説明

還元鉄の製造方法

【課題】生産性の低下を招くことなく、塊成化物の爆裂・崩壊回避を実現することが可能な、還元鉄の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、酸化鉄原料と還元剤とを混合して成型した塊成化物を加熱・還元処理し、還元鉄を製造する方法において、前記塊成化物中のZnO、化合水、CaSOおよびCaCOからなる易揮発成分の含有比率を表し、以下の式1で表される指標Rを、4.2以下とする。
R = 塊成化物中のZnOの質量%×22.4/ZnOの分子量
+塊成化物中の化合水の質量%×22.4/HOの分子量
+塊成化物中のCaSOの質量%×22.4/CaSOの分子量
+塊成化物中のCaCOの質量%×22.4/CaCOの分子量
・・・(式1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元鉄の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製鉄所・製錬所等で発生する粉鉄鉱石・ダスト・スケールおよびスラッジ等の粉状酸化鉄原料を加熱・還元処理して還元鉄を製造する方法として、炉床が水平面内で回転する加熱床炉(以下「回転炉床炉」と称する。)を用いる方法が注目されてきている。この方法は、回転炉床炉の炉床面に、粉状酸化鉄原料と粉状の炭材等の還元剤を混合・混練して成型した塊成化物を敷き詰め、炉内で塊成化物を移動させながら加熱・還元させ、還元鉄を得るものである。また、製鉄所・製錬所等のゼロエミッション化の流れを受け、これらの粉状酸化鉄原料として、含有鉄分が低く劣質な湿ダスト・高亜鉛ダスト・電気炉ダスト等の使用が検討されている。
【0003】
しかしながら、これらの湿ダスト・高亜鉛ダスト・電気炉ダスト等を原料とする塊成化物を回転床炉に供給して還元鉄を製造した場合、炉内に供給された塊成化物が加熱・還元過程で爆裂・崩壊して粉化してしまうことが多々発生する。粉化した塊成化物には炉内からの熱供給が阻害されるため、還元が進行しないばかりでなく、炉床表面に落下した粉化物が徐々に融着・固化して炉床表面上に強固な融着物を生成・成長させ、連続操業を阻害する要因ともなる。また、ロータリーキルンでもキルン内壁に粉化物が融着・固化する問題がある。
【0004】
塊成化物の爆裂や崩壊を防止するための技術としては、例えば、以下に示す特許文献1〜に開示されているような技術がある。
【0005】
例えば特許文献1には、高水分・微粉原料の回転炉床炉での還元に際して、事前の乾燥工程を省略するために、酸化金属を含む粉体および炭素の混合物を未乾燥のまま回転炉床炉内に装入し、炉内装入時の爆裂を防止するため、混合物の水分%に応じた雰囲気温度の限界値を規定する技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、酸化鉄原料と還元剤を混合して成型した塊成化物を回転床炉で還元処理する方法において、炉内への原料供給時から900〜1300℃まで昇温させる期間の塊成化物の昇温速度を、500℃/分または400℃/分以下に制御する旨が開示されている。
【0007】
さらに、特許文献3には、高炉湿ダストを含む塊成化物を加熱炉内で加熱・還元して還元鉄を製造する場合に、加熱・還元中の崩壊・粉化を抑制するため、塊成化物中の粒径1mm超の擬似粒子の質量割合を規定する技術が開示されている。
【0008】
また、特許文献4には、Cl、F、Zn、Na、K、Pbを含む揮発性物質の配合上限を規定することで、製造された還元鉄を炉内から取り出す際に生じる還元鉄の粉化を防止する技術が開示されている。
【0009】
さらに、特許文献5には、塊成化物が高炉・キュポラ等の竪型炉内で加熱された際の爆裂を抑制する手段として、炭材内装塊成化物の径方向外側半分の気孔率と内側半分の気孔率の比を規定するとともに、熱間成型する技術が開示されている。
【0010】
また、特許文献6には、亜鉛含有ペレットをキルン等で加熱して脱亜鉛処理する場合に、ペレット爆裂やキルンリングの生成を抑制するために、ペレット内装カーボン量を減らしてペレット外装カーボンを添加すること、および、総カーボン量に対する外装カーボン量の比率を40%以上とすることが開示されている。
【0011】
さらに、特許文献7には、粉状鉄含有原料と軟化溶融性を有する粉状炭材を熱間成型して炭材内装塊成化物を製造し高炉原料とする場合に、高炉内での加熱・還元の際の崩壊・粉化を抑制する手段として、塊成化物の比表面積値を予め設定した目標値となるように原料配合量を決定する技術が開示されている。
【0012】
