説明

配管の接続構造

【課題】簡易な構造により配管の取付け性を向上した配管の接続構造を提供することを目的とする。
【解決手段】一方側でオイルクーラ16の流通口41に接続されるとともに、他方側で配管10に接続される筒体状のジョイント24と、このジョイント24内部とオイルクーラ16内部を流通する第2流体が外部に漏れることを防止する第1シール部36と、第2流体がジョイント24内部および配管10内部から外部に漏れることを防止する第2シール部26と、を備え、ジョイント24は、配管10内部およびオイルクーラ16内部と連通する内部流路と、配管10側に配設され、配管10が接続されるときに配管10の体格に沿うように弾性変形する弾性部27とを有し、ジョイント24に接続された状態における配管10の軸方向および径方向についての移動が、弾性部27によって規制される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が含有されたタンク内に設けられる機器と、前記タンク外に配置される配管との接続構造に関するものであり、例えば、ラジエータを内部に有するオイルクーラと、これに連結される配管との接続構造において有用である。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の配管の接続構造としては、熱交換器の出入口孔に、底部に形成された孔を整合させてかしめ筒体を熱交換器のタンクに配するとともに、前記かしめ筒体の底部にて係止されるまで中継パイプを前記タンクの出入口孔とかしめ筒体の孔とに挿入し、かかる中継パイプとかしめ筒体を熱交換器にろう付けした後、O−リングを介在して出入口パイプを前記中継パイプに外嵌しながら前記かしめ筒体で前記出入口パイプを係止することにより、出入口パイプを熱交換器のタンクに取り付けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3368448号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の配管の接続構造においては、出入口パイプがかしめ筒体によりかしめ固定されることによって中継パイプと連通するように結合される構造であるため、かしめ工程が必要であり、そのための設備と作業を要するという課題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構造により配管の取付け性を向上した配管の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
【0006】
請求項1に記載の配管の接続構造に係る発明は、第1流体が含有されたタンク(8)内に設けられる機器(16)と、前記タンク(8)外に配置される配管(10)とを連通するように接続する配管の接続構造であって、前記タンク(8)の外側に配設され、一方側で前記機器(16)の流通口(41)に接続されるとともに、他方側で前記配管(10)に接続される筒体状のジョイント(24)と、前記ジョイント(24)内部と前記機器(16)内部を流通する第2流体が外部に漏れることを防止する第1シール部(36)と、前記第2流体が前記ジョイント(24)内部および前記配管(10)内部から外部に漏れることを防止する第2シール部(26)と、を備え、前記ジョイント(24)は、配管(10)内部および機器(16)内部と連通する流路と、前記配管(10)側に配設され、前記配管(10)が接続されるときに前記配管(10)の体格に沿うように弾性変形する弾性部(27)とを有し、前記ジョイント(24)に接続された状態における前記配管(10)の軸方向および径方向についての移動が、前記弾性部(27)によって規制された状態で、前記配管(10)は前記ジョイント(24)に接続されることを特徴とする。
【0007】
この請求項1に記載の発明によれば、配管がジョイントに接続されるときに、前記ジョイントに設けられた弾性部が前記配管の体格に沿うように弾性変形し、前記配管がジョイントに接続された状態において、前記配管の軸方向および径方向の動きは前記弾性部によって規制されることにより、配管をジョイントに接続する作業が容易に行うことができるとともに、接続された状態においても安定した取付け力を有し、配管の取付け性が向上する。また、第1シール部および第2シール部を有し、前記配管の体格に沿うように弾性変形する弾性部をジョイントに設けたことにより、流体の漏れを防止するシール性を確保するとともに、ねじ構造やかしめ構造などを不要とした簡易な配管の接続構造が得られる。
【0008】
請求項2に記載の配管の接続構造に係る発明は、前記弾性部(27)は、前記配管(10)の軸方向に延びる延設部(29)と、前記配管(10)が軸方向反タンク側に移動することを規制する押さえ部(28)とを備えることを特徴とする。
【0009】
