説明

遮音ドア

【課題】換気性および遮音性に優れた換気遮音両立ドアを提供する。
【解決手段】換気遮音両立ドア1は、第1外装部材91および第2外装部材92と、第1外装部材91と第2外装部材92との間の空間に位置する第1桟部材5と第1桟部材5に対向する第2桟部材6と、第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持され且つ入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シート4とを有する。中間遮音シート4は、第1桟部材5および第2桟部材6との間に配置され且つ第1桟部材5および第2桟部材6とで直接的または間接的に挟持された挟持遮音部分40と、第1桟部材5および第2桟部材6とで挟持されないように空間2に対面しつつ空間2に露出する露出遮音部分45とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は換気遮音両立ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外枠内に中桟を配設してドア枠体を形成すると共に、外枠と中桟とで囲む開口穴に発泡ビーズ製の吸音材を充填し、更に、枠体の両面に開口穴を閉鎖する遮音シートを配設し、遮音シートの外側に外装板を配設した住宅用ドアが開示されている(特許文献1)。このものによれば、ドアの遮音性が向上している。
【0003】
更に、ホルムアルデヒド等の有害物質による室内におけるシックハウス症候群に対応するため建築基準法(2003年7月)が改正され、ドア閉鎖時においても、所定の有効開口面積を確保して換気性を確保することが要請されている(非特許文献1参照)。しかし、閉鎖されているドアにおいて有効開口面積を確保して換気性を確保することは、その反面、遮音性を低下させることにもなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−303529号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】国土交通省住宅局建築指導課、国土交通省住宅局住宅生産課、国土交通省国土技術政策総合研究所、独立行政法人建築研究所、日本建築行政会議、シックハウス対策マニュアル編集委員会、「改正建築基準法に対応した建築物のシックハウス対策マニュアル−建築基準法・住宅性能表示制度の解説及び設計施工マニュアル−」、第1版、工学図書株式会社、平成15年5月1日、p.211
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、産業界では、換気性を確保しつつ遮音性を高めることができる換気遮音両立ドアの開発が要望されている。本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、換気性および遮音性に優れた換気遮音両立ドアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明者等は換気遮音両立ドア(以下、単にドアともいう)について、鋭意開発を進めている。そして、空間を介して互いに対向する第1外装部材および第2外装部材の間において空間を形成させれば、音がドアの内部を直接伝搬することを抑え、ドアによる遮音性を高め得ることを知見した。しかしながらドアの内部に空間が形成されているため、ドアの剛性としては必ずしも充分ではなくなる。そこで、ドアの厚み方向の断面におい
て、第1外装部材と第2外装部材との間の空間に、芯部材として機能する第1桟部材および第2桟部材を対向させつつ配置させ、遮音性を確保しつつドア剛性を高め得ることとした。
【0008】
しかしながら、この場合には、音がドアの内部を伝搬するとき、空間による遮音性が確保されるものの、芯部材として機能する第1桟部材および第2桟部材を介して音が伝搬され易くなることを知見した。そこで、本発明者は、以下の様相1,2に係る構成を採用すれば、芯部材としての第1桟部材および第2桟部材を介しての音伝搬が抑えられると共に、ドアの内部の空間を介しての音伝搬も抑えられることを知見し、かかる知見に基づいて本発明に係るドアを開発した。
【0009】
(2)すなわち、様相1に係る換気遮音両立ドアは、換気通路を形成する換気遮音両立ドアであって、厚み方向に沿って切断した断面において、空間を介して互いに対向する第1外装部材および第2外装部材と、前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置する第1桟部材と、前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置すると共に前記第1桟部材に対向する第2桟部材と、前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間において設けられ且つ入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シートとを具備しており、
前記中間遮音シートは、前記第1桟部材および前記第2桟部材との間に配置され且つ前記第1桟部材および前記第2桟部材とで直接的または他の部材を介して間接的に挟持された挟持遮音部分と、前記第1桟部材および前記第2桟部材とで挟持されないように前記空間に対面しつつ前記空間に露出する露出遮音部分とを有することを特徴とする。
【0010】
この場合、挟持遮音部分は、第1桟部材および第2桟部材とで直接的に挟持されていても良い。また、挟持遮音部分は、第1桟部材および第2桟部材とで他の部材を介して間接的に挟持されていても良い。他の部材とは、特に限定されず、挟持遮音部分を第1桟部材および第2桟部材で挟持できるものであれば、木材、金属材、樹脂材、遮音材、接着材層等のように何でも良く、第1外装部材と前記第2外装部材との間の空間を仕切る仕切部材でも良く、材質および構造を問わない。
【0011】
ドアが閉鎖されている状態において、入力音がドアに伝搬するとき、第1外装部材と第2外装部材との間には空間が形成されており、空間には空気が存在している。結果として、入力音がドア内部の構造物を直接伝搬することが空間により抑えられる。しかしながらドア内部の空間により遮音性が高められているものの、当該ドアの内部には、剛性が高い芯材として機能する第1桟部材および第2桟部材が対向するように配置されており、ドアが補強されているものの、空気よりも剛性が高い第1桟部材および第2桟部材を介して、入力音がドア内部においてドアの厚み方向に伝搬されてしまうおそれがある。
【0012】
この点について様相1によれば、第1外装部材および第2外装部材との間には、入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シートが設けられており、遮音性が高められている。
【0013】
ここで、中間遮音シートは、第1桟部材および第2桟部材との間に配置され且つ第1桟部材および第2桟部材とで挟持された挟持遮音部分を有する。このため、ドア補強機能を果たす第1桟部材および第2桟部材を介しての入力音の伝搬は、音減衰性を有する挟持遮音部分により抑えられる。
【0014】
更に様相1によれば、中間遮音シートのうち露出遮音部分が、第1桟部材と第2桟部材とで挟持されておらずに、空間に対面しつつ空間に露出している。この場合、ドア内部の空間に露出している露出遮音部分は、これが両側から挟持されている場合に比較して振動自由性、変位自由性が高い。このため、入力音がドアの内部の空間を介して伝搬するとき、露出遮音部分における微振動等により入力音の伝搬エネルギが吸収され易くなり、入力音がドア内部の空間を介して伝搬することが抑えられる。このように様相1に係るドアによれば、ドアの厚み方向における遮音性が向上する。なお、第1桟部材および第2桟部材は、必要に応じて、接着材、螺子止め、嵌め込み等により第1外装部材および第2外装部材に取り付けることができる。
【0015】
更にドアは換気通路を形成するため、換気通路を介して換気が行われる。換気通路としては、ドアの底面と室壁との間に形成されていても良いし、あるいは、ドアの上面と室壁との間に形成されていても良いし、ドアを厚み方向に貫通するようにドア自体に形成されていても良い。ドアで仕切られる室同士の換気性が換気通路により確保される。
【0016】
(3)様相2に係る換気遮音両立ドアは、換気通路を形成する換気遮音両立ドアであって、厚み方向に沿って切断した断面において、空間を介して互いに対向する第1外装部材および第2外装部材と、前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置する第1桟部材と、前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置すると共に前記第1桟部材に対向する第2桟部材と、前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置すると共に、前記第1外装部材に対向する第1対向面と前記第2外装部材に対向する第2対向面とを有する中間仕切部材と、前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間において設けられ且つ入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シートとを具備しており、前記中間遮音シートは、前記第1桟部材および前記第2桟部材との間に配置され且つ前記中間仕切部材を介して前記第1桟部材および前記第2桟部材とで挟持された挟持遮音部分と、前記中間仕切部材を介して前記第1桟部材および前記第2桟部材とで挟持されないように前記空間に対面しつつ前記空間に露出する露出遮音部分とを有することを特徴とする。
【0017】
ドアが閉鎖されている状態において、入力音がドアに伝搬するとき、第1外装部材と第2外装部材との間には空間が形成されており、空間には空気が存在している。結果として、入力音がドア内部の構造物を直接伝搬することが空間により抑えられる。しかしながらドア内部の空間により遮音性を高め得るものの、当該ドアの内部には、剛性が高い芯材として機能する第1桟部材および第2桟部材が対向するように配置されており、第1桟部材および第2桟部材によりドアが補強されているものの、空気よりも剛性が高い第1桟部材および第2桟部材を介して、入力音がドア内部においてドアの厚み方向に伝搬されてしまうおそれがある。
【0018】
この点について様相2によれば、第1外装部材および第2外装部材との間には、中間仕切部材が設けられており、入力音に対して音減衰性が高められている。更に、第1外装部材および第2外装部材との間には、入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シートが設けられているため、音減衰性が一層高められている。
【0019】
中間遮音シートは、中間仕切部材を介して第1桟部材および第2桟部材とで挟持された挟持遮音部分を有する。このため、ドア補強機能を果たす第1桟部材および第2桟部材を介しての入力音の伝搬は、音減衰性を有する挟持遮音部分により抑えられる。
【0020】
更に様相2によれば、中間遮音シートのうち露出遮音部分が、中間仕切部材を介して第1桟部材と第2桟部材とで挟持されておらずに、空間に対面しつつ空間に露出している。この場合、ドア内部の空間に露出している露出遮音部分は、これが両側から挟持されている場合に比較して振動自由性、変位自由性が高い。このため、入力音がドアの内部の空間を介して伝搬するとき、露出遮音部分における微振動等により入力音の伝搬エネルギが吸収され易くなり、入力音がドア内部の空間を介して伝搬することが抑えられる。このように様相2に係るドアによれば、ドアの厚み方向における遮音性が向上する。更にドアは換気通路を形成するため、換気通路を介して換気が行われる。なお、第1桟部材および第2桟部材は、必要に応じて、接着材、螺子止め、嵌め込み等により第1外装部材、第2外装部材または中間仕切部材に取り付けることができる。
【0021】
換気通路としては、ドアの底面と室壁との間に形成されていても良いし、あるいは、ドアの上面と室壁との間に形成されていても良いし、ドアを厚み方向に貫通するようにドア自体に形成されていても良い。ドアで仕切られる室同士の換気性が換気通路により確保される。
【0022】
(3)様相3に係る換気遮音両立ドアによれば、前記様相2において、中間遮音シートの露出遮音部分は、中間仕切部材に非接着状態または弱接触状態であることを特徴とする。露出遮音部分の全面が中間仕切部材に接着されている場合に比較して、露出遮音部分の拘束性は低めであり、拘束性が低い露出遮音部分は高い振動自由性、高い変位自由性を有する。このため音波がドアの内部の空間を伝搬するとき、露出遮音部分が振動したり変位したりするため、伝搬エネルギを吸収させることができ、ドアの遮音性が確保される。
【0023】
非接着状態とは、中間遮音シートの露出遮音部分が中間仕切部材に接着剤で接着されていないことを意味する。強接着状態とは、中間遮音シートの露出遮音部分の全面が中間仕切部材に接着剤で接着されてることを意味する。弱接着状態とは、中間遮音シートの露出遮音部分の全面が中間仕切部材に接着剤等で局部的に接着されてることを意味し、非接着状態と強接着状態との中間の接着力を発揮させることをいう。弱接着状態とは、中間遮音シートのうち中間仕切部材に対面する総面積を100として相対表示するとき、接着部分同士が互いに平均で2ミリメートル以上離れており、且つ、接着剤等で接着されている接着面積が面積比で35未満または45未満であることをいう。
【0024】
(4)様相4に係る換気遮音両立ドアによれば、前記様相において、中間遮音シートは、粉粒体をバインダで結合させたシート、樹脂を基材とする樹脂系シート、紙材を基材とする紙系シート、布材を基材とする布系シート、ゲル物質を内蔵するシート、流動体を内蔵するシートのうちの少なくとも1つで形成されていることを特徴とする。これらの中間遮音シートは、入力音に対して音減衰性を果たす。このため中間遮音シートの挟持遮音部分および露出遮音部分は入力音に対して高い音減衰性を果たすことができる。
【0025】
