説明

選別装置

【課題】毛髪(異物)と微粒の混合物から毛髪のみを選別する。
【解決手段】選別装置100は、第1のローラー110と、第2のローラー120と、双方のローラーを回転させる駆動手段130と、を備えている。駆動手段は、第1のローラー及び第2のローラーを相互に反対方向に回転させる。第1のローラー、円筒形状の第一部分111と、第一部分の直径より小さい直径を有する円筒形状の第二部分112と、第一部分と第二部分とを結合する円錐台形状の第三部分113と、からなる。第2のローラーの外形は第1のローラーとの間に間隙114を維持するような第1のローラーの外形に対応する相補的な形状を有している。第1のローラー及び第2のローラーの表面の摩擦係数は、毛髪を摩擦力によりローラーの表面に付着させたまま、ローラーとともに回転させることが可能であるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦力を利用した摩擦式の選別装置に関し、特に、穀粒その他の微粒中に混合している種々の微細な異物を除去する選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食料品や医薬品その他種々の物品の原料となる穀類や植物種子(例えば、ゴマ、栗、玄米、粒胡椒、マスタードなど)には、それらの収穫時においては、一般に、種々の異物が混合する。例えば、小石、土粒、金属片、ガラス片、プラスチック片、茎葉片、毛髪、昆虫、小動物や昆虫の糞などである。
【0003】
従来、これらの異物は、植物種子と異物との物性の相違に基づく選別により除去されてきた。例えば、大きさの相違に基づく粒径選別、比重の相違に基づく比重選別、磁性の有無に基づく磁力選別などである。
【0004】
しかしながら、穀粒や植物種子に混合している異物の大きさが穀粒や植物種子の大きさと大差がなく、さらに、異物の比重が穀粒や植物種子の比重とそれほど変わらず、加えて、異物が磁性を有しないものであるような場合には、上記の粒径選別、比重選別及び磁力選別によっても、異物を除去することは不可能であった。
【0005】
このような問題点を解決するため、本発明者は、そのような異物をも選別可能な選別装置を提案した(特開2002−301437号公報)。
【0006】
図22は同公報に記載された選別装置10を上方から見た場合の平面図、図23は、図22のA方向から見た場合の選別装置10の側面図、図24は、図22のB方向から見た場合の選別装置10の正面図である。
【0007】
選別装置10は異物と穀粒との混合物から穀粒と異物とを選別する。
【0008】
選別装置10は、第1のローラー12と、軸線が第1のローラー12の軸線と平行であり、かつ、同一高さになるように配置された第2のローラー14と、第1のローラー12及び第2のローラー14の下方に配置された第1の収納容器16と、第1の収納容器16に隣接して、第1のローラー12及び第2のローラー14の下方に配置された第2の収納容器18と、第1のローラー12及び第2のローラー14の上方に配置されているホッパー20と、を備えている。
【0009】
第1のローラー12と第2のローラー14とは同一直径を有している。
【0010】
第1のローラー12及び第2のローラー14にはそれぞれ一条の螺旋状の溝12a、14aが形成されている。図22に示すように、第1のローラー12に形成された螺旋状の溝12aは第2のローラー14の外周面に噛み合い、第2のローラー14に形成された螺旋状の溝14aは第1のローラー12の外周面に噛み合っている。
【0011】
また、第1のローラー12の外周面と第2のローラー14に形成された螺旋状の溝溝14aとの間隙22a及び第2のローラー14の外周面と第1のローラー12に形成された螺旋状の溝12aとの間隙22bは、上述の穀粒及び異物の何れの直径よりも小さく設定されており、穀粒及び異物が間隙22a、22bから下方に落下することはない。
【0012】
ホッパー20の落下口20aは間隙22a、22bの上方に位置するように配置されている。
【0013】
第1のローラー12及び第2のローラー14の両端はそれぞれベアリング24で支持されており、各ベアリング24は側壁26に固定されている。
【0014】
第1のローラー12及び第2のローラー14はモーター(図示せず)からの駆動力を受けて相互に反対方向に回転するようになっている。具体的には、第1のローラー12及び第2のローラー14は、それらを上方から見たときに、相互に離れ合う方向に回転する。すなわち、図24に示すように、図22のB方向から見た場合、第1のローラー12は反時計方向Xに、第2のローラー14は時計方向Yに回転する。
【0015】
第1のローラー12に形成された螺旋状の溝12aの表面の摩擦係数は、異物を摩擦力により溝12aの表面に付着させたまま、第1のローラー12とともに回転させるように設定されている。
【0016】
同様に、第2のローラー14に形成された螺旋状の溝14aの表面の摩擦係数は、異物を摩擦力により溝14aの表面に付着させたまま、第2のローラー14とともに回転させるように設定されている。
【0017】
また、溝12a及び溝14aの表面の摩擦係数は、穀粒が第1のローラー12及び第2のローラー14の何れにも付着することなく、溝12aまたは14aに沿って、第1及び第2のローラー12、14の回転に伴って、第1及び第2のローラー12、14の軸線方向Zにフィードされるように設定されている。
【0018】
選別装置10は以下のように作動する。
【0019】
異物と穀粒とが混合している混合物をホッパー20に投入すると、混合物は落下口20aから下方に落下し、間隙22a及び22bの何れかに乗った状態になる。
【0020】
間隙22a上に落下した混合物のうち、異物は、第2のローラー14に形成された螺旋状の溝14aの表面との間の摩擦力により、溝14aの表面に付着したまま、第2のローラー14とともに時計方向Yに回転し、第2のローラー14の外側から第1の収納容器16の内部に落下する。
【0021】
同様に、間隙22b上に落下した混合物のうち、異物は、第1のローラー12に形成された螺旋状の溝12aの表面との間の摩擦力により、溝12aの表面に付着したまま、第1のローラー12とともに反時計方向Xに回転し、第1のローラー12の外側から第1の収納容器16の内部に落下する。
【0022】
一方、間隙22a及び間隙22b上に落下した混合物のうち、穀粒は、第1のローラー12及び第2のローラー14に付着して第1のローラー12及び第2のローラー14とともに回転することはなく、第1及び第2のローラー12、14の回転に伴って、第1のローラー12または第2のローラー14に形成された螺旋状の溝12aまたは14aに沿って、滑りながら、あるいは、転がりながら、第1及び第2のローラー12、14の軸線方向Z(図22参照)に移動する。
【0023】
穀粒は、螺旋状の溝12aまたは14aが途切れた時点において、下方に落下し、第2の収納容器18の内部に収納される。
【0024】
以上のように、選別装置10においては、異物と穀粒とが混合している混合物のうち、異物は、摩擦力により、第1のローラー12または第2のローラー14に付着した状態のまま、第1のローラー12または第2のローラー14とともに回転し、第1のローラー12または第2のローラー14の外側に落下し、第1の収納容器16に収納される。
【0025】
一方、穀粒は、第1のローラー12または第2のローラー14に形成された螺旋状の溝12aまたは14aに沿って、第1のローラー12または第2のローラー14の軸線方向Zにフィードされ、最終的には、第2の収納容器18に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2002−301437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上述のように、選別装置10を用いることにより、穀粒と異物との混合物を穀粒と異物とに選別することが可能である。
【0028】
しかしながら、選別装置10には次のような問題点があった。
【0029】
第一の問題点は、選別装置10では微細な異物に対応することが困難な場合があるという点である。
【0030】
異物が微細なものである場合には、第1のローラー12及び第2のローラー14の直径が大きいと効率的に選別できないことがある。このため、異物が小さいものである場合には、異物の大きさに応じて、第1のローラー12及び第2のローラー14の直径を小さくする必要がある。
【0031】
しかしながら、ローラーやベアリングの製造加工技術には限度があるため、微細な異物に対応する小径のローラーあるいはそのような小径ローラーを支持するベアリング24を作成することは極めて困難であるか、あるいは、ほぼ不可能であることがある。このため、微細な異物を選別することは理論的には可能であっても、現在の製造加工技術では、そのような微細な異物を選別可能な選別装置を作成することは極めて困難であった。
【0032】
第二の問題点は、異物の中には、その種類によっては、選別が極めて難しいものがあるという点である。
【0033】
例えば、食品業界においては、食品の原料に異物が混入することは絶対に回避しなければならないことであるが、経験的に、微粒(例えば、化学調味料などの微粒)に毛髪(特に、短いもの)が混入した場合、毛髪のみを選別して取り出すことはほぼ不可能と言われてきた。
