説明

遠心作用による、固い粉末状物質の選択的粒度分離装置、および、そのような装置の利用方法

【課題】従来例の不都合を解消した粒度分離装置等を提供する。
【解決手段】遠心作用で物質を細かい物質と粗い物質に分離する装置が、覆い(6)と、垂直軸に従い覆いに対し回転する、覆い内側のロータの周囲に並べられる翼(3)を備えた円筒形ロータ(2)と、翼を介しロータ中に流入する覆い内への気流供給手段と、覆い内でロータを取囲み、覆いに固定され方向変更可能な、気体をロータに向かわせる羽根と、粒子を羽根とロータ間に挿入する手段と、前記気流の排出及び運ばれる細かい物質排出の為の出口と、ロータ下の、運ばれず落ちた既定粒度を超える粒子の回収手段とを含み、回収手段が含む流動床式周辺システムの床が、ロータの軸の周りに、少なくとも羽根と、羽根とロータ間の中間スペース下に広がり、細かい物質と粗い物質の間に新たな分離を生み細かい物質を送り返すよう、流動床の水平方向切断面における流動化の為の気体速度が1m/秒未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心作用による、固い粉末状物質の選択的粒度分離装置、並びに、そのような装置の利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このタイプの装置は、気体の流れの中にある大量の粒子を二つの部分に分離することを可能にするが、該二つの部分とは、一つは定められた粒度未満の細粒の部分、もう一つは前記粒度を超える粗粒の部分である。
【0003】
そのような装置はまた、対応する産業界において「遠心式空気選別機」とも名付けられている。
【0004】
分離は、垂直軸型の円筒形ロータを用いて実現されるものであり、該ロータはその周囲に一定の間隔で並べられる翼を備え、そして該翼の間で粒子は対立する力を受けるが、該力とはすなわち、一方では、ロータの回転によって生まれ、またそれらの粒子を投棄(rejeter)することを目的とする遠心力であり、そして他方では、ロータの中心の方に吸い上げられる気体の速力によって生まれるもので、またそれらの粒子を気体とともに前記気体の出口の方へ運んで行くことを目的とする引き込み力である。{りんしょう てき がっぺいしょう}
【0005】
このように、遠心力は、最も大きい寸法の粒子に対してはより強いものであり、そして、引き込み力は、最も小さい寸法の粒子に対してより強いものであって、それにより、処理される物質の粒度の選択が実現される。定められた選択の粒度未満の寸法の物質は、したがって、気体とともに、前記気体の出口の方へ運んで行かれるが、一方、前記定められた粒度を超える寸法の物質は落下し、重力の作用で回収される。
【0006】
そのような高性能の分離装置は、とりわけ仏国特許発明第2642994号明細書あるいは仏国特許発明第2658096号明細書に記述されている。
【0007】
処理されるべき物質の供給は、ロータと連動している回転板によって物質が概して分散されて、重力の作用で上部から一度に実現されるか、または入って来る気体の中を浮遊している状態で実現されるか、または前述の二つの供給態様を組合せることによって実現することができる。
【0008】
現行技術で既知の器具において、定められた選択の粒度を超える寸法の物質の回収は、ロータの下に位置する、逆さにした円錐の形の漏斗を介して実現される。漏斗の壁は、水平の位置に対し、通例50°から60°の大きな勾配をもたなければならないが、これは、出口の方への、すなわち円錐の頂点への物質の重力による流出を保証するためである。この勾配は、完全な器具の高さの多くの部分に相当する、円錐形の漏斗の高さを決定する。この漏斗の高さは、このように低くすることができず、よって特定の設備において統合の問題を提起することになる可能性がある。
【0009】
そのうえ、この下方の漏斗の構造とかさのため、装置の上方部分にロータを機械化しなければならない。そのために、気体の出口のすぐ後に続いて曲管がくるが、これは、この曲管の上のロータのモータの位置決めを可能にするためである。この形態は、しかしながら、モータとロータとをつなぎ、曲管を貫通するのに十分な長さの回転シャフトを準備する必要がある。この曲管の内側で、回転シャフトは、その特殊な外側の被覆が磨耗に抗しなければならないカバーによって保護されなければならない。
【0010】
ただし、英国特許出願公開第943722号明細書から、前の世代の選別機が既知であり、該選別機は、粉末状の物質を、一つは細かい粒度の部分、もう一つは粗い粒度の部分である、二つの部分に分離することができ、そして、装置の高さを減らすために、小さな勾配の流動床式回収システムを用いて、物質の回収を教授している。
【0011】
このタイプの器具の別の不都合は、小さい寸法の粒と大きい寸法の粒との間の分離が完璧ではないことであり、前記定められた粒度未満の細かい粒の一部が、最も大きな粒と一緒に漏斗の中に落ちてしまう。
【0012】
粗い物質とともに投棄される前記細かい粒の割合は、一般的に「選択のバイパス」と呼ばれ、欠点となる。この欠点は、大きな粒に付着した細かい粒はロータによって投棄され、こうして漏斗の中に落ちるというグループ効果の結果、さらには装置への粉末状の物質の不適切な供給の結果でありうる。





【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、前述の不都合の全てあるいは一部を克服することを対象とする。
【0014】
より特徴的には、本発明の目的は、選択のバイパス、すなわち粗い物質とともに投棄される細かい物質の割合を減らすことを可能にするような装置、さらに方法を提案することである。
【0015】
本発明の別の目的は、かさの高さが制限される、粒度分離装置を提案することでありうる。
【0016】
本発明の別の目的は、ロータのモータの構造がかなり単純化されるような装置を提案することでありうる。
【0017】
他の目的と利点は、続く説明の間に明らかになるが、該説明は例示的なものであり、本発明を制限する趣旨のものではない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は第一に、遠心作用によって物質を細かい物質の部分と粗い物質の部分である二つの部分に分離するのに適した、固い粉末状の物質の選択的粒度分離装置に関するものであり、該装置は以下を含むものである:
−覆い、
−垂直軸にしたがって前記覆いに対して回転する、前記覆いの内側にある、ロータの周囲にわたって並べられる翼を備えた、円筒形ロータ、
−前記翼を介して前記ロータの中に入ってくる、前記覆いの中への気体の流れの供給手段、
−前記覆いの内側にあり、そして前記ロータを取り囲み、前記覆いに対して固定された、場合によっては方向を変え、そして入ってくる前記気体の流れが通過することができるよう翼と向き合って同軸上に配置される、一連の羽根、
−前記覆いへの選別すべき固い物質の挿入手段、
−前記気体の流れの排出と、運んで行かれる細かい物質の排出を可能にする、ロータの出口、
−前記ロータの下にある、運んで行かれない落ちた粗い物質のための回収手段。
【0019】
本発明によると、前記回収手段は、流動床式の周辺システムを含み、該システムの床は、前記円筒形ロータの軸を中心にして、少なくとも前記羽根の下と、前記羽根と前記ロータとの間に含まれる中間スペースの下に広がるものであり、流動床の水平方向の切断面における、流動化(fluidisation)のための気体の速度は、1m/秒未満であり、これは細かい物質と粗い物質の間に新たな分離を生じさせるようにするためで、該分離によって、前記細かい物質は、前記羽根と前記ロータの間の中間スペースに送り返される。
【0020】
本発明はまた、本発明にかなった粒度分離装置の利用方法にも関するものであり、該利用方法において、粉末状の物質の一部が、装置の羽根とロータの間の前記覆いに挿入され、そして該粉末状の物質の一部は、一方では、装置のとりわけ上方の、出口の方に、ロータを介して入ってくる前記気体の流れによって運んで行かれる、定められた粒度未満の粒子の寸法の細かい物質の部分と、そして他方では、ロータによって装置の前記回収手段へと投棄される、前記定められた粒度を超える粒子の寸法の粗い物質の部分とに分けられ、該方法において、流動床の水平方向の切断面における流動化のための空気の平均速度は、1m/秒未満、かつ前記定められた粒度未満の粒子の割合を投棄において最小にするようにして決定される。
【0021】
本発明は、添付の図面を伴う、続く説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、現行技術の粒度分離装置の概略図である。
【図2】図2は、一つの実施態様にしたがった、本発明にかなった粒度分離装置の図である。
【図3】図3は、第二の実施態様にしたがった、本発明にかなった装置の概略図である。
【図4】図4は、図1による現行技術の設備についての、粒子の直径に応じた投棄率を示したグラフである。
【図5】図5は、第三の実施態様にしたがった、本発明にかなった装置の概略図である。
【0023】
図1は、現行技術の分離装置を示す図である。
【0024】
この装置1’は、その内側にある周囲に翼3’を備えるロータ2’が垂直回転軸にしたがって回転することができる、覆い6’を含む。
【0025】
一連の羽根7’は、翼と向かい合うようにしてロータ2’を取り囲む。羽根は、気体の流れを翼3’の方向に、ロータの中心へ導くことを可能にする。羽根は垂直軸にしたがってピボットを備えており、該ピボットは、ロータに達する気体の速度をロータの回転速度に適合させるために、羽根の向きを調整するために羽根を動かすことを可能にする。
【0026】
すべての案内羽根のピボットは、すべての羽根をロータの周辺の表面に対して同じ角度で同時に方向づけることを可能にする、同じ装置につながっている。
【0027】
装置のロータと羽根の下に配置される漏斗10’は、ロータによって投棄された落ちた物質の回収を可能にするが、一方で吸い上げられる気体によって運んで行かれる物質は出口9’から排出される。
【0028】
この出口9’のすぐ後に続いて曲管90’があるが、これは、この曲管の上にあるロータのモータの位置決めを可能にするためのものである。ロータとそのモータ(非表示)に同時に属する回転シャフト21’は、この曲管を貫通し、内側でカバー22’によって保護される。
【0029】
装置の気体供給は、覆い6’並びに、漏斗10’を組み入れながら前記覆い6’を下方に延長する、垂直のカバー5’によって実現される。
【0030】
選別すべき物質は、供給される気体の流れの中を浮遊している状態であっても、またはロータの上部の挿入ポイント8’に注がれてもよい。
【0031】
図1で確認することができるように、現行技術によると漏斗10’は装置の高さの多くを占めており、つまりは、高さのかさを増すことに寄与している。
漏斗は、更に、ロータ2’の上にモータを位置決めすることを余儀なくさせる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、遠心作用による、固い粉末状物質の選択的粒度分離装置1に関するものであり、該装置は以下を含むものである:
−覆い6、
−垂直軸にしたがって前記覆いに対して回転する、前記覆いの内側にある、ロータの周囲にわたって並べられる翼3を備えた、円筒形ロータ2、
−前記翼3を介して前記ロータ2の中に入ってくる、前記覆い6の中への気体の流れの供給手段、
−前記覆い6の内側にあり、そして前記ロータ2を取り囲んでおり、前記覆いに対して固定された、場合によっては方向を変え、そして入ってくる前記気体の流れが通過することができるように翼と向き合って同軸上に配置される、一連の羽根7、
−前記覆い6への選別するべき固い物質の挿入手段、
−とりわけ前記ロータ2の上方にあり、とりわけ、前記ロータの内側で上昇する気体の流れを生み出すように、前記気体の流れの供給手段に対して案配され、とりわけ上昇する前記気体の流れの排出と、運んで行かれる細かい物質の排出を可能にする、出口9、
−前記ロータ2の下にある、運んで行かれない落ちた粗い物質のための回収手段10。
【0033】
羽根7が覆い6に対して固定されているということから、該羽根がロータの翼3と共に回転しないことを意味する。しかしながら、これらの羽根は、ロータに達する気体の速度を前記ロータの回転速度に適合させるために、場合によっては方向を変えることができる。
【0034】
そのために、羽根7は垂直軸にしたがってピボットを備えることができるが、すべての案内羽根のピボットは、すべての羽根を、ロータの周辺の表面に対して同じ角度で、同時に方向づけることを可能にする同じ装置につながっている。
【0035】
本発明によると、前記回収手段10は、流動床式の周辺システムを含み、該システムの床は、前記円筒形ロータ2の軸Aを中心にして、少なくとも前記羽根7の下と、前記羽根7とロータ2の間に含まれる中間スペースの下に、広がるものである。
【0036】
更に、選択のバイパスを減らすために、流動床の水平方向の切断面における流動化のための気体の速度は、1m/秒未満であり、とりわけ30mm/秒と50mm/秒の間に含まれるが、これは細かい物質と粗い物質の間に新たな分離を生じさせるようにするためで、該新たな分離のために、前記細かい物質は、前記羽根7と前記ロータ2の間の中間スペースに送り返される。
【0037】
図示されるように、図2の例によると、流動床式の周辺システムは、周辺通路を形成する槽11を含むことができ、前記通路の底部は、空気の吹込み手段16、17、18を有する。
【0038】
ほぼ水平の平面における前記槽11は、このようにして集められた細粒状の物質のために前記流動床を作り上げるように製造される。
【0039】
空気の吹込み手段は、くもの巣(toile)のような、多孔質の壁18の形状を取ることができるが、該多孔質の壁は、気体供給16機能を備えるプレナム17の下方に前記槽の底部を定義する。
【0040】
選択的に、空気の吹込み手段は、とりわけ金属製であり、前記槽の底部に並べられ、気体供給機能を備えたプレナムの前にある、複数のパイプの形状を取ることができる。
【0041】
前記槽の周辺通路は、多角形の外形にしたがって、端と端が合わされた、一連のまっすぐな樋(gouttieres)から成ることができる。
【0042】
本装置は、前記槽の中に回収される物質を、一つまたは複数の回収管22に放出するための手段をもつことができる。そのために、これらの手段は、溢流口、排水装置、抜取り手段、あるいは他の形状を取ることができる。
【0043】
非表示の一例によると、多角形のそれぞれのまっすぐな樋は、わずかな傾斜を有することもでき、通路の一区間は、そのとき、こうして同数のエアシュート(aeroglisieres)を構成する。細粒でできた物質を集めるために、それぞれの前記エアシュートの下に回収管を準備することができる。
【0044】
別の実施態様によると、図2で示されるように、それは周辺通路の内側にある回収管22である。この例によると、物質は、溢れ出ることによってあるいは溢流口によって、周辺通路から排出される。
【0045】
一つまたは複数の回収管22は、図2で示されるように、このように周辺通路の内側に位置することもできるし、周辺通路上にとりわけ多角形の角に位置決めされることもできるし、あるいはまた周辺通路の外側に準備されることもできる。
【0046】
一旦物質が回収管22の中に集められると、該物質は、運搬装置23によって排出されることができる。運搬装置23は、エアシュートであることもできるし、あるいはまた、アルキメディアンスクリュー (vis d’Archimed)、チェーンコンベヤ、振動シュート(couloir vibrante)、ベルトコンベヤ、あるいは他、のような機械仕掛けのコンベヤであることもできる。
【0047】
有利には、回収手段10の出口14は、ロータの位置に対してより短い垂直距離にあることが可能である。
【0048】
前記覆い6に供給される物質は、入ってくる気体の流れとともに、浮遊している状態で運ばれて来ることができる。選択的にまたは追加的に、供給される物質は、重力を用いた方法よってロータの上に運ばれて来ることができ、そしてロータの回転と連動している回転板24によって散らされることができる。いずれの場合においても、供給される物質は、羽根とロータの翼の間の、選択の大部分が行われる領域に大量に到着する。
【0049】
次に、図2と図3の例を記述する。
【0050】
図2の例は、垂直軸Aを有する円筒形の形状のロータ2を含み、該ロータはその周囲に一定の間隔を空けて並べられている翼3を備えている。ロータ2は、粒子を積んだ(charge)気体の流れが通過するが、該気体の流れは、該ロータの側面から入り込み、そして軸方向に、出口9に向かって、ロータの上方の基部の中心に出て行く。もう一つの下方の基部25は、完全に閉まっている。
【0051】
ロータ2は、垂直シャフト26を介して、一連のモータによって、動かされる。
【0052】
ロータ2の回転の効果によって、粒子は、翼3を介してその進入を妨げる遠心力を受けるが、一方で、気体の速力は、粒子を中心の方へ運んで行く引き込み力を与える。二つの力の均衡は、最も細かい粒子が出口9の方へ気体とともに運んで行かれる一方で、粗い粒子がロータによって投棄されて落ちて回収手段10によって回収される、というようなものである。
【0053】
本発明によると、回収手段10は、流動床式の周辺システムを含み、該システムの床は、少なくとも羽根7の下と、前記羽根7と装置のロータ2の間に含まれる中間スペースの下に円筒形ロータ2の軸Aを中心にして広がるものである。床を作ることで、羽根7とロータの翼3との間の前記中間スペースがこのようにすっかり覆われるが、この中間スペースから、ロータによって投棄された、運んで行かれない物質の大半が落ちる。
【0054】
ロータ2は、一定の間隔を空けて並べられ、仮想の円筒形状にしたがって配置される垂直な羽根7の列によって取り囲まれる。これらの羽根は垂直軸にしたがってピボットを備えており、該ピボットは、ロータに達する気体の速度をロータの回転速度に適合させるために、羽根の向きを調整するために羽根を動かすことを可能にするものである。すべての羽根7のピボットは、すべての羽根をロータの周辺の表面に対して同じ角度で同時に方向づけすることを可能にする、同じ装置につながっている。
【0055】
ロータ2はまた、周囲の翼3とシャフト26との間に位置する翼27も備えており、該翼は、周囲の翼3から出る気体の流れを出口の孔へと導くのに用いられ、このようにしてロータの内側で渦が形成されるのを避ける。
【0056】
ロータ2へ供給される物質は、上方にある挿入点81から運んで来られ、そして回転板24によって散らされる。粉末状の物質の一部も同様に、気体の流れ51とともに運んで来られることができる。散らされる物質、あるいはまた気体の流れの中を浮遊している物質は、大半が、羽根とロータの間にある中間スペースにおいて選別される。
【0057】
図2のこの例によると、気体の流れの供給手段は、前記覆い6並びに、前記覆い6を下方に延長する垂直のカバー5から成る。覆い/カバーの全体は、このように、下方から上方へと、前記回収手段10並びに、羽根7/円筒形ロータ2の全体を包含する。図2のこの例によると、回収手段10は、周辺通路を形成する槽を含み、該周辺通路は、端と端が合わされた、まっすぐな樋の連続から成る。この非限定的な例によると、流動床の細粒状の物質の排出は、溢流口から行われる。図示されるように、前記槽の外側の縁21は、内側の縁20よりも高い位置にあり、前記内側の縁は、回収管22への物質の排出縁となる。回収管22は、例えばエアシュートのような、全体として水平に運搬する装置23を使って物質を排出する。
【0058】
図3の例は、気体の流れの供給手段の形状が、図2の例のものと異なる。
【0059】
図3のこの例によると、前記気体の流れの供給手段は、羽根7/円筒形ロータ2の全体を取り囲む前記覆い6から成るが、とりわけメンテナンスの場合に、自由にアクセスできるようになっている前記回収手段10は除かれる。前記羽根7は、円筒形ロータ2の軸Aに同軸の仮想的な円筒の側面を具現する。前記覆い6の内側壁と前記仮想的な円筒の側面との間で定義される立体空間は、渦室を形成する。
【0060】
図3の装置のその他の構成要素は、図2の構成要素と同様である。渦室の横断面は、ロータの軸を横切るそれぞれの半径方向の平面において、始まりとして気体の供給口61を有する中心角に応じて、とりわけ直線状に、だんだん小さくなっていくことができる。
【0061】
気体の流れの中に浮遊している状態で供給される粉末状の物質の場合、渦室の外側壁を形成している覆い6は、水平な位置に対して30°以上の角度の傾いた下方の壁64の断面と、垂直な上方の壁65の断面との二重の傾斜を有することができる。
【0062】
傾いた下方の壁64は、その勾配によって、粉末状の物質の堆積、並びに渦室において沈滞物質の層の形成を避けることを可能にする。
【0063】
有利には、図5に示される実施態様によると、流動床式の周辺システムは、前記システムに、ロータを下側で機械化することを可能にする内側のスペース30を残すことを可能にし、その利用は、上方を機械化するよりもはるかに単純である。
【0064】
この特徴によると、高さのかさは、長さが短い回転シャフト26のおかげで、さらに制限することが可能であることが注目される。この例によると、前記槽11の周辺通路を形成するさまざまな一区間は、一つまたは複数の勾配を呈することができ、該勾配の下には、前述のように、物質の一つまたは複数の回収管が準備されることができる。
【0065】
本発明の利点は、バイパスを減らす目的において、回収手段、より特徴的には流動床の配置と機能形態にある。
【0066】
このように、有利には、水平方向の切断面における流動床の気体の速度は、1m/秒未満、とりわけ30mm/秒と50mm/秒の間に含まれることができるが、これは、粗い投棄物と共に運ばれる最も細かい粒子の量を最小にするようにするためである。
【0067】
流動化のための空気のこの平均速度は、新たな選別(新たな分離)が起こるように決定されるが、該新たな選別においては、定められた粒度未満の寸法の最も細かい粒のみが、通路から逃れる空気によって運んで行かれ、そして装置の翼と羽根の間の中間スペースに入り込む気体流の流れに送り返される。このように、ロータによって選択の第一プロセスの間に投棄された、最も細かい粒の一部は、ロータの前の、選別領域に戻ることができる。
【0068】
もし反対に、この流動化のプロセスにおいて、定められた選択の粒度を超える寸法の粗いサイズの粒が、通路から逃れる空気の流れによって運んで行かれようとも、これらの粒は、改めて選別のプロセスを受け、ロータによって投棄されることとなり、器具の性能のいかなる劣化の危険性も持ち込まない。このように、本発明はまた、本発明による、遠心作用による固い粉末状物質の選択的粒度分離装置1の利用方法にも関するものであり、該利用方法において粉末状の物質の一部が、装置の羽根とロータの間の前記覆い6に挿入され、そして該粉末状の物質の一部は、一方では、装置のとりわけ上方の、出口の方に、ロータを介して入ってくる前記気体の流れによって運んで行かれる、定められた粒度未満の粒子の寸法の細かい物質の部分と、そして他方では、円筒形ロータによって投棄され、装置の前記回収手段に落ちる、前記定められた粒度を超える粒子の寸法の粗い物質の部分とに分けられる。
【0069】
本発明の方法によると、流動床の水平方向の切断面における流動化のための空気の平均速度は、1m/秒未満、かつ前記定められた粒度未満の粒子の割合を投棄において最小にするようにして決定される。
【0070】
当然、他の実施態様も、以降に記述される請求項によって定義される本発明の趣旨を逸脱することなく、利用されることができるであろう。
【符号の説明】
【0071】
1’ 装置
2’ ロータ
3’ 翼
5’ カバー
6’ 覆い
7’ 羽根
8’ 挿入点
9’ 出口
10’ 漏斗
21’ 回転シャフト
22’ カバー
90’ 曲管
1 選択的粒度分離装置
2 ロータ
3 翼
5 カバー
6 覆い
7 羽根
9 出口
10 回収手段
11 槽
14 出口
16、17、18 空気の吹込み手段
17 プレナム
18 多孔質の壁
20 内側の縁
21 外側の縁
22 回収管
23 運搬装置
24 回転板
25 下方の基部
26 垂直シャフト
27 翼
30 スペース
51 気体の流れ
61 気体の供給口
64 下方の壁
65 上方の壁
81 挿入点
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】仏国特許発明第2642994号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2658096号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第943722号明細書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心作用によって物質を細かい物質の部分と粗い物質の部分である二つの部分に分離するのに適した、固い粉末状の物質の選択的粒度分離装置(1)であり、該装置は:
−覆い(6)、
−垂直軸にしたがって前記覆いに対して回転する、前記覆いの内側にある、ロータ(2)の周囲にわたって並べられる翼(3)を備えた、円筒形ロータ(2)、
−前記翼(3)を介して前記ロータ(2)の中に入ってくる、前記覆い(6)の中への気体の流れの供給手段、
−前記覆い(6)の内側にあり、そして前記ロータ(2)を取り囲み、前記覆いに対して固定された、場合によっては方向を変え、そして入ってくる前記気体の流れが通過することができるよう翼(3)と向き合って同軸上に配置される、一連の羽根(7)、
−羽根(7)と前記ロータ(2)の間の前記覆い(6)への選別すべき固い物質の挿入手段(8)、
−前記気体の流れの排出と、運んで行かれる細かい物質の排出を可能にする、ロータ(2)の出口(9)、
−前記ロータ(2)の下にある、運んで行かれない落ちた粗い物質のための回収手段(10)を含むものであり、
前記回収手段(10)が、流動床式の周辺システムを含み、該システムの床が、ロータ(2)の軸(A)を中心にして、少なくとも前記羽根(7)の下と、前記羽根(7)と前記ロータ(2)との間に含まれる中間スペースの下に広がるものであり、流動床の水平方向の切断面における、流動化のための気体の速度が、1m/秒未満であり、これは細かい物質と粗い物質の間に新たな分離を生じさせるようにするためで、該分離によって、前記細かい物質が、前記領域と前記ロータの間の中間スペースに送り返されることを特徴とする、選択的粒度分離装置。
【請求項2】
前記流動床式の周辺システムが、周辺通路を形成する槽(11)を含み、前記通路の底部は、空気の吹込み手段(16、17、18)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
周辺通路が、多角形の外形にしたがって、端と端を合わされた、一連のまっすぐな樋から成ることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
