説明

遠隔操作装置及び方法

【課題】携帯機が誤操作されたことにより送信された信号による誤作動を低減すること。
【解決手段】携帯機の操作により送信されるべき第1の信号により所定の処理を行う第1の制御方式と、応答要求信号を受信した携帯機により送信されるべき第2の信号により所定の処理を行う第2の制御方式により制御できる遠隔操作装置は、携帯機により送信されるべき信号が、前記第1の信号であるかどうかを判定する信号判定部と、第1の信号であると判定された場合に、該第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する受信信号強度判定部と、前記第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上である判定された場合に、該第1の信号に対応する制御を行う制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両のドアやトランクなどに配設された施解錠装置の施錠又は解錠を遠隔操作により行うことができる遠隔操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、ドアやトランクなどに配設された装置を遠隔操作できる機能が搭載されたものがある。該機能には、機械的なキー(鍵)を使用せずに車両のドアの施錠又は解錠、エンジン動作やハイブリッドシステムの始動を可能とする機能が含まれる。該機能は、「スマートエントリーシステム」と呼ばれることもある。また、該機能には、キーをシリンダーに差し込まなくても、ボタン一つでキーを施錠又は解錠できる機能が含まれる。該機能は、「キーレスエントリーシステム」と呼ばれることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−143375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
「スマートエントリーシステム」では、携帯機(鍵)を携帯するユーザが車両に近づくことにより、該携帯機と、車両に搭載されている電子制御ユニット(ECU: Electronic Control Unit)や、ボディ制御ユニット(BCU: Body Control Unit)との間で通信を行う。携帯機と電子制御ユニットや、ボディ制御ユニットとの間で通信が成立した場合に、車両のドアの施錠又は解錠が行われる。例えば、電子制御ユニットや、ボディ制御ユニットから応答要求信号が送信され、該応答要求信号を受信した携帯機は応答信号を送信する。
【0005】
しかし、携帯機の携帯の仕方がユーザにより異なるため、ユーザの携帯機の携帯の仕方によっては、該携帯機からの電波(応答信号)の出力が大幅に低下する場合がある。携帯機の携帯の仕方はユーザ毎に多種多様である。例えば鞄に入れているユーザ、ポケットに入れているユーザが存在する。
【0006】
例えば、車両から携帯機に送信される信号(応答要求信号)は低周波数帯を利用して送信される。一方、携帯機から車両に送信される信号(応答信号)は高周波数帯を利用して送信される。高周波数帯を利用して送信された電波は、低周波数帯を利用して送信された電波よりも、周囲環境の影響により電波の劣化の度合いが大きい。また、高周波数帯を利用して送信された電波は、低周波数帯を利用して送信された電波よりも、電波の直進性が強く、障害物に対して回り込まなくなる。従って、車両から携帯機に送信される信号よりも、携帯機から車両に送信される信号の方が携帯方法による通信エラーの可能性が大きい。
【0007】
携帯機の携帯方法により生じる通信エラーを低減する対策として、携帯機から送信されるべき信号の出力を向上させたり、車両に搭載されるべき受信機の感度を向上させたりすることが挙げられる。
【0008】
また、携帯機、受信機に対する対策以外に、ユーザが携帯機のスイッチを操作することにより車両のドアの施錠又は解錠を制御することが挙げられる。ユーザが携帯機のスイッチを操作することにより車両のドアの施錠又は解錠を行う場合、該携帯機により送信される電波の出力の低下は小さい。ユーザが携帯機を鞄又はポケットから取り出して操作すると想定されるためである。
【0009】
しかし、携帯機により送信される電波の送信電力によっては、車両から非常に離れた位置で誤操作が行われた場合でも、該誤操作に対応する処理が行われる場合がある。例えば、車両から非常に離れた位置でドアの解錠操作が行われた場合でも、該携帯機により送信される電波が車両に到達することにより車両のドアが解錠される場合がある。
【0010】
携帯機により「ドアの解錠」(UNLOCK)操作が行われ、車両のドアが解錠された状態がドアを閉めた状態で継続した場合に自動的にドアの施錠が行われる対策が採られている。車両のドアが解錠された状態が所定の時間、例えば30秒継続した場合にドアを閉めた状態であれば自動的にドアの施錠が行われる。しかし、所定の時間が経過するまでは、車両のドアが解錠された状態であるため、セキュリティ性及び安全性の問題が懸念される。
