配管検査方法、配管検査装置および電磁超音波センサ
【課題】配管の減肉等の検査において、ガイド波を送受信する電磁超音波センサの健全性確認や感度校正を容易に行なえるようにする。
【解決手段】磁極が配管30に対向しコイル軸が配管の周方向を向くように電磁超音波センサを配置し、コイルに交流電流を流すことにより配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて反射して戻ってきたガイド波によってコイルに生じる軸方向エコー電流を検出する。磁極が配管に対向しコイル軸が管軸方向を向くように電磁超音波センサを配置し、コイルに交流電流を流すことにより周方向に伝播するガイド波を発生させて反射せずに戻ってきたガイド波によってコイルに生じる周回エコー電流を検出する。周回エコー検出ステップで得られた周回エコー電流に基づいて電磁超音波センサの感度を校正する。
【解決手段】磁極が配管30に対向しコイル軸が配管の周方向を向くように電磁超音波センサを配置し、コイルに交流電流を流すことにより配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて反射して戻ってきたガイド波によってコイルに生じる軸方向エコー電流を検出する。磁極が配管に対向しコイル軸が管軸方向を向くように電磁超音波センサを配置し、コイルに交流電流を流すことにより周方向に伝播するガイド波を発生させて反射せずに戻ってきたガイド波によってコイルに生じる周回エコー電流を検出する。周回エコー検出ステップで得られた周回エコー電流に基づいて電磁超音波センサの感度を校正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁超音波センサ、ならびに、これを利用した配管検査方法および配管検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントに敷設されている配管には、敷設後ある程度の期間が経過すると腐食進行により配管板厚が薄くなる個所すなわち減肉部が発生する場合がある。したがって、保守作業員は定期または不定期に実施されるメンテナンス作業において、このような減肉部の発生の有無を検査するために超音波厚さ計による板厚測定を実施している。この検査は、検査対象物である配管の外周に取り付けられている保温材を取り外して、配管外表面に超音波センサを直接接触させて超音波信号を取得し、取得信号を解析することで板厚を得る方法である。校正方法は、検査対象物と同一材から成る板厚が既知の校正用試験体を用い、この校正用試験体での超音波信号を基準として感度校正が行なわれている。
【0003】
それに対して、近年、ガイド波またはガイドウェーブと呼ばれる超音波を用いた検査方法および装置が提案されている。ガイド波法は、配管の軸方向に伝播する超音波を発生させ、減肉個所で反射して戻ってくる反射エコーを解析することで減肉部の有無や板厚を検査する方法である。センサ設置個所の保温材は取り外す必要があるが、設置個所以外の保温材は取り外すことなくセンサ設置位置から数十m先の広範囲に渡る減肉の有無を一度に検査できる特徴がある。
【0004】
しかしながら、ガイド波法の校正方法は確立されていない。一般的には板厚計による板厚検査と同様に検査対象物と同一材の校正用試験体による校正が行なわれているが、校正用試験体を用いる方法では、検査対象物に対してそれぞれに校正用試験体を製作する必要があり、大口径配管が検査対象になった場合、同一材の配管の入手はもちろん運搬、加工、および保管、管理が必要となり、膨大な時間とコストがかかるという問題が生じる。
【0005】
特許文献1には、配管を伝播するガイド波を強制的に反射させる反射部材を配管外表面または内面に設置するもので、反射部材からの信号振幅を基準としてセンサ感度や減肉の大きさを推定するものが記載されている。反射部材には金属性ブロックや磁石などを用い、設置位置は超音波センサから配管軸方向に離れた位置で、配管周方向に対してー部位または複数部位に設けることとしている。
【0006】
特許文献2には、測定に用いる検査用の超音波センサ、校正用の超音波センサの2つのセンサを使用し、校正用の超音波センサの取得信号を基準として検査用の超音波センサの取得信号を校正するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−293981号公報
【特許文献2】特開2009−236620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および2に記載された方法は、いずれも校正用試験体を用いること無く校正できる方法であるが、特許文献1では反射部材の設置および撤去といった付随作業が発生する問題がある。特許文献2では校正用の超音波センサを用意する必要があるためセンサコストが上昇する問題がある。
【0009】
本発明の目的は、ガイド波を用いた配管の減肉等の検査において、電磁超音波センサの健全性確認や感度校正を容易に行なえるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る配管検査方法の一つの態様は、第1の端部に第1の磁極が形成され第1の端部の反対側に第2の磁極が形成される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直なコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられたコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて、配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの感度を校正する校正ステップと、前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記校正ステップによって得られた前記電磁超音波センサの感度に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る配管検査方法の他の一つの態様は、第1の端部に第1の磁極が形成され第1の端部の反対側に第2の磁極が形成される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直なコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられたコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの健全性を判定するセンサ健全性判定ステップと、前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記センサ健全性判定ステップによって得られた前記電磁超音波センサの健全性の判定結果に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る配管検査方法の他の一つの態様は、第1の磁極と第2の磁極が互いに反対方向に向いている永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて、配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記第1のコイル軸が前記配管の周方向を向いて前記第2のコイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置するセンサ配置ステップと、前記センサ配置ステップの後に前記第1のコイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記第1のコイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、前記センサ配置ステップの後に前記第2のコイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの感度を校正する校正ステップと、前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記校正ステップによって得られた前記電磁超音波センサの感度に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る配管検査装置の一つの態様は、配管の管壁内部を進行する超音波であるガイド波を送受信する電磁超音波センサを有する配管検査装置であって、前記電磁超音波センサは、第1の磁極が前記配管の管壁面の一部に対向し、第2の磁極が前記管壁面の一部から遠ざかる方向に向くように配置される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、を備え、前記第1のコイルおよび第2のコイルに交流電流を供給できるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電磁超音波センサの一つの態様は、配管の管壁内部を進行する超音波であるガイド波を送受信する電磁超音波センサであって、第1の磁極が前記配管の管壁面の一部に対向し、第2の磁極が前記管壁面の一部から遠ざかる方向に向くように配置される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガイド波を用いた配管の減肉等の検査において、電磁超音波センサの健全性確認や感度校正を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置の電磁超音波センサの送信時の状態を示す模式図である。
【図2】図1の電磁超音波センサの受信時の状態を示す模式図である。
【図3】図1の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の軸方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図4】図3に示す配管の軸方向に超音波を送受信したときの受信信号の例を示すタイムチャートである。
【図5】図1の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図6】図5に示す配管の周方向に超音波を送受信したときの受信信号の例を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置を用いた配管検査方法における振幅レベルと減肉サイズの関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置を用いた配管検査方法における超音波エコーの伝播時間と振幅レベルの関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置の電磁超音波センサの構成と作用を示す模式図である。
【図10】図9の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の軸方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図11】図9の電磁超音波センサをX軸方向から見た模式図である。
【図12】図9および図11に示す電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管の軸方向および周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管に超音波を送信する状況を示す平面図であって、配管の周方向に超音波を送信する場合を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管に超音波を送信する状況を示す平面図であって、配管の周方向に対して傾いた方向に超音波を送信する場合を示す図である。
【図16】図14および図15の状況における周回エコーの周回数と周回エコーレベルの関係を示すグラフである。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る配管検査装置の各電磁超音波センサの出力波形の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1ないし図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置を説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置の電磁超音波センサの送信時の状態を示す模式図である。電磁超音波センサ1は、永久磁石2とコイル3から構成される。永久磁石2は配管30の外周面から内周面への方向に磁化されおり、図1では配管30の壁面に近い側がN極、遠い側がS極になっている。コイル3は、永久磁石2のN極とS極を結ぶ線に対して垂直なコイル軸50の周りで永久磁石2の周囲に複数巻回されている。コイル3には交流電圧を印加して交流電流4を流すことができるようになっている。
【0020】
配管30には永久磁石2により白抜き矢印で示す磁束6が加わるが、コイル3に交流電流4を流すと配管30の表面には渦電流7が誘導される。渦電流7の方向が図1のように奥行方向とすると、磁束6と渦電流7は直交していることからフレミングの左手の法則により、配管30には黒矢印で示す方向にローレンツ力8が発生する。このローレンツ力8は交流電流4によって誘導された渦電流7によって発生するので時間的に変化し、図示した矢印方向とは180度反転となり、その後再び、図示の矢印方向と同方向となることを繰り返す。このローレンツ力8の振動は交流電流4によるものであることから、配管30には交流電流4と同じ周波数の振動(超音波)が発生することとなる。
【0021】
上記説明は超音波発生の動作であるが、超音波を受信する動作は逆のプロセスとなる。図2は図1の電磁超音波センサの受信時の状態を示す模式図である。図2の電磁超音波センサ1において、磁束6が加わった状態で、配管30に振動が到達すれば、フレミングの右手の法則によって配管表面に電界が発生する。この電界によって配管30の表面には渦電流7が発生し、この渦電流7によって鎖交磁束9が発生する。この鎖交磁束9はコイル3と鎖交するので、コイル3の両端には鎖交磁束9によるファラデーの法則に基づく起電力10が発生する。この起電力10を電気信号として、超音波を検出することができる。
