説明

部品管理システム

【課題】代替部品についての情報を提供できるようにすることにより、原則として認定された部品のみが利用申請される仕組みとすることのできる部品管理システムを提供する。
【解決手段】一定の基準に基づいて購入対象として認定された部品に関する部品データを登録する認定部品データベースと、部品供給者から提供された部品情報の認定処理の結果に基づいて上記認定部品データベースを更新する認定部門端末と、上記認定部品データベースに登録されている部品の中から設計のために任意の部品を選定する設計端末とを備えた部品管理システムであって、上記認定部門端末から上記認定部品データベース上の所望の部品に対して代替部品を設定する手段と、上記設計端末からの部品の検索時に、検索結果の部品に設定された代替部品の部品ステータスを判断し、認定部品である場合に代替部品を併せて表示する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の管理業務を支援する部品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi
Function Printer)等の電子機器の設計にあっては多くの部品を利用するものであるが、調達コストや品質維持等の観点から設計部門の希望する部品を無条件に利用させることには問題が多く、予めあるいは設計部門からの要求に応じて部品の認定処理を行い、認定部品の中から利用させるようにすることが多い。
【0003】
このような認定部品を設計部門から容易に参照可能とするため、従来より種々の部品管理システムが提案され導入されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0004】
部品管理システムは、一定の基準に基づいて購入対象として認定された部品に関する部品データを登録する認定部品データベースと、部品供給者から提供された部品情報の認定処理の結果に基づいて認定部品データベースを更新する認定部門端末と、認定部品データベースに登録されている部品の中から設計のために任意の部品を選定する設計端末とを備えることにより、設計部門での部品選定が可能となっている。
【特許文献1】特開2006−127532号公報
【特許文献2】特開2003−150607号公報
【特許文献3】特開2003−178113号公報
【特許文献4】特開2002−099591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、認定部品の中から部品を利用させることを徹底するとともに、部品情報の維持業務により認定状況が変更される可能性があるため、部品の選定にあたっては設計部門から部品利用申請を行わせるのが一般的である。ただし、認定部品の中に利用したい部品が存在しない場合は設計に支障を与えてしまうため、認定状況に関わらず部品利用申請を受け付け、その際に認定部門側で調査をした上で、機能的に同等の認定部品が存在する場合には代替部品として提示し、機能的に同等の認定部品が存在しない場合には新たに認定を行うか限定的に利用を許可する等の措置をとっていた。
【0006】
従って、認定部門では、
(1)認定部品についての適正な申請であるか否かの判断業務
(2)認定部品でない場合に代替部品を調査して提示する業務
(3)認定部品でない場合に新たに認定を行うか限定的に利用を許可する業務
等が必要となり、業務の負荷が高く、タイムリーな部品情報の提供ができないという問題があった。特に、(1)(3)については止むを得ない業務であるが、(2)の代替部品を調査して提示する業務については、同じ部品に対する申請が何度もくるたびに過去の申請情報を探して代替部品を提示するものであるため、特に改善が求められていた。
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、代替部品についての情報を提供できるようにすることにより、原則として認定された部品のみが利用申請される仕組みとすることのできる部品管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明にあっては、請求項1に記載されるように、一定の基準に基づいて購入対象として認定された部品に関する部品データを登録する認定部品データベースと、部品供給者から提供された部品情報の認定処理の結果に基づいて上記認定部品データベースを更新する認定部門端末と、上記認定部品データベースに登録されている部品の中から設計のために任意の部品を選定する設計端末とを備えた部品管理システムであって、上記認定部門端末から上記認定部品データベース上の所望の部品に対して代替部品を設定する手段と、上記設計端末からの部品の検索時に、検索結果の部品に設定された代替部品の部品ステータスを判断し、認定部品である場合に代替部品を併せて表示する手段とを備える部品管理システムを要旨としている。
【0009】
また、請求項2に記載されるように、請求項1に記載の部品管理システムにおいて、所定の部品につき当該部品のシリーズ品を特定し、その特性情報を取得する手段と、上記所定の部品につき設定された代替部品のシリーズ品を特定し、その特性情報を取得する手段と、上記部品のシリーズ品の特性情報と上記代替部品のシリーズ品の特性情報とを比較し、同一特性の場合、上記部品のシリーズ品に対し、上記代替部品のシリーズ品を代替部品として一括設定する手段とを備えるようにすることができる。
