遮光層形成処理装置および遮光層形成処理方法
【課題】加飾成形において、変形後の遮光性を確保しつつ、遮光性を得るためのインクなどの遮光剤の使用量を低減する。
【解決手段】媒体に設定した格子点のうち遮光層を形成する必要がある格子点に対しては、その格子点における対応する四角形における変化の程度として四角形の面積変化率Δsを読み込み(S320)、読み込んだ面積変化率Δsを用いて遮光層補償変換LUTから得られる変形前のブラック(k)のインク量としてのk値を処理対象の格子点のk値に設定する(S330)。この設定したk値を用いて遮光層を形成することにより、変形後の成形品における遮光層の厚みを略同一にすることができる。これにより、成形品の遮光層における遮光性を確保しつつ、遮光剤としてのブラック(k)のインクによる形成量を低減することができる。
【解決手段】媒体に設定した格子点のうち遮光層を形成する必要がある格子点に対しては、その格子点における対応する四角形における変化の程度として四角形の面積変化率Δsを読み込み(S320)、読み込んだ面積変化率Δsを用いて遮光層補償変換LUTから得られる変形前のブラック(k)のインク量としてのk値を処理対象の格子点のk値に設定する(S330)。この設定したk値を用いて遮光層を形成することにより、変形後の成形品における遮光層の厚みを略同一にすることができる。これにより、成形品の遮光層における遮光性を確保しつつ、遮光剤としてのブラック(k)のインクによる形成量を低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光層形成処理装置および遮光層形成処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遮光層形成処理装置としては、紙などの基材に、印刷すべき画像のポジ部分に対して有色の赤外吸収性インキを用いてオフセット印刷により第1印刷層を形成すると共に画像のネガ部分に対して同色の赤外透過性インキを用いてオフセット印刷により第2印刷層を形成し、第1印刷層および第2印刷層の上層に赤外吸収画像パターンの認識をしづらくするために赤外透過性インキを用いてオフセット印刷によりカモフラージュパターン層を形成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、格子が形成されたテスト版下としての成形加工前のデータと、テスト版下で印刷されたものに成形加工が施された三次元形状物をスキャニングして得られた成形加工後のデータとに基づいて、成形加工による形状の変形具合の特徴をつかみ、つかんだ特徴に基づいて三次元形状物に成形した場合にデザイナーが要求する意匠になるような版下を作成するものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、成形前後の絵柄の歪みを算出して写像関数として記録し、写像関数に基づいて絵柄の歪みを相殺するように変形させた印刷絵柄を作製し、成形前後のフィルム濃度変化を濃度変化関数として記録し、濃度変化関数に基づいて印刷絵柄の濃度を補正するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−244747号公報
【特許文献2】特開平11−119409号公報
【特許文献3】特開2005−199625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背面の点灯により特定の絵柄だけを発光させる場合、対象の絵柄の部分以外には遮光層を設ける必要がある。十分な遮光性を得るためには光学濃度(Optical Density、以下、OD値という。)が値4以上にすることが好ましい。したがって、遮光性インク(例えば、ブラックインク)を複数回重ねて印刷する場合がある。透明で板状のプラスチックなどの媒体に遮光層を形成した後に、成形加工により媒体を変形させて立体形状としたときには、変形が小さい部位と変形が大きな部位とでは遮光層の厚みが異なるものとなる。このため、変形の小さな部位を基準として遮光層を形成すると変形が大きな部位では十分な遮光性を得ることができず、変形が大きな部位を基準として遮光層を形成すると変形が小さな部位にまで変形が大きな部位と同様の遮光性インクが用いられ、必要以上の遮光性インクが消費されてしまう、という課題がある。
【0006】
本発明の遮光層形成処理装置および遮光層形成処理方法は、加飾成形において、変形後の遮光性を確保しつつ、遮光性を得るためのインクなどの遮光剤の使用量を低減することを主目的とする。
【0007】
本発明の遮光層形成処理装置および遮光層形成処理方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の遮光層形成処理装置は、
光透過性の媒体の少なくとも一部に遮光性を有する遮光剤により遮光層を形成した後に該媒体を変形してなる成形物のために前記媒体に前記遮光層を形成する処理を行なう遮光層形成処理装置であって、
前記成形物における前記遮光層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記遮光剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係を記憶する形成量対応関係記憶手段と、
前記媒体の各部位における変形の程度を取得する変形程度取得手段と、
前記取得した変形の程度と前記記憶した形成量対応関係とに基づいて前記媒体の各部位における前記遮光剤の形成量を決定する形成量決定手段と、
を備えることを要旨とする。
【0009】
この本発明の遮光層形成処理装置では、媒体を変形してなる成形物における遮光剤により形成される遮光層の厚みが略同一となるよう媒体に形成すべき遮光剤の形成量と媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係を記憶しておき、媒体の各部位における変形の程度を取得し、取得した変形の程度と記憶しておいた形成量対応関係とに基づいて媒体の各部位における遮光剤の形成量を決定する。これにより、成形物における遮光層の厚みを略同一とすることができる。したがって、成形物における遮光層の厚みを必要十分な厚みに定めておけば、成形物の遮光層における遮光性を確保しつつ、遮光剤の形成量を低減することができる。
【0010】
こうした本発明の遮光層形成処理装置において、前記変形程度取得手段は、前記変形の程度として前記媒体の各部位の変形前の面積に対する変形後の面積の比率としての面積変化率を取得する手段である、ものとすることもできる。この場合、前記面積変化率は、前記媒体の表面に設定された複数の微小領域の変形の前後における面積に基づいて計算されてなる、ものとすることもできる。こうすれば、媒体の変形の程度をより正確に反映することができる。
【0011】
また、本発明の遮光層形成処理装置において、前記形成量決定手段は、前記媒体において前記遮光層を形成しないと予め決定された部位については前記遮光層の形成量として値0を決定する手段である、ものとすることもできる。
【0012】
さらに、本発明の遮光層形成処理装置において、少なくともシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックを含む複数の着色剤により前記媒体に画像を形成する処理を行なう画像形成処理装置を前記遮光層形成処理装置として用いる際に、前記遮光剤としてブラックの着色剤を用いる、ものとすることもできる。こうすれば、画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いることができる。
【0013】
あるいは、本発明の遮光層形成処理装置において、少なくともシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックを含む複数の着色剤により前記媒体に画像を形成する処理を行なう画像形成処理装置を前記遮光層形成処理装置として用いる際に、前記遮光剤としてシアン,マゼンタ,イエローの着色剤によるコンポジットブラックを用いる、ものとすることもできる。こうすれば、画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いることができ、さらに、遮光層の厚みが必要な場合に対処することができる。この場合、遮光層の一部の層についてはブラックの着色剤を用いて形成し、遮光層のその他の層についてはコンポジットブラックを用いて形成するものとしてもよい。
【0014】
画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いる態様の本発明の遮光層形成処理装置において、前記媒体は透明であり、前記媒体に画像を形成した後に該画像に重ねて前記遮光層を形成する処理を行なう、ものとすることもできる。こうすれば、画像のうち重ねて遮光層が形成された部位については遮光され、画像のうち重ねて遮光層が形成されなかった部位については遮光されないから、画像に対して遮光層側から点灯することにより、画像のうち重ねて遮光層が形成されなかった部位だけを発光させることができる。この態様の場合、前記媒体の変形の程度と変形前の色と変形に伴う色変化が反映された変形後の色との対応関係である色対応関係を記憶する色対応関係記憶手段と、前記取得した変形の程度と前記記憶した色対応関係とに基づいて前記成形物の画像の色に対する前記媒体の各部位に形成する画像の色を決定する色決定手段と、を備えるものとすることもできる。こうすれば、媒体の変形による色の変化の影響を精度よく反映させて媒体に画像を形成することができる。
【0015】
さらに、画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いる態様の本発明の遮光層形成処理装置において、前記画像形成処理装置は、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの他にホワイトの着色剤により画像を形成可能な装置であり、前記画像と前記遮光層との間に前記ホワイトの着色剤による白層を形成する、ものとすることもできる。こうすれば、遮光層や遮光層が形成されていない部分の色によって画像の色が本来の色から変色して見えるのを抑制することができる。この場合、前記白層は、前記画像が形成された部位にのみに形成される、ものとすることもできる。また、前記成形物における前記白層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記ホワイトの着色剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である白対応関係を記憶する白対応関係記憶手段と、前記取得した変形の程度と前記記憶した白対応関係とに基づいて前記媒体の各部位における前記ホワイトの着色剤の形成量を決定する白量決定手段と、を備えるものとすることもできる。こうすれば、媒体の変形に対して略同一の厚みの白層とすることができ、白層の厚みが異なることによる画像の変色を抑制することができると共に、白層の厚みを必要以上に厚くするものに比してホワイトの着色剤の形成量を低減することができる。
【0016】
本発明の遮光層形成処理方法は、
光透過性の媒体の少なくとも一部に遮光性を有する遮光剤により遮光層を形成した後に該媒体を変形してなる成形物のために前記媒体に前記遮光層を形成する遮光層形成処理方法であって、
(a)前記媒体の各部位における変形の程度を取得するステップと、
(b)前記成形物における前記遮光層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記遮光剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係と前記取得した変形の程度とに基づいて前記媒体の各部位における前記遮光剤の形成量を決定するステップと、
を含むことを要旨とする。
【0017】
この本発明の遮光層形成処理方法では、媒体の各部位における変形の程度を取得し、媒体を変形してなる成形物における遮光層の厚みが略同一となるよう媒体に形成すべき遮光剤の形成量と媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係と取得した変形の程度とに基づいて媒体の各部位における遮光剤の形成量を決定する。これにより、成形物における遮光層の厚みを略同一とすることができる。したがって、成形物における遮光層の厚みを必要十分な厚みに定めておけば、成形物の遮光層における遮光性を確保しつつ、遮光剤の形成量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】加飾成形システム10の構成の概略の一例を示す構成図。
【図2】印刷ヘッド28のノズル列の構成の一例を示す説明図。
【図3】色補償変換LUT64の一例を示す説明図。
【図4】白層補償変換LUT66の一例を示す説明図。
【図5】遮光層補償変換LUT68の一例を示す説明図。
【図6】形状補償処理の様子を示す説明図。
【図7】媒体Sに加飾される様子の一例を説明する説明図。
【図8】色補償処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図9】グリッド92の各格子点と各四角形とを示す説明図。