【0034】
選別装置10によっても、毛髪を選別することは可能であるが、所望の効率を達成することはできていない。
【0035】
本発明は、以上のような従来の選別装置10における問題点に鑑みてなされたものであり、微細な異物、特に、これまでに選別が極めて困難と言われてきた異物を選別することを可能にする選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0036】
この目的を達成するため、本発明は、第1の物乃至第N(Nは2以上の正の整数)の物が混合している混合物から前記第1の物を選別する選別装置であって、第1のローラーと、前記第1のローラーの軸線と平行な軸線を有し、前記第1の物乃至前記第Nの物の何れの大きさよりも小さい間隙を前記第1のローラーとの間に形成し、あるいは、前記第1のローラーと外縁において接している第2のローラーと、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを回転させる駆動手段と、フィード手段と、を備え、前記駆動手段は、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを相互に反対方向に、かつ、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを上方から見たときに相互に離れ合う方向に回転させ、前記フィード手段は前記第1の物乃至第Nの物を前記第1のローラー及び前記第2のローラーの軸線方向にフィードするものである選別装置において、前記第1のローラーは、円筒形状の第一部分と、前記第一部分の直径より小さい直径を有する円筒形状の第二部分と、前記第一部分と前記第二部分とを結合する円錐台形状の第三部分と、からなり、前記第2のローラーの外形は前記第1のローラーの外形に対応する相補的形状を有しており、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの少なくとも何れか一方の表面の摩擦係数は、前記第1の物を摩擦力により当該ローラーの表面に付着させたまま、当該ローラーとともに回転させることが可能であるように設定されていることを特徴とする選別装置を提供する。
【0037】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラーは複数個の前記第一部分を有しており、複数個の前記第一部分のうち少なくとも2個の前記第一部分は相互に異なる直径を有していることが好ましい。
【0038】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラーは複数個の前記第二部分を有しており、複数個の前記第二部分のうち少なくとも2個の前記第二部分は相互に異なる直径を有していることが好ましい。
【0039】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラー及び前記第2のローラーはそれらの軸線方向において複数の領域からなり、前記領域の各々において前記第1のローラー及び前記第2のローラーの表面の摩擦係数が異なるものであることが好ましい。
【0040】
本発明は、さらに、第1の物乃至第N(Nは2以上の正の整数)の物が混合している混合物から前記第1の物を選別する選別装置であって、第1のローラーと、前記第1のローラーの軸線と平行な軸線を有し、前記第1の物乃至前記第Nの物の何れの大きさよりも小さい間隙を前記第1のローラーとの間に形成し、あるいは、前記第1のローラーと外縁において接している第2のローラーと、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを回転させる駆動手段と、フィード手段と、を備え、前記駆動手段は、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを相互に反対方向に、かつ、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを上方から見たときに相互に離れ合う方向に回転させ、前記フィード手段は前記第1の物乃至第Nの物を前記第1のローラー及び前記第2のローラーの軸線方向にフィードするものである選別装置において、前記第1のローラーの外形は、その軸線を含む断面がその軸線方向において波形状をなしており、前記第2のローラーの外形は前記第1のローラーの外形に対応する相補的形状を有しており、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの少なくとも何れか一方の表面の摩擦係数は、前記第1の物を摩擦力により当該ローラーの表面に付着させたまま、当該ローラーとともに回転させることが可能であるように設定されていることを特徴とする選別装置を提供する。
【0041】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラーの外形は、その軸線を含む断面がその軸線方向において波形状をなす部分と、その軸線を含む断面がその軸線方向において直線状をなす部分と、を有することが好ましい。
【0042】
本発明に係る選別装置においては、前記波形状をなす部分は複数個の凸状部分と複数個の凹状部分とからなり、前記凸状部分の各々はその最大直径がN1乃至NM(Mは2以上の整数、N1<N2<・・・<NM))の何れかであることが好ましい。
【0043】
本発明に係る選別装置においては、前記波形状をなす部分は複数個の凸状部分と複数個の凹状部分とからなり、前記凹状部分の各々はその最小直径がL1乃至LM(Mは2以上の整数、L1>L2>・・・>LM))の何れかであることが好ましい。
【0044】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの前記波形状をなす部分は複数個の凸状部分と複数個の凹状部分とからなり、前記複数個の凸状部分の各々と前記複数個の凹状部分の各々とは相互に異なる摩擦係数を有するものであることが好ましい。
【0045】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラー及び前記第2のローラーはそれらの軸線が同一高さにあるように配置されていることが好ましい。
【0046】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの何れか一方の軸線は他方の軸線より高い位置に配置されていることが好ましい。
【0047】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラーの中心と前記第2のローラーの中心とを結ぶ線が水平方向となす角度は15度以上60度以下であることが好ましい。
【0048】
本発明に係る選別装置においては、前記フィード手段は、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの表面に形成された少なくとも一つの螺旋状の溝及び凸状体の少なくとも何れか一方からなることが好ましい。
【0049】
本発明に係る選別装置においては、前記フィード手段は前記第1のローラー及び前記第2のローラーの軸線の傾斜角度を調節する角度調節機構からなり、前記角度調節機構は、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの軸線が、前記第1の物以外の物が進行する方向に向かって鉛直面内において下方に傾斜するように、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを傾斜させるものであることが好ましい。
【0050】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの何れか一方のローラーは他方のローラーの中心を中心として前記他方のローラーの回りに回転可能に形成されており、前記何れか一方のローラーの回転方向及び回転量を制御するローラー回転制御装置を備えていることが好ましい。
【0051】
本発明に係る選別装置においては、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの何れか一方のローラーは固定されており、前記駆動手段は他方のローラーのみを回転させるものであることが好ましい。
【0052】
本発明に係る選別装置においては、前記何れか一方のローラーに代えて、前記何れか一方のローラーの外周面と同一の外周面を有する部材を備えることが好ましい。
【0053】
本発明に係る選別装置においては、前記部材は一定の厚さを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0054】
本発明に係る選別装置によれば、次の効果を得ることができる。
【0055】
第一に、微細な異物に対応することが可能である。
【0056】
従来の選別装置10においては、異物が小さいものである場合には、異物の大きさに応じて、第1のローラー12及び第2のローラー14の直径を小さくする必要があったが、加工技術上の問題により、ローラーの小径化には限度があった。
【0057】
これに対して、本発明に係る選別装置によれば、第1のローラーまたは第2のローラーのサイズにかかわりなく、微細な異物をも選別することが可能である。すなわち、異物の大きさに応じてローラーを小径化する必要はなく、任意のサイズのローラーを使用することが可能である。
