説明

配線パターン形成方法、及び配線基板

【課題】インクジェット法により必要最小限の絶縁性の配線を形成し、絶縁性配線の断面形状を凹溝状に形成することで、高精度で正確な微細な線状の導電性配線を形成することができる配線パターン形成方法等を提供する。
【解決手段】インクジェット法により所定の物性値を満たす絶縁性の液滴を吐出し、断面凹溝状の絶縁性の配線を形成する絶縁配線工程と、絶縁配線工程で形成された断面凹溝状の溝内に導電性の配線を形成する導電配線工程とを含む。導電配線工程の前に断面凹溝状の溝内に無電解めっきの触媒となる液敵を吐出して触媒部を形成する触媒形成工程を含んでもよい。その場合、導電配線工程では無電解めっきが行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴を吐出して配線を形成する配線パターン形成方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、Siインタポーザ(シリコンインタポーザ)や導電性基板材料の表面に配線パターンを形成する場合、絶縁性を確保するための膜を形成し、その後導電性のパターンが形成される。通常、基板の全面に絶縁膜が形成され、次にリソグラフィを用いためっき法や導電性ペーストをインクジェットにより塗布する塗布法により、配線パターンが作られる。
【0003】
この様子をSi貫通電極の形成工程を例に図8を用いて説明する。図8において、シリコン基板に開けた穴に銅を埋め込み(図8(A))、背面側から銅が露出するまでシリコン基板を切削する(図8(B))。露出した銅に対して配線層を作るが、配線層とシリコン基板との接続を排除するために、間に絶縁層が必要となる。銅を埋め込んだシリコン基板を加熱処理して酸化することができないため、ポリイミドのフィルムを塗布することで絶縁層を形成する(図8(C))。そして、絶縁層の表面に配線パターンを形成すると共に、貫通電極との接触部にリソグラフィにより穴を開けて接続する(図8(D))。
【0004】
また、インクジェットによる液滴吐出法を用いて、無電解めっきの触媒として機能する組成物を配線パターンに応じて配置する技術が開示されている(特許文献1、2を参照)。
【0005】
特許文献1に示す技術は、基板上に所定パターンの導電膜を形成する方法であり、基板上に、導電膜のパターンとほぼ等しいパターンとなるように、液滴吐出法により金属粒子を含有する金属膜を形成し、その後、無電解メッキを少なくとも1回行うことにより、金属膜の表面を覆うようにメッキ膜を形成して、導電膜を得るものである。また、金属膜の形成に先立って絶縁性を有する下地層を導電膜とほぼ等しいパターンで形成することが開示されている。
【0006】
特許文献2に示す技術は、液滴吐出法による配線パターンの形成方法であって、無電解めっきの触媒としての機能を発現する組成物を含有するインクを液滴吐出法により基板上に配置することによりインクパターンを形成する工程と、前記基板上のインクが配置されていない部分にめっき析出阻害組成物を配置する工程と、前記インクパターンと前記めっき析出阻害組成物が配置された基板に無電解めっき処理を行うことにより前記インクパターン上にめっき金属を析出させる工程とを含むことを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−128228号公報
【特許文献2】特開2009−65013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図8に示す技術では、本来配線パターンの箇所にのみ絶縁膜を形成すれば機能を実現することができ、基板の全面に絶縁膜を形成する必要はない。したがって、無駄な絶縁膜を形成し、その膜形成のプロセスに時間と手間が掛かり、効率的ではないという課題を有する。
【0009】
特許文献1に示す技術は、金属膜の形成に先立って絶縁性を有する下地層を導電膜とほぼ等しいパターンで形成するものであるが、下地層と導電膜とをほぼ等しいパターンで形成した場合には、導電膜が下地層をはみ出してオーバーハングしてしまう可能性がある。導電膜が下地層からはみ出さないようにするためには、下地層の着弾後の液滴の広がり径を大きくし、広い面積で下地層を形成する必要があるため、微細なパターンを形成する場合に非常に困難性を有してしまうという課題を有する。
【0010】
特許文献2に示す技術は、無電解めっきの触媒としての機能を発現する組成物を含有するインクを液滴吐出法により基板上に配置できるが、意図しない部分へのめっき析出を防止するために、めっき析出阻害組成物を配置する工程が必要になるため、作業に手間が掛かってしまうという課題を有する。
【0011】
そこで、本発明はインクジェット法により必要最小限の絶縁性の配線を形成し、絶縁性配線の断面形状を凹溝状に形成することで、高精度で正確な微細な線状の導電性配線を形成することができる配線パターン形成方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)本願に開示する配線パターン形成方法は、インクジェット法により配線パターンを形成する配線パターン形成方法において、前記インクジェット法により絶縁性の液滴を吐出し、断面凹溝状の絶縁性の配線を形成する絶縁配線工程と、前記絶縁配線工程で形成された断面凹溝状の溝内に導電性の配線を形成する導電配線工程とを含むことを特徴とするものである。
