説明

遺伝子およびその発現調節領域を含む単離精製された核酸

【課題】ホップのルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子を含む単離精製された核酸を提供する。
【解決手段】ホップは雌雄異性であり、このうち雌性は球果を付け、この球果のルプリン腺毛にはビールに苦味や香りを付与する二次代謝産物が含有されている。また、この二次代謝産物の中には、薬効成分を有するものが含まれる。こうした有用な二次代謝産物の組成を遺伝子工学技術に基づき操作し、より有用な品種を育種するために、本発明はホップのルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子を含む単離精製された核酸を提供する。この核酸を用いることにより、形質転換技術や分子選抜技術等によるホップの新たな育種法を構築することが可能となる。また、本願はこのルプリン腺毛において遺伝子を特異的に発現させる転写調節領域を含む核酸を提供する。この核酸を用いてホップの品種改良を可能にすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホップのルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子およびそのプロモーターを含む核酸に関する。
【背景技術】
【0002】
植物は、テルペノイド、アルカロイド、フェノーリスク、サポニンなどの膨大な種類の低分子有機化合物を生産し蓄積している。当初、これらの化合物は、生物の生命維持に直接関与するものでなく、単に副次的な機能しかないと考えられていたことから、便宜的に「二次代謝産物」と呼ばれていた。
【0003】
近年では、この二次代謝産物が細胞の分化、外的因子から防御として機能することが明らかになりつつあり、また、これら植物の生産する二次代謝産物は、嗜好物、医薬品、染料等の広い分野で利用され、応用されるに至っている。
【0004】
こうした二次代謝産物はその有用性に着目され植物細胞内での生成過程の解明が進められ、現在ではこれら物質が多数の酵素等が関与した複雑なカスケードを経て生合成されていることが示されている。このようにカスケードを経て生合成される物質の場合、多くは植物から直接抽出することにより単離が行われているが、植物から直接抽出する場合、大量生産などの要請に沿わず、また一般にコスト高になるため培養細胞等を用いた試験管内での合成方法等の開発が進められている。
【0005】
一方、ホップはビールの爽快な苦味と香りを与える主要な原料であるが、このホップにおいても球果に含まれるルプリン腺毛内で二次代謝産物が多く分泌され、この二次代謝産物がビールの苦味や香りに大きく寄与していることがわかってきている。
【0006】
こうした経緯から、ホップにおいて、これまでに農業特性に加え、苦味質、精油成分といったルプリン腺毛中に蓄積される二次代謝産物に主眼をおいた様々な品種改良が行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ホップは雌雄異株の植物であり、特に雄株はビールの原料となる球果を付けず、商業上重要視されないことからあまり研究がなされておらず、醸造上有用な遺伝形質についてもほとんど明らかにされていない。そのため、従来の交配によるホップ育種では、経験と勘に頼る部分が多く、特に醸造品質については実際に球果が着生するまで全く予想が付かないというのが現状である。
【0008】
一方、今日では、形質転換技術や分子選抜技術といった遺伝子工学を用いた育種法が各種の植物において可能となりつつある。これらの方法の場合、経験と勘に頼る部分が多い伝統的な育種法に比べ、より客観的な育種が可能である。形質転換技術は外来遺伝子を植物細胞内に導入、発現させて付与したい形質を直接導入させる技術である。外来遺伝子を発現させるには、遺伝子の発現を制御する植物細胞内で機能可能なプロモーターに目的とする構造遺伝子および植物細胞内で機能可能なターミネーターを連結し、これを植物細胞内に導入する。実験レベルでよく使われるプロモーターとしては、比較的多くの植物で組織を問わず導入遺伝子を発現させることのできるCaMV 35Sプロモーターやノパリン合成酵素遺伝子プロモーター(Sanders P.R. et al. Nucleic Acid Res, 15 (1987)1543−1558)等が知られている。また、実用面から考えると導入遺伝子によっては植物の生育等に害を及ぼすこともあるので、目的の組織または目的の時期において目的の量だけ外来遺伝子を発現させるようなプロモーターも必要である。形質転換技術を用いた育種法の従来の伝統的な育種法に対する利点は、比較的確実に目的とする形質を種を問わず短期間のうちに付与することができることにある。またホップの場合、株分けにより増殖させることができるので、付与した形質を固定するといった作業が不必要である。その為、形質転換技術を用いた育種法はホップにおいては特に有効な育種法といえる。
【0009】
分子選抜技術は、RFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)などのような遺伝子マーカーを用いた育種方法であり、特にイネやムギ類などにおいては実用段階に入っている。形質転換技術の場合、単一遺伝子に支配される形質の付与に力を発揮する一方で、複数の遺伝子に支配された形質を付与することは難しいとされているが、分子選抜技術はそのような形質転換技術の欠点を補うことができる。
