遺伝子材料を検出する方法および組成物
本発明は、標的ポリヌクレオチドのコピー数の相違を検出するための組成物および方法を提供する。いくつかの場合では、本明細書中に提供した方法および組成物は、出発サンプルが母体組織(例えば、血液、血漿)である場合の胎児の遺伝子異常の診断に有用である。記載の方法および材料は、小さいが、統計的に有意なポリヌクレオチドコピー数の相違の検出技術に適用される。本明細書中に提供した方法は、さらに、線状ポリヌクレオチドまたは一本鎖ポリヌクレオチドまたは二本鎖ポリヌクレオチドを除去するための酵素反応を行う工程を含むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)項の下、2009年11月25日に出願された米国仮特許出願第60/916,883号;2009年11月25日に出願された米国仮特許出願第61/264,591;2010年3月2日に出願された米国仮特許出願第61/309,837;2010年3月2日に出願された米国仮特許出願第61/309,845;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/317,635;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/317,639;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/317,684;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/341,065;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/341,218;2010年9月8日に出願された米国仮特許出願第61/380,981;2010年11月1日に出願された米国仮特許出願第61/409,1062010年11月2日に出願された米国仮特許出願第61/409,473;および2010年11月5日に出願された米国仮特許出願第61/410,769号の利益を主張し、この米国仮特許出願の各々は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
胎児異数性は染色体数の異常であり、一般に、卵子形成または精子形成中の減数分裂の不分離の結果として起こる。しかし、一定の異数性(8トリソミーなど)は、より頻繁には、接合後の有糸分裂時の分離に起因する(Nicolaidis & Petersen(1998)Human Reproduction 13:313−319)。かかる異常には正常な染色体数の減少および増加の両方が含まれ、常染色体および性染色体が関与し得る。減少異数性の例はターナー症候群であり、単一のX性染色体の存在を特徴とする。染色体数の増加の例には、ダウン症候群(21番染色体のトリソミー)、パトー症候群(13番染色体のトリソミー)、エドワーズ症候群(18番染色体のトリソミー)、およびクラインフェルター(Kleinfelter’s)症候群(性染色体のXXYトリソミー)が含まれる。異数性は、一般に、重要な身体障害および神経学的障害を引き起こし、それにより、罹患個体の大部分が成人に到達しない。実際、13、18、または21番染色体以外の染色体に関与する常染色体異数性を有する胎児は、一般に、子宮内で死亡する。しかし、一定の異数性(クラインフェルター(Kleinfelter’s)症候群など)は明白な表現型を示すことが非常に稀であり、他のトリソミー(XXYおよびXXXなど)に罹患した者は、しばしば、生殖力のある成人に成熟する。いくつかの場合では、染色体の一部のコピー数が異常になる部分的異数性は、不均衡な不分離に起因し得る。
【0003】
羊水穿刺または絨毛膜絨毛採取(CVS)による侵襲的検査を使用した胎児異数性の出生前診断は、0.5%〜2%の手順に関連する妊娠損失リスクに関連する(非特許文献1;非特許文献2)。
【0004】
胎児異数性の正確なスクリーニングの際の別の障壁は、特により早期の妊娠期間における母体血漿中の胎児DNA濃度の低さである。単一または低多重のアッセイアプローチでは異数体(aneupoloid)胎児(例えば、21番染色体のトリソミー)と正倍数性胎児を区別するのに十分な標的カウントが得られる可能性が低い。一般に、必ずしも母体血に由来しない生物学的サンプル中のコピー数変動の検出のための方法および組成物も当該分野で必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】D’Alton,M.E.,(1994)Semin Perinatol 18:140−62
【非特許文献2】Caughey AB(2006)Obstet Gynecol 108:612−6
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、遺伝子材料集団内の標的ポリヌクレオチドのコピー数を検出するための方法および組成物を提供する。区画を使用することにより、標的ポリヌクレオチドを複数の反応体積に細分割することができる。いくつかの場合では、標的ポリヌクレオチドに対するプローブを複数の反応体積に細分割する。
【0007】
いくつかの場合では、本方法は、以下の工程を含む:a.第1のライゲーションプローブを第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、b.第2のライゲーションプローブを第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、c.前記第1および第2のライゲーションプローブをライゲーション反応に供して1つ以上のライゲーションした産物を得る工程、d.前記1つ以上のライゲーションした産物を2つ以上の区分に分割する工程、e.前記1つ以上のライゲーションした産物内の配列を増幅して増幅された産物を得る工程、f.前記増幅された産物を含む前記区分の数を決定する工程、およびg.前記第1の標的ポリヌクレオチドのコピー数を計算する工程。いくつかの場合では、標的ポリヌクレオチドを、前記2つ以上の区分に分割しない。
【0008】
区分には、広範な種々の区分型(固体区分(例えば、ウェル、管など)および流体区分(例えば、油相(連続油相など)内の水滴または少なくとも2つの不混和性流体の混合物内の水滴)が含まれる)が含まれ得る。区分はまた、安定でも不安定でもよい。例えば、いくつかの場合では、増幅過程中、前記2つ以上の区分は実質的にインタクトなままである。いくつかの場合では、区分は油相内の水滴であり、前記水滴は本発明の方法の増幅反応中に実質的にインタクトなままである。区分(例えば、前記水滴)はまた、1つ以上の標的ポリヌクレオチド(または前記ポリヌクレオチドに対するプローブ)の存在について区分を評価する場合、決定工程中に実質的にインタクトなままである。区分は、前記ライゲーションした産物から開始される増幅反応を含むことができる。
【0009】
第1および第2のライゲーションプローブは、種々の標的ポリヌクレオチドに結合する(または結合するようにデザインする)ことができ、しばしば、第1のライゲーションプローブは第1の標的ポリヌクレオチドに結合し、第2のライゲーションプローブは第2のポリヌクレオチドに結合する。いくつかの場合では、第1および第2のライゲーションプローブを、それぞれ、前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合するようにデザインする。他の場合では、前記第1のライゲーションプローブは、前記第2の標的ポリヌクレオチド(poynucleotide)の配列と異なる配列を有する第1の標的ポリヌクレオチドに結合する。いくつかの場合では、第1のライゲーションプローブを、種内の個体間で保存されるポリヌクレオチド配列に結合するようにデザインする。いくつかの場合では、第1のライゲーションプローブを、2つ以上の異なる種の間で保存されるポリヌクレオチド配列に結合するようにデザインする。いくつかの場合では、ライゲーションプローブは、染色体の非多型領域に結合する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本方法は、複数のライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドにライゲーションする工程を含む。例えば、本方法は、少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程を含むことができる。他の場合では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、100,000、2,000,000、3,000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000、7,000,000、8,000,000、9,000,000、または10,000,000個のライゲーションプローブを、本明細書中に提供した方法で使用する。しばしば、1つ以上の前記ライゲーションプローブは、異なるポリヌクレオチド(例えば、異なる染色体、同一染色体内の異なる領域)に結合する。いくつかの場合では、本発明の方法および組成物において、複数の第1のライゲーションプローブ(例えば、標的ライゲーションプローブ)を使用し、複数の第2のライゲーションプローブ(例えば、基準ライゲーションプローブ)を使用する。本方法は、さらに、少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合させ、少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第2の標的ポリヌクレオチドに結合させる工程を含むことができる。いくつかの場合では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、100,000、2,000,000、3,000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000、7,000,000、8,000,000、9,000,000、または10,000,000個のライゲーションプローブを、前記第1または前記第2の標的ポリヌクレオチドに結合させる。
【0011】
第1のライゲーションプローブは、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の第1の領域に結合する(または結合するようにデザインする)ことができ、前記第2のライゲーションプローブは前記第1の標的ポリヌクレオチド内の第2の領域に結合する(または結合するようにデザインする)ことができ、前記第1および第2の領域は同一の配列を有さない。
【0012】
しばしば、第1の標的ポリヌクレオチドは、前記第2の標的ポリヌクレオチドと同一ではない。いくつかの場合では、第1の標的ポリヌクレオチドは第2の標的ポリヌクレオチドと同一である。いくつかの例では、前記第1の標的ポリヌクレオチドは試験染色体であり、前記第2の標的ポリヌクレオチドは基準染色体である。試験染色体の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体。前記試験染色体はまた、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22番染色体、X、およびY染色体からなる群に由来し得る。第1の標的ポリヌクレオチドは、染色体のセグメント(胎児異数性に関連する(染色体またはセグメントのいずれかが胎児異数性に関連し得る)染色体のセグメントなど)であり得る。
【0013】
本明細書中に提供した方法および組成物は、しばしば、プローブ自体へのライゲーション、2つのプローブの相互のライゲーション、および/または前記ライゲーション反応のライゲーション産物に関する。前記ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第1のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションして環状のライゲーションした産物を得ることができる。いくつかの場合では、ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第2のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションして前記第1および第2のライゲーションプローブの少なくとも一部を含む線状のライゲーションした産物を得る。前記第1のライゲーションプローブの前記5’領域および前記3’領域は、それぞれ、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の近接配列に結合する(または結合するようにデザインする)ことができる。前記近接配列は0個のヌクレオチドによって分離される。前記第1のライゲーションプローブの5’領域および3’領域は、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の隣接配列に結合するか、結合するようにデザインすることができる。前記隣接配列を、少なくとも1つのヌクレオチドによって分離することができる。いくつかの場合では、隣接配列は、少なくとも5、10、20、30、40、50、100、200、300、400、または500個のヌクレオチドのギャップによって分離される。
【0014】
ライゲーション反応は、さらに、前記第1のライゲーションプローブの(または前記第2のライゲーションプローブの)前記5’領域と前記3’領域の間のギャップ中にヌクレオチドを組み込むためのテンプレート駆動ギャップ充填反応を含むことができる。
【0015】
ライゲーションプローブは、酵素によって切断可能な部位を含むことができる。例えば、酵素によって切断可能な部位は、1つ以上のウラシルを含むことができる。ウラシルを、いくつかの場合、他のヌクレオチドによって分離することができる。酵素によって切断可能な部位は制限部位を含むことができる。第1のライゲーションプローブは、特異的型(分子反転プローブ、パッドロックプローブ、線状ライゲーションプローブなど)のものであり得る。
【0016】
本明細書中に提供した方法は、さらに、線状ポリヌクレオチドまたは一本鎖ポリヌクレオチドまたは二本鎖ポリヌクレオチドを除去するための酵素反応を行う工程を含むことができる。例えば、エキソヌクレアーゼ(例えば、ExoI、II、および/またはIII)を、本明細書中に記載の方法で使用することができる。しばしば、エキソヌクレアーゼ処理により、全量または相当量の非結合ライゲーションプローブをサンプル体積から除去する。
【0017】
本明細書中に提供したプローブを、シグナル伝達因子にコンジュゲートすることができる。前記第1のライゲーションプローブを第1のシグナル伝達因子にコンジュゲートすることができ、第2のライゲーションプローブを第2のシグナル伝達因子にコンジュゲートする。しばしば、複数のかかる第1および第2のライゲーションプローブを本明細書中の方法および組成物で使用し、ここでは、前記プローブを同一のシグナル伝達因子(例えば、同一のフルオロフォア)または異なるシグナル伝達因子(例えば、異なる色調のフルオロフォア)にコンジュゲートする。前記第1のシグナル伝達因子は第1の色調の蛍光マーカーであり得、前記第2のシグナル伝達因子は第2の色調の蛍光マーカーであり得る。
【0018】
ライゲーションプローブの検出はまた、しばしば、本明細書中に提供した方法中の工程である。本方法は、前記第1のライゲーションプローブの第1のシグナル伝達因子での検出および前記第2のライゲーションプローブの第2のシグナル伝達因子での検出を含むことができる。前記第1のライゲーションプローブは第1の複数のライゲーションプローブを含むことができ、前記複数内の各プローブは第1の染色体の異なる領域へ向けられ、前記第2のライゲーションプローブは第2の複数のライゲーションプローブを含み、前記複数内の各プローブは第2の染色体の異なる領域へ向けられる。いくつかの場合では、前記第1の標的ポリヌクレオチドは試験染色体であり、前記第2の標的ポリヌクレオチドは基準染色体である。いくつかの場合では、前記第1および第2のライゲーションプローブを同一の色素にコンジュゲートする。
【0019】
本明細書中に提供した方法および組成物はまた、遺伝子材料集団内の標的ポリヌクレオチドのコピー数を検出する方法であって、a.第1のライゲーションプローブを第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、b.第2のライゲーションプローブを第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、c.前記第1および第2のライゲーションプローブをライゲーション反応に供して1つ以上のライゲーションした産物を得る工程、d.前記1つ以上のライゲーションした産物を連続油相内の2つ以上の水滴に分割する工程、前記1つ以上のライゲーションした産物内の配列を増幅して増幅された産物を得る工程、前記増幅された産物を含む前記2つ以上の水滴の数を決定する工程、およびg.前記数に基づいて前記標的ポリヌクレオチドのコピー数を計算する工程を含む、方法を含むことができる。いくつかの場合では、前記標的ポリヌクレオチドを前記2つ以上の水滴に分割しない。いくつかの場合では、前記標的ポリヌクレオチドを増幅しない。いくつかの場合では、または前記増幅工程または決定工程中に、前記2つ以上の水滴は実質的にインタクトなままである。
【0020】
いくつかの場合では、前記2つ以上の水滴は平均して1つを超えるライゲーションしたプローブを含み、前記方法は、アルゴリズムを使用して水滴あたりの標的にライゲーションしたプローブの平均数を計算する工程をさらに含む。前記2つ以上の水滴は4,000滴超であり得る。いくつかの場合では、前記2つ以上の水滴は、1,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、または5,000,000滴を超え得る。
【0021】
いくつかの場合では、前記液滴は、単一チャンバー中に高液滴数/mlの密度で存在する。密度は100,000水滴/ml超であり得る。単一チャンバー中の液滴の密度の例には、以下が含まれる:10,000滴/mL、100,000滴/mL、200,000滴/mL、300,000滴/mL、400,000滴/mL、500,000滴/mL、600,000滴/mL、700,000滴/mL、800,000滴/mL、900,000滴/mL、または1,000,000滴/mL。本明細書中に提供した任意の方法または組成物で使用した液滴は、単分散液滴であり得る。液滴の直径は、平均して、50nmと300μmとの間であり得る。いくつかの実施形態では、液滴の直径は、平均して、約0.001、0.01、0.05、0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、100、120、130、140、150、160、180、200、300、400、または500ミクロンであり得る。いくつかの場合では、液滴は、相当数のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートしたビーズを含まない。
【0022】
水滴は油流体または油相内に存在し得る。油相は、陰イオン性フルオロ界面活性剤(flourosurfactant)陰イオン性フルオロ界面活性剤のアンモニウム塩(クライトックス(商標)など)を含むことができる。クライトックスは、クライトックスAS、クライトックスFSH、およびクライトックスFSHのモルホリノ誘導体からなる群から選択され得る。油相はフッ素化油を含むことができる。
【0023】
本明細書中に提供した方法(例えば、液滴を使用したコピー数の検出)を使用して、1,000コピー未満の前記第1の標的ポリヌクレオチドを含む遺伝子材料集団内の前記第1の標的ポリヌクレオチドを検出することができる。いくつかの場合では、前記2つ以上の水滴は平均して1つを超えるライゲーションしたプローブを含み、前記方法は、アルゴリズムを使用して水滴あたりの標的にライゲーションしたプローブの平均数を計算する工程をさらに含む。
【0024】
液滴は、遺伝子障害に関連する染色体セグメントである第1の標的ポリヌクレオチドを含むことができる。液滴は、特異的型のライゲーションプローブ(例えば、パッドロックプローブ、分子反転プローブ、ライゲーション検出反応(LDR)プローブなど)を含むことができる。ライゲーションプローブを、ライゲーションプローブの5’領域をライゲーションプローブの3’領域にライゲーションするライゲーション反応に供することができる。
【0025】
本明細書中に提供した方法および組成物はまた、胎児の遺伝子状態を検出する方法であって、a.標的ポリヌクレオチドを含む母体および胎児の遺伝子材料の混合物を得る工程、b.前記混合物を前記標的ポリヌクレオチドに結合するターゲティングオリゴヌクレオチドと組み合わせる工程、c.前記ターゲティングオリゴヌクレオチドを反応体積に細分割する工程であって、前記反応体積の少なくとも1つが標的ポリヌクレオチドやターゲティングオリゴヌクレオチドを含まない、細分割する工程、d.前記反応体積内で増幅反応を行う工程、e.前記反応体積内の前記標的ポリヌクレオチドまたは前記ターゲティングオリゴヌクレオチドの存在を検出する工程、および
f.前記混合物中の前記標的ポリヌクレオチドの相対レベルを決定して、胎児の遺伝子状態を検出する工程を含む方法に関し得る。
【0026】
反応体積は連続油相内の水滴であり得る。ターゲティングオリゴヌクレオチドは、1つ以上のプライマー対、ライゲーションプローブ、分子反転プローブ、ライゲーション検出反応(LDR)プローブ、パッドロックプローブ、およびその任意の組み合わせを含むことができる。反応体積は、平均して、1コピーを超えるターゲティングオリゴヌクレオチド(oligonucleotid)および/または、平均して、1コピーを超える標的ポリヌクレオチドを含むことができる。前記反応体積は、さらに、基準ポリヌクレオチドに対するプライマーを含むことができる。いくつかの場合では、前記反応体積は、さらに、基準ポリヌクレオチドに対するライゲーションプローブを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、ライゲーションプローブを前記反応体積内で増幅する。
【0028】
胎児の遺伝子状態の検出方法で使用される胎児の遺伝子材料は、胎児の遺伝子材料を選択的に予め富化させた細胞サンプルに由来し得る。しかし、いくつかの実施形態では、胎児の遺伝子状態の検出方法で使用される胎児の遺伝子材料は、胎児の遺伝子材料を選択的に予め富化させた細胞サンプルに由来しない。
【0029】
標的ポリヌクレオチドは、18、13、21番染色体、およびX染色体からなる群から選択されるか、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10,11、12、13、14、15、16、17、18、19,20、21、22番染色体、X、またはY染色体からなる群から選択される染色体内に存在し得る。
【0030】
いくつかの場合では、前記反応体積は油相内の水滴であり、前記ターゲティングオリゴヌクレオチドはライゲーションプローブであり、前記決定工程は、前記ライゲーションプローブの増幅された産物を含む液滴の数を基準ポリヌクレオチドに向けられるライゲーションプローブの増幅された産物を含む液滴の数と比較することを含む。いくつかの場合では、前記基準ポリヌクレオチドは、胎児の遺伝子異常に関連しない染色体領域である。
【0031】
本明細書中に提供した方法および組成物で使用する場合、前記ターゲティングオリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後のライゲーションの際に環状になるライゲーションプローブであり得る。
【0032】
本開示はまた、組成物(マイクロカプセル組成物など)ならびに前記マイクロカプセル組成物の使用方法を提供する。いくつかの場合では、組成物はライゲーションされたプローブを含むマイクロカプセルであり、前記マイクロカプセルは、以下:a.複数のライゲーションプローブを遺伝子サンプル内の標的ポリヌクレオチドに選択的に結合させる工程、b.少なくとも1つの前記結合したライゲーションプローブの5’末端を同一または異なる結合したライゲーションプローブの3’末端にライゲーションし、それにより、少なくとも1つのライゲーション産物を得る工程、c.前記少なくとも1つのライゲーション産物を含む水溶液を液滴生成デバイスに導入する工程、d.前記少なくとも1つのライゲーション産物を含む水滴を産生するためのデバイスを使用する工程であって、前記水滴が不混和性流体内に存在する、使用する工程、および
e.前記液滴を、固相外面を含むマイクロカプセルに変換する工程によって得られる。いくつかの場合では、前記変換は、50℃超での加熱または70℃超での加熱を含む。不混和性液体(例えば、油)はフッ素化界面活性剤を含むことができる。いくつかの場合では、水相はフッ素化界面活性剤を含む。油はフッ化炭素油であり得る。油相は陰イオン性界面活性剤を含むことができる。油相は、アンモニウムクライトックスを含むことができる。いくつかの場合では、前記マイクロカプセルは、オリゴヌクレオチドに結合したビーズを含まない。前記マイクロカプセルは、70℃超の温度で実質的にインタクトなままであり得る。マイクロカプセルは、遺伝子障害に関連する標的ポリヌクレオチドに選択的に結合することができるライゲーションプローブを含むことができる。いくつかの場合では、前記ライゲーションプローブは、胎児異数性に関連する標的ポリヌクレオチドに選択的に結合することができる。いくつかの場合では、前記遺伝子標的は、21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体からなる群から選択される染色体内に存在する。いくつかの場合では、遺伝子標的は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10,11、12、13、14、15、16、17、18、19,20、21、22番染色体、X、またはY染色体内に存在する。
【0033】
マイクロカプセルは、1つ以上の前記ライゲーションプローブ(例えば、パッドロックプローブ、分子反転プローブ、ライゲーション検出反応(LDR)プローブ、環状プローブなど)を含むことができる。マイクロカプセルは、ライゲーション反応後の事前に環状化したプローブの線状化によって得られる線状プローブを含むことができる。いくつかの場合では、マイクロカプセルは環状化ライゲーションプローブを含む。いくつかの場合では、マイクロカプセルは、ライゲーション検出反応(LDR)の線状産物を含む。
【0034】
本明細書中に提供した組成物および方法はまた、2つ以上の水滴を含む油中水混合物であって、前記2つ以上の水滴のうちの少なくとも1つが第1の標的ポリヌクレオチドに向けられる第1のライゲーションプローブを含み、前記2つ以上の水滴のうちの少なくとも1つが第2の標的ポリヌクレオチドに向けられる第2のライゲーションプローブを含む、油中水混合物に関し得る。前記第1の標的ポリヌクレオチドおよび前記第2の標的ポリヌクレオチドは、同一の分子、または同一の配列もしくは構造物を有する異なる分子、または異なる配列もしくは構造物を有する異なる分子であり得る。いくつかの場合では、前記第1の標的ポリヌクレオチドは、前記第2の標的ポリヌクレオチドの配列と異なる配列を有する。いくつかの例では、前記第1の標的ポリヌクレオチドは、前記第2の標的ポリヌクレオチドと同一の配列を有する。前記第1の標的ポリヌクレオチドはゲノムセグメント内に第1の領域を含むことができ、前記第2の標的ポリヌクレオチドは前記ゲノムセグメント内に第2の領域を含むことができ、前記第1の領域は前記第2の領域と同一の配列を有さない。
【0035】
いくつかの場合では、前記油中水混合物は、さらに、アンモニウムクライトックス界面活性剤を含む。前記クライトックス界面活性剤は、前記混合物の油相中に少なくとも0.01%の濃度で存在し得る。
【0036】
いくつかの場合では、前記混合物は、酵素切断に供した環状プローブの線状化産物であるライゲーションプローブを含む。いくつかの場合では、前記混合物は環状化プローブ自体を含む。いくつかの場合では、ライゲーションプローブは、酵素切断部位を含むことができる(酵素切断がウラシル−N−グリコシラーゼまたは制限酵素によって触媒される場合など)。
【0037】
本発明は、母体および胎児の遺伝子材料の混合物中の標的配列の差分検出(differential detection)方法であって、a)母体および胎児の遺伝子材料の両方を含む母体組織を得る工程;b)遺伝子材料を個別のサンプルに分配する工程であって、各サンプルが、平均して、サンプルあたり約1つ以下の標的配列を含み、個別のサンプルが既知の標的配列に対するプライマー組および/または既知の基準配列に対する基準プライマー組を含む、分配する工程、c)増幅反応を行う工程、d)個別のサンプル中の標的配列または基準配列の存在を検出する工程、およびe)検出された標的配列の検出された基準配列に対する比を比較して、差分量の標的配列を決定する工程を含む、方法を含む。前記方法は、さらに、検出された標的配列の検出された基準配列に対する比を比較して差分量の標的配列を決定する工程であって、検出された標的配列の検出された基準配列に対する相違が胎児の遺伝子異常を示す、決定する工程を含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は胎児異数性の検出方法である。いくつかの場合では、標的配列は異数性のマーカーであり、基準配列は母体および胎児の遺伝子材料中の二倍体である。母体組織は、母体の末梢血、血漿、もしくは血清、または本明細書中に記載の他の組織であり得る。いくつかの実施形態では、反応サンプルは、乳濁液中の水相中に存在する。いくつかの場合では、標的配列または基準配列の存在の検出は、さらに、in situでの蛍光標識を有する核酸とのハイブリッド形成を含む。いくつかの場合では、反応サンプル数は少なくとも約10,000である。いくつかの場合では、工程b)〜e)を、異なる標的配列に対するプライマー組を使用して繰り返す。いくつかの場合では、反応体積は、特定の標的配列に対する各プライマー組を有する1つを超えるプライマー組を含む。いくつかの場合では、反応体積は、特定の基準配列に対する各プライマー組を有する1つを超える基準プライマー組を含む。使用することができるプライマー組の例には、ヒト21番染色体、ヒト18番染色体、ヒト13番染色体、またはヒトX染色体に特異的なプライマー組が含まれる。いくつかの場合では、異数性は、検出された標的配列の基準配列に対する比が1を超える場合に検出される。いくつかの場合では、異数性は、検出された標的配列の基準配列に対する比が1未満の場合に検出される。いくつかの場合では、標的配列は、CFTR、第VIII因子(F8遺伝子)、βグロビン、血色素症、G6PD、神経線維腫症、GAPDH、βアミロイド、またはピルビン酸キナーゼ遺伝子の少なくとも一部である。
参照による引用
本明細書中で言及された全ての刊行物および特許出願は、その全体および各刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参考として援用されることが示されるのと同一の範囲に参考として援用される。
【0038】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲中に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用した例示的実施形態を説明している以下の詳細な説明および添付の図面を参照してさらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、液滴デジタルPCRおよびライゲーションプローブの使用によって患者サンプル中のコピー数変動の検出のために取ることができる工程を示した概略図である。
【図2】図2は、サンプル中の染色体(またはその一部)の数の変化を検出するために従うことができる工程の例の略図である。
【図3】図3は、例示的な胎児異数性の診断方法のワークフローを示す。
【図4】図4は、2つの遺伝子標的を検出するための分子反転プローブ(MIP)の使用の略図である。
【図5】図5は、遺伝子標的の検出感度を増大させるためのMIPアプローチの多重化を示す。
【図6】図6は、切断せずにユニバーサルプライマーおよびユニバーサルプローブを使用した液滴中の核酸検出のための2色系を示す。
【図7】図7は、ライゲーション検出反応(LDR)およびその後の液滴中でのPCRを使用した2つの色調を用いた2つの遺伝子標的検出のためのスキームを示す。
【図8】図8は、検出感度を増強するための液滴中のLDR−PCRのための多重化オリゴヌクレオチドの使用を示す。
【図9】図9は、本明細書中に記載の方法および組成物によって得られるデータまたは結果の表示、保存、検索、または計算に有用なコンピュータを示す。
【図10】図10は、試験サンプルについてのテンプレートDNAの投入コピー数と陽性液滴数(またはカウント)との間の相関関係および3重MIP(上のパネル)と比較して12重MIP(下のパネル)を使用した場合の感度の増加を示す。
【図11】図11は、基準サンプルについての陽性液滴数(またはカウント)対テンプレートコピー数を示す。
【図12】図12は、異なるテンプレートコピー数および異なるMIP多重化レベルでのハイブリッド形成効率を示す。
【図13】図13は、1番染色体内の異なる領域に向けられる24個のMIPを示す(配列番号1〜24)。
【図14】図14は、21番染色体内の異なる領域に向けられる24個のMIPを示す(配列番号25〜48)。
【図15】図15は、1番染色体内の異なる領域に向けられるMIPの3重組(配列番号49〜51)および1番染色体内の異なる領域に向けられるMIPの12重組(配列番号52〜63)を示す。
【図16】図16は、21番染色体内の異なる領域に向けられるMIPの3重組(配列番号64〜66)および21番染色体内の異なる領域に向けられるMIPの12重組(配列番号67〜78)を示す。
【図17】図17は、MIP検出のための例示的なユニバーサルプライマーおよびプローブを示す(配列番号79〜82)。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
総括
本開示は、生物学的サンプル中の遺伝子変動の検出のための方法および組成物を提供する。いくつかの場合では、本開示は、生物学的サンプル内の標的ポリヌクレオチド(例えば、染色体、染色体フラグメント、遺伝子など)のコピー数の検出のための方法および組成物を提供する。いくつかの場合では、生物学的サンプル内の遺伝子の変異および/または一塩基多型(SNP)を検出するための方法および組成物も提供する。
【0041】
本開示はまた、母体組織由来の生物学的サンプルにおける胎児異数性または他の遺伝子異常の検出のための組成物および方法を提供する。しばしば、かかる生物学的サンプルは、母体および胎児の核酸(例えば、DNA、RNA)の混合物を含む。異数性は染色体異常であり、染色体またはそのフラグメントもしくはその一部のコピー数の逸脱をいう。本明細書中に記載の方法および材料は、母体および胎児の両方由来のDNA(および/またはDNAフラグメント)の混合物を含む組織サンプル(血液(全血または末梢血)、血清、または血漿など)中に含まれる多数の核酸の分析技術に適用され、胎児異数性を示し得る標的DNAレベルと基準DNAレベルとの間の小さな相違を検出可能である。
【0042】
本明細書中で使用する場合、コピー数変動(CNV)は、遺伝子材料セグメントの増加または損失をいう。ヒトには多数のCNV領域が存在し、一般集団の間で広範な遺伝的多様性が存在する。CNVはまた、多数のヒト遺伝子障害で役割を果たす。本方法は、転座、付加、増幅、転換、反転、異数性、倍数性、モノソミー、トリソミー、21トリソミー、13トリソミー、14トリソミー、15トリソミー、16トリソミー、18トリソミー、22トリソミー、三倍性、四倍性、および性染色体異常(XO、XXY、XYY、およびXXXが含まれるが、これらに限定されない)の検出に特に有用である。本方法はまた、胎児DNA配列の決定および胎児DNA内の変異の同定のための非侵襲的技術を提供する。
【0043】
本開示は、例えば、デジタルPCR(例えば、液滴デジタルPCR)および標的ポリヌクレオチドにハイブリッド形成した場合に直接または間接的に共にライゲーションされ得る特殊化プローブ(しばしば、本明細書中でライゲーションプローブ(例えば、分子反転プローブおよび他のプローブ)という)の使用によるCNV、遺伝子変動、および/または胎児異数性の検出手段を提供する。本明細書中に提供した方法では、標的ヌクレオチドまたは前記標的ヌクレオチドのプローブを含むサンプルを、複数の区画(例えば、液滴)に分割する。次いで、区画(例えば、液滴)をサーモサイクリング反応に供して標的ヌクレオチドまたは前記標的ヌクレオチドのプローブのいずれかを含む区画内のPCR反応を増強し、それにより、増幅された産物(例えば、増幅されたDNA、RNA、または他の核酸)を得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、単一プローブを、標的ポリヌクレオチド(例えば、分子反転プローブ)へのハイブリッド形成後にその末端にライゲーションする。他の実施形態では、ライゲーションプローブは、標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後に相互にライゲーションすることができる2つの個別の分子を含む。
【0045】
本明細書中に記載の組成物には、核酸プローブ型(例えば、分子反転プローブ、ライゲーションプローブなど)を含む2つ以上の不混和性流体(油および水など)の混合物を含む組成物が含まれる。他の場合では、本明細書中に記載の組成物は、核酸プローブ型(例えば、分子反転プローブ、ライゲーションプローブなど)を含むマイクロカプセルを含む。かかるマイクロカプセルは、特に高温での癒着に抵抗することができ、それゆえ、非常に高密度(例えば、単位体積あたりの反応数)で増幅反応を起こすことができる。
【0046】
図1は、液滴デジタルPCR(ddPCR)およびライゲーションプローブの使用によって患者由来のサンプル中のコピー数変動を検出するために取ることができる工程を示す概略図を提供する。ゲノム核酸(例えば、ゲノムDNAまたはRNA)のサンプルを、患者から得たサンプル(101)から抽出する(101)。プローブ(本明細書中に記載のライゲーションプローブなど)を、患者サンプル内の標的ヌクレオチド配列へハイブリッド形成させ(103)、ハイブリッド形成後、プローブを共にライゲーションし(104)、次いで、サンプルを、必要に応じて、酵素処理(例えば、エキソヌクレアーゼ)に供してゲノム核酸および残存する非ライゲーションプローブを分解する(105)。次いで、PCR反応成分(例えば、プライマー、蛍光検出プローブ、ポリメラーゼ、dNTPなど)をサンプルに添加し(106)、次いで、複数の液滴に分割する(107)。液滴形成後、液滴をサーモサイクリングに供してサンプル内のプローブを増幅させる(108)。次いで、陽性および陰性の液滴数を決定し(109)、これを使用して標的ポリヌクレオチドの相対コピー数を決定する。図1は分割手段である液滴を示しているが、当該分野で公知の他の分割手段を同様に使用することができる(例えば、ナノ流体デバイスまたはマイクロ流体デバイス内のウェルの間での分割など)。また、図1はコピー数変動の検出を示しているが、他の遺伝子状態を同様に検出することができる。
【0047】
サンプル内のコピー数の検出は、染色体異常(異数性が含まれる)の検出を含むことができる。図2は、母体サンプル中の胎児異数性を同定するために取ることができる工程の概要である。出発組織サンプル(201)は、母体および胎児のDNAの混合物を含む。DNAを抽出し、1番染色体(202)(基準染色体)および21番染色体(試験染色体)(203)のプローブと混合する。プローブを遺伝子標的に結合させ、次いで、複数の区画(204)に分割する。区画内のプローブを検出し、試験染色体(例えば、21番染色体)を含む区画の数を、基準染色体(例えば、1番染色体)を含む区画の数と比較し(205)、その後、21番染色体の相対コピー数を計算する。
【0048】
本開示は、母体組織(例えば、血液、血清、または血漿)の遺伝子状態についての分析であって、母体組織中の胎児および母体のDNAの混合物を胎児変異または遺伝子異常を母体DNAのバックグラウンドと区別するために分析する、分析を提供する。工程の組み合わせを使用して、母体および胎児由来のDNA(またはRNA)を含むDNAサンプルを分析して無細胞の末梢循環DNA配列の相対濃度を測定することができる。かかる濃度の相違を使用して、胎児DNAを示すDNAの微量画分中に存在する遺伝子状態を区別することができる。
【0049】
本方法は、デジタル分析を使用することができる。このデジタル分析では、サンプル中のDNAを複数のライゲーションしたプローブに変換し、これを反応体積中の名目上の単一のライゲーションしたプローブ分子に分割してサンプル混合物を作製する。例えば、反応体積は、液滴(不混和性液体中に分散した水層の液滴(米国特許第7,041,481号(その全体が本明細書中で参考として援用される)に記載のものなど)など)であり得る。各反応体積は、1つ未満の標的(例えば、標的ポリヌクレオチド、ターゲティングプローブ、または他の標的分子)または1つ以上の標的(例えば、標的ポリヌクレオチド、ターゲティングプローブ、または他のターゲティング分子)中に分布している可能性がある。標的分子を、各反応体積中で、好ましくは、増幅される標的配列として検出することができ、この検出は、標的配列の出発コピー数(すなわち、0、1、2、3など)の量子化(または定量化)を含むことができる。基準配列を使用して、標的配列中の異常な増加(例えば、トリソミー)を区別することができる。したがって、胎児異数性の存在を示す基準配列に対する標的配列の差分検出が存在し得る。基準配列が母体配列である必要はない。
【0050】
さらに、本方法は、直接または間接的な胎児の遺伝子材料を捕捉および検出のための広範なアプローチを使用することができる。本明細書中に記載の1つの方法は、ゲノムDNAに結合させるためのプライマー対の代わりの分子反転プローブ(MIP)(または他のオリゴヌクレオチドプローブ)の使用の組み合わせ、その後のMIPプローブを標的ポリヌクレオチド内の相補配列に結合させるためのハイブリッド形成工程、結合したプローブを環状化するためのライゲーション反応工程、残存する非環状化MIPプローブを消化するためのエキソヌクレアーゼ処理工程、酵素(ウラシル−N−グリコシラーゼなど)を使用して環状化したプローブを線状化する必要に応じた処理工程;環状化したプローブまたは線状化したプローブ(前は環状であった)を2つ以上の区分(例えば、液滴)に分割または細分割する分割工程を含む工程、その後の液滴デジタルPCRによるオリゴヌクレオチドプローブに固有の配列の増幅を含む増幅工程を含む。
【0051】
いくつかの場合では、多重化MIP(または他のオリゴヌクレオチド)を、本明細書中で、検出感度を改善するために使用する。例えば、かかる各MIPが同一染色体(例えば、21番染色体)上の異なる配列に結合する2つ以上のMIP群を使用することができる。いくつかの場合では、例えば、標的配列および基準配列を認識する複数のMIPを、異なる色調のフルオロフォアを使用して、増幅中に差分的に検出することができる。いくつかの場合では、単一の線状プローブのゲノムDNAへの結合およびその後のライゲーション反応により、環状分子が産生される。他の場合では、2つの線状プローブがゲノムDNAの近接領域に結合し、その後のライゲーション反応によってライゲーション検出反応(LDR)で検出することができるライゲーション依存性分子が産生される。
【0052】
本明細書中で使用する場合、ライゲーションという用語は、2つ以上の核酸(例えば、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド)の間の共有結合または連結をいう。しばしば、ライゲーションは、ポリヌクレオチド(例えば、ライゲーションプローブ)の5’末端の別のポリヌクレオチド(例えば、ライゲーションプローブ)または同一ポリヌクレオチドの3’末端へのライゲーションを含むことができる。結合または連結の性質は大きく異なり得、ライゲーションを酵素的または化学的に行うことができる。ライゲーションを通常は酵素的に行って、一方のオリゴヌクレオチドの末端ヌクレオチドの5’炭素と別のオリゴヌクレオチドの3’炭素との間にホスホジエステル結合を形成する。種々の結合駆動ライゲーション反応は、以下のリファレンスに記載されている:Whitely et al,米国特許第4,883,750号;Letsinger et al,米国特許第5,476,930号;Fung et al,米国特許第5,593,826号;Kool,米国特許第5,426,180号。
【0053】
本開示は、望ましくない材料(非結合ゲノムDNAおよび非ライゲーションプローブが含まれる)の除去および望ましい材料(ライゲーション産物が含まれる)の選択または単離のための方法および組成物を提供する。ライゲーション産物が環状であるいくつかの場合(MIPを含む反応など)、エキソヌクレアーゼ処理を使用して非結合ゲノムDNAおよび非ライゲーションプローブを除去する。いくつかの場合では、次いで、環状ライゲーション産物を、プローブ中のウラシル残基を脱プリン化する酵素(ウラシル−N−グリコシラーゼなど)での処理を使用して放出させる。これらの場合、加熱の際に脱塩基部位が切断され、線状化したライゲーション産物が得られる。
【0054】
種々の方法を使用して検出することができる。いくつかの場合では、ライゲーション産物を、単一分子内の蛍光剤−消光剤対を含む少なくとも1つの検出プローブの伸長によってDNA合成が進行する液滴デジタルPCR反応を使用して検出する。蛍光剤は、光または他の電磁放射線の吸収後に検出可能な光を放射する分子(例えば、フルオロフォア)をいう。消光剤は、物質の蛍光強度を減少させる分子をいい、蛍光剤−消光剤対の場合、消光剤は、放射する検出可能な光の吸収によって共有結合した蛍光剤の検出を減少させることができる。DNA合成過程中、ポリメラーゼ酵素(Taqポリメラーゼなど)の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によって検出プローブが切断され、それにより、消光剤から蛍光剤が放出される。種々の蛍光検出法が放出された蛍光剤を検出することができるが、蛍光剤−消光剤対を検出できない。いくつかの実施形態では、ライゲーション産物の検出により、胎児または母体の遺伝子材料中の特異的配列(標的配列または基準配列など)の存在が定量的に測定される。
【0055】
本開示は、さらに、サンプルが液滴デジタルPCRを使用して検出される任意の生物由来のDNA、RNA、またはcDNAを含み得る、目的の核酸分子の検出のための組成物および方法を提供することができる。いくつかの場合では、サンプルを、ライゲーション反応を使用して単離し、いくつかの場合、その後にエキソヌクレアーゼ処理を行って望ましくない材料を除去する。いくつかの実施形態では、液滴が乳濁液中の水相に懸濁されたPCR用試薬およびPCR反応によって検出可能な1つ以上のライゲーション産物を含む、液滴デジタルPCRの蛍光モニタリングによって検出する。
【0056】
組織の取得および調製
本開示の方法および組成物は、胎児または母体の遺伝子材料を得るための手段を提供する。本方法および組成物は、侵襲的な外科手順、羊水穿刺、絨毛膜絨毛サンプリングなどを必要としない標的ポリヌクレオチドのコピー数の相違の検出を提供する。他の場合では、本方法および組成物は、より侵襲的な試験(外科的手順など)に付加するか、補助するか、予備工程であるか、または付随して使用すべきサンプル(例えば、血液サンプル)由来の標的ポリヌクレオチドのコピー数の相違の検出を提供する。しばしば、胎児/母体遺伝子材料を、採血または本明細書中に提供した他の方法によって得る。いくつかの好ましい実施形態では、出発物質は、母体血漿または末梢血(母体の末梢静脈血など)である。末梢血球の特定の細胞型(例えば、単核球、赤血球、CD4+細胞、CD8+細胞、B細胞、T細胞、またはNK細胞など)を富化させることができる。末梢血球の特定の細胞型(例えば、単核球、赤血球、CD4+細胞、CD8+細胞、B細胞、T細胞、またはNK細胞)を選択的に枯渇させることもできる。出発物質はまた、骨髄由来単核球であり得る。出発物質はまた、胎盤(例えば、胎盤細胞)または臍帯(例えば、臍帯静脈内皮細胞、臍帯動脈平滑筋細胞、臍帯血細胞)から直接抽出した組織を含むことができる。出発物質はまた、例えば、胎児組織(例えば、胎児の線維芽細胞または血球)の形態で胎児に直接由来し得る。出発物質はまた、乳児または小児(新生児組織が含まれる)に由来し得る。
【0057】
この出発物質を、いくつかの場合、病院、研究所、臨床検査室、または医学研究所から入手することができる。いくつかの実施形態では、サンプルを、少なくとも妊娠4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26週の被験体(例えば、妊婦)から取る。いくつかの実施形態では、被験体は、遺伝的疾患を罹患しているか、遺伝的疾患のキャリアであるか、遺伝的疾患の発症または遺伝のリスクがあり、遺伝的疾患は、遺伝子変動(変異、挿入、付加、欠失、転座、点変異、トリヌクレオチド反復障害、および/または一塩基多型(SNP)など)に関連し得る任意の疾患である。他の実施形態では、妊娠可能年齢の女性患者からサンプルを採取し、いくつかの場合では、女性患者は、妊娠していないか、妊娠状態であるか未知である。さらに他の場合では、被験体は、男性患者、妊婦の夫、または特定の遺伝子異常のリスクがあるか、診断されたか、有する男性患者である。いくつかの場合では、女性患者は、遺伝的疾患または遺伝子変動に苦しんでいるか、キャリアであるか、特定の遺伝子異常のリスクがあるか、診断されたか、有することが公知である。いくつかの場合では、遺伝的疾患または遺伝子変動に関する女性患者の状態は未知であってよい。さらなる実施形態では、遺伝子配列のコピー数変動に関して公知または未知の状態の任意の小児または成人の患者からサンプルを採取する。いくつかの場合では、小児または成人の患者は、遺伝的疾患または遺伝子変動に苦しんでいるか、キャリアであることが公知である。
【0058】
本明細書中に提供した方法および組成物の利点は、妊娠期間の比較的早期に、および母体血漿中の胎児核酸(例えば、DNA、RNA)の総濃度が低い段階での胎児核酸(例えば、DNA、RNA)の検出が可能な点である。出発物質の胎児濃度は、母体サンプル中の総母体ゲノムDNA負荷量の少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%、好ましくは総母体ゲノムDNA負荷量の少なくとも3%であり得る。いくつかの場合では、胎児DNA濃度は、母体サンプル中の総母体ゲノムDNA負荷量の約0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%未満であり得る。出発物質が1つの量(H)で存在するポリヌクレオチド型(例えば、DNA、RNA)およびHと比較して少量で存在するポリヌクレオチド型(例えば、DNA、RNAなど)を含む場合、出発物質のL濃度は、サンプル中の総H濃度の少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%、好ましくはHの少なくとも3%であり得る。いくつかの場合では、Lは、サンプル中の総H量の約0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%未満であり得る。
【0059】
いくつかの場合では、試験用の十分な核酸を得るために、少なくとも1、2、3、4、5、10、20、25、30、35、40、45、または50mLを採血する。この血液量から、総DNAの少なくとも1,000ゲノム当量(GE)を得ることができる。総DNAは、妊娠初期でおよそ1,000GE/mL母体血漿および総血漿DNAの約3.5%の胎児DNA濃度で存在する。しかし、あまり統計的有意性を必要としない遺伝子スクリーニングにはより少なく採血することができるか、またはDNAサンプルは胎児DNAについて富化する。また、胎児DNA濃度は、在胎期間に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、胎児のDNAまたはRNAを、下記のように、無核成人赤血球と異なる赤血球、特に胎児有核赤血球の単離によって富化することができる。他の実施形態では、赤血球を母体血サンプルから取り出し、遺伝子材料を母体血漿から得ることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、出発物質は、固形組織(非限定的な例には、脳、肝臓、肺、腎臓、前立腺、卵巣、脾臓、リンパ節(扁桃腺が含まれる)、甲状腺、膵臓、心臓、骨格筋、腸、喉頭、食道、および胃が含まれる)を含む組織サンプルであり得る。他の実施形態では、出発物質は、核酸を含む細胞(結合組織、筋組織、神経組織、および上皮細胞、特に露出した上皮細胞(皮膚細胞および毛髪細胞など)が含まれる)であり得る。さらに他の実施形態では、出発物質は、任意の生物由来の核酸を含むサンプルであり得る。本明細書中に概説のように、出発物質から遺伝子材料を得て液滴デジタルPCRによって検出することができる。
【0061】
胎児材料の富化
胎児細胞を、胎児細胞および母体細胞の混合物を含む母体サンプルから富化することができる。かかる富化は、いくつかの場合では、胎児濃度が総母体ゲノムDNA(またはRNA)負荷量の少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%である場合に起こり得る。かかる富化は、いくつかの場合では、胎児濃度が総母体ゲノムDNA(またはRNA)負荷量の0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%超である場合に起こり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、胎児細胞をアフィニティ法によって富化する。この方法は、非胎児細胞と比較して胎児細胞に対してより高い親和性を有する分子(胎児特異的抗体など)とコンジュゲートした固体構造物上の胎児細胞集団(collection)を含むことができる。固体構造物の非限定的な例には、ポリマー表面、磁性ビーズ、ポリマービーズ、およびマイクロ流体チャネルの表面が含まれる。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルの胎児細胞を、本明細書中に記載の方法または組成物の前にもその一部としても富化しない。いくつかの実施形態では、胎児細胞をアフィニティ法によって富化しない。いくつかの実施形態では、胎児細胞を、胎児特異的抗体の使用によって富化しない。いくつかの場合では、胎児細胞を、マイクロ流体デバイスへのサンプルの導入によって富化しない。
【0063】
フローサイトメトリー技術を使用して、胎児細胞を富化することもできる(Herzenberg et al.,PNAS 76:1453−1455(1979);Bianchi et al.,PNAS 87:3279−3283(1990);Bruch et al.,Prenatal Diagnosis 11:787−798(1991))。米国特許第5,432,054号はまた、ポリエチレン製の広い上部と狭い毛管下部を有する管を使用した胎児有核赤血球の分離技術を記載している。いくつかの場合では、本方法または組成物を使用して分析したサンプル中の胎児細胞を富化するためにフローサイトメトリーを使用しない。可変速度プログラムを使用した遠心分離により、分子密度に基づいて毛管中に赤血球が積み重なる。低密度赤血球(胎児赤血球が含まれる)を含む密度画分を回収し、次いで、母体赤血球が優先的に破壊されるように差分的に溶血させる。高浸透圧媒体における密度勾配を使用して赤血球を分離し、この時点でリンパ球由来の胎児赤血球を富化し、母体細胞を破壊する。高張液の使用によって赤血球が収縮し、その密度が増加し、より高密度のリンパ球からの精製が容易になる。胎児細胞を単離した後、本明細書中に詳述した標準的技術を使用して、胎児DNAを精製することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、Li et al.,(2005)J.Amer.Med.Assoc.293:843−849に記載のように、母体血を総DNA中の胎児DNA濃度が富化されるように処理することができる。簡潔に述べれば、真空ポンプと組み合わせた市販のカラムテクノロジー(例えば、Roche High PureテンプレートDNA精製キット;Roche)を使用して、循環DNAを5〜10mLの母体血漿から抽出することができる。抽出後、DNAをアガロースゲル(1%)電気泳動(Invitrogen)によって分離することができ、サイズがおよそ300ヌクレオチドの循環DNAを含むゲル画分を慎重に切り出すことができる。抽出キット(QIAEX II Gel Extraction Kit;Qiagen)の使用によってDNAをこのゲルスライスから抽出し、最終体積が40μLの滅菌10mM TRIS−塩酸(pH8.0)(Roche)に溶出することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、遊離胎児DNAを、全細胞を含む母体血サンプルから単離する。好ましい実施形態では、遊離胎児DNAを母体血漿サンプルから単離する。いくつかの実施形態では、血漿サンプルは、インタクトな細胞の少なくとも50%、75%、または95%を含まない。いくつかの実施形態では、血漿は、インタクトな細胞を完全に含まない。
