説明

部品搬出入システム、運搬車両、収納装置及び運搬車両運行管理装置

【課題】収納装置に対する部品の搬出入を容易にする部品搬出入システムを提供する。
【解決手段】牽引車2は、運搬部品の属性情報を登録する。各収納棚1A、1B、1Cは、各収納部品の属性情報を登録する。牽引車2は、複数の収納棚1A、1B、1Cに移動するときに、運搬部品の属性情報を各収納棚1A、1B、1Cに送信する。各収納棚1A、1B、1Cは、運搬部品の属性情報と各収納部品の属性情報を照合する。各収納棚1A、1B、1Cは、運搬部品の属性と各収納部品の属性が一致するときに、運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報を牽引車2に返信する。各収納棚1A、1B、1Cは、運搬部品の属性と各収納部品の属性が一致しないときに、運搬部品と同一の属性を有する部品が収納されない旨の情報を牽引車2に返信又は無返信とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置に対する部品の搬出入を容易にする部品搬出入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
部品搬出入システムは、いずれの部品をいずれの収納装置に供給するべきかと、いずれの部品をいずれの収納装置からピッキングするべきかを、作業者に指示する。収納装置として、収納棚又は収納箱などがあげられる。特許文献1が開示する倉庫管理システムは、このような部品搬出入システムの一つである。
【0003】
この倉庫管理システムは、まず、商品に関する情報を記憶した商品マスタと、倉庫内部の在庫情報を記憶した倉庫マスタとを登録する。次に、商品マスタと倉庫マスタに基づいて、ある商品の移動元をリストアップした移動元リストと、その商品の移動先をリストアップした移動先リストとを作成する。次に、移動元リストと移動先リストに基づいて、その商品をいずれの移動元からいずれの移動先に移動させるべきかを、作業者に手順書により指示する。作業者は、手順書に基づいて、その商品を移動元から移動先に効率よく移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−264408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する倉庫管理システムは、収納装置に対する部品の搬出入を容易にする。ここで、生産計画を変更するために、計画変更後に必要性が高くなる部品が収納される収納装置を利便性が高い場所に移動させることがあり、計画変更後に必要性が低くなる部品が収納される収納装置を利便性が低い場所に移動させることがある。そこで、生産計画の変更のために収納装置を移動させるとともに、商品マスタと倉庫マスタを更新しなければならないため、生産計画の変更処理が煩雑になっている。
【0006】
一方、供給場所又はピッキング場所を示すランプを収納装置に配置させることが一般的によく知られている。しかし、各収納装置に配置された各ランプは、部品搬出入システムの管理装置に接続されている。そこで、生産計画の変更のために収納装置を移動させるとともに、各収納装置に配置された各ランプの配線を変更しなければならないため、生産計画の変更処理が煩雑になっている。
【0007】
本発明は、生産計画を変更するために収納装置を移動させるときであっても、収納装置に対する部品の搬出入を容易にする部品搬出入システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の部品搬出入システムは、運搬車両と複数の収納装置を備える。運搬車両は、運搬部品の属性情報を登録する。各収納装置は、各収納部品の属性情報を登録する。運搬車両は、複数の収納装置に移動するときに、運搬部品の属性情報を各収納装置に送信する。各収納装置は、運搬部品の属性情報と各収納部品の属性情報を照合する。各収納装置は、運搬部品の属性と各収納部品の属性が一致するときに、運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報を運搬車両に返信する。各収納装置は、運搬部品の属性と各収納部品の属性が一致しないときに、運搬部品と同一の属性を有する部品が収納されない旨の情報を運搬車両に返信又は無返信とする。
【0009】
本発明の部品搬出入システムは、収納装置を移動させるとともに、収納場所の情報を更新するわけではない。運搬車両は各収納装置に運搬部品の属性を送信し、各収納装置は運搬車両に運搬部品と同一の属性を有する部品の収納有無を返信する。したがって、運搬車両は、収納場所の情報を得られないときでも、複数の収納装置に移動する最中に、収納場所の情報を得られる。さらに、運搬車両は、複数の収納装置が移動されている最中でも、同様に収納場所の情報を得られる。
