説明

違法駐車取締りシステムおよび方法

【課題】コストを抑制しながら違反駐車車両の特定の確実性を向上させる。
【解決手段】会員が所持する端末機13から違法駐車車両情報を受信する会員I/O部21(会員通報受信手段)と、路上に設置された固定カメラ14からの画像情報を受信する固定カメラI/O部22と、路線バスBに設置された車載カメラ15からの画像情報を受信する車載カメラI/O部23とを備え、会員I/O部21で受信して違法駐車とされた特定車両が、固定カメラ14あるいは車載カメラ15から違法駐車車両であることが受信されると、該特定車両を違法駐車車両とする違法駐車管理手段20とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、違法駐車取締りシステムおよび方法に関し、詳しくは、複数の手段を組み合わせて補完することで精度良く違法駐車車両を取り締まるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、違法駐車を取り締まるためのシステムとして種々のものが提案されている。
例えば、特開2002−197589号公報(特許文献1)では、駐車禁止エリア付近に設置されたカメラで車両ナンバーを読み取り違反情報を収集する構成が開示されている。また、特開2004−145632号公報(特許文献2)では、路線バスや一般車両などの移動体からの画像をもとにして駐車違反車両を検出する構成が開示されている。さらに、特開2002−279459号公報(特許文献3)では、無線通信で駐車車両の車載器と通信して課金を行う構成が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、カメラが設置箇所の周辺しか取り締まることができず、広い範囲で駐車違反を取り締まろうとすればカメラを多数設置せねばならない問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、駐車車両が他の車両と重なって車両ナンバーが隠れている場合等は、違反駐車の車両を特定できないという問題が残っている。
さらに、特許文献3の記載の技術では、システムに対応する車載器を搭載していない車両は取締りができないという問題がある。
【特許文献1】特開2002−197589号公報
【特許文献2】特開2004−145632号公報
【特許文献3】特開2002−279459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、コストを抑制しながら違法駐車の特定の確実性を向上させることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、会員が所持する端末機から違法駐車車両情報を受信する会員通報受信手段と、路上に設置された固定カメラからの情報を受信する固定カメラ情報受信手段と、路上を走行する移動体に設置された車載カメラからの情報を受信する車載カメラ情報受信手段と、から選択される少なくとも2種以上の違法駐車車両情報受信手段と、
前記違法駐車車両情報受信手段のいずれか1つから受信して違法駐車とされた特定車両が、他の違法駐車車両情報受信手段から違法駐車であることが受信されると、該特定車両を違法駐車車両とする違法駐車管理手段と、
を備えていることを特徴とする違法駐車取締りシステムを提供している。
【0006】
前記構成とすると、会員からの通報情報、固定カメラからの画像情報あるいは車載カメラからの画像情報のいずれか1つに基づいた違法駐車車両情報の正当性を、他の残りの情報で補完して確認しているので、誤った情報をフィルタリングすることができ、違法駐車車両の特定精度を高めることが可能となる。なお、前記移動体は路線バスやタクシー等としているとよい。
【0007】
また、前記会員通報受信手段で受信する違法駐車車両情報は、少なくとも、
車両ナンバーあるいは/および車種からなる車両特定情報と、
駐車位置情報と、
駐車時間情報あるいは駐車時刻情報と、
を含むものであると、駐車違反車両が特定し易くなり好ましい。なお、駐車時刻情報は会員が違法駐車車両を発見した際の時刻とするとよい。
また、本発明においては、違法駐車車両情報などの情報通信や会員に対する情報の情報漏洩防止のための構成を有するものであることが好ましい。
【0008】
前記違法駐車管理手段は、前記固定カメラ情報受信手段あるいは/および車載カメラ情報受信手段で受信した画像情報を画像処理して前記車両を特定する画像分析手段と、画像受信時刻より駐車時間を取得する時間取得手段と、前記カメラの撮影位置より違法駐車車両位置を取得する位置取得手段とを備えていると好ましい。
