説明

過電圧保護を備える光学活性グレージング

本発明は、電力供給によってその光学特性が変化し得る、光学活性グレージングと、電源に接続された第一対のラインを含む電気回路を通じて光学活性グレージングに電気的に接続されることが可能な電力源と、電気回路内に配置された回路装置と、を含む構造に関し、前記回路装置は、所定の閾値電圧未満で電源およびグレージングを電気的に接続し、閾値電圧に到達した場合には電源をグレージングから電気的に絶縁するように実現されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を供給することによって光学特性が変化することが可能な光学活性グレージングの技術分野に属し、その一般的なタイプによれば、そのような光学活性グレージングが電気回路を通じて電源に接続される構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物および自動車において、電力を供給することによって光学特性が選択的に変化することが可能な光学活性グレージングは、例えば、グレージングの異なる光透過性(透明性)によって入射光の量を無段階で調節するために、ますます多く使用されている。
【0003】
そのような一般的なグレージングはよく知られており、特許文献において既に多様に記載されている。これらは、たとえば、カチオンを可逆的に貯蔵および放出することが可能なエレクトロクロミック材料で作られた光学活性層を含むエレクトロクロミックグレージングを含む。極性の異なる電圧の印加によって、こうしてエレクトロクロミックグレージングの透明性に影響を与えるために、カチオンの貯蔵および/または放出が制御され得る。エレクトロクロミックグレージングについて更に記載されている、欧州特許第0338876号明細書、欧州特許第0408427号明細書、欧州特許第0628849号明細書および米国特許第5,985,486号明細書が、例示のみによって、参照される。
【0004】
一般的な光学活性グレージングはまた、たとえば、光学活性層としての液晶層を含むPDLCグレージング(PDLS=Polymer Dispersed Liquid Crystal、高分子分散型液晶)である。電圧が印加されない状態で無作為に配向され、この状態で光を大いに散乱する液晶層の液晶は、電圧の印加によって一方向に配向されることが可能であり、周囲に適合した屈折率のため、この状態では光結晶のみがわずかに光を散乱し、液晶層の透明性が著しく増加するようになっている。
【0005】
一般的な光学活性グレージングはまた、たとえば、PDLCグレージングとは対照的に、光散乱の代わりに、こうしてSPDグレージング(SPD=Suspended Particle Device、懸濁粒子装置)の透明性を制御するために、電圧の印加によって光学活性層の光吸収が変化し得る、光学活性層としての懸濁粒子の層を含む、SPDグレージングである。
【0006】
それぞれのタイプに応じた制限電圧を超える電圧が印加される場合にこれらが不可逆的に破壊されることは、一般的な光学活性グレージングに共通である。たとえば、制限電圧を超える電圧がエレクトロクロミックグレージングに印加されると、グレージング内にガスが形成される、誘電体が破壊される可能性があり、光学活性層は酸化し、減少し、分解される可能性がある。グレージングの損傷とは別に、たとえば、グレージングの透明性が上昇したために内部空間に望ましくない過熱があった場合、安全技術の見地から、付随する機能障害も関連する可能性がある。
【0007】
許容できないほどの高電圧の印加の原因としてあり得るものは、ユーザによる不適切な操作である。したがって、たとえば、実際には無知または不注意のため、光学活性グレージングが過剰高出力電圧を有する電力源に接続されることは、無視できない。さらに、たとえば印加された電圧の極性に関して、エレクトロクロミックグレージングが適切な極性で接続されなければならないようにエレクトロクロミックグレージングはそれぞれの構造に応じた特定の端子構成を有する。透明性を低下させるための制限電圧は通常、透明性を上昇させるときよりも高いので、特に、不適切に極性を決められた電源によってグレージングの不可逆的損傷が生じるケースが発生する可能性がある。
【0008】
さらに、故障によって電力源が許容できないほどの高電圧を送達することは、無視できない。
【0009】
たとえば、点火システムの起動を通じて自動車内で、または一般的に雷雨の時に発生するような、電圧スパイクは、光学活性グレージングの給電における許容できないほどの高電圧のもう1つのありがちな原因である。たとえば、建造物内の光学活性グレージングが電力網に接続されている場合、グレージングを不可逆的に損傷する電圧スパイクは、落雷によって発生する可能性がある。
【0010】