【0010】
本発明の部品搬出入システムは、運搬車両運行管理装置をさらに備える。運搬車両は、運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報が各収納装置から返信される返信順序の情報を登録する。運搬車両運行管理装置は、返信順序の情報に基づいて、運搬車両運行管理装置に対する各収納装置の位置関係の情報を登録し、位置関係の情報に基づいて、複数の収納装置に対する運搬車両の運行順序を決定する。
【0011】
本発明の部品搬出入システムは、収納装置を移動させるとともに、収納場所の情報を更新するわけではない。運搬車両は各収納装置からの返信順序の情報を登録し、運搬車両運行管理装置は各収納装置の位置関係の情報を登録する。したがって、運搬車両運行管理装置は、各収納装置の位置関係の情報を得られないときでも、運搬車両により搬出入が実行された後に、各収納装置の位置関係の情報を得られる。さらに、運搬車両運行管理装置は、各収納装置の位置関係の情報に基づいて、運搬車両の相互間の追い越し又はすれ違いを回避させて搬出入作業の効率を向上させるように、複数の収納装置に対する運搬車両の運行順序を決定することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の部品搬出入システムは、生産計画を変更するために収納装置を移動させるときであっても、収納装置に対する部品の搬出入を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】供給又はピッキング1回目での処理内容を示す図である。
【図2】供給又はピッキング1回目における、牽引車が連結装置から出発するときの、連結装置でのデータベースの登録内容を示す図である。
【図3】供給又はピッキング1回目における、牽引車が連結装置から出発するときの、牽引車でのデータベースの登録内容を示す図である。
【図4】供給又はピッキング1回目における、牽引車が収納棚から出発するときの、牽引車でのデータベースの登録内容を示す図である。
【図5】供給又はピッキング1回目における、牽引車が連結装置に到着したときの、連結装置でのデータベースの登録内容を示す図である。
【図6】供給又はピッキング2回目での処理内容を示す図である。
【図7】供給又はピッキング2回目での処理内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
{部品搬出入システムの構成要素}
図1は、部品搬出入システムの構成要素を示す図である。自動車の部品を生産した後に当該部品を収納棚に搬入するときに、あるいは、自動車を生産する前に当該部品を収納棚から搬出するときなどに、部品搬出入システムが利用される。部品搬出入システムは、収納棚1A、1B、1C、牽引車2、連結装置3、台車21A、21B、21Cから構成される。部品A、B、Cは、異なる種類の部品である。収納棚1A、1B、1Cは、それぞれ部品A、B、Cを収納する収納棚である。台車21A、21B、21Cは、それぞれ部品A、B、Cを搭載する台車である。部品の種類は3種類のみに限定されず、収納棚の個数は3個のみに限定されず、台車の台数は3台のみに限定されない。
【0015】
まず、部品A、B、Cをそれぞれ収納棚1A、1B、1Cに搬入する供給(搬入)作業の1サイクルについて説明する。連結装置3は、部品A、B、Cがそれぞれ搭載された台車21A、21B、21Cを、牽引車2に連結する。牽引車2は、作業者を乗せて、部品A、B、Cがそれぞれ搭載された台車21A、21B、21Cを、連結装置3から収納棚1A、1B、1Cまで牽引する。作業者は、牽引車2を収納棚1A、1B、1Cの近傍に寄せて、収納棚1A、1B、1Cに対して供給作業を実行する。供給作業の終了後に、牽引車2は、作業者を乗せて、空の台車21A、21B、21Cを、収納棚1A、1B、1Cから連結装置3まで牽引する。連結装置3は、空の台車21A、21B、21Cを、牽引車2から解放して、供給作業の1サイクルを終える。
【0016】
次に、部品A、B、Cをそれぞれ収納棚1A、1B、1Cから搬出するピッキング(搬出)作業の1サイクルについて説明する。連結装置3は、空の台車21A、21B、21Cを、牽引車2に連結する。牽引車2は、作業者を乗せて、空の台車21A、21B、21Cを、連結装置3から収納棚1A、1B、1Cまで牽引する。作業者は、牽引車2を収納棚1A、1B、1Cの近傍に寄せて、収納棚1A、1B、1Cに対してピッキング作業を実行する。ピッキング作業の終了後に、牽引車2は、作業者を乗せて、部品A、B、Cがそれぞれ搭載された台車21A、21B、21Cを、収納棚1A、1B、1Cから連結装置3まで牽引する。連結装置3は、部品A、B、Cがそれぞれ搭載された台車21A、21B、21Cを、牽引車2から解放して、ピッキング作業の1サイクルを終える。
