説明

配管サポート構造

【課題】建造物の壁部に配管を支持する配管サポート構造において、サポート構成部品の手配を容易にして納期短縮及びコストダウンを図る。
【解決手段】壁部3aに支持されてこの壁部3aから離間した配管支持面8を形成するサポート本体5と、配管支持面8に配管2を保持するホルダ6とを備え、ホルダ6がUボルトからなり、サポート本体5が必要な長さにカットしたH形鋼からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の壁部に配管を支持する配管サポート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記配管サポート構造において、前記壁部からの熱による配管の熱延びを考慮した種々の構成が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−4762号公報
【特許文献2】特開2000−320788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の構成においては、複数の鋼材を組み合わせてこれらを一体に接合してサポート本体を形成し、このサポート本体上にさらに型成形品からなるホルダを設けて配管を支持している。この場合、サポート本体及びホルダはそれぞれ工場で製作した後に現場に納入している。
しかし、サポート本体及びホルダの形状が特殊であることから手配に手間がかかり、納期が遅れて現場の工程遅れに繋がることがあった。
【0005】
そこで本発明は、建造物の壁部に配管を支持する配管サポート構造において、サポート構成部品の手配を容易にして納期短縮及びコストダウンを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、建造物の壁部に配管を支持する配管サポート構造において、前記壁部に支持されてこの壁部から離間した配管支持面を形成するサポート本体と、前記配管支持面に前記配管を保持するホルダとを備え、前記ホルダがUボルトからなり、前記サポート本体が必要な長さにカットしたH形鋼からなることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、前記サポート本体に前記配管支持面及びその支持部を補強する補強部材が設けられることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、前記サポート本体が前記壁部に前記配管の長手方向で移動可能に支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、配管をサポート本体に保持するホルダをUボルトで構成し、かつサポート本体を必要長さにカットしたH形鋼で構成することで、サポート本体を複数の鋼材で形成した従来構成と比べてホルダ及びサポート本体の手配が容易になり、さらなる納期短縮及びコストダウンを図ることができる。
請求項2に記載した発明によれば、サポート本体に配管支持面及びその支持部を補強する補強部材を設けることで、サポート本体を形鋼のみで形成した場合と比べてサポート本体が支持する配管のサイズや重量等の上限を高めることができ、汎用性を高めてさらなるコストダウンを図ることができる。
請求項3に記載した発明によれば、サポート本体を配管の長手方向で移動可能とすることで、配管の熱延びを考慮しつつこれを支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一実施形態における配管サポートの説明図であり、(a)は配管軸方向に沿う矢視図、(b)は配管軸方向との直交方向に沿う矢視図である。
【図2】本発明の第二実施形態における配管サポートの説明図であり、(a)は配管軸方向に沿う矢視図、(b)は配管軸方向との直交方向に沿う矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第一実施形態>
図1に示す配管サポート1は、例えばボイラ等のプラント設備の建設時において、熱源であるボイラ本体(建造物)3の壁部3aに配される配管2を、壁部3aから所定量離間させて支持することで、配管2の保温(壁部3aからの熱の影響の抑制)をしつつこれを支持するものである。
【0010】
配管サポート1は、配管2の軸方向(長手方向、図1(b)の左右方向)で複数配置されて配管2を支持するもので、所定長さに切断されたH形鋼からなるサポート本体5と、サポート本体5の一方のフランジ(後述の上フランジ5a)に取り付けられるUボルトからなるホルダ6とを有する。
【0011】
サポート本体5を構成するH形鋼は、各フランジを壁部3aの壁面と平行にして配置される。以下、壁部3aから離間したフランジを上フランジ5a、壁部3a側のフランジを下フランジ5bとする。なお、図中符号5cはウェブを示す。上フランジ5aには、ホルダ6を構成するUボルトの両ネジ軸部6aを挿通、固定するための挿通孔5dが形成される。下フランジ5bには、サポート本体5(配管サポート1)を壁部3aに固定するボルト7を挿通するための締結孔5eが形成される。
【0012】
ホルダ6を構成するUボルトは、その湾曲部6bの円弧形状の内径が配管2の外径に概ね整合するサイズのものが用いられる。このUボルトの湾曲部6bの内周側に配管2の支持部分を嵌合させると共に、Uボルトの両ネジ軸部6aをサポート本体5の上フランジ5aの挿通孔5dにフランジ表側から挿通し、フランジ裏側に突出した両ネジ軸部6aにそれぞれナット6cを螺着し締め込むことで、Uボルト(ホルダ6)が上フランジ5aの表面(壁部3aと反対側の面、以下、配管支持面8という)に配管2を保持した状態で上フランジ5aに固定される。
【0013】
配管サポート1は、配管2を保持する前又は後にボルト7より壁部3aに固定され、もって配管サポート1を介して配管2が壁部3aに支持される。なお、壁部3aに立設したスタッドボルトにナットを螺着する構成でもよく、又は下フランジ5bを壁部3aに溶接固定する構成でもよい。また、配管2外周は樹脂フォーム材等からなる保温外被9で覆われるが、Uボルトが嵌合する部分では保温外被9が適宜切り欠かれる。
