説明

部材搬送装置

【課題】より少ないスペースで被搬送部材の搬送方向を変換しつつ搬送できる部材搬送装置を得る。
【解決手段】複数のタイヤ14を一括で吊り下げる一括投入用レール38は、キュアスターボールによって、横行方向(矢印A1及び反対方向)と、加硫缶18への投入方向(矢印B1及び反対方向)へ移動可能とされる。一方の移動体32が加硫缶18内にあるときに、これから独立して、他方の移動体32が横行方向へと移動できる。2つの移動体を連結した構成では、移動体を退避させるスペースが必要となるが、本発明ではこのようなスペースが不要なので、より少ないスペースで被搬送部材の搬送方向を変換しつつ搬送できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材搬送装置に関し、たとえば、未処理(未加硫)のタイヤを搬送して、特定の処理(加硫処理)を施すための部材搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤでは、たとえば未加硫のトレッドゴムを表面(トレッド面)に貼着した状態で加硫して、タイヤを更生することがある(特許文献1等参照)。この場合、前工程で加硫準備を済ませたタイヤ(加硫準備済みタイヤ)をタイヤ搬送装置(部材搬送装置)を用いて加硫装置への投入位置に搬送し、搬送方向を変換して加硫装置に投入する。次いで加硫済みのタイヤを加硫装置から抜き出した後、抜き出し位置で再度搬送方向を変換して次工程等に送ることが行われる。すなわち、ここで用いられるタイヤ搬送装置では、タイヤの加硫装置への投入・抜き出し方向と、投入位置までの搬送方向(抜き出し位置からの搬送方向)とが異なる方向である。
【0003】
このように、被搬送部材の搬送方向を変換する部材搬送装置では、より少ないスペースで被搬送部材を搬送できるようにすることが望まれる。
【特許文献1】特開平5―207000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を考慮し、より少ないスペースで被搬送部材の搬送方向を変換しつつ搬送できる部材搬送装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、被搬送部材を搬送するための第一の方向に沿って延在される主レールと、被搬送部材を保持すると共に前記主レールに沿って移動可能な複数の保持部材と、前記主レールの延在方向と交差する第二の方向に向かって主レールから延在されて前記保持部材が移動可能とされた副レールと、前記保持部材に備えられ、保持部材を前記主レールの延在方向と前記副レールの延在方向の少なくとも2方向に移動可能とする移動手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
この部材搬送装置では、被搬送部材を保持した保持部材を主レールに沿って第一の方向に搬送することができる。主レールからは、交差する第二の方向に向かって副レールが延在されているので、保持部材を、第一の方向から第二の方向へと搬送方向を変換して搬送することもできる。
【0007】
ここで、本発明では保持部材に、主レールの延在方向と副レールの延在方向の少なくとも2方向に移動可能とする移動手段が備えられている。すなわち保持部材は、1つの移動手段でこのように2方向に移動可能になっている。これに対し、保持部材を主レールの延在方向に沿って移動させる手段(これを「主移動手段」ということとする)と、副レールの延在方向に沿って移動させる手段(これを「副移動手段」ということとする)とを別々に設けた構成では、たとえば複数の保持部材の一部を主レール内から副レール内に移動させても、主レール内に主移動手段が残ってしまうことがある。したがって、主レール内に残った保持部を主レールに沿って移動させるには、主レール内に残った主移動手段を退避させる必要があり、退避のためのスペースも必要になる。
【0008】
本発明では、保持部材に設けられた1つの移動手段で保持部材が少なくとも2方向に移動可能であり、複数の保持部材の一部を主レール内から副レール内に移動させると、保持部材と一体で移動手段も副レール内に移動する。主レール内には移動手段が残らないので、主レール内に残った保持部材は、主レールに沿って自由に移動可能になる。移動手段を退避させるスペースが不要なので、より少ないスペースで被搬送部材の搬送方向を変換しつつ搬送できることとなる。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記保持部材が、前記被搬送部材を保持する複数の保持具と、複数の前記保持具を前記副レールの延在方向に沿って一体的に保持する一体化部材、を有し、前記移動手段が前記一体化部材に備えられていることを特徴とする。
【0010】
したがって、複数の保持具を用いて複数の被搬送部材を保持でき、しかも、被保持部材を一体化部材によって、副レールの延在方向に沿って一体的に保持できる。
【0011】