【0017】
収納棚1Aは、データベース11A、報知ランプ12A、通信装置13Aから構成される。収納棚1Bは、データベース11B、報知ランプ12B、通信装置13Bから構成される。収納棚1Cは、データベース11C、報知ランプ12C、通信装置13Cから構成される。データベース11A、11B、11Cは、それぞれ部品A、B、Cの名称や型番などの部品属性を登録する。報知ランプ12A、12B、12Cは、それぞれ収納棚1A、1B、1Cが供給対象又はピッキング対象である部品を収納するならば、その旨を作業者にランプ点灯により報知する。通信装置13A、13B、13Cは、それぞれ収納棚1A、1B、1Cが供給対象又はピッキング対象である部品を収納するならば、その旨を牽引車2に無線通信により報知する。報知方法についてはさらに後述する。
【0018】
牽引車2は、操作端末22、データベース23、通信装置24、25から構成される。操作端末22は、作業者が操作する端末である。データベース23は、図3と図4に示したように、供給対象又はピッキング対象である部品A、B、Cについて、部品の名称と部品が搭載される台車の連結位置を登録する。データベース23は、返信順序情報をも登録するが、返信順序情報については後述する。通信装置24は、連結装置3の通信装置33から作業内容を無線通信により受信する。通信装置25は、供給対象又はピッキング対象である部品A、B、Cについて、収納棚1A、1B、1Cの各通信装置13A、13B、13Cに、部品の名称の情報をブロードキャスト又はポーリングにより送信する。
【0019】
連結装置3は、操作端末31、データベース32、通信装置33から構成される。操作端末31は、指示者が操作する端末である。データベース32は、図2と図5に示したように、供給対象又はピッキング対象である部品A、B、Cについて、部品の名称と部品が搭載される台車の連結位置を登録する。データベース32は、位置関係情報をも登録するが、位置関係情報については後述する。通信装置33は、牽引車2の通信装置24に作業内容を無線通信により送信する。
【0020】
以上のように、部品搬出入システムは、収納棚の移動とともに更新される必要がある、従来の場所情報を有していない。しかし、部品搬出入システムは、生産計画を変更するために収納棚1A、1B、1Cを移動させるときであっても、収納棚1A、1B、1Cに対する搬出入を容易にする。以下のように、供給作業については詳細に説明して、ピッキング作業については簡潔に説明する。供給作業とピッキング作業の主要な相違点は、部品が運搬される方向であるからである。
【0021】
{供給1回目での処理内容}
図1は、供給1回目での処理内容を示す図である。供給1回目とは、いずれの部品をいずれの収納棚に供給すべきか知らない状態で、部品を収納棚に供給しようとすることを指す。いずれの部品をいずれの収納棚に供給すべきか知らない状態として、部品搬出入システムが確立された直後の状態と、収納棚が移動された直後の状態がある。
【0022】
指示者は、作業者に、部品A、B、Cをそれぞれ収納棚1A、1B、1Cに供給させようとする。しかし、指示者は、部品A、B、Cをそれぞれ供給すべき収納棚1A、1B、1Cが存在しているかどうかを知らない。さらに、指示者は、部品A、B、Cをそれぞれ供給すべき収納棚1A、1B、1Cが存在していても、どのように配列されているかを知らない。とりあえず、指示者は、操作端末31に、収納棚1A、1B、1Cにそれぞれ供給すべき部品A、B、Cの部品名称を入力する。
【0023】
操作端末31は、図2に示したように、データベース32に、情報を登録する。「部品名称」は、供給すべき部品A、B、Cの名称を示す。「台車位置」は、その部品A、B、Cがそれぞれ搭載される台車21A、21B、21Cが、牽引車2にどのように連結されるべきかを示す。「位置関係」は、その部品A、B、Cがそれぞれ収納される収納棚1A、1B、1Cが、連結装置3からどのくらい離れているかを示す。
【0024】
具体的には、「部品名称」として、「部品A」、「部品B」、「部品C」が登録されている。「台車位置」として、「部品A」に対しては「牽引車2から3番目の台車21A」、「部品B」に対しては「牽引車2から2番目の台車21B」、「部品C」に対しては「牽引車2から1番目の台車21C」が登録されている。「位置関係」として、「部品A」、「部品B」、「部品C」に対して「不明」が登録されている。
【0025】