(5)様相5に係る換気遮音両立ドアによれば、各前記様相において、第1外装部材および第2外装部材のうちの空間に対面する面には内張遮音シートが被覆されていることを特徴とする。この場合、入力音が第1外装部材および第2外装部材のうちの少なくとも一方に伝搬されたとしても、空間に対面するように内張遮音シートが第1外装部材および第2外装部材のうち少なくとも一方の面に被覆されているため、第1外装部材および第2外装部材を介しての入力音の伝搬は抑えられる。内張遮音シートは、第1外装部材または第2外装部材に対して非接着状態または弱接着状態とされていることが好ましい。非接着状態とは、内張遮音シートが第1外装部材または第2外装部材に接着剤により接着されていない状態を意味する。弱接着状態とは、内張遮音シートが第1外装部材または第2外装部材に接着剤により局部的に接着されている状態を意味する。弱接着状態とは、内張遮音シートのうち第1外装部材または第2外装部材に対面する総面積を100として相対表示するとき、接着部分同士が互いに平均で2ミリメートル以上離れており、且つ、接着剤等で接着されている接着面積が面積比で0.1〜35未満であることをいう。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ドアの厚み方向における遮音性が向上する。更にドアは換気通路を形成するため、換気通路を介して換気が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1に係り、ドアの断面図である。
【図2】実施形態2に係り、ドアの断面図である。
【図3】実施形態3に係り、ドアの断面図である。
【図4】実施形態4に係り、ドアの断面図である。
【図5】実施形態8に係り、ドアの断面図である。
【図6】実施形態9に係り、ドアの断面図である。
【図7】遮音シートの一例を示す断面図である。
【図8】遮音シートの他例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態1)
本発明を具体化した実施形態1について図1を参照しつつ説明する。図1は、ドア1の厚み方向に沿って切断した断面を示す。換気遮音両立ドア1は、建築物、車両、船体等の構造物の第1室11と第2室12とを連通させる開口に据え付けられるドアであり、室壁との間に換気通路を形成する。換気通路は、下枠15とドア1の底面との間に形成された下換気通路16と、上枠17とドア1の上面との間に形成された上換気通路18とで形成されている。第1室11はトイレ室、居室等、ダイニング室、音楽室が挙げられる。第2室12としては隣設する室、廊下が挙げられる。
【0029】
ドア1は、第1外装部材91および第2外装部材92と、中間仕切部材3と、入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シート4と、第1桟部材5と、第2桟部材6とを備えている。
【0030】
第1外装部材91および第2外装部材92は、空間2を介して互いに対向する。中間仕切部材3は、第1外装部材91と第2外装部材92との間の空間2に位置すると共に、第1外装部材91の第1内面91iに対向する第1対向面31と、第2外装部材92の第2対向面92iに対向する第2対向面32とを有する。中間遮音シート4は、中間仕切部材3のうち第1室11側の第1対向面31に非接着状態または弱接触状態で被覆されており、入力音に対して音減衰性を有する。
【0031】
第1桟部材5は、中間遮音シート4が被覆された中間仕切部材3の第1対向面31と第1外装部材91との間に架設されている。第2桟部材6は、中間仕切部材3の第2対向面32と第2外装部材92との間に架設されている。第1桟部材5および第2桟部材6は、互いに対向している。
【0032】
図1に示すように、第1外装部材91は高さ方向に沿って延設されており、第1室11に対面する第1外面91pと、第1室11に背向する第1内面91iとを有する。第2外装部材92は高さ方向に沿って延設されており、第2室12に対面する第2外面92pと、第2室12に背向する第2内面92iとを有する。第1外装部材91および第2外装部材92の材質としては、木材系が好ましいが、硬質樹脂等の樹脂系、アルミニウム合金等の金属系でも良い。
【0033】
図1に示すように、中間仕切部材3は、ドア1の内部において、空間2を第1空間21と第2空間22とに仕切る。第1空間21は、第1外装部材91の第1内面91iと中間仕切部材3の第1対向面31との間に形成されている。第2空間22は、第2外装部材92の第2内面92iと中間仕切部材3の第2対向面32との間に形成されている。ドア1の厚み方向において、第1空間21の空間厚みをt1とし、第2空間22の空間厚みをt2とするとき、t1/t2=0.7〜1.3の範囲内、0.8〜1.2の範囲内、0.9〜1.1の範囲内が好ましい。ドア1の強度上の均衡性を高め、ドア1の反りを抑制するためである。但し上記した範囲に限定されるものではない。ここで、中間仕切部材3の材質は木材系が好ましいが、硬質樹脂等の樹脂系でも良く、高剛性化を考慮してアルミニウム合金等の金属系でも良い。
【0034】
なお、第1外装部材91の第1外面91pに対して垂直方向から投影するときに、第1外装部材91の投影面積をS1とし、第2外装部材92の投影面積をS2とし、中間仕切部材3の投影面積をS3とするとき、S1=S2、S1≒S2、S3/S1=0.6〜1.0の範囲、0.7〜1.0の範囲とすることができる。
【0035】
中間遮音シート4は、中間仕切部材3の第1対向面31の全体またはほぼ全体に対面するように第1対向面31に非接着状態または弱接触状態で被覆されている。中間遮音シート4は、粉粒体をバインダで結合させたシート、樹脂を基材とする樹脂系シート、紙材を基材とする紙系シート、布材を基材とする布系シート、ゲル物質を内蔵するシート、流動体としての気体を内蔵するシートのうちのいずれか1つで形成されている。これらの中間遮音シート4は、入力音に対して高い音減衰性を果たすことができる。
【0036】
第1桟部材5は、第1外装部材91の第1内面91iと第2外装部材92の第2の内面92iとの間において、即ち、中間仕切部材3の第1対向面31と第1外装部材91の第1内面91iとの間において水平方向に沿って架設されている。第2桟部材6は、第1外装部材91の第1内面91iと第2外装部材92の第2内面92iとの間において、即ち、中間仕切部材3の第2対向面32と第2外装部材92の第2内面92iとの間において水平方向に沿って架設されている。第1桟部材5および第2桟部材6は、中間仕切部材3を介して互いに対向しており、ドアを補強する芯部材として機能し、ドア1の剛性を高める。
【0037】
本実施形態によれば、中間遮音シート4は一枚または複数の遮音シートを形成しており、挟持遮音部分40と露出遮音部分45とを連設状態に有する。第1桟部材5のうち中間遮音シート4側の平坦な端面5eには、接着剤が塗布されている。よって、接着剤により第1桟部材5の端面5eと挟持遮音部分40とが接着されている。故に、挟持遮音部分40は、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されており、拘束性が高い。
【0038】
これに対して、露出遮音部分45は、第1桟部材5の端面5eと第2桟部材6の端面6eとで挟持されておらず、第1空間21に対面しつつ、第1空間21に露出する。ここで、第1空間21に対面する露出遮音部分45と中間仕切部材3とは接着剤により接合されていない非接着状態である。よって露出遮音部分45の拘束性は低い。このように拘束性が低い露出遮音部分45は、挟持遮音部分40よりも、高い振動自由性、高い変位自由性を有する。
【0039】
本実施形態によれば、図1に示すように、第1外装部材91と第2外装部材92との間には、第1空間21および第2空間22からなる空間2が形成されている。空間2には空気が存在している。結果として、入力音がドア1に伝搬するとき、入力音がドア1を厚み方向に直接伝搬することが空間2の空気により抑えられる。剛体に比較して空気は、入力音の伝搬性が低いためである。
