説明

部品の締結構造及びこれに用いるクリップ

【課題】部品の締結構造及びこれに用いるクリップに関し、ベースと締結される際に、フランジが逆反りした状態となるようにすることで、シール性並びにその耐久性を向上することができるようにしたものである。
【解決手段】締結部材には、頭部100、軸部90、頭部100の外周からストレート形状に延びる薄肉状のフランジ101、係合手段(例えばグロメット40の脚部80)を備える。部品には、貫通孔71、貫通孔71の外周に位置し、軸部90の挿入方向に向かって延びる壁部72を備える。ベース20には、軸部90が挿入可能な取付穴21を有する。軸部90の挿入によってベース20と部品とが締結される際に、フランジ101が壁部72に圧接され、逆反りした状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品の締結構造及びこれに用いるクリップに関し、締結部材のフランジをストレート形状で且つ薄肉状に形成するとともに、部品の貫通孔の外周に、前記フランジに圧接する壁部を形成し、ベースと締結される際に、前記フランジが逆反りした状態となるようにすることで、シール性並びにその耐久性を向上することができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クリップを、共にポリアセタール等の樹脂材で成形された雄部材と雌部材とから構成し、雄部材に、雌部材の取付フランジ部の上側より完全に覆ってパネルに当接できる大きさの傘状に形成され、弾性変形可能なシール用鍔状部を設けていたものが知られている(例えば特許文献1の段落番号「0012」〜「0014」及び図1〜5参照)。
【0003】
また、従来、クリップを、樹脂形成されたピン部材及びグロメットと、弾性変形能に優れたシール部材とから構成し、ピン部材の頭部とグロメットの鍔部との間で、シール部材を押し潰すようにしたものが知られている(例えば特許文献2の段落番号「0010」〜「0015」及び図1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平08−1090号公報
【特許文献2】特開2006−226368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の前者のクリップ(実開平08−1090号公報)では、雄部材のシール用鍔状部の先端部に、成形時のバリが発生したり、いわゆるヒケやヨタリと称される収縮変形が発生し、当該シール用鍔状部と雌部材の取付フランジ部との間に隙間が発生し、シール性が損なわれるおそれがあるという第1の問題点があった。
【0006】
また、上記した従来の後者のクリップ(特開2006−226368号公報)では、シール部材を必要とするために、従来の前者のクリップ(実開平08−1090号公報)と比較して、部品点数が多く、組立工数も増加するという第2の問題点があった。
【0007】
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、部品の締結構造であって、次の点を目的とする。
【0008】
すなわち、請求項1に記載の発明は、締結部材のフランジをストレート形状で且つ薄肉状に形成するとともに、部品の貫通孔の外周に、前記フランジに圧接する壁部を形成し、ベースと締結される際に、前記フランジが逆反りした状態となるようにすることで、シール性並びにその耐久性を向上することができるようにしたものである。
【0009】
第1に、従来の前者のクリップ(実開平08−1090号公報)と比較し、請求項1に記載の発明によれば、フランジをストレート形状で且つ薄肉状に形成することで、成形時の無理抜き構造を無くし、バリや収縮変形等によるシール性能の低下を抑制する効果が期待できる。また、請求項1に記載の発明によれば、バリや収縮変形等が仮に発生した場合にも、当該箇所を避けてフランジと壁部を圧接させることが可能であって、製造のバラツキによるシール性能の低下を抑制する効果が期待できる。
【0010】
第2に、従来の後者のクリップ(特開2006−226368号公報)と比較し、請求項1に記載の発明によれば、シール部材を省くことができるので、部品点数及び組立工数を減少でき、コストを低減できる利点がある。
【0011】
一方、請求項1に記載の発明によれば、ベースと締結される際に、フランジが逆反りした状態となるようにすることで、フランジの撓み量を向上でき、形状によるセンタリング力が向上し、経年劣化時においても、必要十分なセンタリング力を確保する可能である。
【0012】
さらに、請求項1に記載の発明によれば、締結部材の係合手段により、ベースと部品を固定することができる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1に記載の発明の目的と同様に、次の点を目的とする。
【0013】
すなわち、請求項2に記載の発明は、軸部材のフランジをストレート形状で且つ薄肉状に形成するとともに、締結部材の貫通孔の外周に、前記フランジに圧接する壁部を形成し、ベースと締結される際に、前記フランジが逆反りした状態となるようにすることで、シール性並びにその耐久性を向上することができるようにしたものである。
【0014】
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、ベースと締結される際に、フランジが逆反りした状態となるようにすることで、フランジの撓み量を向上でき、形状によるセンタリング力が向上し、経年劣化時においても、必要十分なセンタリング力を確保する可能である。
【0015】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、第2の部品に有する複数の脚片を有する脚部により、当該部品をベースに対して係合させることができる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、部品締結用のクリップであって、上記した請求項1又は請求項2に記載の締結構造の目的と同様に、次の点を目的とする。
【0016】
すなわち、請求項3に記載の発明は、ピンのフランジをストレート形状で且つ薄肉状に形成するとともに、グロメットの鍔状部に、前記フランジに圧接する壁部を形成し、ベースと締結される際に、前記フランジが逆反りした状態となるようにすることで、シール性並びにその耐久性を向上することができるようにしたものである。
【0017】
これに加え、請求項3に記載の発明によれば、ベースと締結される際に、フランジが逆反りした状態となるようにすることで、フランジの撓み量を向上でき、形状によるセンタリング力が向上し、経年劣化時においても、必要十分なセンタリング力を確保する可能である。
【0018】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、グロメットに有する複数の脚片を有する脚部により、当該グロメットを介して第3の部品をベースに対して係合させることができる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0019】
