説明

道路照明灯故障検知装置

【課題】道路照明灯の故障が確認されてから復旧するまでの時間とコストとを削減することができる道路照明灯故障検知装置を提供すること。
【解決手段】MCCB2と、自動点滅器3と、安定器4と、ランプ5とを備えた道路照明灯6の故障を検知する道路照明灯故障検知装置において、MCCB2の出力電圧を検知する第1の電圧検知部8と、自動点滅器3の出力電圧を検知する第2の電圧検知部9と、安定器4の出力電圧を検知する第3の電圧検知部10と、安定器4とランプ5との間に流れる電流を検知する電流検知部11と、第1乃至第3の電圧検知部8乃至10および電流検知部11の各検知結果を出力する検知結果出力部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車道を照らすために設けられた道路照明灯の故障を検知する道路照明灯故障検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路照明灯の故障を検知するものとして、安定器から電源側の電流検出に基づき、ランプが不点灯状態であるか否かを検出する第1の異常検出手段と、安定器からランプ側の電流検出に基づき、ランプが不点灯状態であるか否かを検出する第2の異常検出手段と、ランプが異常状態であることが表示される表示手段と、第1の異常検出手段と第2の異常検出手段との検出結果に基づいて、表示手段の表示を制御する表示制御手段とを備えることにより、ランプが不点灯であるか否かを監視させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−111950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の技術においては、ランプが不点灯であることが確認されたときに、専門の修理業者が現場に出動して障害部位を特定し、特定した障害部位の交換部品を手配し、修理業者が現場に再度出動して部品の交換を行う必要があるため、道路照明灯の故障が確認されてから復旧するまでの時間とコストとがかかるといった課題があった。
【0004】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、道路照明灯の故障が確認されてから復旧するまでの時間とコストとを削減することができる道路照明灯故障検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の道路照明灯故障検知装置は、配電用遮断器(2)と、自動点滅器(3)と、安定器(4)と、ランプ(5)とを備えた道路照明灯(6)の故障を検知する道路照明灯故障検知装置において、前記配電用遮断器の出力電圧を検知する第1の電圧検知部(8)と、前記自動点滅器の出力電圧を検知する第2の電圧検知部(9)と、前記安定器の出力電圧を検知する第3の電圧検知部(10)と、前記安定器と前記ランプとの間に流れる電流を検知する電流検知部(11)と、前記第1乃至第3の電圧検知部および前記電流検知部の各検知結果を出力する検知結果出力部(12)とを備えた構成を有している。
【0006】
この構成により、本発明の道路照明灯故障検知装置は、ランプが不点灯であることが確認されたときに障害部位も特定させることができるため、道路照明灯の故障が確認されてから復旧するまでの時間とコストとを削減することができる。
【0007】
なお、前記検知結果出力部は、前記検知結果をそれぞれ表示する表示器により構成されていてもよい。特に、前記表示器は、前記道路照明灯の付近に位置する車両の車室から表示面が視認できるように設けられていてもよい。
【0008】
この構成により、本発明の道路照明灯故障検知装置は、道路パトロールを行っている車両から乗員を降車させることなく、乗員に道路照明灯の障害部位を特定させることができる。
【0009】
また、前記検知結果出力部は、前記検知結果を外部の受信装置に送信する送信器により構成されていてもよい。
【0010】
この構成により、本発明の道路照明灯故障検知装置は、道路パトロールを行っている車両に搭載された車載器や道路を管理するためのセンタ装置に道路照明灯の障害部位を表す情報を送信することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、道路照明灯の故障が確認されてから復旧するまでの時間とコストとを削減することができる道路照明灯故障検知装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明の一実施の形態の道路照明灯故障検知装置1は、配電用遮断器(Molded-case circuit breaker、以下、単に「MCCB」という。)2と、自動点滅器3と、安定器4と、ランプ5とを備えた道路照明灯6に設けられている。
【0014】
MCCB2は、自動点滅器3側が過負荷状態または短絡したときに、電源7と自動点滅器3との間の電路を遮断するヒューズ等によって構成されている。自動点滅器3は、CdS素子やフォトトランジスタ等の光電素子によって構成されている。
