説明

道路照明システム、道路照明方法及び道路照明装置

【課題】 道路照明において、十分な視認性を維持しつつ灯数を減らすことを可能とする。
【解決手段】 灯具3を約70°〜75°の最大光度角鉛直角を有するように構成し、また、隣り合う道路照明装置同士1の略中間点を前記道路の幅員方向に横断する横断線C上での平均輝度及び総合均斉度を、達成すべき平均輝度Lave、及び、総合均斉度U0と同程度の値すると共に、横断線Cを基準にして自動車の走行方向と対向する方向に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、走行方向に沿って路面輝度をなだらかに増加させるように灯具3を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路照明における道路照明システム、道路照明方法及び道路照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、道路照明においては、道路照明装置として、灯具をポールの頂部に支持してなる道路照明装置が用いられており(例えば、特許文献1参照)、このような道路照明装置が道路に沿って所定間隔で配置されている。
【0003】
ところで、道路照明においては、一般に、自動車運転者に対して十分な視認環境を実現するために、達成すべき指標値として、平均輝度LAVE≧1cd/m2、総合均斉度UO≧0.4、車軸線均斉度Ul≧0.7といった指標値が設定されている。
【特許文献1】特開2000−222911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の道路照明装置においては、運転者に対する十分な視認性を維持しつつ、道路に設置する道路照明装置の灯数を減らすことはできなかった。詳述すると、例えば、従来の構成の道路照明装置を用いた場合に、灯数を減らしてしまうと、道路照明装置間の略中央付近が暗くなってしまい、道路における平均輝度や総合均斉度、車線軸均斉度といった値が低下し、十分な視認性を維持できなくなってしまう。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、十分な視認性を維持しつつ灯数を減らすことのできる道路照明システム、道路照明方法方法及び道路照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ポールの頂部に灯具を取り付けられた道路照明装置が道路の路肩に、当該道路に沿って所定の間隔で配置され、当該道路を連続照明する道路照明システムにおいて、前記灯具を約70°〜75°の最大光度角鉛直角を有するように構成すると共に、隣り合う道路照明装置同士の略中間点を前記道路の幅員方向に横断する横断線上での平均輝度及び総合均斉度を所定の指標値と同程度の値とすると共に、前記横断線を基準にして自動車の走行方向と対向する方向に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、前記走行方向に沿って路面輝度をなだらかに増加させるように前記灯具を構成したことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記発明において、前記ポールの高さHと、前記道路照明装置の配置間隔Sとの比がS/H=4.5〜5になるように前記道路照明装置の各々を前記道路に沿って配置したことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記発明において、前記総合均斉度の所定の指標値は0.4以上であると共に、前記道路の車線軸均斉度を0.7以上としたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記発明において、前記灯具は、光源と、前記光源が内部に配置されるカップ形状の反射板とを備え、前記光源を、光中心が深くなるように前記反射板の内部に配置したことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記発明において、前記反射板の開口端に内側に向かって縮径するアンダーカット形状を設けたことを特徴とする。
【0011】