【0011】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、携帯機が誤操作されたことにより送信された信号による誤作動を低減できる遠隔操作装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本遠隔操作装置は、
携帯機の操作により送信されるべき第1の信号により所定の処理を行う第1の制御方式と、応答要求信号を受信した携帯機により送信されるべき第2の信号により所定の処理を行う第2の制御方式により制御できる遠隔操作装置であって、
携帯機により送信されるべき信号が、前記第1の信号であるかどうかを判定する信号判定部と、
該信号判定部により第1の信号であると判定された場合に、該第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する受信信号強度判定部と、
該受信信号強度判定部により前記第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上である判定された場合に、該第1の信号に対応する制御を行う制御部と
を有する。
【0013】
本方法は、
携帯機の操作により送信されるべき第1の信号により所定の処理を行う第1の制御方式と、応答要求信号を受信した携帯機により送信されるべき第2の信号により所定の処理を行う第2の制御方式により制御できる遠隔操作装置における方法であって、
携帯機により送信されるべき信号が、前記第1の信号であるかどうかを判定する信号判定ステップと、
該信号判定ステップにより第1の信号であると判定された場合に、該第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する受信信号強度判定ステップと、
該受信信号強度判定ステップにより前記第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上である判定された場合に、該第1の信号に対応する制御を行う制御ステップと
を有する。
【発明の効果】
【0014】
開示の遠隔操作装置及び方法によれば、携帯機が誤操作されたことにより送信された信号による誤作動を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例に従った車両用遠隔操作システムの一例を示す説明図である。
【図2】本実施例に従った車載電子機器の一例を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施例に従った車両用遠隔操作システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0017】
<遠隔操作システム>
本実施例に従った遠隔操作システムについて、図1を参照して説明する。
【0018】
本遠隔操作システムは、車載電子機器100と、携帯機200とを備える。
【0019】
本遠隔操作システムは、車両に搭載された送受信機により送信された応答要求信号を受信した携帯機200により送信された応答信号により車両のドアの施錠又は解錠、エンジン動作やハイブリッドシステムの始動を可能とする機能を有するシステム、換言すれば、機械的なキー(鍵)を使用せずに車両のドアの施錠又は解錠、エンジン動作やハイブリッドシステムの始動を可能とする機能を有するシステム(以下、「スマートエントリーシステム」と呼ぶ)が搭載される。
【0020】
本遠隔操作システムは、携帯機200のスイッチが操作されることにより送信された操作信号により車両のドアの施錠又は解錠を行うことができる機能を有するシステム、換言すれば、キーをシリンダーに差し込まなくても、ボタン一つで車両のドアの施錠又は解錠を行うことができる機能を有するシステム(以下、「キーレスエントリーシステム」と呼ぶ)が搭載される。
【0021】
車載電子機器100は、車両に搭載される。携帯機200はユーザに携帯される。
【0022】
車載電子機器100は、携帯機200により送信されたRF(Radio Frequency)電波を受信し、該RF電波がスマートエントリーシステムによる信号(応答信号)であるか、キーレスエントリーシステムによる操作信号であるかを判定する。該判定によりキーレスエントリーシステムによる操作信号であると判定した場合、該キーレスエントリーシステムによる操作信号の受信信号強度が所定の閾値(有効信号強度)以上であるかどうかを判定する。該所定の閾値は、スマートエントリーシステムにより送信されるべき信号により操作が行われるかどうかを判定する際に使用される閾値よりも大きい値であることが好ましい。換言すれば、キーレスエントリーシステムにより送信されるべき操作信号により操作が行われるかどうかを判定するための受信感度と、スマートエントリーシステムにより送信されるべき信号により操作が行われるかどうかを判定するための受信感度とを異なるように設定する。
【0023】
スマートエントリーシステムにより送信されるべき信号により操作が行われるかどうかを判定する際に使用される閾値よりも大きい値に、キーレスエントリーシステムにより送信されるべき操作信号により操作が行われるかどうかを判定する際に使用される閾値を設定することにより、車両から非常に離れた位置で誤操作により送信された操作信号より誤作動することを低減できる。車両から非常に離れた位置で誤操作により送信された操作信号の受信信号強度は低い値となると想定されるためである。