すなわち、請求項4に記載の発明は、係合手段を複数の脚片を有する脚部から構成することにより、ベースに部品をワンタッチで係止することができるようにしたものである。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0020】
すなわち、請求項5に記載の発明は、フランジの軸先端側の側面を、壁部の内壁と頂面との接続部に圧接させることができるようにしたものである。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0021】
すなわち、請求項6に記載の発明は、壁部の内側側面に、貫通孔の方向に向かって下り傾斜した傾斜面を形成することで、フランジと常に圧接させることが可能であって、製造のバラツキによるシール性能の低下を抑制することができるようにしたものである。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、部品締結用のクリップであって、上記した請求項3に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0022】
すなわち、請求項7に記載の発明は、フランジの軸先端側の側面を、壁部の内壁と頂面との接続部に圧接させることができるようにしたものである。
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、部品締結用のクリップであって、上記した請求項3に記載の発明の目的に加え、次の点を目的とする。
【0023】
すなわち、請求項8に記載の発明は、壁部の内側側面に、貫通孔の方向に向かって下り傾斜した傾斜面を形成することで、フランジと常に圧接させることが可能であって、製造のバラツキによるシール性能の低下を抑制することができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
【0025】
なお、カッコ内の符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0026】
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、部品の締結構造であって、次の点を特徴とする。
【0027】
第1に、例えば図1に示すように、ベース(20)に部品(例えばバンパーリテーナー及びグロメット40の一部)を締結する締結構造(10)である。
【0028】
なお、部品として、バンパーリテーナー(図示せず)及びグロメット40の一部を例示したが、これに限定されず、図示しないが、グロメット(40)を省き、バンパーリテーナー単独で構成しても良い。また、部品の一部として、バンパーリテーナーを例示したが、これに限定されない。
【0029】
第2に、締結構造(10)は、例えば図1及び図4に示すように、締結部材(例えばピン50及びグロメット40の他の一部)を備える。
【0030】
なお、締結部材として、ピン(50)及びグロメット(40)の他の一部を例示したが、これらに限定されず、図示しないが、グロメット(40)を省き、ピン(50)単独で構成しても良い。
【0031】
上記締結部材(例えばピン50及びグロメット40の一部)には、例えば図1〜4に示すように、次の構成を有する
(1)頭部(100)
(2)軸部(90)
軸部(90)は、例えば図1及び図2に示すように、頭部(100)から垂下するものである。
【0032】
(3)フランジ(101)
フランジ(101)は、例えば図17及び図18に示すように、頭部(100)の外周からストレート形状に延びる薄肉状のものである。
【0033】
(4)係合手段(例えばグロメット40の脚部80)
係合手段(例えばグロメット40の脚部80)は、例えば図4に示すように、軸部(90)と一体となり、フランジ(101)の下部に設けられ、ベース(20)と部品(例えばバンパーリテーナー)を固定するものである。
【0034】
なお、係合手段として、グロメット(40)の脚部(80)を例示したが、これに限定されず、図示しないが、グロメット(40)を省き、ピン(50)に係合手段を設けても良く、例えばピン(50)の軸部(90)の先端部にいわゆるアンカー型の弾性爪を形成しても良い。
【0035】
第3に、部品(例えばバンパーリテーナー及びグロメット40の一部)には、例えば図1〜4に示すように、次の構成を備える。
【0036】
(5)貫通孔(71)
貫通孔(71)は、例えば図1〜4に示すように、締結部材の軸部(90)が挿通するものである。
【0037】
なお、貫通孔(71)を、グロメット(40)側に設けたが、これに限定されず、図示しないが、グロメット(40)を省き、バンパーリテーナー側に設けても良い。
【0038】
(6)壁部(72)
壁部(72)は、例えば図1〜4に示すように、貫通孔(71)の外周に位置し、軸部(90)の挿入方向に向かって延びるものである。
【0039】
なお、壁部(72)を、グロメット(40)側に設けたが、これに限定されず、図示しないが、グロメット(40)を省き、バンパーリテーナー側に設けても良い。
【0040】
第4に、ベース(20)には、例えば図1、図3及び図4に示すように、軸部(90)が挿入可能な取付穴(21)を有する。
【0041】
第5には、例えば図3及び図4に示すように、軸部(90)の挿入によってベース(20)と部品(例えばバンパーリテーナー及びグロメット40の一部)とが締結される際に、フランジ(101)が壁部(72)に圧接され、逆反りした状態となる。
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、部品の締結構造であって、次の点を特徴とする。
【0042】
第1に、例えば図1に示すように、ベース(20)に第2の部品(例えばバンパーリテーナー及びグロメット40)を締結する締結構造(10)である。
【0043】
なお、第2の部品として、バンパーリテーナー(図示せず)及びグロメット40を例示したが、これに限定されず、図示しないが、グロメット(40)を省き、バンパーリテーナー単独で構成しても良い。また、部品の一部として、バンパーリテーナーを例示したが、これに限定されない。
【0044】
第2に、締結構造(10)には、例えば図1に示すように、ピン(50)を備える。
【0045】
上記ピン(50)には、例えば図1及び図2に示すように、次の構成を備える。
【0046】
(1)頭部(100)
(2)軸部(90)
軸部(90)は、例えば図1及び図2に示すように、頭部(100)から垂下するものである。
【0047】
(3)フランジ(101)
フランジ(101)は、例えば図17及び図18に示すように、頭部(100)の外周からストレート形状に延びる薄肉状のものである。
【0048】
第3に、第2の部品(例えばバンパーリテーナー及びグロメット40の一部)には、例えば図1〜4に示すように、次の構成を備える。
【0049】
(4)貫通孔(71)
貫通孔(71)は、例えば図1〜4に示すように、ピン(50)の軸部(90)が挿通するものである。
【0050】
なお、貫通孔(71)を、グロメット(40)側に設けたが、これに限定されず、図示しないが、グロメット(40)を省き、バンパーリテーナー側に設けても良い。
