説明

道路用標示体

【課題】車両が接触しても容易に破壊や離脱をせずに、表示機能を継続して保つことができる道路用標示体を提供する。
【解決手段】表示部を側面に設けた可撓性を有するポール部を備えた道路用標示柱を用い、互いに異なる表示部を設けた複数の道路用標示柱を並設させて、各々の表示部が組み合わせて一つの表示を表わすようにする。
可撓性を有するポール部に表示部を設けるので、ポール部に車両が接触しても折れ曲がった後に復元するので、表示機能を継続して保つことができる。また、これらの表示部の組み合わせで一つの表示を表すので、車両の進むべき進行方向を示す矢印などを前記の表示部の組み合わせで表示させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の中央分離帯や高速道路の分岐地点などにおける進行方向などの標示などを目的として、立設して設置される道路用標示体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路を走行する車両に対する進行方向などの標示を目的とした標示体については、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、略直方体の合成樹脂板とその下部の止着部とからなる車両進行方向指示器であって、前記直方体上面を凸状の湾曲面に形成し、直方体側面部に複数の反射体を設け、直方体正面上部に車両進行方向の指示を示す反射指示部を形成し、前記止着部に止め具用孔を設けたことを特徴とする車両進行方向指示器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登実3037238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1の如き道路用標示体は合成樹脂板で形成されているので、車両が接触したときには容易に固定が外れて道路用標示体自体が失われるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、車両が接触しても破壊や離脱をせずに進行方向などの情報の表示機能を継続して保つことができる道路用標示体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る道路用標示体は、ベース部と、該ベース部から上方に突設された可撓性を有する柱形状のポール部とを備えた複数個の道路用標示柱からなり、
前記ポール部の側面には該ポール部と異なる色に形成した表示部が設けられ、
各道路用標示柱には色、又は形状の少なくとも一方が互いに異なる表示部がそれぞれ形成され、
該複数個の道路用標示柱を並設させて設置することで、各々の表示部が組み合わされて一の表示が表されるようになされていると共に、
前記各道路用標示柱のベース部には光の再帰反射性を備える反射部材がそれぞれ取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る道路用標示体によれば、可撓性を有するポール部に表示部を設けるので、ポール部に車両が接触しても折れ曲がって車両が上を乗り越え、その後に復元するので、容易に破壊や離脱をせずに表示機能を継続して保つことができる。
また、色、又は形状の少なくとも一方を互いに異ならせた表示部をそれぞれ形成した複数個の道路用標示柱を並設させ、これらの表示部の組み合わせで一の表示を表すので、車両の進むべき進行方向を示す矢印などを前記の表示部の組み合わせで表示させることができる。
また、可撓性を有する複数個の道路用標示柱を並設させて一の表示を表す道路用標示体を構成するので、この道路用標示体の周囲のどの方向から車両に踏みつけられても、個々の道路用表示柱がそれぞれ折れ曲がり、その後復元して前記一の表示を再び表すため、前記一の表示が失われずに継続して表示される。
【0009】
また、前記ベース部の下面に雄ねじ部を下方に突出して設け、これと螺結可能な雌ねじ部を上面に複数並設して設けられた連結台座を形成すれば、雌ねじ部に道路用表示柱の雄ねじ部を螺結させて、連結台座の上面に複数の道路用表示柱を並設して立設することができる。この状態の連結台座を設置場所に設置すれば、個々の道路用標示体を個別に設置場所に設置することなく、容易に複数の道路用表示柱を並設して設置することができ好ましい。そして、連結台座に並設して立設させた道路用表示柱の各々の表示部が一の表示の一部又は全部を表すように形成すれば、この連結台座を設置場所に設置することで容易に一の表示を形成して表すことができ好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る道路用標示体によれば、車両が接触しても容易に破壊や離脱をせずに、表示機能を継続して保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る道路用標示柱の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】本発明に係る道路用標示体の実施の一形態を示す正面図と平面図である。