【0015】
自動点滅器3は、一定の強度以上の外光を検知したときにオン状態となり、MCCB2と安定器4との間の電路を接続し、当該強度以上の外光が検知されなかったときにオフ状態となり、MCCB2と安定器4との間の電路を遮断するようになっている。
【0016】
ランプ5は、ナトリウムランプ、水銀灯およびメタルハライドランプ等のHID(High Intensity Discharge)ランプ、LEDまたは蛍光灯によって構成されている。安定器4は、ランプ5に流れる電流をランプ5の種別に応じて制限するようになっている。
【0017】
道路照明灯故障検知装置1は、MCCB2の出力電圧を検知する第1の電圧検知部8と、自動点滅器3の出力電圧を検知する第2の電圧検知部9と、安定器4の出力電圧を検知する第3の電圧検知部10と、安定器4とランプ5との間に流れる電流を検知する電流検知部11と、第1乃至第3の電圧検知部8乃至10および電流検知部11の各検知結果を出力する検知結果出力部12とを備えている。
【0018】
本実施の形態において、検知結果出力部12は、第1乃至第3の電圧検知部8乃至10および電流検知部11の各検知結果をそれぞれ出力する4つの発光ダイオード20を有する表示器により構成されている。
【0019】
第1乃至第3の各電圧検知部8乃至10は、発光ダイオード20を過電流から保護するためのヒューズ21と、抵抗22と、ダイオード23とを有している。また、電流検知部11は、クランプセンサ24と、発光ダイオード20を過電流から保護するためのヒューズ21とを有している。
【0020】
図2は、道路照明灯故障検知装置1の実装例を示している。図2において、道路照明灯6の上部には、車道を照らすようランプ5が設けられ、ランプ5に背向して自動点滅器3が設けられている。道路照明灯6の下部には、点検ボックス31が設けられ、点検ボックス31内には、MCCB2および安定器4に加えて、道路照明灯故障検知装置1が収容されている。
【0021】
検知結果出力部12、すなわち、各発光ダイオード20は、点検ボックス31の蓋の一部に設けられた透光性が高い樹脂等の透光性部材32を介して、道路照明灯6の付近に位置する車両33の車室から視認できる位置に設けられている。
【0022】
このため、道路照明灯故障検知装置1は、道路パトロールを行っている車両33から乗員を降車させることなく、車両33の乗員に道路照明灯6の障害部位を特定させることができる。
【0023】
図3は、自動点滅器3がオン状態にあるときにおける検知結果出力部12の各発光ダイオード20の点灯状態と、道路照明灯6の障害部位との対応関係を示している。図3において、検知結果出力部12は、モニタLED(Light Emitting Diode)と記され、第1乃至第3の電圧検知部8乃至10および電流検知部11の各検知結果をそれぞれ出力するための4つの発光ダイオード20は、「MCCB」、「点滅器」、「安定器」および「ランプ」とそれぞれ記されている。
【0024】
図3において、黒丸は、発光ダイオード20が点灯していることを示し、白丸は、発光ダイオード20が点灯していないことを示している。例えば、図3における1行目のように、全ての発光ダイオード20が点灯している場合には、障害部位がないことが分かる。
【0025】
また、図3における2行目のように、「ランプ」の発光ダイオード20だけが点灯していない場合には、障害部位がランプ5であることが分かる。なお、この場合には、安定器4とランプ5との間で断線が生じている可能性もあるが、復旧作業として、まずは、ランプ5の確認を行うことが効率的である。
【0026】
また、図3における3行目のように、「ランプ」および「安定器」の発光ダイオード20だけが点灯していない場合には、障害部位が安定器4であることが分かる。なお、この場合には、自動点滅器3と安定器4との間で断線が生じている可能性もあるが、復旧作業として、まずは、安定器4の確認を行うことが効率的である。
【0027】
また、図3における4行目のように、「MCCB」の発光ダイオード20だけが点灯している場合には、障害部位が自動点滅器3であることが分かる。なお、この場合には、MCCB2と自動点滅器3との間で断線が生じている可能性もあるが、復旧作業として、まずは、自動点滅器3の確認を行うことが効率的である。
【0028】
また、図3における5行目のように、いずれの発光ダイオード20も点灯していない場合には、障害部位がMCCB2であること、または、停電していることが分かる。なお、この場合には、電源7とMCCB2との間で断線が生じている可能性もあるが、復旧作業として、まずは、停電していなければ、MCCB2の確認を行うことが効率的である。
