説明

部品の姿勢変換構造部およびパーツフィーダ

【課題】部品搬送路上を寝た状態で移送されてきた頭部材付きの軸状部品を、正確に首吊り状態に姿勢変換をすることができる部品の姿勢変換構造部およびパーツフィーダ。
【解決手段】ガイド溝9が形成された傾斜した部品搬送路6と、部品搬送路6に設けた通過空間部14と、搬送方向に延びている第1レール部材17と、軸部の端部が係止される係止搬送路18と、第2レール部材21と、通過空間部14の開放部16に重複しているとともに、下側に軸部が進入できるように上方に持ち上がった形状の受け入れ浮上部24と、軸部の先端部を係止搬送路18から部品搬送路6の幅方向へ離隔させて通過空間部14を経て下方へ変向させるとともに、部品の搬送方向で見て受け入れ浮上部24が重複した位置関係とされている離脱手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品搬送路上を移動してきた頭部材付き軸状部品の搬送姿勢を、首吊り状態に変換する部品の姿勢変換構造部およびこの構造部を用いたパーツフィーダに関している。
【背景技術】
【0002】
特許第4085413号公報には、頭部付きボルトを部品供給管から平行に配置した供給ガイド部材に供給し、軸部がこの供給ガイド部材の間に入り込み、頭部が供給ガイド部材の上面に支持されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4085413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載されている技術は、部品供給管を用いて供給ガイド部材の所定箇所に頭部付きボルトを到達させ、供給ガイド部材においてボルトを首吊り状態にするものである。つまり、部品供給管によって所定の箇所に正確に到達させてから、首吊り状態にするものである。しかし、このような方式であると、寝ているボルトを連続的に首吊り状態に姿勢変換をすることができず、したがって搬送効率を向上させることが困難なものとなる。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、部品搬送路上を寝た状態で移送されてきた頭部材付きの軸状部品を、正確に首吊り状態に姿勢変換をすることができる部品の姿勢変換構造部およびパーツフィーダの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、軸部とこの軸部の直径よりも大きな寸法の頭部材を有する部品を対象とするものであって、片側が高くなるように傾斜した細長い部品搬送路と、前記部品搬送路の高い側に沿って搬送方向に形成され前記頭部材を受け入れて前記軸部の姿勢を部品搬送路の幅方向とするガイド溝と、前記部品搬送路に形成され部品搬送路の搬送方向の端部に開放している通過空間部と、前記通過空間部と前記ガイド溝との間に形成され搬送方向に延びている第1レール部材と、前記第1レール部材とは反対側の前記部品搬送路に形成され前記軸部の端部が係止される係止搬送路と、前記第1レール部材と対をなして部品を首吊り状態で搬送する第2レール部材と、部品の搬送方向で見て端部が前記通過空間部の前記開放部に重複しているとともに、下側に前記軸部が進入できるように上方に持ち上がった形状とされた第2レール部材の受け入れ浮上部と、前記軸部の先端部を、前記係止搬送路から相対的に前記部品搬送路の幅方向へ離隔させて前記通過空間部を経て下方へ変向させるとともに、部品の搬送方向で見て前記受け入れ浮上部が重複した位置関係とされている離脱手段を備えていることを特徴とする部品の姿勢変換構造部である。
【発明の効果】
【0007】
前記部品搬送路の傾斜の高い箇所に配置したガイド溝に頭部材が嵌り込んでいるので、部品はその軸部が部品搬送路の傾斜に沿って部品搬送路の幅方向に向いた姿勢となって移送される。この移送が進行して軸部が第2レール部材の受け入れ浮上部の下側に到達すると、前記離脱手段によって軸部の先端部が係止搬送路から外れて通過空間部を経て下方へ変向する。このような軸部の変向にともなって、頭部材の下側に第1レール部材と第2レール部材が位置付けられて、部品は両レールの間で首吊り状態となって姿勢変換がなされる。
【0008】