【0013】
このように、本願に開示する配線パターン形成方法は、インクジェット法により断面凹溝状の絶縁性配線を形成し、形成された断面凹溝状の溝内に導電性配線を形成するため、絶縁性配線の両端に形成される土手により導電性配線がはみ出してオーバーハングすることを防止することができ、高精度で正確な線状の導電性配線を形成することができるという効果を奏する。また、導電性配線がはみ出してオーバーハングすることを防止することができるため、阻害剤等の塗布や工程が不要であり、作業を効率的に行うことができるという効果を奏する。さらに、導電性配線に対応する領域にのみ必要最小限の絶縁性配線を形成すればよいため、絶縁性配線の領域を最小限に抑えて微細な導電性配線を形成することができるという効果を奏する。
【0014】
(2)本願に開示する配線パターン形成方法は、前記絶縁配線工程で形成された断面凹溝状の溝内に無電解めっきの触媒となる液敵を吐出して触媒部を形成する触媒形成工程を含み、前記導電配線工程が、前記触媒形成工程で形成された触媒部の表面に、無電解めっきにより導電性の配線を形成することを特徴とするものである。
【0015】
このように、本願に開示する配線パターン形成方法は、インクジェット法により断面凹溝状の絶縁性配線を形成し、形成された断面凹溝状の溝内に無電解めっきの触媒部を形成するため、絶縁性配線の両端に形成される土手により触媒部がはみ出して意図しない部分へのめっき析出等を確実に防止することができるという効果を奏する。
【0016】
(3)本願に開示する配線パターン形成方法は、前記絶縁配線工程が、前記絶縁性の液滴を吐出する場合に、前記絶縁性の液滴と当該絶縁性の液滴が吐出される配線基板との静的接触角度を30°以下とし、前記絶縁性の液滴の吐出条件を、
1>p1
ただし、D1は配線基板に着弾直後の液滴広がり径(μm)、p1は着弾ピッチ(μm)とし、前記絶縁性の液滴が前記配線基板に着弾した後に、常温ないし100℃にて液滴の内部剤を蒸発させることを特徴とするものである。
【0017】
このように、本願に開示する配線パターン形成方法は、上記の条件により絶縁性配線が形成されるため、連続性を有する断面凹溝状の絶縁性の配線を確実に形成することができるという効果を奏する。
【0018】
(4)本願に開示する配線パターン形成方法は、前記インクジェット法が、圧電素子を用いた方式であり、前記絶縁性の液滴の粘度が3mPa・secないし150mPa・sec、前記絶縁性の液滴が吐出されるときの温度が20℃ないし45℃、前記絶縁性の液滴の表面張力が20mN/mないし40mN/mであることを特徴とするものである。
【0019】
このように、本願に開示する配線パターン形成方法は、上記のように適切な粘度、温度、及び表面張力を設定することにより、液滴を安定させ、適切な膜厚で確実に断面凹溝状の絶縁性の配線を形成することができるという効果を奏する。
【0020】
(5)本願に開示する配線パターン形成方法は、前記触媒形成工程が、無電解めっきの触媒となる液敵の吐出条件を、
2>p2
ただし、D2は絶縁層に着弾直後の液滴広がり径(μm)、p2は着弾ピッチ(μm)とすることを特徴とするものである。
【0021】
このように、本願に開示する配線パターン形成方法は、上記条件により無電解めっきの触媒部が形成されるため、連続性を有する線状の触媒部を確実に形成し、無電解めっきによる配線パターンを形成することができるという効果を奏する。なお、D2は絶縁性配線の左右の土手からはみ出さない程度に設定すればよく、つまり絶縁性配線が断面凹溝状を有していなければ左右にはみ出す程度のD2の値であっても、絶縁性配線が断面凹溝状を有していることで、D2の値をある程度幅を持たせて設定することができる。
【0022】
(6)本願に開示する配線パターン形成方法は、前記絶縁性の配線が硬化性樹脂組成物であり、前記触媒形成工程後に、前記絶縁性の配線に紫外線を照射、又は80℃ないし160℃にて熱処理を行うことで、前記硬化性樹脂組成物を硬化し、前記触媒部を固定化する固定化工程を含むことを特徴とするものである。
【0023】
このように、本願に開示する配線パターン形成方法は、絶縁性の配線が硬化性樹脂組成物であり、紫外線を照射、又は80℃ないし160℃にて熱処理を行うことで、硬化性樹脂組成物を硬化し、触媒部を固定化するため、還元液やめっき液がアルカリ性であっても触媒が溶出してしまうようなことがなく、確実に線状の触媒部を形成し、無電解めっきによる高精度な配線パターンを形成することができるという効果を奏する。
【0024】
(7)本願に開示する配線パターン形成方法は、前記絶縁配線工程で吐出する絶縁性の液滴と、前記導電配線工程で導電性の配線を形成するための液滴とが、隣接配設された、又は所定の距離だけ離隔して配設されたそれぞれ異なる吐出口から吐出され、少なくとも前記絶縁配線工程を先行し、1回の描画処理で前記絶縁性の液滴の吐出、及び前記導電性の配線を形成するための液滴の吐出が、それぞれ隣接配設された、又は所定の距離だけ離隔して配設された前記異なる吐出口から順次行われることを特徴とするものである。
