説明

部材を結合するための装置及びその組立品

【課題】部材を結合するための改良型装置及びその改良型装置を組込んだ改良型組立品を提供する。
【解決手段】第1の部材及び第2の部材を結合するための手段と、第1の部材及び第2の部材を結合するための手段と別個に設けられた第1の部材及び第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段と、第1の部材及び第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段に圧縮用プリロードを与えるための手段とを備える第1の部材及び第2の部材を結合するための装置。第1の部材と、第2の部材と、第1の部材及び第2の部材を結合するための手段と、第1の部材及び第2の部材を結合するための手段と別個に設けられた第1の部材及び第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段と、第1の部材及び第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段に圧縮用プリロードを与えるための手段とを備える組立品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、機械的に結合する組立式の構造物に関するものである。
【0002】
関連出願の相互参照
【0003】
本出願は、Hethcock他による2005年3月23日付で出願された、「Advanced Bonded Compression joint」と称する米国特許仮出願第60/664,577号に対する優先権を主張し、それに言及することをもって、あらゆる意味で、その内容の全体を本出願の一部とするものとする。
【背景技術】
【0004】
組立式の構造物では、組立品の構成要素間にて1つ又は複数のジョイントに荷重(例えば、せん断荷重)を効率的に伝達させることが求められている。さらに、多くの構造物において、荷重をその構造物全体に実質的に均一に伝達させるようにすることが好ましい。荷重を効率良く、均一に伝達させることができないと、ほとんどの場合、その構造物には局所的にストレスがかかるようになる。構造物にかかる全体の荷重が設計基準以内であったとしても、そのような集中的な局所的なストレスは、構造物の設計基準を越えることもある。
【0005】
接着接合したジョイントにて荷重、特にせん断荷重を効率的に伝達させるような、1つ又は複数の接着接合したジョイントを含む組立式の構造物が特に求められている。接合部の特定部分に集中的にストレスがかかり、接着ボンドが適切に機能しなくなった場合、接着ボンドで結合した部材間にて荷重は効率的に伝達されなくなる。結果として、主に接着接合した構造物は、様々な用途、例えば、航空機に適用される対象から除外されてしまう。
【0006】
さらに、部品を組み立てる際に、必要な部品を整合させてから孔を開けるよりも、各部品の製造工程で、各部品ごとにファスナ用の開口又は孔を開けることが求められている。各部品の製造工程でファスナ用の孔を開けていた従来の製造方法では、ほとんどの場合、部品を組み立てたとき、その孔が角度的に及び/又は直線的に整合しないという結果になっていた。部品を整合させて孔を開ける加工方法は、追加のツール及び組立工程にかなりの時間を必要とする費用のかかるものである。したがって、製品を製造する際の流れ及び製品のコストに好ましくない影響を与える。
【0007】
ボルト式結合ジョイントを含む様々な組立式の構造物のデザインが良く知られているが、改良を行う余地はまだ残っている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
部材を結合するための改良型装置が求められている。
【0009】
したがって、本発明の目的は、部材を結合するための改良型装置及びその装置を組込んだ改良型組立品を提供することである。
【0010】
一実施形態では、本発明は、第1の部材及び第2の部材を結合するための装置を提供する。その装置は、前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための手段と、前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段と別個に設けられた、前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための手段と、前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段に、圧縮用のプリロードを与えるための手段とを含むものである。
【0011】
本発明の別の実施形態では、組立品が提供される。その組立品は、第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための手段とを含むものである。その組立品は、前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段と別個に設けられた、前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための手段と、前記第1の部材及び前記第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための前記手段に、圧縮用のプリロードを与えるための手段とをさらに含むものである。
【0012】
また別の実施形態では、本発明は、第1の部材と、第2の部材と、前記第1の部材及び前記第2の部材を結合する結合要素とを含む組立品を提供する。その組立品は、前記結合要素と別個に設けられた、前記第1の部材及び前記第2の部材と動作可能に結合するせん断荷重伝達構造体と、前記せん断荷重伝達構造体に、圧縮用のプリロードを与える圧縮用プリロード付与機構とをさらに含むものである。
【0013】
本発明は、次のような有意な効果をもたらす。(1)強度及び信頼性を高めた、軽量のボルト結合式の構造物用アタッチメントを提供する。(2)組立品にフレキシビリティがある。(3)ジョイントの元の全体的な剛性を保ちつつ、可変剛性要素の厚さ及び剛性の選択により構造物の構成要素間のすき間及び角度的な不整合を許容し、構造物の構成要素の面内の不整合を許容する。その結果、しっかりとしたジョイント性能とともに、組立時間及び製造コストの削減をもたらす。(4)機械化工程に対応した構造の従来のボルト式ジョイント又は従来の接着式ジョイントよりも重量及びコストを削減するとともに、静的性能及び疲労性能が改善された。
【0014】