また、移動手段が一体化部材に備えられているので、複数の被保持部材を一体化した状態で、副レールに沿って移動させることができる。
【0012】
なお、移動手段は、一体化部材に直接的に取り付けられている必要はなく、他の部材を介して間接的に取り付けられていてもよい。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記移動手段が、球状に形成され前記主レール及び前記副レールに接触して回転するボールキャスターであることを特徴とする。
【0014】
すなわち、ボールキャスターが主レールと副レールのいずれかに接触しつつ回転することで、保持部材が主レールの延在方向と副レールの延在方向の少なくとも2方向に移動可能となる。ボールキャスターを用いることで、構造を簡素化できる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記副レールの前記主レールから延出された部分に、前記被搬送部材に特定の処理を施す処理装置が配置されていることを特徴とする。
【0016】
したがって、副レールに沿って被搬送部材を搬送すれば、被搬送部材を処理装置に投入することができる。そして、処置装置によって、被搬送部材に特定の処理を施すことが可能となる。また、投入方向と逆方向に被搬送部材を搬送して、処理装置から抜き出すことも可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記被搬送部材がタイヤであり、前記処理装置が、前記タイヤに特定の処理を施すタイヤ処理装置であることを特徴とする。
【0018】
すなわち、請求項4に記載の発明において、被搬送部材は特に限定されるものではないが、請求項5に記載のように被搬送部材をタイヤとし、処理装置をタイヤ処理装置とした構成とすることで、タイヤに特定の処理を施すことが可能になる。そして、タイヤに特定の処理を施す前後にはタイヤを搬送するが、この搬送のためのスペースが少なくて済む。
【0019】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、前記タイヤ処理装置が、前記タイヤを加硫する加硫装置であることを特徴とする。
【0020】
すなわち、請求項5に記載の発明において、タイヤ処理装置は特に限定されるものではないが、たとえば、請求項6に記載のように、タイヤを加硫する加硫装置とすることができる。そして、加硫の前後で必要とされるスペースが少なくて済む。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記構成としたので、より少ないスペースで被搬送部材の搬送方向を変換しつつ搬送できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1には、本発明の一実施形態の部材搬送装置として、タイヤを更生するためのタイヤ更生装置12が示されている。このタイヤ更生装置12は、これより前の工程で既に加硫準備がなされたタイヤ14を、加硫装置16の加硫缶18内に投入して加硫し、さらに、加硫済みのタイヤ14を加硫缶18から抜き出して、その次の工程に送るようになっている。すなわち、タイヤ14は加硫缶18で加硫されて更生される。
【0023】
タイヤ更生装置12は、加硫缶18と並んで配置された搬送ユニット20を有している。搬送ユニット20は、平面視にて長方形状のレールフレーム22を有しており、特に、加硫缶18へのタイヤ14の投入方向(矢印B1で示す)および排出方向(矢印B2で示す)と直交する2本のレールが、横行レール24とされている。横行レール24は、本発明に係る主レールとなっている。また、これら2本の横行レール24の長手方向(延在方向)が本発明に係る第一の方向であり、以下では横行方向という(矢印A1、A2で示す)。なお、レールフレーム22は、支持脚23によって設置面に支持されている。
【0024】
また、レールフレーム22には、横行方向の略中央に、横行方向と直交する直交レール26が配置され、2本の横行レール24間に掛け渡されている。直交レール26の長手方向(延在方向)が、加硫缶18へのタイヤ14の投入方向となっている。特に、直交レール26の左端は横行レール24よりもさらに左側に延長されて、加硫缶18内に至っている。このように直交レール26が横行レール24よりも延長された部分を、以下では延長部26Lとする。直交レール26は、本発明に係る副レールであり、その延在方向が、本発明に係る第二の方向となっている。
【0025】
横行レール24及び直交レール26はいずれも、モノレール構造とされている(なお、以下では、これら横行レール24及び直交レール26を特に区別する必要がないときは、レール28として説明する)。すなわち、図2に詳細に示すように、これらレール28のそれぞれは、長手方向と直交する断面で見たとき略矩形の断面を有しているが、レール28の下板28Pには、長手方向に沿って開口30が形成されている。開口30は、2本の横行レール24と1本の直交レール26を連続するように形成されている。