【0022】
したがって、図1に示した電磁超音波センサ1によって、超音波を送信できるとともに受信することも可能となる。
【0023】
たとえば、配管30の板厚を10mm、音速度を3000m/sとして考えると、超音波の周波数をたとえば5MHzの高周波にした場合にはガイド波の波長は0.6mmとなり板厚よりも短くなる。このため超音波は板厚方向に伝播する。一方、超音波の周波数をたとえば50kHzにすれば波長は60mmとなり、板厚よりも長くなることから、図3に示すようにガイド波20として配管30の軸方向に伝播する。このことから電磁超音波の周波数は一般的には数十kHz〜数百kHzの範囲になると考えらえる。
【0024】
図3は図1の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の軸方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。ガイド波20は、図3に示すように振動方向が配管30の周方向、伝搬方向が配管30の軸方向となる。振動方向とは上述したローレンツ力8の振動方向であり、ガイド波20はコイル3の巻回方向と同じ方向に伝播することになる。
【0025】
このように、配管30の軸方向にガイド波20が伝播すれば、図3のように減肉部31で反射し、反射ガイド波22として電磁超音波センサ1で検出される。図4は図3に示す配管の軸方向に超音波を送受信したときの受信信号の例を示すタイムチャートである。
【0026】
反射源となる減肉部31がなければガイド波20は反射されずに配管30の軸方向に伝播し続けながら減衰するため、受信信号の中に反射エコーは検出されない。
【0027】
つぎに、図5に示すように電磁超音波センサ1を90度回転させて配置する。図5は、図1の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。この場合、ガイド波20は配管30の軸方向に振動しながら周方向に伝播する。このように伝播させれば周回したガイド波を電磁超音波センサ1で検出することが可能となる。図6は図5に示す配管の周方向に超音波を送受信したときの受信信号の例を示すタイムチャートである。
【0028】
一般的にガイド波は長距離まで伝播する特徴があり、10m程度は伝播することから周方向に伝播する周回ガイド波は数周回検出することができる。この実施形態では、この周回ガイド波の信号を校正のためのリファレンス信号とする。
【0029】
超音波探傷で一般的に用いる圧電素子を用いてガイド波を送受信する方式のセンサでは、センサを配管に密着させる必要があるため、この実施形態のようにセンサを回転させることはできない。センサの取り付けの向きによって配管の曲率が異なるからである。一方、電磁超音波センサ1では先の図1および図2に示したように配管自体が振動発生源となることから、センサと配管との間に数mmの隙間があったとしても配管に振動を与えることが可能である。また、電磁超音波センサ1は内蔵する永久磁石2の磁力によって配管30に一定の押し付け圧で吸着されるため、取り付け再現性が高く、センサ設置方向を90度変えても安定的な受信信号を得ることができる。
【0030】
このように電磁超音波センサを用いることで、反射源を用いることなく、配管の軸方向と周方向の両方向へのガイド波を伝播することができる。
【0031】
図5および図6に示す方法で、配管30の周方向に周回した上で検出される周回ガイド波の振幅を、検査対象物を同形状の円筒体を用いて予め求めておき、これを基準強度として実際の検査対象物で同様に周回した上で検出される周回ガイド波の振幅を校正強度とし、基準強度と校正強度との差分からセンサの劣化程度を定量的に得ることができる。これにより、検査の信頼性が確保される。また、センサが故障しガイド波が送信または受信できなければ図6に示した周回ガイド波は検出されないことから故障の有無も容易に確認することができる。
【0032】
ガイド波は、配管30の減肉部が大きければ反射ガイド波の振幅も大きくなる相関関係があり、この相関性を用いることで減肉の大きさを推定することが可能である。ここで、センサ感度の変動を補正すれば相関性がより強くなり推定精度を向上することができる。
【0033】
センサ感度の補正として前述の基準強度と校正強度の差分を用いれば、感度変動が定量的に得られる。この感度変動を、ガイド波の伝播方向を配管軸方向とした減肉測定時に検出される受信信号の校正に用いれば、減肉の大きさを推定することができる。
【0034】
さらに、図6の周回ガイド波のエコー間隔から配管周方向に1周回にガイド波の伝播時間を得ることができる。図6にて受信信号の中のガイド波送信エコーと1周目に検出される周回波との時間差(t1)と、周回ごとに検出される受信信号の時間差(t2、t3)は同経路を巡回することから一定であり、いずれの時間間隔を用いても伝搬時間となる。また、t1〜t3の平均時間差を用いてもよい。
【0035】
ここから得られる伝播時間Tと検査対象物である円筒体の外形サイズ(伝播距離L)から、配管を伝播するガイド波の音速度Vを、V=L/Tの式で容易に求めることができる。
【0036】
上述の周回ガイド波から求めた音速度を用いて、配管30の軸方向に伝播した場合の受信信号を伝播距離に換算すれば、実測した音速度からの換算であることから減肉部の位置(センサからの距離)を正確に同定することができる。
【0037】
図7は、この第1の実施形態に係る配管検査装置を用いた配管検査方法における振幅レベルと減肉サイズの関係を示すグラフである。図8は、この第1の実施形態に係る配管検査装置を用いた配管検査方法における超音波エコーの伝播時間と振幅レベルの関係を示すグラフである。
【0038】
減肉部で発生する反射エコーの振幅レベルは、図7に示すように減肉の大きさと比例性がある。この場合に、管壁内の超音波の減衰率を考慮する必要がある。したがって、予め減肉サイズと振幅レベルの相関係数を取得しておけば振幅レベルから減肉の大きさを推定することができる。しかしながら、図8に示すように、減衰率により振幅レベルが変動する。すなわち、振幅レベルは配管の固体差などによって、伝播減衰率が変わるため推定値に誤差が生じる。このため、ガイド波の伝播方向を配管周方向とした場合に検出される周回エコーの振幅レベルからガイド波の伝播減衰率を計算することで振幅レベルの補正を行なう。
【0039】
伝播減衰率は単位伝播時間(=伝播距離)での振幅レベルの低下率であることから、図6の周回エコーの周回ごとの振幅レベルから定量的な伝播減衰率が得られる。このように伝播減衰率を補正することによって、誤差が少なくなり、減肉サイズの推定精度を向上することができる。
【0040】
以上説明した第1の実施形態によれば、ガイド波を用いた配管の減肉等の検査において、電磁超音波センサの健全性確認や感度校正を容易に行なうことができる。また、配管の管壁内を伝播する音速度を実測できるので、配管の減肉等の位置を正確に特定することができる。
【0041】
[第2の実施形態]
図9ないし図15を参照して、本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置を説明する。
【0042】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置の電磁超音波センサの構成と作用を示す模式図である。図10は、図9の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の軸方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。図11は、図9の電磁超音波センサをX軸方向から見た模式図である。図12は、図9および図11に示す電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【0043】
電磁超音波センサ51は、永久磁石2と、第1のコイル53と、第2のコイル54とから構成されている。永久磁石2は、配管30の外周面から内周面の方向(Y方向)に磁化されおり、図9では配管30に近い側をN極、遠い側をS極としている。第1のコイル53は、永久磁石2のN極とS極を結ぶ線(Y方向)に対して垂直なX方向の第1コイル軸60の周りで永久磁石2の周囲に複数巻回されている。第2のコイル54は永久磁石2のN極とS極を結ぶ線(Y方向)に対して垂直なZ方向の第2コイル軸61(図11参照)の周りで永久磁石2の周囲に複数巻回されている。第1コイル軸60と第2コイル軸61は互いに直交しており、第2のコイル54は第1のコイル53の外側に巻回されている。
【0044】
この構成により、永久磁石2と第1のコイル53によってガイド波を送受信する第1の送受信部、永久磁石2と第2のコイル54によってガイド波を送受信する第2の送受信部が形成される。電磁超音波センサ51は永久磁石2を内蔵しているため、配管30が磁性体であれば磁力によって一定の押し付け圧で配管30に吸着される。また、電磁超音波センサ51には図示しないがセンサを駆動させる電気信号を送るガイド波送受信器が接続される。
【0045】
この構成により配管30の軸方向に伝播するガイド波の送受信動作は以下のとおりである。
【0046】
まず、第1の送受信部の動作を図9にて説明する。配管30には永久磁石2によりY方向の磁束6が加わるが、第1のコイル53に交流電流55を流すと配管30の表面に渦電流57が誘導される。渦電流57の方向が図9の奥行方向(Z方向)であるから磁束6と渦電流57は直交関係にあり、フレミングの左手の法則により、配管30にはローレンツ力58がX方向に発生する。このローレンツ力58は交流電流55によって誘導された渦電流57によって発生するため時間的に変化し、ローレンツ力58の方向が180度反転となった後、再び、元の方向になることを繰り返し、これが配管30を伝播するガイド波となる。
【0047】
このように配管30に発生する振動は交流電流55によるものであり交流電流55の周波数でガイド波の周波数を設定することができる。
【0048】
上記説明はガイド波の発生動作であるが、受信する動作は逆のプロセスとなる。すなわち、磁束6が加わった状態で、配管30に振動が到達すれば、フレミングの右手の法則によって配管30の表面に電界が発生する。この電界によって配管表面には渦電流57が発生し、この渦電流57によって鎖交磁束が発生する。鎖交磁束は第1のコイル53と鎖交するので、第1のコイル53の両端には鎖交磁束によるファラデーの法則に基づく起電力が発生し、電気信号として超音波を検出することができる。
【0049】
ここで、たとえば、配管の板厚を10mm、音速度を3000m/sとして、ガイド波の周波数をたとえば5MHzの高周波とすれば、ガイド波の波長は0.6mmとなり、板厚よりも短くなる。このため超音波は板厚方向(Y方向)に伝播する。一方、超音波の周波数をたとえば周波数を50kHzとすれば、波長は60mmとなり板厚よりも長くなることから、図10に示すようにガイド波20として配管30の軸方向(Z方向)に伝播する。このことから電磁超音波で使用する周波数は一般的には数十kHz〜数百kHzの範囲となる。
【0050】
また、ガイド波20は、図10に示したように振動方向が配管周方向(X方向)、伝搬方向が配管軸方向(Z方向)となる。
【0051】
図10に示すように、減肉部31ではガイド波20の一部が反射し、反射ガイド波22として電磁超音波センサ51で検出され、第1の実施形態で説明した図4に示すような受信信号が検出される。反射源となる減肉部31がなければ反射されずに伝播し続けながら減衰するため反射エコーは検出されない。これら作用によって、第1の送受信部によって図10に示す配管軸方向(Z方向)へのガイド波送受信が可能となる。
【0052】
次に、第2の送受信部の動作を図11にて説明する。配管30には永久磁石2によりY方向の磁束6が加わるが、第2のコイル54に交流電流65を流すと配管30の表面に渦電流67が誘導される。第2のコイル54はコイル巻きつけ方向が第1のコイル53と直交関係であることから、この渦電流67は先の渦電流57とは直交方向(X方向)に発生する。ここで、磁束6と渦電流67は直交していることから、フレミングの左手の法則により、配管30には図11に示す方向にローレンツ力68が発生する。このローレンツ力68は、第2のコイル54のコイル巻きつけ方向が第1のコイル53の巻き付け方向と直交関係であることから、振動方向は第1の送受信部による振動方向に対して直交方向となり、配管周方向(X方向)に伝播する周回ガイド波21が発生する。
【0053】
また、第2の送受信部は、第1の送受信部と基本構成は同じであることから、第1の送受信部と同様に受信も可能となる。これら作用によって、第2の送受信部では図12に示すように振動方向が配管軸方向(Z方向)、伝搬方向が配管周方向(X方向)となるガイド波の送受信が可能となる。ガイド波は長距離まで伝播する特徴があり、10m程度は伝播することから、配管周方向(X方向)に伝播する周回ガイド波21は、前出の図6のように複数の周回エコーまで検出することができる。
【0054】
以上の構成から成る電磁超音波センサ51によって、配管軸方向(Z方向)に伝播するガイド波20と、配管周方向(X方向)に伝播する周回ガイド波21の2つのガイド波を発生させることができる。
【0055】
なお、電磁超音波センサ51の配管30への取り付け方向を90度回転させれば、第1の送受信部で発生するガイド波が配管周方向に伝播する周回ガイド波21となり、第2の送受信部で発生するガイド波が配管軸方向に伝播するガイド波20となる。
【0056】
ガイド波を配管軸方向と配管周方向の2方向に伝播させることは電磁超音波法以外の圧電センサを用いた方法でも可能であるが、圧電センサではガイド波の伝搬方向が異なるように最低でも2つの圧電素子が必要となる。これに対して本実施形態の電磁超音波センサでは構成部材である永久磁石が共有できることから、巻きつけ方向を変えた2つのコイルを設けることでガイド波を2方向に伝播させることが可能となる。