【図3】本発明に係る連結台座の実施の一形態を示す三面図である。
【図4】図3の断面図である。
【図5】は道路用表示柱を連結台座に固定した状況を示す図である。
【図6】は道路用表示柱を固定した連結台座を路面に設置した状況を示す図である。
【図7】は本発明に係る道路用標示体の実施の他の一形態を示す正面図と平面図である。
【図8】は本発明に係る道路用標示体により表される表示の実施形態の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1(イ)は本発明に係る道路用標示柱の実施の一形態を示す正面図であり、(ロ)はベース部付近の拡大図である。
図面において、1は道路用標示柱である。
道路用表示柱1は円筒形のポール部11を有し、ポール部11は中空柱状体に形成されている。
ポール部11の外側面には入射光に対して平行に出射光を反射する再帰反射性を有する反射シート2が被着されている。本実施形態では、反射シート2は帯状にカットしたものをポール部1の外側面を巻回させて被着させている。
ポール部1の材質は、成形の容易さおよび車両等の踏みつけに対する復元性、耐久性等を考慮すると、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどが好適である。
【0013】
13は、反射部材である。反射部材13は、帯状の形状をした基材13bに適宜間隔をおいてガラスビーズ製の反射器13aが配設されている。反射器13aは入射光に対して平行に光を反射する再帰反射性が高く、かつ汚れにくく、劣化しにくいガラスビーズ製のものを用いるのが好ましいが、基材13bの表面に反射テープなどを貼着してもよい。基材13bの材質は、鉄鋼、ステンレス、アルミニウムなどの金属などを用いてもよいが、反射器13aを埋め込み形成することを容易にするためにゴム、ウレタン系樹脂、エラストマーなどの弾性の高い合成樹脂を用いるのが好ましく、反射器13aが外れにくくなるように、ポリエチレンやポリプロピレン等、ある程度高い硬度を有する熱可塑性合成樹脂を用いるのがより好ましい。
【0014】
14は、ベース部である。ベース部14は円柱形状をしており、その上面にはポール部1を挿入する環状溝が形成されている。ポール部1はその下端を環状溝に挿入され融着されて固定されている。
ベース部14の側壁には、帯状の反射部材13を取り付けるための側壁溝が全周に亘って形成されている。ベース14の材質は、成形の容易さおよび車両等の踏みつけに対する復元性、耐久性等を考慮すると、熱可塑性ポリウレタンや軟質ポリオレフィン、エラストマーなどが好適である。また、耐衝撃性に優れる塩化ビニル、ASA樹脂、ABS樹脂なども好適に用いることができる。
帯状の反射部材13は、ベース部14の側壁溝に巻回されて取り付けられている。反射部材13は、側壁溝に巻回させることで外れにくくなると共に、反射器13aをベース部14の外面からそれ程突設させることなく設けることができ、また上下方向への位置ずれを防ぐことができ好ましい。また、ベース部14の外周への反射部材13の取り付けは、側壁溝を設けずに行っても良い。また、反射部材13は、反射テープをそのまま貼着してもよく、ガラス製の反射器をそのままベース部14の外周に埋め込むように取り付けてもよい。
【0015】
ベース部14の下端面15の中央には円柱形状のベース凸部16が下方に突出して設けられている。またその中央にはアンカーボルト3がその頭部を埋設し、雄ねじ部31をポール部1の軸方向へ向けて突出するように設けられている。
ベース部14を回転させて、アンカーボルト3の雄ねじ部31を路面に埋設して固定されたアンカーナット7の雌ねじ部71に螺結させれば、ベース部14を路面に固定することができる。このとき、ベース凸部16は、アンカーナット7の雌ねじ部71の上部に形成された凹部72の内部に収納されるようにアンカーナット7が形成されている。
本実施形態ではベース部14の下端面15にベース凸部16と雄ねじ部31を突出して設け、アンカーナット7に螺結させて路面に固定しているが、これに限るものではなく、ベース凸部16と雄ねじ部31を設けずに、下端面15に接着剤を塗布して接着固定などを行っても良い。
【0016】
図2は本発明に係る道路用標示体の実施の一形態を示す正面図と平面図であり、4個の道路用標示柱1を一列に並設させて立設させて道路用標示体10を構成している状況を示している。道路用標示体10においては、各道路用標示柱1に被着させた反射シート2の形状の組み合わせにより一つの右向きの矢印を表した状況を示している。
図2において、一列に併設させた道路用標示柱1を右からそれぞれ1A、1B、1C、1Dと表しており、それぞれに設けた反射シート2により表される反射表示部21をそれぞれ21A、21B、21C、21Dと表している。
