部品供給装置
【課題】騒音が減少する、特別な振動制御のためのコントローラが不要、装置全体が軽量コンパクトとなり、設置の自由度が増すことができる部品供給装置を提供する。
【解決手段】ホッパ11のワーク排出口11Aの下方位置にて装置本体10に揺動自在に支持されて該ワーク排出口11Aから排出されたワークを搬送するトラフ12と、このトラフ12の揺動方向に沿って進退する進退部材16を有して該進退部材16の前進時にトラフ12に接触して該トラフ12を揺動させる駆動手段15と、前記トラフ12の揺動経路内に配置されて前記駆動手段15の進退部材16により揺動させられたトラフ12を停止させるストッパと、このストッパにより停止させられたトラフ12を初期位置に後退させる付勢手段20と、を具備することを特徴とする。
【解決手段】ホッパ11のワーク排出口11Aの下方位置にて装置本体10に揺動自在に支持されて該ワーク排出口11Aから排出されたワークを搬送するトラフ12と、このトラフ12の揺動方向に沿って進退する進退部材16を有して該進退部材16の前進時にトラフ12に接触して該トラフ12を揺動させる駆動手段15と、前記トラフ12の揺動経路内に配置されて前記駆動手段15の進退部材16により揺動させられたトラフ12を停止させるストッパと、このストッパにより停止させられたトラフ12を初期位置に後退させる付勢手段20と、を具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトラフの揺動によりホッパ内のパーツを部品整列装置等に供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気部品、樹脂部品、食品、調味料、薬など種々のワークを整列させる部品整列装置としては、特開2003−300629号公報(特許文献1)に示される技術が知られている。
【0003】
図6は、部品整列装置の全体を示す平面図であって、この図において符号50で示されるものは振動式のボウルフィーダ、符号51で示されるものは振動式の加速トラックである。ボウルフィーダ50は、電磁石と可動鉄心を用いた振動機構(図示省略)でボウル52を円周方向にねじり振動させ、ボウル52の底に投入されるワークを、その螺旋状の搬送路53に沿って搬送しながら、搬送路53の狭幅部53Aで一列に整列し、狭幅部53Aに接続された振動式加速トラック51のトラフ54に受け渡すものである。また、加速トラック51は、平行な一対の板バネで連結した下部振動体と上部振動体に、振動機構となる電磁石と可動鉄心を対向させて取り付け、上部振動体に取り付けられたトラフ54を微小に往復振動させるものであり、これにより、トラフ54上のワークをワーク振動搬送路55に沿って矢印A方向に搬送する。
【0004】
一方、上述したボウルフィーダ50の側部には、ワークを供給するための部品供給装置60が設けられている。この部品供給装置60は、モータバイブレータ式のものである。部品供給装置60は、図7に示すようにワークを貯蔵するホッパ容器61を支柱62に支持し、その下端の排出口63に近接させて配置したトラフ64を、支柱62に取り付けた下部ベース部材65と2枚の平行な板バネ66で上下に連結された上部ベース部材67に取り付けるとともに、起振力源としての直流モータ68を上部ベース部材67に取り付け、その回転軸に取り付けた偏心錘69を水平面内で回転させることにより、偏心錘69の周回起振力でトラフ64を前後方向へ振動させるものである。
このようなモータバイブレータ式の部品供給装置では、ワーク搬送力不足によって供給安定性が低いという問題がある。
そこで、電磁石による吸引力によってトラフを振動させる電磁駆動による振動搬送式の部品供給装置が知られている。
【特許文献1】特開2003−300629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、振動搬送式の部品供給装置では、ワーク搬送力を増大させることができるものの、以下のような問題がある。すなわち、振動や騒音が発生してしまい、それら振動を制御するための特別なコントローラが必要となり、また、重量もあって設置の自由度が制限されてしまう。
