説明

過電流遮断制御回路

【課題】過電流が流れた場合に高速かつ確実にブレーカーをオフすることができる過電流遮断制御回路を提供すること。
【解決手段】過電流遮断制御回路10は、過電流検出回路50と、ブレーカーオン/オフ信号回路70と、を備え、過電流検出回路50は、ヒステリシスコンパレータ回路51を含んで構成され、過電流の検出時に検出信号を出力し、ブレーカーオン/オフ信号回路70は、過電流検出回路50からの検出信号がD−FF71のCP(クロック)端子に入力された場合に、D−FF71のD端子への入力信号を反転させてブレーカー20に出力してラッチし、D端子には、常にハイ信号が入力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流遮断制御回路に関する。詳しくは、過電流が流れた場合に高速かつ確実にブレーカーをオフすることができる過電流遮断制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ブレーカーを用いて装置を過電流から保護するために、電流値と過電流閾値とを比較して、閾値を超えた場合にブレーカーにオフ信号を出力する制御回路の技術が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
ところで、この様な技術では、装置を保護するために過電流の検出時に高速でブレーカーをオフすることが求められている。また、大電流を遮断する際に発生するスイッチングノイズによる影響を最小限にすることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−336886号公報
【特許文献2】特開2005−20833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2の技術では、過電流検出信号の立ち上がりの検出を確実にできない場合があり、ブレーカーをオフできない場合があった。また、大電流を遮断する際に発生するスイッチングノイズによりグランド電位が上がった場合に、ブレーカーがオンされてしまうという誤作動が発生する可能性があった。
【0006】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、過電流が流れた場合に高速かつ確実にブレーカーをオフすることができる過電流遮断制御回路を提供すること、及び、スイッチングノイズの発生によりグランド電位が上がってもブレーカーがオンするような誤作動が発生しないようにできる過電流遮断制御回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、
ブレーカー(例えば、後述のブレーカー20)を用いて装置を過電流から高速で保護するために、過電流を検出したらブレーカーにオフ指示(例えば、後述のロー信号)を出力してラッチする過電流遮断制御回路(例えば、後述の過電流遮断制御回路10)であって、
前記過電流の検出に応じて検出信号を出力する過電流検出回路(例えば、後述の過電流検出回路50)と、
フリップフロップを有し、前記過電流検出回路が出力した前記検出信号の入力に応じて前記ブレーカーにオン/オフ指示を出力してラッチするブレーカーオン/オフ信号回路(例えば、後述のブレーカーオン/オフ信号回路70)と、を備え、
前記過電流検出回路は、ヒステリシスコンパレータ(例えば、後述のヒステリシスコンパレータ回路51)を含んで構成され、
前記ブレーカーオン/オフ信号回路は、前記検出信号が前記フリップフロップのクロック端子(例えば、後述のCP(クロック)端子)に入力された場合に、前記フリップフロップのD端子への入力信号を反転させてブレーカーに出力してラッチし、
前記D端子には、常にハイ信号が入力される、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ブレーカーオン/オフ信号回路は、過電流の検出信号がフリップフロップのクロック端子に入力された場合に、D端子への入力信号を反転させてブレーカーに出力してラッチする。また、D端子には、常にハイ信号が入力される。
よって、過電流の検出時には、ブレーカーにロー信号(オフ信号)を出力してラッチできる。
また、本発明によれば、過電流検出回路は、ヒステリシスコンパレータを含んで構成されているので、過電流検出時により高速で検出信号を出力できる。したがって、過電流を検出してから遮断するまでの時間が短くなるので、電流値が大きくなることによる装置の損傷を防止できる。
以上より、本発明によれば、過電流が流れた場合に高速かつ確実にブレーカーをオフすることができる。
【0009】
この場合、
前記ブレーカーオン/オフ信号回路は、前記フリップフロップのセット端子及びリセット端子の両方にロー信号が入力されている状態では、前記検出信号が前記クロック端子に入力されない場合であってもQ端子のハイ信号を反転させてブレーカーに出力することが好ましい。
【0010】
この発明によれば、ブレーカーオン/オフ信号回路は、フリップフロップのセット端子及びリセット端子の両方にロー信号が入力されている状態では、過電流の検出信号がクロック端子に入力されない場合であってもQ端子のハイ信号を反転させてブレーカーに出力する。
