説明

適応型記録ゾーン配置およびトラックピッチ設定によるディスク駆動装置

【課題】 複数の磁気記録ディスク記録面とそれら記録面にそれぞれ対応する複数の読出し/書込みトランスデューサとを含む超小型磁気ハードディスク記憶装置の記憶容量を大きくする。
【解決手段】 複数の磁気記録ディスク記録面とそれぞれ組み合わされる読出し/書込みトランスデューサの性能に基づいて各記録面の記録ゾーン境界を設定する。それらトランスデューサの書込時のトラック幅および所期記録周波数における記録性能を測定しそれら測定結果によりトランスデューサの性能を判定する。記録ゾーン境界の設定をヘッドの推定特性値に基づいて全記録面につき前以って一斉に行うのではなく、各トランスデューサの性能の実測値に基づいて個別に行う。上記性能判定ずみの読出し/書込みトランスデューサのトラック幅特性に基づいて記憶ゾーンごとの記録周波数およびトラックピッチを定めるのでディスク駆動装置全体としての記憶容量は改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は磁気媒体への情報の蓄積に関し、より詳細には、ディスク駆動装置における回転ディスクなど回転している磁気媒体への情報の蓄積に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術のディスク駆動装置は表面に磁性被膜を形成したディスクに情報を記録するのに円形トラックを利用している。複数のディスクを利用する場合に逐次的または同時的にアクセス可能なトラックの集合をシリンダと呼んでいる。ディスク駆動装置設計者の目標はできるだけ大きい記憶容量を提供することである。ディスク駆動装置の物理的構成の制約の下でのこの目標の達成は、トラックへの記録データ量の増大またはトラック数の増大によって通常なされる。従来技術により設計されたディスク駆動装置は最大記憶容量を得るのに一定数のトラック(およびシリンダ)を常に用いてきた。
【0003】
従来技術では、各ディスクの記録面は複数の記録ゾーンに分割され、各ディスク表面のそれらゾーンが垂直方向に一線上にそろうようにするゾーンビット記録技術が用いられてきた。例えば、ブレマーほか(Bremmer et.al)名義の米国特許第4,799,112号は業界でゾーンビット記録として知られているものを記載している。その手法においては、ゾーンはディスク記録面に区画され、ゾーン内の記録の周波数は一定に維持されている。ゾーン密度記録は一定密度記録の断片的線型実動化である。しかし、特定の読出し/書込み周波数はゾーンごとに異なる。図1を参照すると、ディスクスタック内の一対のディスク1および2のごく単純化した図面(一部を断面で示す)がディスク上で区画された記録ゾーンZ1,Z2およびZ3を示す。図1に点線で示したとおり、2枚ディスクスタック上のゾーンは垂直方向に目合せされており、これらゾーンの境界はディスクの中心Cからの距離R1〜R4に基づき半径方向に画されている。このスタックにおいて、ディスクの中心Cは一線上にある。各ディスクの互いに対応するゾーンが用いられる読出し/書込み周波数は同一である。すなわち、ディスク1のゾーンZ1の読出し/書込み周波数はディスク2のゾーンZ1のそれと同じであり、以下同様である。これらゾーンの各々の中での記録周波数は、この駆動装置で使うべきヘッドについての読出し/書込み公称性能などの種々の要素に基づき設計段階で決定する。読出し/書込みヘッドの所期の性能レベルに基づき、記録周波数を各ゾーン内でその駆動装置の所望の記憶容量を発揮するように決定し、各ゾーンについてのトラック数をこれら以外の後述の諸考慮事項によって決定する。
【0004】
上記ゾーンの配置には、駆動装置のストローク(後述)、最悪時のヘッド性能、ヘッド飛行高度性能、ゾーン効率、駆動装置組立後の性能に基づく所望の歩留りなど駆動装置の物理的諸元も考慮する。ヘッド性能は与えられた周波数でのトラック外れビット誤り率についてのヘッド性能で定義する。トラック外れビット誤り率は、データ読出しを所定のトラック外れ状態、すなわちここではトラックから10%外れた位置で行った場合に誤りビット1つあたりの転送ビットの数として定義される。図2を参照すると、通常のヘッドの性能のグラフが示してある。この図において、X軸は読出し/書込み周波数(すなわちNRZ周波数)を示し、Y軸はLOBERと略記したトラック外れビット誤り率の対数を示す。同図において、f
はヘッドの通常の平均的周波数であって、例えば約20MHzにすることができる。ディスク駆動装置設計者はトラック外れビット誤り率最小閾値を定義し、この閾値が図2には点線THで示してある。図2に示した曲線において、受容可能なトラック外れビット誤り率THの対数の最小値は6に等しい(すなわち、転送した10
ビットあたりの誤り1ビットであり、この数字を図示のために用いる)。参照数字7で示した対角線はヘッドの公称性能曲線を表わす。この曲線はヘッド設計により上下に動く。従来技術では、ディスク駆動装置の組立てののち各ヘッドと対応記録面との性能を計測して性能標準最小値を満たすか否かを判定する。ディスクスタックの中のヘッドのいずれかが少なくとも最小値THに達しない場合は、駆動装置は受入れ不可能と判定され、性能標準最小値を満たすように手直しできない場合は出荷されなかった。この段階での手直しは不具合のヘッドやディスクの交換、サーボ情報の書換えおよび駆動装置の再試験などであった。
【0005】
この試験の説明用の仮定の例を図3に示す。この図には、ヘッドHD#1,HD#2,HD#3およびHD#4の通常の平均動作周波数f
における性能値が示してある。ヘッドHD#1のトラック外れビット誤り率対数値(LOBER)はf で約5.5に等しく、ヘッドHD#2のそれは約6.5であり、ヘッド#3は約7.9であり、HD#4は約8.5である。試験における諸制約のために、ヘッドHD#1は受入れ可能な最小閾値以下の値を示すので、この駆動装置は故障となり、通常のフォーマット条件では使用不可能である。
【0006】
従来技術によるもう一つの設計規準はヘッドのストローク、すなわち読出し/書込みヘッドの半径方向の動きの予測値である。使用される一つの規準値は最悪事態のストロークであり、もう一つの規準値は片側検出ストロークである。これらの値の一方または他方を組立てずみの駆動装置の試験に通常用い、組立てずみの駆動装置のストローク計測値に基づき駆動装置の評価を行っていた。実際のストロークが仕様を満たさない場合は所望数のトラックをアクセスできず、駆動装置は不合格となる。通常は、クラッシュ止めの交換または調節とサーボ情報の書直しと駆動装置の再試験を伴う手直しが試みられる。
【0007】
図4Aを参照すると、最悪時ストローク分析における受容可能なストローク最小値および片側検出分析における二番目の値のグラフが示してある。点OCSおよびICSにおける鐘形曲線は、外側クラッシュ止めおよび内側クラッシュ止めの位置のそれぞれの機械的許容範囲分布の推測値を許容値3σの駆動装置について示す。図4Aにおいて、ICSおよびOCS機械分布曲線の中心の縦線は平均を示す。従来技術ではクラッシュ止めを駆動装置に装着する前にサーボデータを書き込む。内側および外側クラッシュ止めの両方の位置分散がσ2 である場合は、クラッシュ止め位置検出前に全トラックを書き込む方式の駆動装置における喪失位置平均(すなわちデータ記録に使えなくなった通常使用可能な位置)は6σとなり、図4Aに示すとおり最悪事態ストローク(W.C.ストローク)となる。一つのクラッシュ止めの検出ののち二番目のクラッシュ止めの検出までトラック書込みを行う従来技術の駆動装置では平均位置喪失は

位置喪失=3σ/√2 (式1)
となる。
【0008】
【特許文献1】USP 4799112
【特許文献2】特開平6−274806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、これら両方の従来技術の方法においては、上記手法に基づき使用可能なデータ領域に仮定がなされているので、情報の蓄積に使用可能な位置に損失が生ずる。
【0010】
従来技術の製品では、設計段階で、ゾーン境界、各ゾーンについての周波数、および使用トラック数を特定して、駆動装置モデルにつきゾーン表を作成していた。その結果、ゾーン目合せは図1に示すようなものになった。図1には示してないが、通常どおりディスク1および2の下側記録面を用いる場合は、ゾーン境界およびその境界内の読出し/書込み周波数はすべてのディスクの上側および下側記録面に同じになる。駆動装置モデルについての経験を生産から得たあと、上記ゾーン表はその後の生産に係る駆動装置全部について変更された。しかし、それらその後の生産にかかるすべての駆動装置については、ゾーン境界およびそれらゾーン用の読出し/書込み周波数は両方とも、図1に示すとおり、縦方向に目合せされた状態を保つ。追加のトラックが使用可能であると決定できれば、その点もゾーン境界の設定に考慮される。
【0011】
ディスク駆動装置設計において従来用いられてきた上述の規準に加えて、1インチ当りのトラック数、すなわちトラックピッチも、磁気ディスク表面への書込み信号の所期トラック幅に基づき、駆動装置用ヘッド、すなわち読出し/書込みトランスデューサの公称性能を考慮して設定できる。ヘッドの書き込んだトラックの実際の幅が所期値または公称値よりも小さい場合は、貴重な記録用スペースが有効活用されない。すなわち、その場合はトラック相互間干渉を生ずることなくトラック間隔をより小さくすることができるはずだからである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によると、ヘッドディスク組立体および駆動電子回路用部品の所定の組で各々を組み立てた複数のディスク駆動装置の組を提供できる。各駆動装置に適応型ゾーン記録手法を用いて、一連の駆動装置、すなわち各々の個々の構成部品の性能特性には差があるものの各々が共通の記憶特性を有する一連の駆動装置を提供する。データは各々が一つの読出し/書込み周波数を有する複数のゾーンに蓄積される。記録ゾーン境界の配置および周波数の組分けには駆動装置ごとにばらつきがあり得る。ばらつきはあっても、上記一連の駆動装置の各々のもつ総合性能は維持される。ゾーン境界および境界内読出し/書込み周波数は読出し/書込みトランスデューサ・媒体記録面組合せ性能に基づき設定され、その結果、ゾーン境界が変わり、同一の組の駆動装置の対応記録面に読出し/書込み周波数の異なる群を用いることになる。同様に、一つの駆動装置内の同一のディスクの記録面のゾーン境界の縦方向目合せ状態が必らずしも保てなくなる。さらに、読出し/書込み周波数の同一の群をその組の一つの駆動装置内の同一のディスクの表面に使うとは限らなくなる。