【0066】
2004年7月15日公開で発明の名称が「Methods for detection of genetic disorders」であるDhallan,Ravinder Sに対する米国特許出願公開第20040137470号は、血液を9mlのEDTAを含むVacuette管(カタログ番号NC9897284)に回収し、ホルムアルデヒド(4%w/v)を含む0.225mlの10%中性緩衝液を各管に添加し、各管を穏やかに反転させるという胎児DNAの富化手順を記載している。処理の準備が整うまで管を4℃で保存する。細胞溶解を妨害するか細胞膜を安定化する薬剤を管に添加することができる(ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒドの誘導体、ホルマリン、グルタルアルデヒドおよびグルタルアルデヒドの誘導体、架橋剤、第一級アミン反応性架橋剤、スルフヒドリル反応性架橋剤、スルフヒドリル付加またはジスルフィド還元、炭水化物反応性架橋剤、カルボキシル反応性架橋剤、光反応性架橋剤、分解性架橋剤などが含まれるが、これらに限定されない)。任意の濃度の細胞膜を安定化させるか細胞溶解を妨害する薬剤を添加することができる。好ましい実施形態では、細胞膜を安定化させるか細胞溶解を妨害する薬剤を、その後の反応を妨害も遅延もしない濃度で添加する。
【0067】
別の実施形態では、サンプル中の母体DNA量を実質的に減少させる技術および/またはプロトコール(遠心機のブレーキ出力を0に設定した(遠心機のブレーキを使用しない)サンプルの遠心分離、「バフィコート」の妨害が最小であるか全くない新規の管への上清の移動、および上清の一部のみの新規の管への移動が含まれるが、これらに限定されない)を使用してDNAを単離する。好ましい実施形態では、遠心機の加速力および制動力の両方を0に設定する。別の実施形態では、サンプル中の母体DNA量を実質的に減少させる技術および/またはプロトコール(遠心機の加速力を0に設定したサンプルの遠心分離、「バフィコート」の妨害が最小であるか全くない新規の管への上清の移動、および上清の一部のみの新規の管への移動が含まれるが、これらに限定されない)を使用してDNAを単離する。別の実施形態では、「バフィコート」を、任意の適用可能な方法を使用して(「バフィコート」を取り出すためのシリンジまたはニードルの使用が含まれるが、これらに限定されない)上清の取り出し前に管から取り出す。別の実施形態では、遠心機の制動力を、最大制動力の1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、90〜95%、95〜99%を含むが、これらに限定されないパーセンテージに設定する。
【0068】
別の実施形態では、遠心機の加速力を、最大加速力の1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、90〜95%、95〜99%を含むが、これらに限定されないパーセンテージに設定する。別の実施形態では、本発明は、遊離胎児DNAおよび遊離母体DNAを含む組成物であって、この組成物は、遊離胎児DNAの遊離母体DNAに対する関係(少なくとも約15%の遊離胎児DNA、少なくとも約20%の遊離胎児DNA、少なくとも約30%の遊離胎児DNA、少なくとも約40%の遊離胎児DNA、少なくとも約50%の遊離胎児DNA、少なくとも約60%の遊離胎児DNA、少なくとも約70%の遊離胎児DNA、少なくとも約80%の遊離胎児DNA、少なくとも約90%の遊離胎児DNA、少なくとも約91%の遊離胎児DNA、少なくとも約92%の遊離胎児DNA、少なくとも約93%の遊離胎児DNA、少なくとも約94%の遊離胎児DNA、少なくとも約95%の遊離胎児DNA、少なくとも約96%の遊離胎児DNA、少なくとも約97%の遊離胎児DNA、少なくとも約98%の遊離胎児DNA、少なくとも約99%の遊離胎児DNA、および少なくとも約99.5%の遊離胎児DNAが含まれるが、これらに限定されない)を含む、組成物に関する。
【0069】
さらに、細胞膜を安定化させる薬剤(アルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、DMAE(ジメチルアミノエタノール)、コレステロール、コレステロール誘導体、高濃度のマグネシウム、ビタミンE、およびビタミンE誘導体、カルシウム、グルコン酸カルシウム、タウリン、ナイアシン、ヒドロキシルアミン誘導体、ビモクロモル、スクロース、アスタキサンチン、グルコース、アミトリプチリン,異性体Aホパンテトラルフェニルアセタート、異性体Bホパンテトラルフェニルアセタート、シチコリン、イノシトール、ビタミンB、ビタミンB複合体、コレステロールヘミスクシナート、ソルビトール、カルシウム、補酵素Q、ユビキノン、ビタミンK、ビタミンK複合体、メナキノン、ゾネグラン、亜鉛、イチョウ抽出物、ジフェニルヒダントイン、ペルフトラン、ポリビニルピロリドン、ホスファチジルセリン、テグレトール、PABA、二ナトリウムクロモグリカート(cromglycate)、ネドクロミルナトリウム、フェニロイン、クエン酸亜鉛、メキシチール、ジランチン、ヒアルロン酸ナトリウム、またはポロクサマー(polaxamer)188が含まれるが、これらに限定されない)を母体血に添加して母体細胞溶解を減少させることができる。別の実施形態では、細胞の構造完全性を保存するか安定化させる薬剤を使用して、細胞溶解量を減少させることができる。別の実施形態では、母体血中の遊離母体DNA量を減少させる任意のプロトコールを、サンプルを得る前に使用することができる。別の実施形態では、サンプルを得る前に、妊婦は、0〜5、5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45、45〜50、50〜55、55〜60、60〜120、120〜180、180〜240、240〜300、300〜360、360〜420、420〜480、480〜540、540〜600、600〜660、660〜720、720〜780、780〜840、840〜900、900〜1200、1200〜1500、1500〜1800、1800〜2100、2100〜2400、2400〜2700、2700〜3000、3000〜3300、3000〜3600、3600〜3900、3900〜4200、4200〜4500分間、および4500分間超が含まれるが、これらに限定されない期間、身体活動を行わずに休憩する。別の実施形態では、妊婦がリラックスした状態に到達した後に、妊婦からサンプルを得る。サンプルを得る前の休憩期間により、サンプル中の母体核酸量を減少させることができる。別の実施形態では、午前中に(4〜5am、5〜6am、6〜7am、7〜8am、8〜9am、9〜10am、10〜11am、および11〜12amが含まれるが、これらに限定されない)、妊婦からサンプルを得る。別の実施形態では、妊婦が、0〜1、1〜2、2〜3、3〜4、4〜5、5〜6、6〜7、7〜8、8〜9、9〜10、10〜11、11〜12時間、または12時間超が含まれるが、これらに限定されない期間、眠った後に、妊婦からサンプルを得る。別の実施形態では、サンプルを得る前に、妊婦は一定期間運動し、その後に休憩する。別の実施形態では、運動期間には、0〜15、15〜30、30〜45、45〜60、60〜120、120〜240分間、または240分間超が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、DNAの破壊を防止する薬剤(DNアーゼインヒビター、塩化亜鉛、エチレンジアミン四酢酸、グアニジン−HC1、グアニジンイソチオシアナート、N−ラウロイルサルコシン、およびドデシル硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない)を、血液サンプルに添加することができる。別の実施形態では、胎児DNAを胎児細胞から得る。前記胎児細胞を、供給源(母体血、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、胚組織、および母体の子宮頸部または膣から得た粘膜が含まれるが、これらに限定されない)から単離することができる。
【0070】
別の実施形態では、細胞溶解量を減少させる任意の採血の技術、方法、プロトコール、または装置を使用することができる(ラージボアニードル、より短い針、層流を増加させるためのニードルコーティング(例えば、テフロン(登録商標))、層流を増加させるための針の斜端の改変、または血流の速度を減少させる技術が含まれるが、これらに限定されない)。胎児細胞は、母体の免疫系によって母体血中で破壊される可能性がある。しかし、母体細胞溶解の大部分は採血または血液サンプルの処理の結果として起こる可能性がある。したがって、細胞溶解を防止または減少させる方法は、サンプル中の母体DNA量を減少させ、遊離胎児DNAの相対比率を増加させる。
【0071】
この試薬の使用プロトコールの例を以下に示す。処理するまで血液を4℃で保存する。制動力を0に設定した遠心機にて管を1000rpmで10分間回転する。管を1000rpmで10分間という第2の時間で回転する。各サンプルの上清(血漿)を新規の管に移し、ブレーキを0に設定して3000rpmで10分間回転する。上清を新規の管に移し、−80℃で保存する。母体細胞を含む約2ミリリットルのバフィコートを個別の管に入れ、−80℃で保存する。
【0072】
DNAまたはRNAの抽出
ゲノムDNAを、当該分野で公知の技術を使用して(血球からのDNAの精製のためのQiagen Midiキットの使用など)血漿(例えば、母体血漿)から単離することができる。DNAを、100μlの蒸留水中で溶離することができる。Qiagen Midiキットも使用して、バフィコート中に含まれる母体細胞からDNAを単離する。かかる目的のためにQIAamp循環核酸キットも使用することができる(例えば、http://www.qiagen.com/products/qiaampcirculatingnucleicacidkit.aspxを参照のこと)。
【0073】
ポリヌクレオチド(例えば、DNA)の抽出方法はまた、液体抽出(例えば、Trizol、DNAzol)技術の使用を含むことができる。
【0074】
例えば、出発サンプル(例えば、血液または血漿)の出発体積は15〜30mlであり得、これから約100〜200μlのDNAまたは他のポリヌクレオチドを抽出することができる。次いで、200μlの抽出サンプルのDNAを、より小さな体積(例えば、5μl、10μl)の最終サンプルに変換する(または濃縮する)ことができる。いくつかの場合では、出発サンプルの体積は、最終サンプルの体積の2、5、10、20、30、40、50、75、100、500、1000、5000、10,000、50,000、100,000、500,000、または1,000,000倍超であり得る。最終サンプルはまた、液滴生成用デバイスに導入されるサンプルであり得る。
【0075】
最終サンプルは、1〜20μlの体積であり得る。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100μlを超える。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100μl未満である。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100nlを超える。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100nl未満である。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100plを超える。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100pl未満である。
【0076】
いくつかの実施形態では、DNAを、公知の方法(遠心分離および種々の酵素インヒビター(例えば、DNアーゼ用)の使用が含まれる)によって濃縮することができる。DNAを選択膜(例えば、シリカ)に結合させてDNAを夾雑物から分離することができる。1000、500、400、300、200、または100塩基対長未満である血漿中に循環するフラグメントについてDNAを富化させることもできる。このサイズ選択を、DNAサイズ分離媒体(電気泳動ゲルまたはクロマトグラフィ材料(Huber et al.(1993)Nucleic Acids Res.21:1061−6)、ゲル濾過クロマトグラフィ、TSKゲル(Kato et al.(1984)J.Biochem、95:83−86)など)にて行うことができる。いくつかの場合では、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)を、選択的に沈殿させるか、濃縮するか(例えば、サンプルを蒸発に供することができる)、固相媒体を使用して選択的に捕捉することができる。沈殿後、DNAまたは他のポリヌクレオチドを、少しのの体積に再構成または溶解することができる。少しの体積であることにより、プローブの標的ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成が可能であり得るか、ハイブリッド形成の改善が可能であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、出発物質は、細胞または組織(結合組織、筋組織、神経組織、血球、または上皮細胞が含まれる)を含むことができる。いくつかの場合では、非核酸材料を、酵素処理(プロテアーゼ消化など)を使用して出発物質から除去することができる。他の非核酸物質を、いくつかの場合、膜破壊界面活性剤での処理および/または溶解方法(例えば、超音波処理、フレンチプレス、凍結融解、ダウンス)によって除去し、その後に遠心分離して核酸含有画分を核酸を含有しない画分から分離することができる。抽出された核酸は、当該分野内で十分に確立されているプロトコールを使用した任意の適切なサンプル(以下の核酸含有サンプル:組織、体液(例えば、血液、血清、血漿、唾液、尿、涙、腹腔液、腹水、膣分泌物、乳汁、母乳、リンパ液、脳脊髄液、または粘膜分泌物)、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、胚、2細胞期の胚、4細胞期の胚、8細胞期の胚、16細胞期の胚、32細胞期の胚、64細胞期の胚、128細胞期の胚、256細胞期の胚、512細胞期の胚、1024細胞期の胚、胚組織、リンパ液、脳脊髄液、粘膜分泌物、または他の身体滲出物、糞便、核酸を含むかかる供給源の個別の細胞または抽出物、および細胞内構造物(ミトコンドリアなど)が含まれるが、これらに限定されない)に由来し得る。
【0078】
好ましい実施形態では、血液を、マグネシウムキレート剤(EDTAが含まれるが、これらに限定されない)を含む装置に回収することができ、そしてそれは4℃で保存される。必要に応じて、カルシウムキレート剤(EGTAが含まれるが、これらに限定されない)を添加することができる。別の実施形態では、細胞溶解インヒビター(ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド誘導体、ホルマリン、グルタルアルデヒド、グルタルアルデヒド誘導体、タンパク質架橋剤、核酸架橋剤、タンパク質および核酸架橋剤、第一級アミン反応性架橋剤、スルフヒドリル反応性架橋剤、スルフヒドリル(sultydryl)付加またはジスルフィド還元、炭水化物反応性架橋剤、カルボキシル反応性架橋剤、光反応性架橋剤、分解性架橋剤が含まれるが、これらに限定されない)を母体血に添加する。
【0079】
血漿RNA抽出は、Enders et al.(2003),Clinical Chemistry 49:727−731に記載されている。簡潔に述べれば、遠心分離工程後に採取された血漿を、Trizol LS試薬(Invitrogen)およびクロロホルムと混合することができる。混合物を遠心分離し、水層を新規の管に移すことができる。エタノールを水層に添加する。次いで、製造者の推奨にしたがって混合物をRNeasyミニカラム(Qiagen)にアプライし、処理する。
【0080】
抽出した材料が一本鎖RNA、二本鎖RNA、またはDNA−RNAハイブリッドを含むいくつかの場合、これらの分子を、当該分野で公知の技術を使用して二本鎖DNAに変換することができる。例えば、逆転写酵素を使用して、RNA分子からDNAを合成することができる。いくつかの場合では、RNAのDNAへの変換にはリンカーフラグメントをRNAにライゲーションするための事前のライゲーション工程が必要であり得、それにより、ユニバーサルプライマーを使用して逆転写を開始することが可能である。他の場合では、例えば、mRNA分子のポリAテールを使用して、逆転写を開始させることができる。DNAへの変換後、本明細書中に詳述の方法を使用して、いくつかの場合では、所望の配列をさらに捕捉、選択、タグ化、または単離することができる。
【0081】
本説明は胎児DNAの全体に至るまで言及しているが、母体血中で見出される胎児RNA(通常はRNAも)を同様に分析することができる。以前に記載のように(「胎盤起源のmRNAは母体血漿中で容易に検出可能である」)(Ng et al.(2003)Proc.Nat.Acad.Sci.100:4748−4753)、各リアルタイムRT−PCRアッセイを使用して分析した場合、hPL(ヒト胎盤性ラクトゲン)およびhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)mRNA転写物は母体血漿中で検出可能である。本方法では、胎盤中で発現し、かつ目的の染色体上に存在する遺伝子をコードするmRNAを使用することができる。例えば、DSCR4(ダウン症候群必要不可欠領域4)は21番染色体上に見出され、胎盤中でおもに発現される。そのmRNA配列を、GenBank NM_005867で見出すことができる。この場合、検出用cDNAを調製するためにRNアーゼHマイナス(RNアーゼH−)逆転写酵素(RT)を使用することが好ましい。RNアーゼH−RTはいくつかの製造者(SuperScript(TM)II(Invitrogen)など)から入手可能である。逆転写酵素PCRを、染色体DNAについて本明細書中に記載のように使用することができる。RNAには、siRNA、miRNA、cRNA、tRNA、rRNA、mRNA、または任意の他のRNA型が含まれ得る。
【0082】
ライゲーションプローブ
いくつかの好ましい実施形態では、標的ポリヌクレオチドを、1つ以上のライゲーションプローブ(時折、本明細書中で「ライゲーション可能プローブ」ともいう)の使用によってタグ化、選択、捕捉、単離、および/または処理する。ライゲーションプローブは、以下のいずれかを含む:(1)「環状化可能プローブ」(単一のポリヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチド)の各末端(5’および3’)が標的ポリヌクレオチドの近接領域または隣接領域に結合し、かかる結合後、ライゲーション反応によってプローブの5’末端を3’末端に連結し、それにより、プローブを環状化することができる)、または(2)2つのポリヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチド)プローブ(2つのプローブの標的ポリヌクレオチド内の領域への結合後、一方のプローブの5’末端を異なるプローブの3’末端にライゲーションすることができる)。2つのかかるプローブの標的ポリヌクレオチドの隣接配列または近接配列へのハイブリッド形成後、ライゲーション反応によって2つのプローブが共に1つの線状プローブに連結される。
【0083】
いくつかの実施形態では、ライゲーションプローブはまた、以下を含むことができる:酵素切断部位、ユニバーサルプライマー部位、および/またはユニバーサルプローブ結合部位。いくつかの実施形態では、ライゲーションプローブはその5’末端でリン酸化されている。他の実施形態では、ライゲーションプローブはその5’末端でリン酸化されていない。かかる5’末端でのリン酸化により、ギャップ充填反応を必要とすることなく標的ポリヌクレオチドの近接領域に結合する同一の(または異なる)ライゲーションプローブの5’末端の3’末端へのライゲーションが可能となり得る。他の場合では、5’末端のリン酸化を用いずにプローブを合成する。かかる場合、5’末端が同一の(または異なる)プローブの3’末端の結合部位に隣接するが直接近接しない領域に結合するようにプローブをデザインする。かかるプローブのライゲーションは、ギャップ充填または伸長反応をさらに必要とする場合もある。
【0084】
いくつかの実施形態では、ライゲーションプローブは分子反転プローブである。米国特許第7,368,242号は、分子反転プローブおよびサンプル中の標的ポリヌクレオチドとの相互作用後にアンプリコンを生成するための使用方法を記載している。遺伝子標的中の隣接領域が分子反転プローブ(または他のライゲーションプローブ)の相補領域と安定な二重鎖を形成することが可能な条件下でプローブの線状バージョンを、標的ポリヌクレオチドを含むサンプルと組み合わせる。一般に、プローブの5’末端は標的配列の1つに結合し、プローブの3’末端は近接配列に結合し、それにより、ループ構造物が形成される。標的特異的領域の末端は相互に隣接し得るか(ニックによって分離されている)、その間にいくつかの(例えば、1〜10ヌクレオチド)ギャップが存在し得る。いくつかの実施形態では、ギャップは、5、10、20、30、40、50、100、200、300、400、または500ヌクレオチドを超える。いくつかの好ましい実施形態では、標的特異的領域は直接近接している(例えば、0個のヌクレオチドによって分離されている)。いずれかの場合、標的特異的領域のハイブリッド形成後、2つの標的特異的領域の末端をライゲーション反応または多伸長反応によって共有結合し、その後にギャップ充填反応を使用してライゲーション反応を行う。
【0085】
図4は、2つの遺伝子標的を検出するための分子反転プローブ(MIP)の使用の略図である。1つの遺伝子標的は1つのプローブ(MIP1−1)によって認識され、第2の遺伝子標的は第2のプローブ(MIP2−1)によって認識される。MIPの遺伝子標的への結合後、ライゲーション反応を行って結合したMIPプローブの5末端を3末端にライゲーションし、それにより、環状MIPを形成する。いくつかの場合では、MIPプローブは、1つ以上のヌクレオチドによって分離された隣接DNAの2つの配列に結合する。かかる場合、ギャップ充填(または伸長)反応を行ってテンプレートとして標的DNAを使用してギャップ中に充填する。MIPのその標的配列への結合後、MIPはループを形成し、プローブ配列を反転させることができる(図4を参照のこと)。この反転の後にライゲーション反応を行い、反転した分子の末端をライゲーションして環状化したプローブを形成することができる。
【0086】
MIPプローブのDNAへの結合(および必要に応じたギャップ充填反応)後、リガーゼ酵素を使用してライゲーション反応を行ってMIPプローブを環状化する。次いで、環状MIPプローブを、未使用の線状一本鎖プローブ、一本鎖線状ゲノムDNA、および二本鎖線状ゲノムDNAを消化するエキソヌクレアーゼ消化中で保持する。次いで、液滴デジタルPCRによる分析のための液滴中で環状MIPをPCR試薬と合わせる。いくつかの実施形態では、環状プローブを、PCR反応前またはPCR反応中に線状化する。図4に示すように、プローブは、酵素切断部位(例えば、ウラシルN−グリコシラーゼ酵素による酵素切断に感受性を示す一連のウラシル残基)を含む部位を含むことができる。いくつかの場合では、ポリヌクレオチドを切断して線状分子を形成する酵素切断工程が存在する。他の場合では、この工程で酵素切断工程が存在せず、ポリヌクレオチドが環状のままである。次に、ライゲーションしたMIPプローブ(環状化されているか、線状であるか、その両方の混合物であるかのいずれか)を、1つ以上の区分の間で細分割する。好ましくは、区分は液滴(例えば、油相内の水滴)である。次いで、液滴をサーマルサイクリング反応に供する。サーマルサイクリング反応中に、線状化されたMIP(またはいくつかの場合では、環状MIP)は、ユニバーサル順方向プライマー(UF1またはUF2)およびユニバーサル逆方向プライマー(UR1またはUR2)によってプライミングされる反応のためのテンプレートとして働く。増幅中に、各MIP中の配列にハイブリッド形成するユニバーサルプローブ(UP1またはUP2)を、プローブの蛍光側がプローブの消光剤側から分離されるように切断する。この切断の結果として、プローブの蛍光剤側由来の蛍光が増加する。
【0087】
いくつかの実施形態では、ギャップ充填反応を5’→3’重合活性を有するポリメラーゼによって行う。この方法で有用なポリメラーゼには、ニック部位で5’−3’重合を開始するポリメラーゼが含まれる。ポリメラーゼはまた、ニックから下流側の重合鎖を置換することもできる。いくつかの実施形態では、ギャップ充填反応のために使用されるポリメラーゼは、いかなる5’→3’エキソヌクレアーゼ活性も欠く。通常はかかるエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼは、この活性がブロッキング剤の添加によってブロッキングされる場合、ポリメラーゼのドメインまたはフラグメント(かかるドメインまたはフラグメントが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を行う)が欠失、変異、そうでなければ修飾される場合、ポリメラーゼが化学修飾される場合、または当該分野で公知の任意の他の方法による場合にかかる活性を欠き得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、ギャップ充填反応のために使用されるポリメラーゼは、3’→5’エディティングエキソヌクレアーゼ活性を含む。適切なポリメラーゼの例には、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント、DNAポリメラーゼIのエキソヌクレアーゼ欠損クレノウフラグメント、およびBstポリメラーゼ由来の類似のフラグメント(Bio−Rad,Richmond,Calif.)が含まれる。AmpliTaqDNAポリメラーゼのシュトッフェルフラグメント(Life Technologies、Carlsbad、CA)と同様に、シーケナーゼ1.0およびシーケナーゼ2.0(US Biochemical)、T5DNAポリメラーゼ、およびPhi29DNAポリメラーゼも作用する。
【0089】
本開示がDNAを含むライゲーションプローブ(例えば、MIPプローブ)を記載しているにもかかわらず、本明細書中に記載のライゲーションプローブは、任意の他の核酸(例えば、RNA、mRNA、cDNA、rRNA、tRNA、siRNA、miRNAなど)、ポリペプチド、合成核酸、または合成ポリペプチドを含むことができる。いくつかの場合では、ライゲーションプローブは2つ以上の異なるポリヌクレオチド型を含むことができるか(例えば、RNAおよびDNAの両方を含む)、ライゲーションプローブはポリヌクレオチドおよびポリペプチド(例えば、RNA+ポリペプチド;DNA+ポリペプチド)を含むことができる。一定の他の適用では、ライゲーションプローブ(例えば、MIPプローブ)を、本明細書中に記載の方法において蛍光色素、固体支持体、またはビーズにコンジュゲートすることができる。
【0090】
核酸は、天然に存在する核酸および天然に存在しない核酸、ならびに天然に存在する核酸に類似の様式で機能する核酸アナログをいう。核酸を、RNA、DNA、または核酸アナログ分子(糖または骨格修飾リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドなど)から選択することができる。他の核酸アナログ(ペプチド核酸(PNA)またはロックド核酸(LNA)など)も適切である。天然に存在しない核酸の例には、以下が含まれる:ハロゲン置換塩基、アルキル置換塩基、ヒドロキシ置換塩基、およびチオール置換塩基、ならびに5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、イソグアニン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、4−チオウラシル、2−チオウラシルおよび2−チオチミン、イノシン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)およびN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)、2−アミノ−6−”h”−プリン、6−アミノ−2−”h”−プリン、6−オキソ−2−”h”−プリン、2−オキソ−4−”h”−ピリミジン、2−オキソ6−”h”−プリン、4−オキソ−2−”h”−ピリミジン。これらは、非チオール化およびチオール化塩基を有する2つの水素結合塩基対を形成する(それぞれ、2,4ジオキソおよび4−オキソ−2−チオキソピリミジン、2,4ジオキソおよび2−オキソ−4−チオキソピリミジン、4−アミノ−2−オキソおよび4−アミノ−2−チオキソピリミジン、6−オキソ−2−アミノおよび6−チオキソ−2−アミノプリン、2−アミノ−4−オキソおよび2−アミノ−4−チオキソピリミジン、および6−オキソ−2−アミノおよび6−チオキソ−2−アミノプリン)。
【0091】
いくつかの好ましい実施形態では、本方法は、酵素消化(エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼなどの酵素から)からの所望の配列の選択的保護によるゲノムDNA由来の所望の配列の選択、タグ化、捕捉、および/または単離を含む。例えば、(その標的への結合後の)MIPプローブの環状化により、特定の酵素(例えば、exoI、exoIII)による消化からプローブを保護する。その標的への結合後のプローブの他の保護方法も使用することができる。
【0092】
いくつかの場合では、次いで、ライゲーション反応後に酵素消化(エキソヌクレアーゼ処理(例えば、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII)など)を行って、非結合ゲノムDNAおよび非結合プローブを消化することができるが環状DNAを消化せず、それにより、所望の配列を示す環状MIPを単離することができる。いくつかの場合では、1つを超えるプローブが所望の遺伝子標的に結合し、ライゲーションされて環状MIPを形成する場合、MIPは多重化可能である。それにより、複数のMIPは所与の遺伝子標的を示し、検出感度を増強することができる。
【0093】
目的の配列を示すために環状MIPを生成するいくつかの場合、これらの環状MIPを、PCR反応による検出前(または検出中)に線状化することができる。いくつかの場合では、MIPは、酵素(ウラシル−N−グリコシラーゼなど)での処理によって脱プリン化することができるウラシル塩基を含み、環状分子は、加熱の際に脱塩基部位で線状化されるようになり得る。他の場合では、MIPは部位特異的制限酵素によってターゲティングされる制限酵素部位を含み、環状プローブを切断して線状DNA分子を形成することができる。環状MIPが線状化されるいくつかの実施形態では、MIPを含む溶液を占める酵素(エキソヌクレアーゼが含まれる)を、MIP線状化前の熱不活化、pH変性、または物理的分離などの方法によって不活化する。いくつかの場合では、DNAをゲル精製またはエタノール沈殿を使用してタンパク質から精製することができるか、タンパク質をトリクロロ酢酸などの有機溶液での沈殿を使用して溶液から除去することができる。
【0094】
制限酵素の例には、AatII、Acc65I、AccI、AciI、AclI、AcuI、AfeI、AflII、AflIII、AgeI、AhdI、AleI、AluI、AlwI、AlwNI、ApaI、ApaLI、ApeKI、ApoI、AscI、AseI、AsiSI、AvaI、AvaII、AvrII、BaeGI、BaeI、BamHI、BanI、BanII、BbsI、BbvCI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BclI、BfaI、BfuAI、BfuCI、BglI、BglII、BlpI、BmgBI、BmrI、BmtI、BpmI、Bpu10I、BpuEI、BsaAI、BsaBI、BsaHI、BsaI、BsaJI、BsaWI、BsaXI、BseRI、BseYI、BsgI、BsiEI、BsiHKAI、BsiWI、BslI、BsmAI、BsmBI、BsmFI、BsmI、BsoBI、Bsp1286I、BspCNI、BspDI、BspEI、BspHI、BspMI、BspQI、BsrBI、BsrDI、BsrFI、BsrGI、BsrI、BssHII、BssKI、BssSI、BstAPI、BstBI、BstEII、BstNI、BstUI、BstXI、BstYI、BstZ17I、Bsu36I、BtgI、BtgZI、BtsCI、BtsI、Cac8I、ClaI、CspCI、CviAII、CviKI−1、CviQI、DdeI、DpnI、DpnII、DraI、DraIII、DrdI、EaeI、EagI、EarI、EciI、Eco53kI、EcoNI、EcoO109I、EcoP15I、EcoRI、EcoRV、FatI、FauI、Fnu4HI、FokI、FseI、FspI、HaeII、HaeIII、HgaI、HhaI、HincII、HindIII、HinfI、HinP1I、HpaI、HpaII、HphI、Hpy166II、Hpy188I、Hpy188III、Hpy99I、HpyAV、HpyCH4III、HpyCH4IV、HpyCH4V、KasI、KpnI、MboI、MboII、MfeI、MluI、MlyI、MmeI、MnlI、MscI、MseI、MslI、MspA1I、MspI、MwoI、NaeI、NarI、Nb.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、NciI、NcoI、NdeI、NgoMIV、NheI、NlaIII、NlaIV、NmeAIII、NotI、NruI、NsiI、NspI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、Nt.CviPII、PacI、PaeR7I、PciI、PflFI、PflMI、PhoI、PleI、PmeI、PmlI、PpuMI、PshAI、PsiI、PspGI、PspOMI、PspXI、PstI、PvuI、PvuII、RsaI、RsrII、SacI、SacII、SalI、SapI、Sau3AI、Sau96I、SbfI、ScaI、ScrFI、SexAI、SfaNI、SfcI、SfiI、SfoI、SgrAI、SmaI、SmlI、SnaBI、SpeI、SphI、SspI、StuI、StyD4I、StyI、SwaI、T、TaqαI、TfiI、TliI、TseI、Tsp45I、Tsp509I、TspMI、TspRI、Tth111I、XbaI、XcmI、XhoI、XmaI、XmnI、およびZraIが含まれる。
【0095】
他のプローブ型および遺伝子プローブの他の選択方法を、本明細書中に記載の方法および組成物で使用することもできる。例えば、MIPプローブの使用が一般に単一のライゲーションプローブの環状化を含むにもかかわらず、環状化工程は常に必要であるというわけではない。例えば、ライゲーション検出PCR技術を使用することができる。この技術では、2つの異なるプローブ(それぞれ隣接DNA(または近接DNA)にハイブリッド形成する)を共にライゲーションし、その後にユニバーサルプライマーおよびプローブを添加してライゲーションしたフラグメントを検出する。
【0096】
図7は、ライゲーション検出反応(LDR)およびその後の液滴中でのPCRを用いた2つの色調を使用した2つの遺伝子標的の検出スキームを示す。2つの線状オリゴヌクレオチドは、遺伝子標的の近接領域または隣接領域に結合する。これらの領域は、直接近接するか、ギャップによって分離され得る。あるいは、これらの領域を、ポリメラーゼ反応を使用して充填することができ、その3’末端が第2のプローブの5’末端に直接近接するように第1のプローブの3’末端長を伸長するギャップによって分離することができる。次いで、2つのプローブを相互にライゲーションする(図7に記載のように)。ライゲーション中に、2つの線状オリゴヌクレオチドがライゲーションされて単一のテンプレートオリゴヌクレオチド(LDR1−1またはLDR2−1)が形成される。この単一のテンプレートオリゴヌクレオチド(これらから形成されたオリゴヌクレオチド対ではない)は、ユニバーサル順方向プライマー(UF1またはUF2)および逆方向プライマー(UR1またはUR2)を使用したPCR反応において産物を産生することができる。さらに、PCR反応は、テンプレートオリゴヌクレオチドの一部にハイブリッド形成する蛍光剤−消光剤対を含むユニバーサルプローブ(UP1またはUP2)を含む。PCR反応中に、DNAポリメラーゼ(Taqなど)の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によってプローブが切断され、分子の消光剤末端から蛍光剤末端が脱離する。蛍光剤プローブと消光剤プローブとの間のこの分離の結果として、反応中に蛍光強度が増大し、以後の工程で検出することができる。この分析を、検出中に区別することができる2つの異なる色調の蛍光剤を含む2つのユニバーサルプローブ(UP1およびUP2)を使用して行うことができる。例えば、LDR1−1が標的配列(疑われる異数体染色体など)を認識することができる一方で、LDR2−1は基準配列(推定二倍体染色体など)を認識し、異数性を検出可能である。
【0097】
本明細書中に記載のライゲーション検出反応で使用されるライゲーションプローブは、一旦これらのライゲーションプローブが標的ポリヌクレオチドに結合すると、エキソヌクレアーゼ処理から保護することができる。例えば、保護基(化学的ブロッキング単位)の付加(すなわち、ホスホロチオアート(phosphorothiate)修飾)により、非結合プローブおよび/または非結合標的ポリヌクレオチド(例えば、ゲノムDNA)を消化することができる特定のエキソヌクレアーゼによる消化からハイブリッド形成したライゲーションプローブを保護することができる。ホスホロチオアート修飾により、ライゲーションプローブをexoIII(3’→5’エキソヌクレアーゼ)の活性から保護することができる。同様に、ホスホロチオアート修飾により、ライゲーションプローブをexoT7(5’→3’エキソヌクレアーゼ)の活性から保護することができる。いくつかの場合では、exoT(3’→5’エキソヌクレアーゼ)およびRecJf(5’→3’エキソヌクレアーゼ)を使用することができる。exoT活性から保護するホスホロチオアートは、Putney et al.(1981)PNAS 78(12):7350−54に開示されている。RecJfについては、Tosch et al,(2007)J.of Physics:Conference Series 61(2007)1241-1245;doi:10.1088/1742−6596/61/1/245 International Conference on Nanoscience and Technology(ICN&T 2006)も参照のこと。exoTおよびRecJFの両方はssDNAを消化し、ホスホロチオアートによってブロッキングされる。ホスホロチオアート(phosphothiorate)修飾を、プローブ中のユニバーサルPCRプライマー配列の末端またはユニバーサルPCRプライマー配列の上流のテールに配置することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、プローブは、各プローブの標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後に一方の線状オリゴヌクレオチドの5’領域を異なる線状オリゴヌクレオチドの3’領域にライゲーションすることができる異なる線状オリゴヌクレオチドの混合物を含む。いくつかの実施形態では、2つの同一の(または実質的に同一の)オリゴヌクレオチドは、それぞれ、次に一方のかかるプローブの5’末端を別のかかるプローブの3’末端にライゲーションすることができるような様式で、近接または隣接する標的ポリヌクレオチドの領域に結合することができる。かかるライゲーションは、各プローブの標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後に起こる。
【0099】
他の実施形態では、本方法は、その後の単離なしに所望の配列を捕捉することを含む。いくつかの場合では、1つを超える線状プローブが所望の配列を認識し、それに結合する。プローブの結合後、ライゲーション反応を行って、1つ以上のプローブを相互にライゲーションすることができる。いくつかの場合では、所望の配列は、ライゲーションの結果として捕捉され、その後の工程においてライゲーションされたプローブをPCR検出することが可能である一方で(リガーゼ検出反応PCR、またはLDR−PCRとして公知)、ライゲーションされていないプローブはPCRによって検出できない。いくつかの場合では、複数のプローブが遺伝子標的に結合してライゲーションすることができ、それにより、LDR−PCRによる遺伝子標的の検出感度を増強することができる。
【0100】
ライゲーションプローブ(例えば、MIPプローブ)を、アッセイ性能におけるサンプル毎の変動を最小にするか、さもなければ、アッセイを最適にするために一定の基準を満たすようにデザインすることができる。ライゲーションプローブのデザインにおけるいくつかの使用基準には、以下が含まれる:(1)いかなる公知のSNP(例えば、dbSNP中の全てのSNP)を含まない標的配列;2)ゲノムDNAの保存領域内の標的配列;(3)いかなる公知のCNV領域(例えば、UCSCゲノムデータベース中のCNVトラック中に存在する全てのCNV)とも重複しない標的配列;4)(例えば、UCSCゲノムデータベース中の保存トラックによって評価した場合に)種間で保存されている標的ポリヌクレオチド領域(例えば、ゲノムDNA、RNA)中の標的配列。さらに、プローブの普遍的かつ安定した性能を最適にするために、いくつかの基準を標的配列の選択に適用することができる。標的配列がヒトゲノム中で固有であるように標的配列を選択することができる。MIPプローブの両末端がG/Cヌクレオチドを含み、これらがおよそ40ヌクレオチド長であり、合わせたホーマーアームが類似の融解温度を有し(例えば、プライマー3ソフトウェア由来のデフォルトパラメーターを使用して67℃から2℃以内)、各ホーマーアームが類似の融解温度を有する(例えば、プライマー3ソフトウェア由来のデフォルトパラメーターを使用して50℃から2℃以内)ように、標的配列を選択することができる。(ゲノムDNAに相補的なプローブの5’末端および3’末端をホーマーアーム(それぞれ、H2およびH1)と呼ぶ)。
【0101】
その対応物に十分に結合できないので、MIPおよび標的をスクリーニングして二次構造を形成するMIPおよび標的を破棄することもできる。さらに、MIPを相互に比較して、溶液中のMIPプローブ間の反応の可能性を低下させることができる。二次構造を回避するためのいくつかの一般的規則を、Hyman et al.(2010),Applied and Environmental Microbiology 76:3904−3910に見出すことができる。二次構造スクリーニングを、dGスコア分布の構築および域外値の除去によって補助することができる。
【0102】
本明細書中に提供した方法には、例えば、13、18、および21番染色体上の複数の異常を同時に評価する方法が含まれる。かかる研究のために、染色体を相互の基準として使用することができ、したがって、外部の基準サンプルまたは基準プローブ(例えば、1番染色体に対する)は不要であり得る。
【0103】
遺伝子標的を含むサンプルは、全染色体、染色体フラグメント、または非染色体フラグメントの形態のゲノムDNAを含むことができる。いくつかの場合では、ゲノムDNAフラグメントの平均長は、約100、200、300、400、500、または800塩基対未満、または約1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200ヌクレオチド未満、あるいは約1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100キロベース未満であり得る。いくつかの場合では、フラグメントは、10〜500、10〜1000、または100〜150塩基(またはヌクレオチド)長の範囲であり、いくつかの実施形態では、100〜150塩基が好ましい。
【0104】
母体DNAと比較して胎児ゲノムDNAを富化するいくつかの場合、フラグメントサイズは、平均して約300塩基対または100もしくは150塩基対であり得る。いくつかの場合では、サンプルは、少なくとも1つのゲノム当量を含む。他の場合では、サンプルは、1ゲノム当量未満を含むが、胎児または母体のサンプル中の標的配列および基準配列の比率の決定に十分なゲノムDNAを含む。さらに他の場合では、サンプルは、1ゲノム当量の約半分を含む。用語「ゲノム当量」を、ゲノムサイズおよびDNA重量の計算値(一倍体ゲノムの重量は約3.3pgであり、二倍体正常細胞(46番染色体)のゲノム含有量は約6.6pgであり、これは2ゲノミック当量(GE)(「ゲノミック当量」および「ゲノム当量」を、本明細書中で交換可能に使用する)に対応する)に基づいたサンプルDNA分布の計算値をいうために使用する。実際に、DNAサンプルサイズはいくらか変動し得る。また、無作為なフラグメント分布のために、所与のゲノム当量は、単一の完全な二倍体ゲノムのみに対応するDNAフラグメントを正確に含まない場合もある。
【0105】
多重化
本明細書中に記載され、かつ当該分野で公知の増幅法(例えば、PCR)を多重化することができる(すなわち、各反応体積中で複数のプライマーおよびプローブを使用して実行することができる)。本明細書中に提供した方法および組成物のいくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、100,000、2,000,000、3、000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000、7,000,000、8,000,000、9,000,000、または10,000,000個、またはそれを超える異なるプローブが所与のサンプル体積中に存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、100,000、2,000,000、3、000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000、7,000,000、8,000,000、9,000,000、または10,000,000個、またはそれを超えるプライマーが所与のサンプル体積中に存在する。
【0106】
いくつかの実施形態では、複数のプローブ(またはプライマー組)を使用し、プローブ(またはプライマー組)は1つ以上の態様に関して異なる。プローブは、同一の標的ポリヌクレオチドまたは異なる標的ポリヌクレオチド(例えば、異なる染色体または同一の染色体であるが、前記染色体内の異なる領域)に結合することができる。例えば、異なる標的に向けられる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20を超えるプローブを使用することができる。いくつかの場合では、異なる標的に向けられる20、30、40、50、100、500、1000、5000、10000、50000、100000、500000、1000000、またはそれを超えるプローブを使用する。他の場合では、プローブは、前記プローブ内に存在する切断部位の型に関して異なる。いくつかの場合では、複数のプローブは、複数の異なるプローブ型(例えば、ライゲーションプローブ、MIP、パッドロックプローブ、PCRプライマー組、ユニバーサルプライマー、ユニバーサルプローブ、およびその任意の組み合わせ)を含む。いくつかの場合では、前記複数の異なるプローブ型は、各プローブを異なるシグナル伝達因子(例えば、緑色フルオロフォア対赤色フルオロフォアなど)にコンジュゲートするという点で異なる。いくつかの場合では、プローブは、プローブが異なるプライマー結合部位を含むという点で異なる。他の場合では、同一のユニバーサルプライマー組を使用して、複数のプローブ内のプローブの全てまたは大部分に結合することができる。
【0107】
反応体積(液滴など)の多重化により、二倍体配列についての1:1の推定比から標的配列と基準配列との間のDNA比のわずかな変化を検出することが可能である。多重化により、GE/mLが低い(例えば、1000GE/mL)(母体血漿中など)場合のサンプルにもかかわらず、多数の配列を標的配列および基準配列の任意の組について計数することが可能である。インタクトな標的染色体および基準染色体は巨大分子であり、特異的プライマー組によって認識および増幅することができる複数の保存された固有の領域を有する。血漿中、循環DNAは小フラグメント(約300bp)として存在し得る。小さな産物(例えば、100塩基対)を産生する多重化プライマーのデザインにより、標的配列または基準配列の小さなフラグメント(例えば、300塩基対)を効率よく増幅することができる。
【0108】
多重化により、反応体積(液滴など)中で単離された標的を多重化プライマーの1つによって認識することができる可能性が増大し得る。多重化はまた、増幅が起こり、一重アッセイで陰性として計数される標的配列を陽性として測定することができる可能性が増大し得る。これを基準配列について行うことができる。いくつかの実施形態では、多重度は、標的配列に対して1プライマー組超(特定の標的配列に対してそれぞれ少なくとも2、3、4、5、10、15、20、または25プライマー組など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、多重度は、基準配列に対して1基準プライマー組超(特定の基準配列に対してそれぞれ少なくとも2、3、4、5、10、15、20、または25プライマー組など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、多重度は、標的配列に対して1プライマー組超および基準配列に対して1基準プライマー組超(特定の標的配列または基準配列に対して少なくとも2、3、4、5、10、15、20、または25プライマー組など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、標的配列に対するプライマー組の数は、基準配列に対するプライマー組の数と同一ではない。いくつかの実施形態では、多重度は、各標的配列および基準配列について500、250、200、150、または100プライマー組未満であり得る。標的配列および基準配列の多重度を、単一の反応体積に組み合わせることができる。
【0109】
異なるプライマー対増幅配列を、スペクトルで識別可能なプローブ(例えば、2つの異なる色素標識したプローブ(Taqmanまたはロックド核酸プローブ(ユニバーサルプローブ Library,Roche)など))に基づいて区別することができる。かかるアプローチでは、全プローブを単一の反応体積に合わせ、各プローブによって放射された色調の相違に基づいて区別する。例えば、1つのポリヌクレオチド(例えば、試験染色体、21番染色体)をターゲティングするプローブを第1の色調の色素にコンジュゲートすることができ、反応中の第2のポリヌクレオチド(例えば、基準染色体、1番染色体)をターゲティングするプローブを第2の色調の色素にコンジュゲートすることができる。次いで、色調の比を、試験染色体と基準染色体との間の比に反映させる。
【0110】
プローブ組(例えば、試験染色体(例えば、21番染色体)をターゲティングするプローブ組)が標的ポリヌクレオチドの異なる領域をターゲティングすることができるいくつかの場合、依然として組内の各プローブは同一のユニバーサルプライマー結合部位を有する。いくつかの場合では、各プローブは、同一のプローブ結合部位を有する。いくつかの場合では、反応物中の2つ以上のプローブは、異なるプローブ結合部位を有し得る。いくつかの場合では、かかる反応物に添加するプローブを、同一のシグナル因子(例えば、同色のフルオロフォア)にコンジュゲートする。いくつかの場合では、異なるシグナル因子(例えば、2つの異なる色調)を1つ以上のプローブにコンジュゲートする。
【0111】
あるいは、反応体積組(例えば、液滴)を2つのサンプル組に分割し、一方の組中の標的配列および他方の組中の基準配列を増幅することができる。次いで、標的遺伝子および基準遺伝子を、相互に独立して測定する。これにより、単一の蛍光プローブ(SYBR Greenなど)を使用することが可能である。いくつかの例では、これには、等価な感度を達成するためにサンプルを分割し、各多重組中のプライマー数を潜在的に倍増させることが必要である。いくつかの場合では、サンプルを分割し、試験染色体に対する複数のライゲーションプローブをサンプルの半分に添加し、基準染色体に対する複数のライゲーションプローブをサンプルの第2の半分に添加する。かかる例では、次いで、ライゲーションプローブを、同一のシグナル伝達因子(例えば、同一の色スペクトルのフルオロフォア)にコンジュゲートしたユニバーサルプローブとハイブリッド形成することができる。
【0112】
本開示によって提供された多重化を、初期段階でプライマー対を使用する代わりに標的のプローブを使用して行うこともできる。使用することができるプローブの例は、標的ポリヌクレオチド内の近接するか隣接する配列とハイブリッド形成するように特異的にデザインされた2つの末端を有する線状オリゴヌクレオチドである。かかるプローブの非限定的な例は、近接標的配列とハイブリッド形成するように特異的にデザインされた2つの末端を有する線状オリゴヌクレオチドであるパッドロックプローブである。一旦ハイブリッド形成されると、2つの末端をライゲーションによって連結することができ、パッドロックプローブは環状化するようになる。パッドロックプローブは、例えば、Lizardi et al.(1998)Nat Genetics 19:225−232; 米国特許第5,871,921号;同第6,235,472号;および同第5,866,337号に開示されている。いくつかの場合では、プローブ(例えば、オリゴヌクレオチド)はゲノムDNAの近接配列に結合し、次いで、末端を、リガーゼ反応によって直接ライゲーションすることができる。他の場合では、2つの末端の間に1つ以上の塩基のギャップが存在する。かかる場合、伸長反応またはギャップ充填反応を行うことができる。ギャップ充填反応について、当該分野の任意の公知の方法で十分である。例えば、ヌクレオチド(dATP、dCTP、dGTP、dTTP、dUTP)の混合物を、反応混合物ならびにポリメラーゼ、リガーゼ、および他の反応成分に添加し、約60℃で約10分間インキュベートし、その後に37℃で約1分間インキュベートすることができる。標的ポリヌクレオチドへの結合およびライゲーション後、ライゲーションプローブ(例えば、分子反転プローブ、パッドロックプローブなど)が環状化するようになり得る。
【0113】
いくつかの場合では、プローブは、本明細書中に記載のように、遺伝子標的に結合するオリゴヌクレオチドプローブである。他の場合では、プローブは、基準標的に結合するオリゴヌクレオチドプローブである。基準標的の例は、1番染色体または胎児異数性に関連する可能性が低い他の染色体である。いくつかの場合では、オリゴヌクレオチドまたは基準オリゴヌクレオチドは、酵素によって切断可能な部位を含む。例えば、オリゴヌクレオチドは、一連の1つ以上のウラシル残基(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、10、15、または20個のウラシル残基)を含み、かつ酵素(ウラシル−N−グリコシラーゼ(UNG)など)によって切断可能であり得るDNAオリゴヌクレオチドであり得る。他の場合では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の制限部位を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、1つ以上の同一の制限部位または1つ以上の異なる制限部位を含むことができる。制限部位の例は、文献中で周知である。一般に、制限酵素によって切断可能な部位を使用することができる。制限酵素は、特異的部位を切断することができる任意の制限酵素(またはエンドヌクレアーゼ)であり得る。いくつかの場合では、制限酵素は平滑末端カッターであり、他の場合では、制限酵素は非対称部位で切断してオーバーハングを作製する。制限酵素の非限定的な例を本明細書中に示す。