【0006】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、騒音が減少する、特別な振動制御のためのコントローラが不要、装置全体が軽量コンパクトとなり、設置の自由度が増すことができる部品供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、上記目的を達成するために本発明の課題解決手段では、ホッパのワーク排出口の下方位置にて装置本体に揺動自在に支持されて該ワーク排出口から排出されたワークを搬送するトラフと、このトラフの揺動方向に沿って進退する進退部材を有して該進退部材の前進時にトラフに接触して該トラフを揺動させる駆動手段と、前記トラフの揺動経路内に配置されて前記駆動手段の進退部材により揺動させられたトラフを停止させるストッパと、このストッパにより停止させられたトラフを初期位置に後退させる付勢手段と、を具備する。
【0008】
また、本発明の課題解決手段では、前記トラフを、引張コイルバネによって装置本体に揺動自在に懸架する。
【0009】
また、本発明の課題解決手段では、トラフを停止させるストッパを、圧縮コイルバネにより構成する。
【0010】
また、本発明の課題解決手段では、前記トラフを停止させるストッパと、前記トラフを初期位置に後退させる付勢手段とを、それぞれ圧縮コイルバネから構成し、かつ前記駆動手段の進退部材により前方向に揺動させられたトラフの前側に接触する位置に並列配置してなり、前記ストッパとなる圧縮コイルバネのバネ定数を、前記付勢手段となる圧縮コイルバネのバネ定数よりも大きく、前記ストッパとなる圧縮コイルバネの長さを、前記付勢手段となる圧縮コイルバネよりも短く設定する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明した本発明の部品供給装置では、駆動手段の進退部材が前進し、該進退部材がトラフに接触した場合にトラフが前方向に揺動し、この揺動によりホッパのワーク排出口から排出されたワークが、該トラフの搬送面に沿って前方向に搬送させられる。その後、揺動により前方向に揺動したトラフはストッパにより停止させられた後で、付勢手段により初期位置にまで後退される。そして、このような一連の動作を繰り返し行うことによって、ホッパからトラフ上に排出されたワークを、該トラフに沿って間欠的に順次前進させることができる。また、本発明の部品供給装置では、往復動する進退部材を有する駆動手段、例えばエアーシリンダ、電磁ソレノイドといった簡易な駆動手段を使用することができ、振動による駆動手段を用いた従来の部品供給装置と比較して、騒音が減少する、特別な振動制御のためのコントローラが不要、装置全体が軽量コンパクトとなり、設置の自由度が増す効果が得られる。
【0012】
また、本発明の部品供給装置によれば、トラフを引張コイルバネによって装置本体に揺動自在に懸架するようにしたので、駆動手段の進退部材が前進してトラフに接触した場合に、該トラフが円滑に前方向に揺動し、ワークの払い出し作業を円滑に行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明の部品供給装置によれば、トラフを停止させるストッパを、圧縮コイルバネにより構成したので、該圧縮コイルバネの弾性変形によって、前進したトラフに衝撃を与えることなく円滑に停止させることができる。
【0014】
また、本発明の部品供給装置によれば、トラフを停止させるストッパと、該トラフを初期位置に後退させる付勢手段とを、それぞれ圧縮コイルバネから構成し、かつこれら圧縮コイルバネを、駆動手段の進退部材により前方向に揺動させられたトラフの前側に接触する位置に並列配置するとともに、ストッパとなる圧縮コイルバネのバネ定数を、付勢手段となる圧縮コイルバネのバネ定数よりも大きく、かつストッパとなる圧縮コイルバネの長さを、付勢手段となる圧縮コイルバネよりも短く設定したことから、駆動手段の進退部材の前進によって前方向に揺動させられたトラフは、まず、付勢手段となる長い圧縮コイルバネに接触した後、この圧縮コイルバネを圧縮させつつ、ストッパとなる短い圧縮コイルバネに接触して停止する。その後、停止したトラフは、付勢手段となる長い圧縮コイルバネが元に戻る際の復帰力によって、後方に押し戻され、初期位置にまで後退する。そして、このようなトラフの前進と後退とからなる揺動を繰り返すことによって、ホッパからトラフ上に順次排出されたワークを、該トラフに沿って間欠的に前進させることができ、ワークを円滑に供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1〜図3において符号10で示すものは筐体10Aと台座10Bとからなる装置本体であって、この装置本体10の筐体10A上部には、ワークWが貯留されるホッパ11が取り付けられている。このホッパ11は、その排出口11Aが下部に位置するように配置されたものであって、ワークWの自重によって排出口11AからワークWが排出される。
【0016】