【0058】
第二に、従来、選別が困難であるとされてきた異物であっても、高い効率で選別することが可能である。
【0059】
上述のように、経験的に、微粒(例えば、化学調味料などの微粒)に毛髪(特に、短いもの)が混入した場合、毛髪のみを選別して取り出すことは極めて困難であるか、あるいは、ほぼ不可能と言われてきた。
【0060】
これに対して、本発明に係る選別装置によれば、微粒中に毛髪が混合している場合であっても、高い確率(ほぼ100%)で毛髪を選別除去することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る選別装置を上方から見た場合の平面図である。
【図2】図1のA方向から見た場合の選別装置の側面図である。
【図3】図1のB方向から見た場合の選別装置の正面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態における第1のローラーの平面図である。
【図5】第1のローラー及び第2のローラーの間に形成されている間隙上に載っている毛髪に作用する力を示す概略図である。
【図6】毛髪が第2のローラーの表面から離れた瞬間における毛髪に作用する力を示す概略図である。
【図7】図7(A)は、二つの円筒状のローラーの間に形成される直線状の間隙を、図7(B)は本発明の第一の実施形態におけるジグザグ形状の間隙をそれぞれ示す概略的な平面図である。
【図8】螺旋状の溝を設けた第1のローラーの平面図である。
【図9】図9(A)及び図9(B)は第1のローラー及び第2のローラーの表面加工の一例を示す平面図である。
【図10】図10(A)は第1のローラーの変形例を、図10(B)は第1のローラーの他の変形例を示す平面図である。
【図11】本発明の第二の実施形態に係る選別装置を上方から見た場合の平面図である。
【図12】図11のA方向から見た場合の選別装置の側面図である。
【図13】図11のB方向から見た場合の選別装置の正面図である。
【図14】本発明の第二の実施形態における第1のローラーの平面図である。
【図15】本発明の第二の実施形態における第1のローラー及び第2のローラーの第一の変形例の平面図である。
【図16】図16(A)は本発明の第二の実施形態における第1のローラーの第二の変形例の平面図であり、図16(B)は本発明の第二の実施形態における第1のローラーの第三の変形例の平面図である。
【図17】本発明の第三の実施形態に係る選別装置の概略的な正面図である。
【図18】本発明の第四の実施形態に係る選別装置の側面図である。
【図19】本発明の第五の実施形態に係る選別装置の概略図である。
【図20】図20(A)は本発明の第六の実施形態に係る選別装置の平面図であり、図20(B)は図20(A)のB−B線における断面図であり、図20(C)は第一の変形例の断面図であり、図20(D)は第二の変形例の断面図である。
【図21】本発明の第七の実施形態に係る選別装置において使用する第1のローラーの平面図である。
【図22】従来の選別装置を上方から見た場合の平面図である。
【図23】図22のA方向から見た場合の選別装置の側面図である。
【図24】図22のB方向から見た場合の選別装置の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る選別装置100を上方から見た場合の平面図、図2は図1のA方向から見た場合の選別装置100の側面図、図3は図1のB方向から見た場合の選別装置100の正面図である。
【0063】
本実施形態に係る選別装置100は、微粒(例えば、化学調味料)と微粒中に混在している毛髪との混合物から毛髪のみを選別し、除去するものである。
【0064】
本実施形態に係る選別装置100は、第1のローラー110と、第2のローラー120と、第1のローラー110及び第2のローラー120を回転させる駆動手段としてのモーター130と、から構成されている。
【0065】
第1のローラー110及び第2のローラー120の下方には、第1のローラー110及び第2のローラー120の全長にわたって、上方が開口している第1の収納容器140(図2参照)が配置されている。
【0066】
さらに、第1のローラー110及び第2のローラー120の端部(図2の右端(下端))の付近及びこの端部を越えた箇所には、上方が開口している第2の収納容器142(図2参照)が配置されている。
【0067】
さらに、第1のローラー110及び第2のローラー120の端部(図2の左端(上端)上方には、ホッパー141(図2参照)が配置されている。
【0068】
図4は第1のローラー110の平面図である。
【0069】
図1及び図4に示すように、第1のローラー110は、円筒形状の第一部分111と、第一部分111の直径より小さい直径を有する円筒形状の第二部分112と、第一部分111と第二部分112とを結合する第三部分113と、から構成されている。
【0070】
第三部分113は、第一部分111の直径に等しい直径を有する円形の頂面(または底面)と、第二部分112の直径に等しい直径を有する円形の底面(または頂面)と、を有する円錐台形状をなしている。
【0071】
第一部分111は何れも同一直径及び同一長さ(第1のローラー110の軸線方向Zにおける長さ)を有している。同様に、第二部分112は何れも同一直径及び同一長さを有しており、第三部分113は何れも同一傾斜角度及び同一長さを有している。
【0072】
図4に示すように、第一部分111、第二部分112及び第三部分113は、第1のローラー110の軸線方向Zにおいて、第一部分111、第三部分113、第二部分112、第三部分113の順に並んでいる。
【0073】
これに対して、第2のローラー120は第1のローラー110との間に一定の間隙114を維持することができるような第1のローラー110の外形に対応する形状を有している。すなわち、図1に示すように、第2のローラー120は、第1のローラー110の各第一部分111に形状的に対応する第二部分と、第1のローラー110の各第二部分112に形状的に対応する第一部分と、第1のローラー110の各第三部分113に形状的に対応する第三部分と、から構成されている。このように、第1のローラー110の外周と第2のローラー120の外周は形状的に相互に相補的な関係にある。
【0074】
第1のローラー110の軸線方向Zにおける第一部分111、第二部分112及び第三部分113の長さには限定はない。第一部分111、第二部分112及び第三部分113は相互に等しい長さを有していてもよく、あるいは、相互に異なる長さを有していてもよい。
【0075】
第1のローラー110の外縁と第2のローラー120の外縁との間の間隙114は一定の大きさに、具体的には、微粒及び毛髪のサイズよりも小さいサイズに設定されている。すなわち、微粒及び毛髪は第1のローラー110と第2のローラー120との間の間隙114から下方に落下することはない。
【0076】
第1のローラー110及び第2のローラー120は、例えば、金属、プラスチック、合成樹脂、ゴムなどの材質からつくることができる。
【0077】
第1のローラー110及び第2のローラー120はそれらの軸線が相互に平行になるように配置されている。
【0078】
さらに、図2に示すように、第1のローラー110及び第2のローラー120は傾斜して配置されている。ホッパー141は高い方の位置にある各ローラーの端部の上方に配置されている。後述するように、第1のローラー110及び第2のローラー120の傾斜配置が、微粒及び毛髪を第1のローラー110及び第2のローラー120の軸線方向Z(具体的には、傾斜の高い方から低い方に向かう方向)にフィードするフィード手段を構成している。
【0079】
モーター130は、第1のローラー110及び第2のローラー120を相互に反対方向に回転させる。具体的には、第1のローラー110及び第2のローラー120は、それらを上方から見たときに、相互に離れ合う方向に回転する。すなわち、図3に示すように、図1のB方向から見た場合、モーター130は、第1のローラー110を時計方向Yに、第2のローラー120を反時計方向Xに回転させる。
【0080】
第1のローラー110及び第2のローラー120の表面の摩擦係数は、異物である毛髪を摩擦力により第1のローラー110または第2のローラー120の表面に付着させたまま、第1のローラー110または第2のローラー120とともに回転させることが可能であるように設定されている。
【0081】
また、第1のローラー110及び第2のローラー120の表面の摩擦係数は、微粒が第1のローラー110及び第2のローラー120の表面に付着することなく、第1のローラー110及び第2のローラー120の回転に伴って、第1のローラー110及び第2のローラー120の軸線方向Zにフィードされるように設定されている。
【0082】
以下、第1のローラー110及び第2のローラー120の表面の摩擦係数の設定方法について説明する。
【0083】
図5は、第1のローラー110及び第2のローラー120の間に形成されている間隙114上に異物としての毛髪150が載っている場合に、毛髪150に作用する力を示す概略図である。
【0084】
