説明

選択的フィルター処理をともなう分散型心臓活動モニタリング

【課題】信頼性良く心拍数を決定するための新規のシステムを提供する。
【解決手段】選択的T波フィルター処理を含む。分散心臓活動モニタリングシステムは、選択的に作動されるT波フィルター、およびモニタリングステーションと共にモニタリング装置を含み得る。このモニタリング装置は、通信インターフェース、リアルタイムQRS検出器、T波フィルター、およびメッセージに応答してリアルタイムQRS検出器に提供される心臓信号の予備的処理をするためのT波フィルターを作動するセレクターを含み得る。モニタリングステーションは、通信インターフェースを経由して、通信チャネル上で通信によってモニタリング装置と接続し得、そしてメッセージをモニタリング装置に伝達し得、所定の規準に少なくとも一部基づきT波フィルターを作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本出願は、心臓活動をモニタリングすること、例えば、心拍数を決定するために心臓の電気的活動を処理することに関係するシステムおよび技法を記載する。
【背景技術】
【0002】
心臓の電気的活動は、心臓の機能の種々の局面を追跡するためにモニターされ得る。身体の容量導電率が与えられれば、身体表面上または皮膚の下の電極は、この活動に関連する電位の差異を表示し得る。異常な電気的活動は、良性から致死的までの範囲の疾患状態またはその他の生理学的状態の指標であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
心臓モニタリングデバイスは、生物の心臓の電気的活動を感知し得、そして心拍を識別する。しばしば、心拍の識別は、心電図(ECG)に見られ得るように、QRS複合体中のR波を識別することにより実施される。このR波は、このQRS複合体中の最初の正の偏向であり、心室脱分極を表す。このQRS複合体のこの正の偏向の代表的に大きな振幅は、心拍を識別する際に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要約)
一般に、1つの局面では、分散型心臓活動モニタリングシステムは、選択的に作動されたT波フィルター、およびモニタリングステーションを備えた、モニタリング装置を含む。このモニタリング装置は、通信インターフェース、リアルタイムQRS検出器、T波フィルター、およびリアルタイムQRS検出器対してこのT波フィルターを作動し、このリアルタイムQRS検出器に提供される心臓信号の前処理をするメッセージで作動されるセレクターを含み得る。このモニタリングステーションは、通信インターフェースを経由して、通信チャネル上で通信して上記モニタリング装置と接続され得、そしてこのメッセージを上記モニタリング装置に伝達し得、少なくとも一部は所定の規準(例えば、システムオペレーターによって識別されるような、個体の異常T波)を基に、上記T波フィルターを作動する。
【0005】
1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に提示される。その他の特徴および利点は、この説明、図面および請求項から明らかになる。
より特定すれば、本発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
機械で実行可能な方法であって:
感知された心臓信号において心拍を識別する工程;
項目心拍を識別する工程で用いられる、T波フィルターを、項目感知された心臓信号において所定の特徴の発見に少なくとも一部基づいて生成されたモニタリングステーションからのメッセージに応答して作動する工程;および
項目識別された心拍に対応する情報を、分散型心臓活動モニタリングシステムの通信チャネルに出力する工程、を包含する、方法。
(項目2)
項目心拍を識別する工程が、項目感知された心臓信号におけるR波を識別する工程を包含する、項目1に記載の方法。
(項目3)
項目感知された心臓信号の少なくとも一部を項目モニタリングステーションに送る工程をさらに包含し、そしてここで、項目所定の特徴の発見が、項目モニタリングステーションでオペレーターによる項目感知された心臓信号の少なくとも一部における高いT波の識別を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
項目T波フィルターを作動する工程が、項目感知された心臓信号の低周波数における信号振幅を低減するフィルターを作動することを包含する、項目1に記載の方法。
(項目5)
項目フィルターが、約10ヘルツを超える周波数で約0dBまたはより多い周波数応答を有する、項目4に記載の方法。
(項目6)
項目フィルターが、0〜5ヘルツの低周波数範囲で約−10dBまたはより少ない周波数応答を有する、項目5に記載の方法。
(項目7)
項目フィルターが、20〜25ヘルツの高周波数範囲で約+2dBまたはより多い周波数応答を有する、項目6に記載の方法。