【0013】
読出し/書込みトランスデューサの種々の記録周波数における記録性能のパラメータのほかに、記録された信号のトラック幅も測定してその組の駆動装置の記憶容量を最大にするのに用いる。
【0014】
この発明によると、読出し/書込みトランスデューサを用いて磁気媒体に情報を記録し再生する読出し/書込み周波数を各々が有する複数のゾーンを画する方法を提供できる。この方法は読出し/書込みトランスデューサに対して磁気媒体を動かしてその媒体からデータを読み出す過程と、前記読出し/書込みトランスデューサの性能を測定する過程と、測定された前記読出し/書込みトランスデューサの性能に基づき一群の読出し/書込み周波数を前記ゾーンに一つずつそれぞれ選択する過程と、それらゾーンの各々の境界をそのゾーンのために選択された周波数に基づき画する過程とを含む。
【0015】
この発明のもう一つの特徴として、磁気媒体上の信号の記録トラックの幅を読出し/書込みトランスデューサで決める方法を提供する。この方法は磁気媒体記録面上の一つの位置に試験パターンを書き込む過程と、その試験パターンを読み出してその読出し信号の振幅を判定する過程と、前記読出し/書込みトランスデューサを前記試験パターンの一方の側の第1の位置に動かして直流の消去信号を書き込む過程と、前記読出し/書込みトランスデューサを前記試験パターンの他方の側の第2の位置に動かして直流消去信号を書き込む過程と、前記試験パターンを最初に書き込まれた位置で読み出す過程と、前記試験パターンの1回目の読出しと2回目の読出しとの関係から読出し/書込みトランスデューサのトラック幅の値を判定する過程とを含む。
【0016】
この発明のもう一つの側面によると、読出し/書込みヘッドを用いて磁性面のあるディスクにデータを記録し再生するための複数のゾーンを画する方法を提供できる。ゾーンNの第1の半径方向境界の決定は、磁性面の上の少なくとも一つの半径方向基準位置に読出し/書込みトランスデューサを位置づけてその半径方向基準位置の関連表面からのデータ再生の期間中に読出し/書込み周波数におけるその読出し/書込みトランスデューサの性能を測定し、前記半径方向基準位置における所望の性能レベルをもたらす読出し/書込みトランスデューサ用読出し/書込み基準周波数を選択し、前記ゾーンNに対する読出し/書込み目標周波数を選択することによって行う。この読出し/書込み目標周波数の選択ののち、前記基準周波数と前記目標周波数との比を決定し、前記読出し/書込みトランスデューサの性能を半径方向位置の関数として特徴づける式を選択し、ゾーンNについての第1の半径方向境界の決定を前記目標周波数対前記基準周波数の比と前記式との等式を前記第1の半径方向境界について解くことによって行う。
【0017】
この発明における記録密度の相当の改善は、一つの側面では、多数ヘッドディスク駆動装置のヘッドの各々の読出し/書込み周波数特性を試験し、所定の動作周波数におけるビット誤り率が受容可能な値よりも劣るヘッドについてはビット誤り率を所期の受容可能な値にするような値まで読出し/書込み周波数を低下させ、前記所定の動作周波数におけるビット誤り率が前記受容可能な値に優るヘッドについては前記読出し/書込み周波数低下ヘッドにおける記録密度低下を補うに十分でしかもビット誤り率を受容可能な値よりも劣化させない値まで読出し/書込み周波数を上昇させることによって達成する。
【0018】
この発明の一つの実施例においては、平均ビット誤り率を前記ヘッドの全部について定める。次に、性能の低いヘッドについては、その動作周波数をビット誤り率が前記平均ビット誤り率に等しくなるまで低下させ、一方、性能の高いヘッドについては、その動作周波数をビット誤り率が前記平均ビット誤り率と等しくなるまで上昇させる。
【0019】
この発明のもう一つの実施例においては、各ヘッドの動作周波数を受容可能な最低LOBER値を確保できる限界まで上昇させ、それによって最大記憶容量を提供する。
【0020】
この発明のさらにもう一つの実施例では、可変ゾーン配置手法を提供する。可変ゾーン配置の実動化においては、ヘッド・記録面の各組合せについてのゾーン境界をヘッドの読出し/書込み周波数の調節後の値の関数として定義する。
【0021】
この発明のもう一つの実施例では、使用可能なストロークの確認を、内側クラッシュ止めの検出およびトラック番号の記録を行い、次に外側クラッシュ止めへの移動およびそのトラック番号の記録を行い、それによって利用可能なトラックの総数を判定することによって行う。トラックは全部データの記録に用い、従来技術の例のようにそれらトラックのうちの所定数のものの利用に留まらない。ストロークの最適化によって、ストロークが長いほど平均の線方向密度を下げることができ、したがってディスク駆動装置の歩留りおよび密度/容量が高まる。
【0022】
この発明によると、ディスク駆動装置の記録密度の大幅な改善が、読出し/書込みヘッドによる書込み信号の書込みトラック幅の測定、およびその測定結果のトラック幅の利用による記録利用率最大化のためのトラックピッチの設定によって達成できる。
【0023】
この発明による複数読出し/書込みトランスデューサ型ディスク駆動装置では、それらトランスデューサの各々のトラック幅をディスク駆動装置の組立て後に測定する。その駆動装置のトラックピッチを、最大トラック幅の読出し/書込みトランスデューサを収容できるように設定する。その実施例では前記最大トラック幅をピッチパラメータとしてディスクをフォーマットする。
【0024】
この発明のもう一つの側面によると、読出し/書込みトランスデューサは書込みトラックの幅で特徴づける。それらトランスデューサを所定範囲内のトラック幅ごとのグループに区分する。ディスク駆動装置の組立ての際には、その装置に組み入れるトランスデューサは同一のグループ所属のものに限る。
【発明の効果】
【0025】
最大記憶容量を効率的にさらに大きくした磁気ディスク駆動装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
上述のとおり、従来技術においては駆動装置設計の段階で固定のゾーンを画し、それらゾーンに所定の周波数を設定する。例えば、図1を参照すると、ゾーンZ1,Z2およびZ3はディスクの中心(Cで表示)について定まる半径値を有する。一つのヘッドの性能が最小ビット誤り率よりも劣化すると(図3)、駆動装置は十分な動作余裕を確保できず、また受容可能なビット誤り率の規準を満たさない。この発明の一つの実施例によると、ヘッド性能の測定結果に基づきゾーン境界を設定し、それらゾーン境界の調節を、複数のヘッド/ディスク組合せおよび複数の記録密度からその駆動装置に所望の性能レベルを備えるディスク駆動装置を所望容量を維持しつつ実現するように行う。
【0027】
ヘッド/ディスク組合せの記録密度性能が平均μおよび分散σ についての正常ランダム変数とすると、Nヘッド/ディスク組合せの平均的密度性能は、平均μおよび分散σ
/Nについての正規分布を示す。図1のゾーン配置を用いた標準的な従来技術の設計では、密度(d)は、3シグマ歩留りを確実にするために、
【0028】
【数2】

に設定しなければならない(ここでμは受入れヘッド全部の分布の中心を表わす)。この発明による後述の適合ゾーン、すなわち記録密度を良質のヘッドについては上げ、低質のヘッドについては下げる手法による適合ゾーンを利用して、総合密度dを
【0029】
【数3】

に設定できる。したがって、密度の改善は
【0030】
【数4】

となる。σ=0.05(μ)とすると、密度改善は7.5%となる。
【0031】
図12Aはこの発明の一実施例による上記適応ゾーン配置利用のディスク駆動装置の組立工程のフロー図である。この適応ゾーン手法の第1の実施例を用いたディスク駆動装置の組立てにおいては、ステップ1201に示したヘッド/ディスク組立て体の形成をまず行う。次に、ステップ1202に示すとおり、当業者に周知の形式のサーボトラックライターによりサーボ情報をディスク上のトラックに書き込む。サーボ情報は専用サーボ面に書き込んでもよく、またいわゆる埋込みサーボを用いてもよい。埋込みサーボについては、スティーブン アール.カウェン(Stephen R.Cowen)名義の1994年6月14日発行の米国特許第5,321,560号に記載された埋込みサーボシステムを採用でき、同特許をここに参照してその明細書全体をこの明細書に組み入れる。
【0032】
次に、ステップ1203に示すとおり、ヘッドディスク組立体を関連の回路基板にはめ合わせて試験に備える。次の工程、すなわちステップ1204ではヘッドを内側クラッシュ止めに動かしてトラック番号を確認する。内側クラッシュ止めの位置検出ののち、ヘッドを外側クラッシュ止めまで動かし、その位置のトラック番号を記録する(ステップ1205)。より詳細に後述するとおり、この発明における利用可能なトラック全部が駆動装置のストロークおよび記憶容量の改善に寄与する。
【0033】
次に、この駆動装置のヘッドの各々の記録性能を測定してそれらヘッドの各々の密度性能を判定する(ステップ1206)。このヘッド・ディスク性能の測定結果に基づき、各ヘッドの読出し/書込み周波数を調節して駆動装置の総合性能改善を達成するのが好ましい。この調節は、例えば図5A,図5Bを参照して後述するように行うことができ、また他の目的を達成するように行うこともできる。
【0034】
上述の過程で得られた情報を用いて、ゾーン配置(ステップ1207)をヘッド性能測定結果に基づき、ヘッド・ディスク組合せの各々につき作成する。図13Aは、ヘッド性能に基づき各ヘッドについてゾーン境界を発生し各ヘッド記録面組合せについてデータゾーン配置を生ずる過程のフロー図を含む。図13Aのフロー図とゾーン境界の決定に用いる式は詳細に後述する。
【0035】
図12Bはこの発明により上述の適応型ゾーン配置手法を用いたディスク駆動装置の代替的構成方法を示す。図12Bの手法は図12Aにおける過程と同じものを多く用いているが、図12Bの方法ではゾーン配置は利用可能なストロークの測定(内側クラッシュ止めの位置の検出およびそれに続いて外側クラッシュ止めの位置検出を行って利用可能なトラック数の最大値を判定する)に基づいて行う。図12Bの方法では、ヘッド全部の性能が平均規準を満たしているものと仮定している。図13Bのフロー図は図12Bの方法による場合に用いる。図13Bの第1の過程(ステップ1301−1)において、基準周波数fref
