説明

配筋用スペーサーブロック

【課題】流し込まれるコンクリート等の流れを阻害することのない配筋用スペーサーブロックを提供する。
【解決手段】コンクリート、モルタルまたは有機物処理装置における燻焼により生成されたセラミック製のスペーサー本体部2に、弾性を有する金属板製の鉄筋挟持部の足片を埋設させて一体化したもにおいて、スペーサー本体部2から立設した鉄筋挟持部3の両側板部5は鉄筋の断面側から見てほぼU字状の形状をしており、該両側板部5の各々の先端部をスペーサー本体部2方向に向けて内側に曲折させると共に、該両側板部5の各々の先端部のなす間隔が鉄筋の外径より小さく形成し、両側板部5のU字状の基部周辺に形成した突起部と両側板部5の各々の先端部とのなす間隔を鉄筋の外形より小さく形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリートを用いた構造物を施工時に、配設される鉄筋と型枠板との間隔を一定に保持するために、配設される鉄筋を挟持して該鉄筋に係止されて使用される配筋用スペーサーブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートにより建物の側壁又は高速道路の橋桁等を施工する場合に、コンクリートが施工用型枠内へ流し込まれた際、その重量、圧力で補強用の鉄筋が曲がったりして位置ずれを起こしたりすると、構造物は十分な強度を有さなくなると共に、鉄筋が構造物から露出したりすると、その露出部分から腐食が発生・進行し、重大な事故につながることが予想される。
【0003】
そのため、コンクリートが施工用型枠内へ流し込まれた際に、コンクリートの重量、圧力で補強用鉄筋が曲がったり、位置ずれを起こしたりしないように鉄筋を支持し、型枠板との間隔を一定に保持する必要がある。そこで、鉄筋を所定の位置に保持するために配筋用スペーサーブロックが鉄筋と型枠板との間に介装することが行われている。この配筋用スペーサーブロックとしては、従来より各種のものが提案されているが、例えば次のようなものがある。
【0004】
コンクリートまたはモルタル製のスペーサー本体部と、弾性を有する金属線製の鉄筋支持アームとからなり、該鉄筋支持アームの中央部をスペーサー本体部上面に埋め込み固定し、その両側部を鉄筋の長手方向と非直交状で互いに逆方向へ延長させると共に、さらにその両側部を鉄筋の長手方向と直交状で、かつ鉄筋の外周面を相対方向から挟み付けるようにフック状に折り曲げたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、コンクリートまたはモルタル製のスペーサー本体部に、バネ性をもつ金属板製の鉄筋挟持用部を、中央基部近傍の足片部を埋め込んで一体化したもので、スペーサー本体部から突出した鉄筋挟持用部の両側板部を、鉄筋の長手方向から見てほぼ倒立Ω状に形成し、開口部寄りの両側板部から少なくとも各1本の爪片を、ほぼ倒立Ω状部分のほぼ中央へ向けて突設すると共に、中央基部寄りからも少なくとも各1本の爪片を、ほぼ倒立Ω状部分のほぼ中央へ向けて突設し、かつ、鉄筋の長手方向から見て先端部が対向状の両爪片間の間隔を、鉄筋の外径より少し小さめに形勢したものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2000−145021号公報
【特許文献2】特開2004−183470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の配筋用スペーサーブロックには、次のような問題点があった。
まず上記特許文献1のものは、弾性を有する金属線製の鉄筋支持アームが、その両側部を鉄筋の長手方向と非直交状に互いに逆方向へ延長し、さらにその両側部を鉄筋の長手方向と直交状で、かつ鉄筋の外周面を相対方向から挟み付けるようにフック状に折り曲げてある。そのため、、この鉄筋支持アームが鉄筋に嵌め込まれると、各フック状部が弾性的に鉄筋の外周面に食い込むようになり、横鉄筋でも長手方向へ滑って位置ズレしたり、空転したりすることはない。
【0007】
しかし、該支持アームを鉄筋に嵌め込む際には、係止用の両フック状部の先端を鉄筋の長手方向に対して斜め状に鉄筋の外周面に当てがい、その状態でスペーサー本体部をねじることにより、両フック状部を鉄筋の外周面に差し込み係止させるという操作が必要になる。またその際には両フック状部を、残る片手の指先により背中方向から順次に押し込んで、上記のねじり回転操作を助成する手間も要する。