(項目8)
項目出力情報が、心拍数データをワイヤレス通信チャネルに出力することを包含する、項目1に記載の方法。
(項目9)
異常T波が信号形態分析に基づいて可能であることを決定する工程;および
項目可能な異常T波をシステムオペレーターに通知する工程、をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目10)
項目T波フィルターを、第2のメッセージに応答して動作を停止する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目11)
分散型心臓活動モニタリングシステムであって:
通信インターフェース、リアルタイムQRS検出器、T波フィルター、およびメッセージに応答して項目リアルタイムQRS検出器に対して項目T波フィルターを作動するセレクターを含むモニタリング装置であって、ここで、作動されたT波フィルターが、項目リアルタイムQRS検出器に提供される心臓信号を予備的に処理するモニタリング装置;および
通信インターフェースを経由して項目モニタリング装置と通信して接続し、そして項目メッセージを項目モニタリング装置に伝達し、所定の規準に少なくとも一部基づき項目T波フィルターを作動するモニタリングステーション、を備える、システム。
(項目12)
項目通信インターフェースが、ワイヤレス通信インターフェースを備える、項目11に記載のシステム。
(項目13)
項目T波フィルターが、低周波数で信号振幅を低減するフィルターを備える、項目11に記載のシステム。
(項目14)
項目フィルターが、0〜5ヘルツの低周波数範囲で約−10dBまたはより少ない周波数応答を有する、項目13に記載のシステム。
(項目15)
項目フィルターが、約10ヘルツを超える周波数で約0dBまたはより多い周波数応答を有する、項目13に記載のシステム。
(項目16)
項目フィルターが、20〜25ヘルツの高周波数範囲で約+2dBまたはより多い周波数応答を有する、項目15に記載のシステム。
(項目17)
項目セレクターが、アナログの、選択的作動回路を備える、項目11に記載のシステム。
(項目18)
項目モニタリング装置が、異常T波が信号形態分析に基づき可能であるか否かを決定する付加的なロジックをさらに備え、そしてシステムオペレーターに可能な異常T波を通知する、項目11に記載のシステム。
(項目19)
項目モニタリングステーションが、異常T波が信号形態分析に基づき可能であるか否かを決定する付加的なロジックをさらに備え、そしてシステムオペレーターに可能な異常T波を通知する、項目11に記載のシステム。
(項目20)
心臓モニタリング装置であって:
通信インターフェース;
リアルタイム心拍検出器;
T波フィルター;および
項目リアルタイム心拍検出器に対して項目T波フィルターをメッセージに応答して作動するセレクターを備え、ここで作動されたT波フィルターが、項目リアルタイム心拍検出器に提供される心臓信号を予備的に処理する、装置。
(項目21)
項目通信インターフェースが、ワイヤレス通信インターフェースを備える、項目20に記載の装置。
(項目22)
項目リアルタイム心拍検出器がアナログ心拍検出器を備え、項目T波フィルターがアナログT波フィルターを備え、そして項目セレクターがアナログの、選択的作動回路を備える、項目20に記載の装置。
(項目23)
項目T波フィルターが、低周波数で信号振幅を低減するフィルターを備える、項目20に記載の装置。
(項目24)
項目フィルターが、0〜5ヘルツの低周波数範囲で約−10dBまたはより少ない周波数応答を有する、項目23に記載の装置。
(項目25)
項目フィルターが、約10ヘルツを超える周波数で約0dBまたはより多い周波数応答を有する、項目24に記載のシステム。
(項目26)
項目フィルターが、20〜25ヘルツの高周波数範囲で約+2dBまたはより多い周波数応答を有する、項目25に記載の装置。
(項目27)
異常T波が信号形態分析に基づき可能であるか否かを決定する付加的なロジックをさらに備え、そしてシステムオペレーターに可能な異常T波を通知する、項目20に記載の装置。
(項目28)
アクティブ心臓モニタリング下で生物と接触するモニタリング装置から、感知された心臓信号の少なくとも一部を受ける工程;
項目受けた心臓信号において異常T波を識別する工程;および
通信チャネル上で項目モニタリング装置にメッセージを送る工程であって、項目メッセージが、項目モニタリング装置がアクティブ心臓モニタリング下で項目生物の心拍を識別することで用いられるT波フィルターを作動することを可能にする工程、を包含する、方法。
(項目29)
さらに:
異常T波が信号形態分析に基づき可能であることを決定する工程;および
システムオペレーターに可能な異常T波を通知する工程をさらに包含し、ここで、システムオペレーターが、項目異常T波を識別する工程を実施する、項目23に記載の方法。
