説明

部品組付用治具

【課題】工具を使用した位置の調整を不要とし、軸部材とプレート部材とを同軸に容易に位置合わせして組み付けできる治具の実現。
【解決手段】バルブユニット10の駆動機構39を構成する部品として軸部材37にプレート部材36aを組み付けるための部品組付用治具40は、外周面にスプリング33が介装された前記軸部材を保持する本体部41と、前記本体部に対して、前記軸部材の軸心に対して互いに対称な位置に取り付けられ、前記スプリングの外形に当接して当該軸部材の軸心と前記プレート部材の中心とを位置合わせるガイドプレート42と、前記ガイドプレートにより位置合わせされた状態で前記プレート部材を前記軸部材に挿入するよう押圧する押圧プレート43と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部材にプレート部材を組み付けるための部品組付用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部品組付用治具は、後述するガイドプレートを備えていないため、軸部材と同軸に組み付けられるプレート部材がずれてしまい、最終的に工具を使用して中心位置を合わせる必要があった。
【0003】
例えば、特許文献1には、高精度が要求されるパーツの組立時に水平及び垂直方向の位置を調整する治具が記載されている。
【特許文献1】特開平9−298033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、工具を使用した位置の調整を不要とし、軸部材とプレート部材とを同軸に容易に位置合わせして組み付けできる治具を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明に係る部品組付用治具は、バルブユニット10の駆動機構39を構成する部品として軸部材37にプレート部材36aを組み付けるための部品組付用治具40であって、外周面にスプリング33が介装された前記軸部材を保持する本体部41と、前記本体部に対して、前記軸部材の軸心に対して互いに対称な位置に取り付けられ、前記スプリングの外形に当接して当該軸部材の軸心と前記プレート部材の中心とを位置合わせるガイドプレート42と、前記ガイドプレートにより位置合わせされた状態で前記プレート部材を前記軸部材に挿入するよう押圧する押圧プレート43と、を有する。
【0006】
また、好ましくは、前記押圧プレートは、当該ガイドプレートを押圧するカム部44と、前記カム部を回転操作するためのハンドル部45と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、工具を使用した位置の調整を不要とし、軸部材とプレート部材とを同軸に容易に位置合わせして組み付けできる治具を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0009】
[バルブ駆動機構]
本実施形態のバルブユニット10は、例えば、ライン上を連続的に搬送される複数の空缶にビールや発泡性飲料等を充填していくフィラーと呼ばれるビール充填装置(不図示)に搭載される。
【0010】
図1は、本実施形態のバルブ駆動機構を示す正面図(a)、(a)のi−i断面図(b)及び(a)の上面図(c)である。
【0011】
図1に示すように、バルブユニット10は支持板12を介してベース部材1に支持される。また、缶口部材14のアーム部14bには、上方に延びる駆動軸31が回動自在に連結されている。駆動軸31は、下部が支持板12に対して軸受32を介してスライド可能に支持されている。また、駆動軸31は、駆動軸31の外周面に介装されたスプリング33により下方に付勢されつつ、駆動軸31の中央部分に取り付けられた駆動ローラ34が上下に移動するのに連動して上下方向に駆動される。
【0012】
また、駆動軸31の上端部には軸受部材31aが固定され、軸受部材31aにはバルブユニット10を上下方向に駆動させるオペレーティングレバー39が回動自在に支持されている。
【0013】
オペレーティングレバー39は、駆動ローラ35が支持されたリンク部材36と、プレート部材36aを介してリンク部材36が固定され駆動ローラ35の上下動によりリンク部材36が揺動して回動する回動軸37と、回動軸37の回転を上下動に変換するリンク部材38と、スプリング37aと、を有し、リンク部材38がバルブユニット10の上端部に連結されることでバルブが開閉される。
【0014】