これを防止するために、光学活性グレージングがシステムの電圧スパイクから保護されるように、建造物の電力網または自動車の車載電力システムの中に過電圧保護を設けることが、知られている。米国特許出願公開第2005/0063036号明細書は、電源ユニットの電気回路内の過電圧保護を開示している。しかしながら、これらはたとえば、システム接続と光学活性グレージングとの間の電気回路内であっても、点火システムの起動を通じて、または落雷の時に発生する可能性があるので、電圧スパイクは高周波交流電磁場によって誘導的に発生し得ることが、実際に証明されている。この場合、電気系統の過電圧保護は、有効ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許第0338876号明細書
【特許文献2】欧州特許第0408427号明細書
【特許文献3】欧州特許第0628849号明細書
【特許文献4】米国特許第5,985,486号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2005/0063036号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
光学活性グレージングの電力源の電気回路において誘導的に生じる電圧スパイクを防止するために、電力網接続を可能な限りグレージングの近くに配置すること、またはシステム接続とグレージングとの間のラインを可能な限り短くすることが考えられる。しかしながら、電力系統接続は通常は嵩張るため、または安全技術の理由でたとえばファサード上もしくは水分から保護されていないその他の領域などのグレージングの場所において必要な電力が実現可能ではないため、そのような手法は可能ではない場合が多い。システム接続と金属遮蔽を備えるグレージングとの間にラインを設けることも考えられるが、しかし実践により、そのような遮蔽の効果が通常は実際の要求を満たさないことが示されている。
【0013】
対照的に、本発明の目的は、許容できないほど高い電圧による光学活性グレージングに対する損傷が確実かつ安全に回避されることのできる能力を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記およびその他の目的は、独立特許請求項の特徴を備える構造を通じて、本発明の提案によって実現される。本発明の有利な構成は、従属請求項の特徴を通じて示される。
【0015】
本発明によれば、一般的に少なくとも1つの光学活性グレージングを含む構造が示され、透明性、光散乱、光反射、および/または色合いなどの少なくとも1つの光学特性が、電力を供給することによって、すなわち電圧または電流の印加を通じて変化することができる。
【0016】
「光学活性グレージング」という用語は一般的に、本発明の文脈において、少なくとも1つの光学特性が電力を供給することによって制御可能ないずれかのグレージング、たとえばエレクトロクロミックグレージング、PDLCグレージング、またはSPDグレージングを意味すると理解される。好ましくは、光学活性グレージングは電力を供給することによって透明性が変化することが可能な、エレクトロクロミックグレージングである。特にイントロダクションで言及された文献からわかるところでは、エレクトロクロミックグレージングは、たとえば酸化タングステンなどのカチオンを可逆的に貯蔵および放出することが可能なエレクトロクロミック材料で作られた少なくとも1つの層と同様に導電性材料でできた層がその上に設けられる、たとえばガラスなどの、少なくとも1つの透明基板を含む。ここで、カチオンの貯蔵または放出された状態に対応するエレクトロクロミック材料の異なる酸化状態が異なる色を有し、その状態のうちの1つが通常は透明であることが、必要条件である。極性の異なる電圧の印加によって、エレクトロクロミックグレージングの光透過性に選択的に影響を与えるために、カチオンの貯蔵または放出が制御される。
【0017】
本発明の文脈において、「グレージング」という用語は単に、それによって特性を透明基板として使用するためのガラスに限定することのない、そのような物質を特徴付ける。
【0018】
一般的な構造は、電源に接続された第一対のラインを有する電気回路を通じて光沢活性グレージングに導電的に接続されることが可能な、電力源(電圧および/または電流源)をさらに含む。
【0019】
さらに、本発明による構造は、電気回路内に配置された回路装置を含み、この装置は、所定の(選択可能な)電気制限電圧未満では、電源およびグレージングを相互に導電的に接続し、制限電圧に到達すると、電源をグレージングから電気的に絶縁するように構成されている。本発明の文脈において、「制限電圧」とは、光学活性グレージングの構成に応じて、光学活性グレージングの問題のない動作のための最大許容動作電圧を意味する。
【0020】
