説明

配合設計方法、ソイルセメント

【課題】精度良く強度を予測することのできるソイルセメントを形成する際に用いられる注入液の配合設計方法を提供する。
【解決手段】注入液における単位水量と単位セメント量の比を設定するステップ(S120)と、ソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比に対する強度の関係に基づき、所定の強度に対応する高強度ソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比を求めるステップ(S150)と、求めたソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比と、予め測定された地盤条件とに基づき、注入液における単位水量及び単位セメント量を算出するステップ(S160)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソイルセメントを形成する際に用いられるセメント系材料からなる注入液の配合設計方法に関し、特に、高強度ソイルセメントを形成する際に用いられる注入液の配合設計方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、土留壁などには、低コストで構築することのできるソイルセメント壁が用いられている。ソイルセメント壁を構成する方法としては、削孔撹拌された土にセメント系材料からなる注入液を混入し、土と注入液を撹拌することによりソイルセメントを形成するソイルセメント撹拌工法が用いられることが多い。
【0003】
従来、このようにソイルセメントを形成するために用いられる注入液の配合は、例えば、非特許文献1に記載されているように、ソイルセメントにおける水セメント比とソイルセメントの強度との関係を直線により近似し、この近似直線に基づき注入液の水セメント比を算出し、配合を決定していた。
【非特許文献1】“改訂版 建築物の改良地盤の設計及び品質管理指針 ―セメント系固化材を用いた深層・浅層混合処理工法―” 財団法人 日本建築センター、平成14年11月30日、p.313−330
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した注入液の配合を決定するために用いられている注入液の配合に対する強度の関係は、比較的に強度の低いソイルセメントを対象として行った実験結果に基づき決定されたものである。しかし、低強度のソイルセメントは含まれる土が多いので、この実験結果はばらつきが大きい。そのため、安全率を高く設定しなければならず、所要の設計基準強度を発現させるためには、その強度を室内配合試験で発現させるのに必要な注入液の量に比べて過大な量の注入液を混合しなければならなくなって、コスト高になる。
また、発明者らは、ソイルセメントに混入するセメントの割合を増やすことにより、ソイルセメント強度を向上させ、高強度ソイルセメントを構築する試みを行っているが、上記の実験結果は普通強度のソイルセメントに限られており、高強度ソイルセメントを構築する際に、上記の方法を用いた場合には、得られた調合設計で充分な強度が得られない虞がある。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、精度良く強度を予測することのできるソイルセメントを形成する際に用いられる注入液の配合設計方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調合設計方法は、セメント系材料からなる注入液と土とを混合撹拌することにより、所定の強度を有するソイルセメントを形成するための前記注入液の配合設計方法であって、前記注入液における単位水量と単位セメント量の比を設定するステップと、ソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比に対する強度の関係に基づき、前記所定の強度に対応するソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比を求めるステップと、前記求めたソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比と、予め測定された地盤条件とに基づき、前記注入液における単位水量及び単位セメント量を算出するステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の配合設計方法において、前記ソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比に対する強度の関係は、前記ソイルセメントを構築する位置の地盤を構成する土砂に、単位水量と単位セメント量との比を異なる複数の値に設定したセメント系材料からなる注入液を混合することにより形成した複数の試供体を用いた圧縮実験により求めてもよい。
【0008】