【0024】
本車載電子機器100は、受信回路102を有する。受信回路102は、携帯機200により送信されたRF電波を復調する。該受信回路102は、コード識別・制御電子制御ユニット108に、復調されたRF電波(以下、「復調コード」と呼ぶ)を入力する。また、受信回路102は、携帯機200により送信されたRF電波の受信信号強度(RSSI: Received Signal Strength Indication, Received Signal Strength Indicator)を測定する。該RF電波の受信信号強度は、コード識別・制御電子制御ユニット108に入力される。
【0025】
本車載電子機器100は、マイコン104を有する。マイコン104は、受信回路102により入力された復調コードに基づいて、携帯機200から受信したRF電波がスマートエントリーシステムによる信号であるか、キーレスエントリーシステムによる操作信号であるかを判定する。該判定によりキーレスエントリーシステムによる操作信号であると判定した場合、該キーレスエントリーシステムによる操作信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する。マイコン104は、該キーレスエントリーシステムによる操作信号の受信信号強度が所定の閾値以上であると判定された場合に、該操作信号に対応する処理を行う。一方、該判定によりスマートエントリーシステムによる信号であると判定した場合、マイコン104は、該スマートエントリーシステムによる信号に対応する処理を行う。
【0026】
図2は、マイコン104の機能を示す。
【0027】
マイコン104は、信号判定部1042を有する。信号判定部1042には、受信回路102により復調コードが入力される。信号判定部1042は、該復調コードに基づいて、該復調コードがスマートエントリーシステムによる信号(応答信号)であるか、キーレスエントリーシステムによる操作信号であるかを判定する。スマートエントリーシステムでは、携帯機200を特定するために、携帯機200と当該車載電子機器100との間で複数回信号の送受信が行われる。換言すれば、携帯機200としてのキー(鍵)を特定するために、該キー(鍵)と当該車載電子機器100との間で複数回信号の送受信が行われる。例えば、ドアハンドル300に搭載されたLFアンテナにより応答要求信号が送信される。該応答要求信号を受信した携帯機200は、応答信号を送信する。ドアハンドル300による応答要求信号の送信と、携帯機200による応答信号の送信が複数回行われる。
【0028】
信号判定部1042は、同様の復調コードが複数回入力された場合に、スマートエントリーシステムによる信号(応答信号)であると判定する。複数回入力されたことを判定するためにある一定の時間の間に入力された復調コードがカウントされるのが好ましい。受信エラーによる誤判定を防止する観点からは、所定の閾値以上の回数、同様の復調コードが入力された場合に、スマートエントリーシステムによる信号であると判定するのが好ましい。一方、該ある一定の時間の間に入力された復調コードが所定の閾値未満の回数である場合には、キーレスエントリーシステムによる操作信号であると判定するのが好ましい。
【0029】
信号判定部1042は、スマートエントリーシステムによる信号であると判定した場合には、該復調コードを制御部1046に入力する。また、信号判定部1042は、キーレスエントリーシステムによる操作信号であると判定した場合には、該復調コードを受信信号強度判定部1044に入力する。
【0030】
マイコン104は、受信信号強度判定部1044を有する。該受信信号強度判定部1044は、信号判定部1042と接続される。受信信号強度判定部1044には、受信回路102から、受信回路102により測定された受信信号強度が入力される。受信信号強度判定部1044は、信号判定部1042により復調コードが入力された場合に、該復調コードに対応する受信信号強度が、予め設定された所定の閾値(有効信号強度)以上であるかどうかを判定する。該所定の閾値は、スマートエントリーシステムにより送信されるべき信号により操作が行われるかどうかを判定する際に使用される閾値よりも大きい値であることが好ましい。受信信号強度判定部1044は、該復調コードに対応する受信信号強度が予め設定された所定の閾値以上である場合に、該復調コードを制御部1046に入力する。また、受信信号強度判定部1044は、該復調コードに対応する受信信号強度が予め設定された所定の閾値未満である場合には、該復調コードを制御部1046に入力しない。該復調コードに対応する受信信号強度が予め設定された所定の閾値未満である場合には通信エラーであると想定される。また、誤操作により送信された操作信号であると判定されてもよい。
【0031】