【0017】
道路用標示柱1Aの反射表示部21Aは右向きの矢印の先端部分を表しており、幅の大きさXの帯形状にカットした反射シートをポール部1の外側面の中央付近に巻回させて1箇所だけ被着させ、反射表示部21Aを形成している。
道路用標示柱1Bにおいては、反射表示部21Aと同じ幅の大きさXにカットした反射シート2を反射表示部21Aと同じ位置に被着させるとともに、その上方と下方のそれぞれ幅の大きさXと同じ大きさだけ離れた位置に同じ幅の大きさXの反射シート2を同様に被着させ、合計3箇所に反射シート2が被着された反射表示部21Bを形成している。
道路用標示柱1Cにおいては、反射表示部21Bと同じ大きさと位置に反射シート2を被着させるとともに、その上端の上方と下端の下方で、それぞれ幅の大きさXだけ離れた位置に同じ幅の大きさXの反射シート2を同様に被着させ、合計5箇所に反射シート2が被着された反射表示部21Cを形成している。
道路用標示柱1Dにおいては、反射表示部21Cと同じ大きさと位置に反射シート2を被着させるとともに、その上端の上方と下端の下方で、それぞれ幅の大きさXだけ離れた位置に同じ幅の大きさXの反射シート2を同様に被着させ、合計7箇所に反射シート2が被着された反射表示部21Dを形成している。
【0018】
前記の反射表示部21A〜21Dを備えた道路用標示柱1A〜1Dを、図2のように右から順番に並べて立設することで、反射表示部21A〜21Dが一体的に視認されて一つの右向きの矢印を表すことができる。同様に道路用標示柱1A〜1Dを左から順番に並べれば、反射表示部21A〜21Dは左向きの矢印を表す。
【0019】
本実施形態においては、反射シート2の幅の大きさXを、ポール部11の直径Zよりもやや小さく形成しているが、これに限るものではなく、表す標示の内容に応じて適宜調整することができる。同様に反射表示部21を形成する各反射シート2の間隔を、本実施形態では反射シート2の幅の大きさXと同じ大きさに設定しているが、これも適宜調整することができる。
【0020】
本実施形態では、道路用標識体10を構成する各道路用標示柱1A〜1Dをそれぞれ近接させて並設させており、それぞれのポール部11の間隔Yを、ポール部11の直径Zの3分の1程度の大きさにしている。各ポール部11の間隔Yの大きさはこれに限るものではなく、適宜調整して変更できるが、間隔Yをあまり大きく設定すると、道路用標識体10の反射表示部21が表す一の表示の一体感が失われる。
本実施形態では道路用標示柱を真横に並設させているが、反射表示部21を視認する看者が斜め方向から見れば、間隔Yは実際のポール部11の間隔より小さく視認されるため、間隔Yの設定は看者の視認する位置を想定して適宜調整することが可能である。
【0021】
図3は本発明に係る連結台座の実施の一形態を示す三面図であり、図4は図3の断面図である。
本実施形態の連結台座4はアルミニウム合金の押出成形によって形成され、2つの側壁部43と上壁部41と底壁部42とを有し、上壁部41が底壁部42より幅の狭い中空台形の断面形状に形成されている。
連結台座4の長手方向の端末には、連結台座4の中空内部を塞ぐように形成されたカバー板8が4個のネジ81で連結台座4に固定されている。
上壁部41の中央には上方向に開口した上凹溝部45が長手方向に形成されており、底壁部42の中央には内側に突出する形状の開口縁を有し下方向に開口した下凹溝部46が上凹溝部45と同様に長手方向に形成されている。上凹溝部45の上面と下凹溝部46の下面は、それぞれ中壁部44の上面と下面で構成されるように形成されている。
【0022】
上凹溝部45の上端には、これを塞いで上壁部41の上面と面一となるように形成された蓋材5が取り付けられている。蓋材5はアルミニウム合金の押出成形により板形状に形成されている。
蓋材5には、長手方向に沿うように板形状の両端にそれぞれ突条51が設けられており、上凹溝部45の両側の側壁の上端には、この突条に対応した形状の凹条48が長手方向に設けられている。
蓋材5は前記の凹条48に両端の突条51を挿入させて、連結台座4の端末からスライドさせるように挿入されて固定される。
【0023】
中壁部44の上面と下面の中央には小さな凹条49がそれぞれ長手方向に形成されている。これは後述する上凹溝部45から下凹溝部46に至る貫通孔を形成するときに、ドリルなどの工具を容易に位置決め可能にするためのものである。
【0024】
連結台座4の内部において、側壁部43と上壁部41、底壁部42とが交わる箇所にはそれぞれビスホール部47が押出成形により長手方向に形成されており、連結台座4の端末でカバー板8を固定するネジ81を容易にネジ止めできるように形成されている。
【0025】
図5は道路用標示柱を連結台座に固定した状況を示す図である。