の選択が、図12Aのフローにおける読出し/書込み周波数調節値でなくヘッド性能所期値に基づいて行われていることが読み取れよう。図13Bにおける残余の過程は図13Aのものと同じである。この手法は、利用可能なストロークを推定し、実際の利用可能なストロークを駆動装置ごとに確認することなくゾーン境界を設定する従来技術に比べて有利である。
【0036】
図12Cはディスク駆動装置の構成に適応型ゾーン配置手法を用いたこの発明のもう一つの実施例を示す。図12Cに示した方法では、ヘッド性能の測定および所望の結果を達成するための読出し/書込み周波数の調整(ステップ1206)は図12Aのフロー図の場合と同様に行われるが、内側クラッシュ止めほかのクラッシュ止めの位置検出は行われない。図12Cの方法においては所定のストロークが利用可能であると仮定している。図12Cの方法で用いるゾーン配置過程(図13A)では、内側および外側半径を、図12Aにおけるような測定でなく、予測した利用可能なストロークに基づいて推定する。
【0037】
図12Aおよび図12Cに示したこの発明の実施例では、駆動装置に用いたヘッドの密度性能を試験し、媒体表面とはめ合わせのヘッドの動作に基づき適当に調節する(ステップ1206)。代替的には、図12Dに基づきゾーン境界の設定およびゾーン記録周波数の決定を行うことができる。図12Dの組立て手順を用いた場合は、図13Cのフロー図に基づいてゾーン境界の決定およびゾーン用周波数の決定を行う。図12Dに戻ると、この手順の第1のステップにおいて、ヘッドおよび媒体表面を試験する(ステップ1200)。ヘッドを試験しその特徴を把握する際には、組み立てるべきヘッド駆動装置に用いる型の記録面を有する標準的ディスク媒体を試験対象のヘッドにはめ合わせる。ヘッド特性の判定は図12Aおよび図12Cのフロー図の組立てずみヘッド・媒体組合せに基づき上述のやり方で行う。次にヘッド特性を記録し、ヘッドを関連ディスクと組み合わせる際に用いるために保存する。同様に、利用すべきディスクは標準ヘッドとの組合せ使用によりその特徴が把握され、各記録面は標準ヘッドとの組合せの性能に基づき品質評価が与えられる。その記録面の品質データは記録されそのディスクとともに保存されて、媒体表面とヘッドとのはめ合わせの際に使用できるようにする。
【0038】
ヘッドおよび媒体表面の特性把握のあと、その試験ずみのヘッドと媒体とを用いてヘッドディスク組立体の組立てを行う(ステップ1200−1)。ステップ1202,1203,1204および1205の残余の過程は上述のとおり行う。
【0039】
図12Dのフロー図により製造すべきディスク駆動装置で用いるゾーン境界および周波数の計算および決定を図13Cに示す。図13Cを参照すると、第1の過程(ステップ1301−2)において、ステップ1200(図12D)で把握ずみのヘッドおよび媒体特性を基準周波数fRef
の決定に用いる。後述の式6にfRef を用いることによって、ステップ1302で周波数比を計算する。ステップ1302で目標領域全部について上記周波数比を計算したのち、図13Cの残余のステップが図13Aおよび図13Bにつき既述の過程に続く。
【0040】
ゾーン境界配置を達成したのち、読出しチャンネル内のフィルタは当業者に周知の手法により全ゾーンについて最適化される(ステップ1208)。読出しチャンネルフィルタ処理の終了後に欠陥セクターの有無の把握のために試験を行い、何らかの欠陥セクターがある場合はそれら欠陥を回避する(欠陥を含む領域の使用を防止する)ために再フォーマットを行う。これら過程はステップ1209に示してある。駆動装置の品質保証および欠陥セクター使用回避のための再フォーマットを行ったのち、駆動装置の最終検査を行い(ステップ1210)出荷に備える。
【0041】
・ヘッド・ディスク組立体(HDA)の組立て前のトラック幅測定
従来技術の説明において上に述べたとおり、ディスク駆動装置設計者は読出し/書込みトランスデューサの正常トラック幅をメーカー仕様に基づいて推定するのがこれまでは普通であった。したがって、ディスクのフォーマッティングにおいては、記録表面一定面積あたりのトラック数は、読出し/書込みトランスデューサが書き込むトラックの幅の実際の値ではトラック幅の推定値に基づいて定められていた。ディスク駆動装置の記憶容量の一層の改善は、読出し/書込みトランスデューサによって書き込まれたトラックの幅を実際に測定しその測定値を用いてディスク記録面のフォーマッティングを行うことにより達成できる。読出し/書込みトランスデューサに基づく可変ゾーン配置の利用に伴って当該トランスデューサの性能の所期値よりも優れた性能がひき出されて利用可能になった上記追加のトラックによって記憶容量が改善されることが理解されよう。
【0042】
図15を参照して、この発明による読出し/書込みトランスデューサのトラック幅の測定を次に説明する。磁気記録ディスク50の斜視図を示す図15を参照すると、このディスク50は、内側半径51および外側半径52を有する。読出し/書込みトランスデューサの書き込んだ一つのトラックのトラック幅の測定にあたっては、中心線を参照数字53で示したトラックtでデータパターンを書き込む。トラックtはディスク表面上の種々の位置に任意に位置設定できるが、データ領域の外側端部近傍の位置が好ましい。書き込まれる試験パターンは一定振幅を有する一定周波数NRZ信号とするのが好ましい。試験パターンの周波数はディスク駆動装置で使用見込みの最大記録周波数またはその近傍とするのが好ましい。トラック幅試験用に使える一つの手法は、標準的な周知のヘッド・ジンバル組立体(HGA)テスターを用い磁気ディスク50の表面の上にそのヘッド・ジンバル組立体の一部として読出し/書込みトランスデューサを位置設定するやり方である。
【0043】
次に記録ずみの試験パターンを読み出し、その読出し信号の振幅を蓄積してその後の使用に備える。トラックtで読み出した信号の振幅を測定して蓄積したのち、読出し/書込みトランスデューサをトラックt+1、すなわちトラックtの中心線から距離dの点にある中心線54を有するトラックt+1に動かす。距離dは試験対象の形式の読出し/書込みトランスデューサの最小トラック幅見込値に基づいて定める。読出し/書込みトランスデューサの実際の書込みトラック幅が上記最小トラック幅見込値よりも大きい場合は、それ以後の試験距離dを大きくする必要があろう。読出し/書込みトランスデューサをトラックt+1に位置づけて直流消去信号を書き込む。次に、読出し/書込みトランスデューサを、中心線55のトラックt−1に動かす。先行過程の場合と同様に、距離dは試験対象の読出し/書込みトランスデューサの最小トラック幅見込値である。トラックt−1で直流消去信号を書き込む。トラックtの反対側のトラック幅見込値に等しい距離での直流消去信号の書込みによってトラック幅見込値よりも幅の大きい試験パターン部分はトラック近傍に書き込まれる直流消去信号によって消去される。
【0044】
次に読出し/書込みトランスデューサはトラックt経由でもとの位置に戻され、試験パターンが読み出され、その試験パターン信号の振幅がトラックtの反対側での直流消去信号の書込み前に測定した試験パターン信号の振幅との比較のために蓄積される。
【0045】
次に、トラックtからの読出し信号の振幅どうしの比較が直流消去信号の書込み前のものと書込み後のものとについて行われる。直流消去信号の書込み後の信号振幅と書込み前の信号振幅との比に基づき、残余信号の百分比を定める比を形成する。
【0046】
残余信号の百分比を記録し、そのヘッド・ジンバル組立体(HGA)にその百分比の数字を記入するか、または、該当する百分比の範囲を表示した容器にそのHGAを収容する。同じ試験を残余信号の百分比で特徴づけるようにほかのHGAについても行い、試験結果に基づき、性能が同等のものごとにグループ分けする。記憶密度を最大にするために、ディスク駆動装置の組立ては同様のトラック幅特性を有する読出し/書込みトランスデューサ付きのHGAを用いて行う。HGAのグループ分けの一例を挙げると、次のとおりである。すなわち、振幅保持率80%以上の読出し/書込みトランスデューサを1インチあたり5500トラックのトラックピッチを用いたHDAの組立てに用い、信号振幅保持率60%乃至80%のヘッドを1インチあたり5000トラックのトラックピッチのHDAの組立てに用い、信号振幅保持率40%乃至60%のヘッドを1インチあたり4500トラックのトラックピッチのHDAの組立てに用い、信号振幅保持率20%以下のヘッドは採用しない。
【0047】
記録ずみトラック幅見込値性能の把握を上述の方法におけるようにHGAテスターで行う代わりに、光学的手法で行うこともできる。光学的手法を用いる場合は、ギャップ幅、すなわちヘッド磁極間間隙の大きさをスライダーレベルで観測し、観測されたギャップ幅に基づきHDAでの使用に備えてそれらスライダーをグループ分けする。ギャップ幅観測値に基づくグループ分けの例を挙げると、ギャップ幅4.3μm以下のスライダーは1インチあたり5500トラックのトラックピッチのディスク駆動装置用に別にしておき、ギャップ幅4.3μm乃至4.7μmのスライダーは1インチあたり5000トラックのトラックピッチのディスク駆動装置に用い、ギャップ幅4.7μm以上のスライダーは1インチあたり4500トラックのトラックピッチのディスク駆動装置用に分けておく。
【0048】
上述の手法のいずれにおいても、読出し/書込みトランスデューサのトラック幅特性はディスク駆動装置の組立て前に判定される。これによって、同等の特性値の読出し/書込みトランスデューサのグループ分けが可能になり、ディスク駆動装置で達成可能な記憶容量を最大にすることが可能となる。すなわち、トラック幅特性値がまちまちの複数の読出し/書込みトランスデューサを用いてHDA組立てを行う場合に不可避的な記憶容量の損失が生じないからである。トラック幅特性値にばらつきがある場合は、最低のトラック密度特性値を有する読出し/書込みトランスデューサを基準にしてトラックピッチを定めなければならない。
【0049】
・ヘッド・ディスク組立体(HDA)の組立て後のトラック幅測定
