配線基板の製造方法
【課題】導体層と樹脂絶縁層とをそれぞれ少なくとも一層有する配線基板を製造するに際し、樹脂絶縁層に形成された溝部内に、当該溝部の幅又は直径(面積)に依存することなく、導体層を均一に形成することが可能な新規な製造方法を提供する。
【解決手段】導体層と樹脂絶縁層とがそれぞれ少なくとも1層積層されてなる配線基板の製造方法であって、前記樹脂絶縁層の主面側に溝部を形成する溝部形成工程と、前記溝部及び前記樹脂絶縁層の主面上にCuペーストを供給し、このCuペーストから前記導体層を形成するCuペースト供給工程と、を備える。
【解決手段】導体層と樹脂絶縁層とがそれぞれ少なくとも1層積層されてなる配線基板の製造方法であって、前記樹脂絶縁層の主面側に溝部を形成する溝部形成工程と、前記溝部及び前記樹脂絶縁層の主面上にCuペーストを供給し、このCuペーストから前記導体層を形成するCuペースト供給工程と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化及び高速化により、配線の多層化と微細化とが進んでいる。特にロジックデバイスにおいては、トランジスタ特性の高性能化を実現するためには配線の最小ピッチをゲート長に合わせて小さくすることが必須であり、これに伴って微細配線形成の技術は必須の技術的事項となってきている。
【0003】
このような微細配線形成技術としては、従来のAl配線技術に用いてきたドライエッチングの手法に代わり、エッチングを必要としないダマシン法が主流となってきている。ダマシン法には、シングルダマシン法とデュアルダマシン法とがある。
【0004】
シングルダマシン法は、層間絶縁膜に配線となる溝部をレーザ光照射によって形成し、さらに下地膜としてのメタル層を堆積し、その上にCu膜をめっき法によって堆積して配線を形成する。しかしながら、メッキ法は、層間絶縁膜の全体に対して行うため、溝部の幅又は直径(面積)が大きい場合においては、当該溝部の幅方向又は直径方向の略中心部におけるメッキが不十分となり、当該部分においてCu膜に凹みが生じ、溝部内を埋設するようにして均一な厚さのCu膜を形成することができないという問題があった(特許文献1参照)。
【0005】
一方、デュアルダマシン法は、下層配線層との電気的コンタクトをとるビアホールを配線溝と共に同時に形成し、下地層としてのメタル層の堆積、Cu膜の堆積、CMPをそれぞれ1回行い、配線とビア・プラグを同時に形成する手法である。しかしながら、この場合においても、溝部の幅又は直径(面積)が大きい場合においては、当該溝部の幅方向又は直径方向の略中心部におけるメッキが不十分となり、当該部分においてCu膜に凹みが生じ、溝部内を埋設するようにして均一な厚さのCu膜を形成することができないという問題があった(特許文献2参照)。
【0006】
このようにダマシン法では、シングルダマシン法あるいはデュアルダマシン法のいずれにおいても、Cu膜、すなわち配線の形成を、メッキ法を用いて行っているため、層間絶縁膜に形成された溝部の幅又は直径(面積)が大きい場合は、Cu膜の略中央部において凹みが生じてしまい、溝部内に埋設するようにして均一な厚さのCu膜を形成することができず、配線のインピーダンス等、所望の電気特性を有する配線基板を製造することができないという問題があった。
【0007】
一方、溝部の略中心部において凹みが生じないようにCu膜をメッキ法によって厚く形成すると、層間絶縁膜上に堆積したCu膜残渣の量が増大し、後の研磨加工において研削除去すべきCu膜残渣の量も増大するため、配線基板の製造における作業性が低下するとともに、省資源の観点からも好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−116135号
【特許文献2】特開2006−49804号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、導体層と樹脂絶縁層とをそれぞれ少なくとも一層有する配線基板を製造するに際し、樹脂絶縁層に形成された溝部内に、当該溝部の幅又は直径(面積)に依存することなく、導体層を均一に形成することが可能な新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明は、
導体層と樹脂絶縁層とがそれぞれ少なくとも1層積層されてなる配線基板の製造方法であって、
前記樹脂絶縁層の主面側に溝部を形成する溝部形成工程と、
前記溝部及び前記樹脂絶縁層の主面上にCuペーストを供給し、このCuペーストから前記導体層を形成するCuペースト供給工程と、
を備えることを特徴とする、配線基板の製造方法に関する。
【0011】
本発明によれば、配線基板を構成する樹脂絶縁層に対して溝部を形成した後、この溝部に対してCuペーストを供給して充填し、このCuペーストから配線等を構成する導体層を形成するようにしている。すなわち、配線基板の樹脂絶縁層に形成した溝部に対して、導体層の原料となるCuペーストを直接供給かつ充填しているので、溝部の必要な個所に必要な量のCuペーストを充填することができる。
【0012】
したがって、溝部の幅又は直径(面積)が大きいような場合においても、溝部内に均一にCuペーストを充填することができるので、溝部内の略中央部において凹みが生じるようなことがなく、溝部内に均一にCuペーストからなる導体層を形成することができる。したがって、導体層からなる配線等のインピーダンス等、所望の電気特性を有する配線基板を簡易に製造することができる。
【0013】
また、溝部内の必要な個所に必要な量のCuペーストを充填できるので、層間絶縁膜上に堆積するCu膜残渣の量を大幅に低減することができ、後の研磨加工において研削除去すべきCu膜残渣の量も大幅に減少させることができる。したがって、配線基板の製造における作業性が向上するとともに、省資源の観点からも好ましい。
【0014】
なお、本発明の作用効果は、特に溝部の幅又は直径が100μm以上の場合に、メッキ法を用いて溝部内に導体層を形成する場合と比較し、顕著になる。
【0015】
本発明の一例においては、溝部形成工程の後であって、Cuペースト供給工程の前に、溝部内にCu下地層を形成する下地層形成工程を備えることができる。この場合、このCu下地層は、溝内に供給、充填したCuペースト、すなわち導体層に対して密着層として作用するため、Cuペーストから形成した導体層の溝部内での密着性が増大し、剥離等の問題が生じることがない。
【0016】
なお、Cuペーストの供給は、例えばスキージ法、ロールコーター法、スプレーコーター法、カーテンコーター法、スリットコーター法、ディップコーター法、グラビアコーター法、及びダイコーター法からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いて行うことができる。これらの方法によれば、Cuペーストの溝部への供給を簡易に行うことができる。
【0017】
この場合、用いる方法によっては、層間絶縁膜上にCu膜残渣が堆積する場合がある。したがって、このような場合においては、適宜研磨処理を行うことによって、層間絶縁膜上のCu膜残渣を研削除去することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、導体層と樹脂絶縁層とをそれぞれ少なくとも一層有する配線基板を製造するに際し、樹脂絶縁層に形成された溝部内に、当該溝部の幅又は直径(面積)に依存することなく、導体層を均一に形成することが可能な新規な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態における配線基板の平面図である。