また、前記ソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比に対する強度の関係は、28日強度をqu(28)[N/mm]、ソイルセメントにおける単位セメント量をC´[kg/m]、単位水量をW´[kg/m]、変数をAとした時に次式(1)及び(2)で表されてもよい。
qu(28)=0.154(C´/W´)+A ……(1)
−4.0≦A≦1.0 ……(2)
【0009】
また、前記設定した注入液における単位水量と単位セメント量との比と、前記求めたソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比と、前記土砂の単位乾土量と、に基づきソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比を算出するステップと、ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータの関係に基づき、前記算出した単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対応する前記流動性パラメータを求めるステップと、前記算出した流動性パラメータの値に基づき、分散剤の配合量を決定するステップとを備えてもよい。
【0010】
また、前記ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータの関係は、前記ソイルセメントを構築する予定の位置の地盤を構成する土砂と、単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比が複数の異なる値となるように調整したセメント系材料からなる注入液とを混合することによりソイルセメントを形成し、前記形成したソイルセメントの流動性パラメータを測定することにより求めてもよい。
【0011】
また、前記流動性パラメータはテーブルフロー値であり、前記ソイルセメントを構築する予定の位置の地盤を構成する土砂が砂質土である場合に、前記ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータの関係は、前記テープルフロー量をTF(mm)、前記単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比を(W´/(C´+Ms´))、変数をBとした時、次式(3)及び(4)で表されてもよい。
TF=13.1×(W´/(C´+Ms´))+B ……(3)
−100≦B≦−40 ……(4)
【0012】
また、前記流動性パラメータはテーブルフロー値であり、前記ソイルセメントを構築する予定の位置の地盤を構成する土砂がシルト質である場合に、前記ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータとの関係は、前記テープルフロー量をTF(mm)、前記単位セメント量及び単位乾土量の和に対する単位水量との比を(W´/(C´+Ms´))とした時、次式(5)及び(6)で表されてもよい。
TF=4.86×(W´/(C´+Ms´))+B ……(5)
−40≦B≦−10 ……(6)
【0013】
また、前記流動性パラメータはテーブルフロー値であり、前記ソイルセメントを構築する予定の位置の地盤を構成する土砂が粘性土である場合に、前記ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータとの関係は、前記テープルフロー量をTF(mm)、前記単位セメント量及び単位乾土量との和に対する単位水量の比を(W´/(C´+Ms´))とした時、次式(7)及び(8)で表されてもよい。
TF=3.15×(W´/(C´+Ms´))+B ……(7)
−100≦B≦−30 ……(8)
また、前記ソイルセメントは高強度ソイルセメントであってもよい。
また、本発明は、上記の配合設計方法により得られた配合設計に基づき形成したことを特徴とするソイルセメントを含むものとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水セメント比とソイルセメントの強度との関係の傾向にばらつきの少ない高強度ソイルセメントにおけるソイルセメントの水セメント比に対する強度との関係に基づき、注入液の調合を決定しているため、ソイルセメントの強度を精度良く算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の調合設計方法を図面を参照しながら、詳細に説明する。
従来技術の欄で説明したように、ソイルセメントの強度を推定する際に用いられるソイルセメントにおける水セメント比と強度との関係は、非常にばらつきの大きい試験結果に基づき算出しており、所要の設計基準強度を発現させるためには、その強度を室内配合試験で発現させるのに必要な注入液の量に比べて過大な量の注入液を混合しなければならず、コスト高になる。また、この関係を求めるために用いられた試験結果には、4[N/mm]以上の強度を有する高強度ソイルセメントの試験結果はほとんど含まれていない。