この請求項2に記載の発明によれば、配管をジョイントに接続するときにおける弾性部の弾性変形が延設部によって促進されるとともに、配管のジョイントへの取付け力が押さえ部によって安定するという効果がある。
【0010】
請求項3に記載の配管の接続構造に係る発明は、前記弾性部(27)は、複数に分割して前記配管(10)の軸方向に延びる延設部(29、45、48)を有することを特徴とする。
【0011】
この請求項3に記載の発明によれば、配管に軸方向に力を加えて前記配管とジョイントを接続するときに、前記配管の軸方向に延びる延設部が複数に分割されていることにより、弾性部の弾性変形が促進されるとともに、前記配管の軸方向にかかる力が複数に分割された延設部に分散されて接続作業が安定するという効果がある。
【0012】
請求項4に記載の配管の接続構造に係る発明は、前記弾性部(27)は、前記ジョイント(24)に対して分離可能に構成することを特徴とする。
【0013】
この請求項4に記載の発明によれば、ジョイントと弾性部を別体としたことにより、ジョイントに弾性部を一体的に形成する必要がないので、ジョイントの構成を簡単化することができる。また、ジョイントと弾性部を別体としたことにより、使用状況に合わせて弾性変形度合いを調整した弾性部を採用することが可能になる。
【0014】
請求項5に記載の配管の接続構造に係る発明は、前記配管(10)における前記ジョイント(24)側の体格は、前記弾性部(27)がその体格に沿って外方に弾性変形することになるフランジ部(18)と、前記フランジ部(18)よりもジョイント(24)側の軸方向に設けられ前記フランジ部(18)よりも外径が小さい第1外筒部(20)と、前記第1外筒部(20)よりもジョイント(24)側の軸方向に設けられ前記第1外筒部(20)よりも外径が小さい第2外筒部(22)とを備え、前記ジョイント(24)内部には、前記配管(10)の前記ジョイント(24)側の端部が前記ジョイント(24)内部に挿入されたときに、前記第1外筒部(20)、前記第2外筒部(22)のそれぞれが内接する第1内筒壁(25)、第2内筒壁(38)が設けられていることを特徴とする。
【0015】
この請求項5に記載の発明によれば、配管のジョイント側の端部がジョイント内部に挿入されたときに、第1外筒部、第2外筒部のそれぞれが第1内筒壁、第2内筒壁に内接することにより、配管を軸方向にジョイント内部に挿入する接続作業が円滑に行うことができる配管の接続構造が得られる。
【0016】
請求項6に記載の配管の接続構造に係る発明は、前記第1内筒壁(25)と前記第2内筒壁(38)との間に前記ジョイント(24)の軸方向に対して直角面を構成する座面(39)を設け、前記座面(39)と前記第2内筒壁(38)との境界にテーパ面40を形成し、前記配管(10)の前記ジョイント(24)側の端部が前記ジョイント(24)内部に挿入されたときに、前記第1外筒部(20)の外周面が前記第1内筒壁(25)に接するとともに、前記第2シール部(26)が前記テーパ面(40)に到達することを特徴とする。
【0017】
この請求項6に記載の発明によれば、配管のジョイント側筒部をジョイントの内部に円滑に進入させることができる配管の接続構造が得られる。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明は、流体が含有されたタンク内に設けられる機器と、前記タンク外に配置される配管との接続構造に関するものであり、その一実施形態として、本実施形態においては、車両用のラジエータ1に備えられたタンク8内に設けられるオイルクーラ16と、このオイルクーラ16に接続される配管10との接続構造を示すものである。以下、その具体的構成について、図1〜図6を用いて説明する。図1は本実施形態におけるラジエータの構成を示す正面図である。図2は図1に示すA−A部およびB−B部における断面図である。図3は図2に示す配管の接続構造を説明する分解図である。
【0020】
図1に示すように、車両用のラジエータ1の一方側端部に設けられたタンク8内にオイルクーラ16が内蔵され、このオイルクーラ16には外部から配管10が接続されている。この配管10内には、第2流体としてのエンジンオイルまたはオートマティックトランスミッションフルード(AFT)が流通して、オイルクーラ16内でラジエータ1のチューブ3を流れる第1流体としての冷却水と熱交換され、エンジンオイルまたはAFTが冷却されることになる。
【0021】
ラジエータ1は、中央にコア2を備え、このコア2を挟むようにその両側にタンク8とタンク9を有している。コア2は、チューブ3およびフィン4からなり、チューブ3は内部を冷却水が流れる扁平状管であり、このチューブ3の外面には外部を通過する空気との伝熱面積を増加するために波状に形成されたフィン4が接合するように配置され、これらのチューブ3とフィン4は交互に隣り合ってコア2の全体にわたって配置されている。
