説明

配水管、分水栓付き配水管及びその埋設方法

【課題】分水栓付き配水管の埋設深さを浅くする。
【解決手段】管体2に分水栓設置用の分岐孔5を備え、前記管体2は、地中への埋設前の状態で、前記分岐孔5の位置に分水栓が備えられており、その分水栓は、前記管体2の外面から前記分岐孔5と対向して立上がる通水孔と、その通水孔の先に設けた弁室と、その弁室から側方に延びる通水孔を形成した接続部と、前記弁室に、前記分岐孔と対向する前記通水孔から前記弁室の側方の通水孔への連通を開閉する弁体を設けた止水弁とを有する分水栓付き配水管とした。この構成によれば、管体2に分岐孔5を形成するための穿孔機を、分水栓に取付ける必要がないので、分水栓の取付部を省略して、分水栓の高さを低くすることができる。したがって、分水栓付き配水管の埋設深さを浅くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、管体に分水栓取付用の分岐孔を備える配水管、その配水管に分水栓を取付けた分水栓付き配水管、及びその埋設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設された配水管から新たな需要者へ管路を分岐させる場合、例えば、以下の方法が挙げられる。
すなわち、まず、配水管の管体52全体が露出する深さまで地盤を掘削する。次に、図16に示すように、半円状のサドル55aを、止水部60が管体52に対して上向きとなるようにその管体52の外面に当てがうとともに、管体52の外面のサドル55aの位置から円周方向へ半周ずれた位置に、半円状のバンド55bを当てがう。そのサドル55aとバンド55bのそれぞれの両端のフランジ56,57に、ボルト58aを差し込んでナット58bで締め付けることにより、サドル付き分水栓54を管体52に取付ける。
【0003】
このサドル付き分水栓54は、管体52の外面から立ち上がる通水孔61と、その通水孔61の先に形成した弁室62と、その弁室62から側方に延びる通水孔63を形成した接続部64と、弁室62から上方に延びるドリル通孔65を形成した取付部66と、弁室62に弁体67を設けた止水弁とを有する。止水弁の弁体67は、管体52側の通水孔61と接続部64側の通水孔63とドリル通孔65とを互いに連通させる三方向の連通孔68が形成されており、接続部64と反対側の側方に設けたスピンドル69で弁体67を90度回転することにより、両通水孔61,63同士、又は、通水孔61とドリル通孔65との連通を開閉できるようになっている。
【0004】
その後、管体52に分岐孔70を穿孔するための穿孔機をサドル付き分水栓54の取付部66に取付け、互いに一直線上に連通したドリル通孔65と連通孔68と管体52側の通水孔61とを通じて上方から穿孔機のドリルを降下させて管体52に分岐孔70を形成する。次いで、ドリルを引き上げると共に止水弁を閉じて水の流出を断ち、この状態で穿孔機を取付部66から取外して、図17に示すように、取付部66のドリル通孔65を蓋71で閉塞する。そして、接続部64に給水管72を接続し、その後止水弁を開いて給水管72へ給水するという手順で行われる。
【0005】
ところで、上記配水管は、その管体52の内面にエポキシ樹脂粉体塗装やモルタルライニング等の防食被膜75を施すことで管体52の内面52aの腐食を防止しているが、上記のように管体52に形成した分岐孔70の内面には金属素地(例えば、鋳鉄)がむき出しとなり、その分岐孔70の内面に水が絶えず触れる状態となる。このため、分岐孔70の内面に錆が発生して赤水の原因となり、長期間この状態が続くと、錆が錆こぶに成長して分岐孔70を閉塞してしまうおそれもある。
【0006】
そこで、上記分岐孔70の内面に錆が発生するのを防止するため、例えば、図17に示すように、ゴム、樹脂、ステンレスや銅合金などの耐食性の材料、あるいは、これらを組み合わせたもので形成された防食スリーブ73で分岐孔70の内面を被覆して保護することが一般的に行なわれている。この場合、分岐孔70の内面に水が浸入しないように、防食スリーブ73の上下に外径側に拡がるフランジ部を設けて、管体52の内外面と密着するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平07−332583号公報(第5頁第6図、第7頁第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、掘削作業や掘削コストの軽減の観点から、少しでも浅い位置に配水管を埋設することが望まれている。しかし、配水管の埋設深度については、路面から規定以上の距離を取って埋設することが、各自治体の道路管理者によって規定されている。
この規定によると、埋設された配水管の最も高い部分を基準として路面からの距離を計測することにしているため、配水管の管体52にサドル付き分水栓54を取付ける場合には、サドル付き分水栓54のドリル通孔65を閉塞した蓋71の端面(上面)71aと路面との距離を規定以上にする必要がある。
【0009】
したがって、管体52の分岐孔70から蓋71の端面71aまでの長さ、即ち、サドル付き分水栓54の高さを低くすることができれば、埋設された配水管の管体52の軸心Sから配水管51の最も高い部分までの長さが短くなるので、それだけ配水管51の埋設深度を浅くすることができる。
しかし、上記のように、管体52に分岐孔70を穿孔するための穿孔機をサドル付き分水栓54の取付部66に取付ける必要性から、取付部66を省略することができず、サドル付き分水栓54の高さを低くすることは困難であった。
【0010】
