部品識別システム、部品識別方法及び被識別部品
【課題】異種部品が混入した場合の選別を容易、かつ確実に行うことができる部品識別システム、部品識別方法及び被識別部品を提供する。
【解決手段】電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品と、電圧を印加する電圧印加手段、PTC素子の特性を検出する検出手段、及び該検出手段で検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する判定手段を有する識別装置とを備える。電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段と、該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段とを備え、複数回のオンオフによるPTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する。
【解決手段】電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品と、電圧を印加する電圧印加手段、PTC素子の特性を検出する検出手段、及び該検出手段で検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する判定手段を有する識別装置とを備える。電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段と、該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段とを備え、複数回のオンオフによるPTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる抵抗−温度特性を有するPTC素子を備えた被識別部品を選別する部品識別システム、部品識別方法及び被識別部品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、正の抵抗温度特性を有するPTC素子は、キュリー温度を超えた場合、抵抗値が急激に増加する特性を有している。斯かる特性を利用して、例えば電子回路の過電流保護素子として、あるいは温度検出素子として使用されることが多い。
【0003】
斯かるPTC素子は、例えば製造過程における不純物の混入等に起因する特性不良が発生する場合があるため、製造されたPTC素子の良否を出荷前に判定するようにしている。PTC素子の良否判定方法として、例えばPTC素子のインピーダンスを測定し、測定された抵抗成分の値により良否を判定する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また他の判定方法として、通電時の突入電流値、定常電流値を設定し、設定された電流値を超えない突入電流及び定常電流を有するPTC素子を良品として選定する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、現在では市場要求に応えるために、様々な抵抗温度特性を持ったPTC素子が市販されており、PTC素子自体の超小型化も進んでいる。最近では、例えば1.6×0.8mm、0.6×0.3mm程度の微小チップ部品も開発されている。
【特許文献1】特開平7−294568号公報
【特許文献2】特開平9−92504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、PTC素子の部品管理を行っていた場合であっても、想定されていない原因によって異種特性のPTC素子が誤って混入する場合が生じうる。斯かる場合、混入した異種特性を有するPTC素子を選別する必要が生じるが、上記従来の何れの方法を採用しても、異なる抵抗温度特性を有するPTC素子を選別するのは困難であるという問題点があった。
【0006】
また、異種部品が混入するのを防ぐために、PTC素子に識別用のマーキングを施すことも行われているが、チップの小型化が進む中で、微小チップ部品にマーキングすることは困難であり、このため外観から抵抗温度特性の違いを判別することができない。また短時間で測定できる抵抗値、耐圧を用いた場合であっても、特性を判別することはできないというのが実情である。したがって、混入した異種特性のPTC素子を選別するためには、全数チェックで各PTC素子の抵抗温度特性を測定する必要があり、多大な時間と手間を要するという問題点があった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、異種部品が混入した場合の選別を容易、かつ確実に行うことができる部品識別システム、部品識別方法及び被識別部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る部品識別システムは、電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品と、電圧を印加する電圧印加手段、前記PTC素子の特性を検出する検出手段、及び該検出手段で検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する判定手段を有する識別装置とを備える部品識別システムにおいて、前記電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段と、該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段とを備え、前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
また、第2発明に係る部品識別システムは、第1発明において、前記特性変動パターンは、前記検出手段にて複数のタイミングで検出される特性の変動幅として記憶してあることを特徴とする。
【0010】
また、第3発明に係る部品識別システムは、第1又は第2発明において、前記被識別部品が抵抗素子を有し、前記検出手段は、前記抵抗素子により分圧された出力電圧を検出するようにしてあり、前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の出力電圧変動パターンが、事前に記憶されている出力電圧変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、第4発明に係る部品識別システムは、第1又は第2発明において、前記PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備え、前記検出手段は、該温度検出手段で検出された温度を検出するようにしてあり、前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の温度変動パターンが、事前に記憶されている温度変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、第5発明に係る部品識別システムは、第2乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記判定手段は、前記PTC素子の特性変動パターンが事前に記憶されている特性変動パターンと適合しないと、前記複数のタイミングのいずれかにて判定した場合、判定したタイミング以降は適合するか否かを判定しないようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、第6発明に係る部品識別システムは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記識別装置が前記スイッチング手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、第7発明に係る部品識別システムは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記被識別部品が前記スイッチング手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第8発明に係る部品識別システムは、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記PTC素子はサーミスタであることを特徴とする。
【0016】
次に、上記目的を達成するために第9発明に係る被識別部品は、電圧を印加する電圧印加手段、該電圧印加手段による電圧の印加により特性が変動するPTC素子の特性を検出する検出手段、前記電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段、該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段、及び前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する判定手段を有する識別装置と接続された前記PTC素子を備えた被識別部品であって、前記PTC素子は合成樹脂にて封止されていることを特徴とする。
【0017】
また、第10発明に係る被識別部品は、第9発明において、前記スイッチング手段は、前記識別装置にではなく、前記PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してあることを特徴とする。
【0018】
また、第11発明に係る被識別部品は、第9又は第10発明において、抵抗素子を前記PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してあることを特徴とする。
【0019】
また、第12発明に係る被識別部品は、第9乃至第11発明のいずれか1つにおいて、前記PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備えることを特徴とする。
【0020】
また、第13発明に係る被識別部品は、第9乃至第12発明のいずれか1つにおいて、前記PTC素子はサーミスタであることを特徴とする。
【0021】
次に、上記目的を達成するために第14発明に係る部品識別方法は、電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品に対して電圧を印加し、前記PTC素子の特性を検出し、検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する部品識別方法において、電圧の印加のオンオフのタイミングを制御し、複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定することを特徴とする。
【0022】
第1発明及び第14発明では、電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品に対して電圧を印加し、PTC素子の特性を検出する。電圧の印加のオンオフのタイミングを制御し、複数回のオンオフによるPTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する。電圧印加によるPTC素子の特性変動パターンを、事前に記憶されている複数のタイミングでオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することにより、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を識別することが可能となる。
【0023】
第2発明では、特性変動パターンは、検出手段にて複数のタイミングで検出される特性の変動幅として記憶してある。これにより、電圧印加の複数回のオンオフに対応する所定のタイミングごとに、特性の検出値が記憶してある変動幅の範囲内であるか否かを判定することができ、高い精度で特性変動パターンが適合しているか否かを判定することが可能となる。
【0024】