したがって、軸部が変向するのに適した姿勢、すなわち軸部が部品搬送路の幅方向とされた姿勢となるように、ガイド溝と部品搬送路の傾斜で方向性が設定されていることと、軸部の先端部が係止搬送路から確実に離れることが両立しているので、上記のように軸部の先端部が下方へ変向すると、その頭部材が確実に第1レール部材と第2レール部材によって首吊り状態となる。換言すると、移送中の軸部が通過空間部の幅方向を向いているので、軸部が係止搬送路に対して相対的にその軸線方向に移動すると、軸部先端が確実に係止搬送路から外れて、軸部の変向が所定の移送位置、すなわち受け入れ浮上部において確実に行われる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記離脱手段は、前記係止搬送路の幅を狭くして前記通過空間部の開放部の空間幅を拡大したものである請求項1記載の部品の姿勢変換構造部である。
【0010】
このように前記通過空間部の開放部の空間幅を拡大したものであるから、受け入れ浮上部に達した軸部の先端は係止搬送路から確実に外れて、第1レール部材と第2レール部材で首吊り状態となる。つまり、通過空間部の開放部の空間幅を拡大するということは、軸部の先端部を、係止搬送路から相対的に部品搬送路の幅方向へ離隔させることを意味している。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記離脱手段は、前記ガイド溝に設けた隆起部である請求項1記載の部品の姿勢変換構造部である。
【0012】
このように頭部材が隆起部にさしかかると軸部は部品搬送路の幅方向に移行する。これによって軸部の先端が係止搬送路から確実に外れて下方へ変向し、第1レール部材と第2レール部材で首吊り状態となる。つまり、隆起部によって軸部を部品搬送路の幅方向に移行させるということは、軸部の先端部を、係止搬送路から相対的に部品搬送路の幅方向へ離隔させることを意味している。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記部品搬送路が円形の振動式ボウルの内壁に沿って形成され、この部品搬送路の途中または端部に請求項1記載の前記姿勢変換構造部が配置されているパーツフィーダである。
【0014】
上述のように動作精度の高い姿勢変換構造部がパーツフィーダに設置してあるので、優れた機能と信頼性の高いパーツフィーダがえられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】姿勢変換構造部の平面図と断面図である。
【図2】姿勢変換の過程を示す部分的な側面図である。
【図3】離脱手段の変型例を示す平面図である。
【図4】他の離脱手段の変型例を示す平面図である。
【図5】他の形式とされた姿勢変換構造部の平面図と断面図である。
【図6】パーツフィーダの平面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明にかかる部品の姿勢変換構造部およびパーツフィーダを実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例としては、部品搬送路が直線的に真っ直ぐな形状とされている場合と、円弧状に湾曲した形状とされている場合などがある。ここでは後者の場合であり、円形の振動式ボウルに入れられた部品を送出するもので、この送出の際に姿勢変換を行うものである。
【0018】
まず、本実施例で扱われる部品について説明する。
【0019】
本願発明の装置において扱われる部品1は、図1(F)に示すように、断面円形の真っ直ぐな軸部2に頭部材3が一体化された頭部材付き軸状部品である。前記頭部材3の形状としては、円形のフランジ部や板状の四角い部材や軸部2よりも大径の円柱部材など種々なものがあるが、ここでは円形の板材で作られたフランジ部3である。図示の部品1は、かしめ加工がなされるリベットであり、鉄製である。そして、リベット1の各部の寸法は、軸部2の直径と長さがそれぞれ5.5mmと16mm、フランジ部の直径と厚さがそれぞれ13mmと2.5mmである。
【0020】
最初に、パーツフィーダの概略構造を説明する。
【0021】
図6に示すように、パーツフィーダ4は円形の振動式ボウル5の内周部に螺旋状の部品搬送路6が形成されたもので、振動式ボウル5の下側に起振ユニット7が配置してある。振動式ボウル5に貯留されているリベット1は、円周方向と上下方向の合成振動によって、部品搬送路6を反時計方向に移送されて、送出されるようになっている。
【0022】