また、埋設された配水管の管体52の軸心Sから配水管51の最も高い部分までの長さを短くするため、埋設された配水管の管体52に、止水部60が管体52に対して横向きとなるようサドル付き分水栓54を取付けることが考えられる。しかし、サドル付き分水栓74を横向きに取付けると、掘削領域を拡げない限り、サドル付き分水栓74の取付部66近傍に、掘削した地盤の側面(掘削面)が近づくので、取付部66に穿孔機を取付けて管体52に分岐孔70を形成する穿孔作業がやりにくいという問題が生じる。
一方、掘削領域を拡げてサドル付き分水栓54の取付部66近傍のスペースを広くすると、掘削作業や掘削コストの負担が増えてしまい好ましくない。このため、配水管51の埋設深度を浅くすることは困難であった。
【0011】
さらに、上記分岐孔70の内面の防食に関しては、上記防食スリーブ73で分岐孔70の内面を被覆しても、防食スリーブ73と分岐孔70の内面との間への水の侵入防止に不十分であった。また、特に、金属製の防食スリーブ73と分岐孔70の内面との間では、両者の素材の電位の違いによる、いわゆるガルバニック腐食が発生してしまうおそれもあった。このため、防食スリーブ73による防食対策では、分岐孔70の内面の腐食を完全に防ぐことができなかった。
【0012】
そこで、この発明は、掘削作業や掘削コストの増加を招くことなく、配水管の埋設深度を浅くすることを第一の課題とし、配水管の管体に形成される分岐孔の内面の腐食をより確実に防止することを第二の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記第一の課題を解決するために、この発明は、管体に分水栓設置用の分岐孔を備え、前記管体は、地中への埋設前の状態で、前記分岐孔の位置に分水栓が備えられており、その分水栓は、前記管体の外面から前記分岐孔と対向して立上がる通水孔と、その通水孔の先に設けた弁室と、その弁室から側方に延びる通水孔を形成した接続部と、前記弁室に、前記分岐孔と対向する前記通水孔から前記弁室の側方の通水孔への連通を開閉する弁体を設けた止水弁とを有することを特徴とする分水栓付き配水管を採用した。
【0014】
この構成によれば、管体には、地中への埋設前の状態で予め分岐孔が形成されているから、従来のように、管体に分岐孔を形成するための穿孔機を分水栓に取付ける必要がない。このため、分水栓における穿孔機用の取付部の設置を省略して、分水栓の高さを低くすることができる。したがって、配水管の管体を地中へ埋設する際に、掘削作業や掘削コストの増加を招くことなく、その埋設深度を浅くすることができる。
【0015】
この構成において、前記分水栓の前記弁室は、前記接続部側と前記分岐孔側にのみ開口部を有する構成を採用することができる。このとき、前記止水弁における弁体には、前記分岐孔と対向する通水孔から、弁室の側方の通水孔へ連通可能な連通孔を形成することができる。
【0016】
従来、分水栓の弁室に備える弁体は、管体側の通水孔から接続部側の通水孔へと連通させるだけでなく、取付部のドリル通孔と管体側の通水孔とを通じて上方から穿孔機のドリルを降下させて分岐孔を管体に形成する必要性から、ドリル通孔から管体側の通水孔へと連通させる必要があった。したがって、弁室に備える弁体には、三方向へ開口する連通孔が形成されている必要があった。
しかし、この発明における分水栓付き配水管は、分水栓を取付ける前に予め分岐孔を管体に形成しており、従来のように穿孔機で管体に分岐孔を形成する必要がないので、止水弁における弁体は、分岐孔と対向する通水孔から弁室の側方の通水孔へと連通させるだけでよい。即ち、止水弁における弁体は、二方向へ開口する連通孔を形成すれば足りる。そのため、分水栓の製造コストを低減することができる。
【0017】
なお、前記分水栓がサドル付分水栓である場合、すなわち、半円状に形成されたサドルの円周方向両端のフランジと、同じく半円状に形成されたバンドの円周方向両端のフランジとをボルトで締付けることにより前記管体に取付ける場合には、例えば、前記管体の外面に、サドルとバンドの少なくとも一方の軸方向移動を規制するずれ止め突起を設けることができる。分水栓付き配水管の埋設深度を浅くした場合に、路面からの振動が大きくなると考えられるが、上記のように、ずれ止め突起を設ければ、路面振動による分水栓のずれを確実に防止できるからである。
【0018】
また、上記第二の課題を解決するために、この発明は、管体に分水栓設置用の分岐孔を備え、その分岐孔は分水栓を取付ける前の状態で形成されており、前記管体の内面から前記分岐孔の内面にわたり連続して防食被膜を施した配水管を採用した。
【0019】
この構成によれば、管体の内面の防食被膜と同様の性能を有する防食被膜が分岐孔の内面に施されるので、この防食被膜により分岐孔の内面に水が触れることが防がれる。このため、従来のような分岐孔の内面を防食スリーブで保護する防食対策と比べて、分岐孔の内面の腐食がより確実に防止される。また、上記のように、地中への埋設前の状態で、予め、管体に分岐孔を設ける場合には、その分岐孔内面の防食に有利である。
【0020】
この防食被膜は、例えば、エポキシ樹脂粉体塗装、液状エポキシ樹脂塗装、ポリエチレン樹脂粉体塗装、エポキシ−ポリエステル樹脂粉体塗装や無溶剤エポキシ樹脂塗装などの合成樹脂被膜が挙げられる。
【0021】
この構成において、前記防食被膜は、前記分岐孔の内面と前記管体の外面との間の稜線部に設けた面取り部にも施すことができる。
【0022】
さらに、前記防食被膜は、前記分岐孔の内面から前記管体の外面に至り、その管体の外面の前記防食被膜は、前記分水栓を前記管体に取付けた場合に、前記管体に供給される流体が前記分岐孔を通って管体の外面に触れる部分に施されていることを特徴とする配水管を採用することができる。
この構成によれば、分岐孔を通った流体が管体の外面に触れることが防食被膜により防がれるので、管体の外面からの錆の発生を抑制することができる。
【0023】
このように、管体の内面から分岐孔の内面にわたり連続して防食被膜を備えた各構成においても、その各配水管は、地中への埋設前に、管体に分水栓を取付けた分水栓付き配水管として用いることができる。