【図10】算出された各四角形の面積変化率Δsの一例を示す説明図。
【図11】白層形成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図12】遮光層形成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である遮光層形成システムとしても機能可能な加飾成形システム10の構成の概略の一例を示す構成図である。本実施形態の加飾成形システム10は、図示するように、透明な樹脂製のシート(例えばポリフィルム)として形成された媒体Sがロール状に巻かれてなるロール36から媒体Sを引き出してインクを吐出することにより画像を印刷するプリンター20と、画像が印刷された後の媒体Sを所望の三次元形状に立体成形する成形装置40と、プリンター20と通信可能に接続され媒体Sに形成すべき画像を入力して印刷データに処理して出力する画像処理装置の機能を有する汎用のパソコン(PC)50とを備えている。
【0020】
プリンター20は、装置全体を制御するコントローラー21と、インクを媒体Sに吐出する印刷機構25と、ロール36から媒体Sを引き出しながら搬送する送り機構32とを備えている。コントローラー21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュメモリー23と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM24などを備えている。このコントローラー21は、PC50からの印刷データを受信すると共に印刷処理を実行するよう印刷機構25や送り機構32を制御する。印刷機構25は、キャリッジベルト31によりキャリッジ軸30に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ26と、インクに圧力をかけノズル27からインク滴を吐出する印刷ヘッド28と、各色のインクを収容したカートリッジ29とを備えている。印刷ヘッド28は、キャリッジ26の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により、印刷ヘッド28の下面に設けられたノズル27から各色のインクを吐出して媒体S上にドットを形成するものである。なお、インクへ圧力をかける機構は、ヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。カートリッジ29は、本体側に装着され、シアン(c),マゼンタ(m),イエロー(y),ブラック(k)のcmykの各色のインクにクリア(cl)とホワイト(w)のインクを個別に収容しており、この収容したインクを図示しないチューブを介して印刷ヘッド28へ供給する。印刷ヘッド28におけるノズル27の配置の一例を図2に示す。図示するように、印刷ヘッド28には、左からブラック(k),シアン(c),マゼンタ(m),イエロー(y),クリア(cl),ホワイト(w)の順に直線状の複数の吐出孔として形成された6列のノズル列(総称としてのノズル27)が形成されている。なお、クリア(cl)は、透明であり、着色されていないため、インクとして考えるのは不適であるとの考えもあるが、本実施形態ではインク(透明インク)として取り扱うものとする。また、送り機構32は、駆動モーター33により駆動されて媒体Sを搬送する送りローラー35などを備えている。
【0021】
成形装置40は、媒体Sの上方側に配置される上型部41と、媒体Sの下方側に配置される下型部42とを備えている。上型部41や下型部42には、図示しない金型がセットされており、上下の金型で媒体Sを挟み込むことにより媒体Sを三次元形状に成形する。なお、成形装置40による成形は、加熱成形であってもよいし、加圧成形であってもよい。また、この成形装置40にセットされる金型は、複数種の異なる金型を交換可能なものとした。なお、媒体Sは、成形前あるいは成形後に、プリンター20と成形装置40との間に配置された切断機37により所定長さに切断される。
【0022】
PC50は、装置全体の制御を司るコントローラー51と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD55と、プリンター20などの外部機器とのデータの入出力を行うネットワークインターフェイス(I/F)56と、ユーザーが各種指令を入力するキーボードやマウスなどの入力装置57と、各種情報を表示するディスプレイ58とを備えている。コントローラー51は、各種制御を実行するCPU52や各種制御プログラムを記憶するフラッシュメモリー53、データを一時的に記憶するRAM54などを備えている。このPC50は、ディスプレイ58に表示されたカーソルなどをユーザーが入力装置57を介して入力操作すると、その入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。コントローラー51やHDD55、I/F56、入力装置57、ディスプレイ58などは、バス59によって電気的に接続され、各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。
【0023】
このPC50のHDD55には、図示しないアプリケーションプログラムや変形画像処理プログラム60,印刷ドライバー70などが格納されている。変形画像処理プログラム60は、媒体Sの成形に伴う変形により成形品(成形後の媒体S)の表面に形成されている画像(文字や模様などを含む)に生じる形状ずれや色ずれを補正するために用いられるプログラムや、画像を綺麗にはっきりと見栄えよく見せるために画像の下地として白色の白層を形成するプログラムや、背面からの点灯により画像の一部を浮き上がらせて見せるために他の部分を遮光する遮光層を形成するプログラムなどにより構成されている。この変形画像処理プログラム60は、三次元の画像(絵柄)モデルを編集する3D絵柄編集部61と、成形に伴う形状ずれを補償する形状補償部62と、成形に伴う色ずれを補償する色補償部63と、画像の下地としての白層を形成する白層形成部65と、遮光層を形成する遮光層形成部67と、を有している。
【0024】
3D絵柄編集部61は、成形前の媒体Sに形成した画像の編集と成形後の媒体Sに形成した画像の編集とを実行する機能を有している。形状補償部62は、媒体Sの成形時の外形の変形によって生じる成形品表面の意匠(文字や模様)の形状変化を、目的の形状に補正する形状補償を実行する機能を有している。
【0025】
色補償部63は、媒体Sの成形時の変形によって生じる画像の色合いの変化を反映させるために色補償変換ルックアップテーブル(LUT)64を用いて目的の色合いに補正する色補償を実行する機能を有している。色補償変換LUT64は、媒体Sの変形後の成形体で発色すべき目的色の色値(目標色)と、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体S上に形成するインク量との関係を経験的に定めた対応関係テーブルである。図3に色補償変換LUT64の一例を示す。図3に示すように、色補償変換LUT64において、色値(目標色)と媒体Sの面積変形率(%)とが指定されると、指定された面積変形率(%)で媒体Sが変形したのちに指定した色値(目標色)になる各色のインク量が導き出される。色補償変換LUT64では、同じ色値(目標色)において、変形後の面積変形率(%)が大きいほど着色剤の形成量が大きくなる傾向に設定されている。また、この色補償変換LUT64は、格納されている各値の間のデータを周知の四面体補間処理を行うことによって、より格子点データの多いLUTに展開して利用されるものとした。なお、図3では、インク量としては通常の印刷で用いるインク量の最大量を100として表わし、色補償変換LUT64の一部のみを示した。
【0026】
白層形成部65は、媒体Sの成形時の変形によって白層の厚みが変化するために白層補償変換ルックアップテーブル(LUT)66を用いて成形後の白層の厚みが予め定めた所定白層厚で略均一になるよう補償を実行する機能を有している。ここで、所定白層厚は、白層の画像が形成される色層とは反対側の層の色に拘わらずに画像が綺麗にはっきりと見栄えよく見えるようにするために必要な最小の厚みとして実験などによって定められている。白層補償変換LUT66は、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体S上に形成する白層におけるホワイト(w)のインク量との関係を経験的に定めた対応関係テーブルである。図4に白層補償変換LUT66の一例を示す。図4に示すように、白層補償変換LUT66において、媒体Sの面積変形率(%)が指定されると、指定された面積変形率(%)で媒体Sが変形したのちに所定白層厚となるホワイト(w)のインク量が導き出される。白層補償変換LUT66では、変形後の面積変形率(%)が大きいほどホワイト(w)のインク量が大きくなる傾向に設定されている。また、この白層補償変換LUT66は、格納されている各値の間のデータについては周知の補間処理を行うことによって、より格子点データの多いLUTに展開して利用されるものとした。なお、図4では、インク量としては通常の印刷で用いるホワイト(w)のインク量の最大量を100として表わし、白層補償変換LUT66の一部のみを示した。
【0027】
遮光層形成部67は、媒体Sの成形時の変形によって遮光層の厚みが変化するために遮光層補償変換ルックアップテーブル(LUT)68を用いて成形後の遮光層の厚みが予め定めた所定遮光層厚で略均一になるよう補償を実行する機能を有している。ここで、所定遮光層厚は、光学濃度(Optical Density、以下、OD値という。)が値4以上の予め定めた値となるブラック(k)のインクで形成した層の厚みとして実験などによって定められている。遮光層補償変換LUT68は、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体S上に形成する遮光層におけるブラック(k)のインク量との関係を経験的に定めた対応関係テーブルである。図5に遮光層補償変換LUT68の一例を示す。図5に示すように、遮光層補償変換LUT68において、媒体Sの面積変形率(%)が指定されると、指定された面積変形率(%)で媒体Sが変形したのちに所定遮光層厚となるブラック(k)のインク量が導き出される。遮光層補償変換LUT68では、変形後の面積変形率(%)が大きいほどブラック(k)のインク量が大きくなる傾向に設定されている。また、この遮光層補償変換LUT68は、格納されている各値の間のデータについては周知の補間処理を行うことによって、より格子点データの多いLUTに展開して利用されるものとした。なお、図5では、インク量としては通常の印刷で用いるブラック(k)のインク量の最大量を100として表わし、遮光層補償変換LUT68の一部のみを示した。
【0028】
印刷ドライバー70は、アプリケーションプログラム側から受けた印刷ジョブをプリンター20で直接印刷処理可能な印刷データへ変換してプリンター20へ出力(送信)するプログラムである。この印刷ドライバー70は、変形画像処理プログラム60で作成された印刷データをプリンター20へ出力する機能を有している。
【0029】
次に、こうして構成された本実施形態の加飾成形システム10の処理について、形状補償処理、色補償処理、白層形成処理、遮光層形成処理について順に説明する。図6は、変形画像処理プログラム60により実行される形状補償処理の様子を示す説明図である。この形状補償処理では、コントローラー51のCPU52は、まず、縦横に等間隔の複数の格子点を有する四角形(正方形)を要素とするグリッド92を平面状の媒体に構成した画像を作成する(図6(a))。なお、図示の都合上、グリッド92の格子点は実際よりも少ない(間引いた)状態で図示し、格子点の間隔はプリンター20のドットの形成間隔(例えば、720dpiや1440dpiなど)よりも広いものとした。また、これらの各格子点の初期位置(変形前の位置)の位置情報は保持されるものとした。次に、目的の製品の形状に成形されるように媒体を変形させる処理を行ない、変形前後のグリッド92の各格子点の位置情報を入力して変形後の各格子点の三次元座標位置や各格子点の歪み方向や歪み量を算出する。そして、この算出結果に基づいて、成形後の立体物の三次元の画像モデルを作成し、作成した三次元の画像モデルをディスプレイ58へ表示処理する(図6(b))。次に、使用者の入力操作によって三次元の画像モデル上で絵柄の位置が指定されると、指定された位置に絵柄としての印刷対象の画像を配置し(図6(c))、二次元変換指示が入力されると、三次元での座標値を二次元の座標値に変換して変換後の画像を表示する(図6(d))。このようにして、成形後に目的とする絵柄となる形状の画像が成形前の媒体上に形成され、成形前に媒体Sに印刷すべき版下データを作成することができる。なお、図6(d)の版下データの画像が媒体Sに印刷されて成形された結果の成形品を図6(e)に示す。
【0030】