【図2】同じく、実施形態における配線基板の平面図である。
【図3】図1及び2に示す配線基板をI−I線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【図4】図1及び2に示す配線基板をII−II線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【図5】実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図6】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図7】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図8】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図9】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図10】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図11】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図12】スキージ法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図13】ロールコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図14】スプレーコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図15】カーテンコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図16】スリットコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図17】ディップコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図18】グラビアコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図19】ダイコーダー法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図20】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図21】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図22】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図23】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図24】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0021】
(配線基板)
最初に、本発明の方法に使用する配線基板の構成について説明する。但し、以下に示す配線基板はあくまでも例示であって、導体層と樹脂絶縁層とをそれぞれ少なくとも1層有する配線基板であれば特に限定されるものではない。
【0022】
図1及び2は、本実施形態における配線基板の平面図であり、図1は、前記配線基板を上側から見た場合の状態を示し、図2は、前記配線基板を下側から見た場合の状態を示している。また、図3は、図1及び2に示す前記配線基板をI−I線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図であり、図4は、図1及び2に示す前記配線基板をII−II線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【0023】
図1〜4に示す配線基板1は、耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状コア2の両表面に、所定のパターンに金属配線7aをなすコア導体層M1,M11(単に導体層ともいう)がそれぞれ形成される。これらコア導体層M1,M11は板状コア2の表面の大部分を被覆する面導体パターンとして形成され、電源層または接地層として用いられるものである。
【0024】
他方、板状コア2には、ドリル等により穿設されたスルーホール12が形成され、その内壁面にはコア導体層M1,M11を互いに導通させるスルーホール導体30が形成されている。また、スルーホール12は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。
【0025】
また、コア導体層M1,M11の上層には、必要に応じてシリカフィラー等を含む熱硬化性樹脂組成物6にて構成された第1のビア層(ビルドアップ層:絶縁層)V1,V11がそれぞれ形成されている。さらに、その表面部分にはそれぞれ金属配線7bをなす第1の導体層M2,M12が埋設するようにして形成されている。但し、第1のビア層V1,V11の上面の平面レベルと金属配線7bの上面の平面レベルとは同一であって、金属配線7bの上面は第1のビア層V1,V11から露出している。
【0026】
第1のビア層V1,V11、及び第1の導体層M2,M12の上層には、熱硬化性樹脂組成物6を用いた第2のビア層(ビルドアップ層:絶縁層)V2,V12がそれぞれ形成されている。
【0027】
また、第2のビア層V2及びV12上には、それぞれ金属端子パッド10,17を有する第2の導体層M3,M13が形成されている。
【0028】
コア導体層M1,M11と第1の導体層M2,M12とは、それぞれフィルドビア34−1により層間接続がなされている。ビア34−1は、ビアホール34−1hとこのビアホール34−1hを埋設するようにして設けられたビア導体34−1sと、底面側にてビア導体34−1sと導通するように設けられたビアパッド34−1pと、ビアパッド34−1pと反対側にてビア導体34−1sの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34−1lとを有している。
【0029】
なお、第1の導体層M2,M12(金属配線7b)、並びにビア導体34−1s及びビアランド34−1lは、それぞれ以下に説明する本発明の製造方法に従って製造される。
【0030】
ビア34−1は第1のビア層V1,V11中に埋設されている。但し、ビアランド34−1lの上面の平面レベルと第1のビア層V1,V11の上面の平面レベルとは同一であって、ビアランド34−1lの上面は第1のビア層V1,V11から露出している。
【0031】
第1の導体層M2,M12と第2の導体層M3,M13とは、それぞれフィルドビア34−2により層間接続がなされている。ビア34−2は、ビアホール34−2hと、その内周面に設けられたビア導体34−2sと、ビア導体34−2sの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34−2lとを有しており、ビア導体34−2sは、ビア34−1のビアランド34−1l及び金属配線7bと電気的に接続されている。
【0032】
なお、第2の導体層M3,M13(金属端子パッド10,17)、並びにビア導体34−2s及びビアランド34−2lは、それぞれ以下に説明する本発明の製造方法に従って製造される。
【0033】