本発明のさらなる目的及び効果は、図面及び以下の説明により明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の新規性のある機能の特徴は、特許請求の範囲に記載の請求項に規定される。しかしながら、発明自体に加えて、好ましい使用モード並びにさらなる目的及びその利点は、添付の図面とともに詳細な説明を参照することによって最も良く理解することができる。符号の最左側からの1桁又は複数桁の数字は、各符号が現れる最初の図面番号を示す。
【0016】
本発明の実施形態について、以下に説明する。本明細書では、明瞭化のため、実際に実行する際に使用する全ての機構を記載してはいない。様々な実際の実施形態の開発において、様々な実施仕様の決定は、開発者の特定の目的を達成させるようにするべきものであることを理解されたい。その決定は、実施仕様毎に変化するようなものであり、例えば、システム関連の制約及び業務関連の制約にのっとって行うものなどがある。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかるものであり得る。しかし、いずれにせよ、それは本願で開示する効果を有する当業者にとって所定の取り組みであることを理解されたい。
【0017】
本明細書では、様々な構成要素間の空間的関係及び様々な実施形態の構成要素の空間的配置について、装置を図示した添付の図面を参照して説明する。しかしながら、本出願は、当業者が全体を読めばわかるとおり、本明細書に記載のデバイス、部材、装置などは、様々な所望の位置に配置することができるものである。したがって、本明細書で説明する装置は、様々な所望の方向に配置することができるものであるから、様々な構成要素間の空間的関係又は実施形態のそれら構成要素の空間的配置を説明するのに用いる用語、例えば、「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの用語は、各々、構成要素間又は実施形態のその構成要素の空間的配置の相対的な関係を説明するものであることを理解されたい。本発明は、第1の部材及び第2の部材を結合するための装置と、前記第1の部材及び前記第2の部材の結合によって得られる組立品と、前記組立品を作成する方法について述べる。その装置は、前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための手段と、前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段と別個に設けられた、前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための手段とを含むものである。その装置は、前記第1の部材及び前記第2の部材間にてせん断荷重を伝達させる前記手段に、圧縮用のプリロードを与えるための手段をさらに含むものである。
【0018】
一実施形態では、第1の部材及び第2の部材を結合するための手段は、1つ又は複数の機械的ファスナである。機械的ファスナは、例えば、第1の部材及び/又は第2の部材と一体となったものであり得る。また、機械的ファスナは、個別の要素、例えば、ボルト、リベットなどであり得る。これらの例は、本発明の第1の部材及び第2の部材を結合するための手段に含まれる、単なる代表的な手段である。
【0019】
第1の部材及び第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段は、第1の部材及び第2の部材の一方又は両方と一体となったものであり得る。例えば、せん断荷重を伝達させるための手段は、第1の部材及び/又は第2の部材に備えられた機構、例えば、1つ又は複数の刻みを付けた機構であり得る。せん断荷重を伝達させるための手段は、それに代わって、又はそれに加えて、第1の部材及び第2の部材に取り付けられた別個の構成要素、例えば、接着剤層、せん断荷重伝達接着剤層、又は第1の部材及び第2の部材に接着接合したせん断荷重伝達層であり得る。しかしながら、これらの例は、本発明の第1の部材及び第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段に含まれる、単なる代表的な手段である。
【0020】
第1の部材及び第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段に、圧縮用のプリロードを与えるための手段は、第1の部材及び第2の部材の一方又は両方と一体となったものであり得る。例えば、圧縮用のプリロードを与えるための手段は、第1の部材及び第2の部材の一方又は両方を、第1の形状又は位置から第2の形状又は位置に曲げることによって達成されるものであり得る。例えば、ベルビルワッシャなどの付勢要素が、圧縮用のプリロードを与えるための手段として用いられることもあり得る。しかしながら、これらの例は、本発明の第1の部材及び第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段に、圧縮用のプリロードを与えるための手段に含まれる、単なる代表的な手段である。
【0021】
図1〜6は、組立品107を作成するべく第1の部材103及び第2の部材105を結合するための本発明に係る装置101の第1の実施形態を示す様々な図である。図1〜6に示す第1の部材103及び第2の部材105の特定の構成は、単なる例であることに注意されたい。本発明の範囲は、装置101によって結合するのに適した、第1の部材103及び第2の部材105の様々な所望の形状を含むものである。また、装置101が、2つ以上の部材(例えば、部材103及び105)を組立品に結合するのに使用されるようにすることもできる。さらに、本発明に係る組立品を形成するために、後述の説明のように、複数の装置(例えば、複数の装置101)を、第1の部材(例えば、第1の部材103)及び第2の部材(例えば、105)を結合するために使用することもできる。
【0022】
図1〜3は、各々、組立品107の側面図、上面図、及び底面図を図示しており、それらを参照すると、装置101は、第1の部材103の下面111及び第2の部材105の上面113に接着された接着剤層109を含んでいる。接着剤層109は、第1の部材103及び第2の部材105間にてせん断荷重を伝達させるものである。装置101はファスナ115をさらに含み、この実施形態では、ファスナ115は、第1の部材103、接着剤層109、及び第2の部材105を貫通するピン117と、ピン117から延出するヘッド119と、ピン117と螺合するナット121とを含むものである。図示した実施形態では、装置101は、ヘッド119及び第1の部材103の上面125の間に配置された第1の付勢要素123と、ナット121及び第2の部材105の下面129の間に配置された第2の付勢要素127とをさらに含む。別の実施形態では、1つの付勢要素123又は127だけが使用される。1つの付勢要素だけが使用される場合、その付勢要素は、結合する部材の厚さが薄い部分に近接して配置されることが好ましい。ピン117は、付勢要素123及び127を貫通するものである。