【0040】
しかしながら当該ドア1の内部には、芯材として機能する第1桟部材5および第2桟部材6が配置されており、ドア1が補強されている。このため、空気よりも剛性が高い芯部材として機能する第1桟部材5および第2桟部材6を介して、入力音がドア1の内部において厚み方向に伝搬されるおそれがある。この点について本実施形態によれば、前述したように、第1桟部材5と中間仕切部材3との間には、入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シート4が配置されている。特に、中間遮音シート4のうち挟持遮音部分40が、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されている。
【0041】
このため、ドア1の芯材として機能する第1桟部材5および第2桟部材6を介しての入力音の伝搬は、挟持遮音部分40により効果的に抑えられる。すなわち、第1室11が音発生室であるとき、第1桟部材5から直接的に第2桟部材6に向かう入力音の伝搬は、音減衰性をもつ挟持遮音部分40により減衰されて効果的に抑えられる。殊に図1に示すように、中間遮音シート4は、中間仕切部材3において、第2室12側の第2対向面32ではなく、音発生室である第1室側の第1対向面31に配置されているため、音伝搬の減衰に貢献できる。
【0042】
なお、第2室12が音発生室であるときであっても、同様に、第2桟部材6から直接的に第1桟部材5に向かう入力音の伝搬は、音減衰性をもつ挟持遮音部分40により減衰されて効果的に抑えられる。
【0043】
更に本実施形態によれば、前述したように、中間遮音シート4のうち露出遮音部分45が、第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されておらず、第1空間21に対面しつつ、第1空間21に露出している。この場合、露出遮音部分45は、ドア1の内部の第1空間21に露出しつつも、中間仕切部材3の第1対向面31に接合されていない。このため露出遮音部分45は、これの厚み方向に両側から拘束されている場合に比較して、拘束性が低いため、高い振動自由性、高い変位自由性を有する。
【0044】
このため、入力音がドア1の内部において空間2を介して伝搬されるとき、空間2を介して伝搬される入力音により露出遮音部分45における微振動の繰り返しが期待できる。これにより音の伝搬エネルギが吸収され、空間2を介しての音の伝搬が抑えられる。このように本実施形態によれば、ドア1が閉鎖されているときであっても、ドア1の厚み方向における遮音性が向上する。
【0045】
更に、図1に示すように、室壁に装備されている下枠15とドア1の下面との間に、下換気通路16を形成する。室壁に装備されている上枠17とドア1の上面との間に、上換気通路18を形成する。このため、ドア1が閉鎖されているときであっても、下換気通路16および上換気通路18を介して、第1室11と第2室12との間における換気が良好に行われる。このように本実施形態によれば、ドア1を厚み方向に貫通する換気通路は形成されていないので、製造コストの低減に貢献できる。
【0046】
また本実施形態によれば、図1に示す断面において、第1桟部材5の延長線上に第2桟部材6が配置されている。このように第1桟部材5の延長線上に第2桟部材6が配置されているため、ドア1の補強性が一層高まり、ドア1の剛性を高めることができる。
【0047】
しかしながら、図1に示すように、第1桟部材5の延長線上に第2桟部材6が配置されているだけに、第1桟部材5の内部を伝搬する入力音は、芯材として機能する第1桟部材5から第2桟部材6に直接的に伝搬されるおそれがある。また、第2桟部材6の内部を伝搬する入力音は、第2桟部材6から第1桟部材5に直接的に伝搬されるおそれがある。
【0048】
そこで本実施形態のように、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで、中間遮音シート4のうち挟持遮音部分40が挟持されているため、入力音の伝搬は、音減衰性をもつ挟持遮音部分40により効果的に抑えられる。このためドア1が閉鎖されているときであっても、ドア1の遮音性が向上する。
【0049】
なお、本実施形態によれば、中間遮音シート4が中間仕切部材3のうち第1室11側の第1対向面31に被覆されているため、第1室11が音発生室となる場合に適するが、第1室11および第2室12の双方が音発生室となり得る場合でも良いことは勿論である。
【0050】
(実施形態2)
本発明を具体化した実施形態2について図2を参照しつつ説明する。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。図2はドア1の厚み方向に沿って切断した断面を示す。図2に示すように、中間遮音シート4は、中間仕切部材3の第1対向面31に対面するように第1対向面31に被覆されている第1中間遮音シート4fと、中間仕切部材3の第2対向面32に対面するように第2対向面32に非接着状態または弱接触状態で被覆されている第2中間遮音シート4sとで形成されている。
【0051】
従って、第1中間遮音シート4fおよび第2中間遮音シート4sにより、中間仕切部材3はこれの厚み方向に挟まれている。この場合には、第1室11および第2室12の双方が音発生室となり得る場合に適する。
【0052】
本実施形態によれば、図2に示すように、第1中間遮音シート4fは、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持された第1挟持遮音部分40fと、第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されないように第1空間21に対面しつつ第1空間21に露出する第1露出遮音部分45fとを連設状態に有する。
【0053】
同様に、第2中間遮音シート4sは、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持された第2挟持遮音部分40sと、中間仕切部材33を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されないように第2空間22に対面しつつ第2空間22に露出する第2露出遮音部分45sとを連設状態に有する。
【0054】
第1桟部材5の端面5eに接着剤が塗布されている。よって、接着剤により第1桟部材5の端面5eと第1挟持遮音部分40fとが接着されている。但し、第1空間21に対面する第1露出遮音部分45fと中間仕切部材3および第1桟部材5とは、接着剤により接合されていない。このため第1露出遮音部分45fの拘束性は低い。故に、第1空間21に対面する第1露出遮音部分45fは、高い振動自由性、高い変位自由性を有する。
【0055】
同様に、第2桟部材6の端面6eに接着剤が塗布されている。よって、接着剤により第2桟部材6の端面6eと第2挟持遮音部分40sとが接着されている。但し、第2空間22に対面する第2露出遮音部分45sと中間仕切部材3および第2桟部材6とは、接着剤により接合されていない。このため、第2露出遮音部分45sの拘束性は低い。故に、第2露出遮音部分45sは、高い振動自由性、高い変位自由性を有する。
【0056】