具体的には、前記管体は、地中への埋設前に、前記分岐孔の位置に分水栓が備えられており、その分水栓は、前記管体の外面から前記分岐孔と対向して立上がる通水孔と、その通水孔の先に設けた弁室と、その弁室から側方に延びる通水孔を形成した接続部と、前記弁室に、前記分岐孔と対向する前記通水孔から前記弁室の側方の通水孔への連通を開閉する弁体を設けた止水弁とを有することを特徴とする分水栓付き配水管である。
【0024】
この構成によれば、前述の構成の場合と同様、管体には、分水栓を設置する前に予め分岐孔が形成されているから、従来のように、管体に分岐孔を形成するための穿孔機を分水栓に取付ける必要がない。このため、分水栓における穿孔機用の取付部の設置を省略して、分水栓の高さを低くすることができる。したがって、配水管の管体を地中へ埋設する際に、掘削作業や掘削コストの増加を招くことなく、その埋設深度を浅くすることができる。また、防食被膜により、分岐孔の内面に水が触れることが防がれるので、腐食がより確実に防止される。
【0025】
これらの各構成において、前記分水栓の前記弁室は、前記接続部側と前記分岐孔側にのみ開口部を有する構成を採用することができる。このとき、前記止水弁における弁体には、前記分岐孔と対向する通水孔から、弁室の側方の通水孔へ連通可能な連通孔を形成することができる。
【0026】
また、上記第一の課題を解決するために、この発明は、前述の各構成からなる分水栓付き配水管を用い、前記分水栓が前記管体に対して横向きとなるよう分水栓付き配水管を埋設する分水栓付き配水管の埋設方法を採用することができる。
【0027】
この分水栓付き配水管の埋設方法によれば、分水栓の位置が管体の横方向に位置するので、従来のように、埋設された配水管に分水栓を管体に対して上向きに取付ける場合と比べて、分水栓付き配水管の管体の軸心から分水栓付き配水管の最も高い部分までの長さが短くなる。その結果、分水栓付き配水管の埋設深度を浅くすることができる。
【0028】
また、分水栓を取付ける前に予め管体に分岐孔を形成しており、穿孔機による穿孔作業のスペースを確保する必要がないので、掘削作業や掘削コストの増加を招かないようにすることができる。
【0029】
前記分水栓付き配水管を埋設する前に、前記分水栓に可撓性を有する素材からなるフレキシブル管を接続しておく分水栓付き配水管の埋設方法を採用することができる。
【0030】
分水栓を管体に対して横向きとした状態で分水栓付き配水管を地中に埋設すると、そのままでは、給水管の分水栓への接続の際、掘削範囲を広く確保しない限り、分水栓の横方向近傍に掘削した地盤の側面が位置するので、給水管を分水栓に接続しにくくなる。しかし、上記のようにフレキシブル管の一端を分水栓に取付けておけば、フレキシブル管を、比較的スペースの広い管体の上方や側方に屈曲させて、そのフレキシブル管の他端に給水管を接続することができる。このため、掘削範囲を拡げることなく、給水管の接続を簡単にすることができる。
【0031】
また、前記フレキシブル管の接続前に、前記分水栓付き配水管を樹脂製のスリーブで被覆し、前記フレキシブル管は、前記スリーブに設けた開口部に前記分水栓を臨ませ、その開口部を介して前記分水栓に接続すると好ましい。
これは、分水栓にフレキシブル管を接続した後に、分水栓付き配水管をスリーブで被覆すると、分水栓付き配水管の管体からフレキシブル管が大きく突出した状態で、分水栓付き配水管をスリーブで被覆する必要があるので、スリーブによる被覆が困難となるからである。
【発明の効果】
【0032】
この発明の分水栓付き配水管によれば、従来のように、管体に分岐孔を形成するための穿孔機を、分水栓の取付部に取付ける必要がない。このため、分水栓の取付部を省略して、分水栓の高さを低くすることができる。したがって、分水栓付き配水管の埋設深さを浅くすることができる。
【0033】
また、この発明の配水管によれば、管体の内面の防食被膜と同様の性能を有する防食被膜が分岐孔の内面に施されるので、この防食被膜により分岐孔の内面に水が接触するのが防がれ、分岐孔の内面の腐食がより確実に防止される。
【0034】
また、この発明の分水栓付き配水管の埋設方法によれば、分水栓が管体に対して横向きとなるよう分水栓付き配水管を埋設するので、従来のように埋設された配水管に分水栓を管体に対して上向きに取付ける場合と比べて、分水栓付き配水管の管体軸心から分水栓付き配水管の最も高い部分までの長さが短くなり、分水栓付き配水管の埋設深度を浅くすることができる。さらに、分水栓に接続される給水管としてフレキシブル管を用いれば、掘削範囲を拡げることなく、給水管の接続を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の第一の実施形態の分水栓付き配水管を示す斜視図
【図2】同実施形態の分水栓付き配水管を示し、(a)は図1の横断面図、(b)は図1の縦断面図
【図3】図1の分水栓付き配水管をスリーブで被覆した状態を示す横断面図
【図4】図1の分水栓付き配水管の受口に他の分水栓付き配水管の挿し口を接続した状態を示す要部縦断面図
【図5】図3のスリーブに設けた開口部を介してサドル付き分水栓に給水管を接続する方法を示す横断面図
【図6】この発明の第二の実施形態の分水栓付き配水管を示す斜視図
【図7】図6の配水管を示す縦断面図
【図8】図7の管体の分岐孔近傍の要部拡大断面図
【図9】図6の分水栓付き配水管をサドル付き分水栓の位置で切断した横断面図
【図10】図9の分水栓付き配水管をスリーブで被覆した状態を示す横断面図
【図11】図10のスリーブに設けた開口部を介してサドル付き分水栓に給水管を接続する方法を示す横断面図
【図12】図9の防食被膜を管体の外面のガスケット内径部の位置まで施した分岐孔近傍の横断面図