ホッパ11のワーク排出口11Aの下方に位置する筐体10Aにはトラフ12が設けられている。このトラフ12は、側方に配置された4つの引張コイルバネ13によって筐体10Aに矢印(a)―(b)方向に揺動自在に懸架されたものであって、その上部には、矢印(a)方向に沿って下方に傾斜して、ホッパ11のワーク排出口11Aから排出されたワークWを搬送する傾斜搬送面14が設けられている。なお、図1〜図5において矢印(a)側を前方、矢印(b)側を後方と定める。
【0017】
筐体10Aの後部には、トラフ12を揺動させるための駆動手段となるエアーシリンダ15が取り付けられている。このエアーシリンダ15は、進退部材となるピストン16が矢印(a)―(b)方向に進退するように設けられたものであって、ホース17を通じてエアーが供給された場合にピストン16が矢印(a)方向に前進し、そのピストン16の先端16Aが、トラフ12の後部12Aに接触して該トラフ12を矢印(a)方向に揺動させる。また、エアーシリンダ15にエアーが供給されない場合には、ピストン16はフリーな状態となる。
【0018】
一方、トラフ12の揺動経路に位置する筐体10Aには、直方体形状の固定部材18が固定されている。固定部材18は、トラフ12の下部に形成された凹部12B内に配置されるものであって、その固定部材18の後部(図4及び図5に符号18Aで示す)には、エアーシリンダ15のピストン16により揺動させられたトラフ12を停止させるストッパとなる第1の圧縮コイルバネ19と、この第1の圧縮コイルバネ19により停止させられたトラフ12を初期位置(図1、図4に示される位置)に後退させる付勢手段となる第2の圧縮コイルバネ20とが配置されている。
【0019】
これら第1の圧縮コイルバネ19及び第2の圧縮コイルバネ20は、固定部材18の後部18Aに並列配置されたものであって、第1の圧縮コイルバネ19は、そのバネ定数が第2の圧縮コイルバネ20のバネ定数よりも大きく、また、その長さは、図4及び図5に示されるように第2の圧縮コイルバネ20の長さよりも短く設定されている。なお、これら圧縮コイルバネ19・20のバネ定数は、エアーシリンダ15へのエアー供給により、エアーシリンダ15のピストン16が前進して、トラフ12を前方向(矢印(a)方向)に揺動させた場合に、該トラフ12の凹部12Bの前側壁面12b(図4〜図5参照)が、第2の圧縮コイルバネ20を矢印(a)方向に圧縮させつつ、最終的に第1の圧縮コイルバネ19にて停止されるように、その大きさが設定されている。
【0020】
そして、上記部品供給装置では、図1、図4に示すような初期位置にあるエアーシリンダ15にエアーを供給した場合に、エアーシリンダ15のピストン16が前進して、該ピストン16の先端16Aがトラフ12に接触、該トラフ12を前方向(矢印(a)方向)に揺動させる。その後、前方向に揺動したトラフ12は、まず、その凹部12Bの前側壁面12bを、付勢手段となる第2の圧縮コイルバネ20に接触させた後、この第2の圧縮コイルバネ20を圧縮させつつ、ストッパとなる短い第1の圧縮コイルバネ19に接触して停止する(図3及び図5参照)。その後、停止したトラフ12は、付勢手段となる第2の圧縮コイルバネ20が復元する際の復帰力によって、後方向(矢印(b)方向)に押し戻され、初期位置(図1、図4に示される位置)にまで後退する。そして、このようなトラフ12の前進と後退とからなる揺動を繰り返すことによって、図3に示すように、ホッパ11からトラフ12上に順次排出されたワークWを、該トラフ12の傾斜搬送面14に沿って間欠的に矢印(a)方向に前進させることができ、ワークWを円滑に供給することが可能となる。
【0021】
以上詳細に説明した部品供給装置では、エアーシリンダ15のピストン16が前進し、該ピストン16がトラフ12に接触した場合にトラフ12が矢印(a)方向で示される前方向に揺動し、この揺動によりホッパ11のワーク排出口11Aから排出されたワークWが、該トラフ12の傾斜搬送面14に沿って前方向に搬送させられる。その後、揺動により前方向に揺動したトラフ12はストッパとなる圧縮コイルバネ19により停止させられた後で、付勢手段となる圧縮コイルバネ20により初期位置にまで後退される。そして、上記のような、そして、このような一連の動作を繰り返し行うことによって、ホッパ11からトラフ12上に排出されたワークWを、該トラフ12の傾斜搬送面14に沿って間欠的に前進させることができる。また、上記部品供給装置では、往復動するピストン16を有する駆動手段として、本実施例に示される例えばエアーシリンダ15の他、電磁ソレノイドといった簡易な駆動手段を使用することができ、従来の部品供給装置と比較して、騒音が減少する、特別な振動制御のためのコントローラが不要、装置全体が軽量コンパクトとなり、設置の自由度が増すといった効果が得られる。
