説明

道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物とそれを用いた道路舗装方法

【課題】 道路舗装における表層と基層との接着強度が高く、かつ防水性にも優れた道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物とそれを用いた道路舗装方法を提供すること。
【解決手段】 エポキシ樹脂の混合物からなる主剤に、炭素数C以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物と、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体と、添加剤からなる硬化剤を配合した道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物とした。また、このようなプライマー組成物を、基層上に塗布した後、100〜170℃に加熱したアスファルト混合物を敷設して表層を形成し、前記アスファルト混合物の熱エネルギーによりプライマー組成物を硬化反応させて表層と基層を接着させる道路舗装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路舗装における密着性および防水性に優れた道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物とそれを用いた道路舗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アスファルト舗装を構築する場合、表層と基層の接着を良好にするためのタックコート材としては通常アスファルト乳剤が使用されている。
最近では、表面に透水性を有する舗装を施すことにより留水防止効果を持たせた排水性舗装体が安全性や騒音低減性等の点で有効であるとして、一般国道はじめ高速道路や橋梁等にも急速に普及しつつある。そして、このような排水性舗装体は、排水性舗装用アスファルト混合物からなる表層を、例えば高品質なゴム入りのアスファルト乳剤を用いてアスファルト混合物からなる基層上に接着しているのが現状である。
【0003】
しかしながら、最近の研究によれば、排水性舗装の内部に浸透した雨水によって基層以下のアスファルト混合物に剥離(ストリッピング)現象が生じると、該アスファルト混合物のせん断強度の低下により舗装全体の支持力が低下し、交通荷重の作用によって表層の排水性舗装面にひび割れやわだち掘れ、更には部分的な陥没等が発生することが見出された。これは、接着機能を有しているアスファルト乳剤が雨水の侵入によって、乳化剤成分により徐々に水親和性になり、流動性を帯びることに起因するものと考えられる。
【0004】
また、基層がコンクリート床版の場合は、接着層として、床版と防水層との付着を一体化させる目的で、溶剤系ゴムアスファルト接着剤、溶剤系ゴム接着剤が用いられ、鋼床版では、溶剤系ゴムアスファルトが使用される。防水層としては、シート系防水層、塗膜系防水層、舗装系防水層があり、このいずれかが使用される。鋼床版においては、舗装系防水層、グースアスファルト混合物を用いて防水層と基層を兼ねることができるが、コンクリート床版の場合には、舗装系防水層は用いられない。防水層とアスファルト舗装との接着層としてはアスファルト乳剤、ゴム入りアスファルト乳剤が用いられ、前記と同様の問題点を有するほか、浸透してきた雨水がクラック面ですり磨き作用を奏してコンクリート床を損傷したり、鉄筋を腐食させてしまう等の問題点があった。また、溶剤系アスファルト接着層とシート防水および塗膜防水の場合も、溶剤を十分蒸発させる必要があり、揮発分が完全に除去されないとブリスタルングの発生などの問題がある。
一方、接着層および防水層としてエポキシ樹脂を用いたものも知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、エポキシ樹脂系のものは、一般に硬化剤としてポリアミンおよびポリアミドなどが主な原材料として用いられるため可使時間の制約があり、また揮発性溶剤を配合されたものが多く、現場施工における舗装との接着性を確保するのが難しいことから、現在あまり使用されていないのが現状である。
【特許文献1】特公昭62−21922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、排水性舗装の表層と基層との接着強度が高く、かつ防水性にも優れていて基層以下のアスファルト混合物の剥離現象を確実に防止し、これに起因する排水性舗装面のひび割れやわだち掘れ、あるいはコンクリート版の鉄筋腐食等を防止することができ、長期間にわたって優れた耐久性を発揮することができる道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物とそれを用いた道路舗装方法を提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、エポキシ樹脂の混合物からなる主剤に、炭素数C以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物と、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体と、添加剤からなる硬化剤を配合したことを特徴とする道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物を第1の発明とする。