【0023】
この実施形態では、付勢要素123及び127には、カップワッシャ又はベルビルワッシャを含む。しかしながら、後述の説明のように、それ以外の付勢要素も存在しており、それらも本発明の範囲内に含まれるものである。様々な実施形態において、付勢要素123又は付勢要素127が省略されるようにすることもできることに注意されたい。また、図1〜3は、非圧縮状態の装置101を図示していることに注意されたい。組立品107を完成させて使用可能となるようにするため、後述の説明のように、装置101が圧縮される。ファスナ115は、後述の説明のように、図1〜3で図示した特定の形態以外の様々な形態をしていても良いことに注意されたい。
【0024】
図4は、図2の線4−4に沿った組立品107の断面図である。第1の部材103、第2の部材105、及び接着剤層109は、その中にファスナ115が配置されるファスナ用開口401を画定する。ファスナ用開口401は、各々、第1の部材103、接着剤層109、及び第2の部材105に画定される開口403、405、407によって形成される。図示した実施形態では、ファスナ用開口401は、ピン117の直径Dより大きな直径Dで示す。いくつかの実施形態では、開口403、405、407は、整合されたものではなく、異なる直径を有していることもある。開口403、405、407の直径が異なっている場合、開口403、405、407の少なくとも1つが、ピン117の直径Dより大きな直径(例えば、直径D)をしていることが好ましい。そのような構成は、組立品にフレキシビリティを与え、部材103及び105の面内の不整合を許容することによって製造コストの削減をもたらす。部材103及び105は、別々に孔を開けることができるようになったので、ファスナ用開口401を形成するために、組立品の部品を整合させてから孔を開けるツールは必要ではなくなった。さらにその形状は、使用中に、疲労荷重のかかる範囲から少なくとも部分的にファスナ115を離すようにする。しかしながら、第1の部材103及び第2の部材105を結合するためのその他の手段は、後述の説明のように、ファスナ及びファスナ用開口の直径の大きさに依存することなく疲労荷重のかかる範囲から離すようにすることを達成する。
【0025】
上述したように、組立品107を完成させて使用可能となるようにするため、装置101が圧縮される。図5は、組立品107の側面図を図示し、図4に対応する図6は組立品107の断面図を図示しており、装置101は圧縮状態にある。特に、ナット121が、ピン117のねじ部501に従って前進し、第1の部材103を第2の部材105に押し付けるようにし、第1の付勢要素123及び第2の付勢要素127が平らになるようにする。第1の付勢要素123及び第2の付勢要素127は、第1の部材103を第2の部材105にさらに付勢する。ファスナ115は、第1の部材103及び第2の部材105を結合するための手段の一実施例であることに注意されたい。さらに、付勢要素123、127は、接着剤層109に圧縮用のプリロードを与えるための手段の単なる実施例である。
【0026】
好ましい実施形態では、接着剤層109には、弾性接着剤、即ち、破損特性において高引張力を示す接着剤を含む。しかしながら、破損する前に接着剤が引っ張られる度合いは、実施形態ごとに固有のものである。いくつかの実施形態では、所望の弾性の度合いは、他の実施形態よりも大きいものであり、少なくともある程度は、接着剤層109の厚さ及び組立品107にかかる荷重に依存する。後述の説明のように、接着剤層109は、弾性が大きい範囲(例えば、せん断係数が小さい)及びその範囲以外の弾性が小さい範囲(例えば、せん断係数が大きい)を含んで良い。そのような実施形態では、静荷重が大きいと、接着剤層109は破損(例えば、裂ける、せん断するなど)することなく引っ張られ、それによって、ピン117を第1の部材103及び/又は第2の部材105と接触させ、軸受け部を介した結合荷重及びせん断荷重を分担するようにする。その構成は、従来の方法で固定したジョイントよりも高い静的強度をもたらす。
【0027】
そのような弾性接着剤の例には、以下のものに限定するわけではないが、フィルム状接着剤FM−300(Cytec Engineered Materials社、Anaheim, California)、フィルム状接着剤AF−163(3M社、St. Paul, Minnesota)、ペースト状接着剤Magnabond M−6398(Magnolia Plastics社、Chamblee, Georgia)、ペースト状接着剤Hysol EC−3448(3M社)、及びペースト状接着剤EA−9346.3(Henkel社、Bay Point, California)を含む。また、図7で図示するように、接着剤層109は、せん断荷重伝達層701と置換することもできる。せん断荷重伝達層701は、例えば、第1の部材103の下面111及び第2の部材105の上面113に、接着剤層703及び705によって接着接合したエラストマを含むものである。好ましい実施形態では、接着剤層703、705には、弾性接着剤、例えば、上述した接着剤層109用の弾性接着剤を含む。しかしながら、その他の接着剤を使用することもでき、それらも本発明の範囲内に含まれる。せん断荷重伝達接着剤層109又はせん断荷重伝達層701と接着剤層703、705との組み合わせのいずれが使用されても、せん断荷重伝達接着剤層109及びせん断荷重伝達層701と接着剤層703、705との組み合わせは、各々、第1の部材103及び第2の部材105の間に配置され、かつその間で接着されるせん断荷重伝達部材を形成する。そのようなせん断荷重伝達部材は、第1の部材103及び第2の部材105間にてせん断荷重を伝達させるための手段の一実施例である。
【0028】
上述したように、本発明に係る組立品は、複数のファスナ、例えば、ファスナ115を含むものである。さらに、第1の部材及び第2の部材の間に配置され、前記第1の部材及び前記第2の部材の間に接着されるせん断荷重伝達部材は、ファスナ周囲に複数の要素が配置される形態であっても良い。そのような実施形態を図8に図示する。具体的には、組立品801は、第1の部材803と、第2の部材805と、第1の部材803及び第2の部材805を結合するための装置807とを含む。図示した実施形態では、装置807は、複数のファスナ115及び対応する複数の第1の付勢要素123と、せん断荷重伝達部材809と、第2の付勢要素127とを含む。明瞭化のため、図8では、1つのファスナ115、1つの第1の付勢要素123、1つのせん断荷重伝達部材809、及び1つの第2の付勢要素127だけに符号を付してあることに注意されたい。