連結装置3は、データベース32での「台車位置」の情報を参照することにより、部品Cが搭載された台車21Cを牽引車2から数えて1番目に連結して、部品Bが搭載された台車21Bを牽引車2から数えて2番目に連結して、部品Aが搭載された台車21Aを牽引車2から数えて3番目に連結する。通信装置33は、通信装置24に、データベース32での「部品名称」と「台車位置」の情報を送信する。
【0026】
通信装置24は、図3に示したように、データベース23に、情報を登録する。「部品名称」と「台車位置」として、上述と同様な情報が登録されている。「返信順序」として、「部品A」、「部品B」、「部品C」に対して「不明」が登録されている。
【0027】
牽引車2は、連結装置3から収納棚1A、1B、1Cまで移動を開始する。通信装置25は、データベース23での「部品名称」の情報を参照することにより、部品A、B、Cの名称の情報を収納棚1A、1B、1Cに対して送信することを繰り返す。通信装置25は、収納棚1A、1B、1Cに対して一括でブロードキャストにより通信してもよく、収納棚1A、1B、1Cに対して個別にポーリングにより通信してもよい。
【0028】
牽引車2は、収納棚1Aに対する通信範囲に到達する。通信装置13Aは、通信装置25から、部品A、B、Cの名称の情報を受信する。通信装置13Aは、データベース11Aでの部品Aの名称の情報を参照することにより、収納棚1Aが部品Aの収納位置であることを確認する。通信装置13Aは、通信装置25に無線通信により、収納棚1Aが部品Aの収納位置であることを返信する。報知ランプ12Aは、作業者にランプ点灯により、牽引車2が収納位置に接近していることを報知する。
【0029】
牽引車2は、収納棚1Aの近傍に停止する。操作端末22は、データベース23での「部品名称」と「台車位置」の情報及び通信装置25に対する無線通信に含まれる情報を参照することにより、供給すべき部品が部品Aであり牽引車2から数えて3番目の台車21Aに搭載されていることを操作端末22の表示画面に表示する。作業者は、操作端末22の表示画面を参照して、部品Aを収納棚1Aに供給する。作業者は、操作端末22に、部品Aを収納棚1Aに供給し終わったことを入力する。
【0030】
作業者が部品B、Cをそれぞれ収納棚1B、1Cに供給する処理は、作業者が部品Aを収納棚1Aに供給する処理と同様にして、以下のように実行される。
【0031】
牽引車2は、収納棚1Aの近傍から移動を開始する。通信装置25は、供給終了が登録されていない部品B、Cの名称の情報を、収納棚1A、1B、1Cに対して送信することを繰り返す。牽引車2は、収納棚1Bに対する通信範囲に到達する。通信装置13Bは、データベース11Bでの部品Bの名称の情報を参照することにより、収納棚1Bが部品Bの収納位置であることを確認する。通信装置13Bは、通信装置25に対して、収納棚1Bが部品Bの収納位置であることを返信する。報知ランプ12Bは、作業者に対して、牽引車2が収納位置に接近していることを報知する。作業者は、牽引車2を収納棚1Bの近傍に停止させて、部品Bを収納棚1Bに供給して、供給終了を操作端末22に入力する。
【0032】
牽引車2は、収納棚1Bの近傍から移動を開始する。通信装置25は、供給終了が登録されていない部品Cの名称の情報を、収納棚1A、1B、1Cに対して送信することを繰り返す。牽引車2は、収納棚1Cに対する通信範囲に到達する。通信装置13Cは、データベース11Cでの部品Cの名称の情報を参照することにより、収納棚1Cが部品Cの収納位置であることを確認する。通信装置13Cは、通信装置25に対して、収納棚1Cが部品Cの収納位置であることを返信する。報知ランプ12Cは、作業者に対して、牽引車2が収納位置に接近していることを報知する。作業者は、牽引車2を収納棚1Cの近傍に停止させて、部品Cを収納棚1Cに供給して、供給終了を操作端末22に入力する。
【0033】
操作端末22は、作業者から、部品Aが収納棚1Aに供給され終わったことを入力されたときに、データベース23に、収納棚1Aが部品Aの収納位置であることについての返信順序が1番目であったことを登録する。操作端末22は、作業者から、部品Bが収納棚1Bに供給され終わったことを入力されたときに、データベース23に、収納棚1Bが部品Bの収納位置であることについての返信順序が2番目であったことを登録する。操作端末22は、作業者から、部品Cが収納棚1Cに供給され終わったことを入力されたときに、データベース23に、収納棚1Cが部品Cの収納位置であることについての返信順序が3番目であったことを登録する。この登録を図4に示す。
【0034】
牽引車2は、収納棚1A、1B、1Cから連結装置3まで移動を開始する。通信装置24は、通信装置33に、データベース23での「部品名称」と「返信順序」の情報を送信する。通信装置33は、データベース23での「部品名称」と「返信順序」の情報に基づいて、データベース32での「位置関係」の情報を登録する。この登録を図5に示す。