また、このようなプライマー組成物を、基層上に塗布した後、100〜170℃に加熱したアスファルト混合物を敷設して表層を形成し、前記アスファルト混合物の熱エネルギーによりプライマー組成物を硬化反応させて表層と基層を接着させることを特徴とする道路舗装方法を第2の発明とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物は、エポキシ樹脂の混合物からなる主剤に、特定の疎水性モノアミン化合物、液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体、および添加剤からなる硬化剤を配合したものとすることにより、硬化物は熱硬化性の性質と熱可塑性の性質の両方の性質を備えたものとなり、道路舗装用の接着層に用いた場合、塗布後の初期硬化によってその上に合材ダンプやアスファルトフィニッシャなどが走行してもタイヤに付着せず、しかも舗設時のアスファルト合材の熱で軟化溶融するため、ローラの転圧荷重が加わることで圧着され密着一体化した接着層を構築できる。また、舗設後のアスファルト合材熱によってさらに樹脂の硬化が促進されるため、排水性舗装の表層と基層との接着強度を高めることができるとともに、コンクリート床版および鋼床版舗装においても優れた接着層および防水層を提供することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は本発明を一般の土工部道路に適用した場合を示すもので、図中1は排水性舗装用アスファルト混合物からなる表層、2はアスファルト混合物からなる基層、3は路盤、4は路床であり、前記表層1はタックコートと称される接着層10を介して基層2上に接着されたものとなっている。
また、図2は本発明を橋梁に適用した場合を示すもので、図中1は排水性舗装用アスファルト混合物からなる表層、2はアスファルト混合物からなる基層(レベリング層とも称される)、5はコンクリートあるいは鋼からなる床版であり、前記表層1は接着層10を介して基層2上に接着されたものとなっている。
なお、表層1は基層2を介さずコンクリートあるいは鋼からなる床版5に直接接着することもでき、この場合も同様の接着層10を用いることができ、更には、基層2と床版5の接着層としても用いることができる。
【0009】
排水性舗装層である表層1は、空隙率を大きくして透水係数を大きくした排水性アスファルトコートや透水性アスファルト混合物等の一般的なものである。また、基層2としては、既設若しくは新設のアスファルト舗装の基層や、橋面舗装におけるコンクリート床版や鋼床版上のレベリング層および鋼床版でもよい。なお、ここでいう既設の基層というのは、既設アスファルト舗装の表層を切削除去して排水性舗装をそこに構築する場合を前提とするものである。
【0010】
本発明では、前記接着層10としてエポキシ樹脂の混合物からなる主剤に、炭素数C以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物と、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体と、添加剤からなる硬化剤を配合した新規な道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物を用いるものである。
本発明のプライマー組成物の塗布方法は、塗布後ダンプなどの施工車両のタイヤなどに付着しないようにアスファルトフィニッシャーに装着された散布装置で機械的にアスファルト混合物の敷き均しの直前に塗布するか、または前日に塗布を行ってもよい。従来のエポキシ樹脂、主剤、硬化剤の混合物からなるプライマー組成物では、直前に塗布を行った場合、150℃以上もの加熱アスファルト混合物が補設されると、硬化時間が急激に進み、3次元網状化が速く進みすぎ、アスファルト混合物との密着性が進まず、また前日に塗布を行っても硬化物は3次元網目構造となって熱硬化性の性質しか有さないため、アスファルト混合物との十分な接着強度と防水性が確保できないのに対して、本発明は特定の硬化剤を配合してエポキシ樹脂の物性を改善すれば、熱硬化性の性質と熱可塑性の性質の両方の性質を備えたものとなって、十分な接着強度と防水性を確保できることを見出したことに起因する。即ち、エポキシ樹脂の混合物からなる主剤と、特定の成分を配合した硬化剤を反応させると常温域(0℃〜45℃)で反応・ゲル化して中分子量の硬化物となり、更に、100℃〜170℃に加熱すると熱エネルギーによって反応が進みより高分子量の硬化物に成長し、物性が改善されるのである。
【0011】
硬化剤の成分としては、炭素数C以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物と、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体と、添加剤を配合する。
硬化剤の成分を、炭素数C以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物とすることで、直鎖状の反応生成物を形成し、熱硬化性の性質と熱可塑性の性質の両方の性質を備えたものとするのである。即ち本発明者は、従来エポキシ樹脂とアミン化合物の反応は、2個以上のアミノ基と3個以上の活性水素を必要とし、また網目構造となって熱硬化性の性質しか有さないため、アスファルト混合物との一体となった密着性が進まず、十分な接着強度と防水性が確保できなかったことを究明した。
そこで、エポキシ樹脂の混合物からなる主剤を直鎖状の反応生成物とするための研究を行った結果、硬化剤の成分として炭素数C以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物を用いることに至ったのである。このモノアミン化合物は1個のアミノ基と2個の活性水素を持つものであり、直鎖状に反応を促進して網目構造にはならないため、熱硬化性でありながら、硬化物は熱可塑性の性質も有するものとするのである。
炭素数が8以上で長鎖アルキル基を有するモノアミンとは、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、オレイルアミン、ステアリルアミンなどであり、アルキル基が飽和または不飽和結合を1個以上有する直鎖または分枝のあるモノアミンおよびその誘導体である。アスファルトとの相溶性もしくは製品の取り扱い性から炭素数12〜18の液状モノアミン化合物が好ましい。
