配管構造
【課題】 防水パンに開けられた孔に立ち上げられた給水・給湯管を、ぐらつかないようにしっかり固定することができ、しかも、立ち上げ管が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって配管外径が異なる場合でも、本発明品1つで対応することができ、漏水防止に優れた配管構造を提供する。
【解決手段】 防水パンを貫通して浴室内に給水管、給湯管等の配管を立ち上げる配管構造において、上記防水パンに形成した貫通口の下側から挿通される略逆T字状の筒状ソケットと、該筒状ソケット内に嵌装され上記立ち上げ管を保持するゴム栓と、上記筒状ソケットの外周に刻設された螺子部に螺合する袋ナット体と、で構成した。
【解決手段】 防水パンを貫通して浴室内に給水管、給湯管等の配管を立ち上げる配管構造において、上記防水パンに形成した貫通口の下側から挿通される略逆T字状の筒状ソケットと、該筒状ソケット内に嵌装され上記立ち上げ管を保持するゴム栓と、上記筒状ソケットの外周に刻設された螺子部に螺合する袋ナット体と、で構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水パンを貫通して浴室内に配管を通す配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の配管構造は、防水パンを貫通させて配管を立ち上げた部分に、シリコンを充填して止水しているが、このような構造では止水性に不安がある。このような従来のシリコンによるコーキング作業を廃止できる工法として、特許文献1に示すようなゴム栓を用いたものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−232056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システムバスの防水パンの給水・給湯管の立ち上げ貫通部は、貫通部の防水構造を保護するため、配管を固定するのが望ましいが、立ち上げ配管が鋼管の場合、立ち上げ位置の誤差吸収のため完全には固定化できず、貫通部を塞ぐゴム皮膜状の蓋や、間隙を塞ぐためのシリコンコーキングへの依存度が大きく、作業不良による漏水事故が生じ易く、また、立ち上げ管が樹脂管やライニング管である場合には、材質・種類によって配管外径が異なるため、上記従来のゴム栓では、複数の配管径に対応できない、という問題を有していた。
【0005】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、防水パンに開けられた孔に立ち上げられた給水・給湯管を、ぐらつかないようにしっかり固定することができ、しかも、立ち上げ管が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって配管外径が異なる場合でも、本発明品1つで対応することができ、漏水防止に優れた配管構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、防水パンを貫通して浴室内に給水管,給湯管等の配管を立ち上げる配管構造に用いられる配管構造において、上記防水パンに形成した貫通口の下側から挿通される略逆T字状の筒状ソケットと、該筒状ソケット内に嵌装され上記立ち上げ管を保持するゴム栓と、上記筒状ソケットの外周に刻設された螺子部に螺合する袋ナット体と、を有して構成し、上記ゴム栓は、その外周面を逆円錐台状に縮径させ、該外周面を筒状ソケットの内周面に形成されたテーパー面と水密状に密着させるように構成したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配管構造を技術的前提とし、前記ゴム栓の縮径された外周面の上部に、内径が異なる複数の段部を形成したことを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の配管構造を技術的前提とし、前記複数の段部に夫々形成された内径が異なる孔は、その上端部が、次の段に少し食い込んで形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2及び請求項3のいずれかに記載の配管構造を技術的前提とし、前記逆円錐台状の外周面は、複数形成された内径の最下段の上部と略同一高さに形成されていることを特徴とする。
【0010】
