄電池電圧検出器25と、特高真空遮断器(152・VCB)13とによって実現される。また、特許請求の範囲に記載の第2の駆動手段は、放電終止電圧直近の残存エネルギを有する蓄電池23と、蓄電池電圧検出器25と、気中遮断器24とによって実現される。
【0023】
このように、特高真空遮断器(152・VCB)13は、電力会社の高圧鉄塔線3から変電所2の電力線系統を遮断して、その変電所2の電力線系統を保護しつつ、蓄電池23の過放電を防止して放電終止電圧を保持することができる。また、蓄電池23は放電終止電圧以上を維持しているので、停電復旧時に特高真空遮断器(152・VCB)13および気中遮断器24をONにしても、整流器22から蓄電池23へ過大な突入電流が流れるおそれはない。
【0024】
(第1実施例)
第1実施例における蓄電池の過放電防止回路の論理シーケンスについて、図2を用いて説明する。図2に示す論理シーケンスにおいて、仮に、論理が真であれば1、偽であれば0として説明する。図2において、S1では、蓄電池23の電圧が放電終止電圧直近まで低下した場合に1が出力される。S2では、蓄電池23を充電するための整流器22の交流入力電源が無くなったときに1が出力される。さらに、S3では、S2の出力が1になったときから所定時間(第1の所定時間:保守者が変電所2へ駆けつけるための時間と復旧作業のための時間とを合計した見積もり時間)が経過した場合に1が出力される。ただし、S3の所定時間が経過する前に、S2で交流入力電源がありの状態に復旧した場合には、S3では、直ちに0が出力される。(←この記載を追加しました。)
【0025】
S4では、OR演算が行われる。次に、S5では、S4のOR演算の結果が1の場合、すなわち、S1が1のときおよびS3が1のときのいずれかまたは双方が発生した場合において、特高真空遮断器(152・VCB)13をトリップさせたとき、1が出力される。なお、この特高真空遮断器(152・VCB)13をトリップすること(S5)は、蓄電池23の残存エネルギによって行われる。
【0026】
次に、S6では、S5の出力とS1の出力とのAND演算が行われる。また、S7では、S5の出力とS3の出力とのAND演算が行われる。すなわち、S6またはS7のAND演算は、特高真空遮断器(152・VCB)13がトリップされた後に、再度、S1の出力またはS3の出力を確認する意味をもつ。そして、S8では、S6の出力およびS7の出力のいずれかまたは双方が1になった場合に、1が出力される。次に、S9では、S8の出力が1になったときから所定時間(第2の所定時間)が経過した後に、1が出力される。そして、S10では、S9の出力が1になったとき、蓄電池23の出力側の気中遮断器24がOFFにされる。なお、この気中遮断器24をOFFにすること(S10)は、蓄電池23の残存エネルギによって行われる。
【0027】
なお、第1の所定時間は次のようにして決められる。すなわち、蓄電池23は、市街地の事務所に待機している保守者が変電所2に駆けつけて、点検を含む復旧作業を終わらせるまで、放電終止電圧以上の電圧を保持するようにする必要がある。例えば、保守者が変電所2に到着するまでの時間が2時間、復旧作業の時間が2時間と定めても良い。そして、整流器22の交流入力電源が無くなってから第1の所定時間後に、蓄電池23の残存エネルギによって特高真空遮断器(152・VCB)13をトリップさせてから、その蓄電池23の放電経路を遮断すれば、蓄電池23は過放電状態には至らない。言い換えると、蓄電池23の容量は、交流入力電源が無くなったときから少なくとも第1の所定時間の間は、放電終止電圧直近以上の電圧を維持するように設定される。
【0028】
また、第2の所定時間は、制御系27の動作の確認のための時間である。例えば、第2の所定時間は、0秒〜10秒の間に定めても良い。なお、制御系27の動作の確認を行わない場合には、S9は、設けられなくても構わない。
【0029】
第1実施例の変形例を、図3に示す。図3の論理シーケンスでは、図2に示すS6,S7,S8の演算の組み合わせをS11の演算一つで行えるようにしたものである。すなわち、S11では、S4の出力とS5の出力とのAND演算を行う。したがって、図3の論理シーケンスの最終結果は、図2の論理シーケンスの最終結果と同じになる。さらに、図3では、演算素子の数を、図2より減らすことができる。
