説明

配管軸方向を拘束する配管の支持装置

【課題】配管同士を接続するカップリングを利用し、配管に溶接を施すことなく、配管軸方向の振動又は移動を拘束すること。
【解決手段】配管1の軸方向の移動を拘束する配管支持装置において、配管1と配管1とを接続するカップリング8と、サポート構造体である架構7と、カップリング8を架構7に対して連係させるための連係部材と、を有し、連係部材はカップリングラグ2からなり、カップリング8には軸方向に形成する凹部を設け、カップリングラグ2を凹部に嵌合し且つカップリングラグ2を架構7に取り付けることによって、配管の軸方向移動を拘束する。連係部材は、カップリングラグ及び/又はカップリング拘束部材、または、Uボルト若しくはUバンド、を用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所等で用いる配管の支持装置に係わり、特に、配管軸方向を拘束し溶接を不要とする配管の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所等の配管のサポート設計において、配管の軸方向の荷重を支持するためにラグを用いており、現状のラグ構造は、配管とラグを溶接することによって配管の動きを拘束している。しかし、配管軸方向における上記のサポート方法では配管とラグの溶接が必須であるため、溶接検査の対象となり、ラグ溶接を必要としない配管軸直角方向のサポート設置と比べて、作業量と費用が大きくなる。
【0003】
したがって、溶接の使用を避けたい場合には、配管軸方向に対するサポートの他の対策が求められるが効果的なサポート設置が困難であるため、サポート物量は増大し、結果として作業量と費用の増加につながる虞がある。
【0004】
ここで、ラグと配管を溶接しない配管拘束の従来技術として、特許文献1には、配管を接続するカップリングに設けた突起体を、支持構造物である架構に取り付けられたUバンドの係合孔に嵌め込むことにより、配管を拘束する配管拘束装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実願昭57−190983号(実開昭59−94676号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の特許文献1に開示されたような従来技術は、配管支持装置であるUバンドと配管を接続するカップリングの突起体との組合せであり、係合孔を設けたUバンドに突起体を嵌め込む形状とするため、Uバンド以外の例えばUボルト等の配管支持装置には適用できない。
【0007】
また、上記特許文献1の技術は、配管支持装置であるUバンドと配管を接続するカップリングにそれぞれ係合孔と突起体が形成されるので、Uバンドとカップリングの両方を加工する必要がある。これによって、カップリングに加えてUバンドも加工の必要性が生じるため、加工性や強度の面で、非加工の同型の通常カップリングやUバンドよりも設計が困難となるという課題が生じる。
【0008】
本発明は、配管同士を接続するカップリングを利用し、配管に溶接を施すことなく、配管軸方向の振動又は移動を拘束することのできる配管支持装置の具体的な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
配管の軸方向の移動を拘束する配管支持装置において、配管と配管とを接続するカップリングと、サポート構造体である架構と、前記カップリングを前記架構に対して連係させるための連係部材と、を有し、前記連係部材は、カップリングラグ及び/又はカップリング拘束部材、または、Uボルト若しくはUバンド、からなり、前記カップリング及び/又は前記連係部材の加工変形による両者の機械的接続、並びに前記連係部材の前記架構に対する取付接続によって、前記カップリングを介した配管の軸方向移動を拘束する構成とする。
【0010】
また、前記配管支持装置において、前記連係部材は前記カップリングラグからなり、前記カップリングには前記軸方向に形成する凹部を設け、前記カップリングラグを前記凹部に嵌合し且つ前記カップリングラグを前記架構に取り付けることによって、前記配管の軸方向移動を拘束する構成とする。さらに、前記連係部材は前記カップリングラグと前記カップリング拘束部材からなり、前記カップリングには前記軸方向に形成する凹部を設け、前記カップリングラグを前記凹部の軸方向の一端に当接するように挿入し、前記架構に取り付けられたカップリング拘束部材を前記凹部の軸方向の他端に当接するように挿入し、前記カップリングラグと前記カップリング拘束部材とを溶接して固定し、前記カップリングラグと前記カップリング拘束部材とを前記凹部の軸方向の一端と他端に当接することで前記配管の軸方向移動を拘束する構成とする。