【0057】
図13は、この第2の実施形態の配管検査装置を用いて検査対象となる配管の軸方向および周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【0058】
電磁超音波センサ51内の第1の送受信部および第2の送受信部と、ガイド波送受信器40との接続が、一方のみへ任意に選択できる接続切り替え器41を介して接続されている。ガイド波送受信器40はデータ処理部70に接続されている。
【0059】
データ処理部70は、校正部71と、センサ健全性判定部72と、配管評価部73とを備えている。
【0060】
校正部71は、配管30の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって第2のコイル54に生じる周回エコー電流に基づいて、電磁超音波センサ51の感度を校正する。センサ健全性判定部72は、配管30の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって第2のコイル54に生じる周回エコー電流に基づいて、電磁超音波センサ51の健全性を判定する。
【0061】
配管評価部73は、配管30の管壁内を管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって第1のコイル53に生じる軸方向エコー電流と、校正部71で校正された電磁超音波センサ51の感度とに基づいて配管30の管壁内の状態を評価する。配管評価部73は、音速評価部74と距離特定部75とを含んでいる。
【0062】
音速評価部74は、配管30の管壁内を伝播するガイド波の音速を周回エコー電流に基づいて求める。距離特定部75は、音速評価部74で求められた音速を用いて、配管30の管壁内を配管軸方向に伝播して戻ってきたガイド波が反射した位置と電磁超音波センサ51との距離を求める。
【0063】
この実施形態では、接続切り替え器41を介して第1の送受信部および第2の送受信部がガイド波送受信器40に接続されているため、切り替えによって、配管軸方向のガイド波20と配管周方向の周回ガイド波21の2つの受信信号を重複することなく個別に検出することができる。
【0064】
一般にガイド波法の運用では電磁超音波センサおよび送受信装置の動作確認がまず行なわれる。動作確認は反射エコーの有無で確認できるが、配管軸方向に伝播するガイド波で確認するには伝播経路上に反射源が無いと反射エコーが検出できないため、動作確認ができない可能性がある。一方、配管周方向に伝播するガイド波も動作確認に用いれば周回エコーが検出されることから、この周回エコーから動作確認を容易に行なうことができる。たとえば、図6に示す送信波が検出されなければガイド波送受信器の送信側の不具合、周回エコーが検出されなければガイド波送受信器の受信側の不具合、送信波および周回エコーが共に検出されなければ電磁超音波センサ51の不具合となるようにエコーから識別可能となる。
【0065】
図14は、この第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管に超音波を送信する状況を示す平面図であって、配管の周方向に超音波を送信する場合を示す図である。図15は、この第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管に超音波を送信する状況を示す平面図であって、配管の周方向に対して傾いた方向に超音波を送信する場合を示す図である。図16は、図14および図15の状況における周回エコーの周回数と周回エコーレベルの関係を示すグラフである。
【0066】
配管軸方向に伝播するガイド波20、配管周方向に伝播する周回ガイド波21のいずれか一方のみに任意に切り替えることによってガイド波の伝播方向の最適化を行なうことができる。この最適化には配管軸方向に伝播する周回ガイド波21を使用する。周回ガイド波21は配管周方向に周回した上で電磁超音波センサ51に到達するため受信信号には周回エコーが複数回に渡って検出される(図6参照)。
【0067】
ガイド波の伝播軸と配管周方向の軸が成す角度θがゼロでなければ、周回ガイド波21は図15に示すように配管軸方向へ螺旋状に伝播する。そのため、電磁超音波センサ51で検出される周回エコーの振幅レベルは低下する。また、図15に示す角度θが大きければ周回を重ねる度にエコーの到達位置が電磁超音波センサ51の位置から配管軸方向に外れていくため、複数検出される周回エコー減衰率も大きくなる。この角度θと周回エコーの周回ごとの振幅レベルの関係は図16のようになる。
【0068】
よって、周回エコーの特定周回での振幅レベルが最大となるか、周回ごとの振幅レベルの減衰率が最小となるように電磁超音波センサ51の設置角度を調整すれば、ガイド波の伝播軸を配管周方向の軸と合致させることができる。また、この軸調整によって配管軸方向に伝播するガイド波の伝播軸も配管軸方向の軸に合致することになる。
【0069】
配管周方向への伝播で得られる受信信号は先の図6に示すように、送信波と周回エコーが検出されるが、同じ経路を周回することから周回ごとの伝播距離は同じであり、送信波と1週目の周回エコーの時間差t1と、1週目と2週目の周回エコーの時間差t2は等間隔、その他周回回数での周回エコーの時間差も等間隔である。よって、時間差t1〜tNの一部または全てを用いた平均としても時間差は同じとなる。
【0070】
ガイド波の音速度は同一材としても不純物などによる固体差によって変化するため測定対象ごとに校正する必要があるが、周回エコーの伝播時間txと、図面や実測から得られる配管の外周長さ(伝播距離)をLから、配管を伝播するガイド波の音速度Vが、V=L/txで求めることができる。
【0071】
上述の周回ガイド波から求めた音速度を用いて、配管30の軸方向に伝播した場合の受信信号を伝播距離に換算すれば、実測した音速度からの換算であることから減肉部の位置(センサからの距離)を正確に同定することができる。
【0072】
以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、ガイド波を用いた配管の減肉等の検査において、電磁超音波センサの健全性確認や感度校正を容易に行なうことができる。また、配管の管壁内を伝播する音速度を実測できるので、配管の減肉等の位置を正確に特定することができる。
【0073】
さらに、第2の実施形態によれば、電磁超音波センサの向きを変えずに配管軸方向に伝播するガイド波の送受信と配管周方向に伝播するガイド波の送受信の両方を行なうことができるので作業効率がよい。さらに、電磁超音波センサのコイルの向きを、配管軸方向と配管周方向に正確に向けることができる。
【0074】
[第3の実施形態]
図17は、本発明の第3の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。この実施形態では、複数個(図示の例では4個)の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dが配管周方向に互いに等間隔で(図示の例では90度ごとに)設置された構成となっている。また、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dの全てが直列に接続されている。なお、図17では4個の電磁超音波センサを配置した場合を示しているが、センサ個数はそれ以外でもよい。
【0075】
この第3の実施形態によれば、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dが直列に接続されていることから、複数センサから同時にガイド波を送受信することが可能となる。
【0076】
使用するセンサ数が増加することから、配管軸方向では伝播するガイド波の送信パワーを上げることができる。また、受信側も複数センサで行なうことから受信信号の反射エコーレベルも上げることができる。配管周方向でもセンサ間隔が同じで全ての電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dを同タイミングで駆動することから、いずれの電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dでも同じ伝播時間で周回エコーが検出される。全ての周回エコーは加算されて受信されるため周回エコーレベルも上げることができる。
【0077】
[第4の実施形態]
図18は、本発明の第4の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。この実施形態は第3の実施形態の変形であって、電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dが配管周方向に複数設置された構成となっており、これら複数個が配管周方向に等間隔で設置されている。この実施形態では、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dの全てが並列に接続されている。
【0078】
この実施形態では、複数個の電磁超音波センサ51が並列に接続されていることから、接続ケーブルの一つが断線したとしてもガイド波を送受信することが可能となる。
【0079】
また、センサ個々で検出信号を加算することで配管軸方向に伝播する反射ガイド波22および配管周方向に伝播する周回ガイド波21の受信信号の振幅レベルを上げることができる。また、接続ケーブルが破断したとしても残る接続ケーブルで送受信が可能となることから、連続的なガイド波送受信をする場合の信頼性が向上する。
【0080】
[第5の実施形態]
図19は、本発明の第5の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。図20は、この第5の実施形態における各電磁超音波センサの出力波形の例を示すグラフである。
【0081】
この実施形態は第4の実施形態の変形であって、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dが、配管周方向に等間隔で設置されている。また、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dの全てが並列に接続されている。これら複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dには、第1の送受信部と第2の送受信部に接続されるガイド波送受信器40が、第1の送受信部と第2の送受信部への接続を一方のみへ任意に切り替えられる機能を持つ接続切り替え器41と、駆動する電磁超音波センサを一つまたは特定個数へ任意に選択できる駆動センサ選択器42を介してガイド波送受信器に接続されている。
【0082】
この実施形態によれば、ガイド波を配管軸方向に伝播させる測定駆動と、ガイド波を配管周方向に伝播させる校正駆動のいずれの駆動をするか任意に切り替えることができる。また、駆動する電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dを任意に選択できるため、センサ校正を個別に行なうことができる。
【0083】
これにより、複数個の電磁超音波センサ51の測定方向や特定センサの駆動が一つのガイド波送受信器で行なえることから低コスト化が図れる。
【0084】
さらに、この実施形態によれば、接続切り替え器41と、駆動センサ選択器42によって、いずれか一つの電磁超音波センサのみから配管周方向へガイド波を伝播させ、全ての電磁超音波センサで周回ガイド波をセンサごとに取得することができる。たとえば、送信として使用するセンサを図19に示す第1の電磁超音波センサ51aとすると、各センサで受信される周回ガイド波21は図20のようになる。
【0085】
第1の電磁超音波センサ51aでは送信センサとして使用するため送信波と周回波が検出される。第2の電磁超音波センサ51bでは第1の電磁超音波センサ51aから送信されるガイド波の伝播方向が図19に示す矢印R、矢印Lの2方向となることからR側を伝播して1/4周回で検出される第1受信波と、L側を伝播して3/4周回で伝播する第3受信波が検出される。第3の電磁超音波センサ51cでは矢印R、矢印Lの2つのガイド波とも伝播距離が同じとなることから2/4周回に第3受信波が受信される。第4の電磁超音波センサ51dは、第2の電磁超音波センサ51bと反対側位置関係であることから、ここでも第2の電磁超音波センサ51bとほぼ同様に第1受信波と第3受信波が検出される。
【0086】
ここで、第1の電磁超音波センサ51aの周回波の振幅レベルの変化から第1〜第3受信波(1/4周回〜3/4周回)に相当する伝播時間での振幅レベルを計算し、計算値と測定された振幅レベルを比較する。センサの感度が劣化していれば、検出される第1〜第3受信波の振幅レベルも低下することからセンサ感度劣化を検出することができる。
【0087】
なお、図20では使用する周回ガイド波21を1周目までとしているが、周回波は複数周回が検出されるため、2周目以降の周回信号を使用してもよい。
【0088】
このようにして、複数センサの感度劣化を一度の測定で評価することができる。また、計算値と測定された振幅レベルの比率から、感度の減少程度を定量的に把握することができる。
【0089】
ここで、第1の電磁超音波センサ51aの送信波と周回波の伝播時間差から第1〜第3受信波(1/4周回〜3/4周回)に相当する位置の伝播時間を計算する。設置間隔が均等であればt1/4が1/4周回ごとに受信されるエコーの時間差である。この計算値と検出された伝播時間を比較する。ここで隣接するセンサの設置間隔が全て同じであればt1/4で求められる伝播時間と、検出された受信波の伝播時間差t1−1〜t1−4は一致するが、センサの設置間隔が異なっていれば伝播時間差が異なる。
【0090】
