説明

部分的に協力剤を備える殺虫性バリヤ

第1領域7及び第2領域8を具備する非生物材料製の殺虫性バリヤであって、第1領域は協力剤を備えており、及び第2領域は協力剤なしで殺虫剤を備えている、殺虫性バリヤ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばモスキート・ネットなどの、殺虫剤及び協力剤を含有する非生物材料製の殺虫性バリヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットの種々の殺虫処理及び斯かるネットの種々の用途は先行技術、例えば、スコフマンによる特許文献1におけるネット製品の概略的処理、バウア及びスコフマンによる特許文献2におけるフェンスとしての用途、ベスタガード・フランセンによる特許文献3における保護カバーとしての用途、又はベスタガード・フランセンによる特許文献4における空気浄化ネットとしての用途などに開示されている。
【0003】
モスキート・ネット及び殺虫性織物が直面する問題のひとつは、実地調査において明らかとなっており、モスキート・ネットの効力は、太陽光に晒されたときに又は熱に対する通常の露出により低減されることが見出されている。長期持続的な効力を維持するために、ベスタガード・フランセンによる特許文献5においては、繊維構造の内側に殺虫剤を取入れ、前記繊維構造は繊維の表面に向かう殺虫剤の漸進的な移行をともなうものであり、前記表面においてこの殺虫剤はUV防止物質と組み合わされることが提案されている。
【0004】
一般的理由で効力を増進するために、織物及びネット製品に協力剤を含めることが提案されてきた。例えば、ハタイピチスクによる特許文献6及びムーニー等による特許文献7においては、殺虫性の繊維及び織物における効力増進剤としてPBOが提案されている。またコラディン等による特許文献8及びカール等による特許文献9は、織物及びネット製品における協力剤としてPBOを提案している。
【0005】
通常は、殺虫剤に対する昆虫の代謝による大きな問題があり、この抵抗力に対抗すべくピペロニルブトキシド(PBO)が提案されてきた。例えばロサムステッドに対して譲渡された特許文献10に開示されているように、現場での噴霧に関してPBOは抵抗力減少剤として知られている。またサムソン等による特許文献11はテント織物における殺虫協力剤としてアミロペクチンを開示しており、及びイェーダン等による特許文献12は包装容器における協力剤としてPBOを使用することを開示している。
【0006】
しかし、相乗的化学物質は高価であると共に処理済みの織物もしくはネット製品に対するコストを増大させ、このことは、多くの状況において、特にネット製品又は織物が低収入の地域において提供されるべきとき望ましくない。従って、一方ではネット製品もしくは織物に対して、抵抗力を減少させると共に効力を増進する特性を付与し、他方では低コストな手法を提供することが好適であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開公報第WO01/37662号
【特許文献2】国際公開公報第WO03/003827号
【特許文献3】国際公開公報第WO03/090532号
【特許文献4】国際公開公報第WO06/024304号
【特許文献5】国際公開公報第WO03/063587号
【特許文献6】米国特許出願公開公報第2007/0009563号
【特許文献7】国際公開公報第WO90/14006号
【特許文献8】国際公開公報第WO06/128867号
【特許文献9】国際公開公報第WO06/128870号
【特許文献10】英国特許出願公開公報第2388778号
【特許文献11】米国特許第5,503,918号
【特許文献12】米国特許第3,859,121号
【特許文献13】国際公開公報第WO2006/092094号
【特許文献14】国際公開公報第WO06/127407号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】雑誌“Nature Reviews Microbiology”、第5巻、2007年5月、第377頁におけるトーマス(Thomas)及びリード(Read)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って本発明の目的は、殺虫抵抗力に対抗し且つ殺虫効力を増進する手段であって、該手段に対するコストを最小限にする手段を備えた殺虫性バリヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、第1領域及び第2領域を具備する基本的にはネットもしくは織物である非生物材料製の殺虫性バリヤであって、第1領域は協力剤を備え、及び第2領域は協力剤なしで殺虫剤を備える殺虫性バリヤにより達成される。
【0011】
例えばモスキート・ネットであるバリヤの一部分のみが協力剤を備えていることから、バリヤ全体が協力剤を備える場合よりもコストは低い。この点に関し、第1領域の面積は、第2領域のサイズのオーダーであり、又は好適には、例えば第2領域よりも相当に小さいなどの様に第2領域よりも小さいことが想起される。“オーダー”という用語は、第2領域が、第1領域よりも多くとも50%だけ大きく、好適には第1領域よりも多くとも20%だけ大きいことであると理解される。また相当に小さいという用語は、第1領域の面積が第2領域の面積の50%未満であり、好適には25%未満、又は第2領域の10%未満でさえあることを意味する。第2領域の面積より小さく、第2領域より相当に小さいことさえある第1領域の面積にもかかわらず、協力剤は以下に更に詳細に例証されるように非常に効率的であり得る。
【0012】
飛翔する昆虫、特に蚊は、バリヤを通り抜けようとする試みにより、バリヤにおける通路を探索する間にバリヤの幾つかの部分に接触させられる。結果として、昆虫が、第1領域及び第2領域にも接触するという大きな可能性があり、従って協力剤がバリヤの一部分上にのみ在るという事実にも関わらず、協力剤及び殺虫剤も受け取る大きな可能性が在る。
【0013】
バリヤという用語は、広範囲な意味で理解されるべきであって、殺虫トラップも包含している。例えば、バリヤという用語は壁掛けリネンも包含しており、その上では昆虫が休み且つ昆虫はそれを横切る意図を有さないこともある。
【0014】
協力剤という用語は一種類の協力剤もしくは複数種類の協力剤を包含し、その場合に複数種類の協力剤は混合物でもよいが、必ずしもそうである必要はない。第1領域は、該第1領域の一部分に第1協力剤を及び該第1領域の他の部分に別の協力剤を備えてよい。協力剤という用語はまた、協力剤に対する類似物又は前駆体も包含する。殺虫剤という用語は、一種類の殺虫剤もしくは複数種類の殺虫剤を包含し、その場合に複数種類の殺虫剤は混合物でもよいが、必ずしもそうである必要はない。第2領域、又は代替的に第1領域及び第2領域は、第2領域の一部分に第1殺虫剤を、及び第2領域の他の部分に他の単一の殺虫剤又は他の複数の殺虫剤を備えてよい。
【0015】
更なる実施例において、第1領域はバリヤの上側部分であり且つ第2領域はバリヤの下側部分である。多くのモスキート・ネットは区別可能なルーフ及び区別可能な側壁を備え、ルーフには協力剤を備え、側壁には協力剤なしで殺虫剤を備えることが有利である。その利点は多数ある。第一に、蚊は典型的に、バリヤを通り抜けようとする最初の試みにおいてモスキート・ネットのルーフ上に止まることが観察されている。この瞬間において、協力剤は蚊へ送り込まれる。更なる試みの間、蚊は下方へ動いて殺虫剤を吸収する。この吸収は、協力剤の取り込みに対して遅延されて、協力剤による漸進的な抵抗力の低下により効力を増大する。
【0016】
第2の利点は、モスキート・ネットのルーフ部分が側壁の面積よりも相当に小さいということである。従って、前記ネットの比較的に小さな面積が協力剤を備えるべきであり、このことは、ネットに対する価格が標準的な殺虫性ネットと比較してそれほど増大されないことを意味する。蚊は典型的には先ずネットのルーフ上に止まるという上述の事実に関し、斯かるモスキート・ネットの反抵抗力特性は、ネット全体が例えばPBOなどの抵抗力破壊協力剤により処理された場合より、それほど小さくはない。