【0016】
そこで、発明者らは単位水量に対する単位セメント量の比(以下、セメント水比という)と、一軸圧縮強度との関係を調べるため、ソイルセメントを混入する土の土質の条件を砂質土、シルト、粘性土とし、さらに、各条件において単位水量に対するセメント水比を異なる複数の値に設定した試供体を作成し、各試供体の一軸圧縮強度(28日強度)を調べた。なお、セメント水比は、試供体が高強度ソイルセメントとなるように(すなわち、一軸圧縮強度が4[N/mm]以上となるように)設定した。
【0017】
図1は、各試供体のセメント水比に対する一軸圧縮強度の関係を示すグラフである。同図に示すように、各試供体の試験結果は、土質の条件の違いによるばらつきは少なく、グラフ左下から右上に延びるように分布している。このため、一軸圧縮強度をqu、ソイルセメントにおける単位水量をW´、単位セメント量をC´、定数をα、Aとすると、セメント水比と一軸圧縮強度quとの関係は次式(9)のように定式化することができる。
qu=α×(C´/W´)+A ……(9)
【0018】
全試供体の試験結果を直線近似すると、その傾きは、0.154となった。これにより、式(9)におけるαとして0.154を用いることができる。また、αを0.154として、各試供体の試験結果が式(9)に含まれるように変数Aの値を調整すると、Aは−4.0〜1.0となった。
【0019】
上述のように、ソイルセメントにおけるセメント水比に対する一軸圧縮強度の関係は、土質によらず、ばらつきが少ない。このため、土砂の条件によらず、式(9)に表されるソイルセメントのセメント水比と一軸圧縮強度との関係を用いて、高強度ソイルセメントに所定の強度を持たせるために、必要となるセメント水比を算出することができる。式(9)は、上述のように、ばらつきの少ない試験結果に基づき設定されたものであり、このため、一軸圧縮強度を精度良く算出することができる。
【0020】
また、高強度ソイルセメントは普通強度のソイルセメントに比べて単位セメント量が大きいため、セメントの粘性が高くなり、流動性が低くなることが予想される。このような場合には、施工性が損なわれないよう、分散剤などを加えて流動性を向上する必要がある。しかし、従来は、高強度ソイルセメントにおける流動性を示すパラメータを精度良く算出する方法が確立されていなかった。
【0021】
そこで、発明者らは、上記の実験に用いた試供体についてテーブルフロー値を測定し、テーブルフロー値と、単位セメント量と単位乾土量の和に対する単位水量の比(すなわち、W´/(C´+Ms´))とをグラフにプロットした。図2は、単位セメント量と単位乾土量の和に対する単位水量の比に対するテーブルフロー値の関係を示すグラフである。同図に示すように、単位セメント量と単位乾土量の和に対する単位水量の比と、テーブルフロー値との関係は、注入液を混入する土質の条件により傾きや値が異なるが、各条件ともに単位セメント量と単位乾土量の和に対する単位水量の比が増加するのに応じてテーブルフロー値が増加している。このため、各条件ともにテーブルフロー値をTF,単位セメント量をC´、単位水量をW´、単位乾土量をMs´、定数をβ、Bとすると次式(10)で表すことができる。
TF=β×(W´/(C´+Ms´))+B ……(10)
【0022】
上述の実験結果に基づき、各土質条件に対する変数β、Bを算出すると、以下の通りとなった。
土質条件が砂質土の場合には、各試験結果の近似直線の傾きを算出すると、13.1となる。このため、式(10)におけるβ=13.1とすることができる。また、各試験結果を満たすようにBの値の範囲を決定すると−100≦B≦−40となる。
【0023】
土質条件がシルト質の場合には、各試験結果の近似直線の傾きを算出すると、4.86となる。このため、式(10)におけるβ=4.86とすることができる。また、各試験結果を満たすようにBの値の範囲を決定すると−40≦B≦−10となる。
【0024】
土質条件が粘性土の場合には、各試験結果の近似直線の傾きを算出すると、3.15でとなる。このため、式(10)におけるβ=3.15とすることができる。また、各試験結果を満たすようにBの値の範囲を決定すると−100≦B≦−30となる。
【0025】
上記の実験結果をふまえて、本実施形態のソイルセメントの配合設計方法は以下のような流れとする。
図3は、本実施形態のソイルセメントの配合設計の流れを示す図である。同図に示すように、まず、ステップ100において、改良対象となる地盤の土質性状を土質調査等により調べる。具体的には、地山の土質、地山の土粒子の密度Dy[t/m]、地山の体積Vj,及び地山の含水比Wn[割合]を調べる。
【0026】
次に、ステップ110において、注入液などの密度等を調べる。具体的には、セメントの密度Dc[t/m]、ベントナイトの密度Dbt[t/m]、遅延剤の密度Dr[t/m]、分散剤の密度Db[t/m]、及び水の密度Dw[t/m]を調べる。なお、本実施形態では、水の密度Dwは1.0とする。
【0027】