本発明による構造を通じて、有利な方法で、グレージングの損傷が確実かつ安全に防止されるように、許容できないほどの高電圧を光学活性グレージングに印加することを防止することが、このように可能である。特に、電源と光学活性グレージングとの間の電気回路内の過渡的交流電磁場によって誘導的に発生する電圧スパイクが、光学活性グレージングに影響を与えるのを防止することが可能である。
【0021】
本発明による構造の有利な実施形態において、電気回路内の回路装置は電源よりもグレージングの方に近く配置されている。回路装置がグレージングに近く配置されるほど、電源とグレージングとの間の電気回路内で電圧スパイクが誘導的に発生する可能性が低くなる。特に有利には、回路装置は、グレージングのすぐ近傍または付近に配置される。このため、回路装置は、たとえばグレージングの外面上に、または積層構造の場合には、グレージングの層の間に配置されることが可能である。
【0022】
本発明による構造の別の有利な実施形態において、電気回路は電源に接続された第一対のラインをグレージングに接続された少なくとも1つの第二対のラインまたは接点に導電的に接続する、ハウジングを備える配電器を含む。ここで、回路装置は配電器のハウジングに組み込まれており、その結果、電源とグレージングとの間の電気回路内で導電的に発生する電圧スパイクを防止するために、回路装置はグレージングに近く配置されることが可能である。その一方で、回路装置は、特に単純構造的に電源およびグレージングを接続する電気回路内に挿入されることが可能である。
【0023】
あるいは、たとえば、回路装置をモジュールとして構成して、回路装置を配電器の入力コネクタに接続し、この場合は回路装置が電源に接続された第一対のラインを配電器に接続することも可能である。たとえば、このために、従来の光学活性グレージングがそのような回路装置にリトロフィットされることが可能となるように、回路装置は配電器の入力コネクタに差し込まれることができる。
【0024】
本発明による構造の別の有利な実施形態において、回路装置は第一短絡回路ブリッジを含み、それによって電源に接続される第一対のラインの2本のラインが相互に導電的に接続されることが可能である。第一短絡回路ブリッジは、それによって第一短絡回路ブリッジが2つのブリッジ部に分割される少なくとも1つの第一電気部品を有する。この第一電気部品は、制限電圧未満では2つのブリッジ部を電気的に絶縁し、制限電圧に到達するとこれらを相互に導電的に接続するように構成されている。
【0025】
本発明の上記実施形態の有利な構成において、第一電気部品は火花間隙、すなわち2つの電極の間の放電空間を含み、この火花間隙は、制限電圧に到達すると導電性になるように、すなわち放電空間を越えて2つの電極を相互に導電的に接続するように構成されている。
【0026】
本発明の上記実施形態の別の有利な構成において、第一電気部品は、逆並列に接続された少なくとも1対のダイオード(双方向ダイオードまたはダイアック)を含み、その降伏電圧は、制限電圧に到達すると導電性になるように選択される。
【0027】
本発明の上記実施形態の別の有利な構成において、第一電気部品は、逆直列に接続された少なくとも1対のツェナーダイオードを含み、その降伏電圧は、制限電圧に到達すると導電性になるように選択される。
【0028】
本発明の上記実施形態の別の有利な構成において、第一電気部品は、その制御接続が第二電気部品を通じて、電源に接続される第一対のラインの2本のラインのうちの少なくとも1本に接続される、たとえばバイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタなどの、少なくとも1つのトランジスタを含む。ここで、第二電気部品は、制限電圧に到達すると、制御接続が、トランジスタを通過に切り替える制御電圧を印加するように構成されている。
【0029】
たとえば、このために、トランジスタの制御接続は、分圧器のピックアップに導電的に接続され(たとえば、オーム抵抗器の直列接続)、分圧器は第一ブリッジ線内に配置され、それによって電源に接続された第一対のラインの2本のラインが相互に接続される。分圧器は、制限電圧に到達すると、トランジスタを通過に切り替える電圧が検出されるように構成されている。
【0030】
あるいは、第二電気部品は、少なくとも1つのダイオードまたは直列接続された複数のダイオードを含むことができ、ダイオードの順電圧は、制限電圧到達時にトランジスタが通過に切り替えられるように選択される。
【0031】
本発明の上記実施形態において、電源とグレージングとの間の電気回路、特に回路装置が、所定の(選択可能な)閾値回路強度に到達すると、それによって電源とグレージングとの間の電気回路が遮断されるヒューズを備えている場合にさらに有利となり得る。この方策を通じて、第一電気部品の損傷または故障の際に、電源とグレージングとの間の電気回路内の電流が遮断されることが有利に実現され得る。代わりにまたは付加的に、電源と光学活性グレージングとの間の電気回路内の電流を制限するための電圧降下抵抗器を挿入することも、考えられる。