よって、ブレーカーをオフして大電流を遮断したことによるスイッチングノイズの発生により制御回路のGND電位が上がり、セット端子及びリセット端子の両方にロー信号が入力されたと認識された場合であっても、ブレーカーにロー信号(オフ信号)を出力できる。したがって、過電流を検出した後にGND電位が上がった場合であってもブレーカーをオフ状態に保つことができる。
したがって、スイッチングノイズの発生によりGND電位が上がっても誤作動しないようにすることができる。
【0011】
この場合、
前記ブレーカーオン/オフ信号回路は、前記フリップフロップのセット端子及びリセット端子の入力信号の組合せに応じて、ブレーカーをオン状態、オフ状態、前記過電流を検出したらブレーカーにオフ指示を出力する過電流検出状態(例えば、後述の過電流検出モード)のいずれかに設定することが好ましい。
【0012】
この発明によれば、例えば、コンピュータなどの制御装置によってセット端子及びリセット端子の入力信号の組合せを制御することで、ブレーカーをオン状態、オフ状態、過電流検出状態のいずれかに設定できる。よって、1つのICでブレーカーの状態を様々に変更できるので、過電流遮断制御回路を安価で簡易な構造にできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、過電流が流れた場合に高速かつ確実にブレーカーをオフすることができ、また、スイッチングノイズの発生によりグランド電位が上がってもブレーカーがオンするような誤作動が発生しないようにできる過電流遮断制御回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る過電流遮断制御回路を含む過電流遮断システムの概略構成を示す図である。
【図2】上記実施形態に係る過電流遮断制御回路の回路構成を示す図である。
【図3】上記実施形態に係る電流信号のオン/オフの関係を示す図である。
【図4】上記実施形態に係る過電流検出信号の立ち上がり時間を示す図である。
【図5】上記実施形態に係る過電流検出信号の立ち上がりエッジを印加し続けることを示す図である。
【図6】従来におけるD−FFの構成及びその動作結果を示す図である。
【図7】上記実施形態に係るD−FFの動作結果を示す図である。
【図8】上記実施形態に係るD−FFの真理値表である。
【図9】上記実施形態に係るブレーカーオン/オフ信号回路の動作を示すフローチャートである。
【図10】上記実施形態に係る過電流遮断システムの動作の時間変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る過電流遮断制御回路を含む過電流遮断システムの概略構成を示す図である。
【0017】
過電流遮断システムは、過電流遮断制御回路10と、ブレーカー20と、電源30と、負荷40と、を備えている。過電流遮断制御回路10は、過電流遮断システムを流れる電流値に応じて、ブレーカー20にオン/オフ信号を出力する。
【0018】
電源30には、図示しない電源制御回路が接続されている。また、負荷40には、図示しない負荷制御回路が接続されている。この電源制御回路による電源30の制御により電源30から電流が流れ、この負荷制御回路による負荷40の制御により電圧値及び電流値が変化する。
【0019】
過電流遮断制御回路10には、過電流遮断システムを流れる電流信号が入力される。過電流遮断制御回路10は、この電流信号による電流値が所定の閾値を超えた場合に過電流と判断して、ブレーカー20にオフ信号を出力してラッチする。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係る過電流遮断制御回路の回路構成を示す図である。
【0021】
過電流遮断制御回路10は、過電流検出回路50と、クロック発生回路60と、ブレーカーオン/オフ信号回路70と、備えている。過電流検出回路50は、電流信号に応じた電流値が所定の閾値を超えた場合に過電流と判断して、過電流検出信号をクロック発生回路60に出力する。クロック発生回路60は、過電流検出回路50から過電流検出信号が入力されると、クロックパルスをブレーカーオン/オフ信号回路70に出力する。ブレーカーオン/オフ信号回路70は、クロック発生回路60からクロックパルスが入力されると、ブレーカーオフ信号を出力してラッチする。
【0022】
本実施形態では、ブレーカーオン/オフ信号回路70は、ブレーカーオフ信号を出力してラッチするので、図3に示すように、電流信号に応じた電流値が所定の閾値を超えて過電流と判断された場合に、電流信号のオフ指示をラッチできる。
【0023】
図2に戻って、過電流検出回路50は、ヒステリシスコンパレータ回路51と、閾値電圧52と、を備えている。ヒステリシスコンパレータ回路51は、コンパレータ53と、抵抗R1,R2,R3と、で構成されている。コンパレータ53の反転入力端子側は、閾値電圧52と接続されており、閾値電圧52は接地されている。閾値電圧52は、アナログ電圧であり、上記所定の閾値(過電流閾値)に対応した電圧を供給する。コンパレータ53の非反転入力端子側は、抵抗R2を介して上述した過電流遮断システムと接続されている。