次に、ステップ120において、土質、注入設備、掘削機の撹拌混合能力、注入率の大小の要望などに基づき注入液の水セメント比W/C=Zを設定する。
次に、ステップ130において、ブリージング防止のためのベントナイト量Eを設定する。
次に、ステップ140において、地盤の改良開始から芯材の建込み完了までの作業時間、セメント量、注入液の水セメント比W/Cを考慮して、遅延剤量Rを決定する。
【0028】
次に、ステップ150において、目標配合強度に対応する高強度ソイルセメントにおけるセメント水比C´/W´=Xを算出する。なお、この際、上述のように対象となる地山の土砂を用いた実験によりセメント水比と一軸圧縮強度との関係を求め、この関係に基づきC´/W´=Xを算出してもよいし、上述の実験により得られた式(9)に基づき、セメント水比を決定してもよい。
次に、ステップ160において、以下の式に基づき、諸量を算出する。
地山の密度Dj=(1+Wn)/[(1/Dy)+Wn]
地山の水量Mw=[Wn/(1/Dy+Wn)]×Vj×1000
地山の乾土量Ms=[1/(1/Dy+Wn)]×Vj×1000
注入液のセメント量C=X×Mw/(1−X×Z)
注入液水量W=C×Z
注入液体積VL=(C/Dc+W/Dw+E/Dbt+R/Dr)/1000
注入率n=VL/Vj×100
全水量TW=W+Mw
ソイルセメント(改良土)の密度Ds=(C+E+R+TW+Ms)/1000/(1+n/100)
単位水量W´=TW/(1+n/100)
単位セメント量C´=C/(1+n/100)
単位乾土量Ms´=Ms/(1+n/100)
W´/(C´+Ms´)=TW/(C+Ms)×100
【0029】
次に、ステップ170において、上記算出した単位セメント量と単位乾土量の和に対する単位水量の比(W´/(C´+Ms´))と、テーブルフロー値TFとの関係を表す式(10)に基づき、流動性を表す指標であるテーブルフロー値TFを算出する。算出したテーブルフロー値TFが管理目標値を逸脱している場合は、分散剤あるいは増粘剤を添加する。
【0030】
次に、ステップ180において、以上の工程により得られた、単位セメント量C、単位水量W、ベントナイト量Bt、遅延剤量R、分散剤又は増粘材の量Bを注入液の配合として確定する。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の注入液の配合設計方法によれば、ばらつきの小さい高強度ソイルセメントの試験結果に基づき決定された水セメント比に対する強度の関係を用いて、高強度ソイルセメントに所用の強度を持たせるために必要な注入材における水セメント比を算出している。このため、本実施形態により決定された注入液の調合によれば、確実に所定の強度を有する高強度ソイルセメントを形成することができる。
【0032】
なお、本実施形態では高強度ソイルセメントの配合設計を行う場合について説明したが、これに限らず、普通強度のソイルセメントの配合設計を行う場合にも用いることができる。 また、上記の実施形態では、高強度ソイルセメントにおけるセメント水比と、強度の関係に基づき、セメント水比を算出したが、これに限らず、水セメント比と、強度の関係に基づき水セメント比を算出する構成とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】各条件におけるセメント水比と一軸圧縮強度との関係を示すグラフである。
【図2】単位セメント量と単位乾土量の和に対する単位水量の比に対するテーブルフロー値の関係を示すグラフである。
【図3】本実施形態のソイルセメントの配合設計の手順を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント系材料からなる注入液と土とを混合撹拌することにより、所定の強度を有するソイルセメントを形成するための前記注入液の配合設計方法であって、
前記注入液における単位水量と単位セメント量の比を設定するステップと、
ソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比に対する強度の関係に基づき、前記所定の強度に対応するソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比を求めるステップと、
前記求めたソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比と、予め測定された地盤条件とに基づき、前記注入液における単位水量及び単位セメント量を算出するステップと、を備えることを特徴とする配合設計方法。
【請求項2】
請求項1記載の配合設計方法であって、
前記ソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比に対する強度の関係は、前記ソイルセメントを構築する位置の地盤を構成する土砂に、単位水量と単位セメント量との比を異なる複数の値に設定したセメント系材料からなる注入液を混合することにより形成した複数の試供体を用いた圧縮実験により求めたことを特徴とする配合設計方法。