第3発明では、被識別部品は抵抗素子を有しており、検出手段は、抵抗素子により分圧された出力電圧を検出する。判定手段は、スイッチング手段による複数回のオンオフによるPTC素子の出力電圧変動パターンが、事前に記憶されている出力電圧変動パターンと適合するか否かを判定する。これにより、出力電圧値の変動パターンが適合するか否かに基づいて、異種特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することができ、単一の出力電圧値で判定するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を識別することが可能となる。
【0025】
第4発明及び第12発明では、PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備え、検出手段は、温度検出手段で検出された温度を検出する。判定手段は、スイッチング手段による複数回のオンオフによるPTC素子の温度変動パターンが、事前に記憶されている温度変動パターンと適合するか否かを判定する。これにより、電圧の印加によるPTC素子の温度変化パターンが適合するか否かに基づいて、異なる特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することができ、より高い精度でPTC素子を識別することが可能となる。
【0026】
第5発明では、判定手段は、PTC素子の特性変動パターンが事前に記憶されている特性変動パターンと適合しないと、複数のタイミングのいずれかにて判定した場合、判定したタイミング以降は適合するか否かを判定しない。これにより、無駄な判定処理を実行することを回避することができ、短時間で異種特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することが可能となる。
【0027】
第6発明では、識別装置がスイッチング手段を備えることにより、被識別部品は従来の構成のままであっても、識別装置側の動作制御用ソフトウェアを更新するだけで本識別方法を実行することができる。
【0028】
第7発明では、被識別部品がスイッチング手段を備えることにより、識別装置は動作制御用ソフトウェアを更新するだけで本識別方法を実行することができる。
【0029】
第8発明及び第13発明では、PTC素子としてサーミスタを用いることにより、キュリー点以後の急激な電圧上昇特性の相違により、異なる特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することが容易となる。
【0030】
第9発明では、電圧を印加する電圧印加手段、該電圧印加手段による電圧の印加により特性が変動するPTC素子の特性を検出する検出手段、電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段、該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段、及びスイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する判定手段を有する識別装置と接続されたPTC素子を備えており、PTC素子は合成樹脂にて封止されている。斯かる構成の被識別部品に電圧を印加することにより、電圧印加によるPTC素子の特性変動パターンを、事前に記憶されている複数のタイミングでオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することができ、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を検出することが可能となる。また、PTC素子の外部環境を安定させることができ、特性が外部環境に起因して変動することを防止することができ、より高い精度で識別することが可能な被識別部品を提供することができる。
【0031】
第10発明では、スイッチング手段は、識別装置にではなく、PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してある。これにより、識別装置の動作制御用ソフトウェアを更新するだけで被識別部品に異なる特性を有するPTC素子が混入しているか否かを判定することができる。
【0032】
第11発明では、抵抗素子をPTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してある。これにより、出力電圧値が変動するパターンが適合するか否かに基づいて、異なる特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することができる。
【発明の効果】
【0033】
上記構成により、電圧印加によるPTC素子の特性変動パターンを、事前に記憶されている複数のタイミングでオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することにより、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を識別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る部品識別システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態1に係る部品識別システムは、部品に含まれているPTC素子の特性が、事前に記憶されている特性と相違するか否かを識別する識別装置2と、識別対象となるPTC素子を含む被識別部品1とで構成されている。
【0036】
被識別部品1は、特性検出の対象となるPTC素子11と、電圧印加手段としての電源3から電圧を印加するか否かを制御するスイッチング手段としてスイッチ機構12とを備えている。また、PTC素子11とスイッチ機構12との間には、抵抗素子13を設けてあり、分圧された出力電圧を出力するようにしてある。PTC素子11自体もインピーダンスを有していることから、抵抗素子13は接続しても良いし、接続しなくても良い。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態1に係るPTC素子11の外観を示す斜視図である。図2に示すように、本実施の形態1に係るPTC素子11は、略直方体状の半導体セラミックス1a内に内部電極(不図示)を埋設し、各内部電極を半導体セラミックス1aの両端部に形成された外部電極1b、1bに接続してある。PTC素子11のサイズは、例えばL×W×Tがそれぞれ1.6×0.8×0.8mmであり、両外部電極幅が0.4mmである。
【0038】
本実施の形態1では、PTC素子11としてサーミスタを用いる。サーミスタを用いた場合、電圧を印加することによりジュール熱による自己発熱が起こり、次第にPTC素子11の温度が上昇する。キュリー温度付近に到達した場合、負性電流特性(電圧の増加に従って電流が減少する)を示し、急激に出力電圧が上昇する特性を示す。したがって、異種類のPTC素子11が混入している場合、出力電圧の上昇傾向によって識別することができる。
【0039】
図1に戻って、識別装置2は、少なくともCPU(中央演算装置)21、RAM22、記憶装置23、出力インタフェース24、入力インタフェース25、入力装置26、出力装置27及び上述したハードウェアを接続する内部バス28で構成されている。
【0040】
CPU21は、内部バス28を介して識別装置2の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置23に記憶されているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM22は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0041】
記憶装置23は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置23に記憶されているコンピュータプログラムは、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体から、図示しない補助記憶装置によりダウンロードされ、実行時には記憶装置23からRAM22へ展開して実行される。もちろん、図示しない通信装置を接続して、外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0042】
また記憶装置23は、PTC素子11の特性変動のパターンに関する特性変動パターン情報を記憶する特性変動パターン記憶部231を備えている。特性変動パターン記憶部231には、被識別部品に用いているPTC素子11の時系列の複数のサンプリング点における特性値の許容範囲が記憶されている。
【0043】
図3は、特性変動パターン記憶部231で記憶されるデータ構成の例示図である。図3に示すように、所定の原点からの時刻を特性取得のタイミング情報として記憶しておき、各々のタイミング情報に到達した時点で想定される特性値の下限値と上限値とを記憶しておく。特性変動パターン記憶部231を照会して、所定の時刻(タイミング)にて取得した特性値が、記憶してある下限値と上限値との間であれば、想定されているPTC素子11と同種類のPTC素子11が組み込まれていると判定することができる。すなわち、特性変動パターン記憶部231は、検出されたPTC素子の特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する判定手段を構成する。
【0044】
また記憶装置23は、PTC素子11の特性を変動させるための電圧印加のタイミング、すなわちスイッチ機構12のオン時刻及びオフ時刻に関するオンオフタイミング情報を記憶するオンオフタイミング記憶部232を備えている。オンオフタイミング記憶部232には、スイッチ機構12に対してオン状態とする時刻であるオン時刻及びオフ状態とするオフ時刻が記憶されている。
【0045】
図4は、オンオフタイミング記憶部232で記憶されるデータ構成の例示図である。図4に示すように、所定の原点からのオン時刻及びオフ時刻を時系列に記憶している。原点ではオフ状態であることを前提とし、T1<T2<T3<T4<T5<T6<・・・となっている。
【0046】
出力インタフェース24は、スイッチ機構12のオンオフを制御するオンオフ信号を、スイッチ機構12に対して出力するためのインタフェースである。すなわち、オンオフタイミング記憶部232と出力インタフェース24とにより、スイッチ機構12のオンオフタイミングを制御する制御手段が構成される。入力インタフェース25は、PTC素子11に電圧を印加することにより変動する特性値を取得するためのインタフェースであり、PTC素子11の特性を検出する検出手段を構成する。
【0047】
入力装置26は、キーボード、マウス等の入力媒体、あるいは指示ボタン等であり、様々な指示情報の入力を受け付ける。出力装置27は、演算処理結果等を出力する機器であり、CRT、LCD等の表示装置であっても良いし、プリンタ等の印刷装置であっても良い。また、タッチパネルのように、入力装置26と出力装置27とが一体化されていても良い。
【0048】
以下、上述した構成の部品識別システムについて、動作手順を説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る部品識別システムの識別装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
図5において、識別装置2のCPU21は、入力装置26を介して、ユーザによる被識別部品の識別処理の開始信号を受け付ける(ステップS501)。CPU21は、記憶装置23のオンオフタイミング記憶部232に記憶されている、スイッチ機構12のオンオフのタイミングを時系列に示すn組(nは自然数)のオン時刻及びオフ時刻を読み出す(ステップS502)。
【0050】
CPU21は、記憶装置23の特性変動パターン記憶部231に記憶されている、特性値を取得するタイミングを示すn個(nは自然数)のタイミング情報を読み出し(ステップS503)、内蔵するタイマをリセットして、nを‘1’に初期化する(ステップS504)。CPU21は、タイマの時刻が第nのオン時刻に到達したか否かを判断する(ステップS505)。
【0051】