【0114】
オリゴヌクレオチドプローブは、さらに、順方向および逆方向プライマー(例えば、ユニバーサルプライマー)とハイブリッド形成する部位を含むことができる。本明細書中で使用する場合、ユニバーサルプライマーは、増幅すべき領域にフランキングする配列を認識してハイブリッド形成する5’プライマーおよび3’プライマーの1つ以上の対を含む。増幅すべき領域は、遺伝子標的(疑われる胎児異数体染色体(かかる染色体の非限定的な例には、21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体が含まれる)など)内に存在し得る。いくつかの場合では、増幅すべき領域は、推定二倍体染色体の遺伝子標的内に存在する。
【0115】
いくつかの場合では、増幅すべき領域は、遺伝子標的内ではなく、遺伝子標的に対するプローブ(分子反転プローブなど)内に存在する。プライマー対は、遺伝子標的に向けられることができるか、多数の増幅標的にフランキングする配列を認識するユニバーサルプライマーであり得る。例えば、遺伝子標的に対するプローブは、遺伝子標的中の特異的配列を認識して結合する1つ以上のセグメントを含むことができ、プローブは、さらに、全プローブ組に共通のユニバーサル配列を含むことができる。したがって、単一のユニバーサルプライマー対を使用して、かかる組内の任意のプローブを増幅させることができる。いくつかの場合では、ユニバーサルプライマー対は、分子反転プローブが反転された場合のみで、検出可能なPCR産物を産生する。分子反転プローブの反転を環状分子反転プローブ内の部位の切断によって誘導し、そのプライマー対に関するプライマーの配向を反転することができる。いくつかの場合では、ユニバーサルプライマー対は、(ライゲーション検出反応などにおいて)ライゲーション反応の産物を増幅する場合のみで検出可能なPCR産物を産生する。
【0116】
オリゴヌクレオチドプローブはまた、マーカー(色素または蛍光色素(例えば、TaqManプローブ)など)に結合したプローブに相補的な配列を含むことができる。いくつかの場合では、TaqManプローブは、1つの色素型(例えば、FAM、VIC、TAMRA、ROX)に結合する。他の場合では、オリゴヌクレオチド上の1つを超えるTaqManプローブ部位が存在し、各部位は異なるTaqManプローブ(例えば、異なる色素型を有するTaqManプローブ)に結合することができる。本明細書中に記載のオリゴヌクレオチドプローブの同一の配列を有する複数のTaqManプローブ部位も存在し得る。しばしば、TaqManプローブは、本明細書中に記載のオリゴヌクレオチドプローブ上の部位のみに結合することができ、ゲノムDNAに結合することができないが、いくつかの場合、TaqManプローブはゲノムDNAに結合することができる。
【0117】
本明細書中に記載のオリゴヌクレオチドプローブ使用の利点は、シグナルのバックグランドノイズに対する比が従来のPCR技術(プライマー組を使用する技術など)を使用した場合の1、2、5、10、15、20、30、40、50、75、または100倍を超えて改良されるという点である。1つの理由は、潜在的に、特異的標的(例えば、染色体)に対する全オリゴヌクレオチドプローブについてたった1つのプローブしか必要としないことである。例えば、多数のオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、50個超)が存在し得る。これらは、それぞれ染色体上の個別の部位に結合するが、それぞれユニバーサルであるか同一であるTaqMan部位も含み、したがって、特異的蛍光色素に結合したTaqManプローブがプローブにアニーリングする場合に同一の波長で蛍光を発する。
【0118】
本明細書中に提供した方法には、以下の工程を使用した方法が含まれる:1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブをゲノムDNAとハイブリッド形成させるための変性およびアニーリング工程。プローブの5’末端および3’末端がゲノムDNAの近接配列を直接ターゲティングしない場合、必要に応じたギャップ充填反応の後にリガーゼ反応を行ってプローブを環状化させる。本方法は、さらに、サンプルをエキソヌクレアーゼ酵素(例えば、エキソヌクレアーゼIおよび/またはIII)で処理して線状プローブ(言い換えれば、首尾よくハイブリッド形成しなかったプローブ)ならびにssDNAおよびdsDNA(例えば、ゲノムDNA)を消化するエキソヌクレアーゼ処理工程およびその後の反転工程を含むことができる。本方法は、さらに、PCR試薬をサンプル(例えば、Taqポリメラーゼ、ユニバーサルプライマー、蛍光プローブ(例えば、TaqManプローブ)、および他のPCR反応成分)に添加してオリゴヌクレオチドプローブ上の1つ以上の部位を増幅する増幅工程を含むことができる。本方法は、さらに、単分散の油中水型液滴(例えば、1,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000超、またはそれを超える油中水型液滴(本明細書中で反応体積ともいう)に乳化し、その後にサーマルサイクリングを行う分割工程および使用した蛍光プローブに対応する波長での各液滴の蛍光の検出工程を含むことができる。いくつかの場合では、平均して、約1、2、3、4、または5コピーのDNAが各液滴中に存在する。いくつかの場合では、平均して約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、または5個のオリゴヌクレオチドプローブが各液滴中に存在する。本明細書中に記載の方法は、高多重深度で機能することができる。高多重深度をddPCR数と組み合わせる場合、多数の標的カウントを得ることができ、それにより、相対染色体量の分析能を高くすることができる。この多重アプローチを父性遺伝したSNP、Y染色体標的、または胎児特異的メチル化マーカーを使用したddPCR胎児負荷量定量化と組み合わせて、偽陰性から防御することができる。胎児負荷量測定を、抽出サンプルのアリコートに対して個別に行うことができるか、2つの直交性アッセイ(ユニバーサルMIP PCR+胎児特異的定量アッセイ)の多重化によるアッセイの反転工程後に行うことができる。
【0119】
いくつかの場合では、ライゲーションをユニバーサルPCR法と組み合わせて多重化する。例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:分子反転プローブ(MIP)ストラテジー(Hardenbol et al.,(2003)Nature Biotechnology,21(6):673−78;米国特許出願公開第2004/0101835号を参照のこと);多重ライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)(Schouten JP,McElgunn CJ,Waaijer R,Zwijnenburg D,Diepvens F,Pals G(2002),Nucleic Acids Res.30(12)を参照のこと);ライゲーション検出反応(LDR);およびリガーゼ連鎖反応。本明細書の図は、異なるプローブ型またはプローブ/プライマー組み合わせを使用した異なる多重ストラテジーのまとめを示す。
【0120】
図5は、遺伝子標的の検出感度を増大させるためのMIPアプローチの多重化を示す。特定の遺伝子標的を認識するMIP(MIP1−1)を、同一の遺伝子標的の異なる部分を認識する第2のMIP(MIP1−2)と組み合わせることができる。この過程を繰り返して、同一の遺伝子標的を認識するための多数のMIP(示したMIP1−50)を生成することができる。同様に、第2の遺伝子標的を認識するためのMIP群を生成することができる(MIP2−50)。これらのMIPを、分析(図3に示す分析など)で使用して2つの遺伝子標的を比較することができる。
【0121】
本明細書中に記載のライゲーションプローブ、パッドロックプローブ、または他のオリゴヌクレオチドプローブを、ゲノムDNAと組み合わせることができる。いくつかの場合では、染色体または異なる染色体上の特異的部位に対する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、または10,000個を超えるオリゴヌクレオチドプローブを含む複数のオリゴヌクレオチドプローブを使用する。
【0122】
図8は、このアプローチの液滴中の遺伝子標的の検出感度を増大させるための液滴中のLDR−PCRのための多重化オリゴヌクレオチドの使用を示す。図7に記載するように、単一の線状オリゴヌクレオチド対(LDR1−1)を、遺伝子標的の隣接領域を認識するようにデザインする。異なる対(LDR2−1)は、第2の遺伝子標的を認識する。複数のオリゴヌクレオチド対(LDR1−50およびLDR2−50)を、遺伝子標的の異なる部分を認識するようにデザインすることができる。これらのオリゴヌクレオチド対は、遺伝子標的の一部に結合し、図7に記載のライゲーションを受ける。2つの異なる色調を使用して、示した2つの異なる遺伝子標的を検出する。例えば、LDRプローブの半分は標的配列(疑われる異数体染色体など)を認識することができる一方で、他方の半分は基準配列(推定二倍体染色体など)を認識し、改善された感度で異数性を検出可能である。
【0123】
いくつかの実施形態では、標的配列および基準配列を、デジタル液滴検出を使用した分析前に予め増幅することができる。増幅方法は当該分野で公知であり、自立配列反応、リガーゼ連鎖反応、cDNA末端の迅速な増幅、ポリメラーゼ連鎖反応およびリガーゼ連鎖反応、Q−βファージ増幅、鎖置換増幅、等温増幅、またはスプライス重複伸長ポリメラーゼ連鎖反応が含まれる。次いで、前増幅産物を、本発明に記載の方法で使用することができる。
【0124】
遺伝子標的
いくつかの実施形態では、抽出したDNAまたはRNAを処理して、標的配列ポリヌクレオチド(特に本明細書中に記載の遺伝子標的が含まれ得る)を選択、タグ化、捕捉、および/または単離することができる。いくつかの場合では、捕捉および単離は、大量の遺伝子材料からの標的配列の物理的分離および望ましくない遺伝子材料の除去を含む。いくつかの場合では、物理的分離を、固体構造物(ポリマー表面、ポリマービーズ、磁性ビーズ、またはマイクロ流体チャネルの表面など)上に固定した相補配列への所望の配列のハイブリッド形成によって行うことができる。他の場合では、物理的分離を、アフィニティ法(アフィニティタグとコンジュゲートした相補配列のプローブを使用した所望の配列の捕捉など)によって行い、アフィニティ相互作用の非限定的な例には、マイクロモル、ナノモル、ピコモル、フェムトモル、またはフェムトモルを超える強度の結合親和性を有するストレプトアビジン−ビオチン相互作用、抗体−抗原相互作用、酵素−基質相互作用、受容体−リガンド相互作用、およびタンパク質−小分子相互作用が含まれる。捕捉後、所望の配列を、いくつかの場合、当該分野で周知の洗浄方法(穏やかなイオン性または非イオン性の界面活性剤、プロテアーゼインヒビター、およびDNアーゼインヒビターを含む緩衝化生理食塩水での洗浄が含まれる)を使用して大量の遺伝子材料から単離することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の液滴は、ビーズ、ポリマービーズ、または磁性ビーズを含まない。
【0125】
本明細書中に記載のアッセイおよびプローブの標的は、胎児の遺伝子異常(異数性が含まれる)および他の遺伝子変動(変異、挿入、付加、欠失、転座、点変異、トリヌクレオチド反復障害、および/または一塩基多型(SNP)など)に関連する任意の遺伝子標的、ならびに胎児の遺伝子異常に関連しないコントロール標的であり得る。胎児異数性に関連しない他のアッセイも本明細書中に記載する。
【0126】
しばしば、本明細書中に記載の方法および組成物は、余剰または喪失した染色体(特に、典型的には出生時欠損または流産に関連する染色体)を検出することができる。例えば、本明細書中に記載の方法および組成物は、常染色体トリソミー(例えば、13、15、16、18、21、または22トリソミー)を検出することができる。いくつかの場合、トリソミーは、流産の機会の増加に関連し得る(例えば、15、16、または22トリソミー)。他の場合では、検出されるトリソミーは、乳児が出生時に欠損を伴って生まれることを示し得る生産児トリソミー(例えば、13トリソミー(パトー症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、および21トリソミー(ダウン症候群))である。異常はまた、性染色体の異常であり得る(例えば、XXY(クラインフェルター症候群)、XYY(ヤコブ症候群)、またはXXX(Xトリソミー)。特定の好ましい実施形態では、遺伝子標的は、1つ以上の以下の染色体上の1つ以上の標的である:13、18、21、X、またはY。例えば、遺伝子標的は、21番染色体上に50部位、および/または18番染色体上に50部位、および/または13番染色体上に50部位であり得る。
【0127】
本明細書中の方法および系に基づいて決定することができるさらなる胎児の状態には、1つ以上の染色体のモノソミー(X染色体モノソミー、ターナー症候群としても公知)、1つ以上の染色体のトリソミー(13、18、21、およびX)、1つ以上の染色体のテトラソミーおよびペンタソミー(ヒトでは、性染色体で最も一般的に認められる(例えば、XXXX、XXYY、XXXY、XYYY、XXXXX、XXXXY、XXXYY、XYYYY、およびXXYYY))、一倍性、三倍性(各染色体が3つ(例えば、ヒトにおいて69番染色体))、四倍性(各染色体が4つ(例えば、ヒトにおいて92番染色体))、五倍性、および多倍性が含まれる。
【0128】
いくつかの場合では、遺伝子標的は、特異的染色体上に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、75、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500、1,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、または100,000超の部位を含む。いくつかの場合では、遺伝子標的は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22個超の異なる染色体上に標的を含む。いくつかの場合、遺伝子標的は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、または23個未満の染色体上に標的を含む。いくつかの場合では、遺伝子標的は、遺伝した遺伝子障害(常染色体優性および劣性障害ならびに伴性優性および劣性障害が含まれる)で変異することが公知の遺伝子を含む。非限定的な例には、自己免疫疾患、神経変性疾患、癌、および代謝障害を生じる遺伝子変異が含まれる。いくつかの実施形態では、本方法は、遺伝子異常に関連しない遺伝子標的(正常な二倍体染色体上に存在する遺伝子など)を参照した比較によって遺伝子異常(トリソミーなど)に関連する遺伝子標的の存在を検出する。
【0129】
本明細書中の方法または組成物はまた、染色体の個別の領域をターゲティングするプライマー組および/またはプローブを含むことができる。例えば、複数のプローブ(例えば、MIPプローブ、ライゲーションプローブ)は、染色体の第1の特異的領域をターゲティングする少なくとも1つの第1のプローブおよび染色体の第2の特異的領域をターゲティングする少なくとも1つの第2のプローブを含むことができる。いくつかの場合では、第1のプローブを、シグナルを発する分子または因子(例えば、フルオロフォア)でタグ化し、第2のプローブを、第2のシグナルを発する分子(例えば、第1のプローブにコンジュゲートしたフルオロフォアと区別することができる色調/波長のフルオロフォア)でタグ化する。次いで、複数のプローブは、標的ポリヌクレオチドに結合することができる。選択プロトコール(例えば、ライゲーション、環状化、およびその後のエキソヌクレアーゼなど)の後、選択されたプローブを、複数の区分(例えば、液滴)に分割し、その後に選択されたプローブを含む区分(例えば、液滴)の数を分析する。次いで、第1のプローブ数と第2のプローブ数との間の比を使用して、標的ポリヌクレオチドが部分的な欠失、転座、または増幅を含むかどうかを評価することができる。例えば、かかる方法を使用して、プローブ1がインタクトな染色体に向けられ、プローブ2が染色体の欠失部分内の配列に向けられる場合に染色体の部分的欠失を検出することができる。いくつかの実施形態では、異なる標的に向けられる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個超のプローブを使用することができる。いくつかの場合、この数は、20、30、40、50、100、500、1000、5000、10000、50000、100000、500000、1000000、またはそれを超え得る。
【0130】
非限定的な例では、一方のライゲーションプローブ(またはプライマー組)は21番染色体のqアームをターゲティングし、第2のライゲーションプローブ(またはプライマー組)はpアームをターゲティングする。これらが共に相互に合理的に近い(例えば、いくつかの前定義された信頼区間内)という答えが得られる場合、21番染色体濃度の測定値を検証することができる。他方では、pアーム上の標的を使用した測定値がqアーム上の標的を使用した測定値と有意に異なる場合、これは、部分的異数性(染色体のフラグメント)を示し得るか、このアッセイがさらなる至適化または検証を必要とすることを示し得る。
【0131】
標的組の実際の測定を、21q標的の一方の色調および21p標的の別の色調の使用によって同時に行うことができる。あるいは、サンプルを、21qが一方の部分で測定され、かつ21pが他方の部分で測定されるように分割することができる。また、染色体を2つ以上のプライマー組(またはオリゴヌクレオチドプローブ)に分割して、染色体コピー数をより詳細に評価することができる。
【0132】
用語「ポリヌクレオチド」は、1つを超えるヌクレオチドを含む任意の核酸分子をいい、2、3、5、10、20、30、50、100、200、300、400、500、もしくは900ヌクレオチド、または1、2、3、5、10、20、30、50、100、200、300、400、500、もしくは900キロベース、または1、2、3、5、10、20、30、50、100、200、300、400、500、もしくは900メガベースの長さが含まれ得るが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドはまた、遺伝子のコード領域、DNAの非コード領域、または全染色体をいうことができる。
【0133】
本明細書中で使用する場合、対立遺伝子は、染色体上の同一の位置を占める遺伝子またはDNAの非コード領域のいくつかの代替形態のうちの1つである。用語「対立遺伝子」を、任意の生物(細菌、ウイルス、真菌、原虫、カビ、酵母、植物、ヒト、非ヒト、動物、および古細菌が含まれ得るが、これらに限定されない)由来のDNAを説明するために使用することができる。例えば、細菌は、典型的には、1つの巨大なDNA鎖を有する。細菌DNAに関する用語「対立遺伝子」は、同種の異なる細菌細胞中の同一の遺伝子形態と比較して1つの細胞中に見出される遺伝子の形態をいう。
【0134】
遺伝子の代替形態(例えば、対立遺伝子)は、単一のヌクレオチドが代替形態間で変動する1つ以上の一塩基多型(SNP)を含むことができる。遺伝子または非コード領域の代替形態は、短い縦列反復(STR)(2つ以上のヌクレオチドの近接反復パターン)を含むことができる。
【0135】
対立遺伝子は、同一の配列を有し得るか、単一のヌクレオチドまたは1つを超えるヌクレオチドが異なり得る。2コピーの各染色体を有する生物に関して、両染色体が同一の対立遺伝子を有する場合、この状態をホモ接合性という。対立遺伝子2つの染色体が異なる場合、この状態をヘテロ接合性という。
【0136】
標的配列が胎児(ホモ接合性)中の母体DNA(ヘテロ接合性)疾患中の1つのコピーに存在する疾患の例には、鎌状細胞嚢胞性線維症、血友病、およびテイ・サックス病が含まれる。したがって、本明細書中に記載の方法を使用して、一定の部位に1つの特異的変異を有するゲノムを一定の部位に2つの特異的変異を有するゲノムと区別することができる。
【0137】
鎌状細胞貧血は、常染色体劣性疾患である。米国黒人の9%がヘテロ接合性である一方で、0.2%がホモ接合劣性である。劣性対立遺伝子により、ヘモグロビンのβ鎖にアミノ酸置換が生じる。
【0138】
テイ・サックス病は、神経系が変性する常染色体劣性である。出生後に症状が現れる。この対立遺伝子の小児ホモ接合劣性は、5歳まで生存することは稀である。患者は、GM2ガングリオシド脂質を分解する酵素N−アセチル−ヘキソサミニダーゼを作製する能力を欠く。
【0139】
別の例はフェニルケトン尿症(PKU)(患者がアミノ酸フェニルアラニンをチロシンに変換する酵素を合成する能力を欠く劣性遺伝障害)である。この対立遺伝子がホモ接合劣性の個体は、尿中および血液中にフェニルアラニンおよび異常な分解産物を蓄積する。
【0140】
血友病は、血液が正常に凝固しない疾患群である。血液中の因子は凝固に関与する。正常な第VIII因子を欠く血友病は血友病Aを有するといい、第IX因子を欠く血友病は血友病Bを有する。これらの遺伝子はX染色体上に保持され、したがって、本方法でプライマーおよびプローブを使用して、胎児が母親の欠損X染色体または父親の正常な対立遺伝子を遺伝したかどうかを検出することができる。
【0141】
いくつかの場合では、遺伝子標的は、遺伝子または遺伝子の一部(例えば、CFTR、第VIII因子(F8遺伝子)、βグロビン、ヘモクロマトーシス(hemachromatosis)、G6PD、神経線維腫症、GAPDH、βアミロイド、またはピルビン酸キナーゼ遺伝子)である。
【0142】
いくつかの実施形態では、遺伝子標的は、コピー数変動が疾患または障害に関連し得る任意の配列である。遺伝子異常から生じる他の疾患には、軟骨無形性症、副腎脳白質ジストロフィ(X連鎖性)、無ガンマグロブリン血症(X連鎖性)、アラジール症候群、αサラセミアX連鎖性精神遅滞症候群、アルツハイマー病、アルツハイマー病(早期発症家族型)、筋萎縮性側索硬化症(概説)、アンドロゲン不応症候群、アンジェルマン症候群、運動失調症(概説、遺伝性)、毛細管拡張性失調症、ベッカー型筋ジストロフィ(ジストロフィン異常症(dystrophinopathy)とも呼ばれる))、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、βサラセミア、ビオチニダーゼ欠損症、鰓弓耳腎症候群、BRCA1およびBRCA2遺伝性乳癌/卵巣癌、乳癌、CADASIL、カナヴァン病、癌、シャルコー・マリー・トゥース遺伝性神経症、シャルコー・マリー・トゥース神経症1型、シャルコー・マリー・トゥース神経症2型、シャルコー・マリー・トゥース神経症4型、シャルコー・マリー・トゥース神経症X型、コケイン症候群、結腸癌、拘縮性クモ指症(先天性)、頭蓋骨癒合症候群(FGFR関連)、嚢胞性線維症、シスチン蓄積症、聴覚消失および遺伝性聴力損失、DRPLA(歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮(dentatorubral−pallidoluysian atrophy))、ディジョージ症候群(22ql1欠失症候群ともいう)、拡張型心筋症(X連鎖性)、ダウン症候群(21トリソミー)、デュシェンヌ型筋ジストロフィ(ジストロフィン異常症とも呼ばれる)、ジストニア(早期発症原発性)(DYT1)、ジストロフィン異常症、エーラース・ダンロス症候群(脊柱後側湾型)、エーラース・ダンロス症候群(血管型)、単純型先天性表皮水疱症、外骨腫(遺伝性多発性)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィ、第V因子ライデン血栓形成傾向、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、家族性地中海熱、脆弱X症候群、フリードライヒ運動失調症、前頭側頭型認知症(パーキンソニズム−17を伴う)、ガラクトース血症、ゴーシェ病、ヘモクロマトーシス(遺伝性)、血友病A、血友病B、出血性毛細血管拡張症、遺伝性55、聴力損失および聴覚消失(非症候性)、DFNA(コネキシン26)、聴力損失および聴覚消失(非症候性)、DFNB1(コネキシン26)、遺伝性痙性対麻痺、ヘルマンスキー・パドラック症候群、ヘキソサミニダーゼA欠損症(テイ・サックスとも呼ばれる)、ハンチントン病、低軟骨形成症、魚鱗癬(先天性)(常染色体劣性)、色素失調症、ケネディ病(球脊髄性筋萎縮症とも呼ばれる)、クラッベ病、レーバー遺伝性視神経症、レッシュ・ナイハン症候群白血病、リー・フラウメニ症候群、肢帯型筋ジストロフィ、リポタンパク質リパーゼ欠損症(家族型)、滑脳症、マルファン症候群、MELAS(ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、および卒中様発作)、モノソミー、多発性内分泌腫瘍症2型、多発性外骨腫、遺伝性筋ジストロフィ(先天性)、筋緊張性ジストロフィ、腎性尿崩症、神経線維腫症1、神経線維腫症2、圧迫性麻痺傾向のあるニューロパチー(遺伝性)、ニーマン−ピック病C型、ナイミーヘン染色体不安定症候群 ノリエ病、眼皮膚白皮症1型、眼咽頭型筋ジストロフィ、卵巣癌、パリスター・ホール症候群、若年性パーキンソン病(パーキン型)、ペリツェーウス・メルバッハー病、ペンドレッド症候群、ポイツ・ジェガーズ症候群 フェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症、プラダー・ウィリ症候群、PROP1関連複合型下垂体ホルモン欠乏症(CPHD)、前立腺癌、網膜色素変性、網膜芽細胞腫、ロートムント・トムソン(Rothmund−Thorns)症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群、痙性対麻痺(遺伝性)、球脊髄性筋萎縮症(ケネディ病とも呼ばれる)、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄小脳性運動失調2型、脊髄小脳性運動失調3型、脊髄小脳性運動失調6型、脊髄小脳性運動失調7型、スティックラー症候群(遺伝性関節眼症)、テイ・サックス(GM2ガングリオシドーシス(Gangliosidoses)とも呼ばれる)、トリソミー、結節性硬化症複合体、アッシャー症候群I型、アッシャー症候群II型、口蓋心顔面症候群(22ql1欠失症候群とも呼ばれる)、フォン・ヒッペル・リンダウ症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、X連鎖性副腎白質ジストロフィ、X連鎖無ガンマグロブリン血症、X連鎖性拡張型心筋症(ジストロフィン異常症とも呼ばれる)、およびX連鎖性低緊張性顔貌精神遅滞症候群が含まれる。
【0143】
液滴の生成
本開示は、液滴デジタルPCRを使用した胎児の遺伝子材料の検出のための組成物および方法を含む。本明細書中に記載の液滴には、米国特許第7,622,280号に記載の乳濁液組成物(または2つ以上の不混和性流体の混合物)および2009年9月23日に最初の発明者Colstonによって出願された国際出願番号PCT/US2009/005317号に記載のデバイスによって生成された液滴が含まれる。用語「乳濁液」は、本明細書中で使用する場合、不混和性液体(油および水など)の混合物をいう。油相および/または油中水型乳濁液により、水滴内の反応混合物を区画化することが可能である。好ましい実施形態では、乳濁液は連続油相内に水滴を含む。他の場合では、本明細書中に提供した乳濁液は、連続水相内の液滴が油滴である水中油型乳濁液である。本明細書中に提供した液滴を、区画間の混合を防止し、それにより各区画の成分の蒸発および他の区画の成分との融合から保護するようにデザインする。
【0144】
本明細書中に記載の混合物または乳濁液は安定または不安定であり得る。好ましい実施形態では、乳濁液は比較的安定であり、融合は最小である。小滴が組み合わされて段階的により大きな液滴を形成する場合に融合が起こる。いくつかの場合では、液滴発生器から生成された0.00001%,0.00005%,0.00010%,0.00050%,0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%.2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%未満の液滴が他の液滴と融合する。乳濁液はまた、綿状沈殿(flocculation)(分散相がフレークの懸濁液から得られる過程)が限定的であり得る。
【0145】
本明細書中に記載のサンプルの小反応体積への分割により、試薬の使用量を減少させることができ、それにより、分析における材料の費用を削減することができる。分割によるサンプル多重性の減少により、検出のダイナミックレンジも改善される。何故なら、より大量の分子を異なる区画中の少量の分子と分離し、それにより、より少量の分子がより高い比率で反応試薬に接触可能となり、より少量の分子の検出が増強されるからである。
【0146】
いくつかの場合では、平均直径が約0.001、0.01、0.05、0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、100、120、130、140、150、160、180、200、300、400、または500ミクロンの液滴を生成することができる。単分散または多分散の乳濁液のいずれかを生成するためのマイクロチャネルクロスフロー集束または物理的撹拌を使用した乳濁液の液滴のマイクロ流体法は公知である。いくつかの実施形態では、液滴は単分散液滴である。いくつかの場合では、前記液滴のサイズが前記液滴の平均サイズの±5%を超えて変動しないように液滴を生成する。いくつかの場合では、前記液滴の平均サイズの±2%を超えて変動しないように液滴を生成する。いくつかの場合では、液滴発生器は、単一のサンプルから液滴集団を生成する。ここで、液滴のサイズは液滴の全集団の平均サイズの±.1%、.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%を超えて変動しない。
【0147】
マイクロ流体操作およびより高い剪断性の流体処理(例えば、マイクロ流体毛管中または流路中での90℃回転(弁など)による)のためにより高い機械的安定性が有用である。熱処理前後の液滴またはカプセルは、標準的なピペット操作および遠心分離に対して機械的に安定である。
【0148】
いくつかの場合では、液滴を、水性サンプルに油相を流すことによって形成する。いくつかの好ましい実施形態では、水相は、PCR反応実施のための緩衝液および試薬(ヌクレオチド、プライマー、蛍光検出ためのプローブ(複数可)、テンプレート核酸、DNAポリメラーゼ酵素、および必要に応じた逆転写酵素が含まれる)を含む。
【0149】
いくつかの場合では、水相は、固体状態ビーズ(磁性ビーズなど)なしのPCR反応実施のための緩衝液および試薬を含む。いくつかの場合では、緩衝液は、約1、5、10、15、20、30、50、100、または200mMのTrisを含むことができる。いくつかの場合では、塩化カリウム濃度は、約10、20、30、40、50、60、80、100、200mMであり得る。1つの好ましい実施形態では、緩衝液は、15mMのTrisおよび50mMのKClを含む。いくつかの場合では、ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド三リン酸分子(dATP、dCTP、dGTP、dTTPが含まれる)を、それぞれ約50、100、200、300、400、500、600、または700μMの濃度で含む。いくつかの場合、dUTPを水相内に約50、100、200、300、400、500、600、または700、800、900、または1000μMの濃度まで添加する。いくつかの場合では、塩化マグネシウム(MgCl2)を、水相に約1.0、2.0、3.0、4.0、または5.0mMの濃度で添加する。1つの好ましい実施形態では、MgCl2濃度は3.2mMである。
【0150】
非特異的ブロッキング剤(BSAまたはウシ皮膚由来のゼラチンなど)を使用することができる。このブロッキング剤は、ゼラチンまたはBSAがおよそ0.1〜0.9%w/vの濃度範囲で存在する。他の可能なブロッキング剤には、βラクトグロブリン、カゼイン、粉乳、または他の一般的なブロッキング剤が含まれ得る。いくつかの場合では、BSAおよびゼラチンの好ましい濃度は0.1%w/vである。
【0151】
水相内の増幅用のプライマーの濃度は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0μMであり得る。1つの好ましい実施形態では、プライマー濃度は0.5μMである。いくつかの場合では、水相は、蛍光検出用の1つ以上のプローブを約0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5μMの濃度で含む。1つの好ましい実施形態では、蛍光検出用プローブの濃度は、0.25μMである。PCR中の標的核酸濃度の許容範囲は、約1pgと約500ngとの間である。
【0152】
いくつかの実施形態では、水相はまた、添加物(非特異的バックグラウンド/ブロッキング核酸(例えば、サケ精子DNA)、生物防腐剤(例えば、アジ化ナトリウム)、PCRエンハンサー(例えば、ベタイン、トレハロースなど)、およびインヒビター(例えば、RNアーゼインヒビター)が含まれるが、これらに限定されない)を含むことができる。
【0153】
いくつかの場合では、非イオン性エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーを、水相に約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、または1.0%の濃度で添加する。一般的な生物界面活性剤には、非イオン性界面活性剤(プルロニックF−68、テトロニクス、ゾニルFSNなど)が含まれる。1つの好ましい実施形態では、プルロニックF−68は、濃度0.5%w/vで存在する。
【0154】
いくつかの場合、硫酸マグネシウムを、塩化マグネシウムの代わりに類似の濃度で使用することができる。種々の販売者による広範な一般的な市販のPCR緩衝液を、緩衝液の代わりに使用することができる。
【0155】
油相はフッ素化基剤を含むことができ、このフッ素化基剤をフッ素化界面活性剤(全フッ素置換ポリエーテルなど)との組み合わせによってさらに安定化することができる。いくつかの場合では、基油は、1つ以上のHFE7500、FC−40、FC−43、FC−70、または別の一般的なフッ素化油であり得る。いくつかの場合では、陰イオン性界面活性剤は、アンモニウムクライトックス(クライトックス−AM)、クライトックスFSHのアンモニウム塩、またはクライトックス−FSHのモルホリノ誘導体である。クライトックス−ASは、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、2.0%、3.0%、または4.0%w/wの濃度で存在し得る。いくつかの好ましい実施形態では、クライトックス−AS濃度は1.8%である。他の好ましい実施形態では、クライトックス−AS濃度は1.62%である。クライトックス−FSHのモルホリノ誘導体は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、2.0%、3.0%、または4.0%w/wの濃度で存在し得る。いくつかの好ましい実施形態では、クライトックス−FSHのモルホリノ誘導体の濃度は1.8%である。いくつかの好ましい実施形態では、クライトックス−FSHのモルホリノ誘導体の濃度は1.62%である。
【0156】
油相は、さらに、油の性質(蒸気圧、もしくは粘度、または表面張力など)を調整するための添加物を含むことができる。非限定的な例には、ペルフルオロ−オクタノールおよび1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデカノールが含まれる。いくつかの好ましい実施形態では、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデカノールを、約0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、1.00%、1.25%、1.50%、1.75%、2.00%、2.25%、2.50%、2.75%、または3.00%w/wの濃度まで添加する。いくつかの好ましい実施形態では、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデカノールを0.18%w/wの濃度まで添加する。
【0157】
いくつかの実施形態では、加熱によって固体様界面膜を有するマイクロカプセルに変換することができる液体様界面膜を有する高度に単分散の液滴が生成されるように乳濁液を処方する。かかるマイクロカプセルは、反応過程(PCR増幅など)によってその成分を保持することができるバイオリアクターとして作用することができる。マイクロカプセル形態への変換は、加熱の際に起こり得る。例えば、かかる変換は、約50、60、70、80、90、または95℃超の温度で生じ得る。いくつかの場合、この加熱は、サーモサイクラーを使用して起こる。加熱処理中、流体または鉱物油の重層を使用して、蒸発を防止することができる。過剰な連続相の油を加熱前に除去しても除去しなくても良い。生体適合性カプセルは、広範な熱処理および機械的処理にわたって融合および/または綿状沈殿に耐性を示し得る。
【0158】
変換後、カプセルを、約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40℃で保存することができ、1つの好ましい実施形態は、約25℃未満でのカプセルの保存を含む。いくつかの実施形態では、これらのカプセルは、生物医学的適用(高分子(特に核酸もしくはタンパク質またはその両方の混合物を含む水性の流体)の安定なデジタル化されたカプセル化、薬物およびワクチンの送達、生体分子ライブラリー、および臨床画像化への適用など)で有用である。
【0159】
マイクロカプセルは、1つ以上の核酸プローブ(例えば、分子反転プローブ、ライゲーションプローブなど)を含むことができ、特に高温での融合に耐性を示し得る。したがって、PCR増幅反応は、非常に高密度で(例えば、単位体積あたりの反応数)で起こり得る。いくつかの場合では、mlあたり100,000、500,000、1,000,000、1,500,000、2,000,000、2,500,000、5,000,000、または10,000,000を超える個別の反応が起こり得る。いくつかの場合では、反応は、反応体積間の混合を用いない単一のウェル(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)で起こる。マイクロカプセルはまた、PCR反応を可能にするのに必要な他の成分(例えば、プライマー、プローブ、dNTP、DNAまたはRNAポリメラーゼなど)を含むことができる。これらのカプセルは、広範な熱処理および機械的処理にわたる融合および綿状沈殿に耐性を示す。
【0160】
デバイスの役割
種々のデバイスを使用して、本明細書中に記載の方法を実現することができる。図3は、胎児異数性の例示的診断方法のワークフローを示し、本明細書中の方法で使用することができるいくつかのデバイスを強調している。母体および胎児の遺伝子材料を含む母体組織サンプル(201)を得る。DNAをサンプルから抽出し、1番染色体(202)および21番染色体(203)を認識するプローブに結合させ、次いで、ライゲーション反応を起こす。ライゲーションしたプローブ(およびPCR反応に必要な成分)を含むサンプルを液滴発生器(301)に導入し、油中水型乳濁液内の複数の液滴にプローブを分割する。本開示で有用ないくつかの液滴発生器の例は、2009年9月23日に最初の発明者Colstonによって出願された国際出願番号PCT/US2009/005317号に記載されている。次いで、液滴をサーモサイクラー(302)中でインキュベートして、プローブを増幅させる。増幅反応中、増幅したプローブを含む液滴は、増幅したプローブを含まない液滴と比較して蛍光が増加する。次いで、液滴を液滴リーダー(303)によって個別に処理し、データを収集して蛍光を検出する。本開示に有用ないくつかの液滴リーダーの例は、2009年9月23日に最初の発明者Colstonによって出願された国際出願番号PCT/US2009/005317号に記載されている。
【0161】
図3に示すように、次いで、1番染色体および21番染色体のコピー数に関するデータを比較して、胎児異数性を検出する。しばしば、コンピュータなどのデバイスによって適用されるアルゴリズムを使用してデータを分析する。いくつかの場合では、液滴発生器、サーモサイクラー、液滴リーダー、およびコンピュータは、それぞれ、個別のデバイスである。他の場合では、1つのデバイスは、2つ以上のかかるデバイスを任意の組み合わせで含む。例えば、1つのデバイスは、サーモサイクラーと連携した液滴発生器を含むことができる。他の場合では、デバイスは、液滴発生器、サーモサイクラー、および液滴リーダーを含むことができる。
【0162】
本開示は、迅速、効率的、かつ高感度のコピー数の検出および/またはコピー数変動(例えば、胎児異数性)の検出のための手段を提供する。本開示は、遺伝子サンプル内に少量で存在するポリヌクレオチド(例えば、母体血サンプル内の胎児ポリヌクレオチド)のコピー数の変化の同定に特に有用である。いくつかの場合では、0.00001、0.00005、0.00010、0.00050、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、または10コピー未満の標的ポリヌクレオチドを検出する。いくつかの場合では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500コピー未満の標的ポリヌクレオチドを検出する。いくつかの場合では、本明細書中に記載の液滴を、1、2、3、4、5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000滴/秒を超える速度で生成する。
【0163】
増幅
標的配列および基準配列(ならびにライゲーションプローブ内の配列)の増幅技術は当該分野で公知であり、米国特許第7,048,481号に記載の方法が含まれる。簡潔に述べれば、本技術は、サンプルを小液滴(いくつかの場合、それぞれ平均して液滴あたり1つ未満の核酸分子を含む)に分離し、各液滴中で核酸配列を増幅し、特定の標的配列の存在を検出する方法および組成物を含む。いくつかの場合では、増幅される配列は、ゲノムDNA自体よりもむしろゲノムDNAに対するプローブ上に存在する。
【0164】
二次構造物および自己ハイブリッド形成の回避のための公知のパラメータにしたがって、プライマーをデザインする。いくつかの実施形態では、異なるプライマー対は、ほぼ同一の温度(例えば、別のプライマー対の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10℃以内)でアニーリングし、融解する。いくつかの場合では、ライゲーション可能プローブのみ(プライマーなし)を最初にゲノムDNAに添加し、その後にライゲーションしたプローブを分割し、その後に、例えば、ユニバーサルプライマーを使用して各区分内のプローブ上の1つ以上の配列を増幅する。いくつかの場合では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000個超、またはそれを超えるプローブを最初に使用する。かかるプローブは、本明細書中に記載の遺伝子標的とハイブリッド形成することができる。例えば、プローブの混合物を使用することができる。この混合物では、少なくとも1つのプローブが染色体上の特異的部位をターゲティングし、第2のプローブが同一の染色体または異なる染色上の異なる部位をターゲティングする。各ライゲーション可能プローブ組は、そのユニバーサルプローブ組を有することができ、各組のための対応するTaqManプローブによって区別することができる。あるいは、全てのライゲーション可能プローブ組は、同一のユニバーサルプライマー組を使用することができ、各組のための対応するTaqManプローブによって区別することができる。ヒトゲノムDNAに対して相同性を示さないユニバーサルプライマーの例示的配列には、配列番号79および80(図17)が含まれる。
【0165】
本発明の好ましい実施形態をPCRに関して記載しているが、本発明は、おもに、複数の個別の遺伝子配列検出の使用に関する。いくつかの実施形態では、増幅方法は、例えば、自立配列反応、リガーゼ連鎖反応、cDNA末端の迅速な増幅、およびポリメラーゼ連鎖反応、Q−βファージ増幅、鎖置換増幅、等温増幅、またはスプライス重複伸長ポリメラーゼ連鎖反応であり得る。
【0166】
プライマーを、種々の方法(当該分野で周知の方法を使用した適切な配列のクローニングおよび直接化学合成が含まれるが、これらに限定されない)によって調製することができる(Narang et al.,Methods Enzymol.68:90(1979);Brown et al.,Methods Enzymol.68:109(1979))。プライマーを、商業的供給元(Operon Technologies、Amersham Pharmacia Biotech、Sigma、およびLife Technologiesなど)から得ることもできる。プライマーは、同一の融解温度を有し得る。プライマーの長さを5’末端または3’末端で伸長または短縮して、所望の融解温度を有するプライマーを産生することができる。好ましい実施形態では、プライマー(prime)対のプライマーのうちの1つは、他のプライマーより長い。好ましい実施形態では、プライマー対内のプライマーの3’アニーリング長は異なる。また、各プライマー対のアニーリングの位置を、プライマー対の配列および長さによって所望の融解温度が得られるようにデザインすることができる。25塩基対未満のプライマーの融解温度決定のための最も簡潔な式は、ウォレス則(Td=2(A+T)+4(G+C))である。コンピュータプログラムを使用してプライマーをデザインすることもできる(Array Designerソフトウェア(Arrayit Inc.)、遺伝子分析のためのオリゴヌクレオチドプローブ配列デザインソフトウェア(Olympus Optical Co.)、NetPrimer、およびHitachi Software EngineeringのDNAsisが含まれるが、これらに限定されない)。各プライマーのTM(融解温度またはアニーリング温度)を、ソフトウェアプログラム(Net プライマー(http://premierbio soft.com/netprimer/netprlaunch/netprlaunch.html(2002年4月17日時点でのインターネットアドレス)の無料のウェブベースのプログラム)など)を使用して計算する。別の実施形態では、プライマーのアニーリング温度を再計算し、任意の増幅サイクル(サイクル1、2、3、4、5、サイクル6〜10、サイクル10〜15、サイクル15〜20、サイクル20〜25、サイクル25〜30、サイクル30〜35、またはサイクル35〜40が含まれるが、これらに限定されない)後に増加させることができる。最初の増幅サイクル後、プライマーの5’側の半分を目的の各遺伝子座由来の産物に組み込み、したがって、TMを、各プライマーの5’側の半分および3’側の半分の配列の両方に基づいて再計算することができる。
【0167】
いくつかの好ましい実施形態では、標的配列および基準配列を含み得る所望の配列を、上記のように単離および線状化されている以前に環状化したMIPであるテンプレートMIPによって示す。テンプレートMIPは、PCRにおいてテンプレート分子として働く。いくつかの場合では、テンプレートMIPを液滴生成前に産生し、他の場合では、テンプレートMIPを液滴生成中または生成後に産生する。最後の場合の一例では、ウラシル塩基のウラシル−N−デグリコシラーゼ処理に起因する脱塩基部位を含む環状MIPは、サーモサイクラーでのPCR反応の融解工程での加熱の際に自発的開環反応を受ける。いくつかの場合では、テンプレートMIPは液滴デジタルPCRのためのDNAテンプレートとして働き、ここで、テンプレートMIPの増幅は、MIPが示す所望の配列(例えば、標的配列または基準配列)の検出に対応する。いくつかの実施形態では、本方法は、サンプル流体中に不混和性液体を流すことによって液滴デジタルPCR反応のための液滴を生成する工程であって、サンプル流体が1つ以上のMIPまたは1つ以上のテンプレートMIPおよびPCRに必要な試薬を含むマスターミックスを含む、工程を含む。いくつかの好ましい実施形態では、PCR用のマスターミックスは、熱安定性ポリメラーゼ酵素、テンプレートMIP増幅のためのユニバーサルプライマー、組み込みのための遊離DNAヌクレオチド、および反応用の緩衝液成分を含む。熱安定性ポリメラーゼ酵素は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、80、70℃前後の温度に曝露した場合に活性を保持することができる。いくつかの場合では、サンプル流体は、さらに、消化したゲノムDNAまたは不活化した酵素(MIPテンプレート生成から保持されたエンドヌクレアーゼおよび/またはデグリコシラーゼなど)を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、MIPまたはMIPテンプレートによって示された1つ未満、1つ、または1つを超えるゲノム当量のDNAを含む液滴の生成を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、標的配列および基準配列を含み得る所望の配列は、望ましくないバックグラウンドゲノムDNAを含む混合物の一部として存在する。いくつかの場合では、所望の配列のみ(バックグラウンドゲノムDNA配列ではない)を、ライゲーション検出反応および液滴デジタルPCRを使用して検出する(例えば、ライゲーション産物のみがユニバーサルプライマーを含むマスターミックスを使用したPCRにおいて検出可能な産物を形成する能力を有する場合)。他の場合では、所望の配列を、配列特異的プライマーを使用した液滴デジタルPCRで検出する。
【0169】
いくつかの好ましい実施形態では、本開示は、胎児の遺伝子材料を検出するために使用することができる平均して約1ゲノム当量のDNAを含む乳濁液を含む組成物を含む。いくつかの場合では、1つ以上のMIPまたはMIPテンプレートは目的の配列(21番染色体領域など)を示し、その検出によって胎児異数性を決定することが可能である。いくつかの場合では、遺伝子異常(トリソミーなど)に関連し得る遺伝子標的を示す目的の配列を含む組成物を、遺伝子異常に関連し得ない基準配列を示す配列を含む組成物と比較することができる。いくつかの場合では、検出感度を、遺伝子標的に向けられるプローブの多重化によって増強することができる。さらに、複数の遺伝子標的を、複数の同時検出様式(以下に詳述の蛍光検出方法における異なる色調など)を使用して並行して試験することができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、遺伝子標的には、ライゲーション産物(MIP、MIPテンプレート、またはライゲーションしたプローブなど)によって示すことができる任意の核酸分子が含まれ得る。これらのライゲーション産物は、不混和性液体を流して液滴を生成するサンプル流体中に存在する。PCRに必要な試薬を、その後の液滴デジタルPCRのために液滴中に含めることもできる。本明細書中で分析することができる遺伝子標的の例には、胎児の遺伝子異常に関連し得ない遺伝子変動(異数性、変異、挿入、付加、欠失、転座、点変異、トリヌクレオチド反復障害、および/または一塩基多型(SNP)など)が含まれる。
【0171】
プライマーのアニーリング温度を、任意の増幅サイクル後(サイクル1、2、3、4、5、サイクル6〜10、サイクル10〜15、サイクル15〜20、サイクル20〜25、サイクル25〜30、サイクル30〜35、またはサイクル35〜40が含まれるが、これらに限定されない)に再計算し、上昇させることができる。最初の増幅サイクル後、プライマーの5’側の半分を目的の各遺伝子座由来の産物に組み込み、したがって、TMを、各プライマーの5’側の半分および3’側の半分の両配列に基づいて再計算することができる。プライマー伸長を触媒する任意のDNAポリメラーゼを使用することができる(大腸菌DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼ1のクレノウフラグメント、T7DNAポリメラーゼ、T4DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、バクテリオファージ29、REDTaq(商標)ゲノムDNAポリメラーゼ、またはシーケナーゼが含まれるが、これらに限定されない)。好ましくは、熱安定性DNAポリメラーゼを使用する。反応物をポリメラーゼ添加前に95℃に2分間加熱するホットスタートPCRも行うことができるか、サイクル1での第1の加熱工程までポリメラーゼを不活性に保持することができる。ホットスタートPCRを使用して、非特異的増幅を最小にすることができる。任意のPCRサイクル数を使用して、DNAを増幅することができる(2、5、10、15、20、25、30、35、40、または45サイクルが含まれるが、これらに限定されない)。
【0172】
標的核酸(例えば、ライゲーションプローブ、MIPプローブ)の増幅を、当該分野で公知の任意の手段によって行うことができる。いくつかの場合では、標的核酸をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅する。使用することができるPCR技術の例には、定量的PCR、定量的蛍光PCR(QF−PCR)、多重蛍光PCR(MF−PCR)、リアルタイムPCR(RT−PCR)、シングルセルPCR、制限酵素切断断片長多型PCR(PCR−RFLP)、PCR−RFLP/RT−PCR−RFLP、ホットスタートPCR、ネステッドPCR、in situポロノニーPCR、in situローリングサークル増幅(RCA)、ブリッジPCR、ピコタイターPCR、およびエマルジョンPCRが含まれるが、これらに限定されない。他の適切な増幅方法には、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅、自立配列複製、標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅、コンセンサス配列プライミングポリメラーゼ連鎖反応(CP−PCR)、任意プライミングポリメラーゼ連鎖反応(AP−PCR)、縮重オリゴヌクレオチドプライミングPCR(DOP−PCR)、および核酸ベースの配列増幅(NABSA)が含まれる。本明細書中で使用することができる他の増幅方法には、米国特許第5,242,794号;同第5,494,810号;同第4,988,617号;および同第6,582,938号に記載の増幅方法が含まれる。いくつかの実施形態では、標的核酸の増幅をビーズ上で行うことができる。他の実施形態では、増幅はビーズ上で起こらない。
【0173】
いくつかの場合では、サーモサイクリング反応を、液滴中に含まれるサンプル上で行う。いくつかの好ましい場合、液滴は、サーモサイクリング中にインタクトなままである。液滴は、約10,000滴/mL、100,000滴/mL、200,000滴/mL、300,000滴/mL、400,000滴/mL、500,000滴/mL、600,000滴/mL、700,000滴/mL、800,000滴/mL、900,000滴/mL、または1,000,000滴/mLを超える密度でサーモサイクリング中にインタクトなままであり得る。他の場合では、2つ以上の液滴は、サーモサイクリング中に融合し得る。他の場合では、100滴超または1,000滴超がサーモサイクリング中に融合し得る。
【0174】
検出および分析