【0014】
サポート本体5は、適切な規格のH形鋼を現場で必要長さに切断し、このH形鋼の各フランジに孔開け加工を施すのみで製作できると共に、ホルダ6は、適切なサイズのUボルトを用意してサポート本体5に取り付けるのみでよいため、サポート構成部品の製作が容易で安価であり、かつ現場で加工、製作することも可能であることから、輸送コストも安価で納期も短縮できる。
【0015】
すなわち、従来の如く複数の鋼材を組み合わせてサポート本体とし、このサポート本体に型成形品からなるホルダを固定して配管サポートとする場合と比べて、本実施形態の構成では、H形鋼(サポート本体5)への孔開け作業とUボルト(ホルダ6)の取り付け作業とを要するものの、従来の如くホルダをプレス加工により成形したりサポート本体を工場で作製した後に現場に輸送するような必要がないため、サポート構成部品の納品遅れによる工程遅れ等に基づくコストの発生がなく、特にコスト面で優位であるといえる。
【0016】
以上説明したように、上記実施形態における配管サポート構造は、ボイラ本体3の壁部3aに配管2を支持する配管サポート1の構造において、前記壁部3aに支持されてこの壁部3aから離間した配管支持面8を形成するサポート本体5と、前記配管支持面8に前記配管2を保持するホルダ6とを備え、前記ホルダ6がUボルトからなることで、ホルダ6を型成形品とした従来構成と比べてホルダ6の手配が容易になり、納期短縮及びコストダウンを図ることができる。
【0017】
また、サポート本体5を必要長さにカットした形鋼で構成することで、サポート本体5を複数の鋼材で形成した従来構成と比べてサポート本体5の手配が容易になり、さらなる納期短縮及びコストダウンを図ることができる。
【0018】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図2を参照して説明する。
この実施形態の配管サポート11は、前記第一実施形態のものに対して、サポート本体5のウェブ5cの両側面に上下フランジ5a,5b間に渡る補強部材12をそれぞれ溶接固定すると共に、下フランジ5bを壁部3aに配管2の軸方向で移動可能に支持した点で特に異なり、その他の、前記実施形態と同一部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0019】
補強部材12は、H形鋼と同じ鋼材であり、サポート本体5のウェブ5cの両側面にそれぞれ設けられ、かつ例えば配管2の軸方向で一対に設けられる。これにより、サポート本体5がH形鋼のみからなる場合と比べて、より大型で重量のある配管2を支持可能となる。
【0020】
なお、補強部材12は、図2では配管2の軸方向と直交する平板状の長方形状としたが、これに限らず、例えば配管2の軸方向との直交面に対して傾斜させたり、配管2の軸方向で一対ではなく単一又は三つ以上に設けたり、長方形状の平板状ではなく三角形状、台形状、凹凸状、湾曲状、筋交い状と様々な態様に設けてもよい。
【0021】
配管サポート11の下フランジ5bには前記締結孔5eがなく、その両外側部が壁部3aに固定されたガイド部材13にそれぞれ配管2の軸方向で移動可能に保持される。これにより、熱による配管2の伸縮が生じた際にもこれを吸収可能である。
【0022】
以上説明したように、上記実施形態における配管サポート構造は、第一実施形態のものと同様の作用効果に加え、サポート本体5に配管支持面8及びその支持部(ウェブ5c)を補強する補強部材12を設けることで、サポート本体5を形鋼のみで形成した場合と比べてサポート本体5が支持する配管2のサイズや重量等の上限を高めることができ、汎用性を高めてさらなるコストダウンを図ることができる。
また、サポート本体5を配管2の長手方向で移動可能とすることで、配管2の熱延びを考慮しつつこれを支持することができる。
【0023】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、サポート本体5(H形鋼)のウェブ5cが配管2と平行ではなく直交するように配置された構成であってもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0024】
1,11 配管サポート
2 配管
3 ボイラ本体(建造物)
3a 壁部
5 サポート本体
5a 上フランジ
5b 下フランジ
5c ウェブ(支持部)
6 ホルダ
8 配管支持面
12 補強部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の壁部に配管を支持する配管サポート構造において、
前記壁部に支持されてこの壁部から離間した配管支持面を形成するサポート本体と、
前記配管支持面に前記配管を保持するホルダとを備え、
前記ホルダがUボルトからなり、前記サポート本体が必要な長さにカットしたH形鋼からなることを特徴とする配管サポート構造。
【請求項2】
前記サポート本体に前記配管支持面及びその支持部を補強する補強部材が設けられることを特徴とする請求項1に記載の配管サポート構造。
【請求項3】
前記サポート本体が前記壁部に前記配管の長手方向で移動可能に支持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の配管サポート構造。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−149688(P2012−149688A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7894(P2011−7894)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(592009281)IHIプラント建設株式会社 (39)
【Fターム(参考)】