【0008】
しかも、この支持アーム付きスペーサー本体部を、鉄筋と型枠との間に差し入れた状態でねじるという作業は、鉄筋と型枠板との間隔が狭い場合には容易でなく、作業性がきわめて悪く、多数個のスペーサーを取り付けるにはかなりの時間がかかってしまうものであった。
【0009】
次に、上記特許文献2のものは、鉄筋挟持用部の両側板部の爪片と中央基部の爪片で鉄筋を挟持するようにしているため、爪片が弾性的に鉄筋の外周面に食い込むようになり、横鉄筋でも長手方向へ滑って位置ズレしたり、空転したりすることはなく、安定した支持が可能となるものであるが、鉄筋挟持用部の両側板部をΩ状に形成しているため、その開口部の両側板部の先端が鉄筋外周面より突き出た状態で鉄筋に掛止することになり、流し込まれたコンクリートの鉄筋挟持用部下側への流れを前記両側端部の先端が阻害する恐れがあった。
【0010】
また、鉄筋挟持用部に爪片を形成するため、製造工程が多くなり、コスト増の要因となっていた。
さらに、スペーサー本体部の形状がほぼ直方体であるため、スペーサー本体部の角部がスペーサー本体部下側へのコンクリートの流れ込みを阻害する恐れもあった。また、スペーサー本体部の重量増を招くことにもなっていた。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点の解消を課題として成されたもので、製造が容易で、鉄筋への取り付け作業性が良く、軽量で、一旦鉄筋に取り付けた後は、鉄筋から外れることがなく、かつ長手方向への滑り及び外周方向への回転を防止すると共に、流し込まれるコンクリート等の流れを阻害することのない配筋用スペーサーブロックを提供することを目的とするものである。
また、本発明は、鉄筋の径が相違しても柔軟に対応可能な配筋用スペーサーブロックを提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、産業廃棄物の再利用につながる配筋用スペーサーブロックを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため本発明の配筋用スペーサーブロックは、コンクリート、モルタルまたは有機物処理装置における燻焼により生成されたセラミック製のスペーサー本体部に、弾性を有する金属板製の鉄筋挟持部の足片を埋設させて一体化したものにおいて、スペーサー本体部から立設した鉄筋挟持部の両側板部は鉄筋の長手方向から見てほぼU字状の形状をしており、該両側板部の各々の先端部をスペーサー本体部方向に向けて内側に曲折させると共に、該両側板部の各々の先端部のなす間隔を鉄筋の外径より小さく形成し、両側板部のU字状の基部周辺に形成した突起部と両側板部の各々の先端部とのなす間隔を鉄筋の外形より小さく形成することを特徴としている。
【0013】
また、スペーサー本体部は、円錐台形状に形成することが望ましく、スペーサー本体部に埋設される鉄筋挟持部の足片は、先端側に行くにつれ拡開されており、その先端部はさらに拡開されて形成されるのが望ましい。
【0014】
さらに、鉄筋挟持部は、スレンレス製とすることが望ましく、また、スペーサー本体部と接する両側板部のU字状の基部は、平板状にするとともに、基部から先端部に向けて曲線部、直線部及び曲線部を連続させた形状に形成することが望ましい。さらにまた、鉄筋挟持部の両側板部の各々の先端部の形状を波形の曲線形状にすることが望ましい。
【0015】
両側板部のU字状の基部内面に形成した突起部は、バーリング加工により形成することが望ましい。また、突起部は、鉄筋の長手方向に単数列あるいは複数列で、各列に複数個形成するのが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記構成の本発明に係る配筋用スペーサーブロックによれば、製造が容易で、鉄筋への取り付け作業性が良く、軽量で、一旦鉄筋に取り付けた後は、鉄筋から外れることがなく、かつ長手方向への滑り及び外周方向への回転を防止すると共に、流し込まれるコンクリート等の流れを阻害することのない優れた効果を奏するものである。
【0017】
本発明に係る配筋用スペーサーブロックの優れた効果を具体的に述べると以下のとおりである。