【0022】
また、上記の部品供給装置によれば、トラフ12を引張コイルバネ13によって筐体10Aに揺動自在に懸架するようにしたので、エアーシリンダ15のピストン16が矢印(a)方向に前進してトラフ12に接触した場合に、該トラフ12が円滑に同方向に揺動し、ワークWの供給作業を円滑に行うことが可能となる。
【0023】
また、上記の部品供給装置によれば、トラフ12を停止させるストッパを、圧縮コイルバネ19により構成したので、該圧縮コイルバネ19の弾性変形によって、矢印(a)方向に前進したトラフ12に衝撃を与えることなく円滑に停止させることができる。
【0024】
なお、上記の部品供給装置では、ストッパとして圧縮コイルバネ19を用いたが、これに限定されず、ゴム、発泡材料といった弾性材を使用しても良い。また、付勢手段として圧縮コイルバネ20を用いたが、これに限定されず、トラフ12の後部12Aと筐体10Aとの間に引張コイルバネを取り付け、この引張コイルバネによってトラフ12を矢印(b)方向に付勢するようにしても良い。また、コイルバネでは無く、板バネを用いたストッパ/付勢手段であっても良い。
【0025】
また、トラフ12を、引張コイルバネ13によって筐体10Aに矢印(a)―(b)方向に揺動自在に懸架したが、これに限定されず、トラフ12の下方に設けた複数の圧縮コイルバネによって該トラフ12を下方から揺動自在に支持するようにしても良い。
【0026】
また、エアーシリンダ15によりトラフ12を前方向(矢印(a)方向)へ前進させる速度、及び圧縮コイルバネ20によりトラフ12を後方向(矢印(b)方向)へ後退させる速度は、ワークの形状、供給量等に応じて、任意に設定されるものとする。例えば、圧縮コイルバネ20によりトラフ12を後方向(矢印(b)方向)へ前進させる速度を、エアーシリンダ15によりトラフ12を前方向(矢印(a)方向)への後退させる速度より高速にするために、エアーの圧力、及び圧縮コイルバネ19・20のばね定数を適宜設定する。また、単位時間当り(例えば1秒当り)にトラフ12を何回往復動させるかについても、エアーの圧力、及び圧縮コイルバネ19・20のばね定数の変更等により、適宜設定できるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の部品供給装置を示すものであって、図2をI−Iに沿い切断した一部断面を有する正面図
【図2】図1をII−IIに沿い切断した一部断面を有する側面図
【図3】図1と同様の正面図であって、エアーシリンダ15によりトラフ12が矢印(a)方向に揺動させられた場合の図
【図4】ストッパとなる圧縮コイルバネ19、付勢手段となる圧縮コイルバネ20の位置関係を示す平面図であって、トラフ12が初期位置にある場合を示すものである。
【図5】図4と同様の平面図であって、エアーシリンダ15により矢印(a)方向に揺動されたトラフ12が圧縮コイルバネ19により停止させられた状態を示す図
【図6】従来の部品整列装置を示す平面図
【図7】図6の部品整列装置に設置された従来の部品供給装置を示す平面図
【符号の説明】
【0028】
10 装置本体
10A 筐体
10B 台座
11 ホッパ
11A ワーク排出口
12 トラフ
14 搬送傾斜面
15 エアーシリンダ(駆動手段)
16 ピストン(進退部材)
19 圧縮コイルバネ(ストッパ)
20 圧縮コイルバネ(付勢手段)
【技術分野】
【0001】
本発明はトラフの揺動によりホッパ内のパーツを部品整列装置等に供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気部品、樹脂部品、食品、調味料、薬など種々のワークを整列させる部品整列装置としては、特開2003−300629号公報(特許文献1)に示される技術が知られている。
【0003】
図6は、部品整列装置の全体を示す平面図であって、この図において符号50で示されるものは振動式のボウルフィーダ、符号51で示されるものは振動式の加速トラックである。ボウルフィーダ50は、電磁石と可動鉄心を用いた振動機構(図示省略)でボウル52を円周方向にねじり振動させ、ボウル52の底に投入されるワークを、その螺旋状の搬送路53に沿って搬送しながら、搬送路53の狭幅部53Aで一列に整列し、狭幅部53Aに接続された振動式加速トラック51のトラフ54に受け渡すものである。また、加速トラック51は、平行な一対の板バネで連結した下部振動体と上部振動体に、振動機構となる電磁石と可動鉄心を対向させて取り付け、上部振動体に取り付けられたトラフ54を微小に往復振動させるものであり、これにより、トラフ54上のワークをワーク振動搬送路55に沿って矢印A方向に搬送する。
