説明

部品組立装置

【課題】部品組立装置において、挿入部材が被挿入部材の凹部に引っかかりやすい場合にも、効率よく被挿入部材に挿入部材を挿入することができ、発塵を抑制することができるようにする。
【解決手段】レンズ鏡筒50に設けられたレンズ収容穴部50cにレンズ51を挿入して、レンズ鏡筒50およびレンズ51を含むレンズ組立体を組み立てる部品組立装置であって、レンズ収容穴部50cの開口を上方に向けて配置されたレンズ鏡筒50の側方から進退して保持状態と保持解除状態とを切り換えるチャック部22と、チャック部22に対して、チャック部22の進退方向に交差する方向から衝撃を印加するピエゾハンマ20と、を備え、ピエゾハンマ20は、チャック部22の進退方向における摩擦力を抑制するローラ押圧部30を介してチャック部22を押圧する状態に保持される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品組立装置に関する。例えば、被挿入部材に設けられた凹部に挿入部材を挿入して、被挿入部材および挿入部材を含む部品を組み立てる部品組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被挿入部材に設けられた凹部に挿入部材を挿入して部品を組み立てる際、被挿入部材の凹部と挿入部材との間に隙間代が少ないと、挿入部材の挿入姿勢によっては挿入部材が凹部に干渉して挿入に失敗し、挿入をやり直さなければならない場合がある。
このため、被挿入部材と挿入部材とを自動組立して部品を製造する場合には、画像処理等を用いて部材間の位置決めを高精度に行ったり、倣い機構を有する把持部を用いて挿入作業を行わせたりすることが一般的である。これらの技術は挿入作業時において、挿入部材の一端が被挿入部材の凹部に接触できることが前提となっている。
しかし、凹部が被挿入部材の奥まったところにある場合、挿入部材が凹部に到達する前に把持部が被挿入部材と干渉して、挿入部材の一端を凹部に当接させることができないため、同様の技術が適用できない。
そこで、特許文献1では、ロボットハンドを用いて、挿入部材である軸状部品を被挿入部材である本体部品の嵌入孔(凹部)付近まで挿入し、軸状部品をアンチャックするとともに、本体部品および治具を固有振動数付近の振動数にて振動させて、軸状部品を嵌入孔に嵌入させるようにした軸状部品の嵌め込み方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−26781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の部品組立装置には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術は、例えば、挿入部材が被挿入部材の挿入穴に傾いた状態で引っかかった状態で嵌り込んでしまうと、引っ掛かり部の摩擦力によって挿入部材が被挿入部材と連結されてしまう。この場合、挿入部材が軽量であると、被挿入部材である本体部品および治具の固有振動数は挿入部材の固有振動数に比べて低周波になるため、本体部品および治具の固有振動数に一致する振動を加えると、挿入部材も本体部品および治具と同様に振動することになる。このため、相当な時間加振しても挿入穴に挿入することができない場合があるという問題がある。
この対策として、挿入部材と被挿入部材との引っ掛かり部における摩擦力を超える力を作用させるために、振動の振幅を大きくすることも考えられるが、このような加振力は、正負交替して周期的に作用する。すなわち、このようにして挿入部材を被挿入部材から離間させたとしても、挿入部材が被挿入部材から離間した後にも続けて同様の加振が続くため、挿入部材と被挿入部材との衝突が繰り返される。このため、挿入部材が動きすぎて挿入孔から飛び出してしまったり、挿入穴内に入り込むことができなくなったりするという問題がある。さらには、このような衝突が続く結果、挿入部材あるいは被挿入部材が破損したりするおそれがあるという問題がある。
また、挿入部材と被挿入部材との衝突が続く結果、摩耗や発塵が起こるおそれがあり、部品組立装置内に異物が混入して、清浄度が低下し、組立品の製品品質が低下してしまうおそれがあるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、挿入部材が被挿入部材の凹部に引っかかりやすい場合にも、効率よく被挿入部材に挿入部材を挿入することができ、発塵を抑制することができる部品組立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、被挿入部材に設けられた凹部に挿入部材を挿入して、前記被挿入部材および前記挿入部材を含む部品を組み立てる部品組立装置であって、前記凹部の開口を上方に向けて配置された前記被挿入部材の側方から進退して保持状態と保持解除状態とを切り換える被挿入部材保持部と、該被挿入部材保持部に対して、該被挿入部材保持部の進退方向に交差する方向から衝撃を印加する衝撃印加部と、を備え、前記衝撃印加部は、前記被挿入部材保持部の進退方向における摩擦力を抑制する摩擦力抑制部を介して前記被挿入部材保持部を押圧する状態に保持される構成とする。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項2に記載の部品組立装置において、前記摩擦力抑制部は、転動部材を用いて摩擦力を抑制する構成とする。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の部品組立装置において、前記転動部材は、前記衝撃印加部と固定された支持部材に回転可能に支持され、前記被挿入部材保持部に当接して前記進退方向に沿って転動するローラ部材を備える構成とする。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の部品組立装置において、前記摩擦力抑制部は、前記被挿入部材保持部の進退方向に沿って延ばされて前記被挿入部材保持部に固定された直動ガイド部材と、前記衝撃印加部に固定され、該直動ガイド部材に沿って進退可能に係合された直動スライダと、を備え、前記転動部材は、前記直動ガイド部材と前記直動スライダとの間で転動する構成とする。
【0010】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品組立装置において、前記衝撃印加部は、圧電アクチュエータによって衝撃を加える構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の部品組立装置によれば、衝撃印加部が摩擦力抑制部を介して被挿入部材保持部を押圧する状態に保持されるため、被挿入部材保持部を進退させても摩擦に起因する発塵が抑制され、被挿入部材保持部によって被挿入部材を側方から保持した後、被挿入部材保持部を介して衝撃印加部から迅速に衝撃を加えることができるため、挿入部材が被挿入部材の凹部に引っかかりやすい場合にも、効率よく被挿入部材に挿入部材を挿入することができ、発塵を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置で組み立てられた部品の一例を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の主要部の構成を示す模式的な側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の主要部の構成を示す模式的な平面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の摩擦力抑制部の構成を示す側面視の拡大図、およびそのA−A断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る部品組立方法の工程フローを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る部品組立方法の挿入部材配置工程において被挿入部材上に配置された挿入部材を示す模式的な断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る部品組立装置の主要部の構成を示す模式的な側面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の摩擦力抑制部の構成を示す側面視の拡大図、およびそのB−B断面図である。