またさらに、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の配管構造を技術的前提とし、前記ゴム栓に、切れ目或は切欠部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の配管構造は、以上ように構成されているので、防水パンに開けられた孔に立ち上げられた給水・給湯管を、ぐらつかないようにしっかり固定することができ、しかも、ゴム栓の逆円錐台状に縮径させた外周面を筒状ソケットの内周面に形成されたテーパー面と水密状に密着させ、例えば、袋ナットで締め付けることで、水密性を高め漏水を確実に防止することができ、シリコンコーキングが不要又は少量となる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明にあっては、ゴム栓の縮径された外周面の上部に、内径が異なる複数の段部を形成したので、該段部を、立ち上げ管が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって異なる配管外径に対応させて切断することで、ゴム栓を複数用意する必要がなく、廉価で取り扱いも簡便となる、という効果が得られる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、前記複数の段部に夫々形成された内径が異なる孔は、その上端部が、次の段に少し食い込んで形成されているので、立ち上げ管が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって異なる配管外径に対応させて切断する場合、各段部の下端部に沿って切断することで、求める内径の孔を確実に得ることができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明によれば、2段目・3段目以上を使用するときに、袋ナットより上に飛び出した部分をタイラップ(登録商標)等の締付具で締めることにより、2段目・3段目以上であっても、立ち上がり管を水密に固定することができる。
【0015】
またさらに、請求項5に記載の発明によれば、ゴム栓に、切れ目或は切欠部を形成したので、立ち上げ管の端部に配管部品が接続されている場合でも、配管の途中からでも本発明品を装着することができ、また、配管の立ち上げ位置の誤差吸収がゴム栓の弾性を超える場合であって、配管を収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に示す一実施形態例に基づき、この発明を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施形態例に係る浴室の配管部を示す説明図を、図2は同配管接続に用いられるゴム栓の半裁断面図を、図3は同ゴム栓の平面図を、図4は同ゴム栓の切断箇所を示す説明図を、図5は銅管及び樹脂管で立上げ配管の保持に融通があって防水パンの立上げセンターを合わせることができる場合の同ゴム栓の装着状態を示す第1説明図を、図6は同ゴム栓の装着状態を示す第2説明図を、図7は同ゴム栓の装着状態を示す第3説明図を、図8は樹脂管・ライニング鋼管で配管センターと防水パンの立上げセンターが一致又は交換の場合同ゴム栓の弾性でズレが吸収できる場合に用いられる同ゴム栓の切断状態を示す説明図を、図9は同ゴム栓を切断した状態を示す斜視図を、図10は同ゴム栓の装着状態を示す第1説明図を、図11は同ゴム栓の装着状態を示す第2説明図を、図12は同ゴム栓の装着状態を示す第3説明図を、図13はライニング鋼管などで配管立上げ位置が埋設固定などで融通性がなく配管の立上げセンターのズレをゴム栓の弾性で吸収できない場合の状態を示す斜視図を、図14は防水パンパネルパッキングを切断して配管部に装着する状態を示す説明図を、図15は同ゴム栓の一部を切断して装着した状態を示す説明図を、図16は同ゴム栓にシーリングをした状態を示す説明図を、図17は同ゴム栓を装着した状態を示す説明図を、図18は図7の状態を示す縦断面図を、図19は図12の状態を示す縦断面図を、それぞれ示している。
【0018】
本実施形態例に係る防水パン1の点検口にはパンフタ1‘が設けられ、該パンフタ1’には、上下に貫通して貫通口1aが形成されており、この貫通口1a内に、給水管,給湯管等の立上げ管7(図5乃至図17参照)が室内側に向かって立ち上げられている。この立上げ管7は、例えば、鋼管や樹脂管・ライニング管で構成されたものである。
【0019】
そして、防水パン1を立てた状態で、防水パン1の裏側より筒状ソケット2(図5乃至図17参照)を貫通口1a内に挿通させる。即ち、筒状ソケット2は、前記従来例の筒状ソケットと同様に構成されており、筒状に形成した筒体部2aの外周に、全周に亘って雄ネジ2bが形成されており、下端側には、外側へ突出してフランジ部2cが一体形成され、該フランジ部2cの内周に通し孔2eが形成されて、この通し孔は立上げ管7の外径よりも僅かに大径に形成されている。
【0020】