【0024】
コンパレータ53の反転入力端子側には、閾値電圧52から過電流閾値に対応する電圧が入力され、コンパレータ53の非反転入力端子側には、上述した過電流遮断システムからの電流信号が入力される。
【0025】
ここで、上述した過電流遮断システムからの電流信号に応じた電圧値が過電流閾値よりも大きい場合に、コンパレータ53の出力端子からハイ信号が出力される。このハイ信号は、過電流検出信号としてクロック発生回路60に入力される。
【0026】
過電流検出回路50は、ヒステリシスコンパレータ回路51を含んで構成されているので、図4に示すように、電流信号に応じた電流値が過電流閾値を超えてから10μ秒以下という超高速で過電流検出信号を出力できる。
【0027】
図2に戻って、クロック発生回路60は、クロックジェネレータ61と、AND回路62と、を備えている。クロックジェネレータ61は、接地されている。
【0028】
クロックジェネレータ61は、高周波数でパルスをAND回路62に出力する。また、ハイ信号である過電流検出信号は、AND回路62に入力される。これにより、クロック発生回路60は、過電流を検出したことを示すクロックパルスを高周波数でブレーカーオン/オフ信号回路70に出力できる。
したがって、クロック発生回路60は、図5に示すように、過電流検出回路50によって過電流検出信号が検出された瞬間のみならず、過電流検出信号が検出されている間は、継続してクロックパルスを出力できる。
【0029】
図2に戻って、ブレーカーオン/オフ信号回路70は、Dフリップフロップ(以下、「D−FF」とする)71と、NOT回路72と、を備えている。
【0030】
D−FF71は、クロック発生回路60からのクロックパルスがCP(クロック)端子に入力されると、D端子への入力信号をQ端子に出力する。ここで、S(セット)端子及びR(リセット)端子は、図示しないコンピュータに接続されており、当該コンピュータの制御により、ハイ信号がS端子及びR端子の両方に入力されるようになっている。
【0031】
また、D端子へは、常にハイ信号が入力されるように設計されている。したがって、Q端子には、クロックパルスに応じてハイ信号が出力され、NOT回路72を介して、ロー信号が出力される。
【0032】
よって、ブレーカーオン/オフ信号回路70は、過電流検出信号に応じてクロックパルスが入力されると、ブレーカー20に対してブレーカーオフ信号を出力してラッチする。
【0033】
これにより、過電流遮断制御回路10は、過電流が検出されると、ブレーカー20をオフすることができ、オフ指示をラッチすることができる。
【0034】
ここで、本実施形態の過電流遮断システムは、例えば、電動車両等に搭載されているため、非常に大きな電流値を遮断することになる。よって、線路や負荷のインダクタンス、キャパシタンスの共振によりスイッチングノイズが発生し、高周波電流がグランドを介して各制御回路(上述した図示しない電源制御回路、負荷制御回路、及び過電流遮断制御回路10)に流れる。
【0035】
従来では、図6(a)に示すように、D−FFの構成を、D端子をグランドに接続してQ端子の出力をそのままブレーカーオン/オフ信号にする構成としていたので(S端子及びR端子にはハイ信号が入力されるようになっている)、過電流検出時にクロックパルスがCP(クロック)端子に入力されると、D端子に入力されるロー信号がそのままQ端子に出力され、さらにそのままブレーカーオフ信号となり、ブレーカーをオフすることができた(図6(b)参照)。
【0036】
しかし、スイッチングノイズの発生により、S端子及びR端子の信号に対し、回路のグランド電位が高電位になった場合には、S端子及びR端子にハイ信号が入力されている場合であっても、ロー信号が入力されているとD−FFが認識してしまい、Q端子にハイ信号が出力され、オフ状態が維持されるべきブレーカーがオンされるという誤作動が発生していた(図6(b)参照)。
【0037】
そこで、本実施形態では、ブレーカーオン/オフ信号回路70を、図2に示すように構成することによって、すなわち、D−FF71のS端子及びR端子の両方にロー信号が入力されている状態では、クロックパルスがクロック端子に入力されない場合であってもQ端子のハイ信号を反転させてブレーカーに出力するように構成することによって、上述の誤作動を回避できる。
【0038】
すなわち、スイッチングノイズの発生によりグランド電位が高電位になり、S端子及びR端子にロー信号が入力されているとD−FF71が認識してしまう場合であっても、Q端子の出力はハイ信号となるので、ブレーカーオン/オフ信号回路70は、NOT回路72を介して、ロー信号(ブレーカーオフ信号)を出力できる(D−FFは、S端子及びR端子にロー信号が入力される場合、D端子とCP(クロック)端子の状態に関わらずQ端子にハイ信号を出力する)。
【0039】
したがって、図7に示すように、ブレーカーオン/オフ信号回路70は、過電流検出時におけるクロックパルス立ち上がり時と、スイッチングノイズの発生によりグランド電位が高くなった時と、の両方において、ブレーカーオフ信号(ロー信号)を出力できる。
【0040】