また、特許文献8には、急速加熱還元原料用の炭材内装酸化鉄塊成化物中における結晶水の含有量を4%以上に制御し、結晶水と揮発分の合計含有量を10.5%以下に制御し、付着水分を1.0%以下に制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−303115号公報
【特許文献2】特開2002−167622号公報
【特許文献3】特開2003−293019号公報
【特許文献4】特開2005−200672号公報
【特許文献5】特開2005−344181号公報
【特許文献6】特開2006−316333号公報
【特許文献7】特開2007−077484号公報
【特許文献8】特開2009−035820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いて、未乾燥の原料を回転床炉に装入すると、回転床炉の設備が大きくなるうえに、炉内前段での乾燥工程の処理時間が長くなり、還元鉄の生産性が低下するという問題がある。また、爆裂防止のために雰囲気温度の限界値を規定することで、生産性の低下が生じてしまうという問題もある。
【0015】
また、特許文献2に記載の技術において昇温速度を制御するといことは、回転床炉の炉床回転速度を制御することと同義であり、還元鉄の生産性の低下を招くという問題がある。
【0016】
さらに、特許文献3に記載の技術は、還元後の塊成化物を高炉原料とする場合の技術であって、溶解炉を用いた製鋼工程に適した還元鉄の製造においては、粒径1mmもの擬似粒子を混合することは、生産性の低下につながり、現実的ではない。
【0017】
また、特許文献4に記載の技術は、加熱・還元処理後に得られる還元鉄の粉化を防止するものであって、加熱・還元処理中に生じる塊成化物の爆裂・崩壊を防止することはできない。
【0018】
さらに、特許文献5に記載されている条件の塊成化物を製造することは、非常に困難であり、設備も複雑になるという問題がある。
【0019】
また、特許文献6に記載の技術では、カーボンをペレットに外装させる工程が追加的に必要となり、工程が複雑となるという問題がある。さらに、外装カーボンは還元に有効に活用されないことが予想されるため、生産性の低下が懸念される。
【0020】
さらに、特許文献7に記載の技術は、高炉原料の製造に特化した方法であり、溶解炉を用いた製鋼工程に適した還元鉄の製造に適用することは困難である。
【0021】
また、特許文献8に記載の技術において、許容する結晶水および揮発分の含有率の上限は、10.5%と極めて高い。特許文献8では揮発分の定義が明確にされていないが、同文献における揮発分が本発明において指標Rの算出に用いる成分と仮定すると、10.5%という値は、指標Rでは13程度となる。このような含有率の場合、爆裂・崩壊の可能性が高くなる。また、特許文献8の記載から類推すると、揮発分の由来として主に石炭を想定しており、揮発ガスの原因物質を明確に特定してはいない。
【0022】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、生産性の低下を招くことなく、加熱・還元処理中の塊成化物の爆裂・崩壊回避を実現することが可能な、還元鉄の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、酸化鉄原料と還元剤とを混合して成型した塊成化物を加熱・還元処理し、還元鉄を製造する方法において、前記塊成化物中のZnO、化合水、CaSOおよびCaCOからなる易揮発成分の含有比率を表し、以下の式1で表される指標Rを、4.2以下とする、還元鉄の製造方法が提供される。
【0024】
R = 塊成化物中のZnOの質量%×22.4/ZnOの分子量
+塊成化物中の化合水の質量%×22.4/HOの分子量
+塊成化物中のCaSOの質量%×22.4/CaSOの分子量
+塊成化物中のCaCOの質量%×22.4/CaCOの分子量

・・・(式1)
【0025】
前記式1で表される指標Rを、3.0以上としてもよい。
【0026】
前記塊成化物は、回転炉床炉またはロータリーキルンで加熱・還元処理されることが好ましい。
【0027】
前記指標Rを、4.1以下としてもよく、前記指標Rを、4.0以下としてもよい。
【0028】
前記易揮発成分は、前記塊成化物の温度が1000℃以下の際に、ガス成分を発生する物質であってもよい。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明によれば、塊成化物の加熱・還元処理中、特に還元最初期の爆裂・崩壊に着目し、その原因成分を特定するとともに、爆裂・崩壊を回避しうる塊成化物中の原因成分の量を規定することで、生産性の低下を招くことなく塊成化物の加熱・還元処理中の爆裂・崩壊回避を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】還元鉄の製造工程を説明するための説明図である。