【0026】
レール28には、本発明の保持部材を構成する移動体32が配置されている。特に本実施形態では、2つの移動体32が平行に配置されている。
【0027】
2つの移動体32はいずれも同一の構造とされており、開口30に挿通される移動体本体部34と、この移動体本体部34の上部(レール28の内部)に配置されるキャスター部36、及び移動体本体部34の下部に取り付けられた一括投入用レール38を有している。
【0028】
図1から分かるように、一括投入用レール38は直交レール26と平行に配置されており、且つ、2本の横行レール24の間隔と略等しい長さを有している。また、図2から分かるように、一括投入用レール38も、長手方向と直交する断面で見ると略矩形状とされており、一括投入用レール38の下板38Pには、長手方向に沿って開口40が形成されている。開口40には、タイヤ14を吊り下げるための複数のフック42が長手方向に沿って挿通可能とされており、フック42の車輪44が、下板38Pの上面に回転可能に接触している。このように、複数のフック42を一体的に保持した状態で一括投入用レール38が移動することで、複数のタイヤ14を一括で加硫缶18に投入することができるようになっている。
【0029】
図1に示すように、移動体本体部34及びキャスター部36は、一括投入用レール38の両端、すなわち、2本の横行レール24のそれぞれに対応した位置に設けられている。キャスター部36は、図2に示すように、レール28の下板28Pに上方から接触する複数のキャスターボール46を有している。特に本実施形態では、1つのキャスター部36あたり4個(横行方向に2列、投入方向にも2列)のキャスターボール46を設けている。
【0030】
キャスターボール46は、キャスター部36から離脱不能で、且つ自由に回転可能とされており、キャスター部36を介して、一括投入用レール38に設けられている。したがって、キャスターボール46が下板28Pに接触しつつ回転することで、一括投入用レール38が横行レール24と直交する姿勢を維持しながら横行方向に沿って移動する、このとき、移動体32は、横行レール24内を移動している。また、移動体32がこの移動(横行)により直交レール26の位置に至ると、その向きは変えることなく移動方向のみを90度変換させて、直交レール26に沿った方向(投入方向)へと移動可能となる。
【0031】
このように、移動体32に、横行方向及び投入方向の少なくとも2方向に移動するキャスター部36を設けたことにより、一方の移動体32が直交レール26の延長部26L内に完全に入り込むと、この移動体32を構成しているキャスター部36も延長部26L内に入り込み、横行レール24からは退避する。したがって、横行レール24内に残った他方の移動体32は、横行方向に自由に移動可能となる。
【0032】
図1に示すように、横行方向の最も手前側に位置した一括投入用レール38の左側には、加硫準備済みのタイヤ14が吊り下げられたフック42の搬送用とされる上流側搬送レール48が備えられている。また、右側には、加硫済みのタイヤ14が吊り下げられたフック42の搬送用とされる下流側搬送レール50が備えられている。
【0033】
次に、本実施形態のタイヤ更生装置12の動作及び作用を、図3(A)〜(F)を参照しつつ説明する。なお、以下では、図4に示す比較例のタイヤ更生装置112を採り上げ、これと比較しつつ、本実施形態のタイヤ更生装置12の作用を説明する。比較例のタイヤ更生装置112において、本実施形態のタイヤ更生装置12と同一部分は、同一符号を付して詳細は説明を省略する。
【0034】
図4に示すように、比較例のタイヤ更生装置112の移動体114は、加硫缶18への投入方向に沿って配置された2本の直交レール116を有している。2本の直交レール116A、116Bは、筋交い状の連結棒120によって連結されて、直交レールユニット122を構成しており、直交レール116A、116Bは平行で且つ一定の間隔を維持している。以後、横行方向手前側の直交レールを直交レール116A、奥側の直交レールを直交レール116Bとして示し、これらを特に区別しないときは、直交レール116とする。
【0035】
図5に示すように、直交レール116は断面が矩形状で、下板116Pには、長手方向に沿って開口118が形成されている。直交レール116の上部には横行用車輪124が備えられており、この横行用車輪124が横行レール24内で下板24Pに接触しつつ回転することで、横行方向(矢印A1方向及び矢印A2方向)に移動するようになっている。
【0036】
また、一括投入用レール38の上部には、投入用車輪126が備えられており、この投入用車輪126が直交レール116内で下板116Pに接触しつつ回転することで、一括投入用レール38が投入方向(図4に示す矢印B1方向及び反対方向)に移動するようになっている。このとき、直交レール116は移動せず、2本の横行レール24の間に残る。