毛髪150は第1のローラー110の第二部分112と第2のローラー120の第一部分との間に形成されている間隙114上に載っているものとする。第1のローラー110の中心と毛髪150の中心とを結ぶ線分が水平線となす角度をθ、第2のローラー120の中心と毛髪150の中心とを結ぶ線分が水平線となす角度をθとする。
【0085】
図5に示すように、毛髪150には次の5つの力が作用している。
【0086】
(1)毛髪150それ自体の重力W
(2)第1のローラー110から毛髪150に作用する垂直抗力N1
(3)第1のローラー110と毛髪150との間に作用する摩擦力R1
(4)第2のローラー120から毛髪150に作用する垂直抗力N2
(5)第2のローラー120と毛髪150との間に作用する摩擦力R2
【0087】
図5に示した状態から、図6に示すように、毛髪150が第2のローラー120の表面から離れ、第1のローラー110の表面に付着したまま第1のローラー110とともに回転(時計方向Y)を開始した瞬間の状態を考える。
【0088】
この状態においては、毛髪150が第2のローラー120から離れてしまったため、垂直抗力N2及び摩擦力R2は毛髪150には作用しない。従って、図6に示すように、毛髪150に作用する力は次の3つとなる。
【0089】
(1)毛髪150それ自体の重力W
(2)第1のローラー110から毛髪150に作用する垂直抗力N1
(3)第1のローラー110と毛髪150との間に作用する摩擦力R1
【0090】
摩擦力R1が作用する方向における垂直抗力N1の成分はゼロであるので、摩擦力R1が作用する方向において毛髪150に作用している力は、時計方向Y向きの摩擦力R1と反時計方向X向きのWcosθの2つである。
【0091】
従って、毛髪150が第1のローラー110に付着して第1のローラー110とともに時計方向Yに回転するための条件は次のようになる。
【0092】
R1>Wcosθ (1)
【0093】
ここで、第1のローラー110と毛髪150との間の摩擦係数をM1、第2のローラー120と毛髪150との間の摩擦係数をM2、第1のローラー110と微粒(図5及び図6には図示せず)との間の摩擦係数をL1、第2のローラー120と微粒との間の摩擦係数をL2とすると、摩擦力R1、R2は次のように表される。
【0094】
R1=M1×N1 (2)
R2=M2×N2 (3)
【0095】
また、図5に示した状態の鉛直方向における力のつりあいから次の式が成り立つ。
【0096】
(N1+R2)sinθ+(N2+R1)sinθ=W (4)
【0097】
式(4)を(1)の条件式に代入すると、次式を得る。
【0098】
R1>[(N1+R2)sinθ+(N2+R1)sinθ]cosθ (5)
【0099】
式(5)が、毛髪150が第1のローラー110に付着し、第1のローラー110とともに時計方向Yに回転する条件を表す。
【0100】
なお、毛髪150の大きさに比較して、第1のローラー110及び第2のローラー120の直径は十分に大きいので、θ=θと近似することが可能である。
【0101】
さらに、第1のローラー110及び第2のローラー120が同一の材質であるとすれば、R1=R2、N1=N2となるので、上式(5)は次のような近似式(7)で表すことができる(θ=θ=θ、R1=R2=R、N1=N2=Nとする)。
【0102】
式(2)及び式(3)を式(5)に代入すると、
M×N>[(N+M×N)sinθ+(N+M×N)sinθ]cosθ (6)
【0103】
この式(6)を整理すると、次式(7)を得る。
【0104】
M/[2(1+M)]>sinθ・cosθ (7)
【0105】
同様に、毛髪150が第2のローラー120に付着し、第2のローラー120とともに反時計方向Xに回転する条件は次の通りである。
【0106】
R2>[(N1+R2)sinθ+(N2+R1)sinθ]cosθ (8)
【0107】
式(8)の近似式は、式(5)の場合と同様に、式(7)で表される。
【0108】
一方、微粒は、第1のローラー110及び第2のローラー120の何れにも付着してはならないので、上式(5)を導き出した過程と同様に考えて、以下の式(9)及び式(10)を満たせば、第1のローラー110及び第2のローラー120の何れにも付着することなく、第1のローラー110と第2のローラー120との間の間隙に沿ってフィードされることになる。
【0109】
Ra<[(Na+Rb)sinθ+(Nb+Ra)sinθ]cosθ (9)
Rb<[(Na+Rb)sinθ+(Nb+Ra)sinθ]cosθ(10)
【0110】
式(9)及び式(10)において、Na、Nb、Ra、Rbは以下の力を示す。
【0111】
Na:第1のローラー110から微粒に作用する垂直抗力
Ra:第1のローラー110と微粒との間に作用する摩擦力
Nb:第2のローラー120から微粒に作用する垂直抗力
Rb:第2のローラー120と微粒との間に作用する摩擦力
【0112】
毛髪150の場合と同様に、θ=θ=θ、Ra=Rb=R、Na=Nb=Nと近似すれば、式(9)及び式(10)は次式(11)のように近似することができる。
【0113】
T/[2(1+T)]<sinθ・cosθ (11)
【0114】
式(11)において、Tは第1のローラー110及び第2のローラー120と微粒との間の摩擦係数を示す。
【0115】
以上のように、式(5)、(8)、(9)及び(10)(あるいは、式(7)又は式(11)が成り立つように、各摩擦係数並びに角度を設定することにより、毛髪150は第1のローラー110または第2のローラー120の何れかに付着した状態で第1のローラー110または第2のローラー120とともに回転し、第1のローラー110または第2のローラー120の外側に落下する。一方、微粒は第1のローラー110及び第2のローラー120の何れにも付着することなく、第1のローラー110と第2のローラー120との間の間隙114に沿って、第1のローラー110及び第2のローラー120の回転に伴って、第1のローラー110及び第2のローラー120の軸線方向Zにフィードされる。
【0116】
上述のような構造を有する本実施形態に係る選別装置100は以下のように動作する。
【0117】
先ず、毛髪150と微粒とが混合している混合物をホッパー141に投入する。ホッパー141に投入された混合物は落下口141aから下方に落下する。
【0118】
落下口141aは、第1のローラー110と第2のローラー120との間に形成されている間隙114に向けられており、落下口141aから落下した混合物は間隙114に乗った状態になる。
【0119】
第1のローラー110と毛髪150との間の摩擦係数をM1、第2のローラー120と毛髪150との間の摩擦係数をM2、第1のローラー110と微粒との間の摩擦係数をL1、第2のローラー120と微粒との間の摩擦係数をL2は上式(5)、(8)、(9)及び(10)が成り立つように設定されている。
【0120】
このため、間隙114上に落下した混合物のうち、毛髪150は、第1のローラー110の表面との間の摩擦力により、第1のローラー110の表面に付着したまま、第1のローラー110とともに時計方向Yに回転し、第1のローラー110の外側から第1の収納容器140の内部に落下する。
【0121】
あるいは、毛髪150は、第2のローラー120の表面との間の摩擦力により、第2のローラー120の表面に付着したまま、第2のローラー120とともに反時計方向Xに回転し、第2のローラー120の外側から第1の収納容器140の内部に落下する。
【0122】
間隙114は第1のローラー110または第2のローラー120の外縁に沿ったジグザグ形状をなしているため、間隙114上を微粒とともにフィードされる毛髪150は、間隙114が直線状である場合と比較して、第1のローラー110または第2のローラー120に接触する確率が大きい。
【0123】
図7(A)は、二つの円筒状のローラーの間に形成される直線状の間隙114、図7(B)は本実施形態におけるジグザグ形状の間隙114を示す。
【0124】
毛髪150が微粒と混合して図7(A)に示す直線状の間隙114に沿ってフィードされる場合、毛髪150が微粒の中に埋もれた状態になっていると、毛髪150が第1のローラー110または第2のローラー120の表面と接触する確率は低くなる。
【0125】
これに対して、毛髪150が微粒と混合して図7(B)に示すジグザグ形状の間隙114に沿ってフィードされる場合、フィード方向が左右に交互に変わるため、毛髪150が第1のローラー110または第2のローラー120の表面と接触する確率は、直線状の間隙114の場合と比較して、格段に大きくなる。
【0126】
例えば、毛髪150が矢印115Aの方向にフィードされている場合、毛髪150は進行方向が変化する地点115Bにおいて第2のローラー120と接触する。また、毛髪150が矢印115Cの方向にフィードされている場合、毛髪150は進行方向が変化する地点115Dにおいて第1のローラー110と接触する。このように、毛髪150が、ジグザグ形状の間隙114に沿ってフィードされる場合、進行方向が変化する箇所において、第1のローラー110または第2のローラー120の表面に接触する確率が格段に大きくなる。
【0127】
毛髪150が第1のローラー110または第2のローラー120の表面に接触すれば、上述のように、摩擦力によって、第1のローラー110または第2のローラー120に付着して第1のローラー110または第2のローラー120とともに回転し、第1の収納容器140の内部に落下する。