以上のように、板状コア2の第1の主面MP1上には、コア導体層M1、第1のビア層V1、第1の導体層M2、第2のビア層V2及び第2の導体層M3が順次に積層され、第1の配線積層部L1を形成している。また、板状コア2の第2の主面MP2上においては、コア導体層M11、第1のビア層V11、第1の導体層M12、第2のビア層V12及び第2の導体層M13が順次に積層され、第2の配線積層部L2を形成している。そして、第1の主表面CP1には複数の金属端子パッド10が形成されており、第2の主表面CP2には、複数の金属端子パッド17が形成されている。
【0034】
さらに、第1の主表面CP1上には開口部8aを有するソルダーレジスト層8が形成されており、開口部8aに露出した金属端子パッド10及びビアランド34−2l上には、無電解メッキによって形成したニッケルと金とを含む積層膜10aが形成されている。また、第2の主表面CP2上にも開口部18aを有するソルダーレジスト層18が形成されており、開口部18aに露出した金属端子パッド17及びビアランド34−2l上にはニッケルと金とを含む積層膜17aが形成されている。但し、積層膜17aを形成することなく、金属端子パッド17及びビアランド34−2lが直接開口部18aに対して露出するようにしてもよい。
【0035】
また、開口部8a内には、たとえばSn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、Sn−Sbなど実質的にPbを含有しないはんだからなる、はんだバンプ11が金属パッド10及びビアランド34−2lと電気的に接続するようにして形成されている。さらに、開口部18a内には図示しないはんだボールやピン等が金属パッド17及びビアランド34−2lと電気的に接続するようにして形成されている。
【0036】
なお、図1〜4から明らかなように、本実施形態における配線基板1は矩形の略板形状を呈しており、その大きさは、例えば約35mm×約35mm×約1mmとすることができる。
【0037】
(配線基板の製造方法)
次に、図1〜4に示す配線基板の製造方法について説明する。図5〜23は、本実施形態の製造方法おける工程図である。なお、以下に示す工程図は、図3に相当する、配線基板のI−I線に沿って切った場合の断面で見た場合の順次の工程を示すものである。
【0038】
最初に、図5に示すように、板形状の耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)または繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)を、コア2として用意し、ドリリング等の方法でスルーホール12を穿孔する。次いで、図6に示すように、パターンメッキによりコア導体層M1,M11およびスルーホール導体30を形成し、スルーホール12に樹脂製穴埋め材31を充填する。
【0039】
次に、コア導体層M1,M11に粗化処理を施したのち、図7に示すように、コア導体層M1,M11を被覆するように樹脂フィルム6をラミネートおよび硬化させて、絶縁層V1,V11を得る。樹脂フィルムは、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0040】
次いで、図8に示すように、絶縁層V1,V11(ビア層)に対してその主表面から炭酸ガスレーザ又はUVガスレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール34−1hを形成し、ビアホール34−1hを含む絶縁層V1及びV11に対して粗化処理を実施する。なお、炭酸ガスレーザ及びUVガスレーザの強度(出力)は、例えば10W〜200Wとする。絶縁層V1及びV11がフィラーを含む場合は、上述のようにして絶縁層V1及びV11に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、絶縁層V1及びV11上に残存するようになるので、適宜水洗浄を実施して、遊離したフィラーを除去する。
【0041】
次いで、デスミア処理及びアウトラインエッチングを実施してビアホール34−1h内を洗浄する。なお、本例では、水洗浄を実施しているので、デスミア工程における水洗浄の際に、上記フィラーの凝集を抑制することができる。
【0042】
また、本例では、上述した高水圧による水洗浄と上記デスミア処理との間に、エアーブローを行うことができる。これによって、上述した水洗浄によって遊離したフィラーが完全に除去されていない場合でも、エアーブローにおいてフィラーの除去を補完することができる。
【0043】
次いで、図9に示すように、絶縁層V1、V11上にそれぞれ開口部41a,41bを有する第1のマスク41及び開口部42a,42bを有する第2のマスク42を配置し、第1のマスク41及び第2のマスク42を介してエキシマレーザを面照射する。すると、図10に示すように、絶縁層V1、V11には、それぞれ第1のマスク41の開口部41a及び第2のマスク42の開口部42aに相当する、金属配線7b用の配線溝6aが形成されるとともに、それぞれ第1のマスク41の開口部41b及び第2のマスク42の開口部42bに相当する、ビアランド34−1l用の溝6bが形成される。なお、エキシマレーザの強度(出力)は、例えば10W〜200Wとする。
【0044】
配線溝6a及び溝6bは、エキシマレーザの面照射によって一括形成されるので、エキシマレーザを点照射した場合のように、点加工に基づく加工エッジ部分の形状がばらついてしまったり、多重照射による複数回の点加工によって、配線溝6a及び溝6bの深さがばらついてしまったりするなどの問題が生じない。その結果、配線溝6a内に形成する金属配線7b及び溝6b内に形成するビアランド34−1lの形状や厚さの変動を抑制することができ、特に配線基板1に形成すべき金属配線7bのインピーダンスが設計値と異なるようになることを防止し、配線基板1の製造歩留まりの低下を抑制することができる。
【0045】
但し、形成しようとする配線基板1の大きさが比較的大きく、多数の配線溝6a及び溝6bを形成しなければならないような場合は、エキシマレーザ及び第1のマスク41、第2のマスク42を適宜移動させて、配線溝6a及び溝6bを絶縁層V1,V11の形成すべき箇所に順次に形成する。
【0046】
なお、配線溝6a及び溝6bは、絶縁層V1,V11を貫通させないようにして形成する。
【0047】
また、本実施形態では、炭酸ガスレーザ又はUVガスレーザでビアホール34−1hを形成した後に、エキシマレーザの面照射によって配線溝6a及び溝6bを形成するようにしている。この際、ビアホール34−1lの底部にもエキシマレーザが照射されるようになるので、底部に残存する絶縁層V1,V11の加工残渣をエキシマレーザによる面照射によって除去してクリーニングすることができる。したがって、例えばデスミア工程における水洗浄及びこれに続くエアブローなどの操作を省略することもできる。
【0048】
なお、ビアホール34−1hは、炭酸ガスレーザ又はUVガスレーザの代わりに、汎用の湿式あるいは乾式のエッチング処理によって形成することもできる。また、配線溝6a及び溝6bは、エキシマレーザの面照射の代わりに、汎用の湿式あるいは乾式のエッチング処理によって形成することもできる。
【0049】
次いで、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペーストを供給して充填し、図11に示すように、ビアホール34−1h内にビア導体34−1sを形成し、配線溝6a、溝6b内に、それぞれ金属配線7b及びビアランド34−1lを形成する。この結果、パターニングされた導体層M2,M12を得ることができる。