この筒状ソケット2を、防水パン1のパンフタ1‘の裏側から貫通口1a内に通す際に、裏側にはパッキン3を介装させておき、室内側ではパッキン4を筒体部の外周に嵌め込み、さらにスリップワッシャ5を嵌め込んで、室内側より、内周に雌ネジを有するロックリング6を、筒状ソケット2の雄ネジ2bに締め付けることにより、防水パン1の貫通口1aに水密状に筒状ソケット2を固設する。
【0021】
この状態で、上記通し孔2e内から筒体部2a内を通して、立上げ管7を筒状ソケット2内に通すことができ、この際に、立上げ管7の外周と筒状ソケット2の筒体部2aの内周間に、筒状のゴムで形成した配管固定用ゴム栓20を介装させておき、さらにゴム栓20に、スリップワッシャ8を配置させて、袋ナット10を、筒体部の雄ネジに室内側より締め付けることにより、立上げ管7を良好に固定することができる。
【0022】
配管固定用ゴム栓20は、図2と図3に示すように、その中途外周面21を逆円錐台状に縮径させて形成されており、該中途外周面21を筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着させるように構成されている。
【0023】
また、前記配管固定用ゴム栓20の縮径された中途外周面21の上部に、内径D1,D2が異なる2段の段部22,23が形成されている。
【0024】
そして、上記段部22,23に形成された内径が異なる孔24,25は、その上端部24Aが、次の段の孔25に少し食い込むように形成されている。
【0025】
このように、段部22,23に夫々形成された内径が異なる孔24,25の孔24は、その上端部24Aが、次の段23に少し食い込んで形成されているので、立ち上げ管7が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって異なる配管外径に対応させて切断しても、段部23の下端部に沿って切断することで、求める内径の孔24又は孔25を確実に得ることができる。
【0026】
勿論、上記段数は、上記実施形態例に限定されるものではなく、図4に示すように、3段22,23,26以上、複数段形成することができる。
【0027】
このように、配管固定用ゴム栓20の縮径された中途外周面21の上部に、内径が異なる複数の段部22,23,26を形成したので、該段部22,23,26を、立ち上げ管7が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって異なる配管外径に対応させて切断することで、配管固定用ゴム栓20を複数用意する必要がなく、廉価で取り扱いも簡便である。
【0028】
そして、上記逆円錐台状の中途外周面21は、複数形成された内径の最下段22の上部22Aと略同一高さに形成されている。このように、2段目23或は3段目26以上を使用するときに、袋ナット10より上に飛び出した部分を、例えばタイラップ(図示せず)で締めることにより、2段目23或は3段目26以上であっても、立上り管7を水密に固定することができる。
【0029】
例えば、図5乃至図7及び図18に示すように、銅管及び樹脂管で立上げ管7(管外径17mm)の保持に融通があって防水パン1の立上げセンターを合わせることができる場合には、配管固定用ゴム栓20を切断せずに、立上げ管7の外周と筒体ソケット2の内周間に介装し、袋ナット10を緊締することで、配管固定用ゴム栓20の中途外周面21が筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着する。
【0030】
また、図8乃至図12及び図19に示すように、樹脂管やライニング鋼管(管外径21.7〜22mm)で配管センターと防水パン1の立上げセンターが一致又は交換する場合で配管固定用ゴム栓20の弾性でズレが吸収できる場合には、図8に示すように、2段目23の下端部をカッターで切断し、図9に示すように、1段目23と2段目23を分離し、1段目22を立上げ管7の外周と筒体ソケット2の内周間に介装し、袋ナット10を緊締することで、配管固定用ゴム栓20の中途外周面21が筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着する。
【0031】
さらに、図13乃至図17に示すように、ライニング鋼管などで配管立上げ位置が埋設固定などで融通性がなく配管の立上げセンターのズレを配管固定用ゴム栓20の弾性で吸収できない場合には、例えば、図14に示すように、バックアップ材30を一部切断して立上げ管7の外周と筒体ソケット2の内周間に介装し、次に、図15に示すように、配管固定用ゴム栓20の一部を立上げ管7を挿入できる大きさに切断して立上げ管7に介装した後、バックアップ材30の上にシーリング剤31を図16に示すように塗布し、袋ナット10を緊締することで、配管固定用ゴム栓20の中途外周面21が筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着し、立上げ管7と配管固定用ゴム栓20の間はシーリング剤31により水密性は保たれる。勿論、配管固定用ゴム栓20の一部に切れ目を入れて、該切れ目から立上がり管7を挿通してもよい。