PCR産物の検出を、蛍光技術を使用して行うことができる。DNA結合時に蛍光が増加するDNA挿入色素(臭化エチジウムまたはSYBRグリーンなど)により、反応体積中のDNAの存在量を定量的に読み取ることができる。このDNA量が反応中に増加するにつれて、蛍光強度が増加する。DNA挿入色素を含む方法は、バックグラウンド蛍光の影響を受けやすい。何故なら、これらの方法は、配列特異的様式でDNAを測定せず、反応産物と他の分子(プライマー二量体など)とを区別しないからである。配列特異性が得られるPCR産物の検出方法は、蛍光剤−消光剤対を含み、かつ特異的配列とハイブリッド形成するプローブを含む。蛍光剤は検出可能な光を放射する任意の分子(フルオロフォアなど)であり得、消光剤は、この放射を吸収して蛍光剤による放射の強度を減少させる任意の分子であり得る。相補配列を含む溶液中に存在する場合、蛍光剤−消光剤プローブは配列に結合する。PCR反応中、ポリメラーゼ(Taqなど)はプライマーとしてこのプローブを使用することができ、プローブは細胞中でRNAプライマーを切り出すように機能する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によって切断される。プライマーとして合成蛍光剤−消光剤プローブを使用したPCR反応の場合、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によってプローブが切断され、それにより、消光剤から蛍光剤が分離される。一旦消光剤にもはや共有結合しなくなると、蛍光剤からの蛍光放射を検出することができる。
【0175】
本開示の好ましい実施形態は、MIPテンプレートを使用して産生した液滴デジタルPCR産物の検出を含む。いくつかの場合では、遺伝子標的と異なるMIPに特異的な配列に結合する蛍光剤−消光剤プローブの切断によって検出される。このストラテジーにより、MIPによって示される遺伝子標的に対する配列特異性を必要とせずにMIPを検出するユニバーサル蛍光剤−消光剤プローブが使用可能である。
【0176】
いくつかの実施形態では、標的配列への結合の際に蛍光を発するようになる分子指標(MB)プローブを使用することができる。MBプローブは、5’末端に蛍光剤を含み、かつ3’末端に消光剤を含むステム−ループ構造を有するオリゴヌクレオチドである。蛍光共鳴エネルギー移動による消光度は、消光剤と蛍光剤との間の距離の6乗に反比例する。加熱および冷却後、MBプローブは、蛍光剤からの蛍光シグナルを消光するステム−ループ構造物を再編成する。その配列がループ配列に相補的なPCR産物が加熱/冷却サイクル中に存在する場合、PCR産物の1つの鎖へのMBのハイブリッド形成により、消光剤と蛍光剤との間の距離が増加し、それにより、蛍光が増加する。
【0177】
いくつかの実施形態では、ユニバーサルプローブの使用によって検出する。ユニバーサル蛍光剤プローブ(UFP)は、一定範囲の波長の電磁放射線の吸収の際に検出可能な電磁放射線を放射する蛍光分子を含む。ユニバーサル消光剤プローブ(UQP)は、近位蛍光剤プローブの蛍光放射の強度を減少させる消光剤分子を含む。1つの場合、ユニバーサル蛍光剤プローブは、ユニバーサル消光剤プローブ上の相補核酸セグメントまたは標的配列内の相補核酸セグメント(MIPなど)とハイブリッド形成する核酸セグメントを含む。PCR中、かかる標的配列の増幅により、消光剤プローブと比較してユニバーサル蛍光剤プローブの標的配列への結合が増加し、それにより、検出可能な蛍光が増加する。いくつかの場合では、ユニバーサル蛍光剤プローブとユニバーサル消光剤プローブとの間の相補配列の長さを変化させて、ユニバーサル消光剤プローブに結合したユニバーサル蛍光剤プローブの複合体の融解温度を調整することができる。いくつかの場合では、相補配列の長さは15塩基対であり得る。いくつかの場合では、相補配列の長さは、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、または80塩基対超であり得る。ユニバーサル消光剤プローブに結合したユニバーサル蛍光剤プローブの複合体の融解温度は、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95℃超であり得る。
【0178】
図6は、切断することなくユニバーサルプライマーおよびユニバーサルプローブを使用した液滴中の核酸検出のための2色系を示す。ユニバーサルプローブは、2つの相補オリゴヌクレオチド(一方は蛍光分子を含む蛍光剤プローブ(UFP1またはUFP2)であり、他方は消光分子を含む消光剤プローブ(UQP1またはUQP2)を含む。異なる色調のUFP1およびUFP2の蛍光を、検出時に区別可能である。消光剤プローブに結合する場合、蛍光剤プローブの蛍光強度は実質的に減少する。さらに、2対のユニバーサル順方向および逆方向プライマーは、蛍光剤プローブに相補的な領域を含み、標的配列のPCR増幅を促進する。第1の増幅ラウンドでは、蛍光剤プローブに相補的な領域を、ユニバーサルプライマーを介してテンプレートに組み込む。その後の増幅ラウンドでは、蛍光剤プローブUFP1またはUFP2は、したがって、その各消光剤プローブよりもむしろこのテンプレートとハイブリッド形成することができる。いっそう多くのこれらのテンプレートが増幅反応によって指数関数的に生成されるにつれて、UFP1−UQP1およびUFP2−UQP2複合体は、競合的結合によってUFP1−テンプレートおよびUFP2−テンプレート複合体に置換される。蛍光剤プローブと消光剤プローブとの間のこの分離の結果として、蛍光強度が反応中に増加し、その後の工程で検出することができる。
【0179】
ユニバーサルプローブを、当該分野で公知の方法によってデザインすることができる。いくつかの実施形態では、プローブはランダム配列である。ユニバーサルプローブを、アッセイ中の標的ポリヌクレオチドやサンプル中に存在する可能性が高い他の非標的ポリヌクレオチド(例えば、標的ポリヌクレオチドによって占められる領域の外側のゲノムDNA)に確実に結合しないように選択することができる。ユニバーサルプローブの配列の例には、配列番号81および82が含まれる。
【0180】
蛍光剤によって吸収することができる励起光を発生するためのモジュールおよび蛍光剤によって放射された光を検出するためのモジュールを備えた種々の検出デバイスを使用して、蛍光を検出することができる。いくつかの場合では、サンプル(液滴など)を、大量に検出することができる。例えば、サンプルを検出器中に配置したプラスチックチューブに割り当て、プラスチックチューブからの大量の蛍光を測定することができる。いくつかの場合では、1つ以上のサンプル(液滴など)をプレートの1つ以上のウェル(96ウェルプレートまたは384ウェルプレートなど)に分割することができ、蛍光プレートリーダーを使用して各ウェルの蛍光を検出することができる。
【0181】
いくつかの場合では、検出器は、さらに、液滴サンプルを取り扱う能力(各液滴を検出器に入れ、検出し、次いで、検出器から出す)を有する。例えば、フローサイトメトリーデバイスを、液滴サンプルからの蛍光の検出で使用されるように適合することができる。いくつかの場合では、液滴の移動を調節するためのポンプを備えたマイクロ流体デバイスを使用して、一列の液滴由来の蛍光を検出する。いくつかの場合では、液滴を二次元表面上に整列させ、検出器を表面に対して移動させ、単一の液滴を含む各位置での蛍光を検出する。
【0182】
蛍光検出データの収集後、いくつかの場合にコンピュータを使用して、データを保存および処理する。コンピュータ実行可能ロジックを使用して、バックグラウンド蛍光のサブトラクション、標的および/または基準配列の割り当て、およびデータの定量化などの関数を実行することができる。例えば、サンプル中の疑われる異数体染色体(21番染色体など)の存在に対応する蛍光を含む液滴数を計数し、異数性が疑われない染色体(1番染色体など)の存在に対応する蛍光を含む液滴数と比較することができる。図9は、分子プロファイリング由来の診断結果の表示、保存、回収、または計算、ゲノムまたは核酸発現分析由来の生データの表示、保存、回収、または計算、または本発明の方法で有用な任意のサンプルまたは患者の情報の表示、保存、回収、または計算に有用なコンピュータを示す。
【0183】
標的配列および基準配列の増幅のためのプライマーを含むサンプルのデジタルPCR後、標的配列を有する陽性サンプル数および基準配列を有する陽性サンプル数を比較することができる。これは母体組織中に存在する配列の比較であるので、母体DNAと胎児DNAとを区別する必要はない。標的配列が二倍体であることが公知の基準配列と同数のコピーを含む場合、サンプルを同様に二倍体であると決定することができる。標的配列が基準配列と異なる場合、サンプルはおそらく異数性を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、上記のように母体組織から得たゲノムDNAを、平均して液滴あたり1ゲノム当量(GE)未満であるように複数の反応体積(例えば、液滴)に分割する。いくつかの場合では、液滴は、平均して1GE/液滴をはるかに超えて含む(平均して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、30、45、または50GE/液滴など)。いくつかの場合では、サンプルは平均して1、5、または10GE/液滴を超えて産生するが、それにもかかわらず、いくつかの液滴はGEを含まないか、標的ポリヌクレオチドを含まない。かかる場合、特定の遺伝子標的の平均コピー/液滴数を計算するためのアルゴリズムを適用する必要があり得る。いくつかの場合では、遺伝子標的は、実際に、その後に断片化される全染色体(またはフラグメント)であり、したがって、複数の液滴中に1コピーが出現し得る。
【0185】
しばしば、個別の反応体積を試験すべき遺伝子異常の存在について分析する場合、分析すべきDNA(染色体)は、平均して、存在しても存在しなくても良く、いわゆるデジタル分析が可能である。特定の標的配列を含む反応体積の集合数を、基準配列と数の相違について比較することができる。標的配列と二倍体配列であることが公知の基準配列との間の正常(例えば、1:1)以外の比は、異数性を示す。例えば、サンプルを、各液滴が名目上の1ゲノム当量未満のDNAを含むように反応体積(液滴など)に分割することができる。目的の標的(例えば、21番染色体トリソミーの遺伝子マーカーまたは関連プローブ)の基準配列(例えば、1番染色体上の公知の二倍体配列または関連プローブ)に対する相対比を、多数の反応体積(例えば、液滴)(10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、またはそれを超える数など)の試験によって決定することができる。他の場合では、反応体積(液滴など)は、液滴あたり平均して1つ以上の標的ヌクレオチド(またはゲノミック当量)を含む。かかる場合、標的ヌクレオチドの平均コピー数を、アルゴリズム(Dube et al.(2008)Plos One 3(8):e2876に記載のアルゴリズムなど)の適用によって計算することができる。
【0186】
多数の反応体積の分析により、胎児異数性に起因する1:1からの相対比の変化を、胎児DNAの相対濃度が母体DNAと比較して低い場合に出発サンプル中の胎児および母体のDNAの混合物から測定することができる。これをデジタル分析という。なぜなら、各反応体積が、反応体積あたり平均して1ゲノム当量を有し、したがって、希釈物を、計数すべき配列(例えば、標的または基準)の存在に関して二進法の「イエス−ノー」の結果として読み取ることができるからである。
【0187】
本明細書中に記載の方法および組成物を、広範な適用で使用することができる。いくつかの実施形態では、方法および組成物は、遺伝子障害に関連する状態の診断、検出、同定、予測、評価、または診断のための方法に関連する。かかる状態は、特異的遺伝子座(本明細書中に提供した任意の遺伝子座が含まれる)内の遺伝的要因(遺伝子障害、変動、変異、SNP、欠失、増幅、転座、反転、または任意の他の異常が含まれる)に起因し得る。
【0188】
本明細書中に提供した方法および組成物を使用して、胎児が遺伝子異常(例えば、ダウン症候群、胎児異数性など)を有するリスクを診断、検出、予測、同定、または評価することができる。本方法を使用して、妊婦が妊娠中の問題(第一期、第二期、または第三期内の流産、死産、乳児の出生時欠損、早産または分娩に伴う他の問題、および妊娠、分娩、または出産に関連する他の任意の他の状態が含まれる)を経験するリスクを同定、定量、診断、予後診断、評価、または分析することもできる。
【0189】
本明細書中に提供した方法および組成物を使用して、第2のポリヌクレオチドと比較した第1のポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、ゲノムDNA、mRNA、siRNA、miRNA、cRNA、一本鎖DNA、二本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、tRNA、rRNA、cDNAなど)の相対コピー数を評価することができる。本方法を使用して、溶液中の合成プラスミド量を分析し、被験体から得たサンプル内の病原性生物(例えば、細菌、ウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、HIV−1、HIV−2、インフルエンザウイルスなど)の配列を検出することができる。本方法を、ポリヌクレオチドの小集団がポリヌクレオチドのより大きな集団内に存在する他の適用で使用することもできる。
【0190】
方法のいくつかの例
いくつかの実施形態では、本方法は、一般に、以下の工程を含む。
【0191】
1.妊娠した被験体由来のDNAを含む組織を得る工程。いくつかの実施形態では、組織は、母体血(全血または末梢血)、血漿、または血清であり得る。この材料を採血し、循環DNAを細胞中よりもむしろ血漿中で見出すことができる。いくつかの実施形態では、母体組織(血液または血漿など)を、公知の方法(約300ヌクレオチド未満のDNAフラグメントを選択するためのサイズ分画など)によって胎児DNAを富化させることができる。いくつかの実施形態では、約500ヌクレオチドよりも巨大である傾向がある母体DNAを排除することができる。他の実施形態では、Dhallan et al.”Methods to Increase the Percentage of Free Fetal DNA Recovered From the Maternal Circulation,”(2004)J.Am.Med.Soc.291:1114−1119に記載のように、別の富化工程を使用して、血液サンプルをホルムアルデヒドで処置することができる。さらに他の実施形態では、当該分野で周知の方法(エタノール沈殿など)を使用して、サンプル中の他の材料からDNAを精製する。
【0192】
必要に応じて、ゲノムDNA中の目的の配列を、1つ以上のオリゴヌクレオチド(すなわち、プローブ)への特異的結合によって捕捉することができる。いくつかの場合では、ゲノムDNAとプローブとの混合物をリガーゼ反応に供し、それにより、ゲノムDNAに結合するプローブが選択的にライゲーションされる。いくつかの場合では、DNAへの結合によって反転および線状プローブ(MIPなど)の環状化が起こり、ライゲーション反応によって環状産物が産生される。これらの場合のいくつかでは、ゲノムDNAおよび非結合プローブを、エキソヌクレアーゼ処理を使用してサンプルから除去することができる。
【0193】
2.このサンプル由来の単一のDNA分子を出発サンプルから分割される多数の個別の反応体積(例えば、水相液滴)に分布させる工程。いくつかの実施形態では、反応体積数を、出発サンプルDNA分子中の標的のコピー数について統計的に有意な結果が得られるように選択することができる。反応体積を、反応分子が接近するように少量に制限し、それにより、反応時間を減少させることができる。反応体積あたりのDNA分子量は、反応体積あたり約0.5、1、2、3、4、またはそれを超えるDNA分子であり得る。いくつかの場合では、反応体積あたりのDNA分子数は、平均して、反応体積あたり約1DNA分子である。いくつかの場合では、単一の液滴の反応体積は、100pL、500pL、1nL、10nL、または100nLまでであり得る。
【0194】
3.核酸増幅技術(PCR反応など)を使用してDNA中の標的配列の存在を検出する工程。各反応体積(例えば、液滴)は、当該分野で周知のPCR実施に必要な全ての試薬を含むことができる。1つの実施形態では、母体組織サンプルを、液滴に分割し、これを連続フローPCR増幅(米国特許第7,048,481号および米国特許出願第61/194,043号(その両方の全体が本明細書中で参考として援用される)に記載のものなど)で増幅する。いくつかの場合では、増幅は、ゲノムDNA自体よりもむしろゲノムDNAに結合するプローブ内の配列の増幅である。他の実施形態では、母体組織サンプルを液滴に分割し、サーモサイクラーのウェル中で増幅させる。いくつかの実施形態では、PCR産物を探索するか、従来の定量的読み取りを行うために標識することができる。例えば、各反応体積中の1つ以上の配列の蛍光シグナルを読み取ることができる(蛍光標識、プローブ、または挿入色素の使用などによる)。検出工程を本明細書中でデジタルPCRといい、種々の方法((a)流れまたはストップトフロー中のPCR産物を含む各液滴;(b)マイクロタイタープレートの各ウェルに希釈したサンプル由来のPCR産物;(c)乳濁液に希釈したサンプル由来のPCR産物;または(d)マイクロ流体チャンバー中に捕捉したサンプル由来のPCR産物の蛍光の測定など)によって行うことができる。
【0195】
4.母体および胎児の標的配列検出の定量的分析工程。いくつかの場合、これは異なる領域に対する標的を含むことができる(正常な二倍体染色体上の配列(基準として使用される)と比較して異常なコピー数(トリソミーなど)で存在すると疑われる染色体上の標的に対するプローブなど)。分析はまた、ライゲーション産物((例えば、エキソヌクレアーゼ処理を使用して)ゲノムDNAおよび非結合プローブから単離し、酵素処理を使用して線状化した環状MIPなど)の検出を含むことができる。いくつかの場合では、各区分の蛍光強度の測定によって定量的決定を行う一方で、他の場合、検出可能なシグナルを含む区分数の計数によって測定する。いくつかの実施形態では、バックグラウンド蛍光を計上するために全測定値から引くことができるバックグラウンド測定値が得られるようにコントロールサンプルを含めることができる。他の実施形態では、1、2、3、4、または4つを超える異なる色調を使用して、異なる配列を測定することができる(異なる配列を認識するプローブに適合した異なるPCRプライマー上の異なる色調のフルオロフォアの使用などによる)。
【実施例】
【0196】
実施例1.2色検出スキームを使用した胎児DNAの検出
この実施例では、母体血漿サンプル中に3%の胎児DNAが存在する場合の21トリソミー胎児異数性の検出を記載する。母体血漿1mL中に1000ゲノム当量(GE)が存在し、20mLの母体血体積を採取する。
【0197】
血漿を遠心分離によって母体血サンプルから単離し、核酸を精製し、50μLの体積まで濃縮する。サンプルを、多重化アッセイ成分を含む同体積のPCR試薬と混合する。全部で100μLのサンプルを、液滴あたり1nLの体積を有する100,000水滴に分割する。理想的な陽性液滴の比率75%を定量するために、これはポアソン分布に基づいて液滴あたり1.47コピーの標的配列を意味する。これは、100,000滴の1nL液滴に区画化される必要がある147,000標的に変換される。これに到達するために必要なプライマー組の数は147,000GE/10,000GEであり、これは15重である。したがって、各液滴では、各標的配列および基準配列について15重であるか、液滴あたり全部で30プライマー組である。サンプルを、2色検出スキームを使用して分析する。このスキームでは、標的配列が緑色放出体を使用して蛍光を探索し、基準配列が黄色、橙色、または赤色の放出体を使用して蛍光を探索する。100,000滴にわたって検出を行い、標的配列(緑色)の基準配列(黄色、橙色、または赤色)に対する比を計算する。
【0198】
実施例2.1色検出スキームを使用した胎児DNAの検出
異なる有色の標的プローブおよび基準プローブを使用するよりもむしろ、サンプルを分割し(例えば、半分)、次いで、2組の液滴を生成し、増幅し、個別に分析し、一方の半分は標的プローブを使用し、他方の半分は基準プローブを使用することを除いて、ここでは実施例1の条件を使用する。
【0199】
実施例3.MIP−ddPCRを使用した胎児DNAの検出
無細胞血漿を、遠心分離によって母体血サンプルから単離する。次いで、無細胞DNAキット(Qiagen)を使用して核酸を精製し、濃縮する。次いで、精製したゲノムDNAを、21番染色体に対する1000染色体配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、MIPプローブ)(MIP−21Chr)および1番染色体に対する1000染色体配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、MIPプローブ)(MIP−1Chr)と混合する。リパーゼ、ポリメラーゼ、および他の反応成分を混合物に添加する。サンプルを20℃で4分間インキュベートする。次いで、サンプルを95℃で5分間インキュベートして変性を促進し、次いで、60℃で15分間インキュベートしてゲノムDNAへのMIPプローブのアニーリングを促進する。次いで、ギャップ充填反応を行ってMIPプローブを環状化する。(いくつかの場合では、ギャップ充填反応を使用せずに末端を直接ライゲーションすることができる)。ヌクレオチドをサンプルに添加し、次いで、60℃で10分間インキュベートして、リガーゼおよびポリメラーゼをMIPプローブ中のギャップに結合させる。次いで、サンプルを37℃で1分間インキュベートする。次に、サンプルをエキソヌクレアーゼIおよびIIIで処理して残存する線状プローブおよびssDNA(プローブとハイブリッド形成しないゲノムDNAなど)を消化し、その後に37℃で14分間インキュベートしてエキソヌクレアーゼ活性を促進し、95℃で2分間インキュベートしてエキソヌクレアーゼを不活化し、最後に、37℃で1分間インキュベートする。次に、ウラシル−N−グリコシラーゼをサンプルに添加し、37℃で10分間インキュベートして酵素による脱プリン化を促進し、その後に95℃で20分間インキュベートしてMIPプローブ中の脱塩基脱プリン化ウラシル残基を切断する。線状化したプローブは、ここで、逆のプライマー方向を有する。
【0200】
次に、サンプルに対して液滴デジタルPCRを行う。Taqポリメラーゼ、ユニバーサルプライマー、Taqman蛍光プローブ、およびPCR反応成分をサンプルに添加する。MIP−21Chrプローブ上のユニバーサルプローブ結合配列に相補的なTaqman蛍光プローブをFAM色素でタグ化し、MIP−1Chrプローブ上のユニバーサルプローブ結合配列に相補的なTaqman蛍光プローブをVIC色素でタグ化する。次いで、サンプルを、乳化油相および/または水性PCR反応相への界面活性剤の添加物によって安定化した100,000単分散−油中水型液滴に乳化する。結果として、サンプルを100,000滴に分割する。次いで、サンプルを、各液滴中での各PCR反応を終点まで駆動するための条件下で15〜50熱サイクルに供する。次いで、液滴を、2色検出スキームの使用によって分析して、FAMおよびVIC色素の放出を検出する。Ch21について計数した標的数を、FAM蛍光について陽性および陰性の液滴の画分の同定によって決定する。同様に、基準サンプル(Ch1)について計数した標的数を、VIC蛍光について陽性および陰性の液滴の画分の同定によって決定する。次いで、陽性および陰性の液滴数を、ポアソン分布の投入として使用して標的染色体および基準染色体の両方についての液滴あたりのコピー数(λ)を決定する。次いで、Ch21の相対コピー数を、例えば、Dube et al.(2008)Plos ONE 3(8):e2876.doi:10.1371/journal.pone.0002876に記載の当該分野で公知の式を使用して決定する。かかる式を使用して推定値の信頼度も決定する。
【0201】
実施例4.陽性および陰性の液滴シグナルの分離ならびに
MIP反応におけるテンプレートコピー数に対するddPCRの感度
環状化反応
多重化MIP環状化産物を、10μLアニーリング混合物あたり多重中に100アトモル(amol)の各MIP種を含む3重または12重プローブプールのいずれかを使用して生成した。1アトモルは、10−18モルと等しい。100amolは、およそ60Mコピーの各MIPプローブ配列に等しい。アニーリング反応物の体積は20μlであった。
【0202】
(本実験では、本プロトコールで引用した全ての体積は20μlアニーリング反応から開始して倍にしたが、全てのDNA、緩衝液、および酵素の濃度を、標準的な10μlアニーリング反応プロトコールと同一に維持したことに留意のこと)。プローブプールを、24核酸の1番染色体の基準組(配列番号1〜24)(配列番号81によって検出)または24核酸の21番染色体の試験組(配列番号25〜48)(配列番号82によって検出)のいずれか由来の選択したMIPプローブ(IDT Ultramers、PAGEによって精製)の集合希釈物から処方した。
【0203】
MIPプローブを、1×アンプリガーゼ緩衝液を含む96ウェルPCRプレート中で種々のコピー数のRajiヒトgDNA(0;100;1,000;または10,000コピー、3pg gDNA/コピー)と合わせ、サーモサイクラー(Eppendorf Mastercycler Pro.SまたはABI9700)中にて95℃で5分間変性させ、次いで、58℃に冷却し、この温度で12時間超インキュベートおよびアニーリングした。
【0204】
アニーリング後、サーモサイクラー中を58℃に維持しながら、0.75Uのアンプリガーゼを、5μLの1×アンプリガーゼ緩衝液中の各反応物に混合しながら添加して全体積15μLの混合物を得て、プレートを再度シールし、58℃でさらに15分間インキュベートした。
【0205】
非環状化材料の消化
環状化反応の直後に、サーモサイクラーの温度を一様な割合でで4℃まで低下させ、非環状化した過剰なMIPプローブおよびgDNAのエキソヌクレアーゼ消化を、1×ExoIII緩衝液(EpiCentre)中に6UのExoIおよび30UのExoIIIを含む5μLの混合物を各反応ウェルに混合しながら添加することによって行い、プレートを再度シールした(総反応体積=20μL)。消化をサーモサイクラーにて37℃で20分間進行させ、その後に95℃で10分間熱変性させた。
【0206】
MIP反応産物を、qPCR(20μLのqPCR反応あたり4μLの環状化反応混合物)によって分析し、その後に−20℃で凍結し、液滴デジタルPCR(ddPCR)実験で使用するために保存した。
一般的な2×保存液の調製
一般的な保存液(10mL)を以下のように処方した。
【0207】
【表1】
一般的な保存液を4℃で保存し、複数の実験のために使用した。
2×Hb_pr1 ddPCR保存液の調製
2×Hb_pr1 ddPCR保存液(520.5μL)を以下のように処方した。
【0208】
【表2】
1.25×Hb_pr1 ddPCR保存液の調製
1.25×HB_PR1 ddPCR保存液(800μL)を以下のように処方した。
【0209】
【表3】
1.25×Hb_pr1 ddPCR保存液を、4つの遠心管(容量1.5mL)に160μLアリコートで分割した。
2×Hb_pr2 ddPCR保存液の調製
2×Hb_pr2 ddPCR保存液(936.9μL)を以下のように処方した。
【0210】
【表4】
1.25×Hb_pr2 ddPCR保存液の調製
1.25×Hb_pr2 ddPCR保存液(1440μL)を以下のように処方した。
【0211】
【表5】
1.25×Hb_pr2 ddPCR保存液を、8つの遠心管(容量1.5mL)に160μLアリコートで分割した。
ddPCR手順
MIP環状化実験産物を解凍し、遠心分離した(2,000rpmで2分間)。MIP産物の2連のアッセイ反応由来の40μLアリコート(すなわち、2×20μLアリコート)を、TaqmanアッセイHb_pr1を含むようにデザインされたMIPのための1.25×Hb_pr1 ddPCR保存液またはTaqmanアッセイHb_pr2を含むようにデザインされたMIPのための1.25×Hb2 ddPCR保存液のいずれか160μLと合わせた。反応混合物を、シリンジポンプシステムを備えたChipShop液滴生成システムを使用して、反応混合物を1nL液滴に分割した。
【0212】
液滴サンプルを、サーモサイクラープレート(3×30μLアリコート/液滴サンプル)に移し、ホイルシールでシールし、約1.25時間サーモサイクリングを行った。サーモサイクリングを、94℃で10分間プレートを保持することによって開始し、その後にプレートを35または40サイクル(94℃、20秒/65℃、60秒)のサイクリングに供し、最後にプレートを4℃に冷却し、保持した。サーモサイクリングを行ったプレートを、この温度で保存した。
【0213】
残りの液滴アリコートを、Nikon光学顕微鏡下で観察して、均一性および適切なサイズを評価した。
【0214】
サーモサイクリングを行ったサンプルを、QuantaLife Box 2α検出システムに配置した。このシステムでは、液滴サンプルを自動的に1つのウェルから一度に取り出し、検出器によってシングルファイルを通過させ、これを使用して反応したFAM Taqmanプローブ由来の液滴サイズおよび蛍光強度の両方を評価した。
【0215】
適切なサイズの各ウェル中の液滴を、その蛍光振幅に応じて陽性または陰性の液滴のいずれかとしてスコアリングし、これらの分布を使用して、ポアソン統計にしたがってアッセイしたサンプル標的の濃度をコンピュータで計算した。
【0216】
図10の上のパネルは、陽性液滴数(またはカウント)の増加がテンプレートDNAの投入コピーの増加と相関することを示す。ここで、RajiゲノムDNA(Raji癌細胞由来)を実験のために使用した。これらの実験のために、最初の3列(上のパネルのD4〜6、下のパネルのF4〜6)で示したサンプルの0コピー(またはテンプレートコントロールなし「NTC」)のDNAの投入コピーを使用し、次の3列の組で100コピー(上のD7〜9、下のF7〜9)、次の3列の組で1000コピー(上のE4〜6、下のG4〜6)、および最後の3列で10,000コピー(上のE7〜E9および下のG7〜G9)を使用した。上のパネルでは、全てのMIP反応を、3つの異なるMIPプローブ(それぞれ、試験染色体(21番染色体(hb_pr2にも対応する)である)上の異なる部位に向けられる)を使用してMIP3重を用いて行った。上のパネルについて、左パネル上の10605RFU(相対蛍光単位)の横線および右パネル上の10605RFUの縦線は、陽性液滴と陰性液滴との間の閾値の境界を定めている。示した実験を三回行う。
【0217】
下のパネルは、より大きなMIPプローブ組を使用して行った同一実験である。下のパネルでは、12個の各MIPプローブが21番染色体内の異なる領域に向けられるMIP12重を使用した。図10に示すように、下のパネルは、所与の投入数(例えば、NTC、100、1000、10000)のDNAテンプレートでおよそ4倍の陽性液滴数を示す。y軸は、各液滴から放射されたFAMシグナル(またはTaqmanプローブ)についての相対蛍光単位を示す。上および下の両パネルについて、右のパネルは、液滴の種々の蛍光振幅を示す度数ヒストグラムを提供し、左パネルに示した全12レーン由来のデータを合わせている。ここで、X軸は、FAMシグナルの相対蛍光単位を提供する。下のパネルについて、左パネル上の10,431RFUの横線(相対蛍光単位)および右パネル上の10,431RFUでの縦線は、陽性液滴と陰性液滴との間の閾値の境界を定めている。
【0218】
図11は、MIPプローブプールが基準ポリヌクレオチド(hb_pr1、すなわち1番染色体)に対するプローブに由来する場合に図10に示す結果に類似の結果が得られることを示す。パネルの左側のボックスで囲ったカウントは、10,000コピーのテンプレートDNAを使用した3重MIPプローブプールの使用によって得たカウント数を反映する一方で、グラフの右側のボックスで囲ったカウントは、10,000コピーのテンプレートDNAを使用した12重MIPプローブプールの使用によって得たカウント数を反映する。示した実験を三回行う。
【0219】
図12は、1,000〜10,000コピーのテンプレートで行った場合のカウント数の10倍増加によって示されるように、1000コピーまたは10,000コピーのテンプレートが反応物中に存在するかどうかと無関係にハイブリッド形成効率が類似することを示す。図12はまた、ゲノムDNAの所与のコピー数について、MIPプローブの多重度の増加によってカウント数を増加させることができることを示す。MIPプローブは所与の染色体にわたって多重化することができ、それにより少数のゲノミック当量から多数のカウントが得られる。このことは、標的と基準との間の小さなコピー数の変化の区別に重要である。示した実験を三回行う。
【0220】
本発明の別の実施形態を本明細書中に示し、説明しているが、かかる実施形態を例示のみのために提供していることが当業者に明らかである。本発明を逸脱することなく、当業者は、多数の変形形態、変更形態、代替形態を想到する。本明細書中に記載の発明の実施形態の種々の代替形態を本発明の実施で使用することができると理解すべきである。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲およびその等価物の範囲内の方法および構造物がこれらによって対象とされることを意図する。
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)項の下、2009年11月25日に出願された米国仮特許出願第60/916,883号;2009年11月25日に出願された米国仮特許出願第61/264,591;2010年3月2日に出願された米国仮特許出願第61/309,837;2010年3月2日に出願された米国仮特許出願第61/309,845;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/317,635;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/317,639;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/317,684;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/341,065;2010年3月25日に出願された米国仮特許出願第61/341,218;2010年9月8日に出願された米国仮特許出願第61/380,981;2010年11月1日に出願された米国仮特許出願第61/409,1062010年11月2日に出願された米国仮特許出願第61/409,473;および2010年11月5日に出願された米国仮特許出願第61/410,769号の利益を主張し、この米国仮特許出願の各々は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
胎児異数性は染色体数の異常であり、一般に、卵子形成または精子形成中の減数分裂の不分離の結果として起こる。しかし、一定の異数性(8トリソミーなど)は、より頻繁には、接合後の有糸分裂時の分離に起因する(Nicolaidis & Petersen(1998)Human Reproduction 13:313−319)。かかる異常には正常な染色体数の減少および増加の両方が含まれ、常染色体および性染色体が関与し得る。減少異数性の例はターナー症候群であり、単一のX性染色体の存在を特徴とする。染色体数の増加の例には、ダウン症候群(21番染色体のトリソミー)、パトー症候群(13番染色体のトリソミー)、エドワーズ症候群(18番染色体のトリソミー)、およびクラインフェルター(Kleinfelter’s)症候群(性染色体のXXYトリソミー)が含まれる。異数性は、一般に、重要な身体障害および神経学的障害を引き起こし、それにより、罹患個体の大部分が成人に到達しない。実際、13、18、または21番染色体以外の染色体に関与する常染色体異数性を有する胎児は、一般に、子宮内で死亡する。しかし、一定の異数性(クラインフェルター(Kleinfelter’s)症候群など)は明白な表現型を示すことが非常に稀であり、他のトリソミー(XXYおよびXXXなど)に罹患した者は、しばしば、生殖力のある成人に成熟する。いくつかの場合では、染色体の一部のコピー数が異常になる部分的異数性は、不均衡な不分離に起因し得る。
【0003】
羊水穿刺または絨毛膜絨毛採取(CVS)による侵襲的検査を使用した胎児異数性の出生前診断は、0.5%〜2%の手順に関連する妊娠損失リスクに関連する(非特許文献1;非特許文献2)。
【0004】
胎児異数性の正確なスクリーニングの際の別の障壁は、特により早期の妊娠期間における母体血漿中の胎児DNA濃度の低さである。単一または低多重のアッセイアプローチでは異数体(aneupoloid)胎児(例えば、21番染色体のトリソミー)と正倍数性胎児を区別するのに十分な標的カウントが得られる可能性が低い。一般に、必ずしも母体血に由来しない生物学的サンプル中のコピー数変動の検出のための方法および組成物も当該分野で必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】D’Alton,M.E.,(1994)Semin Perinatol 18:140−62
【非特許文献2】Caughey AB(2006)Obstet Gynecol 108:612−6
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、遺伝子材料集団内の標的ポリヌクレオチドのコピー数を検出するための方法および組成物を提供する。区画を使用することにより、標的ポリヌクレオチドを複数の反応体積に細分割することができる。いくつかの場合では、標的ポリヌクレオチドに対するプローブを複数の反応体積に細分割する。
【0007】
いくつかの場合では、本方法は、以下の工程を含む:a.第1のライゲーションプローブを第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、b.第2のライゲーションプローブを第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、c.前記第1および第2のライゲーションプローブをライゲーション反応に供して1つ以上のライゲーションした産物を得る工程、d.前記1つ以上のライゲーションした産物を2つ以上の区分に分割する工程、e.前記1つ以上のライゲーションした産物内の配列を増幅して増幅された産物を得る工程、f.前記増幅された産物を含む前記区分の数を決定する工程、およびg.前記第1の標的ポリヌクレオチドのコピー数を計算する工程。いくつかの場合では、標的ポリヌクレオチドを、前記2つ以上の区分に分割しない。
【0008】
区分には、広範な種々の区分型(固体区分(例えば、ウェル、管など)および流体区分(例えば、油相(連続油相など)内の水滴または少なくとも2つの不混和性流体の混合物内の水滴)が含まれる)が含まれ得る。区分はまた、安定でも不安定でもよい。例えば、いくつかの場合では、増幅過程中、前記2つ以上の区分は実質的にインタクトなままである。いくつかの場合では、区分は油相内の水滴であり、前記水滴は本発明の方法の増幅反応中に実質的にインタクトなままである。区分(例えば、前記水滴)はまた、1つ以上の標的ポリヌクレオチド(または前記ポリヌクレオチドに対するプローブ)の存在について区分を評価する場合、決定工程中に実質的にインタクトなままである。区分は、前記ライゲーションした産物から開始される増幅反応を含むことができる。
【0009】
第1および第2のライゲーションプローブは、種々の標的ポリヌクレオチドに結合する(または結合するようにデザインする)ことができ、しばしば、第1のライゲーションプローブは第1の標的ポリヌクレオチドに結合し、第2のライゲーションプローブは第2のポリヌクレオチドに結合する。いくつかの場合では、第1および第2のライゲーションプローブを、それぞれ、前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合するようにデザインする。他の場合では、前記第1のライゲーションプローブは、前記第2の標的ポリヌクレオチド(poynucleotide)の配列と異なる配列を有する第1の標的ポリヌクレオチドに結合する。いくつかの場合では、第1のライゲーションプローブを、種内の個体間で保存されるポリヌクレオチド配列に結合するようにデザインする。いくつかの場合では、第1のライゲーションプローブを、2つ以上の異なる種の間で保存されるポリヌクレオチド配列に結合するようにデザインする。いくつかの場合では、ライゲーションプローブは、染色体の非多型領域に結合する。
【0010】
いくつかの実施形態では、本方法は、複数のライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドにライゲーションする工程を含む。例えば、本方法は、少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程を含むことができる。他の場合では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、100,000、2,000,000、3,000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000、7,000,000、8,000,000、9,000,000、または10,000,000個のライゲーションプローブを、本明細書中に提供した方法で使用する。しばしば、1つ以上の前記ライゲーションプローブは、異なるポリヌクレオチド(例えば、異なる染色体、同一染色体内の異なる領域)に結合する。いくつかの場合では、本発明の方法および組成物において、複数の第1のライゲーションプローブ(例えば、標的ライゲーションプローブ)を使用し、複数の第2のライゲーションプローブ(例えば、基準ライゲーションプローブ)を使用する。本方法は、さらに、少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合させ、少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第2の標的ポリヌクレオチドに結合させる工程を含むことができる。いくつかの場合では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、100,000、2,000,000、3,000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000、7,000,000、8,000,000、9,000,000、または10,000,000個のライゲーションプローブを、前記第1または前記第2の標的ポリヌクレオチドに結合させる。
【0011】
第1のライゲーションプローブは、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の第1の領域に結合する(または結合するようにデザインする)ことができ、前記第2のライゲーションプローブは前記第1の標的ポリヌクレオチド内の第2の領域に結合する(または結合するようにデザインする)ことができ、前記第1および第2の領域は同一の配列を有さない。
【0012】
しばしば、第1の標的ポリヌクレオチドは、前記第2の標的ポリヌクレオチドと同一ではない。いくつかの場合では、第1の標的ポリヌクレオチドは第2の標的ポリヌクレオチドと同一である。いくつかの例では、前記第1の標的ポリヌクレオチドは試験染色体であり、前記第2の標的ポリヌクレオチドは基準染色体である。試験染色体の例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体。前記試験染色体はまた、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22番染色体、X、およびY染色体からなる群に由来し得る。第1の標的ポリヌクレオチドは、染色体のセグメント(胎児異数性に関連する(染色体またはセグメントのいずれかが胎児異数性に関連し得る)染色体のセグメントなど)であり得る。
【0013】
本明細書中に提供した方法および組成物は、しばしば、プローブ自体へのライゲーション、2つのプローブの相互のライゲーション、および/または前記ライゲーション反応のライゲーション産物に関する。前記ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第1のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションして環状のライゲーションした産物を得ることができる。いくつかの場合では、ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第2のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションして前記第1および第2のライゲーションプローブの少なくとも一部を含む線状のライゲーションした産物を得る。前記第1のライゲーションプローブの前記5’領域および前記3’領域は、それぞれ、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の近接配列に結合する(または結合するようにデザインする)ことができる。前記近接配列は0個のヌクレオチドによって分離される。前記第1のライゲーションプローブの5’領域および3’領域は、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の隣接配列に結合するか、結合するようにデザインすることができる。前記隣接配列を、少なくとも1つのヌクレオチドによって分離することができる。いくつかの場合では、隣接配列は、少なくとも5、10、20、30、40、50、100、200、300、400、または500個のヌクレオチドのギャップによって分離される。
【0014】
ライゲーション反応は、さらに、前記第1のライゲーションプローブの(または前記第2のライゲーションプローブの)前記5’領域と前記3’領域の間のギャップ中にヌクレオチドを組み込むためのテンプレート駆動ギャップ充填反応を含むことができる。
【0015】
ライゲーションプローブは、酵素によって切断可能な部位を含むことができる。例えば、酵素によって切断可能な部位は、1つ以上のウラシルを含むことができる。ウラシルを、いくつかの場合、他のヌクレオチドによって分離することができる。酵素によって切断可能な部位は制限部位を含むことができる。第1のライゲーションプローブは、特異的型(分子反転プローブ、パッドロックプローブ、線状ライゲーションプローブなど)のものであり得る。
【0016】
本明細書中に提供した方法は、さらに、線状ポリヌクレオチドまたは一本鎖ポリヌクレオチドまたは二本鎖ポリヌクレオチドを除去するための酵素反応を行う工程を含むことができる。例えば、エキソヌクレアーゼ(例えば、ExoI、II、および/またはIII)を、本明細書中に記載の方法で使用することができる。しばしば、エキソヌクレアーゼ処理により、全量または相当量の非結合ライゲーションプローブをサンプル体積から除去する。
【0017】
本明細書中に提供したプローブを、シグナル伝達因子にコンジュゲートすることができる。前記第1のライゲーションプローブを第1のシグナル伝達因子にコンジュゲートすることができ、第2のライゲーションプローブを第2のシグナル伝達因子にコンジュゲートする。しばしば、複数のかかる第1および第2のライゲーションプローブを本明細書中の方法および組成物で使用し、ここでは、前記プローブを同一のシグナル伝達因子(例えば、同一のフルオロフォア)または異なるシグナル伝達因子(例えば、異なる色調のフルオロフォア)にコンジュゲートする。前記第1のシグナル伝達因子は第1の色調の蛍光マーカーであり得、前記第2のシグナル伝達因子は第2の色調の蛍光マーカーであり得る。
【0018】
ライゲーションプローブの検出はまた、しばしば、本明細書中に提供した方法中の工程である。本方法は、前記第1のライゲーションプローブの第1のシグナル伝達因子での検出および前記第2のライゲーションプローブの第2のシグナル伝達因子での検出を含むことができる。前記第1のライゲーションプローブは第1の複数のライゲーションプローブを含むことができ、前記複数内の各プローブは第1の染色体の異なる領域へ向けられ、前記第2のライゲーションプローブは第2の複数のライゲーションプローブを含み、前記複数内の各プローブは第2の染色体の異なる領域へ向けられる。いくつかの場合では、前記第1の標的ポリヌクレオチドは試験染色体であり、前記第2の標的ポリヌクレオチドは基準染色体である。いくつかの場合では、前記第1および第2のライゲーションプローブを同一の色素にコンジュゲートする。
【0019】
本明細書中に提供した方法および組成物はまた、遺伝子材料集団内の標的ポリヌクレオチドのコピー数を検出する方法であって、a.第1のライゲーションプローブを第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、b.第2のライゲーションプローブを第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、c.前記第1および第2のライゲーションプローブをライゲーション反応に供して1つ以上のライゲーションした産物を得る工程、d.前記1つ以上のライゲーションした産物を連続油相内の2つ以上の水滴に分割する工程、前記1つ以上のライゲーションした産物内の配列を増幅して増幅された産物を得る工程、前記増幅された産物を含む前記2つ以上の水滴の数を決定する工程、およびg.前記数に基づいて前記標的ポリヌクレオチドのコピー数を計算する工程を含む、方法を含むことができる。いくつかの場合では、前記標的ポリヌクレオチドを前記2つ以上の水滴に分割しない。いくつかの場合では、前記標的ポリヌクレオチドを増幅しない。いくつかの場合では、または前記増幅工程または決定工程中に、前記2つ以上の水滴は実質的にインタクトなままである。
【0020】
いくつかの場合では、前記2つ以上の水滴は平均して1つを超えるライゲーションしたプローブを含み、前記方法は、アルゴリズムを使用して水滴あたりの標的にライゲーションしたプローブの平均数を計算する工程をさらに含む。前記2つ以上の水滴は4,000滴超であり得る。いくつかの場合では、前記2つ以上の水滴は、1,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、1,000,000、または5,000,000滴を超え得る。
【0021】
いくつかの場合では、前記液滴は、単一チャンバー中に高液滴数/mlの密度で存在する。密度は100,000水滴/ml超であり得る。単一チャンバー中の液滴の密度の例には、以下が含まれる:10,000滴/mL、100,000滴/mL、200,000滴/mL、300,000滴/mL、400,000滴/mL、500,000滴/mL、600,000滴/mL、700,000滴/mL、800,000滴/mL、900,000滴/mL、または1,000,000滴/mL。本明細書中に提供した任意の方法または組成物で使用した液滴は、単分散液滴であり得る。液滴の直径は、平均して、50nmと300μmとの間であり得る。いくつかの実施形態では、液滴の直径は、平均して、約0.001、0.01、0.05、0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、100、120、130、140、150、160、180、200、300、400、または500ミクロンであり得る。いくつかの場合では、液滴は、相当数のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートしたビーズを含まない。
【0022】
水滴は油流体または油相内に存在し得る。油相は、陰イオン性フルオロ界面活性剤(flourosurfactant)陰イオン性フルオロ界面活性剤のアンモニウム塩(クライトックス(商標)など)を含むことができる。クライトックスは、クライトックスAS、クライトックスFSH、およびクライトックスFSHのモルホリノ誘導体からなる群から選択され得る。油相はフッ素化油を含むことができる。
【0023】
本明細書中に提供した方法(例えば、液滴を使用したコピー数の検出)を使用して、1,000コピー未満の前記第1の標的ポリヌクレオチドを含む遺伝子材料集団内の前記第1の標的ポリヌクレオチドを検出することができる。いくつかの場合では、前記2つ以上の水滴は平均して1つを超えるライゲーションしたプローブを含み、前記方法は、アルゴリズムを使用して水滴あたりの標的にライゲーションしたプローブの平均数を計算する工程をさらに含む。
【0024】
液滴は、遺伝子障害に関連する染色体セグメントである第1の標的ポリヌクレオチドを含むことができる。液滴は、特異的型のライゲーションプローブ(例えば、パッドロックプローブ、分子反転プローブ、ライゲーション検出反応(LDR)プローブなど)を含むことができる。ライゲーションプローブを、ライゲーションプローブの5’領域をライゲーションプローブの3’領域にライゲーションするライゲーション反応に供することができる。
【0025】
本明細書中に提供した方法および組成物はまた、胎児の遺伝子状態を検出する方法であって、a.標的ポリヌクレオチドを含む母体および胎児の遺伝子材料の混合物を得る工程、b.前記混合物を前記標的ポリヌクレオチドに結合するターゲティングオリゴヌクレオチドと組み合わせる工程、c.前記ターゲティングオリゴヌクレオチドを反応体積に細分割する工程であって、前記反応体積の少なくとも1つが標的ポリヌクレオチドやターゲティングオリゴヌクレオチドを含まない、細分割する工程、d.前記反応体積内で増幅反応を行う工程、e.前記反応体積内の前記標的ポリヌクレオチドまたは前記ターゲティングオリゴヌクレオチドの存在を検出する工程、および
f.前記混合物中の前記標的ポリヌクレオチドの相対レベルを決定して、胎児の遺伝子状態を検出する工程を含む方法に関し得る。
【0026】
反応体積は連続油相内の水滴であり得る。ターゲティングオリゴヌクレオチドは、1つ以上のプライマー対、ライゲーションプローブ、分子反転プローブ、ライゲーション検出反応(LDR)プローブ、パッドロックプローブ、およびその任意の組み合わせを含むことができる。反応体積は、平均して、1コピーを超えるターゲティングオリゴヌクレオチド(oligonucleotid)および/または、平均して、1コピーを超える標的ポリヌクレオチドを含むことができる。前記反応体積は、さらに、基準ポリヌクレオチドに対するプライマーを含むことができる。いくつかの場合では、前記反応体積は、さらに、基準ポリヌクレオチドに対するライゲーションプローブを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、ライゲーションプローブを前記反応体積内で増幅する。
【0028】
胎児の遺伝子状態の検出方法で使用される胎児の遺伝子材料は、胎児の遺伝子材料を選択的に予め富化させた細胞サンプルに由来し得る。しかし、いくつかの実施形態では、胎児の遺伝子状態の検出方法で使用される胎児の遺伝子材料は、胎児の遺伝子材料を選択的に予め富化させた細胞サンプルに由来しない。
【0029】
標的ポリヌクレオチドは、18、13、21番染色体、およびX染色体からなる群から選択されるか、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10,11、12、13、14、15、16、17、18、19,20、21、22番染色体、X、またはY染色体からなる群から選択される染色体内に存在し得る。
【0030】
いくつかの場合では、前記反応体積は油相内の水滴であり、前記ターゲティングオリゴヌクレオチドはライゲーションプローブであり、前記決定工程は、前記ライゲーションプローブの増幅された産物を含む液滴の数を基準ポリヌクレオチドに向けられるライゲーションプローブの増幅された産物を含む液滴の数と比較することを含む。いくつかの場合では、前記基準ポリヌクレオチドは、胎児の遺伝子異常に関連しない染色体領域である。
【0031】
本明細書中に提供した方法および組成物で使用する場合、前記ターゲティングオリゴヌクレオチドは、標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後のライゲーションの際に環状になるライゲーションプローブであり得る。
【0032】
本開示はまた、組成物(マイクロカプセル組成物など)ならびに前記マイクロカプセル組成物の使用方法を提供する。いくつかの場合では、組成物はライゲーションされたプローブを含むマイクロカプセルであり、前記マイクロカプセルは、以下:a.複数のライゲーションプローブを遺伝子サンプル内の標的ポリヌクレオチドに選択的に結合させる工程、b.少なくとも1つの前記結合したライゲーションプローブの5’末端を同一または異なる結合したライゲーションプローブの3’末端にライゲーションし、それにより、少なくとも1つのライゲーション産物を得る工程、c.前記少なくとも1つのライゲーション産物を含む水溶液を液滴生成デバイスに導入する工程、d.前記少なくとも1つのライゲーション産物を含む水滴を産生するためのデバイスを使用する工程であって、前記水滴が不混和性流体内に存在する、使用する工程、および