【0022】
タンク8は、各チューブ3内に冷却水を分配して補給し、コア2を挟んで他方に配置されたタンク9は、チューブ3の外部を流れる空気との熱交換を終えた冷却水を回収する。タンク8、9は、それぞれヘッダプレート13、14と接合されて筒状体を構成し、このヘッダプレート13および14には、複数の孔が設けられ、これらの複数の孔にコア2を構成する複数のチューブ3が差し込まれることにより、チューブ3の流入口はタンク8の内部に連通し、チューブ3の流出口はタンク9の内部と連通することになる。
【0023】
タンク8には、接続パイプ11が接続され、この接続パイプ11はラジエータ1とエンジンとをつなぐ配管に接続される。同様に、タンク9には、接続パイプ12が接続され、この接続パイプ12はラジエータ1とエンジンとをつなぐ配管に接続される。
【0024】
図1に示すコア2の左右方向の両側部には、タンク8およびタンク9の両方に直交するようにサイドプレート5および6が設けられ、これらは、チューブ3と略平行に延びて配置され、コア2を補強する機能を有している。
【0025】
なお、チューブ3、フィン4、サイドプレート5、6、配管10、およびタンク8、9は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成され、これらの各部品は適宜、ろう付け接合されることになる。
【0026】
次に、オイルクーラ16の構成について図2を用いて説明する。オイルクーラ16は、樹脂で形成され角筒状のタンク本体30とヘッダプレート13とが組み合わされて構成されたタンク8の内部に収納されている。樹脂製のタンク本体30とヘッダプレート13の接合部には、外部に冷却水が漏れないようにパッキン材31が配設されている。
【0027】
このオイルクーラ16は、図2に示すように、所定の形状に形成された2枚の板状部材を組み合わせて構成された扁平状チューブ16aと、2本の扁平状チューブ16aを接続して、この2本の扁平状チューブ16aの内部を連通させるチューブ間ジョイント16bと、扁平状チューブ16a内を配管10側に連通させる32と、扁平状チューブ16aの曲げ剛性を大きくする補強板16cとから構成されている。配管10の内部と通じる扁平状チューブ16aの内部には、第2流体としてのエンジンオイルまたはオートマティックトランスミッションフルード(AFT)が流通し、前記第2流体は、扁平状チューブ16aの外部でタンク8の内部に構成されるタンク内領域37に満たされる冷却水と熱交換されることになる。
【0028】
オイルクーラ16の内部と連通するニップル32は、その配管10側の端部において、タンク本体30の内壁面との隙間を密封してタンク内領域37に満たされた冷却水がオイルクーラ16内部に侵入するのをも防止するO−リング35を備えている。
【0029】
また、扁平状チューブ16a内には、前記第2流体との伝熱面積を大きくして熱交換性能を高めるインナーフィン16dが設けられ、扁平状チューブ16a、チューブ間ジョイント16b、補強板16c、ニップル32、およびインナーフィン16dは、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成され、これらの各部品はろう付け接合で一体的に形成されている。特に、インナーフィン16dは、その表裏両面に被覆されたろう材によって扁平状チューブ16aの内壁面にろう付け接合されている。
【0030】
カラー16eは、表裏両面にろう材が被覆されたリング状部材であり、このカラー16eによって、2本の扁平状チューブ16aとチューブ間ジョイント16bとがろう付け接合され、配管10側に存在する扁平状チューブ16aとニップル32とがろう付け接合される。
【0031】
次に、配管10の内部とオイルクーラ16の内部とを連通させるための、配管の接続構造について説明する。図2および図3に示すように、配管の接続構造には、タンク8の外側に配設され、一方側でオイルクーラ16の流通口41に接続されるとともに、他方側で配管10に接続される筒体状のジョイント24と、このジョイント24内部とオイルクーラ16内部を流通する第2流体が外部に漏れることを防止する第1シール部36と、第2流体がジョイント24内部および配管10内部から外部に漏れることを防止する第2シール部26が含まれている。ジョイント24は、流通口41と連通するタンク側流通口42と、このタンク側流通口42および配管10内部と連通する配管側流通口43と、配管10側に配設され、配管10が接続されるときに配管10の体格に沿うように弾性変形する弾性部27とを有し、ジョイント24に接続された状態における配管10の軸方向および径方向についての移動は、弾性部27によって規制される構成とする。
【0032】