【0012】
また、硬化剤の成分に両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムを加えることで、エポキシ樹脂硬化物中に海島と称されるIPNを均一に形成し、表面の濡れ性を改善して接着強度を向上させることができる。特に、金属に対する接着強度は顕著であるため、鋼床版への適用が良好となる。また、低温時における脆性も大幅に改善されるので、耐久性も向上することとなる。
両末端がアミノ基、水酸基、カルボキシル基で修飾された液状ブタジエンゴムとは例えば末端水酸基であるPoly bd R−45HT(出光石油化学製)またブタジエンとアクリロニトリルの共重合物で両末端がカルボキシル基のCTBN,アミノ基のATBN、(BF Goodrich社製)などがある。ゴム中のアクリロニトリルの極性により主剤であるポリエポキシ化合物との相溶が上がり、CTBNやATBNが海島構造の径が小さく、より機能化したIPNが発現されるので望ましい。
【0013】
また、硬化剤の成分に各種の添加剤を加えることで、より接着強度の向上等を図ることができる。
具体的な添加剤としては、サリチル酸、ルイス酸などの酸類やベンジルジメチルアミンなどの3級アミン類、フェノール類などのエポキシの熱硬化反応を促進するための反応促進剤や、前記IPNをより細かく、かつ均一に形成し、弾性接着を実現するための可撓性付与剤、例えばビスフェノールS、F、Aなどのビスフェノール類やダイマー酸やその誘導体などがある。ビスフェノール類は本配合の系では促進硬化もあるので有効である。
【0014】
なお、前記硬化剤の各成分は、全硬化剤量に対して、長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物が50〜90重量%、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体が5〜40重量%、添加剤が2〜15重量%であることが好ましい。
長鎖アルキル基を有する疎水性ものアミン化合物成分と両末端にアミン基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体成分は樹脂の熱可塑的性質と腎性的な性質を左右する。両末端が前記官能基である液状ブタジエンゴムおよびその誘導体が全硬化剤量の40%を超えると熱可塑的な性質が減少し、添加剤成分の量が15%超えると添加剤の影響が大きくなり、熱硬化でありながら熱可塑的な性質を持つ特色、および、より効果的なIPNの発現を抑えるので15%以下の配合が望ましい。
【0015】
また、エポキシ樹脂の混合物である主剤は、ポリエポキシ化合物に、モノエポキシ系反応性希釈剤または非反応性希釈剤、あるいはモノエポキシ系反応性希釈剤と非反応性希釈剤の双方からなる希釈剤を添加したものである。
具体的には最も代表的なものとしては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの縮合物液体もしくは固形のジまたはポリグリシジルエーテルである。この他ビスフェノールF、フェノール、あるいはクレゾールノボラック樹脂などのフェノール系ジまたはポリグリシジルエーテル、ダイマー酸などのポリカルボン酸から得られたジまたはポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物から得られたジまたはポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコール系ジまたはポリグリシジルエーテル、ウレタンまたはCTBN変性されたビスフェノールA系ジまたはポリグリシジルエーテル等である。そして、これらのポリエポキシ化合物1種または2種以上混合したものである。
また粘度調整として、必要に応じて、低粘度のブチルグリシジルエーテル、フェニルまたはクレジルグリシジルエーテルなどのモノエポキシ系反応性希釈剤、ベンジルアルコールやハイゾール(日石化学製)などの非反応性希釈剤などを前記ポリエポキシ化合物とともに混合する。
【0016】
更には、より効果的な適用を促すために、主剤あるいは硬化剤、または主剤と硬化剤の両方に、無機フィラー、チソトロピー化剤、繊維等の粉末や、カップリング剤や、界面活性剤や、消泡剤などの1種または2種以上加えることもできる。例えば炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウムなどや微紛シリカなどのチソトロピー化剤、あるいは鉱物繊維やナイロン、アラミド繊維などの有機繊維や、被着面に良好な濡れ性を付与する界面活性剤である。また、カップリング剤としてはチタン系、シリコン系があり無機、有機の間で化学結合する。消泡剤としてはシリコン系、ポリエーテル系などがある。
また、組成物中に使用されるエポキシ樹脂と硬化剤の量の配合比率は、両者の結合反応の中心となる当量値を中心に比較的広範囲であるが、当量値付近の使用が好ましい。
【0017】
以上のように、本発明の道路舗装用プライマー組成物は、エポキシ樹脂の混合物からなる主剤に、炭素数Cの以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物と、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体と、添加剤からなる硬化剤を配合したものとしたので、直鎖状に反応を促進して網目構造にはならず、硬化物は熱硬化性でありながら熱可塑性の性質も有するものとなり、道路舗装用の接着層に用いた場合、排水性舗装の表層と基層との接着強度を高めることができるとともに、防水性にも優れたものとなるのである。
また、このようなプライマー組成物を、基層上に塗布した後、100〜170℃に加熱したアスファルト混合物を敷設して表層を形成し、前記アスファルト混合物の熱エネルギーによりプライマー組成物を硬化反応させて表層と基層を接着させる道路舗装方法により、表層と基層との接着強度が高く、かつ防水性にも優れた舗装を簡単に成形できることとなる。