【0032】
本発明による構造の別の有利な実施形態において、回路装置は、電源とグレージングとの間の電気回路が遮断され得るように配置されたアクチュエータによって起動するリレーを有している。ここで、リレーの起動のためのアクチュエータは、電源に接続された第一対のラインの2本のラインを電気的に接続する第二ブリッジ内に配置される。アクチュエータは、制限電圧未満ではリレーを閉鎖し、制限電圧に到達するとリレーを開放するように構成されている。
【0033】
本発明の上記実施形態の有利な構成において、回路装置は、アクチュエータに並列に接続された第二短絡回路ブリッジを備えており、これによって電源に接続された第一対のラインの2本のラインが導電的に接続されることが可能である。ここで、第二短絡回路ブリッジは、それによって短絡回路ブリッジが2つのブリッジ部に分割される少なくとも1つの第三電気部品を有し、第三電気部品は、所定の(選択可能な)閾値電圧未満では2つのブリッジ部を電気的に絶縁し、閾値電圧に到達すると、これらを相互に導電的に接続するように構成されている。第三電気部品として、閾値電圧に到達すると導電性になるようにその降伏電圧が選択される、少なくとも1対の逆並列ダイオード、または閾値電圧に到達すると導電性になるようにその降伏電圧が選択される、少なくとも1対の逆直列ツェナーダイオードを使用することが可能である。
【0034】
ここで本発明は、添付図面を参照して例示的実施形態を使用しながら、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】回路装置を備える本発明による構造の例示的実施形態の模式図である。
【図2】回路装置の1構成を備える図1の概略回路図である。
【図3】回路装置の別の構成を備える図1の概略回路図である。
【図4】回路装置の別の構成を備える図1の概略回路図である。
【図5】回路装置の別の構成を備える図1の概略回路図である。
【図6】回路装置の別の構成を備える図1の概略回路図である。
【図7】回路装置の別の構成を備える図1の概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、上面図および断面図において、光学活性グレージング2を備えて全体として参照番号1が付された構造を示す。ここで、光学活性グレージングは、たとえばその(光)透過性が電力を供給することによって変化し得る、エレクトロクロミックグレージングである。
【0037】
光学活性グレージング2は、いずれの場合もその上に導電層が設けられるような、透明な(たとえばガラス)第一基板8および透明な(たとえばガラス)第二基板10を備える、積層構造を有する。2つの基板8、10の間には、全体として参照番号9が付された複数の層を備える層配列が配置されている。層配列9は、たとえば酸化タングステンで作られた少なくとも1つの光学活性層、イオン導電層、たとえばポリマー層または無機物層(たとえば酸化ケイ素、酸化タンタル、または酸化ハフニウムで作られたセラミック層)、ならびに対電極として、たとえば、酸化ニッケル、酸化イリジウム、または酸化バナジウムで作られた1つの層を含む。光学活性グレージング2の層配列9の様々な層は、ここでさらに詳細に説明する必要がないように、たとえばイントロダクションで言及された出版物より、当業者にとって知られている。図1において、層配列9の様々な層は、詳細に描かれていない。
【0038】
構造1は、グレージング2に電力(DC電流および/またはDC電圧)を供給するために電気回路を通じて光学活性グレージング2に電気的に接続されることが可能な、電力源3をさらに含む。電気回路は、配電器6においてブレード端子7に接続される第一ライン4および第二ライン5を備える、電源3に接続された1対のラインを含む。ブレード端子7は、2つの基板8、10に設けられる光学活性グレージング2の導電層に接触する。
【0039】
配電器6は、たとえばプラスチック材料で作られたハウジングを備える、配電箱として設けられる。配電器6は、第二基板10の外面に接触しており、この外面に、たとえば接着されている。配電器6のハウジングの中では、回路装置11が、電源3を光学活性グレージング2に接続する電気回路に組み込まれている(図1には示されない)。回路装置11はこのように光学活性グレージング2のすぐ近傍に位置する。
【0040】
光学活性グレージング2は、損傷を生じさせることなく最大制限電圧までにおいてのみ影響を受けることが可能である。このため、回路装置11は、この制限電圧未満では電源3および光学活性グレージング2を相互に導電的に接続し、この制限電圧に到達すると電源3を光学活性グレージング2から電気的に絶縁するように構成されている。