【請求項3】
請求項1記載の配合設計方法であって、
前記ソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比に対する強度の関係は、
28日強度をqu(28)[N/mm]、ソイルセメントにおける単位セメント量をC´[kg/m]、単位水量をW´[kg/m]、変数をAとした時に次式(1)及び(2)で表されることを特徴とする配合設計方法。
qu(28)=0.154(C´/W´)+A ……(1)
−4.0≦A≦1.0 ……(2)
【請求項4】
請求項1から3何れかに記載の配合設計方法であって、
前記設定した注入液における単位水量と単位セメント量との比と、前記求めたソイルセメントにおける単位水量と単位セメント量との比と、前記土砂の単位乾土量と、に基づきソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比を算出するステップと、
ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータの関係に基づき、前記算出した単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対応する前記流動性パラメータを求めるステップと、
前記算出した流動性パラメータの値に基づき、分散剤の配合量を決定するステップとを備えることを特徴とする配合設計方法。
【請求項5】
請求項4記載の配合設計方法であって、
前記ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータの関係は、
前記ソイルセメントを構築する予定の位置の地盤を構成する土砂と、単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比が複数の異なる値となるように調整したセメント系材料からなる注入液とを混合することによりソイルセメントを形成し、前記形成したソイルセメントの流動性パラメータを測定することにより求めたことを特徴とする配合設計方法。
【請求項6】
請求項4記載の配合設計方法であって、
前記流動性パラメータはテーブルフロー値であり、
前記ソイルセメントを構築する予定の位置の地盤を構成する土砂が砂質土である場合に、
前記ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータの関係は、
前記テープルフロー量をTF(mm)、前記単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比を(W´/(C´+Ms´))、変数をBとした時、次式(3)及び(4)で表されることを特徴とする配合設計方法。
TF=13.1×(W´/(C´+Ms´))+B ……(3)
−100≦B≦−40 ……(4)
【請求項7】
請求項4記載の配合設計方法であって、
前記流動性パラメータはテーブルフロー値であり、
前記ソイルセメントを構築する予定の位置の地盤を構成する土砂がシルト質である場合に、
前記ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータとの関係は、
前記テープルフロー量をTF(mm)、前記単位セメント量及び単位乾土量の和に対する単位水量との比を(W´/(C´+Ms´))とした時、次式(5)及び(6)で表されることを特徴とする配合設計方法。
TF=4.86×(W´/(C´+Ms´))+B ……(5)
−40≦B≦−10 ……(6)
【請求項8】
請求項4記載の配合設計方法であって、
前記流動性パラメータはテーブルフロー値であり、
前記ソイルセメントを構築する予定の位置の地盤を構成する土砂が粘性土である場合に、
前記ソイルセメントにおける単位セメント量及び単位乾土量の和と単位水量との比に対する流動性を表す流動性パラメータとの関係は、
前記テープルフロー量をTF(mm)、前記単位セメント量及び単位乾土量との和に対する単位水量の比を(W´/(C´+Ms´))とした時、次式(7)及び(8)で表されることを特徴とする配合設計方法。
TF=3.15×(W´/(C´+Ms´))+B ……(7)
−100≦B≦−30 ……(8)
【請求項9】
請求項1から8何れかに記載の配合設計方法であって、
前記ソイルセメントは高強度ソイルセメントであることを特徴とする配合設計方法。
【請求項10】
請求項1から9何れかに記載の配合設計方法により得られた配合設計に基づき形成したことを特徴とするソイルセメント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−31769(P2008−31769A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208100(P2006−208100)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】