図6において、2点鎖線で囲われている箇所の符号100は第1姿勢変換構造部であり、また、符号200は第2姿勢変換構造部である。部品1の移送方向で見ると、第1姿勢変換構造部100で所定の向きに整えられた部品1が第2姿勢変換構造部200において首吊り状態に姿勢変換がなされ、その後、ボウル5から目的箇所へ送出される。部品1の移送方向で見ると上述のように、第1姿勢変換構造部100と第2姿勢変換構造部200は機能的に関連しているが、両構造部はそれぞれ固有の変換機能を果たしているので、発明としては個別に存在させることができる。
【0023】
つぎに、第2姿勢変換構造部について説明する。
【0024】
第2姿勢変換構造部200は、図1および図2に示されている。振動式ボウル5の外壁板8の内壁に沿って前述の部品搬送路6が円弧状に形成されている。この部品搬送路6は、平坦な鋼板で構成され反時計方向に進むにしたがって高さが次第に高くなっている。部品搬送路6は、その幅方向で見た片側、すなわち外周側に搬送方向に延びるガイド溝6が形成してある。そして、部品搬送路6は水平面に対して外周側が高くなるように傾斜させてあり、この傾斜角は図1(B)に角度θで示されている。角度θは15度であり、10〜20度の範囲から選定される。
【0025】
リベット1は、フランジ部3がガイド溝9に嵌り込み、図1(A)に示すように、部品搬送路6の傾斜によって軸部2が部品搬送路6の幅方向を向いた姿勢となって移送される。軸部2の姿勢がこのようになるのは、軸部2の自重と部品搬送路6の傾斜によってなされる。また、図1(E)に示すように、ガイド溝9に受け入れられているフランジ部3は、その内面がガイド溝9の内壁面10に受け止められているので、軸部2が部品搬送路6の幅方向を向くようになっている。
【0026】
フランジ部3がガイド溝9に入り込むようにするためには、リベット1の姿勢を部品搬送路6の幅方向に向けて移送し、その途中でガイド溝9に落とし込むようになっている。このようにするための具体的な手段としては種々なものが採用されている。その一手段として優れたものが、後述の第1姿勢変換構造部100である。
【0027】
部品搬送路6の内周側端部に内壁板11が配置され、その内側にボウルの底板12が形成してあり、多数の部品1は底板12上に貯留され、前記送出振動によって部品搬送路6に沿って反時計方向に移送される。
【0028】
つぎに、通過空間部と第1・第2レール部材について説明する。
【0029】
部品搬送路6を切除して搬送方向に円弧状に延びている通過空間部14が形成してある。この通過空間部14は、部品搬送路6の搬送方向の端部15に開放しており、ここが開放部16である。通過空間部14とガイド溝9との間に搬送方向に延びている第1レール部材17が形成されている。この第1レール部材は、部品搬送路6の外周側の部分が延びた状態となっており、部品搬送路6と第1レール部材17は連続的に連なっている。第1レール部材17は、通過空間部14と並行している箇所では、部品搬送路6の端部の細長い部分によって形成され、通過空間部14から搬送方向には一本の細長い部材の形態で延びている。一本の細長い部材は、図1(A)や(D)に示すように、L字型の固定アーム20によってボウル5の内壁板11に固定されている。固定アーム20の両端は、第1レール部材17と内壁板11に溶接されている。
【0030】
前記第1レール部材17とは反対側の部品搬送路6に形成され軸部2の端部が係止される係止搬送路18が設けられている。この係止搬送路18は、通過空間部14と内壁板11との間に形成された細長い部分であり、この上を軸部2の端部が滑動または転動して移送される。
【0031】
前記ガイド溝9の内壁面10から通過空間部14の内側内縁23までの幅はW1で示され、このW1は開放部16に達した箇所で拡幅されている。この拡幅は係止搬送路18の幅を狭くすることによってなされており、符号19で示された拡幅の開始点から拡幅が開始されている。つまり、通過空間部14の内壁板11側の内縁(内側内縁23)に徐々に拡幅する所定の切削加工を行って形成してある。前記開放部16は、拡幅の開始点19から幅W2のように拡幅している範囲を指しており、搬送方向における長さを有している。拡幅の開始点19から開放端までが、拡幅縁13とされている。
【0032】
