説明

配線収納型造作部材

【課題】一般家庭で使用される設備類に付設される配管、配線類等を併せて収納可能で、かつ、美観性に優れた造作部材を提供する。
【解決手段】設備用配線部を収納する配線収納部4が造作部材本体1の長手方向に内設されるとともに、上記造作部材本体1の長手方向の外側面に配線収納用凹溝部3が延設されてなる配線収納型造作部材A。好ましくは、上記配線収納用凹溝部3は入口部31が狭小で内奥部32が拡開する空間を有するものとされる。上記配線収納用凹溝部3の入り口が軟質材料からなる上溝カバー部材61と下溝カバー部材62とからなる溝カバー部材によって覆われてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、配線類を収納することが可能な造作部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2006−207172号公報(特許文献1)に示されるように、配線を収納することのできる配線収納型造作材は知られている。この配線収納型造作材には、帯板状の造作材本体の前面側に開口した凹溝状の配線収納部が造作材の長手方向にわたって形成されており、この配線収納部内に配線が通された後、平板状のカバー部とその両端から裏側へ突出した一対の取付用脚部とを有するキャップ体が取り付けられる。配線収納部は、配線が収納される断面凹形状の配線空間と、キャップ体取付時にその一対の取付用脚部が嵌め込まれる一対の凹段部とを有しており、この凹段部は、キャップ体の取付用脚部が配線空間内に飛び出さないように、配線空間側面の一部が外側に広がった形状を有している。
【0003】
したがって、この配線収納型造作材では、取付用脚部が配線収納部の配線空間内に飛び出さないようにすることで、配線空間が狭まるつまり収納容積が狭まることを防ぐことができ、配線収納部の大容量化を実現した配線収納型造作材を提供することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−207172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例である配線収納型造作材にあっては、配線収納部に通された配線の端部を、配線収納型造作材の外側に設けられた屋内配線の電源供給用の端子と接続させるために配線収納型造作材の外側に引き出す必要があり、配線が露出し美観性が優れないといった問題点を有しており、特に端子から配線収納型造作材が遠い場合に問題であった。
【0006】
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は、一般家庭で使用される設備類、主として家庭用電化機器製品に付設される配管、配線類等を併せて収納できるとともに、美観性に優れた造作材部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明に係る配線収納型造作部材は、設備用配線部を収納する配線収納部が造作部材本体の長手方向に内設されるとともに、上記造作部材本体の長手方向の外側面に配線収納用凹溝部が延設されてなることを特徴としている。上記設備としては、主として家庭用電化機器製品をあげることができ、エアコン、照明器具等が例示される。
【0008】
また、本願請求項2に記載の発明においては、上記請求項1に記載の配線収納型造作部材において、上記配線収納用凹溝部は入口部が狭小で内奥部が拡開する空間を有するものであることを特徴としている。例えば、入口部から内奥部に向けて徐々に拡開する構造のもの、入り口に一対の狭窄部を付設して開口部を狭小にし、内奥部を広くしたもの等をあげることができる。
【0009】
また、本願請求項3に記載の発明においては、上記請求項1に記載の配線収納型造作部材において、上記配線収納用凹溝部の入り口が軟質材料からなる上溝カバー部材と下溝カバー部材とからなる溝カバー部材によって覆われてなることを特徴としている。上記軟質材料としては、特に限定されず、例えば、軟質塩化ビニル樹脂、軟質ポリエチレン、合成ゴム、天然ゴム等の各種軟質性の材料をあげることができる。
【発明の効果】
【0010】
本願請求項1記載の発明に係る配線収納型造作部材においては、設備用配線部を収納する配線収納部が造作部材本体の長手方向にわたって内設されているため、この配線収納部に、例えば、家電機器用の配線、エアコン用のダクト等を隠蔽して収納できる。また、上記造作部材本体の長手方向の外側面に配線収納用凹溝部が延設されているため、上記エアコン用の給電用配線を上記配線収納用凹溝部に納めて保持することができる。