ジョイント24は、全体として筒状体であり、そのタンク側筒部は小径の円筒形で、このタンク側筒部には第1シール部36が備えられ、タンク側筒部がニップル32の内筒部に挿入されることにより、ニップル32の内筒壁に第1シール部36が密着してオイルクーラ16内部の第2流体が流通口41からタンク側流通口42を経て配管側流通口43まで外部に漏れることなく流通することに寄与している。この第1シール部36は、本実施形態においては、その一例としてO−リングで構成し、このO−リングは、前記タンク側筒部の外周に形成した所定幅、所定深さを有する溝に収納され、ジョイント24をニップル32内部に挿入接続したときに、ニップル32の内筒壁から径方向中心側に向かう作用力を受けて弾性変形してニップル32の内筒壁に対して密着することになる。
【0033】
一方、ジョイント24の配管側筒部は、前記タンク側筒部と同軸で、その外径よりも大きい円筒形であり、タンク側流通口42と連通する配管側流通口43が開口されている。前記配管側筒部の内部には、配管10側に第1内筒壁25が形成されるとともに、この第1内筒壁25よりもタンク側には第1内筒壁25よりも小径である第2内筒壁38が設けられている。第1内筒壁25と第2内筒壁38との間には、ジョイント24の軸方向に対して直角面を構成する座面39が形成され、この座面39と第2内筒壁38との境界には、テーパ面40が形成され、座面39と第2内筒壁38を滑らかに結んでいる。さらに、ジョイント24の配管側筒部には、配管10がジョイント24に接続されるときに配管10の体格に沿うように弾性変形し、その接続が完了したときに配管10の外面を保持する弾性部27が設けられている。ジョイント24のタンク側内筒部には、その外周を囲むように緩衝部材であるスプリングワッシャ33およびワッシャ34が設けられ、ジョイント24がニップル32に接続されたときに、スプリングワッシャ33およびワッシャ34は、その緩衝機能を発揮してニップル32とでタンク8の配管側の壁部を挟み込むことになる。
【0034】
弾性部27は、配管10の軸方向に延びる延設部29と、配管10が軸方向反タンク側に移動することを規制する押さえ部28とを備えており、押さえ部28の全部と延設部29の一部がジョイント24の配管側端部から突出するように構成されている。そして、弾性部27は、配管10のジョイント側端部をジョイント24の内部に挿入するときに、配管10の体格に沿うように外側にたわんで弾性変形し、接続が完了したときに押さえ部28により配管10の外面が保持されて配管10の軸方向および径方向の動きが規制されることになり、配管10はジョイント24に確実に接続されることになる。
【0035】
なお、弾性部27はジョイント24と一体となって形成される構成としてもよいし、別個に製作された弾性部27をジョイント24に取り付けることにより弾性変形可能なように構成してもよい。
【0036】
配管10は、曲管または直管に形成された全体として筒状体であり、そのジョイント側筒部にジョイント24と接続可能な形状を有する。そのジョイント側筒部は小径の円筒形で、このジョイント側筒部には第2シール部26が備えられている。配管10におけるジョイント24側の体格は、配管10をジョイント24に接続するときに、弾性部27がその体格に沿って外方に弾性変形することになるフランジ部18と、このフランジ部18よりもジョイント24側の軸方向に設けられ、フランジ部18よりも外径が小さい第1外筒部20と、この第1外筒部20よりもジョイント24側の軸方向に設けられ、第1外筒部20よりも外径が小さい第2外筒部22とを備えている。フランジ部18と第1外筒部20との間には、これらをつなぐように軸方向に対して直角の第1下面部19が形成され、第1外筒部20と第2外筒部22との間には、これらをつなぐように軸方向に対して直角の第2下面部21が形成されている。配管10のジョイント側筒部には第2シール部26が備えられている。
【0037】
配管10のジョイント24側の端部がジョイント24内部に挿入されたときに、第1外筒部20、第2外筒部22のそれぞれには、第1内筒壁25、第2内筒壁38が接することになる。このとき、第1下面19がジョイント24の座面39に当接することにより、配管10の軸方向ジョイント側への動きが規制され、押さえ部28による押さえと合わせて、配管10のジョイント24に対する軸方向の位置が決められて、配管10はジョイント24に接続されることになる。
【0038】
そして、ジョイント側筒部がジョイント24の内筒部に挿入されることにより、ジョイント24の第2内筒壁38に第2シール部26が密着することによって、第2流体がタンク側流通口42から配管側流通口43を経て配管10内部まで外部に漏れることなく流通することに寄与している。この第2シール部26は、本実施形態においては、その一例としてO−リングで構成し、このO−リングは、前記ジョイント側筒部の外周に形成した所定幅、所定深さを有する溝に収納され、配管10をジョイント24内部に挿入接続したときに、ジョイント24の第2内筒壁38から径方向中心側に向かう作用力を受けて弾性変形して第2内筒壁38に対して密着することになる。