【0029】
各ファスナ115のピン117(明瞭化のため、1つだけに符号を付す)は、対応する第1の付勢要素123、第1の部材803に画定された開口811、せん断荷重伝達部材809、第2の部材805に画定された開口813、及び第2の付勢要素127を貫通して配置される。図示した実施形態では、ナット121(明瞭化のため、1つだけに符号を付す)は、ピン117のねじ部501(明瞭化のため、1つだけに符号を付す)に従って前進し、第1の部材803を第2の部材805に押し付けるようにし、それによって、第1の部材803及び第2の部材805が結合するようにする。付勢要素123、127は、せん断荷重伝達部材809に圧縮用のプリロードを与えて、第1の部材803を第2の部材805にさらに押し付けるようにする。様々な実施形態では、せん断荷重伝達部材809は、例えば、接着剤層109の弾性接着剤を含むものであり、又は、接着剤層、例えば、接着剤層703、705によって部材803、805に接着されたせん断荷重伝達層、例えば、せん断荷重伝達層701を含むものである。せん断荷重伝達部材809は、弾性の度合いが同じであっても、異っていても良いことに注意されたい。せん断荷重伝達部材809は、第1の部材803及び第2の部材805間にせん断荷重を伝達させるものである。
【0030】
組立品の端部及び/又はエッジに近接して配置されたせん断荷重伝達部材809の方が、組立品の端部及び/又はエッジからより離れて配置されたせん断荷重伝達部材809よりも、弾性が高い(例えば、小さいせん断係数を示す)ことが好ましい。例えば、図8の図では、第1の部材803の端部815及び/又は第2の部材805の端部817に最も近接して配置されたせん断荷重伝達部材809が、その他のせん断荷重伝達部材809よりも、剛性が小さい(例えば、大きな弾性及び小さなせん断係数を有する)ことが好ましい。そのような構成は、例えば、組立品の端部及び/又はエッジにかけられたより大きなピーク荷重を調整するための支援をするが、そうでなければ、従来の方法で結合された部材のように、その部材間にて接着ボンドの剥離損傷をもたらす。
【0031】
上述したように、本発明に係る部材を結合するための装置の様々な実施形態に用いられるファスナの特定の形態は、図1〜8で図示した形態に限定されるものではなく、むしろ、様々な適切なファスナを使用し得る。例えば、図9に示すような本発明に係る組立品901は、第1の部材903と、第2の部材905と、部材903及び905を結合するための装置907とを含む。図示した実施形態では、装置907は、部材903、905の間に配置され、かつその間に接着されるせん断荷重伝達部材909と、部材903、905、及び909を貫通して延在するファスナ911を含む。せん断荷重伝達部材909は、弾性接着剤(例えば、接着剤層109に用いたもの)を含んで良く、又は、せん断荷重伝達層(例えば、せん断荷重伝達層701)を含んでも良い。ファスナ911は、ピン913、ヘッド915、及びピン913と螺合するカラー917を含むものである。
【0032】
保持手段(図示せず)は、ピン913に画定されたフィッティング919と係合する。駆動手段(図示せず)は、カラー917と係合し、ピン913に対してカラー917を回転させるように用いられ、保持手段は、部材903、905を互いに押し付け、ピン913を回転させないようにする。保持手段及び駆動手段は、一体化させたものであっても良いことを理解されたい。図示した実施形態では、カラー917の駆動部921が、所定のトルクで、カラー917からせん断される又は壊れて外れるように設計される。別の実施形態では、カラー917は、ピン913に従って前進した後、そのままの状態でとどまる。第1の付勢要素123及び/又は第2の付勢要素127(各々少なくとも図1に図示)は、各々、装置907のヘッド915及び第2の部材905の間、並びに、装置907のカラー917及び第1の部材903の間に備えられるようにすることもできることを理解されたい。
【0033】
別の実施形態では、図10に示すように、本発明に係る組立品1001は、第1の部材1003と、第2の部材1005と、部材1003及び1005を結合するための装置1007とを含む。図示した実施形態では、装置1007は、部材1003、1005の間に配置され、かつその間に接着されたせん断荷重伝達部材1009、及び部材1003、1005及び1009を貫通するファスナ1011を含むものである。せん断荷重伝達部材1009は、弾性接着剤(例えば、接着剤層109に用いたもの)を含んで良く、又は、せん断荷重伝達層(例えば、せん断荷重伝達層701)を含んでも良い。ファスナ1011は、ヘッド1013、ヘッド1013から延出するケーブル1015、及びケーブル1015と係合するカラー1017を含むものである。所定のツール(図示せず)がケーブル1015と係合し、カラー1017に対して、一般に矢印1019で示された方向に移動されることによって、第1の部材1003を第2の部材1005に押し付けるようにする。カラー1017は、ケーブル1015と係合し、カラー1017に対してケーブル1015を所定位置で保持するようにする。ケーブル1015は、好ましくは、より線のケーブルを含み、一般にカラー1017と同一平面になるように切り取られる。
【0034】
しかしながら、本発明では、その他のファスナの形態も使用され得る。例えば、金属、繊維、及び/又は複合材料を含むファスナが用いられるようにすることもできる。複合材料を含むファスナの実施例には、以下のものに限定するわけではないが、アルミニウム、鋼鉄、チタン、炭素又はグラファイト繊維ドライ織物、弾性マトリクス、例えば、エラストママトリクス中に配置された炭素又はグラファイト繊維、炭素又はグラファイト/エポキシ樹脂複合材料などからなるファスナを含む。ケーブルを使用するファスナは、摩擦によってケーブルを保持して良く(図10の実施形態のように)、又は、ケーブルにスプレー剤を吹き付け、スプレー剤をかけた形状でスプレー剤を吹き付けたケーブル繊維を保持するように、スプレー剤を吹き付けたケーブル繊維の周囲に所定材料を導入してケーブルを保持しても良い。使用するファスナがある程度フレキシブルな場合、フレキシブルなファスナは、組立品にかけられた荷重に応じて弾性的に変形するので、大きなファスナ用開口(例えば、ファスナ用開口401)を必要としない。さらに、本明細書で図示及び説明したファスナ(例えば、ファスナ115、911など)は、ピンと螺合するナット又はカラーを含むものであるが、その他の機械的に係合する手段を用いるファスナを、本発明で使用することもできる。
