説明

遺伝子検査システム

【課題】本発明の目的は遺伝子検査装置の高処理能力化・高機能化が容易に図ることが可能なシステム構成を提供することにある。
【解決手段】反応容器に対して、試料及び試薬を分注する分注手段と、反応容器を搬送する容器搬送手段を有する、遺伝子検査システムにおいて、複数個の反応容器を収容して反応容器の収容ポジションごとに温度制御を行う温度制御手段,反応容器の制御温度の値をモニターする温度監視手段、及び反応容器内に収容する反応液の発光を測定する発光測定手段を具備する核酸増幅検出部を複数有し、少なくともいずれかの核酸増幅検出部は、上記容器搬送手段とは別の容器搬送手段を個別に備えていることを特徴とする、遺伝子検査システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿等の生体試料中に含まれる標的核酸を定性分析や定量分析する分析法及びその装置に係り、その対象は反応液増幅・検出過程に温度変化を必要とする技術及び反応液増幅・検出過程に温度変化を必要としない技術を含む物である。
【背景技術】
【0002】
従来、生体由来のサンプルに含まれる核酸の増幅と定量には、反応液増幅・検出過程に温度変化を必要とする技術であるポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCR),反応液増幅・検出過程に温度変化を必要としない技術であるループ調整恒温増殖法(以下、LAMP法)などの核酸増幅技術が用いられている。PCRは、核酸増幅のために、サンプル温度を通常2から3種類程度の温度領域で周期的に変化させる必要がある。たとえば、典型的なPCR法では、2本鎖を1本鎖にするために94℃に加熱し、60℃においてアニーリングし、60−72℃に数分間保つ。このPCR処理をn回行って目的の標的核酸を増幅する。一方、LAMP法は60〜65℃の一定温度で反応が進行する。LAMP法においては、上記のように増幅は或る一定の温度範囲内で行われるが、複数の反応容器の温度を正確に所定の温度に制御することは重要であるので、本発明はLAMP法にも適用可能である。また、試料によっては増幅温度が異なることがある。
【0003】
PCRにおけるこの周期的な温度制御方法を実現するため、下記特許文献1では、異なる設定温度に保たれた領域と、円盤状のサンプル保持具とを備え、円盤の回転によりサンプルの温度を周期的に変化させる装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、PCRでは検出しようとする塩基配列に対し、相補的な配列を持つプライマーを結合させるアニーリング反応に必要な温度・時間は、配列によって異なる。また伸長反応時に必要な温度と時間は加える酵素によって異なる。このため、検出しようとする塩基配列、すなわちプロトコルが異なる複数の反応液を同時に処理するためには、プロトコルに規定される温度と時間が設定された核酸増幅装置を同時に処理しようとするプロトコルの数だけ備える必要がある。
【0005】
また、複数のサンプルを保持するプレートを備え、プレート全域を均一に温度制御する技術が知られているが、PCRでは、変性反応,アニーリング反応,伸長反応により1つの温度サイクルが構成され、一定数のサイクルを繰り返した後に分析を終了する。このプレート全域を一定に温度制御する技術においては、サンプルの分析開始後には、たとえ同一のプロトコルであっても、新たなサンプルの分析を開始することができず、分析の終了を待たなければならない。このため、新たなサンプルの分析結果を得るまでの分析時間が長くなるという問題がある。
【0006】
更に上述の通り、この技術では、複数のサンプルを保持するプレートを備えてプレート全域を均一に温度制御する装置で、バッチ単位で運用されるためにプレート内で温度のローカリティが生じる問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−185389号公報
【特許文献2】特開平09−224644号公報
【特許文献3】特開2006−115742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的に遺伝子検査分析法の反応時間は、生化学分析や免疫学分析の測定法と比較して明らかに長い。よって測定検体は検査装置内に長時間留まることになり、装置の高処理能力化を困難とし、更には装置の大型化を引き起こす主要因であった。
【0009】