【0128】
間隙114上に落下した混合物のうち、微粒は、第1のローラー110及び第2のローラー120に付着して第1のローラー110及び第2のローラー120とともに回転することはなく、第1のローラー110及び第2のローラー120が傾斜して配置されているため(図2参照)、第1のローラー110及び第2のローラー120の回転に伴って、間隙114上を第1のローラー110及び第2のローラー120の軸方向(Z方向)にフィードされる。
【0129】
微粒は、第1のローラー110及び第2のローラー120の端部(図2の右端(下端))を通過した時点において、下方に落下し、第2の収納容器142の内部に収納される。
【0130】
以上のように、本実施形態に係る選別装置100においては、毛髪150と微粒とが混合している混合物のうち、毛髪150は、摩擦力により、第1のローラー110または第2のローラー120に付着した状態のまま、第1のローラー110または第2のローラー120とともに回転し、第1のローラー110または第2のローラー120の外側に落下し、第1の収納容器140に収納される。
【0131】
一方、微粒は、第1のローラー110及び第2のローラー120が傾斜して配置されているため、第1のローラー110と第2のローラー120との間の間隙114に沿って、第1のローラー110及び第2のローラー120の軸線方向Zにフィードされ、最終的には、第2の収納容器142に収納される。
【0132】
このように、本実施形態に係る選別装置100によれば、以下の効果を奏する。
【0133】
第一に、微細な異物にも対応することが可能である。
【0134】
従来の選別装置10においては、異物が小さいものである場合には、異物の大きさに応じて、第1のローラー12及び第2のローラー14の直径を小さくする必要があったが、加工技術上の問題により、ローラーの小径化には限度があった。
【0135】
これに対して、本実施形態に係る選別装置100によれば、第1のローラー110または第2のローラー120の直径にかかわりなく、微細な異物をも選別することが可能である。すなわち、異物の大きさに応じてローラーを小径化する必要はなく、任意の直径のローラーを使用することが可能である。
【0136】
第二に、従来、選別が困難であるとされてきた異物であっても、高い効率で選別することが可能である。
【0137】
上述のように、経験的に、微粒(例えば、化学調味料などの微粒)に毛髪(特に、短いもの)が混入した場合、毛髪のみを選別して取り出すことは極めて困難であるか、あるいは、ほぼ不可能と言われてきた。
【0138】
これに対して、本実施形態に係る選別装置100によれば、微粒中に毛髪が混合している場合であっても、高い確率(ほぼ100%)で毛髪を選別除去することが可能である。
【0139】
本実施形態に係る選別装置100は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0140】
本実施形態に係る選別装置100においては、毛髪150と微粒の二種類の混合物を選別対象としたが、三種類以上のものを含む混合物を対象とすることも可能である。この場合、三種類以上のものの中から一種類のものを選別することも可能であり、あるいは、摩擦係数の設定の仕方によっては、三種類以上のものの中から二種類以上のものを一度に選別することも可能である。
【0141】
また、本実施形態に係る選別装置100においては、第1のローラー110及び第2のローラー120の双方に毛髪150が付着するように第1のローラー110及び第2のローラー120の表面の摩擦係数を設定したが、第1のローラー110及び第2のローラー120の何れか一方にのみ毛髪150が付着するように摩擦係数を設定することも可能である。例えば、第1のローラー110についてのみ式(5)及び式(9)が成り立つように摩擦係数を設定することにより、毛髪150は第1のローラー110に付着して第1のローラー110とともに時計方向Yに回転し、第1の収納容器140に落下する。
【0142】
また、本実施形態に係る選別装置100においては、第1のローラー110及び第2のローラー120を傾斜させることにより(図2参照)、微粒を軸線方向Zにフィードしているが、第1のローラー110及び第2のローラー120を傾斜させることに代えて、フィード手段として、第1のローラー110及び第2のローラー120の何れか一方または双方に螺旋状の溝または凸状体を形成することも可能である。
【0143】
例えば、図8に示すように、第1のローラー110及び第2のローラー120の何れか一方に螺旋状の溝116を設けることにより、微粒は螺旋状の溝116に入り込んだ微粒は、第1のローラー110及び第2のローラー120の回転に伴い、軸線方向Zにフィードされる。
【0144】
螺旋状の溝116または凸状体の数は1には限定されない。2または3個以上の螺旋状の溝116または凸状体を第1のローラー110及び第2のローラー120の表面に形成することが可能である。
【0145】
さらに、溝116または凸状体の何れか一方ではなく、双方を同時に形成することも可能である。
【0146】
本実施形態に係る選別装置100においては、第1のローラー110と第2のローラー120とはそれらの間には間隙114が形成されるように配置されているものとしているが、間隙114を形成することは必ずしも必要ではない。すなわち、間隙はゼロであってもよい。すなわち、第1のローラー110の外縁と第2のローラー120の外縁とが接して配置されていてもよい。このため、間隙114はゼロの間隙も含むものとする。
【0147】
本実施形態に係る選別装置100においては、各摩擦係数が上式(5)及び(7)乃至(11)を満足するものである限りは、第1のローラー110及び第2のローラー120の材質は任意である。
【0148】
例えば、第1のローラー110及び第2のローラー120としては、熱処理を施した鉄製のローラーの表面にメッキを施したもの、あるいは、熱処理を施した鉄製のローラーの表面にゴムまたは樹脂をコーティングしたものを用いることができる。
【0149】
さらに、第1のローラー110及び第2のローラー120の何れか一方または双方の表面の摩擦係数を大きくするため、表面加工を施すことが可能である。
【0150】
図9(A)及び(B)は表面加工の一例を示す平面図である。
【0151】
例えば、図9(A)に示すように、第1のローラー110及び第2のローラー120の一方または双方の表面には微細な凸状物117をマトリクス状に形成することが可能である。あるいは、凸状物117をランダムに形成することも可能である。
【0152】
また、凸状物117に代えて、凹状の窪みを形成することも可能である。
【0153】
また、図9(B)に示すように、第1のローラー110及び第2のローラー120の一方または双方の表面には第1のローラー110及び第2のローラー120の軸線に直交する面内にリング状の溝118を等間隔に、あるいは、不等間隔に形成することができる。
【0154】
また、本実施形態に係る選別装置100においては、図4に示すように、第一部分111は予め定められた長さを有するものとして構成されているが、図10(A)に示すように、第一部分111の長さをゼロとすることも可能である。すなわち、この場合には、第三部分113の最大直径の面(頂面または底面)が第一部分111を兼ねることになる。
【0155】
同様に、図10(B)に示すように、第二部分112の長さをゼロとすることも可能である。すなわち、この場合には、第三部分113の最小直径の面(頂面または底面)が第二部分112を兼ねることになる。
【0156】
(第二の実施形態)
図11は本発明の第二の実施形態に係る選別装置100Aを上方から見た場合の平面図、図12は図11のA方向から見た場合の選別装置100Aの側面図、図13は図11のB方向から見た場合の選別装置100Aの正面図である。
【0157】
本実施形態に係る選別装置100Aは、本発明の第一の実施形態に係る選別装置100と比較して、第1のローラー110に代えて第1のローラー110Aを、第2のローラー120に代えて第2のローラー120Aを使用する。この点を除いて、本実施形態に係る選別装置100Aは本発明の第一の実施形態に係る選別装置100と同一の構造を有している。このため、同一の構成要素には同一の参照符号を使用する。
【0158】
図14は本実施形態における第1のローラー110Aの平面図である。
【0159】
図11及び図14に示すように、第1のローラー110Aの外形は、その軸線を含む断面がその軸線方向Zにおいて波形状をなしている。
【0160】
第一の実施形態においては、第1のローラー110の第一部分111、第二部分112及び第三部分113は何れも直線状の外縁を有していたが、本実施形態における第1のローラー110Aは曲線状の外縁を有するものとして構成されている。
【0161】
具体的には、第1のローラー110Aは3個の凸状部分111Aと2個の凹状部分112Aとから構成されている。2個の凹状部分112Aは3個の凸状部分111Aの間に挟まれて形成されている。3個の凸状部分111Aは同一形状をなしており、2個の凹状部分112Aは同一形状をなしている。
【0162】