【0037】
なお、加硫缶18内にも直交レール116Cが設けられており、直交レールユニット122の横行によって(その位置に応じて)、直交レール116A又は直交レール116Bのいずれかが、直交レール116Cと一直線状になる。
【0038】
このような構成とされた比較例のタイヤ更生装置112を用いた、タイヤ14の加硫・更生処理の工程が、図6に(A)〜(F)へと順に示されている。
【0039】
まず、図6(A)に示すように、横行方向手前側の直交レール116Aを上流側搬送レール48と直線状になる位置まで移動体114を移動させる。このとき奥側の直交レール116Bは、加硫缶18内に配置された直交レール116Cと直線状になっている。この状態で、加硫準備が済んだタイヤ14がフック42に吊り下げられて搬送され、さらに、手前側の直交レール116Aの一括投入用レール38にセットされる。タイヤ14は1本ごとに1つのフック42に吊り下げられているが、複数のフック42を一括投入用レール38に順次セットすることで、以降は複数のタイヤ14を一体的に処理可能となる。このとき、加硫缶18内には、加硫済みの複数のタイヤ14がある。
【0040】
次に、図6(B)に示すように、加硫缶18内の一括投入用レール38を奥側の直交レール116Bへ(矢印B2方向へ)移動させて、加硫済みのタイヤ14を加硫缶18から排出する。
【0041】
そして、図6(C)に示すように、2本の直交レール116A、116Bを奥側(矢印A1方向)へと横行させて、直交レール116Aを加硫缶18の側方に位置させ、直交レール116Cと一直線状になる位置とする。
【0042】
図6(D)に示すように、直交レール116Aの一括投入用レール38を矢印B1方向に移動させて複数のタイヤ14を加硫缶18に投入した後、図6(E)に示すように、直交レールユニット122を手前側(矢印A2方向)へと横行させて、奥側の直交レール116Bを下流側搬送レール50と一直線状にする。
【0043】
最後に、図6(F)に示すように、下流済みのタイヤ14を吊り下げたフック42を下流側搬送レール50へと移動させる。引き続き、図6(A)に示す工程に戻って、以後同様の処理を行うことが可能である。
【0044】
ここで、図6(E)及び(F)から分かるように、比較例のタイヤ更生装置112では、奥側の直交レール116Bを下流側搬送レール50と一直線状にするとき、手前側の直交レール116Aや連結棒120等が退避するためのスペースSPが必要になっている。
【0045】
一方、図3には、本発明のタイヤ更生装置12を用いてタイヤ14の加硫・更生処理を行う工程が(A)〜(F)へと順に示されている。
【0046】
本発明に係る加硫・更生工程では、まず、図3(A)に示すように、2つの移動体32のうちの1つ(この移動体を以後は移動体32Aとして、他方の移動体を移動体2Bとして、それぞれ区別する)を上流側搬送レール48と直線状になる位置まで移動させる。この状態で、加硫準備が済んだタイヤ14がフック42に吊り下げられて搬送され、さらに、移動体32Aの一括投入用レール38にセットされる。比較例の場合と同様に、タイヤ14は1本ごとに1つのフック42に吊り下げられているが、複数のフック42を一括投入用レール38に順次セットすることで、以降は複数のタイヤ14を一体的に処理可能となる。なお、このとき、残る1本の移動体(以後はこれを移動体32Bとして、移動体32Aと区別する)は、一括投入用レール38を加硫缶18内に位置させることで、タイヤ14の加硫を行うことが可能である。
【0047】
次に、図3(B)に示すように、加硫缶18内の移動体32B(一括投入用レール38)を矢印B2方向に移動させて、加硫済みのタイヤ14を加硫缶18から排出する。
【0048】
そして、図3(C)に示すように、2本の移動体32A、32Bを奥側(矢印A1方向)へと横行させて、移動体32Aの一括投入用レール38を加硫缶18の側方に位置させる。
【0049】
さらに、図3(D)に示すように、移動体32Aの一括投入用レール38を加硫缶18内に移動させて複数のタイヤ14を加硫缶18に投入する。このとき、本実施形態では、一方の移動体32Aが直交レール26の延長部26L内に完全に入り込むと、この移動体32Aを構成しているキャスター部36も延長部26L内に入り込み、横行レール24からは退避する。したがって、横行レール24内に残った他方の移動体32Bは、横行方向に自由に移動可能となる。
【0050】
したがって、図3(E)に示すように、奥側に位置していた移動体32Bを手前側(矢印A2方向)へと横行させて、一括投入用レール38を下流側搬送レール50と一直線状にする。
【0051】
最後に、図3(F)に示すように、下流済みのタイヤ14を吊り下げたフック42を下流側搬送レール50へと移動させる。引き続き、図3(A)に示す工程に戻って(但し、移動体32Aと移動体32Bとが実質的に入れ替わる)、以後同様の処理を行うことが可能である。
【0052】