【0011】
また、本願請求項2記載の発明の配線収納型造作部材においては、特に、上記配線収納用凹溝部は入口部が狭小で内奥部が拡開する空間を有しているため、配線収納用凹溝部に収納された、例えば、エアコンの給電用配線が室内側にはみ出すことのないようにしっかりと保持することができる。
【0012】
また、本願請求項3記載の発明の配線収納型造作部材においては、特に、上記配線収納
用凹溝部の入り口が軟質材料からなる一対の溝カバー部材によって覆われているため、配線収納用凹溝部の内部にチリやゴミを入り難くするとともに、凹溝部内に収納した、例えば、エアコンの給電用配線が室内側にはみ出さないように保持することができ、また、室内側から配線が直接目にふれ難いように覆って外観性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(イ)は本願発明の第1実施形態に係る配線収納型造作部材を示す斜視図、(ロ)は上記第1実施形態に係る配線収納型造作部材を天井面に取り付けた状態を示す断面図。
【図2】(イ)は本願発明の第2実施形態に係る配線収納型造作部材を示す断面図、(ロ)は上記第2実施形態の変形例に係る配線収納型造作部材を示す断面図。
【図3】(イ)は本願発明の第3実施形態に係る配線収納型造作部材を示す断面図、(ロ)は上記第3実施形態の変形例に係る配線収納型造作部材を示す断面図。
【図4】本願発明に係る配線収納型造作部材を廻り縁として用いた例を示す部分断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願発明に係る配線収納型造作部材の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1(イ)は、本願発明の第1実施形態に係る長尺の配線収納型造作部材Aを示す斜視図である。図1(ロ)は、上記配線収納型造作部材Aを天井面Sに取り付けた状態を示す断面図である。
【0015】
図1(イ)、図1(ロ)に示されるように、上記配線収納型造作部材Aは、造作部材本体1の長手方向に延設され、上方に開口する断面コ字型の凹所2を有している。上記凹所2の開口縁の端部は外側に突出して一対の取付け片21が形成され、この取付け片21には貫通孔211が穿たれている。また、上記造作部材本体1の長手方向両側の外側面には配線収納用凹溝部3が延設されている。
【0016】
図1(ロ)に示されるように、天井面Sに取り付けられた造作部材本体1は、その凹所2が塞がれて配線収納部4が形成される。そして、上記取付け片21に穿たれた貫通孔211にビスを挿入し、ビスを天井面Sに固定することにより、配線収納型造作部材Aは天井面Sに取り付けられる。
【0017】
図1(イ)、図1(ロ)に示すように、上記造作部材本体1の両側の外側面に延設された配線収納用凹溝部3は、入口部31が狭小で内奥部32に向けて徐々に拡開する開口空間からなり、この配線収納用凹溝部3に電気機器等設備用配線を収納し、配線の端部に設けられた図外アダプタに屋内電源接続用端子を接続させることにより、動作電源を得ることができる。
【0018】
例えば、壁面に固定されたエアコンのエアコン用ダクトを上記凹所2の上面開口を塞いで設けた配線収納部4に通し、エアコンの給電用配線を上記配線収納用凹溝部3に納め、電源接続用端子からエアコンの動作用電源を供給することにより、エアコンを作動させることができる。
【0019】
ここで、造作部材本体1を、例えば、塩化ビニル樹脂等の弾性を有する樹脂から一体的に押出し成形することにより、入口部31を弾性変形可能に形成することができる。そして、図1(イ)、図1(ロ)に示されるように、上記配線収納用凹溝部3は、入口部31が狭小で内奥部32に向けて拡開する開口空間とされているため、入口部31の弾性抵抗を排除してエアコンの給電用配線を納めることにより、エアコンの給電用配線を配線収納用凹溝部3にしっかりと保持することができる。
【0020】
図2(イ)は、本願発明の第2実施形態に係る長尺の配線収納型造作部材Bを示す断面図である。図2(イ)に示すように、本実施形態においては、第1実施形態における造作部材本体1の長手方向に延設された凹所2が塞がれた形態、すなわち、予め、配線収納部4が設けられた形態を示す。また、配線収納用凹溝部3の入り口が狭小となるように、上狭窄片51と下狭窄片52からなる一対の狭窄片が長手方向に延設されているため、第1実施形態における場合と同様に、例えば、エアコンの給電用配線を一対の狭窄片の弾性抵抗を排除して納めることにより配線収納用凹溝部3にしっかりと保持することができる。
【0021】