【図13】この発明の第三の実施形態の分水栓付き配水管を示す斜視図
【図14】図13の分水栓付き配水管を被覆したスリーブの開口部を介してフレキシブル管をサドル付き分水栓に接続する方法を示す横断面図
【図15】サドルとバンドの両方に分水栓を取付けたサドル付き分水栓を配水管の管体に取付けた分水栓付き配水管を示す横断面図
【図16】従来の配水管を示す横断面図
【図17】図16の配水管の分岐孔の内面を防食スリーブで被覆した状態を示す横断面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の第一の実施形態の分水栓付き配水管31を、図1乃至図5に基づいて説明する。図1に示すように、分水栓付き配水管31は、円筒状の管体2の一端に受口3を設けたダクタイル鋳鉄製の配水管(JIS G5526、JWWA G113)に、分水栓30を取付けたものである。管体2は、図1では直管を用いているが、曲管やT字管などの異形管(JIS G5527)を用いてもよい。また、受口3は、図1ではK形継手を用いているが、SII形継手やT形継手などの他の形の継手を用いてもよい(JIS G5527)。
【0037】
管体2は、図2(a)(b)に示すように、軸方向中央部に径方向に貫通する分水栓取付用の分岐孔5が形成されている。分岐孔5は、平面視円形に形成されており、その分岐孔5の内面と管体2の内面2aとの間の稜線部と、分岐孔5の内面と管体2の外面との間の稜線部には、図示しない面取り部がそれぞれ設けられている。
【0038】
また、管体2には、図2(a)に示すように、その内面2a全体と分岐孔5の内面全体に、エポキシ樹脂粉体塗装や液状エポキシ樹脂塗装などの合成樹脂被膜である防食被膜8が施されている。この防食被膜8は、管体2の内面2aから前記面取り部を越えて分岐孔5の内面に亘って連続して施され、さらに、前記面取り部を越えて管体2の外面に至っている。なお、この実施形態では、管体2の外面のうち、後述の分水栓30に接する部分、及び、水に触れる部分全体に防食被膜8が施されている。
これにより、分岐孔5の内面及び管体2の外面の防食被膜8は、管体2の内面2aの防食被膜8と同様の性能を有するものとなっている。なお、受口3の内面も図示省略の防食被膜8が施される。
【0039】
ここで、管体2の塗装は、例えば、まず、分岐孔5の内面全体と、管体2の外面の必要部分に防食被膜8を施し、次いで、管体2の内面2a全体に防食被膜8を施す。次に、分岐孔5の内面の防食被膜8と管体2の内面2aの防食被膜8とが硬化した後、管体2の外面全体にわたり外面塗装(図示省略)を施す手順で行なう。なお、管体2が異形管であっても管体2が直管の場合と同様の手順で塗装を行なうことができる。
【0040】
防食被膜8の被膜厚は、管体2の内面2aについては300μm以上とし、分岐孔5の内面全体及び管体2の外面の必要な部分については、エポキシ樹脂粉体塗装と液状エポキシ樹脂塗装のいずれも80μm以上、好ましくは100μm以上さらには150μm以上が好ましい。
【0041】
この実施形態の分水栓30は、図1に示すように、従来のようにサドルを用いることなく、管体2に予め設けられた分岐孔5の位置に、直接、ボルト33aで固定されるものである。このボルト33aは、材質がステンレス鋼の場合は、ガルバニック腐食対策として、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等で、その一部あるいは全部を被覆することが好ましい。
【0042】
分水栓30の固定構造は、管体2の外面の分岐孔5の位置に、外側に突出する膨出部42が設けられている。その膨出部42の突出側の端面に、分水栓30のベース部33を重ね合わせた状態でボルト33aにより固定する。このようにすると、ボルト33aとボルト孔との位置合わせにより、分水栓30が分岐孔5の位置からずれることが、確実に防される。なお、防食被膜8は、前述のように、分岐孔5の内面全体と、膨出部42の分水栓30側に向く端面に全体に施しておく。
【0043】
また、分水栓30は、管体2の分岐孔5と対向する通水孔36と、その通水孔36の先に球状の空間が形成された弁室32と、弁室32から側方に伸びる通水孔35が形成された接続部34とを有する。なお、通水孔35,36は、それぞれ弁室32の一部となっていてもよい。
【0044】
この実施形態では、弁室32は、接続部34側と分岐孔5側にのみ開口部(通水孔35,36)を有する。また、弁室32内には弁体37が回転自在に設けられ止水弁を構成する。この止水弁は、弁体37が球状に形成されたボール弁である。
【0045】
この止水弁の弁体37には、分岐孔5と対向する通水孔36から弁室32の側方の通水孔35へと連通させる連通孔38が形成されている。その止水弁を収容した止水部40から側方に突出して設けられたスピンドル39を90度回転することにより、分岐孔5と対向する通水孔36から弁室32の側方の通水孔36への連通を、開閉できるようになっている。
なお、この実施形態では、分水栓30は、弁体37が球状のボール弁を採用しているが、弁体が円柱状または円錐台形状のコックを採用してもよい。
【0046】
このように構成された分水栓付き配水管31は、例えば、次のようにして地中に埋設する。まず、分水栓30は、弁体37の連通孔38を、分岐孔5と対向する通水孔36と弁室32の側方の通水孔36とが連通しない状態、すなわち止水弁を閉じた状態にしておく。次に、土壌や地下水などによる分水栓付き配水管31の腐蝕や電食を防止するため、図3に示すように、分水栓付き配水管31の分水栓30を設けた部分を、ポリエチレンなどの樹脂製のスリーブ23で被覆し、図示省略のゴムバンドでそのスリーブ23を管体2の外周に固定しておく。
【0047】