【0017】
協力剤は殺虫剤の作用を増進することから、バリヤの第2領域上での殺虫剤の量は減少され、これにより、バリヤに対する全体的なコストが低減されると同時に、環境へ放出される殺虫剤の量が最小限とされる。通常は、例えば合成ピレスロイドなどの殺虫剤のコストは比較的に高い。従って、殺虫剤の量を最小限に抑えることは、環境に対する影響の低減からも通常は望ましいことである。本発明に係るバリヤとしてのモスキート・ネットによる例の場合、側壁上の殺虫剤の減少が協力剤に起因する付加的な費用を相殺する、と言うのも特に側壁の面積は頂部の面積よりも大きいからである。
【0018】
バリヤの第1領域は一種類以上の協力剤及び一種類以上の殺虫剤を含み得る。この場合、昆虫の接触時に協力剤及び殺虫剤の両方が昆虫に対して送り込まれ、このことは、殺虫効力及び抵抗力低下が即時に開始することを意味する。バリヤがルーフ及び側壁を備えた上述の種類のモスキート・ネットである場合、該ネットのルーフは蚊による最初の接触時に既に殺虫的に作用する。この実施例はまた、事前作製された殺虫性ネット材料がルーフ及び側壁の両方に対して使用され得るという利点を有し、その場合にルーフはルーフ材料内の又は該材料上の殺虫剤に加えて協力剤により処理される。例えば標準的な殺虫性ネットが基本材料として使用されて、本発明の一部として、ルーフ部分が協力剤により処理されてよい。
【0019】
代替的に、第1領域は殺虫剤なしで協力剤を備えてもよい。これは殺虫剤に対する費用を減少させる、と言うのも第1領域はこの種の化学物質を必要としないからである。モスキート・ネットの例の場合、ネットのルーフ部分と壁部は異なる様に処理されてよい。例えば、ルーフ部分は協力剤により含浸され、側壁は、殺虫剤により含浸されるか、又はネット製品の材料内に取入れられた殺虫剤を有してよい。殺虫剤の取入れは特許文献5に記述されている。
【0020】
バリヤの第1領域はポリマ基材により提供され、該ポリマ基材内には、該基材の内側から該基材の表面への漸進的な移行のために協力剤が取入れられ、又は代替的に、第1領域はポリマ基材により提供され、該ポリマ基材内には、該基材の内側から該材料の表面への漸進的な移行のために、該基材の表面から相当の深さまで協力剤が含浸されてよい。この様にして長期持続的な効果が達成される。協力剤は、例えば製造の間における溶融段階において材料内に取入れられてよく、その場合には押出しがひとつの可能性である。例えば協力剤は、殺虫剤と共に、又は殺虫剤なしで、含浸され又は取入れられ得る。
【0021】
ひとつの好適な組み合わせは、第1領域のポリマ基材が、基材材料中に取り入れられた例えばPBOなどの協力剤を有するが基材中には殺虫剤を含まず、前記ポリマ基材の表面の少なくとも一部分上には例えばデルタメトリンなどの殺虫被覆を有することである。この点に関しては、前記基材は初期状態において協力剤を備えるが殺虫剤を含まずに提供されることが必須である。従って更なる実施例において非生物材料の基材は、少なくとも被覆プロセスまでは殺虫剤を含まない。前記基材は初期状態において殺虫剤を何ら取入れていないが、次に起こる被覆段階の後で被覆からポリマ基材内へ殺虫剤が移行し、これは依然として本発明の有効範囲内である。従って更なる実施例において、前記基材は、殺虫剤を含まない初期の固体状態を有し、その場合にそれは少なくとも一種類の協力剤を含み、及びそれは最終的な固体状態を有し、その場合にそれは殺虫被覆を含む。PBOが第1領域の表面に到達するために、前記薄膜は該薄膜を通る協力剤の移行を自由にさせる。
【0022】
ポリマ基材の表面へ移行する能力を有する状態で前記基材中に協力剤を取入れることにより、第1領域において前記基材を被覆する最終的な殺虫組成物に対して多数の選択肢を残す生成物が提供される。
【0023】
代替的に協力剤は、例えば薄膜被覆、表面印刷、又は活性印刷により第1領域の表面に付着されてもよい。
【0024】
例えば、第1領域及び/又は第2領域は、特許文献1に開示されたような耐洗浄ポリマ薄膜で被覆され得る。この場合、前記薄膜は、水分及び任意選択的には油に耐える薄膜を形成することによりネット製品もしくは織物からの殺虫剤の洗い落ち及び劣化を減少させる薄膜形成成分を含んでおり、前記薄膜は、基材上のもしくは該基材の回りの分子シールドであって殺虫剤を該薄膜内に一体化している分子シールドであり、薄膜形成成分は、ポリマ骨格固定剤と、パラフィンの油類もしくはワックス類、シリコン類、シリコンの油類及びワックス類、及びポリフルオロカーボン類、又はそれらの誘導体から選択された一種類以上の成分とを含む。好適には、薄膜形成成分は、ポリマ骨格固定剤に対して結合されたポリフルオロカーボン側鎖を含む。好適には殺虫剤は、これらのポリフルオロカーボン側鎖間に移行可能に捕捉されると共に、ポリフルオロカーボンの疎水作用により水から保護される。これは、殺虫剤が保護的ポリフルオロカーボン内に在る限り表面上の水もしくは油から保護されることを意味する。この点に関し、殺虫剤は側鎖間に解放可能に捕捉されることが重要である。換言すると殺虫剤は、昆虫に取り込まれるために前記骨格から抜け出て薄膜の表面へ移行できるように易動性を有さねばならない。前記移行は殺虫剤濃度の勾配により少なくとも部分的に支配されるが、長期間に亙り繊維の外側表面上に十分に多い供給量の殺虫剤があるように、最適な移行速度を得るために活性移行の促進剤もしくは抑制剤も適用されてよい。
【0025】
これに加え、例えばPBOなどの協力剤もまた対応して、洗浄に対しては保護されるが昆虫に取り込まれるべく薄膜の表面へ漸進的に移行可能であるべく、側鎖間に移行可能に捕捉されてよい。これは本発明に関して有利である。但し、特許文献1に開示された方法及び被覆における殺虫剤を、例えばデルタメトリン及びPBOなどの、殺虫剤及び協力剤の組み合わせと置き換えることは、一般的な手法であると共に、第1領域がPBOを有し且つ第2領域が殺虫剤を有することを必要とせずにより広いレベルでも使用され得る。
【0026】
殺虫剤は有さないが例えばPBOなどの協力剤を有する薄膜形成成分が望まれた場合、特許文献1に開示された方法が、被覆中の殺虫剤に代えて協力剤を備えた被覆のために用いられてよい。これは、一般的な手法ではあるが本発明に関しては有利であり、また第1領域がPBOを有し且つ第2領域が殺虫剤を有するということを必要とせずに、より広いレベルでも使用され得る。
【0027】
これに加え、殺虫剤及び/又は協力剤による特許文献1の開示に係る方法は、
i)殺虫剤及び/又は協力剤が、水分が5%未満のアルコールもしくはグリコールと組み合わされた溶媒中に溶解される、あるいは
ii)殺虫剤及び/又は協力剤が、溶媒中に溶解されて水と混合され、又は30℃未満の温度を有する水相の乳濁液もしくは溶液と混合され、任意選択的に前記溶媒は混合の前にアルコールもしくはグリコールと組み合わされる、あるいは
i)とii)を組み合わせる、ならば改善されることがある。この改善は、2つの様相i)及びii)はいずれも、組み合わせ溶液中における殺虫剤の沈殿の虞れを減少するという事実に起因する。この減少は、薄膜中における殺虫作用の寿命を延ばすと共に、洗浄耐性を向上させる。このことはピレスロイド類に対して特に当てはまり、その場合に好適な殺虫剤はデルタメトリンもしくはペルメトリンである。従って、段階i)を適用するか又は段階ii)を適用することは先行技術と比較しての改善ではあるが、最良の改善は、i)及びii)の組み合わせを用いることにより達成される。
【0028】
薄膜形成成分は、UV防止物質;防腐剤;界面活性剤;充填剤;衝撃強度改質剤;防曇剤;発泡剤;清澄剤;核化剤;表面処理剤;静電気を防止する導電性増進剤;抗酸化剤、炭素及び酸素ラジカル捕捉剤、及び過酸化物分解物質などの安定剤;難燃剤;離型剤;蛍光増白剤;展着剤;粘着防止剤;移行防止剤;移行促進剤;発泡形成剤;再汚染防止剤;汚染防止剤;増粘剤;更なる殺生物剤;湿潤剤;可塑剤;接着剤もしくは接着防止剤;芳香剤;顔料及び染料;及び水もしくは有機溶媒を含む他の液体;のような他の成分を含み得る。
【0029】