【実施例】
【0018】
エポミックR−140(三井化学製:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190)92%、アルキルC8〜C10グリシジルエーテル(エポキシ当量230)8%からなるポリエポキシ化合物50部と、C18長鎖アルキルモノアミン(アーミンOD:ライオン製)65%と、アミノ基末端ブタジエンアクリロニトリル共重合体(HycarATBN1300×16:BFグッドリッチ社製 このものは分子量3400、アミノ基官能基数1.9である)25%、ビスフェノールA10%を配合した硬化剤50部を混合して本発明のプライマー組成物を得た。
【0019】
次に、本発明のプライマー組成物の評価を行なうために以下の方法で試験を実施した。
1. 引張り強度および伸び率試験
本エポキシ樹脂プライマー組成物をJIS K 7113に準拠する引張り試験片を作成し20℃で24時間養生後、60℃3日間放置させた後、室温20℃に冷ましてから測定を行った。
2. アスファルト混合物との接着強度
30cm四方の厚さ9mmの鉄板上に本エポキシプライマー組成物を塗布し、その上に160℃の加熱エポキシアスファルト混合物をのせてローラで締め固めた試供体を作成し、直径10cmのコアカッターで切断した後、試験冶具を接着して建研式引張り試験機を用いて20℃で測定した。
3. 鉄版に対する接着強度
9mmの鉄板上に本エポキシ樹脂プライマー組成物を塗布し20℃で2日養生後、150℃に加熱された直径25mmの鉄製冶具を圧着して150℃に1時間養生した後、60℃で2日間放置した後、室温20℃に冷ましてから建研式引張り試験機を用いて測定した。
4. 防水性試験
日本道路協会 道路橋鉄筋コンクリート床版防水層の設計・施工資料の防水性試験に準拠して20×20×5cmコンクリート版上に本エポキシ樹脂プライマー組成物を0.7mm塗布して20℃で1日、60℃で3日養生した後、室温20℃で3日放置後、水圧1kgf/cm、30分間の減水量を測定した。
測定結果を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
得られた配合物は十分な引張り強度および伸び率を有しており、アスファルト混合物との接着においても十分な可使時間を有し、接着強度もすべてアスファルト混合物内の凝集破壊でありその強度も2.0MPa以上であった。鋼版との接着強度においても、鋼床版と防水層、最も代表的なグースアスファルト混合物を用いた場合の施工時の接着強度が1.4MPa以上(20℃以下)という実態調査からも十分な強度を有し、防水性にも優れていることが評価できた。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を一般の土工部道路に適用した場合を示す断面図である。
【図2】本発明を橋梁に適用した場合を示す断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 表層
2 基層
3 路盤
4 路床
5 床版
10 接着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂の混合物からなる主剤に、炭素数C以上の長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物と、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体と、添加剤からなる硬化剤を配合したことを特徴とする道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物。
【請求項2】
硬化剤の各成分は全硬化剤量に対して、長鎖アルキル基を有する疎水性モノアミン化合物が50〜90重量%、両末端にアミノ基、水酸基、カルボキシル基の少なくとも1つを有する液状ブタジエンゴムあるいはその誘導体が5〜40重量%、添加剤が2〜15重量%である請求項1に記載の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物。
【請求項3】
エポキシ樹脂の混合物である主剤は、ポリエポキシ化合物に、モノエポキシ系反応性希釈剤および/または非反応性希釈剤からなる希釈剤を添加したものである請求項1または2に記載の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物。
【請求項4】
添加剤として、反応促進剤、可撓性付与剤などの1種または2種以上を加える請求項1〜3のいずれかに記載の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物。
【請求項5】
主剤および/または硬化剤に、無機フィラー、チキソトロピー化剤、繊維等の粉末、カップリング剤、界面活性材、消泡剤などの1種または2種以上を加える請求項1〜4のいずれかに記載の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の道路舗装用エポキシ樹脂プライマー組成物を、基層上に塗布した後、100〜170℃に加熱したアスファルト混合物を敷設して表層を形成し、前記アスファルト混合物の熱エネルギーによりプライマー組成物を硬化反応させて表層と基層を接着させることを特徴とする道路舗装方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−241211(P2006−241211A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−55381(P2005−55381)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(593228003)株式会社近代化成 (1)
【Fターム(参考)】