【0032】
この実施形態例に係る配管固定用ゴム栓20は、以上ように構成されているので、防水パン1に開けられた孔に立ち上げられた給水・給湯用の立上り管7,7を、ぐらつかないようにしっかり固定することができ、しかも、該ゴム栓20の逆円錐台状に縮径させた中途外周面21を筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着させ袋ナット10で締め付けることで、水密性を高め漏水を確実に防止することができ、しかも立上げ管7の振動に対する保持力を高めることができ、立上げ管7自体の劣化をも防げ、シリコンコーキングが不要又は少量となる。
【0033】
このように、止水性を確保して立上げ管7を防水パン1の室内側へ立ち上げることができ、防水パン1の貫通部分で立上げ管7を繋げる必要がないため、作業性が容易となり、更に、ゴムまたはビニール等で形成したスカート状のカバーを、袋ナット10及び筒状ソケット2の外周に被せ、カバーの上端をバンドで立上げ管7に固定することにより、立上げ管7を伝って水が袋ナット10から中へ入るのを防ぐことができ、より確実な止水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態例に係る浴室の配管部を示す説明図である。
【図2】同配管接続に用いられるゴム栓の半裁断面図である。
【図3】同ゴム栓の平面図である。
【図4】同ゴム栓の切断箇所を示す説明図である。
【図5】銅管及び樹脂管で立上げ配管の保持に融通があって防水パンの立上げセンターを合わせることができる場合の同ゴム栓の装着状態を示す第1説明図である。
【図6】同ゴム栓の装着状態を示す第2説明図をである。
【図7】同ゴム栓の装着状態を示す第3説明図である。
【図8】樹脂管・ライニング鋼管で配管センターと防水パンの立上げセンターが一致又は交換の場合同ゴム栓の弾性でズレが吸収できる場合に用いられる同ゴム栓の切断状態を示す説明図である。
【図9】同ゴム栓を切断した状態を示す斜視図である。
【図10】同ゴム栓の装着状態を示す第1説明図である。
【図11】同ゴム栓の装着状態を示す第2説明図である。
【図12】同ゴム栓の装着状態を示す第3説明図である。
【図13】ライニング鋼管などで配管立上げ位置が埋設固定などで融通性がなく配管の立上げセンターのズレをゴム栓の弾性で吸収できない場合の状態を示す斜視図である。
【図14】防水パンパネルパッキングを切断して配管部に装着する状態を示す説明図である。
【図15】同ゴム栓の一部を切断して装着した状態を示す説明図である。
【図16】同ゴム栓にシーリングをした状態を示す説明図である。
【図17】同ゴム栓を装着した状態を示す説明図である。
【図18】図7の状態を示す縦断面図である。
【図19】図12の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 防水パン
1‘ パンフタ
1a 貫通口
2 筒状ソケット
7 立上げ管
10 袋ナット
20 ゴム栓、配管固定用ゴム栓
21 中途外周面
22,23,26 段部
22A 最下段の上部
24,25 孔
24A 孔の上端部
30 バックアップ材
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水パンを貫通して浴室内に配管を通す配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の配管構造は、防水パンを貫通させて配管を立ち上げた部分に、シリコンを充填して止水しているが、このような構造では止水性に不安がある。このような従来のシリコンによるコーキング作業を廃止できる工法として、特許文献1に示すようなゴム栓を用いたものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−232056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
システムバスの防水パンの給水・給湯管の立ち上げ貫通部は、貫通部の防水構造を保護するため、配管を固定するのが望ましいが、立ち上げ配管が鋼管の場合、立ち上げ位置の誤差吸収のため完全には固定化できず、貫通部を塞ぐゴム皮膜状の蓋や、間隙を塞ぐためのシリコンコーキングへの依存度が大きく、作業不良による漏水事故が生じ易く、また、立ち上げ管が樹脂管やライニング管である場合には、材質・種類によって配管外径が異なるため、上記従来のゴム栓では、複数の配管径に対応できない、という問題を有していた。