【0030】
以上、第1実施例およびその変形例では、蓄電池23が放電終止電圧直近の残存エネルギによって、変電所2の電力線系統を適正に遮断した後に、蓄電池23の放電経路を開放することができる。つまり、変電所2の電力線系統を適正な遮断状態に保持しつつ、蓄電池23の過放電を防止することができる。また、停電復旧後に蓄電池23に充電電流が流れても過大な突入電流が流れるおそれがないので、整流器22の整流素子の電流容量を過大にする必要がなくなる。
【0031】
(第2実施例)
次に、第2実施例に係る過放電防止回路の論理シーケンスについて、図4を用いて説明する。なお、図4では、図2と同じ論理には同じ符号を付している。第2実施例(図4の論理シーケンス)が第1実施例(図2の論理シーケンス)と異なる箇所は、図2に示したS6,S7,S8の演算を無くしたことである。すなわち、特高真空遮断器(152・VCB)13がトリップされた場合(S5)に、直ちに所定時間(第2の所定時間)のカウントを開始して所定時間(第2の所定時間)経過後に(S9)、気中遮断器24を開放して(S10)、蓄電池23の放電経路を遮断する。なお、特高真空遮断器(152・VCB)13をトリップすること(S5)、および気中遮断器24をOFFにすること(S10)は、蓄電池23の残存エネルギによって行われる。
【0032】
以上、第2実施例では、第1実施例の場合と同様に、蓄電池23が放電終止電圧直近の残存エネルギによって、変電所2の電力線系統を適正に遮断した後に、蓄電池23の放電経路を開放することができる。つまり、変電所2の電力線系統を適正な遮断状態に保持しつつ、蓄電池23の過放電を防止することができる。
【0033】
(第3実施例)
次に、第3実施例に係る過放電防止回路の論理シーケンスについて、図5を用いて説明する。なお、図5では、図3と同じ論理には同じ符号を付している。第3実施例(図5の論理シーケンス)が第1実施例の変形例(図3の論理シーケンス)と異なる箇所は、特高真空遮断器(152・VCB)13をトリップさせる他のトリガ(S12)を考慮したことである。
【0034】
ここで、図5の論理シーケンスにおいて新たに追加されたS12,S13について、以下に説明する。S12では、特高真空遮断器(152・VCB)13をトリップさせるS1またはS2以外の他のトリガがある場合に、1が出力される。他のトリガの例として、変電所2内の電力線系統に障害が発生した場合がある。S13では、S4の出力およびS12の出力のいずれかまたは双方が1の場合、1が出力される。なお、特高真空遮断器(152・VCB)13をトリップ(S5)すること、および気中遮断器24をOFFにすること(S10)は、蓄電池23の残存エネルギによって行われる。
【0035】
以上、第3実施例では、第1実施例の場合と同様に、蓄電池23が放電終止電圧直近の残存エネルギによって、変電所2の電力線系統を適正に遮断した後に、蓄電池23の放電経路を開放することができる。つまり、変電所2の電力線系統を適正な遮断状態に保持しつつ、蓄電池23の過放電を防止することができる。また、S12,S13を追加したことにより、S1,S2以外の他のトリガによって特高真空遮断器(152・VCB)13がトリップした場合にも、共通の論理シーケンスを用いることができる。
【0036】
なお、本発明は前記した各実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、各実施例では自然エネルギ発電設備として自然エネルギ発電所を例に挙げたが、これに限ることはなく、地熱発電所、潮力発電所、太陽熱発電所等の各種発電所の電圧を昇圧する変電所における蓄電池の過放電防止回路に適用することができる。
【0037】
また、自然エネルギ発電所に接続される変電所に限定されることなく、各種の送電線系統に接続されて電圧変換を行う変電所おける蓄電池の過放電防止回路に適用することができる。さらに、工場等に設置されている変電所おける蓄電池の過放電防止回路に適用することができる。また、無人の変電所に限らず、有人の変電所においても、本発明に係る蓄電池の過放電防止回路を適用すれば、夜間等の保守者が手薄のときでも自動的に蓄電池の過放電を防止することができるので、保守者の負担を軽減させることが可能となる。