【0051】
(5)脚部(80)
脚部(80)は、例えば図3、図4及び図8に示すように、貫通孔(71)の周囲から垂下するとともに、ピン(50)の挿入によって、ベース(20)に設けられた取付穴(21)の孔淵に係合する複数の脚片(110,120)を有するものである。
【0052】
なお、脚部(80)を、グロメット(40)側に設けたが、これに限定されず、図示しないが、グロメット(40)を省き、バンパーリテーナー側に設けても良い。
【0053】
(6)壁部(72)
壁部(72)は、例えば図1〜4に示すように、ピン(50)の挿入方向に向かって延びるものである。
【0054】
なお、壁部(72)を、グロメット(40)側に設けたが、これに限定されず、図示しないが、グロメット(40)を省き、バンパーリテーナー側に設けても良い。
【0055】
第4には、例えば図3及び図4に示すように、ピン(50)の挿入によってベース(20)と第2の部品(例えばバンパーリテーナー)とが締結される際に、フランジ(101)が壁部(72)と圧接され、逆反りした状態となる。
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、部品締結用のクリップであって、次の点を特徴とする。
【0056】
第1に、例えば図1に示すように、ベース(20)に第3の部品(例えばバンパーリテーナー)を締結するクリップ(30)である。
【0057】
なお、第3の部品として、バンパーリテーナーを例示したが、これに限定されない。
【0058】
第2に、クリップ(30)には、例えば図1及び図2に示すように、ピン(50)とグロメットとを備える。
【0059】
上記ピン(50)は、例えば図1及び図2に示すように、次の構成からなる。
【0060】
(1)頭部(100)
(2)軸部(90)
軸部(90)は、例えば図1及び図2に示すように、頭部(100)から垂下するものである。
【0061】
(3)フランジ(101)
フランジ(101)は、例えば図17及び図18に示すように、頭部(100)の外周からストレート形状に延びる薄肉状のものである。
【0062】
上記グロメットは、例えば図1〜4に示すように、次の構成からなる。
【0063】
(4)鍔状部(70)
鍔状部(70)は、例えば図1〜4に示すように、第3の部品(例えばバンパーリテーナー)の一部を構成するととともに、ベース(20)に当接するものである。
【0064】
なお、鍔状部(70)を、ベース(20)に直接的に当接させたが、これに限定されず、第3の部品(例えばバンパーリテーナー)を介してベース(20)に間接的に当接させるようにしても良い。
【0065】
(5)貫通孔(71)
貫通孔(71)は、例えば図1〜4に示すように、鍔状部(70)に設けられ、ピン(50)の軸部(90)が挿通するものである。
【0066】
(6)脚部(80)
脚部(80)は、例えば図3、図4及び図8に示すように、貫通孔(71)の周囲から垂下するとともに、ピン(50)の挿入によって、ベース(20)に設けられた取付穴(21)の孔淵に係合する複数の脚片(110,120)を有するものである。
【0067】
第3に、グロメットの鍔状部(70)には、例えば図1〜4に示すように、軸部(90)の挿入方向に向かって延びる壁部(72)を有する。
【0068】
第4に、例えば図3及び図4に示すように、ピン(50)の挿入によってベース(20)と第3の部品(例えばバンパーリテーナー)とが締結される際に、フランジ(101)が壁部(72)と圧接され、逆反りした状態となる。
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0069】
すなわち、締結部材の係合手段は、例えば図3、図4及び図8に示すように、ベース(20)に設けられた取付穴(21)に挿通する際に、内側に撓み、当該取付穴(21)を挿通後、ベース(20)の裏側で係止する複数の脚片(110,120)を有する脚部(80)から構成されている。
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0070】
すなわち、フランジ(101)の軸先端側の側面が、例えば図3及び図4に示すように、壁部(72)の内壁(例えば傾斜面74)と頂面(75)との接続部(76)に圧接する。
【0071】
なお、壁部(72)の内壁として、傾斜面(74)を例示したが、これに限定されず、傾斜面でなくとも良い。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0072】
すなわち、壁部(72)の内側側面は、例えば図3及び図4に示すように、貫通孔(71)の方向に向かって下り傾斜した傾斜面(74)となっている。
(請求項7)
請求項7に記載の発明は、部品締結用のクリップ(30)であって、上記した請求項3に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0073】
すなわち、フランジ(101)の軸先端側の側面が、例えば図3及び図4に示すように、壁部(72)の内壁(例えば傾斜面74)と頂面(75)との接続部(76)に圧接する。
【0074】
なお、壁部(72)の内壁として、傾斜面(74)を例示したが、これに限定されず、傾斜面でなくとも良い。
(請求項8)
請求項8に記載の発明は、部品締結用のクリップ(30)であって、上記した請求項3に記載の発明の特徴点に加え、次の点を特徴とする。
【0075】
すなわち、壁部(72)の内側側面は、例えば図3及び図4に示すように、貫通孔(71)の方向に向かって下り傾斜した傾斜面(74)となっている。
【発明の効果】
【0076】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、部品の締結構造であって、次のような効果を奏する。
【0077】
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、締結部材のフランジをストレート形状で且つ薄肉状に形成するとともに、部品の貫通孔の外周に、前記フランジに圧接する壁部を形成し、ベースと締結される際に、前記フランジが逆反りした状態となるようにすることで、シール性並びにその耐久性を向上することができる。
【0078】
これに加えて、請求項1に記載の発明によれば、ベースと締結される際に、フランジが逆反りした状態となるようにすることで、フランジの撓み量を向上でき、形状によるセンタリング力が向上し、経年劣化時においても、必要十分なセンタリング力を確保する可能である。
【0079】
さらに、請求項1に記載の発明によれば、締結部材の係合手段により、ベースと部品を固定することができる。
(請求項2)
請求項2に記載発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1に記載の発明の効果と同様に、次のような効果を奏する。
【0080】
すなわち、請求項2に記載発明によれば、軸部材のフランジをストレート形状で且つ薄肉状に形成するとともに、締結部材の貫通孔の外周に、前記フランジに圧接する壁部を形成し、ベースと締結される際に、前記フランジが逆反りした状態となるようにすることで、シール性並びにその耐久性を向上することができる。