【0050】
この場合、配線溝6a及び溝6bは、絶縁層V1,V11を貫通させないようにして形成しているので、特に金属配線7bを絶縁層V1,V11中に埋設するような形態で形成することができる。したがって、金属配線7bが微細化した場合においても脱落等を防止することができる。
【0051】
なお、溝6b内に形成したビアランド34−1lはビアパッド34−1pと電気的に接続され、このビアパッド34−1pは図示しない配線と電気的に接続されているので、ビアランド34−1lも配線(パターン)の一部を構成することになる。したがって、かかる観点より、本実施形態では、溝6bも配線溝の範疇に含まれるものである。
【0052】
Cuペーストの供給は、例えばスキージ法、ロールコーター法、スプレーコーター法、カーテンコーター法、スリットコーター法、ディップコーター法、グラビアコーター法、及びダイコーター法からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いて行うことができる。これらの方法によれば、Cuペーストの溝部への供給を簡易に行うことができる。
【0053】
次に、上述した各方法について説明する。
【0054】
図12は、スキージ法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図12に示すように、スキージ法による場合は、図11に示す積層体の表面にCuペースト41の塊を配置した後、このCuペースト41の塊をスキージ42と呼ばれる板材で積層体の表面上を掃引することにより、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペーストを供給して充填するものである。
【0055】
図13は、ロールコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図13に示すように、ロールコーター法による場合は、一対のローラー45,45と、この一対のローラー45,45のそれぞれに設けられたドクターバー46,46とを有する装置を用い、ドクターバー46,46にCuペースト41を供給した後、ドクターバー46,46から一対のローラー45,45の表面の溝にCuぺースト41を供給するとともに、一対のローラー45,45間に図11に示す積層体を通過させることによって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに一対のローラ−45,45からCuペースト41を供給して充填するものである。
【0056】
図14は、スプレーコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図14に示すように、スプレーコーター法による場合は、Cuペースト供給管52及び混合ガス管53が設けられたノズル51から、Cuペースト供給管52内を搬送されてきたCuペースト41を、混合ガス管53内を流れてきた混合ガスで、図11に示す積層体に向けて噴射させ、積層体を矢印で示す方向に動かすことにより、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41を供給して充填するものである。
【0057】
図15は、カーテンコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図15に示すように、カーテンコーター法による場合は、Cuペースト41が充填されたヘッド部55からCuペースト41を、カーテン状の連続体として、矢印で示す方向に搬送されてきた図11に示す積層体に向けて噴出させ、この積層体に連続的に供給及び塗布して、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに供給し、充填するものである。
【0058】
図16は、スリットコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図16に示すように、スリットコーター法による場合は、長さ方向にスリット57Aが形成されたノズル57を用い、搬送台58によって矢印で示す方向に搬送されてきた図11に示す積層体の幅方向にCuペースト41を噴出させ、この積層体にCuペースト41を供給及び塗布し、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに供給して充填するものである。
【0059】
なお、ノズル57及び搬送台58は、スリットコーターと呼ばれる装置内に備え付けられており、通常は、汎用のスリットコーターを用いれば、図16に示すような工程によって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41が供給され、充填される。
【0060】
図17は、ディップコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。この場合、Cuペースト41の入った容器59に、図11に示す積層体を浸漬させ、この積層体にCuペースト41を塗布することによって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41を供給し、充填するものである。
【0061】
図18は、グラビアコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図18に示すように、グラビアコーター法による場合は、グラビアロール61とバックアップロール62とが対向配置され、グラビアロール61は、その下方に設けられた容器63内に入ったCuペースト41に、その溝部61Aが接触するように構成されたグラビアコーターという装置を用いる。
【0062】
この場合、グラビアロール61及びバックアップロール62間に、図11に示す積層体を配置してこれらロールの回転とともに矢印方向に搬送するとともに、グラビアロール61の溝部61Aに付着したCuペースト41を、積層体の表面に付着塗装し、これによって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41を供給して充填するものである。
【0063】
図19は、ダイコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図19に示すように、ダイコーター法による場合は、長さ方向にリップ65Aが形成されたヘッド65を用い、図示しない搬送台によって矢印で示す方向に搬送されてきた図11に示す積層体の幅方向にCuペースト41を吐出させ、この積層体にCuペースト41を供給及び塗布して、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに供給し、充填するものである。
【0064】
なお、ヘッド65等は、ダイコーターと呼ばれる装置内に備え付けられており、通常は、汎用のダイコーターを用いれば、図19に示すような工程によって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41が供給され、充填される。
【0065】
上述した方法によっては、例えば図12に示すように、絶縁膜V1上にCu膜残渣が堆積する場合がある。したがって、このような場合においては、適宜CMPなどの研磨処理を行うことによって、絶縁膜V1上のCu膜残渣を研削除去することができる。
【0066】