第2レール部材21は、前記第1レール部材17と対をなしてリベット1を首吊り状態で搬送する。この第2レール部材21は、細長い線状の部材で形成され、ここでは断面円形の鉄製の線材が用いられている。第2レール部材21も第1レール部材17と同様に、固定アーム22を介して内壁板11に固定してある。第1レール部材17と第2レール部材21は、図1(A)に示すように平面的に見ると、平行に配置してあり、リベット1が首吊り状態になると、軸部2が両レール17と21の間に入り、フランジ部3の下面が両レール17と21に載った状態になっている。
【0033】
つぎに、受け入れ浮上部について説明する。
【0034】
受け入れ浮上部24は、第2レール部材21の端部付近に配置してある。この受け入れ浮上部24は、リベット1の搬送方向で見て第2レール部材21の端部付近が通過空間部14の開放部16に重複、すなわち第2レール部材21の端部付近が通過空間部14の開放部16と対向しているとともに、下側に軸部2が進入できるように上方に持ち上がった形状とされている。軸部2が受け入れ浮上部24の下側に移動してきた後に、軸部2の先端部が拡幅縁13から外れて軸部2が下方へ変向するようにするために、拡幅縁13の拡幅形状が設定してある。すなわち、第2レール部材21の下側に入った軸部2は、その端部が搬送方向で見て拡幅縁13の中央部付近で軸部2の先端部が外れるようにしてある。
【0035】
前記第2レール部材21の端部付近は、上記受け入れ浮上部24の形状によって、第1レール部材17よりも高くなっているが、図2から明らかなように、搬送方向に向かって第2レール部材21の高さが徐々に低くなり、最終的には両レール21と17は同じ高さとなっている。このような高さの変化は、図1や図2において符号H1およびH2で示されている。
【0036】
つぎに、離脱手段について説明する。
【0037】
離脱手段は、軸部2の先端部を、係止搬送路18から相対的に部品搬送路6の幅方向へ離隔させて通過空間部14を経て下方へ変向させるとともに、リベット1の搬送方向で見て受け入れ浮上部24が重複した位置関係とされている。図1(A)では、軸部2は部品搬送路6の幅方向に変位することがなく、係止搬送路18の幅が拡幅縁13のように変形している。このように軸部2と係止搬送路18の関係となっているので、「軸部2の先端部を、係止搬送路18から相対的に部品搬送路6の幅方向へ離隔させて」という表現を行っている。したがって、ここでの離脱手段の具体的な構造部分は、拡幅縁13である。
【0038】
つぎに、寸法関係と姿勢変換の過程について説明する。
【0039】
上記実施例を理解しやすくするために、上記の各部の寸法関係を例示する。軸部2の長さは前述のとおり16mmであり、W1は14mmである。したがってリベット1が図1のB−B断面線の箇所に位置しているときには、軸部2の端部は2mmの長さにわたって係止搬送路18にひっかかっている。この状態が図1(B)と図2(B)に示してある。図2(B)においては、受け入れ浮上部24の浮上高さH1が軸部2の直径(前述の5.5mm)よりも大きく設定してある。
【0040】
上記B−B断面線の箇所からリベット1がさらに搬送されて図1のC−C断面線の箇所に達すると、軸部2が第2レール部材21の下側に入るとともに、拡幅縁13の中央部におけるW2が17mmとなっている箇所に達する。したがって、16mmの長さとされた軸部2の端部は拡幅縁13から外れて図1(C)や図2(C)に示す変向した状態となる。変向過渡期の状態は符号2Aで示してある。
【0041】
さらに下方への変向が進行すると、図2(C)に示すように、浮上高さH2が形成されているので、図1(C)に示したように、軸部2が傾いた状態でフランジ部3が第1レール部材17と第2レール部材21に支持された状態になって、首吊り姿勢に変換される。この状態は、符号2Bで示してある。
【0042】
上記浮上高さH2がさらに小さくなる箇所までリベット1が移送されると、図1(D)や図2(D)に示す姿勢になる。上述のように浮上高さが設定されているのは、軸部2が第2レール部材21の端部の下側に入った後、軸部2が円弧方向に変向して首吊り状態が形成されるようにするためである。
【0043】
上述の実施例1は、円弧状の部品搬送路に第2姿勢変換構造部200を組み付けたものであるが、本発明はこのような形状の部品搬送路だけではなく、部品搬送路が真っ直ぐに直線的に延びている形式のものに適用することができる。また、第2姿勢変換構造部200は、部品搬送路6の端部に配置してあるが、これを部品搬送路6の途中に配置して第2姿勢変換構造部200以降に円弧状の第1レール部材17と第2レール部材21を配置してもよい。