【0005】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、防水パンに開けられた孔に立ち上げられた給水・給湯管を、ぐらつかないようにしっかり固定することができ、しかも、立ち上げ管が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって配管外径が異なる場合でも、本発明品1つで対応することができ、漏水防止に優れた配管構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、防水パンを貫通して浴室内に給水管,給湯管等の配管を立ち上げる配管構造に用いられる配管構造において、上記防水パンに形成した貫通口の下側から挿通される略逆T字状の筒状ソケットと、該筒状ソケット内に嵌装され上記立ち上げ管を保持するゴム栓と、上記筒状ソケットの外周に刻設された螺子部に螺合する袋ナット体と、を有して構成し、上記ゴム栓は、その外周面を逆円錐台状に縮径させ、該外周面を筒状ソケットの内周面に形成されたテーパー面と水密状に密着させるように構成したことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配管構造を技術的前提とし、前記ゴム栓の縮径された外周面の上部に、内径が異なる複数の段部を形成したことを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の配管構造を技術的前提とし、前記複数の段部に夫々形成された内径が異なる孔は、その上端部が、次の段に少し食い込んで形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2及び請求項3のいずれかに記載の配管構造を技術的前提とし、前記逆円錐台状の外周面は、複数形成された内径の最下段の上部と略同一高さに形成されていることを特徴とする。
【0010】
またさらに、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の配管構造を技術的前提とし、前記ゴム栓に、切れ目或は切欠部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の配管構造は、以上ように構成されているので、防水パンに開けられた孔に立ち上げられた給水・給湯管を、ぐらつかないようにしっかり固定することができ、しかも、ゴム栓の逆円錐台状に縮径させた外周面を筒状ソケットの内周面に形成されたテーパー面と水密状に密着させ、例えば、袋ナットで締め付けることで、水密性を高め漏水を確実に防止することができ、シリコンコーキングが不要又は少量となる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明にあっては、ゴム栓の縮径された外周面の上部に、内径が異なる複数の段部を形成したので、該段部を、立ち上げ管が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって異なる配管外径に対応させて切断することで、ゴム栓を複数用意する必要がなく、廉価で取り扱いも簡便となる、という効果が得られる。
【0013】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、前記複数の段部に夫々形成された内径が異なる孔は、その上端部が、次の段に少し食い込んで形成されているので、立ち上げ管が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって異なる配管外径に対応させて切断する場合、各段部の下端部に沿って切断することで、求める内径の孔を確実に得ることができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明によれば、2段目・3段目以上を使用するときに、袋ナットより上に飛び出した部分をタイラップ(登録商標)等の締付具で締めることにより、2段目・3段目以上であっても、立ち上がり管を水密に固定することができる。
【0015】