【0011】
また、前記配管支持装置において、前記連係部材は前記架構に取り付けられたカップリング拘束部材からなり、前記カップリングは加工変形を加えない構造であり、前記カップリング拘束部材は、前記カップリングの軸方向の両側端面を挟み込むサンドイッチ形状であり、前記カップリング拘束部材の前記サンドイッチ形状で前記カップリングを機械的接続することで前記配管の軸方向移動を拘束する構成とする。さらに、前記連係部材は前記Uボルト若しくはUバンドからなり、前記カップリングには凹部を設け、前記Uボルト若しくはUバンドを前記凹部に嵌合し且つ前記Uボルト若しくはUバンドを用いて前記カップリングを前記架構に取り付けることで前記配管の軸方向移動を拘束する構成とする。さらに、前記連係部材は前記Uボルト若しくはUバンドからなり、前記カップリングは加工変形を加えない構造であり、前記カップリングの軸方向の両側端面に前記Uボルト若しくはUバンドを当接して前記カップリングを挟み込むことで前記機械的接続し、且つ前記Uボルト若しくはUバンドを用いて前記カップリングを前記架構に取り付けることで前記配管の軸方向移動を拘束する構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、配管同士を接続するカップリングを利用し、このカップリングとカップリングラグ又はカップリング拘束部材とを関連付けることで、配管に溶接を施すことなく、配管に対して配管軸方向の振動又は移動を拘束することができ、これによって、短い工事期間で配管支持装置を設置することができる。
【0013】
また、配管軸方向で拘束したい配管に対してカップリングを設けることで、配管の移動拘束に効果的な位置において溶接なしで配管支持装置を設置できるので、時間、作業量、物量において効率的な配管支持ができる。
【0014】
また、従来の配管支持装置と異なる点は、カップリング、若しくはカップリングラグ又はカップリング拘束部材を加工するだけで済ませることができ、配管支持装置全体の強度評価において、容易に従来の配管支持装置の設計、評価に取り入れることができ、さらに、配管との溶接部がないため、溶接部の評価を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとカップリングラグとを用いた配管軸方向の拘束構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとカップリングラグとカップリング拘束部材とを用いた配管軸方向の他の拘束構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとカップリング拘束部材とを用いた配管軸方向の別の拘束構成例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとUボルトとを用いた配管軸方向の拘束構成例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとUボルトとを用いた配管軸方向の他の拘束構成例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとサポート構造体である架構を用いた配管軸方向の拘束構成例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る配管支持装置が拘束したい軸方向のカップリング部位に取り付けられた状態を示す図である。
【図8】一般的な配管支持装置が拘束したい軸方向部位以外の箇所に取り付けられた状態を示す図である。
【図9】従来技術に関する配管支持装置における配管ラグと配管拘束部材を用いた配管軸方向の拘束構成例を示す図である。
【図10】従来技術に関する配管支持装置におけるUボルトを用いた配管の軸直角方向の拘束構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る配管支持装置について、図1〜図10を参照しながら以下詳細に説明する。図面において、1は配管、2はカップリングラグ、3はカップリング拘束部材、4は溶接、5は溶接、6は溶接、7は架構(サポート構造体)、8はカップリング、9は配管ラグ、10はUボルト、11は架構(サポート構造体)、12は架構(サポート構造体)、13は溶接、14は配管拘束部材、をそれぞれ表す。
【0017】