【0004】
一方、上述したボウルフィーダ50の側部には、ワークを供給するための部品供給装置60が設けられている。この部品供給装置60は、モータバイブレータ式のものである。部品供給装置60は、図7に示すようにワークを貯蔵するホッパ容器61を支柱62に支持し、その下端の排出口63に近接させて配置したトラフ64を、支柱62に取り付けた下部ベース部材65と2枚の平行な板バネ66で上下に連結された上部ベース部材67に取り付けるとともに、起振力源としての直流モータ68を上部ベース部材67に取り付け、その回転軸に取り付けた偏心錘69を水平面内で回転させることにより、偏心錘69の周回起振力でトラフ64を前後方向へ振動させるものである。
このようなモータバイブレータ式の部品供給装置では、ワーク搬送力不足によって供給安定性が低いという問題がある。
そこで、電磁石による吸引力によってトラフを振動させる電磁駆動による振動搬送式の部品供給装置が知られている。
【特許文献1】特開2003−300629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、振動搬送式の部品供給装置では、ワーク搬送力を増大させることができるものの、以下のような問題がある。すなわち、振動や騒音が発生してしまい、それら振動を制御するための特別なコントローラが必要となり、また、重量もあって設置の自由度が制限されてしまう。
【0006】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、騒音が減少する、特別な振動制御のためのコントローラが不要、装置全体が軽量コンパクトとなり、設置の自由度が増すことができる部品供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、上記目的を達成するために本発明の課題解決手段では、ホッパのワーク排出口の下方位置にて装置本体に揺動自在に支持されて該ワーク排出口から排出されたワークを搬送するトラフと、このトラフの揺動方向に沿って進退する進退部材を有して該進退部材の前進時にトラフに接触して該トラフを揺動させる駆動手段と、前記トラフの揺動経路内に配置されて前記駆動手段の進退部材により揺動させられたトラフを停止させるストッパと、このストッパにより停止させられたトラフを初期位置に後退させる付勢手段と、を具備する。
【0008】
また、本発明の課題解決手段では、前記トラフを、引張コイルバネによって装置本体に揺動自在に懸架する。
【0009】
また、本発明の課題解決手段では、トラフを停止させるストッパを、圧縮コイルバネにより構成する。
【0010】
また、本発明の課題解決手段では、前記トラフを停止させるストッパと、前記トラフを初期位置に後退させる付勢手段とを、それぞれ圧縮コイルバネから構成し、かつ前記駆動手段の進退部材により前方向に揺動させられたトラフの前側に接触する位置に並列配置してなり、前記ストッパとなる圧縮コイルバネのバネ定数を、前記付勢手段となる圧縮コイルバネのバネ定数よりも大きく、前記ストッパとなる圧縮コイルバネの長さを、前記付勢手段となる圧縮コイルバネよりも短く設定する。
【発明の効果】
【0011】
以上説明した本発明の部品供給装置では、駆動手段の進退部材が前進し、該進退部材がトラフに接触した場合にトラフが前方向に揺動し、この揺動によりホッパのワーク排出口から排出されたワークが、該トラフの搬送面に沿って前方向に搬送させられる。その後、揺動により前方向に揺動したトラフはストッパにより停止させられた後で、付勢手段により初期位置にまで後退される。そして、このような一連の動作を繰り返し行うことによって、ホッパからトラフ上に排出されたワークを、該トラフに沿って間欠的に順次前進させることができる。また、本発明の部品供給装置では、往復動する進退部材を有する駆動手段、例えばエアーシリンダ、電磁ソレノイドといった簡易な駆動手段を使用することができ、振動による駆動手段を用いた従来の部品供給装置と比較して、騒音が減少する、特別な振動制御のためのコントローラが不要、装置全体が軽量コンパクトとなり、設置の自由度が増す効果が得られる。
【0012】
また、本発明の部品供給装置によれば、トラフを引張コイルバネによって装置本体に揺動自在に懸架するようにしたので、駆動手段の進退部材が前進してトラフに接触した場合に、該トラフが円滑に前方向に揺動し、ワークの払い出し作業を円滑に行うことが可能となる。
【0013】