CPU21が、第nのオン時刻に到達していないと判断した場合(ステップS505:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、第nのオン時刻に到達したと判断した場合(ステップS505:YES)、CPU21は、出力インタフェース24を介して、スイッチ機構12をオン状態とする指示情報を送信する(ステップS506)。指示情報を受信したスイッチ機構12はオン状態となり、PTC素子11に電圧が印加される。
【0052】
CPU21は、内蔵するタイマの時刻が、読み出したタイミング情報のうち第nのタイミングに到達したか否かを判断し(ステップS507)、CPU21が、第nのタイミングに到達していないと判断した場合(ステップS507:NO)、CPU21は処理待ち状態となる。CPU21が、第nのタイミングに到達したと判断した場合(ステップS507:YES)、CPU21は、入力インタフェース25を介して、PTC素子11の特性値を取得する(ステップS508)。
【0053】
取得する特性値は特に限定されるものではない。例えばスイッチ機構12がオン状態となった時点で、PTC素子11に電圧が印加され、接続されている抵抗素子13との間で分圧された出力電圧を特性値として取得する。
【0054】
また、被識別部品1に、PTC素子11の温度を検出する温度検出手段として、温度センサ、NTC素子等を設け、PTC素子11の温度を特性値として取得しても良い。温度検出手段は、PTC素子11の近傍に設けさえすれば、PTC素子11自身の温度変化を検出することができる。
【0055】
CPU21は、取得した特性値を、記憶装置23の特性変動パターン記憶部231に記憶してある特性変動パターンと照合し(ステップS509)、特性値が所定の範囲内であるか否かを判断する(ステップS510)。特性変動パターン記憶部231には、上述のようにタイミングごとに特性値の下限値と上限値とが記憶されているので、取得した特性値が、下限値以上、上限値以下の範囲内であるか否かを判断する。
【0056】
CPU21が、特性値が所定の範囲外であると判断した場合(ステップS510:NO)、CPU21は、被識別部品1に用いられているPTC素子11が異種PTC素子であると判断し(ステップS511)、結果を出力装置27、例えば液晶表示装置に表示する(ステップS517)。CPU21が、特性値が所定の範囲内であると判断した場合(ステップS510:YES)、CPU21は、タイマの時刻が第nのオフ時刻に到達したか否かを判断する(ステップS512)。
【0057】
CPU21が、第nのオフ時刻に到達していないと判断した場合(ステップS512:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、第nのオフ時刻に到達したと判断した場合(ステップS512:YES)、CPU21は、出力インタフェース24を介して、スイッチ機構12をオフ状態とする指示情報を送信する(ステップS513)。指示情報を受信したスイッチ機構12はオフ状態となり、PTC素子11への電圧の印加が停止される。
【0058】
CPU21は、読み出した全てのタイミングについて照合したか否かを判断し(ステップS514)、CPU21が、全てのタイミングについて照合したと判断した場合(ステップS514:YES)、CPU21は、被識別部品1に用いられているPTC素子11が同種PTC素子であると判断し(ステップS515)、結果を出力装置27、例えば液晶表示装置に表示する(ステップS517)。CPU21が、全てのタイミングについてまだ照合していないと判断した場合(ステップS514:NO)、CPU21は、nを1インクリメントし(ステップS516)、処理をステップS505へ戻して、上述した処理を繰り返す。
【0059】
上述した処理を、取得した特性値に基づいて説明する。図6は、スイッチ機構12により電圧印加のオンオフを繰り返した場合のPTC素子11の温度変化及び電圧変化を示す図である。図6(a)はPTC素子11近傍の温度変化を、図6(b)は特性値として取得される出力電圧の変化を、それぞれ示している。
【0060】
図6(a)に示すように、初期時刻をT1とし、記憶装置23のオンオフタイミング記憶部232に記憶されている最初のオン時刻とする。電圧が印加されていることから、PTC素子11の周囲温度Tも上昇している。図6(b)は、図6(a)と同一の時間座標ベースに、出力電圧Vの変化を示している。図6(b)に示すように、PTC素子11の出力電圧Vも次第に上昇している。
【0061】
図6(b)の例では、最初のオフ時刻T2になる前のタイミングt1において、出力電圧Vが所定の範囲ΔV1の範囲内に存在するか否かを判断している。図6(b)ではΔV1の範囲内であることから、この時点では同種のPTC素子11である可能性が高い。
【0062】
次に時刻T2に到達するとオフ時刻となり、電圧の印加が停止する。PTC素子11は自然冷却され、時刻T2以降は、図6(a)に示すように周囲温度Tは次第に減少する。出力電圧Vは、電圧が印加されないことから、図6(b)に示すように0となる。
【0063】
そして、時刻T3に到達するとオン時刻となり、電圧が再度印加され、PTC素子11の周囲温度Tも再度上昇を開始する。PTC素子11の出力電圧Vは、十分に冷え切っていない状態であるため、図6(b)に示すように、温度に対応した一定の電圧を出力し、そこから上昇を開始する。
【0064】
図6(b)の例では、次にオフ時刻T4になる前のタイミングt2において、出力電圧Vが所定の範囲ΔV2の範囲内に存在するか否かを判断している。図6(b)ではΔV2の範囲内であることから、再度同種のPTC素子11である可能性が高いと判断することができる。
【0065】
以下、順次記憶してあるタイミングに応じて出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲内であるか否かを判断し、すべてのタイミングにおいて、出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲内である場合には、同種のPTC素子であると識別する。いずれかのタイミングにおいて、出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となった場合には、異種のPTC素子が混入していると識別する。
【0066】
上述した実施の形態1では、1回でも出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となった場合には、以後の判断処理を行っていないが、特にこれに限定されるものではなく、すべてのタイミングについて同様の判断処理を行っても良い。この場合、出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となったのが、何らかの異常発生によるものか否かを判断することができ、より高い精度で異種PTC素子の混入を識別することができる。
【0067】
なお、実装時には、被識別部品1は部品内蔵基板として形成する。この場合、PTC素子11は合成樹脂層の内部に埋設される。図7は、部品内蔵基板として形成された被識別部品1の概要を示す断面図である。
【0068】
図7に示すように、合成樹脂層14の内部に、PTC素子11、スイッチ機構12及び抵抗素子13が封止されている。各部品は配線パターン15に実装され、配線パターン15は、基板19内に形成された層間接続導体16(ビア導体又はスルーホール導体)を介して、入出力端子17に接続されている。なお、基板19は樹脂基板であっても良いし、セラミック基板であっても良い。このようにすることで、外部環境の安定化を図ることができ、外部環境による影響を抑制しつつ、PTC素子11自体の特性変動を正確に検出することが可能となる。
【0069】
なお、特性値としてPTC素子11の温度変化を取得する場合、温度検出手段は、図7と同様に合成樹脂層の内部に封止しても良いし、合成樹脂層の外部に密着させても良い。図8は、温度検出手段である温度センサを合成樹脂層の内部に備える場合の部品内蔵基板として形成された被識別部品1の概要を示す断面図である。
【0070】
図8に示すように合成樹脂層14の内部に、PTC素子11、スイッチ機構12、抵抗素子13に加えて、温度センサ18が封止されている。各部品は配線パターン15に実装され、配線パターン15は、層間接続導体16(ビア導体又はスルーホール導体)を介して、入出力端子17に接続されている。このようにすることで、PTC素子11の周囲の温度変化を適切に検出することが可能となる。
【0071】
以上のように本実施の形態1によれば、電圧印加によるPTC素子11の特性変動パターンを、事前に定めてあるタイミングで電圧印加をオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することにより、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子の存在を検出することが可能となる。
【0072】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る部品識別システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態2に係る部品識別システムは、部品に含まれているPTC素子の特性が、事前に想定されている特性と相違するか否かを識別する識別装置2と、識別対象となるPTC素子を含む被識別部品1とで構成されている。
【0073】
本実施の形態2では、被識別部品1が、電源3から電圧を印加するか否かを制御するスイッチ機構を備えておらず、識別装置2にスイッチ機構29を備えている点で実施の形態1と相違する。その他の構成要素については、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0074】
図9において、記憶装置23は、PTC素子11の特性を変動させるための電圧印加のタイミング、すなわちスイッチ機構29のオン時刻及びオフ時刻に関するオンオフタイミング情報を記憶するオンオフタイミング記憶部232を備えている。オンオフタイミング記憶部232には、スイッチ機構29に対してオン状態とする時刻であるオン時刻及びオフ状態とするオフ時刻が記憶されている。
【0075】
出力インタフェース24は、スイッチ機構29のオンオフを制御するオンオフ信号を、スイッチ機構29に対して出力するためのインタフェースである。入力インタフェース25は、PTC素子11に電圧を印加することにより変動する特性値を取得するためのインタフェースである。
【0076】
以下、上述した構成の部品識別システムについて、動作手順を説明する。図10は、本発明の実施の形態2に係る部品識別システムの識別装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
図10において、識別装置2のCPU21は、入力装置26を介して、ユーザによる被識別部品1の識別処理の開始信号を受け付ける(ステップS1001)。CPU21は、記憶装置23のオンオフタイミング記憶部232に記憶されている、スイッチ機構29のオンオフのタイミングを時系列に示すn組(nは自然数)のオン時刻及びオフ時刻を読み出す(ステップS1002)。
【0078】
CPU21は、記憶装置23の特性変動パターン記憶部231に記憶されている、特性値を取得するタイミングを示すn個(nは自然数)のタイミング情報を読み出し(ステップS1003)、内蔵するタイマをリセットして、nを‘1’に初期化する(ステップS1004)。CPU21は、タイマの時刻が第nのオン時刻に到達したか否かを判断する(ステップS1005)。
【0079】
CPU21が、第nのオン時刻に到達していないと判断した場合(ステップS1005:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、第nのオン時刻に到達したと判断した場合(ステップS1005:YES)、CPU21は、出力インタフェース24を介して、スイッチ機構29をオン状態とする指示情報を送信する(ステップS1006)。指示情報を受信したスイッチ機構29はオン状態となり、PTC素子11に電圧が印加される。
【0080】