まず、本発明の実施形態に係る配管支持装置の前提となる一般的な配管支持装置について、図8、図9及び図10を用いて説明し、当該説明に併せて、本実施形態の配管支持装置が果たすべき解決課題についても説明を加えることとする。
【0018】
図10では、Uボルト10を配管1の周方向に巻回し、サポート構造体としての架構11にボルト止めをした配管1の拘束構成例を示している。この構造例では、配管1とUボルト10又は架構11とは溶接等で接続された状態ではないため、配管の軸方向(以下、配管軸方向と称する)に対してはその動きを十分には拘束できず、配管の軸直角方向(配管軸直角方向と称する)の動きのみを拘束する形状となっている。
【0019】
また、図9においては、配管ラグ9が配管1に対して溶接4で固着され、さらに架構7に取り付けられた配管拘束の板状部材14が溶接5で配管1に固着されており、さらに配管拘束の板状部材14と配管ラグ9が溶接13で固着されている。なお、図9に示す四角形状の配管拘束板状部材14の分割された2つの部材同士を溶接6で固着している。
【0020】
換言すると、図9に示す一般的な配管支持装置は、配管1に対して、配管軸直角方向に対して水平な板状の配管拘束部材14と、配管軸方向に対して4つの水平な板状の配管ラグ9とを溶接4,5,6,13によって溶接し、配管1を拘束する構造である。すなわち、配管拘束部材14は、配管1をくり抜いた板状体であり、2つに割った状態から配管1を挟んで溶接6によって板状体14同士を接続する。配管拘束部材14を溶接5によって配管1と接続し配管を拘束する。配管ラグ9は、配管1の軸方向に沿った板状体であり、溶接4によって配管1と接続し配管を拘束する。そして、配管拘束部材14と配管ラグ9は、溶接13によって接続する。
【0021】
配管拘束部材14と配管ラグ9は、上述した溶接によりX,Y,Zの3方向に対して拘束の効果があるが、配管拘束部材14は主に配管軸直角方向、配管ラグ9は主に配管軸方向の拘束が目的であり、配管荷重の大小によっては配管拘束部材14又は配管ラグ9の一方のみで3方向を拘束する場合もある。なお、図9に示す配管拘束の構造例の場合、配管軸直角方向は、溶接5が非溶接の状態でも拘束されるので、溶接5は配管軸方向を拘束することが目的である。
【0022】
また、図8においては、拘束したい配管軸方向の振動部位に配管支持装置を取り付けられない制約が存在する場合において、当該振動部位から離れた箇所に配管支持装置を取り付ける構成例を示したものである。図8の例では、当該振動部位とは略直角をなす配管方向の配管に対して、2箇所において配管軸直角方向の拘束構成例(例えば図10に示す構成例)を適用するものである。
【0023】
配管の軸直角方向の移動や振動を拘束する場合には、図10に示すように配管との溶接を必要としない拘束構成例があるので、配管軸方向の振動又は移動を拘束する構成例においても溶接を必要としないようにするためには、上述した配管支持装置の取付制約以外にも、図8の構成例が従来から提案されているのである。しかしながら、図8に示すような拘束構成例では、拘束したい振動又は移動部位とは離れた箇所に設置するために拘束の効果や効率が十分ではなく、配管支持装置の設置箇所が2箇所となってしまい、物量や作業量が増大する。
【0024】
そこで、本発明の実施形態に係る配管支持装置においては、配管軸方向の振動又は移動を拘束したい配管に対して、配管同士を接続するカップリングを設け、この拘束したい配管に設けたカップリングを利用して、カップリングラグ、架構に取り付けられたカップリング拘束部材、又はUボルトを当該カップリングに関連付けて構成しており、この配管支持装置が、図7に示すように、拘束したい振動又は移動部位の1箇所に設置されるのである。このようにすれば、配管軸方向の振動又は移動の拘束にとって有効な位置(部位、箇所)に溶接なしで配管支持装置が設置できるので、時間、作業量、物量において効率的な配管支持が可能となる。
【0025】
原子力発電所などで使用される配管は、施設に搬入された長尺の配管を適宜の長さに分割して分割した配管同士をカップリグで接続して使用することが一般的な配管施行であり、この際、現場において振動拘束したい配管の位置で適宜にカップリング接続するように施工することには、特別な配慮を要しないことである。すなわち、種々の現場条件、必要性に応じて適宜にカップリング接続すればよいことである。また、重要プラントで使用される配管は、配管軸直角方向の振動拘束に際して溶接をせずに済ませる構成例(例.Uボルト)を適用できるのに対応して、配管軸方向の振動拘束に際しても溶接をせずに済ませる構成例を適用することが求められているのである。配管に溶接を施行すると配管の強度、属性に悪影響を及ぼしていないことを、溶接検査により確認する必要があるため、配管に溶接を施すことを避けることが求められる。