各凸状部分111Aは第1のローラー110Aの軸線から外側に向かって凸状に円弧形状をなして形成されている。各凸状部分111Aはその中心(第1のローラー110Aの軸線方向Zにおける中心)111Sにおいて最大直径を有しており、その両端111T、111Uにおいて最小直径を有している。すなわち、各凸状部分111Aはその中心111Sを頂点とし、両端111T、111Uを底点とする円弧形状をなしている。
【0163】
また、各凹状部分112Aは第1のローラー110Aの軸線から外側に向かって凹状に円弧形状をなして形成されている。各凹状部分112Aはその中心(第1のローラー110Aの軸線方向Zにおける中心)112Sにおいて最小直径を有しており、その両端112T、112Uにおいて最大直径を有している。すなわち、各凹状部分112Aはその中心112Sを底点とし、両端112T、112Uを頂点とする円弧形状をなしている。
【0164】
各凸状部分111Aと各凹状部分112Aの接続箇所も曲線状に形成されている。
【0165】
これに対して、第2のローラー120Aは第1のローラー110Aとの間に一定の間隙114Aを維持することができるような第1のローラー110Aの外形に対応する形状を有している。すなわち、図11に示すように、第2のローラー120Aは、第1のローラー110Aの各凸状部分111Aに形状的に対応する凹状部分と、第1のローラー110Aの各凹状部分112Aに形状的に対応する凸状部分と、から構成されている。このように、第1のローラー110Aの外周と第2のローラー120Aの外周は形状的に相互に相補的な関係にある。
【0166】
第1のローラー110Aの軸線方向Zにおける凸状部分111Aの長さと凹状部分112Aの長さには限定はない。凸状部分111Aの方が凹状部分112Aよりも長くてもよく、あるいは、短くてもよい。あるいは、凸状部分111Aの長さは凹状部分112Aの長さと等しくてもよい。
【0167】
本実施形態に係る選別装置100Aによっても、第一の実施形態に係る選別装置100と同様の効果を得ることができる。
【0168】
本実施形態に係る選別装置100Aは上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0169】
図11に示した第1のローラー110A及び第2のローラー120Aの形状は一例である。第1のローラー110A及び第2のローラー120Aの形状は、外縁が波形形状を呈するものであれば、いかなる形状をも含む。
【0170】
図15は第1のローラー110A及び第2のローラー120Aの第一の変形例としての第1のローラー210及び第2のローラー220の平面図である。
【0171】
本変形例における第1のローラー210は、その軸線を含む断面がその軸線方向において波形状をなす部分211と、その軸線を含む断面がその軸線方向において直線状をなす部分212と、から構成されている。
【0172】
波形状をなす部分211は第二の実施形態における凸状部分111Aと同一の形状を有している。
【0173】
直線状をなす部分212は、その外縁が第1のローラー210の軸線と平行であり、円筒形状をなしている。
【0174】
波形状をなす部分211と直線状をなす部分212とは第1のローラー210の軸線方向において交互に形成されている。
【0175】
本実施形態における第1のローラー210及び第2のローラー220を使用することによっても、第二の実施形態に係る選別装置200の場合と同様に、第一の実施形態に係る選別装置100と同一の効果を奏する。
【0176】
さらに、第1のローラー210には凹状部分112Aを形成する必要がないので、第二の実施形態における第1のローラー110Aと比較して、第1のローラー210の製造効率を高めることができる。第2のローラー220Aについても同様である。
【0177】
なお、本変形例においては、第1のローラー210は、凸状部分111Aとしての波形状をなす部分211と、直線状をなす部分212との組み合わせからなるものとして構成されているが、第1のローラー210を以下の組み合わせからなるものとして構成することも可能である。
【0178】
(1)凹状部分112Aとしての波形状をなす部分211と直線状をなす部分212との組み合わせ
(2)凸状部分111Aとしての波形状をなす部分211と、凹状部分112Aとしての波形状をなす部分211と、直線状をなす部分212との組み合わせ
【0179】
第二の実施形態に係る選別装置100Aにおいては、各凸状部分111Aは全て同一形状をなしていたが、各凸状部分111Aを全て同一形状にすることは必ずしも必要ではない。
【0180】
図16(A)は第1のローラー110Aの第二の変形例としての第1のローラー310の平面図である。
【0181】
本変形例において使用する第1のローラー310においては、各凸状部分は全てが同一形状を有するものではなく、各々が相互に異なる形状を有している。各凹状部分112Aは全て同一形状である。
【0182】
具体的には、第一凸状部分311は最大直径N1を有しており、第一凸状部分311に隣接する第二凸状部分312は最大直径N2を有しており、第二凸状部分312に隣接する第三凸状部分313は最大直径N3を有している。
【0183】
最大直径N2は最大直径N1、N3より大きく、最大直径N1は最大直径N3より大きい(N3<N1<N2)。
【0184】
このように、各凸状部分311、312、313の形状(具体的には、最大直径)を相互に異なるものにしても、第二の実施形態に係る選別装置と同一の効果を得ることができる。
【0185】
なお、複数個の凸状部分のうち、例えば、二つの凸状部分の最大直径が等しく、他の凸状部分の最大直径が相互に異なるものとすることもできる。
【0186】
図16(A)に示した第1のローラー310とは逆に、各凸状部分を全て同一形状とし、各凹状部分が相互に異なる形状を有しているものとすることも可能である。
【0187】
図16(B)は第1のローラー110Aの第三の変形例としての第1のローラー310Aの平面図である。
【0188】
図16(B)に示すように、本変形例に係る第1のローラー310Aにおいては、各凹状部分は全てが同一形状を有するものではなく、各々が相互に異なる形状を有している。各凸状部分111は全て同一形状である。
【0189】
具体的には、第一凹状部分314は最小直径L1を有しており、第一凹状部分314に隣接する第二凹状部分315は最小直径L2を有しており、第二凹状部分315に隣接する第三凹状部分316は最小直径L3を有している。
【0190】
最小直径L1は最小直径L2より小さく、最小直径L2は最小直径L3より小さい(L1<L2<L3)。
【0191】
このように、各凹状部分314、315、316の形状(具体的には、最小直径)を相互に異なるものにしても、第二の実施形態に係る選別装置と同一の効果を得ることができる。
【0192】
なお、複数個の凹状部分のうち、例えば、二つの凹状部分の最小直径が等しく、他の凹状部分の最小直径が相互に異なるものとすることもできる。
【0193】
(第三の実施形態)
第一の実施形態に係る選別装置100においては、第1のローラー110及び第2のローラー120の各軸線は同一の高さに設定されているが、第1のローラー110及び第2のローラー120の各軸線を同一の高さに設定することは必ずしも必要ではない。一方の軸線を他方の軸線よりも高い位置に設定することが可能である。
【0194】
図17は本発明の第三の実施形態に係る選別装置400の概略的な正面図である。
【0195】
図17に示すように、本実施形態に係る選別装置400においては、第1のローラー110の軸線は第2のローラー120の軸線よりも高い位置に設定されている。この点を除いて、本実施形態に係る選別装置400は第一の実施形態に係る選別装置100と同一の構造を有している。
【0196】
このように、二つのローラー110、120の各軸線の高さを相互に異なるものに設定しても、第一の実施形態に係る選別装置100と同一の効果を奏することができる。
【0197】
さらに、本実施形態の場合、毛髪150は軸線が低い方のローラーである第2のローラー120に付着することになるので、上述の摩擦係数の設定は第2のローラー120に対してのみ行えばよく、第1のローラー110に対しては行う必要はない。
【0198】
また、第2のローラー120の中心と第1のローラー110の中心とを結ぶ線が水平方向となす角度θは15度以上60度以下の範囲内において設定される。
【0199】
(第四の実施形態)
図18は、本発明の第四の実施形態に係る選別装置500の側面図である。
【0200】
本実施形態に係る選別装置500は、第一の実施形態に係る選別装置100と比較して、角度調節機構510が追加的に設けられている。この点を除いて、本実施形態に係る選別装置500は第一の実施形態に係る選別装置100と同一の構造を有している。
【0201】
角度調節機構510は第1のローラー110及び第2のローラー120を任意の角度に傾斜させる機能を有しており、この角度調節機構510が微粒を軸線方向Zにフィードするフィード手段として機能する。
【0202】
図18に示すように、角度調節機構510は、モーター511と、一端がモーター511の駆動軸に連結されているリンク部材512と、からなる。
【0203】
リンク部材512の他端は、ピボット513を介して、第1のローラー110及び第2のローラー120を支持している側壁板514Aと回動自在に連結されている。