【図10】本発明の各実施形態に係る部品組立装置で組み立てることができる部品の他の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の概略構成を示す模式的な斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置で組み立てられた部品の一例を示す模式的な断面図である。図3は、本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の主要部の構成を示す模式的な側面図である。図4は、本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の主要部の構成を示す模式的な平面図である。図5(a)は、本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の摩擦力抑制部の構成を示す側面視の拡大図である。図5(b)は、図5(a)におけるA−A断面図である。
【0015】
図1に示す本実施形態の部品組立装置1は、被挿入部材に設けられた凹部に挿入部材を挿入して、被挿入部材および挿入部材を含む部品を組み立てるものである。
被挿入部材と挿入部材とは、挿入部材を被挿入部材に設けられた凹部に挿入して組み立てることができるものであれば、特に限定されない。ただし、ここで言う「挿入して組み立てる」とは、挿入部材よりも大きな開口を有する被挿入部材の凹部に挿入して組み立てることを意味する。したがって、挿入部材の自重によって落下させて挿入したり、同等の軽荷重で挿入したりすることができる。
このため、被挿入部材の凹部と挿入部材の凸部との間の嵌め合いは、隙間嵌めに限り、挿入部材を圧入する組み立ては含まない。
被挿入部材の例としては、例えば、穴部や溝部を凹部として有するブロック状部材を挙げることができる、また、挿入部材の例としては、被挿入部材の穴部や溝部に挿入可能な軸部材やブロック部材を挙げることができる。
また凹部の断面形状は、挿入部材を一方向に挿入できる形状であれば、特に限定されない。また、凹部の内面は、挿入方向に対して真直に形成された面であってもよいし、傾斜した面であってもよい。
【0016】
以下では、図2に示すように、挿入部材としてはレンズ51、被挿入部材としてはレンズ鏡筒50を用い、部品としては、レンズ鏡筒50にレンズ51に挿入したレンズ組立体52を組み立てる場合の例で説明する。
レンズ51は、レンズ外径、すなわちレンズ側面51aの外径の公称値がDとされ、光軸方向の両端部に凸面である第1レンズ面51bおよび第2レンズ面51cを有する両凸レンズである。
レンズ鏡筒50は、側面50aが円筒面からなる全体として円筒状の部材であり、軸方向の一端側に断面円形の穴部である開口部50bが形成され、開口部50bの中心部にレンズ51を挿入する凹部であるレンズ収容穴部50cが設けられている。このため、開口部50bの穴底部の中心には、レンズ収容穴部50cの端部により円形の挿入開口50d(開口)が形成されている。
レンズ収容穴部50cの内径の公称値は、レンズ側面51aの外径の公称値と同じDである。
また、レンズ収容穴部50cは、レンズ鏡筒50の他端側において、レンズ収容穴部50cの内周面よりも径方向内側に突出された平面視円環状のレンズ受け部50eが形成されている。
レンズ51とレンズ鏡筒50との組み立ては無調整で行う。このため、レンズ51とレンズ収容穴部50cとの嵌め合い公差は、側面50aを基準としたときに、レンズ51の偏心量が許容値以下となるようするとともに、隙間嵌めとなるように設定する。
例えば、レンズ外径Dに対する寸法公差は、0mm〜−0.030mmに設定し、レンズ収容穴部50cの内径Dに対する寸法公差は、+0.010mm〜+0.030mmに設定する。
【0017】
部品組立装置1の概略構成は、図1に示すように、架台2上に設けられた作業室4と、作業室4の内部を清浄化するクリーンユニット6と、作業室4の内部に設けられた、ストッカ8、搬送ロボット11、組立ステージ12、カメラ23、および接着剤塗布ユニット13と、架台2の内部に設けられた制御ユニット17とを備える。
【0018】
作業室4は、架台2上に設けられた矩形板状のベース3を上側から覆うカバー筐体5の内部に形成された直方体状の密閉空間である。
カバー筐体5は、ベース3の外周の四辺から立設された正面側壁5a、背面側壁5b、左側側壁5c、および右側側壁5dによって水平方向が囲まれ、これらの上端部が天面5eで覆われた直方体状の形状を有する。
正面側壁5aおよび背面側壁5bは互いに対向する側壁部である。また、左側側壁5c、右側側壁5dは、正面側壁5aから背面側壁5bに向かう方向に見たとき、それぞれ左側、および右側に位置する側壁部である。
【0019】
以下では、作業室4内の方向を参照する際に、簡単のため、水平面内で直交する2軸をx軸、y軸と、鉛直軸をz軸とするxyz直交座標系を用いる場合がある。x軸の正方向は、背面側壁5bから正面側壁5aに向かう方向であり、y軸の正方向は、左側側壁5cから右側側壁5dに向かう方向であり、z軸の正方向は、鉛直上方である。
【0020】
カバー筐体5の正面側壁5aの下側の左側側壁5c寄りには、後述するストッカ8を出し入れし、ストッカ8を搬入した後は、気密を保つストッカ搬入開口5fが設けられている。
カバー筐体5の天面5eの上部には、クリーンユニット6が取り付けられ、クリーンユニット6から供給される清浄化された空気を下向き(z軸負方向)に送風する不図示の送風口が設けられている。
また、ベース3には、図示しない排気孔が多数設けられており、クリーンユニット6から送風される清浄化された空気が下方へ抜けるようになっている。
このため、カバー筐体5およびベース3で囲まれた作業室4の内部には、上方から下方に向かう清浄化された空気のダウンフローが形成され、カバー筐体5の外部に対する正圧を保つことができるようになっている。
【0021】
ストッカ8は、作業室4内で用いる部材および部品の搬送治具である複数のパレット7を作業室4の内外に搬入搬出するための収容容器であり、カバー筐体5のストッカ搬入開口5fを通して、x軸方向に沿って作業室4内に出し入れ可能に設けられている。
る。
本実施形態における各パレット7には、ストッカ8の搬入時には、レンズ組立体52の組み立てに必要なレンズ鏡筒50、レンズ51が一定の位置関係に載置されている。
また、パレット7は、組み立てに使用されたレンズ鏡筒50の代わりに、組み立てが終了したレンズ組立体52を載置し、ストッカ8とともに、載置されたレンズ組立体52を作業室4の外部に搬出できるようになっている。
【0022】
搬送ロボット11は、レンズ組立体52の組立作業を行うため、作業室4の内部で、レンズ鏡筒50、レンズ51、およびレンズ組立体52を移動するものである。
搬送ロボット11は、ベース3上においてy軸方向の中央部の背面側壁5bの近傍に基台部が固定された多関節ロボット10と、多関節ロボット10の先端部に設けられたハンド9とからなる。
多関節ロボット10は、本実施形態では、基台部から先端部に向かって回転関節が6つ設けられており、これによりハンド9の位置および姿勢を作業室4内で変更することができるようになっている。