【0035】
本発明の付勢要素の特定の形態は、上述した形態及び図1〜8に図示した形態に限定されるものではなく、むしろ、本発明の付勢要素は、複数の部材を互いに付勢するのに用いる様々な適切な形態をしていて良い。例えば、図11〜13で示すように、本発明に係る組立品1101は、第1の部材103と、第2の部材105と、部材103、105を結合するための装置1103とを含むものである。装置1103は、第1の部材103及び第2の部材105の間に配置され、かつその間に接着されるせん断荷重伝達部材1105を含む。せん断荷重伝達部材1105は、弾性接着剤(例えば、接着剤層109に用いたもの)を含んで良く、又は、せん断荷重伝達層(例えば、せん断荷重伝達層701)を含んでも良い。装置は、部材103、105、及び1105を貫通するファスナ115をさらに含む。図示した実施形態では、付勢要素1107は、ファスナ115のヘッド119及び第1の部材103の間に配置される。付勢要素1107は、図12及び図13を比較すると最も良くわかるように、一方向に弓形に曲げられたものであり、図11で示すように、平面図では、一般に長方形の形をしている。組立品1101の別の形態は、一般に、図1〜7で示す組立品101の形態に対応する。しかしながら、第2の付勢要素1107は、ナット121及び第2の部材105の間に配置することもできることに注意されたい。また、付勢要素1107は、ヘッド119及び第1の部材103の間よりはむしろ、ナット121及び第2の部材105の間に配置され得る。いくつかの実施形態では、付勢要素(例えば、付勢要素1107)は、その周囲に実質的に均一な圧縮力が得られるように構成される。本発明の付勢要素は、一方向又は一方向より多くの方向に曲げられたものであり得る。
【0036】
本発明に係る部材を結合するための装置は、第1の部材及び第2の部材をラップジョイントに沿って結合するときに、特に有用である。例えば、図14及び図15で示すように、複数の装置1103(詳細は図11〜13に図示)は、第1の部材1401及び第2の部材1403をラップジョイント1405に沿って結合し、組立品1407を形成するために使用される。図示した実施形態では、装置1103は、各装置1103に個々にせん断荷重伝達部材1105を備えている。しかしながら、本発明の範囲はそのようなものに限定されるわけではなく、むしろ、1つのせん断荷重伝達部材が、全ての付勢要素1107の下側に延在して良い。また、せん断荷重伝達部材は、いくつかの付勢要素1107の下側に延在して良く、その場合、別のせん断荷重伝達部材が、残りの付勢要素1107の下側に延在する。複数のせん断荷重伝達部材が存在する場合、1つ又は複数のせん断荷重伝達部材は、他のせん断荷重伝達部材とは弾性が異なるものであって良い。例えば、部材1401、1403の端部に近接したせん断荷重伝達部材は、部材1401、1403の端部からより離れたせん断荷重伝達部材よりも、弾性が大きいものであって良い。組立品1401に用いられる2つ以上の付勢要素1107(図11〜13に図示)は、1つの付勢要素に統合されても良いことに注意されたい。さらに、図14及び図15に示した1つ又は複数の装置1103は、部材1401及び1403を結合するための装置の、本明細書で説明した実施形態及びそれと同等な別の実施形態と置換することもできる。
【0037】
本発明に係る部材を結合するための装置は、補強材を外板に結合するのに特に有用である。例えば、図16〜図18で示すように、装置1600は、パネル組立品1607を形成するため、補強材1603の端部1601を外板1605に結合するのに用いられ、使用中に近接端部1601で発生する剥離応力に反対に作用する。図示した実施形態では、補強材1603は、接着剤層1701によって外板1605に接着接合される。接着剤層1701は、弾性接着剤、例えば、上述したようなものを含むことが好ましい。一般に、装置1600が1つのせん断荷重伝達部材1703を含むことを除けば、装置1600は2個の装置1103(図11〜図13に図示)に対応する。しかしながら、本発明の範囲は、そのようなものに限定されるわけではなく、むしろ、装置1600は、個々にせん断荷重伝達部材を含んで良い。複数のせん断荷重伝達部材が存在する場合、せん断荷重伝達部材は、互いに弾性が異なるものであって良いことに注意されたい。接着剤層1701は、せん断荷重伝達部材1105の一方又は両方と弾性が異なるものであって良いことにも注意されたい。せん断荷重伝達部材1105の弾性は、接着剤層1701の弾性よりも大きいことが好ましい。即ち、せん断荷重伝達部材1105に生じるせん断係数は、接着剤層1701に生じるせん断係数よりも小さいものである。さらに、装置1600は、本発明に係る補強材1603及び外板1605を結合するための装置の1つ又は複数の別の実施形態と置換することもできる。
【0038】
せん断荷重伝達部材(例えば、接着剤層109、せん断荷重伝達層701、接着剤層703、705、せん断荷重伝達部材809、909、1009、1105、1703など)は、繊維強化材を含み得ることに注意されたい。例えば、せん断荷重伝達部材809は、せん断荷重伝達部材809の耐クリープ性を向上させるように放射状に配置された繊維を含むことが好ましい。せん断荷重伝達部材は、その形態に関係なく、せん断荷重伝達部材内に繊維強化材を選択的に配置することによって、せん断係数が特定の所望の値となるように調整することができる。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態では、結合した部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段に、結合した部材自体が圧縮用のプリロードを与えるための手段を提供する。例えば、図19及び図20に図示するように、組立品1901は、第1の部材1903と、第2の部材1905と、第1の部材1903及び第2の部材1905の間に配置され、かつそれらと係合するせん断荷重伝達層1907と、クリップ1909とを含む。図19に示すように、非結合状態では、部材1903、1905は、縦方向に曲がっている、又は、互いに離れていくように変形している。図20で示すように結合したとき、部材1903、1905は互いに押し付けられ(矢印1910a、1910bで示される方向に)、変形又は曲がりがなくなるようにし、せん断荷重伝達層1907に圧縮用のプリロードを与えるようにする。図示した実施形態では、クリップ1909は、部材1903、1095に取り付けることによって、部材1903、1905を結合させる。せん断荷重伝達層1907は、本明細書に記載した実施形態のいずれかのせん断荷重伝達部材又は機構と置換することもできることに注意されたい。部材1903、1905の1つだけが、せん断荷重伝達層1907に圧縮用のプリロードを与えるようにしても良いことに注意されたい。そのような実施形態では、部材1903、1905の1つだけが、もう一方の部材1903、1905に対して曲げられる。