即ち、駆動軸31が下方の位置P1に移動することで、缶口部材14が容器の注入口2に密着し、この状態でバルブを開成することで液体が容器内に注入される。また、駆動軸31が上位置P2に移動することで、缶口部材14が容器の注入口2から離間し、バルブが閉成された状態となり液体の注入が停止される。
【0015】
[治具の構成]
図2は、本発明に係る実施形態の部品組付用治具の正面図(a)及び側断面図(b)である。
【0016】
本実施形態の部品組付用治具40は、メンテナンス等のために分解した上記オペレーティングレバー39を再度組み付ける際に用いられる。
【0017】
具体的には、本実施形態の部品組付用治具40は、図2に示すように、回動軸37の外周部に装着されたスプリング37aの外形に合致する円弧形状を有する樹脂材料等で構成された本体部41と、当該本体部41に対して、回動軸37の軸心に対して互いに対称な位置に取り付けられ、上記スプリング37aの外形に当接して当該回動軸37の軸心をプレート部材36aの穴部36bの中心に位置合わせするガイドプレート42と、上記ガイドプレート42によりガイドされた状態で上記プレート部材36aを回動軸37に挿入する方向に押圧する押圧プレート43と、を有する。
【0018】
押圧プレート43は、円弧状の切欠部43aが形成され、カム部44により軸方向に移動しプレート部材36aを押圧する。カム部44には、プレート部44を押圧するためにカム部44を回転操作するためのハンドル部45と、本体部41から延びてカム部44を偏心支持する支持プレート46と、を有する。
【0019】
上記本体部41の円弧形状と押圧プレート43の切欠部43aとは、本体部41に装着される回動軸37と同軸となるように設計されている。
【0020】
[組付手順]
次に、図2を参照して、本実施形態の部品組付用治具40を用いてオペレーティングレバー39の回動軸37にプレート部材36aの組付を行う手順について説明する。
【0021】
図2に示すように、オペレーティングレバー39の回動軸37を本体部41の円弧形状部分に装着し、プレート部材36aを支持プレート46の間に装着すると、回動軸37の軸心とプレート部材36aの穴部36bの中心とが合致するように位置決めされる。この状態で、ハンドル部45を操作して押圧プレート43によりプレート部材36aをスプリング37aの付勢力に抗して回動軸37側に移動させて挿入する。
【0022】
このようにして、回動軸37とプレート部材36aの位置決めを容易に行いつつ部品の組付作業を行うことができる。
【0023】
これにより、工具を使用した位置の調整を不要とし、部品同士を組み付ける際の位置合わせを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態のバルブ駆動機構を示す正面図(a)、(a)のi−i断面図(b)及び(a)の上面図(c)である。
【図2】本発明に係る実施形態の部品組付用治具の正面図(a)及び側断面図(b)である。
【符号の説明】
【0025】
10 バルブユニット
12 支持板
14 缶口部材
31 駆動軸
32 軸受
33 スプリング
34,35 駆動ローラ
36,38 リンク部材
37 回動軸
39 オペレーティングレバー
40 部品組付用治具
41 本体部
42 ガイドプレート
43 押圧プレート
44 カム部
45 ハンドル部
46 支持プレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブユニットの駆動機構を構成する部品として軸部材にプレート部材を組み付けるための部品組付用治具であって、
外周面にスプリングが介装された前記軸部材を保持する本体部と、
前記本体部に対して、前記軸部材の軸心に対して互いに対称な位置に取り付けられ、前記スプリングの外形に当接して当該軸部材の軸心と前記プレート部材の中心とを位置合わせるガイドプレートと、
前記ガイドプレートにより位置合わせされた状態で前記プレート部材を前記軸部材に挿入するよう押圧する押圧プレートと、を有することを特徴とする治具。
【請求項2】
前記押圧プレートは、当該ガイドプレートを押圧するカム部と、前記カム部を回転操作するためのハンドル部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の治具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−34752(P2009−34752A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199808(P2007−199808)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】