たとえば、第3の電磁超音波センサ51cの設置位置が2/4周回相当位置に無ければ、R側からの伝播距離とL側からの伝播距離が異なるために、第2受信波は、第3の電磁超音波センサ51cで、図20の点線で示したように2つのエコーが検出される。第2の電磁超音波センサ51bの設置位置が異なっていれば、図20にて破線で示したように第1受信波と受信波が異なる時間で受信される。この破線は第2の電磁超音波センサ51bが第1の電磁超音波センサ51a側に寄っている場合の受信エコーを示したものである。
【0091】
このように計算された伝播時間と、検出された第1〜第3受信波の伝播時間からセンサ設置間隔の均一性を検出することができる。
【0092】
[他の実施形態]
以上説明した各実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
たとえば、上記各実施形態では、配管の外側に電磁超音波センサを配置するものとしたが、配管の内側に電磁超音波センサを配置することもできる。ガイド波の送受信に圧電素子などを用いる場合には圧電素子が振動発生源となることから、センサは測定対象に密着させる必要があるが、配管の内外面では曲率が異なるため設置場所に合わせて曲率を変える必要がある。一方、電磁超音波センサでは、センサではなく配管自体が振動発生源となることから、電磁超音波センサと配管の管壁面との間に数mmの隙間があったとしても配管に振動を与えることが可能であり、曲率があったとしてもガイドを送受信することができる。
【0094】
また、上記実施形態の説明では配管の減肉部での超音波の反射を利用してその減肉を検出するものとしたが、減肉以外の欠陥などでも超音波が反射するものであればその検出をすることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 … 電磁超音波センサ
2 … 永久磁石
3 … コイル
4 … 交流電流
6 … 磁束
7 … 渦電流
8 … ローレンツ力
9 … 鎖交磁束
20 … ガイド波
21 … 周回ガイド波
22 … 反射ガイド波
30 … 配管
31 … 減肉部
40 … ガイド波送受信器
41 … 接続切り替え器
42 … 駆動センサ選択器
50 … コイル軸
51、51a、51b、51c、51d … 電磁超音波センサ
53 … 第1のコイル
54 … 第2のコイル
55 … 交流電流
57 … 渦電流
58 … ローレンツ力
60 … 第1コイル軸60
61 … 第2コイル軸61
65 … 交流電流
67 … 渦電流
68 … ローレンツ力
70 … データ処理部
71 … 校正部
72 … センサ健全性判定部
73 … 配管評価部
74 … 音速評価部
75 … 距離特定部
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁超音波センサ、ならびに、これを利用した配管検査方法および配管検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントに敷設されている配管には、敷設後ある程度の期間が経過すると腐食進行により配管板厚が薄くなる個所すなわち減肉部が発生する場合がある。したがって、保守作業員は定期または不定期に実施されるメンテナンス作業において、このような減肉部の発生の有無を検査するために超音波厚さ計による板厚測定を実施している。この検査は、検査対象物である配管の外周に取り付けられている保温材を取り外して、配管外表面に超音波センサを直接接触させて超音波信号を取得し、取得信号を解析することで板厚を得る方法である。校正方法は、検査対象物と同一材から成る板厚が既知の校正用試験体を用い、この校正用試験体での超音波信号を基準として感度校正が行なわれている。
【0003】
それに対して、近年、ガイド波またはガイドウェーブと呼ばれる超音波を用いた検査方法および装置が提案されている。ガイド波法は、配管の軸方向に伝播する超音波を発生させ、減肉個所で反射して戻ってくる反射エコーを解析することで減肉部の有無や板厚を検査する方法である。センサ設置個所の保温材は取り外す必要があるが、設置個所以外の保温材は取り外すことなくセンサ設置位置から数十m先の広範囲に渡る減肉の有無を一度に検査できる特徴がある。
【0004】
しかしながら、ガイド波法の校正方法は確立されていない。一般的には板厚計による板厚検査と同様に検査対象物と同一材の校正用試験体による校正が行なわれているが、校正用試験体を用いる方法では、検査対象物に対してそれぞれに校正用試験体を製作する必要があり、大口径配管が検査対象になった場合、同一材の配管の入手はもちろん運搬、加工、および保管、管理が必要となり、膨大な時間とコストがかかるという問題が生じる。
【0005】
特許文献1には、配管を伝播するガイド波を強制的に反射させる反射部材を配管外表面または内面に設置するもので、反射部材からの信号振幅を基準としてセンサ感度や減肉の大きさを推定するものが記載されている。反射部材には金属性ブロックや磁石などを用い、設置位置は超音波センサから配管軸方向に離れた位置で、配管周方向に対してー部位または複数部位に設けることとしている。
【0006】
特許文献2には、測定に用いる検査用の超音波センサ、校正用の超音波センサの2つのセンサを使用し、校正用の超音波センサの取得信号を基準として検査用の超音波センサの取得信号を校正するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−293981号公報
【特許文献2】特開2009−236620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および2に記載された方法は、いずれも校正用試験体を用いること無く校正できる方法であるが、特許文献1では反射部材の設置および撤去といった付随作業が発生する問題がある。特許文献2では校正用の超音波センサを用意する必要があるためセンサコストが上昇する問題がある。
【0009】
本発明の目的は、ガイド波を用いた配管の減肉等の検査において、電磁超音波センサの健全性確認や感度校正を容易に行なえるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る配管検査方法の一つの態様は、第1の端部に第1の磁極が形成され第1の端部の反対側に第2の磁極が形成される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直なコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられたコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて、配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの感度を校正する校正ステップと、前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記校正ステップによって得られた前記電磁超音波センサの感度に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る配管検査方法の他の一つの態様は、第1の端部に第1の磁極が形成され第1の端部の反対側に第2の磁極が形成される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直なコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられたコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの健全性を判定するセンサ健全性判定ステップと、前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記センサ健全性判定ステップによって得られた前記電磁超音波センサの健全性の判定結果に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る配管検査方法の他の一つの態様は、第1の磁極と第2の磁極が互いに反対方向に向いている永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて、配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記第1のコイル軸が前記配管の周方向を向いて前記第2のコイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置するセンサ配置ステップと、前記センサ配置ステップの後に前記第1のコイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記第1のコイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、前記センサ配置ステップの後に前記第2のコイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの感度を校正する校正ステップと、前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記校正ステップによって得られた前記電磁超音波センサの感度に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る配管検査装置の一つの態様は、配管の管壁内部を進行する超音波であるガイド波を送受信する電磁超音波センサを有する配管検査装置であって、前記電磁超音波センサは、第1の磁極が前記配管の管壁面の一部に対向し、第2の磁極が前記管壁面の一部から遠ざかる方向に向くように配置される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、を備え、前記第1のコイルおよび第2のコイルに交流電流を供給できるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電磁超音波センサの一つの態様は、配管の管壁内部を進行する超音波であるガイド波を送受信する電磁超音波センサであって、第1の磁極が前記配管の管壁面の一部に対向し、第2の磁極が前記管壁面の一部から遠ざかる方向に向くように配置される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ガイド波を用いた配管の減肉等の検査において、電磁超音波センサの健全性確認や感度校正を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置の電磁超音波センサの送信時の状態を示す模式図である。
【図2】図1の電磁超音波センサの受信時の状態を示す模式図である。
【図3】図1の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の軸方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図4】図3に示す配管の軸方向に超音波を送受信したときの受信信号の例を示すタイムチャートである。
【図5】図1の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図6】図5に示す配管の周方向に超音波を送受信したときの受信信号の例を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置を用いた配管検査方法における振幅レベルと減肉サイズの関係を示すグラフである。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置を用いた配管検査方法における超音波エコーの伝播時間と振幅レベルの関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置の電磁超音波センサの構成と作用を示す模式図である。
【図10】図9の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の軸方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図11】図9の電磁超音波センサをX軸方向から見た模式図である。
【図12】図9および図11に示す電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管の軸方向および周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管に超音波を送信する状況を示す平面図であって、配管の周方向に超音波を送信する場合を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管に超音波を送信する状況を示す平面図であって、配管の周方向に対して傾いた方向に超音波を送信する場合を示す図である。
【図16】図14および図15の状況における周回エコーの周回数と周回エコーレベルの関係を示すグラフである。
【図17】本発明の第3の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。
【図19】本発明の第5の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。
【図20】本発明の第5の実施形態に係る配管検査装置の各電磁超音波センサの出力波形の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1ないし図6を参照して、本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置を説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る配管検査装置の電磁超音波センサの送信時の状態を示す模式図である。電磁超音波センサ1は、永久磁石2とコイル3から構成される。永久磁石2は配管30の外周面から内周面への方向に磁化されおり、図1では配管30の壁面に近い側がN極、遠い側がS極になっている。コイル3は、永久磁石2のN極とS極を結ぶ線に対して垂直なコイル軸50の周りで永久磁石2の周囲に複数巻回されている。コイル3には交流電圧を印加して交流電流4を流すことができるようになっている。