そして、図3に示すように、止水弁が管体2に対して横向きとなるよう分水栓付き配水管31を地中に埋設する。次に、埋設された分水栓付き配水管31の受口3に、図4に示すように、他の分水栓付き配水管31の挿し口24を挿入し、次いで、挿し口24と受口3との間にゴム輪25を介在し、そのゴム輪25を押し輪26によりボルト27を介して押圧することにより、先行する分水栓付き配水管31の受口3に後続の分水栓付き配水管31の挿し口24を固定するとともに、水密性を保持する。このように、埋設された分水栓付き配水管31に後続の分水栓付き配水管31の接続を繰り返して繋ぎ合わせていく。このとき、分水栓30を設ける必要のない箇所には、その分岐孔5や分水栓30を備えない通常の管体2を介在させる。
【0048】
なお、図2等に示す符号41はガスケット(パッキン)であり、このガスケット41により、管体2から分岐孔5を通った水道水が、管体2の外面と分水栓30との間の隙間を通って外部へ流出するのを防止している。
【0049】
埋設された分水栓付き配水管31からその管路を分岐させて新たな需要者へ水道水を供給する場合は、図5に示すように、スリーブ23の通水孔35と対向する位置を切り開いて開口部23aを設け、この開口部23aを介して分水栓30の接続部34に給水管22を接続する。そして、図示省略のゴムバンドで開口部23aの縁を給水管22の外面に締め付け、その開口部23aを閉じる。その後、分水栓30のスピンドル39を90度回転することにより、分岐孔5側の通水孔36から接続部34側の通水孔36へ弁体37の連通孔38を開通させる。これにより、水道水が分水栓付き配水管31の管体2から分岐孔5を通って給水管22に流れることが可能となり、新たな需要者へ水道水を供給することができる。
【0050】
また、この実施形態では、分水栓30を管体2に対して横向きとなるように、分水栓付き配水管31を埋設しており、また、給水管22の先端部分(分水栓30に接続される側の先端部分)の素材としてフレキシブル管43を用いている。フレキシブル管43は、可撓性を有する素材からなり、屈曲自在である。
【0051】
このようなフレキシブル管43を用いた場合、そのフレキシブル管43を分水栓30の接続部34に接続するので、そのフレキシブル管43を、比較的スペースの広い管体2の上方や側方に屈曲させて向きを変え、そのフレキシブル管43の他端に、さらに続く給水管22を接続することができる。このため、掘削範囲を側方へ拡げることなく、給水管22の接続を簡単にすることができる。
【0052】
また、この分水栓付き配水管31は、配水管を地中に埋設する際に、分岐孔5や分水栓30が既に管体2に備えられているので、従来のサドル付き分水栓54の分水栓50(図16、図17参照)のように、ドリル穿孔用の取付部66、ドリル通孔65等が不要であり、その構成を簡素化することができる。
【0053】
なお、この分水栓付き配水管31は、管体2の内面2aの防食被膜8と同様の性能を有する防食被膜8が分岐孔5の内面全体にわたり施されているので、この防食被膜8により分岐孔5の内面に水道水が接触するのが防がれる。
このため、従来のように、ゴム、樹脂、ステンレスや砲金などの耐食性の材料で形成された防食スリーブ73(図17参照)で分岐孔5の内面を保護する場合と比べて、分岐孔5の内面の腐食がより確実に防止される。
【0054】
また、分水栓付き配水管31は、防食被膜8の被膜厚分だけ分岐孔5の孔径が小さくなるにすぎないので、分岐孔5の孔径を穿孔径とほぼ同じ大きさに保つことができる。
【0055】
また、分水栓付き配水管31は、分水栓30による止水部40を管体2に取付ける前の状態で予め分岐孔5を形成しておき、その分岐孔5の内面に防食被膜8を施したので、給水管22を接続して新たな需要者へ水道水を供給する際、従来のように、現場で分岐孔5を形成したり、防食スリーブ73で分岐孔5の内面を保護したりする必要がない。このため、新たな需要者へ水道水を供給する際の給水管22の配管作業を簡単にすることができる。
【0056】
また、この分水栓付き配水管31を用いた分水栓付き配水管の埋設方法によれば、分水栓30の止水部40が管体2に対して横向きに突出するので、分水栓付き配水管31の埋設深度を浅くして、掘削作業や掘削コストの軽減を図ることができる。
さらに、スピンドル39が分水栓30に対して管軸方向(管体2の管軸方向)に突出するので、受口3と挿し口24との接続方向が逆向きになった際にも、スピンドル39は常に管軸方向(管体2の管軸方向)に向けて配置され、下向きになることがないようになっている。このため、分水栓付き配水管31をいかなる向きに配設しても、スピンドル39の操作が阻害されない。
【0057】
また、この実施形態では、防食被膜8は、図2等に示すように、管体2の内面2aから分岐孔5の内面まで連続して施され、さらに、管体2の外面(膨出部42の分水栓30側に向く端面)に至っている。すなわち、管体2の外面のうち、分水栓30に接する部分、及び、水道水に触れる部分全体にも防食被膜8が施されている。
分岐孔5を通った水道水が管体2の外面に触れる部分全体が防食被膜8によって覆われるので、管体2の外面からの腐食をより確実に防止することができる。なお、このように管体2の外面に防食被膜8を施す場合、管体2の外面塗装は、管体2の外面の防食被膜8と重ならないようにすることが望ましい。
【0058】
また、上記実施形態では、分岐孔5及び分水栓30を1本の管体2に1つ設けたが、分岐孔5及び分水栓30は1本の管体2に複数設けてもよい。この場合、各分岐孔5は、管体2の軸方向に沿って一直線上に設けてもよく、あるいは、管体2の軸方向の直線上から円周方向にずれた位置に形成してもよい。要するに、分岐孔5の管体2への形成位置や数は限定されるものではない。
【0059】