【0081】
これに加え、請求項2に記載の発明によれば、ベースと締結される際に、フランジが逆反りした状態となるようにすることで、フランジの撓み量を向上でき、形状によるセンタリング力が向上し、経年劣化時においても、必要十分なセンタリング力を確保する可能である。
【0082】
さらに、請求項2に記載の発明によれば、第2の部品に有する複数の脚片を有する脚部により、当該部品をベースに対して係合させることができる。
(請求項3)
請求項3に記載発明は、部品締結用のクリップであって、上記した請求項1又は請求項2に記載の締結構造の効果と同様に、次のような効果を奏する。
【0083】
すなわち、請求項3に記載発明によれば、ピンのフランジをストレート形状で且つ薄肉状に形成するとともに、グロメットの鍔状部に、前記フランジに圧接する壁部を形成し、ベースと締結される際に、前記フランジが逆反りした状態となるようにすることで、シール性並びにその耐久性を向上することができる。
【0084】
これに加え、請求項3に記載の発明によれば、ベースと締結される際に、フランジが逆反りした状態となるようにすることで、フランジの撓み量を向上でき、形状によるセンタリング力が向上し、経年劣化時においても、必要十分なセンタリング力を確保する可能である。
【0085】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、グロメットに有する複数の脚片を有する脚部により、当該グロメットを介して第3の部品をベースに対して係合させることができる。
(請求項4)
請求項4に記載発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0086】
すなわち、請求項4に記載発明によれば、係合手段を複数の脚片を有する脚部から構成することにより、ベースに部品をワンタッチで係止することができる。
(請求項5)
請求項5に記載発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0087】
すなわち、請求項5に記載発明によれば、フランジの軸先端側の側面を、壁部の内壁と頂面との接続部に圧接させることができる。
その結果、請求項5に記載の発明によれば、面圧が高くなり、良好な止水性を保持できる。
(請求項6)
請求項6に記載発明は、部品の締結構造であって、上記した請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0088】
すなわち、請求項6に記載発明によれば、壁部の内側側面に、貫通孔の方向に向かって下り傾斜した傾斜面を形成することで、フランジと常に圧接させることが可能であって、製造のバラツキによるシール性能の低下を抑制することができ、フランジの滑落を防ぐことができる。
(請求項7)
請求項7に記載発明は、部品締結用のクリップであって、上記した請求項3に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0089】
すなわち、請求項7に記載発明によれば、フランジの軸先端側の側面を、壁部の内壁と頂面との接続部に圧接させることができる。
(請求項8)
請求項8に記載発明は、部品締結用のクリップであって、上記した請求項3に記載の発明の効果に加え、次のような効果を奏する。
【0090】
すなわち、請求項8に記載発明によれば、壁部の内側側面に、貫通孔の方向に向かって下り傾斜した傾斜面を形成することで、フランジと常に圧接させることが可能であって、製造のバラツキによるシール性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】部品の締結構造の分解斜視図である。
【図2】クリップの分解斜視図である。
【図3】クリップの取付状態の断面図である。
【図4】クリップの取付状態の他の断面図である。
【図5】ピンの仮留め状態の断面図である。
【図6】ピンの仮留め状態の断面図である。
【図7】グロメットの斜視図である。
【図8】グロメットの他の斜視図である。
【図9】グロメットの正面図である。
【図10】グロメットの側面図である。
【図11】グロメットの平面図である。
【図12】グロメットの底面図である。
【図13】グロメットの一半を断面にした正面図である。
【図14】グロメットの一半を断面にした側面図である。
【図15】ピンの斜視図である。
【図16】ピンの他の斜視図である。
【図17】ピンの正面図である。
【図18】ピンの一半を断面にした側面である。
【図19】ピンの平面図である。
【図20】ピンの一部拡大図である。
【図21】図18のA−A線に沿う断面図である。
【図22】グロメットの突壁とピンの突部との係合状態を説明するための説明図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態を説明するためのグロメットの一部平面図である。
【図24】本発明の第3の実施の形態を説明するためのグロメットの一部平面図である。
【図25】本発明の第4の実施の形態を示し、クリップの取付状態の断面図である。
【図26】本発明の第4の実施の形態を示し、クリップの取付状態の他の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
(締結構造10)
図1中、10は、締結構造を示し、締結構造10は、図示しないが、例えば自動車のボディーであるベース20に、部品の一例であるバンパー(図示せず)を、バンパーリテーナー(図示せず)の一部を構成するクリップ30を介して締結するものである。
【0093】
ベース20には、図1に示すように、クリップ30を取り付けるための取付穴21を設けている。取付穴21は、ベース20の表裏面に貫通するとともに、非円形、例えば方形に形成している。
【0094】
なお、取付穴21を、方形に形成したが、これに限定されず、クリップ30が回転しない非円形であれば良い。
【0095】
一方、ベース20として、自動車のボディーを例示したが、これに限定されず、自動車用に限らず、他の乗り物や建物、家具、事務機器等でも良い。
【0096】
また、部品として、バンパーを例示したが、これに限定されない。また、バンパーリテーナー(図示せず)及びクリップ30も、部品の一部と考えているが、この点については、「部品の態様」として後述する。
【0097】
さらに、クリップ30を、バンパーリテーナーの一部として構成したが、これに限定されず、バンパーリテーナーと別体に構成しても良い。
(クリップ30)
クリップ30は、図1及び図2に示すように、大別すると、次の構成を備える。
【0098】
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
【0099】
(1)グロメット40
(2)ピン50
(3)パッキング60
なお、クリップ30の構成は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(グロメット40)