CPU21は、内蔵するタイマの時刻が、読み出したタイミング情報のうち第nのタイミングに到達したか否かを判断し(ステップS1007)、CPU21が、第nのタイミングに到達していないと判断した場合(ステップS1007:NO)、CPU21は処理待ち状態となる。CPU21が、第nのタイミングに到達したと判断した場合(ステップS1007:YES)、CPU21は、入力インタフェース25を介して、PTC素子11の特性値を取得する(ステップS1008)。
【0081】
取得する特性値は特に限定されるものではない。例えばスイッチ機構29がオン状態となった時点で、PTC素子11に電圧が印加され、接続されている抵抗素子13との間で分圧された出力電圧を特性値として取得する。
【0082】
また、被識別部品1に、PTC素子11の温度を検出する温度検出手段として、温度センサ、NTC素子等を設け、PTC素子11の温度を特性値として取得しても良い。温度検出手段は、PTC素子11の近傍に設けさえすれば、PTC素子11自身の温度変化を検出することができる。
【0083】
CPU21は、取得した特性値を、記憶装置23の特性変動パターン記憶部231に記憶してある特性変動パターンと照合し(ステップS1009)、特性値が所定の範囲内であるか否かを判断する(ステップS1010)。特性変動パターン記憶部231には、上述のようにタイミングごとに特性値の下限値と上限値とが記憶されているので、取得した特性値が、下限値以上、上限値以下の範囲内であるか否かを判断する。
【0084】
CPU21が、特性値が所定の範囲外であると判断した場合(ステップS1010:NO)、CPU21は、被識別部品1に用いられているPTC素子11が異種PTC素子であると判断し(ステップS1011)、結果を出力装置27、例えば液晶表示装置に表示する(ステップS1017)。CPU21が、特性値が所定の範囲内であると判断した場合(ステップS1010:YES)、CPU21は、タイマの時刻が第nのオフ時刻に到達したか否かを判断する(ステップS1012)。
【0085】
CPU21が、第nのオフ時刻に到達していないと判断した場合(ステップS1012:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、第nのオフ時刻に到達したと判断した場合(ステップS1012:YES)、CPU21は、出力インタフェース24を介して、スイッチ機構29をオフ状態とする指示情報を送信する(ステップS1013)。指示情報を受信したスイッチ機構29はオフ状態となり、PTC素子11への電圧の印加が停止される。
【0086】
CPU21は、読み出した全てのタイミングについて照合したか否かを判断し(ステップS1014)、CPU21が、全てのタイミングについて照合したと判断した場合(ステップS1014:YES)、CPU21は、被識別部品1に用いられているPTC素子11が同種PTC素子であると判断し(ステップS1015)、結果を出力装置27、例えば液晶表示装置に表示する(ステップS1017)。CPU21が、全てのタイミングについてまだ照合していないと判断した場合(ステップS1014:NO)、CPU21は、nを1インクリメントし(ステップS1016)、処理をステップS1005へ戻して、上述した処理を繰り返す。
【0087】
上述した実施の形態2でも、1回でも出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となった場合には、以後の判断処理を行っていないが、特にこれに限定されるものではなく、すべてのタイミングについて同様の判断処理を行っても良い。この場合、出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となったのが、何らかの異常発生によるものか否かを判断することができ、より高い精度で異種PTC素子の混入を識別することができる。
【0088】
なお、実装時には、被識別部品1は部品内蔵基板として形成する。この場合、PTC素子11は合成樹脂層の内部に埋設される。図11は、部品内蔵基板として形成された被識別部品1の概要を示す断面図である。
【0089】
図11に示すように合成樹脂層14の内部に、PTC素子11及び抵抗素子13が封止されている。各部品は配線パターン15に実装され、配線パターン15は、基板19に形成された層間接続導体16(ビア導体又はスルーホール導体)を介して、入出力端子17に接続されている。このようにすることで、外部環境の安定化を図ることができ、外部環境による影響を抑制しつつ、PTC素子11自体の特性変動を正確に検出することが可能となる。
【0090】
なお、特性値としてPTC素子11の温度変化を取得する場合、温度検出手段は、図11と同様に合成樹脂層の内部に封止しても良いし、合成樹脂層の外部に密着させても良い。図12は、温度検出手段である温度センサを合成樹脂層の内部に備える場合の部品内蔵基板として形成された被識別部品1の概要を示す断面図である。
【0091】
図12に示すように合成樹脂層14の内部に、PTC素子11、抵抗素子13に加えて、温度センサ18が封止されている。各部品は配線パターン15に実装され、配線パターン15は、基板19に形成された層間接続導体16(ビア導体又はスルーホール導体)を介して、入出力端子17に接続されている。このようにすることで、PTC素子11の周囲の温度変化を適切に検出することが可能となる。
【0092】
以上のように本実施の形態2によれば、電圧印加によるPTC素子11の特性変動パターンを、事前に記憶されているタイミングで電圧印加をオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することにより、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を識別することが可能となる。また、被識別部品1は従来の構成のままであっても、識別装置2側のコンピュータプログラムを更新するだけで本実施の形態2に係る異種PTC素子の識別処理を実行することができる。
【0093】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態1に係る部品識別システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るPTC素子の外観を示す斜視図である。
【図3】特性変動パターン記憶部で記憶されるデータ構成の例示図である。
【図4】オンオフタイミング記憶部で記憶されるデータ構成の例示図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る部品識別システムの識別装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】スイッチ機構により電圧印加のオンオフを繰り返した場合のPTC素子の温度変化及び電圧変化を示す図である。
【図7】部品内蔵基板として形成された被識別部品の概要を示す断面図である。
【図8】温度センサを備える場合の部品内蔵基板として形成された被識別部品の概要を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る部品識別システムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る部品識別システムの識別装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】部品内蔵基板として形成された被識別部品の概要を示す断面図である。
【図12】温度センサを備える場合の部品内蔵基板として形成された被識別部品の概要を示す断面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 識別用部品
2 識別装置
3 電源
11 PTC素子
12、29 スイッチ機構(スイッチング手段)
13 抵抗素子
14 合成樹脂層
18 温度センサ(温度検出手段)
21 CPU
22 RAM
23 記憶装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる抵抗−温度特性を有するPTC素子を備えた被識別部品を選別する部品識別システム、部品識別方法及び被識別部品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、正の抵抗温度特性を有するPTC素子は、キュリー温度を超えた場合、抵抗値が急激に増加する特性を有している。斯かる特性を利用して、例えば電子回路の過電流保護素子として、あるいは温度検出素子として使用されることが多い。
【0003】
斯かるPTC素子は、例えば製造過程における不純物の混入等に起因する特性不良が発生する場合があるため、製造されたPTC素子の良否を出荷前に判定するようにしている。PTC素子の良否判定方法として、例えばPTC素子のインピーダンスを測定し、測定された抵抗成分の値により良否を判定する方法がある(例えば、特許文献1参照)。また他の判定方法として、通電時の突入電流値、定常電流値を設定し、設定された電流値を超えない突入電流及び定常電流を有するPTC素子を良品として選定する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、現在では市場要求に応えるために、様々な抵抗温度特性を持ったPTC素子が市販されており、PTC素子自体の超小型化も進んでいる。最近では、例えば1.6×0.8mm、0.6×0.3mm程度の微小チップ部品も開発されている。
【特許文献1】特開平7−294568号公報
【特許文献2】特開平9−92504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、PTC素子の部品管理を行っていた場合であっても、想定されていない原因によって異種特性のPTC素子が誤って混入する場合が生じうる。斯かる場合、混入した異種特性を有するPTC素子を選別する必要が生じるが、上記従来の何れの方法を採用しても、異なる抵抗温度特性を有するPTC素子を選別するのは困難であるという問題点があった。
【0006】
また、異種部品が混入するのを防ぐために、PTC素子に識別用のマーキングを施すことも行われているが、チップの小型化が進む中で、微小チップ部品にマーキングすることは困難であり、このため外観から抵抗温度特性の違いを判別することができない。また短時間で測定できる抵抗値、耐圧を用いた場合であっても、特性を判別することはできないというのが実情である。したがって、混入した異種特性のPTC素子を選別するためには、全数チェックで各PTC素子の抵抗温度特性を測定する必要があり、多大な時間と手間を要するという問題点があった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、異種部品が混入した場合の選別を容易、かつ確実に行うことができる部品識別システム、部品識別方法及び被識別部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る部品識別システムは、電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品と、電圧を印加する電圧印加手段、前記PTC素子の特性を検出する検出手段、及び該検出手段で検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する判定手段を有する識別装置とを備える部品識別システムにおいて、前記電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段と、該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段とを備え、前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
また、第2発明に係る部品識別システムは、第1発明において、前記特性変動パターンは、前記検出手段にて複数のタイミングで検出される特性の変動幅として記憶してあることを特徴とする。
【0010】
また、第3発明に係る部品識別システムは、第1又は第2発明において、前記被識別部品が抵抗素子を有し、前記検出手段は、前記抵抗素子により分圧された出力電圧を検出するようにしてあり、前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の出力電圧変動パターンが、事前に記憶されている出力電圧変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