【0040】
図19及び図20の実施形態では、クリップ1907が、組立品1901の端部1911に取り付けられる。図21及び図22の実施形態は同様な作用をするものであるが、組立品2107を形成するため、クリップ2201が端部2105に沿って、第1の部材2101及び第2の部材2103を結合するように用いられることが異なっている。部材2101及び2103は、部材2101、2103の間に配置され、かつこれらと係合するせん断荷重伝達層109に圧縮用のプリロードを与える。
【0041】
結合される部材は、互いに対して横方向に曲げるようにすることもでき、それによって、せん断荷重伝達層に圧縮用のプリロードを与える。例えば、図23及び図24で示すように、組立品2301は、第1の部材2303と、第2の部材2305と、せん断荷重伝達層2307と、複数のクリップ2401とを含むものである。非結合状態では、図23で示すように、部材2303、2305は、互いに離れていくように横方向に曲がっている又は変形している。結合状態では、図24で示すように、部材2303、2305は互いに押し付けられて、変形又は曲がりがなくなり、せん断荷重伝達層2307に圧縮用のプリロードを与える。図示した実施形態では、クリップ2401が部材2303、2305に取り付けられて、部材2303、2305を結合するようにする。せん断荷重伝達層2307は、本明細書で説明した実施形態のいずれかのせん断伝達部材又は機構と置換することもできることに注意されたい。部材2303、2305の内の一方だけが、せん断荷重伝達層2307に圧縮用のプリロードを与えるようにして良いことにも注意されたい。そのような実施形態では、部材2303、2305の内の一方が、もう一方の部材2303、2305に対して曲げられる。
【0042】
本発明の実施形態には、締結要素が結合部材の一方又は両方の一部を含むものが存在する。例えば、図25及び図26で示すように、組立品2501は、第1の部材2503と、第2の部材2505と、せん断荷重伝達層2507と、第1の部材2503から延出する複数の締結要素2509とを含むものである。また、締結要素2509は、第2の部材2505から又は部材2503、2505の両方から延出しても良い。非結合状態では、図25で示すように、部材2503、2505は、互いに離れていくように横方向に曲がっている又は変形している。しかしながら、別の実施形態では、部材2503、2505は、図19又は図21の形態と同様な方法で、互いに離れていくように縦方向に曲げられても良い。結合状態では、図26で示すように、部材2503、2505は互いに押し付けられて、変形又は曲がりがなくなり、せん断荷重伝達層2507に圧縮用のプリロードを与える。図示した実施形態では、締結要素2509は、第2の部材2505の周囲に曲げられて、部材2503、2505を結合するようにする。せん断荷重伝達層2507は、本明細書で説明した実施形態のいずれかのせん断荷重伝達部材又は機構と置換することもできることに注意されたい。部材2503、2505の内の一方だけが、せん断荷重伝達層2507に圧縮用のプリロードを与えるようにしても良いことに注意されたい。そのような実施形態では、部材2503、2505の内の一方が、もう一方の部材2503、2505に対して曲げられる。
【0043】
ここまで、本発明は、せん断荷重伝達層又は部材を含むものとして説明してきたが、本発明の範囲は、そのようなものだけに限定されるわけではなく、むしろ、結合部材は、部材間にてせん断荷重を伝達させる1つ又は複数の機構を含むものであって良い。例えば、図27で図示するように、第1の部材2701は、刻みを付けた表面2703を備え、第2の部材2705は、刻みを付けた表面2707を備えている。刻みを付けた表面2703、2707の刻みを一致させて、部材2701、2703が結合される(例えば、本明細書で説明したいずれかの結合手法を用いて)と、刻みを付けた表面2703、2707は互いに機械的に係合し、使用中は部材2701、2703間のせん断荷重を伝達させるようにする。刻みを付けた表面(例えば、刻みを付けた表面2703、2707)又はその他のそのような機械的なインタロックは、上述したいずれかの実施形態で説明したせん断荷重伝達層、部材、又は要素と置換することもできる。
【0044】
本発明に係る組立品は、2つ以上の部材を含んで良いことに注意されたい。例えば、組立品の各ジョイントは、例えば、せん断荷重の伝達特性が異なるせん断荷重伝達要素又は機構を使用することによって、組立品の内部を伝達する荷重がバランスを保つように調整され得る。例えば、組立品のジョイントの1つが、特定のせん断係数又は特定の複数のせん断係数を有する、せん断荷重伝達層、部材、又は複数の層及び/又は部材を含んで良く、その一方で、組立品の別のジョイントが、異なる特定のせん断係数又は異なる特定の複数のせん断係数を有する、せん断荷重伝達層、部材、及び/又は複数の層又は部材を含んで良い。
【0045】
本明細書で使用する「せん断荷重伝達構造体」という用語は、部材間にてせん断荷重を伝達させるための手段、せん断荷重を伝達させる層、部材、要素、機構又は本明細書で説明した同様な物、及びそれらの同等物(以下のものに限定されるわけではないが、接着剤層、接着接合したせん断荷重を伝達させる層、結合部材の機械的なインタロック機構などを含む)のいずれかを含むことに注意されたい。本明細書で使用する「圧縮用プリロード付与機構」という用語は、圧縮用のプリロードを与えるための手段、付勢要素、部材の曲がり又は変形、又は本明細書で説明した同様の物又はそれらの同等物のいずれかを含むことに注意されたい。
【0046】
本発明は、次のような著しい効果をもたらす。(1)強度及び信頼性を高めた、軽量の組立式の構造物を提供する。(2)組立品にフレキシビリティがある。(3)ジョイントの元の全体的な剛性を保ちつつ、可変剛性要素の厚さ及び剛性の選択により構造物の構成要素間のすき間及び角度的な不整合を許容し、構造物の構成要素の面内の不整合を許容する。その結果、しっかりとしたジョイント性能とともに、組立時間及び製造コストの削減をもたらす。(4)機械化工程に対応した構造の従来のボルト式ジョイント又は従来の接着式ジョイントよりも重量及びコストを削減するとともに、静的性能及び疲労性能が改善された。