本実施形態では、図6(e)における絵柄(A)の部分については背面からの点灯により絵柄(A)が浮かび上がるようにすると共に図6(e)における絵柄(B)の部分については背面からの点灯によっても絵柄(B)が浮かび上がらないようにする場合を例として説明する。この場合、媒体Sには、図7に示すように、絵柄(A)の部分(図7中、左部分)については画像が形成される色層(A)と白層とを形成し、絵柄(B)の部分(図7中、中央部分)については色層(B)と白層に加えて遮光層1〜3を形成し、絵柄のない部分(図7中、右部分)については遮光層1〜3のみを形成する。これにより、媒体S側(正面)からの光に対しては絵柄(A)と絵柄(B)とを視認することができ、遮光層側(背面)からの光に対しては絵柄(A)だけを浮かび上がらせて視認することができる。なお、絵柄(A)の部分における遮光層1〜3の部分については、層厚を均一にする必要がある場合には、クリア(cl)のインクによるクリア層を形成するものとしてもよい。同様に、絵柄のない部分における色層と白層に相当する部分についてもクリア(cl)のインクによるクリア層を形成するものとしてもよい。
【0031】
次に、色補償変換LUT64を用いた色補償処理について説明する。図8は、コントローラー51のCPU52により実行される色補償処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、形状補償処理がなされた後に色補償の実行指示が入力されたときに実行される。なお、色補償の実行指示は、例えば、形状補償処理後に、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の色補償実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。
【0032】
この色補償処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、変形加工前後のグリッド92の各格子点の位置情報を取得する(ステップS100)。この位置情報の取得は、上述した形状補償処理で説明した変形前後の格子点の三次元座標をそれぞれ取得することにより行なう。次に、取得した各格子点の位置情報からグリッド92の各要素としての各四角形の面積変化率Δsを算出する(ステップS110)。ここで、グリッド92の各格子点と各四角形とを図9に示す。なお、図9では、グリッド92の一部を拡大して示しており、図9中の対象画像(文字A)は、上述した形状補償処理後の画像(図6(d)参照)が配置されたものである。各四角形の面積変化率Δsの算出は、ステップS100で取得した各格子点の変形前後の位置情報から変形前後の四角形の面積をそれぞれ算出して、変形後の四角形の面積を変形前の面積で除することにより行なう。なお、変形前の各四角形の面積はすべて同一であるため一定値を用いてもよい。こうして算出される各四角形の面積変化率Δsの一例を図10に示す。なお、要素No.は、グリッド92の左上の四角形を起点として左から右へ、上から下へと順に付すものとした。続いて、グリッド92の各格子点のLab値を取得する(ステップS120)。このLab値の取得は、入力された画像のRGB値やCMYK値などの色の情報に基づいて各格子点に対応する位置の形状補償処理後の画像の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。あるいは、図6(d)や図9のような形状補償処理後の画像を含む図示しない編集画面をディスプレイ58上に表示して入力装置57を用いた画像の色の指定を受け付け、受け付けた色に基づいて各格子点に対応する位置の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。
【0033】
こうしてグリッド92の各格子点のLab値や各四角形の面積変化率Δsを取得すると、処理対象の格子点を設定して(ステップS130)、処理対象の格子点のLab値と処理対象の格子点に対応する四角形の面積変化率Δsとをそれぞれ読み込む(ステップS140)。なお、処理対象の格子点は、グリッド92の左上隅の格子点を起点として左から右へ、上から下へと順に設定する。また、処理対象の格子点に対応する四角形は、例えば、処理対象の格子点を左上の頂点にもつ四角形に定めることができ、グリッド92の右端や下端に位置する格子点のように処理対象の格子点を左上の頂点にもつ四角形が存在しない場合には、処理対象の格子点を右上の頂点にもつ四角形や処理対象の格子点を左下の頂点や右下の頂点にもつ四角形を定めるものとすればよい。
【0034】
次に、読み込んだLab値を変形後の色値として用いると共に面積変化率Δsを用いて色補償変換LUT64から得られる変形前のインク量としてのcmyk値を処理対象の格子点のcmyk値に設定する(ステップS150)。ここで、読み込んだLab値と面積変化率Δsとが色補償変換LUT64に登録されている場合には、色補償変換LUT64から対応する値を導出して処理対象の格子点のcmyk値に設定する。一方、読み込んだLab値や面積変化率Δsが色補償変換LUT64に登録されていない場合には、色補償変換LUT64から近似するcmyk値を抽出して補間処理により求めた値を処理対象の格子点のcmyk値に設定する。こうしてインク量としてのcmyk値を設定すると、グリッド92のすべての格子点のcmyk値を設定したか否かを判定し(ステップS160)、未設定の格子点があるときには、ステップS130に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。一方、すべての格子点のインク量としてのcmyk値を設定したときには、各格子点のcmyk値を色補償データとして作成しHDD55に保存して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。なお、この色補償データをもって印刷する際には、例えば、まず、グリッド92の各格子点のインク量としてのcmyk値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。本実施形態では、画像形成のインク量としてのcmyk値は通常の印刷範囲を超える量として設定される部位も存在するため、cmyk値による画像形成は、通常の印刷範囲内の印刷を必要回数実行することによって行なわれる。
【0035】
次に、白層補償変換LUT66を用いた白層形成処理について説明する。図11は、コントローラー51のCPU52により実行される白層形成処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、色補償処理がなされた後に白層形成の実行指示が入力されたときに実行される。なお、白層形成の実行指示は、例えば、色補償処理後に、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の白層形成実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。また、白層形成処理は、色補償処理がなされた後に自動的に実行されるものとしてもよい。
【0036】
この白層形成処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、媒体Sにおける処理対象の格子点を設定し(ステップS200)、処理対象の格子点が画像形成が行なわれる格子点であるか否かを判定する(ステップS210)。この判定は、処理対象の格子点にLab値が設定されているか否かによって行なうことができる。図6(e)および図7の例では、図6(e)における絵柄(A)と絵柄(B)とが形成される格子点であるか否かの判定が行なわれることになる。処理対象の格子点が画像形成が行なわれる格子点であると判定されると、処理対象の格子点に対応する四角形の面積変化率Δsを読み込み(ステップS220)、読み込んだ面積変化率Δsを用いて白層補償変換LUT66から得られる変形前のホワイト(w)のインク量としてのw値を処理対象の格子点のw値に設定する(ステップS230)。ここで、読み込んだ面積変化率Δsが白層補償変換LUT66に登録されている場合には、白層補償変換LUT66から対応する値を導出して処理対象の格子点のw値に設定する。一方、読み込んだ面積変化率Δsが白層補償変換LUT66に登録されていない場合には、白層補償変換LUT66から近似するw値を抽出して補間処理により求めた値を処理対象の格子点のw値に設定する。こうしてホワイト(w)のインク量としてのw値を設定すると、グリッド92のすべての格子点を処理対象としたか否かを判定し(ステップS250)、未処理対象の格子点があるときには、ステップS200に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。ステップS210で処理対象の格子点が画像形成が行なわれない格子点であると判定されると、白層を形成する必要がないため、格子点のw値として値0を設定して(ステップS240)、ステップS250に進み、グリッド92のすべての格子点を処理対象としたか否かを判定し、未処理対象の格子点があるときには、ステップS200に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。
【0037】
ステップS240ですべての格子点を処理対象としたと判定されたときには、w値が設定された各格子点のw値を白層形成データとしてHDD55に保存して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。なお、この白層形成データをもって白層を形成する際には、例えば、まず、グリッド92の各格子点のインク量としてのw値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。本実施形態では、白層を形成するインク量としてのw値は通常の印刷範囲を超える量として設定される部位も存在するため、w値による白層の形成は、通常の印刷範囲内の印刷を必要回数実行することによって行なわれる。
【0038】
次に、遮光層補償変換LUT68を用いた遮光層形成処理について説明する。図12は、コントローラー51のCPU52により実行される遮光層形成処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、白層形成処理がなされた後に遮光層形成の実行指示が入力されたときに実行される。なお、遮光層形成の実行指示は、例えば、白層形成処理後に、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の遮光層形成実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。また、遮光層形成処理は、白層形成処理がなされた後に自動的に実行されるものとしてもよい。
【0039】
この遮光層形成処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、媒体Sにおける処理対象の格子点を設定し(ステップS300)、処理対象の格子点が遮光層を形成する必要がある格子点であるか遮光層を形成する必要がない格子点であるかを判定する(ステップS310)。この判定は、予め遮光層を形成する必要がないと設定された格子点であるか否かを判定することによって行なわれる。図6(e)および図(7)の例では、図6(e)における絵柄(A)については背面からの点灯により絵柄(A)を浮かび上がらせるようにするため、絵柄(A)が形成される格子点については遮光層を形成する必要がないことになるため、ステップS310では図6(e)における絵柄(A)が形成される格子点であるか否かの判定が行なわれることになる。処理対象の格子点が遮光層を形成する必要がある格子点であると判定されると、処理対象の格子点に対応する四角形の面積変化率Δsを読み込み(ステップS320)、読み込んだ面積変化率Δsを用いて遮光層補償変換LUT68から得られる変形前のブラック(k)のインク量としてのk値を処理対象の格子点のk値に設定する(ステップS330)。ここで、読み込んだ面積変化率Δsが遮光層補償変換LUT68に登録されている場合には、遮光層補償変換LUT68から対応する値を導出して処理対象の格子点のk値に設定する。一方、読み込んだ面積変化率Δsが遮光層補償変換LUT68に登録されていない場合には、遮光層補償変換LUT68から近似するk値を抽出して補間処理により求めた値を処理対象の格子点のk値に設定する。こうしてブラック(k)のインク量としてのk値を設定すると、グリッド92のすべての格子点を処理対象としたか否かを判定し(ステップS350)、未処理対象の格子点があるときには、ステップS300に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。ステップS310で処理対象の格子点が遮光層を形成する必要がない格子点であると判定されると、遮光層を形成する必要がないため、格子点のk値として値0を設定して(ステップS340)、ステップS350に進み、グリッド92のすべての格子点を処理対象としたか否かを判定し、未処理対象の格子点があるときには、ステップS300に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。
【0040】