【0020】
配管30には永久磁石2により白抜き矢印で示す磁束6が加わるが、コイル3に交流電流4を流すと配管30の表面には渦電流7が誘導される。渦電流7の方向が図1のように奥行方向とすると、磁束6と渦電流7は直交していることからフレミングの左手の法則により、配管30には黒矢印で示す方向にローレンツ力8が発生する。このローレンツ力8は交流電流4によって誘導された渦電流7によって発生するので時間的に変化し、図示した矢印方向とは180度反転となり、その後再び、図示の矢印方向と同方向となることを繰り返す。このローレンツ力8の振動は交流電流4によるものであることから、配管30には交流電流4と同じ周波数の振動(超音波)が発生することとなる。
【0021】
上記説明は超音波発生の動作であるが、超音波を受信する動作は逆のプロセスとなる。図2は図1の電磁超音波センサの受信時の状態を示す模式図である。図2の電磁超音波センサ1において、磁束6が加わった状態で、配管30に振動が到達すれば、フレミングの右手の法則によって配管表面に電界が発生する。この電界によって配管30の表面には渦電流7が発生し、この渦電流7によって鎖交磁束9が発生する。この鎖交磁束9はコイル3と鎖交するので、コイル3の両端には鎖交磁束9によるファラデーの法則に基づく起電力10が発生する。この起電力10を電気信号として、超音波を検出することができる。
【0022】
したがって、図1に示した電磁超音波センサ1によって、超音波を送信できるとともに受信することも可能となる。
【0023】
たとえば、配管30の板厚を10mm、音速度を3000m/sとして考えると、超音波の周波数をたとえば5MHzの高周波にした場合にはガイド波の波長は0.6mmとなり板厚よりも短くなる。このため超音波は板厚方向に伝播する。一方、超音波の周波数をたとえば50kHzにすれば波長は60mmとなり、板厚よりも長くなることから、図3に示すようにガイド波20として配管30の軸方向に伝播する。このことから電磁超音波の周波数は一般的には数十kHz〜数百kHzの範囲になると考えらえる。
【0024】
図3は図1の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の軸方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。ガイド波20は、図3に示すように振動方向が配管30の周方向、伝搬方向が配管30の軸方向となる。振動方向とは上述したローレンツ力8の振動方向であり、ガイド波20はコイル3の巻回方向と同じ方向に伝播することになる。
【0025】
このように、配管30の軸方向にガイド波20が伝播すれば、図3のように減肉部31で反射し、反射ガイド波22として電磁超音波センサ1で検出される。図4は図3に示す配管の軸方向に超音波を送受信したときの受信信号の例を示すタイムチャートである。
【0026】
反射源となる減肉部31がなければガイド波20は反射されずに配管30の軸方向に伝播し続けながら減衰するため、受信信号の中に反射エコーは検出されない。
【0027】
つぎに、図5に示すように電磁超音波センサ1を90度回転させて配置する。図5は、図1の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。この場合、ガイド波20は配管30の軸方向に振動しながら周方向に伝播する。このように伝播させれば周回したガイド波を電磁超音波センサ1で検出することが可能となる。図6は図5に示す配管の周方向に超音波を送受信したときの受信信号の例を示すタイムチャートである。
【0028】
一般的にガイド波は長距離まで伝播する特徴があり、10m程度は伝播することから周方向に伝播する周回ガイド波は数周回検出することができる。この実施形態では、この周回ガイド波の信号を校正のためのリファレンス信号とする。
【0029】
超音波探傷で一般的に用いる圧電素子を用いてガイド波を送受信する方式のセンサでは、センサを配管に密着させる必要があるため、この実施形態のようにセンサを回転させることはできない。センサの取り付けの向きによって配管の曲率が異なるからである。一方、電磁超音波センサ1では先の図1および図2に示したように配管自体が振動発生源となることから、センサと配管との間に数mmの隙間があったとしても配管に振動を与えることが可能である。また、電磁超音波センサ1は内蔵する永久磁石2の磁力によって配管30に一定の押し付け圧で吸着されるため、取り付け再現性が高く、センサ設置方向を90度変えても安定的な受信信号を得ることができる。
【0030】
このように電磁超音波センサを用いることで、反射源を用いることなく、配管の軸方向と周方向の両方向へのガイド波を伝播することができる。
【0031】
図5および図6に示す方法で、配管30の周方向に周回した上で検出される周回ガイド波の振幅を、検査対象物を同形状の円筒体を用いて予め求めておき、これを基準強度として実際の検査対象物で同様に周回した上で検出される周回ガイド波の振幅を校正強度とし、基準強度と校正強度との差分からセンサの劣化程度を定量的に得ることができる。これにより、検査の信頼性が確保される。また、センサが故障しガイド波が送信または受信できなければ図6に示した周回ガイド波は検出されないことから故障の有無も容易に確認することができる。
【0032】
ガイド波は、配管30の減肉部が大きければ反射ガイド波の振幅も大きくなる相関関係があり、この相関性を用いることで減肉の大きさを推定することが可能である。ここで、センサ感度の変動を補正すれば相関性がより強くなり推定精度を向上することができる。
【0033】
センサ感度の補正として前述の基準強度と校正強度の差分を用いれば、感度変動が定量的に得られる。この感度変動を、ガイド波の伝播方向を配管軸方向とした減肉測定時に検出される受信信号の校正に用いれば、減肉の大きさを推定することができる。
【0034】
さらに、図6の周回ガイド波のエコー間隔から配管周方向に1周回にガイド波の伝播時間を得ることができる。図6にて受信信号の中のガイド波送信エコーと1周目に検出される周回波との時間差(t1)と、周回ごとに検出される受信信号の時間差(t2、t3)は同経路を巡回することから一定であり、いずれの時間間隔を用いても伝搬時間となる。また、t1〜t3の平均時間差を用いてもよい。
【0035】
ここから得られる伝播時間Tと検査対象物である円筒体の外形サイズ(伝播距離L)から、配管を伝播するガイド波の音速度Vを、V=L/Tの式で容易に求めることができる。
【0036】
上述の周回ガイド波から求めた音速度を用いて、配管30の軸方向に伝播した場合の受信信号を伝播距離に換算すれば、実測した音速度からの換算であることから減肉部の位置(センサからの距離)を正確に同定することができる。
【0037】
図7は、この第1の実施形態に係る配管検査装置を用いた配管検査方法における振幅レベルと減肉サイズの関係を示すグラフである。図8は、この第1の実施形態に係る配管検査装置を用いた配管検査方法における超音波エコーの伝播時間と振幅レベルの関係を示すグラフである。
【0038】
減肉部で発生する反射エコーの振幅レベルは、図7に示すように減肉の大きさと比例性がある。この場合に、管壁内の超音波の減衰率を考慮する必要がある。したがって、予め減肉サイズと振幅レベルの相関係数を取得しておけば振幅レベルから減肉の大きさを推定することができる。しかしながら、図8に示すように、減衰率により振幅レベルが変動する。すなわち、振幅レベルは配管の固体差などによって、伝播減衰率が変わるため推定値に誤差が生じる。このため、ガイド波の伝播方向を配管周方向とした場合に検出される周回エコーの振幅レベルからガイド波の伝播減衰率を計算することで振幅レベルの補正を行なう。
【0039】
伝播減衰率は単位伝播時間(=伝播距離)での振幅レベルの低下率であることから、図6の周回エコーの周回ごとの振幅レベルから定量的な伝播減衰率が得られる。このように伝播減衰率を補正することによって、誤差が少なくなり、減肉サイズの推定精度を向上することができる。
【0040】
以上説明した第1の実施形態によれば、ガイド波を用いた配管の減肉等の検査において、電磁超音波センサの健全性確認や感度校正を容易に行なうことができる。また、配管の管壁内を伝播する音速度を実測できるので、配管の減肉等の位置を正確に特定することができる。
【0041】
[第2の実施形態]
図9ないし図15を参照して、本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置を説明する。
【0042】
図9は、本発明の第2の実施形態に係る配管検査装置の電磁超音波センサの構成と作用を示す模式図である。図10は、図9の電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の軸方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。図11は、図9の電磁超音波センサをX軸方向から見た模式図である。図12は、図9および図11に示す電磁超音波センサを用いて検査対象となる配管の周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【0043】
電磁超音波センサ51は、永久磁石2と、第1のコイル53と、第2のコイル54とから構成されている。永久磁石2は、配管30の外周面から内周面の方向(Y方向)に磁化されおり、図9では配管30に近い側をN極、遠い側をS極としている。第1のコイル53は、永久磁石2のN極とS極を結ぶ線(Y方向)に対して垂直なX方向の第1コイル軸60の周りで永久磁石2の周囲に複数巻回されている。第2のコイル54は永久磁石2のN極とS極を結ぶ線(Y方向)に対して垂直なZ方向の第2コイル軸61(図11参照)の周りで永久磁石2の周囲に複数巻回されている。第1コイル軸60と第2コイル軸61は互いに直交しており、第2のコイル54は第1のコイル53の外側に巻回されている。
【0044】
この構成により、永久磁石2と第1のコイル53によってガイド波を送受信する第1の送受信部、永久磁石2と第2のコイル54によってガイド波を送受信する第2の送受信部が形成される。電磁超音波センサ51は永久磁石2を内蔵しているため、配管30が磁性体であれば磁力によって一定の押し付け圧で配管30に吸着される。また、電磁超音波センサ51には図示しないがセンサを駆動させる電気信号を送るガイド波送受信器が接続される。
【0045】
この構成により配管30の軸方向に伝播するガイド波の送受信動作は以下のとおりである。
【0046】
まず、第1の送受信部の動作を図9にて説明する。配管30には永久磁石2によりY方向の磁束6が加わるが、第1のコイル53に交流電流55を流すと配管30の表面に渦電流57が誘導される。渦電流57の方向が図9の奥行方向(Z方向)であるから磁束6と渦電流57は直交関係にあり、フレミングの左手の法則により、配管30にはローレンツ力58がX方向に発生する。このローレンツ力58は交流電流55によって誘導された渦電流57によって発生するため時間的に変化し、ローレンツ力58の方向が180度反転となった後、再び、元の方向になることを繰り返し、これが配管30を伝播するガイド波となる。
【0047】
このように配管30に発生する振動は交流電流55によるものであり交流電流55の周波数でガイド波の周波数を設定することができる。
【0048】
上記説明はガイド波の発生動作であるが、受信する動作は逆のプロセスとなる。すなわち、磁束6が加わった状態で、配管30に振動が到達すれば、フレミングの右手の法則によって配管30の表面に電界が発生する。この電界によって配管表面には渦電流57が発生し、この渦電流57によって鎖交磁束が発生する。鎖交磁束は第1のコイル53と鎖交するので、第1のコイル53の両端には鎖交磁束によるファラデーの法則に基づく起電力が発生し、電気信号として超音波を検出することができる。
【0049】
ここで、たとえば、配管の板厚を10mm、音速度を3000m/sとして、ガイド波の周波数をたとえば5MHzの高周波とすれば、ガイド波の波長は0.6mmとなり、板厚よりも短くなる。このため超音波は板厚方向(Y方向)に伝播する。一方、超音波の周波数をたとえば周波数を50kHzとすれば、波長は60mmとなり板厚よりも長くなることから、図10に示すようにガイド波20として配管30の軸方向(Z方向)に伝播する。このことから電磁超音波で使用する周波数は一般的には数十kHz〜数百kHzの範囲となる。
【0050】
また、ガイド波20は、図10に示したように振動方向が配管周方向(X方向)、伝搬方向が配管軸方向(Z方向)となる。
【0051】
図10に示すように、減肉部31ではガイド波20の一部が反射し、反射ガイド波22として電磁超音波センサ51で検出され、第1の実施形態で説明した図4に示すような受信信号が検出される。反射源となる減肉部31がなければ反射されずに伝播し続けながら減衰するため反射エコーは検出されない。これら作用によって、第1の送受信部によって図10に示す配管軸方向(Z方向)へのガイド波送受信が可能となる。
【0052】
次に、第2の送受信部の動作を図11にて説明する。配管30には永久磁石2によりY方向の磁束6が加わるが、第2のコイル54に交流電流65を流すと配管30の表面に渦電流67が誘導される。第2のコイル54はコイル巻きつけ方向が第1のコイル53と直交関係であることから、この渦電流67は先の渦電流57とは直交方向(X方向)に発生する。ここで、磁束6と渦電流67は直交していることから、フレミングの左手の法則により、配管30には図11に示す方向にローレンツ力68が発生する。このローレンツ力68は、第2のコイル54のコイル巻きつけ方向が第1のコイル53の巻き付け方向と直交関係であることから、振動方向は第1の送受信部による振動方向に対して直交方向となり、配管周方向(X方向)に伝播する周回ガイド波21が発生する。