【0035】
返信順序が1番目であった収納棚1Aは、連結装置3から最も近くに配列されていることが登録される。返信順序が3番目であった収納棚1Cは、連結装置3から最も遠くに配列されていることが登録される。返信順序が2番目であった収納棚1Bは、収納棚1Aと収納棚1Cの中間に配列されていることが登録される。
【0036】
{供給2回目での処理内容}
図6と図7は、供給2回目での処理内容を示す図である。供給2回目とは、部品を収納棚に1回目に供給した後に、収納棚が移動されていない状態で、部品を収納棚に2回目に供給しようとすることを指す。指示者は、操作端末31に、収納棚1A、1B、1Cにそれぞれ供給すべき部品A、B、Cの部品名称を入力する。連結装置3は、データベース32での「部品名称」と「位置関係」の情報を参照することにより、たとえば図6と図7に示したように台車を牽引車に連結する。これにより、牽引車の相互間の追い越し又はすれ違いを回避しながら、牽引車の稼働時間を最小限度に低減できる。
【0037】
まず、図6での連結方法について説明する。最初に、連結装置3は、部品Cが搭載された台車21C、21C、21Cが先頭からこの順序で連結された牽引車2Cを出発させる。次に、連結装置3は、部品Bが搭載された台車21B、21B、21Bが先頭からこの順序で連結された牽引車2Bを出発させる。最後に、連結装置3は、部品Aが搭載された台車21A、21A、21Aが先頭からこの順序で連結された牽引車2Aを出発させる。
【0038】
連結装置3が牽引車2A、2B、2Cをこの順序で出発させるならば、供給作業の効率が向上されない。つまり、牽引車2Aが連結装置3を出発してから連結装置3に到着するまで、牽引車2Bは連結装置3を出発できない。さらに、牽引車2Bが連結装置3を出発してから連結装置3に到着するまで、牽引車2Cは連結装置3を出発できない。
【0039】
図6での連結方法を採用するときには、供給作業の効率が向上される。つまり、牽引車2C、2B、2Aがこの順序でまとめて連結装置3を出発できる。そして、牽引車2C、2B、2Aがそれぞれ収納棚1C、1B、1Aで並行して供給作業を実行できる。さらに、牽引車2A、2B、2Cがこの順序でまとめて連結装置3に到着できる。
【0040】
次に、図7での連結方法について説明する。最初に、連結装置3は、部品C、B、Aがそれぞれ搭載された台車21C、21B、21Aが先頭からこの順序で連結された牽引車2Zを出発させる。次に、連結装置3は、部品C、B、Aがそれぞれ搭載された台車21C、21B、21Aが先頭からこの順序で連結された牽引車2Yを出発させる。最後に、連結装置3は、部品C、B、Aがそれぞれ搭載された台車21C、21B、21Aが先頭からこの順序で連結された牽引車2Xを出発させる。
【0041】
図7での連結方法を採用するときにも、供給作業の効率が向上される。つまり、牽引車2Z、2Y、2Xがこの順序でまとめて連結装置3を出発できる。次に、牽引車2Zが収納棚1Aで供給作業を実行して収納棚1Bに移動したときに、牽引車2Yは収納棚1Aで供給作業を実行できる。次に、牽引車2Zが収納棚1Bで供給作業を実行して収納棚1Cに移動したときに、牽引車2Y、2Xはそれぞれ収納棚1B、1Aで供給作業を実行できる。さらに、牽引車2X、2Y、2Zがこの順序でまとめて連結装置3に到着できる。
【0042】
供給2回目での処理内容は、供給1回目での処理内容とほぼ同様である。ただし、図6での連結方法を採用するときには、牽引車2C、2B、2Aは、部品C、B、Aのうち1種類の部品について、返答順序情報を登録することになる。しかし、図7での連結方法を採用するときには、牽引車2Z、2Y、2Xは、部品C、B、Aのうち全種類の部品について、返答順序情報を登録することになる。
【0043】
収納棚1A、1B、1Cが移動されなければ、供給2回目での処理内容が繰り返し実行される。収納棚1A、1B、1Cが移動されるならば、その移動の最中又はその移動の直後には、供給1回目での処理内容が実行されるが、その後再び収納棚1A、1B、1Cが移動されるまでは、供給2回目での処理内容が繰り返し実行される。
【0044】
ここで、収納棚1A、1B、1Cが移動された直後に、供給1回目での処理内容を実行できるのみならず、収納棚1A、1B、1Cが移動される最中に、供給1回目での処理内容を実行できる。なぜなら、収納棚1A、1B、1Cは、それぞれ、データベース11A、11B、11C、報知ランプ12A、12B、12C、通信装置13A、13B、13Cをセットにして移動されるからである。すなわち、収納棚1A、1B、1Cが移動される最中でも、牽引車2が収納棚1A、1B、1Cに対する通信範囲に到達したときには、それぞれ、通信装置13A、13B、13Cがデータベース11A、11B、11Cを参照して牽引車2に返信できて、報知ランプ12A、12B、12Cが作業者に報知できるからである。さらには、収納棚1A、1B、1Cが移動されるたびに、それぞれ、報知ランプ12A、12B、12Cの配線が大幅に変更されることはない。