本発明に関して適用可能である代替的な殺虫被覆は、殺虫薬と、水性のポリウレタンラテックスもしくはポリアクリレートラテックスの様な水性接着剤と、エポキシポリマ架橋剤などの架橋剤とを含むネット/織物被覆に関するリウ等による特許文献13に開示されている。特許文献13には、本発明に関しても適用可能である多数の異なる調製物が開示されており、より詳細には特許文献13は蚊/昆虫を撃退して始末する仕上げ液を開示しており、その調製物は(質量百分率に基づき)、
殺虫薬及び/又は防虫剤 0.05%〜40.00%、
接着剤 5.00%〜40.00%、
架橋剤 0.025%〜1.50%、
を含み、残部は水であり、全ての成分は総計で100%に達する。
【0030】
特許文献13における殺虫薬は1〜50%の有効含有量を有する水性殺虫薬であり、該水性殺虫薬は以下の物質の内の一種もしくは二種から調製される:デルタメトリン、シフルトリン、シハロトリン、シス−シペルメトリン、ペルメトリン、及びエトフェンプロックス。特許文献13における防虫剤は1〜50%の有効含有量を有する水性防虫剤であり、該水性防虫剤は以下の物質の内の一種もしくは二種から調製される:ジエチルトルアミド(DEET)、ジメチルフタレート、及びペルメトリン。特許文献13における殺虫薬及び防虫剤の水性添加形態は、以下の添加形態の内の一種もしくは二種を含む:水和性粉体、水中分散可能な粉体、水中分散可能な懸濁液、水中分散可能な錠剤、水中乳濁液、マイクロカプセル懸濁液、及び水中分散可能な細粒。特許文献13における接着剤は40〜50%の固形分を備えた水性接着剤であり、これは以下の物質の内の一種もしくは二種を含む:ポリブタジエン・ラテックス、水性ポリウレタン・ラテックス、ポリアクリル酸ラテックス、ポリアクリレート・ラテックス、又は酢酸ビニル・ラテックス。特許文献13における架橋剤は以下の物質の内の一種もしくは二種を含む:エポキシポリマ架橋剤;メチルエーテル化ヘキサヒドロキシメチル・メラミン樹脂の一次縮合体による架橋剤;多官能アジリジン架橋剤;種々のヒドロキシメチル架橋剤;ヒドロキシエチルとエポキシ基とから成る架橋剤;及びエポキシクロロプロパン及びヘキサンジアミンのアセテート架橋剤。
【0031】
好適には、本発明に関する殺虫剤はピレスロイドであり、好適にはデルタメトリン又はペルメトリンであるが、特許文献1においてリストとして開示された他のピレスロイドも適用され得る。但し本発明は、含浸のための組成物におけるカルバミン酸塩又は有機リン酸塩に関しても適用される。可能な殺虫剤のより広範囲なリストは、防虫剤の例も含む特許文献1もしくは特許文献9に見出される。
【0032】
これに加え、殺虫剤という用語は、上述されたような及び本発明による含浸のための組成物中の殺虫剤の組み合わせに対しても適用される。例えばピレスロイドは、抵抗力のある昆虫とも戦うために、カルバミン酸塩もしくは有機リン酸塩と組み合わされることがある。同様に、2種類以上の殺虫剤が、例えば印刷もしくは噴霧技術によりネットもしくは織物の種々の部分に付着されると共に、均一に混合及び使用されなくてもよく、このことは、毒物学的及び登録の理由に関して有用であり得る。ネットが大規模な作戦において使用される場合、代替的もしくは補足的な殺虫剤は、不妊化効果も備えることにより蚊を不妊化し且つ次世代の蚊を回避する殺虫剤でもよい。斯かる殺虫剤は、ベンゾイル尿素類又はトリアジン類であり得る。
【0033】
更なる可能的な組み合わせとしては、例えばピレスロイドと組み合わされる、特許文献14に開示されたメタフルミゾン、特許文献9に開示されたN-アリールヒドラジン、又は特許文献8に開示された1-フェニルトリアゾールの誘導体が挙げられる。
【0034】
これに加え、又は代替的に、殺虫剤は被覆中において、例えば、ピペロニルブトキシド、スルホキシド、トロピタル、ブカルポラート、エチオン、プロフェノホス、若しくはジメトエート、ピペロニルシクロネン、TPP、マレイン酸ジエチル、NIA-16388(NIA)、S-421、MGK-264(ビシクロヘプテンジカルボキシイミド)、S,S,S-トリブチルホスホロトリチオエート(DEF)、N-オクチルビシクロヘプテン・ジカルボキサミド、セサミン、セサモリン又はセサメックスなどの協力剤と組み合わされてもよい。
【0035】
本発明に関する被覆に対する更なる代替例は特許文献6に開示されており、その場合に本発明の種々の実施例に係る解決策の調製物は、以下のような4つの要素を具備している:1.迅速に活性化すると共に高い沸点を有する、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、ビフェントリン、ペルメトリン、及びシハロトリンのような、ピレスロイド類からの殺虫剤。2.例えば、ペルフルオロアクリレート、樹脂、接着剤及びポリカーボネートの配合物などの、繊維安定増進剤。3.澱粉、ゴム及び二酸化チタンのような増粘剤。4.例えば水などの溶媒。
【0036】
上述されたように、第1領域に加えて第2領域もまた薄膜被覆中に殺虫剤を備えてよい。従って、最初に第1領域に協力剤が備えられて、その後第1領域も第2領域と同様に殺虫薄膜で被覆されてよい。
【0037】
被覆という用語は、液相もしくは気相で適用されて固体となる表面付着物を包含する。薄膜被覆に対する代替例として、又はそれに加え、第1及び/又は第2領域への協力剤の付着及び/又は殺虫剤の表面付着は、協力剤及び/又は殺虫剤を含む物質をバリヤ上に印刷することにより達成され得る。前記印刷は、バリヤの表面上へ提供される薬もしくはパスタという結果になるか、又は活性印刷によれば、殺虫物質は繊維の材料に進入する。バリヤの表面に対して協力剤及び/又は殺虫剤を提供する更なる手段は、第1及び/又は第2領域上の積層物による。これに加え、協力剤及び/又は殺虫剤は上述の技術の組み合わせにより提供され得る。
【0038】
もし、殺虫剤を備える表面付着物が、協力剤を備える第1領域上に備えられると共に、該表面付着物が第1領域の大部分もしくは全てを覆うのであれば、表面付着物は、バリヤの表面に向かう協力剤の移行を自由にさせねばならない。但し、例えば小さな斑点もしくはストライプの印刷により表面付着物が第1領域の複数の部分に対して適用されているならば、該表面付着物は協力剤の移行を必ずしも自由にさせる必要はない。このことは、表面付着物が配備されていない領域のみにて協力剤が昆虫へ送り込まれることを意味する。
【0039】
同様に、本発明に関する昆虫との戦いにおいては、昆虫を不妊化する作用物質、又は昆虫病原菌を有する作用物質などの他の作用物質も適用され得る。例えば、これらはバリヤの表面に付着される。昆虫との戦いに対する菌性生物殺虫薬の例は、非特許文献1に記述されている。現時点においては、特に昆虫病原性真菌が最も有効と思われるが、代替的に又は付加的に、昆虫に感染するウィルス、バクテリア、又は原生動物が適用されてもよい。
【0040】
これらの領域に対しては、印刷技術を使用することにより、殺虫剤及び協力剤だけでなく、必要に応じて上述の昆虫病原菌及び/又は昆虫不妊化作用物質も付着され得る。噴霧もしくは印刷の技術を用いることにより、小さな斑点又は大きな領域が、正確な位置決め及び正確な適用量で提供され得る。更に、異なる作用物質が、並置されるだけでなく、互いの頂部に付着されてもよく、その場合これらの異なる作用物質は被覆層を通って移行する。
【0041】
一例として、ネットの第1領域は協力剤を含み、第2領域は殺虫剤を含み、第3領域は昆虫病原菌を含み、及び第4領域は不妊化作用物質を含み得る。代替的に、これらの作用物質の内の3つのみが使用されてもよい。
【0042】
代替的に、第2領域はポリマ基材により提供され、前記ポリマ基材内には、長期持続的な殺虫効力を有すべく、該材料の内側から該材料の表面への漸進的な移行のために一種類以上の殺虫剤が取入れられるか又は含浸される。殺虫剤の含浸及び取入れは、特許文献5において更に詳細に説明されている。
【0043】
更なる代替例として、第2領域は、ポリマ基材中に取入れられたもしくは含浸された第1殺虫剤、及び更に殺虫薄膜を備える。前記基材中の単一もしくは複数の殺虫剤は前記薄膜中の殺虫剤と異なっていてよく、これは複数の殺虫剤の内のひとつの殺虫剤に対する殺虫抵抗力に対抗する更なる対策として使用され得る。