【0041】
ここで図2から図7を参照すると、図1の構造の回路図を使用して、回路装置11の様々な構成が説明されている。図2から図7はいずれの場合も、様々な回路装置11の光学活性グレージング2との電気的接続を示している。図2から図7において左を指している矢印は、電源3との電気的接続を表している。回路装置11自体は、いずれの場合も境界線によって示されている。
【0042】
図2から図5はいずれの場合も回路装置11の構成を示し、回路装置11は第一短絡回路ブリッジ12を含み、これによって電源3に接続されているライン4、5が導電的に接続されることが可能である。第一短絡回路ブリッジ12はいずれの場合も第一電気部品を含み、これによって第一ブリッジ部13および第二ブリッジ部14に分割される。ここで、第一電気部品は、制限電圧未満では2つのブリッジ部13、14を電気的に絶縁し、制限電圧に到達するとこれらを相互に導電的に接続するように構成されている。
【0043】
最初に、回路装置11の第一の構成が示されている図2を考察する。これによると、第一ダイアック15、すなわち1対の逆並列ダイオードが、第一電気部品として第一短絡回路ブリッジ12に含まれている。第一ダイアック15の2つのダイオードの降伏電圧はここで、光学活性グレージング2の制限電圧に到達すると、2つのブリッジ部13、14およびひいては電源3に接続されたライン4、5が短絡されるように、導電性になるように、選択される。あるいは、第一電気部品として、制限電圧に到達すると導電性になるようにその降伏電圧が選択される、1対の逆直列ツェナーダイオードを提供することも、等しく可能である。
【0044】
図3は、回路装置11の第二の構成を示している。これによると、火花間隙16が、第一電気部品として第一短絡回路ブリッジ12に含まれている。火花間隙16の降伏電圧はここで、光学活性グレージング2の制限電圧に到達すると、2つのブリッジ部13、14およびひいては電源3に接続されたライン4、5が火花間隙16を越えて短絡されるように選択される。
【0045】
図3および図4に示される回路装置11の第一および第二の構成はとりわけ、その制限電圧が100Vを超え、たとえば数百ボルトにもなり得るように、たとえば100Vを超える比較的高い動作電圧の光学活性グレージング2に適している。
【0046】
図4は、回路装置11の第三の構成を示している。これによると、バイポーラトランジスタ17(npn−またはpnp−トランジスタ)が、第一電気部品として第一短絡回路ブリッジ12に含まれており、バイポーラトランジスタ17の負荷経路は短絡回路ブリッジ12の一部である。バイポーラトランジスタ17の制御接続18は、相互に直列接続された2つのダイオード19を通じて第一ライン4に導電的に接続されている。2つのダイオード19は、バイポーラトランジスタ17の制御接続18上で、2つのブリッジ部13、14およびひいては電源3に接続されたライン4、5が短絡されるように制限電圧に到達すると、バイポーラトランジスタ17の負荷経路が通過に切り替えられるように順電圧を有する。
【0047】
図5は、回路装置11の第四の構成を示している。これによると、電界効果トランジスタ20が、第一電気部品として第一短絡回路ブリッジ12に含まれており、電界効果トランジスタ20の負荷経路は短絡回路ブリッジ12の一部である。電界効果トランジスタ20の制御接続25は、相互に直列に接続された2つの電気抵抗器22、23の間の電圧を検出するためのピックアップ24に導電的に接続されている。2つの電気抵抗器22、23の直列接続は、2つのライン4、5を相互に電気的に接続する第一ブリッジ線21に含まれる。2つの電気抵抗器22、23は、制限電圧に到達すると、ピックアップ24に電圧が印加されるように選択され、それによって、2つのブリッジ部13、14およびひいては2つのライン4、5が短絡されるように電界効果トランジスタ20の負荷経路が通過に切り替えられる。
【0048】
図2から図5に示される回路装置11の構成において、ヒューズ26(たとえば、安全ヒューズ)はいずれの場合も、電源3に接続された第一ライン4の回路装置11内に配置され、所定の(選択可能な)閾値回路強度に到達すると、そのヒューズによって電源3と光学活性グレージング2との間の電気回路が遮断されて、第一電気部品の損傷または故障の場合に、光学活性グレージング2が保護されるようになっている。電源3を光学活性グレージング2に接続する電気回路内の回路装置11の外側にヒューズ26を配置することも、等しく可能である。代わりに、または付加的に、電源3と光学活性グレージング2との間の電気回路の電流を制限するために電圧降下抵抗器を設けることも、考えられる。
【0049】