【0045】
以上のように、部品搬出入システムは、収納棚の移動とともに更新される必要がある、従来の場所情報を有していない。もっとも、部品搬出入システムは、収納棚の移動とともに更新される必要がなく、収納棚の移動の後に更新されてもよい、返信順序情報と位置関係情報を有している。さらには、収納棚1A、1B、1Cは、それぞれ、データベース11A、11B、11C、報知ランプ12A、12B、12C、通信装置13A、13B、13Cをセットにして移動される。そのため、部品搬出入システムは、生産計画を変更するために収納棚1A、1B、1Cを移動させるときであっても、収納棚1A、1B、1Cに対する搬出入を容易にする。
【0046】
{変形例}
本実施の形態では、牽引車2と台車21A、21B、21Cにより部品が運搬される。本変形例では、台車を牽引する牽引車に代えて、部品を搭載する搭載車により部品が運搬される。搭載車は、図1に示したように、操作端末22、データベース23、通信装置24、25を備えていればよく、図6と図7に示したように、相互間の追い越し又はすれ違いを回避されるように、連結装置3により出発を指示されればよい。
【0047】
本実施の形態では、多数の部品を収納する収納棚1A、1B、1Cが、それぞれ、データベース11A、11B、11C、報知ランプ12A、12B、12C、通信装置13A、13B、13Cをセットにして管理される。本変形例では、少数の部品を収納する収納箱が、データベース、報知ランプ、通信装置をセットにして管理される。このように、収納管理単位は、収納棚1A、1B、1C又は収納箱など任意の単位である。
【0048】
本実施の形態では、データベース11A、11B、11C、23、32は、部品の名称を部品属性として登録する。本変形例では、データベース11A、11B、11C、23、32は、部品の名称に加えて部品の型番、用途などを部品属性として登録する。このように、部品属性は、部品同士を区別する任意の属性である。
【0049】
本実施の形態では、牽引車2により運搬される部品の属性が各収納棚1A、1B、1Cにより収納される部品の属性と一致するときに、各収納棚1A、1B、1Cは牽引車2に自己が運搬部品の収納位置であることを返信する。本変形例では、さらに、牽引車2により運搬される部品の属性が各収納棚1A、1B、1Cにより収納される部品の属性と一致しないときに、各収納棚1A、1B、1Cは牽引車2に自己が運搬部品の収納位置でないことを返信又は無返信とする。
【0050】
各収納棚1A、1B、1Cが牽引車2に返信しないときに、以下の記載のような問題が発生する。つまり、運搬部品の収納位置が存在しないのか、目的の収納棚1A、1B、1Cが他の場所に移動されているのか、目的の収納棚1A、1B、1Cが他の場所に移動されていないとしても故障しているのか、を牽引車2は判別できない。しかし、牽引車2は、運搬部品の収納位置について返信されていないことを、連結装置3に通知すればよい。そして、指示者は、連結装置3から収納棚1A、1B、1Cまで移動して、収納棚1A、1B、1Cが上述のいずれの状態にあるかを点検すればよい。
【0051】
本実施の形態では、ある1種類の部品が単数の収納棚に収納される。本変形例では、ある1種類の部品が複数の収納棚に収納されることがある。このときには、操作端末22は、複数存在する収納棚のうちいずれの収納棚に対して供給作業又はピッキング作業をすべきかを、複数存在する収納棚からの通信装置25に対する通信強度(相互間の距離に相当する)などに基づいて表示する。操作端末22は、1回目に選択した収納棚に対して全ての部品を供給又はピッキングできないときでも、2回目に選択した収納棚に対して残りの部品を供給又はピッキングできるときには、その旨を表示画面に表示する。
【0052】
本実施の形態では、運搬部品の収納位置について、報知ランプ12A、12B、12Cと操作端末22の表示画面を用いて報知される。本変形例では、運搬部品の収納位置について、操作端末22の表示画面のみを用いて報知される。本実施の形態では、作業者は、報知ランプ12A、12B、12Cが点灯していることを確認することにより、牽引車2が収納位置に接近していることを認識し、さらに、操作端末22の表示画面を確認することにより、いずれの部品を供給又はピッキングすべきかと、その部品がいずれの台車に搭載されるべきかを認識する。本変形例では、作業者は、操作端末22の表示画面のみを確認することにより、牽引車2が収納位置に接近していることと、いずれの部品を供給又はピッキングすべきかと、その部品がいずれの台車に搭載されるべきかを認識する。