e.前記液滴を、固相外面を含むマイクロカプセルに変換する工程によって得られる。いくつかの場合では、前記変換は、50℃超での加熱または70℃超での加熱を含む。不混和性液体(例えば、油)はフッ素化界面活性剤を含むことができる。いくつかの場合では、水相はフッ素化界面活性剤を含む。油はフッ化炭素油であり得る。油相は陰イオン性界面活性剤を含むことができる。油相は、アンモニウムクライトックスを含むことができる。いくつかの場合では、前記マイクロカプセルは、オリゴヌクレオチドに結合したビーズを含まない。前記マイクロカプセルは、70℃超の温度で実質的にインタクトなままであり得る。マイクロカプセルは、遺伝子障害に関連する標的ポリヌクレオチドに選択的に結合することができるライゲーションプローブを含むことができる。いくつかの場合では、前記ライゲーションプローブは、胎児異数性に関連する標的ポリヌクレオチドに選択的に結合することができる。いくつかの場合では、前記遺伝子標的は、21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体からなる群から選択される染色体内に存在する。いくつかの場合では、遺伝子標的は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10,11、12、13、14、15、16、17、18、19,20、21、22番染色体、X、またはY染色体内に存在する。
【0033】
マイクロカプセルは、1つ以上の前記ライゲーションプローブ(例えば、パッドロックプローブ、分子反転プローブ、ライゲーション検出反応(LDR)プローブ、環状プローブなど)を含むことができる。マイクロカプセルは、ライゲーション反応後の事前に環状化したプローブの線状化によって得られる線状プローブを含むことができる。いくつかの場合では、マイクロカプセルは環状化ライゲーションプローブを含む。いくつかの場合では、マイクロカプセルは、ライゲーション検出反応(LDR)の線状産物を含む。
【0034】
本明細書中に提供した組成物および方法はまた、2つ以上の水滴を含む油中水混合物であって、前記2つ以上の水滴のうちの少なくとも1つが第1の標的ポリヌクレオチドに向けられる第1のライゲーションプローブを含み、前記2つ以上の水滴のうちの少なくとも1つが第2の標的ポリヌクレオチドに向けられる第2のライゲーションプローブを含む、油中水混合物に関し得る。前記第1の標的ポリヌクレオチドおよび前記第2の標的ポリヌクレオチドは、同一の分子、または同一の配列もしくは構造物を有する異なる分子、または異なる配列もしくは構造物を有する異なる分子であり得る。いくつかの場合では、前記第1の標的ポリヌクレオチドは、前記第2の標的ポリヌクレオチドの配列と異なる配列を有する。いくつかの例では、前記第1の標的ポリヌクレオチドは、前記第2の標的ポリヌクレオチドと同一の配列を有する。前記第1の標的ポリヌクレオチドはゲノムセグメント内に第1の領域を含むことができ、前記第2の標的ポリヌクレオチドは前記ゲノムセグメント内に第2の領域を含むことができ、前記第1の領域は前記第2の領域と同一の配列を有さない。
【0035】
いくつかの場合では、前記油中水混合物は、さらに、アンモニウムクライトックス界面活性剤を含む。前記クライトックス界面活性剤は、前記混合物の油相中に少なくとも0.01%の濃度で存在し得る。
【0036】
いくつかの場合では、前記混合物は、酵素切断に供した環状プローブの線状化産物であるライゲーションプローブを含む。いくつかの場合では、前記混合物は環状化プローブ自体を含む。いくつかの場合では、ライゲーションプローブは、酵素切断部位を含むことができる(酵素切断がウラシル−N−グリコシラーゼまたは制限酵素によって触媒される場合など)。
【0037】
本発明は、母体および胎児の遺伝子材料の混合物中の標的配列の差分検出(differential detection)方法であって、a)母体および胎児の遺伝子材料の両方を含む母体組織を得る工程;b)遺伝子材料を個別のサンプルに分配する工程であって、各サンプルが、平均して、サンプルあたり約1つ以下の標的配列を含み、個別のサンプルが既知の標的配列に対するプライマー組および/または既知の基準配列に対する基準プライマー組を含む、分配する工程、c)増幅反応を行う工程、d)個別のサンプル中の標的配列または基準配列の存在を検出する工程、およびe)検出された標的配列の検出された基準配列に対する比を比較して、差分量の標的配列を決定する工程を含む、方法を含む。前記方法は、さらに、検出された標的配列の検出された基準配列に対する比を比較して差分量の標的配列を決定する工程であって、検出された標的配列の検出された基準配列に対する相違が胎児の遺伝子異常を示す、決定する工程を含むことができる。いくつかの実施形態では、本方法は胎児異数性の検出方法である。いくつかの場合では、標的配列は異数性のマーカーであり、基準配列は母体および胎児の遺伝子材料中の二倍体である。母体組織は、母体の末梢血、血漿、もしくは血清、または本明細書中に記載の他の組織であり得る。いくつかの実施形態では、反応サンプルは、乳濁液中の水相中に存在する。いくつかの場合では、標的配列または基準配列の存在の検出は、さらに、in situでの蛍光標識を有する核酸とのハイブリッド形成を含む。いくつかの場合では、反応サンプル数は少なくとも約10,000である。いくつかの場合では、工程b)〜e)を、異なる標的配列に対するプライマー組を使用して繰り返す。いくつかの場合では、反応体積は、特定の標的配列に対する各プライマー組を有する1つを超えるプライマー組を含む。いくつかの場合では、反応体積は、特定の基準配列に対する各プライマー組を有する1つを超える基準プライマー組を含む。使用することができるプライマー組の例には、ヒト21番染色体、ヒト18番染色体、ヒト13番染色体、またはヒトX染色体に特異的なプライマー組が含まれる。いくつかの場合では、異数性は、検出された標的配列の基準配列に対する比が1を超える場合に検出される。いくつかの場合では、異数性は、検出された標的配列の基準配列に対する比が1未満の場合に検出される。いくつかの場合では、標的配列は、CFTR、第VIII因子(F8遺伝子)、βグロビン、血色素症、G6PD、神経線維腫症、GAPDH、βアミロイド、またはピルビン酸キナーゼ遺伝子の少なくとも一部である。
参照による引用
本明細書中で言及された全ての刊行物および特許出願は、その全体および各刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参考として援用されることが示されるのと同一の範囲に参考として援用される。
【0038】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲中に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点は、本発明の原理を利用した例示的実施形態を説明している以下の詳細な説明および添付の図面を参照してさらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、液滴デジタルPCRおよびライゲーションプローブの使用によって患者サンプル中のコピー数変動の検出のために取ることができる工程を示した概略図である。
【図2】図2は、サンプル中の染色体(またはその一部)の数の変化を検出するために従うことができる工程の例の略図である。
【図3】図3は、例示的な胎児異数性の診断方法のワークフローを示す。
【図4】図4は、2つの遺伝子標的を検出するための分子反転プローブ(MIP)の使用の略図である。
【図5】図5は、遺伝子標的の検出感度を増大させるためのMIPアプローチの多重化を示す。
【図6】図6は、切断せずにユニバーサルプライマーおよびユニバーサルプローブを使用した液滴中の核酸検出のための2色系を示す。
【図7】図7は、ライゲーション検出反応(LDR)およびその後の液滴中でのPCRを使用した2つの色調を用いた2つの遺伝子標的検出のためのスキームを示す。
【図8】図8は、検出感度を増強するための液滴中のLDR−PCRのための多重化オリゴヌクレオチドの使用を示す。
【図9】図9は、本明細書中に記載の方法および組成物によって得られるデータまたは結果の表示、保存、検索、または計算に有用なコンピュータを示す。
【図10】図10は、試験サンプルについてのテンプレートDNAの投入コピー数と陽性液滴数(またはカウント)との間の相関関係および3重MIP(上のパネル)と比較して12重MIP(下のパネル)を使用した場合の感度の増加を示す。
【図11】図11は、基準サンプルについての陽性液滴数(またはカウント)対テンプレートコピー数を示す。
【図12】図12は、異なるテンプレートコピー数および異なるMIP多重化レベルでのハイブリッド形成効率を示す。
【図13】図13は、1番染色体内の異なる領域に向けられる24個のMIPを示す(配列番号1〜24)。
【図14】図14は、21番染色体内の異なる領域に向けられる24個のMIPを示す(配列番号25〜48)。
【図15】図15は、1番染色体内の異なる領域に向けられるMIPの3重組(配列番号49〜51)および1番染色体内の異なる領域に向けられるMIPの12重組(配列番号52〜63)を示す。
【図16】図16は、21番染色体内の異なる領域に向けられるMIPの3重組(配列番号64〜66)および21番染色体内の異なる領域に向けられるMIPの12重組(配列番号67〜78)を示す。
【図17】図17は、MIP検出のための例示的なユニバーサルプライマーおよびプローブを示す(配列番号79〜82)。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
総括
本開示は、生物学的サンプル中の遺伝子変動の検出のための方法および組成物を提供する。いくつかの場合では、本開示は、生物学的サンプル内の標的ポリヌクレオチド(例えば、染色体、染色体フラグメント、遺伝子など)のコピー数の検出のための方法および組成物を提供する。いくつかの場合では、生物学的サンプル内の遺伝子の変異および/または一塩基多型(SNP)を検出するための方法および組成物も提供する。
【0041】
本開示はまた、母体組織由来の生物学的サンプルにおける胎児異数性または他の遺伝子異常の検出のための組成物および方法を提供する。しばしば、かかる生物学的サンプルは、母体および胎児の核酸(例えば、DNA、RNA)の混合物を含む。異数性は染色体異常であり、染色体またはそのフラグメントもしくはその一部のコピー数の逸脱をいう。本明細書中に記載の方法および材料は、母体および胎児の両方由来のDNA(および/またはDNAフラグメント)の混合物を含む組織サンプル(血液(全血または末梢血)、血清、または血漿など)中に含まれる多数の核酸の分析技術に適用され、胎児異数性を示し得る標的DNAレベルと基準DNAレベルとの間の小さな相違を検出可能である。
【0042】
本明細書中で使用する場合、コピー数変動(CNV)は、遺伝子材料セグメントの増加または損失をいう。ヒトには多数のCNV領域が存在し、一般集団の間で広範な遺伝的多様性が存在する。CNVはまた、多数のヒト遺伝子障害で役割を果たす。本方法は、転座、付加、増幅、転換、反転、異数性、倍数性、モノソミー、トリソミー、21トリソミー、13トリソミー、14トリソミー、15トリソミー、16トリソミー、18トリソミー、22トリソミー、三倍性、四倍性、および性染色体異常(XO、XXY、XYY、およびXXXが含まれるが、これらに限定されない)の検出に特に有用である。本方法はまた、胎児DNA配列の決定および胎児DNA内の変異の同定のための非侵襲的技術を提供する。
【0043】
本開示は、例えば、デジタルPCR(例えば、液滴デジタルPCR)および標的ポリヌクレオチドにハイブリッド形成した場合に直接または間接的に共にライゲーションされ得る特殊化プローブ(しばしば、本明細書中でライゲーションプローブ(例えば、分子反転プローブおよび他のプローブ)という)の使用によるCNV、遺伝子変動、および/または胎児異数性の検出手段を提供する。本明細書中に提供した方法では、標的ヌクレオチドまたは前記標的ヌクレオチドのプローブを含むサンプルを、複数の区画(例えば、液滴)に分割する。次いで、区画(例えば、液滴)をサーモサイクリング反応に供して標的ヌクレオチドまたは前記標的ヌクレオチドのプローブのいずれかを含む区画内のPCR反応を増強し、それにより、増幅された産物(例えば、増幅されたDNA、RNA、または他の核酸)を得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、単一プローブを、標的ポリヌクレオチド(例えば、分子反転プローブ)へのハイブリッド形成後にその末端にライゲーションする。他の実施形態では、ライゲーションプローブは、標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後に相互にライゲーションすることができる2つの個別の分子を含む。
【0045】
本明細書中に記載の組成物には、核酸プローブ型(例えば、分子反転プローブ、ライゲーションプローブなど)を含む2つ以上の不混和性流体(油および水など)の混合物を含む組成物が含まれる。他の場合では、本明細書中に記載の組成物は、核酸プローブ型(例えば、分子反転プローブ、ライゲーションプローブなど)を含むマイクロカプセルを含む。かかるマイクロカプセルは、特に高温での癒着に抵抗することができ、それゆえ、非常に高密度(例えば、単位体積あたりの反応数)で増幅反応を起こすことができる。
【0046】
図1は、液滴デジタルPCR(ddPCR)およびライゲーションプローブの使用によって患者由来のサンプル中のコピー数変動を検出するために取ることができる工程を示す概略図を提供する。ゲノム核酸(例えば、ゲノムDNAまたはRNA)のサンプルを、患者から得たサンプル(101)から抽出する(101)。プローブ(本明細書中に記載のライゲーションプローブなど)を、患者サンプル内の標的ヌクレオチド配列へハイブリッド形成させ(103)、ハイブリッド形成後、プローブを共にライゲーションし(104)、次いで、サンプルを、必要に応じて、酵素処理(例えば、エキソヌクレアーゼ)に供してゲノム核酸および残存する非ライゲーションプローブを分解する(105)。次いで、PCR反応成分(例えば、プライマー、蛍光検出プローブ、ポリメラーゼ、dNTPなど)をサンプルに添加し(106)、次いで、複数の液滴に分割する(107)。液滴形成後、液滴をサーモサイクリングに供してサンプル内のプローブを増幅させる(108)。次いで、陽性および陰性の液滴数を決定し(109)、これを使用して標的ポリヌクレオチドの相対コピー数を決定する。図1は分割手段である液滴を示しているが、当該分野で公知の他の分割手段を同様に使用することができる(例えば、ナノ流体デバイスまたはマイクロ流体デバイス内のウェルの間での分割など)。また、図1はコピー数変動の検出を示しているが、他の遺伝子状態を同様に検出することができる。
【0047】
サンプル内のコピー数の検出は、染色体異常(異数性が含まれる)の検出を含むことができる。図2は、母体サンプル中の胎児異数性を同定するために取ることができる工程の概要である。出発組織サンプル(201)は、母体および胎児のDNAの混合物を含む。DNAを抽出し、1番染色体(202)(基準染色体)および21番染色体(試験染色体)(203)のプローブと混合する。プローブを遺伝子標的に結合させ、次いで、複数の区画(204)に分割する。区画内のプローブを検出し、試験染色体(例えば、21番染色体)を含む区画の数を、基準染色体(例えば、1番染色体)を含む区画の数と比較し(205)、その後、21番染色体の相対コピー数を計算する。
【0048】
本開示は、母体組織(例えば、血液、血清、または血漿)の遺伝子状態についての分析であって、母体組織中の胎児および母体のDNAの混合物を胎児変異または遺伝子異常を母体DNAのバックグラウンドと区別するために分析する、分析を提供する。工程の組み合わせを使用して、母体および胎児由来のDNA(またはRNA)を含むDNAサンプルを分析して無細胞の末梢循環DNA配列の相対濃度を測定することができる。かかる濃度の相違を使用して、胎児DNAを示すDNAの微量画分中に存在する遺伝子状態を区別することができる。
【0049】
本方法は、デジタル分析を使用することができる。このデジタル分析では、サンプル中のDNAを複数のライゲーションしたプローブに変換し、これを反応体積中の名目上の単一のライゲーションしたプローブ分子に分割してサンプル混合物を作製する。例えば、反応体積は、液滴(不混和性液体中に分散した水層の液滴(米国特許第7,041,481号(その全体が本明細書中で参考として援用される)に記載のものなど)など)であり得る。各反応体積は、1つ未満の標的(例えば、標的ポリヌクレオチド、ターゲティングプローブ、または他の標的分子)または1つ以上の標的(例えば、標的ポリヌクレオチド、ターゲティングプローブ、または他のターゲティング分子)中に分布している可能性がある。標的分子を、各反応体積中で、好ましくは、増幅される標的配列として検出することができ、この検出は、標的配列の出発コピー数(すなわち、0、1、2、3など)の量子化(または定量化)を含むことができる。基準配列を使用して、標的配列中の異常な増加(例えば、トリソミー)を区別することができる。したがって、胎児異数性の存在を示す基準配列に対する標的配列の差分検出が存在し得る。基準配列が母体配列である必要はない。
【0050】
さらに、本方法は、直接または間接的な胎児の遺伝子材料を捕捉および検出のための広範なアプローチを使用することができる。本明細書中に記載の1つの方法は、ゲノムDNAに結合させるためのプライマー対の代わりの分子反転プローブ(MIP)(または他のオリゴヌクレオチドプローブ)の使用の組み合わせ、その後のMIPプローブを標的ポリヌクレオチド内の相補配列に結合させるためのハイブリッド形成工程、結合したプローブを環状化するためのライゲーション反応工程、残存する非環状化MIPプローブを消化するためのエキソヌクレアーゼ処理工程、酵素(ウラシル−N−グリコシラーゼなど)を使用して環状化したプローブを線状化する必要に応じた処理工程;環状化したプローブまたは線状化したプローブ(前は環状であった)を2つ以上の区分(例えば、液滴)に分割または細分割する分割工程を含む工程、その後の液滴デジタルPCRによるオリゴヌクレオチドプローブに固有の配列の増幅を含む増幅工程を含む。
【0051】
いくつかの場合では、多重化MIP(または他のオリゴヌクレオチド)を、本明細書中で、検出感度を改善するために使用する。例えば、かかる各MIPが同一染色体(例えば、21番染色体)上の異なる配列に結合する2つ以上のMIP群を使用することができる。いくつかの場合では、例えば、標的配列および基準配列を認識する複数のMIPを、異なる色調のフルオロフォアを使用して、増幅中に差分的に検出することができる。いくつかの場合では、単一の線状プローブのゲノムDNAへの結合およびその後のライゲーション反応により、環状分子が産生される。他の場合では、2つの線状プローブがゲノムDNAの近接領域に結合し、その後のライゲーション反応によってライゲーション検出反応(LDR)で検出することができるライゲーション依存性分子が産生される。
【0052】
本明細書中で使用する場合、ライゲーションという用語は、2つ以上の核酸(例えば、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチド)の間の共有結合または連結をいう。しばしば、ライゲーションは、ポリヌクレオチド(例えば、ライゲーションプローブ)の5’末端の別のポリヌクレオチド(例えば、ライゲーションプローブ)または同一ポリヌクレオチドの3’末端へのライゲーションを含むことができる。結合または連結の性質は大きく異なり得、ライゲーションを酵素的または化学的に行うことができる。ライゲーションを通常は酵素的に行って、一方のオリゴヌクレオチドの末端ヌクレオチドの5’炭素と別のオリゴヌクレオチドの3’炭素との間にホスホジエステル結合を形成する。種々の結合駆動ライゲーション反応は、以下のリファレンスに記載されている:Whitely et al,米国特許第4,883,750号;Letsinger et al,米国特許第5,476,930号;Fung et al,米国特許第5,593,826号;Kool,米国特許第5,426,180号。
【0053】
本開示は、望ましくない材料(非結合ゲノムDNAおよび非ライゲーションプローブが含まれる)の除去および望ましい材料(ライゲーション産物が含まれる)の選択または単離のための方法および組成物を提供する。ライゲーション産物が環状であるいくつかの場合(MIPを含む反応など)、エキソヌクレアーゼ処理を使用して非結合ゲノムDNAおよび非ライゲーションプローブを除去する。いくつかの場合では、次いで、環状ライゲーション産物を、プローブ中のウラシル残基を脱プリン化する酵素(ウラシル−N−グリコシラーゼなど)での処理を使用して放出させる。これらの場合、加熱の際に脱塩基部位が切断され、線状化したライゲーション産物が得られる。
【0054】
種々の方法を使用して検出することができる。いくつかの場合では、ライゲーション産物を、単一分子内の蛍光剤−消光剤対を含む少なくとも1つの検出プローブの伸長によってDNA合成が進行する液滴デジタルPCR反応を使用して検出する。蛍光剤は、光または他の電磁放射線の吸収後に検出可能な光を放射する分子(例えば、フルオロフォア)をいう。消光剤は、物質の蛍光強度を減少させる分子をいい、蛍光剤−消光剤対の場合、消光剤は、放射する検出可能な光の吸収によって共有結合した蛍光剤の検出を減少させることができる。DNA合成過程中、ポリメラーゼ酵素(Taqポリメラーゼなど)の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によって検出プローブが切断され、それにより、消光剤から蛍光剤が放出される。種々の蛍光検出法が放出された蛍光剤を検出することができるが、蛍光剤−消光剤対を検出できない。いくつかの実施形態では、ライゲーション産物の検出により、胎児または母体の遺伝子材料中の特異的配列(標的配列または基準配列など)の存在が定量的に測定される。
【0055】
本開示は、さらに、サンプルが液滴デジタルPCRを使用して検出される任意の生物由来のDNA、RNA、またはcDNAを含み得る、目的の核酸分子の検出のための組成物および方法を提供することができる。いくつかの場合では、サンプルを、ライゲーション反応を使用して単離し、いくつかの場合、その後にエキソヌクレアーゼ処理を行って望ましくない材料を除去する。いくつかの実施形態では、液滴が乳濁液中の水相に懸濁されたPCR用試薬およびPCR反応によって検出可能な1つ以上のライゲーション産物を含む、液滴デジタルPCRの蛍光モニタリングによって検出する。
【0056】
組織の取得および調製
本開示の方法および組成物は、胎児または母体の遺伝子材料を得るための手段を提供する。本方法および組成物は、侵襲的な外科手順、羊水穿刺、絨毛膜絨毛サンプリングなどを必要としない標的ポリヌクレオチドのコピー数の相違の検出を提供する。他の場合では、本方法および組成物は、より侵襲的な試験(外科的手順など)に付加するか、補助するか、予備工程であるか、または付随して使用すべきサンプル(例えば、血液サンプル)由来の標的ポリヌクレオチドのコピー数の相違の検出を提供する。しばしば、胎児/母体遺伝子材料を、採血または本明細書中に提供した他の方法によって得る。いくつかの好ましい実施形態では、出発物質は、母体血漿または末梢血(母体の末梢静脈血など)である。末梢血球の特定の細胞型(例えば、単核球、赤血球、CD4+細胞、CD8+細胞、B細胞、T細胞、またはNK細胞など)を富化させることができる。末梢血球の特定の細胞型(例えば、単核球、赤血球、CD4+細胞、CD8+細胞、B細胞、T細胞、またはNK細胞)を選択的に枯渇させることもできる。出発物質はまた、骨髄由来単核球であり得る。出発物質はまた、胎盤(例えば、胎盤細胞)または臍帯(例えば、臍帯静脈内皮細胞、臍帯動脈平滑筋細胞、臍帯血細胞)から直接抽出した組織を含むことができる。出発物質はまた、例えば、胎児組織(例えば、胎児の線維芽細胞または血球)の形態で胎児に直接由来し得る。出発物質はまた、乳児または小児(新生児組織が含まれる)に由来し得る。
【0057】
この出発物質を、いくつかの場合、病院、研究所、臨床検査室、または医学研究所から入手することができる。いくつかの実施形態では、サンプルを、少なくとも妊娠4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、または26週の被験体(例えば、妊婦)から取る。いくつかの実施形態では、被験体は、遺伝的疾患を罹患しているか、遺伝的疾患のキャリアであるか、遺伝的疾患の発症または遺伝のリスクがあり、遺伝的疾患は、遺伝子変動(変異、挿入、付加、欠失、転座、点変異、トリヌクレオチド反復障害、および/または一塩基多型(SNP)など)に関連し得る任意の疾患である。他の実施形態では、妊娠可能年齢の女性患者からサンプルを採取し、いくつかの場合では、女性患者は、妊娠していないか、妊娠状態であるか未知である。さらに他の場合では、被験体は、男性患者、妊婦の夫、または特定の遺伝子異常のリスクがあるか、診断されたか、有する男性患者である。いくつかの場合では、女性患者は、遺伝的疾患または遺伝子変動に苦しんでいるか、キャリアであるか、特定の遺伝子異常のリスクがあるか、診断されたか、有することが公知である。いくつかの場合では、遺伝的疾患または遺伝子変動に関する女性患者の状態は未知であってよい。さらなる実施形態では、遺伝子配列のコピー数変動に関して公知または未知の状態の任意の小児または成人の患者からサンプルを採取する。いくつかの場合では、小児または成人の患者は、遺伝的疾患または遺伝子変動に苦しんでいるか、キャリアであることが公知である。
【0058】
本明細書中に提供した方法および組成物の利点は、妊娠期間の比較的早期に、および母体血漿中の胎児核酸(例えば、DNA、RNA)の総濃度が低い段階での胎児核酸(例えば、DNA、RNA)の検出が可能な点である。出発物質の胎児濃度は、母体サンプル中の総母体ゲノムDNA負荷量の少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%、好ましくは総母体ゲノムDNA負荷量の少なくとも3%であり得る。いくつかの場合では、胎児DNA濃度は、母体サンプル中の総母体ゲノムDNA負荷量の約0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%未満であり得る。出発物質が1つの量(H)で存在するポリヌクレオチド型(例えば、DNA、RNA)およびHと比較して少量で存在するポリヌクレオチド型(例えば、DNA、RNAなど)を含む場合、出発物質のL濃度は、サンプル中の総H濃度の少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%、好ましくはHの少なくとも3%であり得る。いくつかの場合では、Lは、サンプル中の総H量の約0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%未満であり得る。
【0059】
いくつかの場合では、試験用の十分な核酸を得るために、少なくとも1、2、3、4、5、10、20、25、30、35、40、45、または50mLを採血する。この血液量から、総DNAの少なくとも1,000ゲノム当量(GE)を得ることができる。総DNAは、妊娠初期でおよそ1,000GE/mL母体血漿および総血漿DNAの約3.5%の胎児DNA濃度で存在する。しかし、あまり統計的有意性を必要としない遺伝子スクリーニングにはより少なく採血することができるか、またはDNAサンプルは胎児DNAについて富化する。また、胎児DNA濃度は、在胎期間に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、胎児のDNAまたはRNAを、下記のように、無核成人赤血球と異なる赤血球、特に胎児有核赤血球の単離によって富化することができる。他の実施形態では、赤血球を母体血サンプルから取り出し、遺伝子材料を母体血漿から得ることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、出発物質は、固形組織(非限定的な例には、脳、肝臓、肺、腎臓、前立腺、卵巣、脾臓、リンパ節(扁桃腺が含まれる)、甲状腺、膵臓、心臓、骨格筋、腸、喉頭、食道、および胃が含まれる)を含む組織サンプルであり得る。他の実施形態では、出発物質は、核酸を含む細胞(結合組織、筋組織、神経組織、および上皮細胞、特に露出した上皮細胞(皮膚細胞および毛髪細胞など)が含まれる)であり得る。さらに他の実施形態では、出発物質は、任意の生物由来の核酸を含むサンプルであり得る。本明細書中に概説のように、出発物質から遺伝子材料を得て液滴デジタルPCRによって検出することができる。
【0061】
胎児材料の富化
胎児細胞を、胎児細胞および母体細胞の混合物を含む母体サンプルから富化することができる。かかる富化は、いくつかの場合では、胎児濃度が総母体ゲノムDNA(またはRNA)負荷量の少なくとも0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%である場合に起こり得る。かかる富化は、いくつかの場合では、胎児濃度が総母体ゲノムDNA(またはRNA)負荷量の0.1%、0.2%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%、10.5%、11%、11.5%、12%、12.5%、13%、13.5%、14%、14.5%、15%、15.5%、16%、16.5%、17%、17.5%、18%、18.5%、19%、19.5%、20%、20.5%、21%、21.5%、22%、22.5%、23%、23.5%、24%、24.5%、または25%超である場合に起こり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、胎児細胞をアフィニティ法によって富化する。この方法は、非胎児細胞と比較して胎児細胞に対してより高い親和性を有する分子(胎児特異的抗体など)とコンジュゲートした固体構造物上の胎児細胞集団(collection)を含むことができる。固体構造物の非限定的な例には、ポリマー表面、磁性ビーズ、ポリマービーズ、およびマイクロ流体チャネルの表面が含まれる。いくつかの実施形態では、生物学的サンプルの胎児細胞を、本明細書中に記載の方法または組成物の前にもその一部としても富化しない。いくつかの実施形態では、胎児細胞をアフィニティ法によって富化しない。いくつかの実施形態では、胎児細胞を、胎児特異的抗体の使用によって富化しない。いくつかの場合では、胎児細胞を、マイクロ流体デバイスへのサンプルの導入によって富化しない。
【0063】
フローサイトメトリー技術を使用して、胎児細胞を富化することもできる(Herzenberg et al.,PNAS 76:1453−1455(1979);Bianchi et al.,PNAS 87:3279−3283(1990);Bruch et al.,Prenatal Diagnosis 11:787−798(1991))。米国特許第5,432,054号はまた、ポリエチレン製の広い上部と狭い毛管下部を有する管を使用した胎児有核赤血球の分離技術を記載している。いくつかの場合では、本方法または組成物を使用して分析したサンプル中の胎児細胞を富化するためにフローサイトメトリーを使用しない。可変速度プログラムを使用した遠心分離により、分子密度に基づいて毛管中に赤血球が積み重なる。低密度赤血球(胎児赤血球が含まれる)を含む密度画分を回収し、次いで、母体赤血球が優先的に破壊されるように差分的に溶血させる。高浸透圧媒体における密度勾配を使用して赤血球を分離し、この時点でリンパ球由来の胎児赤血球を富化し、母体細胞を破壊する。高張液の使用によって赤血球が収縮し、その密度が増加し、より高密度のリンパ球からの精製が容易になる。胎児細胞を単離した後、本明細書中に詳述した標準的技術を使用して、胎児DNAを精製することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、Li et al.,(2005)J.Amer.Med.Assoc.293:843−849に記載のように、母体血を総DNA中の胎児DNA濃度が富化されるように処理することができる。簡潔に述べれば、真空ポンプと組み合わせた市販のカラムテクノロジー(例えば、Roche High PureテンプレートDNA精製キット;Roche)を使用して、循環DNAを5〜10mLの母体血漿から抽出することができる。抽出後、DNAをアガロースゲル(1%)電気泳動(Invitrogen)によって分離することができ、サイズがおよそ300ヌクレオチドの循環DNAを含むゲル画分を慎重に切り出すことができる。抽出キット(QIAEX II Gel Extraction Kit;Qiagen)の使用によってDNAをこのゲルスライスから抽出し、最終体積が40μLの滅菌10mM TRIS−塩酸(pH8.0)(Roche)に溶出することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、遊離胎児DNAを、全細胞を含む母体血サンプルから単離する。好ましい実施形態では、遊離胎児DNAを母体血漿サンプルから単離する。いくつかの実施形態では、血漿サンプルは、インタクトな細胞の少なくとも50%、75%、または95%を含まない。いくつかの実施形態では、血漿は、インタクトな細胞を完全に含まない。
【0066】
2004年7月15日公開で発明の名称が「Methods for detection of genetic disorders」であるDhallan,Ravinder Sに対する米国特許出願公開第20040137470号は、血液を9mlのEDTAを含むVacuette管(カタログ番号NC9897284)に回収し、ホルムアルデヒド(4%w/v)を含む0.225mlの10%中性緩衝液を各管に添加し、各管を穏やかに反転させるという胎児DNAの富化手順を記載している。処理の準備が整うまで管を4℃で保存する。細胞溶解を妨害するか細胞膜を安定化する薬剤を管に添加することができる(ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒドの誘導体、ホルマリン、グルタルアルデヒドおよびグルタルアルデヒドの誘導体、架橋剤、第一級アミン反応性架橋剤、スルフヒドリル反応性架橋剤、スルフヒドリル付加またはジスルフィド還元、炭水化物反応性架橋剤、カルボキシル反応性架橋剤、光反応性架橋剤、分解性架橋剤などが含まれるが、これらに限定されない)。任意の濃度の細胞膜を安定化させるか細胞溶解を妨害する薬剤を添加することができる。好ましい実施形態では、細胞膜を安定化させるか細胞溶解を妨害する薬剤を、その後の反応を妨害も遅延もしない濃度で添加する。
【0067】
別の実施形態では、サンプル中の母体DNA量を実質的に減少させる技術および/またはプロトコール(遠心機のブレーキ出力を0に設定した(遠心機のブレーキを使用しない)サンプルの遠心分離、「バフィコート」の妨害が最小であるか全くない新規の管への上清の移動、および上清の一部のみの新規の管への移動が含まれるが、これらに限定されない)を使用してDNAを単離する。好ましい実施形態では、遠心機の加速力および制動力の両方を0に設定する。別の実施形態では、サンプル中の母体DNA量を実質的に減少させる技術および/またはプロトコール(遠心機の加速力を0に設定したサンプルの遠心分離、「バフィコート」の妨害が最小であるか全くない新規の管への上清の移動、および上清の一部のみの新規の管への移動が含まれるが、これらに限定されない)を使用してDNAを単離する。別の実施形態では、「バフィコート」を、任意の適用可能な方法を使用して(「バフィコート」を取り出すためのシリンジまたはニードルの使用が含まれるが、これらに限定されない)上清の取り出し前に管から取り出す。別の実施形態では、遠心機の制動力を、最大制動力の1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、90〜95%、95〜99%を含むが、これらに限定されないパーセンテージに設定する。
【0068】
別の実施形態では、遠心機の加速力を、最大加速力の1〜5%、5〜10%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、90〜95%、95〜99%を含むが、これらに限定されないパーセンテージに設定する。別の実施形態では、本発明は、遊離胎児DNAおよび遊離母体DNAを含む組成物であって、この組成物は、遊離胎児DNAの遊離母体DNAに対する関係(少なくとも約15%の遊離胎児DNA、少なくとも約20%の遊離胎児DNA、少なくとも約30%の遊離胎児DNA、少なくとも約40%の遊離胎児DNA、少なくとも約50%の遊離胎児DNA、少なくとも約60%の遊離胎児DNA、少なくとも約70%の遊離胎児DNA、少なくとも約80%の遊離胎児DNA、少なくとも約90%の遊離胎児DNA、少なくとも約91%の遊離胎児DNA、少なくとも約92%の遊離胎児DNA、少なくとも約93%の遊離胎児DNA、少なくとも約94%の遊離胎児DNA、少なくとも約95%の遊離胎児DNA、少なくとも約96%の遊離胎児DNA、少なくとも約97%の遊離胎児DNA、少なくとも約98%の遊離胎児DNA、少なくとも約99%の遊離胎児DNA、および少なくとも約99.5%の遊離胎児DNAが含まれるが、これらに限定されない)を含む、組成物に関する。
【0069】
さらに、細胞膜を安定化させる薬剤(アルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、DMAE(ジメチルアミノエタノール)、コレステロール、コレステロール誘導体、高濃度のマグネシウム、ビタミンE、およびビタミンE誘導体、カルシウム、グルコン酸カルシウム、タウリン、ナイアシン、ヒドロキシルアミン誘導体、ビモクロモル、スクロース、アスタキサンチン、グルコース、アミトリプチリン,異性体Aホパンテトラルフェニルアセタート、異性体Bホパンテトラルフェニルアセタート、シチコリン、イノシトール、ビタミンB、ビタミンB複合体、コレステロールヘミスクシナート、ソルビトール、カルシウム、補酵素Q、ユビキノン、ビタミンK、ビタミンK複合体、メナキノン、ゾネグラン、亜鉛、イチョウ抽出物、ジフェニルヒダントイン、ペルフトラン、ポリビニルピロリドン、ホスファチジルセリン、テグレトール、PABA、二ナトリウムクロモグリカート(cromglycate)、ネドクロミルナトリウム、フェニロイン、クエン酸亜鉛、メキシチール、ジランチン、ヒアルロン酸ナトリウム、またはポロクサマー(polaxamer)188が含まれるが、これらに限定されない)を母体血に添加して母体細胞溶解を減少させることができる。別の実施形態では、細胞の構造完全性を保存するか安定化させる薬剤を使用して、細胞溶解量を減少させることができる。別の実施形態では、母体血中の遊離母体DNA量を減少させる任意のプロトコールを、サンプルを得る前に使用することができる。別の実施形態では、サンプルを得る前に、妊婦は、0〜5、5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45、45〜50、50〜55、55〜60、60〜120、120〜180、180〜240、240〜300、300〜360、360〜420、420〜480、480〜540、540〜600、600〜660、660〜720、720〜780、780〜840、840〜900、900〜1200、1200〜1500、1500〜1800、1800〜2100、2100〜2400、2400〜2700、2700〜3000、3000〜3300、3000〜3600、3600〜3900、3900〜4200、4200〜4500分間、および4500分間超が含まれるが、これらに限定されない期間、身体活動を行わずに休憩する。別の実施形態では、妊婦がリラックスした状態に到達した後に、妊婦からサンプルを得る。サンプルを得る前の休憩期間により、サンプル中の母体核酸量を減少させることができる。別の実施形態では、午前中に(4〜5am、5〜6am、6〜7am、7〜8am、8〜9am、9〜10am、10〜11am、および11〜12amが含まれるが、これらに限定されない)、妊婦からサンプルを得る。別の実施形態では、妊婦が、0〜1、1〜2、2〜3、3〜4、4〜5、5〜6、6〜7、7〜8、8〜9、9〜10、10〜11、11〜12時間、または12時間超が含まれるが、これらに限定されない期間、眠った後に、妊婦からサンプルを得る。別の実施形態では、サンプルを得る前に、妊婦は一定期間運動し、その後に休憩する。別の実施形態では、運動期間には、0〜15、15〜30、30〜45、45〜60、60〜120、120〜240分間、または240分間超が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、DNAの破壊を防止する薬剤(DNアーゼインヒビター、塩化亜鉛、エチレンジアミン四酢酸、グアニジン−HC1、グアニジンイソチオシアナート、N−ラウロイルサルコシン、およびドデシル硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない)を、血液サンプルに添加することができる。別の実施形態では、胎児DNAを胎児細胞から得る。前記胎児細胞を、供給源(母体血、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、胚組織、および母体の子宮頸部または膣から得た粘膜が含まれるが、これらに限定されない)から単離することができる。
【0070】
別の実施形態では、細胞溶解量を減少させる任意の採血の技術、方法、プロトコール、または装置を使用することができる(ラージボアニードル、より短い針、層流を増加させるためのニードルコーティング(例えば、テフロン(登録商標))、層流を増加させるための針の斜端の改変、または血流の速度を減少させる技術が含まれるが、これらに限定されない)。胎児細胞は、母体の免疫系によって母体血中で破壊される可能性がある。しかし、母体細胞溶解の大部分は採血または血液サンプルの処理の結果として起こる可能性がある。したがって、細胞溶解を防止または減少させる方法は、サンプル中の母体DNA量を減少させ、遊離胎児DNAの相対比率を増加させる。
【0071】
この試薬の使用プロトコールの例を以下に示す。処理するまで血液を4℃で保存する。制動力を0に設定した遠心機にて管を1000rpmで10分間回転する。管を1000rpmで10分間という第2の時間で回転する。各サンプルの上清(血漿)を新規の管に移し、ブレーキを0に設定して3000rpmで10分間回転する。上清を新規の管に移し、−80℃で保存する。母体細胞を含む約2ミリリットルのバフィコートを個別の管に入れ、−80℃で保存する。
【0072】
DNAまたはRNAの抽出
ゲノムDNAを、当該分野で公知の技術を使用して(血球からのDNAの精製のためのQiagen Midiキットの使用など)血漿(例えば、母体血漿)から単離することができる。DNAを、100μlの蒸留水中で溶離することができる。Qiagen Midiキットも使用して、バフィコート中に含まれる母体細胞からDNAを単離する。かかる目的のためにQIAamp循環核酸キットも使用することができる(例えば、http://www.qiagen.com/products/qiaampcirculatingnucleicacidkit.aspxを参照のこと)。
【0073】
ポリヌクレオチド(例えば、DNA)の抽出方法はまた、液体抽出(例えば、Trizol、DNAzol)技術の使用を含むことができる。
【0074】
例えば、出発サンプル(例えば、血液または血漿)の出発体積は15〜30mlであり得、これから約100〜200μlのDNAまたは他のポリヌクレオチドを抽出することができる。次いで、200μlの抽出サンプルのDNAを、より小さな体積(例えば、5μl、10μl)の最終サンプルに変換する(または濃縮する)ことができる。いくつかの場合では、出発サンプルの体積は、最終サンプルの体積の2、5、10、20、30、40、50、75、100、500、1000、5000、10,000、50,000、100,000、500,000、または1,000,000倍超であり得る。最終サンプルはまた、液滴生成用デバイスに導入されるサンプルであり得る。
【0075】
最終サンプルは、1〜20μlの体積であり得る。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100μlを超える。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100μl未満である。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100nlを超える。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100nl未満である。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100plを超える。いくつかの実施形態では、最終サンプルは、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、または100pl未満である。
【0076】
いくつかの実施形態では、DNAを、公知の方法(遠心分離および種々の酵素インヒビター(例えば、DNアーゼ用)の使用が含まれる)によって濃縮することができる。DNAを選択膜(例えば、シリカ)に結合させてDNAを夾雑物から分離することができる。1000、500、400、300、200、または100塩基対長未満である血漿中に循環するフラグメントについてDNAを富化させることもできる。このサイズ選択を、DNAサイズ分離媒体(電気泳動ゲルまたはクロマトグラフィ材料(Huber et al.(1993)Nucleic Acids Res.21:1061−6)、ゲル濾過クロマトグラフィ、TSKゲル(Kato et al.(1984)J.Biochem、95:83−86)など)にて行うことができる。いくつかの場合では、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA)を、選択的に沈殿させるか、濃縮するか(例えば、サンプルを蒸発に供することができる)、固相媒体を使用して選択的に捕捉することができる。沈殿後、DNAまたは他のポリヌクレオチドを、少しのの体積に再構成または溶解することができる。少しの体積であることにより、プローブの標的ポリヌクレオチドとのハイブリッド形成が可能であり得るか、ハイブリッド形成の改善が可能であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、出発物質は、細胞または組織(結合組織、筋組織、神経組織、血球、または上皮細胞が含まれる)を含むことができる。いくつかの場合では、非核酸材料を、酵素処理(プロテアーゼ消化など)を使用して出発物質から除去することができる。他の非核酸物質を、いくつかの場合、膜破壊界面活性剤での処理および/または溶解方法(例えば、超音波処理、フレンチプレス、凍結融解、ダウンス)によって除去し、その後に遠心分離して核酸含有画分を核酸を含有しない画分から分離することができる。抽出された核酸は、当該分野内で十分に確立されているプロトコールを使用した任意の適切なサンプル(以下の核酸含有サンプル:組織、体液(例えば、血液、血清、血漿、唾液、尿、涙、腹腔液、腹水、膣分泌物、乳汁、母乳、リンパ液、脳脊髄液、または粘膜分泌物)、臍帯血、絨毛膜絨毛、羊水、胚、2細胞期の胚、4細胞期の胚、8細胞期の胚、16細胞期の胚、32細胞期の胚、64細胞期の胚、128細胞期の胚、256細胞期の胚、512細胞期の胚、1024細胞期の胚、胚組織、リンパ液、脳脊髄液、粘膜分泌物、または他の身体滲出物、糞便、核酸を含むかかる供給源の個別の細胞または抽出物、および細胞内構造物(ミトコンドリアなど)が含まれるが、これらに限定されない)に由来し得る。
【0078】
好ましい実施形態では、血液を、マグネシウムキレート剤(EDTAが含まれるが、これらに限定されない)を含む装置に回収することができ、そしてそれは4℃で保存される。必要に応じて、カルシウムキレート剤(EGTAが含まれるが、これらに限定されない)を添加することができる。別の実施形態では、細胞溶解インヒビター(ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド誘導体、ホルマリン、グルタルアルデヒド、グルタルアルデヒド誘導体、タンパク質架橋剤、核酸架橋剤、タンパク質および核酸架橋剤、第一級アミン反応性架橋剤、スルフヒドリル反応性架橋剤、スルフヒドリル(sultydryl)付加またはジスルフィド還元、炭水化物反応性架橋剤、カルボキシル反応性架橋剤、光反応性架橋剤、分解性架橋剤が含まれるが、これらに限定されない)を母体血に添加する。
【0079】
血漿RNA抽出は、Enders et al.(2003),Clinical Chemistry 49:727−731に記載されている。簡潔に述べれば、遠心分離工程後に採取された血漿を、Trizol LS試薬(Invitrogen)およびクロロホルムと混合することができる。混合物を遠心分離し、水層を新規の管に移すことができる。エタノールを水層に添加する。次いで、製造者の推奨にしたがって混合物をRNeasyミニカラム(Qiagen)にアプライし、処理する。
【0080】
抽出した材料が一本鎖RNA、二本鎖RNA、またはDNA−RNAハイブリッドを含むいくつかの場合、これらの分子を、当該分野で公知の技術を使用して二本鎖DNAに変換することができる。例えば、逆転写酵素を使用して、RNA分子からDNAを合成することができる。いくつかの場合では、RNAのDNAへの変換にはリンカーフラグメントをRNAにライゲーションするための事前のライゲーション工程が必要であり得、それにより、ユニバーサルプライマーを使用して逆転写を開始することが可能である。他の場合では、例えば、mRNA分子のポリAテールを使用して、逆転写を開始させることができる。DNAへの変換後、本明細書中に詳述の方法を使用して、いくつかの場合では、所望の配列をさらに捕捉、選択、タグ化、または単離することができる。
【0081】
本説明は胎児DNAの全体に至るまで言及しているが、母体血中で見出される胎児RNA(通常はRNAも)を同様に分析することができる。以前に記載のように(「胎盤起源のmRNAは母体血漿中で容易に検出可能である」)(Ng et al.(2003)Proc.Nat.Acad.Sci.100:4748−4753)、各リアルタイムRT−PCRアッセイを使用して分析した場合、hPL(ヒト胎盤性ラクトゲン)およびhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)mRNA転写物は母体血漿中で検出可能である。本方法では、胎盤中で発現し、かつ目的の染色体上に存在する遺伝子をコードするmRNAを使用することができる。例えば、DSCR4(ダウン症候群必要不可欠領域4)は21番染色体上に見出され、胎盤中でおもに発現される。そのmRNA配列を、GenBank NM_005867で見出すことができる。この場合、検出用cDNAを調製するためにRNアーゼHマイナス(RNアーゼH−)逆転写酵素(RT)を使用することが好ましい。RNアーゼH−RTはいくつかの製造者(SuperScript(TM)II(Invitrogen)など)から入手可能である。逆転写酵素PCRを、染色体DNAについて本明細書中に記載のように使用することができる。RNAには、siRNA、miRNA、cRNA、tRNA、rRNA、mRNA、または任意の他のRNA型が含まれ得る。
【0082】
ライゲーションプローブ
いくつかの好ましい実施形態では、標的ポリヌクレオチドを、1つ以上のライゲーションプローブ(時折、本明細書中で「ライゲーション可能プローブ」ともいう)の使用によってタグ化、選択、捕捉、単離、および/または処理する。ライゲーションプローブは、以下のいずれかを含む:(1)「環状化可能プローブ」(単一のポリヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチド)の各末端(5’および3’)が標的ポリヌクレオチドの近接領域または隣接領域に結合し、かかる結合後、ライゲーション反応によってプローブの5’末端を3’末端に連結し、それにより、プローブを環状化することができる)、または(2)2つのポリヌクレオチド(またはオリゴヌクレオチド)プローブ(2つのプローブの標的ポリヌクレオチド内の領域への結合後、一方のプローブの5’末端を異なるプローブの3’末端にライゲーションすることができる)。2つのかかるプローブの標的ポリヌクレオチドの隣接配列または近接配列へのハイブリッド形成後、ライゲーション反応によって2つのプローブが共に1つの線状プローブに連結される。
【0083】
いくつかの実施形態では、ライゲーションプローブはまた、以下を含むことができる:酵素切断部位、ユニバーサルプライマー部位、および/またはユニバーサルプローブ結合部位。いくつかの実施形態では、ライゲーションプローブはその5’末端でリン酸化されている。他の実施形態では、ライゲーションプローブはその5’末端でリン酸化されていない。かかる5’末端でのリン酸化により、ギャップ充填反応を必要とすることなく標的ポリヌクレオチドの近接領域に結合する同一の(または異なる)ライゲーションプローブの5’末端の3’末端へのライゲーションが可能となり得る。他の場合では、5’末端のリン酸化を用いずにプローブを合成する。かかる場合、5’末端が同一の(または異なる)プローブの3’末端の結合部位に隣接するが直接近接しない領域に結合するようにプローブをデザインする。かかるプローブのライゲーションは、ギャップ充填または伸長反応をさらに必要とする場合もある。
【0084】
いくつかの実施形態では、ライゲーションプローブは分子反転プローブである。米国特許第7,368,242号は、分子反転プローブおよびサンプル中の標的ポリヌクレオチドとの相互作用後にアンプリコンを生成するための使用方法を記載している。遺伝子標的中の隣接領域が分子反転プローブ(または他のライゲーションプローブ)の相補領域と安定な二重鎖を形成することが可能な条件下でプローブの線状バージョンを、標的ポリヌクレオチドを含むサンプルと組み合わせる。一般に、プローブの5’末端は標的配列の1つに結合し、プローブの3’末端は近接配列に結合し、それにより、ループ構造物が形成される。標的特異的領域の末端は相互に隣接し得るか(ニックによって分離されている)、その間にいくつかの(例えば、1〜10ヌクレオチド)ギャップが存在し得る。いくつかの実施形態では、ギャップは、5、10、20、30、40、50、100、200、300、400、または500ヌクレオチドを超える。いくつかの好ましい実施形態では、標的特異的領域は直接近接している(例えば、0個のヌクレオチドによって分離されている)。いずれかの場合、標的特異的領域のハイブリッド形成後、2つの標的特異的領域の末端をライゲーション反応または多伸長反応によって共有結合し、その後にギャップ充填反応を使用してライゲーション反応を行う。
【0085】
図4は、2つの遺伝子標的を検出するための分子反転プローブ(MIP)の使用の略図である。1つの遺伝子標的は1つのプローブ(MIP1−1)によって認識され、第2の遺伝子標的は第2のプローブ(MIP2−1)によって認識される。MIPの遺伝子標的への結合後、ライゲーション反応を行って結合したMIPプローブの5末端を3末端にライゲーションし、それにより、環状MIPを形成する。いくつかの場合では、MIPプローブは、1つ以上のヌクレオチドによって分離された隣接DNAの2つの配列に結合する。かかる場合、ギャップ充填(または伸長)反応を行ってテンプレートとして標的DNAを使用してギャップ中に充填する。MIPのその標的配列への結合後、MIPはループを形成し、プローブ配列を反転させることができる(図4を参照のこと)。この反転の後にライゲーション反応を行い、反転した分子の末端をライゲーションして環状化したプローブを形成することができる。
【0086】
MIPプローブのDNAへの結合(および必要に応じたギャップ充填反応)後、リガーゼ酵素を使用してライゲーション反応を行ってMIPプローブを環状化する。次いで、環状MIPプローブを、未使用の線状一本鎖プローブ、一本鎖線状ゲノムDNA、および二本鎖線状ゲノムDNAを消化するエキソヌクレアーゼ消化中で保持する。次いで、液滴デジタルPCRによる分析のための液滴中で環状MIPをPCR試薬と合わせる。いくつかの実施形態では、環状プローブを、PCR反応前またはPCR反応中に線状化する。図4に示すように、プローブは、酵素切断部位(例えば、ウラシルN−グリコシラーゼ酵素による酵素切断に感受性を示す一連のウラシル残基)を含む部位を含むことができる。いくつかの場合では、ポリヌクレオチドを切断して線状分子を形成する酵素切断工程が存在する。他の場合では、この工程で酵素切断工程が存在せず、ポリヌクレオチドが環状のままである。次に、ライゲーションしたMIPプローブ(環状化されているか、線状であるか、その両方の混合物であるかのいずれか)を、1つ以上の区分の間で細分割する。好ましくは、区分は液滴(例えば、油相内の水滴)である。次いで、液滴をサーマルサイクリング反応に供する。サーマルサイクリング反応中に、線状化されたMIP(またはいくつかの場合では、環状MIP)は、ユニバーサル順方向プライマー(UF1またはUF2)およびユニバーサル逆方向プライマー(UR1またはUR2)によってプライミングされる反応のためのテンプレートとして働く。増幅中に、各MIP中の配列にハイブリッド形成するユニバーサルプローブ(UP1またはUP2)を、プローブの蛍光側がプローブの消光剤側から分離されるように切断する。この切断の結果として、プローブの蛍光剤側由来の蛍光が増加する。