本実施形態によれば、当該ドア1の内部には、芯材として機能する第1桟部材5および第2桟部材6が配置されており、ドア1が補強されている。このため、空気よりも剛性が高い第1桟部材5および第2桟部材6を介して、入力音がドア1の厚み方向に伝搬されるおそれがある。この点について本実施形態によれば、入力音に対して音減衰性を有する第1中間遮音シート4fのうち第1挟持遮音部分40fが、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されている。同様に、入力音に対して音減衰性を有する第2中間遮音シート4sのうち第2挟持遮音部分40sが、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されている。このため、芯材として機能する第1桟部材5および第2桟部材6を介しての入力音の伝搬は、良好な音減衰性をもつ第1挟持遮音部分40fおよび第2挟持遮音部分40sにより効果的に抑えられる。
【0057】
すなわち、第1室11が音発生室であるとき、第1桟部材5から直接的に第2桟部材6に向かう入力音の伝搬は、第1挟持遮音部分40fおよび第2挟持遮音部分40sにより減衰されて効果的に抑えられる。同様に、第2室12が音発生室であるとき、第2桟部材6から直接的に第1桟部材5に向かう入力音の伝搬は、音減衰性をもつ第2挟持遮音部分40sおよび第1挟持遮音部分40fにより減衰されて効果的に抑えられる。
【0058】
更に本実施形態によれば、第1中間遮音シート4fのうち第1露出遮音部分45fが、第1桟部材5と第2桟部材6との間に挟持されておらず、第1空間21に対面しつつ、第1空間21に露出している。第2中間遮音シート4sのうち第2露出遮音部分45sが、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されておらず、第2空間22に対面しつつ、第2空間22に露出している。この場合、第1露出遮音部分45fは、ドア1の内部の第1空間21に露出しつつ、中間仕切部材3および第1桟部材5に接合されていない。
【0059】
同様に、第2露出遮音部分45sはドア1内部の第2空間22に露出しつつ中間仕切部材3および第2桟部材6に接合されていない。このため第1露出遮音部分45fおよび第2露出遮音部分45sは、これの厚み方向に両側から拘束されている場合に比較して、拘束性が低いため、高い振動自由性、高い変位自由性を有する。
【0060】
このため、入力音がドア1の内部において空間2を介して伝搬されるとき、第1露出遮音部分45fおよび第2露出遮音部分45sにおいて微振動が発生し易くなり、伝搬エネルギが吸収され易くなり、入力音が空間2を介して伝搬されることが減衰されて抑えられる。このように本実施形態によれば、ドア1の厚み方向における遮音性が向上する。
【0061】
(実施形態3)
本発明を具体化した実施形態3について図3を参照しつつ説明する。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。以下、前記した実施形態と相違する部分を中心として説明する。図3はドア1の厚み方向に沿って切断した断面を示す。本実施形態によれば、第1外装部材91のうちの第1空間21に対面する第1内面91iの全体またはほぼ全体には、第1内張遮音シート7が非接着状態または弱接触状態で被覆されている。同様に、第2外装部材92のうちの第2空間22に対面する第2内面92iの全体またはほぼ全体には、第2内張遮音シート8が非接着状態または弱接触状態で被覆されている。
【0062】
図3に示すように、第1内張遮音シート7は、第1内張挟持遮音部分70と、第1内張露出遮音部分75とを連設状態に有する。第1内張挟持遮音部分70は、第1桟部材5の端面5fと第1外装部材91の第1内面91iで挟持されている。第1内張露出遮音部分75は、第1桟部材5の端面5fと第1外装部材91の第1内面91iとで挟持されないように、第1空間21に対面しつつ、第1空間21に露出する。
【0063】
同様に、図3に示すように、第2内張遮音シート8は、第2内張挟持遮音部分80と、第2内張露出遮音部分85とを連設状態に有する。第2内張挟持遮音部分80は、第2桟部材6の端面6fと第2外装部材92の第2内面92iとの間に挟持されている。第2内張露出遮音部分85は、第2桟部材6の端面6fと第2外装部材92の第2内面92iとで挟持されないように、第2空間22に対面しつつ、第2空間22に露出する。
【0064】
ここで、第1内張露出遮音部分75は第1空間21に対面しているものの、第1外装部材91の第1内面91iに接着されていないので、拘束性が低い。同様に、第2内張露出遮音部分85は第2空間22に対面しているものの、第2外装部材92の第2内面92iに接着されていないので、拘束性が低い。このため第1内張露出遮音部分75および第2内張露出遮音部分85は、これの厚み方向に両側から挟持されている場合に比較して、拘束性が低いため、高い振動自由性、高い変位自由性を有する。
【0065】
このため、入力音が空間2を介して伝搬されるとき、第1内張露出遮音部分75および第2内張露出遮音部分85における微振動の発生等により伝搬エネルギが吸収され易くなり、入力音の空間2を介しての伝搬が減衰されて抑えられる。このように本実施形態によれば、ドア1の厚み方向における遮音性が一層向上する。
【0066】
なお、図3に示すように、下換気通路16が形成されているが、ドア1の上面は上枠17に接近している。但し、必要に応じて、上換気通路を形成しても良い。本実施形態のドア1は、第1室11が音発生室となり得る場合、あるいは、第1室11および第2室12の双方が音発生室となり得る場合に適する。
【0067】
(実施形態4)
本発明を具体化した実施形態4について図4を参照しつつ説明する。本実施形態は実施形態3と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。共通する部位には共通の符号を付する。以下、前記した実施形態3と相違する部分を中心として説明する。図4はドア1の厚み方向に沿って切断した断面を示す。本実施形態によれば、図4に示すように、中間遮音シート4は、中間仕切部材3の第1対向面31に対面するように第1対向面31に非接着状態または弱接触状態で被覆されている第1中間遮音シート4fと、中間仕切部材3の第2対向面32に対面するように非接着状態または弱接触状態で第2対向面32に被覆されている第2中間遮音シート4sとで形成されている。従って、第1中間遮音シート4fおよび第2中間遮音シート4sにより中間仕切部材3はこれの厚み方向に挟まれている。
【0068】
本実施形態によれば、図4に示すように、第1中間遮音シート4fは、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持された第1挟持遮音部分40fと、第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されないように第1空間21に対面しつつ第1空間21に露出する第1露出遮音部分45fとを連設状態に有する。
【0069】