前記構成とすると、駐車違反車両の検挙に役立つ情報となる車両ナンバー、駐車時間、違反位置を固定カメラや車載カメラからの情報で簡便に取得することができる。
【0009】
あるいは、前記固定カメラおよび前記車載カメラは、撮影した画像を画像処理して前記車両を特定する画像分析手段を備え、
前記違法駐車管理手段は、前記固定カメラおよび前記車載カメラから画像処理で特定された車両情報を受信する構成としても好ましい。
【0010】
前記構成とすると、カメラ側で画像処理がなされて違法駐車車両が特定されるので、カメラ側から違法駐車車両情報受信手段へ画像を送信する必要がなくなり、通信負荷を軽減することが可能となる。
【0011】
前記固定カメラは駐車禁止区域を含む道路の上流位置と下流位置に設置していると好ましい。
前記構成とすると、上流の固定カメラで通過が検出された車両が下流の固定カメラで所定時間内に検出されなかった場合、各固定カメラの間の駐車禁止区域に駐車している可能性が高いと判断することができる。
【0012】
道路上の渋滞度を取得する交通渋滞管理手段を備え、
前記違法駐車管理手段は、前記交通渋滞管理手段で取得された渋滞度の高い駐車禁止区域から優先的に違法駐車車両を特定する手段を備えていると好ましい。
【0013】
前記構成とすると、駐車禁止区域に駐車して渋滞の原因となっている違反車両を優先してレッカー移動等し、交通渋滞を早期に緩和することができる。
なお、道路上の渋滞度は前記固定カメラあるいは前記車載カメラの画像情報から取得してもよいし、VICSセンター等の外部からの渋滞情報を利用してもよいし、会員からの渋滞度の通報情報を利用してもよい。
【0014】
また、前記交通渋滞管理手段は、過去の交通渋滞状況の履歴を保存するデータベースを有すると共に、該データベースを参照して現在時刻から所定時間経過後の交通渋滞状況を予測する機能を備え、
前記違法駐車管理手段は、該予測された交通状況において渋滞度の高い駐車禁止区域から優先的に違法駐車車両を特定していると好ましい。
【0015】
前記構成とすると、現在時刻から所定時間経過後に取締り需要が多くなる駐車禁止区域から優先的に取締りを行うので、今後に渋滞の原因となる違反車両を優先してレッカー移動する等して、交通渋滞を早期に緩和することができる。なお、道路上の渋滞度は前記固定カメラあるいは車載カメラの画像情報から取得するとよい。
また、駐車監視区域の優先度を決定する方法として、交通履歴情報をもとに通常は起こり得ない渋滞が発生している区域を優先的に取締りを行うようにしてもよい。
【0016】
前記違法駐車管理手段は、前記会員通報受信手段に送信した会員の通報履歴を保存する会員管理部を備えていると好ましい。
前記構成とすると、駐車違反車両の特定(検挙)に繋がった通報について、該通報をした会員に報酬の還元を行う等することで会員へインセンティブを与えることができ、運用性が向上する。
【0017】
また本発明は、会員が所持する端末機からの違法駐車車両情報、路上に設置された固定カメラからの情報、路上を走行する移動体に設置された車載カメラからの情報のうち、いずれか1つの情報に基づいて違法駐車車両を検出し、
残りの他の情報からも同一車両の違法駐車車両が検出されていることが確認されると、違法駐車車両の特定を行うことを特徴とする違法駐車取締り方法を提供している。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、会員からの通報情報、固定カメラからの画像情報あるいは車載カメラからの画像情報のいずれか1つに基づいた違法駐車車両の情報が正しいか否かを他の情報で補完して確認しているので、誤った通報等をフィルタリングすることができ、違法駐車車両の特定精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
第1実施形態の違法駐車取締りシステムは、違法駐車確認機関あるいは放置車両確認機関である取締りセンター11と、取締りセンター11に登録された会員12が所持する携帯端末機13と、駐車禁止区域を含む路上に設置されたAVI(automatic vehicle identification)カメラからなる固定カメラ14と、路線バスBに搭載された車載カメラ15と、駐車監視員16が所持する専用端末機17とを備えている。なお、駐車監視員16とは、都道府県公安委員会から違法駐車車両の確認まで行う資格を与えられた専門員をいう。また、会員12とは、取締りセンター11に会員登録された一般市民をいう。
【0020】