(項目30)
項目メッセージを送る工程が、ワイヤレス通信チャネル上で項目メッセージを送る、項目23に記載の方法。
(項目31)
項目T波フィルターを項目モニタリング装置中に設置する工程をさらに包含し、項目モニタリング装置が予め存在する拍動検出器を備える、項目23に記載の方法。
(項目32)
感知された心臓信号において心拍を識別する手段;
項目感知された心臓信号においてT波を低減するために項目感知された心臓信号をフィルター処理する手段;および
項目感知された心臓信号における所定の特徴の発見に応答してフィルター処理する手段を選択的に作動する手段、を備える、システム。
(項目33)
可能な異常T波をシステムオペレーターに警告する手段をさらに備える、項目32に記載のシステム。
(項目34)
項目フィルター処理する手段が、ほぼ高域フィルター処理する手段を備える、項目32に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、心臓信号が医療目的のためにモニターされる分散型心臓活動モニタリングシステムを示す。
【図2】図2は、生物とともに用いられる例示の心臓モニタリング装置を示す。
【図3】図3は、正常患者の例示のECGを示す。
【図4】図4は、異常T波をもつ患者の例示のECGを示す。
【図5】図5は、T波フィルターを選択的に作動するプロセスを示す。
【図6】図6は、例示のT波フィルターの周波数応答を示す。
【図7】図7は、例示のT波フィルターのインパルス応答を示す。
【図8】図8は、T波フィルターを選択的に作動するための例示の分散型プロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(詳細な説明)
図1は、分散型心臓活動モニタリングシステム100を示し、ここでは、心臓信号が医療目的のためにモニターされる。生物110(潜在的には健常であるが、それにもかかわらず、心臓モニタリングが適切であるとみなされる患者を含む、例えば、ヒト患者)は、この患者の心臓からの心臓信号を得るような形態である心臓モニタリング装置120を有する。この心臓モニタリング装置120は、感知デバイス122および処理デバイス124のような、1つ以上のデバイスから構成され得る。この心臓モニタリング装置120は、モニタリングステーション140(例えば、モニタリングセンター内のコンピューター)と、通信チャネル130を経由して通信し得る。この心臓モニタリング装置120は、心臓信号を生成および処理するため、ならびに通信チャネル130上で心臓信号のすべてまたは一部をリレーするために適切な、感知要素、較正要素、信号処理要素、制御要素、データ記憶要素、および伝達要素の1つ以上を含み得る。通信チャネル130は、通信ネットワークの一部であり得、そして光学的信号および/または電気的信号を運ぶために適切な配線およびワイヤレス媒体を含む、データ伝達のために適切な任意の媒体を含み得る。
【0008】
この心臓モニタリング装置120は、モニタリングステーションに140に、感知された心臓信号(例えば、ECGデータ)、心臓事象情報(例えば、リアルタイム心拍数データ)、およびさらなる生理学的および/またはその他の情報を通信し得る。この心臓モニタリング装置120は、移植可能な心臓除細動器および関連するトランシーバー、またはペースメーカーおよび関連するトランシーバー、または患者が着用する外部モニタリングデバイスのような移植可能な医療用デバイスを含み得る。さらに、この心臓モニタリング装置120は、例えば、San Diego、CAのCardioNet、Incによって市販され、利用可能でかつ提供される、CardioNet Mobile Cardiac Outpatient Telemetry(MCOT)デバイスを用いて履行され得る。
【0009】
上記モニタリングステーション140は、伝達された信号を受けるためのレシーバー要素、ならびに個体110の状態に関する伝達によって運ばれる情報を抽出および記憶するための種々のデータ処理要素および記憶要素を含み得る。このモニタリングステーション140は、上記モニタリング装置120とほぼ同じ位置(例えば、同じ部屋、ビルまたは保健施設)に、または遠隔位置に位置され得る。上記モニタリングステーション140は、表示および処理システムを含み得、そしてシステムオペレーター150(例えば、医師または心臓血管専門家)は、このモニタリングステーション140を用いて、心臓モニタリング装置120から受けた生理学的データを評価し得る。システムオペレーター150は、モニタリングステーション140を、生物110のアクティブな心臓モニタリングの間に、心臓モニタリング装置120の操作設定を遠隔から変更するように用い得る。さらに、この心臓モニタリング装置120は、以下にさらに記載されるような、感知された心臓信号中の所定の特徴の発見に応答してT波フィルターを選択的に作動し得る。例えば、システムオペレーターは、患者が一貫して異常T波を有することを決定し得、そしてモニタリングステーション140がモニタリング装置120にメッセージを送ることを可能にし、T波フィルターを作動する。