また上記目的を達成するために、本発明は、光源と反射板とを有する灯具がポールの頂部に取り付けられて構成され、道路の路肩に当該道路に沿って所定の間隔で配置されて当該道路を照明する道路照明装置において、平板に対して深絞り加工にカップ形状を形成した後に、開口端を内側に向けて縮径して当該開口端にアンダーカット形状を一体成形して前記反射板を成形し、前記開口端における最大光度角鉛直角を約70°〜75°とすると共に、前記反射板は、隣り合う道路照明装置同士の略中間点を前記道路の幅員方向に横断する横断線上での平均輝度及び総合均斉度を所定の指標値と同程度の値とすると共に、前記横断線を基準にして自動車の走行方向と対向する方向に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、前記走行方向に沿って路面輝度をなだらかに増加させる配光特性を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、十分な視認性を維持しつつ灯数を減らすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係る道路照明装置1と、当該道路照明装置1が設置される道路2とを模式的に示す図である。図1に示すように、道路照明システム100は、道路幅Bが例えば7メートルの道路2の片側の路肩に、当該道路2に沿って所定の間隔(スパン)Sで配置される複数の道路照明装置1を備え、これらの道路照明装置1により、道路2の連続照明を行っている。道路照明装置1は、灯具3がポール(支柱)4の頂部に固定されて構成され、灯具3が備える光源としてのランプには、従来と同等ものが用いられている。また、灯具3の反射板には、道路2の走行方向において灯具3を中心に対称な配光特性を有するものが用いられている。これらランプや反射板等の具体的な構成については後に詳述することにする。
【0014】
本実施の形態では、道路照明装置1のポール4の高さ(灯具3の配置高さ)Hを例えば10メートルとしつつ、S/H比が約5となるように、道路照明装置1の各々を約50メートルのスパンSで配置している。すなわち、本実施の形態では、S/H比が約3.5程度である従来の一般的な道路照明よりも広スパンで道路照明装置1を配置している。このように、道路照明装置1を広スパンで配置した場合、平均輝度LAVE≧1cd/m2、総合均斉度U0≧0.4、車軸線均斉度Ul≧0.7といった、自動車等の運転者にとって十分な視認性を確保するための指標値の維持が懸念されるところではあるが、本実施の形態では、道路照明装置1の配光を次のようにすることで、これらの指標値を維持することを可能としている。
【0015】
すなわち、第1点目として、灯具3の最大光度角鉛直角θを従来のものよりも大きくすると共に、第2点目として、隣り合う2つの道路照明装置1の中間を道路2の幅員方向に横断する横断線C(図2参照)上において、上記の平均輝度LAVE、総合均斉度U0を達成するように配光を決定すると共に、当該横断線Cを基準にして自動車の走行方向と対向する方向(図中矢印Xで示す)に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、自動車の走行方向に沿った方向(図中矢印Yで示す)では路面輝度をなだらかに増加させるようにしている(図4参照)。
【0016】
上記第1点目について詳述すると、一般に、道路照明装置1のスパンSを広げると、上記横断線C付近での路面輝度が低下して、総合均斉度や車線軸均斉度が低下することになる。そこで、灯具3の最大光度角鉛直角θを、約70°〜75°程度にし、従来のものよりも最大光度角鉛直角を大きくすることで、道路2の走向方向に沿って照射光をより遠方まで到達させるようにすることで、照射光を横断線Cまで到達可能にし、当該横断線C付近での路面輝度を向上させることが可能となる。このとき、最大光度角鉛直角θに割り当てられる光度は、実現すべき横断線Cでの路面輝度等により規定される。
【0017】
ところで、上記のように灯具3の最大光度角鉛直角θを大とすることで、横断線C付近での照度を高めることができるものの、最大光度角鉛直角θを大とした場合、特に、当該最大光度角鉛直角θでの光度を上げた場合には、これに伴って道路2の輝度分布等が不適切になるなどして、グレア(TI値)が増大することになる。また、上記第1点目で述べた構成にしただけでは、上記の平均輝度LAVE、総合均斉度U0、車軸線均斉度Ulといった指標値を達成できるとは限らない。
【0018】
そこで、グレアを抑制しつつ、上記の平均輝度LAVE、総合均斉度U0、車軸線均斉度Ulといった指標値を達成すべく、隣り合う道路照明装置1間の道路区間における輝度分布を上記第2点目で述べた輝度分布となるように、道路照明装置1の灯具3の各々の配光を制御している。
【0019】