【0010】
また、請求項3に記載されるように、請求項1に記載の部品管理システムにおいて、設定された代替部品の審査後の経過期間を管理する手段と、審査後の経過期間が所定値を過ぎた部品につき、部品情報維持担当者に通知する手段とを備えるようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の部品管理システムにあっては、代替部品についての情報を提供できるようにすることにより、原則として認定された部品のみが利用申請される仕組みとすることができ、部品管理業務の負荷を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0013】
<システム構成>
図1は本発明の一実施形態にかかる部品管理システムの構成例を示す図である。
【0014】
図1において、部品管理システムは、部品管理の主たる処理を行う部品管理装置1と、一定の基準に基づいて購入対象として認定された部品に関する部品データを登録する認定部品データベース2と、部品供給者から提供された部品情報の認定処理の結果に基づいて認定部品データベース2を更新する認定部門端末3と、認定部品データベース2に登録されている部品の中から設計のために任意の部品を選定する設計端末4とを備えている。
【0015】
部品管理装置1は、認定部門端末3の操作に応じ、認定部品データベース2に対して部品情報を登録する一般的機能の他、代替部品設定部12により認定部品データベース2上の所望の部品に対して代替部品を設定し、シリーズ品代替部品一括設定部13によりシリーズ品の代替部品設定を一括に行う機能を有した部品情報登録部11を備えている。また、部品管理装置1は、設計端末4の操作に応じ、認定部品データベース2から部品情報を検索して提示する一般的機能の他、代替部品ステータス判定部15により検索結果の部品に設定された代替部品の部品ステータスを判断し、認定部品である場合に代替部品を併せて表示する機能を有した部品情報検索部14を備えている。更に、部品管理装置1は、設定された代替部品の審査後の経過期間を管理する審査後経過時間監視部16と、審査後の経過期間が所定値を過ぎた部品につき、部品情報維持担当者に通知する通知部17とを備えている。
【0016】
認定部品データベース2は、管理対象の部品につき代替部品と紐付けをして管理する部品管理テーブル21と、個々の部品(代替部品を含む)についての詳細情報を保持する部品情報テーブル22とを含んでいる。
【0017】
図2は認定部品データベース2の構成例を示す図であり、部品管理テーブル21には個々の部品のユニークキー(型番と部番の組み合わせ)が登録されるとともに、代替部品が存在する場合にはそれらの間のリンクが設定されている。部品管理テーブル21の個々の部品ユニークキーに対応して部品情報テーブル22が対応付けられ、部品情報テーブル22には認定審査業務での認定状況、認定審査日、当該部品の特性値情報等が含まれている。このように、代替部品のユニークキーを部品管理テーブル21で管理することにより、代替部品が設定されている部品と代替部品の情報を同時に取得することができるため、検索性能が悪化しないという利点がある。
【0018】
<動作>
図3は部品管理装置1における処理例を示す図である。
【0019】
図3において、所定の部品についての認定業務の一環として代替部品が決定された場合、認定部門端末3(図1)から代替部品設定画面を介して代替部品の登録を行う(ステップS1)。図4は代替部品設定画面31の例を示す図であり、所望の部品の情報(管理No、型番、部番、部番SF(バージョンを示すサフィックス)、メーカ名、品種分類コード、部番ステータス、代替部番、ステータス理由コード、ステータスコメント等)を検索して表示した状態で、この状態では空欄となっている代替部番フィールド311に代替部品の部番を入力することで代替部品の登録が行われる。
【0020】
また、シリーズ品(例えば、抵抗値が異なるだけでその他の仕様が共通な部品群)について代替部品を登録する場合には、図5に示すようなシリーズ品代替部品一括設定画面32を介して一括に設定を行うことができる。図5において、予め表計算ソフト等で作成された設定の対象となる部番と少なくとも一つの部品について代替部番が設定された未完成の表データを入力し、シリーズ品一括設定ボタン33をクリックすることで、シリーズ品代替部品一括設定部13(図1)により代替部番のフィールドが自動設定される。
【0021】
図6はシリーズ品代替部品一括設定の処理例を示すフローチャートである。
【0022】
図6において、処理を開始すると(ステップS101)、代替部品が設定されている部品の情報を認定部品データベース2から取得し(ステップS102)、部番および型番からその部品のシリーズ品を抽出し(ステップS103)、抽出したシリーズ品の特性値情報(A)を取得する(ステップS104)。
【0023】
次いで、代替部品の情報を認定部品データベース2から取得し(ステップS105)、代替部品の部番および型番からその部品のシリーズ品を抽出し(ステップS106)、抽出したシリーズ品の特性値情報(B)を取得する(ステップS107)。
【0024】