グロメット40は、図1〜4に示すように、バンパーリテーナー(図示せず)の一部を構成し、ベース20の取付穴21に取り付けられ、後述するピン50を挿入することで、ベース20に対して締結されるものである。バンパーリテーナーは、グロメット40を介してベース20に対して締結される。グロメット40は、適度な弾性と剛性とを有する合成樹脂により一体的に成形されている。
【0100】
なお、グロメット40を、バンパーリテーナーの一部として構成したが、これに限定されず、バンパーリテーナーと別体に構成しても良い。
【0101】
具体的には、グロメット40に、図7〜14に示すように、次の各部を有する。
【0102】
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
【0103】
(1)鍔状部70
(2)脚部80
なお、グロメット40の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(ピン50)
ピン50は、図1〜4に示すように、グロメット40に挿入されることで、グロメット40をベース20に対して締結するものである。ピン50は、適度な弾性と剛性とを有する合成樹脂により一体的に成形されている。
【0104】
具体的には、ピン50に、図15〜21に示すように、次の各部を有する。
【0105】
なお、次の(1)及び(2)については、後述する。
【0106】
(1)軸部90
(2)頭部100
なお、グロメット40の各部は、上記した(1)及び(2)に限定されない。
(パッキング60)
パッキング60は、図1に示すように、ベース20とグロメット40との間に位置し、ベース20の取付穴21からの水の浸入を防止するためのものである。パッキング60は、弾性に富む材質により形成され、例えば方形の板状に形成されている。パッキング60の中央には、表裏面に貫通し、後述するグロメット40の脚部80の外形に適合した方形の中心孔61を形成している。
(鍔状部70)
鍔状部70は、図1〜4に示すように、バンパーリテーナー(図示せず)の一部を構成するととともに、ベース20に当接するものである。
【0107】
具体的には、鍔状部70は、平面が長円形の円盤形に形成され、その外形をベース20の取付穴21の内径より大きく設定している。
【0108】
なお、鍔状部70を、バンパーリテーナーの一部として構成したが、これに限定されず、バンパーリテーナーと別体に構成しても良い。また、鍔状部70を、ベース20に直接的に当接させたが、これに限定されず、バンパーリテーナーと別体に構成した場合には、バンパーリテーナーを介してベース20に間接的に当接させるようにしても良い。
【0109】
鍔状部70には、図7〜14に示すように、次の各部を有する。
【0110】
なお、次の(1)〜(3)については、後述する。
【0111】
(1)貫通孔71
(2)壁部72
(3)突壁73
なお、鍔状部70の各部は、上記した(1)〜(3)に限定されない。
(貫通孔71)
貫通孔71は、図1〜4に示すように、ピン50の軸部90が挿通するものである。
【0112】
具体的には、貫通孔71は、鍔状部70の中央に円形に形成され、表裏面、すなわち図1において上下方向に貫通している。
(壁部72)
壁部72は、図1〜4に示すように、ピン50の挿入方向に向かって延びるものである。
【0113】
具体的には、壁部72は、貫通孔71を中心とし、一回り大きな環状なリブ状に形成され、鍔状部70の上面から突出している。壁部72は、傾斜面74を貫通孔71の中心に向けた断面が台形形に形成されている。傾斜面74は、壁部72の内壁、より具体的には内側側面に位置し、貫通孔71の方向に向かって下り傾斜している。また、壁部72の上面である頂面75は、壁部72の上面と平行に形成され、傾斜面74との間の角部には接続部76が形成されている。
(突壁73)
突壁73は、図2及び図22に示すように、貫通孔71と壁部72と間に位置し、後述するピン50を回転させた際に、その頭部100の下側に形成された突部103に当接し、ピン50の軸部90が貫通孔71から抜ける方向に案内するものである。
【0114】
具体的には、突壁73は、鍔状部70の上面から突出し、鍔状部70の円周方向の前後に対して対称形状に形成され、貫通孔71を中心に放射状に4個形成されている。各突壁73は、平面が「やじり」或いは「矢印」形に形成され、その「やじり」或いは「矢印」の先端部の三角形に尖った先を貫通孔71に向かわせている。突壁73の三角形の先端部の両側には、円周方向の前後に位置し、先細状に傾斜した傾斜面77,77を形成している。
【0115】
突壁73は、後述するピン50の頭部100の下面から突出する突部103に当接するものである。すなわち、ピン50の軸部90をグロメット40の貫通孔71に深く挿入すると、頭部100の下面から突出する突部103が鍔状部70の上面に位置する。この状態で、ピン50を回転すると、その突部103と、鍔状部70の上面から突出する突壁73とが当接する。ピン50を更に回転すると、その突部103の後述する傾斜面104と、突壁73の両側の傾斜面77,77のいずれか一方の傾斜面77との当接により、グロメット40の鍔状部70の上面からピン50の頭部100が浮上する方向に案内される。
(脚部80)
脚部80は、図3、図4及び図8に示すように、貫通孔71の周囲から垂下するとともに、ピン50の挿入によって、ベース20に設けられた取付穴21の孔淵に係合する複数、例えば計4個の第1、第2脚片110,120を有するものである。脚部80は、図8及び図12に示すように、計4個の第1、第2脚片110,120を角筒形に配置して形成し、当該筒内部は貫通孔71に連通している。
【0116】
なお、脚片110,120を、計4個設けたが、これに限定されず、少なくとも一対あれば良い。
【0117】
また、計4個の第1、第2脚片110,120から構成される脚部80の外形は、ベース20の取付穴21の内形にほぼ一致させている。
【0118】
計4個の第1、第2脚片110,120のうち、2個の第1脚片110は、図8、図12及び図13に示すように、離れて相対向し、相対向した内側面には、上下に延びたリブ状の第1凸部111を設けている。
【0119】
第1脚片110は、図4に示すように、ベース20の取付穴21に挿入された状態で、貫通孔71を介して後述するピン50の軸部90が挿入されることにより、軸部90の外周によりリブ状の第1凸部111が押されることで、互いに離隔する方向に拡開する。このため、グロメット40は、鍔状部70の下面と拡開した一対の第1脚片110の間で、ベース20を表裏面より挟み持つことで、ベース20の取付穴21に固定される。すなわち、グロメット40が、バンパーリテーナー(図示せず)の一部として構成されていることから、バンパーリテーナーがベース20に対して固定される。
【0120】
一方、計4個の第1、第2脚片110,120のうち、2個の第2脚片120は、図8、図12及び図14に示すように、離れて相対向し、先端部の相対向した内側面には、断面L字形に屈曲した爪状の第2凸部121を設けている。
【0121】
第2脚片120は、図3に示すように、ベース20の取付穴21に挿入された状態で、貫通孔71を介して後述するピン50の軸部90が挿入されることにより、その爪状の第2凸部121が、軸部90の後述する凹部94にはまり込むことで、ピン50の軸部90の挿入方向の移動を阻止する。