【0039】
なお、フランジ部18などが形成される配管10のジョイント側筒部は、配管10と一体となって形成される構成としてもよいし、別個に製作された前記ジョイント側筒部を配管10に溶接部23を形成して取り付ける構成としてもよい。
【0040】
次に、弾性部27の構成を示す一例を図4〜図6を用いて説明する。図4は配管の接続構造における配管10と弾性部27との関係を示す部分的正面図である。図5はジョイント24から分離した状態の弾性部27の構成を示す平面図である。図6は、図5に示すCから視た側面図である。
【0041】
図5および図6に示すように、弾性部27は、複数に分割して配管10の軸方向に延びる延設部を有し、本実施形態では、その一例として略円環状のベース部44の周上に略等間隔に配置された3個の延設部29、45、および48を備えた構成としている。延設部29、45、および48は、ベース部44の外縁部からベース部44の中心軸7に平行に起立した形状であり、それぞれの先端部に押さえ部28、46、および49を備えている。押さえ部28、46、および49は、それぞれ中心軸7側に向かって折り返された形状の先端を有する。
【0042】
弾性部27は、薄板状の弾性部材であり、延設部29、45、および48はその押さえ部側がベース部44の外方に向かってたわむような弾性を有している。押さえ部28、46、および49は、配管10のフランジ部18を保持するために、例えば、折り返された形状の先端が、延設部に対して略45°の角度を形成する線上を向くように形成されている。また、ジョイント24と別体に分離した弾性部27を金属で構成する場合には、薄板の金属板をベース部44、延設部29、45、および48、押さえ部28、46、および49を形成するような所定形状に打ち抜き、プレス加工などにより図6に示す形状に形成することで製作される。ジョイント24と別体に分離した弾性部27を樹脂品で構成する場合には、図6に示す所定形状に製作した金型に比較的硬質の樹脂材料を流し込んで固めた後、金型を開いて成形された樹脂成形品を取り出すことで製作することもできる。
【0043】
本実施形態の配管10を機器(オイルクーラ16)に接続する方法について説明する。ジョイント24に弾性部27を装着するには、ベース部44の円環内にジョイント24のタンク側筒部を挿入し、ベース部44の押さえ部側の面が配管側筒部に当接するまでジョイント24を挿入する。さらに、スプリングワッシャ33およびワッシャ34がジョイント24のタンク側筒部の外周囲に位置するように、スプリングワッシャ33およびワッシャ34をタンク側筒部に外嵌する。このように弾性部27をジョイント24に装着したときには、図3に示すように、延設部29、45、および48の一部と、押さえ部28、46、および49とが、ジョイント24の配管側端面の外周縁から突出した状態となる。そして、弾性部27が装着されたジョイント24は、タンク8内のニップル32の内筒部に挿入されることで機器(オイルクーラ16)に装着されることになる。
【0044】
そして、フランジ部18、第1外筒部20、第2外筒部22などを有する前述のジョイント側筒部を形成した配管10をジョイント24に接続するときには、図2に示すように、配管10に軸方向に加えられた力によって、フランジ部18の外周に沿って弾性部27の前記突出した部分を外側に弾性変形させながら、配管10の第1下面19がジョイント24の座面39に当接するまで、配管10のジョイント側筒部をジョイント24の内部に進入させる。このとき、図2および図4に示すように、ベース部44側に向かうように折り返された前記先端が、フランジ部18における端面17の外周縁部を押えることによって、配管10がジョイント24から軸方向に抜けるのが防止される。さらに配管10の第1下面19がジョイント24の座面39に当接することによって、配管10がタンク8側に軸方向に移動するのが防止されて、配管10がジョイント24を介して機器(オイルクーラ16)に接続されることになる。また、配管10のジョイント側筒部をジョイント24の内部に進入させる過程において、第1外筒部20の外周面が第1内筒壁25に接すると同時に、第2シール部26がテーパ面40に到達するような位置関係に構成する。このような構成とすることにより、配管10のジョイント側筒部をジョイント24の内部に円滑に進入させることができる。
【0045】