【0010】
このような遺伝子工学を用いた育種法において必要とされるのが、目的とする形質に関連する遺伝子やその制御を司る遺伝子等を明らかにすることである。特にビール原料、薬効成分資源という見地から考えた場合、雌株の球果に含まれるルプリン腺毛より分泌される二次代謝産物の合成等に関与する遺伝子を明らかにすることができれば、これらの遺伝子を遺伝子工学を用いたホップの育種法に応用することができ、更には、医療分野にも応用が期待できる。
【0011】
そこで、本願発明は、ルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子を明らかにするとともにその応用を可能にするため、ホップのルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子とそのプロモーターなどの調節遺伝子を単離精製し、その提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の通り、本発明の単離精製された核酸は、ホップのルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子、ルプリン腺毛において特異的に機能するプロモーター、またはそれらの一部を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
これらの核酸に基けば、従来の経験と勘に頼らざるをえなかったホップの育種方法を遺伝子工学を用いたより客観的な方法に変更することが可能となる。上述したように、ホップ球果においてビール原料や薬効成分として重要な二次代謝産物がルプリン腺毛中で集中的に分泌されることから、上記ルプリン腺毛で特異的に発現し機能している遺伝子が二次代謝産物の生合成に関与していると考えられる。このように二次代謝産物の生合成に関与し得る遺伝子を遺伝子マーカーとして利用することにより、ホップ育種を行なう上で、医薬や食品等の産業的により優れた分子選抜技術を開発することができる。また、形質転換技術を用いて上記遺伝子をホップに導入することにより、産業的に有用な品種の育種が期待される。すなわち、これらの核酸を用いて遺伝子工学技術により育種を行なうことにより、ルプリン腺毛に蓄積する二次代謝酸物の組成等を制御することができる。さらに、本発明の核酸に基けば、ビールにおける醸造のためにホップの品質維持、向上を図り、また医薬品生産へ応用することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、場合により添付の図面を参照しつつ詳細な説明を参照することにより、発明及び前記発明に付随する多くの効果についての完全な理解が容易になされる。
【0015】
上記において「特異的に発現する」または「特異的に機能する」との語には、一般には、上記遺伝子がルプリン腺毛においてのみ発現または機能する場合のほか、他の器官に比べてルプリン腺毛において、より多く発現または機能している場合も含まれる。すなわち、「特異的」であるか否かは、他の器官に比べた場合のルプリン腺毛における発現量の多さ、機能の強さにより決定することができる。
【0016】
また、この「特異的に発現する」、「特異的に機能する」とは、発育時期等の全てを通して、上記意味において特異的である場合の他、発育時期や他の外的因子などによりルプリン腺毛における発現、機能が他の器官に比べて有意に高い場合も含まれる。
【0017】
上記核酸には、DNAおよびRNAが含まれる。また、前記核酸中にコードされている「遺伝子」の形態としては、ゲノミックDNA、cDNA、mRNAのいずれの形態をも含む。
【0018】
また、その一部をも含めることとしているのは、上記核酸の用途によっては完全な長さは必要ではなく、一部配列のみでも機能を有するためである。例えば、RFLPなどの分子選抜技術による育種法へ応用する場合には、ハイブリダイゼーションやPCRにより分子識別することになる。この際のプローブやPCRプライマー等は、上記ルプリン特異的遺伝子の一部、例えば、数十から数百bpの連続した一部配列で足りる。
【0019】
また本発明は、上記ルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子が、ルプリン腺毛において生成される二次代謝産物の生合成に関与するタンパク質をコードしていることを特徴とする。
【0020】
ここでタンパク質としては、例えば、配列番号1に記載されたアミノ酸配列を有するものが含まれる。また本タンパク質をコードする遺伝子としては、例えば配列番号2に記載された塩基配列を有するものが含まれるが、この配列番号2とは配列が異なるものであっても上記アミノ酸配列が保存される範囲内で核酸配列を異ならせることもできる。また、この塩基配列は上述したプローブやPCRプライマーとして用いる場合にはその機能を保持することができる程度に修飾することもできる。上記アミノ酸配列をコードする全てのアミノ酸は本発明に含まれる。上述した核酸以外の特異的核酸配列は、上述のタンパク質のアミノ酸残基をコードするコドンに対応する遺伝暗号は公知のものを用いて容易に決定される。前記遺伝暗号はL.Stryer, Biochemistry, Third Edition, 1988, W.H.Freeman and Co.,に記載されており、その全文を本明細書に引用文献として援用する。