【0087】
いくつかの実施形態では、ギャップ充填反応を5’→3’重合活性を有するポリメラーゼによって行う。この方法で有用なポリメラーゼには、ニック部位で5’−3’重合を開始するポリメラーゼが含まれる。ポリメラーゼはまた、ニックから下流側の重合鎖を置換することもできる。いくつかの実施形態では、ギャップ充填反応のために使用されるポリメラーゼは、いかなる5’→3’エキソヌクレアーゼ活性も欠く。通常はかかるエキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼは、この活性がブロッキング剤の添加によってブロッキングされる場合、ポリメラーゼのドメインまたはフラグメント(かかるドメインまたはフラグメントが5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を行う)が欠失、変異、そうでなければ修飾される場合、ポリメラーゼが化学修飾される場合、または当該分野で公知の任意の他の方法による場合にかかる活性を欠き得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、ギャップ充填反応のために使用されるポリメラーゼは、3’→5’エディティングエキソヌクレアーゼ活性を含む。適切なポリメラーゼの例には、DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメント、DNAポリメラーゼIのエキソヌクレアーゼ欠損クレノウフラグメント、およびBstポリメラーゼ由来の類似のフラグメント(Bio−Rad,Richmond,Calif.)が含まれる。AmpliTaqDNAポリメラーゼのシュトッフェルフラグメント(Life Technologies、Carlsbad、CA)と同様に、シーケナーゼ1.0およびシーケナーゼ2.0(US Biochemical)、T5DNAポリメラーゼ、およびPhi29DNAポリメラーゼも作用する。
【0089】
本開示がDNAを含むライゲーションプローブ(例えば、MIPプローブ)を記載しているにもかかわらず、本明細書中に記載のライゲーションプローブは、任意の他の核酸(例えば、RNA、mRNA、cDNA、rRNA、tRNA、siRNA、miRNAなど)、ポリペプチド、合成核酸、または合成ポリペプチドを含むことができる。いくつかの場合では、ライゲーションプローブは2つ以上の異なるポリヌクレオチド型を含むことができるか(例えば、RNAおよびDNAの両方を含む)、ライゲーションプローブはポリヌクレオチドおよびポリペプチド(例えば、RNA+ポリペプチド;DNA+ポリペプチド)を含むことができる。一定の他の適用では、ライゲーションプローブ(例えば、MIPプローブ)を、本明細書中に記載の方法において蛍光色素、固体支持体、またはビーズにコンジュゲートすることができる。
【0090】
核酸は、天然に存在する核酸および天然に存在しない核酸、ならびに天然に存在する核酸に類似の様式で機能する核酸アナログをいう。核酸を、RNA、DNA、または核酸アナログ分子(糖または骨格修飾リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドなど)から選択することができる。他の核酸アナログ(ペプチド核酸(PNA)またはロックド核酸(LNA)など)も適切である。天然に存在しない核酸の例には、以下が含まれる:ハロゲン置換塩基、アルキル置換塩基、ヒドロキシ置換塩基、およびチオール置換塩基、ならびに5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、イソグアニン、イソシトシン、プソイドイソシトシン、4−チオウラシル、2−チオウラシルおよび2−チオチミン、イノシン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)およびN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)、2−アミノ−6−”h”−プリン、6−アミノ−2−”h”−プリン、6−オキソ−2−”h”−プリン、2−オキソ−4−”h”−ピリミジン、2−オキソ6−”h”−プリン、4−オキソ−2−”h”−ピリミジン。これらは、非チオール化およびチオール化塩基を有する2つの水素結合塩基対を形成する(それぞれ、2,4ジオキソおよび4−オキソ−2−チオキソピリミジン、2,4ジオキソおよび2−オキソ−4−チオキソピリミジン、4−アミノ−2−オキソおよび4−アミノ−2−チオキソピリミジン、6−オキソ−2−アミノおよび6−チオキソ−2−アミノプリン、2−アミノ−4−オキソおよび2−アミノ−4−チオキソピリミジン、および6−オキソ−2−アミノおよび6−チオキソ−2−アミノプリン)。
【0091】
いくつかの好ましい実施形態では、本方法は、酵素消化(エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼなどの酵素から)からの所望の配列の選択的保護によるゲノムDNA由来の所望の配列の選択、タグ化、捕捉、および/または単離を含む。例えば、(その標的への結合後の)MIPプローブの環状化により、特定の酵素(例えば、exoI、exoIII)による消化からプローブを保護する。その標的への結合後のプローブの他の保護方法も使用することができる。
【0092】
いくつかの場合では、次いで、ライゲーション反応後に酵素消化(エキソヌクレアーゼ処理(例えば、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII)など)を行って、非結合ゲノムDNAおよび非結合プローブを消化することができるが環状DNAを消化せず、それにより、所望の配列を示す環状MIPを単離することができる。いくつかの場合では、1つを超えるプローブが所望の遺伝子標的に結合し、ライゲーションされて環状MIPを形成する場合、MIPは多重化可能である。それにより、複数のMIPは所与の遺伝子標的を示し、検出感度を増強することができる。
【0093】
目的の配列を示すために環状MIPを生成するいくつかの場合、これらの環状MIPを、PCR反応による検出前(または検出中)に線状化することができる。いくつかの場合では、MIPは、酵素(ウラシル−N−グリコシラーゼなど)での処理によって脱プリン化することができるウラシル塩基を含み、環状分子は、加熱の際に脱塩基部位で線状化されるようになり得る。他の場合では、MIPは部位特異的制限酵素によってターゲティングされる制限酵素部位を含み、環状プローブを切断して線状DNA分子を形成することができる。環状MIPが線状化されるいくつかの実施形態では、MIPを含む溶液を占める酵素(エキソヌクレアーゼが含まれる)を、MIP線状化前の熱不活化、pH変性、または物理的分離などの方法によって不活化する。いくつかの場合では、DNAをゲル精製またはエタノール沈殿を使用してタンパク質から精製することができるか、タンパク質をトリクロロ酢酸などの有機溶液での沈殿を使用して溶液から除去することができる。
【0094】
制限酵素の例には、AatII、Acc65I、AccI、AciI、AclI、AcuI、AfeI、AflII、AflIII、AgeI、AhdI、AleI、AluI、AlwI、AlwNI、ApaI、ApaLI、ApeKI、ApoI、AscI、AseI、AsiSI、AvaI、AvaII、AvrII、BaeGI、BaeI、BamHI、BanI、BanII、BbsI、BbvCI、BbvI、BccI、BceAI、BcgI、BciVI、BclI、BfaI、BfuAI、BfuCI、BglI、BglII、BlpI、BmgBI、BmrI、BmtI、BpmI、Bpu10I、BpuEI、BsaAI、BsaBI、BsaHI、BsaI、BsaJI、BsaWI、BsaXI、BseRI、BseYI、BsgI、BsiEI、BsiHKAI、BsiWI、BslI、BsmAI、BsmBI、BsmFI、BsmI、BsoBI、Bsp1286I、BspCNI、BspDI、BspEI、BspHI、BspMI、BspQI、BsrBI、BsrDI、BsrFI、BsrGI、BsrI、BssHII、BssKI、BssSI、BstAPI、BstBI、BstEII、BstNI、BstUI、BstXI、BstYI、BstZ17I、Bsu36I、BtgI、BtgZI、BtsCI、BtsI、Cac8I、ClaI、CspCI、CviAII、CviKI−1、CviQI、DdeI、DpnI、DpnII、DraI、DraIII、DrdI、EaeI、EagI、EarI、EciI、Eco53kI、EcoNI、EcoO109I、EcoP15I、EcoRI、EcoRV、FatI、FauI、Fnu4HI、FokI、FseI、FspI、HaeII、HaeIII、HgaI、HhaI、HincII、HindIII、HinfI、HinP1I、HpaI、HpaII、HphI、Hpy166II、Hpy188I、Hpy188III、Hpy99I、HpyAV、HpyCH4III、HpyCH4IV、HpyCH4V、KasI、KpnI、MboI、MboII、MfeI、MluI、MlyI、MmeI、MnlI、MscI、MseI、MslI、MspA1I、MspI、MwoI、NaeI、NarI、Nb.BbvCI、Nb.BsmI、Nb.BsrDI、Nb.BtsI、NciI、NcoI、NdeI、NgoMIV、NheI、NlaIII、NlaIV、NmeAIII、NotI、NruI、NsiI、NspI、Nt.AlwI、Nt.BbvCI、Nt.BsmAI、Nt.BspQI、Nt.BstNBI、Nt.CviPII、PacI、PaeR7I、PciI、PflFI、PflMI、PhoI、PleI、PmeI、PmlI、PpuMI、PshAI、PsiI、PspGI、PspOMI、PspXI、PstI、PvuI、PvuII、RsaI、RsrII、SacI、SacII、SalI、SapI、Sau3AI、Sau96I、SbfI、ScaI、ScrFI、SexAI、SfaNI、SfcI、SfiI、SfoI、SgrAI、SmaI、SmlI、SnaBI、SpeI、SphI、SspI、StuI、StyD4I、StyI、SwaI、T、TaqαI、TfiI、TliI、TseI、Tsp45I、Tsp509I、TspMI、TspRI、Tth111I、XbaI、XcmI、XhoI、XmaI、XmnI、およびZraIが含まれる。
【0095】
他のプローブ型および遺伝子プローブの他の選択方法を、本明細書中に記載の方法および組成物で使用することもできる。例えば、MIPプローブの使用が一般に単一のライゲーションプローブの環状化を含むにもかかわらず、環状化工程は常に必要であるというわけではない。例えば、ライゲーション検出PCR技術を使用することができる。この技術では、2つの異なるプローブ(それぞれ隣接DNA(または近接DNA)にハイブリッド形成する)を共にライゲーションし、その後にユニバーサルプライマーおよびプローブを添加してライゲーションしたフラグメントを検出する。
【0096】
図7は、ライゲーション検出反応(LDR)およびその後の液滴中でのPCRを用いた2つの色調を使用した2つの遺伝子標的の検出スキームを示す。2つの線状オリゴヌクレオチドは、遺伝子標的の近接領域または隣接領域に結合する。これらの領域は、直接近接するか、ギャップによって分離され得る。あるいは、これらの領域を、ポリメラーゼ反応を使用して充填することができ、その3’末端が第2のプローブの5’末端に直接近接するように第1のプローブの3’末端長を伸長するギャップによって分離することができる。次いで、2つのプローブを相互にライゲーションする(図7に記載のように)。ライゲーション中に、2つの線状オリゴヌクレオチドがライゲーションされて単一のテンプレートオリゴヌクレオチド(LDR1−1またはLDR2−1)が形成される。この単一のテンプレートオリゴヌクレオチド(これらから形成されたオリゴヌクレオチド対ではない)は、ユニバーサル順方向プライマー(UF1またはUF2)および逆方向プライマー(UR1またはUR2)を使用したPCR反応において産物を産生することができる。さらに、PCR反応は、テンプレートオリゴヌクレオチドの一部にハイブリッド形成する蛍光剤−消光剤対を含むユニバーサルプローブ(UP1またはUP2)を含む。PCR反応中に、DNAポリメラーゼ(Taqなど)の5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によってプローブが切断され、分子の消光剤末端から蛍光剤末端が脱離する。蛍光剤プローブと消光剤プローブとの間のこの分離の結果として、反応中に蛍光強度が増大し、以後の工程で検出することができる。この分析を、検出中に区別することができる2つの異なる色調の蛍光剤を含む2つのユニバーサルプローブ(UP1およびUP2)を使用して行うことができる。例えば、LDR1−1が標的配列(疑われる異数体染色体など)を認識することができる一方で、LDR2−1は基準配列(推定二倍体染色体など)を認識し、異数性を検出可能である。
【0097】
本明細書中に記載のライゲーション検出反応で使用されるライゲーションプローブは、一旦これらのライゲーションプローブが標的ポリヌクレオチドに結合すると、エキソヌクレアーゼ処理から保護することができる。例えば、保護基(化学的ブロッキング単位)の付加(すなわち、ホスホロチオアート(phosphorothiate)修飾)により、非結合プローブおよび/または非結合標的ポリヌクレオチド(例えば、ゲノムDNA)を消化することができる特定のエキソヌクレアーゼによる消化からハイブリッド形成したライゲーションプローブを保護することができる。ホスホロチオアート修飾により、ライゲーションプローブをexoIII(3’→5’エキソヌクレアーゼ)の活性から保護することができる。同様に、ホスホロチオアート修飾により、ライゲーションプローブをexoT7(5’→3’エキソヌクレアーゼ)の活性から保護することができる。いくつかの場合では、exoT(3’→5’エキソヌクレアーゼ)およびRecJf(5’→3’エキソヌクレアーゼ)を使用することができる。exoT活性から保護するホスホロチオアートは、Putney et al.(1981)PNAS 78(12):7350−54に開示されている。RecJfについては、Tosch et al,(2007)J.of Physics:Conference Series 61(2007)1241-1245;doi:10.1088/1742−6596/61/1/245 International Conference on Nanoscience and Technology(ICN&T 2006)も参照のこと。exoTおよびRecJFの両方はssDNAを消化し、ホスホロチオアートによってブロッキングされる。ホスホロチオアート(phosphothiorate)修飾を、プローブ中のユニバーサルPCRプライマー配列の末端またはユニバーサルPCRプライマー配列の上流のテールに配置することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、プローブは、各プローブの標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後に一方の線状オリゴヌクレオチドの5’領域を異なる線状オリゴヌクレオチドの3’領域にライゲーションすることができる異なる線状オリゴヌクレオチドの混合物を含む。いくつかの実施形態では、2つの同一の(または実質的に同一の)オリゴヌクレオチドは、それぞれ、次に一方のかかるプローブの5’末端を別のかかるプローブの3’末端にライゲーションすることができるような様式で、近接または隣接する標的ポリヌクレオチドの領域に結合することができる。かかるライゲーションは、各プローブの標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後に起こる。
【0099】
他の実施形態では、本方法は、その後の単離なしに所望の配列を捕捉することを含む。いくつかの場合では、1つを超える線状プローブが所望の配列を認識し、それに結合する。プローブの結合後、ライゲーション反応を行って、1つ以上のプローブを相互にライゲーションすることができる。いくつかの場合では、所望の配列は、ライゲーションの結果として捕捉され、その後の工程においてライゲーションされたプローブをPCR検出することが可能である一方で(リガーゼ検出反応PCR、またはLDR−PCRとして公知)、ライゲーションされていないプローブはPCRによって検出できない。いくつかの場合では、複数のプローブが遺伝子標的に結合してライゲーションすることができ、それにより、LDR−PCRによる遺伝子標的の検出感度を増強することができる。
【0100】
ライゲーションプローブ(例えば、MIPプローブ)を、アッセイ性能におけるサンプル毎の変動を最小にするか、さもなければ、アッセイを最適にするために一定の基準を満たすようにデザインすることができる。ライゲーションプローブのデザインにおけるいくつかの使用基準には、以下が含まれる:(1)いかなる公知のSNP(例えば、dbSNP中の全てのSNP)を含まない標的配列;2)ゲノムDNAの保存領域内の標的配列;(3)いかなる公知のCNV領域(例えば、UCSCゲノムデータベース中のCNVトラック中に存在する全てのCNV)とも重複しない標的配列;4)(例えば、UCSCゲノムデータベース中の保存トラックによって評価した場合に)種間で保存されている標的ポリヌクレオチド領域(例えば、ゲノムDNA、RNA)中の標的配列。さらに、プローブの普遍的かつ安定した性能を最適にするために、いくつかの基準を標的配列の選択に適用することができる。標的配列がヒトゲノム中で固有であるように標的配列を選択することができる。MIPプローブの両末端がG/Cヌクレオチドを含み、これらがおよそ40ヌクレオチド長であり、合わせたホーマーアームが類似の融解温度を有し(例えば、プライマー3ソフトウェア由来のデフォルトパラメーターを使用して67℃から2℃以内)、各ホーマーアームが類似の融解温度を有する(例えば、プライマー3ソフトウェア由来のデフォルトパラメーターを使用して50℃から2℃以内)ように、標的配列を選択することができる。(ゲノムDNAに相補的なプローブの5’末端および3’末端をホーマーアーム(それぞれ、H2およびH1)と呼ぶ)。
【0101】
その対応物に十分に結合できないので、MIPおよび標的をスクリーニングして二次構造を形成するMIPおよび標的を破棄することもできる。さらに、MIPを相互に比較して、溶液中のMIPプローブ間の反応の可能性を低下させることができる。二次構造を回避するためのいくつかの一般的規則を、Hyman et al.(2010),Applied and Environmental Microbiology 76:3904−3910に見出すことができる。二次構造スクリーニングを、dGスコア分布の構築および域外値の除去によって補助することができる。
【0102】
本明細書中に提供した方法には、例えば、13、18、および21番染色体上の複数の異常を同時に評価する方法が含まれる。かかる研究のために、染色体を相互の基準として使用することができ、したがって、外部の基準サンプルまたは基準プローブ(例えば、1番染色体に対する)は不要であり得る。
【0103】
遺伝子標的を含むサンプルは、全染色体、染色体フラグメント、または非染色体フラグメントの形態のゲノムDNAを含むことができる。いくつかの場合では、ゲノムDNAフラグメントの平均長は、約100、200、300、400、500、または800塩基対未満、または約1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200ヌクレオチド未満、あるいは約1、2、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100キロベース未満であり得る。いくつかの場合では、フラグメントは、10〜500、10〜1000、または100〜150塩基(またはヌクレオチド)長の範囲であり、いくつかの実施形態では、100〜150塩基が好ましい。
【0104】
母体DNAと比較して胎児ゲノムDNAを富化するいくつかの場合、フラグメントサイズは、平均して約300塩基対または100もしくは150塩基対であり得る。いくつかの場合では、サンプルは、少なくとも1つのゲノム当量を含む。他の場合では、サンプルは、1ゲノム当量未満を含むが、胎児または母体のサンプル中の標的配列および基準配列の比率の決定に十分なゲノムDNAを含む。さらに他の場合では、サンプルは、1ゲノム当量の約半分を含む。用語「ゲノム当量」を、ゲノムサイズおよびDNA重量の計算値(一倍体ゲノムの重量は約3.3pgであり、二倍体正常細胞(46番染色体)のゲノム含有量は約6.6pgであり、これは2ゲノミック当量(GE)(「ゲノミック当量」および「ゲノム当量」を、本明細書中で交換可能に使用する)に対応する)に基づいたサンプルDNA分布の計算値をいうために使用する。実際に、DNAサンプルサイズはいくらか変動し得る。また、無作為なフラグメント分布のために、所与のゲノム当量は、単一の完全な二倍体ゲノムのみに対応するDNAフラグメントを正確に含まない場合もある。
【0105】
多重化
本明細書中に記載され、かつ当該分野で公知の増幅法(例えば、PCR)を多重化することができる(すなわち、各反応体積中で複数のプライマーおよびプローブを使用して実行することができる)。本明細書中に提供した方法および組成物のいくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、100,000、2,000,000、3、000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000、7,000,000、8,000,000、9,000,000、または10,000,000個、またはそれを超える異なるプローブが所与のサンプル体積中に存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、100,000、2,000,000、3、000,000、4,000,000、5,000,000、6,000,000、7,000,000、8,000,000、9,000,000、または10,000,000個、またはそれを超えるプライマーが所与のサンプル体積中に存在する。
【0106】
いくつかの実施形態では、複数のプローブ(またはプライマー組)を使用し、プローブ(またはプライマー組)は1つ以上の態様に関して異なる。プローブは、同一の標的ポリヌクレオチドまたは異なる標的ポリヌクレオチド(例えば、異なる染色体または同一の染色体であるが、前記染色体内の異なる領域)に結合することができる。例えば、異なる標的に向けられる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20を超えるプローブを使用することができる。いくつかの場合では、異なる標的に向けられる20、30、40、50、100、500、1000、5000、10000、50000、100000、500000、1000000、またはそれを超えるプローブを使用する。他の場合では、プローブは、前記プローブ内に存在する切断部位の型に関して異なる。いくつかの場合では、複数のプローブは、複数の異なるプローブ型(例えば、ライゲーションプローブ、MIP、パッドロックプローブ、PCRプライマー組、ユニバーサルプライマー、ユニバーサルプローブ、およびその任意の組み合わせ)を含む。いくつかの場合では、前記複数の異なるプローブ型は、各プローブを異なるシグナル伝達因子(例えば、緑色フルオロフォア対赤色フルオロフォアなど)にコンジュゲートするという点で異なる。いくつかの場合では、プローブは、プローブが異なるプライマー結合部位を含むという点で異なる。他の場合では、同一のユニバーサルプライマー組を使用して、複数のプローブ内のプローブの全てまたは大部分に結合することができる。
【0107】
反応体積(液滴など)の多重化により、二倍体配列についての1:1の推定比から標的配列と基準配列との間のDNA比のわずかな変化を検出することが可能である。多重化により、GE/mLが低い(例えば、1000GE/mL)(母体血漿中など)場合のサンプルにもかかわらず、多数の配列を標的配列および基準配列の任意の組について計数することが可能である。インタクトな標的染色体および基準染色体は巨大分子であり、特異的プライマー組によって認識および増幅することができる複数の保存された固有の領域を有する。血漿中、循環DNAは小フラグメント(約300bp)として存在し得る。小さな産物(例えば、100塩基対)を産生する多重化プライマーのデザインにより、標的配列または基準配列の小さなフラグメント(例えば、300塩基対)を効率よく増幅することができる。
【0108】
多重化により、反応体積(液滴など)中で単離された標的を多重化プライマーの1つによって認識することができる可能性が増大し得る。多重化はまた、増幅が起こり、一重アッセイで陰性として計数される標的配列を陽性として測定することができる可能性が増大し得る。これを基準配列について行うことができる。いくつかの実施形態では、多重度は、標的配列に対して1プライマー組超(特定の標的配列に対してそれぞれ少なくとも2、3、4、5、10、15、20、または25プライマー組など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、多重度は、基準配列に対して1基準プライマー組超(特定の基準配列に対してそれぞれ少なくとも2、3、4、5、10、15、20、または25プライマー組など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、多重度は、標的配列に対して1プライマー組超および基準配列に対して1基準プライマー組超(特定の標的配列または基準配列に対して少なくとも2、3、4、5、10、15、20、または25プライマー組など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、標的配列に対するプライマー組の数は、基準配列に対するプライマー組の数と同一ではない。いくつかの実施形態では、多重度は、各標的配列および基準配列について500、250、200、150、または100プライマー組未満であり得る。標的配列および基準配列の多重度を、単一の反応体積に組み合わせることができる。
【0109】
異なるプライマー対増幅配列を、スペクトルで識別可能なプローブ(例えば、2つの異なる色素標識したプローブ(Taqmanまたはロックド核酸プローブ(ユニバーサルプローブ Library,Roche)など))に基づいて区別することができる。かかるアプローチでは、全プローブを単一の反応体積に合わせ、各プローブによって放射された色調の相違に基づいて区別する。例えば、1つのポリヌクレオチド(例えば、試験染色体、21番染色体)をターゲティングするプローブを第1の色調の色素にコンジュゲートすることができ、反応中の第2のポリヌクレオチド(例えば、基準染色体、1番染色体)をターゲティングするプローブを第2の色調の色素にコンジュゲートすることができる。次いで、色調の比を、試験染色体と基準染色体との間の比に反映させる。
【0110】
プローブ組(例えば、試験染色体(例えば、21番染色体)をターゲティングするプローブ組)が標的ポリヌクレオチドの異なる領域をターゲティングすることができるいくつかの場合、依然として組内の各プローブは同一のユニバーサルプライマー結合部位を有する。いくつかの場合では、各プローブは、同一のプローブ結合部位を有する。いくつかの場合では、反応物中の2つ以上のプローブは、異なるプローブ結合部位を有し得る。いくつかの場合では、かかる反応物に添加するプローブを、同一のシグナル因子(例えば、同色のフルオロフォア)にコンジュゲートする。いくつかの場合では、異なるシグナル因子(例えば、2つの異なる色調)を1つ以上のプローブにコンジュゲートする。
【0111】
あるいは、反応体積組(例えば、液滴)を2つのサンプル組に分割し、一方の組中の標的配列および他方の組中の基準配列を増幅することができる。次いで、標的遺伝子および基準遺伝子を、相互に独立して測定する。これにより、単一の蛍光プローブ(SYBR Greenなど)を使用することが可能である。いくつかの例では、これには、等価な感度を達成するためにサンプルを分割し、各多重組中のプライマー数を潜在的に倍増させることが必要である。いくつかの場合では、サンプルを分割し、試験染色体に対する複数のライゲーションプローブをサンプルの半分に添加し、基準染色体に対する複数のライゲーションプローブをサンプルの第2の半分に添加する。かかる例では、次いで、ライゲーションプローブを、同一のシグナル伝達因子(例えば、同一の色スペクトルのフルオロフォア)にコンジュゲートしたユニバーサルプローブとハイブリッド形成することができる。
【0112】
本開示によって提供された多重化を、初期段階でプライマー対を使用する代わりに標的のプローブを使用して行うこともできる。使用することができるプローブの例は、標的ポリヌクレオチド内の近接するか隣接する配列とハイブリッド形成するように特異的にデザインされた2つの末端を有する線状オリゴヌクレオチドである。かかるプローブの非限定的な例は、近接標的配列とハイブリッド形成するように特異的にデザインされた2つの末端を有する線状オリゴヌクレオチドであるパッドロックプローブである。一旦ハイブリッド形成されると、2つの末端をライゲーションによって連結することができ、パッドロックプローブは環状化するようになる。パッドロックプローブは、例えば、Lizardi et al.(1998)Nat Genetics 19:225−232; 米国特許第5,871,921号;同第6,235,472号;および同第5,866,337号に開示されている。いくつかの場合では、プローブ(例えば、オリゴヌクレオチド)はゲノムDNAの近接配列に結合し、次いで、末端を、リガーゼ反応によって直接ライゲーションすることができる。他の場合では、2つの末端の間に1つ以上の塩基のギャップが存在する。かかる場合、伸長反応またはギャップ充填反応を行うことができる。ギャップ充填反応について、当該分野の任意の公知の方法で十分である。例えば、ヌクレオチド(dATP、dCTP、dGTP、dTTP、dUTP)の混合物を、反応混合物ならびにポリメラーゼ、リガーゼ、および他の反応成分に添加し、約60℃で約10分間インキュベートし、その後に37℃で約1分間インキュベートすることができる。標的ポリヌクレオチドへの結合およびライゲーション後、ライゲーションプローブ(例えば、分子反転プローブ、パッドロックプローブなど)が環状化するようになり得る。
【0113】
いくつかの場合では、プローブは、本明細書中に記載のように、遺伝子標的に結合するオリゴヌクレオチドプローブである。他の場合では、プローブは、基準標的に結合するオリゴヌクレオチドプローブである。基準標的の例は、1番染色体または胎児異数性に関連する可能性が低い他の染色体である。いくつかの場合では、オリゴヌクレオチドまたは基準オリゴヌクレオチドは、酵素によって切断可能な部位を含む。例えば、オリゴヌクレオチドは、一連の1つ以上のウラシル残基(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、10、15、または20個のウラシル残基)を含み、かつ酵素(ウラシル−N−グリコシラーゼ(UNG)など)によって切断可能であり得るDNAオリゴヌクレオチドであり得る。他の場合では、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の制限部位を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、1つ以上の同一の制限部位または1つ以上の異なる制限部位を含むことができる。制限部位の例は、文献中で周知である。一般に、制限酵素によって切断可能な部位を使用することができる。制限酵素は、特異的部位を切断することができる任意の制限酵素(またはエンドヌクレアーゼ)であり得る。いくつかの場合では、制限酵素は平滑末端カッターであり、他の場合では、制限酵素は非対称部位で切断してオーバーハングを作製する。制限酵素の非限定的な例を本明細書中に示す。
【0114】
オリゴヌクレオチドプローブは、さらに、順方向および逆方向プライマー(例えば、ユニバーサルプライマー)とハイブリッド形成する部位を含むことができる。本明細書中で使用する場合、ユニバーサルプライマーは、増幅すべき領域にフランキングする配列を認識してハイブリッド形成する5’プライマーおよび3’プライマーの1つ以上の対を含む。増幅すべき領域は、遺伝子標的(疑われる胎児異数体染色体(かかる染色体の非限定的な例には、21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体が含まれる)など)内に存在し得る。いくつかの場合では、増幅すべき領域は、推定二倍体染色体の遺伝子標的内に存在する。
【0115】
いくつかの場合では、増幅すべき領域は、遺伝子標的内ではなく、遺伝子標的に対するプローブ(分子反転プローブなど)内に存在する。プライマー対は、遺伝子標的に向けられることができるか、多数の増幅標的にフランキングする配列を認識するユニバーサルプライマーであり得る。例えば、遺伝子標的に対するプローブは、遺伝子標的中の特異的配列を認識して結合する1つ以上のセグメントを含むことができ、プローブは、さらに、全プローブ組に共通のユニバーサル配列を含むことができる。したがって、単一のユニバーサルプライマー対を使用して、かかる組内の任意のプローブを増幅させることができる。いくつかの場合では、ユニバーサルプライマー対は、分子反転プローブが反転された場合のみで、検出可能なPCR産物を産生する。分子反転プローブの反転を環状分子反転プローブ内の部位の切断によって誘導し、そのプライマー対に関するプライマーの配向を反転することができる。いくつかの場合では、ユニバーサルプライマー対は、(ライゲーション検出反応などにおいて)ライゲーション反応の産物を増幅する場合のみで検出可能なPCR産物を産生する。
【0116】
オリゴヌクレオチドプローブはまた、マーカー(色素または蛍光色素(例えば、TaqManプローブ)など)に結合したプローブに相補的な配列を含むことができる。いくつかの場合では、TaqManプローブは、1つの色素型(例えば、FAM、VIC、TAMRA、ROX)に結合する。他の場合では、オリゴヌクレオチド上の1つを超えるTaqManプローブ部位が存在し、各部位は異なるTaqManプローブ(例えば、異なる色素型を有するTaqManプローブ)に結合することができる。本明細書中に記載のオリゴヌクレオチドプローブの同一の配列を有する複数のTaqManプローブ部位も存在し得る。しばしば、TaqManプローブは、本明細書中に記載のオリゴヌクレオチドプローブ上の部位のみに結合することができ、ゲノムDNAに結合することができないが、いくつかの場合、TaqManプローブはゲノムDNAに結合することができる。
【0117】
本明細書中に記載のオリゴヌクレオチドプローブ使用の利点は、シグナルのバックグランドノイズに対する比が従来のPCR技術(プライマー組を使用する技術など)を使用した場合の1、2、5、10、15、20、30、40、50、75、または100倍を超えて改良されるという点である。1つの理由は、潜在的に、特異的標的(例えば、染色体)に対する全オリゴヌクレオチドプローブについてたった1つのプローブしか必要としないことである。例えば、多数のオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、50個超)が存在し得る。これらは、それぞれ染色体上の個別の部位に結合するが、それぞれユニバーサルであるか同一であるTaqMan部位も含み、したがって、特異的蛍光色素に結合したTaqManプローブがプローブにアニーリングする場合に同一の波長で蛍光を発する。
【0118】
本明細書中に提供した方法には、以下の工程を使用した方法が含まれる:1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブをゲノムDNAとハイブリッド形成させるための変性およびアニーリング工程。プローブの5’末端および3’末端がゲノムDNAの近接配列を直接ターゲティングしない場合、必要に応じたギャップ充填反応の後にリガーゼ反応を行ってプローブを環状化させる。本方法は、さらに、サンプルをエキソヌクレアーゼ酵素(例えば、エキソヌクレアーゼIおよび/またはIII)で処理して線状プローブ(言い換えれば、首尾よくハイブリッド形成しなかったプローブ)ならびにssDNAおよびdsDNA(例えば、ゲノムDNA)を消化するエキソヌクレアーゼ処理工程およびその後の反転工程を含むことができる。本方法は、さらに、PCR試薬をサンプル(例えば、Taqポリメラーゼ、ユニバーサルプライマー、蛍光プローブ(例えば、TaqManプローブ)、および他のPCR反応成分)に添加してオリゴヌクレオチドプローブ上の1つ以上の部位を増幅する増幅工程を含むことができる。本方法は、さらに、単分散の油中水型液滴(例えば、1,000、10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000超、またはそれを超える油中水型液滴(本明細書中で反応体積ともいう)に乳化し、その後にサーマルサイクリングを行う分割工程および使用した蛍光プローブに対応する波長での各液滴の蛍光の検出工程を含むことができる。いくつかの場合では、平均して、約1、2、3、4、または5コピーのDNAが各液滴中に存在する。いくつかの場合では、平均して約0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、3、4、または5個のオリゴヌクレオチドプローブが各液滴中に存在する。本明細書中に記載の方法は、高多重深度で機能することができる。高多重深度をddPCR数と組み合わせる場合、多数の標的カウントを得ることができ、それにより、相対染色体量の分析能を高くすることができる。この多重アプローチを父性遺伝したSNP、Y染色体標的、または胎児特異的メチル化マーカーを使用したddPCR胎児負荷量定量化と組み合わせて、偽陰性から防御することができる。胎児負荷量測定を、抽出サンプルのアリコートに対して個別に行うことができるか、2つの直交性アッセイ(ユニバーサルMIP PCR+胎児特異的定量アッセイ)の多重化によるアッセイの反転工程後に行うことができる。
【0119】
いくつかの場合では、ライゲーションをユニバーサルPCR法と組み合わせて多重化する。例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:分子反転プローブ(MIP)ストラテジー(Hardenbol et al.,(2003)Nature Biotechnology,21(6):673−78;米国特許出願公開第2004/0101835号を参照のこと);多重ライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)(Schouten JP,McElgunn CJ,Waaijer R,Zwijnenburg D,Diepvens F,Pals G(2002),Nucleic Acids Res.30(12)を参照のこと);ライゲーション検出反応(LDR);およびリガーゼ連鎖反応。本明細書の図は、異なるプローブ型またはプローブ/プライマー組み合わせを使用した異なる多重ストラテジーのまとめを示す。
【0120】
図5は、遺伝子標的の検出感度を増大させるためのMIPアプローチの多重化を示す。特定の遺伝子標的を認識するMIP(MIP1−1)を、同一の遺伝子標的の異なる部分を認識する第2のMIP(MIP1−2)と組み合わせることができる。この過程を繰り返して、同一の遺伝子標的を認識するための多数のMIP(示したMIP1−50)を生成することができる。同様に、第2の遺伝子標的を認識するためのMIP群を生成することができる(MIP2−50)。これらのMIPを、分析(図3に示す分析など)で使用して2つの遺伝子標的を比較することができる。
【0121】
本明細書中に記載のライゲーションプローブ、パッドロックプローブ、または他のオリゴヌクレオチドプローブを、ゲノムDNAと組み合わせることができる。いくつかの場合では、染色体または異なる染色体上の特異的部位に対する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、または10,000個を超えるオリゴヌクレオチドプローブを含む複数のオリゴヌクレオチドプローブを使用する。
【0122】
図8は、このアプローチの液滴中の遺伝子標的の検出感度を増大させるための液滴中のLDR−PCRのための多重化オリゴヌクレオチドの使用を示す。図7に記載するように、単一の線状オリゴヌクレオチド対(LDR1−1)を、遺伝子標的の隣接領域を認識するようにデザインする。異なる対(LDR2−1)は、第2の遺伝子標的を認識する。複数のオリゴヌクレオチド対(LDR1−50およびLDR2−50)を、遺伝子標的の異なる部分を認識するようにデザインすることができる。これらのオリゴヌクレオチド対は、遺伝子標的の一部に結合し、図7に記載のライゲーションを受ける。2つの異なる色調を使用して、示した2つの異なる遺伝子標的を検出する。例えば、LDRプローブの半分は標的配列(疑われる異数体染色体など)を認識することができる一方で、他方の半分は基準配列(推定二倍体染色体など)を認識し、改善された感度で異数性を検出可能である。
【0123】
いくつかの実施形態では、標的配列および基準配列を、デジタル液滴検出を使用した分析前に予め増幅することができる。増幅方法は当該分野で公知であり、自立配列反応、リガーゼ連鎖反応、cDNA末端の迅速な増幅、ポリメラーゼ連鎖反応およびリガーゼ連鎖反応、Q−βファージ増幅、鎖置換増幅、等温増幅、またはスプライス重複伸長ポリメラーゼ連鎖反応が含まれる。次いで、前増幅産物を、本発明に記載の方法で使用することができる。
【0124】
遺伝子標的
いくつかの実施形態では、抽出したDNAまたはRNAを処理して、標的配列ポリヌクレオチド(特に本明細書中に記載の遺伝子標的が含まれ得る)を選択、タグ化、捕捉、および/または単離することができる。いくつかの場合では、捕捉および単離は、大量の遺伝子材料からの標的配列の物理的分離および望ましくない遺伝子材料の除去を含む。いくつかの場合では、物理的分離を、固体構造物(ポリマー表面、ポリマービーズ、磁性ビーズ、またはマイクロ流体チャネルの表面など)上に固定した相補配列への所望の配列のハイブリッド形成によって行うことができる。他の場合では、物理的分離を、アフィニティ法(アフィニティタグとコンジュゲートした相補配列のプローブを使用した所望の配列の捕捉など)によって行い、アフィニティ相互作用の非限定的な例には、マイクロモル、ナノモル、ピコモル、フェムトモル、またはフェムトモルを超える強度の結合親和性を有するストレプトアビジン−ビオチン相互作用、抗体−抗原相互作用、酵素−基質相互作用、受容体−リガンド相互作用、およびタンパク質−小分子相互作用が含まれる。捕捉後、所望の配列を、いくつかの場合、当該分野で周知の洗浄方法(穏やかなイオン性または非イオン性の界面活性剤、プロテアーゼインヒビター、およびDNアーゼインヒビターを含む緩衝化生理食塩水での洗浄が含まれる)を使用して大量の遺伝子材料から単離することができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の液滴は、ビーズ、ポリマービーズ、または磁性ビーズを含まない。
【0125】
本明細書中に記載のアッセイおよびプローブの標的は、胎児の遺伝子異常(異数性が含まれる)および他の遺伝子変動(変異、挿入、付加、欠失、転座、点変異、トリヌクレオチド反復障害、および/または一塩基多型(SNP)など)に関連する任意の遺伝子標的、ならびに胎児の遺伝子異常に関連しないコントロール標的であり得る。胎児異数性に関連しない他のアッセイも本明細書中に記載する。
【0126】
しばしば、本明細書中に記載の方法および組成物は、余剰または喪失した染色体(特に、典型的には出生時欠損または流産に関連する染色体)を検出することができる。例えば、本明細書中に記載の方法および組成物は、常染色体トリソミー(例えば、13、15、16、18、21、または22トリソミー)を検出することができる。いくつかの場合、トリソミーは、流産の機会の増加に関連し得る(例えば、15、16、または22トリソミー)。他の場合では、検出されるトリソミーは、乳児が出生時に欠損を伴って生まれることを示し得る生産児トリソミー(例えば、13トリソミー(パトー症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、および21トリソミー(ダウン症候群))である。異常はまた、性染色体の異常であり得る(例えば、XXY(クラインフェルター症候群)、XYY(ヤコブ症候群)、またはXXX(Xトリソミー)。特定の好ましい実施形態では、遺伝子標的は、1つ以上の以下の染色体上の1つ以上の標的である:13、18、21、X、またはY。例えば、遺伝子標的は、21番染色体上に50部位、および/または18番染色体上に50部位、および/または13番染色体上に50部位であり得る。
【0127】
本明細書中の方法および系に基づいて決定することができるさらなる胎児の状態には、1つ以上の染色体のモノソミー(X染色体モノソミー、ターナー症候群としても公知)、1つ以上の染色体のトリソミー(13、18、21、およびX)、1つ以上の染色体のテトラソミーおよびペンタソミー(ヒトでは、性染色体で最も一般的に認められる(例えば、XXXX、XXYY、XXXY、XYYY、XXXXX、XXXXY、XXXYY、XYYYY、およびXXYYY))、一倍性、三倍性(各染色体が3つ(例えば、ヒトにおいて69番染色体))、四倍性(各染色体が4つ(例えば、ヒトにおいて92番染色体))、五倍性、および多倍性が含まれる。
【0128】
いくつかの場合では、遺伝子標的は、特異的染色体上に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、75、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400、450、500、1,000、5,000、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、または100,000超の部位を含む。いくつかの場合では、遺伝子標的は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、または22個超の異なる染色体上に標的を含む。いくつかの場合、遺伝子標的は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、または23個未満の染色体上に標的を含む。いくつかの場合では、遺伝子標的は、遺伝した遺伝子障害(常染色体優性および劣性障害ならびに伴性優性および劣性障害が含まれる)で変異することが公知の遺伝子を含む。非限定的な例には、自己免疫疾患、神経変性疾患、癌、および代謝障害を生じる遺伝子変異が含まれる。いくつかの実施形態では、本方法は、遺伝子異常に関連しない遺伝子標的(正常な二倍体染色体上に存在する遺伝子など)を参照した比較によって遺伝子異常(トリソミーなど)に関連する遺伝子標的の存在を検出する。
【0129】
本明細書中の方法または組成物はまた、染色体の個別の領域をターゲティングするプライマー組および/またはプローブを含むことができる。例えば、複数のプローブ(例えば、MIPプローブ、ライゲーションプローブ)は、染色体の第1の特異的領域をターゲティングする少なくとも1つの第1のプローブおよび染色体の第2の特異的領域をターゲティングする少なくとも1つの第2のプローブを含むことができる。いくつかの場合では、第1のプローブを、シグナルを発する分子または因子(例えば、フルオロフォア)でタグ化し、第2のプローブを、第2のシグナルを発する分子(例えば、第1のプローブにコンジュゲートしたフルオロフォアと区別することができる色調/波長のフルオロフォア)でタグ化する。次いで、複数のプローブは、標的ポリヌクレオチドに結合することができる。選択プロトコール(例えば、ライゲーション、環状化、およびその後のエキソヌクレアーゼなど)の後、選択されたプローブを、複数の区分(例えば、液滴)に分割し、その後に選択されたプローブを含む区分(例えば、液滴)の数を分析する。次いで、第1のプローブ数と第2のプローブ数との間の比を使用して、標的ポリヌクレオチドが部分的な欠失、転座、または増幅を含むかどうかを評価することができる。例えば、かかる方法を使用して、プローブ1がインタクトな染色体に向けられ、プローブ2が染色体の欠失部分内の配列に向けられる場合に染色体の部分的欠失を検出することができる。いくつかの実施形態では、異なる標的に向けられる1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個超のプローブを使用することができる。いくつかの場合、この数は、20、30、40、50、100、500、1000、5000、10000、50000、100000、500000、1000000、またはそれを超え得る。
【0130】
非限定的な例では、一方のライゲーションプローブ(またはプライマー組)は21番染色体のqアームをターゲティングし、第2のライゲーションプローブ(またはプライマー組)はpアームをターゲティングする。これらが共に相互に合理的に近い(例えば、いくつかの前定義された信頼区間内)という答えが得られる場合、21番染色体濃度の測定値を検証することができる。他方では、pアーム上の標的を使用した測定値がqアーム上の標的を使用した測定値と有意に異なる場合、これは、部分的異数性(染色体のフラグメント)を示し得るか、このアッセイがさらなる至適化または検証を必要とすることを示し得る。
【0131】
標的組の実際の測定を、21q標的の一方の色調および21p標的の別の色調の使用によって同時に行うことができる。あるいは、サンプルを、21qが一方の部分で測定され、かつ21pが他方の部分で測定されるように分割することができる。また、染色体を2つ以上のプライマー組(またはオリゴヌクレオチドプローブ)に分割して、染色体コピー数をより詳細に評価することができる。
【0132】
用語「ポリヌクレオチド」は、1つを超えるヌクレオチドを含む任意の核酸分子をいい、2、3、5、10、20、30、50、100、200、300、400、500、もしくは900ヌクレオチド、または1、2、3、5、10、20、30、50、100、200、300、400、500、もしくは900キロベース、または1、2、3、5、10、20、30、50、100、200、300、400、500、もしくは900メガベースの長さが含まれ得るが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドはまた、遺伝子のコード領域、DNAの非コード領域、または全染色体をいうことができる。
【0133】
本明細書中で使用する場合、対立遺伝子は、染色体上の同一の位置を占める遺伝子またはDNAの非コード領域のいくつかの代替形態のうちの1つである。用語「対立遺伝子」を、任意の生物(細菌、ウイルス、真菌、原虫、カビ、酵母、植物、ヒト、非ヒト、動物、および古細菌が含まれ得るが、これらに限定されない)由来のDNAを説明するために使用することができる。例えば、細菌は、典型的には、1つの巨大なDNA鎖を有する。細菌DNAに関する用語「対立遺伝子」は、同種の異なる細菌細胞中の同一の遺伝子形態と比較して1つの細胞中に見出される遺伝子の形態をいう。
【0134】
遺伝子の代替形態(例えば、対立遺伝子)は、単一のヌクレオチドが代替形態間で変動する1つ以上の一塩基多型(SNP)を含むことができる。遺伝子または非コード領域の代替形態は、短い縦列反復(STR)(2つ以上のヌクレオチドの近接反復パターン)を含むことができる。
【0135】
対立遺伝子は、同一の配列を有し得るか、単一のヌクレオチドまたは1つを超えるヌクレオチドが異なり得る。2コピーの各染色体を有する生物に関して、両染色体が同一の対立遺伝子を有する場合、この状態をホモ接合性という。対立遺伝子2つの染色体が異なる場合、この状態をヘテロ接合性という。
【0136】
標的配列が胎児(ホモ接合性)中の母体DNA(ヘテロ接合性)疾患中の1つのコピーに存在する疾患の例には、鎌状細胞嚢胞性線維症、血友病、およびテイ・サックス病が含まれる。したがって、本明細書中に記載の方法を使用して、一定の部位に1つの特異的変異を有するゲノムを一定の部位に2つの特異的変異を有するゲノムと区別することができる。
【0137】
鎌状細胞貧血は、常染色体劣性疾患である。米国黒人の9%がヘテロ接合性である一方で、0.2%がホモ接合劣性である。劣性対立遺伝子により、ヘモグロビンのβ鎖にアミノ酸置換が生じる。
【0138】
テイ・サックス病は、神経系が変性する常染色体劣性である。出生後に症状が現れる。この対立遺伝子の小児ホモ接合劣性は、5歳まで生存することは稀である。患者は、GM2ガングリオシド脂質を分解する酵素N−アセチル−ヘキソサミニダーゼを作製する能力を欠く。
【0139】
別の例はフェニルケトン尿症(PKU)(患者がアミノ酸フェニルアラニンをチロシンに変換する酵素を合成する能力を欠く劣性遺伝障害)である。この対立遺伝子がホモ接合劣性の個体は、尿中および血液中にフェニルアラニンおよび異常な分解産物を蓄積する。
【0140】
血友病は、血液が正常に凝固しない疾患群である。血液中の因子は凝固に関与する。正常な第VIII因子を欠く血友病は血友病Aを有するといい、第IX因子を欠く血友病は血友病Bを有する。これらの遺伝子はX染色体上に保持され、したがって、本方法でプライマーおよびプローブを使用して、胎児が母親の欠損X染色体または父親の正常な対立遺伝子を遺伝したかどうかを検出することができる。
【0141】
いくつかの場合では、遺伝子標的は、遺伝子または遺伝子の一部(例えば、CFTR、第VIII因子(F8遺伝子)、βグロビン、ヘモクロマトーシス(hemachromatosis)、G6PD、神経線維腫症、GAPDH、βアミロイド、またはピルビン酸キナーゼ遺伝子)である。
【0142】
いくつかの実施形態では、遺伝子標的は、コピー数変動が疾患または障害に関連し得る任意の配列である。遺伝子異常から生じる他の疾患には、軟骨無形性症、副腎脳白質ジストロフィ(X連鎖性)、無ガンマグロブリン血症(X連鎖性)、アラジール症候群、αサラセミアX連鎖性精神遅滞症候群、アルツハイマー病、アルツハイマー病(早期発症家族型)、筋萎縮性側索硬化症(概説)、アンドロゲン不応症候群、アンジェルマン症候群、運動失調症(概説、遺伝性)、毛細管拡張性失調症、ベッカー型筋ジストロフィ(ジストロフィン異常症(dystrophinopathy)とも呼ばれる))、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、βサラセミア、ビオチニダーゼ欠損症、鰓弓耳腎症候群、BRCA1およびBRCA2遺伝性乳癌/卵巣癌、乳癌、CADASIL、カナヴァン病、癌、シャルコー・マリー・トゥース遺伝性神経症、シャルコー・マリー・トゥース神経症1型、シャルコー・マリー・トゥース神経症2型、シャルコー・マリー・トゥース神経症4型、シャルコー・マリー・トゥース神経症X型、コケイン症候群、結腸癌、拘縮性クモ指症(先天性)、頭蓋骨癒合症候群(FGFR関連)、嚢胞性線維症、シスチン蓄積症、聴覚消失および遺伝性聴力損失、DRPLA(歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮(dentatorubral−pallidoluysian atrophy))、ディジョージ症候群(22ql1欠失症候群ともいう)、拡張型心筋症(X連鎖性)、ダウン症候群(21トリソミー)、デュシェンヌ型筋ジストロフィ(ジストロフィン異常症とも呼ばれる)、ジストニア(早期発症原発性)(DYT1)、ジストロフィン異常症、エーラース・ダンロス症候群(脊柱後側湾型)、エーラース・ダンロス症候群(血管型)、単純型先天性表皮水疱症、外骨腫(遺伝性多発性)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィ、第V因子ライデン血栓形成傾向、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)、家族性地中海熱、脆弱X症候群、フリードライヒ運動失調症、前頭側頭型認知症(パーキンソニズム−17を伴う)、ガラクトース血症、ゴーシェ病、ヘモクロマトーシス(遺伝性)、血友病A、血友病B、出血性毛細血管拡張症、遺伝性55、聴力損失および聴覚消失(非症候性)、DFNA(コネキシン26)、聴力損失および聴覚消失(非症候性)、DFNB1(コネキシン26)、遺伝性痙性対麻痺、ヘルマンスキー・パドラック症候群、ヘキソサミニダーゼA欠損症(テイ・サックスとも呼ばれる)、ハンチントン病、低軟骨形成症、魚鱗癬(先天性)(常染色体劣性)、色素失調症、ケネディ病(球脊髄性筋萎縮症とも呼ばれる)、クラッベ病、レーバー遺伝性視神経症、レッシュ・ナイハン症候群白血病、リー・フラウメニ症候群、肢帯型筋ジストロフィ、リポタンパク質リパーゼ欠損症(家族型)、滑脳症、マルファン症候群、MELAS(ミトコンドリア脳筋症、乳酸アシドーシス、および卒中様発作)、モノソミー、多発性内分泌腫瘍症2型、多発性外骨腫、遺伝性筋ジストロフィ(先天性)、筋緊張性ジストロフィ、腎性尿崩症、神経線維腫症1、神経線維腫症2、圧迫性麻痺傾向のあるニューロパチー(遺伝性)、ニーマン−ピック病C型、ナイミーヘン染色体不安定症候群 ノリエ病、眼皮膚白皮症1型、眼咽頭型筋ジストロフィ、卵巣癌、パリスター・ホール症候群、若年性パーキンソン病(パーキン型)、ペリツェーウス・メルバッハー病、ペンドレッド症候群、ポイツ・ジェガーズ症候群 フェニルアラニンヒドロキシラーゼ欠損症、プラダー・ウィリ症候群、PROP1関連複合型下垂体ホルモン欠乏症(CPHD)、前立腺癌、網膜色素変性、網膜芽細胞腫、ロートムント・トムソン(Rothmund−Thorns)症候群、スミス・レムリ・オピッツ症候群、痙性対麻痺(遺伝性)、球脊髄性筋萎縮症(ケネディ病とも呼ばれる)、脊髄性筋萎縮症、脊髄小脳性運動失調1型、脊髄小脳性運動失調2型、脊髄小脳性運動失調3型、脊髄小脳性運動失調6型、脊髄小脳性運動失調7型、スティックラー症候群(遺伝性関節眼症)、テイ・サックス(GM2ガングリオシドーシス(Gangliosidoses)とも呼ばれる)、トリソミー、結節性硬化症複合体、アッシャー症候群I型、アッシャー症候群II型、口蓋心顔面症候群(22ql1欠失症候群とも呼ばれる)、フォン・ヒッペル・リンダウ症候群、ウィリアムズ症候群、ウィルソン病、X連鎖性副腎白質ジストロフィ、X連鎖無ガンマグロブリン血症、X連鎖性拡張型心筋症(ジストロフィン異常症とも呼ばれる)、およびX連鎖性低緊張性顔貌精神遅滞症候群が含まれる。