ハンド9は、レンズ鏡筒50、レンズ51、およびレンズ組立体52を保持および保持解除するものである。ハンド9の構成としては、例えば、図1に示すように、対向する1対の把持アームによって被保持物を側方から把持して保持する構成を採用することができる。ただし、ハンド9の保持機構は、このような把持機構には限定されず、例えば、被保持物をエア吸着機構によって吸着して保持する構成を採用してもよい。
【0023】
多関節ロボット10およびハンド9は、制御ユニット17に電気的に接続され、制御ユニット17からの制御信号に応じて、それぞれの動作が制御されるようになっている。
制御ユニット17からの制御信号に応じて、搬送ロボット11が行うことができる動作の例としては、例えば、パレット7上に配置されたレンズ鏡筒50およびレンズ51を右側側壁5dの近傍のベース3上に設置された組立ステージ12上に移動する動作や、組立ステージ12上で組み立てが終了したレンズ組立体52をパレット7上に移動する動作などを挙げることができる。
【0024】
組立ステージ12は、レンズ鏡筒50のレンズ収容穴部50cの開口部50bを上方に向けてレンズ鏡筒50の位置を固定するものである。組立ステージ12の構成は、図3、4に示すように、右側側壁5dの近傍のベース3上に設置され(図1参照)y軸方向に移動するY軸アクチュエータ18と、Y軸アクチュエータ18によってy軸方向に移動可能に支持されz軸回りに回転する回転アクチュエータ19と、回転アクチュエータ19によってz軸回りに回転可能に支持されx軸およびy軸に沿う方向に移動するXYステージ21と、XYステージ21によってx軸およびy軸に沿って移動可能に支持されたチャック部22(被挿入部材保持部)と、チャック部22に取り付けられたピエゾハンマ20(衝撃印加部)と、ピエゾハンマ20の上端部に設けられたローラ押圧部30(摩擦力抑制部)とを備える。
なお、XYステージ21は、本実施形態では、回転アクチュエータ19上にy軸方向に移動するY軸アクチュエータ21yが設けられ、Y軸アクチュエータ21y上にx方向に移動するX軸アクチュエータ21xが重ねて設けられ、X軸アクチュエータ21x上にチャック部22が取り付けられている。
【0025】
Y軸アクチュエータ18、回転アクチュエータ19、およびXYステージ21は、それぞれ、制御ユニット17に電気的に接続され、制御ユニット17からの制御信号に応じて、それぞれの移動量が制御されるようになっている。
これにより、Y軸アクチュエータ18、回転アクチュエータ19、およびXYステージ21の移動量を制御ユニット17によって制御して、チャック部22のベース3に対するx軸、y軸方向における位置と、チャック部22のz軸回りの回転角度を変更できるようになっている。
【0026】
チャック部22は、挿入開口50dを上方に向けて配置されたレンズ鏡筒50の側方から進退して、保持状態と保持解除状態とを切り換える被挿入部材保持部である。
チャック部22の概略構成は、XYステージ21のX軸アクチュエータ21x上に設置されXYステージ21によってx軸、y軸方向に移動可能に設けられたベース22aと、レンズ鏡筒50の側面50aを側方から保持するため対向間隔可変に設けられた1対のチャック部材22cと、これら1対のチャック部材22cを対向方向に進退させてレンズ鏡筒50の保持と保持解除とを行うチャックスライド部22bと、一方のチャック部材22cに接続され水平方向にベース22aの外側まで延ばされた棒状または板状の衝撃伝達部材22dと、ピエゾハンマ20を保持するピエゾハンマホルダ22eとを備える。
チャックスライド部22bは、不図示の配線により制御ユニット17と電気的に接続され、制御ユニット17からの制御信号により、保持および保持解除の動作が制御されるようになっている。
本実施形態では、チャックスライド部22bが進退する方向は図示x軸方向にとっている。
【0027】
本実施形態では、ピエゾハンマホルダ22eは、ピエゾハンマ20を鉛直軸に沿って保持するため、鉛直方向に延ばされ、鉛直上方が開口した穴部を備え、衝撃伝達部材22dの下方側においてベース22aの側面に固定されている。
また、各チャック部材22cは、図4に示すように、それぞれ対向する端部に平面視V字状の溝が設けられている。これにより、レンズ鏡筒50の側面50aを4箇所で受けてレンズ鏡筒50の中心を水平面内の一定位置に位置決めして保持できるようになっている。
【0028】
ピエゾハンマ20は、図3に示すように、電圧の印加によって一方向に伸縮するピエゾ素子(圧電素子)によって構成された圧電アクチュエータであるピエゾアクチュエータ20aと、ピエゾアクチュエータ20aの下端部をピエゾアクチュエータ20aの伸縮方向に沿って上端側に付勢する付勢部材20bとを備える。
また、付勢部材20bとしてコイルスプリングを採用している。
このような構成のピエゾハンマ20は、ピエゾハンマホルダ22eの穴部に、穴部の底側から付勢部材20b、ピエゾアクチュエータ20aの順に挿入され、穴部内で進退可能に保持されている。
また、付勢部材20bは、ピエゾアクチュエータ20aがローラ押圧部30を介して衝撃伝達部材22dを押圧するように、下方に圧縮された状態でピエゾハンマホルダ22eの穴部に挿入されている。
【0029】
また、ピエゾアクチュエータ20aは、不図示の配線によって制御ユニット17に電気的に接続され、制御ユニット17からの駆動信号によって、駆動量、駆動速度が制御されるようになっている。
【0030】
ローラ押圧部30は、ピエゾハンマ20の上端部に固定され衝撃伝達部材22dの下面に当接してピエゾハンマ20からの衝撃を伝達する部材である。
ローラ押圧部30の構成は、図5(a)、(b)に示すように、衝撃伝達部材22dに外輪面が当接する転がり軸受32(転動部材、ローラ部材)と、ピエゾアクチュエータ20aの上端部に固定され転がり軸受32を回転可能に支持する支持部31(支持部材)とを備える。
【0031】
転がり軸受32としては、内輪32aと外輪32cとの間にボール32bが配置され、側面がシールド32dによって封止されたラジアル玉軸受を採用している。ボール32bの潤滑剤としては、低発塵グリースを採用している。
また、転がり軸受32の種類は、内輪32aと外輪32cとの間に発生する摩擦力が、外輪32cと衝撃伝達部材22dとの間のすべり摩擦力よりも小さくなり、回転による低発塵が抑制できるものであれば、特に限定されない。例えば、コロ軸受やニードル軸受などでもよい
【0032】
支持部31は、転がり軸受32の内輪32aを固定して、転がり軸受32の外輪32cを軸回りに回転可能にする支軸31bと、転がり軸受32を挟んで支軸31bの両端部を固定してピエゾアクチュエータ20aの上面に固定するローラホルダ31aとを備える。
ローラホルダ31aは、本実施形態では、ピエゾアクチュエータ20aに固定する底面部から支軸31bを固定する壁体部が上方に延ばされ、壁体部間に転がり軸受32を収容する溝部が形成された形状を有し、支軸31bの軸線方向が、y軸方向に一致するように配置されている。このため、支軸31bに固定された転がり軸受32は、衝撃伝達部材22dの進退方向に沿って転動できるようになっている。
ローラホルダ31aおよび支軸31bの材質は、例えばステンレス鋼等の金属材料を採用することができる。
また、ローラホルダ31aのピエゾアクチュエータ20aに対する固定方法は、ピエゾアクチュエータ20aからの衝撃力が効率よく支軸31bに伝達されれば、特に限定されない。例えば、螺設、圧入、接着等の適宜の固定方法を採用することができる。
【0033】
このような構成により、ローラ押圧部30は、付勢部材20bの弾性復元力に等しい一定荷重で衝撃伝達部材22dの下面に押圧されており、衝撃伝達部材22dがx軸方向に進退すると、衝撃伝達部材22d上で転がり軸受32の外輪32cが転動するため、衝撃伝達部材22dおよび外輪32c間に作用する摩擦力を抑制できるようになっている。
このため、ローラ押圧部30は、衝撃伝達部材22dの進退方向における摩擦力を抑制する摩擦力抑制部を構成している。また、転がり軸受32の外輪32cは、転動部材およびローラ部材を構成している。また、ボール32bは、ローラ押圧部30において外輪32cの回転による内部摩擦力を抑制する転動部材になっている。