連結台座4の上凹溝部45は、道路用標示柱1のベース部14の下端面15よりも幅狭に形成され、ベース凸部16を上凹溝部45の内部に収納可能な大きさを有するように形成されている。
このため上凹溝部45の深さはベース凸部16の高さより深く形成されているが、ベース凸部16とそこから突出したアンカーボルト3の雄ねじ部31とをあわせた高さより小さく形成している。
また、連結台座4の下凹溝部46は、その内部にアンカーボルト3と螺結可能なナット6を収納可能な大きさに形成されている。下凹溝部46の開口縁を内側に突出させて形成しているのは、ナット6をその内部に収納したときにナット6の下部が下凹溝部46の開口縁に当接されて下方向に落ちないようにするものである。
また、下凹溝部46の開口縁の幅の大きさは、アンカーボルト3の雄ねじ部31が挿通可能な大きさに形成されている。
【0026】
連結台座4の上面に道路用標示柱1を立設するときには、最初に連結台座4の立設させる位置の中壁部44に、アンカーボルト3の雄ねじ部31が挿通可能な貫通孔49をドリルなどで穿ち形成する。
次に、下凹溝部に収納したナット6を前記の立設位置に位置させ、連結台座4の上方から道路用標示柱1のアンカーボルト3を挿通させ、雄ねじ部31をナット6に螺結させる。
道路用標示柱1は下端面15を上壁部41の上面に当接させ、ベース凸部16を上凹溝部45に収納させて連結台座4に立設して固定される。
複数の道路用標示柱1を一つの連結台座4に立設させる場合は、各道路用標示柱1の立設位置の間に開口している上凹溝部45を塞ぐように、蓋材5の長さを調整して挿入させる。
本実施形態では、下凹溝部46の開口縁を底壁部42の下方に突出するように形成しているが、下凹溝部46がナット6を収納可能な大きさに形成できればこの限りではない。
【0027】
図6は道路用表示柱を固定した連結台座を路面に設置した状況を示す図である。
本実施形態では、連結台座4の固定のために、下方に突設させたアンカーボルト3の雄ねじ部31を通常より長く形成した道路用標示柱1を製造して利用している。具体的には、図5の実施形態において道路用標示柱1を立設する場所にナット6を設置せずに、前記の雄ねじ部31を長く形成した道路用標示柱1のアンカーボルト3を、連結台座4の中壁部44に形成した貫通孔に挿通させる。この雄ねじ部31を路面に埋設設置したアンカーナット7の雌ねじ部71に螺結させて、道路用標示柱1と連結台座4とを路面に固定している。連結台座4の上面に立設させた複数の道路用標示柱1のうち、両方の端に位置する2個の道路用標示柱をこのように固定することで、連結台座4を 強固に路面に固定できる。
本実施形態では、雄ねじ部31を長く形成した道路用標示柱1を用いて連結台座4を路面に固定しているが、これに限るものではない。例えば、アンカーナット7に螺結可能な六角穴付きボルトの頭部を連結台座4の下凹溝部46に挿入し、その雄ねじ部31を下向きに向けて下凹溝部46の開口部分から下方向に突出させる。その後、上凹溝部45から中壁部44に設けた貫通孔から六角レンチを通して前記の六角穴付きボルトをアンカーナット7に螺結させて固定してもよい。また、接着剤などを用いて固定してもよい。
【0028】
図7は本発明に係る道路用標示体の実施の他の一形態を示す正面図と平面図であり、9体の道路用標示柱1の各反射表示部21の組み合わせによって左右両方向に向けた矢印を一つ表した状況を示している。
具体的には、図3〜図5に示した方法で一つの連結台座4の上面に4体の道路用標示柱1A〜1Dを立設させた2体の連結台座4A、4Bを形成する。連結台座4A、4Bに立設させた各道路用標示柱1A〜1Dは、その反射表示部21を図2に示した実施形態と同じに形成し、それぞれに立設させた4体の道路用標示柱1の組み合わせにより一体の矢印表示を形成する。
このように一体的な矢印表示を表すように道路用標示柱1A〜1Dを立設させた2体の連結台座4A、4Bを並設させて、左右両方向に向けた矢印表示を一体的に表す道路用標示体10を構成する。
左右両方向に向けた矢印表示を形成するために、道路用標示体10の右側に配置した連結台座4Aは、一体的な矢印表示において矢印の先端を表す道路用標示柱1Aを表示させる方向から見て右端に配置されるように設置し、反対に道路用標示体10の左側に配置した連結台座4Bは、上面に立設させた道路用標示柱1Aを表示させる方向から見て左端に配置させるように設置させる。
【0029】
本実施形態では、連結台座4Aと4Bとを平面視において90度の角度を設けて一方向に突出する「く」の字形状に並設させ、道路用標示体10を構成している。より具体的には、連結台座4Aと4Bとが構成する突出した「く」の字形状の突出部分を一体的な矢印表示を表示させる方向に向けるように設置させている。