この発明の第二の実施形態の分水栓付き配水管を図6乃至図12に基づいて説明する。この実施形態の分水栓付き配水管1は、前述の実施形態と同様、円筒状の管体2の一端に受口3を設けたダクタイル鋳鉄製の配水管(JIS G5526、JWWA G113)に、サドル付き分水栓4を取付けたものである。管体2は、図6では直管を用いているが、曲管やT字管などの異形管(JIS G5527)を用いてもよい。また、受口3は、図1ではK形継手を用いているが、SII形継手やT形継手などの他の形の継手を用いてもよい(JIS G5527)。
【0060】
管体2は、図7に示すように、軸方向中央部に径方向に貫通する分水栓取付用の分岐孔5が形成されている。分岐孔5は、円形に形成されており、図8に示すように、分岐孔5の内面と管体2の内面2aとの間の稜線部と、分岐孔5の内面と管体2の外面との間の稜線部に面取り部6,7がそれぞれ設けられている。
【0061】
また、管体2には、その内面2a全体と分岐孔5の内面全体に、エポキシ樹脂粉体塗装や液状エポキシ樹脂塗装などの合成樹脂被膜である防食被膜8が管体2の内面2aから分岐孔5の内面にわたり連続して施され、分岐孔5の内面の防食被膜8が面取り部外径部6aから面取り部外径部7aまで至っている。これにより、分岐孔5の内面の防食被膜8は、管体2の内面2aの防食被膜8と同様の性能を有するものとなっている。なお、受口3の内面も図示省略の防食被膜8が施される。
【0062】
ここで、管体2の塗装は、例えば、まず、分岐孔5の内面全体に防食被膜8を施し、次いで、管体2の内面2a全体に防食被膜8を施す。次に、分岐孔5の内面の防食被膜8と管体2の内面2aの防食被膜8とが硬化した後、管体2の外面全体にわたり外面塗装(図示省略)を施す手順で行なう。なお、管体2が異形管であっても管体2が直管の場合と同様の手順で塗装を行なうことができる。
【0063】
防食被膜8の被膜厚は、前述の実施形態の場合と同様である。すなわち、管体2の内面2aについては300μm以上とし、分岐孔5の内面全体及び管体2の外面の必要な部分については、エポキシ樹脂粉体塗装と液状エポキシ樹脂塗装のいずれも80μm以上、好ましくは100μm以上さらには150μm以上が好ましい。
【0064】
サドル付き分水栓4は、図6に示すように、半円状に形成されたサドル11aとバンド11bとを有し、サドル11aの中央部で、分水栓10を備えた止水部15が一体となったものである。なお、サドル付き分水栓4は、サドル11aの中央部に形成された分水栓取付孔に分水栓10をねじ係合により取付けたものであってもよい。
【0065】
このサドル付き分水栓4は、図9に示すように、管体2の外面の分岐孔5の位置にサドル11aを当てがうと同時に、サドル11aの位置から円周方向に半周ずれた位置にバンド11bを当てがい、この状態で、サドル11aとバンド11bのそれぞれの両端に形成された両端フランジ12、13にボルト14aを差し込んでナット14bで締め付けることにより、管体2に取付けられる。
【0066】
また、サドル付き分水栓4は、管体2の外面から分岐孔5と対向して立ち上がる通水孔16と、その通水孔16の先に球状の空間が形成された弁室17と、弁室17から側方に延びる通水孔18が形成された接続部19とを有する。
この実施形態では、弁室17は、接続部19側と分岐孔5側にのみ開口部(通水孔18,16)を有する。また、弁室17内には弁体20が回転自在に設けられ止水弁を構成する。この止水弁は、弁体20が球状に形成されたボール弁である。
【0067】
この止水弁の弁体20には、分岐孔5と対向する通水孔16から弁室17の側方の通水孔18へ連通可能なように、二方向へ伸びる屈曲した連通孔21が形成されている。接続部19と反対側の側方に設けられたスピンドル29を90度回転することにより、分岐孔5と対向する通水孔16から弁室17の側方の通水孔18への連通を開閉できるようになっている。なお、この実施形態では、サドル付き分水栓4は、弁体20が球状のボール弁であるものを採用しているが、弁体が円柱状または円錐台形状のコックを採用してもよい。
【0068】
このように構成された分水栓付き配水管1は、例えば、次のようにして地中に埋設する。まず、サドル付き分水栓4は、図10に示すように、弁体20の連通孔21を分岐孔5と対向する通水孔16に対して閉じた状態にしておく。次に、土壌や地下水などによる分水栓付き配水管1の腐蝕や電食を防止するため、分水栓付き配水管1の分水栓10を設けた部分をポリエチレンなどの樹脂製のスリーブ23で被覆し、図示省略のゴムバンドで、そのスリーブ23を管体2の外周に固定しておく。
【0069】
そして、図6に示すように、止水部15が管体2に対して上向きとなるよう分水栓付き配水管1を地中に埋設する。次に、埋設された分水栓付き配水管1の受口3に、順次、他の分水栓付き配水管1や通常の管体2の挿し口24を挿入し、その接続を繰り返して繋ぎ合わせていく点は、前述の実施形態と同様である(図4参照)。
【0070】
なお、図10のガスケット28は、通水孔16の下端部に形成された大径部に装着したものであり、このガスケット28により、管体2から分岐孔5を通った水道水が、管体2の外面とサドル11aの内面の間を通って外部へ流出するのを防止している。
【0071】
埋設された分水栓付き配水管1からその管路を分岐させて新たな需要者へ水道水を供給する場合は、図11に示すように、スリーブ23の通水孔18と対向する位置を切り開いて開口部23aを設け、この開口部23aを介して分水栓4の接続部19に給水管22を接続する。そして、図示省略のゴムバンドで開口部23aを閉じる。その後、分水栓4のスピンドル29を90度回転することにより、分岐孔5側の通水孔16から接続部19側の通水孔18へ弁体20の連通孔21を開通させる。これにより、水道水が分水栓付き配水管1の管体2から分岐孔5を通って給水管22に流れることが可能となり、新たな需要者へ水道水を供給することができる。
【0072】