ステップS340ですべての格子点を処理対象としたと判定されたときには、k値が設定された各格子点のk値を遮光層形成データとしてHDD55に保存して(ステップS360)、本ルーチンを終了する。なお、この遮光層形成データをもって遮光層を形成する際には、例えば、まず、グリッド92の各格子点のインク量としてのk値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。本実施形態では、遮光層を形成するためのインク量としてのw値は通常の印刷範囲を超える量として設定されているため、遮光層の形成は、ブラック(k)による通常の印刷範囲内の印刷を必要回数実行することによって行なわれる。
【0041】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のPC50のHDD55が本発明の「形成量対応関係記憶手段」に相当し、図12の遮光層形成処理ルーチンのステップS300〜S320の処理を実行するコントローラー51と遮光層形成部67とが「変形程度取得手段」に相当し、図12の遮光層形成処理ルーチンのステップS330,S360の処理を実行するコントローラー51と遮光層形成部67とが「形成量決定手段」に相当する。
【0042】
以上説明した本実施形態の加飾成形システム10によれば、媒体Sに設定した格子点のうち遮光層を形成する必要がある格子点に対しては、その格子点における対応する四角形における変化の程度として四角形の面積変化率Δsを読み込み、読み込んだ面積変化率Δsを用いて遮光層補償変換LUT68から得られる変形前のブラック(k)のインク量としてのk値を処理対象の格子点のk値に設定するから、この設定したk値を用いて遮光層を形成することにより、変形後の成形品(図6(e))における遮光層の厚みを略同一にすることができる。即ち、成形品の遮光層の各部におけるOD値を値4以上で予め定められた値とすることができる。したがって、成形品の遮光層における遮光性を確保しつつ、遮光剤としてのブラック(k)のインクによる形成量を低減することができる。
【0043】
また、本実施形態の加飾成形システム10では、媒体Sに設定した格子点のうち画像を形成する必要がある格子点に対しては、その格子点における対応する四角形における変化の程度として四角形の面積変化率Δsを読み込み、読み込んだ面積変化率Δsを用いて色補償変換LUT64から得られる変形前のシアン(c)、マゼンタ(m),イエロー(y)、ブラック(k)のインク量としてのcmyk値を処理対象の格子点のcmyk値に設定するから、この設定したcmyk値を用いて画像を形成することにより、媒体Sの変形による色の変化の影響を精度よく反映させて媒体Sに画像を形成することができる。また、本実施形態の加飾成形システム10では、媒体Sに設定した格子点のうち画像を形成する必要がある格子点に対しては、その格子点における対応する四角形における変化の程度として四角形の面積変化率Δsを読み込み、読み込んだ面積変化率Δsを用いて白層補償変換LUT66から得られる変形前のホワイト(w)のインク量としてのw値を処理対象の格子点のw値に設定するから、この設定したw値を用いて白層を形成することにより、媒体Sの変形に対して略同一の厚みの白層とすることができ、白層の厚みが異なることによる画像の変色を抑制することができると共に、白層の厚みを必要以上に厚くするものに比してホワイト(w)のインクの形成量を低減することができる。もとより、白層を形成することにより、画像を綺麗にはっきりと見栄えよく見せることができる。
【0044】
さらに、本実施形態の加飾成形システム10では、画像を形成する色層と白層と遮光層とを形成することにより、色層と白層だけが形成された部位では媒体S側(正面)からの光により画像を視認することができるようにすると共に遮光層側(背面)からの光により画像を浮かび上がらせて視認することができるようにし、色層と白層と遮光層とが形成された部位では媒体S側(正面)からの光により画像を視認することができるようにすると共に遮光層側(背面)からの光によっては画像を視認し難くすることができる。
【0045】
上述した実施形態では、遮光層をブラック(k)のインクにより形成するものとしたが、遮光層をシアン(c)、マゼンタ(m),イエロー(y)のインクによるコンポジットブラックにより形成するものとしてもよい。また、遮光層の一部をブラック(k)のインクにより形成し、遮光層の他部をコンポジットブラックにより形成するものとしてもよい。この場合、遮光層のうち画像を形成する色層に近い側をブラック(k)のインクにより形成し、他部をコンポジットブラックにより形成するものとしてもよい。ここで、コンポジットブラックによる遮光層は、色層を形成する際に、形成してもよい。
【0046】
上述した実施形態では、成形品の遮光層の各部におけるOD値を値4以上で予め定められた値としたが、OD値が値4以上であることに限定されるものではなく、成形品に要求される遮光性に応じたOD値以上の値を用いるものとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、媒体Sの変形の程度としては、グリッド92により形成される四角形の変形の前後における面積の比である面積変化率Δsを用いたが、グリッド92により形成される格子点のうち近接する3つの格子点からなる三角形の変形の前後における面積の比である面積変化率を用いるものとしてもよいし、グリッド92により形成される四角形を更に分割した形状における変形の前後における面積の比である面積変化率を用いるものとしてもよいし、グリッド92により形成される各格子点間の変形の前後における長さの比である線的な変化率を用いるものとしてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、格子点に対応する四角形における変化の程度としての四角形の面積変化率Δsを用いて色補償変換LUT64から得られる変形前のシアン(c)、マゼンタ(m),イエロー(y)、ブラック(k)のインク量としてのcmyk値を処理対象の格子点のcmyk値に設定するものとしたが、画像の形成については媒体Sの変形を考慮しないものとしてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、格子点に対応する四角形における変化の程度としての四角形の面積変化率Δsを用いて白層補償変換LUT66から得られる変形前のホワイト(w)のインク量としてのw値を処理対象の格子点のw値に設定するものとしたが、白層の形成については媒体Sの変形を考慮しないものとしてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、画像が形成される色層と画像を綺麗にはっきりと見栄えよく見せるための白層とを形成するものとしたが、成形品に遮光だけが要求される場合には、色層も白層も形成しないものとしてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、着色剤は、インクであるものとしたが、媒体S上に画像を形成する際に着色可能なものであれば特にこれに限定されない。例えば、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体、トナーなどの粉体などとしてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、プリンター20は、インクを吐出するインクジェット式の印刷機構25を備えたものとしたが、特にこれに限定されず、レーザープリンターとしてもよいし、熱転写プリンターとしてもよいし、ドットインパクトプリンターとしてもよい。また、PC50のような画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いるものとしたが、遮光層形成処理方法としてもよいし、これを実行可能なプログラムの形式にしてもよい。
【0053】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0054】
10 加飾成形システム、20 プリンター、21 コントローラー、22 CPU、23 フラッシュメモリー、24 RAM、25 印刷機構、26 キャリッジ、27 ノズル、28 印刷ヘッド、29 カートリッジ、30 キャリッジ軸、31 キャリッジベルト、32 送り機構、33 駆動モーター、34 送りローラー、36 ロール、37 切断機、40 成形装置、41 上型部、42 下型部、50 PC、51 コントローラー、52 CPU、53 フラッシュメモリー、54 RAM、55 HDD、56 I/F、57 入力装置、58 ディスプレイ、59 バス、60 変形画像処理プログラム、61 3D絵柄編集部、62 形状補償部、63 色補償部、64 色補償変換LUT、65 白層形成部、66 白層補償変換LUT、67 遮光層形成部、68 遮光層補償変換LUT、70 印刷ドライバー、92 グリッド、S 媒体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光層形成処理装置および遮光層形成処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遮光層形成処理装置としては、紙などの基材に、印刷すべき画像のポジ部分に対して有色の赤外吸収性インキを用いてオフセット印刷により第1印刷層を形成すると共に画像のネガ部分に対して同色の赤外透過性インキを用いてオフセット印刷により第2印刷層を形成し、第1印刷層および第2印刷層の上層に赤外吸収画像パターンの認識をしづらくするために赤外透過性インキを用いてオフセット印刷によりカモフラージュパターン層を形成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、格子が形成されたテスト版下としての成形加工前のデータと、テスト版下で印刷されたものに成形加工が施された三次元形状物をスキャニングして得られた成形加工後のデータとに基づいて、成形加工による形状の変形具合の特徴をつかみ、つかんだ特徴に基づいて三次元形状物に成形した場合にデザイナーが要求する意匠になるような版下を作成するものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、成形前後の絵柄の歪みを算出して写像関数として記録し、写像関数に基づいて絵柄の歪みを相殺するように変形させた印刷絵柄を作製し、成形前後のフィルム濃度変化を濃度変化関数として記録し、濃度変化関数に基づいて印刷絵柄の濃度を補正するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−244747号公報
【特許文献2】特開平11−119409号公報
【特許文献3】特開2005−199625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背面の点灯により特定の絵柄だけを発光させる場合、対象の絵柄の部分以外には遮光層を設ける必要がある。十分な遮光性を得るためには光学濃度(Optical Density、以下、OD値という。)が値4以上にすることが好ましい。したがって、遮光性インク(例えば、ブラックインク)を複数回重ねて印刷する場合がある。透明で板状のプラスチックなどの媒体に遮光層を形成した後に、成形加工により媒体を変形させて立体形状としたときには、変形が小さい部位と変形が大きな部位とでは遮光層の厚みが異なるものとなる。このため、変形の小さな部位を基準として遮光層を形成すると変形が大きな部位では十分な遮光性を得ることができず、変形が大きな部位を基準として遮光層を形成すると変形が小さな部位にまで変形が大きな部位と同様の遮光性インクが用いられ、必要以上の遮光性インクが消費されてしまう、という課題がある。
【0006】
本発明の遮光層形成処理装置および遮光層形成処理方法は、加飾成形において、変形後の遮光性を確保しつつ、遮光性を得るためのインクなどの遮光剤の使用量を低減することを主目的とする。
【0007】
本発明の遮光層形成処理装置および遮光層形成処理方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の遮光層形成処理装置は、
光透過性の媒体の少なくとも一部に遮光性を有する遮光剤により遮光層を形成した後に該媒体を変形してなる成形物のために前記媒体に前記遮光層を形成する処理を行なう遮光層形成処理装置であって、
前記成形物における前記遮光層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記遮光剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係を記憶する形成量対応関係記憶手段と、
前記媒体の各部位における変形の程度を取得する変形程度取得手段と、
前記取得した変形の程度と前記記憶した形成量対応関係とに基づいて前記媒体の各部位における前記遮光剤の形成量を決定する形成量決定手段と、
を備えることを要旨とする。
【0009】
この本発明の遮光層形成処理装置では、媒体を変形してなる成形物における遮光剤により形成される遮光層の厚みが略同一となるよう媒体に形成すべき遮光剤の形成量と媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係を記憶しておき、媒体の各部位における変形の程度を取得し、取得した変形の程度と記憶しておいた形成量対応関係とに基づいて媒体の各部位における遮光剤の形成量を決定する。これにより、成形物における遮光層の厚みを略同一とすることができる。したがって、成形物における遮光層の厚みを必要十分な厚みに定めておけば、成形物の遮光層における遮光性を確保しつつ、遮光剤の形成量を低減することができる。