また、支持部31は、ピエゾハンマ20と固定され、ローラ部材を回転可能に支持する支持部材を構成している。
【0034】
カメラ23は、図3に示すように、組立ステージ12のチャック部22に保持されたレンズ鏡筒50、およびレンズ鏡筒50内に配置されたレンズ51を撮像するものであり、不図示の支持部材によって作業室4内に支持され、予め決められたレンズ51の挿入を行う位置(以下、組立位置と称する)に移動されたチャック部22の直上に配置されている。このためカメラ23は、組立位置に移動されたレンズ鏡筒50、およびレンズ鏡筒50内に配置されたレンズ51を上方から撮像できるようになっている。
本実施形態では、カメラ23は、例えば、コントラスト検出方式などによるオートフォーカス機構を備え、レンズ繰り出し量などを検出することで、光軸上における合焦位置を測定できるようになっている。
また、カメラ23は、制御ユニット17と電気的に接続され、撮像された画像は制御ユニット17に送出されるようになっている。制御ユニット17では、後述するようにカメラ23からの画像に画像処理を施すなどして、レンズ鏡筒50にレンズ51が正しく挿入されたかどうかを画像によって確認できるようになっている。このため、カメラ23は画像による挿入状態観察部を構成している。
また、カメラ23と制御ユニット17とは、レンズ鏡筒50上に配置されたレンズ51のレンズ収容穴部50cにおける挿入状態を検出する挿入状態検出部を構成している。
【0035】
接着剤塗布ユニット13は、組立ステージ12上に配置されたレンズ鏡筒50と、レンズ鏡筒50のレンズ収容穴部50cに挿入されたレンズ51とを接着するためのものである。
接着剤塗布ユニット13の概略構成は、図1に示すように、右側側壁5dに設置されx軸方向に沿って移動するX軸アクチュエータ14と、X軸アクチュエータ14によってx軸方向に移動可能に支持されz軸方向に移動するZ軸アクチュエータ15と、Z軸アクチュエータ15によってz軸方向に移動可能に支持され接着剤を下方に向けて供給するディスペンサ16とを備える。
また、接着剤塗布ユニット13は、不図示の配線によって制御ユニット17に電気的に接続され、制御ユニット17からの制御信号によって、X軸アクチュエータ14、Z軸アクチュエータ15の移動量が制御されるようになっている。
【0036】
制御ユニット17は、部品組立装置1の動作全体を制御するもので、不図示の配線によって上記に説明した部品組立装置1の装置各部、および不図示の操作部に電気的に接続されている。
制御ユニット17の装置構成は、適宜のハードウェアと、CPU、メモリ、入出力インターフェース、外部記憶装置などからなるコンピュータとから構成されている。コンピュータによって行われる制御機能や演算機能は、コンピュータに記憶された制御プログラムを実行することにより実現されている。
このため、制御ユニット17は、不図示の操作部からの操作入力や制御プログラムに基づいて、部品組立装置1の動作を制御できるようになっている。
【0037】
制御ユニット17が行う制御としては、例えば、クリーンユニット6を起動、停止する制御、搬送ロボット11の動作制御、組立ステージ12の動作制御、ピエゾハンマ20の動作制御、カメラ23の撮像動作制御、接着剤塗布ユニット13の動作制御を挙げることができる。
また、制御ユニット17は、画像処理ハードウェアや画像処理プログラムなどにより画像処理を行う画像処理部を備えている。このため、カメラ23で撮像した画像を画像処理することによって、ベース3上におけるレンズ鏡筒50の位置を検出したり、レンズ51のレンズ鏡筒50に対する挿入状態を確認したりすることができるようになっている。
【0038】
カメラ23が撮像した画像によってベース3上のレンズ鏡筒50の位置を検出するには、例えば、撮像した画像から輪郭抽出する画像処理を行い、側面50aの輪郭や挿入開口50dの輪郭を求め、これらの中心位置を算出することにより、xy平面内での位置を検出する。
【0039】
カメラ23が撮像した画像によってレンズ51の挿入状態を確認する方法は、例えば、オートフォーカスを行うことによって、フォーカスされた部材のz方向の位置を検出する方法を採用することができる。フォーカスを検出する方法としては、例えば、撮像された画像のコントラストを検出する方法を採用することができる。
本実施形態では、制御ユニット17は、予め制御ユニット17内に記憶された組立条件の情報に基づいて、挿入開口50dにカメラ23のフォーカスを移動することを試みる。挿入開口50dに合焦したら、例えばエッジ抽出等の画像処理を施して、挿入開口50dの輪郭を検出して、挿入開口50dの内径を算出する。
算出された内径が予め制御ユニット17内に記憶された挿入開口50dの内径Dに許容範囲内で一致したら、その位置からレンズ収容穴部50cの内部側にフォーカス位置を移動して、レンズ51の第2レンズ面51cにフォーカス位置を合わせる。
制御ユニット17は、このときのレンズ繰り出し量等を検出して、挿入開口50dに対する第2レンズ面51cのz軸方向の位置を算出することができる。
制御ユニット17は、このz軸方向の位置が制御ユニット17に予め記憶されている、レンズ組立体52における第2レンズ面51cの位置に許容範囲内で一致したとき、レンズ51の挿入状態が合格である(挿入OK)と判定する。
一方、制御ユニット17は、挿入開口50dの輪郭を正確に検出できない、もしくは検出された輪郭の内径が許容範囲外の場合には、制御ユニット17はレンズ51が挿入開口50dに引っ掛かっていると判断し、挿入状態が不良である(挿入OKでない)と判定する。
また、挿入開口50dの輪郭が正確に検出できても、第2レンズ面51cのz軸方向の位置が、予め制御ユニット17に記憶された組み立て完成時の第2レンズ面51cのz軸方向の位置の許容範囲外の場合、制御ユニット17は、レンズ51がレンズ収容穴部50c内に引っ掛かっていると判断し、挿入状態が不良である(挿入OKでない)と判定する。
【0040】
次に、部品組立装置1の動作について、部品組立装置1を用いた本実施形態の部品組立方法を中心として説明する。
図6は、本発明の第1の実施形態に係る部品組立方法の工程フローを示すフローチャートである。図7は、本発明の第1の実施形態に係る部品組立方法の挿入部材配置工程において被挿入部材上に配置された挿入部材を示す模式的な断面図である。
【0041】
部品組立装置1の電源を入れると、制御ユニット17の制御によってクリーンユニット6を稼動される。これにより、作業室4内の雰囲気が清浄化される。
作業者は、部品組立装置1によって組立作業を行う準備として、パレット7にレンズ鏡筒50、レンズ51を載せて、これらのレンズ鏡筒50、レンズ51が載置された複数のパレット7をストッカ8へ投入する。
作業者が、不図示の操作部から組立作業の開始を指示すると、部品組立装置1は、図6に示すフローチャートにおけるステップS1〜S6を順次行って、レンズ組立体52を組み立てる。
【0042】
まずステップS1では、被挿入部材固定工程を行う。
本工程は、被挿入部材を組立ステージへ位置決め固定する工程である。
【0043】
制御ユニット17は、組立ステージ12の回転アクチュエータ19、XYステージ21を予め決められた移動の中立位置(移動の基準位置)に移動し、チャック部22の各チャック部材22cを互いに離間した保持解除状態に設定する。
このとき、チャック部材22cを保持解除状態とするため、衝撃伝達部材22dが移動すると、ローラ押圧部30の転がり軸受32の外輪32cが転動する。このため、衝撃伝達部材22dと転がり軸受32との間にはすべり摩擦力に比べて格段に小さい転がり摩擦力が作用するのみとなり、衝撃伝達部材22dが円滑に移動される。また、衝撃伝達部材22dと外輪32cとの間には、すべりが生じないため、衝撃伝達部材22dと外輪32cとの間の固体接触による摩耗や発塵が抑制される。
