説明

部分めっき装置

【課題】部分めっき装置の上側スパージャー内に、仕組まれたシャッター機構により、部分めっき装置でめっきされた、帯状フープ材料の上側めっき表面に、めっき液が塗布されるのを制御し、めっき表面品質を高めるものである。
【解決手段】上側スパージャー1内に仕組まれたシャッター機構の固定窓プレート18と可動窓プレート19にスライド機構を設け、スライド機構を制御することで、帯状フープ材料17上側に、めっきしない時は、めっき液を塗布(付着)しないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に帯状のフープ材料に、部分めっきを行う部分めっき設備において、その上側スパージャー内に、めっき液漏れ止め用開閉シャッターを有する部分めっき装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の部分めっき設備は、図3、図4及び図5に示されるような構成を有していた。
【0003】
図4は、帯状フープ材料に部分めっきを行った概略図である。
【0004】
図4において、17は帯状フープ材料であり、この帯状フープ材料17は、所定の形状にトリミングされている。18は部分めっきを行った場所を示している。そして図4に示すように、帯状フープ材料17に部分めっき18を行う設備を、部分めっき設備(または装置)と言われている。
【0005】
図3は、部分めっき設備の概略図である。
【0006】
図3において、12は鋼材等で作られた筐体である。9はめっき液を溜めるタンクであり、13は配管で、5つのポンプにつなげられている。14は配管で、24は上側スパージャーユニットで、配管14によりポンプ5と上側スパージャーユニット24はつなげられている。ポンプ5を動作させることにより、上側スパージャーユニット24にめっき液が供給されるようになっている。15は配管で、ポンプ6につながれている。16は配管、25は下側スパージャーユニットで、配管16によりポンプ6と下側スパージャーユニット25は接続されている。ポンプ6を動作させることにより、下側スパージャーユニット25にめっき液が供給されるようになっている。8はスライダで筐体12と上側スパージャーユニット24に取り付けられていて、7はシリンダーで筐体12と上側スパージャーユニット24に取り付けられている。17は帯状フープ材料である。
【0007】
図5は、従来の部分めっき設備の上下スパージャーの概略図である。
【0008】
図5において、上側スパージャーユニット24は、上側ブロック3と上側スパージャー1から構成されている。また、下側スパージャーユニット25は、下側ブロック4と下側スパージャー2から構成されている。
【0009】
以上のように構成された部分めっき設備について以下にその動作を説明する。
【0010】
シリンダー7を動作させることにより、上側スパージャーユニット24を所定の位置で上下出来るような構造になっている。17は帯状フープ材料であり、この帯状フープ材料17を下側スパージャーユニット25とシリンダー7を動作させることにより上側スパージャーユニット24で挟み、めっき液をポンプ5、ポンプ6を動作させ、上側スパージャーユニット24、下側スパージャーユニット25に供給し、帯状フープ材料17の必要部分のみめっきを行うものである。
【0011】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3が知られている。
【特許文献1】特許第2551531号公報
【特許文献2】特開平9−184099号公報
【特許文献3】特開2000−119893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の部分めっき設備においては、上側スパージャーと下側スパージャーに、上側スパージャーに蓄えられためっき液が落下して発生する、帯状フープ材料の上側のめっき液のシミやめっき置換などの品質の問題を有していた。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、上側スパージャー内にめっき液漏れシャッターを設け帯状フープ材料の品質課題をなくすようにした部分めっき設備を供給することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の構成を有する。
【0015】
本発明の請求項1に記載の発明は、特に、上側スパージャーに蓄えられためっき液を、帯状フープ材料に、めっき時間以外は塗布しないようにするシャッター機構を設けた部分めっき設備であり、めっきシミ、めっき置換などの品質課題をなくす作用効果が得られる。
【0016】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、上側スパージャーが部分めっきする時は、シャッターが開状態でめっき液が塗出するように、上側スパージャーと下側スパージャーが開いた状態のめっきしない状態の時は、シャッターが閉状態になるようにシャッター開閉が調整出来るシャッター機構により、めっきシミ、めっき置換などを抑制し、めっき品質を向上することが出来るという作用効果が得られる。
【0017】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、上側スパージャーに取り付けられたシャッターに、開閉するための開閉キー治具を設け、開閉用スライドシリンダーでシャッター開閉スライド出来るシャッター機構により、めっきシミ、めっき置換などを抑制し、めっき品質を向上することが出来るという作用効果が得られる。
【0018】