このように本実施形態における配管の接続構造によれば、タンク8の外側に配設され、一方側でオイルクーラ16の流通口41に接続されるとともに、他方側で配管10に接続される筒体状のジョイント24と、このジョイント24内部とオイルクーラ16内部を流通する第2流体が外部に漏れることを防止する第1シール部36と、第2流体がジョイント24内部および配管10内部から外部に漏れることを防止する第2シール部26と、を備え、ジョイント24は、流通口41と連通するタンク側流通口42と、このタンク側流通口42および配管10内部と連通する配管側流通口43と、配管10側に配設され、配管10が接続されるときに配管10の体格に沿うように弾性変形する弾性部27とを有し、ジョイント24に接続された状態における配管10の軸方向および径方向についての移動が、弾性部27によって規制される構成としたので、配管10がジョイント24に接続されるときに、ジョイント24に設けられた弾性部27が配管10の体格に沿うように弾性変形し、配管10がジョイント24に接続された状態において、配管10の軸方向および径方向の動きが弾性部27によって規制されることにより、配管10をジョイント24に接続する作業が容易に行うことができるとともに、接続された状態においても安定した取付け力を発揮し、配管10の取付け性が向上する。ジョイント24に対して配管10を押し込むように外力を加えるだけで、弾性部27の弾性変形によって配管10が装着されるため、接続時に配管10が周方向に回転することがなく、曲管状に形成されている配管を接続する場合においても、配管の方向性に注意して接続作業を行うというわずらわしさがなくなる。また、第1シール部36および第2シール部26を有し、配管10の体格に沿うように弾性変形する弾性部27をジョイント24に設けたことにより、流体の漏れを防止するシール性を確保するとともに、ねじ構造やかしめ構造などを不要とした簡易な配管の接続構造が得られる。
【0046】
また、弾性部27が、配管10の軸方向に延びる延設部29と、配管10が軸方向反タンク側に移動することを規制する押さえ部28とを備えている場合には、配管10をジョイント24に接続するときにおける弾性部27の弾性変形が延設部29によって促進されるとともに、配管10のジョイント24への取付け力が押さえ部28によって安定するという効果がある。
【0047】
また、弾性部が、複数に分割して配管10の軸方向に延びる延設部29、45、および48を有する場合には、配管10に軸方向に力を加えて配管10とジョイント24を接続するときに、配管10の軸方向に延びる延設部29が複数に分割されていることにより、弾性部の弾性変形が促進されるとともに、配管10の軸方向にかかる力が複数に分割された延設部29、45、および48に分散されて接続作業が安定するという効果がある。
【0048】
また、弾性部27が、ジョイント24に対して分離可能に構成されている場合には、ジョイント24と弾性部27を別体としたことにより、ジョイント24に弾性部27を一体的に形成する必要がないので、ジョイント24の構成を簡単化することができ、また、使用状況に合わせて弾性変形度合いを調整した弾性部を採用して、ジョイント24に適用することが可能になる。
【0049】
また、配管10におけるジョイント24側の体格は、弾性部27がその体格に沿って外方に弾性変形することになるフランジ部18と、このフランジ部18よりもジョイント24側の軸方向に設けられフランジ部18よりも外径が小さい第1外筒部20と、この第1外筒部20よりもジョイント24側の軸方向に設けられ第1外筒部20よりも外径が小さい第2外筒部22とを備え、ジョイント24内部には、配管10のジョイント24側の端部がジョイント24内部に挿入されたときに、第1外筒部20、第2外筒部22のそれぞれが接する第1内筒壁25、第2内筒壁38が設けられている構成とした場合には、配管10のジョイント24側の端部がジョイント24内部に挿入されたときに、第1外筒部20、第2外筒部22のそれぞれが第1内筒壁25、第2内筒壁38に接することにより、配管10を軸方向にジョイント24内部に挿入する接続作業が円滑に行うことができる。
【0050】
また、第1内筒壁25と第2内筒壁38との間には、ジョイント24の軸方向に対して直角な面を構成する座面39が形成され、この座面39と第2内筒壁38との境界には、テーパ面40が形成され、座面39と第2内筒壁38を滑らかに結ぶ構成としたので、配管10を軸方向にジョイント24内部に挿入する接続作業をさらに円滑に行えることとなる。
【0051】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、配管10が接続される機器の一例としてオイルクーラ16を挙げて説明したが、本発明は、ラジエータ1の他にインタークーラやヒータコアなどの熱交換器に対して接続される配管においても適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1実施形態におけるラジエータの構成を示す正面図である。
【図2】図1に示すA−A部およびB−B部における断面図である。