そして、Y軸アクチュエータ18を駆動して、y軸方向においてカメラ23の直下の組立位置に組立ステージ12を待機させる。
【0044】
次に、制御ユニット17は、搬送ロボット11を駆動してパレット7上のレンズ鏡筒50をハンド9によって把持し、把持されたレンズ鏡筒50を組立ステージ12のチャック部22まで移動し、レンズ鏡筒50のレンズ受け部50e側の端部をチャックスライド部22b上に載置した後、ハンド9の把持を解除する。
ハンド9の把持解除後、制御ユニット17は搬送ロボット11を駆動して、ハンド9をパレット7の上方に移動する。
次に、制御ユニット17は、1対のチャック部材22cを対向方向に進出させ、図3、4に示すように、チャック部材22cにレンズ鏡筒50の側面50aを保持させる。
この際も、保持解除時と同様、転がり軸受32の外輪32cは、衝撃伝達部材22dの移動に伴って、衝撃伝達部材22d上を転動するため、衝撃伝達部材22dと外輪32cとの間の固体接触による摩耗や発塵が抑制される。
このようにして、レンズ鏡筒50に設けられたレンズ収容穴部50cの挿入開口50dを上方に向けてレンズ鏡筒50の位置が固定される。
【0045】
次に、制御ユニット17は、カメラ23によってレンズ鏡筒50を撮像し、撮像された画像に基づいて、組立ステージ12上におけるレンズ鏡筒50の位置情報を取得する。
例えば、レンズ鏡筒50の上端部のx軸方向、y軸方向の位置、およびz軸方向の位置、挿入開口50dのx軸方向、y軸方向の位置、およびz軸方向の位置などを算出し、これらの位置情報をメモリに記憶する。
そして、本実施形態では、制御ユニット17は、挿入開口50dの位置情報から回転アクチュエータ19の回転中心に対する挿入開口50dの中心の位置ずれ量を算出し、この位置ずれ量を補正するようにXYステージ21を駆動する。これにより、挿入開口50dの中心が回転アクチュエータ19の回転中心に一致される。
以上で、ステップS1が終了する。
【0046】
次にステップS2では、挿入部材配置工程を行う。
本工程は、挿入部材を凹部の上方から落とし込んで被挿入部材上に配置する工程である。
【0047】
制御ユニット17は、搬送ロボット11のハンド9によってパレット7上のレンズ51のレンズ側面51aを把持し、多関節ロボット10を駆動して、レンズ51を組立ステージ12上に固定されたレンズ鏡筒50の上方に移動する。
次に、制御ユニット17は、多関節ロボット10を駆動して、ハンド9の姿勢を制御して、レンズ51の姿勢を第1レンズ面51bが下に向けられた状態でレンズ51の光軸が鉛直軸に略整列された姿勢に調整する。また、レンズ51のxy平面内の位置は、レンズ51の光軸が、レンズ収容穴部50cの中心軸と略同軸となる位置に位置合わせする。
また、この姿勢・位置合わせの動作は、カメラ23で撮影したレンズ収容穴部50c、レンズ51の画像から画像処理によりレンズ収容穴部50cに対するレンズ51の姿勢・位置ズレ量を算出し、その値を基にロボット10を駆動させ、レンズ51の姿勢・位置を補正してもよい。
そして、制御ユニット17は、ハンド9を下降させ、レンズ51を可能な限り開口部50bに近づくように移動する。
本実施形態では、開口部50bが狭いため、ハンド9で把持されたレンズ鏡筒50は開口部50bの内部に移動することはできない。そこで、ハンド9は、開口部50bよりわずかに上方に移動する。
次に、制御ユニット17は、ハンド9の把持を解除してレンズ51を落下させる。
また、制御ユニット17は、把持解除したハンド9を多関節ロボット10とともにレンズ鏡筒50上の領域から退避させる。これにより、カメラ23がレンズ鏡筒50および落下されたレンズ51を撮像することができる。
以上で、ステップS2が終了する。
【0048】
このように、搬送ロボット11は、レンズ51をレンズ鏡筒50のレンズ収容穴部50cの上方に移動して、レンズ51を開口部50bの上方から落とし込んでレンズ鏡筒50上に配置する挿入部材移動部を構成している。
【0049】
ステップS2において、開口部50b内に落下したレンズ51は、さらにレンズ収容穴部50c内に落下してレンズ収容穴部50cの奥まで落とし込まれる(図7の二点鎖線参照)か、または、図7に実線および破線で示すように、挿入開口50dやレンズ収容穴部50c内に引っ掛かって止まる。
引っ掛かって止まる場合は、レンズ鏡筒50との接触部に働く静止摩擦力や抗力とレンズ51に作用する重力とがつり合う位置で止まる。
レンズ51の外径とレンズ収容穴部50cの内径との嵌め合いは、上述の寸法公差の例では、最大でも0.060mmの隙間しかないため、例えば、カメラ23による位置検出誤差や搬送ロボット11による移動誤差等によって、レンズ51を挿入開口50dの内部に落下させることができないと、レンズ51が挿入開口50dまたはレンズ収容穴部50c内で引っ掛かって止まった状態となる。また、挿入開口50dの内部に落下させることができても、レンズ51の落下姿勢によっては、レンズ収容穴部50cの内部で引っ掛かってしまう場合がある。
【0050】
次に、ステップS3では、衝撃印加工程を行う。
本工程は、被挿入部材上に配置された後の挿入部材に衝撃を加える工程である。
【0051】
本工程では、制御ユニット17は、ピエゾハンマ20を駆動し、ローラ押圧部30を介して衝撃伝達部材22dに衝撃を加える。
すなわち、制御ユニット17は、ピエゾハンマ20のピエゾアクチュエータ20aに、ピエゾアクチュエータ20aを短時間に伸長させた後、伸長前の長さに戻すような制御電圧を印加する。
本実施形態では、一例として、0.0012sの間に加速度が0m/s(0G)から最大19.8m/s(2G)に増大して0m/s(0G)に戻るようなパルス状の制御電圧を印加している。
なお、レンズ51に代えてサイズや質量の異なる他品種の挿入部材を挿入する場合には、駆動信号を変更して、必要な撃力を得ることができる。
【0052】
衝撃伝達部材22dに加えられた打撃による衝撃は、パルス状の弾性波として衝撃伝達部材22d内を伝播し、チャック部材22cを介してレンズ鏡筒50に伝播する。そして、レンズ鏡筒50に伝播した衝撃はレンズ51との接触部を通してレンズ51に伝播する。このようにしてレンズ51に衝撃が加えられる。
したがって、ピエゾハンマ20は、チャック部22の衝撃伝達部材22dに対して、衝撃伝達部材22dの進退方向に交差する方向から衝撃を印加する衝撃印加部を構成している。
以上で、ステップS3が終了する。
【0053】
このように衝撃が伝播することにより、レンズ51は、撃力を受け、撃力が最大静止摩擦力を上回ると、レンズ鏡筒50に対して相対運動を起こす。この結果、レンズ鏡筒50との接触部から離間してレンズ51の姿勢が変化し、重力によって下方に再落下しようとする。
【0054】
具体的な撃力の大きさは、レンズ51の質量や、レンズ51およびレンズ鏡筒50の間の静止摩擦係数によって異なるため、予め実験を行うなどして設定することができる。
【0055】
このような衝撃の印加前後において、レンズ51の位置、姿勢は、以下のケースA、Bの場合が考えられる。
ケースAは、レンズ51がレンズ収容穴部50c内に落とし込まれる結果、レンズ収容穴部50cを穴底部まで落下して正確な挿入位置に落とし込まれる場合である(図7の二点鎖線参照)。
ケースAでは、衝撃を与えることで挿入が完了することになる。このため、ケースAの場合が確認されれば、挿入後の組立工程を行うことができる。
【0056】
ケースBは、レンズ51の位置または姿勢が変化するものの、挿入開口50dまたはレンズ収容穴部50c内で再度引っ掛かってしまう場合である(図7の実線または破線参照)。
ケースBでは、挿入の完了には到らないものの、引っ掛かりは一旦解除され、新たな引っ掛かりの強さは、落下高さが最初の落下よりも小さくなるため最初の引っ掛かりの強さよりも弱くなる。
したがって、撃力を繰り返し印加すれば、ケースBの場合が繰り返されたとしても、最初の引っ掛かりよりも弱い状態の引っ掛かりが繰り返されることになる。