読出し/書込みトランスデューサのトラック幅の測定をヘッド・ディスク組立体(HDA)の組立ての前に行う代わりに、HDAの組立て後であって、埋込みサーボの場合は記録の各々のトラックへのサーボ情報の書込み、専用サーボの場合は一つの共通アクチュエータの制御下にある一つのグループ内のヘッド全部についてのサーボ面使用に関するサーボ情報の書込みの前に行うこともできる。
【0050】
複数のヘッドと関連記録面とをHDAに組み立てたのちに各ヘッドのトラック幅特性を判定する方法では、各読出し/書込みトランスデューサの特性把握を上述の方法を用いて行う。ただし、サーボトラックライターを用いて試験トラック書込み期間中に各読出し/書込みトランスデューサを動かし、試験トラックの反対側の信号を消去し、残余の信号ともとの信号とを比較して読出し/書込みトランスデューサの書き込んだトラックの幅の特性把握を行う点が異なっている。各読出し/書込みトランスデューサの特性把握のあと、トラック密度性能が最低(トラック幅が最大)の読出し/書込みトランスデューサを収容するピッチに基づいてそのグループのトラックピッチを設定する。スタック内の読出し/書込みトランスデューサのグループのトラックピッチを判定したあと、それらディスクのスタック上のトラックにサーボトラックライターによりサーボ情報を書き込む。専用サーボ面の場合は、サーボ情報を専用サーボ面のトラックだけに書き込むのは当然である。トラック幅特性の上述の特性蓄積は標準的な周知のサーボトラックライターを用いて行う。
【0051】
ヘッド(読出し/書込みトランスデューサ)の記録密度特性の測定に加えてヘッドのトラック幅測定値のパラメータを用い、読出し/書込み記録周波数の調節を行うことによって、従来技術では未達成であった性能向上が得られる。図16,17,18および19は、適応型ゾーン配置とHDA組立前の読出し/書込みトランスデューサトラック幅測定値に基づき設定されたトラックピッチとの利用によるディスク駆動装置の組立てに用いられる過程のフロー図である。図16〜19において、ヘッドのトラック幅は一連の過程の中の最初の過程として判定され、同等の動作特性の読出し/書込みトランスデューサが用いられる。上述のような手法をヘッドのトラック幅の判定に利用できる。
【0052】
図16に移ると、組立て工程の最初の過程はステップ1601、すなわち使用するヘッドのトラック幅を判定する過程である。ステップ1201−2において、トラック幅試験を経て予め選別ずみの読出し/書込みトランスデューサを用いてヘッドディスク組立体を組み立てる。上に指摘したとおり、書込みトラック幅(または磁極間間隙測定値)でヘッドをグループ分けする手法を用いて組み立てた駆動装置の利点を最大限に得るために、ヘッド・ディスク組立体の構成を同等のトラック幅特性のヘッドを用いて(予め選別ずみのグループ)行う。
【0053】
ディスク組立体の組立てののち、HDAをサーボトラックライターの上に配置し、そのHDAに採用されたヘッドのグループのトラック幅性能に見合ったトラックピッチでサーボ情報を書き込む。図16と図12Aとの比較から明らかなとおり、図16のステップ1602に続くステップは図12Aのステップ1202のあとのステップと同じである。
【0054】
ディスク駆動装置組立ての代替的方法は、ヘッドのトラック幅の利用と、利用可能なストロークの測定(内側クラッシュ止めと外側クラッシュ止めとの検出による)と、ステップ1601で把握されたヘッドのトラック幅の利用とを示す図17に示してある。共通の参照数字を付けたステップで示したとおり、図17のステップ1601および1602は図16のステップ1601および1602とそれぞれ同じである。図17の方法では、全ヘッドの周波数特性で表わした読出し/書込み性能は平均的規準を満たすものと仮定している。図13Bのフロー図をデータゾーン配置に用いる。
【0055】
図18はヘッドのトラック幅およびヘッド記録性能の測定および読出し/書込み周波数の調整の両方を利用したこの発明のもう一つの実施例を示す。図18に示した組立て方法と図16に示したものとの間には多くの類似点があるが、一つの際立った例外は図18のフローにおいて内側クラッシュ止めおよび外側クラッシュ止めの検出を行わず、平均的ストロークが利用可能であると仮定していることである。
【0056】
図19においては、ヘッドのトラック幅の把握(ステップ1601)の過程を用いてディスク駆動装置の組立てを行い、ディスク駆動装置の組立てに用いる型の特性の標準媒体を用いてヘッドの読出し/書込み性能の把握を行っている。また、ステップ1200の一部として、ディスク駆動装置の組立てに用いたディスクを標準ヘッドの使用に基づき特性把握して、各記録面につきその標準ヘッドを伴った場合の性能に基づき品質格付けを行う。ディスク記録面品質は記録されてディスクとともに保管され、媒体記録面とヘッドとの組合せの際にこの品質格付けを利用できるようにする。図12D(図19に示したものと類似の組立て方法を示す)との比較から、多数の共通ステップが用いられていることが理解されよう。図12Dの方法に対する図19の方法の利点は、使用されるヘッドのトラック幅が確認ずみであるので、記録面上で使えるトラックの最大数をディスクに書き込むことができ(ステップ1602)、それによって記憶容量を改善できることである。図19のフロー図において、ステップ1201−3でHDAの組立てが記録周波数特性およびトラック幅特性の両面からの読出し/書込み性能に基づきグループ分けされた読出し/書込みトランスデューサを用いて行われる。
【0057】
図16〜19に示した方法において、読出し/書込みトランスデューサ(ヘッド)のトラック幅をスライダーレベルまたはHGAレベルで個々に判定し、互いに同等の性能のヘッドをディスク駆動装置の組立てに用いる。上述のとおり、これによってトラック密度を最大にできるので有利である。
【0058】
組立て前のトラック幅試験の代わりに、ヘッドおよびディスクのスタックを組み立て、そのスタック内のヘッドの各々のトラック幅を上述の方法により判定することもできる。この発明の一実施例の組立てフロー図の一例を図20に示す。図20を参照すると、ステップ1201において、メーカー側の試験以上の性能試験を行っていない部分品を用いてヘッド・ディスク組立体を組み立てる。ステップ2000において、ヘッドの各々のトラック幅を、上述の方法により、サーボ情報のトラックへの書込み前にサーボライターを用いてヘッド・ディスク組立体を試験して、判定する。複数のヘッドを有するディスク駆動装置については、最低の性能の読出し/書込みトランスデューサ(書込みトラック幅最大)の組み入れに必要なピッチをそのスタック用のピッチとしてトラックピッチを設定する(ステップ2001)。ステップ2000および2001を除いて図20の組立て方法は図12Aに用いたものと同じである。
【0059】
この発明のもう一つの実施例を図21に示す。図21の方法はステップ2000および2001を除き図12Bに用いたものと同一である。
【0060】
この発明のさらにもう一つの実施例を、上述の図12Cに用いたものとごく類似した方法のフロー図である図22に示す。図22に示したステップは、ヘッドのトラック幅の判定およびサーボトラックへのサーボ情報の書込みの観点から見ると、図20および図21のフロー図におけるステップに対応する。図22におけるそれ以外のステップは図12Cについて上に述べたものと同じであるので説明を省略する。
【0061】
この発明のもう一つの実施例を図23のフローチャートに示す。図20〜22の場合と同様に、ヘッドのトラック幅の判定をHDA組立てのあとに行い、そのスタックのトラックピッチを決定し、そのヘッドに適切なピッチでサーボトラックを書き込んだ(ステップ2001)。図23を図12Dと比較すると、ステップ2000および2001以外のステップは両図のフロー図に共通であることが理解されよう。
【0062】
上述の例では、ディスク駆動装置に用いたヘッドの読出し/書込み周波数特性の測定値によって可変のゾーン配置を提供するように適応型ゾーン記録手法が用いられている。実施例によっては、上記適応型ゾーン配置手法との組合せでヘッドのトラック幅が追加的因子として用いられる。図24および25は、ディスク駆動装置に用いたヘッドのトラック幅を測定し、そのトラック幅測定値に基づいてトラックピッチを設定するこの発明のもう一つの実施例を示す。この手法を用いることによって、ヘッドの記録密度性能は記録ゾーンの配置における因子としては利用されないものの、ディスク駆動装置の記憶容量の改善を達成できる。
【0063】
図24を参照すると、第1のステップ(1601)においてヘッドのトラック幅特性を上述の電気的もしくは光学的手法またはそれら以外の手法により判定する。次にHDAを組み立て、トラック幅測定値を用いてサーボ情報をトラックに書き込みトラックピッチを設定する。次にHDAを回路基板にはめ合わせ(ステップ1203)、データゾーン用の配置を、組立て中のディスク駆動装置に用いた型のヘッドの読出し/書込み周波数特性期待値を用いて行う。ステップ2401において、ゾーン境界全体を記録面間およびディスク間で目合せする従来技術の手法を用いる。
【0064】
次に、読出しチャンネルフィルタをゾーン全体について最適化し(ステップ1208)、駆動装置品質保証および欠陥回避を行い(ステップ1209)、駆動装置最終試験を行う(ステップ1210)。
【0065】
空隙幅を予め試験しその測定値の所定範囲ごとにグループ分けした読出し/書込みトランスデューサを用いてディスク駆動装置を組み立てる上述の例(例えば、図16〜19,24)の代替的組立て方法として、読出し/書込みトランスデューサのトラック幅試験をHDA組立後に行う。図26〜30を参照すると、同じ組立て手順にステップ1601および2000を用いた代替的手順のフロー図が示してある。ステップ2000(ヘッドのトラック幅判定)を見出し「HDA組立て後のトラック幅測定」の段階で上述のとおり行う。上記手順における2回目のトラック幅測定を用いることにより、適切なトラックピッチを設定でき、試験ずみの読出し/書込みトランスデューサのトラック幅記号付与誤りの場合に生ずる問題を回避できる。図16〜19および24記載の手順にはこの二重のトラック幅試験手順は開示してないことが理解されよう。
【0066】
図25のフロー図は、HDA組立て後にヘッドのトラック幅の判定を行うこの発明のもう一つの実施例を示す。ステップ2000のトラック幅判定は上述のとおりであり、サーボ情報書込みステップも同様である(2001)。図25の上記以外のステップは図24の場合と同じである。
