説明

遠隔イメージセンサ身代わり空間特性分析のための方法及びシステム

【課題】身代わり空間特性分析、即ち、遠隔イメージセンサーの遠隔地への配備後の特性分析ためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】遠隔感知センサの身代わり空間特性分析のためのシステムであって、以下を備える該システム:複数の反射ミラーであって、該ミラーは、放射線源から遠隔地の放射センサーへ放射線を反射するように設計及び配置され、前記遠隔地の放射センサー上で複数の固有スポットイメージを得られるように前記複数のミラーは離れて位置している該ミラー;及びプロセッサであって、前記イメージをフィッティングさせることにより前記複数のスポットイメージを分析し、前記遠隔感知センサのポイント拡大関数を得るために構築された該プロセッサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、概してセンサ特性分析に関する。特には、遠隔イメージセンサの身代わり(vicarious)空間特性分析のための方法及びシステムに関する。遠隔イメージセンサの身代わり特性分析は、遠隔地へイメージセンサを配置した後で、イメージセンサの特性分析を行うことを意味する。
【背景技術】
【0002】
地理空間的調査、観察、ターゲット認識、及び他の応用のための空中及び空間遠隔感知システムの使用が増大している。例えば、遠隔感知システムは、味方(友)と敵の軍事ターゲットとの区別・認識(ターゲット認識)、薬物の作用、テロ活動、損害評価、及び自然災害に対応するための非常用経路の区別・認識を行うために使用するのみならず、気候変化、地理形態学、及び化学、水文学、草植物の健康における人間又は自然の影響を検出するために使用することができる。
【0003】
観察対象の物理的性質を定量することを意図して遠隔感知システムが動作するために、遠隔感知システムによって得られたイメージデータ及び観察対象の物理的性質を定量的に結びつける。従って、遠隔感知システムの提供者は、ユーザー・コミュニティが課してきた安定性及び正確性に関する要求(センサーのスペクトルの、空間の、及び放射分析の性能を定義及び確認し、そして、データ開発のための信頼のレベルを次第に確立すること)に取り組むために、充分な方法を提供するべく努力している。
【0004】
モノクロ及び多重スペクトル感知システムの発展は続いており、対象となるターゲットの殆どが数個だけのピクセル内、又は更にはサブピクセル内だけ(即ち、ターゲットのイメージ・エリアがピクセル・エリア未満)に含まれるという事実に対応して、空間解像度を上昇させる方向へと発展し続けている。一般的に、各イメージは複数のピクセルで構成されており、ここで、放射線は、物理的な中身を測定するために分析される各ピクセル毎に感知される。そして、各イメージは、ピクセルエリアにおいて含まれるターゲットから構成を構成する。しかし、小さなターゲットに関しては、光学的回折、電子的読み出し、センサーの動き、大気散乱、又はこれらの任意の組合せ、並びに他の潜在的な自然現象又は技術的な課題が原因となるぼやけたスポットにより、ターゲットから空間的に切り離された近くのピクセルに光をスメア状(smear)に不鮮明なものとしてしまい、従って、対象物のイメージを不鮮明にしてしまう可能性がある。多重スペクトルの、及びハイパースペクトルのセンサーは、複数のスペクトル帯(例えば、数十〜数百)にわたってイメージデータを収集し、ここで、ぼやけやスメアの影響は波長に伴って変化しうる。
【0005】
その結果、効果的な小さなターゲットを達成できるように、空間性能(即ち、センサーポイント拡大関数(point spread function))に関する知見は、一部補正方法として応用される。従って、空中及び空間イメージングシステムの動作における1つの要素として、打ち上げ又は飛行前の地上におけるセンサーの補正がある。しかし、イメージングシステム内の物理的なコンディション、イメージングシステムと、所望のターゲット又は対象物との間の大気におけるコンディションは、補正値からずれるような方法で、実験室(研究室)での補正設定から変化する可能性がある。従って、実験室での地上のセンサー特性分析は疑わしく、センサーを配備して初めて確かなものとなる。センサーの配備後の特性評価、又はセンサーの身代わり特性分析により、センサーの特性に関する絶対的な情報を提供し、実験室又は地上ベースでの特性分析の有効性を確認することができ、又はセンサー配備後に生じうる幾つかのコンディションを考慮に入れて研究室特性分析を訂正することができる。
【0006】
しかし、イメージセンサーの身代わり空間特性分析は、挑戦的なものとなる可能性がある。遠隔イメージセンサー身代わり空間特性分析を実行するための以前の方法では、異なる反射率のレベルで変化させて、広範なエリアバーターゲット、エッジターゲットを使用しているか、又は、自然発生するポイント源のイメージを使用している。しかし、これらの方法では、(例えば、広大なスペクトル範囲にわたっての)いずれかのコントラストに関する課題や、熱管理の課題(特に、地球を観察するセンサーが、深い空間へとセンサーを動かした場合)に関する課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、身代わり空間特性分析、即ち、遠隔イメージセンサーの遠隔地への配備後の特性分析ためのシステム及び方法に関する必要性が当分野では存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る一以上の実施形態では、遠隔感知センサ(remote sensing sensor)の身代わり空間特性分析に関するシステムを提供する。前記システムは以下を備える:複数の反射ミラーであって、該ミラーは、放射線源から遠隔地の放射センサーへ放射線を反射するように設計及び配置され、前記遠隔地の放射センサー上で複数の固有スポットイメージを得られるように前記複数のミラーは離れて位置している該ミラー。前記システムは更に以下を備える:プロセッサであって、前記イメージをフィッティングさせることにより前記複数のスポットイメージを分析し、前記遠隔感知センサのポイント拡大関数を得るために構築された該プロセッサ。
【0009】
本開示に係る別の一実施形態では、遠隔感知センサの身代わり空間特性分析に関する方法を提供する。前記方法は以下のステップを含む:
ある表面上に複数の反射ミラーを配置するステップ、前記ミラーは、放射線源から遠隔地の放射センサーへ放射線を反射させるように配置される該ステップ;
前記遠隔地の放射センサーによって前記放射線を検出するステップであって、前記放射線は、複数のスポットイメージとして前記複数のミラーによって反射される該ステップ;及び
前記スポットイメージをフィッティングさせるためのアルゴリズムを実行することによって、前記複数のスポットイメージを分析し、前記遠隔感知センサのポイント拡大関数を得るステップ。
【0010】
本開示に係る更に別の一実施形態では、コンピュータ・プログラム製品を提供する。該コンピュータ・プログラム製品は、コンピュータ読取可能媒体を備え、該媒体は、該媒体中に記憶された指示を含み、プロセッサによって実行されたときに以下のステップを含む機能を実行する該製品:
フィッティング関数を用いて複数のスポットイメージそれぞれをフィッティングさせるステップであって、前記複数のスポットイメージは、複数のミラーによって反射される放射線に由来し、前記放射線は、遠隔地の放射センサーによって検出される該ステップ;
前記複数のイメージそれぞれに関する前記フィッティング関数の二乗平均平方根エラーを決定し、複数の二乗平均平方根エラーを得るステップ;
全ての前記二乗平均平方根エラーを計算するステップ;及び
全ての前記二乗平均平方根エラーの合計を最小化して、前記遠隔感知センサのポイント拡大関数を得るステップ。
【0011】
本開示におけるこれら及び他の特徴及び特性、並びに操作方法及び構造の関連する要素の機能、並びに部品の組合せ、製造の経済性については、添付した図面と共に以下の記載及び添付した特許請求の範囲を考慮することにより明らかとなるであろう。これら全ては本明細書の一部を形成するものであり、類似の参照番号は様々な図の対応する部分を指している。本開示に係る一実施形態において、構造的な構成部分は本明細書ではスケールを調整して描いている。しかし、図面については、例示及び説明を目的としているに過ぎないこと、発明の概念を限定する定義としての意図はない点については明示的に理解されたい。本明細書及び特許請求の範囲で用いられているが、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、特段明示しない限りは、複数の言及されたもの(物)を含む。
【0012】
添付した図面については以下の通りである:
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に従った身代わり空間特性分析システムの知覚図を概念的に例示したものである。
【0014】
【図2A】一実施形態に従って、遠隔イメージセンサーによってとらえられた空中の又は空間のイメージを描いている。
【0015】
【図2B】一実施形態に従って、ある構造上に搭載され、一般的に遠隔センサーに向けられているミラーの一例を描いている。
【0016】
【図3】一実施形態に従って、ポイント・イメージ・ミラー・ターゲットを最適共記憶するためのアルゴリズムのフロー図を描いている。
【0017】
【図4】一実施形態に従った、各ポイント・イメージ・ミラー・ターゲットに対応する2次元フィット関数の3次元プロットである。
【0018】
【図5】図4に示す2−Dフィット関数に関するx及びyの関数としての残差値(residual value)のプロットを示す。
【0019】
【図6A】一実施形態に従った、x方向における1−Dガウス関数フィットの2−Dプロットである。
【0020】
【図6B】一実施形態に従った、y方向における1−Dガウス関数フィットの2−Dプロットである。
【0021】
【図7】一実施形態に従って、ポイント・イメージ・ミラー・ターゲットを最適共記憶するためのアルゴリズム又は方法を実装するためのコンピュータシステムを表す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
図1は、一実施形態に従った身代わり空間特性分析システム(10)の知覚図を概念的に示している。上記段落でのべたように、身代わり特性分析については、遠隔地(例えば、宇宙)へイメージセンサー配置後に行われるイメージセンサーの特性分析を意味する。特性分析システムは、例えば地上の反射ポイントのアレイ(配列)を提供できるように、背景(14)上に配置される複数のミラー又は反射体(12)を含む合成スペクトルターゲットを含む。ミラー(12)は、同一量の放射線又は異なる量の放射線を反射するように設計することができる。ミラー(12)は凸面レンズ、凹面レンズ、又は平滑な反射体であってもよい。例えば、ミラー(16又は18)は、曲率半径が異なることが原因となって太陽(21)から発せられる直接に入射される太陽光(20)を異なる強度で反射できるように設計することができる。一実施形態において、背景(14)は、比較的低い反射率の表面を有する実質的に均一なものであってもよい(例えば、地球表面上にあるアスファルトの舗道、コンクリートエリア、一様な芝生、砂漠、砂浜等)。また、別の実施形態では背景(14)は、航空機、衛星、月の表面上で提供できる他の任意のタイプの表面であってもよく、即ち、ミラー(12)は、月、衛星等の上に設置できる。
【0023】
一実施形態において、ミラー(12)は、異なる曲率半径を有することができる。例えば、ミラー(16)は、曲率半径(16R)及び基本寸法を(16D)を有している。前記曲率半径(16R)及び前記基本寸法(base dimension)(16D)は、動眼視野(field of regard、FOR)(22)を与える。特性分析されるべき遠隔センサー(24)は、例えば、航空機(26)又は衛星(28)上に設けることができる。図1に描写するように、1以上のミラー(12)(例えばミラー(16))の動眼視野内であるとき、少なくとも1ピクセルのセンサー(24)は、1以上のミラー(12)(例えばミラー(16))から光を受け取る。
【0024】
ミラー(12)は、異なる曲率半径及び寸法を有しても良く、及び例えば、個々の異なる動眼視野を有しても良い。各ミラー(12)は、凹面、凸面、又は平滑であってもよい。図1に示した実施形態において、各ミラー(12)は凸面である。任意のミラー(12)(例えばミラー(16))は、背景(14)に対して角度調整をすることができ、太陽(放射線源)(21)から発せられた円錐状の放射線の(動眼視野)を、センサー(24)に向けることができる。例えば、こうした事については、ミラー(16)の一面を上げる(例えば、調整可能な又は静的な構造により)により達成することができる。
【0025】
一実施形態において、ミラー(12)は、既知の空間を伴う表面(14)上に配置することができ、例えばミラーのアレイを形成することができる。例えば、ミラー(12)間の空間又は距離は、センサー(24)上でミラーの固有イメージをえることができるように、センサー(24)で解像することができる最小限の寸法を超えるように選択することができる。
【0026】
センサー又は検出器(24)は、航空機(例えば、航空機)又は宇宙プラットフォーム(space born platform)(例えば、衛星)上に設置することができる。センサー(24)は、様々な波長、又は波長範囲において放射線を検出することができ、該波長又は範囲については以下のものが含まれる:可視領域(約0.4μmから約0.7μmの間)を含む約0.4μm及び約15μmの範囲の波長、近赤外線(NIR)領域(約0.7μmから約1.4μmの間)、短波赤外線(SWIR)領域(約1.4μmから約3μmの間)、中赤外線(MWIR)領域(約3μmから約8μm)、及び長波長赤外線(LWIR)領域(約8μmから約15μm)の少なくとも一部。しかし、センサー又は検出器(24)は、もし必要であれば、紫外線の一部、更にはミリメートルの波長又は高周波部位において、検出を行うように設計することができる。
【0027】
図2Aは、ミラー(12)が配置されるエリア(32)(例えば、この場合、空いている駐車場)の遠隔イメージセンサー(24)によってとらえられる空中の又は空間のイメージ(30)を描写している。図2Aに示すように、一実施形態において、ミラー(12)は、アレイを形成するように離れて配置される。しかし、ミラーは、特定のアレイで配置される必要はなく、随意に配置することができる。エリア(32)における各ミラー(12)の絶対的位置は、センサー(24)の特性分析の為に必要としなくともよい。図2Bは、構造物に搭載され、一般的にはセンサー(24)へ向けられているミラー(12)の一例を描写している。
【0028】
図2Aに描写するように、各ミラー(12)は、センサー(24)に向かって放射線を反射する。そして、各ミラー(12)のイメージは、とらえられた又は得られたイメージデータ内の、固有のポイント・イメージ・ターゲット又はスポットとして表される。一実施形態において、イメージ内の各スポットのサイズは、おおよそ、センサー(24)の1のピクセルのサイズであってもよい。ある例では、前記スポットは、1つのピクセル全体でとらえることができる。しかし、またある例では、前記スポットは、複数のピクセル、例えば2以上のピクセルでとらえることができる。いずれの場合であっても、例えば、複数のピクセル中の1のピクセルは、スポットの一部分のみを含むことができる。その結果、イメージの鮮明さ、又はイメージの空間解像度は影響を受ける可能性がある。イメージ鮮明度又は空間解像度を定量するために、前記イメージは、アルゴリズム(該アルゴリズムについては以降の段落で詳述する)によって分析される。該アルゴリズムは、前記スポット(即ち、異なるミラーターゲットのイメージ)を最適共記録し、遠隔センサー(24)の2次元ポイント拡大関数による過剰サンプリングを提供する。遠隔センサー(24)の2次元(2−D)空間の特性又は性能は、最適記憶されたシステムポイント拡大関数からひきだすことができる。例えば、以下のものについて決定(測定)することができる:遠隔センサー(24)で使用されるレンズにおける光学収差や、遠隔センサー(24)におけるイメージセンサー自身(例えば、電荷結合素子(CCD)又は焦点面アレイ(FPA))の欠点。
【0029】
アルゴリズムは、異なるミラーターゲットのイメージを共記憶するためのモデルを実装することができる。本明細書で使用される用語「共記憶する」(“co−registering”)は、異なるミラー又はスポットのイメージが同一の位置で重ね合わせされることを意味する。一実施形態において、前記モデルは、2−Dガウスモデルであってもよく、又は2−Dガウス関数に基づくものであっても良い。例えば、2−Dガウスモデルにおいて、イメージ上の各ミラーのスポット又はポイント拡大関数は、正規分布形態(Gaussian shape)を有する。以降の段落では、アルゴリズムは、ガウスモデルに言及しながら記述するが、任意の他の数学モデル、又は2−D関数を用いることができ、例えば、これに限定されるものではないが、ローレンツ関数などが挙げられる点を理解されたい。或いはある関数(例えば、ガウス関数、ローレンツ関数等)を用いる代わりとして、探索テーブルを用いることができる。
【0030】
例えば2−Dガウスモデルの場合、以下の式(1)
【数1】

ここで、
aは、振幅であり、
αは、スケール定数であり(ここで、4ln(2)で半値全幅(FWHM)を生じる)、
xは、イメージ上のx方向におけるスポットの中心位置であり、
yは、イメージ上のy方向におけるスポットの中心位置であり、
xは、x方向におけるスポットの幅(FWHM)であり、
yは、y方向におけるスポットの幅(FWHM)であり、そして、
dは、イメージ中のオフセット又はバックグラウンドシグナルである。
【0031】
2−Dガウスモデルにおいては、前記オフセットパラメーターdは、x方向及びy方向において変化しないことにより比較的平坦であると想定されるが、前記オフセットパラメーターdは、x方向、y方向、又はその両方において傾きを持つようにすることができる。
【0032】
図3は、一実施形態に従って、ポイント・イメージ・ミラー・ターゲットを最適共記憶しているアルゴリズムのフロー図(40)を描写している。アルゴリズムは、2つのループ、内側ループ又は第一ループ(42)と、外側ループ又は第二ループ(44)を実行する。内側ループ(42)においては、ターゲットミラー(12)の各イメージに関して、即ち、イメージ上の各スポット(ターゲットのイメージ(1)、ターゲットのイメージ(2)、…ターゲットのイメージ(n))に関して、フィッティング手順は、2−Dガウスフィッティング関数(46)(例えば、関数(1))を用いて実行される。そして、各スポット(イメージターゲット(1)、イメージターゲット(2)、…イメージターゲット(n))に関して、最良のフィッティングパラメーター、ガウス関数(1)のa、bx、by、α及びdを決定する。即ち、各個々のスポットに関する最良のフィッティング正規分布形態を決定する。従って、第一ループ(42)において、2−Dガウス関数におけるパラメーター、a、bx、by、α及びdは、個々の各スポットに関する最良のフィッティング2−D正規分布形態を見つけるためのフィッティング手順の間、自由に変動することが許容される。一方で、パラメーターcx、cyは、FWHMを表すが、内側ループ(42)内では固定される。例えば、パラメーター、cx及びcyは、最初に近似化して、フィッティング手順を実行するための初期値を提供ことができる。対応するスポット(ターゲットのイメージ(1)、ターゲットのイメージ(2)、…、ターゲットのイメージ(n))に関連する各2−Dガウスフィット関数(46)に関して、二乗平均平方根エラー(RMSE)が決定される。例えば、ターゲットのイメージ(1)に関して、最良のフィット2−Dガウス関数を決定することができ、該フィットのRMSE1(i)を定量することができる。同様に、ターゲットのイメージ(2)に関して、最良の2−Dガウス関数を決定され、該フィットのRMSE2(i)を定量される。従って、ターゲットのイメージnに関して、最良のフィット2−Dガウス関数が決定され、該フィットのRMSEn(i)を定量することができる。
【0033】
続いての動作において、様々な2−Dガウスフィット関数の様々なRMSE(RMSE1(i)、RMSE2(i)...RMSEn(i))は、合計操作(48)を用いて合計され、全てのRMSEの合計(RMSE1(i)+RMSE2(i)...+RMSEn(i))が得られる。外側又は第二ループ(44)において、最適化手順(50)が実行され、ここで、全てのRMSEの合計は、各スポット(ターゲットのイメージ(1)、ターゲットのイメージ(2)、…ターゲットのイメージ(n))に関する各2−Dガウス関数の最良のフィットのFWHMパラメーター、cx及びcyを変化させることにより最小化される。一方で、各2−Dガウスフィットに関する他のパラメーター、a、bx、by、α及びdは一定に保たれる。
【0034】
一実施形態において、最適化手順は収束して、全てのRMSEの合計の最小値(MIN−ΣRMSE)を得る。一実施形態において、各スポット・ターゲット・イメージ(ターゲットのイメージ(1)、ターゲットのイメージ(2)、…、ターゲットのイメージ(n))に対応する2−Dガウスフィット関数は、図4に示すように同一の3−Dプロット上に共に表示することができる。得られた2−Dフィット関数を重ね合わせて共記憶された2−Dフィット関数を得られるように、各2−Dフィット関数は、同一の位置(例えば、(0,0)原点)に対してx方向及びy方向でシフトしている。原点へのシフトは、パラメーターbx及びbyをゼロにすることによって行うことができる。全てのRMSEの合計の最小化は、互いに対する個々の2−Dフィット関数のシフトの前又は後で行うことができる。図4に示すように、得られた最小の全RMSE(MIN−ΣRMSE)の合計は、約0.005(即ち0.5%)と等しい。その結果、正確な合成共記憶ポイント拡大関数は、複数のミラーイメージ又は反射体イメージから得ることができる。任意の数のミラーイメージを用いることができる。しかし、理解できるであろうが、より多くの数のイメージを用いれば、遠隔センサー(24)の身代わり特性分析においてより正確な特性分析を得ることが可能となる。例えば、ポイント拡大関数を最適共記憶するための上述のアルゴリズムにおいて、図2Aに示すイメージ(30)において長方形(34)内の10のスポットが、該アルゴリズムにおいて使用される。
【0035】
図5は、図4に示す2−Dガウスフィットに関するx及びyの関数としての残差値(residual value)(即ち、測定された強度値と、フィットされた又は計算された強度値との差)のプロットを表す。図5で分かるように、残差値は、実質的に平坦で、約ゼロに等しい。このことは、2−Dガウス関数を用いて得られたフィットが良好なフィットであることを表す。
【0036】
図6A及び6Bは、一実施形態に従って、x方向及びy方向それぞれに沿った、応答関数曲線フィットのプロットを描写している。図6Aは、x方向(関数(2))における1−Dガウス関数フィットの2−Dプロットである。そして、図6Bは、y方向(関数(3))における1−Dガウス関数フィットの2−Dプロットである。
【0037】
図6Aに示したプロットに関するガウスフィット関数(2)及びパラメーターは下記の通りである:
【数2】

ここで、
α=2ln (4) ≒2.77
a=0.99±0.004
c=0.96±0.004ピクセル、及び
図6Aに示したフィットに関して得られたRMSEは、約0.0077である。
【0038】
図6Bに示したプロットに関するガウスフィット関数(3)及びパラメーターは下記の通りである:
【数3】

ここで、
α=2 ln(4)≒2.77
a=0.99±0.005
c=0.93±0.007ピクセル、及び
図6Aに示したフィットに関して得られたRMSEは、約0.0091である。
【0039】
RMSE値は、個々のターゲット・イメージのフィットが収束して、最小のRMSE値が得られた範囲を表している。また、最適記憶されたシステムの1−D又は2−Dポイント拡大関数は、遠隔センサー(24)の解像度に関する情報を提供する。例えば、フィット関数のFWHMがPピクセル(例えば、1ピクセル)である場合、イメージ・ターゲットの中心間の空間(即ち、イメージ・ターゲットをフィッティングさせる関数の最大)が、2Pピクセル(例えば、2ピクセル)以上であれば、2つの隣接するイメージターゲット、又はスポットを解像できる。理解できるであろうが、単位ピクセルは、寸法長に変換でき、例えば、メートル、インチ、フィート、又は所望の寸法単位に変換できる。従って、FWHM、又はフィット関数のc−パラメーター(パラメーターcx、パラメーターcy又はその両方)を決定することによって、遠隔センサーの解像度を定量することができる。更に、本システム及び方法は、広域波長にわたる空間解像度を測定する能力を提供する(例えば、紫外線からLWIR、そして、遠隔センサ用に考慮された応用に応じて前記範囲を超えた波長)。
【0040】
従って、理解できるように、ターゲット又はミラーは、波長スペクトルの任意の部分を反射するように設計することができる。ここで該波長スペクトルとしては、以下のものがふくまれるが、これらに限定するものではない:可視領域(約0.4μmから約0.7μmの間)を含む約0.4μm及び約15μmの範囲の波長、近赤外線(NIR)領域(約0.7μmから約1.4μmの間)、短波赤外線(SWIR)領域(約1.4μmから約3μmの間)、中赤外線(MWIR)領域(約3μmから約8μm)、及び長波長赤外線(LWIR)領域(約8μmから約15μm)の少なくとも一部。また、ターゲット、又はターゲット内のミラーは、波長スペクトルの任意の部分を反射するように設計することができる(もし望まれるのであれば、紫外線の一部、ミリメートルの波長及び/又は高周波(radio frequency)部位を含む)。
【0041】
更にいえば、ターゲットによって反射される放射線を放出する源として、上記段落では太陽について記述しているが、人工的な源(例えば、1つのランプ又は複数のランプ(例えば、1以上のキセノンランプ)を用いることができることも企図している。
【0042】
一実施形態において、該一実施形態に従ったアルゴリズム又は方法は、コンピュータ上のプロセッサによって実行することができる。理解できるように、本明細書で使用される用語「コンピュータ」は、任意のタイプのコンピューティング・システム又は装置を包含し、以下の物を含むことができる:パーソナル・コンピュータ(例えば、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、又は任意の他の手持ちタイプのコンピューティングデバイス)や、メインフレーム・コンピュータ(例えば、IBMメインフレーム)や、スーパーコンピューター(例えば、CRAYコンピュータ)、又は分散コンピューティング環境における複数のネットワーク化されたコンピュータ。
【0043】
例えば、前記方法(複数可)は、ソフトウェア・プログラムアプリケーションとして実装することができ、該アプリケーションは、コンピュータ読取可能媒体に記録することができ、該媒体としては、以下の物があげられる:ハードディスク、CDROM、光学ディスク、DVD、光磁気ディスク、RAM、EPROM、EEPROM、磁気又は光学カード、フラッシュカード(例えば、USBフラッシュカード)、PCMCIAメモリカード、スマートカード、又は他の媒体(メディア)。
【0044】
或いはソフトウェア・プログラム製品の一部又は全体は、ネットワーク経由で遠隔コンピュータ又はサーバーからダウンロードすることができ、該ネットワークとしては、例えば、インターネット、ATMネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、又はローカル・エリア・ネットワークが挙げられる。
【0045】
或いは、コンピューター中に実装されたコンピュータ・プログラム製品(複数可)(例えば、ソフトウェア製品として)として前記方法を実装する代わりに、又はそれに加えて、前記方法は、例えば、特定用途向けIC(ASIC)を設計して前記方法を実装できるハードウェアとして実装することができる。
【0046】
図7は、一実施形態に従って、前記アルゴリズム又は方法を実装するためのコンピュータシステム(100)を表した概念図である。図7に示すように、コンピュータシステム(100)は、プロセッサ(例えば、1以上のプロセッサ)(120)及びプロセッサ(120)とつながったメモリ(130)を備える。コンピュータシステム(100)は、データを入力するための入力装置(140)(例えば、キーボード、マウス等)、及び出力装置(150)(例えば、コンピューテーションの結果を表示するための表示装置)を更に備えることができる。一実施形態において、センサー(24)によって獲得されたイメージデータは、コンピュータ(100)に入力される。例えば、コンピュータ(100)に伝送されたり、又は該コンピュータによってダウンロードされたり、メモリ(130)に記憶されたりする。前記イメージデータは、上記段落に記載したアルゴリズムを実行することによって、そしてプロセッサ(120)によって処理及び分析をすることができる。
【0047】
上記記載から理解できるように、コンピュータ読取可能メモリ(130)は、イメージデータを記憶するために設計することができる。コンピュータ・プロセッサ(120)は、コンピュータ読取可能メモリ(130)とつながっており、以下の事を行うために設計することができる:
(i)イメージデータ中の複数の各スポットイメージをフィッティング関数を用いてフィットさせる(複数のスポットイメージは、複数のミラーによって反射される放射線に由来し、前記放射線は、遠隔地の放射センサーによって検出される);
(ii)前記複数の各イメージに関するフィッティング関数の二乗平均平方根エラーを決定して、複数の二乗平均平方根エラーを得る;
(iii)全ての二乗平均平方根エラーの合計を計算する;及び
(iv)全ての二乗平均平方根エラーの合計を最小化し、遠隔感知センサのポイント拡大関数を得る。
【0048】
発明の概念について説明するために、様々な実施形態に基づいて詳細に記述してきたが、以下の点を理解されたい。即ち、該詳細な記述は該目的のためだけであり、発明の概念は開示された実施形態に限定されるものではない。それどころか、添付した特許請求の範囲の思想及び範囲に入る改変及び均等変形もカバーすることを意図している。例えば、可能な範囲で、任意の実施形態の1以上の特徴を、他の任意の実施形態の1以上の特徴と組み合せることができることを本開示では企図している点を理解されたい。
【0049】
更にいえば、数多くの改変及び変更が当業者にとって容易に行われるであろうという理由から、本明細書に記載した構造及び操作そのものに発明の概念を限定されるのは望むところではない。従って、全ての適切な改変及び均等物は、本開示の思想及び範囲に入るものとして考えるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示は、センサー特性分析における応用、特に遠隔イメージセンサーの身代わり空間特性分析における応用に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔感知センサの身代わり空間特性分析のためのシステムであって、以下を備える該システム:
複数の反射ミラーであって、該ミラーは、放射線源から遠隔地の放射センサーへ放射線を反射するように設計及び配置され、前記遠隔地の放射センサー上で複数の固有スポットイメージを得られるように前記複数のミラーは離れて位置している該ミラー;及び
プロセッサであって、前記イメージをフィッティングさせることにより前記複数のスポットイメージを分析し、前記遠隔感知センサのポイント拡大関数を得るために構築された該プロセッサ。
【請求項2】
請求項1に記載の前記システムであって、前記プロセッサは、前記イメージをフィッティングさせるためのアルゴリズムを実行するように設計され、前記アルゴリズムは以下のステップを含む該システム:
フィッティング関数を用いて、前記複数のスポットイメージそれぞれをフィッティングさせるステップ;
前記複数の各イメージに関する前記フィッティング関数の二乗平均平方根エラーを決定して、複数の二乗平均平方根エラーを得るステップ;
全ての前記二乗平均平方根エラーの合計を計算するステップ;及び
全ての前記二乗平均平方根エラーの前記合計を最小化して、前記遠隔感知センサのポイント拡大関数を得るステップ。
【請求項3】
請求項2に記載の前記システムであって、前記プロセッサは、各スポットイメージに対応する前記フィッティング関数を重ねて共に記憶されたフィッティング関数を得られるように、前記複数のスポットイメージそれぞれのフィッティング関数をシフトするように更に設計される該システム。
【請求項4】
請求項1に記載の前記システムであって、前記フィッティング関数は、2次元ガウスフィッティング関数である該システム。
【請求項5】
請求項1に記載の前記システムであって、前記プロセッサ以下のステップを実行するために設計される該システム:
前記フィッティング関数の半値全幅パラメーターを変えることなく、前記複数のスポットイメージそれぞれをフィットさせるための第一ループを実行するステップ;及び
全ての前記二乗平均平方根エラーの合計を最小化するための第二ループを実行するステップ。