本発明の目的は遺伝子検査装置の高処理能力化・高機能化が容易に図ることが可能なシステム構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、増幅対象の標的核酸及び増幅に必要な成分を収容する複数個の反応容器を収容して反応容器の架設ポジションごとに温度制御を行う加熱・冷却手段,反応容器の制御温度の値をモニターする温度監視手段、及び反応容器内に収容する反応液の発光を測定する発光検出手段をそれぞれ備えた遺伝子検査装置において、上述遺伝子検査装置の部分的な構成要素である加熱・冷却手段,温度監視手段、及び発光検出手段を備えた増設装置と連結して更にDNA/RNAの前処理抽出装置と連結して機能拡張し機能拡張したシステムを構成することにより高付加価値な遺伝子検査システムを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高処理能力などの機構向上や機能拡張を容易に実現でき、且つ分析データの品質向上にも寄与する。更に装置トラブル時のバックアップのためのフェールセーフ機能も拡張したシステム内で容易に実現でき、顧客付加価値の非常に高い装置、且つ高い信頼性を持ち合わせた遺伝子検査システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例における遺伝子検査装置全体構成図。
【図2】本実施例における遺伝子検査装置内部構成図。
【図3】本実施例における遺伝子検査システムのシステム構成図。
【図4】本実施例における遺伝子検査システムのシステム構成図。
【図5】本実施例における遺伝子検査システムのシステム構成図。
【図6】本実施例における遺伝子検査システムの基本的な特徴を示した図。
【図7】本実施例における遺伝子検査システム内の検出器の組み合わせ応用例を示した構成図。
【図8】本実施例における遺伝子検査システム内の検出器の組み合わせ応用例を示した構成図。
【図9】本実施例における遺伝子検査システム内の検出器の組み合わせ応用例を示した構成図。
【図10】本実施例における遺伝子検査システム内の検出器の組み合わせ応用例を示した構成図。
【図11】本実施例における遺伝子検査システム内の測定項目の組み合わせ応用例を示した構成図。
【図12】本実施例における遺伝子検査システム内の測定項目の組み合わせ応用例を示した構成図。
【図13】本実施例における遺伝子検査システム内の測定項目の組み合わせ応用例を示した構成図。
【図14】本実施例における遺伝子検査システム内の測定項目の組み合わせ応用例を示した構成図。
【図15】本実施例における遺伝子検査システムの前処理抽出装置を接続したシステム拡張構成図。
【図16】本実施例における遺伝子検査システムの前処理抽出装置を接続したシステム拡張構成図。
【図17】本実施例における遺伝子検査システム内の検体投入口の配置構成図。
【図18】本実施例における遺伝子検査システム内の検体投入口の配置構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、PCR反応による核酸増幅を行うための、変温可能な温度制御機構を複数の容器架設部個々に備え、反応液に励起光を照射し、蛍光検出などの発光検知を行う複数の検出器を備えた遺伝子検査装置の機能拡張や機能向上の実現するためのシステム構成に関する。
【0014】
基本となる遺伝子検査装置に温度制御機構と検出器を備えた増設装置と容易に接続できるシステム構成により、高処理能力化,高信頼性の遺伝子検査装置を容易に提供することが可能となる。更にDNA/RNAの抽出を行う前処理抽出装置とも容易に接続できるシステム構成により、大幅な機能向上を図った信頼性の更に高い全自動遺伝子検査装置を提供することが可能となる。
【0015】
本発明の目的は遺伝子検査装置の高処理能力化・高機能化が容易に図ることが可能なシステム構成を提供することにある。一般的に遺伝子検査分析法の反応時間は、生化学分析や免疫学分析の測定法と比較して明らかに長い。よって測定検体は検査装置内に長時間留まることになり、装置の高処理能力化を困難とし、更には装置の大型化を引き起こす主要因であった。
【0016】
本発明によれば、増幅対象の標的核酸及び増幅に必要な成分を収容する複数個の反応容器を収容して反応容器の架設ポジションごとに温度制御を行う加熱・冷却手段,反応容器の制御温度の値をモニターする温度監視手段、及び反応容器内に収容する反応液の発光を測定する発光検出手段をそれぞれ備えた遺伝子検査装置において、上述遺伝子検査装置の部分的な構成要素である加熱・冷却手段,温度監視手段、及び発光検出手段を備えた増設装置と連結し、更にDNA/RNAの前処理抽出装置と連結して機能拡張したシステムを構成することにより高付加価値な遺伝子検査システムを提供することが可能となる。
【0017】
本発明によれば、高処理能力などの機構向上や機能拡張を容易に実現でき、且つ分析データの品質向上にも寄与する。更に装置トラブル時のバックアップのためのフェールセーフ機能も拡張したシステム内で容易に構築でき、顧客付加価値の非常に高い装置、且つ高い信頼性を持ち合わせた遺伝子検査システムを提供することが可能となる。
【0018】
図1に本発明を実施した核酸分析装置の全体構成の概略図を示す。遺伝子検査装置1は通信ケーブル60を介してモニター30,記憶装置40、及び演算機50と接続され、上述モニターは遺伝子検査装置1の制御用操作部として作用する。
【0019】
図2は遺伝子検査装置1の内部構成図を示す。図2の主な機構構成要素について説明する。分注ユニット2は液体の吸引・吐出を行う。グリッパユニット3は反応容器4を1本ずつ保持する。分注ユニット2とグリッパユニット3はロボットアームX軸5,ロボットアームY軸6に接続され、平面移動し、把持した反応容器を所定の手順に従って移動することができる。
【0020】