またさらに、請求項5に記載の発明によれば、ゴム栓に、切れ目或は切欠部を形成したので、立ち上げ管の端部に配管部品が接続されている場合でも、配管の途中からでも本発明品を装着することができ、また、配管の立ち上げ位置の誤差吸収がゴム栓の弾性を超える場合であって、配管を収納することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に示す一実施形態例に基づき、この発明を詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施形態例に係る浴室の配管部を示す説明図を、図2は同配管接続に用いられるゴム栓の半裁断面図を、図3は同ゴム栓の平面図を、図4は同ゴム栓の切断箇所を示す説明図を、図5は銅管及び樹脂管で立上げ配管の保持に融通があって防水パンの立上げセンターを合わせることができる場合の同ゴム栓の装着状態を示す第1説明図を、図6は同ゴム栓の装着状態を示す第2説明図を、図7は同ゴム栓の装着状態を示す第3説明図を、図8は樹脂管・ライニング鋼管で配管センターと防水パンの立上げセンターが一致又は交換の場合同ゴム栓の弾性でズレが吸収できる場合に用いられる同ゴム栓の切断状態を示す説明図を、図9は同ゴム栓を切断した状態を示す斜視図を、図10は同ゴム栓の装着状態を示す第1説明図を、図11は同ゴム栓の装着状態を示す第2説明図を、図12は同ゴム栓の装着状態を示す第3説明図を、図13はライニング鋼管などで配管立上げ位置が埋設固定などで融通性がなく配管の立上げセンターのズレをゴム栓の弾性で吸収できない場合の状態を示す斜視図を、図14は防水パンパネルパッキングを切断して配管部に装着する状態を示す説明図を、図15は同ゴム栓の一部を切断して装着した状態を示す説明図を、図16は同ゴム栓にシーリングをした状態を示す説明図を、図17は同ゴム栓を装着した状態を示す説明図を、図18は図7の状態を示す縦断面図を、図19は図12の状態を示す縦断面図を、それぞれ示している。
【0018】
本実施形態例に係る防水パン1の点検口にはパンフタ1‘が設けられ、該パンフタ1’には、上下に貫通して貫通口1aが形成されており、この貫通口1a内に、給水管,給湯管等の立上げ管7(図5乃至図17参照)が室内側に向かって立ち上げられている。この立上げ管7は、例えば、鋼管や樹脂管・ライニング管で構成されたものである。
【0019】
そして、防水パン1を立てた状態で、防水パン1の裏側より筒状ソケット2(図5乃至図17参照)を貫通口1a内に挿通させる。即ち、筒状ソケット2は、前記従来例の筒状ソケットと同様に構成されており、筒状に形成した筒体部2aの外周に、全周に亘って雄ネジ2bが形成されており、下端側には、外側へ突出してフランジ部2cが一体形成され、該フランジ部2cの内周に通し孔2eが形成されて、この通し孔は立上げ管7の外径よりも僅かに大径に形成されている。
【0020】
この筒状ソケット2を、防水パン1のパンフタ1‘の裏側から貫通口1a内に通す際に、裏側にはパッキン3を介装させておき、室内側ではパッキン4を筒体部の外周に嵌め込み、さらにスリップワッシャ5を嵌め込んで、室内側より、内周に雌ネジを有するロックリング6を、筒状ソケット2の雄ネジ2bに締め付けることにより、防水パン1の貫通口1aに水密状に筒状ソケット2を固設する。
【0021】
この状態で、上記通し孔2e内から筒体部2a内を通して、立上げ管7を筒状ソケット2内に通すことができ、この際に、立上げ管7の外周と筒状ソケット2の筒体部2aの内周間に、筒状のゴムで形成した配管固定用ゴム栓20を介装させておき、さらにゴム栓20に、スリップワッシャ8を配置させて、袋ナット10を、筒体部の雄ネジに室内側より締め付けることにより、立上げ管7を良好に固定することができる。
【0022】
配管固定用ゴム栓20は、図2と図3に示すように、その中途外周面21を逆円錐台状に縮径させて形成されており、該中途外周面21を筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着させるように構成されている。
【0023】
また、前記配管固定用ゴム栓20の縮径された中途外周面21の上部に、内径D1,D2が異なる2段の段部22,23が形成されている。
【0024】
そして、上記段部22,23に形成された内径が異なる孔24,25は、その上端部24Aが、次の段の孔25に少し食い込むように形成されている。
【0025】
このように、段部22,23に夫々形成された内径が異なる孔24,25の孔24は、その上端部24Aが、次の段23に少し食い込んで形成されているので、立ち上げ管7が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって異なる配管外径に対応させて切断しても、段部23の下端部に沿って切断することで、求める内径の孔24又は孔25を確実に得ることができる。
【0026】
勿論、上記段数は、上記実施形態例に限定されるものではなく、図4に示すように、3段22,23,26以上、複数段形成することができる。