【0010】
図2は、生物とともに用いられる例示の心臓モニタリング装置200を示す。この装置200は、センサー210、信号増幅器220、T波フィルター230、セレクター240、拍動検出器250、付加的ロジック260、および通信インターフェース270を含み得る。センサー210は、図3および4に示される信号のような、電圧信号を生じる1つ以上の電位の差異を受ける2つ以上の電極を含み得る。これら電極は、銀/塩化銀電極のような身体表面電極であり得、そして心臓の電気的活動をモニタリングすることを支援するために規定された位置に位置決めされ得る。このセンサー210はまた、信号増幅器220への信号経路を形成する配線またはその他の導体を含み得る。信号増幅器220は、上記電圧信号を受信および増幅し得る。
【0011】
さらに、この信号増幅器220は、付加的な処理ロジックを含み得る。例えば、この付加的な処理ロジックは、フィルター処理およびアナログ−デジタル変換を実施し得;上記T波フィルター230は、上記信号増幅器220に一体化され得る。付加的な処理ロジックはまた、装置200のどこかで履行され得、そしてこの増幅およびその他の付加的な処理は、デジタル化の前後で起こり得る。信号増幅器220は、増幅され、そして処理された信号をT波フィルター230に、およびセレクター240に提供し得る。さらに、図2と組み合わせて論議される付加的な処理ロジックのいくつかはまた、モニタリングステーション140中で履行され得る。
【0012】
装置200の種々の構成要素は、アナログ構成要素またはデジタル構成要素として履行され得る。例えば、セレクター240は、拍動検出器250に提供されるべき(信号増幅器220から、およびT波フィルター230からの)その2つの入力の1つを選択する、アナログの、選択的作動回路であり得る。あるいは、このセレクター240は、T波フィルター230を可能および不能にし得る(例えば、このT波フィルター230は拍動検出器250中に一体化され得、そして必要に応じてオンオフされる)。一般に、このセレクター240は、拍動検出器250に対してT波フィルター230を作動し、メッセージ(例えば、モニタリングステーション140から受けるメッセージ、または装置200内で生成されるメッセージ)に応答して、信号を前処理する。
【0013】
拍動検出器250は、心室収縮間の時間を識別する構成要素である(例えば、アナログ回路またはデジタルロジック)。例えば、この拍動検出器250は、連続的QRS複合体、またはR波を識別するリアルタイムQRS検出器であり得、そして拍動−拍動タイミングをリアルタイムに決定する(すなわち、出力データは、生きた入力データから直接的に生成される)。拍動−拍動タイミングは、連続的R波間の時間を測定することにより決定され得る。拍動検出器250は、心室収縮間の時間に関する情報を付加的なロジック260に提供し得る。この付加的なロジック260は、異常T波が、信号形態分析、心房細動/心房粗動(AF)検出器、AF決定ロジック、および事象発生器を基に潜在的に生じているか否かを決定するためのロジックを含み得る。心拍数情報は、配線またはワイヤレスインターフェースであり得る通信インターフェース270を用いて伝達され得る。さらに、感知された心臓信号またはその一部は、データ取り出しされ、および/または識別された事象/状態に応答する際に周期的に送られ得る。
【0014】
心臓信号の形態は、患者によって顕著に変動し得る。しばしば、患者のECGは、非常に高いT波を有し、これは、このT波をR波として誤った分類を生じ得る。これが起こるとき、上記装置によって報告される心拍数は、実際の心拍数の2倍であり得、そして拍動の形態は、正確に検出されないかも知れない。上記T波フィルター230は、T波の振幅を減少し得、その一方、R波の振幅は保存するか、または僅かに増加する。
【0015】
図3は、正常な患者の例示のECG300を示す。心臓周期は、4つの一般的に認められた波形:P波、QRS複合体、T波、およびU波を有する。QRS複合体310とT波320との相対サイズは、代表的な心臓からの信号を表す。図4は、異常T波をもつ患者の例示のECG400を示す。示されるように、T波420は、正常T波320と比較して高く、そして心臓周期の残りは同じように見える。一般に、異常T波は、T波をR波として誤分類を生じ得る。これらの事例では、上記T波フィルターが選択的に適用され得、心臓モニタリング性能を改善する。T波の振幅における減少は、80%まで(5倍)であり得、そしてそれ故、異常T波をもつ患者におけるQRS検出の正確さにおける顕著な増加を生成し得る。
【0016】
図5は、T波フィルターを選択的に作動するプロセスを示す。心臓拍動は、500において感知された心臓信号で識別される。T波フィルターは、510において感知された心臓信号中の所定の特徴の発見に応答して選択的に作動される。所定の特徴の発見は、感知された心臓信号の少なくとも一部における高いT波のオペレーターの識別を含み得、そしてT波フィルターを作動することは、心臓モニタリングを改善し得る。フィルター作動の後、心拍が、520において作動されたT波フィルターを用いて感知された心臓信号内で識別される。このT波フィルターは、特注(custom)の高域(highpass−like)様フィルターであり得る。このフィルターは、それが、感知された心臓信号の低周波数で信号振幅を低減し、そして感知された心臓信号の高周波数で信号振幅を増加するようであり得る。
【0017】
図6は、例示のT波フィルターの周波数応答600を示す。示されるように、このフィルターの周波数応答は、0〜5ヘルツ(Hz)の低周波数範囲で−10dB以下であり得る。この周波数範囲は、T波出力スペクトルが優勢的に位置する場所である。より高い周波数では、このフィルターは、信号の振幅を保存および/または増加し得(例えば、この信号を、10Hzを超える周波数に対して0dB以上だけ改変する)、これは、R波の振幅を増加し得、そして拍動検出をより信頼性のあるものにする。示されるように、このフィルターの周波数応答は、20〜25Hzの高い周波数範囲で+2dB以上であり得る。図7は、図6に示される例示のT波フィルターのインパルス応答700を示す。
【0018】
図8は、T波フィルターを選択的に作動するための例示の分散型プロセスを示す。心拍は、800において感知された心臓信号中で識別される。この心臓信号は、上記のように、アクティブ心臓モニタリングの下、生物と接触したモニタリング装置からであり得る。可能な異常T波は、信号形態を分析する後処理操作で決定され得、そしてシステムオペレーターは、805で可能な異常T波を通知され得;あるいは、この操作は、以下で述べられるように、モニタリングステーションで行われ得る。これは、それらのモニターで作動されたT波フィルターを有することから利益を受け得る患者を識別することでオペレーターを支援し得る。さらに、オペレーターは、モニターから感知された心臓信号を積極的にチェックし、T波を評価し得る。
【0019】
感知された心臓信号の少なくとも一部は、810でモニタリングステーションに送られ得る。これは、心臓信号を連続的または周期的に送ること、または805における可能な異常T波の識別のような、識別された事象/状態に応答して心臓信号を送ることを含み得る。この感知された心臓信号は、815でモニタリング装置から受容される。可能な異常T波は、信号形態分析器を用いて決定され得、そしてシステムオペレーターは、820で可能な異常T波を通知され得る。
【0020】
異常T波は、システムオペレーターによるように、825において受信された心臓信号中で識別され得、そしてメッセージは、830で通信チャネル上をモニタリング装置まで送られ得る。このメッセージは、モニタリング装置が、アクティブ心臓モニタリング下の生物の心拍を識別することで用いられるT波フィルターを作動することを可能にする。このT波フィルターは、835でこのメッセージに応答して作動される。T波フィルターを用いて識別された心拍に対応する情報(例えば心拍数データ)は、840で通信チャネルに出力され得る。この情報は、845においてモニタリングステーションで受信され得る。
【0021】
さらに、システムオペレーターが、引き続いて、このT波フィルターが患者にとって必要でないと決定されるとき、850でT波フィルターの動作を停止するためのメッセージが送られ得、そしてこのT波フィルターは、855においてこの第2のメッセージに応答して動作を停止され得る。このT波フィルターは、拍動の形態を区別しないかも知れない。従って、未成熟心室収縮(PVC)、またはいくつかの異所性拍動のような遅い心室拍動はまた、このフィルターが適用されるとき、振幅が減少され得る。複数のPVCがモニターされるような場合には、このT波フィルターは、これら拍動の振幅を減少し得、そしてそれ故、休止または非収縮期事象が生成され得、これは、一般に、システムオペレーターに、T波フィルターの動作を停止するよう警告する。しかし、これは、特定の適用では関係がないかも知れない。なぜなら、多くの心臓モニタリング適用は、PVCまたは異所性拍動のモニタリングを必要としないからである。
【0022】
速い心室拍動(1分間に100拍動を超える速度)は、T波フィルターによって変更されずに残り得る。なぜなら、それらの出力スペクトルは、通常、10Hzを超えるからである。記載されるT波フィルターは、予め存在する拍動検出器を含むモニタリング装置中に設置され得る。このT波フィルターは、予め存在する拍動検出器に提供される入力を予備的に処理し得、異常T波をもつ個体に対する拍動検出器の機能を、たとえ予め存在する拍動検出器がT波フィルターに注意することなく設計されたとしても改善する。このT波フィルターは、デフォルトで不能状態であり得、そして異常T波をもつような個体(例えば、心臓信号特徴が一定で高いT波の患者)とともに用いられるモニターについてのみオンにされ得る。
【0023】
本明細書に記載され、そして説明されるシステムおよび技法は、アナログ電子回路、デジタル電子回路、集積回路、コンピューターハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたは、本明細書で開示される構造的手段およびその構造的等価物のような前述の組み合わせで実行され得る。装置は、プログラム可能なプロセッサーによる実行のための機械読み取り可能な記憶デバイス中で明白に具現化されるソフトウェア製品(例えば、コンピュータープログラム製品)で実施され得、そして処理操作は、入力データに対して作動され、そして出力を生成することにより機能を実施するための命令のプログラムを実行するプログラム可能なプロセッサーによって実施され得る。さらに、このシステムは、プログラム可能なシステム上で実施可能な、1つ以上のソフトウェアプログラム中で有利に履行され得る。このプログラム可能なシステムは以下を含み得る:1)データ記憶システムからデータおよび命令を受けるため、そしてそれにデータおよび命令を伝達するために接続された少なくとも1つのプログラム可能なプロセッサー;2)少なくとも1つの入力デバイス;および3)少なくとも1つの出力デバイス。さらに、各ソフトウェアプログラムは、高レベルの手順またはオブジェクト指向のプログラム言語で、または所望であればアセンブリまたはマシン言語で履行され得;そしていずれの場合にも、この言語は、コンパイルされたか、または解釈された言語であり得る。
【0024】
また、適切なプロセッサーは、例えば、汎用目的マイクロプロセッサーおよび専用目的プロセッサーの両方を含み得る。一般に、プロセッサーは、読み取り専用メモリー、ランダムアクセスメモリ、および/または機械読み取り可能な信号(例えば、ネットワーク通信を通じて受容されるデジタル信号)から命令およびデータを受容し得る。一般に、コンピューターは、データファイルを記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイスを含み得る。このようなデバイスは、内部ハードディスクおよびリムーバブルディスク、磁気−光ディスクのような磁気ディスク、および光ディスクを含み得る。ソフトウェアプログラム命令およびデータを明白に具現化するために適切な記憶デバイスは、すべての形態の不揮発性メモリーを含み、例えば、以下を含む:1)EPROM(電気的にプログラム可能な読み出し専用メモリー);EEPROM(電気的に消去可能プログラム可能な読み出し専用メモリー)およびフラッシュメモリーデバイスのような半導体メモリーデバイス;2)内部ハードディスクおよびリムーバブルディスクのような磁気ディスク;3)磁気−光ディスク;および4)CD−ROMディスクのような光ディスク。先行するいずれのものも、ASIC(アプリケーション特異的集積回路)によって補助され、またはそれに取り込まれ得る。
【0025】
(システムオペレーターのような)ユーザーとの相互作用を提供するために、上記システムは、ユーザーに情報を表示するためのモニターまたはLCD(液晶ディスプレイ)スクリーンのような表示デバイス、ならびにキーボードおよびユーザーがこのコンピューターシステムに入力を提供し得るマウスまたはトラックボールのようなポインティングデバイスを有するコンピューターシステム上で実行され得る。このコンピューターシステムは、コンピュタープログラムがユーザーと相互作用し、そして操作設定が上記モニタリングシステム中で変更され得るグラフィックユーザーインターフェースを提供するようにプログラムされ得る。
【0026】
最後に、前述のシステムは、特定の履行に関して記載されているが、その他の実施形態が添付の請求項の範囲内にはある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載のような分散型心臓活動モニタリングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−29676(P2010−29676A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221678(P2009−221678)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【分割の表示】特願2006−547638(P2006−547638)の分割
【原出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(506220472)カーディオネット, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】