【0047】
本発明は、その他にも著しい効果がある。最も目を引く効果は、組立品を整合させて孔を開けるためのツール及びその処理ステップがなくなることによってもたらされる、著しいコストの削減及びサイクルタイムの削減である。これはファスナ用の孔の許容範囲が広いため、各部品の製造工程にてその孔を開けられるようになったからである。本発明の実行により、費用に占めるツール費の割合に有意な影響を与える。そして、組立用設備の数を減らして、「代金」を、即ち顧客の要求を満足させることもあり得る。複合ジョイントの組立用ロボットを採用するのに必要な資本経費も削減し得る。有意な関連効果には、組立工程での、不整合品の製造又は孔開けに関連した材料の見直し回数の減少がある。本発明はツールレス又は治具レス組立用の実現技術である。
【0048】
本発明は、ファスナ及び接着剤層の両者が一体となった動作を可能にし、壊滅的な破壊が起きる前に、過負荷を明瞭に、容易に監視できる視覚的な表示を提供する。
【0049】
大きめのファスナ用の孔を開ける又は設けることなく、その場でファスナの交換ができるようにもなる。不具合箇所を部分的に分散させ、接合面にて高レベルのエネルギを吸収することによって、複合構造物の生存性の反応を高める潜在能力を有する。
【0050】
許容範囲の広いファスナ用の孔によってもたらされた別の効果は、疲労寿命の向上である。安全ジョイントの機能は、結合荷重を伝達可能な2つの構成要素、即ち、第1の荷重伝達要素である接着剤層(又は接着剤層と結合したせん断荷重伝達層)及び第2の荷重伝達要素であるファスナを備えることによってもたらされる。
【0051】
上述した特定の実施形態は、例示のみを目的としたものであり、本発明は、様々な変更及び本明細書で教示した効果を有する同等の方法で実施することもできることは当業者には明らかであろう。さらに、本明細書で図示した構造又はデザインの詳細は、特許請求の範囲に記載した請求項の内容以外の制限は設けない。したがって、上述した特定の実施形態を変化又は変更することもできることは明らかであり、そのような全ての変形は、本発明の範囲及び精神の中に含まれるものとする。よって、保護の範囲は特許請求の範囲に記載の請求項の表現により規定される。著しい効果を有する発明を説明及び図示してきたことは明らかである。本発明は、限られた数の形態を図示しているが、これらの形態に限定されるものではなく、本発明の精神から逸脱しない様々な変化及び変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る組立品の第1の実施形態を示す側面図であり、組立品の部材を結合するための装置が非圧縮状態にあるところを示す図である。
【図2】図1の組立品の上面図である。
【図3】図1の組立品の底面図である。
【図4】図2の線4−4に沿った図1の組立品の断面図である。
【図5】組立品の部材を結合するための装置が圧縮状態にあるときの、図1の組立品の側面図である。
【図6】図4の図に対応する、組立品の部材を結合するための装置が圧縮状態にあるときの断面図である。
【図7】図1の組立品のせん断荷重伝達層に代わる代替せん断荷重伝達層が用いられた、図1の組立品の代替実施形態を示す側面図である。
【図8】本発明に係る組立品の第2の実施形態の分解斜視図である。
【図9】図1の装置のファスナに代わる代替ファスナの特定の一実施形態を示す、本発明に係る図1の部材を結合するための装置の代替実施形態を示す側面図である。
【図10】図1の装置のファスナに代わる代替ファスナの特定の一実施形態を示す、本発明に係る図1の部材を結合するための装置の代替実施形態を示す側面図である。
【図11】部材を結合するための装置が非圧縮状態にあるときの、図1の付勢要素に代わる代替付勢要素の実施形態を示す、本発明の組立品の第3の実施形態の上面図である。
【図12】図11の組立品の側面図である。
【図13】部材を結合するための装置が圧縮状態にあるときの図11の組立品の側面図である。
【図14】本発明に係る重ね継ぎした組立品の実施形態の上面図である。
【図15】図14の重ね継ぎした組立品の側面図である。
【図16】本発明に係る外板補強材を用いた組立品の実施形態の上面図である。
【図17】図16の外板補強材を用いた組立品の側面図である。
【図18】図16の外板補強材を用いた組立品の端面図である。
【図19】本発明に係るクリップ結合する組立品の第1の実施形態の、クリップを結合していない状態の側面図である。
【図20】図19のクリップ結合する組立品の、クリップを結合した状態の側面図である。
【図21】本発明に係るクリップ結合する組立品の第2の実施形態の、クリップを結合していない状態の側面図である。
【図22】図21のクリップ結合する組立品の、クリップを結合した状態の側面図である。
【図23】本発明に係るクリップ結合する組立品の第3の実施形態の、クリップを結合していない状態の端面図である。
【図24】図23のクリップ結合する組立品の、クリップを結合した状態の端面図である。
【図25】本発明に係るクリップ結合する組立品の第4の実施形態の、クリップを結合していない状態の端面図である。
【図26】図25のクリップ結合する組立品の、クリップを結合した状態の端面図である。
【図27】本発明に係るせん断荷重伝達構造体の実施形態を図式的に示す分解斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材及び第2の部材を結合するための装置であって、
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための手段と、
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段と別個に設けられた、前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための手段と、