【0026】
以上説明したように、本発明の実施形態は、配管同士を接続するカップリングを利用することを前提として、配管に溶接を施すことなく、配管軸方向の振動又は移動を拘束することのできる配管支持装置の具体的な構成を提供することを目的とするものである。
【0027】
次に、本発明の実施形態に係る配管支持装置における拘束構成例について、図1を参照しながら以下説明する。配管1には、振動又は移動を拘束したい配管の部位(位置)において配管同士を接続するカップリング8を設ける。カップリング8にはカップリングラグ2が嵌合する凹部を形成する。カップリングラグ2は、配管1の軸方向に平行な方向の4つの板状体から形成され、カップリング8の凹部と反対の外径側で架構7に取り付けられている。ここで、カップリングラグ2の個数は任意でよく、その取付対象物も架構7に限らず、パイプラック、梁などの固定構造物であるサポート構造体でよい。
【0028】
図1に示すように、カップリング8の凹部にカップリングラグ2をはめ込むことによって、配管軸方向の配管の移動を拘束することができる。図1に示す拘束構成例では、配管軸直角方向の移動も同様に拘束することができる。ここで、カップリングラグ2と架構7とは取付金具で取り付けてもよく溶接で固着してもよい。なお、カップリング8は配管1に溶接で固定しているが、この固定は原子力発電所等のプラントにおける配管敷設で通常為される固定手法である。
【0029】
図1から分かるように、配管の移動拘束に当たって配管に溶接を施すことはなく、さらにカップリング8にも溶接の必要性がなく、溶接に伴う配管の強度、属性に悪影響を及ぼすことがない。図1に示す拘束構成例では、プラントにおける配管敷設で通常使用されるカップリング8を利用するものであることに加えて、この通常使用のカップリング8に凹部を形成するのみで配管軸方向の移動拘束を行わせることができる。ここで、カップリング8は、接続する配管1よりも高強度である肉厚、材質のものを採用し、凹部加工後のカップリングが配管以上の強度を維持した状態でカップリングラグ2を嵌合し拘束する。なお、カップリングラグや配管ラグにおけるラグという用語はカップリングや配管に直接取り付けられるものであるとの意であり、カップリング拘束部材や配管拘束部材における拘束部材という用語はカップリングや配管を拘束はするが架構に取り付けられたものであることを表したものであってラグとの差異を明らかにした用語である。
【0030】
次に、本実施形態に係る配管支持装置における配管軸方向の他の拘束構成例について、図2を参照しながら説明する。図1に示す拘束構成例と対比すると、カップリング8に凹部を形成することは同じであり、この凹部に対してカップリングラグ2と架構7に取り付けられた板状のカップリング拘束部材2(図9に示す配管拘束部材14の構造を参照)とによって配管1の配管軸方向移動を拘束することが異なる点である。
【0031】
図2に示すように、カップリング8に加工された凹部の一方の側面にカップリングラグ2の一方の側面を当接させ、またカップリング拘束部材3がカップリングラグ2の他方の側面に当接しており、さらに、カップリングラグ2とカップリング拘束部材3とが溶接13により固着されている。このように、図2に示す配管支持装置における配管軸方向の他の拘束構成例においても、カップリングを利用しつつ、配管に溶接を施すことなく、さらにカップリングにも溶接せずに配管軸方向の移動拘束をすることができる。この際、カップリングラグ2の外にカップリング拘束部材3を用いるが、これは既設の架構7の設置位置や強度を変更せずにそのまま利用でき、カップリング拘束部材3を既設の架構7に適用することでカップリングラグ2と相俟って配管の移動拘束を果たすことができる。なお、図1の拘束構成例に比べて、配管軸直角方向の平行面に板形状のカップリング拘束部材3を設けることで、配管の振動又は移動に対する耐強度を向上させることができる。
【0032】
次に、本実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとカップリン拘束部材とを用いた配管軸方向の別の拘束構成例について、図3を用いて説明する。カップリング8は配管1を接続する通常のカップリングを何等加工することなくそのままの形状で使用し、カップリング拘束部材9をカップリング8の両側面を挟み込むような形状とする構成例であり、これにより配管軸方向の移動拘束をすることができる。さらに説明すると、カップリング拘束部材9は図3の左図の断面構造から分かるように、カップリング8の上下左右を取り囲む四角形形状であり、単に配管軸方向の移動を拘束するだけではなく、配管直角軸方向の移動をも拘束可能である。