【0021】
また、本発明の単離精製された核酸には、上記タンパク質としてカルコンシンターゼがコードされた遺伝子が含まれる。このカルコンシンターゼは、植物におけるフェニルアラニン、チロシンの代謝に関与する酵素であり、詳細にはフラボノイド類の生合成において、1モルのクマロイルCoAと3モルのマロニルCoAとから4,2,4,6−テトラヒドロキシカルコン(ナリンゲニンカルコン)への変換を触媒することが明らかになっている。このことから上記核酸を用いることにより、植物におけるフラボノイド類の生合成に関する代謝系の制御や、フラボノイド類に関する形質の遺伝子マーカーとして利用することが可能となる。また近年ホップにおいて、カルコンシンターゼ様の酵素が苦味質であるα酸、β酸の前駆体のフロルイソバレロフェノンやフロルイソブチロフェノンの生合成を触媒するバレロフェノンシンターゼ活性を持つ可能性が示唆されている(European Brewery Convention, Proceedings of the 26th Congress, p215(1997))。このことから、本発明で単離された遺伝子のコードするタンパク質がバレロフェノンシンターゼとして苦味質の生合成に関与していると考えられる。そこで上記核酸を用いることにより、ホップにおける苦味質の生合成に関する代謝系の制御や、苦味質に関する形質の遺伝子マーカーとして利用することが可能となる。
【0022】
本発明の単離精製された核酸には、ルプリン腺毛において遺伝子を特異的に発現させる調節配列が含まれ、この配列の中には、ルプリン腺毛において活性化されるプロモーターが含まれる。この配列としては、例えば、配列番号7に記載された塩基配列を有するものが含まれる。このルプリン腺毛で特異的な調節配列を用いることにより、その下流に接続した遺伝子のルプリン腺毛内での発現を調節することが容易になる。
【0023】
さらに、本発明はホップのルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子又はルプリン腺毛において遺伝子の発現を特異的に調節する調節配列を担持したベクターを提供する。
【0024】
上記ルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子を担持したベクターを用いてホップなどの植物を形質転換することにより、ホップなどの植物を品種改良することができる。特に、ルプリン腺毛内で生成される二次代謝産物の生産の向上・抑制などによる品種改良に有効となる。さらに、このベクターは、植物の品種改良だけでなく、培養細胞内でのルプリン特異的遺伝子、例えば二次代謝産物の生合成に関与する遺伝子を発現させ、二次代謝産物を生産する場合に利用することができる。このように培養細胞内で二次代謝産物を産生させることが可能となれば二次代謝産物の単離を容易にすることが可能となる。
【0025】
また、上記発現調節配列を担持したベクターは、上記ルプリン特異的遺伝子の発現に用いる以外にもルプリン腺毛内で発現させたいホップまたは異種由来の遺伝子を調節配列の下流に接続させ、ホップのルプリン腺毛内で所望の遺伝子を特異的に発現させることが可能となる。このようにルプリン腺毛内で所望の遺伝子を発現させることが可能となる。
【0026】
また、本発明は上記ベクターにより形質転換された植物細胞をも含む。ここで植物細胞は、特に形態または生育段階などに限定はなく、培養細胞、カルス、プロトプラスト、植物体など種々のものを含めることができる。また形質転換された一世代目の植物細胞のみならず、一世代目の植物から発生させた植物をも含めることができる。
【0027】
上記形質転換された植物は上記ベクターの導入により二次代謝産物をコードする遺伝子をはじめとする所望の遺伝子の発現を可能にし、食品、医薬品などの原料としての有用性を高めることが可能となる。
【0028】
以下に、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明する。
1、 ホップのルプリン腺毛特異的遺伝子およびその発現調節領域を含む核酸の単離
(1)全RNAおよびmRNAの調製
全RNAの調製は公知の方法で行なうことができ、例えば「植物のPCR実験プロトコール」、秀潤社、56頁(1995)等に記載の方法で行なうことができる。またこの全RNAからのmRNAの調製も公知の方法で行なうことができ、例えば宝酒造社の「Oligotex−dT30<Super>」に添付されたプロトコール等に従って行なうことができる。
【0029】
(2)cDNAライブラリーの作製
cDNAライブラリーは、mRNAより公知の方法で作製することができる。例えばcDNAはアマシャム社の「cDNA synthesis module」に添付されたプロトコール等に従って調製することができる。また調製したcDNAからのライブラリーの作製はアマシャム社の「cDNA rapid adaptor ligation module」、「cDNA rapid cloning module」、ストラトジーン社の「GIGAPACK II Plus Packaging Extract」に添付されたプロトコール等に従って行なうことができる。上記で引用した全ての文献は本明細書に引用文献として援用する。
【0030】
(3)ルプリン特異的プローブの作製