マイコン104は、制御部1046を有する。制御部1046は、受信信号強度判定部1044、及び信号判定部1042と接続される。制御部1046は、信号判定部1042又は受信信号強度判定部1044により入力された復調コードに基づいて、該復調コードに対応する処理を行う。例えば、復調コードがドアの施錠又は解錠を示すものであれば、制御部1046は、ドアの施錠又は解錠を行うように制御する。また、復調コードがドアハンドルのアンロックを示すものであれば、制御部1046は、ドアハンドルのアンロックを行うように制御する。ドアハンドルのアンロックが行われる場合に、センサのモニターを開始するようにしてもよい。例えば、センサのオンとともに、アンロック制御を行うようにしてもよい。
【0032】
また、制御部1046は、ドアハンドル300を介して、応答要求信号(リクエスト電波)を送信するように制御する。例えば、制御部1046は、LF(Low Frequency)アンテナから応答要求信号を送信するように制御する。具体的には、制御部1046は、LFドライバ106に、応答要求信号を送信するように命令する。該応答要求信号は所定の周期で送信されてもよい。
【0033】
本車載電子機器100は、LFドライバ106を有する。LFドライバ106は、マイコン104と接続される。LFドライバ106には、マイコン104により応答要求信号の送信要求が入力される。LFドライバ106は、マイコン104により入力された送信要求に従って、ドアハンドル300に搭載されたLFアンテナから応答要求信号を送信する。
【0034】
図2において、受信回路102とコード識別・制御ECU108とが一体化された装置構成としてもよい。
【0035】
<本遠隔操作システムの動作>
図3は、本車両用遠隔操作システムの動作示す。図3には、車載電子機器100の動作が主に示される。
【0036】
車載電子機器100は、受信された復調コードがあるかどうかを判定する(ステップS302)。例えば、受信回路102は、携帯機200により送信されたRF信号を復調し、復調コードを生成する。該復調コードは、信号判定部1042に入力される。
【0037】
車載電子機器100は、スマートエントリーシステムによる信号であるかどうかを判定する(ステップS304)。例えば、信号判定部1042は、受信回路102により入力された復調コードがスマートエントリーシステムによる信号であるかどうかを判定する。例えば、信号判定部1042は、同様の復調コードが複数回入力されたと判定される場合に、スマートエントリーシステムによる信号(応答信号)であると判定する。また、例えば、信号判定部1042は、同様の復調コードが複数回入力されたと判定されない場合に、キーレスエントリーシステムによる操作信号であると判定する。
【0038】
スマートエントリーシステムによる信号であると判定された場合(ステップS304:YES)、車載電子機器100は、該信号に含まれる復調コードと、当該車載電子機器100に設定されているコードとが一致するかどうかを判定する(ステップ306)。例えば、制御部1046は、信号判定部1042により入力されたスマートエントリーシステムによる信号に基づいて、該信号に含まれる復調コードが、当該車載電子機器100に設定された操作に対応するコードに含まれるかどうかを判定する。
【0039】
コードが一致する場合(ステップS306:YES)、車載電子機器100は、該コードに対応する処理を実施する(ステップS308)。例えば、制御部1046は、スマートエントリーシステムによる信号に含まれる復調コードが当該車載電子機器100に設定された操作に対応するコードに含まれる場合、該復調コードに対応する制御を実施する。一方、コードが一致しない場合(ステップS306:NO)、車載電子機器100は、該コードに対応する処理を実施しない。車載電子機器100は、ステップS302による処理に戻る。当該車載電子機器100に対応しない他の携帯機により送信された信号が受信されたものと想定されるためである。
【0040】
ステップS304によりスマートエントリーシステムによる信号であると判定されない場合(ステップS304:NO)、換言すれば、キーレスエントリーシステムによる操作信号であると判定された場合、車載電子機器100は、該操作信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS310)。例えば、受信信号強度判定部1044は、キーレスエントリーシステムによる操作信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する。
【0041】
キーレスエントリーシステムによる操作信号の受信信号強度が所定の閾値以上であると判定された場合(ステップS310:YES)、ステップS306の処理を行う。
【0042】
ステップS306では、車載電子機器100は、該キーレスエントリーシステムによる操作信号に含まれる復調コードと、当該車載電子機器100に設定されているコードとが一致するかどうかを判定する(ステップ306)。例えば、制御部1046は、受信信号強度判定部1044により入力されたキーレスエントリーシステムによる操作信号に基づいて、該操作信号に含まれる復調コードが、当該車載電子機器100に設定された操作に対応するコードに含まれるかどうかを判定する。