【0067】
ヘッドの記録密度の調整を全体としての記録密度の改善もたらすように行うこの発明の側面を説明するために図5Aを参照する。図5Aは4ヘッドディスクスタックの試験の様子を示し、縦軸f
沿いの丸印で示すとおり、一つのヘッド(HD#1)はLOBER値約5.5(受入れ可能な最小LOBER閾値TH=6以下)であり、二番目のヘッド(HD#2)は約6.5であり、三番目のヘッド(HD#3)は約7.9、四番目のヘッド(HD#4)は約8.5である。これらヘッドの性能の測定は周波数fR における各ヘッドのLOBER値を得るように記録面上の任意のトラック位置で行うことができるが、性能指標値の発生に望ましい位置はディスク面の中心のトラックであることが見出された。トランスデューサのビット誤り率の判定の手法に関する上記以外の情報はブルース ディー. エモー(Bruce D.Emo)名義の1993年9月20日付特許出願第08/124,322号「ディスク駆動装置の動作の最適化の方法」に記載してある。上記出願の譲受人はこの出願と共通であり、ここに同出願の出願番号を挙げて同出願の明細書の記載内容全体をこの明細書に組み入れる。この発明の実施においては、ヘッドの性能の試験に上記以外の手法を用いることもできる。
【0068】
従来のフォーマット使用による従来技術の固定記録ゾーンの規準を用いると、複数のヘッドの一つが最低規準THを満たすに十分な性能を備えてないためにディスク駆動装置全体が正常に機能しなくなることが生ずる。しかし、性能の劣るヘッドの読出し/書込み周波数を下げ、性能の高いヘッドの読出し/書込み周波数を上げることにより、全体としての記録密度が著しく改善されることを発明者らは見出した。この記録密度改善は記憶容量の増大または製品歩留りの向上に活用できる。
【0069】
図5Aを参照すると、ヘッドの動作周波数の設定において上記LOBERの平均値を計算し、各ヘッドの動作周波数をそのヘッド所属のグループの平均的性能のLOBER値をもたらすように動かす。各ヘッドの新たに設定された動作周波数を図5に水平線3沿いの三角印で示す。この例ではLOBER平均値は約7.1である。性能の高いヘッドの読出し/書込み周波数を高い方に調節することによって、性能の低いヘッドの読出し/書込み周波数の低下に伴う記憶容量損失を補う。図5Aの例ではヘッドの動作周波数をLOBER値が全部のヘッドについて同じになるように調整しているが、それはこの発明の実施に必要ではない。この発明の利点は、性能の高いヘッドの動作周波数を、最低の受入可能な閾値以下の性能の一つ以上のヘッドの動作周波数低下による記憶容量損失を帳消しにするのに十分な値だけ上げることによって得られる。換言すると、ヘッドの各々を同一のLOBER値をもたらすように調整する必要はない。図5Aにおいて、上述の複数のヘッドについて新たに設定された読出し/書込み周波数は、動作性能のTHの受入可能な最低レベルを上まわる余裕値を最大にするように設定してある。すなわち、図5Aにおいて、上記余裕値は線3におけるLOBER値と受入可能な最低レベルTHとの差であり、各ヘッドの性能はすぐ近傍にヘッド番号を付けた対角線の点線で示してあるが、ヘッドの読出し/書込み周波数の変動は、同図に示すとおり、各性能曲線沿いの新たな性能値をもたらす。各ヘッドの新たな読出し/書込み周波数の選択には、LOBER値を互いに等しくする周波数以外の周波数にそれら読出し/書込み周波数を変動させる手法など、種々の変形がある。
【0070】
ヘッドの読出し/書込み周波数の調整を、受入れ可能なビット誤り率最悪値を確保しながら全体としての記憶容量を最大にするように行うこともできる。図5Bを参照すると、ヘッド#1乃至#4の読出し/書込み周波数の調整をもとの試験位置(図3)について行っている。図5Bに示した矢印は周波数f
におけるもとの試験位置から四角印で示した新たな周波数に動かすことを示している。ヘッド#1の読出し/書込み周波数を、それ以外のヘッドの各々の読出し/書込み周波数を上げてしかも受入可能なLOBER最低値を維持しながら下げていることがこの図から理解されよう。図5Bに示した手法は、利用可能なデータトラックの数が所期の数よりも少ないにも関わらず所望の記憶容量を達成するのに、従来技術の手法によった場合に受入れ可能なもの以下のストロークで記憶容量を最大にするように用いられる。
【0071】
ヘッド特性判定の上述の例では周波数f における性能の試験に単一のトラックを用い、それ以外の点での性能の評価は以下に述べる算術モデルに基づいて計算する。ヘッドの各々の性能の判定を複数の点で行い、それら性能データを算術モデル代わりに用いることもできる。
【0072】
上記ヘッドの各々についての読出し/書込み周波数に基づき、その関連記録面のゾーン境界を計算する。ディスクの中心線からゾーン境界の内径までの距離は次式から計算できる。
【0073】
周波数比
=(a)ir +(b)ir+c (式5)
ここで、ir=ディスク中心線から測ったゾーンの内側半径
a=−0.002119
b= 0.12013
c=−0.4343
N=境界を算出中のゾーン
上に挙げたa,bおよびcの値は正常なヘッドの性能曲線の分析から判定される公称ヘッド性能に基づいて定められる。ディスク駆動装置内の各ヘッドの性能曲線を作り、ヘッド・ディスク組合せのゾーン境界をより正確に設定するようにa,bおよびcの特定値を発生することもできる。しかし、上の式における近似計算だけでゾーン境界配置には一般に十分であることが判った。ゾーンの内側半径irはゾーンNに対する周波数比
の値に基づき式(5)を解くことによって得られる。周波数比 は、目標ゾーン(ゾーン境界計算の例にある表1および3についてより詳細に後述)についてのNRZ周波数を読出し/書込みヘッドの調整後の読出し/書込み周波数fREF
で除算することによって判定する。周波数比の大きさは次式で定まる。
【0074】
周波数比 =目標ゾーン周波数FreqN/fRef
(式6)
ここで、fRef =読出し/書込み周波数の調整後の値
目標ゾーン周波数FreqN=目標ゾーン表に基づくNRZ周波数
上述のとおり、目標NRZ周波数はゾーン境界表から定める。調整後の読出し/書込み周波数fRef はディスク上の一つの位置における(例えば上述のとおり記録面の中心トラックにおける)ヘッド性能である。周波数fRef
の値はそのヘッドの読出し/書込み周波数の調整後の値に基づく。例えば、図5AではヘッドHD#1に用いる読出し/書込み周波数は約24.12MHzの周波数f
に動かし、その値がNRZ周波数に基づきゾーン境界表から周波数比を判定する際に式(6)に用いられるfRef の値になる。
【0075】
図5AのヘッドHD#1のゾーン境界を上式により計算し表3に示したゾーン境界に至った特定の例を次に述べる。
【0076】
複数のゾーンに対する目標NRZ周波数の判定にあたっては、目標ゾーンの大きさの表(例えば後に掲げる表1)を当業者に周知の手法で形成する。この目標ゾーンの大きさから、慣用の手法により目標ゾーンNRZ周波数を算定する。複数ゾーンに対するNRZ周波数については、表3に例示するとおりである。
【0077】
上述の説明から、四つのヘッド(HD#1〜HD#4)の各々のゾーン境界は各々の周波数fRef が互いに異なるために同じでないことが理解されよう。
【0078】
図6はこの発明による可変ゾーンの配置を用いたディスク4の上側および下側記録面に設定されたゾーン境界の例の説明図である。この配置は目標ゾーンの考え方に基づくものであり、その考え方を次に述べる。図6には内側半径ID、外側半径ODのディスクの半分より少し大きい部分の断面図が示してあり、記録ゾーン境界が併せて記入してある。記録面6の上にヘッドHD#4が示してあり、記録面5の上にヘッドHD#1が示してある。図示の便宜のためにこれらヘッドは大きさを誇張して示してあるのはもちろんである。記録面上のゾーン境界の各々は、後述のとおり、各記録面の対応ヘッドの互いに異なる動作周波数を考慮して互いにずれた位置にあるので、それらゾーンをZのあとの2桁の数字で表示してある。この例では、Zの次の1桁目の数字はゾーンを表わし、2桁目の数字は記録面を表示する。例えば、記録面5のZ25は記録面5の上のゾーン2を表わしている。下側記録面についても同じ番号の付け方が用いてあり、1桁目がゾーンの番号、2桁目が記録面をそれぞれ示す。上側記録面5にはゾーンZ15、Z25、Z35、Z45、Z55およびZ65を、約0.8f
の読出し/書込み周波数f を有するヘッドHD#1(図5A)のゾーン半径についての上掲の式に基づいて設定してある。ヘッドHD#4は約1.5f
の周波数f で動作するが、このヘッドについては五つのゾーンZ36,Z46,Z56,Z66およびZ76が設定してある。図6にはトラック番号をTRKの次に記入して示してある。
【0079】
図6および7から、記録面5の上のトラック280はゾーン4内にあり、記録面6の上のトラック280はゾーン6内にあることが理解されよう。また、ヘッドHD#1がヘッド#4よりも低い周波数で動作しているために、記録面6上のゾーン#3(Z36で表示)の位置が記録面5上のゾーン#3(Z35)の位置と一致しないことが図6から理解されよう。実際にはディスク4の記録面全体、すなわちIDからODまでをデータ蓄積に用いるわけではないが、図示の単純化のために記録面全体を用いたゾーン配置を図示してある。記録面5上のゾーン境界パターンが記録面6上のゾーン境界パターンとは異なっていることが理解されよう。また、記録面5ではパターンはゾーン1乃至6を含み、記録面6ではゾーン3乃至7を含んでいる。上述のとおり、ヘッドHD#4は動作周波数の高い領域で満足に動作できる。これによって高い周波数ゾーンのグループの使用が可能になり、その結果、ゾーン配置は図6に示すとおりとなる。この図を垂直方向に(すなわち中心線C4と平行に)見ると、同じゾーンのゾーン境界が互いにずれていることが理解されよう。例えば、記録面6上のゾーン3のゾーン境界(Z36)は記録面5上のゾーン3(Z35)のゾーン境界からずれている。
【0080】
