説明

過熱水蒸気発生装置

【課題】 誘導コイルだけで過熱水蒸気を発生させることのできる過熱水蒸気発生装置を提供する。
【解決手段】 一端から水が供給される導電性の管13と、この管13に誘導電流を流してその管内の水を加熱して過熱水蒸気を発生させる誘導コイル14とを備えている過熱水蒸気発生装置10であって、管13を螺旋状に巻いてその巻き始めと巻き終わりが隣接するようにドーナッツ状に形成し、誘導コイル14をそのドーナッツ形状の外周囲に沿って巻いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水を過熱して過熱水蒸気を発生させる過熱水蒸気発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、誘導コイルの誘導加熱を利用して過熱水蒸気を発生する過熱水蒸気発生装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる過熱水蒸気発生装置は、水を加熱して水蒸気を発生させるボイラと、このボイラによって発生した水蒸気を通す導電性通路と、この導電性通路の周囲に設けた誘導コイル等とを備えている。そして、誘導コイルに高周波電圧を印加して導電性通路に誘導電流を流し、導電性通路を通る水蒸気をその誘導電流により加熱し、この加熱により過熱水蒸気を発生させるものである。
【特許文献1】特開2004−141474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような過熱水蒸気発生装置にあっては、誘導コイルだけでは冷水から直接過熱水蒸気を発生させることができないため、ボイラを設ける必要があった。このため、過熱水蒸気発生装置の構造が複雑になってしまい、高価になってしまう問題があった。
【0005】
この発明の目的は、誘導コイルだけで過熱水蒸気を発生させることのできる過熱水蒸気発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、一端から水または水蒸気が供給される導電性の管と、この管に誘導電流を流してその管内の水を加熱して過熱水蒸気を発生させる誘導コイルとを備えている過熱水蒸気発生装置であって、
前記管を螺旋状に巻いてその巻き始めと巻き終わりが隣接するようにドーナッツ状に形成し、
前記誘導コイルをそのドーナッツ形状の外周囲に沿って巻いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、管を螺旋状に巻いてドーナッツ状に形成したものであるから管路長を長くすることができ、しかもそのドーナッツ形状の外周囲に沿って誘導コイルを巻いたものであるから、誘導コイル内に発生する磁束の外部への漏れを防止することができる。このため、誘導コイルの誘導電流だけで冷水から直接過熱水蒸気を発生させることができ、過熱水蒸気発生装置の構造の簡素化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明に係る過熱水蒸気発生装置の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0009】
図1および図2は、例えば医療器具の加熱消毒や食品等の加熱処理や木材等の乾燥処理に使用される過熱水蒸気発生装置10を示したものである。
【0010】
この過熱水蒸気発生装置10は、ドーナッツ状に形成された中空の断熱体11と、断熱体11の中空12内に配置された被加熱体である導電性の管13と、断熱体11の外周囲に巻回した誘導コイル14とを備えている。断熱体11は、図3に示すように中空の横断面形状が円形となっている。
【0011】
管13は断熱体11の中空12の内周壁11Aに沿って螺旋状に巻かれながらその中空12内を一周しており、管13の巻き始めと巻き終わりとが隣接するようにその螺旋状に巻かれた管13の全体がドーナッツ状に形成されている。
【0012】
また、管13は複数列に並べられた細管13a〜13cから構成されたものであり、この細管13a〜13cの一端から水が供給され、細管13a〜13cの他端から過熱水蒸気が排出するようになっている。
【0013】
誘導コイル14には、図示しない高周波電源装置に接続されていて高周波電圧が印加されるようになっている。
【0014】
そして、この高周波電源装置によって誘導コイル14に高周波電圧が印加されると、誘導コイル14に高周波電流が流れる。この誘導コイル14の高周波電流によって交番磁束が発生し、この交番磁束によって細管13a〜13cに大きな渦電流が流れて細管13a〜13cが加熱される。この細管13a〜13cの加熱により、細管13a〜13cの一端から給水された水(冷水)が加熱されていく。
【0015】
細管13a〜13cは、螺旋状に巻回されていることにより、管路長が長くなっている。このため、細管13a〜13cの一端から給水された水がその他端へいくまでの間に、加熱された水が水蒸気となり、さらにこの水蒸気が加熱されて過熱水蒸気となって細管13a〜13cの他端から排出されていく。
【0016】
また、断熱体11がドーナッツ形状になっていることにより、その断熱体11を巻回した誘導コイル14もドーナッツ形状となっており、その内側(断熱体11内)に発生する磁束が断熱体11の外へ漏れてしまうことが防止される。このため、細管13a〜13cに効率よく渦電流が発生し、過熱水蒸気を効率よく発生させることができる。
【0017】
このように、誘導コイル14だけで冷水から直接過熱水蒸気を効率よく発生させることができ、ボイラ等を必要としないことにより過熱水蒸気発生装置10の構造の簡素化を図ることができ、安価な過熱水蒸気発生装置10を提供することができる。
【0018】
この過熱水蒸気発生装置10では当然のことであるが、水蒸気から加熱水蒸気を発生させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明に係る過熱水蒸気発生装置を示した平面図である。
【図2】図1に示す過熱水蒸気発生装置の構成を示す断面図である。
【図3】図1に示す過熱水蒸気発生装置の横断面図である。
【符号の説明】
【0020】
10 過熱水蒸気発生装置
13 管
14 誘導コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から水または水蒸気が供給される導電性の管と、この管に誘導電流を流してその管内の水を加熱して過熱水蒸気を発生させる誘導コイルとを備えている過熱水蒸気発生装置であって、
前記管を螺旋状に巻いてその巻き始めと巻き終わりが隣接するようにドーナッツ状に形成し、
前記誘導コイルをそのドーナッツ形状の外周囲に沿って巻いたことを特徴とする過熱水蒸気発生装置。
【請求項2】
前記管が複数の細管で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の過熱水蒸気発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate