説明

遠隔対話装置

【課題】視線が完全に一致するハーフミラーの角度を、簡単な方法によって高い精度で調整できる遠隔対話装置を提供する。
【解決手段】リンク機構17が、ハーフミラー14の角度を変化させたと同時に、ハーフミラー14とカメラ12のなす角度、ハーフミラー14とディスプレイ11のなす角度の両方を変化させる。具体的には、ハーフミラー14上をその回転軸173に向かって往復直線動作する直動機構171と、この直動機構171とカメラ12もしくはディスプレイ11を結合する第1アーム174と、この直動機構171と装置筐体10を結合する第2アーム176によってリンク機構17を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテレビ会議システムなどで利用されるディスプレイとカメラを用いた遠隔対話装置に関するものであって、特に、カメラあるいはディスプレイと使用者との間に、ハーフミラーを置いた視線一致型の遠隔対話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2以上の地点を通信回線で接続し、各地点にディスプレイとカメラを設置して、これら各地点間でテレビ会議などを行なう場合、使用者はディスプレイに映された相手を注視しながら対話することで臨場感を得ようとする。一方、カメラがディスプレイと異なる位置に配置されていたとしても、使用者はカメラに視線を向けて話す(いわゆる「カメラ目線」で話す)という意識はそれほど高くない。したがって、相手に写る使用者の像は、そっぽを向いた状態となって現れることが多く、こういった場合には、満足に臨場感が得られない。
【0003】
こういった視線不一致の欠点を解消すべく、カメラあるいはディスプレイと使用者との間に、ハーフミラーを置いて、ディスプレイあるいは使用者の像をハーフミラーで反射させるかたちで視線一致を実現しようとする遠隔対話装置等が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、対面型撮像装置システムとそのビデオカメラが開示されており、その構成を図6および図7に示す。
【0005】
図6において、対面型撮像装置システムは、モニターディスプレイ61の画面の周縁部62に固定される固定部63と、固定部63に固定され、撮像部64を備えたヘッド部65と、ヘッド部65に固定されるハーフミラー66を有したビデオカメラ67とを設けた構造となっている。
【0006】
さらに、ヘッド部65は、ビデオカメラ67から被写体像に至る光軸方向を自在に変えられるように、固定部63に固定され、撮像部64は、回転可能にヘッド部65に固定され、ヘッド部65は、回転可能に固定部63に軸支され、ハーフミラー66が、回転可能にヘッド部65に軸支され、撮像部64はヘッド部65において、上下方向68に抜き差し可能に保持されている。
【0007】
図7は図6のA−a断面図であって、ヘッド部65は、固定部63において、チルト軸71で回転可能に軸支されている。ハーフミラー66はミラー支持部72と、ミラー部73及びミラー部73の裏側に貼付けた偏光板74からなり、ミラー支持部72とミラー部73のなす角θ1は135度である。したがって、レンズ部75の真下に位置するミラー部73とレンズ部75の光軸とのなす角θ2は45度である。ピストンリング76はシリンダ77内を上下方向68に摩擦を伴って摺動する。
【0008】
このような構成のもと、適切な高さ調整(上下方向68)と適切な角度調整(チルト軸71)を行なうことで、わずかな視線のずれにも対応して、視線、ハーフミラー及びビデオカメラのレンズのなす反射角を微調整して、被写体像(使用者)を正確に反射させることができるため、異なる使用者では体格(座高)が異なること、同じ使用者でも姿勢が変わること、あるいは、モニター画面中で視線一致の対象となるビデオ映像の場所が変わること等によって生ずる微妙な視線の不一致も矯正することができる。
【0009】
【特許文献1】特開平09−205626号公報(段落0007、0016、0032、第1図および第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、特許文献1に開示された技術によれば、視線一致を実現するために、適切な高さ調整および適切な角度調整が必要となる。使用者は、高さと角度の調整をいっぺんに行なうことが難しいので、高さを調整した後に角度を調整したり、角度を調整した後に高さを調整したりすることが多い。
【0011】
たとえば、使用者が適切に角度を調整した後で、続いて高さを調整した場合、使用者のハーフミラーに対する角度が変わってしまうため、せっかく調整した角度を再び調整しなければならない。逆に、使用者が適切に高さを調整した後で、続いて角度を調整したとすると、今度は使用者のハーフミラーに対する高さが変わってしまうため、せっかく調整した高さを再び調整しなければならない。結局、使用者は調整のために、高さ調整や角度調整を何度か繰り返しながら、利用に耐えうる高さおよび角度を調整することになり、調整に手間や時間を要するという問題があった。
【0012】
また、特許文献1記載の技術によれば、使用者がハーフミラーの位置を調整するために、ディスプレイを注視したときの視線と、カメラ目線とを一致させる必要がある。しかし、使用者はハーフミラーの反射側にあるカメラを見ることができないので、カメラ目線に調整するための適切な角度および高さが使用者にとってわかりづらいという問題があった。
【0013】
また、使用者がカメラ目線に調整するための一例として、ディスプレイ上にカメラで撮影した自らの像を表示させて、自らの視線が一致するように調整するという方法も考えられるが、こういった調整方法では自らの像を表示させるために装置の電源を投入しなければならず、電源投入作業のほか、さらにディスプレイ表示の切替作業などが発生するため、調整に手間や時間を要するという問題があった。
【0014】
そこで本発明は、視線が完全に一致するハーフミラーの角度を、簡単な方法によって高い精度で調整できる遠隔対話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の課題を解決するため、本発明の第1の構成による遠隔対話装置は、対話の相手の像を表示するディスプレイと、使用者の像を撮影するカメラと、前記ディスプレイで表示した画像の一部を反射し、他部を透過してその反射光と透過光の一方を前記使用者に指向させ、他方を前記カメラに指向させる回動自在なハーフミラーとを備えた遠隔対話装置であって、前記ディスプレイと前記カメラの一方の光軸と前記ハーフミラーがなす角度に応じて前記ディスプレイと前記カメラの他方の光軸と前記ハーフミラーがなす角度を変化させるリンク機構を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の第2の構成による遠隔対話装置は、前記ディスプレイは、その周辺部で装置筐体に着脱可能に結合されており、前記カメラの保持部および前記ハーフミラーは共に回動自在であり、前記リンク機構は、前記ディスプレイと前記ハーフミラーがなす角度に応じて前記カメラと前記ハーフミラーがなす角度を変化させるものであることを特徴とする。
【0017】
本発明の第3の構成による遠隔対話装置は、前記ハーフミラーの回転軸を軸Oとし、前記ディスプレイ上で注目させたい点を点Aとし、前記カメラの焦点を点Bとしたとき、点Aから軸Oまでの距離が点Bから軸Oまでの距離と略等しくなるように前記ディスプレイおよび前記カメラが設置されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の第4の構成による遠隔対話装置は、前記ハーフミラーの回転軸を軸Oとし、前記ディスプレイ上で注目させたい点を点Aとし、前記カメラの焦点を点Bとし、軸Oと点Aを含む平面を平面Xとし、軸Oと点Bを含む平面を平面Yとしたとき、前記ハーフミラーと平面Xとのなす角度が前記ハーフミラーと平面Yとのなす角度と略等しくなるように前記リンク機構が設置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第5の構成による遠隔対話装置は、前記リンク機構は、前記ハーフミラー上を前記ハーフミラーの回転軸に向かう方向で往復直線動作する直動機構と、前記カメラの保持部上または前記ディスプレイの保持部上のいずれか一点と前記直動機構上の一点を軸として、これら2点間の距離を保持しつつ回動自在に動作する第1アームと、対話装置筐体上の一点と前記直動機構上の一点を軸として、これら2点間の距離を保持しつつ回動自在に動作する第2アームとによって構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の構成によれば、リンク機構が、ハーフミラーの角度を変化させたと同時に、ハーフミラーとカメラのなす角度、ハーフミラーとディスプレイのなす角度の両方を変化させ、ハーフミラーの角度を変化させたと同時に、ハーフミラーとカメラのなす角度、ハーフミラーとディスプレイのなす角度の両方を変化させるので、視線が完全に一致するハーフミラーの角度を、簡単な方法によって調整することができる。
【0021】
本発明の第2の構成によれば、装置筐体を通常のモニターに容易に着脱可能な形にするとともに、リンク機構が、ハーフミラーの角度を変化させたと同時に、ハーフミラーとカメラのなす角度、ハーフミラーとディスプレイのなす角度の両方を変化させるので、視線が完全に一致するハーフミラーの角度を、簡単な方法によって調整することができる。
【0022】
本発明の第3の構成によれば、ハーフミラーの回転軸からディスプレイ上で注目させたい点までの距離と、ハーフミラーの回転軸からカメラの焦点までの距離が略等しくなるようにディスプレイおよびカメラを設置することで、ハーフミラーの角度に関係なく、視線が完全に一致する状態を維持し続けることができる。
【0023】
本発明の第4の構成によれば、リンク機構によってハーフミラーとカメラのなす角度、ハーフミラーとディスプレイのなす角度が略等しい関係を維持し続けることで、ハーフミラーの角度に関係なく、視線が完全に一致する状態を維持し続けることができる。
【0024】
本発明の第5の構成によれば、ハーフミラー上をその回転軸に向かって往復直線動作する直動機構と、この直動機構とカメラもしくはディスプレイを結合する第1アームと、この直動機構と装置筐体を結合する第2アームによってリンク機構を構成し、ハーフミラーの角度を変化させたと同時に、ハーフミラーとカメラのなす角度、ハーフミラーとディスプレイのなす角度の両方を変化させることにより、視線が完全に一致するハーフミラーの角度を、簡単な方法によって調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1を、図1〜図3を用いて説明する。
【0027】
図1は、実施例1の遠隔対話装置の構成を示す横断面図である。図1において遠隔対話装置は、ディスプレイ11と、カメラ12と、ディスプレイ11で表示した画像を使用者13に向けて反射させるとともに使用者13の像をカメラ12に向けて透過させるハーフミラー14を備えている。
【0028】
ディスプレイ11の保持部15およびハーフミラー14は、共に装置筐体10上に固定された回転ジョイント16と結合されて、回転ジョイント16を回転中心として回動自在となっている。
【0029】
また、ハーフミラー14には、その回転ジョイント16に向かう方向で往復直線動作する直動機構171と、ディスプレイ保持部15上の一点172と直動機構171上の一点173を軸として、これら2点間の距離を保持しつつ回動自在に動作する第1アーム174と、装置筐体10上の一点175と直動機構171上の一点173を軸として、これら2点間の距離を保持しつつ回動自在に動作する第2アーム176と、によって、リンク機構17が構成される。
【0030】
このリンク機構17の作用によって、カメラ12とハーフミラー14のなす角度に応じて、ディスプレイ11の保持部15とハーフミラー14のなす角度が変化するようになっている。
【0031】
つまり、ハーフミラー14を矢印αの方向に動かすと、第2アーム176の影響によって直動機構171が矢印βの方向に動く。すると、第1アーム174の影響によって保持部15が矢印γの方向に動くことになる。
【0032】
このように、リンク機構17が、ハーフミラー14の角度を変化させたと同時に、ハーフミラー14とカメラ12のなす角度と、ハーフミラー14とディスプレイ11のなす角度の両方を変化させ、具体的には、ハーフミラー14上をその回転軸に向かって往復直線動作する直動機構171と、この直動機構171とカメラ12もしくはディスプレイ11を結合する第1アーム174と、この直動機構171と装置筐体10を結合する第2アーム176によってリンク機構17を構成し、ハーフミラー14の角度を変化させたと同時に、ハーフミラー14とカメラ12のなす角度と、ハーフミラー14とディスプレイ11のなす角度の両方を変化させるので、視線が完全に一致するハーフミラー14の角度を、簡単な方法によって調整することができる。
【0033】
ここで、図2に示すように、ハーフミラー14の回転ジョイント16を軸Oとし、ディスプレイ11で注目させたい点AをOA=pとなるように配置し、カメラ12の焦点BをOB=qとなるように配置し、軸Oと点Aを含む平面を平面Xとし、軸Oと点Bを含む平面を平面Yとし、ハーフミラー14と平面Xとのなす角度をλとし、ハーフミラー14と平面Yとのなす角度をμとしたとき、使用者13がハーフミラー14で反射したディスプレイ11上の点Aを注視したときの目線と、カメラ12に対するカメラ目線とを一致させるようにすると、その角度関係は図2に示す通りとなる。ただし、ディスプレイ11で注目させたい点とは、例えば、ディスプレイ11上に表示される相手の瞳の位置等のことをいう。
【0034】
使用者13が、カメラ12の焦点Bを注視するためには、ハーフミラー上の点Cに向けて視線を合わせることになる。カメラ12に対するカメラ目線21の仰角を∠CBO=θであらわすと、その関係は
λ=μ+θ−arcsin(q÷p×sinθ)・・・・(数1)
という式で拘束される。ただしarcsinは逆正弦を意味する。
【0035】
一般的には、人それぞれ体格や姿勢などが異なるので、カメラ目線21の仰角θも使用者13によって異なることとなる。そこで、p=qとなるように、ディスプレイ11とカメラ12を設置して、λ=μの関係を維持するようにリンク機構17を設置するとより好適である。そうすることで、仰角θの大きさに関係なく常に数1に示した条件式が満たされる。
【0036】
図1の構成でいえば、第1アーム174と回転ジョイント16で構成される三角形と、第2アーム176と回転ジョイント16で構成される三角形が相似関係となるようにリンク機構17を構成することで、λ=μの関係を維持することができる。
【0037】
このように、ハーフミラー14の回転軸からディスプレイ11上で注目させたい点までの距離と、ハーフミラー14の回転軸からカメラ12の焦点までの距離が略等しくなるようにディスプレイ11およびカメラ12を設置して、また、ハーフミラー14の角度を変化させても、リンク機構17によってハーフミラー14とカメラ12のなす角度と、ハーフミラー14とディスプレイ11のなす角度が略等しい関係を維持し続けることで、ハーフミラー14の角度に関係なく、視線が完全に一致する状態を維持し続けることができる。
【0038】
なお、本実施例では、ハーフミラー14が、ディスプレイ11で表示した画像を使用者13に向けて反射させるとともに使用者13の像をカメラ12に向けて透過させるようにしているが、その替わりに、図3に示す通り、ディスプレイ11とカメラ12の位置を入れ替えて、ハーフミラー31が、ディスプレイ11で表示した画像を使用者13に向けて透過させるとともに使用者13の像をカメラ12に向けて反射させるような構成としてもよい。すなわち、使用者の正面にディスプレイを配置するか、あるいは、使用者の正面にカメラを配置するかのどちらを選択しても、本発明の本質を変えることなしに、ハーフミラーの角度を簡単な方法によって調整することができ、視線が完全に一致する状態を維持し続けることができる。
【0039】
また、本実施例では、ディスプレイ11をその保持部15を介して回動自在としているが、ディスプレイ11を回動自在としない替わりに、図3に示す通り、カメラ12に保持部32を設けて、カメラ12の保持部32およびハーフミラー31は共に装置筐体30上に固定された回転ジョイント33と結合されて、回転ジョイント33を回転中心として回動自在となるような構成としてもよい。すなわち、ディスプレイを固定としてカメラを回動自在とするか、あるいは、カメラを固定してディスプレイを回動自在とするかのどちらを選択しても、本発明の本質を変えることなしに、ハーフミラーの角度を簡単な方法によって調整することができ、視線が完全に一致する状態を維持し続けることができる。
【実施例2】
【0040】
次に、本発明の実施例2を、図4および図5を用いて説明する。
【0041】
図4は、実施例2の遠隔対話装置の構成を示す横断面図である。図4において遠隔対話装置は、装置筐体40と、カメラ12と、ディスプレイ11で表示した画像を使用者13に向けて透過させるとともに使用者13の像をカメラ12に向けて反射させるハーフミラー31を備える。ディスプレイ11は、パーソナルコンピュータ等に用いられる汎用のモニター等を用いてもよいし、ノート型パソコンのモニター等を用いてもよい。装置筐体40は、ディスプレイ11の周辺部において接着テープやマグネットやクランプ機構など、容易に着脱できる方法で結合させる。
【0042】
カメラ12の保持部32およびハーフミラー31は、共に装置筐体40上に固定された回転ジョイント33と結合されて、回転ジョイント33を回転中心として回動自在となっている。
【0043】
また、ハーフミラー31には、その回転ジョイント33に向かう方向で往復直線動作する直動機構171と、カメラ保持部32上の一点172と直動機構171上の一点173を軸として、これら2点間の距離を保持しつつ回動自在に動作する第1アーム174と、装置筐体40上の一点175と直動機構171上の一点173を軸として、これら2点間の距離を保持しつつ回動自在に動作する第2アーム176と、によって、リンク機構17が構成される。
【0044】
このリンク機構17の作用によって、ディスプレイ11とハーフミラー31のなす角度に応じて、カメラの保持部32とハーフミラー31のなす角度が変化するようになっている。
【0045】
つまり、ハーフミラー31を矢印αの方向に動かすと、第2アーム176の影響によって直動機構171が矢印βの方向に動く。すると、第1アーム174の影響によって保持部32が矢印γの方向に動くことになる。
【0046】
このように、装置筐体を通常のモニターに容易に着脱可能な形にするとともに、リンク機構17が、ハーフミラー31の角度を変化させたと同時に、ハーフミラー31とカメラ12のなす角度、ハーフミラー31とディスプレイ11のなす角度の両方を変化させるので、視線が完全に一致するハーフミラー31の角度を、簡単な方法によって調整することができる。
【0047】
なお、本実施例では、ハーフミラー31がディスプレイ11で表示した画像を使用者13に向けて透過させるとともに使用者13の像をカメラ12に向けて反射させるようにしているが、その替わりに、図5に示す通り、ディスプレイ11としてノート型パソコン51を使用して、キーボード52とディスプレイ11が結合される開閉部53を開いて、ディスプレイ11の表示面が略水平になるようにする。そして、カメラ12を使用者13の正面に配置して、ハーフミラー14が、ディスプレイ11で表示した画像を使用者13に向けて反射させるとともに使用者13の像をカメラ12に向けて透過させるような構成としてもよい。すなわち、使用者の正面にディスプレイを配置するか、あるいは、使用者の正面にカメラを配置するかのどちらを選択しても、本発明の本質を変えることなしに、ハーフミラーの角度を簡単な方法によって調整することができ、視線が完全に一致する状態を維持し続けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、視線一致型のテレビ会議システムや、テレビ電話などに利用できるほか、ハーフミラーでカメラの存在を意識させずに、相手の視線等を観察しながら対話することができるので、心理学や医学上の臨床、問診などでも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例1の遠隔対話装置の構成を示す横断面図である。
【図2】使用者がディスプレイ上を注視する目線とカメラ目線との関係を示す説明図である。
【図3】実施例1における別の構成を示す横断面図である。
【図4】実施例2の遠隔対話装置の構成を示す横断面図である。
【図5】実施例2における別の構成を示す横断面図である。
【図6】公知技術による対面型撮像装置システムの斜視図である。
【図7】公知技術による対面型撮像装置システムの横断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10,30,40 装置筐体
11 ディスプレイ
12 カメラ
13 使用者
14,31 ハーフミラー
15 ディスプレイの保持部
16,33 回転ジョイント
17 リンク機構
171 直動機構
172,173,175 軸
174 第1アーム
176 第2アーム
32 カメラの保持部
51 ノート型パソコン
52 キーボード
53 開閉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対話の相手の像を表示するディスプレイと、
使用者の像を撮影するカメラと、
前記ディスプレイで表示した画像の一部を反射し、他部を透過してその反射光と透過光の一方を前記使用者に指向させ、他方を前記カメラに指向させる回動自在なハーフミラーとを備えた遠隔対話装置であって、
前記ディスプレイと前記カメラの一方の光軸と前記ハーフミラーがなす角度に応じて前記ディスプレイと前記カメラの他方の光軸と前記ハーフミラーがなす角度を変化させるリンク機構を備えたことを特徴とする遠隔対話装置。
【請求項2】
前記ディスプレイは、その周辺部で装置筐体に着脱可能に結合されており、
前記カメラの保持部および前記ハーフミラーは共に回動自在であり、
前記リンク機構は、前記ディスプレイと前記ハーフミラーがなす角度に応じて前記カメラと前記ハーフミラーがなす角度を変化させるものであることを特徴とする請求項1記載の遠隔対話装置。
【請求項3】
前記ハーフミラーの回転軸を軸Oとし、前記ディスプレイ上で注目させたい点を点Aとし、
前記カメラの焦点を点Bとしたとき、
点Aから軸Oまでの距離が点Bから軸Oまでの距離と略等しくなるように前記ディスプレイおよび前記カメラが設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の遠隔対話装置。
【請求項4】
前記ハーフミラーの回転軸を軸Oとし、前記ディスプレイ上で注目させたい点を点Aとし、
前記カメラの焦点を点Bとし、
軸Oと点Aを含む平面を平面Xとし、軸Oと点Bを含む平面を平面Yとしたとき、
前記ハーフミラーと平面Xとのなす角度が前記ハーフミラーと平面Yとのなす角度と略等しくなるように前記リンク機構が設置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項に記載の遠隔対話装置。
【請求項5】
前記リンク機構は、
前記ハーフミラー上を前記ハーフミラーの回転軸に向かう方向で往復直線動作する直動機構と、
前記カメラの保持部上または前記ディスプレイの保持部上のいずれか一点と前記直動機構上の一点を軸として、これら2点間の距離を保持しつつ回動自在に動作する第1アームと、
対話装置筐体上の一点と前記直動機構上の一点を軸として、これら2点間の距離を保持しつつ回動自在に動作する第2アームと
によって構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの項に記載の遠隔対話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−100926(P2006−100926A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281428(P2004−281428)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(399076312)安川情報システム株式会社 (77)
【Fターム(参考)】