【0044】
第1領域における協力剤及び/又は殺虫剤の移行の場合、前記基材中における協力剤及び/又は殺虫剤の移行速度、及び更なる協力剤又は殺虫剤の移行速度を考慮することが重要である。例えばこれは、任意選択的に作用する移行促進剤及び移行抑制剤の適切な選択により調整され得る。
【0045】
本発明に係るバリヤは、構造的に異なる実施例として提供される。例えば、バリヤは、ネット、織物、薄膜もしくはターポリン、又はこれらの組み合わせである。更なる実施例において、バリヤの第1領域は、フォイル、ターポリン、織物、又はネットのいずれかであるタイプのバリヤにより提供され、及び第2領域は、例えばフォイル、ターポリン、織物、又はネットなどの、第1領域のバリヤのタイプとは異なるタイプのバリヤにより提供される。例えば、第1領域はネットにより提供されるが、第2領域はターポリンの薄膜により提供される。斯かる組み合わせは特許文献2に開示されたようなフェンスに対して使用され、その場合下側部分は低空飛行する昆虫が無蓋領域???に入るのを阻止するネット製品であり、及び上側部分は該ネットに沿って上方に飛翔する昆虫を捕捉するターポリン材料である。ネットは昆虫に対して協力剤を提供し、これは抵抗力を衰弱させ、及び上側のターポリンは、抵抗力の低下後に無蓋領域に到達する前に、昆虫を殺虫剤により殺すのに十分な長い時間捕捉する。
【0046】
織物という用語は、織られた若しくは編まれた織物又は不織布を包含すると共に、特殊な感触を与えられた織物であるドゥムリア(Dumuria)織物も包含する。ドゥムリア織物は、パーマネット・ドゥムリア(PermaNet(登録商標)Dumuria)の商標名で市販されている。特に、効率的な昆虫バリヤであるパーマネット・ドゥムリア織物は、その融通性及び低コストの従って、農村地帯で大きな成功を見た。織物に対する好適な材料は、ポリオレフィン、特に、ポリエステル(ポリエチレン・テレフタレート、PET)又はポリエチレンである。上述されたように、協力剤及び/又は殺虫剤は、材料内に取入れられるか、又は被覆として提供され得る。不織布に関し、本発明は特に毛布に対して有用である。斯かる毛布は協力剤を含む一側面と殺虫剤を含む一側面とを備え得る。従って、人体と接触する側は人間に対する健康の虞れが非常に低いことを意味するピレスロイドを含むが、他側面は、相当の皮膚接触が一般的には回避されるべきである協力剤を含み得る。不織毛布の用法は、特許文献3に記述されている。
【0047】
異なる領域は、例えばパッチワーク状に相互に縫い合わされてもよい。
【0048】
本発明の別の好適な用途は壁掛けリネンに対するものであり、前記壁掛けリネンは、その上に止まる昆虫に対して殺虫剤及び協力剤を送り込む目的で壁に掛けられる織物である。
【0049】
バリヤが、例えば円形もしくは矩形の天蓋の形態であるモスキート・ネット、又はフェンスの形態の昆虫ネットである用途に対し、そのネットは、選択された目標昆虫が該ネットを通り抜けるのを阻止する網目サイズを有するが、他の昆虫は網目をすり抜けることがある。網目サイズは目的に依存する。但しバリヤは、例えばターポリン、織物、又は薄膜であることなどにより、全ての種類の昆虫に対するバリヤであることが可能である。殺虫性ターポリンが特許文献5に開示されている。
【0050】
必要な協力剤の量を減少させる別の手法はモザイク状パターンをバリヤに形成することにより達成されることが可能であり、前記モザイク状パターンは、複数の第1領域が、協力剤、任意選択的には殺虫剤と混合された協力剤を備えると共に、協力剤無しで殺虫剤を備える複数の第2領域間に配置されるものである。例えば前記パターンは、交互的な協力剤及び殺虫剤の内容を備えた水平もしくは垂直な複数のストライプが可能である。バリヤがモスキート・ネットである場合、該バリヤの背後の空間に進入しようとする蚊は、数本のストライプに接触し、殺虫剤及び協力剤の両方に晒される。ネットの一部のみが協力剤を備えていることから、特定箇所における協力剤の濃度は低コストであり乍らも高く維持され得る、と言うのもネット全体が例えばPBOなどの協力剤を含む必要はないからである。例えば、チェス盤に類似したチェック柄パターンなどの他の形態のパターンが可能である。この場合にはまた、複数の第1領域の総面積は、複数の第2領域の面積よりも小さく、可能的には相当に小さくてよい。
【0051】
協力剤及び/又は殺虫剤を付着させる可能な付着技術としては、印刷技術及び噴霧技術が挙げられる。例えば、協力剤及び/又は殺虫剤は互いの頂部に印刷され得る。
【0052】
本発明に係るネットの用途は更に、前述の特許文献1に開示されたネット製品、もしくは特許文献2に開示されたフェンス、若しくは特許文献3に開示された保護カバー、若しくは特許文献4に開示された空気浄化ネットに関するものであるか、又は特許文献5に開示された繊維の表面への漸進的な移行を伴う繊維構造の内側に取入れられ得る。従って、これらの開示内容は引用することにより本明細書中に援用される。
【0053】
本発明がフェンスに関して使用される場合、例えば人間を昆虫による攻撃から保護するために昆虫に対する高度の防御が望まれるなら、二重フェンス構造が使用されることがある。この二重フェンス構造は、保護される無蓋領域から所定距離をあけた第1フェンスと、無蓋領域を少なくとも部分的に取り囲む第2フェンスとを具備する。第1フェンスは協力剤及び任意選択的に殺虫剤を備える。第2フェンスは殺虫剤を備える。低く飛んで接近する昆虫は先ず第1フェンスに接触し、例えばPBOなどの協力剤を獲得し、この協力剤は、第2フェンスに対する遅延した接触が高い割合での殺虫大打撃を実現するように、及び昆虫が協力剤の獲得の後で人間を攻撃する十分な時間がない様に、殺虫抵抗力を次第に低下させる。第1フェンスも殺虫剤を備えるなら最高の死虫率が期待される。この殺虫剤は任意選択的に第2フェンスの殺虫剤と異なってよい。
【0054】
好適実施例は、第1領域としてのルーフであって協力剤を備えるルーフを有する蚊帳に関係するものであり、前記蚊帳は第2領域としての側壁であって殺虫剤を備える側壁を有し、その場合に側壁は該側壁の下縁部に保護裾部を備えている。斯かる裾部に対する材料は好適には、例えば、フォイル、織物、もしくはターポリンである。
【0055】
本発明に係る原理の更なる有用な用途は殺虫性バリヤに関連しており、前記殺虫性バリヤは、例えば蚊などの選択された昆虫が当該バリヤを通り抜けることを阻止する網目サイズを備えた上側の殺虫性の第1領域を有する。第2領域は、バリヤの下縁部から40cmを超える高さまで、例えば60cmもしくは80cmを超える高さまで延在する下側部分を有する。別実施例において、バリヤの下側部分は、80cmもしくは100cmの高さまでのみ延在する。例えば、第2領域は、60〜80cmの間、又は80〜100cmの間、好適には約90cmの高さまで延在することがある。
【0056】
例えば、下側領域は上側部分及び下側部分を有し、該上側部分はネットであり、下側部分は、殺虫性織物、又は殺虫性ターポリン、又は上側部分のネットよりも大きな引裂強度を有するネット材料を備えた殺虫性ネット、又はこれらの組み合わせを具備する。下側部分を、織物、又はターポリン、又はフォイル、又は上側部分のネットよりも大きな引裂強度を有するネット材料で形成することによりバリヤにおける裂断の虞れは減少される、と言うのも特に下側部分は典型的に機械的摩滅に晒されるからである。
【0057】
さらに、第1領域がネットから作られて、下側領域の上側部分もネット、織物、ターポリン、又はフォイルであるモスキート・ネットに関連して、下側部分は、当該バリヤの下の領域内へ砂蝿が飛び込むことを阻止する。砂蝿は通常は危険である、と言うのもそれに噛まれるとリーシュマニア症が引き起こされることがあるからである。先行技術のモスキート・ネットにおいて、砂蝿はネットへの進入が阻止されない、と言うのもそれらはネットの網目を通して進入しできるからである。但し、砂蝿はそれほど高くは飛ばないので、バリヤがモスキート・ネットである場合においてさえも、本発明は砂蝿に刺されることを阻止するという利点も有している。
【0058】