【0204】
また、第1のローラー110及び第2のローラー120を支持している他方の側壁板514Bもピボット515を介して回動自在にリンク部材516の一端に連結されており、リンク部材516の他端はピボット517を介して回動自在に床面に固定されている。
【0205】
第1のローラー110及び第2のローラー120は、角度調節機構510により、側壁板514Bが下方になるように、傾斜した状態に維持されている。モーター511がリンク部材512を時計方向Sに回転させると、第1のローラー110及び第2のローラー120の傾斜角度は大きくなり、逆に、モーター511がリンク部材512を反時計方向Rに回転させると、第1のローラー110及び第2のローラー120の傾斜角度は小さくなる。
【0206】
第一の実施形態に係る選別装置100においては、第1のローラー110及び第2のローラー120の傾斜角度は固定されていたのに対して、本実施形態に係る選別装置500においては、第1のローラー110及び第2のローラー120の傾斜角度を任意の角度に変えることができる。すなわち、第1のローラー110及び第2のローラー120の傾斜角度を調節することにより、穀粒がフィードされる速度を任意に調節することができ、ひいては、毛髪150と微粒との選別速度を任意の値に調節することが可能である。
【0207】
(第五の実施形態)
図19は本発明の第五の実施形態に係る選別装置600の概略図である。
【0208】
本実施形態に係る選別装置600は、第一の実施形態に係る選別装置100と比較して、第1のローラー110に代えて、第1のローラー610を用いるとともに、ローラー回転制御装置630を追加的に備えている。これらの点を除いて、本実施形態に係る選別装置600は第一の実施形態に係る選別装置100と同一の構造を有している。
【0209】
第一の実施形態における第1のローラー110は固定式のローラー(すなわち、一定位置に固定されているローラー)であるのに対して、本実施形態における第1のローラー620は第2のローラー120の中心121を中心として第2のローラー120の回りに回転可能に形成されている。
【0210】
ローラー回転制御装置630は第1のローラー620が第2のローラー120の回りに回転する際の回転方向及び回転量(回転角度)を制御する。すなわち、選別装置600の操作者は、第1のローラー610または第2のローラー120の表面と毛髪150との間の摩擦力の大小その他の要因に応じて、ローラー回転制御装置630を介して、第2のローラー120の中心121と第1のローラー610の中心611とを結ぶ線が水平方向となす角度θを任意の角度に設定することが可能である。
【0211】
なお、第四の実施形態において述べたように、第1のローラー610の回転方向及び回転量は、角度θが15度以上かつ60度以下(15°≦θ≦60°)の範囲内にあるように、設定することが好ましい。
【0212】
(第六の実施形態)
第一の実施形態に係る選別装置100においては、第1のローラー110及び第2のローラー120の双方がモーター130により回転するものとして構成されているが、第1のローラー110及び第2のローラー120の双方を回転させることは必ずしも必要ではない。どちらか一方のみを回転させることも可能である。例えば、第2のローラー120を固定し、第1のローラー110のみを回転させるようにすることも可能である。
【0213】
この場合には、毛髪150は第1のローラー110のみに付着し、第1のローラー110とともに回転し、第1の収納容器140に落下する。
【0214】
また、例えば、第2のローラー120を固定する場合(回転させない場合)には、第2のローラー120自体を設けることも必要ではなく、第2のローラー120に代えて、同等の部材を設ければ足りる。
【0215】
図20(A)は本発明の第六の実施形態に係る選別装置700の平面図であり、図20(B)は図20(A)のB−B線における断面図である。
【0216】
本実施形態に係る選別装置700においては、第2のローラー120に代えて、第2のローラー120の位置にブロック710が配置されている。
【0217】
ブロック710は第2のローラー120の外周面と同一の外周面を有しており、第1のローラー110との間に間隙114(図5参照)が形成される位置において固定されている。
【0218】
本実施形態に係る選別装置700においては、毛髪150は第1のローラー110に付着し、第1のローラー110とともに時計方向Yに回転し、第1の収納容器140に落下する。
【0219】
本実施形態によっても、第一の実施形態に係る選別装置100と同様の効果を奏する。
【0220】
さらに、ブロック710の厚さは第2のローラー120の厚さと同様にすることは必ずしも必要ではなく、第1のローラー110との間に間隙114(図5参照)が形成される限りにおいて、一定の厚さとすることが可能である。
【0221】
また、ブロック710は水平方向に移動可能であるように構成することも可能である。ブロック710を水平移動可能とすることにより、ブロック710と第1のローラー110との間の間隙を任意の値に調整することが可能になる。
【0222】
また、ブロック710が第2のローラー120の外周面と同一の外周面を有していることは必ずしも必要ではなく、例えば、図20(C)に示すように、直方体形状のブロック710Aを使用することも可能である。
【0223】
さらには、図20(D)に示すように、横端面が凹状の円弧形状をなすブロック710Bを使用することも可能である。
【0224】
(第七の実施形態)
図21は本発明の第七の実施形態に係る選別装置において使用する第1のローラー810の平面図である。
【0225】
本実施形態に係る選別装置は、第1のローラー110に代えて第1のローラー810及びこの第1のローラー810に対応する第2のローラー(図示せず)を使用する点を除いて、第一の実施形態に係る選別装置100と同一の構造を有している。
【0226】
本実施形態における第1のローラー810は形状的には第一の実施形態における第1のローラー110と同一である。ただし、第一の実施形態における第1のローラー110とは異なり、第一部分、第二部分及び第三部分の各表面の摩擦係数は相互に異なる値に設定されている。
【0227】
第1のローラー810に対応する第2のローラー(図示せず)も同様である。具体的には、第1のローラー810の第一部分に対応する第2のローラーの第二部分は第1のローラー810の第一部分と同一の摩擦係数を有している。以下、第1のローラー810の第二部分及び第三部分についても同様である。
【0228】
図21に示すように、第1のローラー810が、軸線方向Zにおいて、第三部分811、第一部分812、第三部分813、第二部分814、・・・・、第三部分819、第一部分820、第三部分821を有しているものとした場合、第三部分811から第三部分821までの各部分の表面の摩擦係数は軸線方向Zに沿って順に高くなるように設定されている。
【0229】
すなわち、第三部分811乃至第三部分821の各表面の摩擦係数をそれぞれF1乃至F11とすると、次式の関係が成り立つ。
【0230】
F1<F2<F3<・・・・・<F9<F10<F11
【0231】
本実施形態における第1のローラー810及び第1のローラー810に対応する第2のローラーを使用することにより、毛髪150のみならず、複数種類の異物を同時に選別することが可能になる。
【0232】
すなわち、第1のローラー810または第2のローラーとの間の摩擦力が大きい異物から順に各部分において選別される。具体的には、第1のローラー810または第2のローラーとの間の摩擦力が最も大きい異物は最初の第三部分811において選別される。第1のローラー810または第2のローラーとの間の摩擦力が次に大きい異物は第一部分812において選別される。以下、同様に選別が行われ、第1のローラー810または第2のローラーとの間の摩擦力が最も小さい異物は最後の第三部分821において選別される。
【0233】
以上のように、本実施形態に係る選別装置のように、第1のローラー810及びそれに対応する第2のローラーを使用することにより、それぞれ摩擦係数が異なる複数の異物を一度に選別することが可能になる。
【0234】
なお、第三部分811乃至第三部分821の各表面の摩擦係数を異なるものにするためには、例えば、次のような手段を用いることができる。
【0235】
(1)各部分811乃至821の表面に摩擦係数の異なる塗料を塗布する
(2)各部分811乃至821の表面に摩擦係数の異なる素材をコーティングする
(3)各部分811乃至821の表面に形成する凸状体または凹状体(例えば、図9(A)及び図9(B)に示したもの)の配置密度を変える
(4)各部分811乃至821の材質を変える
なお、本実施形態における各部分811乃至821の摩擦係数の設定の仕方は一例であり、他の設定の仕方を採用することも可能である。
【0236】
例えば、第三部分811と第一部分812とを一つの領域として、この領域に第一の摩擦係数を付与し、第三部分813と第二部分814とを一つの領域として、この領域に第二の摩擦係数を付与する、というような摩擦係数の設定の仕方も可能である。
【符号の説明】
【0237】
100 本発明の第一の実施形態に係る選別装置
110 第1のローラー