(1)本発明に係る配筋用スペーサーブロックの製造においては、弾性を有する金属板をプレス加工して予め鉄筋挟持部を形成しておき、その足片をスペーサー本体部成形用型枠内入れてコンクリート、モルタルまたは有機物処理装置における燻焼により生成されたセラミックを流し込むことにより、両者が一体化した形で製品となる。そのため、製造が容易で大量生産に適している。
【0018】
(2)本発明に係る配筋用スペーサーブロックの鉄筋への取り付け作業においては、鉄筋の側方から本発明の配筋用スペーサーブロックの鉄筋挟持部の開口部を当てがい、スペーサー本体部を鉄筋側へ押圧すれば、開口部が弾性変形で拡開されてU字状基部に鉄筋が当接して鉄筋と嵌合し、両側板部の弾性で鉄筋を挟持するため、取り付け作業をワンタッチで行うことができる。
【0019】
(3)本発明のスペーサーブロックを鉄筋へ取り付けた後は、鉄筋挟持部の両側板部の各々の先端部のなす間隔が鉄筋の外径より小さく形成され、両側板部のU字状の基部内面に形成した突起部と両側板部の各々の先端部とのなす間隔が鉄筋の外径より小さく形成されているため、鉄筋から脱落することがなく、また、鉄筋の長手方向への滑り及び外周方向への回転が完全に防止される。
【0020】
(4)本発明のスペーサーブロックの鉄筋挟持部両側板部の各々の先端部がスペーサー本体部方向に向けて内側に曲折され、鉄筋挟持部が鉄筋外周面から突出しないことから、流し込まれるコンクリート等の流れが挟持部により阻害されることがない。
(5)また、鉄筋挟持部を、ステンレス製とすることにより、メッキ処理等の作業を省略することができる。
(6)さらに、スペーサー本体部と接する両側板部のU字状の基部を平板状にするとともに、先端部に向けた一部に直線部を設けることにより、異なった外径の鉄筋に対しても両側板部の対応が可能であり、また、鉄筋挟持部の両側板部の各々の先端部の曲折形状を波形にすることにより、両側板部の弾性変形量を増大させることができるため、異なった外径の鉄筋に対しても一層の適用が可能となる。
【0021】
(7)本発明のスペーサーブロックのスペーサー本体部を円錐台形状に形成することにより、流し込まれるコンクリート等の流れはスペーサー本体部の周囲に添ってスムースに流れやすくなり、その流れが阻害されることがない。また、スペーサー本体部の軽量化が可能である。
(8)さらに、スペーサー本体部を有機物処理装置における燻焼により生成されたセラミックにより製造することにより、セラミック原料となるコンクリート型枠等の産業廃棄物の再利用を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る配筋用スペーサーブロックを実施するための最良の形態を実施例に基づいて図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1乃至3は、本発明に係る配筋用スペーサーブロックの一実施例の概略を示すものであり、図1は斜視図、図2は正面図、図3は図2のA−A断面側面図である。
配筋用スペーサーブロック1は、鉄筋と型枠との間に位置するスペーサー本体部2及び鉄筋を挟持する鉄筋挟持部3とよりなっている。
【0024】
スペーサー本体部2は、コンクリート、モルタルまたは有機物処理装置における燻焼により生成されたセラミック材料で製造されており、その外形が円錐体の先端を切断した形状である円錐台形状をしている。スペーサー本体部2の寸法は、種々のものに対応して変更可能であり、その高さ(かぶり寸法)Hに応じて大径部及び小径部の寸法を設定すれば良い。例えば、高さHが70mmの場合、大径部の寸法は約35〜45mm、小径部の寸法は約7〜15mm程度が適切である。
スペーサー本体部2の材料の一つである有機物処理装置における燻焼により生成されたセラミック材料は、木くず、焼却灰及び木炭等を原料として燻焼により生成されるものである。木くず、焼却灰及び木炭等のセラミックス生成原料は、燃焼による酸化作用ではなく、マイナスイオンの活用による還元雰囲気中の燻焼によってセラミックス状無機質に生成される。燻焼は、酸素の少ない状態で行われる酸化反応で、汚染物質の生成に結びつく酸化物生成域は、燻焼作用の局部に留められ、ダイオキシンをはじめとする硫黄酸化物や窒素酸化物の発生を抑制し、有毒ガスの発生を防止するものである。