殺虫性バリヤの下側部分は、床部まで下方に延在してもよく、あるいは、織物裾部、ターポリン裾部、若しくはフォイル裾部まで下方に延在してもよく、その場合に裾部は例えば10cmもしくは25cmなどの一定の高さまで上方に延在する。斯かる裾部は、それら自体、蚊帳に対して普通に用いられる円形もしくは矩形のタイプの天蓋状バリヤで知られている。
【0059】
ひとつの好適な解決策は、蚊帳のタイプ又は他の種類のモスキート・ネットタイプのバリヤであって、任意選択的には殺虫剤と組み合わされた協力剤を含む第1領域としてのルーフ部分と、殺虫剤は含むが協力剤は含まない第2領域としての側壁と、織物、ターポリン、フォイル、又は例えばより太い糸材及びより小さい網目サイズを有することにより上側部分のネットよりも大きな引裂強度を有するネット材料で作られた裾部とを備えるバリヤである。
【0060】
別の好適実施例は、必ずしもルーフは備えない殺虫性バリヤであり、その場合に第1領域は、例えば側壁の上側部分であるバリヤの上側部分を具備しており、及び第2領域は、例えば側壁の下側部分であるバリヤの下側部分を具備している。例えば下側部分は、下縁部から60cmを超えて上方に延在し、任意選択的には下縁部から80cmもしくは100cmを超えて上方に延在する。これに加え、バリヤは、例えば該バリヤの下縁部から10cmもしくは25cmなどの一定の高さまで延在する裾部を備える。好適には、下側部分として、第2領域は、殺虫性織物、又は殺虫性ターポリン、又は上側部分のネットよりも大きな引裂強度を有するネット材料を備える殺虫性ネット、又はこれらの組み合わせを具備する。例えば、より大きな引裂強度が、より強力な材料をネットに用いることで達成され得る。
【0061】
有利な実施例において、第2領域の下側部分は、より大きな網目密度、より大きな織り糸密度、及び/又はより大きな重量密度を有する。より大きな網目密度及び/又は織り糸密度を備えるネットは単一の製作工程においても達成可能であり、その場合に織成工程は、例えば付加的な糸材を含めることにより下側部分に対するものとは異なるものである。
【0062】
実際的な実施例において、第1領域のポリマ基材は、押出しノズルを通した溶融熱可塑性ポリマの押出しにより形成される。この方法はネット及び織物に繊維を提供する。協力剤は、ポリマ移送スクリュの前におけるチャネルを通して溶融ポリマに添加されるか、又は高温ポリマと殺虫剤/協力剤との間の非常に短い接触時間のみが望まれるなら、押出しノズルの直ぐ上流におけるチャネルを通して、若しくはまさに押出しノズル内で、溶融ポリマに添加される。このことは一定の組み合わせにおいては重要であり、特に基材が、織物及びネット製品にとって好適な材料であるポリエステル(ポリエチレン・テレフタレート、PET)で作られるならば重要である。これはその通りである、と言うのもポリエステルの溶融温度は、協力剤もしくは殺虫剤材料の分解に繋がり得る約250℃だからである。
【0063】
但し、協力剤又は殺虫作用物質の分解及び物理的損失の程度は、温度に依存するだけでなく、該作用物質が高温に晒される時間にも依存する。作用物質の高温接触時間を最小限にすることにより、前記損失は相当に減少される。此処における損失は蒸発及び可能的な熱分解を含む。
【0064】
従って、高温に対する露出時間を最小限にするために、特殊な原理の押出しノズルが発明された。この原理は、チャネルを備えたノズルであり、押出プロセス中に前記チャネルを通して協力剤が溶融ポリマ内へ添加される、その場合に前記チャネルはノズル出口から短距離だけ上流に設けられている。この点に関し“短距離”という用語は、協力剤もしくは殺虫剤の温度上昇と、この温度における時間経過であって押出された基材中に依然として十分な量の無傷の協力剤もしくは殺虫剤を残す時間経過と、に帰着する距離であると理解されるべきである。例えば前記距離は、協力剤もしくは殺虫剤の最大の温度上昇と、この温度上昇に対する協力剤もしくは殺虫剤の最大の露出時間とをもたらすように選択された距離であり、その場合に最高温度及び最長時間は事前定義された上限値により制限される。
【0065】
この“十分な量”が如何ほどであるかは、協力剤及び/又は殺虫剤と、容認可能な損失のレベルとに依存する。ある場合には、残存する1%の協力剤及び/又は殺虫剤が依然として、長期に亙る殺虫抵抗力に対抗する有効量の範囲内であるなら、99%の損失が容認可能であり得る。他の場合には、90%未満の損失率が容認可能であり得る。従って本発明は、ポリマの溶融温度が協力剤の沸点及び/又は殺虫剤の分解温度より遙かに高いという事実にも関わらず、協力剤及び/又は殺虫剤を熱可塑性ポリマに取入れる方法を提供する。実験においては、驚くべきことに、250℃を超える押出し温度にも関わらず、ポリエステルに対しては50%を超える協力剤が無傷であることが分かった。
【0066】
好適実施例において、前記チャネルは、例えばノズル出口から数mmもしくは1cm以内で押出し品の側部に設けられる。このことは、協力剤及び/又は殺虫剤を有する作用物質は、それがノズルに進入するときに先ずポリマの温度にさらされることを意味する。例えば前記ノズルはリング状に形成された作用物質供給管路により取り囲まれており、前記作用物質供給管路は、ノズルを通るポリマ流束の縁部のほぼ全体に亙り、溶融ポリマ内へ作用物質を注入する。
【0067】
このことは、ポリマからの熱の取り込みに起因する作用物質の温度上昇がポリマの硬化及び冷却を促進するように、注入の前に作用物質を冷却する可能性も残している。これに加え、押出されたポリマは、例えば低温の空気噴射により、前記押出しノズルから短距離だけ下流で積極的に冷却されてもよい。
【0068】
協力剤及び/又は殺虫剤をポリエステルに取入れる前記の可能性にも関わらず、ポリエチレンの相当に低い溶融温度は、ポリマ基材中への協力剤及び/又は殺虫剤の取入れを相当に容易にする。従ってこの事実を利用するために、本発明に係るバリヤは、例えば第1領域に対する第1ポリマ及び第2領域に対する第2の異なるポリマからなる複数のポリマにより提供され得る。
【0069】
天蓋モスキート・ネットであるバリヤの場合、ルーフ部分はポリエチレンで側壁はポリエステルで作成され得る。その場合、例えばPBOなどの協力剤をポリマの比較的に低い溶融温度でルーフ部分に取入れることは比較的に容易であろう。より強靱であり且つ快適ではないポリエチレン製のルーフ部分はユーザにより接触されることは殆どないが、ネットの側壁は、快適で柔軟でコットンの様な感触を有するポリエステルで作られてよい。
【0070】
本発明は、図面を参照して更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】異なる種類の糸材の混合物を具備する本発明に係るネットを示す図である。
【図2】パターンの第1部分が協力剤を備え且つ第2部分が協力剤なしで殺虫剤を備えるパターンを示す図である。
【図3a】協力剤を備える上側部分及び協力剤なしで殺虫剤を備える下側部分を備えた天蓋ネットを示す図である。
【図3b】長手ストライプによるパターンを備える天蓋ネットを示す図である。
【図3c】チェック柄パターンを備える天蓋ネットを示す図である。
【図3d】矩形状天蓋を示す図である。
【図4】フェンスを示す図である。
【図5】シェルタを示す図である。
【図6】テントを示す図である。
【図7】裾部を備える天蓋を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1において、例えばネット製品もしくは織物であるバリヤ11は、ドット14として示された協力剤、及び任意選択的に殺虫剤も備える表面層13を有する第1のタイプの糸材12を備えて示される。第2のタイプの糸材15は一切の協力剤を備えない。殺虫剤は、例えば適切な流体混合物中への浸漬による含浸により、又は表面薄膜として、バリヤ11の表面に付着され得る。例示のために、第1のタイプの糸材12に対する代替物として、又はそれと組み合わされる第3のタイプの糸材16が示され、その場合に第3のタイプの糸材16は、該糸材16の材料18の内部からの移行により提供された表面17上の例えばPBOなどの協力剤14を含んでいる。例示のために、第1のタイプの糸材12又は第3のタイプの糸材16に対する代替物として使用される第4のタイプの糸材19が示される。この第4のタイプの糸材19は、協力剤リザーバ10を備えており、前記協力剤リザーバ10は、該リザーバ10から繊維材料18'を通り糸材19の表面17に至る協力剤14の移行により糸材19の表面に協力剤14を供給する。第1のタイプの糸材12、第3のタイプの糸材16、又は第4のタイプの糸材19は本発明のバリヤの第1領域を構成するのに対して、第2のタイプの糸材はバリヤの第2領域を構成する。示された各糸材は単一のフィラメントとして例示されているが、マルチフィラメント、又は合わせ糸材も利用される。