分注チップ9はノズルチップラック10にストックされる。分注チップ9はコンタミネーション防止のため、使い切り(ディスポーザブル)とする。反応容器4は試料・試薬を吐出する容器であり、反応容器ラック11にストックされる。
【0021】
本発明の実施例による核酸増幅ユニット12は複数の恒温槽16と恒温槽16の周辺に複数個配置された検出器13により構成される。又、反応容器4は複数の恒温槽16に対し複数個配置可能であり、反応容器と恒温槽は1対1の関係に配置される。これにより温度制御は反応容器4の個々に対し制御・監視可能な構成とする。
【0022】
遺伝子検査装置1の代表的な運用工程は反応容器4をグリッパユニット3にて反応液調整ポジション18に搬送することにより行われる。
【0023】
分注チップ9を分注ユニット2に装着し、試料の入った試料・試薬容器19から試料、及び試薬をそれぞれ吸引し、反応液調整ポジション18で反応容器4に吐出する。試薬についても同様の手順で反応容器4に吐出する。使用済みの分注チップ9は、コンタミネーション防止のため、廃棄ボックス20に廃棄する。
【0024】
試料・試薬を吐出した反応容器4は、閉栓ユニット21にて蓋を閉めて密閉し、攪拌ユニット22で攪拌させた後、核酸増幅ユニット12に搬入し検出器13で検出を行う。検出工程が終了した反応容器4はグリッパユニット3により廃棄ボックス20に廃棄される。核酸増幅ユニット12への反応容器4の搬入と搬出はゲート23を開閉して行う。
【0025】
本実施例によれば、個々の恒温槽の温度を電熱素子14により加温又は冷却し、この温度を極子測温素子により常時モニターして、所定の温度プロファイルを実行するように制御するので、PCRのように複数の温度管理が必要な場合でも不要な温度分布のローカリティを防止し、核酸増幅による核酸の定量工程を容易に自動化することが可能となる。
【0026】
図3は本発明の実施例である遺伝子検査装置1に増設装置31aを接続し、機能拡張した遺伝子検査システムの構成例を示す。又、図3は遺伝子検査装置1に増設装置31aが1対1の比率であるが、図4に示すように増設装置31aと31bの2台接続する、更に図5に示すように増設装置31a,31b,31cの3台接続するなどの更なる機能の拡張も可能とする。
【0027】
図3〜図5に示すシステム構成で主に拡張させる機能は処理能力である。一般に遺伝子検査分析法に従った場合の反応時間は一時間〜二時間程度でありアッセイプロトコルにより定義される。従い、反応容器4は上述のアッセイプロトコルに定められた時間、恒温槽16内に留どまることになり装置の処理能力向上を阻害する主な因子となっていた。
【0028】
本発明で考案された増設装置31は内部に核酸増幅ユニット12とグリッパアーム34を備え、恒温槽16の拡張が容易に可能であり、つまり処理能力の倍増が容易に実現可能となる。
【0029】
遺伝子検査装置1と増設装置31間の反応容器4の搬送は増設手段33により行われる。図3〜図5、及び図6〜図18の図中に示した太字矢印は当該システム内で分析対象となる検体の流れを示す。図5に示すように当該システムでは上述検体を分析する装置を特定でき、具体的には遺伝子検査装置1,増設装置31aから31cのどの装置に検体を取込んで分析するか、当該システム内での制御が可能となる。
【0030】
つまり、遺伝子検査装置1,増設装置31aから31cの装置内部構成や装置状態に従って検体の搬送先を制御し、システム全体の稼働率などのパフォーマンスが最適となるようにインテリジェンスな検体の搬送制御を容易に行うことが可能となる。
【0031】
以下、図6〜図18を用いて本発明を適用したより具体的な事例、及び付加価値を説明する。図6に示すシステム構成は図4に示した増設装置31aと31bの2台を接続したシステム構成において、各核酸増幅ユニット12,12aと12cの内部にそれぞれ4個ずつ具備し、計12個の検知器を励起波長と蛍光波長をそれぞれ異なる値に設定することが可能である。つまり、12種類の励起波長と蛍光波長の組み合わせの検知器を同一システム内で構成できる。
【0032】
一方で特定の励起波長と蛍光波長の組み合わせの検知器を同一システム内で複数個構成することも可能であり、非常に冗長性の高いシステムを構成できることが分かる。
【0033】
但し、上述の検知器の個数は各装置に対し各4個ずつ配置する構成で説明しているが、実装する装置全体の物理寸法や検知器の幾何学的寸法などにより必然的に導かれる値であり本発明で上限数を定義するものでない。
【0034】
以降、図7から図14は遺伝子検査装置1に増設装置31a,31bの2台を接続した構成下で、励起波長と蛍光波長の組み合わせの事例をそれぞれ示す。図7の構成は遺伝子検査装置1、及び2台の増設装置31a,31bに備えられた6個の検出器13a〜13fの励起波長と蛍光波長の組み合わせを全て同一としたシステム構成の例を示す。具体的な使用用途としては同一の検査項目を大量に実施するなど、同じアッセイプロトコルの高処理能力が容易に実現できるシステム構成である。
【0035】