また、第4発明に係る部品識別システムは、第1又は第2発明において、前記PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備え、前記検出手段は、該温度検出手段で検出された温度を検出するようにしてあり、前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の温度変動パターンが、事前に記憶されている温度変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、第5発明に係る部品識別システムは、第2乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記判定手段は、前記PTC素子の特性変動パターンが事前に記憶されている特性変動パターンと適合しないと、前記複数のタイミングのいずれかにて判定した場合、判定したタイミング以降は適合するか否かを判定しないようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、第6発明に係る部品識別システムは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記識別装置が前記スイッチング手段を備えることを特徴とする。
【0014】
また、第7発明に係る部品識別システムは、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記被識別部品が前記スイッチング手段を備えることを特徴とする。
【0015】
また、第8発明に係る部品識別システムは、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記PTC素子はサーミスタであることを特徴とする。
【0016】
次に、上記目的を達成するために第9発明に係る被識別部品は、電圧を印加する電圧印加手段、該電圧印加手段による電圧の印加により特性が変動するPTC素子の特性を検出する検出手段、前記電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段、該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段、及び前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する判定手段を有する識別装置と接続された前記PTC素子を備えた被識別部品であって、前記PTC素子は合成樹脂にて封止されていることを特徴とする。
【0017】
また、第10発明に係る被識別部品は、第9発明において、前記スイッチング手段は、前記識別装置にではなく、前記PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してあることを特徴とする。
【0018】
また、第11発明に係る被識別部品は、第9又は第10発明において、抵抗素子を前記PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してあることを特徴とする。
【0019】
また、第12発明に係る被識別部品は、第9乃至第11発明のいずれか1つにおいて、前記PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備えることを特徴とする。
【0020】
また、第13発明に係る被識別部品は、第9乃至第12発明のいずれか1つにおいて、前記PTC素子はサーミスタであることを特徴とする。
【0021】
次に、上記目的を達成するために第14発明に係る部品識別方法は、電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品に対して電圧を印加し、前記PTC素子の特性を検出し、検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する部品識別方法において、電圧の印加のオンオフのタイミングを制御し、複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定することを特徴とする。
【0022】
第1発明及び第14発明では、電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品に対して電圧を印加し、PTC素子の特性を検出する。電圧の印加のオンオフのタイミングを制御し、複数回のオンオフによるPTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する。電圧印加によるPTC素子の特性変動パターンを、事前に記憶されている複数のタイミングでオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することにより、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を識別することが可能となる。
【0023】
第2発明では、特性変動パターンは、検出手段にて複数のタイミングで検出される特性の変動幅として記憶してある。これにより、電圧印加の複数回のオンオフに対応する所定のタイミングごとに、特性の検出値が記憶してある変動幅の範囲内であるか否かを判定することができ、高い精度で特性変動パターンが適合しているか否かを判定することが可能となる。
【0024】
第3発明では、被識別部品は抵抗素子を有しており、検出手段は、抵抗素子により分圧された出力電圧を検出する。判定手段は、スイッチング手段による複数回のオンオフによるPTC素子の出力電圧変動パターンが、事前に記憶されている出力電圧変動パターンと適合するか否かを判定する。これにより、出力電圧値の変動パターンが適合するか否かに基づいて、異種特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することができ、単一の出力電圧値で判定するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を識別することが可能となる。
【0025】
第4発明及び第12発明では、PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備え、検出手段は、温度検出手段で検出された温度を検出する。判定手段は、スイッチング手段による複数回のオンオフによるPTC素子の温度変動パターンが、事前に記憶されている温度変動パターンと適合するか否かを判定する。これにより、電圧の印加によるPTC素子の温度変化パターンが適合するか否かに基づいて、異なる特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することができ、より高い精度でPTC素子を識別することが可能となる。
【0026】
第5発明では、判定手段は、PTC素子の特性変動パターンが事前に記憶されている特性変動パターンと適合しないと、複数のタイミングのいずれかにて判定した場合、判定したタイミング以降は適合するか否かを判定しない。これにより、無駄な判定処理を実行することを回避することができ、短時間で異種特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することが可能となる。
【0027】
第6発明では、識別装置がスイッチング手段を備えることにより、被識別部品は従来の構成のままであっても、識別装置側の動作制御用ソフトウェアを更新するだけで本識別方法を実行することができる。
【0028】
第7発明では、被識別部品がスイッチング手段を備えることにより、識別装置は動作制御用ソフトウェアを更新するだけで本識別方法を実行することができる。
【0029】
第8発明及び第13発明では、PTC素子としてサーミスタを用いることにより、キュリー点以後の急激な電圧上昇特性の相違により、異なる特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することが容易となる。
【0030】
第9発明では、電圧を印加する電圧印加手段、該電圧印加手段による電圧の印加により特性が変動するPTC素子の特性を検出する検出手段、電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段、該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段、及びスイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する判定手段を有する識別装置と接続されたPTC素子を備えており、PTC素子は合成樹脂にて封止されている。斯かる構成の被識別部品に電圧を印加することにより、電圧印加によるPTC素子の特性変動パターンを、事前に記憶されている複数のタイミングでオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することができ、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を検出することが可能となる。また、PTC素子の外部環境を安定させることができ、特性が外部環境に起因して変動することを防止することができ、より高い精度で識別することが可能な被識別部品を提供することができる。
【0031】
第10発明では、スイッチング手段は、識別装置にではなく、PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してある。これにより、識別装置の動作制御用ソフトウェアを更新するだけで被識別部品に異なる特性を有するPTC素子が混入しているか否かを判定することができる。
【0032】
第11発明では、抵抗素子をPTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してある。これにより、出力電圧値が変動するパターンが適合するか否かに基づいて、異なる特性を有するPTC素子が誤って混入しているか否かを判定することができる。
【発明の効果】
【0033】
上記構成により、電圧印加によるPTC素子の特性変動パターンを、事前に記憶されている複数のタイミングでオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することにより、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を識別することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る部品識別システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態1に係る部品識別システムは、部品に含まれているPTC素子の特性が、事前に記憶されている特性と相違するか否かを識別する識別装置2と、識別対象となるPTC素子を含む被識別部品1とで構成されている。
【0036】
被識別部品1は、特性検出の対象となるPTC素子11と、電圧印加手段としての電源3から電圧を印加するか否かを制御するスイッチング手段としてスイッチ機構12とを備えている。また、PTC素子11とスイッチ機構12との間には、抵抗素子13を設けてあり、分圧された出力電圧を出力するようにしてある。PTC素子11自体もインピーダンスを有していることから、抵抗素子13は接続しても良いし、接続しなくても良い。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態1に係るPTC素子11の外観を示す斜視図である。図2に示すように、本実施の形態1に係るPTC素子11は、略直方体状の半導体セラミックス1a内に内部電極(不図示)を埋設し、各内部電極を半導体セラミックス1aの両端部に形成された外部電極1b、1bに接続してある。PTC素子11のサイズは、例えばL×W×Tがそれぞれ1.6×0.8×0.8mmであり、両外部電極幅が0.4mmである。
【0038】