【0010】
こうした本発明の遮光層形成処理装置において、前記変形程度取得手段は、前記変形の程度として前記媒体の各部位の変形前の面積に対する変形後の面積の比率としての面積変化率を取得する手段である、ものとすることもできる。この場合、前記面積変化率は、前記媒体の表面に設定された複数の微小領域の変形の前後における面積に基づいて計算されてなる、ものとすることもできる。こうすれば、媒体の変形の程度をより正確に反映することができる。
【0011】
また、本発明の遮光層形成処理装置において、前記形成量決定手段は、前記媒体において前記遮光層を形成しないと予め決定された部位については前記遮光層の形成量として値0を決定する手段である、ものとすることもできる。
【0012】
さらに、本発明の遮光層形成処理装置において、少なくともシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックを含む複数の着色剤により前記媒体に画像を形成する処理を行なう画像形成処理装置を前記遮光層形成処理装置として用いる際に、前記遮光剤としてブラックの着色剤を用いる、ものとすることもできる。こうすれば、画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いることができる。
【0013】
あるいは、本発明の遮光層形成処理装置において、少なくともシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックを含む複数の着色剤により前記媒体に画像を形成する処理を行なう画像形成処理装置を前記遮光層形成処理装置として用いる際に、前記遮光剤としてシアン,マゼンタ,イエローの着色剤によるコンポジットブラックを用いる、ものとすることもできる。こうすれば、画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いることができ、さらに、遮光層の厚みが必要な場合に対処することができる。この場合、遮光層の一部の層についてはブラックの着色剤を用いて形成し、遮光層のその他の層についてはコンポジットブラックを用いて形成するものとしてもよい。
【0014】
画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いる態様の本発明の遮光層形成処理装置において、前記媒体は透明であり、前記媒体に画像を形成した後に該画像に重ねて前記遮光層を形成する処理を行なう、ものとすることもできる。こうすれば、画像のうち重ねて遮光層が形成された部位については遮光され、画像のうち重ねて遮光層が形成されなかった部位については遮光されないから、画像に対して遮光層側から点灯することにより、画像のうち重ねて遮光層が形成されなかった部位だけを発光させることができる。この態様の場合、前記媒体の変形の程度と変形前の色と変形に伴う色変化が反映された変形後の色との対応関係である色対応関係を記憶する色対応関係記憶手段と、前記取得した変形の程度と前記記憶した色対応関係とに基づいて前記成形物の画像の色に対する前記媒体の各部位に形成する画像の色を決定する色決定手段と、を備えるものとすることもできる。こうすれば、媒体の変形による色の変化の影響を精度よく反映させて媒体に画像を形成することができる。
【0015】
さらに、画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いる態様の本発明の遮光層形成処理装置において、前記画像形成処理装置は、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの他にホワイトの着色剤により画像を形成可能な装置であり、前記画像と前記遮光層との間に前記ホワイトの着色剤による白層を形成する、ものとすることもできる。こうすれば、遮光層や遮光層が形成されていない部分の色によって画像の色が本来の色から変色して見えるのを抑制することができる。この場合、前記白層は、前記画像が形成された部位にのみに形成される、ものとすることもできる。また、前記成形物における前記白層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記ホワイトの着色剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である白対応関係を記憶する白対応関係記憶手段と、前記取得した変形の程度と前記記憶した白対応関係とに基づいて前記媒体の各部位における前記ホワイトの着色剤の形成量を決定する白量決定手段と、を備えるものとすることもできる。こうすれば、媒体の変形に対して略同一の厚みの白層とすることができ、白層の厚みが異なることによる画像の変色を抑制することができると共に、白層の厚みを必要以上に厚くするものに比してホワイトの着色剤の形成量を低減することができる。
【0016】
本発明の遮光層形成処理方法は、
光透過性の媒体の少なくとも一部に遮光性を有する遮光剤により遮光層を形成した後に該媒体を変形してなる成形物のために前記媒体に前記遮光層を形成する遮光層形成処理方法であって、
(a)前記媒体の各部位における変形の程度を取得するステップと、
(b)前記成形物における前記遮光層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記遮光剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係と前記取得した変形の程度とに基づいて前記媒体の各部位における前記遮光剤の形成量を決定するステップと、
を含むことを要旨とする。
【0017】
この本発明の遮光層形成処理方法では、媒体の各部位における変形の程度を取得し、媒体を変形してなる成形物における遮光層の厚みが略同一となるよう媒体に形成すべき遮光剤の形成量と媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係と取得した変形の程度とに基づいて媒体の各部位における遮光剤の形成量を決定する。これにより、成形物における遮光層の厚みを略同一とすることができる。したがって、成形物における遮光層の厚みを必要十分な厚みに定めておけば、成形物の遮光層における遮光性を確保しつつ、遮光剤の形成量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】加飾成形システム10の構成の概略の一例を示す構成図。
【図2】印刷ヘッド28のノズル列の構成の一例を示す説明図。
【図3】色補償変換LUT64の一例を示す説明図。
【図4】白層補償変換LUT66の一例を示す説明図。
【図5】遮光層補償変換LUT68の一例を示す説明図。
【図6】形状補償処理の様子を示す説明図。
【図7】媒体Sに加飾される様子の一例を説明する説明図。
【図8】色補償処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図9】グリッド92の各格子点と各四角形とを示す説明図。
【図10】算出された各四角形の面積変化率Δsの一例を示す説明図。
【図11】白層形成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図12】遮光層形成処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である遮光層形成システムとしても機能可能な加飾成形システム10の構成の概略の一例を示す構成図である。本実施形態の加飾成形システム10は、図示するように、透明な樹脂製のシート(例えばポリフィルム)として形成された媒体Sがロール状に巻かれてなるロール36から媒体Sを引き出してインクを吐出することにより画像を印刷するプリンター20と、画像が印刷された後の媒体Sを所望の三次元形状に立体成形する成形装置40と、プリンター20と通信可能に接続され媒体Sに形成すべき画像を入力して印刷データに処理して出力する画像処理装置の機能を有する汎用のパソコン(PC)50とを備えている。
【0020】
プリンター20は、装置全体を制御するコントローラー21と、インクを媒体Sに吐出する印刷機構25と、ロール36から媒体Sを引き出しながら搬送する送り機構32とを備えている。コントローラー21は、CPU22を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、各種処理プログラムを記憶しデータを書き換え可能なフラッシュメモリー23と、一時的にデータを記憶したりデータを保存したりするRAM24などを備えている。このコントローラー21は、PC50からの印刷データを受信すると共に印刷処理を実行するよう印刷機構25や送り機構32を制御する。印刷機構25は、キャリッジベルト31によりキャリッジ軸30に沿って左右(主走査方向)に往復動するキャリッジ26と、インクに圧力をかけノズル27からインク滴を吐出する印刷ヘッド28と、各色のインクを収容したカートリッジ29とを備えている。印刷ヘッド28は、キャリッジ26の下部に設けられており、圧電素子に電圧をかけることによりこの圧電素子を変形させてインクを加圧する方式により、印刷ヘッド28の下面に設けられたノズル27から各色のインクを吐出して媒体S上にドットを形成するものである。なお、インクへ圧力をかける機構は、ヒーターの熱による気泡の発生によるものとしてもよい。カートリッジ29は、本体側に装着され、シアン(c),マゼンタ(m),イエロー(y),ブラック(k)のcmykの各色のインクにクリア(cl)とホワイト(w)のインクを個別に収容しており、この収容したインクを図示しないチューブを介して印刷ヘッド28へ供給する。印刷ヘッド28におけるノズル27の配置の一例を図2に示す。図示するように、印刷ヘッド28には、左からブラック(k),シアン(c),マゼンタ(m),イエロー(y),クリア(cl),ホワイト(w)の順に直線状の複数の吐出孔として形成された6列のノズル列(総称としてのノズル27)が形成されている。なお、クリア(cl)は、透明であり、着色されていないため、インクとして考えるのは不適であるとの考えもあるが、本実施形態ではインク(透明インク)として取り扱うものとする。また、送り機構32は、駆動モーター33により駆動されて媒体Sを搬送する送りローラー35などを備えている。
【0021】
成形装置40は、媒体Sの上方側に配置される上型部41と、媒体Sの下方側に配置される下型部42とを備えている。上型部41や下型部42には、図示しない金型がセットされており、上下の金型で媒体Sを挟み込むことにより媒体Sを三次元形状に成形する。なお、成形装置40による成形は、加熱成形であってもよいし、加圧成形であってもよい。また、この成形装置40にセットされる金型は、複数種の異なる金型を交換可能なものとした。なお、媒体Sは、成形前あるいは成形後に、プリンター20と成形装置40との間に配置された切断機37により所定長さに切断される。
【0022】
PC50は、装置全体の制御を司るコントローラー51と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD55と、プリンター20などの外部機器とのデータの入出力を行うネットワークインターフェイス(I/F)56と、ユーザーが各種指令を入力するキーボードやマウスなどの入力装置57と、各種情報を表示するディスプレイ58とを備えている。コントローラー51は、各種制御を実行するCPU52や各種制御プログラムを記憶するフラッシュメモリー53、データを一時的に記憶するRAM54などを備えている。このPC50は、ディスプレイ58に表示されたカーソルなどをユーザーが入力装置57を介して入力操作すると、その入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。コントローラー51やHDD55、I/F56、入力装置57、ディスプレイ58などは、バス59によって電気的に接続され、各種制御信号やデータのやり取りができるよう構成されている。
【0023】
このPC50のHDD55には、図示しないアプリケーションプログラムや変形画像処理プログラム60,印刷ドライバー70などが格納されている。変形画像処理プログラム60は、媒体Sの成形に伴う変形により成形品(成形後の媒体S)の表面に形成されている画像(文字や模様などを含む)に生じる形状ずれや色ずれを補正するために用いられるプログラムや、画像を綺麗にはっきりと見栄えよく見せるために画像の下地として白色の白層を形成するプログラムや、背面からの点灯により画像の一部を浮き上がらせて見せるために他の部分を遮光する遮光層を形成するプログラムなどにより構成されている。この変形画像処理プログラム60は、三次元の画像(絵柄)モデルを編集する3D絵柄編集部61と、成形に伴う形状ずれを補償する形状補償部62と、成形に伴う色ずれを補償する色補償部63と、画像の下地としての白層を形成する白層形成部65と、遮光層を形成する遮光層形成部67と、を有している。
【0024】
3D絵柄編集部61は、成形前の媒体Sに形成した画像の編集と成形後の媒体Sに形成した画像の編集とを実行する機能を有している。形状補償部62は、媒体Sの成形時の外形の変形によって生じる成形品表面の意匠(文字や模様)の形状変化を、目的の形状に補正する形状補償を実行する機能を有している。