(軸部90)
軸部90は、図15〜18に示すように、後述する頭部100から垂下するものである。
【0122】
具体的には、頭部100の下面から垂下し、全体が略四角柱形に形成され、先端部が先細状に尖っている。
【0123】
軸部90には、図15〜18に示すように、次の各部を有する。
【0124】
軸部90の各部は、次の(1)〜(6)に限定されない。
【0125】
(1)太径部91
太径部91は、図15〜18に示すように、軸部90の長さの途中に位置し、比較的、太径に設定されている。
【0126】
太径部91は、図4に示すように、貫通孔71を介して脚部80の中空内部にピン50の軸部90が挿入された際に、第1脚片110の間隔内に割り込むことで、第1脚片110を拡開させる。
【0127】
(2)細径部92
細径部92は、図15〜18に示すように、軸部90の先端部に位置し、太径部91と比較して細径に設定されている。
【0128】
細径部92が、図6に示すように、第1脚片110の間隔内に割り込んだ位置では、第1脚片110は拡開しない。
【0129】
(3)カム部93
カム部93は、図15〜18に示すように、太径部91と細径部92との間に位置し、細径部92から太径部91に向かって徐々に太くなっている。
【0130】
図6に示すように、細径部92が第1脚片110の間隔内に割り込んだ位置から、軸部90を貫通孔71中に押し込むと、第1脚片110のリブ状の第1凸部111がカム部93に当接する。軸部90が更に押し込まれると、カム部93が太径部91に向かって徐々に太くなっていることから、第1脚片110のリブ状の第1凸部111がカム部93の外周に押され、第1脚片110が次第に拡径し、図4に示すように、太径部91に至る。
【0131】
(4)凹部94
凹部94は、図15〜18に示すように、太径部91に形成され、凹状に凹んでいる。
【0132】
凹部94には、図3に示すように、第2脚片120の爪状の第2凸部121がはまり込むことで、グロメット40に対し、ピン50の軸部90の軸方向の移動を阻止する。
【0133】
(5)抜止部95
抜止部95は、図15〜18に示すように、細径部92に隣接し、軸部90の先端部に位置し、細径部92より太く、先細状に傘形或いは円錐形に張り出している。
【0134】
抜止部95は、貫通孔71を介して脚部80の中空内部にピン50の軸部90が挿入された際に、第1脚片110のリブ状の第1凸部111に当接し、第1脚片110を押し開くようにして、第1凸部111の間隔内を通過する。第1凸部111の間隔内を抜止部95が通過すると、第1脚片110は樹脂の復元力により復元することで、軸部90の抜けを阻止する。
【0135】
同時に、抜止部95は、第2脚片120の爪状の第2凸部121に当接し、第2脚片120を押し開くようにして、第2凸部121の間隔内を通過する。第2凸部121の間隔内を抜止部95が通過すると、第2脚片120は樹脂の復元力により復元することで、軸部90の抜けを阻止する。
【0136】
(6)ガイドリブ96
ガイドリブ96は、図15〜18に示すように、軸部90の中心から放射状に計4個延び、軸部90の軸方向に沿って形成されている。
【0137】
ガイドリブ96は、貫通孔71を介して脚部80の中空内部にピン50の軸部90が挿入された際に、隣接する第1脚片110と第2脚片120との間の隙間内にはまり込み、脚部80の中空内部内でのピン50の軸部90が不用意に回転しないようにしている。
(頭部100)
頭部100は、軸部90の上端部から円盤状に張り出し、その外径を貫通孔71の内径より大きく設定している。
【0138】
具体的には、頭部100に、図15〜19に示すように、次の各部を有する。
【0139】
頭部9の各部は、次の(1)〜(3)に限定されない。
【0140】
(1)フランジ101
フランジ101は、図17及び図18に示すように、頭部100の外周からストレート形状に延びる薄肉状のものである。
【0141】
具体的には、フランジ101は、頭部100の下側から環状に延びている。フランジ101は、頭部100の厚みを、例えば2mmとした場合に、その1/8の0.25mmに設定されている。
【0142】
フランジ101は、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁73に当接するものである。すなわち、ピン50の軸部90をグロメット40の貫通孔71に挿入すると、フランジ101の下面が鍔状部70の上面から突出する壁部72の上面である頂面75に当接する。軸部90を更に深く挿入すると、フランジ101の下面が、頂面75と、壁部72の内側側面に位置する傾斜面74との間の角状の接続部76に押されて、図3及び図4に示すように、逆反りした状態となる。このフランジ101が逆反りした状態の位置において、図3に示すように、グロメット40の第2脚片120の爪状の第2凸部121が、ピン50の軸部90の凹部94にはまり込むことで、グロメット40に対し、ピン50の軸部90の軸方向の移動を阻止される。このため、フランジ101が逆反りした状態で、角状の接続部76に圧接した状態を維持する。
【0143】
(2)治具係合部102
治具係合部102は、図示しないが、例えば「+」(プラス)のドライバー等の治具と係合するものであり、例えば+(プラス)溝を設けている。
【0144】
なお、治具として、ドライバーを例示したが、これに限定されず、又、治具係合部102も+溝に限定されない。
【0145】
(3)突部103
突部103は、図15、図17及び図20に示すように、頭部100の下側に位置し、軸部90の外周からその半径方向外向きに突出し、少なくとも一つの傾斜面104を有するものである。
【0146】
具体的には、突部103は、三角柱形に形成され、傾斜面104を軸部90の外周方向に向けている。突部103は、軸部90の直径方向に一対形成している。
【0147】
なお、突部103を、一対形成したが、これに限定されず、単数或いは3個以上形成しても良い。また、傾斜面104を、頭部100の円周方向の片側に1個形成したが、これに限定されず、図示しないが、傾斜面を頭部100の円周方向の両側に2個形成し、突部103を頭部100の円周方向の前後に対して対称形状に形成しても良い。このように、突部を円周方向の前後に対して対称形状に形成することで、ピン50の製造を簡便にするとともに、ピン50の回転方法の方向性を無くすることで、操作性を向上することができる。
【0148】
突部103は、図22に示すように、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁73に当接するものである。すなわち、ピン50の軸部90をグロメット40の貫通孔71に深く挿入すると、頭部100の下面から突出する突部103が鍔状部70の上面に位置する。この状態で、ピン50を回転すると、その突部103と、鍔状部70の上面から突出する突壁73とが当接する。ピン50を更に回転すると、その突部103の傾斜面104と、突壁73の両側の傾斜面77,77のいずれか一方の傾斜面77との当接により、グロメット40の鍔状部70の上面からピン50の頭部100が浮上する方向に案内される。