【0044】
以上に説明した実施例1の作用効果は、つぎのとおりである。
【0045】
前記部品搬送路6の傾斜の高い箇所に配置したガイド溝9にフランジ部3が嵌り込んでいるので、リベット1はその軸部2が部品搬送路6の傾斜角θに沿って部品搬送路6の幅方向に向いた姿勢となって移送される。この移送が進行して軸部2が第2レール部材21の受け入れ浮上部24の下側に到達すると、前記離脱手段である拡幅縁13によって軸部2の先端部が係止搬送路18から外れて通過空間部14を経て下方へ変向する。このような軸部2の変向にともなって、フランジ部3の下側に第1レール部材17と第2レール部材21が位置付けられて、リベット1は両レール17、21の間で首吊り状態となって姿勢変換がなされる。
【0046】
したがって、軸部2が変向するのに適した姿勢、すなわち軸部2が部品搬送路6の幅方向とされた姿勢となるように、ガイド溝9と部品搬送路6の傾斜(傾斜角θ)で方向性が設定されていることと、軸部2の先端部が係止搬送路18から確実に離れることが両立しているので、上記のように軸部2の先端部が下方へ変向すると、そのフランジ部3が確実に第1レール部材17と第2レール部材21によって首吊り状態となる。換言すると、移送中の軸部2が通過空間部14の幅方向を向いているので、軸部2が係止搬送路18に対して相対的にその軸線方向に移動すると、軸部2の先端が確実に係止搬送路18から外れて、軸部2の変向が所定の移送位置、すなわち受け入れ浮上部24において確実に行われる。
【0047】
前記離脱手段は、前記係止搬送路18の幅を狭くして前記通過空間部14の開放部16の空間幅W2を拡大したものである。
【0048】
このように前記通過空間部14の開放部16の空間幅W2を拡大したものであるから、受け入れ浮上部24に達した軸部2の先端は係止搬送路18から確実に外れて、第1レール部材17と第2レール部材21で首吊り状態となる。つまり、通過空間部14の開放部16の空間幅W2を拡大するということは、軸部2の先端部を、係止搬送路18から相対的に部品搬送路6の幅方向へ離隔させることを意味している。
【実施例2】
【0049】
図3は、本発明の実施例2を示す。
【0050】
この実施例2は、リベット1を首吊り状態に姿勢変換する直前に、軸部2が規定長さよりも短い異常リベットを排除するものである。
【0051】
図3(A)は、受け入れ浮上部24の端部が拡幅縁13の中央部に対向している。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の実施例1と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0052】
軸部2が所定長さよりも短い異常リベット1Aが移送されてくると、軸部2が受け入れ浮上部24の下側に入る前に拡幅縁13から外れて、第1レール部材17と第2レール部材21によって首吊り状態になる前に、転落する。したがって、異常長さのリベット1Aが送出されることがない。そして、正常長さのリベット1は軸部2が受け入れ浮上部24の下側に入ってから、前述のようにして首吊り状態となる。それ以外の作用効果は、先の実施例1と同じである。
【0053】
図3(B)は、前述の拡幅縁13が段付き形状になっているものである。係止搬送路18の内縁を2段に切り欠いて、第1拡幅縁26と第2拡幅縁27が形成されている。そして、受け入れ浮上部24の端部が第1拡幅縁26と第2拡幅縁27との境界部分付近に対向している。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の実施例1と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0054】
軸部2が所定長さよりも短い異常リベット1Aが移送されてくると、軸部2が受け入れ浮上部24の下側に入る前に第1拡幅縁26から外れて、第1レール部材17と第2レール部材21によって首吊り状態になる前に、転落する。したがって、異常長さのリベット1Aが送出されることがない。そして、正常長さのリベット1は軸部2が受け入れ浮上部24の下側に入ってから、第2拡幅部27において係止搬送路18から外れて、前述のようにして首吊り状態となる。それ以外の作用効果は、先の実施例1と同じである。