111 第一部分
112 第二部分
113 第三部分
114 間隙
120 第2のローラー
130 モーター
140 第1の収納容器
141 ホッパー
142 第2の収納容器
210 本発明の第二の実施形態における第一の変形例に係る第1のローラー
220 本発明の第二の実施形態における第一の変形例に係る第2のローラー
310 本発明の第二の実施形態における第二の変形例に係る第1のローラー
400 本発明の第三の実施形態に係る選別装置
500 本発明の第四の実施形態に係る選別装置
510 角度調節機構
600 本発明の第五の実施形態に係る選別装置
610 本発明の第五の実施形態に係る選別装置に使用される第1のローラー
630 ローラー回転制御装置
700 本発明の第六の実施形態に係る選別装置
710 ブロック
810 本発明の第七の実施形態に係る選別装置に使用される第1のローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の物乃至第N(Nは2以上の正の整数)の物が混合している混合物から前記第1の物を選別する選別装置であって、
第1のローラーと、
前記第1のローラーの軸線と平行な軸線を有し、前記第1の物乃至前記第Nの物の何れの大きさよりも小さい間隙を前記第1のローラーとの間に形成し、あるいは、前記第1のローラーと外縁において接している第2のローラーと、
前記第1のローラー及び前記第2のローラーを回転させる駆動手段と、
フィード手段と、
を備え、
前記駆動手段は、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを相互に反対方向に、かつ、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを上方から見たときに相互に離れ合う方向に回転させ、
前記フィード手段は前記第1の物乃至第Nの物を前記第1のローラー及び前記第2のローラーの軸線方向にフィードするものである選別装置において、
前記第1のローラーは、円筒形状の第一部分と、前記第一部分の直径より小さい直径を有する円筒形状の第二部分と、前記第一部分と前記第二部分とを結合する円錐台形状の第三部分と、からなり、
前記第2のローラーの外形は前記第1のローラーの外形に対応する相補的形状を有しており、
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの少なくとも何れか一方の表面の摩擦係数は、前記第1の物を摩擦力により当該ローラーの表面に付着させたまま、当該ローラーとともに回転させることが可能であるように設定されていることを特徴とする選別装置。
【請求項2】
前記第1のローラーは複数個の前記第一部分を有しており、複数個の前記第一部分のうち少なくとも2個の前記第一部分は相互に異なる直径を有していることを特徴とする請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
前記第1のローラーは複数個の前記第二部分を有しており、複数個の前記第二部分のうち少なくとも2個の前記第二部分は相互に異なる直径を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の選別装置。
【請求項4】
前記第1のローラー及び前記第2のローラーはそれらの軸線方向において複数の領域からなり、前記領域の各々において前記第1のローラー及び前記第2のローラーの表面の摩擦係数が異なるものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の選別装置。
【請求項5】
第1の物乃至第N(Nは2以上の正の整数)の物が混合している混合物から前記第1の物を選別する選別装置であって、
第1のローラーと、
前記第1のローラーの軸線と平行な軸線を有し、前記第1の物乃至前記第Nの物の何れの大きさよりも小さい間隙を前記第1のローラーとの間に形成し、あるいは、前記第1のローラーと外縁において接している第2のローラーと、
前記第1のローラー及び前記第2のローラーを回転させる駆動手段と、
フィード手段と、
を備え、
前記駆動手段は、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを相互に反対方向に、かつ、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを上方から見たときに相互に離れ合う方向に回転させ、
前記フィード手段は前記第1の物乃至第Nの物を前記第1のローラー及び前記第2のローラーの軸線方向にフィードするものである選別装置において、
前記第1のローラーの外形は、その軸線を含む断面がその軸線方向において波形状をなしており、
前記第2のローラーの外形は前記第1のローラーの外形に対応する相補的形状を有しており、
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの少なくとも何れか一方の表面の摩擦係数は、前記第1の物を摩擦力により当該ローラーの表面に付着させたまま、当該ローラーとともに回転させることが可能であるように設定されていることを特徴とする選別装置。
【請求項6】
前記第1のローラーの外形は、その軸線を含む断面がその軸線方向において波形状をなす部分と、その軸線を含む断面がその軸線方向において直線状をなす部分と、を有することを特徴とする請求項5に記載の選別装置。
【請求項7】
前記波形状をなす部分は複数個の凸状部分と複数個の凹状部分とからなり、前記凸状部分の各々はその最大直径がN1乃至NM(Mは2以上の整数、N1<N2<・・・<NM))の何れかであることを特徴とする請求項5または6に記載の選別装置。
【請求項8】
前記波形状をなす部分は複数個の凸状部分と複数個の凹状部分とからなり、前記凹状部分の各々はその最小直径がL1乃至LM(Mは2以上の整数、L1>L2>・・・>LM))の何れかであることを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載の選別装置。
【請求項9】
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの前記波形状をなす部分は複数個の凸状部分と複数個の凹状部分とからなり、前記複数個の凸状部分の各々と前記複数個の凹状部分の各々とは相互に異なる摩擦係数を有するものであることを特徴とする請求項5乃至8の何れか一項に記載の選別装置。
【請求項10】
前記第1のローラー及び前記第2のローラーはそれらの軸線が同一高さにあるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の選別装置。
【請求項11】
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの何れか一方の軸線は他方の軸線より高い位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の選別装置。
【請求項12】
前記第1のローラーの中心と前記第2のローラーの中心とを結ぶ線が水平方向となす角度は15度以上60度以下であることを特徴とする請求項11に記載の選別装置。
【請求項13】
前記フィード手段は、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの表面に形成された少なくとも一つの螺旋状の溝及び凸状体の少なくとも何れか一方からなることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載の選別装置。
【請求項14】
前記フィード手段は前記第1のローラー及び前記第2のローラーの軸線の傾斜角度を調節する角度調節機構からなり、
前記角度調節機構は、前記第1のローラー及び前記第2のローラーの軸線が、前記第1の物以外の物が進行する方向に向かって鉛直面内において下方に傾斜するように、前記第1のローラー及び前記第2のローラーを傾斜させるものであることを特徴とする請求項1乃至13の何れか一項に記載の選別装置。
【請求項15】
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの何れか一方のローラーは他方のローラーの中心を中心として前記他方のローラーの回りに回転可能に形成されており、
前記何れか一方のローラーの回転方向及び回転量を制御するローラー回転制御装置を備えていることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載の選別装置。
【請求項16】
前記第1のローラー及び前記第2のローラーの何れか一方のローラーは固定されており、前記駆動手段は他方のローラーのみを回転させるものであることを特徴とする請求項1乃至15の何れか一項に記載の選別装置。
【請求項17】
前記何れか一方のローラーに代えて、前記何れか一方のローラーの外周面と同一の外周面を有する部材を備えることを特徴とする請求項16に記載の選別装置。
【請求項18】
前記部材は一定の厚さを有していることを特徴とする請求項17に記載の選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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