携帯端末機13は、後述するように車両ナンバーと車種と駐車位置と車色等が違法駐車車両情報として入力可能になっており、取締りセンター11に通信ネットワークを介して送信可能としている。また、携帯端末機13に内蔵されたデジタルカメラで駐車車両Cを撮影して取締りセンター11に併せて送信する構成とすれば確証性が向上して好適である。
【0021】
固定カメラ14は、駐車禁止区域を含む路上の上流位置と下流位置に設置されており、路上を通過する車両を撮影した画像情報を取締りセンター11に通信ネットワークを介して送信している。なお、送信上流位置の固定カメラ14と下流位置の固定カメラ14との間の道路に分岐路がないことが好ましい。
車載カメラ15は、路線バスBの外部に路上を撮影可能に取り付けており、運行中に路上の様子を撮影した画像情報を取締りセンター11に通信ネットワークを介して送信している。また、路線バスBにはGPS受信機(図示せず)が搭載され、該画像と共に車載カメラ15の撮影位置についても併せて送信している。
【0022】
取締りセンター11には、図2に示すように、携帯端末機13や固定カメラ14や車載カメラ15や専用端末機17と通信ネットワークを介して接続されるサーバからなる違法駐車取締り装置10を備えている。
違法駐車取締り装置10は、違法駐車車両情報受信手段40と、違法駐車車両の特定を行う違法駐車管理手段20と、駐車監視員16の専用端末機17とデータ通信を行う駐車監視員I/O部24と、警察等に確認された違反情報の伝送を行う警察I/O部25とを備えている。また、違法駐車車両情報受信手段40は、携帯端末機13からの違法駐車車両情報を受信する会員I/O部21(会員通報受信手段)と、固定カメラ14からの画像情報を受信する固定カメラI/O部22(固定カメラ情報受信手段)と、車載カメラ15からの画像情報を受信する車載カメラI/O部23(車載カメラ情報受信手段)とを備えている。
【0023】
違法駐車管理手段20は、情報判定手段26と、会員管理部27と、固定カメラ用情報抽出手段28と、車載カメラ用情報抽出手段32と、違法駐車特定手段36と、交通渋滞管理手段37と、違法駐車確認手段38とを備えている。
情報判定手段26は、会員I/O部21で受信した携帯端末機13からの違法駐車車両情報を受信して、所定の会員12からのデータであるか、所定のデータが入力されているか等を判定し、車両ナンバー、車種、駐車時間、駐車位置、車色等の違法駐車車両情報を違法駐車特定手段36に送信している。
会員管理部27は、会員12の個人情報を記憶していると共に、会員12ごとに通報履歴や検挙に繋がった件数等の会員実績を保存したメモリとしている。
【0024】
固定カメラ用情報抽出手段28は、画像分析手段29と、時間取得手段30と、位置取得手段31とを備えている。画像分析手段29は、固定カメラI/O部22で受信した画像情報から文字認識等の画像処理を行って車両ナンバーを自動認識する。時間取得手段30は、画像受信時刻より駐車時間を算出する。位置取得手段31は、固定カメラ14の設置位置の情報より画像に映った位置を特定する。そして、固定カメラ用情報抽出手段28は、画像分析手段29で取得された車両ナンバー、時間取得手段30で算出された駐車時間、位置取得手段31で特定された駐車位置の情報を違法駐車特定手段36に送信している。
【0025】
車載カメラ用情報抽出手段32は、前記同様に、画像分析手段33と、時間取得手段34と、位置取得手段35とを備えている。画像分析手段33は、車載カメラI/O部23で受信した画像情報から文字認識等の画像処理を行って車両ナンバーを自動認識する。時間取得手段34は、画像受信時刻より駐車時間を算出する。位置取得手段35は、車載カメラ15が搭載された路線バスBのGPS情報より画像に映った位置を特定する。そして、車載カメラ用情報抽出手段32は、画像分析手段33で取得された車両ナンバー、時間取得手段34で算出された駐車時間、位置取得手段35で特定された駐車位置の情報を違法駐車特定手段36に送信している。
【0026】
違法駐車特定手段36は、情報判別手段26から受信した違法駐車車両情報の車両ナンバーや駐車位置や駐車時間等に関する情報に基づいて、固定カメラ用情報抽出手段28や車載カメラ用情報抽出手段29でも同一の車両が違法駐車として検出されていないかを確認する。即ち、会員12の携帯端末機13から通報された違法駐車車両Cが誤報でないかを確認するため、固定カメラ14あるいは/および車載カメラ15でも同一車両が違法駐車として検出されているかを照合する。そして、同一車両が違法駐車として検出されていた場合には、当該車両の車両ナンバー、車種、駐車位置、駐車時間等の違法駐車車両情報を駐車監視員I/O部24に送信する構成としている。なお、違法駐車特定手段36は後述する交通渋滞管理手段37で取得された渋滞度の高い駐車禁止区域から優先的に違法駐車車両の特定を行う構成としている。
【0027】
交通渋滞管理手段37は、固定カメラ用情報抽出手段28や車載カメラ用情報抽出手段32からの情報に基づいて道路上の渋滞状況を把握し、各位置の渋滞度を算出している。例えば、固定カメラ14の場合には、単位時間あたりの車両の空間占有率(密度)や、走行速度等を計測することによって、渋滞度を算出すればよい。また、車載カメラ
15を搭載した車両が一定区間を走行するのに要した旅行時間を利用して渋滞度を求めてもよい。
また、渋滞度の目安としては、区間速度が0〜10km/hの時に「渋滞」、10〜20km/hの時に「混雑」、20km/h以上の時に「空き」と判定するとよい。この際、区間速度は区間長を計測旅行時間の平均値で除算することで求めるとよい。
【0028】
駐車監視員I/O部24は違法駐車特定手段36で特定された違法駐車車両の情報を駐車監視員16の所持する専用端末機17に送信する一方、駐車監視員16の専用端末機17から違法駐車車両の確認情報を受信する。
違法駐車確認手段38は、駐車監視員I/O部24から確認情報を受信すると、当該確認情報の車両ナンバー、駐車位置、駐車時間等を警察I/O部25に送信すると共に、当該確認情報を会員管理部27に送信する。
警察I/O部25は、駐車違反の車両ナンバー、駐車位置、駐車時間等を警察に通信ネットワークを介して送信することができる。
【0029】
次に、駐車違反取締り装置10の動作について説明する。
まず、処理の流れを図5に基づいて説明すると、会員12が違法駐車車両を発見して携帯端末機13で違法駐車車両情報を送信して取締りセンター11に通報する(ステップS1)。
【0030】
この際、携帯端末機13の入力の一例を説明すると、図9に示すように、携帯端末機13の画面上で「地図を表示します」のメッセージが表示された画面G1のOKボタンをクリックすると、ポーリング情報のほか、GPS情報、交差点名称や道路名を示す標識の撮影画像の画像処理結果、交差点名称や道路名のテキスト情報の入力等に基づいて携帯端末機13の存在地周辺の地図の取得処理を行う。該処理中には「カーソルを移動して違反車両の位置を設定してください」のメッセージを表示する待ち受け画面G2を表示しており、地図の取得がなされると地図画面G3に遷移する。なお、地図画面G3の表示エリアはユーザにより微調整可能としている。この画面G3上で駐車位置にカーソルを合わせてクリックすると、駐車位置情報が取締りセンター11に送信されると共に、車両情報入力画面G4に遷移する。該画面G4には車番入力部と、車体色入力部と、車種入力部とを設けており、例えば、車番入力部には車両ナンバーをテキストで入力し、車体色入力部はクリックすると色選択画面G5に遷移し、車種入力部はクリックすると車種選択画面G6、G7に遷移する。
以上のように車両情報を全て入力した後に取締りセンター11への送信処理を行う。
【0031】
取締りセンター11の違法駐車取締り装置10では、会員I/O部21を介して受信されて情報判別手段26で判別された車両ナンバー、車種、駐車時間、駐車位置、車色等の違法駐車車両情報を違法駐車特定手段36で取得し、交通渋滞管理手段37で取得される渋滞度の高い道路の駐車禁止領域に存在する車両から取締り対象車両に指定するよう選別を行う(ステップS2)。
【0032】
次いで、違法駐車特定手段36では、この違法駐車車両情報の車両が他の会員からの通報が既にあったか或いは違法駐車として取締り済みであるかを判定し(ステップS3)、Yesの場合にはステップS6までスキップする一方、Noの場合には固定カメラ用情報抽出手段28からの情報で同一車両が違法駐車として検出されているかの確認を行う(ステップS4)。
次いで、違法駐車車両位置が固定カメラ14が設置されていない場所であった場合等には、車載カメラ用情報抽出手段32からの情報で同一車両が違法駐車車両として検出されているかの確認を行う(ステップS5)。なお、以上の処理で同一車両が違法駐車車両として検出されていると認められなかった場合には、会員12からの情報が正当でないとみなして、図9の入力作業を再度促すようにするとよい。
【0033】
次いで、違法駐車特定手段36から駐車監視員I/O部24を介して駐車監視員16の専用端末機17に取締り地点の連絡を行う(ステップS6)。連絡を受けた駐車監視員16は現場に行って駐車車両の確認を行い、実際に駐車違反が確認された場合には、専用端末機17を使って違法駐車車両の確認情報を送信すると共に専用端末に蓄積する(ステップS7)。
違法駐車確認手段38では、前記確認情報を駐車監視員I/O部24から受信すると、会員管理部27の会員実績を更新する(ステップS8)。
【0034】
次に、固定カメラ14による違法駐車車両の検出について詳細に説明する。
図4に示したアルファベットA〜Rは路上に設置された固定カメラ14を表している。即ち、駐車禁止区域を含む道路の上流位置と下流位置の夫々に固定カメラ14を設置し、かつ、交差点の出口側の全ての分岐路に設置している。車両Cが図4中の経路を進行すると、固定カメラ14で撮影された画像情報に基づいて、固定カメラ用情報抽出手段28で以下のような記録が得られる。
A:14:12,{車両ナンバー},普通,1500cc,α社,青
H:14:14,{車両ナンバー},普通,1500cc,α社,青
E:14:16,{車両ナンバー},普通,1500cc,α社,青
なお、上記各項目は、左から固定カメラ番号、時刻、車両ナンバー、車種、排気量、メーカー、色を意味する。
その後、所定時間以内にF,L,Rのいずれの固定カメラでも上記車両が検出されなかった場合には、図中の領域Xに上記車両が存在することが特定され、領域Xが駐車禁止区域である場合に違法駐車車両を検出することができる。
【0035】
具体的には、図6に示すように、ある固定カメラ14からの画像情報を参照し(ステップS10)、固定カメラ用情報抽出手段28において該当する車両ナンバーの検出があるかどうか調べる(ステップS11)。検出が無かった場合には、類似の車両ナンバーで且つ車両の特徴が一致する車両があるかどうかを調べる(ステップS12)。前記車両が無かった場合には、車載カメラ15による検出処理に移行する。
一方、ステップS11で該当する車両の検出があった場合には、下流側の固定カメラ14での検知が無いかどうかを調べる(ステップS13)。検知が無かった場合には、上流側の固定カメラ14での検知があったかどうかを調べる(ステップS14)。検知があった場合には違法駐車特定手段36で駐車情報として登録し(ステップS15)、車載カメラ情報による検出処理に移行する。
【0036】
ステップS12において類似の車両ナンバーで且つ車両の特徴が一致する車両があった場合には、保留フラグを立てた上で(ステップS16)、駐車情報として登録し(ステップS16)、車載カメラ情報による検出処理に移行する。
ステップS13において下流側の固定カメラ14での検知があった場合には、上流側の固定カメラ14での検知時刻の方が新しいかどうかを調べ(ステップS17)、NOの場合には、車載カメラによる検出処理に移行する。一方、Yesの場合には、下流側の固定カメラ14で検知された時刻をリセットし、駐車情報として登録し(ステップS15)、車載カメラ15による検出処理に移行する。
【0037】
次に、車載カメラ15を用いた路上駐車検出の流れは、図7に示すように、車載カメラI/O部23で車載カメラ15からの画像を待ち受け(ステップS20)、画像を受信する(ステップS21)。駐車車両が検出された場合には(ステップS22)、違法駐車車両の位置を判定し(ステップS23)し、上流位置から今回の車両検出位置までの路上駐車情報を更新する(ステップS24)。即ち、上流側で駐車車両を検出してから今回検出した地点までは路上駐車がなかったということで当該区間の駐車管理情報をクリアする。そして、駐車違反の判定処理を駐車違反特定手段36において行う(ステップS25)。
【0038】
次に、駐車時間の算出について説明する。
上流側の固定カメラ14で車両Cを検出した時刻をts1、下流側の固定カメラ14で車両Cを検出した時刻をts2、違法駐車中の車両Cを車載カメラ15で最初に検出した時刻をtv1、最後に検出した時刻をtvm、違法駐車中の車両Cを会員12が通報した時刻あるいは駐車監視員16が最初に発見した時刻をtp1、会員12あるいは駐車監視員16が最後に検出した時刻をtpnとすると、各時刻は図11に示す時間軸上に並ぶ。即ち、
v1=min{tv1,・・,tvm}
vm=max{tv1,・・,tvm}
p1=min{tp1,・・,tpn}
pn=max{tp1,・・,tpn}
とする。
【0039】
ここで、
=min{tv1,tp1}
=max{tvm,tpn}
とした場合に、違法駐車判定閾値P(g,d,j)に対して、
−T>P(g、d、j)
を満たすときに、違法駐車と判定する。なお、違法駐車判定閾値P(g,d,j)は、違法駐車と判定される時間P(例えば、5分)を最小値とする、位置、時刻、交通状況をパラメータとする関数である。
【0040】
次に、図3に基づいて本実施形態の違法駐車取締りシステムの運用に関する相関関係について説明する。
取締りセンター11は、違法駐車車両の確認作業(業務)を請負い、警察から委託料を受けとると共に巡回実績に応じた費用を受け取る。会員12は、取締りセンター11に対して違法駐車車両の通報を行う代わりに、報酬や公共交通(路線バスBなど)の割引や情報提供を受ける。駐車監視員16は、駐車違反情報を受け取った後に違法駐車を確認する代わりに、給与あるいは報酬を受け取る。バス会社等は、路線バスBに車載カメラ15の画像や割引サービスや報酬などを提供する代わりに、円滑な交通や会員12への宣伝効果を得る。公安委員会あるいは裁判所は、駐車違反者に対して反則金あるいは罰金の支払命令をする。
【0041】
次に、図8に基づいて会員からサービス要求があった場合のフローについて説明する。
会員12からサービス提供の要求があった場合には(ステップS30)、取締りセンター11の会員管理部27の通報回数実績を参照し(ステップS31)、検挙あるいは確認に結びついた通報の実績の参照を行う(ステップS32)。そのうち最初の通報であった実績、即ち他の会員よりも早く通報した実績を参照し(ステップS33)、これまでに提供したサービス実績も参照した上で(ステップS34)、その実績ポイントに応じて現時点で提供可能なサービスを表示する(ステップS35)。
【0042】
以上の構成によれば、会員12からの情報を利用することにより、警察や駐車監視員16が頻繁に駐車禁止区域を巡回しなくても違法駐車車両を効率良く検挙(確認)することができ、費用および作業負担を軽減することができる。かつ、会員12からの情報に誤報があっても固定カメラ14や車載カメラ15からの情報を利用することで、正しい情報のみを判別することが可能となり、駐車車両の誤った検挙を防止することができる。
また、取締りセンター11の運営に際しては、バス会社等の広告を会員12に対して行うことで広告収入を得ることができる。一方、会員に対しては報酬やポイント還元や懸賞等を行うことで、会員へインセンティブを与えることができる。
【0043】
なお、前記実施形態では固定カメラ14や車載カメラ15から画像を取締りセンター11に送信しているが、画像分析手段29、33を固定カメラ14側および車載カメラ15側に設けてカメラ14、15側で画像処理を行い、車両ナンバーを送信するようにしてもよい。
【0044】
図11は第2実施形態を示す。
第1実施形態との相違点は、交通渋滞管理手段37に過去の交通渋滞履歴情報を有するデータベースを設け、該履歴情報から交通渋滞予測を行っている点である。
【0045】
交通渋滞管理手段37は、図11に示すように、データベースの交通渋滞履歴を参照して現在時刻からm時間後あるいはn分後に交通渋滞の平均状況を算出し、この予測された交通渋滞情報を違法駐車特定手段36に送信して、優先的に違法駐車取締りを行う構成としている。
即ち、前記構成とすれば、過去に渋滞した区域が同様に渋滞するだろうとの予測に基づいて違法駐車取締りを行うことができ、交通渋滞の予防を好適に行うことが可能となる。なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0046】
図12は第3実施形態を示す。
第2実施形態との相違点は、交通渋滞管理手段37のデータベースを参照して現在の交通状況に類似したデータを元に交通渋滞予測を行っている点である。
【0047】
即ち、現在の交通状況に最も近似した過去の交通状況をデータベースから選び、その近似データのm時間後あるいはn分後の交通状況をデータベースから選択することで交通渋滞予測を行い、この予測された交通渋滞情報を違法駐車特定手段36に送信して、優先的に違法駐車取締りを行う構成としている。なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施する場合、前記形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更を施してもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1実施形態の違法駐車取締り装置の運用イメージを示す図面である。
【図2】取締りセンターに設けられた違法駐車取締り装置を示すブロック図である。
【図3】相関関係を示すブロック図である。
【図4】固定カメラを用いた車両位置管理を説明する図面である。
【図5】違法駐車車両の特定手順を示すフローチャートである。
【図6】違法駐車車両の特定手順を示すフローチャートである。
【図7】会員からの通報情報の正誤を確認する手順を示すフローチャートである。
【図8】会員からサービス要求があった場合の手順を示すフローチャートである。
【図9】会員の携帯端末機の入力画面遷移を説明する図面である。
【図10】駐車時間の算出を説明する図面である。
【図11】第2実施形態の交通渋滞エリアの予測を説明する図面である。
【図12】第3実施形態の交通渋滞エリアの予測を説明する図面である。
【符号の説明】
【0049】
10 違法駐車取締り装置
11 取締りセンター
12 会員
13 端末
14 固定カメラ
15 車載カメラ
16 駐車監視員
17 専用端末機
20 違法駐車管理手段
21 会員I/O部(会員通報受信手段)
22 固定カメラI/O部(固定カメラ情報受信手段)
23 車載カメラI/O部(車載カメラ情報受信手段)
24 駐車監視員I/O部
25 警察I/O部
26 情報判定手段
27 会員管理部
28 情報抽出手段
32 違法駐車特定手段
33 交通渋滞管理手段
34 違法駐車確認手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会員が所持する端末機から違法駐車車両情報を受信する会員通報受信手段と、路上に設置された固定カメラからの情報を受信する固定カメラ情報受信手段と、路上を走行する移動体に設置された車載カメラからの情報を受信する車載カメラ情報受信手段と、から選択される少なくとも2種以上の違法駐車車両情報受信手段と、
前記違法駐車車両情報受信手段のいずれか1つから受信して違法駐車とされた特定車両が、他の違法駐車車両情報受信手段から違法駐車であることが受信されると、該特定車両を違法駐車車両とする違法駐車管理手段と、
を備えていることを特徴とする違法駐車取締りシステム。
【請求項2】
前記会員通報受信手段で受信する違法駐車車両情報は、少なくとも、
車両ナンバーあるいは/および車種からなる車両特定情報と、
駐車位置情報と、
駐車時間情報あるいは駐車時刻情報と、
を含むものである請求項1に記載の違法駐車取締りシステム。
【請求項3】
前記違法駐車管理手段は、前記固定カメラ情報受信手段あるいは/および車載カメラ情報受信手段で受信した画像情報を画像処理して前記車両を特定する画像分析手段と、画像受信時刻より駐車時間を取得する時間取得手段と、前記カメラの撮影位置より違法駐車車両位置を取得する位置取得手段とを備えている請求項1または請求項2に記載の違法駐車取締りシステム。
【請求項4】
前記固定カメラおよび前記車載カメラは、撮影した画像を画像処理して前記車両を特定する画像分析手段を備え、
前記違法駐車管理手段は、前記固定カメラおよび前記車載カメラから画像処理で特定された車両情報を受信する構成としている請求項1または請求項2に記載の違法駐車取締りシステム。
【請求項5】
前記固定カメラは駐車禁止区域を含む道路の上流位置と下流位置に設置している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の違法駐車取締りシステム。
【請求項6】
道路上の渋滞度を取得する交通渋滞管理手段を備え、
前記違法駐車管理手段は、前記交通渋滞管理手段で取得された渋滞度の高い駐車禁止区域から優先的に違法駐車車両を特定する手段を備えている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の違法駐車取締りシステム。
【請求項7】
前記交通渋滞管理手段は、過去の交通渋滞状況の履歴を保存するデータベースを有すると共に、該データベースを参照して現在時刻から所定時間経過後の交通渋滞状況を予測する機能を備え、
前記違法駐車管理手段は、該予測された交通状況において渋滞度の高い駐車禁止区域から優先的に違法駐車車両を特定している請求項6に記載の違法駐車取締りシステム。
【請求項8】
前記違法駐車管理手段は、前記会員通報受信手段に送信した会員の通報履歴を保存する会員管理部を備えている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の違法駐車取締りシステム。
【請求項9】
会員が所持する端末機からの違法駐車車両情報、路上に設置された固定カメラからの情報、路上を走行する移動体に設置された車載カメラからの情報のうち、いずれか1つの情報に基づいて違法駐車車両を検出し、
残りの他の情報からも同一車両の違法駐車車両が検出されていることが確認されると、違法駐車車両の特定を行うことを特徴とする違法駐車取締り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−268658(P2006−268658A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−88492(P2005−88492)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】