【0143】
液滴の生成
本開示は、液滴デジタルPCRを使用した胎児の遺伝子材料の検出のための組成物および方法を含む。本明細書中に記載の液滴には、米国特許第7,622,280号に記載の乳濁液組成物(または2つ以上の不混和性流体の混合物)および2009年9月23日に最初の発明者Colstonによって出願された国際出願番号PCT/US2009/005317号に記載のデバイスによって生成された液滴が含まれる。用語「乳濁液」は、本明細書中で使用する場合、不混和性液体(油および水など)の混合物をいう。油相および/または油中水型乳濁液により、水滴内の反応混合物を区画化することが可能である。好ましい実施形態では、乳濁液は連続油相内に水滴を含む。他の場合では、本明細書中に提供した乳濁液は、連続水相内の液滴が油滴である水中油型乳濁液である。本明細書中に提供した液滴を、区画間の混合を防止し、それにより各区画の成分の蒸発および他の区画の成分との融合から保護するようにデザインする。
【0144】
本明細書中に記載の混合物または乳濁液は安定または不安定であり得る。好ましい実施形態では、乳濁液は比較的安定であり、融合は最小である。小滴が組み合わされて段階的により大きな液滴を形成する場合に融合が起こる。いくつかの場合では、液滴発生器から生成された0.00001%,0.00005%,0.00010%,0.00050%,0.001%、0.005%、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%.2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%未満の液滴が他の液滴と融合する。乳濁液はまた、綿状沈殿(flocculation)(分散相がフレークの懸濁液から得られる過程)が限定的であり得る。
【0145】
本明細書中に記載のサンプルの小反応体積への分割により、試薬の使用量を減少させることができ、それにより、分析における材料の費用を削減することができる。分割によるサンプル多重性の減少により、検出のダイナミックレンジも改善される。何故なら、より大量の分子を異なる区画中の少量の分子と分離し、それにより、より少量の分子がより高い比率で反応試薬に接触可能となり、より少量の分子の検出が増強されるからである。
【0146】
いくつかの場合では、平均直径が約0.001、0.01、0.05、0.1、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、100、120、130、140、150、160、180、200、300、400、または500ミクロンの液滴を生成することができる。単分散または多分散の乳濁液のいずれかを生成するためのマイクロチャネルクロスフロー集束または物理的撹拌を使用した乳濁液の液滴のマイクロ流体法は公知である。いくつかの実施形態では、液滴は単分散液滴である。いくつかの場合では、前記液滴のサイズが前記液滴の平均サイズの±5%を超えて変動しないように液滴を生成する。いくつかの場合では、前記液滴の平均サイズの±2%を超えて変動しないように液滴を生成する。いくつかの場合では、液滴発生器は、単一のサンプルから液滴集団を生成する。ここで、液滴のサイズは液滴の全集団の平均サイズの±.1%、.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、または10%を超えて変動しない。
【0147】
マイクロ流体操作およびより高い剪断性の流体処理(例えば、マイクロ流体毛管中または流路中での90℃回転(弁など)による)のためにより高い機械的安定性が有用である。熱処理前後の液滴またはカプセルは、標準的なピペット操作および遠心分離に対して機械的に安定である。
【0148】
いくつかの場合では、液滴を、水性サンプルに油相を流すことによって形成する。いくつかの好ましい実施形態では、水相は、PCR反応実施のための緩衝液および試薬(ヌクレオチド、プライマー、蛍光検出ためのプローブ(複数可)、テンプレート核酸、DNAポリメラーゼ酵素、および必要に応じた逆転写酵素が含まれる)を含む。
【0149】
いくつかの場合では、水相は、固体状態ビーズ(磁性ビーズなど)なしのPCR反応実施のための緩衝液および試薬を含む。いくつかの場合では、緩衝液は、約1、5、10、15、20、30、50、100、または200mMのTrisを含むことができる。いくつかの場合では、塩化カリウム濃度は、約10、20、30、40、50、60、80、100、200mMであり得る。1つの好ましい実施形態では、緩衝液は、15mMのTrisおよび50mMのKClを含む。いくつかの場合では、ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド三リン酸分子(dATP、dCTP、dGTP、dTTPが含まれる)を、それぞれ約50、100、200、300、400、500、600、または700μMの濃度で含む。いくつかの場合、dUTPを水相内に約50、100、200、300、400、500、600、または700、800、900、または1000μMの濃度まで添加する。いくつかの場合では、塩化マグネシウム(MgCl2)を、水相に約1.0、2.0、3.0、4.0、または5.0mMの濃度で添加する。1つの好ましい実施形態では、MgCl2濃度は3.2mMである。
【0150】
非特異的ブロッキング剤(BSAまたはウシ皮膚由来のゼラチンなど)を使用することができる。このブロッキング剤は、ゼラチンまたはBSAがおよそ0.1〜0.9%w/vの濃度範囲で存在する。他の可能なブロッキング剤には、βラクトグロブリン、カゼイン、粉乳、または他の一般的なブロッキング剤が含まれ得る。いくつかの場合では、BSAおよびゼラチンの好ましい濃度は0.1%w/vである。
【0151】
水相内の増幅用のプライマーの濃度は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、または1.0μMであり得る。1つの好ましい実施形態では、プライマー濃度は0.5μMである。いくつかの場合では、水相は、蛍光検出用の1つ以上のプローブを約0.1、0.2、0.3、0.4、または0.5μMの濃度で含む。1つの好ましい実施形態では、蛍光検出用プローブの濃度は、0.25μMである。PCR中の標的核酸濃度の許容範囲は、約1pgと約500ngとの間である。
【0152】
いくつかの実施形態では、水相はまた、添加物(非特異的バックグラウンド/ブロッキング核酸(例えば、サケ精子DNA)、生物防腐剤(例えば、アジ化ナトリウム)、PCRエンハンサー(例えば、ベタイン、トレハロースなど)、およびインヒビター(例えば、RNアーゼインヒビター)が含まれるが、これらに限定されない)を含むことができる。
【0153】
いくつかの場合では、非イオン性エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーを、水相に約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、または1.0%の濃度で添加する。一般的な生物界面活性剤には、非イオン性界面活性剤(プルロニックF−68、テトロニクス、ゾニルFSNなど)が含まれる。1つの好ましい実施形態では、プルロニックF−68は、濃度0.5%w/vで存在する。
【0154】
いくつかの場合、硫酸マグネシウムを、塩化マグネシウムの代わりに類似の濃度で使用することができる。種々の販売者による広範な一般的な市販のPCR緩衝液を、緩衝液の代わりに使用することができる。
【0155】
油相はフッ素化基剤を含むことができ、このフッ素化基剤をフッ素化界面活性剤(全フッ素置換ポリエーテルなど)との組み合わせによってさらに安定化することができる。いくつかの場合では、基油は、1つ以上のHFE7500、FC−40、FC−43、FC−70、または別の一般的なフッ素化油であり得る。いくつかの場合では、陰イオン性界面活性剤は、アンモニウムクライトックス(クライトックス−AM)、クライトックスFSHのアンモニウム塩、またはクライトックス−FSHのモルホリノ誘導体である。クライトックス−ASは、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、2.0%、3.0%、または4.0%w/wの濃度で存在し得る。いくつかの好ましい実施形態では、クライトックス−AS濃度は1.8%である。他の好ましい実施形態では、クライトックス−AS濃度は1.62%である。クライトックス−FSHのモルホリノ誘導体は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、2.0%、3.0%、または4.0%w/wの濃度で存在し得る。いくつかの好ましい実施形態では、クライトックス−FSHのモルホリノ誘導体の濃度は1.8%である。いくつかの好ましい実施形態では、クライトックス−FSHのモルホリノ誘導体の濃度は1.62%である。
【0156】
油相は、さらに、油の性質(蒸気圧、もしくは粘度、または表面張力など)を調整するための添加物を含むことができる。非限定的な例には、ペルフルオロ−オクタノールおよび1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデカノールが含まれる。いくつかの好ましい実施形態では、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデカノールを、約0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、1.00%、1.25%、1.50%、1.75%、2.00%、2.25%、2.50%、2.75%、または3.00%w/wの濃度まで添加する。いくつかの好ましい実施形態では、1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデカノールを0.18%w/wの濃度まで添加する。
【0157】
いくつかの実施形態では、加熱によって固体様界面膜を有するマイクロカプセルに変換することができる液体様界面膜を有する高度に単分散の液滴が生成されるように乳濁液を処方する。かかるマイクロカプセルは、反応過程(PCR増幅など)によってその成分を保持することができるバイオリアクターとして作用することができる。マイクロカプセル形態への変換は、加熱の際に起こり得る。例えば、かかる変換は、約50、60、70、80、90、または95℃超の温度で生じ得る。いくつかの場合、この加熱は、サーモサイクラーを使用して起こる。加熱処理中、流体または鉱物油の重層を使用して、蒸発を防止することができる。過剰な連続相の油を加熱前に除去しても除去しなくても良い。生体適合性カプセルは、広範な熱処理および機械的処理にわたって融合および/または綿状沈殿に耐性を示し得る。
【0158】
変換後、カプセルを、約3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40℃で保存することができ、1つの好ましい実施形態は、約25℃未満でのカプセルの保存を含む。いくつかの実施形態では、これらのカプセルは、生物医学的適用(高分子(特に核酸もしくはタンパク質またはその両方の混合物を含む水性の流体)の安定なデジタル化されたカプセル化、薬物およびワクチンの送達、生体分子ライブラリー、および臨床画像化への適用など)で有用である。
【0159】
マイクロカプセルは、1つ以上の核酸プローブ(例えば、分子反転プローブ、ライゲーションプローブなど)を含むことができ、特に高温での融合に耐性を示し得る。したがって、PCR増幅反応は、非常に高密度で(例えば、単位体積あたりの反応数)で起こり得る。いくつかの場合では、mlあたり100,000、500,000、1,000,000、1,500,000、2,000,000、2,500,000、5,000,000、または10,000,000を超える個別の反応が起こり得る。いくつかの場合では、反応は、反応体積間の混合を用いない単一のウェル(例えば、マイクロタイタープレートのウェル)で起こる。マイクロカプセルはまた、PCR反応を可能にするのに必要な他の成分(例えば、プライマー、プローブ、dNTP、DNAまたはRNAポリメラーゼなど)を含むことができる。これらのカプセルは、広範な熱処理および機械的処理にわたる融合および綿状沈殿に耐性を示す。
【0160】
デバイスの役割
種々のデバイスを使用して、本明細書中に記載の方法を実現することができる。図3は、胎児異数性の例示的診断方法のワークフローを示し、本明細書中の方法で使用することができるいくつかのデバイスを強調している。母体および胎児の遺伝子材料を含む母体組織サンプル(201)を得る。DNAをサンプルから抽出し、1番染色体(202)および21番染色体(203)を認識するプローブに結合させ、次いで、ライゲーション反応を起こす。ライゲーションしたプローブ(およびPCR反応に必要な成分)を含むサンプルを液滴発生器(301)に導入し、油中水型乳濁液内の複数の液滴にプローブを分割する。本開示で有用ないくつかの液滴発生器の例は、2009年9月23日に最初の発明者Colstonによって出願された国際出願番号PCT/US2009/005317号に記載されている。次いで、液滴をサーモサイクラー(302)中でインキュベートして、プローブを増幅させる。増幅反応中、増幅したプローブを含む液滴は、増幅したプローブを含まない液滴と比較して蛍光が増加する。次いで、液滴を液滴リーダー(303)によって個別に処理し、データを収集して蛍光を検出する。本開示に有用ないくつかの液滴リーダーの例は、2009年9月23日に最初の発明者Colstonによって出願された国際出願番号PCT/US2009/005317号に記載されている。
【0161】
図3に示すように、次いで、1番染色体および21番染色体のコピー数に関するデータを比較して、胎児異数性を検出する。しばしば、コンピュータなどのデバイスによって適用されるアルゴリズムを使用してデータを分析する。いくつかの場合では、液滴発生器、サーモサイクラー、液滴リーダー、およびコンピュータは、それぞれ、個別のデバイスである。他の場合では、1つのデバイスは、2つ以上のかかるデバイスを任意の組み合わせで含む。例えば、1つのデバイスは、サーモサイクラーと連携した液滴発生器を含むことができる。他の場合では、デバイスは、液滴発生器、サーモサイクラー、および液滴リーダーを含むことができる。
【0162】
本開示は、迅速、効率的、かつ高感度のコピー数の検出および/またはコピー数変動(例えば、胎児異数性)の検出のための手段を提供する。本開示は、遺伝子サンプル内に少量で存在するポリヌクレオチド(例えば、母体血サンプル内の胎児ポリヌクレオチド)のコピー数の変化の同定に特に有用である。いくつかの場合では、0.00001、0.00005、0.00010、0.00050、0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、または10コピー未満の標的ポリヌクレオチドを検出する。いくつかの場合では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、または500コピー未満の標的ポリヌクレオチドを検出する。いくつかの場合では、本明細書中に記載の液滴を、1、2、3、4、5、10、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、または1000滴/秒を超える速度で生成する。
【0163】
増幅
標的配列および基準配列(ならびにライゲーションプローブ内の配列)の増幅技術は当該分野で公知であり、米国特許第7,048,481号に記載の方法が含まれる。簡潔に述べれば、本技術は、サンプルを小液滴(いくつかの場合、それぞれ平均して液滴あたり1つ未満の核酸分子を含む)に分離し、各液滴中で核酸配列を増幅し、特定の標的配列の存在を検出する方法および組成物を含む。いくつかの場合では、増幅される配列は、ゲノムDNA自体よりもむしろゲノムDNAに対するプローブ上に存在する。
【0164】
二次構造物および自己ハイブリッド形成の回避のための公知のパラメータにしたがって、プライマーをデザインする。いくつかの実施形態では、異なるプライマー対は、ほぼ同一の温度(例えば、別のプライマー対の1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10℃以内)でアニーリングし、融解する。いくつかの場合では、ライゲーション可能プローブのみ(プライマーなし)を最初にゲノムDNAに添加し、その後にライゲーションしたプローブを分割し、その後に、例えば、ユニバーサルプライマーを使用して各区分内のプローブ上の1つ以上の配列を増幅する。いくつかの場合では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、200、500、1000、5000、10,000個超、またはそれを超えるプローブを最初に使用する。かかるプローブは、本明細書中に記載の遺伝子標的とハイブリッド形成することができる。例えば、プローブの混合物を使用することができる。この混合物では、少なくとも1つのプローブが染色体上の特異的部位をターゲティングし、第2のプローブが同一の染色体または異なる染色上の異なる部位をターゲティングする。各ライゲーション可能プローブ組は、そのユニバーサルプローブ組を有することができ、各組のための対応するTaqManプローブによって区別することができる。あるいは、全てのライゲーション可能プローブ組は、同一のユニバーサルプライマー組を使用することができ、各組のための対応するTaqManプローブによって区別することができる。ヒトゲノムDNAに対して相同性を示さないユニバーサルプライマーの例示的配列には、配列番号79および80(図17)が含まれる。
【0165】
本発明の好ましい実施形態をPCRに関して記載しているが、本発明は、おもに、複数の個別の遺伝子配列検出の使用に関する。いくつかの実施形態では、増幅方法は、例えば、自立配列反応、リガーゼ連鎖反応、cDNA末端の迅速な増幅、およびポリメラーゼ連鎖反応、Q−βファージ増幅、鎖置換増幅、等温増幅、またはスプライス重複伸長ポリメラーゼ連鎖反応であり得る。
【0166】
プライマーを、種々の方法(当該分野で周知の方法を使用した適切な配列のクローニングおよび直接化学合成が含まれるが、これらに限定されない)によって調製することができる(Narang et al.,Methods Enzymol.68:90(1979);Brown et al.,Methods Enzymol.68:109(1979))。プライマーを、商業的供給元(Operon Technologies、Amersham Pharmacia Biotech、Sigma、およびLife Technologiesなど)から得ることもできる。プライマーは、同一の融解温度を有し得る。プライマーの長さを5’末端または3’末端で伸長または短縮して、所望の融解温度を有するプライマーを産生することができる。好ましい実施形態では、プライマー(prime)対のプライマーのうちの1つは、他のプライマーより長い。好ましい実施形態では、プライマー対内のプライマーの3’アニーリング長は異なる。また、各プライマー対のアニーリングの位置を、プライマー対の配列および長さによって所望の融解温度が得られるようにデザインすることができる。25塩基対未満のプライマーの融解温度決定のための最も簡潔な式は、ウォレス則(Td=2(A+T)+4(G+C))である。コンピュータプログラムを使用してプライマーをデザインすることもできる(Array Designerソフトウェア(Arrayit Inc.)、遺伝子分析のためのオリゴヌクレオチドプローブ配列デザインソフトウェア(Olympus Optical Co.)、NetPrimer、およびHitachi Software EngineeringのDNAsisが含まれるが、これらに限定されない)。各プライマーのTM(融解温度またはアニーリング温度)を、ソフトウェアプログラム(Net プライマー(http://premierbio soft.com/netprimer/netprlaunch/netprlaunch.html(2002年4月17日時点でのインターネットアドレス)の無料のウェブベースのプログラム)など)を使用して計算する。別の実施形態では、プライマーのアニーリング温度を再計算し、任意の増幅サイクル(サイクル1、2、3、4、5、サイクル6〜10、サイクル10〜15、サイクル15〜20、サイクル20〜25、サイクル25〜30、サイクル30〜35、またはサイクル35〜40が含まれるが、これらに限定されない)後に増加させることができる。最初の増幅サイクル後、プライマーの5’側の半分を目的の各遺伝子座由来の産物に組み込み、したがって、TMを、各プライマーの5’側の半分および3’側の半分の配列の両方に基づいて再計算することができる。
【0167】
いくつかの好ましい実施形態では、標的配列および基準配列を含み得る所望の配列を、上記のように単離および線状化されている以前に環状化したMIPであるテンプレートMIPによって示す。テンプレートMIPは、PCRにおいてテンプレート分子として働く。いくつかの場合では、テンプレートMIPを液滴生成前に産生し、他の場合では、テンプレートMIPを液滴生成中または生成後に産生する。最後の場合の一例では、ウラシル塩基のウラシル−N−デグリコシラーゼ処理に起因する脱塩基部位を含む環状MIPは、サーモサイクラーでのPCR反応の融解工程での加熱の際に自発的開環反応を受ける。いくつかの場合では、テンプレートMIPは液滴デジタルPCRのためのDNAテンプレートとして働き、ここで、テンプレートMIPの増幅は、MIPが示す所望の配列(例えば、標的配列または基準配列)の検出に対応する。いくつかの実施形態では、本方法は、サンプル流体中に不混和性液体を流すことによって液滴デジタルPCR反応のための液滴を生成する工程であって、サンプル流体が1つ以上のMIPまたは1つ以上のテンプレートMIPおよびPCRに必要な試薬を含むマスターミックスを含む、工程を含む。いくつかの好ましい実施形態では、PCR用のマスターミックスは、熱安定性ポリメラーゼ酵素、テンプレートMIP増幅のためのユニバーサルプライマー、組み込みのための遊離DNAヌクレオチド、および反応用の緩衝液成分を含む。熱安定性ポリメラーゼ酵素は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、80、70℃前後の温度に曝露した場合に活性を保持することができる。いくつかの場合では、サンプル流体は、さらに、消化したゲノムDNAまたは不活化した酵素(MIPテンプレート生成から保持されたエンドヌクレアーゼおよび/またはデグリコシラーゼなど)を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、MIPまたはMIPテンプレートによって示された1つ未満、1つ、または1つを超えるゲノム当量のDNAを含む液滴の生成を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、標的配列および基準配列を含み得る所望の配列は、望ましくないバックグラウンドゲノムDNAを含む混合物の一部として存在する。いくつかの場合では、所望の配列のみ(バックグラウンドゲノムDNA配列ではない)を、ライゲーション検出反応および液滴デジタルPCRを使用して検出する(例えば、ライゲーション産物のみがユニバーサルプライマーを含むマスターミックスを使用したPCRにおいて検出可能な産物を形成する能力を有する場合)。他の場合では、所望の配列を、配列特異的プライマーを使用した液滴デジタルPCRで検出する。
【0169】
いくつかの好ましい実施形態では、本開示は、胎児の遺伝子材料を検出するために使用することができる平均して約1ゲノム当量のDNAを含む乳濁液を含む組成物を含む。いくつかの場合では、1つ以上のMIPまたはMIPテンプレートは目的の配列(21番染色体領域など)を示し、その検出によって胎児異数性を決定することが可能である。いくつかの場合では、遺伝子異常(トリソミーなど)に関連し得る遺伝子標的を示す目的の配列を含む組成物を、遺伝子異常に関連し得ない基準配列を示す配列を含む組成物と比較することができる。いくつかの場合では、検出感度を、遺伝子標的に向けられるプローブの多重化によって増強することができる。さらに、複数の遺伝子標的を、複数の同時検出様式(以下に詳述の蛍光検出方法における異なる色調など)を使用して並行して試験することができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、遺伝子標的には、ライゲーション産物(MIP、MIPテンプレート、またはライゲーションしたプローブなど)によって示すことができる任意の核酸分子が含まれ得る。これらのライゲーション産物は、不混和性液体を流して液滴を生成するサンプル流体中に存在する。PCRに必要な試薬を、その後の液滴デジタルPCRのために液滴中に含めることもできる。本明細書中で分析することができる遺伝子標的の例には、胎児の遺伝子異常に関連し得ない遺伝子変動(異数性、変異、挿入、付加、欠失、転座、点変異、トリヌクレオチド反復障害、および/または一塩基多型(SNP)など)が含まれる。
【0171】
プライマーのアニーリング温度を、任意の増幅サイクル後(サイクル1、2、3、4、5、サイクル6〜10、サイクル10〜15、サイクル15〜20、サイクル20〜25、サイクル25〜30、サイクル30〜35、またはサイクル35〜40が含まれるが、これらに限定されない)に再計算し、上昇させることができる。最初の増幅サイクル後、プライマーの5’側の半分を目的の各遺伝子座由来の産物に組み込み、したがって、TMを、各プライマーの5’側の半分および3’側の半分の両配列に基づいて再計算することができる。プライマー伸長を触媒する任意のDNAポリメラーゼを使用することができる(大腸菌DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼ1のクレノウフラグメント、T7DNAポリメラーゼ、T4DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、PfuDNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、バクテリオファージ29、REDTaq(商標)ゲノムDNAポリメラーゼ、またはシーケナーゼが含まれるが、これらに限定されない)。好ましくは、熱安定性DNAポリメラーゼを使用する。反応物をポリメラーゼ添加前に95℃に2分間加熱するホットスタートPCRも行うことができるか、サイクル1での第1の加熱工程までポリメラーゼを不活性に保持することができる。ホットスタートPCRを使用して、非特異的増幅を最小にすることができる。任意のPCRサイクル数を使用して、DNAを増幅することができる(2、5、10、15、20、25、30、35、40、または45サイクルが含まれるが、これらに限定されない)。
【0172】
標的核酸(例えば、ライゲーションプローブ、MIPプローブ)の増幅を、当該分野で公知の任意の手段によって行うことができる。いくつかの場合では、標的核酸をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅する。使用することができるPCR技術の例には、定量的PCR、定量的蛍光PCR(QF−PCR)、多重蛍光PCR(MF−PCR)、リアルタイムPCR(RT−PCR)、シングルセルPCR、制限酵素切断断片長多型PCR(PCR−RFLP)、PCR−RFLP/RT−PCR−RFLP、ホットスタートPCR、ネステッドPCR、in situポロノニーPCR、in situローリングサークル増幅(RCA)、ブリッジPCR、ピコタイターPCR、およびエマルジョンPCRが含まれるが、これらに限定されない。他の適切な増幅方法には、リガーゼ連鎖反応(LCR)、転写増幅、自立配列複製、標的ポリヌクレオチド配列の選択的増幅、コンセンサス配列プライミングポリメラーゼ連鎖反応(CP−PCR)、任意プライミングポリメラーゼ連鎖反応(AP−PCR)、縮重オリゴヌクレオチドプライミングPCR(DOP−PCR)、および核酸ベースの配列増幅(NABSA)が含まれる。本明細書中で使用することができる他の増幅方法には、米国特許第5,242,794号;同第5,494,810号;同第4,988,617号;および同第6,582,938号に記載の増幅方法が含まれる。いくつかの実施形態では、標的核酸の増幅をビーズ上で行うことができる。他の実施形態では、増幅はビーズ上で起こらない。
【0173】
いくつかの場合では、サーモサイクリング反応を、液滴中に含まれるサンプル上で行う。いくつかの好ましい場合、液滴は、サーモサイクリング中にインタクトなままである。液滴は、約10,000滴/mL、100,000滴/mL、200,000滴/mL、300,000滴/mL、400,000滴/mL、500,000滴/mL、600,000滴/mL、700,000滴/mL、800,000滴/mL、900,000滴/mL、または1,000,000滴/mLを超える密度でサーモサイクリング中にインタクトなままであり得る。他の場合では、2つ以上の液滴は、サーモサイクリング中に融合し得る。他の場合では、100滴超または1,000滴超がサーモサイクリング中に融合し得る。
【0174】
検出および分析
PCR産物の検出を、蛍光技術を使用して行うことができる。DNA結合時に蛍光が増加するDNA挿入色素(臭化エチジウムまたはSYBRグリーンなど)により、反応体積中のDNAの存在量を定量的に読み取ることができる。このDNA量が反応中に増加するにつれて、蛍光強度が増加する。DNA挿入色素を含む方法は、バックグラウンド蛍光の影響を受けやすい。何故なら、これらの方法は、配列特異的様式でDNAを測定せず、反応産物と他の分子(プライマー二量体など)とを区別しないからである。配列特異性が得られるPCR産物の検出方法は、蛍光剤−消光剤対を含み、かつ特異的配列とハイブリッド形成するプローブを含む。蛍光剤は検出可能な光を放射する任意の分子(フルオロフォアなど)であり得、消光剤は、この放射を吸収して蛍光剤による放射の強度を減少させる任意の分子であり得る。相補配列を含む溶液中に存在する場合、蛍光剤−消光剤プローブは配列に結合する。PCR反応中、ポリメラーゼ(Taqなど)はプライマーとしてこのプローブを使用することができ、プローブは細胞中でRNAプライマーを切り出すように機能する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によって切断される。プライマーとして合成蛍光剤−消光剤プローブを使用したPCR反応の場合、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によってプローブが切断され、それにより、消光剤から蛍光剤が分離される。一旦消光剤にもはや共有結合しなくなると、蛍光剤からの蛍光放射を検出することができる。
【0175】
本開示の好ましい実施形態は、MIPテンプレートを使用して産生した液滴デジタルPCR産物の検出を含む。いくつかの場合では、遺伝子標的と異なるMIPに特異的な配列に結合する蛍光剤−消光剤プローブの切断によって検出される。このストラテジーにより、MIPによって示される遺伝子標的に対する配列特異性を必要とせずにMIPを検出するユニバーサル蛍光剤−消光剤プローブが使用可能である。
【0176】
いくつかの実施形態では、標的配列への結合の際に蛍光を発するようになる分子指標(MB)プローブを使用することができる。MBプローブは、5’末端に蛍光剤を含み、かつ3’末端に消光剤を含むステム−ループ構造を有するオリゴヌクレオチドである。蛍光共鳴エネルギー移動による消光度は、消光剤と蛍光剤との間の距離の6乗に反比例する。加熱および冷却後、MBプローブは、蛍光剤からの蛍光シグナルを消光するステム−ループ構造物を再編成する。その配列がループ配列に相補的なPCR産物が加熱/冷却サイクル中に存在する場合、PCR産物の1つの鎖へのMBのハイブリッド形成により、消光剤と蛍光剤との間の距離が増加し、それにより、蛍光が増加する。
【0177】
いくつかの実施形態では、ユニバーサルプローブの使用によって検出する。ユニバーサル蛍光剤プローブ(UFP)は、一定範囲の波長の電磁放射線の吸収の際に検出可能な電磁放射線を放射する蛍光分子を含む。ユニバーサル消光剤プローブ(UQP)は、近位蛍光剤プローブの蛍光放射の強度を減少させる消光剤分子を含む。1つの場合、ユニバーサル蛍光剤プローブは、ユニバーサル消光剤プローブ上の相補核酸セグメントまたは標的配列内の相補核酸セグメント(MIPなど)とハイブリッド形成する核酸セグメントを含む。PCR中、かかる標的配列の増幅により、消光剤プローブと比較してユニバーサル蛍光剤プローブの標的配列への結合が増加し、それにより、検出可能な蛍光が増加する。いくつかの場合では、ユニバーサル蛍光剤プローブとユニバーサル消光剤プローブとの間の相補配列の長さを変化させて、ユニバーサル消光剤プローブに結合したユニバーサル蛍光剤プローブの複合体の融解温度を調整することができる。いくつかの場合では、相補配列の長さは15塩基対であり得る。いくつかの場合では、相補配列の長さは、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、または80塩基対超であり得る。ユニバーサル消光剤プローブに結合したユニバーサル蛍光剤プローブの複合体の融解温度は、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95℃超であり得る。
【0178】
図6は、切断することなくユニバーサルプライマーおよびユニバーサルプローブを使用した液滴中の核酸検出のための2色系を示す。ユニバーサルプローブは、2つの相補オリゴヌクレオチド(一方は蛍光分子を含む蛍光剤プローブ(UFP1またはUFP2)であり、他方は消光分子を含む消光剤プローブ(UQP1またはUQP2)を含む。異なる色調のUFP1およびUFP2の蛍光を、検出時に区別可能である。消光剤プローブに結合する場合、蛍光剤プローブの蛍光強度は実質的に減少する。さらに、2対のユニバーサル順方向および逆方向プライマーは、蛍光剤プローブに相補的な領域を含み、標的配列のPCR増幅を促進する。第1の増幅ラウンドでは、蛍光剤プローブに相補的な領域を、ユニバーサルプライマーを介してテンプレートに組み込む。その後の増幅ラウンドでは、蛍光剤プローブUFP1またはUFP2は、したがって、その各消光剤プローブよりもむしろこのテンプレートとハイブリッド形成することができる。いっそう多くのこれらのテンプレートが増幅反応によって指数関数的に生成されるにつれて、UFP1−UQP1およびUFP2−UQP2複合体は、競合的結合によってUFP1−テンプレートおよびUFP2−テンプレート複合体に置換される。蛍光剤プローブと消光剤プローブとの間のこの分離の結果として、蛍光強度が反応中に増加し、その後の工程で検出することができる。
【0179】
ユニバーサルプローブを、当該分野で公知の方法によってデザインすることができる。いくつかの実施形態では、プローブはランダム配列である。ユニバーサルプローブを、アッセイ中の標的ポリヌクレオチドやサンプル中に存在する可能性が高い他の非標的ポリヌクレオチド(例えば、標的ポリヌクレオチドによって占められる領域の外側のゲノムDNA)に確実に結合しないように選択することができる。ユニバーサルプローブの配列の例には、配列番号81および82が含まれる。
【0180】
蛍光剤によって吸収することができる励起光を発生するためのモジュールおよび蛍光剤によって放射された光を検出するためのモジュールを備えた種々の検出デバイスを使用して、蛍光を検出することができる。いくつかの場合では、サンプル(液滴など)を、大量に検出することができる。例えば、サンプルを検出器中に配置したプラスチックチューブに割り当て、プラスチックチューブからの大量の蛍光を測定することができる。いくつかの場合では、1つ以上のサンプル(液滴など)をプレートの1つ以上のウェル(96ウェルプレートまたは384ウェルプレートなど)に分割することができ、蛍光プレートリーダーを使用して各ウェルの蛍光を検出することができる。
【0181】
いくつかの場合では、検出器は、さらに、液滴サンプルを取り扱う能力(各液滴を検出器に入れ、検出し、次いで、検出器から出す)を有する。例えば、フローサイトメトリーデバイスを、液滴サンプルからの蛍光の検出で使用されるように適合することができる。いくつかの場合では、液滴の移動を調節するためのポンプを備えたマイクロ流体デバイスを使用して、一列の液滴由来の蛍光を検出する。いくつかの場合では、液滴を二次元表面上に整列させ、検出器を表面に対して移動させ、単一の液滴を含む各位置での蛍光を検出する。
【0182】
蛍光検出データの収集後、いくつかの場合にコンピュータを使用して、データを保存および処理する。コンピュータ実行可能ロジックを使用して、バックグラウンド蛍光のサブトラクション、標的および/または基準配列の割り当て、およびデータの定量化などの関数を実行することができる。例えば、サンプル中の疑われる異数体染色体(21番染色体など)の存在に対応する蛍光を含む液滴数を計数し、異数性が疑われない染色体(1番染色体など)の存在に対応する蛍光を含む液滴数と比較することができる。図9は、分子プロファイリング由来の診断結果の表示、保存、回収、または計算、ゲノムまたは核酸発現分析由来の生データの表示、保存、回収、または計算、または本発明の方法で有用な任意のサンプルまたは患者の情報の表示、保存、回収、または計算に有用なコンピュータを示す。
【0183】
標的配列および基準配列の増幅のためのプライマーを含むサンプルのデジタルPCR後、標的配列を有する陽性サンプル数および基準配列を有する陽性サンプル数を比較することができる。これは母体組織中に存在する配列の比較であるので、母体DNAと胎児DNAとを区別する必要はない。標的配列が二倍体であることが公知の基準配列と同数のコピーを含む場合、サンプルを同様に二倍体であると決定することができる。標的配列が基準配列と異なる場合、サンプルはおそらく異数性を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、上記のように母体組織から得たゲノムDNAを、平均して液滴あたり1ゲノム当量(GE)未満であるように複数の反応体積(例えば、液滴)に分割する。いくつかの場合では、液滴は、平均して1GE/液滴をはるかに超えて含む(平均して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、30、45、または50GE/液滴など)。いくつかの場合では、サンプルは平均して1、5、または10GE/液滴を超えて産生するが、それにもかかわらず、いくつかの液滴はGEを含まないか、標的ポリヌクレオチドを含まない。かかる場合、特定の遺伝子標的の平均コピー/液滴数を計算するためのアルゴリズムを適用する必要があり得る。いくつかの場合では、遺伝子標的は、実際に、その後に断片化される全染色体(またはフラグメント)であり、したがって、複数の液滴中に1コピーが出現し得る。
【0185】
しばしば、個別の反応体積を試験すべき遺伝子異常の存在について分析する場合、分析すべきDNA(染色体)は、平均して、存在しても存在しなくても良く、いわゆるデジタル分析が可能である。特定の標的配列を含む反応体積の集合数を、基準配列と数の相違について比較することができる。標的配列と二倍体配列であることが公知の基準配列との間の正常(例えば、1:1)以外の比は、異数性を示す。例えば、サンプルを、各液滴が名目上の1ゲノム当量未満のDNAを含むように反応体積(液滴など)に分割することができる。目的の標的(例えば、21番染色体トリソミーの遺伝子マーカーまたは関連プローブ)の基準配列(例えば、1番染色体上の公知の二倍体配列または関連プローブ)に対する相対比を、多数の反応体積(例えば、液滴)(10,000、20,000、50,000、100,000、200,000、500,000、またはそれを超える数など)の試験によって決定することができる。他の場合では、反応体積(液滴など)は、液滴あたり平均して1つ以上の標的ヌクレオチド(またはゲノミック当量)を含む。かかる場合、標的ヌクレオチドの平均コピー数を、アルゴリズム(Dube et al.(2008)Plos One 3(8):e2876に記載のアルゴリズムなど)の適用によって計算することができる。
【0186】
多数の反応体積の分析により、胎児異数性に起因する1:1からの相対比の変化を、胎児DNAの相対濃度が母体DNAと比較して低い場合に出発サンプル中の胎児および母体のDNAの混合物から測定することができる。これをデジタル分析という。なぜなら、各反応体積が、反応体積あたり平均して1ゲノム当量を有し、したがって、希釈物を、計数すべき配列(例えば、標的または基準)の存在に関して二進法の「イエス−ノー」の結果として読み取ることができるからである。
【0187】
本明細書中に記載の方法および組成物を、広範な適用で使用することができる。いくつかの実施形態では、方法および組成物は、遺伝子障害に関連する状態の診断、検出、同定、予測、評価、または診断のための方法に関連する。かかる状態は、特異的遺伝子座(本明細書中に提供した任意の遺伝子座が含まれる)内の遺伝的要因(遺伝子障害、変動、変異、SNP、欠失、増幅、転座、反転、または任意の他の異常が含まれる)に起因し得る。
【0188】
本明細書中に提供した方法および組成物を使用して、胎児が遺伝子異常(例えば、ダウン症候群、胎児異数性など)を有するリスクを診断、検出、予測、同定、または評価することができる。本方法を使用して、妊婦が妊娠中の問題(第一期、第二期、または第三期内の流産、死産、乳児の出生時欠損、早産または分娩に伴う他の問題、および妊娠、分娩、または出産に関連する他の任意の他の状態が含まれる)を経験するリスクを同定、定量、診断、予後診断、評価、または分析することもできる。
【0189】
本明細書中に提供した方法および組成物を使用して、第2のポリヌクレオチドと比較した第1のポリヌクレオチド(例えば、DNA、RNA、ゲノムDNA、mRNA、siRNA、miRNA、cRNA、一本鎖DNA、二本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖RNA、tRNA、rRNA、cDNAなど)の相対コピー数を評価することができる。本方法を使用して、溶液中の合成プラスミド量を分析し、被験体から得たサンプル内の病原性生物(例えば、細菌、ウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、HIV−1、HIV−2、インフルエンザウイルスなど)の配列を検出することができる。本方法を、ポリヌクレオチドの小集団がポリヌクレオチドのより大きな集団内に存在する他の適用で使用することもできる。
【0190】
方法のいくつかの例
いくつかの実施形態では、本方法は、一般に、以下の工程を含む。
【0191】
1.妊娠した被験体由来のDNAを含む組織を得る工程。いくつかの実施形態では、組織は、母体血(全血または末梢血)、血漿、または血清であり得る。この材料を採血し、循環DNAを細胞中よりもむしろ血漿中で見出すことができる。いくつかの実施形態では、母体組織(血液または血漿など)を、公知の方法(約300ヌクレオチド未満のDNAフラグメントを選択するためのサイズ分画など)によって胎児DNAを富化させることができる。いくつかの実施形態では、約500ヌクレオチドよりも巨大である傾向がある母体DNAを排除することができる。他の実施形態では、Dhallan et al.”Methods to Increase the Percentage of Free Fetal DNA Recovered From the Maternal Circulation,”(2004)J.Am.Med.Soc.291:1114−1119に記載のように、別の富化工程を使用して、血液サンプルをホルムアルデヒドで処置することができる。さらに他の実施形態では、当該分野で周知の方法(エタノール沈殿など)を使用して、サンプル中の他の材料からDNAを精製する。
【0192】
必要に応じて、ゲノムDNA中の目的の配列を、1つ以上のオリゴヌクレオチド(すなわち、プローブ)への特異的結合によって捕捉することができる。いくつかの場合では、ゲノムDNAとプローブとの混合物をリガーゼ反応に供し、それにより、ゲノムDNAに結合するプローブが選択的にライゲーションされる。いくつかの場合では、DNAへの結合によって反転および線状プローブ(MIPなど)の環状化が起こり、ライゲーション反応によって環状産物が産生される。これらの場合のいくつかでは、ゲノムDNAおよび非結合プローブを、エキソヌクレアーゼ処理を使用してサンプルから除去することができる。
【0193】
2.このサンプル由来の単一のDNA分子を出発サンプルから分割される多数の個別の反応体積(例えば、水相液滴)に分布させる工程。いくつかの実施形態では、反応体積数を、出発サンプルDNA分子中の標的のコピー数について統計的に有意な結果が得られるように選択することができる。反応体積を、反応分子が接近するように少量に制限し、それにより、反応時間を減少させることができる。反応体積あたりのDNA分子量は、反応体積あたり約0.5、1、2、3、4、またはそれを超えるDNA分子であり得る。いくつかの場合では、反応体積あたりのDNA分子数は、平均して、反応体積あたり約1DNA分子である。いくつかの場合では、単一の液滴の反応体積は、100pL、500pL、1nL、10nL、または100nLまでであり得る。
【0194】
3.核酸増幅技術(PCR反応など)を使用してDNA中の標的配列の存在を検出する工程。各反応体積(例えば、液滴)は、当該分野で周知のPCR実施に必要な全ての試薬を含むことができる。1つの実施形態では、母体組織サンプルを、液滴に分割し、これを連続フローPCR増幅(米国特許第7,048,481号および米国特許出願第61/194,043号(その両方の全体が本明細書中で参考として援用される)に記載のものなど)で増幅する。いくつかの場合では、増幅は、ゲノムDNA自体よりもむしろゲノムDNAに結合するプローブ内の配列の増幅である。他の実施形態では、母体組織サンプルを液滴に分割し、サーモサイクラーのウェル中で増幅させる。いくつかの実施形態では、PCR産物を探索するか、従来の定量的読み取りを行うために標識することができる。例えば、各反応体積中の1つ以上の配列の蛍光シグナルを読み取ることができる(蛍光標識、プローブ、または挿入色素の使用などによる)。検出工程を本明細書中でデジタルPCRといい、種々の方法((a)流れまたはストップトフロー中のPCR産物を含む各液滴;(b)マイクロタイタープレートの各ウェルに希釈したサンプル由来のPCR産物;(c)乳濁液に希釈したサンプル由来のPCR産物;または(d)マイクロ流体チャンバー中に捕捉したサンプル由来のPCR産物の蛍光の測定など)によって行うことができる。
【0195】
4.母体および胎児の標的配列検出の定量的分析工程。いくつかの場合、これは異なる領域に対する標的を含むことができる(正常な二倍体染色体上の配列(基準として使用される)と比較して異常なコピー数(トリソミーなど)で存在すると疑われる染色体上の標的に対するプローブなど)。分析はまた、ライゲーション産物((例えば、エキソヌクレアーゼ処理を使用して)ゲノムDNAおよび非結合プローブから単離し、酵素処理を使用して線状化した環状MIPなど)の検出を含むことができる。いくつかの場合では、各区分の蛍光強度の測定によって定量的決定を行う一方で、他の場合、検出可能なシグナルを含む区分数の計数によって測定する。いくつかの実施形態では、バックグラウンド蛍光を計上するために全測定値から引くことができるバックグラウンド測定値が得られるようにコントロールサンプルを含めることができる。他の実施形態では、1、2、3、4、または4つを超える異なる色調を使用して、異なる配列を測定することができる(異なる配列を認識するプローブに適合した異なるPCRプライマー上の異なる色調のフルオロフォアの使用などによる)。
【実施例】
【0196】
実施例1.2色検出スキームを使用した胎児DNAの検出
この実施例では、母体血漿サンプル中に3%の胎児DNAが存在する場合の21トリソミー胎児異数性の検出を記載する。母体血漿1mL中に1000ゲノム当量(GE)が存在し、20mLの母体血体積を採取する。
【0197】
血漿を遠心分離によって母体血サンプルから単離し、核酸を精製し、50μLの体積まで濃縮する。サンプルを、多重化アッセイ成分を含む同体積のPCR試薬と混合する。全部で100μLのサンプルを、液滴あたり1nLの体積を有する100,000水滴に分割する。理想的な陽性液滴の比率75%を定量するために、これはポアソン分布に基づいて液滴あたり1.47コピーの標的配列を意味する。これは、100,000滴の1nL液滴に区画化される必要がある147,000標的に変換される。これに到達するために必要なプライマー組の数は147,000GE/10,000GEであり、これは15重である。したがって、各液滴では、各標的配列および基準配列について15重であるか、液滴あたり全部で30プライマー組である。サンプルを、2色検出スキームを使用して分析する。このスキームでは、標的配列が緑色放出体を使用して蛍光を探索し、基準配列が黄色、橙色、または赤色の放出体を使用して蛍光を探索する。100,000滴にわたって検出を行い、標的配列(緑色)の基準配列(黄色、橙色、または赤色)に対する比を計算する。
【0198】
実施例2.1色検出スキームを使用した胎児DNAの検出
異なる有色の標的プローブおよび基準プローブを使用するよりもむしろ、サンプルを分割し(例えば、半分)、次いで、2組の液滴を生成し、増幅し、個別に分析し、一方の半分は標的プローブを使用し、他方の半分は基準プローブを使用することを除いて、ここでは実施例1の条件を使用する。
【0199】
実施例3.MIP−ddPCRを使用した胎児DNAの検出
無細胞血漿を、遠心分離によって母体血サンプルから単離する。次いで、無細胞DNAキット(Qiagen)を使用して核酸を精製し、濃縮する。次いで、精製したゲノムDNAを、21番染色体に対する1000染色体配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、MIPプローブ)(MIP−21Chr)および1番染色体に対する1000染色体配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、MIPプローブ)(MIP−1Chr)と混合する。リパーゼ、ポリメラーゼ、および他の反応成分を混合物に添加する。サンプルを20℃で4分間インキュベートする。次いで、サンプルを95℃で5分間インキュベートして変性を促進し、次いで、60℃で15分間インキュベートしてゲノムDNAへのMIPプローブのアニーリングを促進する。次いで、ギャップ充填反応を行ってMIPプローブを環状化する。(いくつかの場合では、ギャップ充填反応を使用せずに末端を直接ライゲーションすることができる)。ヌクレオチドをサンプルに添加し、次いで、60℃で10分間インキュベートして、リガーゼおよびポリメラーゼをMIPプローブ中のギャップに結合させる。次いで、サンプルを37℃で1分間インキュベートする。次に、サンプルをエキソヌクレアーゼIおよびIIIで処理して残存する線状プローブおよびssDNA(プローブとハイブリッド形成しないゲノムDNAなど)を消化し、その後に37℃で14分間インキュベートしてエキソヌクレアーゼ活性を促進し、95℃で2分間インキュベートしてエキソヌクレアーゼを不活化し、最後に、37℃で1分間インキュベートする。次に、ウラシル−N−グリコシラーゼをサンプルに添加し、37℃で10分間インキュベートして酵素による脱プリン化を促進し、その後に95℃で20分間インキュベートしてMIPプローブ中の脱塩基脱プリン化ウラシル残基を切断する。線状化したプローブは、ここで、逆のプライマー方向を有する。
【0200】
次に、サンプルに対して液滴デジタルPCRを行う。Taqポリメラーゼ、ユニバーサルプライマー、Taqman蛍光プローブ、およびPCR反応成分をサンプルに添加する。MIP−21Chrプローブ上のユニバーサルプローブ結合配列に相補的なTaqman蛍光プローブをFAM色素でタグ化し、MIP−1Chrプローブ上のユニバーサルプローブ結合配列に相補的なTaqman蛍光プローブをVIC色素でタグ化する。次いで、サンプルを、乳化油相および/または水性PCR反応相への界面活性剤の添加物によって安定化した100,000単分散−油中水型液滴に乳化する。結果として、サンプルを100,000滴に分割する。次いで、サンプルを、各液滴中での各PCR反応を終点まで駆動するための条件下で15〜50熱サイクルに供する。次いで、液滴を、2色検出スキームの使用によって分析して、FAMおよびVIC色素の放出を検出する。Ch21について計数した標的数を、FAM蛍光について陽性および陰性の液滴の画分の同定によって決定する。同様に、基準サンプル(Ch1)について計数した標的数を、VIC蛍光について陽性および陰性の液滴の画分の同定によって決定する。次いで、陽性および陰性の液滴数を、ポアソン分布の投入として使用して標的染色体および基準染色体の両方についての液滴あたりのコピー数(λ)を決定する。次いで、Ch21の相対コピー数を、例えば、Dube et al.(2008)Plos ONE 3(8):e2876.doi:10.1371/journal.pone.0002876に記載の当該分野で公知の式を使用して決定する。かかる式を使用して推定値の信頼度も決定する。
【0201】
実施例4.陽性および陰性の液滴シグナルの分離ならびに
MIP反応におけるテンプレートコピー数に対するddPCRの感度
環状化反応
多重化MIP環状化産物を、10μLアニーリング混合物あたり多重中に100アトモル(amol)の各MIP種を含む3重または12重プローブプールのいずれかを使用して生成した。1アトモルは、10−18モルと等しい。100amolは、およそ60Mコピーの各MIPプローブ配列に等しい。アニーリング反応物の体積は20μlであった。
【0202】
(本実験では、本プロトコールで引用した全ての体積は20μlアニーリング反応から開始して倍にしたが、全てのDNA、緩衝液、および酵素の濃度を、標準的な10μlアニーリング反応プロトコールと同一に維持したことに留意のこと)。プローブプールを、24核酸の1番染色体の基準組(配列番号1〜24)(配列番号81によって検出)または24核酸の21番染色体の試験組(配列番号25〜48)(配列番号82によって検出)のいずれか由来の選択したMIPプローブ(IDT Ultramers、PAGEによって精製)の集合希釈物から処方した。
【0203】
MIPプローブを、1×アンプリガーゼ緩衝液を含む96ウェルPCRプレート中で種々のコピー数のRajiヒトgDNA(0;100;1,000;または10,000コピー、3pg gDNA/コピー)と合わせ、サーモサイクラー(Eppendorf Mastercycler Pro.SまたはABI9700)中にて95℃で5分間変性させ、次いで、58℃に冷却し、この温度で12時間超インキュベートおよびアニーリングした。
【0204】