【0033】
図3に示す拘束構成例においても、図1と図2に示す拘束構成例と同様に、カップリング拘束部材と配管との接続において、溶接が不要となるため、溶接により配管と接続する通常の配管支持装置よりも短い工事期間で配管支持装置を設置することができる。さらに、カップリング拘束部材と配管とを溶接しないで、配管軸方向を拘束する必要がある場合には、通常は、図8に示すように、当該配管の部位から離れた位置で、配管軸直角方向を拘束するように配管支持装置を設置するため、配管支持装置の設置数が多くなり、作業効率が悪く、物量と作業量が増大するの対して、本実施形態の図3に示す拘束構成例では、配管軸方向を拘束したい配管の近傍にカップリングを設けることで、上記の拘束に有効な位置に溶接なしで配管支持装置を設置できるので、時間、作業量、物量において効率的な配管支持ができる。
【0034】
次に、本実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとUボルトとを用いた配管軸方向の拘束構成例について、図4を用いて説明する。図4の拘束構成例では、カップリング8の軸方向の略中間部に凹部を形成し、この凹部にUボルト10を挿通させてサポート構造体である架構7に取り付けて固定する構造である。これによって、配管に溶接を施すことなく配管をその軸方向の移動拘束させることができる。
【0035】
次に、本実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとUボルトとを用いた配管軸方向の他の拘束構成例について図5を用いて説明する。図5の拘束構成例は、カップリング8に何等加工を施すことなく(図4に示すような凹部を設けない)、カップリング8の配管軸方向の両側面にUボルト10を当接させて架構11に取り付けて(Uボルト10でカップリング8の両側端面を挟み込んで)固定する構造である。また、本実施形態に係る配管支持装置におけるカップリングとサポート構造体である架構を用いた配管軸方向の拘束構成例について図6を用いて説明する。図6の拘束構成例は、カップリング8に何等加工を施すことなく(図4に示すような凹部を設けない)、カップリング8の配管軸方向の両側面に板形状の架構12を当接させて架構12に取り付けて固定する構造である。
【0036】
図5と図6に示す拘束構成例は、カップリングに形状変更を実施しない簡易な例を示すものであり、配管1に対してカップリング8に十分な厚さをもたせ、カップリング8を図5のUボルト10及び架構11で、図6の架構12で挟み込むことにより、配管軸方向を拘束する。ここで、カップリング8を挟み込むUボルト10や架構12は、カップリング拘束部材であってもよい。すなわち、図6では挟み込み部材が架構12となっているが、架構に取り付けられたカップリング拘束部材であってもよい。図5と図6の拘束構成例は、カップリング8に十分な厚さを持たせればよく、それ以外の構成要素の形状変更が不要なため、最も容易な構造である。なお、図5と図6においては、架構11,12を図示しているが、架構に限らず、パイプラック、梁などのサポート構造体であればよい。さらに、棒状形状のUボルト10は、帯状形状をもつUバンドでもよい(図4でも同様)。
【0037】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る配管支持装置における拘束構成例は(図1〜図7とそれらの説明参照)、図8〜図10に示す従来技術と異なる点をみると、カップリングを利用することと、カップリング、カップリングラグ又はカップリング拘束部材を加工することだけの簡易構成であり、従来の配管への溶接を不要とするものであって、配管支持装置全体としての基本的な設計を変更する必要性はないのである。したがって、配管支持装置全体の強度評価において、容易に従来の配管支持装置の設計、評価に取り入れて利用することが可能である。具体的には、加工後のカップリングの強度が配管の強度を下回らないような設計と、加工後の形状でのカップリングラグ又はカップリング拘束部材の強度評価を実施すれば足りるのである。さらに云えば、配管とラグ又は拘束部材との溶接部がないため、溶接部の評価が不要となる。換言すると、本実施形態における配管軸方向の拘束構成例は、カップリングとカップリングラグ又はカップリング拘束部材とのいずれかには加工を加えるが、配管支持装置の全体構成には変更を加える必要はないため、あらゆる配管支持装置に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 配管