【図2】回転炉床炉について説明するための説明図である。
【図3】ブリケットの還元について説明するための説明図である。
【図4】本発明の実施形態に係る指標Rとブリケットの状態との関係を示したグラフ図である。
【図5】還元時間と金属化率との関係を示したグラフ図である。
【図6】本発明の実施形態に係る指標Rと金属化率との関係を示したグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0032】
なお、以下の説明では、回転炉床炉を例にとって本発明の実施形態に係る還元鉄の製造方法について説明するが、本発明に係る還元鉄の製造方法は、ロータリーキルン等の還元炉に対しても利用可能である。
【0033】
<還元鉄の製造工程について>
本発明の実施形態に係る還元鉄の製造方法について説明するに先立ち、まず、図1を参照しながら、還元鉄の製造工程について、詳細に説明する。図1は、還元鉄の製造工程を説明するための説明図である。
【0034】
まず、製鉄ダストおよび鉄鉱石などの酸化鉄原料と、石炭、コークス、微粒カーボン等の還元剤とは、予めホッパー11等に格納されている。酸化鉄原料および還元剤は、予め設定された配合比となるように配合されて、粉砕機13に装入される。
【0035】
ボールミル等の粉砕機13は、装入された酸化鉄原料および還元剤を、混合しながら所定の粒径まで粉砕する。粉砕後の酸化鉄原料および還元剤の粒径は、還元鉄の製造に用いられる回転炉床炉やロータリーキルン等の還元炉に適した値とすることができる。粉砕後の酸化鉄原料および還元剤からなる混合物は、混練機15に運搬される。
【0036】
混練機15は、粉砕機13により所定の粒径に粉砕された混合物を混練する。また、混練機15は、混合物の混練に際して、還元鉄の製造に用いる還元炉に適した水分量となるまで混合物に加水を行う調湿処理を施してもよい。混練機15の一例として、例えば、ミックスマーラーを挙げることができる。混練機15によって混練された混合物は、成型機17に搬送される。
【0037】
パンペレタイザー(皿型造粒機)、ダブルロール圧縮機(ブリケット製造機)、押し出し成型機等の成型機17は、酸化鉄原料および還元材を含む混合物を成型し、例えばペレットのような塊成化物とする。ここで、塊成化物とは、ペレット、ブリケット、押し出し成型して裁断した成型品、粒度調整された塊状物等の粒状物・塊状物をいう。成型機17は、後述する乾燥・加熱還元後、例えば熱間にて溶解炉23に装入する際、炉内上昇ガス流で飛散しない程度の粒径以上の大きさとなるように、上記混合物を塊成化する。生成された塊成化物は、乾燥機19へと装入される。
【0038】
乾燥機19は、塊成化物を乾燥して、後述する加熱還元工程に適した水分含有率(換言すれば、還元鉄の製造に用いる還元炉ごとに適した水分含有率:例えば、1%以下)となるようにする。所定の水分含有率となった塊成化物は、後述する還元炉21へと搬送される。
【0039】
例えば回転炉床炉(Rotary Hearth Furnace:RHF)やロータリーキルン等のような還元炉21は、装入された塊成化物を、LNGバーナーやCOGバーナー等の加熱雰囲気で加熱および還元し、還元鉄とする。還元炉は、塊成化物を例えば1000〜1100℃程度まで加熱して、塊成化物の還元処理を行い、還元鉄を製造する。
【0040】
<回転炉床炉について>
続いて、図2および図3を参照しながら、本実施形態に係る還元鉄の製造方法で用いられる還元炉の一例である回転炉床炉について、詳細に説明する。図2は、回転炉床炉について説明するための説明図であり、図3は、ブリケットの還元について説明するための説明図である。
【0041】
まず、図2を参照しながら、回転炉床炉21の内部構造について説明する。
回転炉床炉21は、例えば図2上段に示したように略円柱状の形状を有しており、例えば回転炉床炉21の上面等に設けられた装入口から塊成化物が装入される。装入された塊成化物は、炉内を周方向に沿って移動しながら加熱・還元されて還元鉄となり、炉内から取り出される。
【0042】
回転炉床炉21を周方向に沿って展開した場合の模式図を、図2下段に示す。