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段に、圧縮用のプリロードを与えるための手段とを備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材によって画定されるファスナ用の孔を貫通して配置されるファスナを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材と係合する少なくとも1つのクリップを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段は、前記第1の部材から延出し、前記第2の部材の周囲に折り曲げられる少なくとも1つの締結要素を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材と動作可能に結合するケーブルを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材に接着接合したせん断荷重伝達層を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段は、前記第1の部材を前記第2の部材に接着する接着剤層を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材の内の少なくとも1つの面を、前記第1の部材及び前記第2の部材と機械的にかみ合わせることを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段に、前記圧縮用のプリロードを与えるための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材の内の少なくとも1つと動作可能に結合する付勢要素を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段に、前記圧縮用のプリロードを与えるための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材の内の少なくとも1つが変形していることを含み、
前記変形が実質的になくなると、前記第1の部材及び前記第2の部材の内の少なくとも1つが、前記第1の部材及び前記第2の部材間にてせん断荷重を伝達させるための前記手段に、前記圧縮用のプリロードを与えるようにすることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
組立品であって、
第1の部材と、
第2の部材と、
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための手段と、
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段と別個に設けられた、前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための手段と、
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段に、圧縮用のプリロードを与えるための手段とを備えることを特徴とする組立品。
【請求項12】
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材によって画定されるファスナ用の孔を貫通して配置されるファスナを含むことを特徴とする請求項11に記載の組立品。
【請求項13】
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材と係合する少なくとも1つのクリップを含むことを特徴とする請求項11に記載の組立品。
【請求項14】
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段は、前記第1の部材から延出し、前記第2の部材の周囲に折り曲げられる少なくとも1つの締結要素を含むことを特徴とする請求項11に記載の組立品。
【請求項15】
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材と動作可能に結合するケーブルを含むことを特徴とする請求項15に記載の組立品。
【請求項16】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材に接着接合したせん断荷重伝達層を含むことを特徴とする請求項11に記載の組立品。
【請求項17】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段は、前記第1の部材を前記第2の部材に接着する接着剤層を含むことを特徴とする請求項11に記載の組立品。
【請求項18】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材の内の少なくとも1つの面を、前記第1の部材及び前記第2の部材と機械的にかみ合わせることを含むことを特徴とする請求項11に記載の組立品。
【請求項19】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段に、前記圧縮用のプリロードを与えるための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材の内の少なくとも1つと動作可能に結合する付勢要素を含むことを特徴とする請求項11に記載の組立品。
【請求項20】
前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段に、前記圧縮用のプリロードを与えるための前記手段は、前記第1の部材及び前記第2の部材の内の少なくとも1つが変形していることを含み、
前記変形が実質的になくなると、前記第1の部材及び前記第2の部材の内の少なくとも1つが、前記第1の部材及び前記第2の部材間にて前記せん断荷重を伝達させるための前記手段に、前記圧縮用のプリロードを与えるようにすることを特徴とする請求項11に記載の組立品。
【請求項21】
組立品であって、
第1の部材と、
第2の部材と、
前記第1の部材及び前記第2の部材を結合するための結合要素と、
前記結合要素と別個に設けられた、前記第1の部材及び前記第2の部材と動作可能に結合するせん断荷重伝達構造体と、
前記せん断荷重伝達構造体に、圧縮用のプリロードを与える圧縮用プリロード付与機構とを備えることを特徴とする組立品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公表番号】特表2008−534870(P2008−534870A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503208(P2008−503208)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/010692
【国際公開番号】WO2006/102566
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(501163299)ベル ヘリコプター テクストロン インコーポレイテッド (20)
【Fターム(参考)】