次に図8の構成は6個の検出器13a〜13fの励起波長と蛍光波長の組み合わせを遺伝子検査装置1、及び増設装置31a,31bの各装置内で同一とするが、各装置間では異なる励起波長と蛍光波長の組み合わせとしたシステム構成の例を示す。当該システム構成の場合はアッセイプロトコル毎に測定対象となる装置が特定され、特定検体に対して再度検査が必要になった場合も前回測定した装置と同じ装置で測定が行われる。更に前回測定時と同じ検出器を指定することにより、高い再現性のある測定結果を顧客に提供することが可能となる。
【0036】
次に図9の構成は6個の検出器13a〜13fの励起波長と蛍光波長の組み合わせを遺伝子検査装置1、及び増設装置31a,31bの各装置内で異なるが、各装置間では同一の励起波長と蛍光波長の組み合わせとしたシステム構成の例を示す。本構成では装置内で複数種のアッセイプロトコルが測定でき、且つ同じアッセイプロトコルの組み合わせが複数の装置で測定できる。
【0037】
従い、毎日ルーチンで測定するアッセイプロトコルの組み合わせが予め自明な場合など高作業効率で作業実施することが可能となる。
【0038】
次に図10の構成は6個の検出器13a〜13fの励起波長と蛍光波長の組み合わせは遺伝子検査装置1、及び増設装置31a,31bの各装置内で異なる。しかし更に各装置間でも励起波長と蛍光波長の組み合わせが異なり。つまり、個々の検出器13a〜13fで励起波長と蛍光波長の組み合わせが全て異なる場合のシステム構成の例を示す。本構成では装置内で複数種のアッセイプロトコルが測定でき、多項目分析が同一システムで容易に実現できオペレータの大幅なワークフロー改善が期待できるシステム構成である。
【0039】
次に図11は上述図7で説明した検出器13a〜13fの励起波長と蛍光波長の組み合わせを検体の測定項目に置き換えて、より現実に近いイメージでのシステム構成例を示す。図11に示すように本システム構成では同一の測定項目が遺伝子検査装置1、及び増設装置31a,31bの各検知器に割り当てられる。言い換えれば単項目分析の高処理能力に最適な構成であり、具体的には特定疾病の専門病院や検査センターなど特定の分析項目を多量に測定する顧客要求を満たすことができるシステム構成である。
【0040】
同様に図12は上述図8で説明した検知器の検出器13a〜13fの励起波長と蛍光波長の組み合わせを検体の測定項目に置き換えて、より現実に近いイメージでのシステム構成例を示す。図12に示すように本システム構成では遺伝子検査装置1、及び増設装置31a,31bの各装置内で同一の測定項目であるが、各装置間では異なる測定項目が各検知器に割り当てられる。
【0041】
言い換えれば特定項目分析時には装置を特定し分析結果・精度のばらつきは当該装置内に留まり、データ再現性の高いシステム構成であると言える。具体的な用途としては特定疾病の専門病院など測定項目が自明であり、且つ分析結果の再現性に高い要求のある顧客要求満たすことができるシステム構成である。
【0042】
同様に図13は上述図9で説明した検知器の検出器13a〜13fの励起波長と蛍光波長の組み合わせを検体の測定項目に置き換えて、より現実に近いイメージでのシステム構成例を示す。図13に示すように本システム構成では遺伝子検査装置1、及び増設装置31a,31bの各装置内では異なる測定項目であるが、各装置間には同じ組み合わせの測定項目が各検知器に割り当てられる。言い換えれば特定の項目分析の組み合わせを大量に処理するワークフローに適したシステム構成である。具体的な用途としては病院内の入院患者の経過観測など、ルーチンで疾病の専門病院など測定項目が自明であり、且つルーチン測定される検体の測定装置を固定することにより、分析結果の再現性の向上も可能であり分析データの品質向上に大きく寄与するシステム構成である。
【0043】
同様に図14は上述図10で説明した検知器の検出器13a〜13fの励起波長と蛍光波長の組み合わせを検体の測定項目に置き換えて、より現実に近いイメージでのシステム構成例を示す。図14に示すように本システム構成では遺伝子検査装置1、及び増設装置31a,31bの各装置、及び各検知共に異なる測定項目が割り当てられる。言い換えれば多項目を単一の装置で同時に処理できることが可能なシステム構成である。
【0044】
具体的な用途としては外来患者を主対象とした総合病院など予め測定対象となる項目や測定数が特定されておらず、且つ測定項目の対象が多岐に渡り、測定項目毎の検体数も適量の場合のワークフローに最適なシステム構成である。
【0045】
図15は本発明の実施例である遺伝子検査装置1に増設装置31aを接続し、更に測定検体からDNA/RNAの抽出を自動工程処理する核酸抽出装置32aを遺伝子検査装置1の前段に接続した完全自動化に機能拡張された遺伝子検査システムの構成例を示す。核酸抽出装置32aと遺伝子検査装置1間の反応容器4の搬送は増設手段33により行われる。
【0046】
次に図16は上述図15で示したシステムの構成例を更に機能拡張させた事例を説明する。具体的には核酸抽出装置32a,32bを2台と増設装置31a,31bを2台接続し、更なる高機能や多機能に対応したシステム構成である。一般的にDNA/RNAの抽出工程は測定項目毎に異なり工程の自動化が非常に困難であることは自明である。従い、図16に示すように複数台の核酸抽出装置32a,32bをシステム内の組み込むことが可能であることは、完全自動化に機能拡張された遺伝子検査システムとして非常に高い有用性を持っていると言える。又、図16は核酸抽出装置32aと32bの2台増設時のシステム構成であるが、装置全体の物理寸法などにより必然的に導かれる値であり、本発明で上限数を定義するものでない。
