説明

遮熱シート

【課題】トラックの屋根に安全に貼ることができうる遮熱シートを提供する。
【解決手段】遮熱シート1は、トラック2の屋根3に貼付されるものであって、幅が50センチメートルである。このように、遮熱シート1の幅を一人の作業者で十分扱うことができうる幅とすることによって、一人で遮熱シートをトラック2の屋根3に貼ることができる。その結果、複数人で遮熱シートを貼る作業を行う場合に比べて、危険性を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトラックの屋根などに貼付される遮熱シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物や冷凍車などの保冷性を高めるための遮熱シートが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−12679号公報(第1頁、第1図等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、そのような遮熱シートをトラックやバスの屋根に貼る場合には、通常、トラック等の屋根の幅とほぼ同じ幅を有する遮熱シートを用いるため、複数人で遮熱シートを貼る作業を行わなければならなかった。そのような場合に、トラック等の屋根はあまり広くなく、また、高い位置にあるため、トラック等の屋根において遮熱シートを貼る作業を行う複数人の連携がうまくいかないと、作業を行っている人がトラック等の屋根から落ちる可能性があり、トラック等の屋根に遮熱シートを貼る作業は、危険な作業であった。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、トラック等の屋根や側面等に安全に貼ることができうる遮熱シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明による遮熱シートは、トラック、バス、トラックに載置可能なコンテナの屋根または側面に貼付される遮熱シートであって、幅が10から85センチメートルである。また、好ましくは、幅が30から60センチメートルである。さらに好ましくは、幅が略50センチメートルである。
【0005】
このような構成により、遮熱シートを一人で扱うことができ、一人でトラックの屋根等に遮熱シートを貼ることができるようになる。その結果、複数人で遮熱シートを貼る作業を行う場合に比べて、危険性を低減することができる。
【0006】
また、本発明による遮熱シートでは、光を反射する膜である反射膜と、前記トラック、バス、トラックに載置可能なコンテナの屋根または側面に貼着する粘着層と、を少なくとも備えてもよい。
このような構成により、遮熱シートによって、遮熱を行うことができ、トラックの荷室等の保冷効果などを高めることができうる。
【発明の効果】
【0007】
本発明による遮熱シートによれば、遮熱シートの幅を一人の作業者で十分扱うことができうる幅とすることによって、一人で遮熱シートをトラックの屋根などに貼ることができる。その結果、複数人で遮熱シートを貼る作業を行う場合に比べて、危険性を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明による遮熱シートについて、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
【0009】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による遮熱シートについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態による遮熱シートについて説明するための図である。図1は、トラック2の上面図である。遮熱シート1は、トラック2の屋根3に貼付されている。屋根3の幅は2.4mであり、長さは10mである。遮熱シート1の幅は、略50cmである。ここで、略50cmとは、50cmに対して2,3cmの誤差があってもよい、という意味である。また、トラック2の屋根3とは、トラック2の荷室の屋根のことである。
【0010】
図2は、遮熱シート1の構成を示す図である。遮熱シート1は、補強膜11と、補強膜11の上に設けられた断熱膜12と、断熱膜12の上に設けられた反射膜13と、反射膜13の上に設けられた透明膜14と、遮熱シート1の透明膜14と反対側の面の粘着層15とを備える。
【0011】
補強膜11は、遮熱シート1を補強することによって、遮熱シート1が裂けることを防止したり、遮熱シート1が平面の形状を保つことができるようにしたりするためのものである。補強膜11としては、例えば、織物やメッシュ状のシートなどを用いることができる。
【0012】
断熱膜12は、断熱性を有する膜であり、例えば、発泡シートや気泡シート等、断熱性を有する膜であれば、どのようなものであってもよい。断熱膜12の断熱効果によって、例えば、遮熱シート1の貼付されたトラック2の荷室等の保冷効果を高めることができうる。
【0013】
反射膜13は、光を反射する膜であり、例えば、反射性を有する金属によって形成されるもの(例えば、金属箔や、金属の蒸着膜など)である。反射膜13が透明膜14側から入射した日光等を反射することにより、遮熱シート1は、遮熱効果を奏することになる。その金属は、例えば、アルミニウムや金、銀、ニッケル、亜鉛などである。コストなどの面から、アルミニウム箔や、アルミニウムの蒸着膜を用いることが好ましい。また、反射膜13としては、反射率の高いものを用いることが好ましい。それだけ、遮熱効果が高くなるからである。被蒸着膜は、例えば、樹脂等の膜であってもよく、透明膜14であってもよい。
【0014】
透明膜14は、反射膜13を保護するために設けられた膜である。透明膜14は、例えば、樹脂製の膜であり、光の透過率が高い方が好ましい。透明膜14において光を吸収すると、それだけ遮熱効果が低下するからである。透明膜14として、例えば、PP(ポリプロピレン)フィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、塩化ビニルフィルム、アクリルフィルム、フッ素フィルムを用いてもよい。
【0015】
粘着層15は、トラック2の屋根3に貼着する粘着性のものである。粘着層15は、例えば、アクリル系やウレタン系の接着剤であってもよい。遮熱シート1をトラック2の屋根に貼付するまでは、粘着層15が他のものに貼着しないように、粘着層15に剥離紙をつけてもよい。