その際、セラミックス生成原料である木くず、焼却灰及び木炭は、使用済みのコンクリート型枠等を利用したものであるから、産業廃棄物の再利用を可能としている。
【0025】
また、スペーサー本体部2の外形を円錐台形状とすることにより、スペーサー本体部2を軽量化することができるとともに、コンクリート等を流し込んだ際にスペーサー本体部2の下流側となる部分へのコンクリート等の流れ込みを良好にすることができる。
【0026】
鉄筋挟持部3は、ステンレス或いはバネ鋼等の弾性を有する金属材料から形成されるものであり、スペーサー本体部に埋設される足片4を有し、スペーサー本体部2から立設した両側板部5は鉄筋の長手方向から見てほぼU字状の形状をしている。ここで、「鉄筋の長手方向から見て」は、図2のように見ての意味である。
図2は、鉄筋の長手方向から見た配筋用スペーサーブロックの正面図であり、外径D1の鉄筋に挟持した状態を実線で示しており、その内側の一点鎖線は、鉄筋挟持部3の製造時の形を示している。また、実線の外側の一点鎖線は、外径D1より大きい外径がD2の鉄筋に適用した状態を示したものである。
挟持する鉄筋の外径は、例えば13mm、16mm、19mm、22mm、25mm、29mm、32mm、38mm等の各種があるので、鉄筋の外径に対応して鉄筋挟持部3の金属板の厚み、横幅等を設計的に決定する。
【0027】
図2に示すように、鉄筋挟持部3のスペーサー本体部に埋設される足片4は、両側板部5のU字状の基部7から下方に向けて左右対称に配設され、足片4の間隔は先端側に行くにつれ拡開されており、その先端部はさらに拡開されており、スペーサー本体部2から抜けにくい形状となっている。
【0028】
鉄筋挟持部3の両側板部5は、U字状の基部7が平板状をなしており、この平板状の基部7から上方の先端部6に向けて曲線部5−1、直線部5−2及び曲線部5−3を連続させた形状に形成され、両側板部5の各々の先端部6をスペーサー本体部2方向に向けて内側に曲折させている。基部7を平板状にするとともに、先端部6に向かう途中に直線部5−2を設けることにより、挟持しようとする鉄筋の外径が多少大きくなっても、両側板部5の弾性による変形が一層容易となるため、適用の幅を増大することが可能となるものである。例えば、鉄筋の外径が19mm用として設計されたものでも、その上の外径22mmに兼用することは十分に可能である。
なお、両側板部5を曲率の単一の曲線あるいは、曲率の異なる複数の曲線を連続させた曲線で形成し、各々の先端部6をスペーサー本体部2方向に向けて内側に曲折させた形状としても、本発明の目的を達成することは十分に可能である。
そして、両側板部5の各々の先端部6のなす間隔S1を挟持しようとする鉄筋の外径D1より小さく形成し、両側板部5のU字状の基部7周辺に形成した突起部8と両側板部の各々の先端部6とのなす間隔S2を挟持しようとする鉄筋の外形D1より小さく形成している。
両側板部5の各々の先端部6は、鉄筋に両側板部5が挿入されやすいように、また、鉄筋に挿入後、鉄筋の外周面に先端部6の端面が当接するようにスペーサー本体部2方向に向けて内側に曲折されている。今、挟持しようとする鉄筋の外径をDとすると、S1=(0.5〜0.8)Dの範囲が望ましく、また、突起部8の位置にもよるが、S2=(0.7〜0.9)の範囲に設定するのが望ましい。
また、先端部6の端面には、外端面が鉄筋の外周面に当接した場合スリップしないように、先端が尖った鋭角状の突部9を複数形成しておくと一層効果的である。
【0029】
両側板部5のU字状の基部7内面の突起部8は、例えば、バーリング加工により形成されるが、特段これに限定されず、その他、押出加工等によっても良い。
また、突起部8は、基部7内面に鉄筋の長手方向に沿って単数列で複数個形成する他、先端部6と鉄筋の中心を挟んで対称の位置にも形成(複数列形成)すれば、さらに鉄筋外周面との間でのスリップ防止効果を向上させることができる。その場合、上記S2は、鉄筋の中心を挟んで反対位置にある突起部8と先端部6との間隔を意味する。
【0030】
図3に示すように、両側板部5の中央部10を、基部7との境界線部分を残して矩形に切り起こし、基部7との境界線部分を支点として下側に曲げることにより、簡単に一対の足片4を形成することができる。切り起こされた中央部10の部分は、図1に示すように両側板部5の窓部を形成することになり、該窓部を通して流し込まれたコンクリート等が鉄筋の外周面に流れることができる。