分水栓付き配水管1においても、管体2の内面2aの防食被膜8と同様の性能を有する防食被膜8が分岐孔5の内面全体にわたり施されているので、この防食被膜8により分岐孔5の内面に水道水が接触するのが防がれる。
また、分水栓付き配水管1は、防食被膜8の被膜厚分だけ分岐孔5の孔径が小さくなるにすぎないので、分岐孔5の孔径を穿孔径とほぼ同じ大きさに保つことができる。
【0073】
また、分水栓付き配水管1は、止水部15を管体2に取付ける前の状態で分岐孔5を形成し、その分岐孔5の内面に防食被膜8を施したので、給水管22を接続して新たな需要者へ水道水を供給する際、従来のように、現場で分岐孔5を形成したり、防食スリーブ73で分岐孔5の内面を保護したりする必要がない。そのため、新たな需要者へ水道水を供給する際の給水管22の配管作業を簡単にすることができる。
【0074】
また、分水栓付き配水管1は、弁室17が接続部19側と分岐孔5側にのみ開口部を有し、従来のような管体2に分岐孔5を形成するための穿孔機を取付ける取付部をサドル付き分水栓4に有していない。このため、サドル付き分水栓4の高さが低く、分水栓付き配水管1の埋設深度を浅くして、掘削作業や掘削コストの軽減を図ることができる。また、サドル付き分水栓4の製造コストも低減することができる。
【0075】
さらに、防食被膜8は、図12に示すように、分岐孔5の内面から管体2の外面に至り、その管体2の外面の防食被膜8が、管体2の外面のガスケット内径部28aの位置まで連続して施されている。なお、この管体2の外面の防食被膜8は、管体2の外面のガスケット外径部28bの位置まで施してもよい。
分岐孔5を通った水道水が管体2の外面に触れる部分全体が防食被膜8によって覆われるので、管体2の外面からの腐食をより確実に防止することができる。なお、このように管体2の外面に防食被膜8を施す場合、管体2の外面塗装は、管体2の外面の防食被膜8と重ならないようにすることが望ましい。また、管体2の外面からの腐食を抑制するために、分岐孔5をガスケット内径部28aと同径にしてもよい。
【0076】
この実施形態においても、分岐孔5及び分水栓10を1本の管体2に1つ設けたが、分岐孔5及び分水栓10は1本の管体2に複数設けてもよい。この場合、各分岐孔5は、管体2の軸方向に沿って一直線上に設けてもよく、あるいは、管体2の軸方向の直線上から円周方向にずれた位置に形成してもよい。分岐孔5の管体2への形成位置や数は限定されるものではない。
【0077】
この発明の第三の実施形態を図13乃至図15に基づいて説明する。この実施形態は、地中に埋設する前に、分岐孔5及び分水栓を予め管体2に設けた分水栓付き配水管を用いた分水栓付き配水管の埋設方法である。
【0078】
この実施形態では、図13に示すように、従来のサドル付き分水栓54を備えた分水栓付き配水管51を用いている。この実施形態では、分水栓50を備えた止水部60が、管体2に対して横向きに突出するよう埋設される。また、給水管22として、可撓性を有する素材からなるフレキシブル管43が採用されている。
【0079】
なお、この分水栓付き配水管51に代えて、第一の実施形態の分水栓30を備えた分水栓付き配水管31、あるいは、第二の実施形態のサドル付き分水栓4を備えた分水栓付き配水管1を用い、それぞれ、分水栓の止水部が管体2に対して横向きに突出するように配設してもよい。
以下、サドル付き分水栓54については、対応する部位の符号については従来例と同一の符号を付し、第一の実施形態、第二の実施形態と対応する部分については、その各実施形態と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0080】
分水栓付き配水管51は、給水管22のフレキシブル管43の接続前に、図14に示すように、予め開口部23aを設けた樹脂製のスリーブ23で被覆して、開口部23aをサドル付き分水栓54のドリル通孔65に臨ませる。そして、開口部23aを介してフレキシブル管43をサドル付き分水栓54の取付部66に接続する。この実施形態では、ドリル通孔65が給水管22への通水孔65として機能し、取付部66は、給水管22接続用の接続部66として機能する。
【0081】
なお、第一の実施形態と同様の分水栓30を備えた分水栓付き配水管31を用いる場合は、フレキシブル管43を分水栓30の接続部34に接続する。また、第二の実施形態と同様のサドル付き分水栓4を備えた分水栓付き配水管1を用いる場合は、フレキシブル管43をサドル付き分水栓4の分水栓10の接続部19に接続する。
【0082】
その後、図13に示すように、止水部60が管体2に対して横向きとなるよう分水栓付き配水管51を地中に埋設し、この埋設された分水栓付き配水管51に後続の分水栓付き配水管51又は管体2を接続していく。
【0083】
埋設された分水栓付き配水管51からその管路を分岐させて新たな需要者へ水道水を供給する場合は、そのフレキシブル管43にさらに続く給水管22を接続する。これにより、水道水が分水栓付き配水管51の管体2から分岐孔5を通り、給水管22に流れることが可能となり、新たな需要者へ水道水を供給することができる。
【0084】
この分水栓付き配水管の埋設方法によれば、止水部60が管体2に対して横向きとなるよう分水栓付き配水管51を埋設するので、サドル付き分水栓54の取付部66の位置が管体2の横方向に位置し、埋設された分水栓付き配水管51の最も高い部分が、サドル55aとバンド55bの両端フランジ56、57の端56a、57aとなる。そのため、止水部60が管体2に対して上向きとなるよう分水栓付き配水管51を埋設する場合と比べて、埋設された分水栓付き配水管51の管体2の軸心Sから分水栓付き配水管51の最も高い部分までの長さが短くなり、分水栓付き配水管51の埋設深度を浅くすることができる。
【0085】