【0016】
なお、補強膜11、断熱膜12、反射膜13、透明膜14は、それぞれ、接着剤等によって互いに貼着されているものとする。なお、補強膜11等の全面が貼着されていてもよく、あるいは、例えば、周囲だけといったように、補強膜11等の一部だけが貼着されていてもよい。また、加熱したり、加圧したりすることによって、それらの膜を互いに貼着してもよい。また、接着剤としては、例えば、アクリル系やウレタン系の接着剤を用いてもよい。
【0017】
次に、図3を用いて、遮熱シート1を屋根3に貼る方法について説明する。図3で示されるように、遮熱シート1は、長手方向に巻かれている。その遮熱シート1の一端を屋根3の端部の所望の位置に粘着層15を屋根3側にして貼着し、遮熱シート1を広げながら、徐々に貼着していく。なお、粘着層15に剥離紙がついている場合には、その剥離紙をはがしながら貼着させる。
【0018】
同様にして、他の遮熱シート1も屋根3に貼付することによって、図1で示されるようになる。なお、図1では、遮熱シート1の間に隙間があるが、遮熱シート1の間に隙間がないように遮熱シート1を貼付してもよく、あるいは、一の遮熱シート1と、他の遮熱シート1とが少しだけ重なるように遮熱シート1を貼付してもよい。
【0019】
このように、遮熱シート1の幅が50cmであり、トラック2の屋根3においても一人の作業者で扱うことができる幅であるため、遮熱シート1の貼付作業を一人で行うことができる。その結果、複数人で遮熱シート1の貼付作業を行う場合に比べて、安全性を高めることができうる。
【0020】
なお、本実施の形態において、遮熱シート1の幅を50cmであると説明したが、遮熱シート1の幅は、10〜85cmであってもよい。また、好ましくは、遮熱シート1の幅は、30〜60cmであってもよい。さらに好ましくは、上記説明のように、遮熱シート1の幅は、50cmであってもよい。遮熱シート1の幅が人間の胴体の幅と同じぐらいであれば、一人で扱うことが容易であるため、人間の胴体の幅と同じぐらいであることが好ましい。
【0021】
また、本実施の形態では、遮熱シート1の構成が図2で示されるものであると説明したが、遮熱シート1の構成は問わない。例えば、遮熱シート1に粘着層15がなく、遮熱シート1を貼るときに、接着剤等を別途、用いてもよく、加熱や加圧によって、遮熱シート1を貼ってもよい。また、遮熱シート1において、反射膜13がなくてもよく、あるいは、断熱膜12がなくてもよい。また、透明膜14が補強膜11と同様に丈夫な膜である場合には、補強膜11を設けなくてもよい。また、遮熱シート1に反射膜13がない場合には、透明膜14もなくてもよい。
【0022】
また、遮熱シート1をトラック2の屋根3等に貼る場合には、遮熱シート1の全面をトラック2の屋根3等に貼着してもよく、あるいは、遮熱シート1の一部、例えば、遮熱シート1の周囲だけをトラック2の屋根3等に貼着してもよい。
【0023】
また、遮熱シート1をトラック2の屋根3に貼付する場合について説明したが、トラック2以外の屋根に貼付してもよい。例えば、遮熱シート1を、バスや、トラックに載置可能なコンテナの屋根に貼付してもよい。
【0024】
また、遮熱シート1を屋根3に貼付する場合について説明したが、例えば、図4で示されるように、遮熱シート1をトラックやバス、トラックに載置可能なコンテナの側面5に貼付してもよい。側面5に遮熱シート1を貼付する場合には、より直射日光を受けやすい高い位置に貼付することが好ましいが、側面5に貼付するのであれば、その位置及び範囲を問わない。
【0025】
また、本実施の形態では、トラック2の屋根3が、荷室の屋根である場合について説明したが、トラック2のキャビン4の屋根に遮熱シート1を貼付してもよい。
また、トラック2の屋根3の幅、長さ等が上記説明に限定されないことは言うまでもない。
【0026】
また、トラックやバスの種類は問わない。バスは、例えば、一般の大型バスであってもよく、マイクロバスであってもよい。また、トラックは、荷室の屋根に遮熱シート1を貼付する場合には、荷室を有するバン型車、ウィング車、幌車などであるが、荷室の屋根以外に遮熱シート1を貼付する場合には、荷室を有しないダンプや平ボディーのものであってもよい。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上のように、本発明による遮熱シートは、トラックの屋根等に貼付することが容易であり、トラックやバス等に貼付する遮熱シートとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1による遮熱シートについて説明するための図
【図2】同実施の形態による遮熱シートの構成を示す図
【図3】同実施の形態における遮熱シートを貼付する方法について説明するための図
【図4】同実施の形態による遮熱シートを貼付する位置について説明するための図
【符号の説明】
【0029】
1 遮熱シート
2 トラック
3 屋根
4 キャビン
5 側面
11 補強膜
12 断熱膜
13 反射膜
14 透明膜
15 粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック、バス、トラックに載置可能なコンテナの屋根または側面に貼付される遮熱シートであって、
幅が10から85センチメートルである遮熱シート。
【請求項2】
幅が30から60センチメートルである、請求項1記載の遮熱シート。
【請求項3】
幅が略50センチメートルである、請求項2記載の遮熱シート。
【請求項4】
光を反射する膜である反射膜と、
前記トラック、バス、トラックに載置可能なコンテナの屋根または側面に貼着する粘着層と、を少なくとも備えた請求項1から請求項3のいずれか記載の遮熱シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−8496(P2007−8496A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189167(P2005−189167)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(504240371)菊地シート工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】