また、プレス加工性の向上及び金型製作上の面から、形成されたそれぞれの足片4の中央部分11を切り落とすことが望ましい。
【0031】
配筋用スペーサーブロック1を鉄筋Tに取り付けるには、例えば図2において、作業者が鉄筋挟持部3の両側板部5の先端部6がなす開いた部分を鉄筋Tに合わせ、鉄筋Tに向けて押し込めば、先端部6が鉄筋により左右に押し広げられ、両側板部5のU字状部で鉄筋Tを包み込む状態となる。その際、一旦押し広げられた先端部6は復元してU字状基部7の突起部8と協働して鉄筋を弾性的に挟持するので、鉄筋の長手方向へのスリップによる移動及び鉄筋外周面での回転が防止される。
【0032】
以上説明したように、実施例1の配筋用スペーサーブロック1は、
(1)鉄筋挟持部がほぼU字状の単純な形状のため、製造工程の殆どが曲げ加工によるものであるから製造が容易であり、
(2)鉄筋挟持部の両側板部の形状が、鉄筋の外周面に沿ったものであるとともに、鉄筋外周面から突出していないことから、流し込まれるコンクリートの流れを阻害することがなく、
(3)鉄筋への装着がワンタッチで行えるため、作業性が良く、また、外径の異なる鉄筋に対しても柔軟に適用可能であり、
(4)鉄筋に挟持された後は、スリップ等による移動及び回転がないしっかりした挟持が可能であり、
(5)スペーサー本体部が軽量であり、また、流し込まれるコンクリートの流れを阻害することがなく、さらに、有機物処理装置における燻焼により生成されたセラミック材料を利用する場合には、コンクリート型枠等の産業廃棄物を再利用可能とすることができる、
といった優れた効果を奏するものである。
【実施例2】
【0033】
図4は、本発明に係る配筋用スペーサーブロックの第二の実施例の概略を示す正面図である。
図4に示す第二の実施例おいて、鉄筋挟持部3の両側板部の形状が異なること以外は、第一実施例のものと同じであり、図1乃至図3の符号と同じ符号の部材は、同じ部材を示している。
【0034】
両側板部5は、実施例1と同様にU字状の基部7が平板状をなしており、この平板状の基部7から上方の先端部6に向けて曲線部5−1及び直線部5−2に続いて内側に凸の曲線部5−4、さらには外側に凸の曲線部5−5を連続させた波形の形状に形成され、各々の先端部6がスペーサー本体部2方向に向けて内側に曲折されている。
このような形状とすることにより、両側板部5の拡開のための弾性変形がさらに容易となり、挟持しようとする鉄筋の外径が変更された場合でも、同一の配筋用スペーサーブロックで兼用することが十分可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態に係る配筋用スペーサーブロックの第一実施例の概略を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る配筋用スペーサーブロックの一実施例の概略を示す正面図である。
【図3】図2のA−A断面側面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る配筋用スペーサーブロックの第二の実施例の概略を示す正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 配筋用スペーサーブロック
2 スペーサー本体部
3 鉄筋挟持部
4 足片
5 両側板部
6 先端部
7 基部
8 突起部
9 鋭角状の突部
10 両側板部の中央部
11 足片の中央部分























【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート、モルタルまたは有機物処理装置における燻焼により生成されたセラミック製のスペーサー本体部に、弾性を有する金属板製の鉄筋挟持部の足片を埋設させて一体化したものにおいて、スペーサー本体部から立設した鉄筋挟持部の両側板部は鉄筋の長手方向から見てほぼU字状の形状をしており、該両側板部の各々の先端部をスペーサー本体部方向に向けて内側に曲折させると共に、該両側板部の各々の先端部のなす間隔を鉄筋の外径より小さく形成し、両側板部のU字状の基部周辺に形成した突起部と両側板部の各々の先端部とのなす間隔を鉄筋の外形より小さく形成することを特徴とする配筋用スペーサーブロック。