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、上側スパージャー内に格納したシャッターに対して開閉機構を設け、上側スパージャー外からシャッター開閉が出来るシャッター機構により、めっきシミ、めっき置換などを抑制し、めっき品質を向上することができるという作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の部分めっき設備は、上側スパージャー内のシャッター機構により、帯状フープ材料に部分めっきを行った上側のめっき面に対して品質課題(めっき品質)となるめっきシミ、めっき置換を解決出来るとともに、部分めっき設備の、めっき飛び散り防止効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1〜4に記載の発明について説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態1における部分めっき設備のスパージャー内シャッター開閉機構、概略図の例を示す図であり、上側スパージャーユニット内のシャッター機構の詳細図である。
【0022】
図1において、17は帯状フープ材料である。3は上側ブロックであり、1は上側スパージャーである。上側スパージャー1内に格納したシャッター機構は、固定窓プレート18に可動窓プレート19をスライドするように設置し、可動キー20に可動用シリンダー21から伝達した駆動により可動軸に伝わり、可動窓プレート19をスライド出来るようになっている。
【0023】
上側ブロック3と上側スパージャー1は上側仕切板28で仕切られていて、別の室になっている。
【0024】
また下側ブロック4と下側スパージャー2も下側仕切板29で仕切られていて、別の室になっている。
【0025】
実際に部分めっきをする際には、帯状フープ材料17が、下側スパージャー2に密着して上側スパージャー1が下降してから、帯状フープ材料17が上側スパージャー1と下側スパージャー2に挟まれ、めっき液が漏れないようにしてめっき液を塗出するようにし、部分めっきを行う。
【0026】
上側スパージャー1の仕切られた室の中でめっき液が、ポンプ5の駆動で、上側ブロック3を通過し、上側スパージャー1に、めっき液が充満して固定窓26と可動窓27の位置が同一になった時に、部分めっきが出来るようになっている(図2(a))。
【0027】
まためっきが終了した際には、上側スパージャー1が上昇して帯状フープ材料17から離れる際には、可動窓プレート19は、可動用シリンダー21を駆動することでスライドして固定窓26と可動窓27が一致しない状態になり、めっき液を帯状フープ材料17に塗布しない状態になることが出来る(図2(b))。
【0028】
以上のような構成において、部分めっきをする際、めっき液を塗出させる、あるいは、塗出させない状態を、上側スパージャー外側の可動用シリンダー21の駆動で、制御することが出来る。
【0029】
このように帯状フープ材料17に、部分めっきする時以外は、めっき液を塗布しないようにすることで、めっき仕上がり品質を高めることが出来る効果が得られる。また部分めっき設備の調整時間(めっき液が飛び散ることでの各部品の動作不良)を短縮できる効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の部分めっき装置は、上側スパージャー内のめっき液を、塗布するか塗布しないかを制御することができることにより、帯状フープ材料に行った部分めっきの上側にめっき液が付着(または塗布)しない状態を作ることができ、部分めっきの上側のシミ、置換という品質課題が解決できるとともに、部分めっき装置の調整作業の時間短縮が図れるという効果を有し、各種部分めっきを行う部分めっき設備として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の部分めっき装置のスパージャー機構の概略図
【図2】(a),(b)スパージャー内シャッター機構の状態図
【図3】部分めっき装置の概略図
【図4】(a),(b)帯状フープ材料に部分めっきを行った概略図
【図5】従来の部分めっき設備のスパージャー機構概略図
【符号の説明】
【0032】
1 上側スパージャー
2 下側スパージャー
3 上側ブロック
4 下側ブロック
5 上側ポンプ
6 下側ポンプ
7 シリンダー
8 スライダ
9 タンク
10 受け
11 配管
12 筐体
13 配管
14 配管
15 配管
16 配管
17 帯状フープ材料
18 固定窓プレート
19 可動窓プレート
20 可動キー
21 可動用シリンダー
23 スパージャー外側用シリンダー箱
24 上側スパージャーユニット
25 下側スパージャーユニット
26 固定窓
27 可動窓
28 上側仕切板
29 下側仕切板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のフープ材料を上側のスパージャーと下側のスパージャーで挟み、めっきが必要な部分のみめっきを行う部分めっき装置において、上側スパージャーに蓄えられためっき液を、帯状のフープ材料に塗布させないシャッター機構を設けた部分めっき装置。
【請求項2】
上側スパージャーが部分めっきする時は、シャッターが開状態で、上側スパージャーと下側スパージャーが開き、帯状フープ材料を挟まない状態の時は、シャッターが閉状態になるように、シャッター開閉がコントロール出来るシャッター機構を有した請求項1記載の部分めっき装置。
【請求項3】
上側スパージャーに取付けられたシャッターは、開閉キーを設けエアーシリンダーでシャッター開閉がスライド出来るシャッター機構を有した請求項1記載の部分めっき装置。
【請求項4】
上側スパージャー内に格納したシャッターに対して、開閉用キー治具を軸に、上側スパージャーの外側に、開閉機構を設け上側スパージャーの外から、シャッター開閉が出来るシャッター機構を有した請求項1記載の部分めっき装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−22361(P2006−22361A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200291(P2004−200291)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】