特に、本実施形態では、衝撃印加方向がレンズ51の落とし込み方向に沿う鉛直上向きの方向であるため、レンズ鏡筒50の引っ掛かり部分を介してレンズ51に伝達される撃力の方向も鉛直方向に沿う成分が大きくなる。このため、鉛直方向に発生しやすい引っ掛かりが解除されやすくなる。
このようにして、レンズ51は、撃力によって相対移動が容易となり、ケースBからケースAに移行する確率が高まる。この結果、何回か衝撃の印加を繰り返した後にはケースBからケースAに移行することが期待される。
【0057】
そこで、本実施形態では、ステップS3の次に、衝撃を印加した後に挿入部材の挿入状態を確認する挿入状態確認工程であるステップS4を行う。
ステップS4では、制御ユニット17は、カメラ23によってレンズ鏡筒50内のレンズ51を撮像し、上述したような、撮像した画像によってレンズ51の挿入状態を確認する方法によって、レンズ51の挿入状態を確認する。
すなわち、まず、カメラ23のフォーカスを挿入開口50dに移動し、撮像した画像から挿入開口50dの内径が予め制御ユニット17に記憶された値Dの許容範囲に入るかどうか判定する。
測定値がDの許容範囲に入らないのは、レンズ51が挿入開口50dに引っ掛かっている結果、挿入開口50dの画像がレンズ51越しに撮像されるためである。したがって、この場合には、挿入状態が不良と判定し、ステップS3に移行する。
測定値がDの許容範囲に入った場合、制御ユニット17は、レンズ収容穴部50cの奥側の第2レンズ面51cにフォーカスを合わせ、これにより、挿入開口50dに対する第2レンズ面51cのz軸方向の位置を検出する。
そして、制御ユニット17は、検出されたz軸方向の位置が制御ユニット17に予め記憶された許容範囲に入るかどうか判定し、許容範囲外である場合には挿入状態が不良と判定し、ステップS3に移行する。
許容範囲内である場合には、ステップS5に移行する。
【0058】
このように、本実施形態では、ステップS3とステップS5との間に、レンズ51の挿入状態を判定するステップS4を設け、挿入状態が不良と判定された場合には、ステップS3の衝撃印加工程を繰り返し、挿入状態が合格した場合のみ、ステップS5に移行できるようになっている。
【0059】
かくして本実施形態では、レンズ51の挿入状態が合格するまで衝撃印加工程が繰り返される。レンズ51には、衝撃が断続的に繰り返して印加されるとレンズ51の位置や姿勢が衝撃を受けるごとに徐々に変化し、やがてレンズ51のレンズ収容穴部50c内へ挿入が完了する。
このような断続的な衝撃の繰り返しでは、固有振動数の振動を印加する従来の部品組立方法のように、加振力が正負交替して周期的に作用することがない。このため、挿入部材が共振することはなく、衝撃を繰り返しても、挿入部材の運動が激しくなるということがない。このため、挿入部材が動きすぎて挿入孔から飛び出してしまったり、恒常的に振動して挿入穴内に入り込むことができなくなったりすることを防止することができる。
また、このような衝突が続く結果、挿入部材あるいは被挿入部材が破損したりすることを防止することができる。
【0060】
次に、ステップS5では、後処理工程を行う。
本工程は、レンズ鏡筒50にレンズ51を挿入した後に、レンズ組立体52を完成させるための後処理を行う工程である。
本実施形態では、後処理の一例として、レンズ51をレンズ組立体52に接着する処理を行う。
制御ユニット17は、Y軸アクチュエータ18を駆動して、組立ステージ12に保持されたレンズ鏡筒50およびレンズ51を接着剤塗布ユニット13の下方の所定位置(以下、塗布位置と称する)に移動する。
次に、制御ユニット17は、接着剤塗布ユニット13のX軸アクチュエータ14およびZ軸アクチュエータ15を駆動して、ディスペンサ16の先端部をレンズ収容穴部50c内に挿入し、ディスペンサ16の先端部をレンズ51のレンズ側面51aとレンズ収容穴部50cとの隙間の上方に位置させる。
次に、制御ユニット17は、回転アクチュエータ19を1回転以上回転させるとともに、ディスペンサ16から接着剤を滴下させる。これにより、レンズ51の外周部とレンズ収容穴部50cとの間に周方向にわたって接着剤が供給される。
制御ユニット17は、接着剤の供給終了後に回転アクチュエータ19を停止し、X軸アクチュエータ14およびZ軸アクチュエータ15を駆動して、ディスペンサ16をレンズ鏡筒50の外部に移動する。
【0061】
この状態で接着剤の硬化を進行させる。
例えば、接着剤が紫外線(UV)硬化接着剤の場合には、不図示のUV光源によって、UV光を照射して接着剤の硬化を進行させる。
また、接着剤が2液反応によって硬化する接着剤の場合には、反応が進行して硬化が進む間、暫時放置する。
このようにして、接着剤の硬化がある程度進行したら、制御ユニット17は、Y軸アクチュエータ18を駆動して、組立ステージ12を塗布位置から組立位置に戻す。
以上で、ステップS5が終了する。
なお、挿入を行うだけで部品が完成する場合には、本工程は省略することができる。
【0062】
次に、ステップS6では、完成部品払い出し工程を行う。
本工程は、組立ステージ12上から、後処理工程が終了した完成部品であるレンズ組立体52を払い出し、次のレンズ組立体52を組み立てられるようにする工程である。
制御ユニット17は、チャック部22を駆動して、レンズ組立体52に対する保持を解除する。そして、搬送ロボット11を駆動して、レンズ組立体52を空いているパレット7上に移動する。このようにして組立ステージ12からレンズ組立体52が払い出される。
以上で、ステップS6が終了する。
【0063】
このようにして、パレット7上に完成したレンズ組立体52が移動され、1個のレンズ組立体52の組み立てが終了する。
さらに、他のパレット7上のレンズ鏡筒50およびレンズ51を、上記と同様にして、それぞれ組み立て、他の完成部品であるレンズ組立体52を順次パレット7上に移動する。
レンズ組立体52がすべてパレット7上に移動されたら、作業者はストッカ8を装置外部に引き出して、これらレンズ組立体52を装置外部に取り出す。
このようにして、部品組立装置1により複数のレンズ組立体52が組み立てられる。
【0064】
以上に説明したように、部品組立装置1によれば、衝撃印加部としてピエゾハンマ20を備えるため、レンズ51がレンズ鏡筒50の凹部であるレンズ収容穴部50cに引っかかりやすい場合にも、効率よくレンズ鏡筒50にレンズ51を挿入することができる。
すなわち、ピエゾハンマ20によれば、レンズ51が挿入開口50dおよびレンズ収容穴部50cに引っ掛かった場合にも、レンズ鏡筒50を介してレンズ51に断続的な衝撃を与えることでレンズ51に撃力を作用させることができる。このため、挿入開口50dまたはレンズ収容穴部50cに引っ掛かったレンズ51の位置または姿勢を断続的に変化させることができる。
したがって、衝撃を与えたレンズ51がレンズ収容穴部50cの奥まで落下せず挿入できなかったことがカメラ23によって確認された場合、衝撃によるレンズ51の動きが落ち着いた後に再度行われる衝撃印加工程によってさらに衝撃が印加される。このため、レンズ51には、レンズ51の固有周期よりもはるかに長い周期で断続的に衝撃与えることになり、レンズ51が共振して飛び出したり暴れたりすることを抑制しつつ、レンズ収容穴部50c内に自重落下させていくことが可能となる。
【0065】
また、部品組立装置1によれば、ピエゾハンマ20がローラ押圧部30を介して衝撃伝達部材22dに常時押圧されているため、レンズ鏡筒50の保持解除状態から保持状態に切り換えると、ただちに衝撃を印加することが可能になる。このため、チャック部材22cの進退を行う際に、ピエゾハンマ20を衝撃伝達部材22dに対して接離する必要がある構成に比べて、迅速な部品組立を行うことができる。