同様に、第2中間遮音シート4sは、中間仕切部材3を介して第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持された第2挟持遮音部分40sと、第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されないように第2空間22に対面しつつ第2空間22に露出する第2露出遮音部分45sとを連設状態に有する。なお、図4に示すように、上換気通路18が形成されているが、ドア1の底面は下枠15に接近している。但し、必要に応じて下換気通路を形成しても良い。本実施形態のドア1は、第1室11および第2室12の双方が音発生室となり得る場合に適する。
【0070】
(実施形態5)
本発明を具体化した実施形態5について説明する。本実施形態は図2に示す実施形態2と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図2を準用する。図2において、第1中間遮音シート4fは、中間仕切部材3のうち音発生室である第1室11側に対向する位置に配置されており、音伝搬に対して音減衰性が強い遮音シートで形成されている。このような遮音シートとしては、鋳鉄粉粒体等の粉粒体をバインダで結合させた遮音シートが挙げられる。
【0071】
これにより第2中間遮音シート4sは、中間仕切部材3のうち音発生室である第1室11と反対側に位置するように配置されており、音減衰性が弱いがコスト的に有利な遮音シートで形成されている。コスト的に有利な遮音シートとしては樹脂シート、紙シート等が挙げられる。
【0072】
(実施形態6)
本発明を具体化した実施形態6について説明する。本実施形態は図3に示す実施形態3と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図3を準用する。図3において、第1内張遮音シート7は、中間仕切部材3のうち音発生室である第1室11側に対向する位置に配置されており、音伝搬に対して音減衰性が強い遮音シートで形成されている。このような遮音シートとしては、鋳鉄粉粒体等の粉粒体をバインダで結合させた遮音シートが挙げられる。これに対して、第2内張遮音シート8は、中間仕切部材3のうち音発生室である第1室11と反対側に位置するように配置されており、音伝搬に対して音減衰性が相対的に弱いが、コスト的に有利な遮音シートで形成されている。
【0073】
(実施形態7)
本発明を具体化した実施形態7について説明する。本実施形態は図4に示す実施形態4と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有するため、図4を準用する。図4において、第1中間遮音シート4fは、中間仕切部材3のうち音発生室である第1室11側に対向する位置に配置されており、音伝搬に対して音減衰性が強い遮音シートで形成されている。このような遮音シートとしては、鋳鉄粉粒体等の粉粒体をバインダで結合させた遮音シートが挙げられる。第2中間遮音シート4sは、中間仕切部材3のうち音発生室である第1室11と反対側に位置するように配置されており、音伝搬に対して音減衰性が相対的に弱いが、コスト的に有利な遮音シートで形成されている。
【0074】
第1内張遮音シート7は、中間仕切部材3のうち音発生室である第1室11側に対向する位置に配置されており、音伝搬に対して音減衰性が強い遮音シートで形成されている。このような遮音シートとしては、鋳鉄粉粒体等の粉粒体をバインダで結合させた遮音シートが挙げられる。第2内張遮音シート8は、中間仕切部材3のうち音発生室である第1室11と反対側に位置するように配置されており、音伝搬に対して音減衰性が弱いがコスト的に有利な遮音シートで形成されている。コスト的に有利な遮音シートとしては樹脂シート、紙シートが挙げられる。
【0075】
(実施形態8)
図5は、本発明を具体化した実施形態8を示す。本実施形態は中間仕切部材を有しないタイプである。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。ドア1は、空間2を介して互いに対向する第1外装部材91および第2外装部材92と、第1外装部材91と第2外装部材92との間の空間2に位置する第1桟部材5と、第1外装部材91と第2外装部材92との間の空間2に位置すると共に第1桟部材5に対向する第2桟部材6と、第1外装部材91と第2外装部材92との間の空間2において位置する中間遮音シート4とを有する。図5に示すように、中間遮音シート4は、第1桟部材5の端面5eと第2桟部材6の端面6eとで挟持されており、且つ、入力音に対して音減衰性を有する。中間遮音シート4の厚みは、軽量性や振動性等を考慮して、第1外装部材91の厚みおよび第2外装部材92の厚みよりも薄くされている。
【0076】
図5に示すように、中間遮音シート4は、挟持遮音部分40と、露出遮音部分45とを有する。挟持遮音部分40は、第1桟部材5および第2桟部材6との間に配置されており、且つ、第1桟部材5の端面5eおよび第2桟部材6の端面6eとで直接的に挟持されている。ここで、挟持遮音部分40と第1桟部材5の端面5eとの間には接着材が介在していても良いし、介在していなくても良い。同様に、挟持遮音部分40と第2桟部材6の端面6eとの間には接着材が介在していても良いし、介在していなくても良い。これに対して、露出遮音部分45は、第1桟部材5および第2桟部材6で挟持されないように、空間2に対面しつつ空間2に露出しており、自由変形性および自由振動性が高められている。
【0077】
本実施形態においても、前述したように、第1桟部材5と第2桟部材6とは互いに延長線状に配置されており、第1桟部材5と第2桟部材6との間には、入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シート4が配置されている。特に、中間遮音シート4のうち挟持遮音部分40が、第1桟部材5の平坦な端面5eと第2桟部材6の平坦な端面6eとで直接的に挟持されている。端面5eの投影面積は第2桟部材6の端面6eの投影面積とほぼ同一とされている。
【0078】
このため、ドア1の芯材として機能する第1桟部材5および第2桟部材6を介しての入力音の伝搬は、音減衰性をもつ挟持遮音部分40により効果的に抑えられる。すなわち、第1室11が音発生室であるとき、第1桟部材5から直接的に第2桟部材6に向かう入力音の伝搬は、音減衰性をもつ挟持遮音部分40により減衰されて効果的に抑えられる。
【0079】
更に本実施形態によれば、前述したように、中間遮音シート4のうち露出遮音部分45が、第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されておらず、空間2に対面しつつ空間2に露出している。このため露出遮音部分45は、これの厚み方向に両側から拘束されている場合に比較して、拘束性が低いため、高い振動自由性、高い変位自由性を有する。このため、前述したように、入力音がドア1の内部において空間2を介して伝搬されるとき、空間2を介して伝搬される入力音により露出遮音部分45における微振動の繰り返しが期待できる。これにより音の伝搬エネルギが吸収され、空間2を介しての音の伝搬が抑えられる。このように本実施形態によれば、ドア1が閉鎖されているときであっても、ドア1の厚み方向における遮音性が向上する。
【0080】
また本実施形態によれば、図5に示す断面において、第1桟部材5の延長線上に第2桟部材6が配置されている。このように第1桟部材5の延長線上に第2桟部材6が配置されているため、ドア1の補強性が一層高まり、ドア1の剛性を高めることができる。
【0081】