ルプリン特異的プローブとはルプリン腺毛で特異的に発現している遺伝子に相補的な遺伝子断片を意味する。本実施の形態においては、ルプリン特異的プローブは以下の方法により得ることができる。
【0031】
開花後約15日を経過した球果を、ルプリン腺毛およびルプリン腺毛の密集している内包基部を主とした画分(ルプリン多含画分)と、ルプリン腺毛の少ない外包を主とした画分(ルプリン少含画分)とにそれぞれ分ける。このルプリン多含画分で発現している遺伝子群からルプリン少含画分においても発現している遺伝子群を差分し、ここで残った遺伝子群がルプリン腺毛で特異的に発現している可能性の高い遺伝子となる。
【0032】
こうしたルプリン多含画分で発現している遺伝子群からルプリン少含画分でも発現している遺伝子群を差分する方法は、公知の方法を用いることができ、簡便には、例えばクローンテック社の「Subtractor Kit」に添付されたプロトコール等に従って行なうことができる。
【0033】
(4)ルプリン特異的cDNAの単離
「ルプリン特異的cDNA」とは、ルプリン腺毛で特異的に発現している遺伝子のcDNAを意味する。ルプリン特異的cDNAの単離は、ルプリン多含画分より作製したcDNAライブラリーをルプリン特異的プローブを用いてスクリーニングすることによって行うことができる。このスクリーニングは公知の方法で行なうことができ、例えば「DIGシステムを用いてハイブリダイゼーションを行なうためのユーザーガイド」(ベーリンガーマンハイム社、37頁(1995))に記載の方法等で行なうことができ、本文献は本明細書に引用文献として援用する。
【0034】
またルプリン特異的プローブの標識も公知の方法で行なうことができる。例えば、ベーリンガーマンハイム社の「DIG−High Prime」に添付されたプロトコールに従って行なうことができる。
【0035】
(5)ホップゲノミックDNAの調製
ホップゲノミックDNAの調製は公知の方法で行なうことができ、例えば「植物のPCR実験プロトコール」(秀潤社、54頁(1995))等に記載の方法で行なうことができ、本文献は本明細書に引用文献として援用する。
【0036】
(6)ルプリン特異的発現調節領域を含む核酸の単離
「ルプリン特異的発現調節領域を含む核酸」とは、ルプリン腺毛で特異的に機能しているプロモーターを含む発現調節領域を含む核酸を意味する。この核酸はルプリン特異的cDNAの塩基配列をプライマーとして逆PCR法(Inverse PCR)を用いた公知の方法で単離することができる。例えば「植物のPCR実験プロトコール」(秀潤社、69頁(1995))等に記載の方法で行なうことができ、本文献は本明細書に引用文献として援用する。
【0037】
(7)塩基配列の決定
単離された遺伝子の塩基配列は公知の方法で決定することができる。例えば、パーキンエルマー社の「ABI PRISM Dye Primer Cycle Sequencing Ready Reaction Kit」に添付されたプロトコール等に従って行なうことができ、本文献は本明細書に引用文献として援用する。ここで決定された塩基配列に基いて、他の植物種で既知の遺伝子の塩基配列との相同性検索を行なうことができる。
【0038】
(8)ノーザンハイブリダイゼーション解析(以下、ノーザン解析)
単離したルプリン特異的遺伝子が実際にルプリン腺毛で特異的に発現しているか否か、および、前記遺伝子を制御する単離されたルプリン特異的発現調節領域を含む核酸が実際にルプリン腺毛で特異的に機能しているか否かを確認するには、単離したルプリン特異的遺伝子をプローブとしてノーザン解析を行なうことにより実行することができる。ノーザン解析は公知の方法で行なうことができる。例えば「脱アイソトープ実験プロトコール−DIGハイブリダイゼーション−」(秀潤社、45頁(1994))、「DIGシステムを用いてハイブリダイゼーションを行なうためのユーザーガイド」(ベーリンガーマンハイム社、40頁(1995))に記載された方法等に基いて行なうことができ、本文献は本明細書に引用文献として援用する。
【0039】
2.上記単離されたルプリン特異的遺伝子またはルプリン特異的発現調節配列を担持したベクターの調整
上記においてルプリン腺毛での特異性が確認されたルプリン特異的遺伝子は、公知の方法に従い、適当な発現調節配列を担持したベクターの発現調節配列の下流に接続し、適当な細胞内に導入して、発現させることができる。発現調節配列を担持したベクターには特に限定はないが、後述するルプリン特異的発現調節配列を担持したベクターや、既に市販等されている発現ベクター(例えばpBI121(CLONTECH社製))などを用いることができる。
【0040】
また、ルプリン特異的発現調節配列を担持したベクターの構築は、同様に既知のプラスミドから目的に応じて適宜選択し、これに上記発現調節配列、例えば配列番号7を接続することにより実行することができる。この場合、必要に応じて発現調節配列の下流に構造遺伝子を接続するための種々の制限酵素認識部位を有するクローニング領域等を設けることもできる。
【0041】
3、応用
ホップルプリン腺毛では、二次代謝産物が多く分泌されていることから、上記において単離されたルプリン特異的遺伝子は、ルプリン腺毛で分泌される二次代謝産物の生合成に関与する遺伝子である可能性が高い。従って、上記において得られた遺伝子を形質転換技術や分子選抜技術に応用することにより、例えば、ホップルプリン腺毛において生成される二次代謝産物の改良に基づいたホップの育種が可能となる。上記形質転換技術は周知の方法を用いることができる。