また、本発明の部品供給装置によれば、トラフを停止させるストッパを、圧縮コイルバネにより構成したので、該圧縮コイルバネの弾性変形によって、前進したトラフに衝撃を与えることなく円滑に停止させることができる。
【0014】
また、本発明の部品供給装置によれば、トラフを停止させるストッパと、該トラフを初期位置に後退させる付勢手段とを、それぞれ圧縮コイルバネから構成し、かつこれら圧縮コイルバネを、駆動手段の進退部材により前方向に揺動させられたトラフの前側に接触する位置に並列配置するとともに、ストッパとなる圧縮コイルバネのバネ定数を、付勢手段となる圧縮コイルバネのバネ定数よりも大きく、かつストッパとなる圧縮コイルバネの長さを、付勢手段となる圧縮コイルバネよりも短く設定したことから、駆動手段の進退部材の前進によって前方向に揺動させられたトラフは、まず、付勢手段となる長い圧縮コイルバネに接触した後、この圧縮コイルバネを圧縮させつつ、ストッパとなる短い圧縮コイルバネに接触して停止する。その後、停止したトラフは、付勢手段となる長い圧縮コイルバネが元に戻る際の復帰力によって、後方に押し戻され、初期位置にまで後退する。そして、このようなトラフの前進と後退とからなる揺動を繰り返すことによって、ホッパからトラフ上に順次排出されたワークを、該トラフに沿って間欠的に前進させることができ、ワークを円滑に供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1〜図3において符号10で示すものは筐体10Aと台座10Bとからなる装置本体であって、この装置本体10の筐体10A上部には、ワークWが貯留されるホッパ11が取り付けられている。このホッパ11は、その排出口11Aが下部に位置するように配置されたものであって、ワークWの自重によって排出口11AからワークWが排出される。
【0016】
ホッパ11のワーク排出口11Aの下方に位置する筐体10Aにはトラフ12が設けられている。このトラフ12は、側方に配置された4つの引張コイルバネ13によって筐体10Aに矢印(a)―(b)方向に揺動自在に懸架されたものであって、その上部には、矢印(a)方向に沿って下方に傾斜して、ホッパ11のワーク排出口11Aから排出されたワークWを搬送する傾斜搬送面14が設けられている。なお、図1〜図5において矢印(a)側を前方、矢印(b)側を後方と定める。
【0017】
筐体10Aの後部には、トラフ12を揺動させるための駆動手段となるエアーシリンダ15が取り付けられている。このエアーシリンダ15は、進退部材となるピストン16が矢印(a)―(b)方向に進退するように設けられたものであって、ホース17を通じてエアーが供給された場合にピストン16が矢印(a)方向に前進し、そのピストン16の先端16Aが、トラフ12の後部12Aに接触して該トラフ12を矢印(a)方向に揺動させる。また、エアーシリンダ15にエアーが供給されない場合には、ピストン16はフリーな状態となる。
【0018】
一方、トラフ12の揺動経路に位置する筐体10Aには、直方体形状の固定部材18が固定されている。固定部材18は、トラフ12の下部に形成された凹部12B内に配置されるものであって、その固定部材18の後部(図4及び図5に符号18Aで示す)には、エアーシリンダ15のピストン16により揺動させられたトラフ12を停止させるストッパとなる第1の圧縮コイルバネ19と、この第1の圧縮コイルバネ19により停止させられたトラフ12を初期位置(図1、図4に示される位置)に後退させる付勢手段となる第2の圧縮コイルバネ20とが配置されている。
【0019】
これら第1の圧縮コイルバネ19及び第2の圧縮コイルバネ20は、固定部材18の後部18Aに並列配置されたものであって、第1の圧縮コイルバネ19は、そのバネ定数が第2の圧縮コイルバネ20のバネ定数よりも大きく、また、その長さは、図4及び図5に示されるように第2の圧縮コイルバネ20の長さよりも短く設定されている。なお、これら圧縮コイルバネ19・20のバネ定数は、エアーシリンダ15へのエアー供給により、エアーシリンダ15のピストン16が前進して、トラフ12を前方向(矢印(a)方向)に揺動させた場合に、該トラフ12の凹部12Bの前側壁面12b(図4〜図5参照)が、第2の圧縮コイルバネ20を矢印(a)方向に圧縮させつつ、最終的に第1の圧縮コイルバネ19にて停止されるように、その大きさが設定されている。
【0020】