【0025】
色補償部63は、媒体Sの成形時の変形によって生じる画像の色合いの変化を反映させるために色補償変換ルックアップテーブル(LUT)64を用いて目的の色合いに補正する色補償を実行する機能を有している。色補償変換LUT64は、媒体Sの変形後の成形体で発色すべき目的色の色値(目標色)と、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体S上に形成するインク量との関係を経験的に定めた対応関係テーブルである。図3に色補償変換LUT64の一例を示す。図3に示すように、色補償変換LUT64において、色値(目標色)と媒体Sの面積変形率(%)とが指定されると、指定された面積変形率(%)で媒体Sが変形したのちに指定した色値(目標色)になる各色のインク量が導き出される。色補償変換LUT64では、同じ色値(目標色)において、変形後の面積変形率(%)が大きいほど着色剤の形成量が大きくなる傾向に設定されている。また、この色補償変換LUT64は、格納されている各値の間のデータを周知の四面体補間処理を行うことによって、より格子点データの多いLUTに展開して利用されるものとした。なお、図3では、インク量としては通常の印刷で用いるインク量の最大量を100として表わし、色補償変換LUT64の一部のみを示した。
【0026】
白層形成部65は、媒体Sの成形時の変形によって白層の厚みが変化するために白層補償変換ルックアップテーブル(LUT)66を用いて成形後の白層の厚みが予め定めた所定白層厚で略均一になるよう補償を実行する機能を有している。ここで、所定白層厚は、白層の画像が形成される色層とは反対側の層の色に拘わらずに画像が綺麗にはっきりと見栄えよく見えるようにするために必要な最小の厚みとして実験などによって定められている。白層補償変換LUT66は、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体S上に形成する白層におけるホワイト(w)のインク量との関係を経験的に定めた対応関係テーブルである。図4に白層補償変換LUT66の一例を示す。図4に示すように、白層補償変換LUT66において、媒体Sの面積変形率(%)が指定されると、指定された面積変形率(%)で媒体Sが変形したのちに所定白層厚となるホワイト(w)のインク量が導き出される。白層補償変換LUT66では、変形後の面積変形率(%)が大きいほどホワイト(w)のインク量が大きくなる傾向に設定されている。また、この白層補償変換LUT66は、格納されている各値の間のデータについては周知の補間処理を行うことによって、より格子点データの多いLUTに展開して利用されるものとした。なお、図4では、インク量としては通常の印刷で用いるホワイト(w)のインク量の最大量を100として表わし、白層補償変換LUT66の一部のみを示した。
【0027】
遮光層形成部67は、媒体Sの成形時の変形によって遮光層の厚みが変化するために遮光層補償変換ルックアップテーブル(LUT)68を用いて成形後の遮光層の厚みが予め定めた所定遮光層厚で略均一になるよう補償を実行する機能を有している。ここで、所定遮光層厚は、光学濃度(Optical Density、以下、OD値という。)が値4以上の予め定めた値となるブラック(k)のインクで形成した層の厚みとして実験などによって定められている。遮光層補償変換LUT68は、媒体Sの変形率(面積変化率(%))と、媒体S上に形成する遮光層におけるブラック(k)のインク量との関係を経験的に定めた対応関係テーブルである。図5に遮光層補償変換LUT68の一例を示す。図5に示すように、遮光層補償変換LUT68において、媒体Sの面積変形率(%)が指定されると、指定された面積変形率(%)で媒体Sが変形したのちに所定遮光層厚となるブラック(k)のインク量が導き出される。遮光層補償変換LUT68では、変形後の面積変形率(%)が大きいほどブラック(k)のインク量が大きくなる傾向に設定されている。また、この遮光層補償変換LUT68は、格納されている各値の間のデータについては周知の補間処理を行うことによって、より格子点データの多いLUTに展開して利用されるものとした。なお、図5では、インク量としては通常の印刷で用いるブラック(k)のインク量の最大量を100として表わし、遮光層補償変換LUT68の一部のみを示した。
【0028】
印刷ドライバー70は、アプリケーションプログラム側から受けた印刷ジョブをプリンター20で直接印刷処理可能な印刷データへ変換してプリンター20へ出力(送信)するプログラムである。この印刷ドライバー70は、変形画像処理プログラム60で作成された印刷データをプリンター20へ出力する機能を有している。
【0029】
次に、こうして構成された本実施形態の加飾成形システム10の処理について、形状補償処理、色補償処理、白層形成処理、遮光層形成処理について順に説明する。図6は、変形画像処理プログラム60により実行される形状補償処理の様子を示す説明図である。この形状補償処理では、コントローラー51のCPU52は、まず、縦横に等間隔の複数の格子点を有する四角形(正方形)を要素とするグリッド92を平面状の媒体に構成した画像を作成する(図6(a))。なお、図示の都合上、グリッド92の格子点は実際よりも少ない(間引いた)状態で図示し、格子点の間隔はプリンター20のドットの形成間隔(例えば、720dpiや1440dpiなど)よりも広いものとした。また、これらの各格子点の初期位置(変形前の位置)の位置情報は保持されるものとした。次に、目的の製品の形状に成形されるように媒体を変形させる処理を行ない、変形前後のグリッド92の各格子点の位置情報を入力して変形後の各格子点の三次元座標位置や各格子点の歪み方向や歪み量を算出する。そして、この算出結果に基づいて、成形後の立体物の三次元の画像モデルを作成し、作成した三次元の画像モデルをディスプレイ58へ表示処理する(図6(b))。次に、使用者の入力操作によって三次元の画像モデル上で絵柄の位置が指定されると、指定された位置に絵柄としての印刷対象の画像を配置し(図6(c))、二次元変換指示が入力されると、三次元での座標値を二次元の座標値に変換して変換後の画像を表示する(図6(d))。このようにして、成形後に目的とする絵柄となる形状の画像が成形前の媒体上に形成され、成形前に媒体Sに印刷すべき版下データを作成することができる。なお、図6(d)の版下データの画像が媒体Sに印刷されて成形された結果の成形品を図6(e)に示す。
【0030】
本実施形態では、図6(e)における絵柄(A)の部分については背面からの点灯により絵柄(A)が浮かび上がるようにすると共に図6(e)における絵柄(B)の部分については背面からの点灯によっても絵柄(B)が浮かび上がらないようにする場合を例として説明する。この場合、媒体Sには、図7に示すように、絵柄(A)の部分(図7中、左部分)については画像が形成される色層(A)と白層とを形成し、絵柄(B)の部分(図7中、中央部分)については色層(B)と白層に加えて遮光層1〜3を形成し、絵柄のない部分(図7中、右部分)については遮光層1〜3のみを形成する。これにより、媒体S側(正面)からの光に対しては絵柄(A)と絵柄(B)とを視認することができ、遮光層側(背面)からの光に対しては絵柄(A)だけを浮かび上がらせて視認することができる。なお、絵柄(A)の部分における遮光層1〜3の部分については、層厚を均一にする必要がある場合には、クリア(cl)のインクによるクリア層を形成するものとしてもよい。同様に、絵柄のない部分における色層と白層に相当する部分についてもクリア(cl)のインクによるクリア層を形成するものとしてもよい。
【0031】
次に、色補償変換LUT64を用いた色補償処理について説明する。図8は、コントローラー51のCPU52により実行される色補償処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、形状補償処理がなされた後に色補償の実行指示が入力されたときに実行される。なお、色補償の実行指示は、例えば、形状補償処理後に、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の色補償実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。
【0032】
この色補償処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、変形加工前後のグリッド92の各格子点の位置情報を取得する(ステップS100)。この位置情報の取得は、上述した形状補償処理で説明した変形前後の格子点の三次元座標をそれぞれ取得することにより行なう。次に、取得した各格子点の位置情報からグリッド92の各要素としての各四角形の面積変化率Δsを算出する(ステップS110)。ここで、グリッド92の各格子点と各四角形とを図9に示す。なお、図9では、グリッド92の一部を拡大して示しており、図9中の対象画像(文字A)は、上述した形状補償処理後の画像(図6(d)参照)が配置されたものである。各四角形の面積変化率Δsの算出は、ステップS100で取得した各格子点の変形前後の位置情報から変形前後の四角形の面積をそれぞれ算出して、変形後の四角形の面積を変形前の面積で除することにより行なう。なお、変形前の各四角形の面積はすべて同一であるため一定値を用いてもよい。こうして算出される各四角形の面積変化率Δsの一例を図10に示す。なお、要素No.は、グリッド92の左上の四角形を起点として左から右へ、上から下へと順に付すものとした。続いて、グリッド92の各格子点のLab値を取得する(ステップS120)。このLab値の取得は、入力された画像のRGB値やCMYK値などの色の情報に基づいて各格子点に対応する位置の形状補償処理後の画像の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。あるいは、図6(d)や図9のような形状補償処理後の画像を含む図示しない編集画面をディスプレイ58上に表示して入力装置57を用いた画像の色の指定を受け付け、受け付けた色に基づいて各格子点に対応する位置の色値を求め、求めた色値をLab値に変換することにより取得することができる。
【0033】
こうしてグリッド92の各格子点のLab値や各四角形の面積変化率Δsを取得すると、処理対象の格子点を設定して(ステップS130)、処理対象の格子点のLab値と処理対象の格子点に対応する四角形の面積変化率Δsとをそれぞれ読み込む(ステップS140)。なお、処理対象の格子点は、グリッド92の左上隅の格子点を起点として左から右へ、上から下へと順に設定する。また、処理対象の格子点に対応する四角形は、例えば、処理対象の格子点を左上の頂点にもつ四角形に定めることができ、グリッド92の右端や下端に位置する格子点のように処理対象の格子点を左上の頂点にもつ四角形が存在しない場合には、処理対象の格子点を右上の頂点にもつ四角形や処理対象の格子点を左下の頂点や右下の頂点にもつ四角形を定めるものとすればよい。
【0034】
次に、読み込んだLab値を変形後の色値として用いると共に面積変化率Δsを用いて色補償変換LUT64から得られる変形前のインク量としてのcmyk値を処理対象の格子点のcmyk値に設定する(ステップS150)。ここで、読み込んだLab値と面積変化率Δsとが色補償変換LUT64に登録されている場合には、色補償変換LUT64から対応する値を導出して処理対象の格子点のcmyk値に設定する。一方、読み込んだLab値や面積変化率Δsが色補償変換LUT64に登録されていない場合には、色補償変換LUT64から近似するcmyk値を抽出して補間処理により求めた値を処理対象の格子点のcmyk値に設定する。こうしてインク量としてのcmyk値を設定すると、グリッド92のすべての格子点のcmyk値を設定したか否かを判定し(ステップS160)、未設定の格子点があるときには、ステップS130に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。一方、すべての格子点のインク量としてのcmyk値を設定したときには、各格子点のcmyk値を色補償データとして作成しHDD55に保存して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。なお、この色補償データをもって印刷する際には、例えば、まず、グリッド92の各格子点のインク量としてのcmyk値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。本実施形態では、画像形成のインク量としてのcmyk値は通常の印刷範囲を超える量として設定される部位も存在するため、cmyk値による画像形成は、通常の印刷範囲内の印刷を必要回数実行することによって行なわれる。
【0035】
次に、白層補償変換LUT66を用いた白層形成処理について説明する。図11は、コントローラー51のCPU52により実行される白層形成処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、色補償処理がなされた後に白層形成の実行指示が入力されたときに実行される。なお、白層形成の実行指示は、例えば、色補償処理後に、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の白層形成実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。また、白層形成処理は、色補償処理がなされた後に自動的に実行されるものとしてもよい。
【0036】
この白層形成処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、媒体Sにおける処理対象の格子点を設定し(ステップS200)、処理対象の格子点が画像形成が行なわれる格子点であるか否かを判定する(ステップS210)。この判定は、処理対象の格子点にLab値が設定されているか否かによって行なうことができる。図6(e)および図7の例では、図6(e)における絵柄(A)と絵柄(B)とが形成される格子点であるか否かの判定が行なわれることになる。処理対象の格子点が画像形成が行なわれる格子点であると判定されると、処理対象の格子点に対応する四角形の面積変化率Δsを読み込み(ステップS220)、読み込んだ面積変化率Δsを用いて白層補償変換LUT66から得られる変形前のホワイト(w)のインク量としてのw値を処理対象の格子点のw値に設定する(ステップS230)。ここで、読み込んだ面積変化率Δsが白層補償変換LUT66に登録されている場合には、白層補償変換LUT66から対応する値を導出して処理対象の格子点のw値に設定する。一方、読み込んだ面積変化率Δsが白層補償変換LUT66に登録されていない場合には、白層補償変換LUT66から近似するw値を抽出して補間処理により求めた値を処理対象の格子点のw値に設定する。こうしてホワイト(w)のインク量としてのw値を設定すると、グリッド92のすべての格子点を処理対象としたか否かを判定し(ステップS250)、未処理対象の格子点があるときには、ステップS200に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。ステップS210で処理対象の格子点が画像形成が行なわれない格子点であると判定されると、白層を形成する必要がないため、格子点のw値として値0を設定して(ステップS240)、ステップS250に進み、グリッド92のすべての格子点を処理対象としたか否かを判定し、未処理対象の格子点があるときには、ステップS200に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。
【0037】
ステップS240ですべての格子点を処理対象としたと判定されたときには、w値が設定された各格子点のw値を白層形成データとしてHDD55に保存して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。なお、この白層形成データをもって白層を形成する際には、例えば、まず、グリッド92の各格子点のインク量としてのw値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。本実施形態では、白層を形成するインク量としてのw値は通常の印刷範囲を超える量として設定される部位も存在するため、w値による白層の形成は、通常の印刷範囲内の印刷を必要回数実行することによって行なわれる。
【0038】
次に、遮光層補償変換LUT68を用いた遮光層形成処理について説明する。図12は、コントローラー51のCPU52により実行される遮光層形成処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、HDD55に記憶され、白層形成処理がなされた後に遮光層形成の実行指示が入力されたときに実行される。なお、遮光層形成の実行指示は、例えば、白層形成処理後に、変形画像処理プログラム60の図示しない編集画面がディスプレイ58に表示された状態で、編集画面上の遮光層形成実行ボタンを入力装置57でクリックすることにより入力されるものなどとすればよい。また、遮光層形成処理は、白層形成処理がなされた後に自動的に実行されるものとしてもよい。
【0039】
この遮光層形成処理ルーチンが実行されると、CPU52は、まず、媒体Sにおける処理対象の格子点を設定し(ステップS300)、処理対象の格子点が遮光層を形成する必要がある格子点であるか遮光層を形成する必要がない格子点であるかを判定する(ステップS310)。この判定は、予め遮光層を形成する必要がないと設定された格子点であるか否かを判定することによって行なわれる。図6(e)および図(7)の例では、図6(e)における絵柄(A)については背面からの点灯により絵柄(A)を浮かび上がらせるようにするため、絵柄(A)が形成される格子点については遮光層を形成する必要がないことになるため、ステップS310では図6(e)における絵柄(A)が形成される格子点であるか否かの判定が行なわれることになる。処理対象の格子点が遮光層を形成する必要がある格子点であると判定されると、処理対象の格子点に対応する四角形の面積変化率Δsを読み込み(ステップS320)、読み込んだ面積変化率Δsを用いて遮光層補償変換LUT68から得られる変形前のブラック(k)のインク量としてのk値を処理対象の格子点のk値に設定する(ステップS330)。ここで、読み込んだ面積変化率Δsが遮光層補償変換LUT68に登録されている場合には、遮光層補償変換LUT68から対応する値を導出して処理対象の格子点のk値に設定する。一方、読み込んだ面積変化率Δsが遮光層補償変換LUT68に登録されていない場合には、遮光層補償変換LUT68から近似するk値を抽出して補間処理により求めた値を処理対象の格子点のk値に設定する。こうしてブラック(k)のインク量としてのk値を設定すると、グリッド92のすべての格子点を処理対象としたか否かを判定し(ステップS350)、未処理対象の格子点があるときには、ステップS300に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。ステップS310で処理対象の格子点が遮光層を形成する必要がない格子点であると判定されると、遮光層を形成する必要がないため、格子点のk値として値0を設定して(ステップS340)、ステップS350に進み、グリッド92のすべての格子点を処理対象としたか否かを判定し、未処理対象の格子点があるときには、ステップS300に戻り各格子点を順次処理対象に設定して処理を繰り返す。
【0040】
ステップS340ですべての格子点を処理対象としたと判定されたときには、k値が設定された各格子点のk値を遮光層形成データとしてHDD55に保存して(ステップS360)、本ルーチンを終了する。なお、この遮光層形成データをもって遮光層を形成する際には、例えば、まず、グリッド92の各格子点のインク量としてのk値をプリンター20のドットの形成間隔に応じて補間する処理などが、印刷ドライバー70などを用いて行なわれる。本実施形態では、遮光層を形成するためのインク量としてのw値は通常の印刷範囲を超える量として設定されているため、遮光層の形成は、ブラック(k)による通常の印刷範囲内の印刷を必要回数実行することによって行なわれる。
【0041】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のPC50のHDD55が本発明の「形成量対応関係記憶手段」に相当し、図12の遮光層形成処理ルーチンのステップS300〜S320の処理を実行するコントローラー51と遮光層形成部67とが「変形程度取得手段」に相当し、図12の遮光層形成処理ルーチンのステップS330,S360の処理を実行するコントローラー51と遮光層形成部67とが「形成量決定手段」に相当する。
【0042】
以上説明した本実施形態の加飾成形システム10によれば、媒体Sに設定した格子点のうち遮光層を形成する必要がある格子点に対しては、その格子点における対応する四角形における変化の程度として四角形の面積変化率Δsを読み込み、読み込んだ面積変化率Δsを用いて遮光層補償変換LUT68から得られる変形前のブラック(k)のインク量としてのk値を処理対象の格子点のk値に設定するから、この設定したk値を用いて遮光層を形成することにより、変形後の成形品(図6(e))における遮光層の厚みを略同一にすることができる。即ち、成形品の遮光層の各部におけるOD値を値4以上で予め定められた値とすることができる。したがって、成形品の遮光層における遮光性を確保しつつ、遮光剤としてのブラック(k)のインクによる形成量を低減することができる。
【0043】
また、本実施形態の加飾成形システム10では、媒体Sに設定した格子点のうち画像を形成する必要がある格子点に対しては、その格子点における対応する四角形における変化の程度として四角形の面積変化率Δsを読み込み、読み込んだ面積変化率Δsを用いて色補償変換LUT64から得られる変形前のシアン(c)、マゼンタ(m),イエロー(y)、ブラック(k)のインク量としてのcmyk値を処理対象の格子点のcmyk値に設定するから、この設定したcmyk値を用いて画像を形成することにより、媒体Sの変形による色の変化の影響を精度よく反映させて媒体Sに画像を形成することができる。また、本実施形態の加飾成形システム10では、媒体Sに設定した格子点のうち画像を形成する必要がある格子点に対しては、その格子点における対応する四角形における変化の程度として四角形の面積変化率Δsを読み込み、読み込んだ面積変化率Δsを用いて白層補償変換LUT66から得られる変形前のホワイト(w)のインク量としてのw値を処理対象の格子点のw値に設定するから、この設定したw値を用いて白層を形成することにより、媒体Sの変形に対して略同一の厚みの白層とすることができ、白層の厚みが異なることによる画像の変色を抑制することができると共に、白層の厚みを必要以上に厚くするものに比してホワイト(w)のインクの形成量を低減することができる。もとより、白層を形成することにより、画像を綺麗にはっきりと見栄えよく見せることができる。
【0044】
さらに、本実施形態の加飾成形システム10では、画像を形成する色層と白層と遮光層とを形成することにより、色層と白層だけが形成された部位では媒体S側(正面)からの光により画像を視認することができるようにすると共に遮光層側(背面)からの光により画像を浮かび上がらせて視認することができるようにし、色層と白層と遮光層とが形成された部位では媒体S側(正面)からの光により画像を視認することができるようにすると共に遮光層側(背面)からの光によっては画像を視認し難くすることができる。
【0045】
上述した実施形態では、遮光層をブラック(k)のインクにより形成するものとしたが、遮光層をシアン(c)、マゼンタ(m),イエロー(y)のインクによるコンポジットブラックにより形成するものとしてもよい。また、遮光層の一部をブラック(k)のインクにより形成し、遮光層の他部をコンポジットブラックにより形成するものとしてもよい。この場合、遮光層のうち画像を形成する色層に近い側をブラック(k)のインクにより形成し、他部をコンポジットブラックにより形成するものとしてもよい。ここで、コンポジットブラックによる遮光層は、色層を形成する際に、形成してもよい。
【0046】
上述した実施形態では、成形品の遮光層の各部におけるOD値を値4以上で予め定められた値としたが、OD値が値4以上であることに限定されるものではなく、成形品に要求される遮光性に応じたOD値以上の値を用いるものとしてもよい。
【0047】
上述した実施形態では、媒体Sの変形の程度としては、グリッド92により形成される四角形の変形の前後における面積の比である面積変化率Δsを用いたが、グリッド92により形成される格子点のうち近接する3つの格子点からなる三角形の変形の前後における面積の比である面積変化率を用いるものとしてもよいし、グリッド92により形成される四角形を更に分割した形状における変形の前後における面積の比である面積変化率を用いるものとしてもよいし、グリッド92により形成される各格子点間の変形の前後における長さの比である線的な変化率を用いるものとしてもよい。
【0048】
上述した実施形態では、格子点に対応する四角形における変化の程度としての四角形の面積変化率Δsを用いて色補償変換LUT64から得られる変形前のシアン(c)、マゼンタ(m),イエロー(y)、ブラック(k)のインク量としてのcmyk値を処理対象の格子点のcmyk値に設定するものとしたが、画像の形成については媒体Sの変形を考慮しないものとしてもよい。
【0049】
上述した実施形態では、格子点に対応する四角形における変化の程度としての四角形の面積変化率Δsを用いて白層補償変換LUT66から得られる変形前のホワイト(w)のインク量としてのw値を処理対象の格子点のw値に設定するものとしたが、白層の形成については媒体Sの変形を考慮しないものとしてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、画像が形成される色層と画像を綺麗にはっきりと見栄えよく見せるための白層とを形成するものとしたが、成形品に遮光だけが要求される場合には、色層も白層も形成しないものとしてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、着色剤は、インクであるものとしたが、媒体S上に画像を形成する際に着色可能なものであれば特にこれに限定されない。例えば、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体、トナーなどの粉体などとしてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、プリンター20は、インクを吐出するインクジェット式の印刷機構25を備えたものとしたが、特にこれに限定されず、レーザープリンターとしてもよいし、熱転写プリンターとしてもよいし、ドットインパクトプリンターとしてもよい。また、PC50のような画像形成処理装置を遮光層形成処理装置として用いるものとしたが、遮光層形成処理方法としてもよいし、これを実行可能なプログラムの形式にしてもよい。