吹込み手段が、くもの巣のような、多孔質の壁(18)の形状を取り、該多孔質の壁が、気体供給(16)機能を備えたプレナム(17)の下方に前記槽(11)の底部を定義するものであることを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
複数のパイプが、気体供給機能を備えたプレナムの下方に、前記槽の底部に並べられることを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項6】
前記槽の中に回収される物質を、一つまたは複数の回収管(22)に排出するための手段をもつことを特徴とする、請求項2から5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記回収管(22)が、エアシュート、アルキメディアンスクリュー、チェーンコンベヤ、振動シュート、ベルトコンベヤ、あるいは他のような運搬装置(23)を使って物質を排出することを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
1m/秒未満である流動床の水平方向の切断面における流動化のための気体の速度が、30mm/秒と50mm/秒の間に含まれることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
前記気体の流れの供給手段が、前記覆い(6)並びに、前記覆いを下方に延長する垂直のカバー(5)から成り、覆い/垂直のカバーの全体が、下方から上方へと、前記回収手段(10)並びに、羽根(7)/円筒形ロータ(2)の全体を包含することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
前記気体の流れの供給手段が、前記回収手段(10)を除いて、羽根(7)/円筒形ロータ(2)の全体を取り囲む前記覆い(6)から成り、気体の供給が横から成され、そして、前記羽根(7)が、前記円筒形ロータの軸(A)に同軸の仮想的な円筒の側面を具現し、前記覆い(6)の内側壁と前記仮想的な円筒の側面との間で定義される立体空間が、渦室を成すことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
渦室の外側壁を形成している前記覆い(6)が、水平な位置に対して30°以上の角度の傾いた下方の壁(64)の断面と、垂直な上方の壁(65)の断面との二重の傾斜を有することを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
ロータのモータ手段が、前記ロータより下に位置決めされることを特徴とする、請求項10または11に記載の装置。
【請求項13】
出口(9)がロータ(2)の上方にあり、前記ロータ(2)の内側で上昇する気体の流れを生み出すように、前記気体の流れの供給手段に対して案配されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一つに記載の装置。
【請求項14】
選択的粒度分離装置(1)の利用方法であり、粉末状の物質の一部を、装置の羽根とロータの間の前記覆い(6)に挿入し、そして該粉末状の物質の一部が、一方では、装置(1)のとりわけ上方の出口(9)の方にロータを介して入ってくる前記気体の流れによって運んで行かれる、定められた粒度未満の粒子の寸法の細かい物質の部分と、そして他方では、円筒形ロータによって前記装置の前記回収手段に投棄される、前記定められた粒度を超える粒子の寸法の粗い物質の部分とに分けられ、該方法において、流動床の水平方向の切断面における流動化のための空気の平均速度が、1m/秒未満、かつ前記定められた粒度未満の粒子の割合を投棄において最小にするように決定されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一つに記載の固い粉末状物質の選択的粒度分離装置の利用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−516231(P2012−516231A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546905(P2011−546905)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000065
【国際公開番号】WO2010/086528
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(509140467)
【氏名又は名称原語表記】FIVES FCB
【Fターム(参考)】