【実施例1】
【0042】
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
[実施例1]ルプリン多含画分およびルプリン少含画分の調製
開花後約15日を経過したホップ球果を採取し、液体窒素で凍結した。この凍結球果をドライアイス上で解剖し、解剖用ピンセットを用いて主にルプリン腺毛およびルプリン腺毛の密集した内包基部から成る画分と、主にルプリン腺毛の密度の低い外包から成る画分に分けた。それぞれをルプリン多含画分およびルプリン少含画分とし、−80℃に保存した。
【0044】
[実施例2]ルプリン多含画分、ルプリン少含画分の全RNAおよびmRNAの調製
ルプリン多含画分、ルプリン少含画分の全RNAおよびmRNAの調製は以下の通りに行なった。各画分を液体窒素中で凍結粉砕し、2%CTAB溶液(2%セチルトリメチルアンモニウムブロミド、0.1Mトリス(pH9.5)、20mM EDTA、1.4M NaCl、1%β−メルカプトエタノール)に懸濁して、65℃で30分間保温した。クロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)で2回抽出後、3/4倍量のイソプロパノールを加えてDNAおよびRNAを析出させた。析出したDNAおよびRNAを水に溶かした後、1/3倍量の10M塩化リチウムを加え、−20℃で一晩放置し、15000rpmで10分間遠心分離した。沈殿を70%エタノールで洗浄後、DNase反応バッファー(100mM酢酸ナトリウム(pH5.2)、5mM塩化マグネシウム)に溶かし、DNaseを加えて37℃で保温し、DNAを分解した。1/3倍量の10M塩化リチウムを加え、−20℃で一晩放置後、15000rpmで10分間遠心分離を行ない、沈殿を水に溶かした。溶解液をフェノール・クロロホルム抽出により精製し、エタノール沈殿を行なった。得られた沈殿物を水に溶かし、全RNAサンプルとし、この全RNAサンプルを基に宝酒造社の「OligotexdT30<Super>」を用い、添付されたプロトコールに従ってmRNAを調製した。
【0045】
[実施例3]ルプリン特異的プローブの作製
ここでは、ルプリン多含画分mRNAからルプリン小含画分中にも存在するmRNAを除去することによりルプリン特異的プルーブの作成を行った。具体的には、このルプリン特異的プローブの作製は、「Subtractor Kit」(インビトロゲン社)を用い、添付されたプロトコールに従って行なった。
【0046】
まず、ルプリン多含画分のmRNAよりcDNAを合成した。また、ルプリン少含画分のmRNAをビオチン標識した。ここで調製されたルプリン多含画分cDNAとルプリン少含画分ビオチン化mRNAとを混合しハイブリッドを形成させ、さらにストレプトアビジンを加えて、形成されたハイブリッド中のビオチン化mRNAに結合させた。次いで、フェノール・クロロホルム抽出を行なってビオチン化mRNAを除くことにより、上記ルプリン多含画分cDNAからルプリン少含画分にも存在するmRNAに由来するcDNAを除いた。この結果、ルプリン多含画分だけに存在するcDNAをプローブ化することができた。得られたルプリン特異的プローブをベーリンガーマンハイム社の「DIG−High Prime」を用いてジゴキシゲニンにより標識した。
【0047】
[実施例4]ルプリン特異的cDNAの単離
アマシャム社の「cDNA synthesis module」、「cDNA rapid adaptor ligation module」、「cDNA rapid cloning module−MOSSlox」、ストラトジーン社の「GIGAPACKII Plus Packaging Extract」を用いて、ルプリン多含画分mRNAよりMOSSloxをベクターとしてcDNAライブラリーを作製した。このライブラリーをジゴキシゲニン標識ルプリン特異的プローブを用いてハイブリダイゼーション法によりスクリーニングを行なった。
【0048】
具体的には、上記cDNAライブラリーにおける各プラークをメンブレンフィルターに転写し、このフィルターをハイブリダイゼーションバッファー(5×SSC、100mMリン酸バッファー、7%SDS、2%ブロッキング試薬、0.1%N−ラウロイルサルコシン、50%ホルムアミド、50μg/ml魚精子DNA)によりブロッキングした。その後、上記ハイブリダイゼーションバッファーに上記プローブを加え、42℃で1晩保温した。保温後、洗浄液(1%SDS、2×SSC)を用いて56℃、5分間の洗浄処理を2回、さらに、洗浄液(0.1%SDS、0.1×SSC)により68℃、15分間の洗浄処理を2回行なった。洗浄後、陽性のプラークを検出することにより、ルプリン特異的cDNAを単離した。
【0049】
[実施例5]ルプリン特異的cDNAの塩基配列および翻訳産物のアミノ酸配列の決定
得られたルプリン特異的cDNAおよびルプリン特異的プロモーターを含む遺伝子断片の塩基配列を決定した。塩基配列の決定にあたり、各遺伝子断片をpUCベクターまたはpBluescriptベクターにサブクローニングした。塩基配列の決定はパーキンエルマー社の「ABI PRISM Dye Primer Cycle Sequencing Ready ReactionKit」およびDNAシークエンサー(パーキンエルマー社、ABI373S型)を用いて行なった。
【0050】