このように、本実施形態では、配線基板1を構成する絶縁層V1に対してビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bを形成した後、これらの溝部に対してCuペーストを供給して充填し、このCuペーストからビア導体34−1s、金属配線7b及びビアランド34−1lを形成するようにしている。すなわち、配線基板1のビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに対して、ビア導体34−1s等の原料となるCuペーストを直接供給かつ充填しているので、ビアホール34−1h等の必要な個所に必要な量のCuペーストを充填することができる。
【0067】
したがって、ビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bの幅又は直径(面積)が大きいような場合においても、これら溝部内に均一にCuペーストを充填することができるので、溝部内の略中央部において凹みが生じるようなことがなく、溝部内に均一にCuペーストからなるビア導体34−1s、金属配線7b及びビアランド34−1lを形成することができる。したがって、ビア導体34−1s、金属配線7b及びビアランド34−1lからなる配線等のインピーダンス等、所望の電気特性を有する配線基板1を簡易に製造することができる。
【0068】
また、ビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bの必要な個所に必要な量のCuペーストを充填できるので、絶縁膜V1上に堆積するCu膜残渣の量を大幅に低減することができ、後のCMP等の研磨加工において研削除去すべきCu膜残渣の量も大幅に減少させることができる。したがって、配線基板1の製造における作業性が向上するとともに、省資源の観点からも好ましい。
【0069】
なお、上述した作用効果は、特にビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bの幅又は直径が100μm以上の場合に、メッキ法を用いて溝部内に導体層を形成する場合と比較すると、顕著になる。
【0070】
また、特に図示しないものの、絶縁層V1に対してビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bを形成した後であって、Cuペーストの供給前において、ビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bに、無電解メッキ等によりCu下地層を形成することができる。この場合、このCu下地層は、ビアホール34−1h等の内部に供給、充填したCuペーストに対して密着層として作用するため、Cuペーストから形成したビア導体34−1s等の、ビアホール34−1h等に対する密着性が増大し、剥離等の問題が生じることがない。
【0071】
次いで、第1の導体層M2,M12に粗化処理を施したのち、図20に示すように、第1の導体層M2,M12を被覆するように樹脂フィルム6をラミネートおよび硬化させて、絶縁層V2,V12を得る。この樹脂フィルムも、上述したように、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0072】
次いで、図21に示すように、絶縁層V2,V12(ビア層)に対してその主表面からレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール34−2hを形成し、ビアホール34−2hを含む絶縁層V2及びV12に対して粗化処理を実施する。絶縁層V2及びV12がフィラーを含む場合は、上述のようにして絶縁層V2及びV12に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、絶縁層V2及びV12上に残存するようになるので、上記同様に適宜水洗浄、エアーブローを行う。次いで、ビアホール34−2hに対して、デスミア処理及び外形エッチング(アウトラインエッチング)を実施してビアホール34−2h内を洗浄する。
【0073】
次いで、図22に示すように、図12〜図19及び段落[0040]〜[0070]に記載した方法と同様の方法によって、ビア導体34−2s、及びビアランド34−2l、金属端子パッド10,17を形成し、パターン化された第2の導体層M3,M13を形成する。
【0074】
その後、図23に示すように、第2の導体層M3,M13上に、レジスト層8及び18をそれぞれ形成し、レジスト塗布、及び露光現像処理を施すことによって、図24に示すように、開口部8a及び18aを形成する。
【0075】
次いで、無電解メッキによって開口部8a及び18aに露出した金属端子パッド10、17、及びビアランド34−2l上に、例えば導体層としての積層膜10a及び17aを形成した後、開口部8aにおいては積層膜10a上にはんだバンプ11が積層膜10aを介して、金属端子パッド10及びビアランド34−2lと電気的に接触するように形成し、図1〜4に示すような配線基板1を得る。
【0076】
以上、本発明を具体例を挙げながら詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0077】
例えば、本実施形態では、図8〜10に示すように、ビアホール34−1hを形成した後、配線溝6a及び溝6bを形成するようにしているが、配線溝6a及び溝6bを形成した後にビアホール34−1hを形成してもよい。但し、この場合は、ビアホール34−1hを形成した際に発生する、ビアホール34−1h底部に残存する絶縁層V1,V11の加工残渣をエキシマレーザによる面照射によって除去してクリーニングすることができない。したがって、デスミア工程における水洗浄及びこれに続くエアブローなどの操作の省略は困難となり、製造工程が多少煩雑化することになる。
【符号の説明】
【0078】
1 配線基板、
M1 コア導体層
V1 第1のビア層
M2 第1の導体層
V2 第2のビア層
M11 コア導体層
V11 第1のビア層
M12 第1の導体層
V12 第2のビア層
6a 配線溝
6b 溝
7a,7b 金属配線
8、18 ソルダーレジスト層
8a、18a 開口部
10a、17a ニッケル/金積層膜
34−1,34−2 ビア
34−1h,34−2h ビアホール
34−1l,34−2l ビアランド
34−1p ビアパッド
34−1s,34−2s ビア導体
41 第1のマスク
42 第2のマスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化及び高速化により、配線の多層化と微細化とが進んでいる。特にロジックデバイスにおいては、トランジスタ特性の高性能化を実現するためには配線の最小ピッチをゲート長に合わせて小さくすることが必須であり、これに伴って微細配線形成の技術は必須の技術的事項となってきている。
【0003】
このような微細配線形成技術としては、従来のAl配線技術に用いてきたドライエッチングの手法に代わり、エッチングを必要としないダマシン法が主流となってきている。ダマシン法には、シングルダマシン法とデュアルダマシン法とがある。
【0004】
シングルダマシン法は、層間絶縁膜に配線となる溝部をレーザ光照射によって形成し、さらに下地膜としてのメタル層を堆積し、その上にCu膜をめっき法によって堆積して配線を形成する。しかしながら、メッキ法は、層間絶縁膜の全体に対して行うため、溝部の幅又は直径(面積)が大きい場合においては、当該溝部の幅方向又は直径方向の略中心部におけるメッキが不十分となり、当該部分においてCu膜に凹みが生じ、溝部内を埋設するようにして均一な厚さのCu膜を形成することができないという問題があった(特許文献1参照)。
【0005】
一方、デュアルダマシン法は、下層配線層との電気的コンタクトをとるビアホールを配線溝と共に同時に形成し、下地層としてのメタル層の堆積、Cu膜の堆積、CMPをそれぞれ1回行い、配線とビア・プラグを同時に形成する手法である。しかしながら、この場合においても、溝部の幅又は直径(面積)が大きい場合においては、当該溝部の幅方向又は直径方向の略中心部におけるメッキが不十分となり、当該部分においてCu膜に凹みが生じ、溝部内を埋設するようにして均一な厚さのCu膜を形成することができないという問題があった(特許文献2参照)。
【0006】
このようにダマシン法では、シングルダマシン法あるいはデュアルダマシン法のいずれにおいても、Cu膜、すなわち配線の形成を、メッキ法を用いて行っているため、層間絶縁膜に形成された溝部の幅又は直径(面積)が大きい場合は、Cu膜の略中央部において凹みが生じてしまい、溝部内に埋設するようにして均一な厚さのCu膜を形成することができず、配線のインピーダンス等、所望の電気特性を有する配線基板を製造することができないという問題があった。
【0007】
一方、溝部の略中心部において凹みが生じないようにCu膜をメッキ法によって厚く形成すると、層間絶縁膜上に堆積したCu膜残渣の量が増大し、後の研磨加工において研削除去すべきCu膜残渣の量も増大するため、配線基板の製造における作業性が低下するとともに、省資源の観点からも好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−116135号
【特許文献2】特開2006−49804号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、導体層と樹脂絶縁層とをそれぞれ少なくとも一層有する配線基板を製造するに際し、樹脂絶縁層に形成された溝部内に、当該溝部の幅又は直径(面積)に依存することなく、導体層を均一に形成することが可能な新規な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明は、
導体層と樹脂絶縁層とがそれぞれ少なくとも1層積層されてなる配線基板の製造方法であって、
前記樹脂絶縁層の主面側に溝部を形成する溝部形成工程と、
前記溝部及び前記樹脂絶縁層の主面上にCuペーストを供給し、このCuペーストから前記導体層を形成するCuペースト供給工程と、
を備えることを特徴とする、配線基板の製造方法に関する。
【0011】
本発明によれば、配線基板を構成する樹脂絶縁層に対して溝部を形成した後、この溝部に対してCuペーストを供給して充填し、このCuペーストから配線等を構成する導体層を形成するようにしている。すなわち、配線基板の樹脂絶縁層に形成した溝部に対して、導体層の原料となるCuペーストを直接供給かつ充填しているので、溝部の必要な個所に必要な量のCuペーストを充填することができる。
【0012】
したがって、溝部の幅又は直径(面積)が大きいような場合においても、溝部内に均一にCuペーストを充填することができるので、溝部内の略中央部において凹みが生じるようなことがなく、溝部内に均一にCuペーストからなる導体層を形成することができる。したがって、導体層からなる配線等のインピーダンス等、所望の電気特性を有する配線基板を簡易に製造することができる。
【0013】
また、溝部内の必要な個所に必要な量のCuペーストを充填できるので、層間絶縁膜上に堆積するCu膜残渣の量を大幅に低減することができ、後の研磨加工において研削除去すべきCu膜残渣の量も大幅に減少させることができる。したがって、配線基板の製造における作業性が向上するとともに、省資源の観点からも好ましい。
【0014】
なお、本発明の作用効果は、特に溝部の幅又は直径が100μm以上の場合に、メッキ法を用いて溝部内に導体層を形成する場合と比較し、顕著になる。
【0015】
本発明の一例においては、溝部形成工程の後であって、Cuペースト供給工程の前に、溝部内にCu下地層を形成する下地層形成工程を備えることができる。この場合、このCu下地層は、溝内に供給、充填したCuペースト、すなわち導体層に対して密着層として作用するため、Cuペーストから形成した導体層の溝部内での密着性が増大し、剥離等の問題が生じることがない。
【0016】
なお、Cuペーストの供給は、例えばスキージ法、ロールコーター法、スプレーコーター法、カーテンコーター法、スリットコーター法、ディップコーター法、グラビアコーター法、及びダイコーター法からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いて行うことができる。これらの方法によれば、Cuペーストの溝部への供給を簡易に行うことができる。
【0017】
この場合、用いる方法によっては、層間絶縁膜上にCu膜残渣が堆積する場合がある。したがって、このような場合においては、適宜研磨処理を行うことによって、層間絶縁膜上のCu膜残渣を研削除去することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、導体層と樹脂絶縁層とをそれぞれ少なくとも一層有する配線基板を製造するに際し、樹脂絶縁層に形成された溝部内に、当該溝部の幅又は直径(面積)に依存することなく、導体層を均一に形成することが可能な新規な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態における配線基板の平面図である。
【図2】同じく、実施形態における配線基板の平面図である。
【図3】図1及び2に示す配線基板をI−I線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【図4】図1及び2に示す配線基板をII−II線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【図5】実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図6】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図7】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図8】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図9】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図10】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図11】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図12】スキージ法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図13】ロールコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図14】スプレーコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図15】カーテンコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図16】スリットコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図17】ディップコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図18】グラビアコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図19】ダイコーダー法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。
【図20】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図21】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図22】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図23】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【図24】同じく、実施形態における配線基板の製造方法における一工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0021】
(配線基板)
最初に、本発明の方法に使用する配線基板の構成について説明する。但し、以下に示す配線基板はあくまでも例示であって、導体層と樹脂絶縁層とをそれぞれ少なくとも1層有する配線基板であれば特に限定されるものではない。
【0022】
図1及び2は、本実施形態における配線基板の平面図であり、図1は、前記配線基板を上側から見た場合の状態を示し、図2は、前記配線基板を下側から見た場合の状態を示している。また、図3は、図1及び2に示す前記配線基板をI−I線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図であり、図4は、図1及び2に示す前記配線基板をII−II線に沿って切った場合の断面の一部を拡大して示す図である。
【0023】
図1〜4に示す配線基板1は、耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)や、繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)等で構成された板状コア2の両表面に、所定のパターンに金属配線7aをなすコア導体層M1,M11(単に導体層ともいう)がそれぞれ形成される。これらコア導体層M1,M11は板状コア2の表面の大部分を被覆する面導体パターンとして形成され、電源層または接地層として用いられるものである。
【0024】
他方、板状コア2には、ドリル等により穿設されたスルーホール12が形成され、その内壁面にはコア導体層M1,M11を互いに導通させるスルーホール導体30が形成されている。また、スルーホール12は、エポキシ樹脂等の樹脂製穴埋め材31により充填されている。
【0025】
また、コア導体層M1,M11の上層には、必要に応じてシリカフィラー等を含む熱硬化性樹脂組成物6にて構成された第1のビア層(ビルドアップ層:絶縁層)V1,V11がそれぞれ形成されている。さらに、その表面部分にはそれぞれ金属配線7bをなす第1の導体層M2,M12が埋設するようにして形成されている。但し、第1のビア層V1,V11の上面の平面レベルと金属配線7bの上面の平面レベルとは同一であって、金属配線7bの上面は第1のビア層V1,V11から露出している。
【0026】
第1のビア層V1,V11、及び第1の導体層M2,M12の上層には、熱硬化性樹脂組成物6を用いた第2のビア層(ビルドアップ層:絶縁層)V2,V12がそれぞれ形成されている。
【0027】
また、第2のビア層V2及びV12上には、それぞれ金属端子パッド10,17を有する第2の導体層M3,M13が形成されている。
【0028】
コア導体層M1,M11と第1の導体層M2,M12とは、それぞれフィルドビア34−1により層間接続がなされている。ビア34−1は、ビアホール34−1hとこのビアホール34−1hを埋設するようにして設けられたビア導体34−1sと、底面側にてビア導体34−1sと導通するように設けられたビアパッド34−1pと、ビアパッド34−1pと反対側にてビア導体34−1sの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34−1lとを有している。
【0029】
なお、第1の導体層M2,M12(金属配線7b)、並びにビア導体34−1s及びビアランド34−1lは、それぞれ以下に説明する本発明の製造方法に従って製造される。
【0030】
ビア34−1は第1のビア層V1,V11中に埋設されている。但し、ビアランド34−1lの上面の平面レベルと第1のビア層V1,V11の上面の平面レベルとは同一であって、ビアランド34−1lの上面は第1のビア層V1,V11から露出している。
【0031】
第1の導体層M2,M12と第2の導体層M3,M13とは、それぞれフィルドビア34−2により層間接続がなされている。ビア34−2は、ビアホール34−2hと、その内周面に設けられたビア導体34−2sと、ビア導体34−2sの開口周縁から外向きに張り出すビアランド34−2lとを有しており、ビア導体34−2sは、ビア34−1のビアランド34−1l及び金属配線7bと電気的に接続されている。
【0032】
なお、第2の導体層M3,M13(金属端子パッド10,17)、並びにビア導体34−2s及びビアランド34−2lは、それぞれ以下に説明する本発明の製造方法に従って製造される。
【0033】
以上のように、板状コア2の第1の主面MP1上には、コア導体層M1、第1のビア層V1、第1の導体層M2、第2のビア層V2及び第2の導体層M3が順次に積層され、第1の配線積層部L1を形成している。また、板状コア2の第2の主面MP2上においては、コア導体層M11、第1のビア層V11、第1の導体層M12、第2のビア層V12及び第2の導体層M13が順次に積層され、第2の配線積層部L2を形成している。そして、第1の主表面CP1には複数の金属端子パッド10が形成されており、第2の主表面CP2には、複数の金属端子パッド17が形成されている。
【0034】
さらに、第1の主表面CP1上には開口部8aを有するソルダーレジスト層8が形成されており、開口部8aに露出した金属端子パッド10及びビアランド34−2l上には、無電解メッキによって形成したニッケルと金とを含む積層膜10aが形成されている。また、第2の主表面CP2上にも開口部18aを有するソルダーレジスト層18が形成されており、開口部18aに露出した金属端子パッド17及びビアランド34−2l上にはニッケルと金とを含む積層膜17aが形成されている。但し、積層膜17aを形成することなく、金属端子パッド17及びビアランド34−2lが直接開口部18aに対して露出するようにしてもよい。
【0035】
また、開口部8a内には、たとえばSn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、Sn−Sbなど実質的にPbを含有しないはんだからなる、はんだバンプ11が金属パッド10及びビアランド34−2lと電気的に接続するようにして形成されている。さらに、開口部18a内には図示しないはんだボールやピン等が金属パッド17及びビアランド34−2lと電気的に接続するようにして形成されている。
【0036】
なお、図1〜4から明らかなように、本実施形態における配線基板1は矩形の略板形状を呈しており、その大きさは、例えば約35mm×約35mm×約1mmとすることができる。
【0037】
(配線基板の製造方法)