【0038】
また、本発明に係る過放電防止回路の論理シーケンスは、制御系27を管理するコンピュータによって実現されてもよい。すなわち、過過放電防止回路の論理シーケンスの各過程は、プログラムで記述されており、このプログラムをコンピュータが実行することによって、過放電防止回路における各論理処理が行われる。そして、コンピュータが実行するプログラムがコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されている場合、そのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されたプログラムをコンピュータが読み取って実行しても良い。なお、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。
【符号の説明】
【0039】
2 変電所
3 高圧鉄塔線
11 高圧真空遮断器(52F1・VCB)
12 特高変圧器
13 特高真空遮断器(152・VCB)
14 停電検出器
15 低圧変圧器
16 直流電源装置
21 制御用変圧器
22 整流器
23 蓄電池
24 気中遮断器
25 蓄電池電圧検出器
26 端子群
27 制御系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変電所の制御系を駆動する直流電源装置用の蓄電池の過放電を防止する過放電防止回路であって、
前記変電所の制御系は前記変電所の電力線系統を開閉する遮断器であり、
前記蓄電池の放電終止電圧直近の残存エネルギを用いて前記遮断器を開放させる第1の駆動手段と、
前記第1の駆動手段によって前記遮断器を開放させた後、前記蓄電池の放電終止電圧直近の残存エネルギを用いて前記蓄電池の放電経路を開放させる第2の駆動手段と
を備えることを特徴とする過放電防止回路。
【請求項2】
前記第1の駆動手段は、前記蓄電池の電圧が所定値以下に低下したとき、および、前記蓄電池を充電するための整流器の交流入力電源が喪失してから第1の所定時間が経過したとき、のいずれかまたは双方の場合、前記遮断器を開放する
ことを特徴とする請求項1に記載の過放電防止回路。
【請求項3】
前記第2の駆動手段は、前記遮断器が開放された後、前記第1の所定時間より短い第2の所定時間が経過してから前記蓄電池の放電経路を開放する
ことを特徴とする請求項2に記載の過放電防止回路。
【請求項4】
前記第2の駆動手段は、前記遮断器が開放された後、直ちに前記蓄電池の放電経路を開放する
ことを特徴とする請求項2に記載の過放電防止回路。
【請求項5】
変電所の電力線系統の開閉に用いる遮断器を駆動する直流電源装置用の蓄電池の過放電を防止する過放電防止方法であって、
前記蓄電池の放電終止電圧直近の残存エネルギを用いて前記遮断器を開放させる第1のステップと、
前記第1のステップによって前記遮断器を開放させた後、前記蓄電池の放電終止電圧直近の残存エネルギを用いて前記蓄電池の放電経路を開放させる第2のステップと
を含むことを特徴とする過放電防止方法。
【請求項6】
前記第1のステップでは、前記蓄電池の電圧が所定値以下に低下したとき、および、前記蓄電池を充電するための整流器の交流入力電源が喪失してから第1の所定時間が経過したとき、のいずれかまたは双方の場合、前記遮断器を開放する
ことを特徴とする請求項5に記載の過放電防止方法。
【請求項7】
前記第2のステップでは、前記遮断器が開放された後、前記第1の所定時間より短い第2の所定時間が経過してから前記蓄電池の放電経路を開放する
ことを特徴とする請求項6に記載の過放電防止方法。
【請求項8】
前記第2のステップでは、前記遮断器が開放された後、直ちに前記蓄電池の放電経路を開放する
ことを特徴とする請求項6に記載の過放電防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−273414(P2010−273414A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121699(P2009−121699)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】