【0027】
このように、配管固定用ゴム栓20の縮径された中途外周面21の上部に、内径が異なる複数の段部22,23,26を形成したので、該段部22,23,26を、立ち上げ管7が鋼管や樹脂管・ライニング管等、材質・種類によって異なる配管外径に対応させて切断することで、配管固定用ゴム栓20を複数用意する必要がなく、廉価で取り扱いも簡便である。
【0028】
そして、上記逆円錐台状の中途外周面21は、複数形成された内径の最下段22の上部22Aと略同一高さに形成されている。このように、2段目23或は3段目26以上を使用するときに、袋ナット10より上に飛び出した部分を、例えばタイラップ(図示せず)で締めることにより、2段目23或は3段目26以上であっても、立上り管7を水密に固定することができる。
【0029】
例えば、図5乃至図7及び図18に示すように、銅管及び樹脂管で立上げ管7(管外径17mm)の保持に融通があって防水パン1の立上げセンターを合わせることができる場合には、配管固定用ゴム栓20を切断せずに、立上げ管7の外周と筒体ソケット2の内周間に介装し、袋ナット10を緊締することで、配管固定用ゴム栓20の中途外周面21が筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着する。
【0030】
また、図8乃至図12及び図19に示すように、樹脂管やライニング鋼管(管外径21.7〜22mm)で配管センターと防水パン1の立上げセンターが一致又は交換する場合で配管固定用ゴム栓20の弾性でズレが吸収できる場合には、図8に示すように、2段目23の下端部をカッターで切断し、図9に示すように、1段目23と2段目23を分離し、1段目22を立上げ管7の外周と筒体ソケット2の内周間に介装し、袋ナット10を緊締することで、配管固定用ゴム栓20の中途外周面21が筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着する。
【0031】
さらに、図13乃至図17に示すように、ライニング鋼管などで配管立上げ位置が埋設固定などで融通性がなく配管の立上げセンターのズレを配管固定用ゴム栓20の弾性で吸収できない場合には、例えば、図14に示すように、バックアップ材30を一部切断して立上げ管7の外周と筒体ソケット2の内周間に介装し、次に、図15に示すように、配管固定用ゴム栓20の一部を立上げ管7を挿入できる大きさに切断して立上げ管7に介装した後、バックアップ材30の上にシーリング剤31を図16に示すように塗布し、袋ナット10を緊締することで、配管固定用ゴム栓20の中途外周面21が筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着し、立上げ管7と配管固定用ゴム栓20の間はシーリング剤31により水密性は保たれる。勿論、配管固定用ゴム栓20の一部に切れ目を入れて、該切れ目から立上がり管7を挿通してもよい。
【0032】
この実施形態例に係る配管固定用ゴム栓20は、以上ように構成されているので、防水パン1に開けられた孔に立ち上げられた給水・給湯用の立上り管7,7を、ぐらつかないようにしっかり固定することができ、しかも、該ゴム栓20の逆円錐台状に縮径させた中途外周面21を筒状ソケット2の内周面に形成されたテーパー面2fと水密状に密着させ袋ナット10で締め付けることで、水密性を高め漏水を確実に防止することができ、しかも立上げ管7の振動に対する保持力を高めることができ、立上げ管7自体の劣化をも防げ、シリコンコーキングが不要又は少量となる。
【0033】
このように、止水性を確保して立上げ管7を防水パン1の室内側へ立ち上げることができ、防水パン1の貫通部分で立上げ管7を繋げる必要がないため、作業性が容易となり、更に、ゴムまたはビニール等で形成したスカート状のカバーを、袋ナット10及び筒状ソケット2の外周に被せ、カバーの上端をバンドで立上げ管7に固定することにより、立上げ管7を伝って水が袋ナット10から中へ入るのを防ぐことができ、より確実な止水性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態例に係る浴室の配管部を示す説明図である。
【図2】同配管接続に用いられるゴム栓の半裁断面図である。
【図3】同ゴム栓の平面図である。
【図4】同ゴム栓の切断箇所を示す説明図である。
【図5】銅管及び樹脂管で立上げ配管の保持に融通があって防水パンの立上げセンターを合わせることができる場合の同ゴム栓の装着状態を示す第1説明図である。
【図6】同ゴム栓の装着状態を示す第2説明図をである。
【図7】同ゴム栓の装着状態を示す第3説明図である。