【0029】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態の道路照明灯故障検知装置1は、ランプ5が不点灯であることが確認されたときに障害部位も特定させることができるため、道路照明灯6の故障が確認されてから復旧するまでの時間とコストとを削減することができる。
【0030】
また、道路照明灯故障検知装置1は、自動点滅器3やランプ5の点検や交換を行うために高所作業車を要する道路照明灯に実装された場合には、道路照明灯が故障したときに、自動点滅器3やランプ5が障害部位であるか否かを確認するための高所作業車の出動を省くことができる。
【0031】
特に、道路照明灯故障検知装置1は、障害部位がMCCB2または安定器4であることが確認された場合には、高所作業車を要することなく道路照明灯6を復旧することができる。
【0032】
また、高所作業車を用いた作業は、道路の渋滞を招くことになる。道路照明灯故障検知装置1は、道路照明灯の故障が確認されたときに、高所作業車の出動回数を削減することができるため、道路を渋滞させる回数を削減することができる。
【0033】
また、高所作業車を用いた作業は、道路占有許可を警察から得る必要がある。道路照明灯故障検知装置1は、道路照明灯の故障が確認されたときに、高所作業車の出動回数を削減することができるため、道路照明灯の故障が確認されてから復旧するまでの時間を大幅に削減することができる。
【0034】
なお、本実施の形態において、検知結果出力部12は、第1乃至第3の電圧検知部8乃至10および電流検知部11の各検知結果をそれぞれ出力する4つの発光ダイオード20を有する表示器により構成されているものとして説明したが、本発明において、検知結果出力部12は、各検知結果を表示するディスプレイ装置によって構成してもよい。
【0035】
また、本発明において、検知結果出力部12は、道路パトロールを行っている車両33に搭載された車載器や道路を管理するためのセンタ装置等の外部の受信装置に各検知結果を表す情報を送信する送信器によって構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態としての道路照明灯故障検知装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態としての道路照明灯故障検知装置の実装図である。
【図3】本発明の一実施の形態としての道路照明灯故障検知装置を構成する検知結果出力部の各発光ダイオードの点灯状態と、障害部位との対応関係を示す概念図である。
【符号の説明】
【0037】
1 道路照明灯故障検知装置
2 MCCB
3 自動点滅器
4 安定器
5 ランプ
6 道路照明灯
7 電源
8 第1の電圧検知部
9 第2の電圧検知部
10 第3の電圧検知部
11 電流検知部
12 検知結果出力部
20 発光ダイオード
21 ヒューズ
22 抵抗
23 ダイオード
24 クランプセンサ
31 点検ボックス
32 透光性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電用遮断器(2)と、自動点滅器(3)と、安定器(4)と、ランプ(5)とを備えた道路照明灯(6)の故障を検知する道路照明灯故障検知装置において、
前記配電用遮断器の出力電圧を検知する第1の電圧検知部(8)と、
前記自動点滅器の出力電圧を検知する第2の電圧検知部(9)と、
前記安定器の出力電圧を検知する第3の電圧検知部(10)と、
前記安定器と前記ランプとの間に流れる電流を検知する電流検知部(11)と、
前記第1乃至第3の電圧検知部および前記電流検知部の各検知結果を出力する検知結果出力部(12)とを備えたことを特徴とする道路照明灯故障検知装置。
【請求項2】
前記検知結果出力部は、前記検知結果をそれぞれ表示する表示器により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の道路照明灯故障検知装置。
【請求項3】
前記表示器は、前記道路照明灯の付近に位置する車両の車室から表示面が視認できるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の道路照明灯故障検知装置。
【請求項4】
前記検知結果出力部は、前記検知結果を外部の受信装置に送信する送信器により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の道路照明灯故障検知装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の道路照明灯故障検知装置を備えた道路照明灯。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−135257(P2010−135257A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312191(P2008−312191)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】