図4および図5に示される回路装置11の第三および第四の構成はとりわけ、その制限電圧が相応に数ボルトの範囲内に収まるように、たとえば数ボルトに等しい比較的低い動作電圧の光学活性グレージング2に適している。
【0050】
図6は、光学活性グレージング2の制限電圧に到達すると、電源3と光学活性グレージング3との間の電気回路が遮断される、回路装置11の構成を示している。このために、アクチュエータ28によって起動されるリレー27が、電源3に接続された第一ライン4内に配置される。アクチュエータ28は、電源3に接続された対のラインの2つのライン4、5を相互に導電的に接続する第二ブリッジ線29内に配置される。アクチュエータ28は、制限電圧未満でリレー27を閉鎖し、制限電圧に到達するとリレー27を開放するように構成されている。
【0051】
図7は、図6の回路装置11の変形例を示している。ここで、付加的に、アクチュエータ28に並列に接続された第三抵抗器32および第二短絡回路ブリッジ30が配置され、それによって電源3に接続された第一対のラインの2本のライン4、5が、相互に導電的に接続されることが可能である。第二短絡回路ブリッジ30は、第三電気部品として、第二短絡回路ブリッジ30を第三ブリッジ部33および第四ブリッジ部34へ分割する第二ダイアック31を有する。第二ダイアック31の2つのダイオードの降伏電圧はここで、2つのブリッジ部33、34およびひいては電源3に接続されたライン4、5が短絡されるように所定の(選択可能な)閾値電圧に到達すると、第二ダイアック31の2つのダイオードが導電性になるように選択される。あるいは、第三電気部品として、閾値電圧に到達するとツェナーダイオードが導電性になるように降伏電圧および第三抵抗器32が選択された、1対の逆直列ツェナーダイオードを提供することも、等しく可能である。
【0052】
図6および図7に示される回路装置11の構成において、光学活性グレージング2の制限電圧に到達すると、電源3と光学活性グレージング2との間の電気回路が可逆的に遮断されることが可能なようにヒューズ26は設けられていない。
【0053】
本発明において、先に説明された全ての実施形態および構成は、相互に組み合わせられることが可能であり、それによって取得可能な有利な効果、特に動作電圧が選択的に確実に高い(数百ボルト)または確実に低い(数ボルト)光学活性グレージング向けの一般的に使用可能な過電圧保護を備える。
【符号の説明】
【0054】
1 構造
2 光学活性グレージング
3 電源
4 第一ライン
5 第二ライン
6 配電器
7 ブレード端子
8 第一基板
9 層配列
10 第二基板
11 回路装置
12 第一短絡回路ブリッジ
13 第一ブリッジ部
14 第二ブリッジ部
15 第一ダイアック
16 火花間隙
17 バイポーラトランジスタ
18、25 制御接続
19 ダイオード
20 電界効果トランジスタ
21 第一ブリッジ線
22 第一抵抗器
23 第二抵抗器
24 ピックアップ
26 ヒューズ
27 リレー
28 アクチュエータ
29 第二ブリッジ線
30 第二短絡回路ブリッジ
31 第二ダイアック
32 第三抵抗器
33 第三ブリッジ部
34 第四ブリッジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給することによって少なくとも1つの光学特性が変化し得る、少なくとも1つの光学活性グレージング(2)と、電気回路(4、5、6、7)を通じて光学活性グレージング(2)に電気的に接続されており、電気回路が電源(3)に接続された第一対のライン(4、5)を含む電力源(3)と、を含み、所定の制限電圧未満では電源(3)およびグレージング(2)を電気的に接続し、制限電圧に到達すると電源(3)をグレージング(2)から電気的に絶縁するように構成された電気回路内に配置された電気回路装置(11)を特徴とする、構造。
【請求項2】
回路装置(11)が、電源(3)よりもグレージング(2)の方に近く、特にグレージング(2)のすぐ近傍の電気回路内に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の構造(1)。
【請求項3】
電気回路がハウジングを備える配電器(6)を含み、配電器が、第一対のライン(4、5)をグレージングに接続された少なくとも1つの第二対のラインまたは接点(7)に導電的に接続し、回路装置(11)が配電器(6)のハウジングに組み込まれていることを特徴とする、請求項1または2に記載の構造(1)。
【請求項4】
電気回路がハウジングを備える配電器(6)を含み、配電器が、第一対のライン(4、5)を少なくとも1つの第二対のラインまたは接点に導電的に接続し、回路装置が、モジュールとして構成されて、配電器(6)の入力コネクタに接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の構造(1)。