そして、上記部品供給装置では、図1、図4に示すような初期位置にあるエアーシリンダ15にエアーを供給した場合に、エアーシリンダ15のピストン16が前進して、該ピストン16の先端16Aがトラフ12に接触、該トラフ12を前方向(矢印(a)方向)に揺動させる。その後、前方向に揺動したトラフ12は、まず、その凹部12Bの前側壁面12bを、付勢手段となる第2の圧縮コイルバネ20に接触させた後、この第2の圧縮コイルバネ20を圧縮させつつ、ストッパとなる短い第1の圧縮コイルバネ19に接触して停止する(図3及び図5参照)。その後、停止したトラフ12は、付勢手段となる第2の圧縮コイルバネ20が復元する際の復帰力によって、後方向(矢印(b)方向)に押し戻され、初期位置(図1、図4に示される位置)にまで後退する。そして、このようなトラフ12の前進と後退とからなる揺動を繰り返すことによって、図3に示すように、ホッパ11からトラフ12上に順次排出されたワークWを、該トラフ12の傾斜搬送面14に沿って間欠的に矢印(a)方向に前進させることができ、ワークWを円滑に供給することが可能となる。
【0021】
以上詳細に説明した部品供給装置では、エアーシリンダ15のピストン16が前進し、該ピストン16がトラフ12に接触した場合にトラフ12が矢印(a)方向で示される前方向に揺動し、この揺動によりホッパ11のワーク排出口11Aから排出されたワークWが、該トラフ12の傾斜搬送面14に沿って前方向に搬送させられる。その後、揺動により前方向に揺動したトラフ12はストッパとなる圧縮コイルバネ19により停止させられた後で、付勢手段となる圧縮コイルバネ20により初期位置にまで後退される。そして、上記のような、そして、このような一連の動作を繰り返し行うことによって、ホッパ11からトラフ12上に排出されたワークWを、該トラフ12の傾斜搬送面14に沿って間欠的に前進させることができる。また、上記部品供給装置では、往復動するピストン16を有する駆動手段として、本実施例に示される例えばエアーシリンダ15の他、電磁ソレノイドといった簡易な駆動手段を使用することができ、従来の部品供給装置と比較して、騒音が減少する、特別な振動制御のためのコントローラが不要、装置全体が軽量コンパクトとなり、設置の自由度が増すといった効果が得られる。
【0022】
また、上記の部品供給装置によれば、トラフ12を引張コイルバネ13によって筐体10Aに揺動自在に懸架するようにしたので、エアーシリンダ15のピストン16が矢印(a)方向に前進してトラフ12に接触した場合に、該トラフ12が円滑に同方向に揺動し、ワークWの供給作業を円滑に行うことが可能となる。
【0023】
また、上記の部品供給装置によれば、トラフ12を停止させるストッパを、圧縮コイルバネ19により構成したので、該圧縮コイルバネ19の弾性変形によって、矢印(a)方向に前進したトラフ12に衝撃を与えることなく円滑に停止させることができる。
【0024】
なお、上記の部品供給装置では、ストッパとして圧縮コイルバネ19を用いたが、これに限定されず、ゴム、発泡材料といった弾性材を使用しても良い。また、付勢手段として圧縮コイルバネ20を用いたが、これに限定されず、トラフ12の後部12Aと筐体10Aとの間に引張コイルバネを取り付け、この引張コイルバネによってトラフ12を矢印(b)方向に付勢するようにしても良い。また、コイルバネでは無く、板バネを用いたストッパ/付勢手段であっても良い。
【0025】
また、トラフ12を、引張コイルバネ13によって筐体10Aに矢印(a)―(b)方向に揺動自在に懸架したが、これに限定されず、トラフ12の下方に設けた複数の圧縮コイルバネによって該トラフ12を下方から揺動自在に支持するようにしても良い。
【0026】
また、エアーシリンダ15によりトラフ12を前方向(矢印(a)方向)へ前進させる速度、及び圧縮コイルバネ20によりトラフ12を後方向(矢印(b)方向)へ後退させる速度は、ワークの形状、供給量等に応じて、任意に設定されるものとする。例えば、圧縮コイルバネ20によりトラフ12を後方向(矢印(b)方向)へ前進させる速度を、エアーシリンダ15によりトラフ12を前方向(矢印(a)方向)への後退させる速度より高速にするために、エアーの圧力、及び圧縮コイルバネ19・20のばね定数を適宜設定する。また、単位時間当り(例えば1秒当り)にトラフ12を何回往復動させるかについても、エアーの圧力、及び圧縮コイルバネ19・20のばね定数の変更等により、適宜設定できるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の部品供給装置を示すものであって、図2をI−Iに沿い切断した一部断面を有する正面図
【図2】図1をII−IIに沿い切断した一部断面を有する側面図
【図3】図1と同様の正面図であって、エアーシリンダ15によりトラフ12が矢印(a)方向に揺動させられた場合の図