その際、衝撃伝達部材22dが進退しても、進退方向の摩擦力が抑制されるため、衝撃伝達部材22dと外輪32cとの固体接触による摩耗や発塵を抑制することができる。このため、作業室4内の清浄な状態を維持することができる。
【0066】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の部品組立装置について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係る部品組立装置の主要部の構成を示す模式的な側面図である。図9(a)は、本発明の第1の実施形態に係る部品組立装置の摩擦力抑制部の構成を示す側面視の拡大図である。図9(b)は、図9(a)におけるB−B断面図である。
【0067】
本実施形態の部品組立装置1Aは、図1に示すように、上記第1の実施形態における組立ステージ12に代えて、組立ステージ12Aを備える。
組立ステージ12Aは、図8、図9(a)、(b)に示すように、組立ステージ12においてローラ押圧部30に代えて、スライド押圧部40(摩擦力抑制部)を備えるものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0068】
スライド押圧部40は、ピエゾハンマ20の上端部に固定され衝撃伝達部材22dの下面に当接してピエゾハンマ20からの衝撃を伝達する部材である。
スライド押圧部40の構成は、図9(a)、(b)に示すように、直動ガイド42と、ロッド41とを備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0069】
直動ガイド42は、直線状に延ばされたガイドレール42b(直動ガイド部材)と、ガイドレール42b上を滑らかに移動するスライダ42a(直動スライダ)とを備える。
ガイドレール42bは、衝撃伝達部材22dの進退方向に沿う方向に配置された状態で衝撃伝達部材22dの下面に固定されている。
スライダ42aは、ガイドレール42bの下側に配置され、ガイドレール42bの延在方向に沿って滑らかにスライド移動できるように係合されたブロック状部材である。
本実施形態では、図9(b)に示すように、スライダ42aとガイドレール42bとの間に、低発塵グリースで潤滑された転動部材である複数のボール42cを介在させて、低摩擦のスライド移動が行えるようになっている。ボール42cの保持形態は、スライダ42aの定位置で保持されて転動してもよいし、スライダ42a内に設けられたボール循環路内を移動しながら転動してもよい。
【0070】
ロッド41は、ピエゾアクチュエータ20aによる衝撃をスライダ42aに伝達する高剛性の軸状部材であり、下端がピエゾアクチュエータ20aの上端部に固定され、上端がスライダ42aの下面に固定されている。
ロッド41の材質は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料を採用することができる。
また、ロッド41の固定方法は、ピエゾアクチュエータ20aからの衝撃力が効率よくスライダ42aに伝達されれば、特に限定されない。例えば、螺設、圧入、接着、溶接等の適宜の固定方法を採用することができる。
【0071】
このような構成により、スライド押圧部40のスライダ42aは、ロッド41から付勢部材20bの弾性復元力に等しい一定荷重でガイドレール42bを押圧している。このため、スライダ42aとガイドレール42bとは、衝撃印加方向に密着した状態で、衝撃印加方向と交差する方向に滑らかに移動することができる。
また、この状態で、衝撃伝達部材22dがx軸方向に進退すると、直動ガイド42のボール42cが転動し、ガイドレール42bがスライダ42aに対して低摩擦でスライド移動する。このため、衝撃伝達部材22dの進退移動に伴う進退方向の摩擦力を抑制できるようになっている。
【0072】
このように、スライド押圧部40は、衝撃伝達部材22dの進退方向における摩擦力を抑制する摩擦力抑制部を構成している。また、ガイドレール42bは、進退方向に沿って延ばされて衝撃伝達部材22dに固定された直動ガイド部材を構成している。また、スライダ42aは、ピエゾアクチュエータ20aに固定され、ガイドレール42bに対して転動するボール42cを介してガイドレール42bに係合された直動スライダを構成している。
【0073】
このような構成の部品組立装置1Aによる部品組立方法は、上記第1の実施形態と同様にして行うことができる。
このため、レンズ51がレンズ鏡筒50の凹部であるレンズ収容穴部50cに引っかかりやすい場合にも、効率よくレンズ鏡筒50にレンズ51を挿入することができる。
【0074】
その際、本実施形態では、ローラ押圧部30に代えてスライド押圧部40を備えるため、ピエゾアクチュエータ20aによって発生される撃力は、ロッド41および直動ガイド42を介して衝撃伝達部材22dに伝達される点が上記第1の実施形態と異なる。
ただし、スライド押圧部40が衝撃印加方向には常時押圧されている点と、衝撃伝達部材22dの進退方向の摩擦力が抑制される点は、上記第1の実施形態と同様である。
したがって、上記第1の実施形態と同様に、チャック部材22cの進退を行う際に、ピエゾハンマ20を衝撃伝達部材22dに対して接離する必要がある構成に比べて、迅速な部品組立を行うことができる。
その際、衝撃伝達部材22dが進退しても、進退方向の摩擦力が抑制されるため、衝撃伝達部材22dとピエゾアクチュエータ20aとの間の固体接触部における発塵を抑制することができる。このため、作業室4内の清浄な状態を維持することができる。
【0075】
なお、上記の説明では、一例として、レンズ鏡筒50にレンズ51を挿入して、レンズ組立体52を組み立てる場合の例で説明したが、いずれの実施形態においても、1つの被挿入部材に複数の挿入部材を挿入して部品を組み立ててもよい。
図10に、このような部品の一例を示す。図10は、本発明の各実施形態に係る部品組立装置で組み立てることができる部品の他の一例を示す断面図である。
【0076】
レンズ組立体60(部品)は、上記に説明したレンズ鏡筒50を被挿入部材として、凹部であるレンズ収容穴部50cに、複数の挿入部材であるレンズ51、間隔リング53、絞り54、レンズ55をこの順に挿入し、レンズ55の外周とレンズ収容穴部50cの内周面とを接着して固定したものである。
これら挿入部材の外径の公称値は、いずれもDであり、レンズ51と同様な寸法公差で製作されている。
間隔リング53は、レンズ51、55の間の面間隔を空けるため、レンズ収容穴部50cに内嵌する円環状に設けられた部材であり、レンズ51の第2レンズ面51cに当接されている。
絞り54は、レンズ組立体60を透過する光束の光束径を規制する孔あき円板であり、レンズ収容穴部50cに内嵌した状態で、間隔リング53上に重ねて配置されている。
レンズ55は、レンズ51と同一の外径を有する両凸レンズであり、第1レンズ面55aが、絞り54の開口部に当接して配置されている。
【0077】
このようなレンズ組立体60は、部品組立装置1、1Aのいずれを用いても同様にして組み立てることができる。
すなわち、上記第1の実施形態の部品組立方法と同様に、ステップS1〜S4を行って、レンズ収容穴部50cにレンズ51を挿入する。
次に、間隔リング53を挿入部材として、ステップS2〜S4を行って、レンズ収容穴部50c内のレンズ51上に間隔リング53を挿入する。
次に、絞り54を挿入部材として、ステップS2〜S4を行って、レンズ収容穴部50c内の間隔リング53上に絞り54を挿入する。
次に、レンズ55を挿入部材として、ステップS2〜S4を行って、レンズ収容穴部50c内の絞り54上にレンズ55を挿入する。
その後、ステップS5、S6を順次行う。
これにより、レンズ組立体60を組み立てることができる。
【0078】
また、上記の説明では、摩擦力抑制部は、転動部材を用いて摩擦力を抑制する場合の例で説明したが、摩擦力抑制部は、転動部材を有しない構成としてもよい。