【0073】
図1に例示されたような異なる種類の糸材は蚊帳及び壁掛けリネンに有利に取入れられ、その場合に壁掛けリネンは壁部を覆うと共に、該リネンに接触して休止する昆虫に対して殺虫剤及び協力剤を送り込む。壁掛けリネンは昆虫が障壁を通り抜けることを阻止することからバリヤとも称されるが、それは壁自体が昆虫を遮る壁に掛けられる。
【0074】
前記図示内容に依る本発明に係る第1領域及び第2領域は、編み合わされた第1のタイプの糸材及び第2のタイプの糸材として理解されてよいが、好適には第1領域は、複数の糸材を具備して、単一糸材の面積よりも相当に大きな面積を有する。同様に、第2領域は好適には複数の糸材を具備して、バリヤにおける単一糸材の面積よりも相当に大きな面積を有する。
【0075】
図2は、例えばネット、織物、薄膜、又はターポリンなどの本発明に係るモザイク状の協力剤パターンを備えるバリヤ20を示しており、前記パターンは、協力剤を含むか又は任意選択的に協力剤及び殺虫剤を含む第1領域21であって、協力剤なしで殺虫剤を含む第2領域22間に配置される第1領域21を有する。例えば、協力剤は第1領域21の材料の表面への漸進的な移行のために該材料中に取入れられるが、第2領域の殺虫特性は、材料の表面への漸進的な移行のために第2領域21内に殺虫剤を取入れることにより提供されるか、又は殺虫剤がバリヤを含浸することにより、若しくはバリヤを全体的もしくは部分的に殺虫薄膜で被覆することにより提供される。
【0076】
図3aには、ベッド6上の人間を基本的には蚊である昆虫による攻撃から保護するためのベッド6の上方の天蓋ネット1が示される。ネット1の第1領域は、任意選択的に殺虫剤と混合された例えばPBOなどの協力剤を備え、天蓋1の側壁8を有する第2領域は殺虫剤を備えて協力剤は含まない。第1領域は側壁8とは別個のルーフ7である。例えば、ルーフ7と側壁8との間には安定化リング9が挿入されている。ルーフ7は、側壁8の例えばポリエステルなどのポリマ材料とは異なる例えばポリエチレンなどのポリマ材料で作られる。ルーフ7に対してポリエチレンを用いることは、繊維の押出し前の比較的低温で溶融ポリマ内へ協力剤を取入れることを可能にする。
【0077】
図3bには代替実施例の天蓋1'が示され、その場合にパターンは、垂直であって、殺虫剤5を含むストライプと交互配置された協力剤によるストライプ4を有している。この場合、第1領域はハッチングを施されたストライプであり、第2領域は側壁の残りの部分である。任意選択的に、協力剤4が殺虫剤と混合されてよい。バリヤの背後の空間への進入を試みる蚊は、数本のストライプ4、5と接触して殺虫剤及び協力剤の両方に晒される。協力剤ストライプ4の幅は、殺虫ストライプ5の幅よりも相当に小さくてよい。
【0078】
図3cには更なる代替例が示され、その場合に天蓋1"は、協力剤を、又は任意選択的には殺虫剤と共に協力剤を備えるチェック柄4"と、協力剤なしで殺虫剤を備えるチェック柄5"とを備えるチェス盤と類似したチェック柄パターンを有している。例えば、第1領域にルーフ7を含めることにより、又はルーフ部分にもパターンを備えることにより、図3a、図3b、及び図3cの原理を組み合わせることにより更なる代替例が提供され得る。
【0079】
天蓋は円形天蓋として示されるが、これは一例に過ぎず、本発明の図3dに示されたような例えば矩形状の天蓋のための他の形態にも等しく適用される。加えて本発明は、区別可能なルーフ及び区別可能な側壁を有さない天蓋ネットに対しても適用され、但しその場合天蓋は上側の第1領域及び下側の第2領域を有する。
【0080】
図4には、特許文献2のフェンスにより示唆された本発明の更なる実施例が示され、その場合にフェンス40は、該フェンス40の下側部分41に配備された協力剤を有して示されている。殺虫剤は、フェンス40の上側部分42に、及び任意選択的にはフェンス40の下側部分41にも備えられている。斯かる種類のフェンスは、一定種類の昆虫43に対して無蓋領域を保護すべく配備される。好適には前記フェンスは、図4の右側部分に示されたようなネットで作作られており、前記ネットはフェンス40の下側部分41及びフェンス40の上側部分42にある。代替的に、図4の左側部分に示されたようにフェンス40は、該フェンスの下側部分41'及び該フェンス40の上側部分42'に織物、フォイル、又はターポリンを備えてもよい。同様に、ネット、織物、薄膜、及びターポリンの他の組み合わせも可能である。例えば、フェンスの下側部分41'がターポリンであるのに対して上側部分42がネットである。
【0081】
無蓋領域へ進入しようとする、低空飛行する昆虫43は、先ずフェンス40の下側部分41、41'に接触し、次にフェンス40を乗り越えるべく飛行高度を増す。昆虫43は、フェンス40の下側部分41、41'において協力剤を獲得してから、フェンス表面44に沿って上方に向かう行程の間のその昆虫の軌道44上において、追加的な殺虫剤を獲得する。任意選択的にフェンス40は、該フェンス40の頂部に屈曲部分45を備え、その屈曲部分45の内側に昆虫を捕捉してもよい。
【0082】
図5は、地面55上の側壁51上に支持されたターポリン52を備えたシェルタ50を示している。ターポリンは内側面54及び外側面53を有し、一方の表面は本発明の第1領域を構成して、協力剤及び任意選択的に殺虫剤を備え、及び他方の表面は殺虫剤を含むが協力剤を含まない第2領域を構成している。図5において使用されたターポリンは、特許文献5の開示により示唆されるような内側リザーバを備えて製作されることがあり、前記内側リザーバは、該内側リザーバから材料を通って材料の表面に至る殺虫剤及び/又はPBOの移行のためのものである。
【0083】
図6は、地面61により支持されたテント60を示しており、例えば織物などのテント材料62は、協力剤及び任意選択的に殺虫剤を含むストライプ63と、殺虫剤を備えるが協力剤は備えない他のストライプ64とを有するストライプ状パターンを備えている。
【0084】
図7は、本発明に係る円形天蓋の殺虫性バリヤを示している。バリヤ1は、ルーフ7と、該バリヤの下縁部30まで延在する側壁8とを有している。バリヤの第1領域はルーフ7と側壁8の上側部分31とを含むのに対して、第2領域は側壁の下側部分32を含んでいる。代替例では、第1領域がルーフ7のみを含み、第2領域が上側部分31と下側部分32とを備えた側壁8を含む。
【0085】
天蓋1の下方の空間に入るために、バリヤ1の下側部分32は、表面接触に晒され、及び従って材料の表面からの殺虫剤の摩耗に晒される。この摩耗による殺虫剤含有量の減少に対抗するために、下側部分32は、上側部分31より高い摩耗耐性を有する材料で作られる。例えば、上側部分31はネットで作られるのに対して、下側部分32は、フォイル、織物、ターポリン、又はより大きな引裂強度を有する異なるネットである。
【0086】
側壁8の下側部分32は更に裾部33を備えている。任意選択的に裾部33は、下側部分32の残部とは異なる材料で作られる。例えば下側部分32は、ターポリンである裾部33以外は織物であり得る。代替的に、裾部33は織物もしくはターポリンであるのに対して、下側部分32の残部34は異なる織物、又は大きな引裂強度を備えたネットであってよい。裾部33、及び該裾部33と上側部分31との間の下側部分の残部34は、異なる殺虫処理を有してよい。同様に、下側部分33における殺虫剤の含有量及び殺虫剤の種類は、上側部分31とは異なっていてよい。
【0087】