図8は、本実施形態に係るD−FFの真理値表である。
【0041】
図8によれば、ブレーカーをオン状態にしたい場合には、S端子をハイ信号入力、R端子をロー信号入力とすることで、Q端子をロー出力にでき、ブレーカーにハイ信号を出力できるので、ブレーカーをオン状態にできることが示されている。
また、ブレーカーをオフ状態にしたい場合には、S端子をロー信号入力、R端子をハイ信号入力とすることで、Q端子をハイ出力にでき、ブレーカーにロー信号を出力できるので、ブレーカーをオフ状態にできることが示されている。
【0042】
さらに、過電流の検出時にブレーカーをオフしてラッチする過電流検出モードにしたい場合には、S端子及びR端子の両方をハイ信号入力とすることで、過電流検出時におけるクロックパルス立ち上がり時には、Q端子をハイ出力にでき、ブレーカーにロー信号を出力できるので、ブレーカーをオフ状態にできることが示されている。一方、クロックパルスの入力が無い場合には、Q端子の出力状態を維持することで、ブレーカーのオン/オフ状態を維持できることが示されている。
【0043】
さらにまた、スイッチングノイズの発生によりグランド電位が高電位になり、S端子及びR端子にロー信号が入力されているとD−FF71が認識してしまう場合であっても、Q端子はハイ出力になり(D−FFは、S端子及びR端子にロー信号が入力される場合、D端子とCP(クロック)端子の状態に関わらずQ端子にハイ信号を出力する)、ブレーカーにロー信号を出力できるので、ブレーカーを強制的にオフ状態にできることが示されている。
【0044】
図9は、本実施形態に係るブレーカーオン/オフ信号回路の動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、図示しないコンピュータからのブレーカー状態の指示が、オン、オフ、過電流検出モードのいずれであるかが判断される(ステップS1)。
【0046】
オンである場合には、当該コンピュータの制御により、S端子にハイ信号が、R端子にロー信号が入力され(ステップS2)ステップS1に移る。オフである場合には、当該コンピュータの制御により、S端子にロー信号が、R端子にハイ信号が入力され(ステップS3)ステップS1に移る。過電流検出モードの場合には、当該コンピュータの制御により、S端子及びR端子の両方にハイ信号が入力される(ステップS4)。
【0047】
過電流検出モードの場合には、過電流が検出されたか否かが判断され(ステップS5)、過電流が検出された場合には、S端子及びR端子の両方のハイ信号入力を保ったまま、クロックパルスがD−FF71のCP(クロック)端子に入力されることにより、ブレーカーがオフされる(ステップS6)。その後、当該コンピュータの制御により、S端子にロー信号が、R端子にハイ信号が入力されることによって、過電流検出モードからブレーカーオフ状態に切り替わる(ステップS7)。その後、ステップS1に移る。なお、ステップS5において、過電流が検出されない場合には、ステップS1に移る。
【0048】
図10は、本実施形態に係る過電流遮断システムの動作の時間変化を示す図である。
【0049】
時刻t0〜t1において、ブレーカー20はオフ状態となっており、D−FF71のS端子にはロー信号が入力され、R端子には、ハイ信号が入力されている。
【0050】
時刻t1でブレーカー20はオン状態となり、時刻t2までオン状態が維持される。このとき、D−FF71のS端子にはハイ信号が入力され、R端子には、ロー信号が入力されている。
【0051】
時刻t2で過電流検出モードになると、時刻t3まで電源30がオンとなり、電流値及び電圧値がともに上昇する。このとき、D−FF71のS端子及びR端子には、ともにハイ信号が入力されている。
【0052】
時刻t3〜t4まで負荷40の制御が行われ、時刻t4で電流値が過電流閾値に到達すると、クロックパルスが発生して、ブレーカー20がオフされる。その直後に、スイッチングノイズが発生し、過電流遮断制御回路10のグランド電位が高くなる。ここで、このグランド電位がデジタル回路のハイ・ロー閾値を超えた場合に、S端子及びR端子がともにロー信号入力と認識される(図示しないコンピュータの制御CPUからS端子及びR端子にハイ信号が入力されていた場合であっても)。
【0053】
従来は、S端子及びR端子がともにロー信号入力と認識されることで、ブレーカーがオンされるという誤作動が発生していたが、本実施形態によれば、ブレーカーのオフ状態を維持することができる。
【0054】
本実施形態によれば、ブレーカーオン/オフ信号回路70は、クロックパルスがD−FF71のCP(クロック)端子に入力された場合に、D端子への入力信号を反転させてブレーカー20に出力してラッチする。また、D端子には、常にハイ信号が入力される。
よって、過電流の検出時には、ブレーカーオン/オフ信号回路70は、ブレーカー20にロー信号(オフ信号)を出力してラッチできる。
また、本実施形態によれば、クロック発生回路60は、過電流の検出信号が入力された場合に、高周波数のクロックパルスを出力するので、過電流の検出中は継続して過電流検出信号の立ち上がりエッジを印加し続けられる。