【0053】
また、第2の送受信部は、第1の送受信部と基本構成は同じであることから、第1の送受信部と同様に受信も可能となる。これら作用によって、第2の送受信部では図12に示すように振動方向が配管軸方向(Z方向)、伝搬方向が配管周方向(X方向)となるガイド波の送受信が可能となる。ガイド波は長距離まで伝播する特徴があり、10m程度は伝播することから、配管周方向(X方向)に伝播する周回ガイド波21は、前出の図6のように複数の周回エコーまで検出することができる。
【0054】
以上の構成から成る電磁超音波センサ51によって、配管軸方向(Z方向)に伝播するガイド波20と、配管周方向(X方向)に伝播する周回ガイド波21の2つのガイド波を発生させることができる。
【0055】
なお、電磁超音波センサ51の配管30への取り付け方向を90度回転させれば、第1の送受信部で発生するガイド波が配管周方向に伝播する周回ガイド波21となり、第2の送受信部で発生するガイド波が配管軸方向に伝播するガイド波20となる。
【0056】
ガイド波を配管軸方向と配管周方向の2方向に伝播させることは電磁超音波法以外の圧電センサを用いた方法でも可能であるが、圧電センサではガイド波の伝搬方向が異なるように最低でも2つの圧電素子が必要となる。これに対して本実施形態の電磁超音波センサでは構成部材である永久磁石が共有できることから、巻きつけ方向を変えた2つのコイルを設けることでガイド波を2方向に伝播させることが可能となる。
【0057】
図13は、この第2の実施形態の配管検査装置を用いて検査対象となる配管の軸方向および周方向に超音波を送受信する状況を示す斜視図である。
【0058】
電磁超音波センサ51内の第1の送受信部および第2の送受信部と、ガイド波送受信器40との接続が、一方のみへ任意に選択できる接続切り替え器41を介して接続されている。ガイド波送受信器40はデータ処理部70に接続されている。
【0059】
データ処理部70は、校正部71と、センサ健全性判定部72と、配管評価部73とを備えている。
【0060】
校正部71は、配管30の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって第2のコイル54に生じる周回エコー電流に基づいて、電磁超音波センサ51の感度を校正する。センサ健全性判定部72は、配管30の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって第2のコイル54に生じる周回エコー電流に基づいて、電磁超音波センサ51の健全性を判定する。
【0061】
配管評価部73は、配管30の管壁内を管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって第1のコイル53に生じる軸方向エコー電流と、校正部71で校正された電磁超音波センサ51の感度とに基づいて配管30の管壁内の状態を評価する。配管評価部73は、音速評価部74と距離特定部75とを含んでいる。
【0062】
音速評価部74は、配管30の管壁内を伝播するガイド波の音速を周回エコー電流に基づいて求める。距離特定部75は、音速評価部74で求められた音速を用いて、配管30の管壁内を配管軸方向に伝播して戻ってきたガイド波が反射した位置と電磁超音波センサ51との距離を求める。
【0063】
この実施形態では、接続切り替え器41を介して第1の送受信部および第2の送受信部がガイド波送受信器40に接続されているため、切り替えによって、配管軸方向のガイド波20と配管周方向の周回ガイド波21の2つの受信信号を重複することなく個別に検出することができる。
【0064】
一般にガイド波法の運用では電磁超音波センサおよび送受信装置の動作確認がまず行なわれる。動作確認は反射エコーの有無で確認できるが、配管軸方向に伝播するガイド波で確認するには伝播経路上に反射源が無いと反射エコーが検出できないため、動作確認ができない可能性がある。一方、配管周方向に伝播するガイド波も動作確認に用いれば周回エコーが検出されることから、この周回エコーから動作確認を容易に行なうことができる。たとえば、図6に示す送信波が検出されなければガイド波送受信器の送信側の不具合、周回エコーが検出されなければガイド波送受信器の受信側の不具合、送信波および周回エコーが共に検出されなければ電磁超音波センサ51の不具合となるようにエコーから識別可能となる。
【0065】
図14は、この第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管に超音波を送信する状況を示す平面図であって、配管の周方向に超音波を送信する場合を示す図である。図15は、この第2の実施形態に係る配管検査装置を用いて検査対象となる配管に超音波を送信する状況を示す平面図であって、配管の周方向に対して傾いた方向に超音波を送信する場合を示す図である。図16は、図14および図15の状況における周回エコーの周回数と周回エコーレベルの関係を示すグラフである。
【0066】
配管軸方向に伝播するガイド波20、配管周方向に伝播する周回ガイド波21のいずれか一方のみに任意に切り替えることによってガイド波の伝播方向の最適化を行なうことができる。この最適化には配管軸方向に伝播する周回ガイド波21を使用する。周回ガイド波21は配管周方向に周回した上で電磁超音波センサ51に到達するため受信信号には周回エコーが複数回に渡って検出される(図6参照)。
【0067】
ガイド波の伝播軸と配管周方向の軸が成す角度θがゼロでなければ、周回ガイド波21は図15に示すように配管軸方向へ螺旋状に伝播する。そのため、電磁超音波センサ51で検出される周回エコーの振幅レベルは低下する。また、図15に示す角度θが大きければ周回を重ねる度にエコーの到達位置が電磁超音波センサ51の位置から配管軸方向に外れていくため、複数検出される周回エコー減衰率も大きくなる。この角度θと周回エコーの周回ごとの振幅レベルの関係は図16のようになる。
【0068】
よって、周回エコーの特定周回での振幅レベルが最大となるか、周回ごとの振幅レベルの減衰率が最小となるように電磁超音波センサ51の設置角度を調整すれば、ガイド波の伝播軸を配管周方向の軸と合致させることができる。また、この軸調整によって配管軸方向に伝播するガイド波の伝播軸も配管軸方向の軸に合致することになる。
【0069】
配管周方向への伝播で得られる受信信号は先の図6に示すように、送信波と周回エコーが検出されるが、同じ経路を周回することから周回ごとの伝播距離は同じであり、送信波と1週目の周回エコーの時間差t1と、1週目と2週目の周回エコーの時間差t2は等間隔、その他周回回数での周回エコーの時間差も等間隔である。よって、時間差t1〜tNの一部または全てを用いた平均としても時間差は同じとなる。
【0070】
ガイド波の音速度は同一材としても不純物などによる固体差によって変化するため測定対象ごとに校正する必要があるが、周回エコーの伝播時間txと、図面や実測から得られる配管の外周長さ(伝播距離)をLから、配管を伝播するガイド波の音速度Vが、V=L/txで求めることができる。
【0071】
上述の周回ガイド波から求めた音速度を用いて、配管30の軸方向に伝播した場合の受信信号を伝播距離に換算すれば、実測した音速度からの換算であることから減肉部の位置(センサからの距離)を正確に同定することができる。
【0072】
以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、ガイド波を用いた配管の減肉等の検査において、電磁超音波センサの健全性確認や感度校正を容易に行なうことができる。また、配管の管壁内を伝播する音速度を実測できるので、配管の減肉等の位置を正確に特定することができる。
【0073】
さらに、第2の実施形態によれば、電磁超音波センサの向きを変えずに配管軸方向に伝播するガイド波の送受信と配管周方向に伝播するガイド波の送受信の両方を行なうことができるので作業効率がよい。さらに、電磁超音波センサのコイルの向きを、配管軸方向と配管周方向に正確に向けることができる。
【0074】
[第3の実施形態]
図17は、本発明の第3の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。この実施形態では、複数個(図示の例では4個)の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dが配管周方向に互いに等間隔で(図示の例では90度ごとに)設置された構成となっている。また、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dの全てが直列に接続されている。なお、図17では4個の電磁超音波センサを配置した場合を示しているが、センサ個数はそれ以外でもよい。
【0075】
この第3の実施形態によれば、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dが直列に接続されていることから、複数センサから同時にガイド波を送受信することが可能となる。
【0076】
使用するセンサ数が増加することから、配管軸方向では伝播するガイド波の送信パワーを上げることができる。また、受信側も複数センサで行なうことから受信信号の反射エコーレベルも上げることができる。配管周方向でもセンサ間隔が同じで全ての電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dを同タイミングで駆動することから、いずれの電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dでも同じ伝播時間で周回エコーが検出される。全ての周回エコーは加算されて受信されるため周回エコーレベルも上げることができる。
【0077】
[第4の実施形態]
図18は、本発明の第4の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。この実施形態は第3の実施形態の変形であって、電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dが配管周方向に複数設置された構成となっており、これら複数個が配管周方向に等間隔で設置されている。この実施形態では、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dの全てが並列に接続されている。
【0078】
この実施形態では、複数個の電磁超音波センサ51が並列に接続されていることから、接続ケーブルの一つが断線したとしてもガイド波を送受信することが可能となる。
【0079】
また、センサ個々で検出信号を加算することで配管軸方向に伝播する反射ガイド波22および配管周方向に伝播する周回ガイド波21の受信信号の振幅レベルを上げることができる。また、接続ケーブルが破断したとしても残る接続ケーブルで送受信が可能となることから、連続的なガイド波送受信をする場合の信頼性が向上する。
【0080】
[第5の実施形態]
図19は、本発明の第5の実施形態に係る配管検査装置を配管に取り付けた状況を配管軸方向から見た模式図である。図20は、この第5の実施形態における各電磁超音波センサの出力波形の例を示すグラフである。
【0081】
この実施形態は第4の実施形態の変形であって、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dが、配管周方向に等間隔で設置されている。また、複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dの全てが並列に接続されている。これら複数個の電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dには、第1の送受信部と第2の送受信部に接続されるガイド波送受信器40が、第1の送受信部と第2の送受信部への接続を一方のみへ任意に切り替えられる機能を持つ接続切り替え器41と、駆動する電磁超音波センサを一つまたは特定個数へ任意に選択できる駆動センサ選択器42を介してガイド波送受信器に接続されている。
【0082】
この実施形態によれば、ガイド波を配管軸方向に伝播させる測定駆動と、ガイド波を配管周方向に伝播させる校正駆動のいずれの駆動をするか任意に切り替えることができる。また、駆動する電磁超音波センサ51a、51b、51c、51dを任意に選択できるため、センサ校正を個別に行なうことができる。
【0083】
これにより、複数個の電磁超音波センサ51の測定方向や特定センサの駆動が一つのガイド波送受信器で行なえることから低コスト化が図れる。
【0084】
さらに、この実施形態によれば、接続切り替え器41と、駆動センサ選択器42によって、いずれか一つの電磁超音波センサのみから配管周方向へガイド波を伝播させ、全ての電磁超音波センサで周回ガイド波をセンサごとに取得することができる。たとえば、送信として使用するセンサを図19に示す第1の電磁超音波センサ51aとすると、各センサで受信される周回ガイド波21は図20のようになる。
【0085】
第1の電磁超音波センサ51aでは送信センサとして使用するため送信波と周回波が検出される。第2の電磁超音波センサ51bでは第1の電磁超音波センサ51aから送信されるガイド波の伝播方向が図19に示す矢印R、矢印Lの2方向となることからR側を伝播して1/4周回で検出される第1受信波と、L側を伝播して3/4周回で伝播する第3受信波が検出される。第3の電磁超音波センサ51cでは矢印R、矢印Lの2つのガイド波とも伝播距離が同じとなることから2/4周回に第3受信波が受信される。第4の電磁超音波センサ51dは、第2の電磁超音波センサ51bと反対側位置関係であることから、ここでも第2の電磁超音波センサ51bとほぼ同様に第1受信波と第3受信波が検出される。
【0086】
ここで、第1の電磁超音波センサ51aの周回波の振幅レベルの変化から第1〜第3受信波(1/4周回〜3/4周回)に相当する伝播時間での振幅レベルを計算し、計算値と測定された振幅レベルを比較する。センサの感度が劣化していれば、検出される第1〜第3受信波の振幅レベルも低下することからセンサ感度劣化を検出することができる。
【0087】
なお、図20では使用する周回ガイド波21を1周目までとしているが、周回波は複数周回が検出されるため、2周目以降の周回信号を使用してもよい。
【0088】
このようにして、複数センサの感度劣化を一度の測定で評価することができる。また、計算値と測定された振幅レベルの比率から、感度の減少程度を定量的に把握することができる。
【0089】
ここで、第1の電磁超音波センサ51aの送信波と周回波の伝播時間差から第1〜第3受信波(1/4周回〜3/4周回)に相当する位置の伝播時間を計算する。設置間隔が均等であればt1/4が1/4周回ごとに受信されるエコーの時間差である。この計算値と検出された伝播時間を比較する。ここで隣接するセンサの設置間隔が全て同じであればt1/4で求められる伝播時間と、検出された受信波の伝播時間差t1−1〜t1−4は一致するが、センサの設置間隔が異なっていれば伝播時間差が異なる。
【0090】
たとえば、第3の電磁超音波センサ51cの設置位置が2/4周回相当位置に無ければ、R側からの伝播距離とL側からの伝播距離が異なるために、第2受信波は、第3の電磁超音波センサ51cで、図20の点線で示したように2つのエコーが検出される。第2の電磁超音波センサ51bの設置位置が異なっていれば、図20にて破線で示したように第1受信波と受信波が異なる時間で受信される。この破線は第2の電磁超音波センサ51bが第1の電磁超音波センサ51a側に寄っている場合の受信エコーを示したものである。
【0091】
このように計算された伝播時間と、検出された第1〜第3受信波の伝播時間からセンサ設置間隔の均一性を検出することができる。
【0092】
[他の実施形態]
以上説明した各実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0093】
たとえば、上記各実施形態では、配管の外側に電磁超音波センサを配置するものとしたが、配管の内側に電磁超音波センサを配置することもできる。ガイド波の送受信に圧電素子などを用いる場合には圧電素子が振動発生源となることから、センサは測定対象に密着させる必要があるが、配管の内外面では曲率が異なるため設置場所に合わせて曲率を変える必要がある。一方、電磁超音波センサでは、センサではなく配管自体が振動発生源となることから、電磁超音波センサと配管の管壁面との間に数mmの隙間があったとしても配管に振動を与えることが可能であり、曲率があったとしてもガイドを送受信することができる。
【0094】
また、上記実施形態の説明では配管の減肉部での超音波の反射を利用してその減肉を検出するものとしたが、減肉以外の欠陥などでも超音波が反射するものであればその検出をすることができる。
【符号の説明】
【0095】
1 … 電磁超音波センサ
2 … 永久磁石
3 … コイル
4 … 交流電流
6 … 磁束
7 … 渦電流
8 … ローレンツ力
9 … 鎖交磁束
20 … ガイド波
21 … 周回ガイド波
22 … 反射ガイド波
30 … 配管
31 … 減肉部
40 … ガイド波送受信器
41 … 接続切り替え器
42 … 駆動センサ選択器
50 … コイル軸
51、51a、51b、51c、51d … 電磁超音波センサ
53 … 第1のコイル
54 … 第2のコイル
55 … 交流電流
57 … 渦電流
58 … ローレンツ力
60 … 第1コイル軸60
61 … 第2コイル軸61
65 … 交流電流
67 … 渦電流
68 … ローレンツ力
70 … データ処理部
71 … 校正部
72 … センサ健全性判定部
73 … 配管評価部
74 … 音速評価部
75 … 距離特定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部に第1の磁極が形成され第1の端部の反対側に第2の磁極が形成される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直なコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられたコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて、配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、
前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの感度を校正する校正ステップと、
前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記校正ステップによって得られた前記電磁超音波センサの感度に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、
を有することを特徴とする配管検査方法。
【請求項2】
第1の端部に第1の磁極が形成され第1の端部の反対側に第2の磁極が形成される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直なコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられたコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、
前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの健全性を判定するセンサ健全性判定ステップと、
前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記センサ健全性判定ステップによって得られた前記電磁超音波センサの健全性の判定結果に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、
を有することを特徴とする配管検査方法。
【請求項3】
前記配管評価ステップは、
前記配管の管壁内を伝播するガイド波の音速を前記周回エコー電流に基づいて求める音速評価ステップと、
前記音速評価ステップにより求められた音速を用いて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して戻ってきたガイド波が反射した位置と前記電磁超音波センサとの距離を求める距離特定ステップと、
を具備していること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の配管検査方法。
【請求項4】
前記周回エコー検出ステップは、前記配管の管壁内を周方向に伝播して複数回周回して戻ってきたガイド波を検出するものであって、
前記音速評価ステップは、前記配管の管壁内を周方向に伝播して複数回周回して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を用いて音速を求めること、を特徴とする請求項3に記載の配管検査方法。
【請求項5】
前記配管の管壁内の状態は、前記配管の減肉であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の配管検査方法。
【請求項6】
第1の磁極と第2の磁極が互いに反対方向に向いている永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて、配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記第1のコイル軸が前記配管の周方向を向いて前記第2のコイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置するセンサ配置ステップと、
前記センサ配置ステップの後に前記第1のコイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記第1のコイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、
前記センサ配置ステップの後に前記第2のコイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、
前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの感度を校正する校正ステップと、
前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記校正ステップによって得られた前記電磁超音波センサの感度に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、
を有することを特徴とする配管検査方法。
【請求項7】
前記センサ配置ステップは、複数個の前記電磁超音波センサを前記配管の周方向に互いに間隔をあけて配置するものであって、
前記周回エコー検出ステップは、前記複数個の電磁超音波センサのうちの第1の電磁超音波センサの前記第2のコイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記複数個の電磁超音波センサのうちの第1の電磁超音波センサ以外の電磁超音波センサの前記第2のコイルに生じる周回エコー電流を検出する他センサ周回エコー検出ステップを含み、
前記校正ステップは、前記他センサ周回エコー検出ステップによって得られた結果を加味して各電磁超音波センサの校正を行なうこと、
を特徴とする請求項6に記載の配管検査方法。
【請求項8】
前記他センサ周回エコー検出ステップによって得られた結果に基づいて前記複数個の前記電磁超音波センサ同士の間隔を確認する間隔確認ステップをさらに有することを特徴とする請求項7に記載の配管検査方法。
【請求項9】
配管の管壁内部を進行する超音波であるガイド波を送受信する電磁超音波センサを有する配管検査装置であって、
前記電磁超音波センサは、
第1の磁極が前記配管の管壁面の一部に対向し、第2の磁極が前記管壁面の一部から遠ざかる方向に向くように配置される永久磁石と、
前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、
前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、
を備え、前記第1のコイルおよび第2のコイルに交流電流を供給できるように構成されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項10】
前記第1のコイル軸が前記配管の周方向を向き、前記第2のコイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置して前記第2のコイルに交流電流を供給して前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流に基づいて、前記電磁超音波センサの感度を校正する校正部と、
前記第1のコイル軸が前記配管の周方向を向き、前記第2のコイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置して前記第1のコイルに交流電流を供給して前記配管の管壁内を管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記第1のコイルに生じる軸方向エコー電流と、前記校正部で校正された前記電磁超音波センサの感度とに基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価部と、
をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の配管検査装置。
【請求項11】
前記第1のコイル軸が前記配管の軸方向を向き、前記第2のコイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置して前記第2のコイルに交流電流を供給して前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流に基づいて、前記電磁超音波センサの健全性を判定するセンサ健全性判定部と、
前記第1のコイル軸が前記配管の軸方向を向き、前記第2のコイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置して前記第1のコイルに交流電流を供給して前記配管の管壁内を管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記第1のコイルに生じる軸方向エコー電流と、前記センサ健全性判定部で得られた前記電磁超音波センサの健全性の判定結果に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価部と、
をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の配管検査装置。
【請求項12】
前記配管評価部は、
前記配管の管壁内を伝播するガイド波の音速を前記周回エコー電流に基づいて求める音速評価部と、
前記音速評価部で求められた音速を用いて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して戻ってきたガイド波が反射した位置と前記電磁超音波センサとの距離を求める距離特定部と、
を具備していること、を特徴とする請求項10または請求項11に記載の配管検査装置。
【請求項13】
前記音速評価部は、前記配管の管壁内を周方向に伝播して複数回周回して戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流を用いて音速を求めること、を特徴とする請求項12に記載の配管検査装置。
【請求項14】
前記配管の管壁内の状態は、前記配管の減肉であることを特徴とする請求項9ないし請求項13のいずれか一項に記載の配管検査装置。
【請求項15】