さらに図6から理解されるとおり、ゾーン境界が記録面ごとにずれているので、一つの記録面上の特定のトラック(例えば、上に挙げたトラック280)は、もう一つの記録面上の対応トラックと同一の読出し/書込み周波数で動作しているとは限らない。この実施例の番号の付け方に従うと、ゾーン番号が大きいほどそのゾーンの読出し/書込み周波数が高くなる。すなわち、記録面6上のトラック280の読出し/書込み周波数は記録面5上のトラック280の読出し/書込み周波数よりも高い。また、各ゾーンの中では読出し/書込み周波数は一定である。すなわち、特定のトラックについての読出し/書込み周波数はそのトラックの属するゾーンに依存し、この発明の適応型ゾーン手法ではゾーン配置は記録面ごとに異なる。したがって、トラック番号・ゾーン対応表の蓄積には各ヘッド・記録面組合せについて参照用テーブルを用いる。各ゾーンの読出し/書込み周波数は設定されているので、トラックの属するゾーンが定まればそのトラックの読出し/書込み周波数は定まる。参照用テーブルは、図7に示すとおり、ディスク4の記録面5および6のトラック0乃至1050について作成する。この参照用テーブルにおいて、ヘッド・記録面組合せの各ゾーンにトラック番号の初めの数字を定め、例えば、ヘッドHD#4・記録面6、ヘッドHD#1・記録面5とする。ヘッドHD#4を例として考えると、トラック0−149はゾーン7にあり、トラック150−299はゾーン6にあり、同様にして記録面6上の最後のゾーン3、すなわちトラック800−1050を含むゾーンまで続く。ゾーン境界は上述のゾーン区画用の式を用いて計算する。
【0081】
上述の手法は、全記録面のゾーン境界を目合せして一つのトラックを全記録面上の同じゾーンに配置する従来技術とは対照的である。従来技術ではゾーン全部、および全記録面上のトラックが一致するので、必要となるゾーン境界の表(トラックゾーンとの対応関係を示す)は一つだけである。
【0082】
図8を参照すると、ディスク8および9を含むディスクスタックが示してあり、図示の単純化のために、ディスク回転用の部品もディスクからの信号再生用の読出し/書込みトランスデューサも省略してある。ディスク8および9の中心線C8およびC9は一線上に配置してある。図示の単純化のために、ゾーン境界は各ディスクの上側記録面だけに表示してある。図8を参照すると、ゾーンZ6,Z7,Z8,Z9およびZ10の境界線を中心線C8からの半径の値で表示してある。例えば、ゾーンZ7の内側および外側ゾーン境界は半径値R2およびR3でそれぞ画されている。図示のとおり、R6はディスク8の外径を表わす。これらゾーン境界はこの明細書に記載の式および表に基づいて設定され、記録面10用のヘッドの試験の説明用の仮定の結果を示す。それぞれのゾーンに用いる読出し/書込み周波数はそのゾーンについて唯一の周波数であり、ヘッド性能などの因子に基づいて設定される。
【0083】
ディスク9の記録面11上のゾーンはZ8,Z9,Z10,Z11およびZ12で表示してある。記録面11上のゾーンの配置は特定されており、その記録面11と組み合わせるべきヘッドの性能に基づいて定まる。上記境界はこの明細書に記載の式および表に基づいて定める。ディスク上の同一番号を付けたゾーンにおける記録周波数は同じにしてある(例えば、ディスク9のゾーン8の記録周波数はディスク8のゾーン8で用いる周波数と同じである)。従来技術とは対照的に、ディスク8および9のゾーン境界はずれており、上側ディスク8と下側ディスク9の記録面上の互いに対応する物理的位置についての動作周波数は同じではない。例えば、下側ディスク9のゾーンZ12は上側ディスク8の外側ゾーン(Z10)とは異なる読出し/書込み周波数で動作する。後述のゾーン表をゾーン境界の配置に用いた。また、半径R2,R3,R4およびR5は半径R7,R8,R9およびR10とそれぞれ同じではない。上述の図面では、R1はディスクの内側半径(ID)を示し、R6は外側半径(OD)を示す。
【0084】
この発明のもう一つの実施例は、ゾーン境界が互いにずれている図8の実施例と対照的である。すなわち、図9に示した第2の実施例では、ディスク12および13の記録ゾーン境界が垂直方向の点線で示したとおり目合せ状態になっている。しかし、これらディスク12および13については、互いに対応する位置にあるゾーンの各々に用いる読出し/書込み周波数を互いに異なる値に設定してある。例えば、ディスク12の外側ゾーンは記録周波数Z1で動作させる。一方、ディスク13の外側ゾーンでは記録周波数Z2を用いる。図9でも既述の図の場合と同様に、ゾーン境界は半径値で画し、ゾーン番号(例えばZ1)は読出し/書込み周波数を表わす。上述のとおり、また後に詳述のとおり、ゾーン用の周波数は関連の記録面と組み合わせて用いるヘッドのビット誤り率によって定める。
【0085】
この発明の実動化の詳細な例を直径1.8インチのディスクについて次に述べる。目標ゾーンの表およびほかの一覧表にした情報を用いたゾーン境界の設定のしかたの例を挙げる。図11を参照すると、直径1.8インチのディスク14および15がそれぞれの中心線C14およびC15を伴って示してある。ディスク14のゾーン配置を記録面16について一定飛行高度トランスデューサの利用を前提にして行う。飛行高度一定の様子は曲線18に示すとおりである。図示の単純化のために記録面16の対応読出し/書込みトランスデューサは示してない。しかし、ゾーン境界配置設定のためのデータは、例えば、読出し/書込みトランスデューサをディスク14の中心まで動かし性能試験測定を行う上述の手法を用いて抽出できる。
【0086】
ディスク15については、可変飛行高度トランスデューサ(図示してない)の利用に基づくゾーン配置が示してある。曲線19はディスク15の記録面17についてのトランスデューサの相対的飛行高度を示す。ディスク14および15に表示した使用可能なデータゾーンは、ヘッド性能および後掲の表1に含まれる目標ゾーンの大きさの表に基づいて定めたものである。ゾーン境界の計算に含まれる因子には、ディスクの回転速度が含まれる。なお、ここに述べる例ではこの速度は4500RPMである。
【0087】
【表1】

【0088】
ディスク14と協動するヘッドHD#1のヘッド性能に基づき目標ゾーン2乃至12をデータ蓄積に用いることに決定した。図11を参照すると、ゾーン配置がゾーン番号トラックあたりのセクター数、ゾーンあたりのトラック数により示してある。例えば、表1に示したトラック数(計算により算出)と実際に使用したトラック数との間の変換についてはこれら以外の点を考慮に入れる必要がある。表2はゾーン内のトラック数を整数にする調整を示す。
【0089】
【表2】

【0090】
図11および表1および2から、データ記録用の最初のゾーンはゾーンZ2であり、このゾーンはトラックあたり42セクターを含み、ゾーン内トラック数は91であることがわかる。ゾーンZ2はトラック数算出値90.3を有し、この数字は91に丸めてある。これ以外のゾーンについても、表に示されるとおり丸め処理が行われている。
【0091】
上記ゾーンの各々の内側および外側半径の物理的位置を図3に示す。実際の半径(後述の式で算出した半径)、内側半径(ir)および外側半径(or)の単位はミリメートルであり、中心線C14から測定した値である。
【0092】
【表3】

【0093】
図11および表1および2から、データ記録用に選ばれたゾーンはゾーン番号2乃至12であり、これらゾーンではNRZ周波数が17.17MHzから28.16MHzの範囲にある。
【0094】
性能の高いヘッドについては、記録周波数(NRZ周波数)の高いゾーンのグループを選ぶ。例えば、ヘッドHD#1(図5A)よりも高い性能を示すヘッドHD#4(図5A)を用いることによって、図11とは異なる配置のゾーン番号10〜20の利用が可能になるが、ゾーンおよびそれらの境界の設定の手順は上述の手法の場合と同じである。性能の高いヘッドについては、表4にゾーン(10〜20)のグループを示す。
【0095】
【表4】

【0096】
表5は表4のセクター数および使用ゾーンに基づき算出トラック数を実際のトラック数に丸め処理した調整後の値を示す。
【0097】
【表5】

ゾーン10〜20のゾーン境界算出値を表6に示す。
【0098】
【表6】

【0099】
図11および表1,2および3に示した第1のヘッド・ディスク組合せと、表4,5および6に計算値を示した第2のより高性能のヘッド・ディスク組合せとを比較すると、高性能ヘッドとディスクとの組合せが蓄積可能なデータ量を相当に増加させていることが判る。例えば、表1に示した第1のヘッドについてのセクター総数を高性能の第2のヘッドで利用可能なセクター総数と比較すると、第1のヘッドを含むヘッド・ディスク組合せで利用可能なユーザセクター数が83,445であるのに対して、第2のヘッドを含むヘッド・ディスク組合せでは121,838になっていることが判る。すなわち、この発明の可変ゾーン配置によって、性能の低いヘッドを低い読出し/書込み周波数(データ蓄積量はやや減少する)で動作させ、それに伴う記憶容量の減少を高性能ヘッドの読出し/書込み周波数の上昇によって補償し、全体としての記憶容量をむしろ高めることができることが判る。
【0100】
図14を参照してこの適応型ゾーン配置手順によるゾーン配置の例を次に述べる。この図は、図13Aのゾーン境界設定フロー図および上述または後述の式と関連づけて動的ヘッドロード型ディスク駆動装置25の平面図を示す。この図において、ディスク駆動装置25はスピンドル27に支持されてスピン電動機(図示してない)による駆動を受けるディスク26を含む。ディスク26はディスククランプ28によってスピンドル27に保持される。スピンドル27の中心、すなわちディスクの半径方向距離の中心になる対応のディスク中心をC26で示す。
【0101】
ディスク26と、これに組み合わされるスピン電動機、ロータリーアクチュエータおよび電子回路とはハウジング29に収容してある。図示の便宜のために、通常の使用中は装着されているカバーは図示を省略してある。当業者には明らかなとおり、ディスク駆動装置25はピボット点32で旋回可能な形で支持された根元部分31とこの部分31に一体となったロードはり部材30とを備える回転アクチュエータを有する。この回転アクチュエータはコイル33を備え、このコイルは磁束板組立体および磁石(34)と協動して読出し/書込みトランスデューサ35をディスク26の記録面の上に位置づける。
【0102】