しかしながら、図5に示すように、第1桟部材5の延長線上に第2桟部材6が配置されているだけに、第1桟部材5の内部を伝搬する入力音は、芯材として機能する第1桟部材5から第2桟部材6に直接的に伝搬されるおそれがある。また、第2桟部材6の内部を伝搬する入力音は、第2桟部材6から第1桟部材5に直接的に伝搬されるおそれがある。そこで本実施形態のように、第1桟部材5と第2桟部材6とで、中間遮音シート4のうち挟持遮音部分40が挟持されているため、入力音の伝搬は、音減衰性をもつ挟持遮音部分40により効果的に抑えられる。このためドア1が閉鎖されているときであっても、ドア1の遮音性が向上する。
【0082】
なお図示はしないものの、第1外装部材91のうちの第1空間21に対面する第1内面91iの全体またはほぼ全体に、第1内張遮音シートが非接着状態または弱接触状態で被覆されていても良い。同様に、第2外装部材92のうちの第2空間22に対面する第2内面92iの全体またはほぼ全体に、第2内張遮音シートが非接着状態または弱接触状態で被覆されていても良い。
【0083】
(実施形態9)
図6は、本発明を具体化した実施形態9を示す。本実施形態は中間仕切部材を有しないタイプである。本実施形態は実施形態8と基本的には同様の構成、同様の作用効果を有する。図6に示すように、中間遮音シート4Dは厚みが厚い多孔質のシートで形成されており、高い遮音性をもつ。中間遮音シート4Dの厚みをtcとし、第1外装部材91の厚みをtaとすると、遮音性を考慮すると、tc/ta=0.7〜1.3の範囲、0.8〜1.2の範囲とすることができる。
【0084】
中間遮音シート4Dは、挟持遮音部分40と、露出遮音部分45とを有する。挟持遮音部分40は、第1桟部材5および第2桟部材6との間に配置されており、且つ、第1桟部材5の端面5eおよび第2桟部材6の端面6eで直接的に挟持されている。ここで、挟持遮音部分40と第1桟部材5の端面5eとの間には接着材が介在していても良いし、介在していなくても良い。同様に、挟持遮音部分40と第2桟部材6の端面6eとの間には接着材が介在していても良いし、介在していなくても良い。これに対して、図6に示すように、露出遮音部分45は、第1桟部材5および第2桟部材6とで挟持されないように、空間2に対面しつつ空間に露出する。
【0085】
本実施形態においても、前述したように、第1桟部材5と第2桟部材6との間には、入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シート4Dが配置されている。特に、中間遮音シート4Dのうち挟持遮音部分40が、第1桟部材5の端面5eと第2桟部材6の端面6eとで挟持されている。このため、ドア1の芯材として機能する第1桟部材5および第2桟部材6を介しての入力音の伝搬は、挟持遮音部分40により効果的に抑えられる。すなわち、第1室11が音発生室であるとき、第1桟部材5から直接的に第2桟部材6に向かう入力音の伝搬は、音減衰性をもつ挟持遮音部分40により減衰されて効果的に抑えられる。
【0086】
更に本実施形態においても、図6に示すように、中間遮音シート4Dのうち露出遮音部分45が、第1桟部材5と第2桟部材6とで挟持されておらず、第1空間21および第2空間22に対面しつつ、第1空間21および第2空間22に露出している。このため露出遮音部分45は、これの厚み方向に両側から拘束されている場合に比較して、拘束性が低いため、高い振動自由性、高い変位自由性を有する。このため、前述したように、入力音がドア1の内部において空間2を介して伝搬されるとき、空間2を介して伝搬される入力音により露出遮音部分45における微振動の繰り返しが期待できる。これにより音の伝搬エネルギが吸収され、空間2を介しての音の伝搬が抑えられる。このように本実施形態によれば、ドア1が閉鎖されているときであっても、ドア1の厚み方向における遮音性が向上する。
【0087】
図6に示すように、第1桟部材5の延長線上に第2桟部材6が配置されているだけに、第1桟部材5の内部を伝搬する入力音は、芯材として機能する第1桟部材5から第2桟部材6に直接的に伝搬されるおそれがある。また、第2桟部材6の内部を伝搬する入力音は、第2桟部材6から第1桟部材5に直接的に伝搬されるおそれがある。そこで本実施形態のように、第1桟部材5と第2桟部材6とで、中間遮音シート4Dのうち挟持遮音部分40が挟持されているため、入力音の伝搬は、音減衰性をもつ挟持遮音部分40により効果的に抑えられる。このためドア1が閉鎖されているときであっても、ドア1の遮音性が向上する。
【0088】
なお図示はしないものの、第1外装部材91のうちの第1空間21に対面する第1内面91iの全体またはほぼ全体に、第1内張遮音シートが非接着状態または弱接触状態で被覆されていても良い。同様に、第2外装部材92のうちの第2空間22に対面する第2内面92iの全体またはほぼ全体に、第2内張遮音シートが非接着状態または弱接触状態で被覆されていても良い。
【0089】
(シート)
図7は、粉粒体100をバインダ102で結合させた遮音シートの例を示す。かかるシートは、中間遮音シート4、第1中間遮音シート4f、第2中間遮音シート4s、第1内張遮音シート7、第2内張遮音シート8として適用される。シートにおいて、粉粒体100としては、金属粉粒体、セラミックス粉粒体、砂粉粒体が挙げられる。金属粉粒体の金属としては鋳鉄、炭素鋼、合金鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、銅合金等が挙げられる。鋳鉄としては、例えば、黒鉛を分散させた鋳鉄、黒鉛を分散させてない白鋳鉄等の鋳鉄が挙げられる。黒鉛としては例えば片状黒鉛、球状黒鉛、共晶黒鉛、キッシュ黒鉛が挙げられる。黒鉛は剛性が低く、内部摩擦により音波伝搬エネルギを吸収し、高い振動音減衰性を発揮できる。よって鋳鉄粉粒体は高い振動音減衰性を有する。粉粒体100の平均粒径としては適宜選択されるが、1〜1000μmの範囲内、5〜500μmの範囲内等において適宜選択できる。但しこれに限定されるものではない。
【0090】
バインダ102としては樹脂(熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)でも良いし、アスファルトでも良い。アスファルトは内部摩擦により音波伝搬エネルギを吸収し、高い振動音減衰性を発揮できる。アスファルトの比重は例えば0.5〜0.9の範囲内、0.6〜0.8の範囲内が挙げられる。ここで、鋳鉄粉粒体をバインダで結合させたシートを100%とするとき、鋳鉄粉粒体の配合比としてはドア1の種類、要請される遮音性等に応じて適宜設定されるが、質量比で、5〜30%、7〜20%、10〜20%が挙げられ、バインダ102の配合比としては70〜95%、93〜80%、80〜90%が挙げられる。この場合、シートの比重としてはドア1の種類、要請される遮音性等に応じて適宜設定されるが、例えば1.1〜1.9の範囲内、1.2〜1.7の範囲内、1.3〜1.6の範囲内が挙げられる。シートの厚みとしてはドア1の種類、要請される遮音性等に応じて適宜設定されるが、例えば0.5〜5ミリメートルの範囲内、0.7〜3ミリメートルの範囲内、0.9〜2ミリメートルの範囲内が挙げられる。他の粉粒体を用いたシートにおいても同様な条件に設定できる。
【0091】