図2(ロ)は、上記第2実施形態の変形例に係る長尺の配線収納型造作部材Cを示す断面図である。図2(ロ)に示すように、本変形例においては、配線収納型造作部材Cは天井面と壁面とで構成される角部に取り付ける廻り縁とされ、例えば、エアコン用ダクトを上記配線収納部4に通し、エアコンの給電用配線を上記配線収納用凹溝部3に納めることにより、上記配管、配線類を外観性よく、かつ、しっかりと保持することができる。
【0022】
図3(イ)は、本願発明の第3実施形態に係る長尺の配線収納型造作部材Dを示す断面図である。図3(イ)に示すように、本実施形態においては、第2実施形態と同様に、造作部材本体1に配線収納部4が設けられ、また、配線収納用凹溝部3の入り口には上溝カバー部材61と下溝カバー部材62とからなる一対の溝カバー部材が設けられている。
【0023】
上溝カバー部材61と下溝カバー部材62とは軟質塩化ビニル樹脂等の軟質材料からなり、上記溝カバー部材は、配線収納用凹溝部3の開口を覆って、配線収納用凹溝部3内にチリやゴミが入ることを防ぐことができる。また、例えば、配線収納用凹溝部3に収納したエアコンの給電用配線が室内側にはみ出さないように保持することができるとともに、室内側から配線が直接目に触れないように遮蔽して外観性を向上させることができる。
【0024】
図3(ロ)は、上記第3実施形態の変形例に係る長尺の配線収納型造作部材Eを示す断面図である。図3(ロ)に示すように、本変形例においては、配線収納型造作部材Eは天井面と壁面とで構成される角部に取り付ける廻り縁とされ、例えば、エアコン用ダクトを上記配線収納部4に通すとともに、エアコンの給電用配線を上記配線収納用凹溝部3に納めて上記溝カバー部材61、62で覆うことにより、外観性よく、かつ、しっかりと配管、配線類を保持することができる。
【0025】
図4は、本願発明に係る配線収納型造作部材を廻り縁Fとして用いた例を示す部分断面説明図である。図4に示すように、上記廻り縁Fは、天井面と壁面とで構成される角部に取り付けられ、例えば、エアコン用ダクト7が配線収納部4に通されるとともに、エアコンの給電用配線8は配線収納用凹溝部3に納められる。このようにすることにより、エアコン等、家電機器の配管、配線類を外観性よく収納でき、かつ、美観性に優れた造作部材を提供することができる。
【0026】
なお、上記実施形態は、家電機器としてのエアコンを用いた例を示したが、照明器具であってもよい。また、配線収納型造作部材を天井面に取り付ける場合、および廻り縁として用いる場合について述べたが、壁面に取り付けてもよい。さらに、付け梁として室内に架設してもよい。このように本願発明に係る配線収納型造作部材は設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、いずれの場合も本願発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0027】
A 第1実施形態に係る配線収納型造作部材
B 第2実施形態に係る配線収納型造作部材
C 第2実施形態の変形例に係る配線収納型造作部材
D 第3実施形態に係る配線収納型造作部材
E 第3実施形態の変形例に係る配線収納型造作部材
F 廻り縁
S 天井面
1 造作部材本体
2 凹所
21 取付け片
211 貫通孔
3 配線収納用凹溝部
31 入口部
32 内奥部
4 配線収納部
51 上狭窄片
52 下狭窄片
61 上溝カバー部材
62 下溝カバー部材
7 エアコン用ダクト
8 給電用配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備用配線部を収納する配線収納部が造作部材本体の長手方向に内設されるとともに、上記造作部材本体の長手方向の外側面に配線収納用凹溝部が延設されてなる配線収納型造作部材。
【請求項2】
上記配線収納用凹溝部は入口部が狭小で内奥部が拡開する空間を有するものである請求項1に記載の配線収納型造作部材。
【請求項3】
上記配線収納用凹溝部の入り口が軟質材料からなる上溝カバー部材と下溝カバー部材とからなる溝カバー部材によって覆われてなる請求項1に記載の配線収納型造作部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−252590(P2010−252590A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101615(P2009−101615)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】