【0053】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0054】
10 加飾成形システム、20 プリンター、21 コントローラー、22 CPU、23 フラッシュメモリー、24 RAM、25 印刷機構、26 キャリッジ、27 ノズル、28 印刷ヘッド、29 カートリッジ、30 キャリッジ軸、31 キャリッジベルト、32 送り機構、33 駆動モーター、34 送りローラー、36 ロール、37 切断機、40 成形装置、41 上型部、42 下型部、50 PC、51 コントローラー、52 CPU、53 フラッシュメモリー、54 RAM、55 HDD、56 I/F、57 入力装置、58 ディスプレイ、59 バス、60 変形画像処理プログラム、61 3D絵柄編集部、62 形状補償部、63 色補償部、64 色補償変換LUT、65 白層形成部、66 白層補償変換LUT、67 遮光層形成部、68 遮光層補償変換LUT、70 印刷ドライバー、92 グリッド、S 媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性の媒体の少なくとも一部に遮光性を有する遮光剤により遮光層を形成した後に該媒体を変形してなる成形物のために前記媒体に前記遮光層を形成する処理を行なう遮光層形成処理装置であって、
前記成形物における前記遮光層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記遮光剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係を記憶する形成量対応関係記憶手段と、
前記媒体の各部位における変形の程度を取得する変形程度取得手段と、
前記取得した変形の程度と前記記憶した形成量対応関係とに基づいて前記媒体の各部位における前記遮光剤の形成量を決定する形成量決定手段と、
を備える遮光層形成処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の遮光層形成処理装置であって、
前記変形程度取得手段は、前記変形の程度として前記媒体の各部位の変形前の面積に対する変形後の面積の比率としての面積変化率を取得する手段である、
遮光層形成処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の遮光層形成処理装置であって、
前記面積変化率は、前記媒体の表面に設定された複数の微小領域の変形の前後における面積に基づいて計算されてなる、
遮光層形成処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の遮光層形成処理装置であって、
前記形成量決定手段は、前記媒体において前記遮光層を形成しないと予め決定された部位については値0の形成量を決定する手段である、
遮光層形成処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の遮光層形成処理装置であって、
少なくともシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックを含む複数の着色剤により前記媒体に画像を形成する処理を行なう画像形成処理装置を前記遮光層形成処理装置として用いる際に、前記遮光剤としてブラックの着色剤を用いる、
遮光層形成処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか記載の遮光層形成処理装置であって、
少なくともシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックを含む複数の着色剤により前記媒体に画像を形成する処理を行なう画像形成処理装置を前記遮光層形成処理装置として用いる際に、前記遮光剤としてシアン,マゼンタ,イエローの着色剤によるコンポジットブラックを用いる、
遮光層形成処理装置。
【請求項7】
請求項5または6記載の遮光層形成処理装置であって、
前記媒体は透明であり、
前記媒体に画像を形成した後に該画像に重ねて前記遮光層を形成する処理を行なう、
遮光層形成処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の遮光層形成処理装置であって、
前記媒体の変形の程度と変形前の色と変形に伴う色変化が反映された変形後の色との対応関係である色対応関係を記憶する色対応関係記憶手段と、
前記取得した変形の程度と前記記憶した色対応関係とに基づいて前記成形物の画像の色に対する前記媒体の各部位に形成する画像の色を決定する色決定手段と、
を備える遮光層形成処理装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の遮光層形成処理装置であって、
前記画像形成処理装置は、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの他にホワイトの着色剤により画像を形成可能な装置であり、
前記画像と前記遮光層との間に前記ホワイトの着色剤による白層を形成する、
遮光層形成処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の遮光層形成処理装置であって、
前記白層は、前記画像が形成された部位にのみに形成される、
遮光層形成処理装置。
【請求項11】
請求項9または10記載の遮光層形成処理装置であって、
前記成形物における前記白層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記ホワイトの着色剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である白対応関係を記憶する白対応関係記憶手段と、
前記取得した変形の程度と前記記憶した白対応関係とに基づいて前記媒体の各部位における前記ホワイトの着色剤の形成量を決定する白量決定手段と、
を備える遮光層形成処理装置。
【請求項12】
光透過性の媒体の少なくとも一部に遮光性を有する遮光剤により遮光層を形成した後に該媒体を変形してなる成形物のために前記媒体に前記遮光層を形成する遮光層形成処理方法であって、
(a)前記媒体の各部位における変形の程度を取得するステップと、
(b)前記成形物における前記遮光層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記遮光剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係と前記取得した変形の程度とに基づいて前記媒体の各部位における前記遮光剤の形成量を決定するステップと、
を含む遮光層形成処理方法。
【請求項1】
光透過性の媒体の少なくとも一部に遮光性を有する遮光剤により遮光層を形成した後に該媒体を変形してなる成形物のために前記媒体に前記遮光層を形成する処理を行なう遮光層形成処理装置であって、
前記成形物における前記遮光層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記遮光剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係を記憶する形成量対応関係記憶手段と、
前記媒体の各部位における変形の程度を取得する変形程度取得手段と、
前記取得した変形の程度と前記記憶した形成量対応関係とに基づいて前記媒体の各部位における前記遮光剤の形成量を決定する形成量決定手段と、
を備える遮光層形成処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の遮光層形成処理装置であって、
前記変形程度取得手段は、前記変形の程度として前記媒体の各部位の変形前の面積に対する変形後の面積の比率としての面積変化率を取得する手段である、
遮光層形成処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の遮光層形成処理装置であって、
前記面積変化率は、前記媒体の表面に設定された複数の微小領域の変形の前後における面積に基づいて計算されてなる、
遮光層形成処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の遮光層形成処理装置であって、
前記形成量決定手段は、前記媒体において前記遮光層を形成しないと予め決定された部位については値0の形成量を決定する手段である、
遮光層形成処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の遮光層形成処理装置であって、
少なくともシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックを含む複数の着色剤により前記媒体に画像を形成する処理を行なう画像形成処理装置を前記遮光層形成処理装置として用いる際に、前記遮光剤としてブラックの着色剤を用いる、
遮光層形成処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか記載の遮光層形成処理装置であって、
少なくともシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックを含む複数の着色剤により前記媒体に画像を形成する処理を行なう画像形成処理装置を前記遮光層形成処理装置として用いる際に、前記遮光剤としてシアン,マゼンタ,イエローの着色剤によるコンポジットブラックを用いる、
遮光層形成処理装置。
【請求項7】
請求項5または6記載の遮光層形成処理装置であって、
前記媒体は透明であり、
前記媒体に画像を形成した後に該画像に重ねて前記遮光層を形成する処理を行なう、
遮光層形成処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の遮光層形成処理装置であって、
前記媒体の変形の程度と変形前の色と変形に伴う色変化が反映された変形後の色との対応関係である色対応関係を記憶する色対応関係記憶手段と、
前記取得した変形の程度と前記記憶した色対応関係とに基づいて前記成形物の画像の色に対する前記媒体の各部位に形成する画像の色を決定する色決定手段と、
を備える遮光層形成処理装置。
【請求項9】
請求項7または8記載の遮光層形成処理装置であって、
前記画像形成処理装置は、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの他にホワイトの着色剤により画像を形成可能な装置であり、
前記画像と前記遮光層との間に前記ホワイトの着色剤による白層を形成する、
遮光層形成処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の遮光層形成処理装置であって、
前記白層は、前記画像が形成された部位にのみに形成される、
遮光層形成処理装置。
【請求項11】
請求項9または10記載の遮光層形成処理装置であって、
前記成形物における前記白層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記ホワイトの着色剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である白対応関係を記憶する白対応関係記憶手段と、
前記取得した変形の程度と前記記憶した白対応関係とに基づいて前記媒体の各部位における前記ホワイトの着色剤の形成量を決定する白量決定手段と、
を備える遮光層形成処理装置。
【請求項12】
光透過性の媒体の少なくとも一部に遮光性を有する遮光剤により遮光層を形成した後に該媒体を変形してなる成形物のために前記媒体に前記遮光層を形成する遮光層形成処理方法であって、
(a)前記媒体の各部位における変形の程度を取得するステップと、
(b)前記成形物における前記遮光層の厚みが略同一となるよう前記媒体に形成すべき前記遮光剤の形成量と前記媒体の変形の程度との対応関係である形成量対応関係と前記取得した変形の程度とに基づいて前記媒体の各部位における前記遮光剤の形成量を決定するステップと、
を含む遮光層形成処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−187889(P2012−187889A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55165(P2011−55165)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]