【0025】
このように、本願に開示する配線パターン形成方法は、絶縁性の液滴と導電性の配線を形成するための液滴とが隣接(所定の距離だけ離隔して)配設されたそれぞれ異なる吐出口から吐出され、絶縁配線工程を先行して、1回の描画処理で絶縁性の液滴の吐出、及び導電性の配線を形成するための液滴の吐出が順次行われるため、絶縁性の液滴の吐出と導電性の配線を形成するための液滴とをほぼ同時に吐出して、1回の描画処理でそれぞれの形成工程を一体的に行うことができ、作業を効率よく行うことができるという効果を奏する。
【0026】
(8)本願に開示する配線パターン形成方法は、前記液滴を吐出する基板の温度が30℃ないし100℃であることを特徴とするものである。
このように、本願に開示する配線パターン形成方法は、液滴を吐出する基板の温度が30℃ないし100℃であるため、絶縁性の液滴の流動性を抑えることができ、絶縁性の液滴による配線を形成した直後であっても、当該絶縁性配線上に導電性の配線を形成するための液滴(例えば、導電性のペーストや触媒となる液滴等)を吐出して導電性配線を形成することができ、作業を短時間で効率よく行うことができるという効果を奏する。
【0027】
(9)本願に開示する配線パターン形成方法は、前記絶縁配線工程が、導電性の配線パターンを含む導電配線層の表面に対して行われることを特徴とするものである。
このように、本願に開示する配線パターン形成方法は、絶縁配線工程が、導電性の配線パターンを含む導電配線層の表面に対して行われるため、既に配線パターンが形成されている基板の上に、さらに配線パターンを追加、修正等の処理を行うことができるという効果を奏する。
なお、上記各配線パターン形成方法により形成された配線基板も本願に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態に係る導電性配線方法を実現する処理部のブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る導電性配線方法を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態に係る導電性配線方法の各工程を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る導電性配線方法により形成される導電性配線パターンを示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る導電性配線方法により形成される導電性配線パターンを示す図である。
【図6】本発明の実施例における結果を示す第1の図である。
【図7】本発明の実施例における結果を示す第2の図である。
【図8】Si貫通電極の形成工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は多くの異なる形態で実施可能である。従って、本実施形態の記載内容のみで本発明を解釈すべきではない。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0030】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る導電性配線基板、及び導電性配線方法について、図1ないし図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る導電性配線方法を実現する処理装置の機能ブロック図である。図1において処理装置1は、描画情報70に記憶される配線パターン情報に基づいて液滴を吐出する吐出口を移動制御し、吐出口から吐出される液滴により配線パターンを描画するナノインクジェット10と、配線パターンを形成する基板20と、無電解めっきを行うことで導電性の配線が形成された配線基板40を形成するめっき部30と、ナノインクジェット10の吐出口の移動を制御する移動制御部50と、当該移動制御部50の制御に基づいて吐出口の移動を行う駆動部60とを備える。
【0031】
さらに、ナノインクジェット10は、絶縁性の液滴を断面凹溝状に吐出して絶縁性配線を形成する絶縁吐出部11と、当該絶縁吐出部11が形成した断面凹溝状の溝内に無電解めっきの触媒となる液敵を吐出して触媒部を形成する触媒吐出部12と、絶縁吐出部11、及び触媒吐出部12の吐出動作を制御する吐出制御部13とを備える。
基板20としては、例えばシリコン基板、ガラス基板、銅箔等の金属製基板、プラスチックフィルム等の非金属製基板等を用いることができる。
【0032】
絶縁性配線を形成するための液滴を供するインクジェットインキ(以下、インキとする)としては、液滴乾燥後に絶縁特性を有し、インクジェットヘッド(以下、ヘッドとする)から安定的に連続して吐出できる液滴にする必要がある。絶縁性インキの構成については、公知の材料を構成成分として選定し、後述する適正な物性に調整することで生成することができる。