ここで、図3(E)及び(F)から分かるように、本実施形態では、一方の移動体32Aが横行レール24からは退避した状態で他方の移動体32Bを横行させることができる。すなわち、比較例の構成のように、手前側の直交レール116Aが退避するスペースSP(図6(E)及び(F)参照)が不要であり、より少ないスペースでのタイヤ14の搬送方向を変換して、所望の処理を行うことが可能になっている。
【0053】
なお、上記では、本発明の部材搬送装置として、加硫缶18を有する加硫装置16を含んだ構成のものを挙げており、この加硫装置16は、本発明に係る処理装置の一例となっている。すなわち、本発明に係る処理装置としては、この加硫装置16に限定されない。同様に、この処理装置での処理対象としても上記したタイヤ14に限定されないが、タイヤを処理対象とした場合であっても、加硫の他、表面の加工(切削、刻印、印刷、他部材の貼着)等、特定の処理を挙げることができる。もちろん、処理対象に応じて、各種の処理装置を設定できる。
【0054】
また、本発明の部材搬送装置では、このような処理装置を有さないもの、すなわち搬送ユニット20のみで構成されているもの等も含まれる。たとえば、加硫装置16が配置されている位置に、加硫装置16に代えて被搬送部材を検査する検査位置を設定してもよい。この場合、被搬送部材に対し何ら処理を施さないが、本発明の部材搬送装置とすることで、より少ないスペースで被搬送部材を搬送し、検査することが可能になる。
【0055】
本発明の移動手段としても、上記したボールキャスターに限定されず、保持部材を第一の方向と第二の方向の少なくとも2方向に移動可能とするものであればよい。ボールキャスターを用いると、簡単な構造でこのような移動を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る部材搬送装置であるタイヤ更生装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態のタイヤ更生装置の移動体及びその近傍を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態のタイヤ更生装置を用いてタイヤを更生する工程を(A)〜(F)へと順に示す説明図である。
【図4】比較例のタイヤ更生装置の概略構成を示す斜視図である。
【図5】比較例のタイヤ更生装置の移動体及びその近傍を拡大して示す断面図である。
【図6】比較例のタイヤ更生装置を用いてタイヤを更生する工程を(A)〜(F)へと順に示す説明図である。
【符号の説明】
【0057】
12 タイヤ更生装置(部材搬送装置)
14 タイヤ
16 加硫装置(タイヤ処理装置)
18 加硫缶
24 横行レール(主レール)
26 直交レール(副レール)
32 移動体
36 キャスター部
38 一括投入用レール(一体化部材、保持部材)
42 フック(保持具、保持部材)
44 車輪
46 キャスターボール(移動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送部材を搬送するための第一の方向に沿って延在される主レールと、
被搬送部材を保持すると共に前記主レールに沿って移動可能な複数の保持部材と、
前記主レールの延在方向と交差する第二の方向に向かって主レールから延在されて前記保持部材が移動可能とされた副レールと、
前記保持部材に備えられ、保持部材を前記主レールの延在方向と前記副レールの延在方向の少なくとも2方向に移動可能とする移動手段と、
を有することを特徴とする部材搬送装置。
【請求項2】
前記保持部材が、
前記被搬送部材を保持する複数の保持具と、
複数の前記保持具を前記副レールの延在方向に沿って一体的に保持する一体化部材、
を有し、
前記移動手段が前記一体化部材に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の部材搬送装置。
【請求項3】
前記移動手段が、
球状に形成され前記主レール及び前記副レールに接触して回転するボールキャスターであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の部材搬送装置。
【請求項4】
前記副レールの前記主レールから延出された部分に、前記被搬送部材に特定の処理を施す処理装置が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の部材搬送装置。
【請求項5】
前記被搬送部材がタイヤであり、
前記処理装置が、前記タイヤに特定の処理を施すタイヤ処理装置であることを特徴とする請求項4に記載の部材搬送装置。
【請求項6】
前記タイヤ処理装置が、前記タイヤを加硫する加硫装置であることを特徴とする請求項5に記載の部材搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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