【0043】
コードが一致する場合(ステップS306:YES)、車載電子機器100は、該コードに対応する処理を実施する(ステップS308)。例えば、制御部1046は、キーレスエントリーシステムによる操作信号に含まれる復調コードが当該車載電子機器100に設定された操作に対応するコードに含まれる場合、該復調コードに対応する制御を実施する。一方、コードが一致しない場合(ステップS306:NO)、車載電子機器100は、該コードに対応する処理を実施しない。車載電子機器100は、ステップS302による処理に戻る。当該車載電子機器100に対応しない他の携帯機により送信された信号が受信されたものと想定されるためである。
【0044】
キーレスエントリーシステムによる操作信号の受信信号強度が所定の閾値以上であると判定されない場合(ステップS310:NO)、換言すればキーレスエントリーシステムによる操作信号の受信信号強度が所定の閾値未満であると判定された場合、ステップS302による処理に戻る。誤操作により送信された操作信号であると想定されるためである。
【0045】
ステップS302−S308の処理は、車載電子機器100に搭載されたマイコン104がプログラムに従って処理を行うことにより実行される。マイコン104を車載電子機器100として機能させるためのプログラムは、例えば、通信網を介してダウンロードされる。また、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体に記録された状態で提供されてもよい。プログラムが記録媒体により提供される場合には、該記録媒体を車載電子機器100の補助記憶装置(図示なし)に挿入すると、記録媒体に記録されたプログラムが読み取られる。マイコン104は、読み込んだプログラムをRAMあるいはHDDに書き込み、処理を実行する。プログラムは、車載電子機器100のコンピュータ(マイコン104)に、図3のステップS302−S308を実行させる。また、例えば、プログラムは、少なくとも一部のステップを実行されるようにしてもよい。
【0046】
上述した実施例において、キーレスエントリーシステムにおける制御内容に応じて、操作が行われるかどうかを判定するための受信感度を変更するようにしてもよい。例えば、キーレスエントリーシステムにおいて、携帯機200により送信されるべきRF信号を復調することにより得られる復調コードにより示される制御内容に応じて、該操作を行うかどうかを判定するための受信信号強度を異なるようにしてもよい。例えば、復調コードにより示される制御内容が、ドアのロック又はアンロック、スライドドアの開又は閉などに応じて、制御を行うかどうかを判定するための受信信号強度を異なるようにする。例えば、セキュリティ性及び/又は安全性の観点から受信信号強度を設定するようにしてもよい。例えば、セキュリティ性及び/又は安全性がより要求される操作についての受信信号強度を高くするようにしてもよい。また、受信信号強度に応じて、作動範囲を変更するようにしてもよい。例えば、スライドドアを開く操作信号が送信された場合には、該操作信号の受信信号強度に応じて、開く範囲を変えるようにしてもよい。
【0047】
これまで、キーレスエントリーシステムにおける携帯機により出力される電波強度及び受信機の受信感度と、スマートエントリーシステムにおける携帯機により出力される電波強度及び受信機の受信感度は同一であった。
【0048】
本実施例によれば、キーレスエントリーシステムにより送信されるべき操作信号により操作が行われるべきかどうかを判定するための受信感度と、スマートエントリーシステムにより送信されるべき信号により操作が行われるべきかどうかを判定するための受信感度とを異なるように設定できる。例えば、スマートエントリーシステムにおける感度より、キーレスエントリーシステムにおける感度が低くなるように設定される。
【0049】
キーレスエントリーシステムにおける感度が低くなるように設定されるため、スマートエントリーシステムによる作動を保証し、且つキーレスエントリーシステムにより誤操作された場合の誤作動を低減できる。
【0050】
本実施例によれば、携帯機の操作により送信されるべき操作信号としての第1の信号により所定の処理を行うキーレスエントリーシステムとしての第1の制御方式と、応答要求信号を受信した携帯機により送信されるべき信号(応答信号)としての第2の信号により所定の処理を行うスマートエントリーシステムとしての第2の制御方式により制御できる遠隔操作装置が提供される。
【0051】
該遠隔操作装置は、
携帯機により送信されるべき信号が、前記第1の信号であるかどうかを判定する信号判定部と、
該信号判定部により第1の信号であると判定された場合に、該第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する受信信号強度判定部と、
該受信信号強度判定部により前記第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上である判定された場合に、該第1の信号に対応する制御を行う制御部と