図8は、流動体としての空気等の気体が収容されている孔105を内部に有する多孔質の遮音シートの例を示す。孔105は孤立孔でも、連通孔でも良い。孔105を有する遮音シートは音減衰性を発揮する。かかるシートは、中間遮音シート4、第1中間遮音シート4f、第2中間遮音シート4s、第1内張遮音シート7、第2内張遮音シート8として適用される。
【0092】
(試験例)
試験例として、図3に係るドアを用いて遮音試験を実施した。この場合、中間遮音シート4については、鉄粉粒体をオレフィン系樹脂で結合させたシートであり、厚みは1.3mmであった。第1内張遮音シート7についても、鉄粉粒体をオレフィン系樹脂で結合させたシートであり、厚みは1.3mmであった。第2内張遮音シート8についても、鉄粉粒体をオレフィン系樹脂で結合させたシートであり、厚みは1.3mmであった。
【0093】
そして、音発生室である第1室11に音源としてスピーカを設置し、第2室12における音センサにより測音した。この場合、スピーカの音の振動数を125Hz〜4000Hzの範囲内で変更させた。比較例として、ドア閉鎖時においてドアの底面と下枠15との間の空間を閉鎖して遮音性を高めるシャッター装置が装備されているドアを用いた。比較例のドアによれば、シャッター装置が装備されているため、価格が高いが、ドア閉鎖時にシャッター装置が閉鎖されて遮音性が高まるものの、換気性を確保するために、換気通路がドアをこれの厚み方向に屈曲しつつ貫通するように形成されている。試験例のドア、比較例のドアについて換気通路の開口面積は同じとした。試験結果によれば、試験例のドアでは、シャッター装置が装備されていないものの、シャッター装置が装備されている比較例のドアと同程度の遮音性が得られた。殊に、250〜1000Hzの領域では、1〜10dB程度、遮音性が向上していた。なお、他の実施形態のドアにおいても遮音性は優れている。
【0094】
(他の実施形態)
上記した図1に示す実施形態1によれば、第1空間21に対面する中間遮音シート4は、中間仕切部材3に非接着状態または弱接着状態とされているが、場合によっては、接着剤で強接着状態に接合させても良い。この場合であっても、露出遮音部分45は、第1空間21に露出しているので、拘束性が低めであり、挟持遮音部分40よりも高い振動自由性、高い変位自由性を有する。
【0095】
図3に示す実施形態3において、第1空間21に対面する第1内張遮音シート7は、第1外装部材91の第1内面91iに非接着状態または弱接着状態とされているが、接着剤で強接着状態に第1内面91iに接合させても良い。第2空間22に対面する第2内張遮音シート8は第2外装部材92の第2内面92iに非接着状態または弱接着状態とされているが、それらの全面を接着剤で強接着状態に第2内面92iに接合させても良い。
【0096】
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。ある実施形態に特有の構造および機能は他の実施形態についても適用できる。
【符号の説明】
【0097】
図中、1はドア、11は第1室、12は第2室、15は下枠、16は下換気通路、17は上枠、18は上換気通路、2は空間、21は第1空間、22は第2空間、3は中間仕切部材、31は第1対向面、32は第2対向面、4は中間遮音シート、40は挟持遮音部分、45は露出遮音部分、5は第1桟部材、6は第2桟部材、7は第1内張遮音シート、8は第2内張遮音シート、91は第1外装部材、92は第2外装部材を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気通路を形成する換気遮音両立ドアであって、厚み方向に沿って切断した断面において、
空間を介して互いに対向する第1外装部材および第2外装部材と、
前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置する第1桟部材と、
前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置すると共に前記第1桟部材に対向する第2桟部材と、
前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間において設けられ且つ入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シートとを具備しており、
前記中間遮音シートは、
前記第1桟部材および前記第2桟部材との間に配置され且つ前記第1桟部材および前記第2桟部材とで直接的または他の部材を介して間接的に挟持された挟持遮音部分と、前記第1桟部材および前記第2桟部材とで挟持されないように前記空間に対面しつつ前記空間に露出する露出遮音部分とを有することを特徴とする換気遮音両立ドア。
【請求項2】
換気通路を形成する換気遮音両立ドアであって、厚み方向に沿って切断した断面において、
空間を介して互いに対向する第1外装部材および第2外装部材と、
前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置する第1桟部材と、
前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置すると共に前記第1桟部材に対向する第2桟部材と、
前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間に位置すると共に、前記第1外装部材に対向する第1対向面と前記第2外装部材に対向する第2対向面とを有する中間仕切部材と、
前記第1外装部材と前記第2外装部材との間の前記空間において設けられ且つ入力音に対して音減衰性を有する中間遮音シートとを具備しており、
前記中間遮音シートは、
前記第1桟部材および前記第2桟部材との間に配置され且つ前記中間仕切部材を介して
前記第1桟部材および前記第2桟部材とで挟持された挟持遮音部分と、前記中間仕切部材
を介して前記第1桟部材および前記第2桟部材とで挟持されないように前記空間に対面し
つつ前記空間に露出する露出遮音部分とを有することを特徴とする換気遮音両立ドア。
【請求項3】
請求項2において、前記中間遮音シートの前記露出遮音部分は、前記中間仕切部材に非接着状態または弱接触状態であることを特徴とする換気遮音両立ドア。
【請求項4】
請求項1〜3のうちの一項において、前記中間遮音シートは、粉粒体をバインダで結合させたシート、樹脂を基材とする樹脂系シート、紙材を基材とする紙系シート、布材を基材とする布系シート、ゲル物質を内蔵するシート、流動体を内蔵するシートのうちの少なくとも1つで形成されていることを特徴とする換気遮音両立ドア。
【請求項5】
請求項1〜4のうちの一項において、前記第1外装部材および前記第2外装部材のうちの前記空間に対面する面には内張遮音シートが被覆されていることを特徴とする換気遮音両立ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−26263(P2012−26263A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202495(P2011−202495)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【分割の表示】特願2008−269374(P2008−269374)の分割
【原出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(594161600)柏木工株式会社 (6)
【Fターム(参考)】