【0053】
本実施の形態では、収納棚1A、1B、1Cと連結装置3の間の概略的な距離が推測される。本変形例では、収納棚1A、1B、1Cと連結装置3の間の概略的な距離が推測されるのみならず、牽引車2が走行距離を測定することにより、収納棚1A、1B、1Cと連結装置3の間の正確な距離が測定される。収納棚1A、1B、1Cと連結装置3の位置関係を示す地図が作成されてもよい。
【0054】
本実施の形態では、データベースには、部品名称の情報が登録される。本変形例では、データベースには、部品名称の情報が登録されるのみならず、部品点数の情報が登録される。たとえば、指示者が管理するデータベース32が、部品点数の情報を登録する。そして、通信装置24が通信装置33に供給作業の終了又はピッキング作業の終了を通知するたびに、データベース32が部品点数の情報を更新すればよい。
【符号の説明】
【0055】
A,B,C 部品、1A,1B,1C 収納棚、2 牽引車、3 連結装置、11A,11B,11C データベース、12A,12B,12C 報知ランプ、13A,13B,13C 通信装置、21A,21B,21C 台車、22 操作端末、23 データベース、24 通信装置、25 通信装置、31 操作端末、32 データベース、33 通信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を運搬する運搬車両と、
部品を収納する複数の収納装置と、
を備える部品搬出入システムであって、
前記運搬車両は、
運搬部品の属性情報を登録する運搬部品属性情報登録部と、
前記運搬部品属性情報登録部から取得した前記運搬部品の属性情報を各収納装置に送信する運搬部品属性情報送信部と、
を含み、
前記各収納装置は、
各収納部品の属性情報を登録する収納部品属性情報登録部と、
前記運搬部品の属性情報を前記運搬車両から受信する運搬部品属性情報受信部と、
前記収納部品属性情報登録部から取得した前記各収納部品の属性情報と、前記運搬部品属性情報受信部から取得した前記運搬部品の属性情報と、を照合する部品属性情報照合部と、
前記運搬部品の属性と前記各収納部品の属性とが一致するときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報を前記運搬車両に返信し、前記運搬部品の属性と前記各収納部品の属性とが一致しないときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納されない旨の情報を前記運搬車両に返信、又は無返信とする部品収納有無情報返信部と、
を含み、
前記運搬車両は、前記部品収納有無情報返信部から受信した情報に基づいて、前記複数の収納装置に対して部品を搬出入することを特徴とする部品搬出入システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部品搬出入システムにおいて、
前記運搬車両は、
前記運搬部品の属性と前記各収納部品の属性とが一致するときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報を前記各収納装置から受信し、前記運搬部品の属性と前記各収納部品の属性とが一致しないときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納されない旨の情報を前記各収納装置から受信、又は無受信とする部品収納有無情報受信部と、
前記部品収納有無情報受信部が前記各収納装置から受信した情報を表示する部品収納有無情報表示部と、
を含むことを特徴とする部品搬出入システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の部品搬出入システムにおいて、さらに、
前記複数の収納装置に対する前記運搬車両の運行を管理する運搬車両運行管理装置、
を備え、
前記運搬車両は、
前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報が前記各収納装置から返信される返信順序の情報を登録する返信順序情報登録部と、
前記返信順序情報登録部から取得した前記返信順序の情報を前記運搬車両運行管理装置に送信する返信順序情報送信部と、
を含み、
前記運搬車両運行管理装置は、
前記返信順序の情報を前記運搬車両から受信する返信順序情報受信部と、
前記返信順序情報受信部から取得した前記返信順序の情報に基づいて、前記運搬車両運行管理装置に対する前記各収納装置の位置関係の情報を登録する位置関係情報登録部と、