を有する。
【0052】
第1の制御方式により送信されるべき操作信号により操作が行われるかどうかを判定するための受信感度と、第2の制御方式により送信されるべき信号により操作が行われるかどうかを判定するための受信感度とを異なるように設定できる。
【0053】
さらに、
前記所定の閾値は、前記第2の信号により所定の処理を行うかどうかを判定する場合に設定されるべき閾値よりも大きい値である。
【0054】
第1の制御方式における感度が低くなるように設定されるため、第2の制御方式による作動を保証し、且つ第1の制御方式により誤操作された場合の誤作動を低減できる
携帯機の操作により送信されるべき第1の信号により所定の処理を行う第1の制御方式と、応答要求信号を受信した携帯機により送信されるべき第2の信号により所定の処理を行う第2の制御方式により制御できる遠隔操作装置における方法が提供される。
【0055】
該方法は、
携帯機により送信されるべき信号が、前記第1の信号であるかどうかを判定する信号判定ステップと、
該信号判定ステップにより第1の信号であると判定された場合に、該第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する受信信号強度判定ステップと、
該受信信号強度判定ステップにより前記第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上である判定された場合に、該第1の信号に対応する制御を行う制御ステップと
を有する。
【0056】
さらに、
前記所定の閾値は、前記第2の信号により所定の処理を行うかどうかを判定する場合に設定されるべき閾値よりも大きい値である。
【0057】
以上、本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、各実施例は単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。説明の便宜上、本発明の実施例に従った装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウエアで、ソフトウエアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が包含される。
【符号の説明】
【0058】
100 車載電子機器
102 受信回路
104 マイコン
1042 信号判定部
1044 受信信号強度判定部
1046 制御部
106 LFドライバ
108 コード識別・制御電子制御ユニット(ECU: Electro Control Unit)
200 携帯機
300 ドアハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機の操作により送信されるべき第1の信号により所定の処理を行う第1の制御方式と、応答要求信号を受信した携帯機により送信されるべき第2の信号により所定の処理を行う第2の制御方式により制御できる遠隔操作装置であって、
携帯機により送信されるべき信号が、前記第1の信号であるかどうかを判定する信号判定部と、
該信号判定部により第1の信号であると判定された場合に、該第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する受信信号強度判定部と、
該受信信号強度判定部により前記第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上である判定された場合に、該第1の信号に対応する制御を行う制御部と
を有する遠隔操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の遠隔操作装置において、
前記所定の閾値は、前記第2の信号により所定の処理を行うかどうかを判定する場合に設定されるべき閾値よりも大きい値である遠隔操作装置。
【請求項3】
携帯機の操作により送信されるべき第1の信号により所定の処理を行う第1の制御方式と、応答要求信号を受信した携帯機により送信されるべき第2の信号により所定の処理を行う第2の制御方式により制御できる遠隔操作装置における方法であって、
携帯機により送信されるべき信号が、前記第1の信号であるかどうかを判定する信号判定ステップと、
該信号判定ステップにより第1の信号であると判定された場合に、該第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上であるかどうかを判定する受信信号強度判定ステップと、
該受信信号強度判定ステップにより前記第1の信号の受信信号強度が所定の閾値以上である判定された場合に、該第1の信号に対応する制御を行う制御ステップと
を有する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記所定の閾値は、前記第2の信号により所定の処理を行うかどうかを判定する場合に設定されるべき閾値よりも大きい値である方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate