説明

配管継手

【課題】本発明は地下タンクの頂部に連通された配管継手から燃料供給を可能にすることを課題とする。
【解決手段】配管継手50Aは、継手本体52と、継手本体52の下部に設けられ地下タンク10の頂部に連通される下端接続口54と、継手本体52の上部に設けられた上端接続口58と、継手本体52の側方に設けられ横引き配管60が連通される横引き配管接続口56とを有する。また、配管継手50Aは、継手本体52の上端接続口58から流路空間59に挿入される遮断部材130と、遮断部材130の上端に設けられ、被取付部材が取り付けられる外部取付部材150と、遮断部材130と流路空間59の内壁との間を液密にシールするシール部材120を圧着する締結部材110とを備えてなる。遮断部材130の筒状部132は、下端接続口54と横引き配管接続口56との間を遮断すると共に、下端接続口54と外部とを連通する連通路134を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配管継手に係り、特に地下タンクに取り付けられる配管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガソリンや軽油といった燃料を供給する燃料供給施設(給油所及びガス供給所を含む)では、燃料を貯蔵する地下タンクが地中に埋設されており、地下タンクの頂上部位(以下、頂部と略称する)には荷卸し用の注油管、地上に設置された計量機に燃料を供給する給油管、地下タンク内の空気を吸排する通気管などが接続される配管継手が取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この配管継手は、上下方向に延在形成された流路空間を内部に有する継手本体に、地下タンクに連通される下端接続口と、継手本体の上端に形成された上端接続口と、地中に埋設された横引き配管が取り付けられる横方向の横引き配管接続口とを有する。
【0004】
横引き配管は、コンクリート層の下方の土砂層に埋設されており、一端が配管継手の横引き配管接続口に接続され、他端が注油管、給油管、通気管に連通される。地震発生時には、地中に埋設された横引き配管が破損(切断または一部切損など)してしまうことがあり、その場合には地下タンクに貯蔵された燃料を地上に設置された計量機を用いて車両の燃料タンクに供給することができなくなる。
【特許文献1】特開2008−120414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、地震により地下タンクが損傷しておらず、燃料の漏洩が発生していない場合には、地震発生後も車両への燃料供給を行なうようにすることが望ましい。この場合、地下タンクの頂部に取り付けられた配管継手にポンプユニットを直接取付けて燃料を供給することができるが、横引き配管が破損している場合には、地下タンクから汲み上げた燃料が横引き配管から地中に流出してしまったり、あるいは地下水や泥水が地下タンクに流入してしまうため、配管継手の横引き配管接続口の遮断作業を行わなければならない。この作業は、横引き配管と継ぎ手を接続しているすべてのボルトを抜き取り、環状のシールパッキンを取り去り、その代わりに、配管継手の横引き配管接続口を閉塞する閉塞部材と横引き配管接続口との間に全面シールのための円盤状のシールパッキンを介在させて、すべてのボルトを締めることになる。そのため、配管継手に手動式ポンプを取付ける場合には、上述のシールパッキン交換作業を行わなければならず、作業が大変厄介であり、スムーズな緊急対応が行えないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決した配管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
【0008】
本発明は、内部に流路空間が形成された継手本体と、前記継手本体の下部に設けられ地下タンクに連通される下端接続口と、前記継手本体の上部に設けられた上端接続口と、前記継手本体の側方に設けられ横引き配管が連通される横引き配管接続口とを有する配管継手において、
前記継手本体の上端接続口から前記流路空間に挿入されて前記流路空間と前記横引き配管接続口との間を遮断する遮断部材と、
前記遮断部材の上端に設けられ、被取付部材が取り付けられる取付部と、
前記遮断部材と前記流路空間との間を液密にシールするシール部材と、
シール部材を圧着する締結部材と、
を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、継手本体内の流路空間と横引き配管接続口との間を遮断部材により遮断して燃料の流出、及び地下水が流入することを防止できるので、横引き配管の分離作業及び横引き配管接続口を密閉するためのシールパッキンの交換作業が不要になり、地震発生後の復旧作業を短時間でスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明による配管継手が用いられた地下タンクの埋設構造を示す図である。図1に示されるように、地下タンク10は、車両の燃料タンクに燃料供給を行なう燃料供給所(例えば、給油所)の地下に埋設されている。地下タンク10は、コンクリートにより固められた基礎20に載置された状態で土砂により周囲を覆われている。
【0012】
また、地下タンク10の頂部と地表面との間には、複数のマンホール30が設けられている。各マンホール30は、夫々上部が地表面のコンクリート層に開口している。そして、マンホール30の内部には、地下タンク10の頂部に連通される配管継手50(50A〜50C)が取り付けられている。
【0013】
配管継手50には、地上に設置された計量機40に接続される給油用配管継手50Aと、タンクローリ車により配送された燃料(ガソリンや軽油など)を荷卸しする注油用配管継手50Bと、通気管64が連通される通気管用配管継手50Cとが設けられている。
【0014】
各配管継手50A〜50Cは、各用途に応じて寸法形状が異なるもののほぼ同様な構成になっている。また、各配管継手50A〜50Cの側方には、水平方向に延在する横引き配管60A〜60Cが接続されている。横引き配管60A〜60Cは、水平方向に対して若干傾斜するように地中に埋設されており、一端が配管継手50A〜50Cの側方の横引き配管接続口に連通され、他端がエルボを介して垂直方向に延在する給油用配管62A、注油用配管62B、通気用配管62Cに連通されている。
【0015】
通気管64は、下端が通気用配管62Cに連通され、上端が地上の高所(例えば、高さ4メートル程度)の位置に延在している。また、通気管64の地上から所定高さ(例えば、1メートル程度の高さ)位置には、ベーパーリカバリバルブユニット600が設けられている。そのため、ベーパーリカバリバルブユニット600は、運転者がホース接続作業を行ないやすい高さ位置に設けられている。ベーパーリカバリバルブユニット600は、タンクローリ車のハッチに積込まれた燃料(油液)を荷卸しする際に地下タンク内で発生したベーパ(油蒸気)をタンクローリ車の当該ハッチに還流させるための分岐部材である。すなわち、運転者は、タンクローリ車に積込まれた油液を荷卸しする前にベーパーリカバリバルブユニット600のホース接続口にベーパーリカバリ用ホースの一端を接続し、他端をタンクローリ車の当該ハッチの上部開口に接続する。これにより、荷卸し時に発生したベーパーが大気中に放出されることが防止される。
【0016】
図2は給油用の配管継手50Aの内部を示す縦断面図である。尚、注油用配管継手50B及び通気管用配管継手50Cの構成については、給油用の配管継手50Aと同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
【0017】
図2に示されるように、配管継手50Aは、上下方向に延在する継手本体52と、地下タンク10の頂部に挿入された立ち上がり配管12が接続される下端接続口54と、地表面(鉄筋コンクリート層)と地下タンク10の頂部との間でほぼ水平方向に延在する横引き配管60が接続される横引き配管接続口56と、マンホール30の上方に向けて開口する上端接続口58と、鉛直方向に延在して下端接続口54と上端接続口58とを連通する流路空間59とを有する。
【0018】
配管継手50Aの継手本体52は、立ち上がり配管12により地下タンク10の頂部の上方に支持されており、且つ立ち上がり配管12の内部に形成された管路12aを介して地下タンク10と連通される。
【0019】
配管継手50Aの上端接続口58には、蓋部材80の雄ネジ82が螺入される雌ネジ58aが設けられている。この上端接続口58は、マンホール30を介して地上から目視することができる位置に設けられており、蓋部材80を外すことにより内部の流路空間59を視認することができる。
【0020】
また、継手本体52の内部には、下端接続口54と横引き配管接続口56との間を遮断するための遮断装置取付部90が設けられている。この遮断部材取付部90は、横引き配管接続口56より低い位置に設けられ、継手本体52の内壁に形成された雌ネジ92と、後述するシール部材120(図3に示す)を密着させるための段差形状とされたシート部94とからなる。
【0021】
下端接続口54の外側に設けられた下部フランジ96は、立ち上がり管路12のフランジ14に固定される。また、継手本体52の横引き配管接続口56の周辺に設けられた側部フランジ98には、横引き配管60のフランジ62が結合される。
【0022】
上端接続口58に螺入された蓋部材80は、メンテナンス時または地震発生後の緊急時などで外される。例えば、地震発生後の破損状況を確認する際、作業員は、マンホール30の状態を確認して配管継手50A〜50Cに異常がなければ、蓋部材80を上端接続口58から外すことにより、継手本体52の内部の状態を上端接続口58から目視により確認することができる。例えば、地下タンク10が破損しておらず、地下タンク10に燃料が貯蔵されている場合には、手動ポンプによる燃料供給作業が可能と判断する。その際、横引き配管60がどの程度破損しているかは、上端接続口58から見ただけでは分からないが、例えば、地表面(コンクリート層)の亀裂の有無により横引き配管60の破損状況を推測することができる。
【0023】
図3は給油用の配管継手50Aへの本発明の適応例を示す縦断面図である。図3において、横引き配管接続口56を遮断した状態で、鉛直上方への流路空間を提供した構成を示す。尚、図3においては、地下タンク10及び横引き配管60を省略して示してある。図3に示されるように、配管継手50Aから蓋部材80を外し、上端接続口58に遮断装置100Aを取付ける。この遮断装置100Aは、配管継手50の上部から流路空間59の内部に取り付けるといった簡単な取付作業を行なうことにより、流路空間59と横引き配管接続口56との間を遮断することが可能になる。
【0024】
ここで、遮断装置100Aの構成について説明する。遮断装置100Aは、遮断部材取付部90に螺入される環状の締結部材110と、締結部材110に押圧されて遮断部材取付部90のシート部に密着する環状のシール部材120と、締結部材110の上端に結合された筒状の遮断部材130と、遮断部材130の外周に嵌合し上端接続口58の雌ネジ82に螺入される環状の固定部材140と、遮断部材130の上端外周に形成された取付部としての雄ネジ136とからなる。
【0025】
遮断部材130は、下端が締結部材110の上端と溶接などにより一体に結合されており、締結部材110の雄ネジ112が配管継手50の遮断部材取付部90の雌ネジ92に螺入されると共に、配管継手50Aの流路空間59内に上方から挿入された状態で保持される。締結部材110は、遮断部材取付部90に締結されることによりシール部材120を遮断部材取付部90のシート部94に圧着する段差部114を有する。これにより、地下タンク10から吸上げられた燃料は、横引き配管接続口56に流出することが防止される。また、横引き配管60から流路空間59に流入した地下水が下端接続口54から地下タンク10に流入することも防止される。そのため、配管継手50Aでは、横引き配管60の分離作業及び横引き配管接続口56を密閉するためのシールパッキンの交換作業が不要になり、地震発生後の復旧作業を短時間でスムーズに行うことができる。
【0026】
また、遮断部材130及び締結部材110は、外径が流路空間59の内壁よりも小径に形成されており、配管継手50Aの流路空間59の内壁とは非接触に保持される。
【0027】
遮断部材130の筒状部132は、下端が下端接続口54に連通され、上端が固定部材140を貫通して配管継手50Aの上方に延在形成されている。そのため、筒状部132は、下端接続口54と横引き配管接続口56との間を遮断すると共に、下端接続口54と外部とを連通する連通路134を形成する。従って、下端接続口54から吸上げられた地下タンクの燃料は、遮断部材130の内部に形成された連通路134を介して上方へ吐出される。
【0028】
固定部材140は、上端接続口58の雌ネジ82に螺入される雄ネジ142と、上端接続口58の端面に圧着される環状のシール部材144と、工具が係合される工具係合部146と、遮断部材130の外周に密着する環状シール部材(Oリング)148とを有する。
【0029】
また、固定部材140は、工具係合部146を工具を用いて時計方向(右回り)に回動操作されることにより、雌ネジ部82が上端接続口58の雌ネジ部82に螺入され、シール部材144が上端接続口58の端部に圧着される。さらに、固定部材140の内周に設けられた環状シール部材148が遮断部材130の筒状部132の外周に密着しており、燃料の流出を防止する。また、横引き配管60から流路空間59に流入した地下水が上端接続口58からマンホール30に流入することも防止される。
【0030】
このように、遮断装置100Aを配管継手50Aの流路空間59に取り付けることにより、筒状に形成された遮断部材130が下端接続口54と横引き配管接続口56との間を遮断することができる。そのため、例えば、横引き配管接続口56に接続された横引き配管60が破損している場合でも、横引き配管接続口56から横引き配管60を外して横引き配管接続口56に蓋部材で閉塞するといった面倒な作業を行なわずに済み、復旧作業を短時間で行なうことができる。
【0031】
図4は取付部136にフランジ150を介して手動式ポンプを取り付けた状態を示す図である。図4に示されるように、遮断部材130の上端に設けられた外部取付部材150には、手動式ポンプ(被取付部材)200が取り付けられる。この手動式ポンプ200は、外部取付部材150の上端に起立した状態で固定され、地表面より上方に突出するように取り付けられる。
【0032】
この手動式ポンプ200は、操作レバー210を手動操作で上下方向に往復動することにより、地下タンク10に貯蔵された燃料を汲み上げて給油ホース220、給油ノズル230へ燃料を供給することができる。また、手動式ポンプ200の上端には、機械式カウンタ240が設けられており、当該車両への燃料供給量を確認することができる。
【0033】
さらに、また、手動式ポンプ200の下部より下方に延在する吸込み管250(図4中、破線で示す)は、配管継手50Aの内部に取り付けられた遮断部材130の連通路134に挿通されており、その先端部は地下タンク10の頂部に設けられた配管12の下端に設けられたストレーナ260の手前(若干ストレーナより上方位置)まで挿入される。これにより、手動式ポンプ200を使用しても、タンク内部のごみなどを吸い上げることが無い。ここで、配管継手50Aの上部に装着するポンプは、必ずしも、手動式のものでなくてもよく、防爆式の電動ポンプ(バッテリなどによる)でも良い。
【0034】
図5は注油用の配管継手50Bの横引き配管接続口56を遮断した状態を示す縦断面図である。尚、図5においては、地下タンク10及び横引き配管60を省略して示してある。図5に示されるように、配管継手50Bに挿入された遮断装置100Bは、図3に示す上記給油用のものと同様な構成になっており、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】
遮断装置100Bは、遮断部材130の上端に注油ホース接続金具(外部取付部材)300が取り付けられている。注油ホース接続金具300は、下端開口に遮断部材130の上端ネジ部136が螺入される雌ネジ部310が設けられ、上端外周には荷卸しホース(被取付部材)の接続部材が結合する凹部320が設けられている。また、注油ホース接続金具300は、内部を上下方向(鉛直方向)に貫通する燃料供給通路330が形成されている。
【0036】
図6は注油ホース接続金具300に荷卸しホース400を接続する様子を示す図である。図6に示されるように、タンクローリ車に積載された燃料を地下タンク10に荷卸しする場合、荷卸しホース400の一端をタンクローリ車の吐出口に接続し、他端の接続部材410を注油ホース接続金具300に嵌合させる。さらに、操作レバー420を回動操作することで接続部材410が注油ホース接続金具300の凹部320に係止され、荷卸しホース400の接続作業が完了する。従って、荷卸しホース400を介して地下タンク10に荷卸しする場合は、注油配管62Bが破損している可能性が高いので、継手配管52Bに遮断装置100B(図5参照)を取付けて下端接続口54と横引き配管接続口56との間を遮断した後、遮断装置100Bの遮断部材130に注油ホース接続金具300を取付ける。そして、注油ホース接続金具300に荷卸しホース400の接続部材410を結合する。これで、地震により注油配管62Bが破損している場合でもタンクローリ車に積載された燃料を地下タンク10に荷卸しすることが可能になる。
【0037】
尚、図6においては、荷卸しホース400を直接、注油ホース接続金具300に接続する場合を示しているが、例えば、注油ホース接続金具300に所定の傾斜角度を有する取付用アダプタを取付け、この取付用アダプタに荷卸しホース400を結合させることにより、注油ホース接続金具300に接続する方法もある。
【0038】
図7は通気用の配管継手50Cの横引き配管接続口56を遮断した状態を示す縦断面図である。尚、図7においては、地下タンク10及び横引き配管60を省略して示してある。図7に示されるように、配管継手50Cは、図3に示す上記給油用のものより内部流路が絞られた形状となっているが、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0039】
遮断装置100Cは、遮断部材130Cと締結部材110Cとが別体に形成されている。遮断部材130Cは、下端外周に形成された雄ネジ138を締結部材110Cの雌ネジに螺入させることにより、締結部材110Cと結合される。また、締結部材110Cは、継手本体52の内壁に形成された雌ネジ92に螺入される下端側の雄ネジ112Cと、シール部材120を圧着するための鍔部114Cと、上方から遮断部材130Cの雄ネジ138が螺入される雌ネジ116Cとを有する。
【0040】
遮断部材130Cは、筒状のパイプ材を切削加工したものであり、上端外周に取付部としての雄ネジ136が設けられ、下端外周に雄ネジ138が設けられている。また、遮断部材130Cの軸方向の全長は、例えば、マンホール30の深さ及び配管継手50Cの流路空間59の深さに応じて任意の長さに加工される。
【0041】
遮断部材130Cの上端の雄ネジ136には、ベーパーリカバリ用ホースユニット500のホース金具510が螺合されている。このホース接続金具510には、耐油性を有するホース530が連通するように取り付けられている。ベーパーリカバリ用ホースユニット500の他端側は、通気管64の途中に連通するように設けられる。また、ホース接続金具510の内部には、貫通流路520が上下方向に貫通している。貫通流路520は、下端側が遮断部材130の連通路134に連通され、上端側がホース530に連通されている。そのため、地下タンク10で発生したベーパーは、遮断部材130の連通路134及びホース接続金具510の貫通流路520を通過してホース530へ排出される。
【0042】
図8は、通気管途中に設けられたベーパーリカバリバルブユニット600とベーパーリカバリ用ホースユニット500の取付状態を示す図である。尚、図8では、地震発生後の緊急対応として通気管64をベーパーリカバリに利用する場合の構成例を示す。
【0043】
ここで、ベーパーリカバリバルブユニット600には、ホース接続口610部分を開閉する第一の弁620と、通気管64内の通路66を開閉する第二の弁630が設けられている。
【0044】
通常の使用形態は、荷卸時に、ホース接続口610にベーパーリカバリ用ホースユニット500の他端側のホース接続金具540を接続した際、ホース接続金具540の内部の軸線上に設けた突起542が第一の弁620の中心部に連結されたロッド622を図中左方向に押すことにより、第一の弁620は開弁(揺動角20度程度で全開)される。また、第一の弁620の回転軸624に支持された軸受部626より第二の弁630側に突出するように設けられた操作部材650を介して、第二の弁630を閉塞するように押圧している。
【0045】
しかし、本実施例では、地震発生後の緊急対応時にベーパーリカバリバルブユニット600を利用するものに関するものであるため、ホース接続口610に接続されるベーパーリカバリ用ホースユニット500のホース接続金具540の突起542の長さ(軸方向の突出量)を、通常の荷卸用に比べ半分の長さに設定している。したがって、この突起542の長さ(突出量)を通常の半分としたホース接続金具540を接続した場合、第一の弁620の弁開度を通常時に比べ半分(半開状態)となるので、第一の弁620が操作部材650を介して第二の弁630を押すことがなく、第二の弁630は開弁されたままである。これにより、通気管64の通気用横引き配管60Cが地下で破損した場合であっても、通気管64を利用して、地下タンク10で発生したベーパーを放出することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上記実施例では、遮断部材が筒状に形成された構成を例に挙げたが、これに限らず、遮断部材としては、少なくとも横引き配管接続口56を遮断することができれば良いので、例えば、円筒状の一部の円弧状部分で横引き配管接続口56を閉塞できるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による配管継手の一実施例が用いられた地下タンクの埋設構造を示す図である。
【図2】配管継手50の内部を示す縦断面図である。
【図3】給油用の配管継手50Aの横引き配管接続口56を遮断した状態を示す縦断面図である。
【図4】外部取付部材150に手動式ポンプを取り付けた状態を示す図である。
【図5】注油用の配管継手50Bの横引き配管接続口56を遮断した状態を示す縦断面図である。
【図6】注油ホース接続金具300に荷卸しホース400を接続する様子を示す図である。
【図7】通気用の配管継手50Cの横引き配管接続口56を遮断した状態を示す縦断面図である。
【図8】通気管途中に設けられたベーパーリカバリバルブユニット600とベーパーリカバリ用ホースユニット500の取付状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 地下タンク
30 マンホール
40 計量機
50 配管継手
50A 給油用配管継手
50B 注油用配管継手
50C 通気管用配管継手
52 継手本体
54 下端接続口
56 横引き配管接続口
58 上端接続口
59 流路空間
60A〜60C 横引き配管
62A 給油用配管
62B 注油用配管
62C 通気用配管
64 通気管
80 蓋部材
90 遮断部材取付部
94 シート部
100A〜100C 遮断装置
110、110C 締結部材
120、144、148 シール部材
130、130C 遮断部材
132 筒状部
134 連通路
140 固定部材
150 外部取付部材
200 手動式ポンプ
210 操作レバー
220 給油ホース
230 給油ノズル
300 注油ホース接続金具
400 荷卸しホース
410 接続部材
500 ベーパーリカバリ用ホースユニット
510、540 ホース接続金具
600 ベーパーリカバリバルブユニット
620 第一の弁
630 第二の弁
650 操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流路空間が形成された継手本体と、前記継手本体の下部に設けられ地下タンクに連通される下端接続口と、前記継手本体の上部に設けられた上端接続口と、前記継手本体の側方に設けられ横引き配管が連通される横引き配管接続口とを有する配管継手において、
前記継手本体の上端接続口から前記流路空間に挿入されて前記流路空間と前記横引き配管接続口との間を遮断する遮断部材と、
前記遮断部材の上端に設けられ、被取付部材が取り付けられる取付部と、
前記遮断部材と前記流路空間との間を液密にシールするシール部材と、
前記シール部材を圧着する締結部材と、
を備えたことを特徴とする配管継手。
【請求項2】
前記遮断部材を円筒で構成とすると共に、前記遮断部材と前記流路空間との間を液密にシールするシール部材を圧着する締結部材とを円筒の一端に一体に形成し、上端接続口には、環状の固定部材を設け、前記遮断部材が貫通する前記固定部材の内周部分に、環状シール部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の配管継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−127438(P2010−127438A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305353(P2008−305353)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000110099)トキコテクノ株式会社 (264)
【Fターム(参考)】