ディスク駆動装置25の回転アクチュエータは動的ヘッドロード機構、すなわちカム組立体39のカム面38と協動して読出し/書込みトランスデューサ35の動的ロード/アンロードを行うリフトロッド37を含む機構を備える。この発明の適応型ゾーン配置を理解しやすくするために、図14には動作関連の角度および距離が記入してある。線40は回転アクチュエータのピボット点32とディスク26の回転中心C26との間の距離を示す。この距離は図面にはDamで示してある。ピボット点32から読出し/書込みトランスデューサ35の中心経由で延びる線41はピボット点32とトランスデューサ35のギャップ(磁極間隙−図示してない)との間の距離を示す。この距離はDagで示してある。
【0103】
この回転アクチュエータは、図14に示すとおり、ディスク26の内側半径(ディスククランプ28の下にあるので図示してない)と外側半径41との間に位置づけてある。説明の便宜のために図14の回転アクチュエータはゾーン境界で算出すべきゾーンNの内側半径(ir)に位置づけられているものとする。線40と41との間の角度θN はトラックNに対する角度を表わす。図14のディスク駆動装置は動的ヘッドロード型であるので、使用可能な外側半径(or)は、リフトタブ37がディスク26記録面からトランスデューサ35を持ち上げ始める位置で定まる。同様に、使用可能な内側半径(ir)は磁束板組立体34の上板の下に配置した内側クラッシュ止め(図示してない)で定まる。
【0104】
図13Aのフロー図は図12Aおよび12Cのフロー図に従って特性を把握されたヘッドについてのゾーン境界の決定のためのステップを示す。すなわち、図12Aに示した駆動装置組立て手順全体のフローにおいて、ゾーン配置のステップ(ステップ1207)を組立てずみのヘッドディスク組立体の試験の次に行い、利用可能なトラック数と読出し/書込みヘッドの記憶密度性能とを判定する。ヘッド・記録面組合せの各々に互いに異なる読出し/書込み周波数を割り当ててディスク駆動装置の全体としての性能を高めるのが望ましい。図13Aはゾーン配置の詳細なステップを示す。図13Aに示し以下に述べるステップは表1〜3に関連して上に述べたようなヘッドHD#1のゾーン配置の実現に用いる。
【0105】
図13Aを参照すると、最初のステップ1301は基準周波数fRef の計算であり、この周波数は周波数f
から調整して得られる読出し/書込みトランスデューサ用の調整ずみ周波数である。通常の動作周波数(f )におけるヘッド性能の判定方法の一つが上記米国特許出願第08/124,222号のLOBER手法であることが図5に関する上述の説明から想起されよう。ヘッド性能測定および読出し/書込み周波数調整はゾーン配置の前に図12Aの例えばステップ1206で行う。例えばヘッドHD#1についての調整後の動作周波数はf1、すなわち約24.12MHzの周波数fRef
に設定してある。図5Aに示した調整では、この値は公称周波数(f )の約80%の密度になる。式7はfRef の計算を示す。
【0106】
Ref =f (密度調整) (式7)
【0107】
次に目標ゾーンの各々についての周波数比の計算を目標NRZ周波数(表3に示した目標ゾーン周波数)を用い、下に再掲する式6を用いて行う。
【0108】
周波数比 =目標ゾーン周波数 /fRef (式6)
ここで、fRef =調整後の読出し/書込み周波数
目標ゾーン周波数=目標ゾーン表によるNRZ周波数
【0109】
周波数比計算の結果は表3の周波数比の欄の数字に示してある。ステップ1302の終了後、各目標ゾーンについての受入可能な内側半径(ir)の計算を式5の回帰式を用いて行う。ステップ1303で用いる内側半径の式を式8として下に示す。なお、この式は式5を内側半径(ir)について解いた解である。
【0110】
【数8】

この式8を用いて内側半径irを上記ゾーンの各々について計算する。これら計算によって得られる情報は表3の例えば実際の半径の値の欄に含めてある。
【0111】
次に、図13Aのステップ1304、すなわち各目標ゾーンの外側半径(or)の計算を行う。図11を参照すると明らかになるとおり、一つのゾーンの外側半径はそのゾーンの外側に隣接するゾーンの内側半径であるから、一つのゾーン外側半径Nは、例えば式9に示すとおり外側隣接ゾーンの内側半径に等しい。
【0112】
or =irN+1 (式9)
【0113】
これら内側半径および外側半径の計算値は、クラッシュ止めや動的ヘッドロード機構などを考えると使用可能な内側および外側半径よりも大きいかもしれない。したがって、実際の半径は使えないので受入れ可能な内側および外側半径は調整を要する。この過程はステップ1305であって、表3を参照すると、ここで検討中の駆動装置では、内側半径最小値は12.80mm、外側半径の最大値は22.77mmであることがわかる。表3を表1と比較すると、この例では目標ゾーン2〜12が使われているので、ゾーン境界はゾーン2についての受入可能な内側半径12.80mmからゾーン12についての受入可能な外側半径最大値22.77mmまでの範囲にある。この関係は、もし半径
>最大半径であれば半径 =最大半径、半径 <最小半径であれば半径 =最小半径と表わすことができる。
【0114】
ゾーン配置の最終ステップは半径値のトラック番号への変換である(ステップ1306)。半径値のトラック番号への変換において、トラックNとの角度θ
(図14)の計算に次式を用いる。
【0115】
θ =cos−1{〔(Dam+Dag−r
)〕
/〔2(Dam)(Dag)〕}−θref
(式10)
角度θref はヘッド特性把握のために基準測定用トラックにトランスデューサ35のヘッド空隙を位置づけたときの図14における線41と40との間の角度である。次に式11を用いてトラック番号を決定する。
【0116】
トラック番号(整数に丸める)
=トラックref −(θ)(Rad/トラック) (式11)
ここで、DamおよびDagは図14に示してある距離、
θref は上に定義したとおり、
トラックref は角度θrefでのトラック番号、
Rad/トラックはトラック間隔のラジアン表示。
【0117】
ヘッド・ディスク組合せの各々についてのゾーン配置のしかたが上述の説明から理解されよう。
【0118】
上述のステップ実行によって、ヘッド・記録面組合せで利用されるゾーンの各々についての内側および外側半径の数値が得られる。例えば、ゾーン2〜12を用いることを示した表1〜3を参照すると、ゾーン2の内側半径許容値は12.80mmであり、外側半径許容値は13.42mmである。ゾーン境界全部を決定したのち、ゾーン境界のデータとそのゾーンの中のトラックの対応周波数とをディスク駆動装置内の不揮発性メモリに記録し(ステップ1307)、各ヘッド・記録面組合せの参照用テーブルを形成する。図7において二つのヘッド・記録面組合せがそれら組合せ用の参照用テーブルに図解されていることが想起されよう。最終ステップ(ステップ1308)において、先行ステップにより記録面上に定めたデータゾーン構成を形成するフォーマッティングを行う。
【0119】
この発明のもう一つの側面によると、利用可能なストロークを駆動装置ごとに最適化することによって記録密度を向上させる。従来技術においては、上述のとおり、また図4Aに関連して述べたとおり、ディスク駆動装置設計段階で所定数のトラックを設定し、駆動装置組立て後に、外側クラッシュ止めから内側クラッシュ止めまでのストロークの変動などが原因で利用不可能なトラックが所定数以上ある場合は、その駆動装置は故障扱いとなり出荷されなかった。この発明によると、ヘッドを内側クラッシュ止めまで動かしてトラック番号を記録し、次にヘッドをディスク記録面を横切って外側クラッシュ止め(またはランプ構造)まで動かしてトラック番号を記録するという手法を用いてディスク駆動装置を特性測定し評価する。この評価による情報を用いて利用可能なトラックの実際の数を確認して使用に供する。トラック全部が使われるようにストロークを最適化することによって、ストロークが長くなって平均記録線密度が低下する。平均線密度が低下すると、所定の記憶容量の達成に必要な読出し/書込みヘッドの読出し/書込み周波数を低くできる。より長いストロークを使えない場合に必要とされるよりも低い読出し/書込み周波数でヘッドが動作できるので、低くした読出し/書込み周波数により、ビット誤り率を改善できる。読出し/書込み周波数の低下により全ヘッドのLOBER曲線が上がりそれだけ余裕度が上がる。分布曲線は同じ形状に留まる(すなわち、高性能ヘッド、中程度のヘッド、および低性能ヘッドの数はそれぞれ同じである)が、平均値は変わる。例えば、図10を参照すると、実線の分布曲線は短いストロークの場合の性能を示し、μ
はストロークの短い期間のもとの平均的性能を示す。点線で示した性能曲線は最適化したストロークμ、すなわち平均値を示す新たな曲線である。シグマは同じであるが閾値TH以下の故障の数は大幅に減少している。このように、最適化したストロークを上述の利用可能なゾーン配置で用いることによって、駆動装置に用いられた複数のヘッドのうち一つ以上がTH以下のレベルで動作しても記録密度は改善できる。
【0120】
従来技術において内側および外側クラッシュ止めの両方の位置分散がσ の場合に、クラッシュ止めの位置の検出前に全トラックを書き込んだ駆動装置の平均的喪失位置数が6σになることが想起されよう。他の従来技術による駆動装置は一つのクラッシュ止めを検出し、次にもう一つのクラッシュ止めの検出までトラックへの書込みを行う。この型の駆動装置における平均的喪失位置数は

である。
【0121】
この発明による駆動装置であって利用可能なトラック全部を用いて一定の容量を得るように記録密度を変えた装置では、平均喪失位置数は零である。σ=0.03(Trks)であれば(ただし、Trks=駆動装置内のトラックの平均数)、平均記録密度の増加は従来技術の駆動装置に比べて6.4%である。
【0122】
したがって、この発明により利用可能となる長いストロークを用いることにより、駆動装置の記録密度が著しく増大することが理解されよう。
【0123】
この発明の利点の一つは、共通のヘッド・ディスク組立体および駆動電子回路を用いてディスク駆動装置の組、すなわち所定のひと組みの部分品で造られ、同一組所属の駆動装置の各々がヘッドや媒体などの部分品の一部が性能の最低値を有しない場合でも記憶容量などの共通の特性を有する一連のディスク駆動装置を提供できることである。すなわち、上述のとおり、性能の高いヘッド・媒体組合せを活用して性能の低いヘッド・媒体組合せの不十分な点を解消することによって記憶容量を上げることができる。ゾーン境界配置およびゾーン内の記録周波数は性能規準およびヘッド・媒体組合せの性能に基づいて設定されるので、ディスクのゾーン境界パターンは一つの組の中で駆動装置ごとに異なる。