この第2点目の構成についてより詳細に説明する。図2に示すように、2つの隣り合う道路照明装置1の間の道路区間を、走行方向に沿って幅hで等間隔に10個に分割すると共に、幅員方向に沿って幅iで等間隔に10個に分割した場合の各分割点での輝度を考える。このとき、2つの道路照明装置1の中間を、道路2の幅員方向に横断する個所を上記の横断線Cと定義する。また、横断線Cから見て走行方向と反対方向(矢印X)に位置する各横断線に対して、横断線Cを基準にして順にm=−1、m=−2、・・・、m=−5と番号を付すと共に、横断線Cから見て走行方向(矢印Y)に位置する各横断線には、順に、m=1、m=2、・・・、m=5と番号を付すことにする。また、道路2の幅員方向を分割する分割線に対しては、道路照明装置1が配置されている側から順に、n=1、n=2、・・・、n=10の番号を付すことにする。各分割点の座標を(m、n)と表記し、また、分割点(m、n)での輝度をLm、nと表記することにする。
【0020】
先ず、2つの隣り合う道路照明装置1の間の道路区間の中点である横断線C上において、上記の平均輝度LAVE、総合均斉度U0を達成するように輝度を決定することとしている。すなわち、横断線C上における各分割点(0、n)での輝度L0、nを、次式(1)、式(2)に従った輝度分布となるように、道路照明装置1の配光を制御する。
【0021】
0、n=a(n×i−0.5B)+Lave (1)
a=(U0−1)Lave/0.45B (2)
【0022】
式(1)について説明すると、一般に、横断線C上においては、道路照明装置1が配置された側である起点C0(n=0)から終点Ce(n=10)に向かうにつれて減少する。そこで、本実施の形態では、図3に示すように、横断線Cにおいて、幅員方向の中点Cc(n=5)の点での輝度L0、5を、上記達成すべき平均輝度Laveと同じ値とするように式(1)の一次式を決定し、これにより、当該横断線Cにおける全体の平均輝度が上記平均輝度Laveとなるようにする。
【0023】
また、式(2)について説明すると、一般に、総合均斉度は、(そのエリアにおける平均輝度)/(そのエリアにおける最小輝度)にて求められる。すなわち、横断線C上の総合均斉度を上記総合均斉度U0とするには、横断線C上における最小輝度を総合均斉度U0×平均輝度Laveとすればよい。上記のように、横断線C上において輝度が最小となるのは、横断線Cの終点Ce(n=10)であるが、あるエリアの総合均斉度を算出する際には、そのエリアの縁部を含めずに算出するのが一般的である。そこで、本実施の形態では、横断線C上において、n=1〜9の範囲で総合均斉度U0を達成することとし、当該n=1〜9において輝度が最小となるn=9.5の点で、その輝度L0、9.5をU0×平均輝度Laveとする。以上のことから、横断線C上において、n=5(0.5B)の点での輝度L0、5が平均輝度Lave、n=9.5(0.95B)の点での輝度L0、9.5がU0×平均輝度Laveとなるように、当該横断線C上における輝度分布を一次式で示すと、その傾きaは(U0−1)Lave/0.45Bとなる。
【0024】
このように、横断線C上の輝度分布L0nが式(1)、式(2)に従うように配光を制御すれば、当該横断C上における平均輝度及び総合均斉度を上記の平均輝度Lave、及び、総合均斉度U0とすることが可能となる。
【0025】
また、上記のように横断線C上の輝度分布を決定した後、当該横断線Cを基準にして自動車の走行方向と対向する方向(図中矢印Xで示す)に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、自動車の走行方向に沿った方向(図中矢印Yで示す)では輝度をなだらかに増加させるようにすることで、上記車線軸均斉度Ulを達成することができる。
【0026】
より詳細には、横断線C上における点nの輝度L0、nに対して、自動車の走行方向と対向する方向(図中矢印Xで示す)に沿った各分割点(m、n)の輝度Lm、nを、
m-1、n=KL×Lm、n(m=0、−1、・・・、−5)
Lは0<KL<1を満たす定数(例えば、KL=0.8〜0.9)
とすると共に、横断線C上における点nの輝度L0、nに対して、自動車の走行方向(図中矢印Yで示す)に沿った各分割点(m、n)の輝度Lmnを、
m+1、n=KR×Lm、n(但し、m=0、1、・・・、5)
Rは1<KRを満たす定数(例えば、KR=1.2〜1.3)
としている。これにより、道路2の車線軸に沿った輝度は、横断線Cを中心として道路2の左側から右側にかけてなだらかに増加するようになり、上記の総合均斉度Ulが達成される。
【0027】
以上のようにして、隣り合う2つの道路照明装置1の間の道路区間における輝度分布を決定し、例えば図4に示すような輝度分布を道路2に形成するように道路照明装置1の配光を制御することで、当該道路照明装置1を広スパンSで配置しつつ、上記の平均輝度LAVE、総合均斉度U0、車軸線均斉度Ulといった指標値を達成し、さらに、グレアの抑制を図ることが可能となる。
【0028】
次いで、道路照明装置1の灯具3の構成について図5乃至図9を参照して説明する。これらの図に示すように、灯具3は、図示しない灯具本体内部に配置される反射鏡30と、この反射鏡30内部に配置される光源としてのランプ40とを備えている。反射板30は、下面(灯具設置時に地面と対向する面)が開口し、全体として走行方向おいて左右対称形状に構成されている。
【0029】
反射板30についてより詳細に説明すると、反射板30は、ランプ40の光に対して所定の反射率を有する金属板(例えばアルミニウム板)から形成され、ランプ40を覆うカップ形状に形成され、内部に配置されたランプ40の光を道路2に向けて反射する。詳細には、反射板30は、ランプ40の後方、つまり、ランプ40が接続されるソケット側に形成された反射面31Aと、ランプ40の周方向に沿って形成された反射面31Bと、ランプ40の縦軸先端方向、すなわち、反射面31Aとの対向面に形成された反射面31Cとが一体的に連接して形成され、上記反射面31A及び31Cによって道路2の幅員方向に向けて反射光が照射され、反射面31Bによって道路2の走向方向に向けて照射光が照射される。
【0030】
ランプ40は略円筒状の発光管41を有し、ランプ40の縦軸42が反射板30の左右対称軸と重なるように配置される。これにより、灯具3の照明光は、道路2の走行方向に灯具3を中心に左右対称に照射される。本実施の形態では、ランプ40に従来と略同程度のワット数のランプである例えば180ワット(1900ルーメン)のナトリウムランプが用いることとしている。このように、灯具3のランプのワット数を従来のものから変更しない場合には、道路照明装置1のスパンSを広くするに際して、上記の平均輝度Laveを達成するための十分な輝度が得られないという懸念があるが、本実施の形態においては、次のようにして、十分な輝度が得られるようにしている。すなわち、本実施の形態では、図9に示すように、反射板30内部におけるランプ40の配置位置を、従来の配置位置32Aから光中心が深くなるようにランプ40を反射板30の底部に向けて所定距離dだけ移動させた配置位置32Bに変更している。これにより、より多くの光束が反射板30にて反射され、照明効率が高められるため、道路照明装置1を広スパンで配置する場合であっても、ランプ40のワット数を上げることなく、十分な輝度を確保することができる。
【0031】
さて、道路2の走向方向には反射面31Bで反射された反射光が照射されるのは上述した通りである。具体的には、図6乃至図8に示すように、反射面31Bの内面は、階段状に複数の反射部31B1・・・31Bnを連接した形状に形成され、それぞれの反射部31B1・・・31Bnにてランプ40からの光が反射されて道路2の走向方向に向けて照射される。このとき、底部33B側に位置する反射部31B1よりも開口端33A側に位置する反射部31Bnの方が走向方向遠方にまで光を反射する。すなわち、開口端33Aに位置する反射部31Bnによって最大光度角鉛直角θが規定されることになる。
【0032】
一般には、図10に示すように、反射面31Bは、底部33Bから開口端33Aにかけて次第に広げる形状に形成されるものの、この形状にあっては、最大光度角鉛直角θがおおよそ60°程度となり、本実施の形態における70°〜75°の最大光度角鉛直角θを達成することができない。
【0033】
そこで、本実施の形態においては、例えば図8に示すように、反射面31Bの開口端33Aに位置する反射部31Bnを内側に向けて屈曲させ反射板30の開口端33Aを縮径させた形状、いわゆる、アンダーカット形状として、ランプ40から開口端33Aへの光の入り角を広げることで、最大光度角鉛直角θをおおよそ70°〜75°にまで拡大している。これにより、反射光を道路2の走向方向に向かって遠方まで到達させることができ、道路照明装置1を従来よりも広スパンSで配置することが可能となる。
【0034】
また本実施の形態では、反射板30の反射面31Bの各反射部31B、・・・、31Bnの反射面積を調整して、道路2の各分割点(m、n)(図2参照)へ照射する光量を調整することで、上記横断線C上での平均輝度及び総合均斉度を、上述した平均輝度Lave、及び、総合均斉度U0とすると共に、横断線Cを基準にして自動車の走行方向と対向する方向に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、走行方向に沿って路面輝度をなだらかに増加させるような配光特性を形成している。
【0035】
このような反射板30の製造工程について説明すると、先ず、反射板30の基材となる平板に対して深絞り加工を施すことによりカップ形状を形成し、反射面31A〜31Cを成形する。このとき、各反射部31B1・・・31Bnの繋ぎ目部分で破断等が発生するのを防止すべく、最初に比較的浅いカップ形状から次第に深いカップ形状を形成するように、複数の型を順次用いて段階的に成形する。この深絞り加工においては、型がカップ部分から抜けるように、カップ部分の形状を例えば図9に示す如く開口端33Aを縮径させずに、底部33Bから開口端33Aに向かい順次径が広がる形状に成形する。
【0036】
次いで、反射面31Bの開口端33Aをアンダーカット形状とすべく、カップ部分の内側に分解可能に構成された縮径用中枠を配置すると共に、カップ部分の外側から開口端33Aを押圧して、当該開口端33Aを縮径する。当該開口端33Aを縮径した後は、縮径用中枠を分解してカップ部分から取り出す。以上の工程により反射面Bの開口端33Aがアンダーカット形状に成形された反射板30が一体成形される。
【0037】
このように、反射板30のアンダーカット部分を一体成形することで、例えばアンダーカット用の反射部材を別途反射板30に取り付けた場合に比べ、精度良く反射光の反射角などを制御することが可能となる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、灯具3を約70°〜75°の最大光度角鉛直角を有するように構成し、また、隣り合う道路照明装置同士1の略中間点を前記道路の幅員方向に横断する横断線C上での平均輝度及び総合均斉度を、達成すべき平均輝度Lave、及び、総合均斉度U0と同程度の値すると共に、横断線Cを基準にして自動車の走行方向と対向する方向に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、走行方向に沿って路面輝度をなだらかに増加させるように灯具3を構成したため、道路照明装置1を広スパンSで配置しつつ、上記の平均輝度LAVE、総合均斉度U0、車軸線均斉度Ulといった指標値を達成し、さらに、グレアの抑制を図ることが可能となる。これにより、十分な視認性を維持しつつ、道路2に配置すべき灯数を減らすことが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、ポール4の高さHと、道路照明装置1の配置間隔Sとの比がS/H=4.5〜5になるように道路照明装置1の各々を道路2に沿って配置したため、例えば、ポール4の高さHを従来のものと同程度の高さとすれば、従来よりも広いスパンSで道路照明装置1を配置することができる。
【0040】
ここで、従来の灯具を用いた場合であっても、ポールの高さHを高くして照射範囲を広げれば、路全体を照射しつつ灯具の数を減らすことができるものの、このような構成とすると、ポールが高くなる分、当該ポールのコストが増大すると共に、道路照明装置の設置に要する施工コストやメンテナンス費用も高くなってしまう。これに対して、本実施の形態によれば、ポール4の高さHを高くせずとも、道路2の走向方向に照射可能範囲を広げ、灯数を削減することができる。また、単純にポールの高さHを高くする構成であると、道路2の幅員方向にも照射範囲が広がってしまい、道路周辺の環境に悪影響を及ぼす恐れがある(いわゆる光害)。これに対して、本実施の形態によれば、主として、道路2の走向方向に向かって照射可能範囲を広げる構成としているため、道路周辺の環境に悪影響を及ぼすことがない。
【0041】
また本実施の形態によれば、ランプ40を、光中心が深くなるように反射板30の内部に配置したため、より多くの光束が反射板30にて反射されることで照明効率が高められるため、道路照明装置1を広スパンで配置する場合であっても、ランプ40のワット数を上げることなく、十分な輝度を確保することができる。これにより、ランプ40のコストを抑えることができる。
【0042】
特に、ランプ40を、光中心が深くなるように反射板30の内部に配置すると共に、灯具3を約70°〜75°の最大光度角鉛直角を有するように構成することで、照明効率の向上によって得られた分の光束を、道路2の走向方向遠方に振り分けて、道路2の遠方を効果的に照射することができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、平板に対して深絞り加工にカップ形状を形成した後に、開口端33Aを内側に向けて縮径して当該開口端33Aにアンダーカット形状を一体成形して反射板30を成形したため、例えばアンダーカット用の反射部材を別途反射板30に取り付けた場合に比べ、精度良く反射光の反射角などを制御することが可能となる。
【0044】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る道路照明システムの構成を示す図である。
【図2】道路上の輝度分布を説明するための図である。
【図3】隣り合う道路照明装置同士の中点における輝度分布を説明するための図である。
【図4】道路上の輝度分布の一態様を示す図である。
【図5】灯具の構成を示す平面図である。
【図6】灯具の構成を示す側面図である。
【図7】灯具の構成を示す斜視図である。
【図8】灯具の構成を示す断面図である。
【図9】ランプの配置を説明するための図である。
【図10】従来の反射板の形状を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 道路照明装置
2 道路
3 灯具
30 反射板
31A〜31C 反射面
33A 開口端
40 ランプ
B 道路幅
C 横断線
θ 最大光度角鉛直角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポールの頂部に灯具を取り付けられた道路照明装置が道路の路肩に、当該道路に沿って所定の間隔で配置され、当該道路を連続照明する道路照明システムにおいて、
前記灯具を約70°〜75°の最大光度角鉛直角を有するように構成すると共に、
隣り合う道路照明装置同士の略中間点を前記道路の幅員方向に横断する横断線上での平均輝度及び総合均斉度を所定の指標値と同程度の値とすると共に、前記横断線を基準にして自動車の走行方向と対向する方向に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、前記走行方向に沿って路面輝度をなだらかに増加させるように前記灯具を構成した
ことを特徴とする道路照明システム。
【請求項2】
前記ポールの高さHと、前記道路照明装置の配置間隔Sとの比がS/H=4.5〜5になるように前記道路照明装置の各々を前記道路に沿って配置したことを特徴とする請求項1に記載の道路照明システム。
【請求項3】
前記総合均斉度の所定の指標値は0.4以上であると共に、前記道路の車線軸均斉度を0.7以上としたことを特徴とする請求項1または2に記載の道路照明システム。
【請求項4】
前記灯具は、光源と、前記光源が内部に配置されるカップ形状の反射板とを備え、前記光源を、光中心が深くなるように前記反射板の内部に配置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の道路照明システム。
【請求項5】
前記反射板の開口端に内側に向かって縮径するアンダーカット形状を設けたことを特徴とする請求項4に記載の道路照明システム。
【請求項6】
ポールの頂部に灯具を取り付けられた道路照明装置を、道路の路肩に当該道路に沿って所定の間隔で配置して、当該道路を連続照明する道路照明方法において、
前記灯具の最大光度角鉛直角を約70°〜75°とすると共に、
前記灯具の配光を、隣り合う道路照明装置同士の略中間点を前記道路の幅員方向に横断する横断線上での平均輝度及び総合均斉度を所定の指標値と同程度の値とすると共に、前記横断線を基準にして自動車の走行方向と対向する方向に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、前記走行方向に沿って路面輝度をなだらかに増加させるようにした
ことを特徴とする道路照明方法。
【請求項7】
光源と反射板とを有する灯具がポールの頂部に取り付けられて構成され、道路の路肩に当該道路に沿って所定の間隔で配置されて当該道路を照明する道路照明装置において、
平板に対して深絞り加工にカップ形状を形成した後に、開口端を内側に向けて縮径して当該開口端にアンダーカット形状を一体成形して前記反射板を成形し、前記開口端における最大光度角鉛直角を約70°〜75°とすると共に、
前記反射板は、隣り合う道路照明装置同士の略中間点を前記道路の幅員方向に横断する横断線上での平均輝度及び総合均斉度を所定の指標値と同程度の値とすると共に、前記横断線を基準にして自動車の走行方向と対向する方向に沿って路面輝度をなだらかに減少させ、前記走行方向に沿って路面輝度をなだらかに増加させる配光特性を有する
ことを特徴とする道路照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−40834(P2006−40834A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223050(P2004−223050)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】