また、本実施形態によれば、過電流検出回路50は、ヒステリシスコンパレータ回路51を含んで構成されているので、過電流検出時により高速で検出信号を出力できる。したがって、過電流を検出してから遮断するまでの時間が短くなるので、電流値が大きくなることによる装置の損傷を防止できる。
以上より、本実施形態によれば、過電流が流れた場合に高速かつ確実にブレーカー20をオフすることができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、ブレーカーオン/オフ信号回路70は、D−FF71のS端子及びR端子の両方にロー信号が入力されている状態では、クロックパルスがCP(クロック)端子に入力されない場合であってもQ端子のハイ信号を反転させてブレーカーに出力する。
よって、ブレーカー20をオフして大電流を遮断したことによるスイッチングノイズの発生により過電流遮断制御回路10のGND電位が上がり、S端子及びR端子の両方にロー信号が入力されたと認識された場合であっても、ブレーカー20にロー信号(オフ信号)を出力できる。したがって、過電流を検出した後にGND電位が上がった場合であってもブレーカー20をオフ状態に保つことができる。
したがって、スイッチングノイズの発生によりGND電位が上がっても誤作動しないようにすることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、例えば、コンピュータなどの制御装置によってS端子及びR端子の入力信号の組合せを制御することで、ブレーカー20をオン状態、オフ状態、過電流検出モードのいずれかに設定できる。よって、1つのICでブレーカーの状態を様々に変更できるので、過電流遮断制御回路10を安価で簡易な構造にできる。
【0057】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0058】
上記実施形態では、過電流遮断制御回路10はクロック発生回路60を含む構成としたが、これに限られず、クロック発生回路60を含まず、過電流検出回路50が出力した過電流の検出信号を直接ブレーカーオン/オフ信号回路70に入力してもよい。このようにしても、過電流検出信号の立ち上がりエッジを1回ブレーカーオン/オフ信号回路70に入力できるので、過電流遮断システムとして成立する。
一方、クロック発生回路60を含んだ場合には、過電流の検出中は継続して過電流検出信号の立ち上がりエッジを印加し続けられるので、ノイズ耐性、安全性、信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0059】
10…過電流遮断制御回路
20…ブレーカー
30…電源
40…負荷
50…過電流検出回路
51…ヒステリシスコンパレータ回路
52…閾値電圧
53…コンパレータ
60…クロック発生回路
61…クロックジェネレータ
62…AND回路
70…ブレーカーオン/オフ信号回路
71…D−FF
72…NOT回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーカーを用いて装置を過電流から高速で保護するために、過電流を検出したらブレーカーにオフ指示を出力してラッチする過電流遮断制御回路であって、
前記過電流の検出に応じて検出信号を出力する過電流検出回路と、
フリップフロップを有し、前記過電流検出回路が出力した前記検出信号の入力に応じて前記ブレーカーにオン/オフ指示を出力してラッチするブレーカーオン/オフ信号回路と、を備え、
前記過電流検出回路は、ヒステリシスコンパレータを含んで構成され、
前記ブレーカーオン/オフ信号回路は、前記検出信号が前記フリップフロップのクロック端子に入力された場合に、前記フリップフロップのD端子への入力信号を反転させてブレーカーに出力してラッチし、
前記D端子には、常にハイ信号が入力される、
ことを特徴とする過電流遮断制御回路。
【請求項2】
前記ブレーカーオン/オフ信号回路は、前記フリップフロップのセット端子及びリセット端子の両方にロー信号が入力されている状態では、前記検出信号が前記クロック端子に入力されない場合であってもQ端子のハイ信号を反転させてブレーカーに出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の過電流遮断制御回路。
【請求項3】
前記ブレーカーオン/オフ信号回路は、前記フリップフロップのセット端子及びリセット端子の入力信号の組合せに応じて、ブレーカーをオン状態、オフ状態、前記過電流を検出したらブレーカーにオフ指示を出力してラッチする過電流検出状態のいずれかに設定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の過電流遮断制御回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−99202(P2013−99202A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242379(P2011−242379)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】