【実施例3】
【0055】
図4は、本発明の実施例3を示す。
【0056】
この実施例3は、離脱手段の変型例である。ガイド溝9の内壁面10に隆起部28が形成してある。内壁面10がなだらかな斜面29を経て隆起部28に達している。換言すると、内壁面10にカム面のような形状部を設けたものである。そして、部品搬送路6の端部15には前述のような拡幅縁13のような形状部分はなく、通過空間部14の幅は全長にわたって変化することなく一定幅である。つまり、前記隆起部28は、軸部2の先端部を、係止搬送路18から相対的に部品搬送路6の幅方向へ離隔させて通過空間部14を経て下方へ変向させるとともに、リベット1の搬送方向で見て受け入れ浮上部24が隆起部28と重複、すなわち受け入れ浮上部24が隆起部28に対向した位置関係とされている。
【0057】
このような構成によって、W2には隆起部28の隆起高さが加算されてW1<W2なる大小関係が成立する。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の各実施例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0058】
軸部2の先端部が係止搬送路18にひっかかりながら移送されてきて、軸部2が受け入れ浮上部24の下側に入るのと同時に、フランジ部3が斜面29から隆起部28にかけて摺動すると、リベット1は部品搬送路6の幅方向に変位し、軸部2の先端は係止搬送路18から外れて通過空間部14を通過し、図1(C)に示す状態と同様な変向をする。それによって、フランジ部3が第1レール部材17と第2レール部材21によって支持され、首吊り状態となる。それ以外の作用効果は、先の各実施例と同じである。
【0059】
つぎに、図5にしたがって、第1姿勢変換構造部について説明する。
【0060】
第1姿勢変換構造部100は、ばらばらな向きで移送されてきたリベット1のフランジ部3を、ガイド溝9にはめ込み、軸部2を部品搬送路6の幅方向に向けた姿勢で搬送するものである。
【0061】
第1姿勢変換構造部100は、第2姿勢変換構造部200の上流側に配置してあり、しかも基本的な構造部分は両者共通している。その構成は、つぎのとおりである。
【0062】
すなわち、軸部2とこの軸部2の直径よりも大きな寸法のフランジ部3を有するリベット1を対象とするものであって、フランジ部3側が高くなるように傾斜した細長い部品搬送路6と、部品搬送路6の高い側の端部に沿って搬送方向に形成されリベット1の長手方向を搬送方向に整列させる整列溝30と、整列溝30の端部にリベット1の搬送方向側が低くなっている段部31を設けることによって形成された上段部品搬送路32および下段部品搬送路33と、下段部品搬送路33にリベット1の搬送方向に延びているとともに、フランジ部3を係止する係止部材34と、係止部材34に係止されているフランジ部3が受け入れられるガイド溝9を備えているものである。
【0063】
前記整列溝30にリベット1を集中させるために、整列溝30の上流側の部品搬送路6はその外周側が低くなるように傾斜させてある。
【0064】
前記整列溝30から下段部品搬送路33に転落したリベット1のフランジ部3を係止するために、係止部材34は断面円形の線状部材で構成され、図5(B)、(C)、(D)に示すように、係止部材34と下段部品搬送路33の間に空隙部分35が設けてある。係止部材34は細長い板材でもよく、一端が上段部品搬送路32の端部に溶接してあり、リベット1の搬送方向に延びている。そして、前記空隙部分35の空間高さはフランジ部3の直径よりも低く設定されている。
【0065】
前記係止部材34の先端部の真下にガイド溝9が設けてあり、これが第2姿勢変換構造部200におけるガイド溝9に連なっている。図5(A)のように平面的に見ると、係止部材34とガイド溝9が重複した位置関係とされている。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の第2姿勢変換構造部200と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
【0066】