【0033】
一般的に圧電素子のヘッドにおいて安定的に液滴が形成されるインキの物性は、ヘッドの構成によって異なるが、ヘッド内部における温度において、粘度が3mPa・secないし150mPa・sec、好ましくは4mPa・secないし30mPa・secである。これよりも値が大きくなると液滴を吐出ができなくなり、値が小さくなると液滴の吐出量が安定しない。
【0034】
表面張力は、ヘッド内部における温度において、20mN/mないし40mN/mである。これより値が大きくなると液滴が吐出ができなくなり、値が小さくなると連続吐出時の液滴量が安定しない。
【0035】
ヘッド内部の温度は、材料安定性依存するが、室温20℃から45℃で用いられる。インキ中の固形分を多くして膜厚を向上させるために40℃程度の温度が用いられる事がある。
【0036】
インクジェットによる絶縁性配線の描画は、液滴を連続的に着弾させる必要があり、配線を形成するためには着弾後の個々の液滴が合体する必要がある。そのために、着弾時の液滴拡がり直径Dに対して液滴着弾間のピッチp1が、D>p1となるように設定する。この着弾時の液滴拡がり径Dは、ヘッドから飛翔してきた液滴の直径dよりも常に大きい。また、着弾直後はその運動エネルギーが消費された後に接触基板と静的な安定状態に至る。したがって、着弾直後の拡がり径は測定することは困難であるから、1滴が基板に着弾した後に安定して観察される拡がり径D1を用いて、D1>p1とする。
【0037】
一方、発明者らは、液滴が合体した後に良好な直線形状になるには、その静的接触角度が重要であることを見出した。接触角度が30°を超えた場合、ラインが流動性を持っていると、直線形成後に一部にバルジが形成され、更には液滴に分裂し、直線性の良好な配線を保つことができない。
【0038】
配線形成後に絶縁特性を有するためのインキの構成成分として、後続処理である触媒部を形成するための触媒インキの塗布において形状を安定させるために、絶縁特性を示す樹脂組成物が用いられ、前述した粘度、表面張力の調整に用いられる溶媒に可溶、又はナノ分散可能であり、溶媒蒸発後に流動性を示さないように調製される必要がある。
【0039】
特に、断面凹溝状を優位に形成するインキ組成物として、溶媒蒸発途中に流動性を示さないように調製されることが好ましい。また、基板との接触角を30°未満に設定すると、溶剤蒸発過程において優位に断面凹溝状を形成することができる。
【0040】
無電解めっきの触媒となる成分を含む触媒インキの物性値についても、インクジェットにて安定的に吐出されるために、絶縁性インキの物性と同等にする。触媒成分として一般的にパラジウム塩が用いられ、さらにその錯体安定に必要な塩基を含んだ水溶液を用いる。これに、インクジェットに適した粘度にするために安定を損なわないエチレングリコール系の溶媒を添加すると共に、表面張力を調整するためにノニオン系界面活性剤を添加する。
【0041】
また、無電解メッキに供される触媒インキも均一溶液に限定されること無く、ナノ金属触媒粒子、触媒金属コロイドを含有するもの(例えば、参考文献:林忠夫、松岡政夫、縄船秀美、「無電解めっき−基礎と応用」、(電気鍍金研究会)、日刊工業新聞社発行に記載のもの)であって、前記インキの物性値を有し、ヘッドの吐出安定性やヘッド材料の腐食などに影響を与えなければ適用可能である。
【0042】
触媒インキの液滴着弾ピッチp2は、絶縁性配線に対する液滴拡がり径D2に対して、D2>p2に設定される。この時、絶縁性配線は断面凹溝状を有しているので、左右の土手から溢れない程度の液量を充填すれば良い。
【0043】
次に、図2、図3、及び図4を用いて本実施形態に係る導電性配線方法の処理手順について説明する。図2は、本実施形態に係る導電性配線方法を示すフローチャート、図3は、本実施形態に係る導電性配線方法の各工程を示す図、図4は、本実施形態に係る導電性配線方法により形成される導電性配線パターンを示す図である。
【0044】
まず、図2において、基板(ここでは、シリコン基板31とする)の表面処理を行う(S21)。この表面処理を示す図が図3(A)である。表面処理においては、Deep−UV照射装置37を用いてシリコン基板31の表面にDeep−UVを照射することで、シリコン基板31の表面に光化学反応を起こし、有機物等を酸化除去して洗浄する。
【0045】
シリコン基板31の表面が洗浄されると、絶縁性配線33を形成する(S22)。この絶縁性配線33の形成を示す図が図3(B)である。上述したような絶縁性インキの物性値でヘッド32から絶縁性インキ33aを吐出する。このとき、配線パターン情報と同じパターンで絶縁性インキ33aを吐出する。絶縁性配線33を描画後、シリコン基板31をホットプレート上で乾燥する。この工程で形成される絶縁性配線33の模式図が図4(A)である。図4(A)に示すように、断面凹溝状の絶縁性配線33を配線パターン情報と同じパターンでシリコン基板31上に形成することができる。
【0046】