本実施の形態1では、PTC素子11としてサーミスタを用いる。サーミスタを用いた場合、電圧を印加することによりジュール熱による自己発熱が起こり、次第にPTC素子11の温度が上昇する。キュリー温度付近に到達した場合、負性電流特性(電圧の増加に従って電流が減少する)を示し、急激に出力電圧が上昇する特性を示す。したがって、異種類のPTC素子11が混入している場合、出力電圧の上昇傾向によって識別することができる。
【0039】
図1に戻って、識別装置2は、少なくともCPU(中央演算装置)21、RAM22、記憶装置23、出力インタフェース24、入力インタフェース25、入力装置26、出力装置27及び上述したハードウェアを接続する内部バス28で構成されている。
【0040】
CPU21は、内部バス28を介して識別装置2の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置23に記憶されているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM22は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0041】
記憶装置23は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)、ROM等で構成されている。記憶装置23に記憶されているコンピュータプログラムは、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体から、図示しない補助記憶装置によりダウンロードされ、実行時には記憶装置23からRAM22へ展開して実行される。もちろん、図示しない通信装置を接続して、外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0042】
また記憶装置23は、PTC素子11の特性変動のパターンに関する特性変動パターン情報を記憶する特性変動パターン記憶部231を備えている。特性変動パターン記憶部231には、被識別部品に用いているPTC素子11の時系列の複数のサンプリング点における特性値の許容範囲が記憶されている。
【0043】
図3は、特性変動パターン記憶部231で記憶されるデータ構成の例示図である。図3に示すように、所定の原点からの時刻を特性取得のタイミング情報として記憶しておき、各々のタイミング情報に到達した時点で想定される特性値の下限値と上限値とを記憶しておく。特性変動パターン記憶部231を照会して、所定の時刻(タイミング)にて取得した特性値が、記憶してある下限値と上限値との間であれば、想定されているPTC素子11と同種類のPTC素子11が組み込まれていると判定することができる。すなわち、特性変動パターン記憶部231は、検出されたPTC素子の特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する判定手段を構成する。
【0044】
また記憶装置23は、PTC素子11の特性を変動させるための電圧印加のタイミング、すなわちスイッチ機構12のオン時刻及びオフ時刻に関するオンオフタイミング情報を記憶するオンオフタイミング記憶部232を備えている。オンオフタイミング記憶部232には、スイッチ機構12に対してオン状態とする時刻であるオン時刻及びオフ状態とするオフ時刻が記憶されている。
【0045】
図4は、オンオフタイミング記憶部232で記憶されるデータ構成の例示図である。図4に示すように、所定の原点からのオン時刻及びオフ時刻を時系列に記憶している。原点ではオフ状態であることを前提とし、T1<T2<T3<T4<T5<T6<・・・となっている。
【0046】
出力インタフェース24は、スイッチ機構12のオンオフを制御するオンオフ信号を、スイッチ機構12に対して出力するためのインタフェースである。すなわち、オンオフタイミング記憶部232と出力インタフェース24とにより、スイッチ機構12のオンオフタイミングを制御する制御手段が構成される。入力インタフェース25は、PTC素子11に電圧を印加することにより変動する特性値を取得するためのインタフェースであり、PTC素子11の特性を検出する検出手段を構成する。
【0047】
入力装置26は、キーボード、マウス等の入力媒体、あるいは指示ボタン等であり、様々な指示情報の入力を受け付ける。出力装置27は、演算処理結果等を出力する機器であり、CRT、LCD等の表示装置であっても良いし、プリンタ等の印刷装置であっても良い。また、タッチパネルのように、入力装置26と出力装置27とが一体化されていても良い。
【0048】
以下、上述した構成の部品識別システムについて、動作手順を説明する。図5は、本発明の実施の形態1に係る部品識別システムの識別装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。
【0049】
図5において、識別装置2のCPU21は、入力装置26を介して、ユーザによる被識別部品の識別処理の開始信号を受け付ける(ステップS501)。CPU21は、記憶装置23のオンオフタイミング記憶部232に記憶されている、スイッチ機構12のオンオフのタイミングを時系列に示すn組(nは自然数)のオン時刻及びオフ時刻を読み出す(ステップS502)。
【0050】
CPU21は、記憶装置23の特性変動パターン記憶部231に記憶されている、特性値を取得するタイミングを示すn個(nは自然数)のタイミング情報を読み出し(ステップS503)、内蔵するタイマをリセットして、nを‘1’に初期化する(ステップS504)。CPU21は、タイマの時刻が第nのオン時刻に到達したか否かを判断する(ステップS505)。
【0051】
CPU21が、第nのオン時刻に到達していないと判断した場合(ステップS505:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、第nのオン時刻に到達したと判断した場合(ステップS505:YES)、CPU21は、出力インタフェース24を介して、スイッチ機構12をオン状態とする指示情報を送信する(ステップS506)。指示情報を受信したスイッチ機構12はオン状態となり、PTC素子11に電圧が印加される。
【0052】
CPU21は、内蔵するタイマの時刻が、読み出したタイミング情報のうち第nのタイミングに到達したか否かを判断し(ステップS507)、CPU21が、第nのタイミングに到達していないと判断した場合(ステップS507:NO)、CPU21は処理待ち状態となる。CPU21が、第nのタイミングに到達したと判断した場合(ステップS507:YES)、CPU21は、入力インタフェース25を介して、PTC素子11の特性値を取得する(ステップS508)。
【0053】
取得する特性値は特に限定されるものではない。例えばスイッチ機構12がオン状態となった時点で、PTC素子11に電圧が印加され、接続されている抵抗素子13との間で分圧された出力電圧を特性値として取得する。
【0054】
また、被識別部品1に、PTC素子11の温度を検出する温度検出手段として、温度センサ、NTC素子等を設け、PTC素子11の温度を特性値として取得しても良い。温度検出手段は、PTC素子11の近傍に設けさえすれば、PTC素子11自身の温度変化を検出することができる。
【0055】
CPU21は、取得した特性値を、記憶装置23の特性変動パターン記憶部231に記憶してある特性変動パターンと照合し(ステップS509)、特性値が所定の範囲内であるか否かを判断する(ステップS510)。特性変動パターン記憶部231には、上述のようにタイミングごとに特性値の下限値と上限値とが記憶されているので、取得した特性値が、下限値以上、上限値以下の範囲内であるか否かを判断する。
【0056】
CPU21が、特性値が所定の範囲外であると判断した場合(ステップS510:NO)、CPU21は、被識別部品1に用いられているPTC素子11が異種PTC素子であると判断し(ステップS511)、結果を出力装置27、例えば液晶表示装置に表示する(ステップS517)。CPU21が、特性値が所定の範囲内であると判断した場合(ステップS510:YES)、CPU21は、タイマの時刻が第nのオフ時刻に到達したか否かを判断する(ステップS512)。
【0057】
CPU21が、第nのオフ時刻に到達していないと判断した場合(ステップS512:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、第nのオフ時刻に到達したと判断した場合(ステップS512:YES)、CPU21は、出力インタフェース24を介して、スイッチ機構12をオフ状態とする指示情報を送信する(ステップS513)。指示情報を受信したスイッチ機構12はオフ状態となり、PTC素子11への電圧の印加が停止される。
【0058】
CPU21は、読み出した全てのタイミングについて照合したか否かを判断し(ステップS514)、CPU21が、全てのタイミングについて照合したと判断した場合(ステップS514:YES)、CPU21は、被識別部品1に用いられているPTC素子11が同種PTC素子であると判断し(ステップS515)、結果を出力装置27、例えば液晶表示装置に表示する(ステップS517)。CPU21が、全てのタイミングについてまだ照合していないと判断した場合(ステップS514:NO)、CPU21は、nを1インクリメントし(ステップS516)、処理をステップS505へ戻して、上述した処理を繰り返す。
【0059】
上述した処理を、取得した特性値に基づいて説明する。図6は、スイッチ機構12により電圧印加のオンオフを繰り返した場合のPTC素子11の温度変化及び電圧変化を示す図である。図6(a)はPTC素子11近傍の温度変化を、図6(b)は特性値として取得される出力電圧の変化を、それぞれ示している。
【0060】
図6(a)に示すように、初期時刻をT1とし、記憶装置23のオンオフタイミング記憶部232に記憶されている最初のオン時刻とする。電圧が印加されていることから、PTC素子11の周囲温度Tも上昇している。図6(b)は、図6(a)と同一の時間座標ベースに、出力電圧Vの変化を示している。図6(b)に示すように、PTC素子11の出力電圧Vも次第に上昇している。
【0061】
図6(b)の例では、最初のオフ時刻T2になる前のタイミングt1において、出力電圧Vが所定の範囲ΔV1の範囲内に存在するか否かを判断している。図6(b)ではΔV1の範囲内であることから、この時点では同種のPTC素子11である可能性が高い。
【0062】
次に時刻T2に到達するとオフ時刻となり、電圧の印加が停止する。PTC素子11は自然冷却され、時刻T2以降は、図6(a)に示すように周囲温度Tは次第に減少する。出力電圧Vは、電圧が印加されないことから、図6(b)に示すように0となる。
【0063】
そして、時刻T3に到達するとオン時刻となり、電圧が再度印加され、PTC素子11の周囲温度Tも再度上昇を開始する。PTC素子11の出力電圧Vは、十分に冷え切っていない状態であるため、図6(b)に示すように、温度に対応した一定の電圧を出力し、そこから上昇を開始する。
【0064】
図6(b)の例では、次にオフ時刻T4になる前のタイミングt2において、出力電圧Vが所定の範囲ΔV2の範囲内に存在するか否かを判断している。図6(b)ではΔV2の範囲内であることから、再度同種のPTC素子11である可能性が高いと判断することができる。
【0065】
以下、順次記憶してあるタイミングに応じて出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲内であるか否かを判断し、すべてのタイミングにおいて、出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲内である場合には、同種のPTC素子であると識別する。いずれかのタイミングにおいて、出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となった場合には、異種のPTC素子が混入していると識別する。
【0066】