回転炉床炉21の内部には、回転炉床炉21内を周方向に沿って移動可能な回転炉床25が設けられている。装入口27から装入されたブリケットBは、回転炉床25上に展開される。ブリケットBは、熱間レベラー29によって平坦にならされ、炉内を回転炉床25の移動に伴って移動していく。ブリケットBは、移動の過程で炉壁または炉上のバーナー31によって生じた高温燃焼ガスの輻射熱により加熱され、ブリケットB中の還元剤により酸化鉄原料が還元される。還元された酸化鉄原料である還元鉄は、ディスチャージャー33により回転炉床炉21の内部から払い出されることとなる。
【0043】
図3に示したように、回転炉床炉21内を移動するブリケットBは、高温燃焼ガスの輻射熱によりブリケットBの外側から内部に向かって温度が上昇していき、ブリケットの還元反応は、ブリケットの外周から中心部に向かって進行する。この際、ブリケットBの内部では、図3に示したような反応が進行している。これらの反応の結果、ブリケット中に含まれる酸化鉄成分(FeOやFe等)は、ブリケット中に含まれる還元剤(炭素C)により還元され、還元鉄(Fe)となる。
【0044】
ここで、回転炉床炉21の内部は、図2下段に示したように、3つのゾーンに区分することができる。これらの区分は便宜的なものであって、実際の回転炉床炉21の内部に、図に示したような区分けがされているわけではない。
【0045】
ブリケットの装入口27の近傍に位置する第1のゾーンおよび第1のゾーンに隣接するゾーンである第2のゾーンは、回転炉床炉21に装入されたブリケットBの昇温を主目的とするゾーンである。また、第2のゾーンに連続する第3のゾーンは、ブリケットBの還元を主目的とするゾーンである。ここで、第1のゾーンおよび第2のゾーンを総称して、加熱・還元の最初期と称し、第3のゾーンを還元期と称する。
【0046】
バーナー31によって生じた高温燃焼ガスにより、加熱・還元の最初期における塊成化物の温度は1000℃程度まで昇温し、還元期以降は、1000〜1100℃程度を保持する。
【0047】
本願発明者らが鋭意研究を重ねた結果、還元炉を用いて還元鉄を製造する場合に、塊成化物の爆裂・崩壊が、炭材等の還元剤による酸化鉄分の還元反応が開始する以前の、回転炉床炉等における加熱・還元の最初期(塊成化物の温度が概ね1000℃以下)に発生することを突き止めた。そこで、本願発明者らは、加熱・還元の最初期における爆裂・崩壊を防止するために、以下で説明するような本発明に係る還元鉄の製造方法に想到した。
【0048】
<還元鉄の製造方法について>
上述の説明を踏まえ、以下では、本実施形態に係る還元鉄の製造方法について、詳細に説明する。
【0049】
本実施形態に係る還元鉄の製造方法は、前述のように、酸化鉄原料と還元剤とを混合して成型した塊成化物を加熱・還元処理し、還元鉄を製造する方法である。ここで、本実施形態に係る酸化鉄原料は、製鉄ダスト(例えば、含鉄冷材溶解用転炉、精錬用転炉およびダスト溶解用転炉等で発生し、湿式集塵装置等にて集塵された転炉ダストや、高炉ダストや、ミルスケールや、電気炉ダストなど)、非鉄製錬ダストおよび鉄鉱石からなる群より選択される。また、本実施形態に係る還元剤としては、例えば、粉石炭等の石炭や、コークスや、微粒カーボン等を用いることが可能である。
【0050】
本願発明者らは、加熱・還元の最初期における塊成化物の爆裂・崩壊に着目して、鋭意研究を行ったところ、爆裂・崩壊の原因となる成分を特定することができた。この爆裂・崩壊の原因成分は、塊成化物中に含まれる酸化亜鉛(ZnO)、化合水、硫酸カルシウム(CaSO)および炭酸カルシウム(CaCO)であった。以下では、まず、上記原因成分の由来について説明する。
【0051】
ZnO(分子量81.4)は、主として製鉄ダスト(特に電気炉ダスト)に多く含まれる成分である。製鉄原料として亜鉛メッキ鋼板等の亜鉛含有スクラップを使用した場合に、ダスト発生プロセス(溶解炉・電気炉等)で亜鉛が揮発し、ダスト中に亜鉛が移行する。ダスト中に移行する過程で亜鉛が酸化されることで、ZnOとなる。
【0052】
化合水(HO:分子量18.0)は、主として湿ダストに多く含まれる成分である。各製鉄・製錬プロセスで発生したダストは高温であるため、発生したダストは一般的に水冷され、シックナー等で濃縮・回収される。この際、ダスト中の水和しやすい成分(以下、易水和成分と称する。例えばCaO,MgO等)に水が結合して水和水を持つこととなる。この水和水を化合水と呼ぶ。すなわち、化合水とは、ダスト中の易水和成分に化学的に結合した水のことである。通常「水分」と呼ばれる付着水と異なり、化合水は化学結合により水和しているため、概ね200℃以上に加熱しないと脱離しない。
【0053】
CaSO(分子量136.0)は、製鉄ダストや各種金属の製錬ダスト等に広く含まれる成分である。製鉄工程での重要な精錬プロセスとして、溶鉄中の不純物としての硫黄分を取り除く脱硫工程がある。脱硫剤としてCaを含有するフラックスを用いるのが一般的であり、溶鉄中の硫黄分は、硫化カルシウム(CaS)として除去される。このCaSが、脱硫工程で発生するダスト中に移行し、移行したCaSが酸化されることで、CaSOとなる。また、各種の非鉄金属の製錬においても、目的金属の硫化鉱を精錬して目的金属を得ることが非常に多い。この際に発生するダスト中には、製鉄での脱硫プロセスと同様にCaSOが多く含まれる。
【0054】
CaCO(分子量100.0)は、製鉄ダストや各種金属の製錬ダスト等に広く含まれる成分である。上述のように、ダスト中には精錬時に使用するCa系フラックス由来のCa分が多く含有している。ダストが排ガス中に滞在する間等において、このCa分がCOと反応し、CaCOが形成される。
【0055】
本実施形態に係る還元鉄の製造方法では、様々な部署で発生した上述のようなダストが複数種類混合されて、酸化鉄原料として用いられる。そのため、酸化鉄原料中には、用いるダストの種類や、用いるダストの混合割合等に応じて、上述のような原因成分が様々な割合で存在することとなる。
【0056】
1000℃以下の温度(低温期)において、以下のような化学反応が進行することによって生成される気体成分である。それぞれの化学反応式から明らかなように、崩壊・爆裂の原因成分は、反応が進行することで生成されるガス成分である。従って、これらの原因成分は、1000℃以下の温度において揮発し、ガスが発生しやすい成分(すなわち、易揮発成分)であるといえる。塊成化物の内部で以下のような反応が進行することで、塊成化物の内部には含有されている原因成分の量に応じてガスが溜まることとなる。従って、塊成化物の内部に溜まったガスによって生じるガス圧に塊成化物が耐えられなくなった際に、塊成化物表面が剥離したり、塊成化物自体が崩壊・爆裂したりすることとなる。なお、以下の化学反応式におけるカッコ内に記載した温度は、反応が進行する温度を表す。
【0057】
ZnO + C → Zn + CO↑ (約900℃) ・・・(反応式1)
O(水和水) → HO(g)↑ (約200〜900℃)・・・(反応式2)
CaSO → CaO + SO↑ ・・・(反応式3)
CaCO → CaO + CO↑ (約500〜900℃)・・・(反応式4)
【0058】
そこで、本願発明者らは、塊成化物中に含まれる易揮発成分の目安となる指標として、以下の式1に示すような指標Rを規定した。
【0059】
R = 塊成化物中のZnOの質量%×22.4/ZnOの分子量
+塊成化物中の化合水の質量%×22.4/HOの分子量
+塊成化物中のCaSOの質量%×22.4/CaSOの分子量
+塊成化物中のCaCOの質量%×22.4/CaCOの分子量
・・・(式1)
【0060】
ここで、上記式1における22.4という数値は、物質1モルあたりの体積(いわゆるモル体積)である。すなわち、上記式1で規定される指標Rは、塊成化物中の易揮発成分の含有比率を表すパラメータであり、上記反応式1〜反応式4から明らかなように、塊成化物単位質量あたりの発生ガス量を表すパラメータであるといえる。
【0061】
本実施形態に係る還元鉄の製造方法では、上記式1で規定される指標Rが4.2以下となるように、酸化鉄原料の配合を決定する。なお、酸化鉄原料および還元剤を含む混合物の粒径や混合物を用いて形成される塊成化物の水分含有率等は、還元鉄の製造に用いられる回転炉床炉やロータリーキルン等の還元炉に適した値とすることができる。
【0062】
本実施形態に係る還元鉄の製造方法では、指標Rを4.2以下とすることで、塊成化物を還元炉において加熱・還元して還元鉄を製造する際に、還元最初期に発生するガス成分の量を抑制することが可能となる。これにより、発生したガス成分によるガス圧が塊成化物内部から外側に向かって作用しても、塊成化物は、爆裂・崩壊することなくガス圧に耐えることができる。その結果、還元最初期における塊成化物の爆裂・崩壊を防止することが可能となる。ここで、塊成化物の爆裂・崩壊とは、塊成化物が内部からのガス圧によって破裂し、複数の破片となった状態を表す。
【0063】
また、本実施形態に係る還元鉄の製造方法では、上記式1で規定される指標Rを、4.1以下とすることが好ましい。指標Rを4.1以下とすることで、還元最初期に発生するガス成分の量を抑制することが可能となる。これにより、発生したガス成分によるガス圧が塊成化物内部から外側に向かって作用しても、塊成化物に生じる剥離の発生を抑制することができる。その結果、還元最初期における塊成化物の剥離の抑制と、爆裂・崩壊の防止が可能となる。
【0064】
さらに、本実施形態に係る還元鉄の製造方法では、上記式1で規定される指標Rを、4.0以下とすることが更に好ましい。指標Rを4.0以下とすることで、還元最初期に発生するガス成分の量を抑制することが可能となり、発生したガス成分によるガス圧が塊成化物内部から外側に向かって作用しても、塊成化物は、剥離および爆裂・崩壊が生じることなくガス圧に耐えることができる。その結果、還元最初期における塊成化物の剥離および爆裂・崩壊の防止が可能となる。
【0065】
なお、上記式1で規定される指標Rは、小さければ小さいほど良い値である。指標Rが小さいということは、塊成化物中に存在する易揮発成分の量が少ないことを意味し、指標Rが小さい塊成化物は、緻密なものとなって粉化しにくくなる。
【0066】
また、先に説明したように、式1で規定される指標Rの値は、その値が小さいほど爆裂・崩壊の防止が可能となるため好ましいが、本願発明者らが鋭意検討を行った結果、ある程度の易揮発性成分を、あえて原料中に含有させることで、還元初期に塊成化物表面に割れには至らない程度の微細亀裂を生成させ、還元反応を促進しうることを見出した。
【0067】
すなわち、式1で規定される指標Rを4.2以下とすることでガス発生による爆裂・崩壊を防止できるが、指標Rが4.2以下である領域において、指標Rの値が大きくなるにつれて、還元後の塊成化物の表面に細かな亀裂が観察されるようになる。これは、易揮発成分を適度に塊成化物中に含有させることで、還元初期において塊成化物内部から発生したガスにより、爆裂や崩壊を防止しつつ塊成化物表面に亀裂を発生させたり、塊成化物内部に気孔を生じさせたりすることができることを示している。このようにして生じた亀裂や気孔により、高温の炉内雰囲気からの塊成化物表面および内部への伝熱が促進されることとなり、その結果、還元反応速度を向上させることが可能となる。
【0068】
このような還元反応速度の向上を実現するためには、指標Rを3.0以上とすることが好ましい。指標Rを3.0以上として還元反応速度を向上させることで、より短い還元時間で塊成化物の金属化率を高いレベルまで到達させることが可能となる。また、RHF等の炉内で塊成化物が積層した状態となり、炉内雰囲気の輻射伝熱が十分に供給されない状況下の塊成化物の割合が増加したとしても、低温時の還元速度を大きくすることが可能となるため、これら底層の塊成化物の到達金属化率を、高い値に保持することが可能となる。すなわち、RHF等の炉内に存在する塊成化物全体の平均金属化率を、高い値まで到達させることが可能となる。
【0069】
ここで、酸化鉄原料または塊成化物に含まれる易揮発成分の含有量を測定する方法は、特に限定されるわけではなく、それぞれの易揮発成分の特性にあわせて選択することが可能である。例えば、ZnOの含有量は、JIS K 0116(発光分光分析通則)に記載の誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を用いて酸化鉄原料や塊成化物中のZnの含有量を測定することで決定することが可能である。CaSOの含有量は、JIS K 0102(工業排水試験方法)第41項に記載の方法により硫酸イオン濃度を測定することで決定することができる。また、CaCO3の含有量は、JIS K 0102(工業排水試験方法)第22項中に記載の無機炭素量測定方法により炭酸イオン濃度を測定することで決定することができる。また、化合水の含有量は、JIS M 8211(鉄鉱石−化合水定量方法)に記載されているカールフィッシャー滴定法を用いて、酸化鉄原料や塊成化物から発生する蒸気量を測定することで決定することが可能である。
【0070】
湿ダスト、高亜鉛ダスト、電気炉ダストなど、崩壊・爆裂の原因となる易揮発成分を多く含有する複数の劣質原料を混合して用い、還元鉄の製造に用いられる酸化鉄原料とする場合、劣質原料それぞれの易揮発成分量を上述のような方法で予め測定しておき、複数の劣質原料の配合量と、測定により既知となる易揮発成分量とに基づいて、上記式1により指標Rを算出する。指標Rの値が上述の閾値以下となるように劣質原料の配合量を調整することで、還元炉内での塊成化物の爆裂・崩壊を防止することができる。これにより、還元炉内での塊成化物の爆裂・崩壊を防止しながら、劣質原料を安定的に使用可能となる。その結果、ゼロエミッションの進展や還元鉄の製造コストの低減を図ることができる。
【0071】
また、指標Rが3.0以上となるように塊成化物中に易揮発成分を意図的に含有させることで、塊成化物に、爆裂・崩壊が生じない程度に気孔を生成させることができる。その結果、塊成化物への伝熱効率が向上し、還元初期や雰囲気温度が低い環境下でも還元反応を促進させることが可能となる。これにより、高い金属化率の還元鉄を、より高い生産性で生産可能となる。