【請求項5】
回路装置が第一短絡回路ブリッジ(12)を含み、それによって第一対のラインの2つのライン(4、5)が電気的に接続され、第一短絡回路ブリッジ(12)がそれによって第一短絡回路ブリッジ(12)が2つのブリッジ部(13、14)に分割される少なくとも1つの第一電気部品を有し、第一電気部品が、制限電圧未満では2つのブリッジ部(13、14)を電気的に絶縁し、制限電圧に到達するとそれらを導電的に接続するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の構造(1)。
【請求項6】
第一電気部品が火花間隙(16)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の構造(1)。
【請求項7】
第一電気部品が少なくとも1対の逆並列ダイオード(15)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の構造(1)。
【請求項8】
第一電気部品が少なくとも1対の逆直列ツェナーダイオードを含むことを特徴とする、請求項5に記載の構造(1)。
【請求項9】
第一電気部品が少なくとも1つのトランジスタ(17、20)を含み、その制御接続(18、25)が、第二電気部品を通じて第一対のラインの2本のライン(4、5)の少なくとも1つに接続され、第二電気部品は、制限電圧に到達すると制御接続(18、25)が制御電圧を印加するように構成されており、それによってトランジスタ(17、20)が通過に切り替えられることを特徴とする、請求項5に記載の構造(1)。
【請求項10】
制御接続(25)が分圧器(22〜24)のピックアップ(24)に導電的に接続されており、分圧器が、第一対のラインの2つのライン(4、5)を相互に接続する第一ブリッジ線(21)内に配置されて、制限電圧に到達するとピックアップ(24)に電圧が印加されるように構成されており、それによってトランジスタ(20)が通過に切り替えられることを特徴とする、請求項9に記載の構造(1)。
【請求項11】
第二電気部品が少なくとも1つのダイオード(19)を含み、ダイオードの順電圧は、制限電圧に到達するとトランジスタ(17)が通過に切り替えられるように選択されることを特徴とする、請求項9に記載の構造(1)。
【請求項12】
電源(3)をグレージング(2)に電気的に接続する電気回路、特に回路装置がヒューズ(26)を備えており、それによって所定の閾値回路強度に到達すると電気回路が遮断されることを特徴とする、請求項5から11のいずれか一項に記載の構造(1)。
【請求項13】
回路装置(11)がアクチュエータ(28)によって起動されるリレー(27)を有し、それによって電気回路が電源(3)とグレージング(2)との間で遮断されることが可能であり、アクチュエータ(28)が、第一対のラインの2つのライン(4、5)を電気的に接続する第二ブリッジ線(29)内に配置され、アクチュエータ(28)が、制限電圧未満でリレー(27)を閉鎖し、制限電圧に到達するとリレー(27)を開放するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の構造(1)。
【請求項14】
第二短絡回路ブリッジ(30)がアクチュエータ(28)と並列に接続され、それによって第一対のラインの2つのライン(4、5)が導電的に接続されることが可能であり、第二短絡回路ブリッジ(30)が少なくとも第三電気部品(31)を有し、それによって第二短絡回路ブリッジ(30)が2つのブリッジ部(33、34)に分割され、第三電気部品が、所定の閾値電圧未満では2つのブリッジ部(33、34)を電気的に絶縁し、閾値電圧に到達するとそれらを導電的に接続するように構成されることを特徴とする、請求項13に記載の構造(1)。
【請求項15】
光学活性グレージング(2)は、電力を供給することによってその透明性が変化し得る、エレクトロクロミックグレージングであることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の構造(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2012−513034(P2012−513034A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−541269(P2011−541269)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065451
【国際公開番号】WO2010/069697
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(500374146)サン−ゴバン グラス フランス (388)
【Fターム(参考)】