【請求項6】
請求項1に記載の前記システムであって、前記放射線は、波長範囲が約0.4μm〜約15μmである該システム。
【請求項7】
請求項1に記載の前記システムであって、前記放射線源が、太陽、人工の放射線源、又はこれらの任意の組合せを含む該システム。
【請求項8】
請求項1に記載の前記システムであって、前記遠隔地の放射センサーが航空機又は衛星上に位置する該システム。
【請求項9】
請求項1に記載の前記システムであって、前記複数のミラーは、地球表面に位置する、又は前記センサが位置する衛星とは異なる衛星上に位置する該システム。
【請求項10】
請求項1に記載の前記システムであって、前記複数のミラーは、実質的に均一な背景上に配置される該システム。
【請求項11】
請求項1に記載の前記システムであって、前記センサの空間的特徴は、前記センサの前記ポイント拡大関数から決定される該システム。
【請求項12】
請求項11に記載の前記システムであって、前記空間的特徴は、前記センサの空間解像度を含む該システム。
【請求項13】
請求項12に記載の前記システムであって、前記システムの前記空間解像度は、最大の前記フィッティング関数の半値全幅から決定される該システム。
【請求項14】
遠隔感知センサの身代わり空間特性分析のための方法であって、以下のステップを含む該方法:
ある表面上に複数の反射ミラーを配置するステップであって、前記ミラーは、放射線源から遠隔地の放射センサーへ放射線を反射させるように配置される該ステップ;
前記遠隔地の放射センサーによって前記放射線を検出するステップであって、前記放射線は、複数のスポットイメージとして前記複数のミラーによって反射される該ステップ;及び
前記スポットイメージをフィッティングさせるためのアルゴリズムを実行することによって、前記複数のスポットイメージを分析し、前記遠隔感知センサのポイント拡大関数を得るステップ。
【請求項15】
請求項14に記載の前記方法であって、更に以下のステップを含む:
フィッティング関数を用いて、前記複数のスポットイメージそれぞれをフィッティングさせるステップ;
前記複数のイメージそれぞれに関する前記フィッティング関数の二乗平均平方根エラーを決定し、複数の二乗平均平方根エラーを得るステップ;
全ての前記二乗平均平方根エラーの合計を計算するステップ;及び
全ての前記二乗平均平方根エラーの合計を最小化し、前記遠隔感知センサのポイント拡大関数を得るステップ。
【請求項16】
請求項15に記載の前記方法であって、各スポットイメージに対応するフィッティング関数を重ねて共に記憶されたフィッティング関数を得られるように、前記複数のスポットイメージそれぞれのフィッティング関数をシフトするステップを更に含む該方法。
【請求項17】
請求項14に記載の前記方法であって、更に以下のステップを含む方法:
前記フィッティング関数の半値全幅パラメーターを変えることなく前記複数のスポットイメージそれぞれをフィッティングさせるステップ;及び
全ての前記二乗平均平方根エラーの合計を最小化するステップ。
【請求項18】
請求項14に記載の前記方法であって、前記センサの前記ポイント拡大関数から前記センサの空間的特徴を決定するステップを更に含む該方法。
【請求項19】
請求項18に記載の前記システムであって、前記空間的特徴の決定が前記遠隔センサの空間解像度を決定することを含む該方法。
【請求項20】
請求項19に記載の前記方法であって、前記空間解像度を決定することが最大の前記フィッティング関数の半値全幅から前記空間解像度を決定することを含む該方法。
【請求項21】
コンピュータ・プログラム製品であって、コンピュータ読取可能媒体を備え、該媒体は、該媒体中に記憶された指示を含み、プロセッサによって実行されたときに以下のステップを含む機能を実行する該製品:
フィッティング関数を用いて複数のスポットイメージそれぞれをフィッティングさせるステップであって、前記複数のスポットイメージは、複数のミラーによって反射される放射線に由来し、前記放射線は、遠隔地の放射センサーによって検出される該ステップ;
前記複数のイメージそれぞれに関する前記フィッティング関数の二乗平均平方根エラーを決定し、複数の二乗平均平方根エラーを得るステップ;
全ての前記二乗平均平方根エラーを計算するステップ;及び
全ての前記二乗平均平方根エラーの合計を最小化して、前記遠隔感知センサのポイント拡大関数を得るステップ。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−33042(P2013−33042A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−168524(P2012−168524)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】