絶縁性配線33が形成されると、触媒部(パラジウム塩)34のラインを形成する(S23)。この触媒部34のライン形成を示す図が図3(C)である。上述したような触媒インキの物性値でヘッド32から触媒インキ34aを、前段の工程で形成された絶縁性配線33の凹溝内に吐出する。触媒部34のライン描画後、室温で乾燥を行う。この工程で形成される触媒部34の模式図が図4(B)である。図4(B)に示すように、絶縁性配線33における凹溝内に触媒部34が形成され、左右の土手により触媒インキ34がはみ出すことがない。
【0047】
触媒部34のラインが形成されると、絶縁樹脂の光硬化を行う(S24)。この絶縁樹脂の光硬化を示す図が図3(D)である。ここでは、紫外線露光装置38により紫外線を照射し、純水での洗浄後にエアブロー乾燥を行う。
【0048】
絶縁樹脂の光硬化が行われると、アルカリ還元処理を行う(S25)。このアルカリ還元処理を示す図が図3(E)である。ここでは、ジメチルアミノボランDMAB水溶液中に浸漬し、水洗、エアブロー乾燥を行う。
【0049】
アルカリ還元処理が行われると、無電解めっき処理を行う(S26)。この無電解めっき処理を示す図が図3(F)である。ここでは、めっき液中に浸漬し、無電解めっきを行い水洗する。この無電解めっき処理で形成された配線パターンの模式図が図4(C)である。絶縁性配線33における凹溝内にめっき層36が形成される。
【0050】
以上の絶縁性配線の描画と触媒部の描画はそれぞれ個別に行っているが、それぞれの液滴を個々の隣接配設される、又は所定の距離だけ離隔して配設されるヘッドに充填し、絶縁性配線を形成する工程で吐出する絶縁性インキと、触媒部を形成する工程で吐出する触媒インキとが、隣接配設された、又は所定の距離だけ離隔して配設されたそれぞれ異なる吐出口から吐出され、少なくとも絶縁性配線を形成する工程を先行して、絶縁性インキと触媒インキとが1回の描画処理で順次吐出されるようにすることもできる。この場合、絶縁液滴の流動性を抑えるために基板を30℃ないし100℃程度まで加熱しておくと好ましい。
【0051】
また、本実施形態における配線パターン形成方法は、絶縁性の配線が硬化性樹脂組成物であり、触媒形成工程後に、触媒部の還元及び/もしくは無電解めっき時に施される触媒の固定化又はめっき層の安定形成を目的に、絶縁性配線に紫外線を照射、又は80℃ないし160℃にて熱処理を行うことで、硬化性樹脂組成物を硬化し、触媒部を固定化する固定化工程を含むことで、還元液やめっき液がアルカリ性であっても触媒が溶出してしまうようなことがなく、確実に線状の触媒部を形成し、無電解めっきによる高精度な配線パターンを形成することができる。
【0052】
なお、無電解めっきにおいて使用される触媒、その還元法、めっき浴、及びめっき方法は上記の記載されるものに限定されることなく、公知の方法を使用できる(例えば参考文献を参照)。
【0053】
また、本実施形態においては、絶縁性配線を形成した後に触媒部の形成と無電解めっきを行っているが、触媒部の形成と無電解めっきを行わずに、絶縁性配線を形成した後に導電性のペーストを絶縁性配線の上に塗布することで導電性の配線パターンを形成するようにしてもよい。
【0054】
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係る導電性配線基板、及び導電性配線方法について、図5を用いて説明する。本実施形態に係る導電性配線方法は、絶縁配線工程が、導電性の配線パターンを含む導電配線層の表面に対して行われるものである。
なお、本実施形態において、前記第1の実施形態と重複する説明については省略する。
【0055】
図5は、本実施形態に係る導電性配線方法により形成された導電性配線パターンを示す図である。図5において、シリコン基板31上には、導電性の配線パターン51a、51bが形成されており、その上から断面凹溝状の絶縁性配線33を形成し、形成された絶縁性配線33に導電性のパターンを形成する。導電性のパターン形成は、触媒部34のラインを形成後に無電解めっきを行ってもよいし、導電性のペーストを塗布するようにしてもよい。無電解めっきを行う場合には、絶縁性配線33の周囲にめっき阻害剤等を塗布する必要がある。
【0056】
このように、本実施形態に係る配線パターン形成方法によれば、絶縁配線工程が、導電性の配線パターンを含む導電配線層の表面に対して行われるため、既に配線パターンが形成されている基板の上に、さらに配線パターンを追加、修正等の処理を行うことができる。
〔実施例〕
【0057】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、以下に記載の「部」はいずれも質量部を示す。
(1)絶縁性配線用インクジェットインキの調製例