【実施例】
【0072】
以下に、実施例および比較例を示しながら、本発明に係る還元鉄の製造方法について、更に説明を行う。なお、以下に示す実施例は、本発明のあくまでも一具体例であって、本発明が以下に示す実施例に規制されるわけではない。
【0073】
<指標Rと爆裂・崩壊との関係について>
以下に示す実施例および比較例では、酸化鉄原料として用いる製鉄ダストの配合を変化させて、塊成化物中の易揮発成分の量を様々な値に変化させ、異なる指標Rを有する塊成化物(製鉄ダストタブレット)を製造した。製鉄ダストタブレットの大きさは、φ30mm×H約15mmである。製造した製鉄ダストタブレットを、雰囲気温度1250℃に保持した電気炉内で還元させた。製造したタブレットの易揮発成分の含有量と指標Rとは、以下の通りである。
【0074】
なお、表1における易揮発成分の含有量は、以下の測定方法により決定した。
【0075】
ZnO:JIS K 0116(発光分光分析通則)に記載の誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法
化合水:JIS M 8211(鉄鉱石−化合水定量方法)に記載のカールフィッシャー滴定法
CaSO:JIS K 0102(工業排水試験方法)第41項に記載の硫酸イオン濃度測定方法
CaCO:JIS K 0102(工業排水試験方法)第22項中に記載の無機炭素量測定方法
【0076】
また、式1による指標Rの算出において、ZnOの分子量は81.4とし、HOの分子量は18.0とし、CaSOの分子量は136.0とし、CaCOの分子量は100.0とした。
【0077】
なお、表1に示した各塊成化物では、表1に示した以外の成分として、製鉄ダストに含まれる各種成分や石炭やスラグの成分などが含まれていた。これらの成分は、例えば、FeOやFe等の酸化鉄成分、硫黄、炭素、SiO、Al、CaO、MgOなどである。
【0078】
ここで、上述の塊成化物中には、製鉄ダストの還元剤として石炭を添加したが、RHFを利用する方法をはじめ、製鉄ダスト等から還元鉄を工業的に製造するプロセスにおいて、還元剤として石炭を添加するのが通常の方法である。石炭中にも揮発分が含まれてはいるが、一般的に、揮発分が3〜7質量%の無煙炭を塊成化物に対して3〜8質量%程度添加するだけであり、塊成化物の易揮発成分全体量に対する石炭中の揮発分の割合は小さい。また、石炭中の揮発分は一酸化炭素、水素、可燃ガス等の組成の複雑な混合物であり、それぞれの成分ガスが塊成化物の昇温過程で徐々に発生していくため、化合水等と比較してガス発生速度は小さいと考えられる。従って、塊成化物の易揮発成分に与える石炭の揮発分の影響は、極めて小さい。本発明の実施形態においても、塊成化物中の易揮発成分の含有比率の指数Rを求める際に、還元剤として添加する石炭中の揮発分は含めない。
【0079】
還元された製鉄ダストタブレット(すなわち、還元鉄)の還元後の状態を、あわせて表1に示した。表1の表記において、×は爆裂・崩壊が生じたタブレットを表し、△は剥離が生じたタブレットを表し、○は正常なタブレットを表す。なお、正常、剥離、爆裂・崩壊の判定基準は、以下の通りである。
【0080】
正常:爆裂・崩壊、剥離のいずれにも該当しないもの
剥離:爆裂・崩壊には該当しないが、還元中に、タブレット表面(φ30mm)がタブレット中心からの加圧により押し上げられ、表面に3mm以上の凹凸が生じているもの
爆裂・崩壊:還元中に、タブレットが2以上の破片に分断され、いずれの破片の重量も破片合計重量の90%未満のもの
【0081】
【表1】

【0082】
また、指標Rと、還元後のタブレットの状態との対応関係を、図4に示した。表1および図4から明らかなように、指標Rが4.2超過であるタブレットには、爆裂・崩壊が多く発生していることがわかる。また、指標Rが4.2以下のタブレットは、剥離が生じたタブレットが1つあるものの、多数のタブレットは、爆裂・崩壊が生じなかった。また、指標Rが4.1以下のタブレットは、剥離も爆裂・崩壊も生じず、正常であった。
【0083】
表1および図4に示した実施例・比較例から明らかなように、塊成化物中のZnO、化合水、CaSOおよびCaCOからなる易揮発成分の含有比率を表す指標Rを4.2以下とすることで、塊成化物の還元処理によって塊成化物に生じうる爆裂・崩壊を防止することができる。
【0084】
<指標Rと還元時間との関係について>
上記例と同様にして、塊成化物中の易揮発成分の含有比率の指数Rを変えた塊成化物の代表例としてφ30mm×H約15mmの製鉄ダストタブレットを作製し、雰囲気温度を1250℃および1150℃に保持した電気炉内で還元させた。この際、作製するタブレットの指標Rの値を、化合水を含有するCa(OH)を添加することで調整した。タブレットの金属化率((M.Fe/T.Fe)×100%)を還元時間とともにプロットした結果を、図5に示す。なお、図5に示した各製鉄ダストタブレットのうち爆裂・崩壊したものは、存在しなかった。
【0085】
図5から明らかなように、易揮発成分の含有量の少ないタブレット(指標R=2.8)に比べ、化合水を含有するCa(OH)を添加して指標R値を大きくしたタブレット(指標R=3.0,3.4,4.0)の方が、還元初期における還元速度が大きいことがわかる。
【0086】
また、雰囲気温度を100℃下げて1150℃とした場合においても、Ca(OH)を添加した指標R=4.0のタブレットの方が、指標R=2.8のタブレットよりも還元速度が向上していることがわかる。この結果は、RHF等の炉内で積層された塊成化物のうち底層に位置するもの等、塊成化物温度が低温になるような状況にあるものであっても、高い金属化率の還元鉄が得られることを示している。
【0087】
ここで、図5に示した各タブレットは、指標R<4.2となるものであり、それぞれガス発生による爆裂は見られないものの、指標Rが大きくなるにつれ、還元後タブレットの表面に細かな亀裂が観察された。すなわち、これらのタブレットには、還元初期において塊成化物内部から発生したガスにより、塊成化物表面の亀裂や塊成化物内部の気孔が生成している。
【0088】
還元初期の還元速度の指標として指標Rを横軸にとり、雰囲気温度1250℃で7分および10分還元させたときの金属化率を縦軸にプロットした。得られた結果を図6に示す。図6から明らかなように、R=2.8とR=3.0との間の傾きが大きくなっており、この範囲における金属化率差が大きくなっていることがわかる。この結果からも、指標Rの値が3.0以上であれば、還元初期のおける還元速度向上効果を十分に享受しうることがわかる。
【0089】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0090】
11 ホッパー
13 粉砕機
15 混練機
17 成型機
19 乾燥機
21 回転炉床炉
23 溶解炉
25 回転炉床
27 装入口
29 熱間レベラー
31 バーナー
33 ディスチャージャー
B ブリケット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化鉄原料と還元剤とを混合して成型した塊成化物を加熱・還元処理し、還元鉄を製造する方法において、
前記塊成化物中のZnO、化合水、CaSOおよびCaCOからなる易揮発成分の含有比率を表し、以下の式1で表される指標Rを、4.2以下とする
ことを特徴とする、還元鉄の製造方法。

R = 塊成化物中のZnOの質量%×22.4/ZnOの分子量
+塊成化物中の化合水の質量%×22.4/HOの分子量
+塊成化物中のCaSOの質量%×22.4/CaSOの分子量
+塊成化物中のCaCOの質量%×22.4/CaCOの分子量

・・・(式1)

【請求項2】
前記式1で表される指標Rを、3.0以上とすることを特徴とする、請求項1に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項3】
前記塊成化物は、回転炉床炉またはロータリーキルンで加熱・還元処理されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項4】
前記指標Rを、4.1以下とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項5】
前記指標Rを、4.0以下とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の還元鉄の製造方法。
【請求項6】
前記易揮発成分は、前記塊成化物の温度が1000℃以下の際に、ガス成分を発生する物質であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の還元鉄の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−248622(P2010−248622A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62610(P2010−62610)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】