任意に選択された前記第1のコイルおよび第2のコイルの一方のみに交流電流を流すように電気的接続を切り替える切り替え器をさらに有することを特徴とする請求項9ないし請求項14のいずれか一項に記載の配管検査装置。
【請求項16】
前記電磁超音波センサは複数個あって、複数個の前記電磁超音波センサが、前記配管の周方向に互いに間隔をあけて配列されていること、を特徴とする請求項15に記載の配管検査装置。
【請求項17】
前記複数個の電磁超音波センサの前記第1のコイル同士および前記第2のコイル同士が電気的に直列に接続されていること、を特徴とする請求項16に記載の配管検査装置。
【請求項18】
前記複数個の電磁超音波センサの前記第1のコイル同士および前記第2のコイル同士が電気的に並列に接続されていること、を特徴とする請求項16に記載の配管検査装置。
【請求項19】
前記複数個の電磁超音波センサのうちの任意の一部の電磁超音波センサのみを選択的に動作させる駆動センサ選択器をさらに有すること、を特徴とする請求項18に記載の配管検査装置。
【請求項20】
配管の管壁内部を進行する超音波であるガイド波を送受信する電磁超音波センサであって、
第1の磁極が前記配管の管壁面の一部に対向し、第2の磁極が前記管壁面の一部から遠ざかる方向に向くように配置される永久磁石と、
前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、
前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、
を備えたことを特徴とする電磁超音波センサ。
【請求項1】
第1の端部に第1の磁極が形成され第1の端部の反対側に第2の磁極が形成される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直なコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられたコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて、配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、
前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの感度を校正する校正ステップと、
前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記校正ステップによって得られた前記電磁超音波センサの感度に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、
を有することを特徴とする配管検査方法。
【請求項2】
第1の端部に第1の磁極が形成され第1の端部の反対側に第2の磁極が形成される永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直なコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられたコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記コイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置し、前記コイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、
前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの健全性を判定するセンサ健全性判定ステップと、
前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記センサ健全性判定ステップによって得られた前記電磁超音波センサの健全性の判定結果に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、
を有することを特徴とする配管検査方法。
【請求項3】
前記配管評価ステップは、
前記配管の管壁内を伝播するガイド波の音速を前記周回エコー電流に基づいて求める音速評価ステップと、
前記音速評価ステップにより求められた音速を用いて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して戻ってきたガイド波が反射した位置と前記電磁超音波センサとの距離を求める距離特定ステップと、
を具備していること、を特徴とする請求項1または請求項2に記載の配管検査方法。
【請求項4】
前記周回エコー検出ステップは、前記配管の管壁内を周方向に伝播して複数回周回して戻ってきたガイド波を検出するものであって、
前記音速評価ステップは、前記配管の管壁内を周方向に伝播して複数回周回して戻ってきたガイド波によって前記コイルに生じる周回エコー電流を用いて音速を求めること、を特徴とする請求項3に記載の配管検査方法。
【請求項5】
前記配管の管壁内の状態は、前記配管の減肉であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の配管検査方法。
【請求項6】
第1の磁極と第2の磁極が互いに反対方向に向いている永久磁石と、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、を備えた電磁超音波センサを用いて、配管の管壁内を伝播する超音波であるガイド波を送受信して配管の管壁を検査する配管検査方法であって、
前記第1の磁極が配管の管壁面の一部に対向し、しかも前記第1のコイル軸が前記配管の周方向を向いて前記第2のコイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置するセンサ配置ステップと、
前記センサ配置ステップの後に前記第1のコイルに交流電流を流すことにより前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記第1のコイルに生じる軸方向エコー電流を検出する軸方向エコー検出ステップと、
前記センサ配置ステップの後に前記第2のコイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流を検出する周回エコー検出ステップと、
前記周回エコー検出ステップで得られた前記周回エコー電流に基づいて前記電磁超音波センサの感度を校正する校正ステップと、
前記軸方向エコー検出ステップによって得られた前記軸方向エコー電流と前記校正ステップによって得られた前記電磁超音波センサの感度に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価ステップと、
を有することを特徴とする配管検査方法。
【請求項7】
前記センサ配置ステップは、複数個の前記電磁超音波センサを前記配管の周方向に互いに間隔をあけて配置するものであって、
前記周回エコー検出ステップは、前記複数個の電磁超音波センサのうちの第1の電磁超音波センサの前記第2のコイルに交流電流を流すことにより、前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記複数個の電磁超音波センサのうちの第1の電磁超音波センサ以外の電磁超音波センサの前記第2のコイルに生じる周回エコー電流を検出する他センサ周回エコー検出ステップを含み、
前記校正ステップは、前記他センサ周回エコー検出ステップによって得られた結果を加味して各電磁超音波センサの校正を行なうこと、
を特徴とする請求項6に記載の配管検査方法。
【請求項8】
前記他センサ周回エコー検出ステップによって得られた結果に基づいて前記複数個の前記電磁超音波センサ同士の間隔を確認する間隔確認ステップをさらに有することを特徴とする請求項7に記載の配管検査方法。
【請求項9】
配管の管壁内部を進行する超音波であるガイド波を送受信する電磁超音波センサを有する配管検査装置であって、
前記電磁超音波センサは、
第1の磁極が前記配管の管壁面の一部に対向し、第2の磁極が前記管壁面の一部から遠ざかる方向に向くように配置される永久磁石と、
前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、
前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、
を備え、前記第1のコイルおよび第2のコイルに交流電流を供給できるように構成されていることを特徴とする配管検査装置。
【請求項10】
前記第1のコイル軸が前記配管の周方向を向き、前記第2のコイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置して前記第2のコイルに交流電流を供給して前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流に基づいて、前記電磁超音波センサの感度を校正する校正部と、
前記第1のコイル軸が前記配管の周方向を向き、前記第2のコイル軸が前記配管の管軸方向を向くように前記電磁超音波センサを配置して前記第1のコイルに交流電流を供給して前記配管の管壁内を管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記第1のコイルに生じる軸方向エコー電流と、前記校正部で校正された前記電磁超音波センサの感度とに基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価部と、
をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の配管検査装置。
【請求項11】
前記第1のコイル軸が前記配管の軸方向を向き、前記第2のコイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置して前記第2のコイルに交流電流を供給して前記配管の管壁内を周方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を周方向に伝播して反射せずに戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流に基づいて、前記電磁超音波センサの健全性を判定するセンサ健全性判定部と、
前記第1のコイル軸が前記配管の軸方向を向き、前記第2のコイル軸が前記配管の周方向を向くように前記電磁超音波センサを配置して前記第1のコイルに交流電流を供給して前記配管の管壁内を管軸方向に伝播するガイド波を発生させて、前記配管の管壁内を管軸方向に伝播して反射して戻ってきたガイド波によって前記第1のコイルに生じる軸方向エコー電流と、前記センサ健全性判定部で得られた前記電磁超音波センサの健全性の判定結果に基づいて前記配管の管壁内の状態を評価する配管評価部と、
をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の配管検査装置。
【請求項12】
前記配管評価部は、
前記配管の管壁内を伝播するガイド波の音速を前記周回エコー電流に基づいて求める音速評価部と、
前記音速評価部で求められた音速を用いて、前記配管の管壁内を配管軸方向に伝播して戻ってきたガイド波が反射した位置と前記電磁超音波センサとの距離を求める距離特定部と、
を具備していること、を特徴とする請求項10または請求項11に記載の配管検査装置。
【請求項13】
前記音速評価部は、前記配管の管壁内を周方向に伝播して複数回周回して戻ってきたガイド波によって前記第2のコイルに生じる周回エコー電流を用いて音速を求めること、を特徴とする請求項12に記載の配管検査装置。
【請求項14】
前記配管の管壁内の状態は、前記配管の減肉であることを特徴とする請求項9ないし請求項13のいずれか一項に記載の配管検査装置。
【請求項15】
任意に選択された前記第1のコイルおよび第2のコイルの一方のみに交流電流を流すように電気的接続を切り替える切り替え器をさらに有することを特徴とする請求項9ないし請求項14のいずれか一項に記載の配管検査装置。
【請求項16】
前記電磁超音波センサは複数個あって、複数個の前記電磁超音波センサが、前記配管の周方向に互いに間隔をあけて配列されていること、を特徴とする請求項15に記載の配管検査装置。
【請求項17】
前記複数個の電磁超音波センサの前記第1のコイル同士および前記第2のコイル同士が電気的に直列に接続されていること、を特徴とする請求項16に記載の配管検査装置。
【請求項18】
前記複数個の電磁超音波センサの前記第1のコイル同士および前記第2のコイル同士が電気的に並列に接続されていること、を特徴とする請求項16に記載の配管検査装置。
【請求項19】
前記複数個の電磁超音波センサのうちの任意の一部の電磁超音波センサのみを選択的に動作させる駆動センサ選択器をさらに有すること、を特徴とする請求項18に記載の配管検査装置。
【請求項20】
配管の管壁内部を進行する超音波であるガイド波を送受信する電磁超音波センサであって、
第1の磁極が前記配管の管壁面の一部に対向し、第2の磁極が前記管壁面の一部から遠ざかる方向に向くように配置される永久磁石と、
前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直な第1のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第1のコイルと、
前記第1の磁極と第2の磁極を結ぶ直線に垂直でかつ前記第1のコイル軸に垂直な第2のコイル軸の周りで前記永久磁石の周りに巻き付けられた第2のコイルと、
を備えたことを特徴とする電磁超音波センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−98226(P2012−98226A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247991(P2010−247991)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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