【請求項2】
スペーサー本体部を、円錐台形状に形成することを特徴とする請求項1記載の配筋用スペーサーブロック。
【請求項3】
スペーサー本体部に埋設される鉄筋挟持部の足片において、両側板部のU字状の左右に配設される足片の間隔を先端側に行くにつれ拡開するとともに、その先端部をさらに拡開することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の配筋用スペーサーブロック。
【請求項4】
スペーサー本体部と接する鉄筋挟持部の両側板部のU字状の基部を平板状にするとともに、基部から先端部に向けて曲線部、直線部及び曲線部を連続させた形状に形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の配筋用スペーサーブロック。
【請求項5】
鉄筋挟持部の両側板部の各々の先端部の形状を波形の曲線形状にすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の配筋用スペーサーブロック。
【請求項6】
両側板部のU字状の基部内面に形成される突起部を、バーリング加工により鉄筋の長手方向に単数列あるいは複数列形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の配筋用スペーサーブロック。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート、モルタルまたは有機物処理装置における燻焼により生成されたセラミックス製のスペーサー本体部に、弾性を有する金属板製の鉄筋挟持部の足片を埋設させて一体化したものにおいて、スペーサー本体部から立設した鉄筋挟持部の両側板部は鉄筋の長手方向からみてほぼU字状の形状をしており、該両側板部の各々の先端部をスペーサー本体部方向に向けて内側に曲折させると共に先端部の端面には複数の突部を形成し、前記両側板部の各々の先端部のなす間隔を鉄筋の外径より小さくし、両側板部のU字状の基部周辺に形成した突起部と両側板部の各々の先端部とのなす間隔を鉄筋の外径より小さく形成することを特徴とする配筋用スペーサーブロック。
【請求項2】
スペーサー本体部を、円錐台形状に形成することを特徴とする請求項1に記載の配筋用スペーサーブロック。
【請求項3】
スペーサー本体部に埋設される鉄筋挟持部の足片において、両側板部のU字状の左右に配設される足片の間隔を先端側に行くにつれ徐々に拡開するとともに、その先端部を徐々にさらに拡開することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の配筋用スペーサーブロック。
【請求項4】
スペーサー本体部と接する鉄筋挟持部の両側板部のU字状の基部を平板状にするとともに、基部から先端部に向けて曲線部、直線部及び曲線部を連続させた形状に形成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の配筋用スペーサーブロック。
【請求項5】
鉄筋挟持部の両側板部の各々の先端部の形状を内側に凸の曲線部及び外側に凸の曲線部を連続させた波形の曲線形状にすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の配筋用スペーサーブロック。
【請求項6】
両側板部のU字状の基部内面に形成される突起部を、バーリング加工により鉄筋の長手方向に単数列あるいは複数列形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の配筋用スペーサーブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−161296(P2006−161296A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−350510(P2004−350510)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【特許番号】特許第3670273号(P3670273)
【特許公報発行日】平成17年7月13日(2005.7.13)
【出願人】(591124019)株式会社高長建設 (11)
【Fターム(参考)】