【図4】ストッパとなる圧縮コイルバネ19、付勢手段となる圧縮コイルバネ20の位置関係を示す平面図であって、トラフ12が初期位置にある場合を示すものである。
【図5】図4と同様の平面図であって、エアーシリンダ15により矢印(a)方向に揺動されたトラフ12が圧縮コイルバネ19により停止させられた状態を示す図
【図6】従来の部品整列装置を示す平面図
【図7】図6の部品整列装置に設置された従来の部品供給装置を示す平面図
【符号の説明】
【0028】
10 装置本体
10A 筐体
10B 台座
11 ホッパ
11A ワーク排出口
12 トラフ
14 搬送傾斜面
15 エアーシリンダ(駆動手段)
16 ピストン(進退部材)
19 圧縮コイルバネ(ストッパ)
20 圧縮コイルバネ(付勢手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパのワーク排出口の下方位置にて装置本体に揺動自在に支持されて該ワーク排出口から排出されたワークを搬送するトラフと、
このトラフの揺動方向に沿って進退する進退部材を有して該進退部材の前進時にトラフに接触して該トラフを揺動させる駆動手段と、
前記トラフの揺動経路内に配置されて前記駆動手段の進退部材により揺動させられたトラフを停止させるストッパと、
このストッパにより停止させられたトラフを初期位置に後退させる付勢手段と、を具備することを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記トラフは引張コイルバネによって装置本体に揺動自在に懸架されていることを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記トラフを停止させるストッパは、圧縮コイルバネにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記トラフを停止させるストッパと、前記トラフを初期位置に後退させる付勢手段とは、それぞれ圧縮コイルバネから構成され、かつ前記駆動手段の進退部材により前方向に揺動させられたトラフの前側に接触する位置に並列配置されてなり、
前記ストッパとなる圧縮コイルバネのバネ定数は、前記付勢手段となる圧縮コイルバネのバネ定数よりも大きく、前記ストッパとなる圧縮コイルバネの長さは、前記付勢手段となる圧縮コイルバネよりも短く設定されていることを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
【請求項1】
ホッパのワーク排出口の下方位置にて装置本体に揺動自在に支持されて該ワーク排出口から排出されたワークを搬送するトラフと、
このトラフの揺動方向に沿って進退する進退部材を有して該進退部材の前進時にトラフに接触して該トラフを揺動させる駆動手段と、
前記トラフの揺動経路内に配置されて前記駆動手段の進退部材により揺動させられたトラフを停止させるストッパと、
このストッパにより停止させられたトラフを初期位置に後退させる付勢手段と、を具備することを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記トラフは引張コイルバネによって装置本体に揺動自在に懸架されていることを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記トラフを停止させるストッパは、圧縮コイルバネにより構成されていることを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記トラフを停止させるストッパと、前記トラフを初期位置に後退させる付勢手段とは、それぞれ圧縮コイルバネから構成され、かつ前記駆動手段の進退部材により前方向に揺動させられたトラフの前側に接触する位置に並列配置されてなり、
前記ストッパとなる圧縮コイルバネのバネ定数は、前記付勢手段となる圧縮コイルバネのバネ定数よりも大きく、前記ストッパとなる圧縮コイルバネの長さは、前記付勢手段となる圧縮コイルバネよりも短く設定されていることを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−234714(P2009−234714A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82539(P2008−82539)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】
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