2 カップリングラグ
3 カップリング拘束部材
4 溶接
5 溶接
6 溶接
7 架構(サポート構造体)
8 カップリング
9 配管ラグ
10 Uボルト
11 架構(サポート構造体)
12 架構(サポート構造体)
13 溶接
14 配管拘束部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の軸方向の移動を拘束する配管支持装置において、
配管と配管とを接続するカップリングと、サポート構造体である架構と、前記カップリングを前記架構に対して連係させるための連係部材と、を有し、
前記連係部材は、カップリングラグ及び/又はカップリング拘束部材、または、Uボルト若しくはUバンド、からなり、
前記カップリング又は前記連係部材の加工変形による両者の機械的接続、並びに前記連係部材の前記架構に対する取付接続によって、前記カップリングを介した配管の軸方向移動を拘束する
ことを特徴とする配管支持装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記連係部材は前記カップリングラグからなり、前記カップリングには前記軸方向に形成する凹部を設け、
前記カップリングラグを前記凹部に嵌合し且つ前記カップリングラグを前記架構に取り付けることによって、前記配管の軸方向移動を拘束する
ことを特徴とする配管支持装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記連係部材は前記カップリングラグと前記カップリング拘束部材からなり、前記カップリングには前記軸方向に形成する凹部を設け、
前記カップリングラグを前記凹部の軸方向の一端に当接するように挿入し、前記架構に取り付けられたカップリング拘束部材を前記凹部の軸方向の他端に当接するように挿入し、前記カップリングラグと前記カップリング拘束部材とを溶接して固定し、
前記カップリングラグと前記カップリング拘束部材とを前記凹部の軸方向の一端と他端に当接することで前記配管の軸方向移動を拘束する
ことを特徴とする配管支持装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記連係部材は前記架構に取り付けられたカップリング拘束部材からなり、前記カップリングは加工変形を加えない構造であり、
前記カップリング拘束部材は、前記カップリングの軸方向の両側端面を挟み込むサンドイッチ形状であり、
前記カップリング拘束部材の前記サンドイッチ形状で前記カップリングを機械的接続することで前記配管の軸方向移動を拘束する
ことを特徴とする配管支持装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記連係部材は前記Uボルト若しくはUバンドからなり、前記カップリングには凹部を設け、
前記Uボルト若しくはUバンドを前記凹部に嵌合し且つ前記Uボルト若しくはUバンドを用いて前記カップリングを前記架構に取り付けることで前記配管の軸方向移動を拘束する
ことを特徴とする配管支持装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記連係部材は前記Uボルト若しくはUバンドからなり、前記カップリングは加工変形を加えない構造であり、
前記カップリングの軸方向の両側端面に前記Uボルト若しくはUバンドを当接して前記カップリングを挟み込むことで前記機械的接続し、且つ前記Uボルト若しくはUバンドを用いて前記カップリングを前記架構に取り付けることで前記配管の軸方向移動を拘束する
ことを特徴とする配管支持装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記連係部材は前記架構に取り付けられたカップリング拘束部材又は前記架構自身からなり、前記カップリングは加工変形を加えない構造であり、
前記カップリングの軸方向の両側端面に前記カップリング拘束部材又は前記架構自身を当接して前記カップリングを挟み込むことで前記機械的接続することで前記配管の軸方向移動を拘束する
ことを特徴とする配管支持装置。

【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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