アルカリ現像製光硬化樹脂V−259ME200部(新日鐵化学株式会社製、固形分56.5%、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物DPHAを50部(日本化薬社製)、ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製YX4000HK 25部、イルガキュア907(チバジャパン製)、4,4’−N,N−ジエチル−4,4’−ジフェニルEAB−F 0.8部(保土ヶ谷化学製)、シランカップリング剤S−510(チッソ製)1.9部、シリコン系界面活性剤BYK330を0.5部(ビッグケミジャパン製)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート608部を混合し、均一、透明なインキとした。これを0.2μmマイクロフィルタによってろ過し、絶縁性インキを調製した。固形分濃度22wt%、粘度11.3mPa・sec(23℃)、表面張力25.8mN/m(23℃)、密度1049kg/m3(23℃)であった。
【0058】
(2)触媒インキ(パラジウム)の調製例
酢酸パラジウム0.57部、アンモニア水1.0部をイオン交換水150部中に溶解し、均一溶液とした。更に、ジエチレングリコール100部とシリコン系界面活性剤BYK333を0.5部加えて触媒インキとした。この時の表面張力30.4mN/m(23℃)、粘度4mPa・sec(23℃)、密度1068kg/m3(23℃)であった。
【実施例1】
【0059】
(絶縁性配線の描画)
コニカミノルタ社製インクジェットヘッド(KM512L、ノズル間ピッチ70.5μm)に絶縁性インキを充填し、5インチのシリコン基板上(UV洗浄、接触角度θ=5°、液滴拡がり径(直径)D1=170μm)に、以下の(1)〜(4)の条件にて描画した。
(1)ヘッドノズル列とライン描画方向を垂直
(2)駆動周波数4800Hz、駆動電圧16.14V
(3)1ノズル液滴体積42pl、着弾ピッチ50、75、100μmにて描画
(4)基板温度23℃
描画後の基板をホットプレート上で90℃、5分間乾燥を行い、その後ライン直線性を実体顕微鏡で観察、表面形状及び膜厚を測定した。その結果を図6の表(実施例1〜3の列を参照)に示す。いずれもライン直線性は良好で、形状も断面凹溝状となっていた。
【0060】
(パラジウム触媒部の描画)
触媒インキを、上記で得られたシリコン基板上の絶縁性配線に以下の条件にて描画した。
(1)ヘッドノズル列とライン描画方向を垂直
(2)駆動周波数4800Hz、駆動電圧15.7V
(3)1ノズル液滴体積42pl、着弾ピッチ75μmにて描画
(4)基板温度23℃
描画後の基板を23℃にて20分間乾燥を行った。その後、紫外線露光機(I線基準30mW/cm2照度)を用いて800mJを照射、純水洗浄、エアブロー乾燥を行った。
【0061】
(パラジウム触媒部の還元及び無電解ニッケルめっき)
上記基板をジメチルアミノボランDMAB水溶液(50mM)中50℃にて5分浸漬し、水洗、エアブロー乾燥を行った。さらに、メルプレートNI−869(pH4.6)中、85℃にて20分浸漬し、無電解ニッケルめっき後、基板を水洗した。その後、窒素雰囲気下で120℃、30分間処理を行った。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した(図6の実施例1〜3の列を参照)。
【実施例2】
【0062】
基板としてアセトン洗浄のみを行った5インチシリコン基板(絶縁性インキの接触角度8.4°、液滴拡がり径(直径)D1=140μm)を用いた以外は、実施例3と同様に行った。その結果を図6の表(実施例4の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例3】
【0063】
絶縁性配線の描画時に隣り合う2つのノズル(ノズル間ピッチ70.6μm)を使用し、また、パラジウム触媒部の描画時にも隣り合う2つのノズルを用い、着弾ピッチを50μmとした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を図6の表(実施例5の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例4】
【0064】
絶縁性配線の描画時に隣り合う3つのノズル(ノズル間ピッチ70.6μm)を使用した以外は、実施例5と同様に行った。その結果を図6の表(実施例6の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例5】
【0065】
基板としてアセトン洗浄のみを行った5インチシリコン基板(絶縁性インキの接触角度8.4°、液滴拡がり径(直径)D1=140μm)を用い、絶縁性配線の描画時に隣り合う複数ノズル(ノズル間ピッチ70.6μm)を使用し、またパラジウム触媒の描画時に隣り合う2つのノズルを用いた以外は、実施例5、6と同様に行った。その結果を図6の表(実施例7、8の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例6】
【0066】
着弾ピッチを75μmとして絶縁性配線を形成した以外は、実施例7と同様に行った。その結果を図6の表(実施例9の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例7】
【0067】
絶縁性配線の描画時に1ノズルを用いて実施例2と同じ条件で一度印刷し、直ちに同条件で重ねて印刷した。その後の処理は、実施例2と同様に行った。その結果を図6の表(実施例10の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例8】