平面視において連結台座4A、4Bに角度を設けず、横一列に並設させて道路用標示体10を設置した場合は、設置場所の横を車両などが通過するときに、反射表示部21が表す矢印表示は早い段階で視認されなくなる。上記のように「く」の字形状の突出部分を表示方向に向けるように各連結台座4A、4Bを設置させることで、道路用標示体10の設置場所の横を車両などが通過するときでも、車両の通過する側の連結台座4はその長手方向の側面を車両の方からより長い時間視認可能とされるので、反射表示部21が表す一体的な矢印表示がより長い時間視認される。
【0030】
本実施形態では、連結台座4A、4Bとを平面視において90度の角度を設けて一方向に突出する「く」の字形状に併設させ、連結台座4A、4Bとが構成する「く」の字の突出部分に位置する場所に、反射表示部21を設けない道路用標示柱1Eを立設させている。これを立設させることで、連結台座4A、4Bが表す左右両方向に向けた矢印表示の中心を分割させて、前記の矢印表示を1体の菱形表示に誤認されることを防いでいる。道路用標示体10を構成する道路用標示柱1の中には、このように反射表示部21を設けないものを含めても良い。
また本実施形態では、道路用標示柱1Eは路面に直接立設させているため、連結台座4A、4Bの上面に立設させた各道路用標示柱1A〜1Dとの高さを等しくするため、道路用標示柱1A〜1Dよりもポール部11の長さを連結台座4の高さ分だけ大きく形成している。しかし道路用標示柱1A〜1Eの高さをそろえる必要がない場合は、この限りではない。
【0031】
図8は本発明に係る道路用標示体により表される表示の実施形態の例を表す図である。
本実施形態は図7に示す実施形態と同様に9体の道路用標示柱1を並設させて、各反射表示部21の表示を組み合わせて左右両方向を向いた矢印表示を一体的に表している。図7と異なる事項は、本実施形態では立設させた道路用標示柱1Bを構成する反射表示部21において、図7に示す道路用標示柱1Aの反射表示部21に該当する位置の反射シート2を外している。また同様に、道路用標示柱1C、1Dの反射表示部21から、図7に示す道路用標示柱1B、1Cの反射表示部21に該当する位置の反射シート2をそれぞれ外している。上記のように構成することで、左右両方向を向いた矢印を”く”の字の形状によって表すことができる。また、本実施形態は、連結台座4を用いずに各道路用標示柱1A〜1Eを立設させて、道路用標示体10を構成している状況を示している。
【0032】
前記の実施形態においては、複数の反射表示部21の形状を組み合わせて一体的な矢印表示を表す実施形態を示しているが、矢印形状に限らず適宜必要な表示を表すように反射表示部21の形状や色などを組み合わせて形成することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 道路用標示柱
10 道路用標示体
11 ポール部
13 反射部材
13a 反射器
13b 基材
14 ベース部
15 下端面
16 ベース凸部
2 反射シート
21 反射表示部
3 アンカーボルト
31 雄ねじ部
4 連結台座
41 上壁部
42 底壁部
43 側壁部
44 中壁部
45 上凹溝部
46 下凹溝部
47 ビスホール部
48 凹条
5 蓋材
51 突条
6 ナット
7 アンカーナット
71 雌ねじ部
72 凹部
8 カバー板
81 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、該ベース部から上方に突設された可撓性を有する柱形状のポール部とを備えた複数個の道路用標示柱からなり、
前記ポール部の側面には該ポール部と異なる色に形成した表示部が設けられ、
各道路用標示柱には色、又は形状の少なくとも一方が互いに異なる表示部がそれぞれ形成され、
該複数個の道路用標示柱を並設させて設置することで、各々の表示部が組み合わされて一の表示が表されるようになされていると共に、
前記各道路用標示柱のベース部には光の再帰反射性を備える反射部材がそれぞれ取り付けられていることを特徴とする道路用標示体。
【請求項2】
前記ベース部の下面には雄ねじ部が下方に突出して設けられ、
該雄ねじ部と螺結可能な雌ねじ部を上面に複数並設して設けられた連結台座が形成され、
前記雌ねじ部に前記雄ねじ部を螺結させて前記連結台座の上面に前記道路用表示柱を複数並設させて立設させることで、前記一の表示の一部又は全部が表されるようになされたことを特徴とする請求項1に記載の道路用標示体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−144636(P2011−144636A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103073(P2011−103073)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2008−320342(P2008−320342)の分割
【原出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】