【図3】図2に示す配管の接続構造を説明する分解図である。
【図4】第1実施形態の配管の接続構造における配管と弾性部との関係を示す部分的正面図である。
【図5】第1実施形態におけるジョイントから分離した状態の弾性部の構成を示す平面図である。
【図6】図5に示すCから視た側面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ラジエータ
2 コア
8 タンク
10 配管
16 オイルクーラ(機器)
18 フランジ部
20 第1外筒部
22 第2外筒部
24 ジョイント
25 第1内筒部
26 第2シール部
27 弾性部
28 押さえ部
29 延設部
36 第1シール部
38 第2内筒壁
41 流通口
42 タンク側流通口
43 配管側流通口
45、48 延設部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体が含有されたタンク(8)内に設けられる機器(16)と、前記タンク(8)外に配置される配管(10)とを連通するように接続する配管の接続構造であって、
前記タンク(8)の外側に配設され、一方側で前記機器(16)の流通口(41)に接続されるとともに、他方側で前記配管(10)に接続される筒体状のジョイント(24)と、前記ジョイント(24)内部と前記機器(16)内部を流通する第2流体が外部に漏れることを防止する第1シール部(36)と、前記第2流体が前記ジョイント(24)内部および前記配管(10)内部から外部に漏れることを防止する第2シール部(26)と、を備え、
前記ジョイント(24)は、配管(10)内部および機器(16)内部と連通する流路と、前記配管(10)側に配設され、前記配管(10)が接続されるときに前記配管(10)の体格に沿うように弾性変形する弾性部(27)とを有し、
前記ジョイント(24)に接続された状態における前記配管(10)の軸方向および径方向についての移動が、前記弾性部(27)によって規制された状態で、前記配管(10)は前記ジョイント(24)に接続されることを特徴とする配管の接続構造。
【請求項2】
前記弾性部(27)は、前記配管(10)の軸方向に延びる延設部(29)と、前記配管(10)が軸方向反タンク側に移動することを規制する押さえ部(28)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の配管の接続構造。
【請求項3】
前記弾性部(27)は、複数に分割して前記配管(10)の軸方向に延びる延設部(29、45、48)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の配管の接続構造。
【請求項4】
前記弾性部(27)は、前記ジョイント(24)に対して分離可能に構成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配管の接続構造。
【請求項5】
前記配管(10)における前記ジョイント(24)側の体格は、前記弾性部(27)がその体格に沿って外方に弾性変形することになるフランジ部(18)と、前記フランジ部(18)よりもジョイント(24)側の軸方向に設けられ前記フランジ部(18)よりも外径が小さい第1外筒部(20)と、前記第1外筒部(20)よりもジョイント(24)側の軸方向に設けられ前記第1外筒部(20)よりも外径が小さい第2外筒部(22)とを備え、
前記ジョイント(24)内部には、前記配管(10)の前記ジョイント(24)側の端部が前記ジョイント(24)内部に挿入されたときに、前記第1外筒部(20)、前記第2外筒部(22)のそれぞれが接する第1内筒壁(25)、第2内筒壁(38)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の配管の接続構造。
【請求項6】
前記第1内筒壁(25)と前記第2内筒壁(38)との間に前記ジョイント(24)の軸方向に対して直角面を構成する座面(39)を設け、前記座面(39)と前記第2内筒壁(38)との境界にテーパ面40を形成し、前記配管(10)の前記ジョイント(24)側の端部が前記ジョイント(24)内部に挿入されたときに、前記第1外筒部(20)の外周面が前記第1内筒壁(25)に接するとともに、前記第2シール部(26)が前記テーパ面(40)に到達することを特徴とする請求項5に記載の配管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−322561(P2006−322561A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147192(P2005−147192)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】