【0068】
基板を銅箔(アセトン洗浄、絶縁性インキとの接触角度θ=8.5°)とし、液滴拡がり径D1=130μmとした以外は、実施例5と同様に行った。その結果を図6の表(実施例11の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例9】
【0069】
シリコン基板上に実施例7と同じ条件で絶縁層を形成し、無電解めっき液としてCuを含有する導電性皮膜形成水溶液(無電解銅めっき液)(CRPセレクターA 150ml/L、CRPセレクターB 200ml/L、奥野製薬工業株式会社製)に45℃で3分間浸漬した。その結果を図6の表(実施例12の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例10】
【0070】
撥インキ剤を塗布した5インチシリコン基板上(接触角度θ=15°)を用い、液滴拡がり径D1=118μmとした以外は、実施例2と同様に行った。その結果を図6の表(実施例13の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例11】
【0071】
コニカミノルタ社製インクジェットヘッド(KM512SH)に絶縁性インキを充填し、5インチシリコン基板上(アセトン洗浄、接触角度θ=8°)に、以下の条件にて描画した。
(1)ヘッドノズル列とライン描画方向を垂直
(2)駆動周波数4800Hz、駆動電圧16.1V
(3)1ノズル液滴体積4pl、ノズル数1本、着弾ピッチ40μm、液滴拡がり径D1=66μmにて描画
(4)基板温度23℃
その他の条件は実施例1と同様にして行った。その結果を図6の表(実施例14の列を参照)に示す。ライン直線性は良好で、形状も断面凹溝状を示していた。
【0072】
続いて上記で得られた基板上の絶縁性配線にパラジウムの触媒インキを以下の条件にて描画した。
(1)ヘッドノズル列とライン描画方向を垂直
(2)駆動周波数4800Hz、吐出電圧15.7V
(3)1ノズル液滴体積4pl、ノズル数1本、着弾ピッチ40μm、液滴拡がり径D2=70μmにて描画
(4)基板温度23℃
その後、窒素雰囲気下で120℃、30分間処理を行った。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。
【実施例12】
【0073】
撥インキ剤を塗布した5インチシリコン基板上(接触角度θ=20°)を用い、液滴拡がり径D1=51μmとした以外は、実施例14と同様に行った。その結果を図6の表(実施例15の列を参照)に示す。実体顕微鏡観察の結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、シリコン基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【実施例13】
【0074】
図7の表に以下の各比較例の結果を示す。
(比較例1)
実施例1と同様にして絶縁性配線を形成後、パラジウムの触媒インキに10分間浸漬し、室温乾燥後、無電解ニッケル層を形成した。電子顕微鏡観察の結果、絶縁性配線の表面全体にめっき層が形成されていると同時に、めっき層がシリコン基板表面と接触し絶縁されていないことが観察された。
【0075】
(比較例2)
撥インキ剤を塗布した5インチシリコン基板上(接触角度θ=33°)に、液滴拡がり径D1=98μmとして、実施例1と同様にして絶縁性配線を形成したガラス基板を作成した。顕微鏡観察の結果、バルジの発生が見いだされ、また直線性も不良であった。断面形状は凸形状であった。これに触媒インキを描画し、室温乾燥後、無電解ニッケルめっきを行った。顕微鏡観察の結果、絶縁性配線の表面には不均一なめっき層が形成されるか、又はめっき層が形成されていなかった。
【0076】
(比較例3)
撥インキ剤を塗布した5インチシリコン基板上(接触角度θ=35°)に、液滴拡がり径D1=38μm、着弾ピッチ30μmとして、実施例14と同様にして絶縁性配線を形成したガラス基板を作成した。顕微鏡観察の結果、バルジの発生が見いだされ、また直線性も不良であった。断面形状は凸形状であった。これに触媒インキを描画し、室温乾燥後、無電解ニッケルめっきを行った。顕微鏡観察の結果、絶縁性配線の表面には不均一なめっき層が形成されるか、又はめっき層が形成されていなかった。
【実施例14】
【0077】
コニカミノルタ社製インクジェットヘッド(KM512L、ノズル間ピッチ70.6μm)のひとつに絶縁性インキを、これより直列に5cm離して同様のヘッドにパラジウムの触媒インキを充填した。5インチシリコン基板上(アセトン洗浄、接触角度θ=5°)に、基板温度を80℃とし、絶縁性配線の乾燥を行うことなく、パラジウムの触媒インキを描画した以外は上記各実施例と同様な条件で行った。
【0078】
その結果、絶縁性配線は断面凹溝状をしており、絶縁性配線の上面にのみ、直線状にめっき層が形成されていることを確認した。また、基板とめっき層間の電気導通がないことをテスタで確認した。
【符号の説明】
【0079】