整列溝30内を一列になって移送されてきたリベット1は、段部31において上段部品搬送路32から下段部品搬送路33に転落する。下段部品搬送路33は傾斜角度θが付与してあるので、リベット1はフランジ部3が係止部材34に係止され、軸部2は自重で低い方へ移動し、図5(A)のC−C断面線の箇所のように下段部品搬送路33の幅方向に向いた姿勢となる。この姿勢のまま搬送されて行くと、フランジ部3がガイド溝9に嵌り込んで移送されて行く。このガイド溝9が第2姿勢変換構造部200におけるガイド溝9に連なっている。
【0067】
上述のように、一列になって移動してきたリベット1は、段部31で上段部品搬送路32から下段部品搬送路33に転落し、フランジ部3が係止部材34に係止され、軸部2は下段部品搬送路33の幅方向に向けられる。その後、フランジ部3が係止部材34に連続した状態でガイド溝9に入り込む。したがって、リベット1は確実に係止部材34に係止され、ガイド溝9に入り込んで下段部品搬送路33の幅方向に向いた姿勢で移送される。
【0068】
上述のように、第1姿勢変換構造部100は、リベット1の姿勢を特有の構成で変換するものであるから、第2姿勢変換構造部200とは別個の発明として存在させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
上述のように、本発明の装置によれば、部品搬送路上を寝た状態で移送されてきた頭部材付きの軸状部品を、正確に首吊り状態に姿勢変換をすることができる。したがって、自動車部品のかしめ工程などの広い産業分野で利用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 リベット、部品
2 軸部
3 頭部材、フランジ部
4 パーツフィーダ
5 振動式ボウル
6 部品搬送路
9 ガイド溝
13 拡幅縁
14 通過空間部
15 端部
16 開放部
17 第1レール部材
18 係止搬送路
19 拡幅の開始点
21 第2レール部材
23 通過空間部の内側内縁
24 受け入れ浮上部
26 第1拡幅縁
27 第2拡幅縁
28 隆起部
30 整列溝
31 段部
32 上段部品搬送路
33 下段部品搬送路
34 係止部材
35 空隙部分
100 第1姿勢変換構造部
200 第2姿勢変換構造部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部とこの軸部の直径よりも大きな寸法の頭部材を有する部品を対象とするものであって、
片側が高くなるように傾斜した細長い部品搬送路と、
前記部品搬送路の高い側に沿って搬送方向に形成され前記頭部材を受け入れて前記軸部の姿勢を部品搬送路の幅方向とするガイド溝と、
前記部品搬送路に形成され部品搬送路の搬送方向の端部に開放している通過空間部と、
前記通過空間部と前記ガイド溝との間に形成され搬送方向に延びている第1レール部材と、
前記第1レール部材とは反対側の前記部品搬送路に形成され前記軸部の端部が係止される係止搬送路と、
前記第1レール部材と対をなして部品を首吊り状態で搬送する第2レール部材と、
部品の搬送方向で見て端部が前記通過空間部の前記開放部に重複しているとともに、下側に前記軸部が進入できるように上方に持ち上がった形状とされた第2レール部材の受け入れ浮上部と、
前記軸部の先端部を、前記係止搬送路から相対的に前記部品搬送路の幅方向へ離隔させて前記通過空間部を経て下方へ変向させるとともに、部品の搬送方向で見て前記受け入れ浮上部が重複した位置関係とされている離脱手段
を備えていることを特徴とする部品の姿勢変換構造部。
【請求項2】
前記離脱手段は、前記係止搬送路の幅を狭くして前記通過空間部の開放部の空間幅を拡大したものである請求項1記載の部品の姿勢変換構造部。
【請求項3】
前記離脱手段は、前記ガイド溝に設けた隆起部である請求項1記載の部品の姿勢変換構造部。
【請求項4】
前記部品搬送路が円形の振動式ボウルの内壁に沿って形成され、この部品搬送路の途中または端部に請求項1記載の前記姿勢変換構造部が配置されているパーツフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−158469(P2012−158469A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36412(P2011−36412)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000196886)
【Fターム(参考)】