好適には裾部は、バリヤ1の下縁部30から少なくとも40cm、好適には少なくとも60cm延在する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域及び第2領域を具備する非生物材料製の殺虫性バリヤであって、
前記第1領域は協力剤を備え、及び前記第2領域は協力剤なしで殺虫剤を備える、殺虫性バリヤ。
【請求項2】
前記第1領域は少なくとも一種類の協力剤及び少なくとも一種類の殺虫剤を備える、請求項1に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項3】
前記第1領域はポリマ基材により提供され、前記ポリマ基材内には、前記基材の内側から前記基材の表面への漸進的な移行のために前記協力剤が取入れられている、請求項1又は2に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項4】
前記第1領域はポリマ基材により提供され、前記ポリマ基材内には、前記基材の内側から前記材料の表面への漸進的な移行のために、前記基材の表面から相当の深度まで前記協力剤が含浸されている、請求項1又は2に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項5】
前記協力剤は表面付着物により前記第1領域上に備えられる、請求項1又は2に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項6】
前記表面付着物は薄膜被覆を具備する、請求項5に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項7】
前記表面付着物は印刷物を具備する、請求項5又は6に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項8】
前記表面付着物は積層物を具備する、請求項5、6又は7のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項9】
前記表面付着物は殺虫剤も含んでいる、請求項3〜8のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項10】
前記第1領域は、殺虫剤を含む表面付着物により提供される殺虫剤を備える、請求項3又は4に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項11】
前記表面付着物は薄膜被覆を具備する、請求項10に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項12】
前記表面付着物は表面印刷物を具備する、請求項10又は11に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項13】
前記表面印刷物は、前記バリヤの材料内へ拡散される殺虫物質を備えた活性印刷物である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項14】
前記表面付着物は積層物を具備する、請求項10〜13のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項15】
前記表面付着物は、前記表面付着物を通る前記協力剤の移行を自由にさせる、請求項10〜14のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項16】
前記第2領域はポリマにより提供され、前記ポリマ内には、前記材料の内側から前記材料の表面への漸進的な移行のために前記殺虫剤が取入れられている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項17】
前記第2領域はポリマにより提供され、前記ポリマ内には、前記材料の内側から前記材料の表面への漸進的な移行のために、前記材料の表面から相当の深度まで前記殺虫剤が含浸されている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項18】
前記第2領域の前記ポリマ基材の表面は殺虫剤を含む表面付着物が備えられている、請求項1〜15のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項19】
前記表面付着物は薄膜被覆を具備する、請求項18に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項20】
前記表面付着物は表面印刷物を具備する、請求項18又は19に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項21】
前記表面印刷物は、バリヤ材料内へ拡散される殺虫物質を備えた活性印刷物である、請求項20に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項22】
前記表面付着物は積層物を具備する、請求項18〜21のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項23】
前記バリヤは織物である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項24】
前記バリヤはターポリンである、請求項1〜22のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項25】
前記バリヤの前記第1領域は、フォイル、ターポリン、織物、もしくはネットのいずれかのタイプのバリヤにより提供され、及び前記第2領域は、前記第1領域のバリヤのタイプとは異なるタイプのバリヤにより提供される、請求項1〜22のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項26】
前記バリヤは、前記第1領域としての上側部分と、前記第2領域の一部としての又は前記第2領域を構成する下側部分とを有し、
前記上側部分は、例えば蚊などの選択された昆虫が前記バリヤを通り抜けることを阻止する網目サイズを備えた殺虫性ネットを具備し、前記下側部分は前記バリヤの下縁部から40cmを超える高さまで延在し、及び前記下側部分は殺虫性ターポリンを具備する、請求項25に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項27】
前記バリヤは、前記第1領域としての上側部分と、前記第2領域の一部としての又は前記第2領域を構成する下側部分とを有し、
前記上側部分は、例えば蚊などの選択された昆虫が前記バリヤを通り抜けることを阻止する網目サイズを備えた殺虫性ネットを具備し、前記下側部分は前記バリヤの下縁部から40cmを超える高さまで延在し、及び前記下側部分は殺虫性フォイルを具備する、請求項25に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項28】
前記バリヤは、前記第1領域としての上側部分と、前記第2領域の一部としての又は前記第2領域を構成する下側部分とを有し、
前記上側部分は、例えば蚊などの選択された昆虫が前記バリヤを通り抜けることを阻止する網目サイズを備えた殺虫性ネットを具備し、前記下側部分は前記バリヤの下縁部から40cmを超える高さまで延在し、及び前記下側部分は殺虫性の、織物もしくは編物、又は不織物を具備する、請求項25に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項29】
前記バリヤは、前記第1領域としての上側部分と、前記第2領域の一部としての又は前記第2領域を構成する下側部分とを有し、
前記上側部分は、例えば蚊などの選択された昆虫が前記バリヤを通り抜けることを阻止する網目サイズを備えた殺虫性ネットを具備し、前記下側部分は前記バリヤの下縁部から40cmを超える高さまで延在し、及び前記下側部分は殺虫性ターポリンを具備する、請求項25に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項30】