1 処理装置
10 ナノインクジェット
11 絶縁吐出部
12 触媒吐出部
13 吐出制御部
20 基板
30 めっき部
31 シリコン基板
32 ヘッド
33 絶縁性配線
33a 絶縁性インキ
34 触媒部
34a 触媒インキ
35 触媒部(Pd0
36 めっき層
37 Deep−UV装置
38 紫外線露光装置
40 配線基板
50 移動制御部
51a、51b 配線パターン
60 駆動部
70 描画情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット法により配線パターンを形成する配線パターン形成方法において、前記インクジェット法により絶縁性の液滴を吐出し、断面凹溝状の絶縁性の配線を形成する絶縁配線工程と、前記絶縁配線工程で形成された断面凹溝状の溝内に導電性の配線を形成する導電配線工程とを含むことを特徴とする配線パターン形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の配線パターン形成方法において、
前記絶縁配線工程で形成された断面凹溝状の溝内に無電解めっきの触媒となる液敵を吐出して触媒部を形成する触媒形成工程を含み、前記導電配線工程が、前記触媒形成工程で形成された触媒部の表面に、無電解めっきにより導電性の配線を形成することを特徴とする配線パターン形成方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配線パターン形成方法において、
前記絶縁配線工程が、前記絶縁性の液滴を吐出する場合に、前記絶縁性の液滴と当該絶縁性の液滴が吐出される配線基板との静的接触角度を30°以下とし、前記絶縁性の液滴の吐出条件を、
1>p1
ただし、D1は配線基板に着弾直後の液滴広がり径(μm)、p1は着弾ピッチ(μm)とし、前記絶縁性の液滴が前記配線基板に着弾した後に、常温ないし100℃にて液滴の内部剤を蒸発させることを特徴とする配線パターン形成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の配線パターン形成方法において、
前記インクジェット法が、圧電素子を用いた方式であり、
前記絶縁性の液滴の粘度が3mPa・secないし150mPa・sec、前記絶縁性の液滴が吐出されるときの温度が20℃ないし45℃、前記絶縁性の液滴の表面張力が20ないし40mN/mであることを特徴とする配線パターン形成方法。
【請求項5】
請求項2に記載の配線パターン形成方法において、
前記触媒形成工程が、無電解めっきの触媒となる液敵の吐出条件を、
2>p2
ただし、D2は絶縁層に着弾直後の液滴広がり径(μm)、p2は着弾ピッチ(μm)とすることを特徴とする配線パターン形成方法。
【請求項6】
請求項2又は5に記載の配線パターン形成方法において、
前記絶縁性の配線が硬化性樹脂組成物であり、
前記触媒形成工程後に、前記絶縁性の配線に紫外線を照射、又は80℃ないし160℃にて熱処理を行うことで、前記硬化性樹脂組成物を硬化し、前記触媒部を固定化する固定化工程を含むことを特徴とする配線パターン形成方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の配線パターン形成方法において、
前記絶縁配線工程で吐出する絶縁性の液滴と、前記導電配線工程で導電性の配線を形成するための液滴とが、隣接配設された、又は所定の距離だけ離隔して配設されたそれぞれ異なる吐出口から吐出され、少なくとも前記絶縁配線工程を先行し、1回の描画処理で前記絶縁性の液滴の吐出、及び前記導電性の配線を形成するための液滴の吐出が、それぞれ隣接配設された、又は所定の距離だけ離隔して配設された前記異なる吐出口から順次行われることを特徴とする配線パターン形成方法。
【請求項8】
請求項7に記載の配線パターン形成方法において、
前記液滴を吐出する基板の温度が30℃ないし100℃であることを特徴とする配線パターン形成方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の配線パターン形成方法において、
前記絶縁配線工程が、導電性の配線パターンを含む導電配線層の表面に対して行われることを特徴とする配線パターン形成方法。
【請求項10】
基板上に形成され、断面凹溝状を有する絶縁性の配線の溝内に導電性の配線が形成された配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−204748(P2011−204748A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68169(P2010−68169)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業「半導体実装プラットフォームの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(598015084)学校法人福岡大学 (114)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】