転動部材を有しない構成の例としては、例えば、上記第1の実施形態において、ローラ押圧部30に代えて、ピエゾアクチュエータ20aの上端に衝撃力を伝達する半球状の打撃部材を固定し、この打撃部材の表面に摩擦力抑制部として固体潤滑材をコーティングした構成を挙げることができる。
また、上記第2の実施形態において、スライダ42aとガイドレール42bとが固体潤滑材を間に挟んで面状に押圧され直動すべり軸受が形成された構成を挙げることができる。
【0079】
また、上記の説明では、衝撃印加部によって、被挿入部材保持部に対して鉛直上向きの方向に衝撃を印加する場合の例で説明したが、逆に、鉛直下向きに衝撃を印加してもよい、この場合でも撃力は鉛直方向に沿って作用するため、鉛直方向に発生しやすい引っ掛かりが解除されやすくなる。このため、レンズ51を迅速に落とし込むことが可能となる。
また、挿入部材に作用する撃力の方向は、衝撃印加部との間に介在する各部材の形状や連結状態によっても異なる。このため、衝撃印加方向は鉛直方向であることが好ましいが、厳密な鉛直方向である必要はない。例えば、鉛直軸に対して10度程度、傾斜していてもよい。
【0080】
また、上記の説明では、摩擦力抑制部が、被挿入部材保持部の進退方向に沿って転動または相対的なスライド移動を行うことによって、進退方向の摩擦力を抑制する場合の例で説明したが、例えば、衝撃伝達部材22dの下面に沿った平面方向に転動可能に支持された球状転動体を用いることも可能である。
この場合、例えば、被挿入部材保持部が被挿入部材の中心に対して螺旋軌道を描いて進退するチャック機構等でも容易に摩擦力を抑制することができる。
【0081】
また、上記の説明では、摩擦力抑制部が転動部材として、転がり軸受32の外輪32cがローラ部材を構成する場合の例で説明したが、外輪32cに外嵌するローラ部材を設け、このローラ部材が衝撃伝達部材22dに当接して転動する構成としてもよい。ローラ部材の材質としては、適宜の剛性を有する金属材料等を採用することができる。
また、転がり軸受32に代えて、支軸31bに対して回転するすべり軸受またはすべり軸受部を有するローラ部材を設けた構成としてもよい。
これらのように転がり軸受32に代えて用いるローラ部材は、衝撃伝達部材22dに線接触する円筒ローラには限定されない。例えば、ローラ部材の断面形状を半円状などとすれば、ローラ部材は、衝撃伝達部材22dに対して略点接触させることが可能である。
【0082】
また、上記第1の実施形態の説明では、組立ステージ12が、XYステージ21および回転アクチュエータ19を備える場合の例で説明したが、組み立て作業において、チャック部22の位置を水平方向に移動したり、回転させたりする必要がない場合には、これらの移動機構は削除してもよい。また、組立作業において、他の移動機構が必要な場合には、適宜追加することができる。
【0083】
また、上記の説明では、挿入部材移動部として、多関節ロボット10を備える搬送ロボット11を用いた場合の例で説明したが、挿入部材移動部の構成としては、これに限定されない。例えば、多関節ロボット10に代えて、直交ロボットやスカラロボットを用いてもよい。
【0084】
また、上記の説明では、挿入状態検出部として、カメラ23と制御ユニット17とを組み合わせて、画像による検出を行う場合の例で説明したが、挿入状態検出部はこれには限定されない。
例えば、カメラ23に代えて、レーザー変位センサなどの測定機を採用することができる。
【0085】
また、上記の説明では、衝撃印加工程を行ってから、挿入状態確認工程を行う場合の例で説明したが、衝撃印加工程が衝撃を繰り返し加える工程である場合には、衝撃印加工程と並行して、挿入状態確認工程を行い、挿入状態が合格となったら、挿入印加工程を終了するようにしてもよい。
【0086】
また、上記の説明では、衝撃印加工程の後に挿入状態確認工程を行う場合の例で説明したが、挿入部材配置工程(ステップS2)と衝撃印加工程(ステップS3)との間にステップS4と同様な挿入状態確認工程を設け、挿入OKの場合にはステップS5に移行し、挿入OKでない場合にはステップS3に移行するようにしてもよい。
【0087】
また、上記の説明では、挿入状態確認工程を部品組立装置が行う場合の例で説明したが、例えば、カメラ23が撮像した画像をモニタなどに表示して、この画像を作業者が見て挿入状態を確認してもよい。
また、例えば、挿入部材配置工程において挿入部材の配置位置が安定している等の理由で、挿入部材が被挿入部材に引っ掛かった場合でも確実に挿入できるような衝撃の大きさや衝撃の繰り返し数が予め知られている場合には、挿入状態確認工程を省略してもよい。
【0088】
また、上記の各実施形態で説明した構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
【符号の説明】
【0089】
1、1A 部品組立装置
11 搬送ロボット
12、12A 組立ステージ
20 ピエゾハンマ(衝撃印加部)
20a ピエゾアクチュエータ(圧電アクチュエータ)
20b 付勢部材
22 チャック部(被挿入部材保持部)
22a ベース
22b チャックスライド部
22c チャック部材
22d 衝撃伝達部材
30 ローラ押圧部(摩擦力抑制部)
31 支持部(支持部材)
32 転がり軸受(転動部材、ローラ部材)
32b ボール(転動部材)
32c 外輪
40 スライド押圧部(摩擦力抑制部)
42 直動ガイド
42a スライダ(直動スライダ)
42b ガイドレール(直動ガイド部材)
42c ボール(転動部材)
50 レンズ鏡筒(被挿入部材)
50b 開口部
50c レンズ収容穴部(凹部)
50d 挿入開口(開口)
51、55 レンズ(挿入部材)
52、60 レンズ組立体(部品)
53 間隔リング(挿入部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被挿入部材に設けられた凹部に挿入部材を挿入して、前記被挿入部材および前記挿入部材を含む部品を組み立てる部品組立装置であって、
前記凹部の開口を上方に向けて配置された前記被挿入部材の側方から進退して保持状態と保持解除状態とを切り換える被挿入部材保持部と、
該被挿入部材保持部に対して、該被挿入部材保持部の進退方向に交差する方向から衝撃を印加する衝撃印加部と、
を備え、
前記衝撃印加部は、前記被挿入部材保持部の進退方向における摩擦力を抑制する摩擦力抑制部を介して前記被挿入部材保持部を押圧する状態に保持される
ことを特徴とする部品組立装置。
【請求項2】
前記摩擦力抑制部は、
転動部材を用いて摩擦力を抑制する
ことを特徴とする請求項1に記載の部品組立装置。
【請求項3】
前記転動部材は、
前記衝撃印加部と固定された支持部材に回転可能に支持され、前記被挿入部材保持部に当接して前記進退方向に沿って転動するローラ部材を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の部品組立装置。
【請求項4】
前記摩擦力抑制部は、
前記被挿入部材保持部の進退方向に沿って延ばされて前記被挿入部材保持部に固定された直動ガイド部材と、
前記衝撃印加部に固定され、該直動ガイド部材に沿って進退可能に係合された直動スライダと、
を備え、
前記転動部材は、前記直動ガイド部材と前記直動スライダとの間で転動する
ことを特徴とする請求項2に記載の部品組立装置。
【請求項5】
前記衝撃印加部は、圧電アクチュエータによって衝撃を加える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の部品組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−228747(P2012−228747A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98176(P2011−98176)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】