アニーリング後、サーモサイクラー中を58℃に維持しながら、0.75Uのアンプリガーゼを、5μLの1×アンプリガーゼ緩衝液中の各反応物に混合しながら添加して全体積15μLの混合物を得て、プレートを再度シールし、58℃でさらに15分間インキュベートした。
【0205】
非環状化材料の消化
環状化反応の直後に、サーモサイクラーの温度を一様な割合でで4℃まで低下させ、非環状化した過剰なMIPプローブおよびgDNAのエキソヌクレアーゼ消化を、1×ExoIII緩衝液(EpiCentre)中に6UのExoIおよび30UのExoIIIを含む5μLの混合物を各反応ウェルに混合しながら添加することによって行い、プレートを再度シールした(総反応体積=20μL)。消化をサーモサイクラーにて37℃で20分間進行させ、その後に95℃で10分間熱変性させた。
【0206】
MIP反応産物を、qPCR(20μLのqPCR反応あたり4μLの環状化反応混合物)によって分析し、その後に−20℃で凍結し、液滴デジタルPCR(ddPCR)実験で使用するために保存した。
一般的な2×保存液の調製
一般的な保存液(10mL)を以下のように処方した。
【0207】
【表1】
一般的な保存液を4℃で保存し、複数の実験のために使用した。
2×Hb_pr1 ddPCR保存液の調製
2×Hb_pr1 ddPCR保存液(520.5μL)を以下のように処方した。
【0208】
【表2】
1.25×Hb_pr1 ddPCR保存液の調製
1.25×HB_PR1 ddPCR保存液(800μL)を以下のように処方した。
【0209】
【表3】
1.25×Hb_pr1 ddPCR保存液を、4つの遠心管(容量1.5mL)に160μLアリコートで分割した。
2×Hb_pr2 ddPCR保存液の調製
2×Hb_pr2 ddPCR保存液(936.9μL)を以下のように処方した。
【0210】
【表4】
1.25×Hb_pr2 ddPCR保存液の調製
1.25×Hb_pr2 ddPCR保存液(1440μL)を以下のように処方した。
【0211】
【表5】
1.25×Hb_pr2 ddPCR保存液を、8つの遠心管(容量1.5mL)に160μLアリコートで分割した。
ddPCR手順
MIP環状化実験産物を解凍し、遠心分離した(2,000rpmで2分間)。MIP産物の2連のアッセイ反応由来の40μLアリコート(すなわち、2×20μLアリコート)を、TaqmanアッセイHb_pr1を含むようにデザインされたMIPのための1.25×Hb_pr1 ddPCR保存液またはTaqmanアッセイHb_pr2を含むようにデザインされたMIPのための1.25×Hb2 ddPCR保存液のいずれか160μLと合わせた。反応混合物を、シリンジポンプシステムを備えたChipShop液滴生成システムを使用して、反応混合物を1nL液滴に分割した。
【0212】
液滴サンプルを、サーモサイクラープレート(3×30μLアリコート/液滴サンプル)に移し、ホイルシールでシールし、約1.25時間サーモサイクリングを行った。サーモサイクリングを、94℃で10分間プレートを保持することによって開始し、その後にプレートを35または40サイクル(94℃、20秒/65℃、60秒)のサイクリングに供し、最後にプレートを4℃に冷却し、保持した。サーモサイクリングを行ったプレートを、この温度で保存した。
【0213】
残りの液滴アリコートを、Nikon光学顕微鏡下で観察して、均一性および適切なサイズを評価した。
【0214】
サーモサイクリングを行ったサンプルを、QuantaLife Box 2α検出システムに配置した。このシステムでは、液滴サンプルを自動的に1つのウェルから一度に取り出し、検出器によってシングルファイルを通過させ、これを使用して反応したFAM Taqmanプローブ由来の液滴サイズおよび蛍光強度の両方を評価した。
【0215】
適切なサイズの各ウェル中の液滴を、その蛍光振幅に応じて陽性または陰性の液滴のいずれかとしてスコアリングし、これらの分布を使用して、ポアソン統計にしたがってアッセイしたサンプル標的の濃度をコンピュータで計算した。
【0216】
図10の上のパネルは、陽性液滴数(またはカウント)の増加がテンプレートDNAの投入コピーの増加と相関することを示す。ここで、RajiゲノムDNA(Raji癌細胞由来)を実験のために使用した。これらの実験のために、最初の3列(上のパネルのD4〜6、下のパネルのF4〜6)で示したサンプルの0コピー(またはテンプレートコントロールなし「NTC」)のDNAの投入コピーを使用し、次の3列の組で100コピー(上のD7〜9、下のF7〜9)、次の3列の組で1000コピー(上のE4〜6、下のG4〜6)、および最後の3列で10,000コピー(上のE7〜E9および下のG7〜G9)を使用した。上のパネルでは、全てのMIP反応を、3つの異なるMIPプローブ(それぞれ、試験染色体(21番染色体(hb_pr2にも対応する)である)上の異なる部位に向けられる)を使用してMIP3重を用いて行った。上のパネルについて、左パネル上の10605RFU(相対蛍光単位)の横線および右パネル上の10605RFUの縦線は、陽性液滴と陰性液滴との間の閾値の境界を定めている。示した実験を三回行う。
【0217】
下のパネルは、より大きなMIPプローブ組を使用して行った同一実験である。下のパネルでは、12個の各MIPプローブが21番染色体内の異なる領域に向けられるMIP12重を使用した。図10に示すように、下のパネルは、所与の投入数(例えば、NTC、100、1000、10000)のDNAテンプレートでおよそ4倍の陽性液滴数を示す。y軸は、各液滴から放射されたFAMシグナル(またはTaqmanプローブ)についての相対蛍光単位を示す。上および下の両パネルについて、右のパネルは、液滴の種々の蛍光振幅を示す度数ヒストグラムを提供し、左パネルに示した全12レーン由来のデータを合わせている。ここで、X軸は、FAMシグナルの相対蛍光単位を提供する。下のパネルについて、左パネル上の10,431RFUの横線(相対蛍光単位)および右パネル上の10,431RFUでの縦線は、陽性液滴と陰性液滴との間の閾値の境界を定めている。
【0218】
図11は、MIPプローブプールが基準ポリヌクレオチド(hb_pr1、すなわち1番染色体)に対するプローブに由来する場合に図10に示す結果に類似の結果が得られることを示す。パネルの左側のボックスで囲ったカウントは、10,000コピーのテンプレートDNAを使用した3重MIPプローブプールの使用によって得たカウント数を反映する一方で、グラフの右側のボックスで囲ったカウントは、10,000コピーのテンプレートDNAを使用した12重MIPプローブプールの使用によって得たカウント数を反映する。示した実験を三回行う。
【0219】
図12は、1,000〜10,000コピーのテンプレートで行った場合のカウント数の10倍増加によって示されるように、1000コピーまたは10,000コピーのテンプレートが反応物中に存在するかどうかと無関係にハイブリッド形成効率が類似することを示す。図12はまた、ゲノムDNAの所与のコピー数について、MIPプローブの多重度の増加によってカウント数を増加させることができることを示す。MIPプローブは所与の染色体にわたって多重化することができ、それにより少数のゲノミック当量から多数のカウントが得られる。このことは、標的と基準との間の小さなコピー数の変化の区別に重要である。示した実験を三回行う。
【0220】
本発明の別の実施形態を本明細書中に示し、説明しているが、かかる実施形態を例示のみのために提供していることが当業者に明らかである。本発明を逸脱することなく、当業者は、多数の変形形態、変更形態、代替形態を想到する。本明細書中に記載の発明の実施形態の種々の代替形態を本発明の実施で使用することができると理解すべきである。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲およびその等価物の範囲内の方法および構造物がこれらによって対象とされることを意図する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子材料集団内の標的ポリヌクレオチドのコピー数を検出する方法であって、
a.第1のライゲーションプローブを第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、
b.第2のライゲーションプローブを第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、
c.前記第1および第2のライゲーションプローブをライゲーション反応に供して1つ以上のライゲーションした産物を得る工程、
d.前記1つ以上のライゲーションした産物を2つ以上の区分に分割する工程、
e.前記1つ以上のライゲーションした産物内の領域を増幅して増幅された産物を得る工程、
f.前記増幅された産物を含む前記区分の数を決定する工程、および
g.前記区分の前記数に基づいて前記第1の標的ポリヌクレオチドのコピー数を計算する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記標的ポリヌクレオチドを前記2つ以上の区分に分割しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増幅過程中に前記2つ以上の区分が実質的にインタクトなままである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記決定工程(f)中に前記2つ以上の区分が実質的にインタクトなままである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2のライゲーションプローブをそれぞれ前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合するようにデザインする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分割工程(d)が前記標的ポリヌクレオチド分子の分割を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記2つ以上の区分が前記ライゲーションした産物から開始される増幅反応を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のライゲーションプローブを種内の個体間で保存されているポリヌクレオチド配列に結合するようにデザインする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記区分が少なくとも2つの不混和性流体の混合物内に存在する水滴である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
連続油相が前記水滴を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合し、少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチド内の第1の領域に結合するようにデザインし、前記第2のライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチド内の第2の領域に結合するようにデザインし、前記第1および第2の領域が同一の配列を有さない、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが前記第2の標的ポリヌクレオチドと同一ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが試験染色体であり、前記第2の標的ポリヌクレオチドが基準染色体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記試験染色体が21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22番染色体、X、およびY染色体からなる群から選択される染色体である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが染色体のセグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記染色体のセグメントが胎児異数性に関連する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第1のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションして環状のライゲーションした産物を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第2のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションして前記第1および第2のライゲーションプローブの少なくとも一部を含む線状のライゲーションした産物を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のライゲーションプローブの前記5’領域および前記3’領域を、それぞれ、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の近接配列に結合するようにデザインする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のライゲーションプローブの前記5’領域および前記3’領域を、それぞれ、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の隣接配列に結合するようにデザインする、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記隣接配列が少なくとも1つのヌクレオチドによって分離される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ライゲーション反応が、前記第1のライゲーションプローブの前記5’領域と前記3’領域との間の領域中にヌクレオチドを組み込むためのテンプレート駆動ギャップ充填反応をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のライゲーションプローブが酵素によって切断可能な部位を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
酵素によって切断可能な前記部位が1つ以上のウラシルを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
酵素によって切断可能な前記部位が制限部位を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のライゲーションプローブがパッドロックプローブである、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のライゲーションプローブが分子反転プローブである、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
酵素反応を行って線状ポリヌクレオチドを除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
酵素反応を行って一本鎖ポリヌクレオチドを除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のライゲーションプローブを第1のシグナル伝達因子にコンジュゲートし、前記第2のライゲーションプローブを第2のシグナル伝達因子にコンジュゲートする、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のシグナル伝達因子が第1の色調の蛍光マーカーであり、前記第2のシグナル伝達因子が第2の色調の蛍光マーカーである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記決定工程(f)が、前記第1のライゲーションプローブを第1のシグナル伝達因子で検出する工程および前記第2のライゲーションプローブを第2のシグナル伝達因子で検出する工程を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のライゲーションプローブが複数のライゲーションプローブを含み、各プローブが第1の染色体の異なる領域に向けられ、前記第2のライゲーションプローブが複数のライゲーションプローブを含み、各プローブが第2の染色体の異なる領域に向けられる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが試験染色体であり、前記第2の標的ポリヌクレオチドが基準染色体である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記第1および第2のライゲーションプローブを同一のシグナル伝達色を有するシグナル伝達因子とコンジュゲートする、請求項14に記載の方法。
【請求項40】
遺伝子材料集団内の標的ポリヌクレオチドのコピー数を検出する方法であって、
a.第1のライゲーションプローブを第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、
b.第2のライゲーションプローブを第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、
c.前記第1および第2のライゲーションプローブをライゲーション反応に供して1つ以上のライゲーションした産物を得る工程、
d.前記1つ以上のライゲーションした産物を連続油相内の2つ以上の水滴に分割する工程、
e.前記1つ以上のライゲーションした産物内の配列を増幅して増幅された産物を得る工程、
f.前記増幅された産物を含む2つ以上の水滴の数を決定する工程、および
g.前記第1の標的ポリヌクレオチドのコピー数を計算する工程
を含む、方法。
【請求項41】
前記標的ポリヌクレオチドを前記2つ以上の水滴に分割しない、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記増幅工程(e)中または前記決定工程(f)中に、前記2つ以上の水滴が実質的にインタクトなままである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記2つ以上の水滴が平均して1つを超えるライゲーションしたプローブを含み、前記方法が、アルゴリズムを使用して水滴あたりの標的にライゲーションしたプローブの平均数を計算する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
工程(d)の前記2つ以上の水滴が4,000滴超を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記4,000滴超を100,000水滴/ml超の密度で単一のチャンバー内で互いに合わせる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記液滴は単分散液滴である、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記方法は、1,000コピー未満の前記第1の標的ポリヌクレオチドを含む遺伝子材料集団内の前記第1の標的ポリヌクレオチドを検出することができる、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記2つ以上の水滴が平均して1つを超えるライゲーションしたプローブを含み、前記方法が、アルゴリズムを使用して水滴あたりの標的にライゲーションしたプローブの平均数を計算する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記2つ以上の水滴の直径は、それぞれ、平均して、50nmと300μmとの間である、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが遺伝子障害に関連する染色体セグメントである、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第1のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションする、請求項40に記載の方法。
【請求項52】
前記第1のライゲーションプローブがパッドロックプローブである、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のライゲーションプローブが分子反転プローブである、請求項40に記載の方法。
【請求項54】
前記2つ以上の水滴が相当数のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートしたビーズを含まない、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記連続油相が陰イオン性フルオロ界面活性剤を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項56】
前記陰イオン性フルオロ界面活性剤が陰イオン性フルオロ界面活性剤のアンモニウム塩であるクライトックス(商標)である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記クライトックスが、クライトックスAS、クライトックスFSH、およびクライトックスFSHのモルホリノ誘導体からなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記油相がフッ素化油を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項59】
前記2つ以上の水滴がオリゴヌクレオチドにコンジュゲートしたマイクロビーズを含まない、請求項40に記載の方法。
【請求項60】
胎児の遺伝子状態を検出する方法であって、
a.標的ポリヌクレオチドを含む母体および胎児の遺伝子材料の混合物を得る工程、
b.前記混合物を前記標的ポリヌクレオチドに結合するターゲティングオリゴヌクレオチドと組み合わせる工程、
c.前記ターゲティングオリゴヌクレオチドを反応体積に細分割する工程であって、前記反応体積の少なくとも1つが前記標的ポリヌクレオチドや前記ターゲティングオリゴヌクレオチドを含まない、細分割する工程、
d.前記反応体積内で増幅反応を行う工程、
e.前記反応体積内の前記標的ポリヌクレオチドまたは前記ターゲティングオリゴヌクレオチドの存在を検出する工程、および
f.前記混合物中の前記標的ポリヌクレオチドの相対レベルを決定して、胎児の遺伝子状態を検出する工程
を含む、方法。
【請求項61】
前記反応体積が連続油相内の水滴である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドがプライマー対を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドがライゲーションプローブを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドが分子反転プローブを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドがパッドロックプローブを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記反応体積が、平均して、1コピーを超えるターゲティングオリゴヌクレオチドを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記反応体積が、平均して、1コピーを超える標的ポリヌクレオチドを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記反応体積が基準ポリヌクレオチドに対するプライマーをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記反応体積が基準ポリヌクレオチドに対するライゲーションプローブをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項70】
前記ライゲーションプローブを前記反応体積内で増幅する、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記遺伝子材料が胎児の遺伝子材料を選択的に予め富化させた細胞サンプルに由来しない、請求項60に記載の方法。
【請求項72】
前記標的ポリヌクレオチドは、18、13、21番染色体、およびX染色体からなる群から選択される染色体内に存在する、請求項60に記載の方法。
【請求項73】
前記反応体積が油相内の水滴であり、前記ターゲティングオリゴヌクレオチドがライゲーションプローブであり、工程(f)中の前記決定が前記ライゲーションプローブの増幅された産物を含む液滴の数を基準ポリヌクレオチドに向けられるライゲーションプローブの増幅された産物を含む液滴の数と比較することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項74】
前記基準ポリヌクレオチドが、胎児の遺伝子異常に関連しない染色体領域である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドが、標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後のライゲーションの際に環状になるライゲーションプローブである、請求項60に記載の方法。
【請求項76】
ライゲーションしたプローブを含むマイクロカプセルであって、前記マイクロカプセルが、以下:
a.複数のライゲーションプローブを遺伝子サンプル内の標的ポリヌクレオチドに選択的に結合させる工程、
b.少なくとも1つの前記結合したライゲーションプローブの5’末端を同一または異なる結合したライゲーションプローブの3’末端にライゲーションし、それにより、少なくとも1つのライゲーション産物を得る工程、
c.前記少なくとも1つのライゲーション産物を含む水溶液を液滴生成デバイスに導入する工程、
d.前記少なくとも1つのライゲーション産物を含む水滴を産生するためのデバイスを使用する工程であって、前記水滴が不混和性流体内に存在する、工程、および
e.前記液滴を固相外面を含むマイクロカプセルに変換する工程
によって得られる、マイクロカプセル。
【請求項77】
前記変換が50℃超での加熱を含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項78】
前記不混和性流体がフッ素化界面活性剤を含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項79】
前記不混和性流体がフッ化炭素油を含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項80】
前記不混和性流体が陰イオン性フルオロ界面活性剤を含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項81】
前記不混和性流体がアンモニウムクライトックスを含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項82】
前記マイクロカプセルが、オリゴヌクレオチドに結合したビーズを含まない、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項83】
前記マイクロカプセルが70℃超の温度で実質的にインタクトなままである、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項84】
前記ライゲーションプローブが、遺伝子障害に関連する標的ポリヌクレオチドに選択的に結合することができる、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項85】
前記ライゲーションプローブが、胎児異数性に関連する標的ポリヌクレオチドに選択的に結合することができる、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項86】
前記遺伝子標的が、21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体からなる群から選択される染色体内に存在する、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項87】
1つ以上の前記ライゲーションプローブがパッドロックプローブである、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項88】
1つ以上の前記ライゲーション産物が環状化プローブである、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項89】
1つ以上の前記ライゲーションプローブが分子反転プローブである、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項90】
2つ以上の水滴を含む油中水混合物であって、前記2つ以上の水滴のうちの少なくとも1つが第1の標的ポリヌクレオチドに向けられる第1のライゲーションプローブを含み、前記2つ以上の水滴のうちの少なくとも1つが第2の標的ポリヌクレオチドに向けられる第2のライゲーションプローブを含む、油中水混合物。
【請求項91】
前記第1の標的ポリヌクレオチドおよび前記第2の標的ポリヌクレオチドが同一の分子である、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項92】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが前記第2の標的ポリヌクレオチドの配列と異なる配列を有する、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項93】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが前記第2の標的ポリヌクレオチドと同一の配列を有する、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項94】
前記第1の標的ポリヌクレオチドがゲノムセグメント内に第1の領域を含み、前記第2の標的ポリヌクレオチドが前記ゲノムセグメント内に第2の領域を含み、前記第1の領域が前記第2の領域と同一の配列を有さない、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項95】
前記油中水混合物がアンモニウムクライトックス界面活性剤をさらに含む、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項96】
前記アンモニウムクライトックス界面活性剤が前記混合物の油相中に少なくとも0.01%の濃度で存在する、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項97】
前記油中水混合物が前記第1の標的ヌクレオチドの増幅された産物を含まない、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項98】
前記第1のライゲーションプローブが分子反転プローブである、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項99】
前記第1のライゲーションプローブが環状プローブである、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項100】
前記第1のライゲーションプローブが、酵素切断に供した環状化プローブの線状化産物である、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項101】
前記酵素切断がウラシル−N−グリコシラーゼまたは制限酵素によって触媒される、請求項100に記載の油中水混合物。
【請求項1】
遺伝子材料集団内の標的ポリヌクレオチドのコピー数を検出する方法であって、
a.第1のライゲーションプローブを第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、
b.第2のライゲーションプローブを第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、
c.前記第1および第2のライゲーションプローブをライゲーション反応に供して1つ以上のライゲーションした産物を得る工程、
d.前記1つ以上のライゲーションした産物を2つ以上の区分に分割する工程、
e.前記1つ以上のライゲーションした産物内の領域を増幅して増幅された産物を得る工程、
f.前記増幅された産物を含む前記区分の数を決定する工程、および
g.前記区分の前記数に基づいて前記第1の標的ポリヌクレオチドのコピー数を計算する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記標的ポリヌクレオチドを前記2つ以上の区分に分割しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増幅過程中に前記2つ以上の区分が実質的にインタクトなままである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記決定工程(f)中に前記2つ以上の区分が実質的にインタクトなままである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2のライゲーションプローブをそれぞれ前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合するようにデザインする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分割工程(d)が前記標的ポリヌクレオチド分子の分割を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記2つ以上の区分が前記ライゲーションした産物から開始される増幅反応を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のライゲーションプローブを種内の個体間で保存されているポリヌクレオチド配列に結合するようにデザインする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記区分が少なくとも2つの不混和性流体の混合物内に存在する水滴である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
連続油相が前記水滴を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチドに結合し、少なくとも4つのライゲーションプローブを前記第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチド内の第1の領域に結合するようにデザインし、前記第2のライゲーションプローブを前記第1の標的ポリヌクレオチド内の第2の領域に結合するようにデザインし、前記第1および第2の領域が同一の配列を有さない、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが前記第2の標的ポリヌクレオチドと同一ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが試験染色体であり、前記第2の標的ポリヌクレオチドが基準染色体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記試験染色体が21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22番染色体、X、およびY染色体からなる群から選択される染色体である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが染色体のセグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記染色体のセグメントが胎児異数性に関連する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第1のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションして環状のライゲーションした産物を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第2のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションして前記第1および第2のライゲーションプローブの少なくとも一部を含む線状のライゲーションした産物を得る、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のライゲーションプローブの前記5’領域および前記3’領域を、それぞれ、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の近接配列に結合するようにデザインする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のライゲーションプローブの前記5’領域および前記3’領域を、それぞれ、前記第1の標的ポリヌクレオチド内の隣接配列に結合するようにデザインする、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記隣接配列が少なくとも1つのヌクレオチドによって分離される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ライゲーション反応が、前記第1のライゲーションプローブの前記5’領域と前記3’領域との間の領域中にヌクレオチドを組み込むためのテンプレート駆動ギャップ充填反応をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のライゲーションプローブが酵素によって切断可能な部位を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
酵素によって切断可能な前記部位が1つ以上のウラシルを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
酵素によって切断可能な前記部位が制限部位を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第1のライゲーションプローブがパッドロックプローブである、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のライゲーションプローブが分子反転プローブである、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
酵素反応を行って線状ポリヌクレオチドを除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
酵素反応を行って一本鎖ポリヌクレオチドを除去する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のライゲーションプローブを第1のシグナル伝達因子にコンジュゲートし、前記第2のライゲーションプローブを第2のシグナル伝達因子にコンジュゲートする、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のシグナル伝達因子が第1の色調の蛍光マーカーであり、前記第2のシグナル伝達因子が第2の色調の蛍光マーカーである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記決定工程(f)が、前記第1のライゲーションプローブを第1のシグナル伝達因子で検出する工程および前記第2のライゲーションプローブを第2のシグナル伝達因子で検出する工程を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のライゲーションプローブが複数のライゲーションプローブを含み、各プローブが第1の染色体の異なる領域に向けられ、前記第2のライゲーションプローブが複数のライゲーションプローブを含み、各プローブが第2の染色体の異なる領域に向けられる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが試験染色体であり、前記第2の標的ポリヌクレオチドが基準染色体である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記第1および第2のライゲーションプローブを同一のシグナル伝達色を有するシグナル伝達因子とコンジュゲートする、請求項14に記載の方法。
【請求項40】
遺伝子材料集団内の標的ポリヌクレオチドのコピー数を検出する方法であって、
a.第1のライゲーションプローブを第1の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、
b.第2のライゲーションプローブを第2の標的ポリヌクレオチドに結合する工程、
c.前記第1および第2のライゲーションプローブをライゲーション反応に供して1つ以上のライゲーションした産物を得る工程、
d.前記1つ以上のライゲーションした産物を連続油相内の2つ以上の水滴に分割する工程、
e.前記1つ以上のライゲーションした産物内の配列を増幅して増幅された産物を得る工程、
f.前記増幅された産物を含む2つ以上の水滴の数を決定する工程、および
g.前記第1の標的ポリヌクレオチドのコピー数を計算する工程
を含む、方法。
【請求項41】
前記標的ポリヌクレオチドを前記2つ以上の水滴に分割しない、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記増幅工程(e)中または前記決定工程(f)中に、前記2つ以上の水滴が実質的にインタクトなままである、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記2つ以上の水滴が平均して1つを超えるライゲーションしたプローブを含み、前記方法が、アルゴリズムを使用して水滴あたりの標的にライゲーションしたプローブの平均数を計算する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
工程(d)の前記2つ以上の水滴が4,000滴超を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記4,000滴超を100,000水滴/ml超の密度で単一のチャンバー内で互いに合わせる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記液滴は単分散液滴である、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記方法は、1,000コピー未満の前記第1の標的ポリヌクレオチドを含む遺伝子材料集団内の前記第1の標的ポリヌクレオチドを検出することができる、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記2つ以上の水滴が平均して1つを超えるライゲーションしたプローブを含み、前記方法が、アルゴリズムを使用して水滴あたりの標的にライゲーションしたプローブの平均数を計算する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記2つ以上の水滴の直径は、それぞれ、平均して、50nmと300μmとの間である、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが遺伝子障害に関連する染色体セグメントである、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
前記ライゲーション反応によって前記第1のライゲーションプローブの5’領域を前記第1のライゲーションプローブの3’領域にライゲーションする、請求項40に記載の方法。
【請求項52】
前記第1のライゲーションプローブがパッドロックプローブである、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のライゲーションプローブが分子反転プローブである、請求項40に記載の方法。
【請求項54】
前記2つ以上の水滴が相当数のオリゴヌクレオチドにコンジュゲートしたビーズを含まない、請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記連続油相が陰イオン性フルオロ界面活性剤を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項56】
前記陰イオン性フルオロ界面活性剤が陰イオン性フルオロ界面活性剤のアンモニウム塩であるクライトックス(商標)である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記クライトックスが、クライトックスAS、クライトックスFSH、およびクライトックスFSHのモルホリノ誘導体からなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記油相がフッ素化油を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項59】
前記2つ以上の水滴がオリゴヌクレオチドにコンジュゲートしたマイクロビーズを含まない、請求項40に記載の方法。
【請求項60】
胎児の遺伝子状態を検出する方法であって、
a.標的ポリヌクレオチドを含む母体および胎児の遺伝子材料の混合物を得る工程、
b.前記混合物を前記標的ポリヌクレオチドに結合するターゲティングオリゴヌクレオチドと組み合わせる工程、
c.前記ターゲティングオリゴヌクレオチドを反応体積に細分割する工程であって、前記反応体積の少なくとも1つが前記標的ポリヌクレオチドや前記ターゲティングオリゴヌクレオチドを含まない、細分割する工程、
d.前記反応体積内で増幅反応を行う工程、
e.前記反応体積内の前記標的ポリヌクレオチドまたは前記ターゲティングオリゴヌクレオチドの存在を検出する工程、および
f.前記混合物中の前記標的ポリヌクレオチドの相対レベルを決定して、胎児の遺伝子状態を検出する工程
を含む、方法。
【請求項61】
前記反応体積が連続油相内の水滴である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドがプライマー対を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドがライゲーションプローブを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドが分子反転プローブを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドがパッドロックプローブを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記反応体積が、平均して、1コピーを超えるターゲティングオリゴヌクレオチドを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記反応体積が、平均して、1コピーを超える標的ポリヌクレオチドを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
前記反応体積が基準ポリヌクレオチドに対するプライマーをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
前記反応体積が基準ポリヌクレオチドに対するライゲーションプローブをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項70】
前記ライゲーションプローブを前記反応体積内で増幅する、請求項63に記載の方法。
【請求項71】
前記遺伝子材料が胎児の遺伝子材料を選択的に予め富化させた細胞サンプルに由来しない、請求項60に記載の方法。
【請求項72】
前記標的ポリヌクレオチドは、18、13、21番染色体、およびX染色体からなる群から選択される染色体内に存在する、請求項60に記載の方法。
【請求項73】
前記反応体積が油相内の水滴であり、前記ターゲティングオリゴヌクレオチドがライゲーションプローブであり、工程(f)中の前記決定が前記ライゲーションプローブの増幅された産物を含む液滴の数を基準ポリヌクレオチドに向けられるライゲーションプローブの増幅された産物を含む液滴の数と比較することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項74】
前記基準ポリヌクレオチドが、胎児の遺伝子異常に関連しない染色体領域である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記ターゲティングオリゴヌクレオチドが、標的ポリヌクレオチドへのハイブリッド形成後のライゲーションの際に環状になるライゲーションプローブである、請求項60に記載の方法。
【請求項76】
ライゲーションしたプローブを含むマイクロカプセルであって、前記マイクロカプセルが、以下:
a.複数のライゲーションプローブを遺伝子サンプル内の標的ポリヌクレオチドに選択的に結合させる工程、
b.少なくとも1つの前記結合したライゲーションプローブの5’末端を同一または異なる結合したライゲーションプローブの3’末端にライゲーションし、それにより、少なくとも1つのライゲーション産物を得る工程、
c.前記少なくとも1つのライゲーション産物を含む水溶液を液滴生成デバイスに導入する工程、
d.前記少なくとも1つのライゲーション産物を含む水滴を産生するためのデバイスを使用する工程であって、前記水滴が不混和性流体内に存在する、工程、および
e.前記液滴を固相外面を含むマイクロカプセルに変換する工程
によって得られる、マイクロカプセル。
【請求項77】
前記変換が50℃超での加熱を含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項78】
前記不混和性流体がフッ素化界面活性剤を含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項79】
前記不混和性流体がフッ化炭素油を含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項80】
前記不混和性流体が陰イオン性フルオロ界面活性剤を含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項81】
前記不混和性流体がアンモニウムクライトックスを含む、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項82】
前記マイクロカプセルが、オリゴヌクレオチドに結合したビーズを含まない、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項83】
前記マイクロカプセルが70℃超の温度で実質的にインタクトなままである、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項84】
前記ライゲーションプローブが、遺伝子障害に関連する標的ポリヌクレオチドに選択的に結合することができる、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項85】
前記ライゲーションプローブが、胎児異数性に関連する標的ポリヌクレオチドに選択的に結合することができる、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項86】
前記遺伝子標的が、21番染色体、13番染色体、18番染色体、およびX染色体からなる群から選択される染色体内に存在する、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項87】
1つ以上の前記ライゲーションプローブがパッドロックプローブである、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項88】
1つ以上の前記ライゲーション産物が環状化プローブである、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項89】
1つ以上の前記ライゲーションプローブが分子反転プローブである、請求項76に記載のマイクロカプセル。
【請求項90】
2つ以上の水滴を含む油中水混合物であって、前記2つ以上の水滴のうちの少なくとも1つが第1の標的ポリヌクレオチドに向けられる第1のライゲーションプローブを含み、前記2つ以上の水滴のうちの少なくとも1つが第2の標的ポリヌクレオチドに向けられる第2のライゲーションプローブを含む、油中水混合物。
【請求項91】
前記第1の標的ポリヌクレオチドおよび前記第2の標的ポリヌクレオチドが同一の分子である、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項92】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが前記第2の標的ポリヌクレオチドの配列と異なる配列を有する、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項93】
前記第1の標的ポリヌクレオチドが前記第2の標的ポリヌクレオチドと同一の配列を有する、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項94】
前記第1の標的ポリヌクレオチドがゲノムセグメント内に第1の領域を含み、前記第2の標的ポリヌクレオチドが前記ゲノムセグメント内に第2の領域を含み、前記第1の領域が前記第2の領域と同一の配列を有さない、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項95】
前記油中水混合物がアンモニウムクライトックス界面活性剤をさらに含む、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項96】
前記アンモニウムクライトックス界面活性剤が前記混合物の油相中に少なくとも0.01%の濃度で存在する、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項97】
前記油中水混合物が前記第1の標的ヌクレオチドの増幅された産物を含まない、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項98】
前記第1のライゲーションプローブが分子反転プローブである、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項99】
前記第1のライゲーションプローブが環状プローブである、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項100】
前記第1のライゲーションプローブが、酵素切断に供した環状化プローブの線状化産物である、請求項90に記載の油中水混合物。
【請求項101】
前記酵素切断がウラシル−N−グリコシラーゼまたは制限酵素によって触媒される、請求項100に記載の油中水混合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図4】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図4】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2013−511991(P2013−511991A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541212(P2012−541212)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/058124
【国際公開番号】WO2011/066476
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512003652)クアンタライフ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/058124
【国際公開番号】WO2011/066476
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512003652)クアンタライフ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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