【図8】樹脂管・ライニング鋼管で配管センターと防水パンの立上げセンターが一致又は交換の場合同ゴム栓の弾性でズレが吸収できる場合に用いられる同ゴム栓の切断状態を示す説明図である。
【図9】同ゴム栓を切断した状態を示す斜視図である。
【図10】同ゴム栓の装着状態を示す第1説明図である。
【図11】同ゴム栓の装着状態を示す第2説明図である。
【図12】同ゴム栓の装着状態を示す第3説明図である。
【図13】ライニング鋼管などで配管立上げ位置が埋設固定などで融通性がなく配管の立上げセンターのズレをゴム栓の弾性で吸収できない場合の状態を示す斜視図である。
【図14】防水パンパネルパッキングを切断して配管部に装着する状態を示す説明図である。
【図15】同ゴム栓の一部を切断して装着した状態を示す説明図である。
【図16】同ゴム栓にシーリングをした状態を示す説明図である。
【図17】同ゴム栓を装着した状態を示す説明図である。
【図18】図7の状態を示す縦断面図である。
【図19】図12の状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 防水パン
1‘ パンフタ
1a 貫通口
2 筒状ソケット
7 立上げ管
10 袋ナット
20 ゴム栓、配管固定用ゴム栓
21 中途外周面
22,23,26 段部
22A 最下段の上部
24,25 孔
24A 孔の上端部
30 バックアップ材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水パンを貫通して浴室内に給水管、給湯管等の配管を立ち上げる配管構造において、上記防水パンに形成した貫通口の下側から挿通される略逆T字状の筒状ソケットと、該筒状ソケット内に嵌装され上記立ち上げ管を保持するゴム栓と、上記筒状ソケットの外周に刻設された螺子部に螺合する袋ナット体と、で構成し、上記ゴム栓は、その外周面を逆円錐台状に縮径させ、該外周面を筒状ソケットの内周面に形成されたテーパー面と水密状に密着させるように構成したことを特徴とする配管構造。
【請求項2】
前記ゴム栓の縮径された外周面の上部に、内径が異なる複数の段部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記複数の段部に夫々形成された内径が異なる孔は、その上端部が、次の段に少し食い込んで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記逆円錐台状の外周面は、複数形成された内径の最下段の上部と略同一高さに形成されていることを特徴とする請求項2及び請求項3のいずれかに記載の配管構造。
【請求項5】
前記ゴム栓に、切れ目或は切欠部を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の配管構造。
【請求項1】
防水パンを貫通して浴室内に給水管、給湯管等の配管を立ち上げる配管構造において、上記防水パンに形成した貫通口の下側から挿通される略逆T字状の筒状ソケットと、該筒状ソケット内に嵌装され上記立ち上げ管を保持するゴム栓と、上記筒状ソケットの外周に刻設された螺子部に螺合する袋ナット体と、で構成し、上記ゴム栓は、その外周面を逆円錐台状に縮径させ、該外周面を筒状ソケットの内周面に形成されたテーパー面と水密状に密着させるように構成したことを特徴とする配管構造。
【請求項2】
前記ゴム栓の縮径された外周面の上部に、内径が異なる複数の段部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の配管構造。
【請求項3】
前記複数の段部に夫々形成された内径が異なる孔は、その上端部が、次の段に少し食い込んで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の配管構造。
【請求項4】
前記逆円錐台状の外周面は、複数形成された内径の最下段の上部と略同一高さに形成されていることを特徴とする請求項2及び請求項3のいずれかに記載の配管構造。
【請求項5】
前記ゴム栓に、切れ目或は切欠部を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の配管構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−121178(P2009−121178A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−298042(P2007−298042)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】
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