上述した実施の形態1では、1回でも出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となった場合には、以後の判断処理を行っていないが、特にこれに限定されるものではなく、すべてのタイミングについて同様の判断処理を行っても良い。この場合、出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となったのが、何らかの異常発生によるものか否かを判断することができ、より高い精度で異種PTC素子の混入を識別することができる。
【0067】
なお、実装時には、被識別部品1は部品内蔵基板として形成する。この場合、PTC素子11は合成樹脂層の内部に埋設される。図7は、部品内蔵基板として形成された被識別部品1の概要を示す断面図である。
【0068】
図7に示すように、合成樹脂層14の内部に、PTC素子11、スイッチ機構12及び抵抗素子13が封止されている。各部品は配線パターン15に実装され、配線パターン15は、基板19内に形成された層間接続導体16(ビア導体又はスルーホール導体)を介して、入出力端子17に接続されている。なお、基板19は樹脂基板であっても良いし、セラミック基板であっても良い。このようにすることで、外部環境の安定化を図ることができ、外部環境による影響を抑制しつつ、PTC素子11自体の特性変動を正確に検出することが可能となる。
【0069】
なお、特性値としてPTC素子11の温度変化を取得する場合、温度検出手段は、図7と同様に合成樹脂層の内部に封止しても良いし、合成樹脂層の外部に密着させても良い。図8は、温度検出手段である温度センサを合成樹脂層の内部に備える場合の部品内蔵基板として形成された被識別部品1の概要を示す断面図である。
【0070】
図8に示すように合成樹脂層14の内部に、PTC素子11、スイッチ機構12、抵抗素子13に加えて、温度センサ18が封止されている。各部品は配線パターン15に実装され、配線パターン15は、層間接続導体16(ビア導体又はスルーホール導体)を介して、入出力端子17に接続されている。このようにすることで、PTC素子11の周囲の温度変化を適切に検出することが可能となる。
【0071】
以上のように本実施の形態1によれば、電圧印加によるPTC素子11の特性変動パターンを、事前に定めてあるタイミングで電圧印加をオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することにより、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子の存在を検出することが可能となる。
【0072】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る部品識別システムの構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態2に係る部品識別システムは、部品に含まれているPTC素子の特性が、事前に想定されている特性と相違するか否かを識別する識別装置2と、識別対象となるPTC素子を含む被識別部品1とで構成されている。
【0073】
本実施の形態2では、被識別部品1が、電源3から電圧を印加するか否かを制御するスイッチ機構を備えておらず、識別装置2にスイッチ機構29を備えている点で実施の形態1と相違する。その他の構成要素については、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。
【0074】
図9において、記憶装置23は、PTC素子11の特性を変動させるための電圧印加のタイミング、すなわちスイッチ機構29のオン時刻及びオフ時刻に関するオンオフタイミング情報を記憶するオンオフタイミング記憶部232を備えている。オンオフタイミング記憶部232には、スイッチ機構29に対してオン状態とする時刻であるオン時刻及びオフ状態とするオフ時刻が記憶されている。
【0075】
出力インタフェース24は、スイッチ機構29のオンオフを制御するオンオフ信号を、スイッチ機構29に対して出力するためのインタフェースである。入力インタフェース25は、PTC素子11に電圧を印加することにより変動する特性値を取得するためのインタフェースである。
【0076】
以下、上述した構成の部品識別システムについて、動作手順を説明する。図10は、本発明の実施の形態2に係る部品識別システムの識別装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。
【0077】
図10において、識別装置2のCPU21は、入力装置26を介して、ユーザによる被識別部品1の識別処理の開始信号を受け付ける(ステップS1001)。CPU21は、記憶装置23のオンオフタイミング記憶部232に記憶されている、スイッチ機構29のオンオフのタイミングを時系列に示すn組(nは自然数)のオン時刻及びオフ時刻を読み出す(ステップS1002)。
【0078】
CPU21は、記憶装置23の特性変動パターン記憶部231に記憶されている、特性値を取得するタイミングを示すn個(nは自然数)のタイミング情報を読み出し(ステップS1003)、内蔵するタイマをリセットして、nを‘1’に初期化する(ステップS1004)。CPU21は、タイマの時刻が第nのオン時刻に到達したか否かを判断する(ステップS1005)。
【0079】
CPU21が、第nのオン時刻に到達していないと判断した場合(ステップS1005:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、第nのオン時刻に到達したと判断した場合(ステップS1005:YES)、CPU21は、出力インタフェース24を介して、スイッチ機構29をオン状態とする指示情報を送信する(ステップS1006)。指示情報を受信したスイッチ機構29はオン状態となり、PTC素子11に電圧が印加される。
【0080】
CPU21は、内蔵するタイマの時刻が、読み出したタイミング情報のうち第nのタイミングに到達したか否かを判断し(ステップS1007)、CPU21が、第nのタイミングに到達していないと判断した場合(ステップS1007:NO)、CPU21は処理待ち状態となる。CPU21が、第nのタイミングに到達したと判断した場合(ステップS1007:YES)、CPU21は、入力インタフェース25を介して、PTC素子11の特性値を取得する(ステップS1008)。
【0081】
取得する特性値は特に限定されるものではない。例えばスイッチ機構29がオン状態となった時点で、PTC素子11に電圧が印加され、接続されている抵抗素子13との間で分圧された出力電圧を特性値として取得する。
【0082】
また、被識別部品1に、PTC素子11の温度を検出する温度検出手段として、温度センサ、NTC素子等を設け、PTC素子11の温度を特性値として取得しても良い。温度検出手段は、PTC素子11の近傍に設けさえすれば、PTC素子11自身の温度変化を検出することができる。
【0083】
CPU21は、取得した特性値を、記憶装置23の特性変動パターン記憶部231に記憶してある特性変動パターンと照合し(ステップS1009)、特性値が所定の範囲内であるか否かを判断する(ステップS1010)。特性変動パターン記憶部231には、上述のようにタイミングごとに特性値の下限値と上限値とが記憶されているので、取得した特性値が、下限値以上、上限値以下の範囲内であるか否かを判断する。
【0084】
CPU21が、特性値が所定の範囲外であると判断した場合(ステップS1010:NO)、CPU21は、被識別部品1に用いられているPTC素子11が異種PTC素子であると判断し(ステップS1011)、結果を出力装置27、例えば液晶表示装置に表示する(ステップS1017)。CPU21が、特性値が所定の範囲内であると判断した場合(ステップS1010:YES)、CPU21は、タイマの時刻が第nのオフ時刻に到達したか否かを判断する(ステップS1012)。
【0085】
CPU21が、第nのオフ時刻に到達していないと判断した場合(ステップS1012:NO)、CPU21は、処理待ち状態となる。CPU21が、第nのオフ時刻に到達したと判断した場合(ステップS1012:YES)、CPU21は、出力インタフェース24を介して、スイッチ機構29をオフ状態とする指示情報を送信する(ステップS1013)。指示情報を受信したスイッチ機構29はオフ状態となり、PTC素子11への電圧の印加が停止される。
【0086】
CPU21は、読み出した全てのタイミングについて照合したか否かを判断し(ステップS1014)、CPU21が、全てのタイミングについて照合したと判断した場合(ステップS1014:YES)、CPU21は、被識別部品1に用いられているPTC素子11が同種PTC素子であると判断し(ステップS1015)、結果を出力装置27、例えば液晶表示装置に表示する(ステップS1017)。CPU21が、全てのタイミングについてまだ照合していないと判断した場合(ステップS1014:NO)、CPU21は、nを1インクリメントし(ステップS1016)、処理をステップS1005へ戻して、上述した処理を繰り返す。
【0087】
上述した実施の形態2でも、1回でも出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となった場合には、以後の判断処理を行っていないが、特にこれに限定されるものではなく、すべてのタイミングについて同様の判断処理を行っても良い。この場合、出力電圧Vが所定の範囲ΔVn(nは自然数)の範囲外となったのが、何らかの異常発生によるものか否かを判断することができ、より高い精度で異種PTC素子の混入を識別することができる。
【0088】
なお、実装時には、被識別部品1は部品内蔵基板として形成する。この場合、PTC素子11は合成樹脂層の内部に埋設される。図11は、部品内蔵基板として形成された被識別部品1の概要を示す断面図である。
【0089】
図11に示すように合成樹脂層14の内部に、PTC素子11及び抵抗素子13が封止されている。各部品は配線パターン15に実装され、配線パターン15は、基板19に形成された層間接続導体16(ビア導体又はスルーホール導体)を介して、入出力端子17に接続されている。このようにすることで、外部環境の安定化を図ることができ、外部環境による影響を抑制しつつ、PTC素子11自体の特性変動を正確に検出することが可能となる。
【0090】
なお、特性値としてPTC素子11の温度変化を取得する場合、温度検出手段は、図11と同様に合成樹脂層の内部に封止しても良いし、合成樹脂層の外部に密着させても良い。図12は、温度検出手段である温度センサを合成樹脂層の内部に備える場合の部品内蔵基板として形成された被識別部品1の概要を示す断面図である。
【0091】
図12に示すように合成樹脂層14の内部に、PTC素子11、抵抗素子13に加えて、温度センサ18が封止されている。各部品は配線パターン15に実装され、配線パターン15は、基板19に形成された層間接続導体16(ビア導体又はスルーホール導体)を介して、入出力端子17に接続されている。このようにすることで、PTC素子11の周囲の温度変化を適切に検出することが可能となる。
【0092】
以上のように本実施の形態2によれば、電圧印加によるPTC素子11の特性変動パターンを、事前に記憶されているタイミングで電圧印加をオンオフした場合に想定される特性変動パターンと比較することにより、一のタイミングでの電圧印加による特性変動だけで比較するよりも高い精度で異なる特性を有するPTC素子を識別することが可能となる。また、被識別部品1は従来の構成のままであっても、識別装置2側のコンピュータプログラムを更新するだけで本実施の形態2に係る異種PTC素子の識別処理を実行することができる。
【0093】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態1に係る部品識別システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るPTC素子の外観を示す斜視図である。
【図3】特性変動パターン記憶部で記憶されるデータ構成の例示図である。
【図4】オンオフタイミング記憶部で記憶されるデータ構成の例示図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る部品識別システムの識別装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】スイッチ機構により電圧印加のオンオフを繰り返した場合のPTC素子の温度変化及び電圧変化を示す図である。
【図7】部品内蔵基板として形成された被識別部品の概要を示す断面図である。
【図8】温度センサを備える場合の部品内蔵基板として形成された被識別部品の概要を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る部品識別システムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る部品識別システムの識別装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】部品内蔵基板として形成された被識別部品の概要を示す断面図である。
【図12】温度センサを備える場合の部品内蔵基板として形成された被識別部品の概要を示す断面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 識別用部品
2 識別装置
3 電源
11 PTC素子
12、29 スイッチ機構(スイッチング手段)
13 抵抗素子
14 合成樹脂層
18 温度センサ(温度検出手段)
21 CPU
22 RAM
23 記憶装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品と、
電圧を印加する電圧印加手段、
前記PTC素子の特性を検出する検出手段、及び
該検出手段で検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する判定手段
を有する識別装置と
を備える部品識別システムにおいて、
前記電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段と、
該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段と
を備え、
前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする部品識別システム。
【請求項2】
前記特性変動パターンは、前記検出手段にて複数のタイミングで検出される特性の変動幅として記憶してあることを特徴とする請求項1記載の部品識別システム。
【請求項3】
前記被識別部品が抵抗素子を有し、
前記検出手段は、前記抵抗素子により分圧された出力電圧を検出するようにしてあり、
前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の出力電圧変動パターンが、事前に記憶されている出力電圧変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の部品識別システム。
【請求項4】
前記PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記検出手段は、該温度検出手段で検出された温度を検出するようにしてあり、
前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の温度変動パターンが、事前に記憶されている温度変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の部品識別システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記PTC素子の特性変動パターンが事前に記憶されている特性変動パターンと適合しないと、前記複数のタイミングのいずれかにて判定した場合、判定したタイミング以降は適合するか否かを判定しないようにしてあることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の部品識別システム。
【請求項6】
前記識別装置が前記スイッチング手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の部品識別システム。
【請求項7】
前記被識別部品が前記スイッチング手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の部品識別システム。
【請求項8】
前記PTC素子はサーミスタであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の部品識別システム。
【請求項9】
電圧を印加する電圧印加手段、
該電圧印加手段による電圧の印加により特性が変動するPTC素子の特性を検出する検出手段、
前記電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段、
該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段、及び
前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する判定手段
を有する識別装置と接続された前記PTC素子を備えた被識別部品であって、
前記PTC素子は合成樹脂にて封止されていることを特徴とする被識別部品。
【請求項10】
前記スイッチング手段は、前記識別装置にではなく、前記PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してあることを特徴とする請求項9記載の被識別部品。
【請求項11】
抵抗素子を前記PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してあることを特徴とする請求項9又は10記載の被識別部品。
【請求項12】
前記PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備えることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の被識別部品。
【請求項13】
前記PTC素子はサーミスタであることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の被識別部品。
【請求項14】
電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品に対して電圧を印加し、
前記PTC素子の特性を検出し、
検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する部品識別方法において、
電圧の印加のオンオフのタイミングを制御し、
複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定することを特徴とする部品識別方法。
【請求項1】
電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品と、
電圧を印加する電圧印加手段、
前記PTC素子の特性を検出する検出手段、及び
該検出手段で検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する判定手段
を有する識別装置と
を備える部品識別システムにおいて、
前記電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段と、
該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段と
を備え、
前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする部品識別システム。
【請求項2】
前記特性変動パターンは、前記検出手段にて複数のタイミングで検出される特性の変動幅として記憶してあることを特徴とする請求項1記載の部品識別システム。
【請求項3】
前記被識別部品が抵抗素子を有し、
前記検出手段は、前記抵抗素子により分圧された出力電圧を検出するようにしてあり、
前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の出力電圧変動パターンが、事前に記憶されている出力電圧変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の部品識別システム。
【請求項4】
前記PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記検出手段は、該温度検出手段で検出された温度を検出するようにしてあり、
前記判定手段は、前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の温度変動パターンが、事前に記憶されている温度変動パターンと適合するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の部品識別システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記PTC素子の特性変動パターンが事前に記憶されている特性変動パターンと適合しないと、前記複数のタイミングのいずれかにて判定した場合、判定したタイミング以降は適合するか否かを判定しないようにしてあることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の部品識別システム。
【請求項6】
前記識別装置が前記スイッチング手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の部品識別システム。
【請求項7】
前記被識別部品が前記スイッチング手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の部品識別システム。
【請求項8】
前記PTC素子はサーミスタであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の部品識別システム。
【請求項9】
電圧を印加する電圧印加手段、
該電圧印加手段による電圧の印加により特性が変動するPTC素子の特性を検出する検出手段、
前記電圧印加手段による電圧の印加のオンオフを制御するスイッチング手段、
該スイッチング手段のオンオフのタイミングを制御する制御手段、及び
前記スイッチング手段による複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定する判定手段
を有する識別装置と接続された前記PTC素子を備えた被識別部品であって、
前記PTC素子は合成樹脂にて封止されていることを特徴とする被識別部品。
【請求項10】
前記スイッチング手段は、前記識別装置にではなく、前記PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してあることを特徴とする請求項9記載の被識別部品。
【請求項11】
抵抗素子を前記PTC素子と隣接して合成樹脂にて封止してあることを特徴とする請求項9又は10記載の被識別部品。
【請求項12】
前記PTC素子の温度を検出する温度検出手段を備えることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一項に記載の被識別部品。
【請求項13】
前記PTC素子はサーミスタであることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一項に記載の被識別部品。
【請求項14】
電圧の印加により特性が変動するPTC素子を有する被識別部品に対して電圧を印加し、
前記PTC素子の特性を検出し、
検出された特性が、事前に記憶されている特性と適合するか否かを判定する部品識別方法において、
電圧の印加のオンオフのタイミングを制御し、
複数回のオンオフによる前記PTC素子の特性変動パターンが、事前に記憶されている特性変動パターンと適合するか否かを判定することを特徴とする部品識別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−129543(P2011−129543A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64832(P2008−64832)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]