ここで決定されたルプリン特異的cDNAの塩基配列を配列番号2に示す。またこの塩基配列より推定される翻訳産物のアミノ酸配列を配列番号1に示す。なお、この配列番号1に記載のアミノ酸配列は、配列番号2の36〜38番目の開始コドン(ATG)から1218〜1220番目の終止コドン(TAA)までの塩基配列に相当する。
【0051】
[実施例6]ホップゲノミックDNAの調製
ホップゲノミックDNAの調製は以下の通りに行なった。ホップの葉または球果を液体窒素中で凍結粉砕し、2%CTAB溶液(2%セチルトリメチルアンモニウムブロミド、0.1Mトリス(pH9.5)、20mM EDTA、1.4M NaCl、1% β−メルカプトエタノール)に懸濁して、65℃で30分間保温した。クロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)で2回抽出後、3/4倍量のイソプロパノールを加えてDNAおよびRNAを析出させた。析出したDNAおよびRNAを高塩濃度(High Salt)TEバッファー(1M塩化ナトリウム、10mMトリス(pH8.0)、1mMEDTA)に溶かし、RNaseを加えて60℃で保温し、RNAを分解した。2倍量のイソプロパノールを加えてDNAを析出させ、70%エタノールで洗浄後、水に溶かしゲノミックDNAサンプルとした。
【0052】
[実施例7]ルプリン特異的遺伝子の発現調節配列の単離
ルプリン特異的遺伝子の発現調節配列の単離は以下に示す逆PCR法(InversePCR)を用いて行なった。なお、この実施例7における操作を図1に模式的に示した。
【0053】
まず、制限酵素、Xho Iを用いて、実施例6で得られたホップゲノミックDNAを消化した(S1、S2)。Xho I消化後の断片を「DNA Ligation Kit Ver.1」(宝酒造社)を用い添付されたプロトコールに従って、分子内ライゲーション(Selfcircularization)を行なわせた(S3)。
【0054】
次に、このライゲーション反応液の一部を鋳型とし、ルプリン特異的cDNA内の配列を有するプライマーを用い、ルプリン特異的遺伝子のプロモーターを含むフランキング領域をPCRにより増幅合成した(S4)。ここで用いたプライマー対を配列番号3(プライマー1)及び配列番号4(プライマー2)に示す。なお、配列番号3は、配列番号2に記載の137番目から166番目の配列に相補的な配列であり、また、配列番号4は配列表の配列番号2の303番目から332番目の配列である。
【0055】
上記PCR反応は「Expand High−Fidelity PCR System」(ベーリンガーマンハイム社)を用いて、添付されたプロトコールに従って行なった。また反応条件は[94℃1分、55℃1分、68℃4分]を30サイクル行なった後、72℃で6分間反応させた。
【0056】
ここで得られた反応液を電気泳動により確認し、増幅断片1の他に、非特異的に増幅した断片も含まれている可能性が考えられたためさらに異なるプライマーを用いて目的断片のみを選択的に増幅することを試みた(S5)。すなわち、上記PCR反応液の一部を用いプライマー1よりもさらにルプリン特異的遺伝子の上流配列と相補するプライマー3(配列番号5)及び上記プライマー2とを用いてPCRを行い、ルプリン特異的プロモーターを含むDNA断片を増幅した(S6)。なおこのプライマー3(配列番号5)はルプリン特異的cDNA(配列番号2)の114番目から143番目の配列に相補的な配列からなる。また、PCRは上述した条件及び装置を用いて行った。このプライマー2及び3により得られたPCR増幅断片2を用いて、次に塩基配列の決定を行った。
【0057】
[実施例8]ルプリン特異的遺伝子の発現調節配列の塩基配列決定
上記において得られた増幅断片2の塩基配列を決定した。塩基配列の決定は、上記実施例5と同様に上記増幅断片をpUCベクターまたはpBluescriptベクターにサブクローニングし、パーキンエルマー社のABI PRISM Dye Primer Cycle Sequencing Ready Reaction KitおよびDNAシークエンサー(パーキンエルマー社、ABI373S型)を用いて行なった。その結果を配列番号6に示す。
【0058】
この増幅断片は逆PCR法により得られたものであることから、増幅断片にはルプリン特異的遺伝子(一部)の間にプロモーター等の発現調節配列が含まれることが予想される。そこで、この発現調節配列を同定するためにここで増幅されたDNA断片とルプリン特異的cDNAとの塩基配列の比較をした。これらの比較からここで増幅されたDNA断片(配列番号6)はルプリン特異的cDNAの配列にプロモーターの配列が挟まれていることが判った。具体的には、配列番号6の1〜690番目の配列はルプリン特異的cDNA(配列番号2)の303〜992の配列に相当していた。また、配列番号6の3296〜3438の配列はルプリン特異的cDNA(配列番号2)の1〜143の配列に相当していた。従って、配列番号6の691〜3295の領域にルプリン特異的遺伝子のプロモーターなどの発現調節配列が含まれ、この配列を配列番号7に示した。
【0059】
[実施例9]ルプリン特異的cDNAおよびルプリン特異的遺伝子の発現調節配列のノーザンブロット解析