(クリップ30の取付方法)
つぎに、上記した構成を有するグロメット40とピン50とからなるクリップ30の取付方法について説明する。
【0149】
まず、グロメット40に対して、ピン50とパッキング60とを予め組み付けておく。
【0150】
なお、グロメット40を、ベース20に取り付ける際に、ピン50とパッキング60とを取り付けても良い。
【0151】
まず、グロメット40の脚部80を、パッキング60の中心孔61に合わせて挿入し、パッキング60を鍔状部70の下面の下側に位置させる。
【0152】
つぎに、ピン50の軸部90を、図5及び図6に示すように、グロメット40の貫通孔71に合わせて挿入する。
【0153】
ピン50の軸部90を挿入すると、貫通孔71を介して脚部80の中空内部にピン50の軸部90が挿入される。その後、軸部90の先端部の抜止部95が、第1脚片110の第1凸部111と、第2脚片120の第2凸部121とに当接し、第1脚片110と第2凸部121とを押し開くようにして、第1凸部111の間隔内と、第2凸部121の間隔内を通過し、第1凸部111と第2凸部121とが、
軸部90の細径部92に位置する。このため、軸部90は、脚部80の中空内部から抜けなくなり、ピン50がグロメット40に対して仮留めされる。
【0154】
つぎに、グロメット40の脚部80を、図3及び図4に示すように、ベース20の取付穴21に合わせて挿入する。
【0155】
グロメット40の脚部80を挿入すると、その鍔状部70の下面が、パッキング60を介してベース20の表面に当接する。
【0156】
その後、ピン50の頭部100を、図3及び図4に示すように、グロメット40に対して押し込む。
【0157】
ピン50を押し組むと、その軸部90が脚部80の中空内部を進行し、太径部91によりグロメット40の第1脚片110を押し開くことで、図4に示すように、グロメット40の脚部80の外径が拡開する。このため、グロメット40は、鍔状部70の下面と拡開した一対の第1脚片110の間で、ベース20を表裏面より挟み持つことで、ベース20の取付穴21に固定される。すなわち、グロメット40が、バンパーリテーナー(図示せず)の一部として構成されていることから、バンパーリテーナーがベース20に対して固定される。
【0158】
同時に、ピン50の凹部94内に、図3に示すように、グロメット40の第2脚片120の爪状の第2凸部121がはまり込むことで、ピン50の軸部90の挿入方向の移動が阻止される。
【0159】
一方、ピン50のフランジ101は、図3及び図4に示すように、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁73に当接する。すなわち、ピン50の軸部90をグロメット40の貫通孔71に挿入すると、フランジ101の下面が鍔状部70の上面から突出する壁部72の上面である頂面75に当接する。軸部90を更に深く挿入すると、フランジ101の下面が、頂面75と、壁部72の内側側面に位置する傾斜面74との間の角状の接続部76に押されて、逆反りした状態となる。このフランジ101が逆反りした状態の位置において、図3に示すように、グロメット40の第2脚片120の爪状の第2凸部121が、ピン50の軸部90の凹部94にはまり込むことで、グロメット40に対し、ピン50の軸部90の軸方向の移動を阻止される。このため、フランジ101が逆反りした状態で、角状の接続部76に圧接した状態を維持する。
(クリップ30の取外方法)
一方、取り付けたクリップ30の取外方法について、説明する。
【0160】
ピン50の+(プラス)溝である治具係合部102に、図示しないが、「+」(プラス)のドライバー等の治具を係合させ、ピン50の頭部100を一方向、例えば反時計回りに回転させる。
【0161】
ピン50の頭部100を回転させると、頭部100の下面から突出する突部103が鍔状部70の上面から突出する突壁73に当接する。
【0162】
ピン50の頭部100を更に回転させると、図22に示すように、その突部103の傾斜面104と、突壁73の両側の傾斜面77,77のいずれか一方の傾斜面77との当接により、グロメット40の鍔状部70の上面からピン50の頭部100が浮上する方向に案内される。
【0163】
ピン50の頭部100が上昇すると、その軸部90が脚部80の中空内部を抜ける方向、すなわち上方に移動することで、軸部90の凹部94にはまり込んでいたグロメット40の第2脚片120の爪状の第2凸部121が係脱する。このため、グロメット40の第1脚片110が、軸部90の太径部91から細径部92に移動することで、グロメット40の脚部80の外径が縮径する。
【0164】
このため、グロメット40の脚部80を、ベース20の取付穴21から引き抜くことができる。
【0165】
なお、このとき、ピン50は、グロメット40に対して仮留めされた状態を維持する。
(部品の態様)
つぎに、部品の態様について説明する。
【0166】
部品の態様は、図示しないが、次の3種類がある。
【0167】
なお、部品の態様は、次の3種類に限定されない。
【0168】
(1)第1の部品
第1の部品は、図示しないが、バンパーリテーナーと、グロメット40の一部、すなわち鍔状部70とから構成される。
【0169】
なお、図示しないが、グロメット40を省き、バンパーリテーナーに、グロメット40の鍔状部70の有する貫通孔71及び壁部72を形成しても良い。また、部品の一部として、バンパーリテーナーを例示したが、これに限定されない。
【0170】
第1の部品は、図示しないが、締結部材と協同して、ベース20に締結される。
【0171】
締結部材は、図示しないが、ピン50と、グロメット40の他の一部、すなわち脚部80とから構成される。
【0172】
グロメット40の脚部80は、係合手段の一例である。係合手段は、ピン50の軸部90と一体となり、フランジ101の下部に設けられ、ベース20と第1の部品を固定するものである。
【0173】
なお、係合手段として、グロメット40の脚部80を例示したが、これに限定されず、図示しないが、グロメット40を省き、ピン50に係合手段を設けても良く、例えばピン50の軸部90の先端部にいわゆるアンカー型の弾性爪を形成しても良い。
【0174】
(2)第2の部品
第2の部品は、図示しないが、バンパーリテーナーと、グロメット40の全部とから構成される。
【0175】
なお、第2の部品として、バンパーリテーナー(図示せず)及びグロメット40を例示したが、これに限定されず、図示しないが、グロメット40を省き、バンパーリテーナー単独で構成しても良い。また、部品の一部として、バンパーリテーナーを例示したが、これに限定されない。
【0176】
(3)第3の部品
第3の部品は、図示しないが、グロメット40を除く、バンパーリテーナーから構成される。
【0177】
第3の部品であるバンパーリテーナーは、図示しないが、グロメット40とピン50とから構成されるクリップ30を介して、ベース20に重合された状態で締結される。
【0178】
なお、第3の部品として、バンパーリテーナーを例示したが、これに限定されない。
(第2の実施の形態)