前記バリヤは、前記第1領域としての上側部分と、前記第2領域の一部としての又は前記第2領域を構成する下側部分とを有し、
前記上側部分は、例えば蚊などの選択された昆虫が前記バリヤを通り抜けることを阻止する網目サイズを備えた殺虫性ネットを具備し、前記下側部分は前記バリヤの下縁部から40cmを超える高さまで延在し、及び前記下側部分は、前記上側部分の前記ネットよりも大きな引裂強度を有するネット材料を具備する、請求項25に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項31】
前記バリヤは、前記第1領域としての上側部分と、前記第2領域の一部としての又は前記第2領域を構成する下側部分とを有し、
前記上側部分は、例えば蚊などの選択された昆虫が前記バリヤを通り抜けることを阻止する網目サイズを備えた殺虫性ネットを具備し、前記下側部分は前記バリヤの下縁部から40cmを超える高さまで延在し、及び前記下側部分は、より高い網目密度を有するネット材料を具備する、請求項25に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項32】
前記バリヤは、前記第1領域としての上側部分と、前記第2領域の一部としての又は前記第2領域を構成する下側部分とを有し、
前記上側部分は、例えば蚊などの選択された昆虫が前記バリヤを通り抜けることを阻止する網目サイズを備えた殺虫性ネットを具備し、前記下側部分は前記バリヤの下縁部から40cmを超える高さまで延在し、及び前記下側部分はより高い重量密度を有するネット材料を具備する、請求項25に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項33】
前記下側部分は前記バリヤの前記下縁部から60cmを超える高さまで延在する、請求項25〜32のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項34】
前記下側部分は前記バリヤの前記下縁部から100cm未満の高さまで延在する、請求項25〜33のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項35】
前記バリヤの前記上側部分は、ベッドの回りの空間又は人間を収容するための他の空間を覆うことで前記空間から昆虫を締め出す天蓋状の形状を有するネットである、請求項1〜34のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項36】
前記バリヤはモザイク状パターンを備えており、前記モザイク状パターンは、協力剤を備える複数の第1領域にして協力剤無しで殺虫剤を備える複数の第2領域の間に配置された複数の第1領域を備えている、請求項1〜25のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項37】
前記バリヤは、交互配置された第1領域及び第2領域を有するストライプ状パターン又はチェック柄パターンを備えている、請求項1〜25のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項38】
前記第1領域は前記バリヤの上側部分であり、及び前記第2領域は前記バリヤの下側部分である、請求項1〜25のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項39】
前記バリヤは、区別可能なルーフ部分及び区別可能な側壁を有するネットを具備しており、及び前記ルーフ部分は前記第1領域を構成し、前記側壁は前記第2領域を構成する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項40】
前記側壁は該側壁の下縁部に裾部を備え、前記裾部は織物裾部、ターポリン裾部、又はフォイル裾部である、請求項39に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項41】
前記ルーフ部分は前記側壁とは異なるポリマで作られる、請求項39又は40に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項42】
前記ルーフはポリエチレンから作られ、及び前記側壁はポリエステルで作られる、請求項41に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項43】
前記協力剤はPBOである、請求項1〜42のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項44】
前記殺虫剤はピレスロイドである、請求項1〜43のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項45】
前記第1領域の前記基材は、殺虫剤を含まない初期の固体状態を有し、その場合にそれは少なくとも一種類の協力剤を含み、及びそれは最終的な固体状態を有し、その場合にそれは殺虫被覆を含む、請求項3又は4に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項46】
前記第1領域には殺虫剤が取入れられない、請求項1〜45のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項47】
前記第1領域はポリマ基材により提供され、前記ポリマ基材内には、前記基材の内側から前記材料の表面への漸進的な移行のために、殺虫剤が取入れられるか又は前記材料の表面から相当の深度まで殺虫剤が含浸される、請求項1〜45のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項48】
前記薄膜は、水分及び任意選択的には油に耐える薄膜を形成することにより前記ネット製品もしくは織物からの前記殺虫剤の洗い落ち及び劣化を減少させる薄膜形成成分を含んで成るものであり、前記薄膜は、前記基材上のもしくは前記基材の回りの分子シールドであって前記殺虫剤を前記薄膜内に一体化している分子シールドであり、
前記薄膜形成成分は、ポリマ骨格固定剤と、パラフィンの油類もしくはワックス類、シリコン類、シリコンの油類及びワックス類、及びポリフルオロカーボン類、又はそれらの誘導体から選択された一種類以上の成分とを含んで成る、請求項11又は19に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項49】
前記薄膜形成成分は、前記ポリマ骨格に対して結合されたポリフルオロカーボンを含んで成る、請求項30に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項50】
前記第1領域は、前記第2領域のサイズのオーダーであるか、又は前記第2領域よりも小さいかである、請求項1〜49のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項51】
前記第1領域の面積は前記第2領域の面積よりも実質的に小さい、請求項1〜50のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。
【請求項52】
前記第1領域は第1ポリマにより提供され、及び前記第2領域は前記第1ポリマとは異なる第2ポリマにより提供される、請求項1〜51のいずれか一項に記載の殺虫性バリヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−531819(P2010−531819A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513648(P2010−513648)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/DK2007/000320
【国際公開番号】WO2009/003469
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(508310263)ベステルガールド フランドセン ソシエテ アノニム (8)
【Fターム(参考)】