なお、図13及び図14では、サドル55aに止水部60を取付けたサドル付き分水栓54を用いたが、図15に示すように、2つのサドル53,53で管体2の外周に固定され、その両方のサドル53,53にそれぞれ止水部60,60を取付けたサドル付き分水栓74を用いることもできる。このようにすると、管体2に対して水平方向両側にいる需要者に新たな水道水を供給する際、サドル付き分水栓74を管体2に一つ取付けるだけで済ますことができる。
また、止水部60,60が管体2に対して上下方向両側に位置するよう分水栓付き配水管41を埋設する場合と比べて、土地を深く掘削することなく分水栓付き配水管51を埋設することができる。
【符号の説明】
【0086】
1,31,51 分水栓付き配水管
2,52 管体
2a 内面
4,54,74 サドル付き分水栓
5,70 分岐孔
6,7 面取り部
6a,7a 外径部
8,75 防食被膜
10,30,50 分水栓
11a,55a サドル
11b,55b バンド
12 両端フランジ
13 両端フランジ
14a ボルト
14b ナット
15,40,60 止水部
16,36,61 通水孔
17,32,62 弁室
18,35,63 通水孔
19,34,64 接続部
20,37,67 弁体
21,38,68 連通孔
22,72 給水管
23 スリーブ
23a 開口部
24 挿し口
25 ゴム輪
26 押し輪
27 ボルト
28 ガスケット
28a ガスケット内径部
29,39,69 スピンドル
33 ベース部
33a ボルト
42 膨出部
43 フレキシブル管
56,57 フランジ
58a ボルト
58b ナット
65 ドリル通孔(通水孔)
66 取付部(接続部)
71 蓋
73 防食スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体(2)に分水栓設置用の分岐孔(5)を備え、前記管体(2)は、地中への埋設前の状態で、前記分岐孔(5)の位置に分水栓(30,10,50)が備えられており、その分水栓(30,10,50)は、前記管体(2)の外面から前記分岐孔(5)と対向して立上がる通水孔(36,16,61)と、その通水孔(36,16,61)の先に設けた弁室(32,17,62)と、その弁室(32,17,62)から側方に延びる通水孔(35,18,65)を形成した接続部(34,19,66)と、前記弁室(32,17,62)に、前記分岐孔(5)と対向する前記通水孔(36,16,61)から前記弁室(32,17,62)の側方の通水孔(35,18,65)への連通を開閉する弁体(37,20,67)を設けた止水弁とを有することを特徴とする分水栓付き配水管。
【請求項2】
管体(2)に分水栓設置用の分岐孔(5)を備え、その分岐孔(5)は分水栓(4)を取付ける前の状態で形成されており、前記管体(2)の内面(2a)から前記分岐孔(5)の内面にわたり連続して防食被膜(8)を施した配水管。
【請求項3】
前記防食被膜(8)は、前記分岐孔(5)の内面から前記管体(2)の外面に至り、その管体(2)の外面の前記防食被膜(8)は、前記分水栓(4)を前記管体(2)に取付けた場合に、前記管体(2)に供給される流体が前記分岐孔(5)を通って管体(2)の外面に触れる部分に施されていることを特徴とする請求項2に記載の配水管。
【請求項4】
前記管体(2)は、地中への埋設前に、前記分岐孔(5)の位置に分水栓(30,10,50)が備えられており、その分水栓(30,10,50)は、前記管体(2)の外面から前記分岐孔(5)と対向して立上がる通水孔(36,16,61)と、その通水孔(36,16,61)の先に設けた弁室(32,17,62)と、その弁室(32,17,62)から側方に延びる通水孔(35,18,65)を形成した接続部(34,19,66)と、前記弁室(32,17,62)に、前記分岐孔(5)と対向する前記通水孔(36,16,61)から前記弁室(32,17,62)の側方の通水孔(35,18,65)への連通を開閉する弁体(37,20,67)を設けた止水弁とを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の分水栓付き配水管。
【請求項5】
前記分水栓(30,10)の前記弁室(32,17)は、前記接続部(34,19)側と前記分岐孔(5)側にのみ開口部を有することを特徴とする請求項1又は4に記載の分水栓付き配水管。
【請求項6】
請求項1,4又は5のいずれか一つに記載の分水栓付き配水管(31,1,51)を、前記分水栓(30,10,50)が前記管体(2)に対して横向きとなるよう地中へ埋設することを特徴とする分水栓付き配水管の埋設方法。
【請求項7】
前記分水栓付き配水管(31,1,51)を地中へ埋設する前に、前記分水栓(30,10,50)に可撓性を有する素材からなるフレキシブル管(43)を接続することを特徴とする請求項6に記載の分水栓付き配水管の埋設方法。
【請求項8】
前記フレキシブル管(43)の接続前に、前記分水栓付き配水管(31,1,51)を樹脂製のスリーブ(23)で被覆し、前記フレキシブル管(43)は、前記スリーブ(23)に設けた開口部(23a)を前記分水栓(30,10,50)に臨ませ、その開口部(23a)を介して前記分水栓(30,10,50)に接続することを特徴とする請求項7に記載の分水栓付き配水管の埋設方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−47294(P2012−47294A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190860(P2010−190860)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(594024545)横浜市 (5)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】