前記位置関係情報登録部から取得した前記位置関係の情報に基づいて、前記複数の収納装置に対する前記運搬車両の運行順序を決定する運行順序決定部と、
を含むことを特徴とする部品搬出入システム。
【請求項4】
複数の収納装置により収納される部品を運搬する運搬車両であって、
運搬部品の属性情報を登録する運搬部品属性情報登録部と、
前記運搬部品属性情報登録部から取得した前記運搬部品の属性情報を各収納装置に送信する運搬部品属性情報送信部と、
前記運搬部品の属性と各収納部品の属性とが一致するときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報を前記各収納装置から受信し、前記運搬部品の属性と前記各収納部品の属性とが一致しないときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納されない旨の情報を前記各収納装置から受信、又は無受信とする部品収納有無情報受信部と、
を備え、前記部品収納有無情報受信部から取得した情報に基づいて、前記複数の収納装置に対して部品を搬出入することを特徴とする運搬車両。
【請求項5】
請求項4に記載の運搬車両において、さらに、
前記部品収納有無情報受信部が前記各収納装置から受信した情報を表示する部品収納有無情報表示部、
を備えることを特徴とする運搬車両。
【請求項6】
運搬車両により運搬される部品を収納する複数の収納装置であって、
各収納装置毎に、
各収納部品の属性情報を登録する収納部品属性情報登録部と、
運搬部品の属性情報を前記運搬車両から受信する運搬部品属性情報受信部と、
前記収納部品属性情報登録部から取得した前記各収納部品の属性情報と、前記運搬部品属性情報受信部から取得した前記運搬部品の属性情報と、を照合する部品属性情報照合部と、
前記運搬部品の属性と前記各収納部品の属性とが一致するときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報を前記運搬車両に返信し、前記運搬部品の属性と前記各収納部品の属性とが一致しないときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納されない旨の情報を前記運搬車両に返信、又は無返信とする部品収納有無情報返信部と、
を備えることを特徴とする収納装置。
【請求項7】
部品を運搬する運搬車両と、部品を収納する複数の収納装置と、を備える部品搬出入システムにおいて、前記複数の収納装置に対する前記運搬車両の運行を管理する運搬車両運行管理装置であって、
前記運搬車両は、
運搬部品の属性情報を登録する運搬部品属性情報登録部と、
前記運搬部品属性情報登録部から取得した前記運搬部品の属性情報を各収納装置に送信する運搬部品属性情報送信部と、
を含み、
前記各収納装置は、
各収納部品の属性情報を登録する収納部品属性情報登録部と、
前記運搬部品の属性情報を前記運搬車両から受信する運搬部品属性情報受信部と、
前記収納部品属性情報登録部から取得した前記各収納部品の属性情報と、前記運搬部品属性情報受信部から取得した前記運搬部品の属性情報と、を照合する部品属性情報照合部と、
前記運搬部品の属性と前記各収納部品の属性とが一致するときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報を前記運搬車両に返信し、前記運搬部品の属性と前記各収納部品の属性とが一致しないときに、前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納されない旨の情報を前記運搬車両に返信、又は無返信とする部品収納有無情報返信部と、
を含み、
前記運搬車両は、
前記運搬部品と同一の属性を有する部品が収納される旨の情報が前記各収納装置から返信される返信順序の情報を登録する返信順序情報登録部と、
前記返信順序情報登録部から取得した前記返信順序の情報を前記運搬車両運行管理装置に送信する返信順序情報送信部と、
を含み、
前記返信順序の情報を前記運搬車両から受信する返信順序情報受信部と、
前記返信順序情報受信部から取得した前記返信順序の情報に基づいて、前記運搬車両運行管理装置に対する前記各収納装置の位置関係の情報を登録する位置関係情報登録部と、
前記位置関係情報登録部から取得した前記位置関係の情報に基づいて、前記複数の収納装置に対する前記運搬車両の運行順序を決定する運行順序決定部と、
を備えることを特徴とする運搬車両運行管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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