【0124】
この適応型ゾーン配置手法によりディスク駆動装置部品の利用の効率化と製品歩留りの向上が可能になる。すなわち、同等の性能の部品のひと組みから、記録面相互間の比較では内部のヘッドとの組合せの性能に差があっても、等容量の駆動装置が得られるからである。例えば、一つの組に属する一つの駆動装置では、構成要素のヘッド・ディスク組立体および駆動電子回路はそのシリーズ所属のもう一つの駆動装置と共通ではあるものの、一つのディスクの上側記録面が他とは大幅に異なるゾーン境界配置を有し、上記もう一つの駆動装置とは異なる周波数帯を利用する。また、そのシリーズの各駆動装置でも例えば図6に示すとおり、ゾーン境界パターンおよび周波数割当てが駆動装置内ディスクの上側記録面と下側記録面との間で相違する。ヘッド・記録面特性を上述のとおり個別に判定しそれを活用できることによって、性能にもともとばらつきのある部分品からディスク駆動装置を製造する際の融通性が高まる。すなわち、最終目標は上記組に設定された記憶特性をユーザーに提供することであり、その組所属の駆動装置の各々が互いに同一のヘッド・ディスク記録ゾーン配置を備える必要はないからである。
【0125】
この発明によるディスク駆動装置は、上記米国特許第5,321,560号に記載したような駆動電子回路と後述の特許出願に記載の型のヘッド・ディスク組立体とにより構成できる。
【0126】
この発明が周知の回転アクチュエータ式のディスク駆動装置にもリニアアクチュエータ式のディスク駆動装置にも実施できることは当業者に明らかであろう。回転アクチュエータ式のディスク駆動装置については、ジェームズ エッチ.モアハウス(Jame H.Morehouse)ほか名義の1990年12月19日付特許出願第07/629,948号「可搬型コンピュータ用超小型ハードディスク駆動装置」記載のもの、または同上名義の1991年9月25日付特許出願第07/766,480号「超小型ハードディスク駆動装置」記載のものを本発明実施対象として例示できる。これら出願をここに引用してこれら出願の明細書の記載内容全部をこの明細書に組み入れる。また、この発明は上述の動的ヘッドロード機構式のディスク駆動装置だけでなく、接触始動停止型の装置にも適用できる。
【0127】
この発明のいくつかの実施例を上に述べてきたが、この発明の真意と範囲を逸脱することなく種々の変形をこれら実施例に加えてこの発明を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
費用効率をさらに高めた磁気ディスク記憶装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】一対の磁気記録ディスクに対する従来技術のゾーン配置の概略図。
【図2】読出し/書込み周波数に対するトラック外れビット誤り率対数値の分布曲線。
【図3】四つの磁気ヘッドの特性の例。
【図4A】従来技術のストローク設計規準のグラフ表示。
【図4B】この発明により改善したストロークのグラフ表示。
【図5A】ヘッド性能試験結果のグラフ表示であって、この発明による一つのゾーン配置による一つの動作周波数変動の例。
【図5B】この発明によるもう一つのゾーン配置によるもう一つの動作周波数変動の例。
【図6】磁気記録ディスクの第1および第2の記録面のゾーン配置の例。
【図7】二つのヘッドについての参照用テーブルであって、各ヘッドにつきそのトラックの位置するゾーンをトラック番号で表示するもの。
【図8】一対の共通軸配置のディスクについての可変ゾーン配置。
【図9】一対の共通軸配置のディスクについてのゾーン配置。
【図10】二つの分布曲線であって、一つは公称ストロークに基づく磁気ヘッド性能を示し、他方は改善後のストロークに基づく対応性能を示す曲線。
【図11】この発明によるディスクおよびヘッド性能測定値とゾーン配置との関係を示す図。
【図12A】この発明によるディスク装置内可変ゾーン配置の一つの実施例の手順を示すフロー図。
【図12B】この発明による可変ゾーン配置のもう一つの実施例の手順を示すフロー図。
【図12C】この発明による可変ゾーン配置のもう一つの実施例の手順を示すフロー図。
【図12D】この発明による可変ゾーン配置のさらにもう一つの実施例の手順を示すフロー図。
【図13A】この発明の一つの実施例により可変ゾーン配置を実動化する際に用いるゾーン境界計算およびゾーン配置を示すフロー図。
【図13B】この発明のもう一つの実施例により可変ゾーン配置を実動化する際に用いるゾーン境界計算およびゾーン配置を示すフロー図。
【図13C】この発明のさらにもう一つの実施例によるゾーン境界計算およびゾーン配置に用いる手順を示すフロー図。
【図14】この発明による可変ゾーン配置の説明のためのディスク駆動装置平面図。
【図15】上述のトラック幅測定のためのトラック位置表示を含むディスクの部分的破断図。
【図16】読出し/書込みトランスデューサのトラック幅および記録密度性能を読出し/書込み周波数の関数として考慮に入れたこの発明の可変ゾーン配置の他の実施例の手順を示すフロー図。
【図17】読出し/書込みトランスデューサのトラック幅および記録密度性能を読出し/書込み周波数の関数として考慮に入れたこの発明の可変ゾーン配置の他の実施例の手順を示すフロー図。
【図18】読出し/書込みトランスデューサのトラック幅および記録密度性能を読出し/書込み周波数の関数として考慮に入れたこの発明の可変ゾーン配置の他の実施例の手順を示すフロー図。
【図19】読出し/書込みトランスデューサのトラック幅および記録密度性能を読出し/書込み周波数の関数として考慮に入れたこの発明の可変ゾーン配置の他の実施例の手順を示すフロー図。
【図20】読出し/書込みトランスデューサのトラック幅および記録密度性能を読出し/書込み周波数の関数として考慮に入れたこの発明の可変ゾーン配置の他の実施例の手順を示すフロー図。
【図21】読出し/書込みトランスデューサのトラック幅および記録密度性能を読出し/書込み周波数の関数として考慮に入れたこの発明の可変ゾーン配置の他の実施例の手順を示すフロー図。
【図22】読出し/書込みトランスデューサのトラック幅および記録密度性能を読出し/書込み周波数の関数として考慮に入れたこの発明の可変ゾーン配置の他の実施例の手順を示すフロー図。
【図23】読出し/書込みトランスデューサのトラック幅および記録密度性能を読出し/書込み周波数の関数として考慮に入れたこの発明の可変ゾーン配置の他の実施例の手順を示すフロー図。
【図24】読出し/書込みトランスデューサトラック幅をディスク駆動装置組立用パラメータとして用いたこの発明の一つの実施例のフロー図。
【図25】読出し/書込みトランスデューサトラック幅をディスク駆動装置組立用パラメータとして用いたこの発明のもう一つの実施例のフロー図。
【図26】この発明のさらに他の実施例のフロー図。
【図27】この発明のさらに他の実施例のフロー図。
【図28】この発明のさらに他の実施例のフロー図。
【図29】この発明のさらに他の実施例のフロー図。
【図30】この発明のさらに他の実施例のフロー図。
【符号の説明】
【0130】
1,2,4,8,9,12,13,14,15 ディスク
Z1,Z2,Z3 記録ゾーン
C ディスク中心
R1〜R4 ディスク中心からの距離
7 ヘッド公称性能曲線
TH トラック外れビット誤り率の最小閾値
5,6,10,11,16,17 記録面
25 ディスク駆動装置
26 ディスク
27 スピンドル
28 ディスククランプ
29 ハウジング
30 ロードはり部材
31 根元部分
32 ピボット点
33 コイル
34 磁石
35 読出し/書込みトランスデューサ
37 リフトロッド
38 カム面
39 カム組立体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の磁気記録面を有する回転ディスクとそれら第1および第2の記録面にそれぞれ関連する第1および第2の読出し/書込みトランスデューサとを有するとともに、第1のアクチュエータとその第1のアクチュエータに関連する第1および第2のロードはり部材であって前記第1および第2のトランスデューサをそれぞれ支持しそれぞれの読出し/書込みトランスデューサを関連の記録面に対して位置づける第1および第2のロードはり部材とをさらに含むヘッド・ディスク組立体と、
前記第1のアクチュエータに結合されそのアクチュエータに位置制御信号を供給する駆動電子回路とを含み、
前記第1の記録面を、ゾーン境界を備えそれら境界の内側では一定の読出し/書込み周波数を各々が有する第1の複数の記録ゾーンを形成するようにフォーマットし、前記第2の記録面を、ゾーン境界を備えそれら境界の内側では一定の読出し/書込み周波数を各々が有する第2の複数の記録ゾーンを形成するようにフォーマットし、前記第2の複数の記録ゾーンのゾーン境界が前記第1の複数の記録ゾーンのゾーン境界からずれている
ディスク駆動装置。
【請求項2】
前記第1の記録面が第1のデータ蓄積容量を有し前記第2の記録面が第2のデータ蓄積容量を有し、前記第1のデータ蓄積容量が前記第2のデータ蓄積容量とは異なる請求項1記載のディスク駆動装置。
【請求項3】
前記第1の読出し/書込みトランスデューサが前記第1の記録面に対するデータの読出しおよび書込みを上側および下側周波数を有する第1の読出し/書込み周波数範囲で行い、前記第2の読出し/書込みトランスデューサが前記第2の記録面に対するデータの読出しおよび書込みを上側および下側周波数を有する第2の読出し/書込み周波数範囲で行い、前記第1の周波数範囲の前記下側周波数が前記第2の周波数範囲の前記下側周波数と異なる請求項1記載のディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−31931(P2006−31931A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220578(P2005−220578)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【分割の表示】特願平7−348666の分割
【原出願日】平成7年12月19日(1995.12.19)
【出願人】(598108283)モバイル ストレージ テクノロジー,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】