次いで、処理対象の部品のシリーズ品の特性値情報(A)と代替部品のシリーズ品の特性値情報(B)をそれぞれセットし(ステップS108、S109)、両者の特性値情報が一致するか否か判断する(ステップS110)。一致しない場合は代替部品のシリーズ品の特性値情報(B)を次のデータにセットし、一致した場合は一致したシリーズ品間に代替部品としての紐付けを行う(ステップS111)。
【0025】
そして、全てのデータについて確認済であるか否か判断し(ステップS112)、まだであれば処理対象の部品のシリーズ品の特性値情報(A)を次のデータにセットし、全て確認済であれば処理を終了する(ステップS113)。
【0026】
図3に戻り、設計端末4(図1)から部品の検索が行われた場合、代替部品ステータス判定部15(図1)により、検索結果の部品に設定された代替部品の認定状況(部品ステータス)を判断し(ステップS2)、認定部品である場合に代替部品を併せて表示する。図7は代替部品表示画面41の例を示す図であり、部番411について検索を行った結果、認定部品として有効な代替部番412が表示された状態を示している。
【0027】
図3に戻り、部品情報テーブル22の認定審査日については審査後経過時間監視部16(図1)により現在日時との比較が定期的に行われ、一定期間が経過したと判断された場合には(ステップS3)、通知部17(図1)により電子メール等によって部品情報維持担当者に通知を行う。これにより、更新漏れ等を防止することができ、部品情報の鮮度を維持することができる。
【0028】
<総括>
以上説明したように、代替部品についての情報を提供できるようにすることにより、原則として認定された部品のみが利用申請される仕組みとすることができ、代替部品を調査して提示する必要がなくなることから、部品管理業務の負荷を低減させることができる。部品を利用する設計部門においても、代替部品の回答を待つ必要がなく、即座に部品選定が行えるため、業務の効率を向上させることができる。
【0029】
また、シリーズ品については一括設定が行えることで、設定作業の効率化が図れる。
【0030】
また、認定から一定期間が経過した部品について部品情報維持担当者に自動的に通知が行われるため、更新漏れ等を防止することができ、部品情報の鮮度を維持することができる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態にかかる部品管理システムの構成例を示す図である。
【図2】認定部品データベースの構成例を示す図である。
【図3】部品管理装置における処理例を示す図である。
【図4】代替部品設定画面の例を示す図である。
【図5】シリーズ品代替部品一括設定画面の例を示す図である。
【図6】シリーズ品代替部品一括設定の処理例を示すフローチャートである。
【図7】代替部品表示画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 部品管理装置
11 部品情報登録部
12 代替部品設定部
13 シリーズ品代替部品一括設定部
14 部品情報検索部
15 代替部品ステータス判定部
16 審査後経過時間監視部
17 通知部
2 認定部品データベース
21 部品管理テーブル
22 部品情報テーブル
3 認定部門端末
4 設計端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の基準に基づいて購入対象として認定された部品に関する部品データを登録する認定部品データベースと、部品供給者から提供された部品情報の認定処理の結果に基づいて上記認定部品データベースを更新する認定部門端末と、上記認定部品データベースに登録されている部品の中から設計のために任意の部品を選定する設計端末とを備えた部品管理システムであって、
上記認定部門端末から上記認定部品データベース上の所望の部品に対して代替部品を設定する手段と、
上記設計端末からの部品の検索時に、検索結果の部品に設定された代替部品の部品ステータスを判断し、認定部品である場合に代替部品を併せて表示する手段とを備えたことを特徴とする部品管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の部品管理システムにおいて、
所定の部品につき当該部品のシリーズ品を特定し、その特性情報を取得する手段と、
上記所定の部品につき設定された代替部品のシリーズ品を特定し、その特性情報を取得する手段と、
上記部品のシリーズ品の特性情報と上記代替部品のシリーズ品の特性情報とを比較し、同一特性の場合、上記部品のシリーズ品に対し、上記代替部品のシリーズ品を代替部品として一括設定する手段とを備えたことを特徴とする部品管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の部品管理システムにおいて、
設定された代替部品の審査後の経過期間を管理する手段と、
審査後の経過期間が所定値を過ぎた部品につき、部品情報維持担当者に通知する手段とを備えたことを特徴とする部品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−65631(P2008−65631A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243219(P2006−243219)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】