上記ルプリン特異的cDNAが実際にルプリン腺毛で特異的に発現しているか、および上記ルプリン特異的遺伝子のプロモーターが実際にルプリン腺毛で特異的に機能しているのかを確認した。この確認試験は、ルプリン多含画分およびルプリン少含画分からそれぞれ調製した全RNAに対し、実施例5のルプリン特異的cDNA(配列番号2)を基に作製された標識DNAをプローブとしてノーザン解析により行った。
【0060】
先ず、ルプリン多含画分およびルプリン少含画分の全RNAは、実施例2と同様の方法により調製した。ここで調製したルプリン多含画分および少含画分の全RNAを変性アガロースゲル(1%アガロース、18%ホルムアルデヒド、20mM MOPS、5mM酢酸ナトリウム、1mM EDTA、pH 7)を用いて電気泳動を行なった。DIGシステムを用いてハイブリダイゼーションを行なうためのユーザーガイド(ベーリンガーマンハイム社、40頁(1995))に従い、アガロースゲル内で分画されたRNAをナイロンメンブレンに転写した後、得られたcDNAをプローブとしてハイブリダイゼーションを行なった。
【0061】
ハイブリダイゼーションは次の条件により行なった。実施例4と同組成のハイブリダイゼーションバッファーを用いて上記メンブレンをブロッキングした。上記ルプリン特異的cDNAをジゴキシゲニンで標識し、プローブとした後、このプローブを上記ハイブリダイゼーションバッファーに添加し、この混合液にブロッキングした上記メンブレンを浸けて50℃で一晩保温した。保温後、洗浄液(1%SDS、2×SSC)を用いて56℃、10分間の洗浄処理を2回、さらに、洗浄液(0.1%SDS、0.1×SSC)により68℃、30分間の洗浄処理を2回行なった。洗浄後、プローブと融合したバンドの検出を行なった。その結果を図2に示す。
【0062】
図2に示す通り、得られた遺伝子のmRNAはルプリン少含画分にも若干は存在するものの、明らかにルプリン多含画分に多く存在することから、この遺伝子はルプリン腺毛で特異的に強く発現していると考えられる。またこの遺伝子の発現を制御しているのが、ゲノミックDNAにおいて構造遺伝子の上流に存在するプロモーターなどの発現調節領域を含む核酸であり、この発現調節領域を含む核酸については上記実施例において単離されまた同定された核酸である。このことは、上記において単離された発現調節領域を含む核酸がルプリン腺毛で特異的に強く機能していることをも示す。なお、低分子側に帯状に出ているシグナルは、得られた遺伝子のmRNAの分解産物と考えられる。
【0063】
[実施例10]ホモロジー検索
既知のアミノ酸配列と得られたルプリン特異的cDNAの塩基配列より推定されるアミノ酸配列との相同性を比較した。その結果、この遺伝子は、植物においてフラボノイド類の生合成に関与する、ナリンゲニンの合成を触媒するカルコンシンターゼの遺伝子と高い相同性を有していた。具体的には、他の植物(アラビドプシス(Plant J. 8 (5),659−671 (1995))、オオムギ(Plant Mol. Biol. 16:1103−1106 (1991))、エンドウ(EMBL/GenBank/DDBJ databases X80007)、ペチュニア(J.Biotechnol. 11 (2),131−135 (1995))、ライムギ(EMBL/GenBank/DDBJ databases X92547))のカルコンシンターゼと比較して、遺伝子レベルで65〜70%、アミノ酸レベルで70〜75%のホモロジーが認められた。
【0064】
また近年ホップにおいて、カルコンシンターゼ様の酵素が苦味質であるα酸、β酸の前駆体のフロルイソバレロフェノンやフロルイソブチロフェノンの生合成を触媒するバレロフェノンシンターゼ活性を持つ可能性が示唆されている(European Brewery Convention, Proceedings of the 26th Congress, p215(1997))。このことから得られた遺伝子の翻訳産物がバレロフェノンシンターゼとして苦味質の生合成に関与している可能性が示唆された。
【0065】
従って、このルプリン腺毛で特異的に発現している遺伝子がカルコンシンターゼをコードする場合には、この核酸を植物におけるフラボノイド類の改良に利用することができる。また、この遺伝子がバレロフェノンシンターゼをコードする場合には、この核酸をホップにおける苦味質の改良に利用することができる。さらにホップの苦味質であるα酸、β酸に薬理活性があることから(Biosci. Biotech. Biochem., 61(1), 158, 1997)、上記核酸を医薬品生産に応用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上の通り、本発明におけるホップルプリン腺毛において特異的に発現している遺伝子を含む核酸によれば、ホップルプリン腺毛内で発現されている二次代謝産物の観点からホップを遺伝子工学技術により育種することが可能となる。また、前記ルプリン特異的遺伝子を担持したベクターを用いた場合には、培養細胞などの天然の植物外において二次代謝産物の生産を実現させることが期待される。こうした二次代謝産物には食品、医薬として重要な物質が含まれており、フラボノイド類の生合成にはカルコンシンターゼが、苦味質成分の生合成にはバレロフェノンシンターゼが関与していることから本発明は食品、医薬品の原料の開発、改良に大きく寄与することが期待される。
【0067】
さらに本発明におけるルプリン腺毛で特異的プロモーターについては、その下流に所望の遺伝子を連結してホップ植物体に導入することにより、ルプリン腺毛に蓄積する精油成分や苦味質成分等の二次代謝産物の改良等に利用することができる。また、ホップにその他の新規な性質を付与する目的にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】ルプリン特異的遺伝子の調節配列を単離する際のインバースPCRの手順を模式的に示している。
【図2】ルプリン腺毛から回収したRNAを電気泳動し、その後、ルプリン特異的遺伝子をプローブとしてノーザン解析を行った結果を示す。この解析結果は、ルプリン腺毛内におけるルプリン特異的遺伝子の発現の特異性が示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホップのルプリン腺毛において特異的に発現する遺伝子またはその一部を含むことを特徴とする単離精製された核酸。
【請求項2】
遺伝子が二次代謝産物の生合成に関与する少なくとも一つのタンパク質をコードしていることを特徴とする請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
タンパク質が配列番号1に記載されたアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項2に記載の核酸。
【請求項4】
遺伝子が配列番号2に記載された塩基配列を有することを特徴とする請求項1に記載の核酸。
【請求項5】
遺伝子が配列番号2に記載された塩基配列又はその一部とハイブリッド形成することを特徴とする請求項1に記載の核酸。
【請求項6】
核酸によってコードされるタンパク質がカルコンシンターゼであることを特徴とする請求項2に記載の核酸。
【請求項7】
請求項1の核酸を担持したベクター。
【請求項8】
ホップのルプリン腺毛において遺伝子の発現を特異的に調節する調節配列を含む単離精製された核酸。
【請求項9】
調節配列にはプロモーターが含まれることを特徴とする請求項8に記載の核酸。
【請求項10】
調節配列が配列番号7に記載された塩基配列を有することを特徴とする請求項8に記載の核酸。
【請求項11】
調節配列には、配列番号6に記載の配列又はその一部が含まれることを特徴とする請求項8に記載の核酸。
【請求項12】
請求項8に記載の核酸を担持したベクター。
【請求項13】
請求項7に記載のベクターを用いて形質転換された植物細胞。
【請求項14】
請求項12に記載のベクターを用いて形質転換された植物細胞。
【請求項15】
請求項7に記載のベクターを用いて植物細胞を形質転換することを特徴とする、形質転換された植物細胞を生産する方法。
【請求項16】
請求項12に記載のベクターを用いて植物細胞を形質転換することを特徴とする、形質転換された植物細胞を生産する方法。
【請求項17】
配列番号3、4、5のいずれかからなる核酸プライマー。
【請求項18】
配列番号3,4,5の塩基配列を有する少なくとも一つの核酸配列を含むことを特徴とする、ルプリン特異的発現遺伝子の調節配列を検出するキット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホップのルプリン腺毛において特異的に発現し、ビールの原料として使用されてビールの苦味や香りに寄与する二次代謝物の生合成に関与するタンパク質をコードする核酸であって、下記の群から選択される核酸:
a)配列番号1に記載されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸、
b)配列番号2に記載された塩基配列を有する核酸。
【請求項2】
請求項1に記載の核酸を担持したベクター。
【請求項3】
ホップのルプリン腺毛において遺伝子の発現を特異的に調節する調節配列を有する核酸であって、配列番号7に記載された塩基配列を有する核酸。
【請求項4】
請求項3に記載の核酸を担持したベクター。
【請求項5】
請求項2に記載のベクターを用いて形質転換された植物細胞。
【請求項6】
請求項4に記載のベクターを用いて形質転換された植物細胞。
【請求項7】
請求項2に記載のベクターを用いて植物細胞を形質転換することを特徴とする、形質転換された植物細胞を生産する方法。
【請求項8】
請求項4に記載のベクターを用いて植物細胞を形質転換することを特徴とする、形質転換された植物細胞を生産する方法。
【請求項9】
配列番号3の塩基配列を有するプライマーと配列番号4の塩基配列を有するプライマーとからなるプライマー対。
【請求項10】
配列番号5の塩基配列を有するプライマーと配列番号4の塩基配列を有するプライマーとからなるプライマー対。
【請求項11】
請求項9又は10のプライマー対を含むことを特徴とする、ルプリン特異的発現遺伝子の調節配列を検出するキット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−288401(P2006−288401A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175527(P2006−175527)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【分割の表示】特願2000−532539(P2000−532539)の分割
【原出願日】平成11年2月16日(1999.2.16)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【Fターム(参考)】