つぎに、図23を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0179】
本実施の形態の特徴は、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁200を、図23に示すように、平面において長円に形成した点である。
【0180】
長円の突壁200は、鍔状部70の円周方向の前後に対して対称形状となる。
【0181】
なお、本実施の形態の説明においては、先に図1〜22を用いて説明した第1の実施の形態と同一の構成部分については、同一の符号を用いて説明を省略する。
(第3の実施の形態)
つぎに、図24を用いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0182】
本実施の形態の特徴は、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する突壁210を、図24に示すように、平面において矩形に形成した点である。
【0183】
矩形の突壁210は、鍔状部70の円周方向の前後に対して対称形状となる。
【0184】
なお、先に図1〜22を用いて説明した第1の実施の形態では、突壁73を、平面において「やじり」或いは「矢印」形に形成し、図23を用いて説明した第2の実施の形態では、突壁200を平面において長円に形成し、本実施の形態では、突壁210を平面において矩形に形成したが、突壁73,200,210は、鍔状部70の円周方向の前後に対して対称形状であれば良く、これらの形状に限定されない。
【0185】
また、本実施の形態の説明においては、第1の実施の形態と同一の構成部分については、同一の符号を用いて説明を省略する。
(第4の実施の形態)
つぎに、図25及び図26を用いて、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0186】
本実施の形態の特徴は、図25及び図26に示すように、グロメット40の鍔状部70の上面から突出する壁部400を、先に図1〜22を用いて説明した第1の実施の形態の壁部72のようにリブ状でなく、段差状に形成した点である。
【0187】
すなわち、壁部72は、鍔状部70の上面から外周方向に斜め上向きに傾斜した傾斜面401と、壁部72の上面である頂面402と、傾斜面401と頂面402との間の角部に位置する接続部403とから構成している。
【0188】
なお、本実施の形態の説明においては、第1の実施の形態と同一の構成部分については、同一の符号を用いて説明を省略する。
【符号の説明】
【0189】
(第1の実施の形態)
10 締結構造
20 ベース 21 取付穴
30 クリップ
40 グロメット 50 ピン
60 パッキング 61 中心孔
70 鍔状部 71 貫通孔
72 壁部
73 突壁
74 傾斜面 75 頂面
76 接続部
77 傾斜面
80 脚部
90 軸部
91 太径部 92 細径部
93 カム部 94 凹部
95 抜止部 96 ガイドリブ
100 頭部
101 フランジ 102 治具係合部
103 突部 104 傾斜面
110 第1脚片 111 第1凸部
120 第2脚片 121 第2凸部
(第2の実施の形態)
200 突壁(長円)
(第3の実施の形態)
210 突壁(矩形)
(第4の実施の形態)
400 壁部
401 傾斜面 402 頂面
403 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに部品を締結する締結構造において、
前記締結構造には、
頭部と、
前記頭部から垂下する軸部と、
前記頭部の外周からストレート形状に延びる薄肉状のフランジと、
前記軸部と一体となり、前記フランジの下部に設けられ、前記ベースと前記部品を固定する係合手段とを有する締結部材を備え、
前記部品には、
前記締結部材の前記軸部が挿通する貫通孔と、
前記貫通孔の外周に位置し、前記軸部の挿入方向に向かって延びる壁部とを有し、
前記ベースには、
前記軸部が挿入可能な取付穴を有し、
前記軸部の挿入によって前記ベースと前記部品とが締結される際に、前記フランジが前記壁部に圧接され、逆反りした状態となることを特徴とする部品の締結構造。
【請求項2】
ベースに第2の部品を締結する締結構造において、
前記締結構造には、
頭部と、
前記頭部から垂下する軸部と、
前記頭部の外周からストレート形状に延びる薄肉状のフランジとを有するピンを備え、
前記第2の部品には、
前記ピンの前記軸部が挿通する貫通孔と、
前記貫通孔の周囲から垂下するとともに、前記ピンの挿入によって、前記ベースに設けられた取付穴の孔淵に係合する複数の脚片を有する脚部と、
前記ピンの挿入方向に向かって延びる壁部とを有し、
前記ピンの挿入によって前記ベースと前記第2の部品とが締結される際に、前記フランジが前記壁部と圧接され、逆反りした状態となることを特徴とする部品の締結構造。
【請求項3】
ベースに第3の部品を締結するクリップにおいて、
前記クリップには、
頭部、
前記頭部から垂下する軸部、
前記頭部の外周からストレート形状に延びる薄肉状のフランジからなるピンと、
第3の部品の一部を構成するととともに、前記ベースに当接する鍔状部、
前記鍔状部に設けられ、前記ピンの前記軸部が挿通する貫通孔、
前記貫通孔の周囲から垂下するとともに、前記ピンの挿入によって、前記ベースに設けられた取付穴の孔淵に係合する複数の脚片を有する脚部からなるグロメットとを備え、
前記グロメットの鍔状部には、
前記軸部の挿入方向に向かって延びる壁部を有し、
前記ピンの挿入によって前記ベースと前記第3の部品とが締結される際に、前記フランジが前記壁部と圧接され、逆反りした状態となることを特徴とする部品締結用のクリップ。
【請求項4】
請求項1に記載の締結構造であって、
前記締結部材の前記係合手段は、
前記ベースに設けられた取付穴に挿通する際に、内側に撓み、当該取付穴を挿通後、前記ベースの裏側で係止する複数の脚片を有する脚部から構成されていることを特徴とする部品の締結構造。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の締結構造であって、
前記フランジの軸先端側の側面が、
前記壁部の内壁と頂面との接続部に圧接することを特徴とする部品の締結構造。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の締結構造であって、
前記壁部の内側側面は、
前記貫通孔の方向に向かって下り傾斜した傾斜面となっていることを特徴とする部品の締結構造。
【請求項7】
請求項3に記載のクリップであって、
前記フランジの軸先端側の側面が、
前記壁部の内壁と頂面との接続部に圧接することを特徴とする部品締結用のクリップ。
【請求項8】
請求項3に記載のクリップであって、
前記壁部の内側側面は、
前記貫通孔の方向に向かって下り傾斜した傾斜面となっていることを特徴とする部品締結用のクリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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