【0047】
次に図17は上述図16で示したシステムの構成例において、測定検体の投入口を具体的に示した配置図である。核酸抽出装置32a,32bにそれぞれ設けられた検体投入口1、及び検体投入口2はDNA/RNA抽出前の検体投入口である。遺伝子検査装置1に設けた検体投入口3はDNA/RNA抽出後の検体投入口として機能する。又、検体投入口3はDNA/RNA抽出後検体の再検投入口としても機能する。一方、検体投入口4は定常サイクル数実行後の検体の追加サイクル印加しての蛍光測定など増設装置31a内に具備された核酸増幅ユニット12で蛍光測定の実施など特殊用途に対応可能な投入口である。
【0048】
次に図18は遺伝子検査装置1、或いは増設装置31a内に設けた核酸増幅ユニット12内の過熱・冷却手段が請求項1に記した反応容器の架設ポジション毎に温度制御を行う構成ではなく、別構成による過熱・冷却手段で構成された場合のシステム構成を示したものである。
【0049】
図18では核酸増幅ユニット12内に特定の温度に保たれた恒温槽を複数個備え、これら恒温槽の間をグリッパアーム34により移送して、反応容器4に温度サイクルを印加する実施例である。
【0050】
上述から分かるように本発明を適用することにより多岐に渡る機能拡張や機能向上がシステム拡張することで容易に実現でき、顧客に最適なワ−クフロー環境の提供、並びに顧客の付加価値を最大限高めたシステムを提供することが容易に可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明はPCR法、又はLAMP法などの遺伝子検査法を用いた遺伝子検査装置のシステム化技術として特に有効である。
【符号の説明】
【0052】
1 遺伝子検査装置
4 反応容器
9 分注チップ
13a〜13g 検出器
14 電熱素子
15 測温素子
16 恒温槽
17 グリッパアーム
20 廃棄ボックス
31 増幅検出増設装置
31a 増幅検出増設装置(第一)
31b 増幅検出増設装置(第二)
31c 増幅検出増設装置(第三)
32a 核酸抽出増設装置(第一)
32b 核酸抽出増設装置(第二)
33 増設手段
34 グリッパアーム(増設装置内)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器に対して、試料及び試薬を分注する分注手段と、反応容器を搬送する容器搬送手段を有する、遺伝子検査システムにおいて、
複数個の反応容器を収容して反応容器の収容ポジションごとに温度制御を行う温度制御手段、反応容器の制御温度の値をモニターする温度監視手段、及び反応容器内に収容する反応液の発光を測定する発光測定手段を具備する核酸増幅検出部を複数有し、
少なくともいずれかの核酸増幅検出部は、上記容器搬送手段とは別の容器搬送手段を個別に備えていることを特徴とする、遺伝子検査システム。
【請求項2】
請求項1において、
核酸増幅検出部間の反応容器の移動を行う、容器搬送路を備えていることを特徴とする、遺伝子検査システム。
【請求項3】
請求項1において、
核酸増幅検出部は任意の個数、増設可能であることを特徴とする、遺伝子検査システム。
【請求項4】
請求項3において、
増設された各核酸増幅検出部は、それぞれ個別の容器搬送手段を備えていることを特徴とする、遺伝子検査システム。
【請求項5】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、加熱・冷却手段と温度監視手段と発光測定手段により定義される処理能力が遺伝子検査装置よりも増設装置が高く、急激な機能拡張が実現可能なことを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項6】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、加熱・冷却手段と温度監視手段と発光測定手段により定義される処理能力が遺伝子検査装置よりも増設装置が低く、緩やかな機能拡張が実現できることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項7】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、複数個具備された発光測定手段の測定波長,励起波長の組み合わせ構成が遺伝子検査システム内に一種のみ存在することを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項8】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、複数個具備された発光測定手段の測定波長、或いは励起波長の組み合わせ構成が遺伝子検査システム内に複数種存在し、核酸増幅検出部単位で同一であることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項9】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、複数個具備された発光測定手段の測定波長、或いは励起波長の組み合わせ構成が遺伝子検査システム内に複数種存在し、当該複数種の組み合わせが各核酸増幅検出部内で同一であることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項10】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、複数個具備された発光測定手段の測定波長、或いは励起波長の組み合わせ構成が遺伝子検査システム内に複数種存在し、当該組み合わせが各核酸増幅検出部で異なることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項11】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、複数個具備された発光測定手段により定義される検査項目が遺伝子検査システム内で一種のみ存在し、遺伝子検査装置、及び増設装置で同一であることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項12】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、複数個具備された発光測定手段により定義される検査項目が遺伝子検査システム内に複数項目存在し、遺伝子検査装置、或いは増設装置単位で同一であることを可能とし、同一システム内で検査項目毎に測定する装置を特定することにより、大幅なデータ再現性が図れることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項13】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、複数個具備された発光測定手段により定義される検査項目が遺伝子検査システム内に複数項目存在し、当該複数種の検査項目の組み合わせが遺伝子検査装置内、或いは増設装置内で同一であり、同一システム内でフェールセーフ機能が実現できることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項14】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、複数個具備された発光測定手段により定義される検査項目が遺伝子検査システム内に複数項目存在し、当該複数種の検査項目の組み合わせが遺伝子検査装置、及び増設装置で異なる設定を可能とし、同一システム内で検査項目毎に測定する装置を特定することにより、多項目の分析が同一システム内で測定でき、且つ大幅なデータ再現性が図れることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項15】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、測定検体の抽出工程手段である前処理抽出装置を備えることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項16】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、測定対象である検体の架設投入が遺伝子検査装置、及び複数の前処理抽出装置にそれぞれ具備し、各部位から検体が投入可能であることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項17】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、測定検体の処理動作中に特定部位の温度監視手段、或いは発光測定手段などに異常を生じ、測定中の検査装置で測定検体の処理が継続不可の場合に、検査システムに予め定義されたルールに則り当該システム内の別装置に容器搬送で移動して、当該測定検体の処理動作が完遂できることを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項18】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、前処理抽出装置で処理された抽出検体容器内の異物などを検知する詰まり検出手段を具備し、詰まり検出手段で異常検出時に抽出検体の以降工程への処理を自動的に停止する機能を有したことを特徴とする遺伝子検査システム。
【請求項19】
請求項1記載の遺伝子検査システムであって、システム全体の稼働率が平均化するよう測定項目に応じた処理検体数をスケジューリングし、最適な稼働状態を自動的に維持することを特徴とする遺伝子検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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