次に、図1〜4に示す配線基板の製造方法について説明する。図5〜23は、本実施形態の製造方法おける工程図である。なお、以下に示す工程図は、図3に相当する、配線基板のI−I線に沿って切った場合の断面で見た場合の順次の工程を示すものである。
【0038】
最初に、図5に示すように、板形状の耐熱性樹脂板(たとえばビスマレイミド−トリアジン樹脂板)または繊維強化樹脂板(たとえばガラス繊維強化エポキシ樹脂)を、コア2として用意し、ドリリング等の方法でスルーホール12を穿孔する。次いで、図6に示すように、パターンメッキによりコア導体層M1,M11およびスルーホール導体30を形成し、スルーホール12に樹脂製穴埋め材31を充填する。
【0039】
次に、コア導体層M1,M11に粗化処理を施したのち、図7に示すように、コア導体層M1,M11を被覆するように樹脂フィルム6をラミネートおよび硬化させて、絶縁層V1,V11を得る。樹脂フィルムは、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0040】
次いで、図8に示すように、絶縁層V1,V11(ビア層)に対してその主表面から炭酸ガスレーザ又はUVガスレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール34−1hを形成し、ビアホール34−1hを含む絶縁層V1及びV11に対して粗化処理を実施する。なお、炭酸ガスレーザ及びUVガスレーザの強度(出力)は、例えば10W〜200Wとする。絶縁層V1及びV11がフィラーを含む場合は、上述のようにして絶縁層V1及びV11に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、絶縁層V1及びV11上に残存するようになるので、適宜水洗浄を実施して、遊離したフィラーを除去する。
【0041】
次いで、デスミア処理及びアウトラインエッチングを実施してビアホール34−1h内を洗浄する。なお、本例では、水洗浄を実施しているので、デスミア工程における水洗浄の際に、上記フィラーの凝集を抑制することができる。
【0042】
また、本例では、上述した高水圧による水洗浄と上記デスミア処理との間に、エアーブローを行うことができる。これによって、上述した水洗浄によって遊離したフィラーが完全に除去されていない場合でも、エアーブローにおいてフィラーの除去を補完することができる。
【0043】
次いで、図9に示すように、絶縁層V1、V11上にそれぞれ開口部41a,41bを有する第1のマスク41及び開口部42a,42bを有する第2のマスク42を配置し、第1のマスク41及び第2のマスク42を介してエキシマレーザを面照射する。すると、図10に示すように、絶縁層V1、V11には、それぞれ第1のマスク41の開口部41a及び第2のマスク42の開口部42aに相当する、金属配線7b用の配線溝6aが形成されるとともに、それぞれ第1のマスク41の開口部41b及び第2のマスク42の開口部42bに相当する、ビアランド34−1l用の溝6bが形成される。なお、エキシマレーザの強度(出力)は、例えば10W〜200Wとする。
【0044】
配線溝6a及び溝6bは、エキシマレーザの面照射によって一括形成されるので、エキシマレーザを点照射した場合のように、点加工に基づく加工エッジ部分の形状がばらついてしまったり、多重照射による複数回の点加工によって、配線溝6a及び溝6bの深さがばらついてしまったりするなどの問題が生じない。その結果、配線溝6a内に形成する金属配線7b及び溝6b内に形成するビアランド34−1lの形状や厚さの変動を抑制することができ、特に配線基板1に形成すべき金属配線7bのインピーダンスが設計値と異なるようになることを防止し、配線基板1の製造歩留まりの低下を抑制することができる。
【0045】
但し、形成しようとする配線基板1の大きさが比較的大きく、多数の配線溝6a及び溝6bを形成しなければならないような場合は、エキシマレーザ及び第1のマスク41、第2のマスク42を適宜移動させて、配線溝6a及び溝6bを絶縁層V1,V11の形成すべき箇所に順次に形成する。
【0046】
なお、配線溝6a及び溝6bは、絶縁層V1,V11を貫通させないようにして形成する。
【0047】
また、本実施形態では、炭酸ガスレーザ又はUVガスレーザでビアホール34−1hを形成した後に、エキシマレーザの面照射によって配線溝6a及び溝6bを形成するようにしている。この際、ビアホール34−1lの底部にもエキシマレーザが照射されるようになるので、底部に残存する絶縁層V1,V11の加工残渣をエキシマレーザによる面照射によって除去してクリーニングすることができる。したがって、例えばデスミア工程における水洗浄及びこれに続くエアブローなどの操作を省略することもできる。
【0048】
なお、ビアホール34−1hは、炭酸ガスレーザ又はUVガスレーザの代わりに、汎用の湿式あるいは乾式のエッチング処理によって形成することもできる。また、配線溝6a及び溝6bは、エキシマレーザの面照射の代わりに、汎用の湿式あるいは乾式のエッチング処理によって形成することもできる。
【0049】
次いで、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペーストを供給して充填し、図11に示すように、ビアホール34−1h内にビア導体34−1sを形成し、配線溝6a、溝6b内に、それぞれ金属配線7b及びビアランド34−1lを形成する。この結果、パターニングされた導体層M2,M12を得ることができる。
【0050】
この場合、配線溝6a及び溝6bは、絶縁層V1,V11を貫通させないようにして形成しているので、特に金属配線7bを絶縁層V1,V11中に埋設するような形態で形成することができる。したがって、金属配線7bが微細化した場合においても脱落等を防止することができる。
【0051】
なお、溝6b内に形成したビアランド34−1lはビアパッド34−1pと電気的に接続され、このビアパッド34−1pは図示しない配線と電気的に接続されているので、ビアランド34−1lも配線(パターン)の一部を構成することになる。したがって、かかる観点より、本実施形態では、溝6bも配線溝の範疇に含まれるものである。
【0052】
Cuペーストの供給は、例えばスキージ法、ロールコーター法、スプレーコーター法、カーテンコーター法、スリットコーター法、ディップコーター法、グラビアコーター法、及びダイコーター法からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いて行うことができる。これらの方法によれば、Cuペーストの溝部への供給を簡易に行うことができる。
【0053】
次に、上述した各方法について説明する。
【0054】
図12は、スキージ法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図12に示すように、スキージ法による場合は、図11に示す積層体の表面にCuペースト41の塊を配置した後、このCuペースト41の塊をスキージ42と呼ばれる板材で積層体の表面上を掃引することにより、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペーストを供給して充填するものである。
【0055】
図13は、ロールコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図13に示すように、ロールコーター法による場合は、一対のローラー45,45と、この一対のローラー45,45のそれぞれに設けられたドクターバー46,46とを有する装置を用い、ドクターバー46,46にCuペースト41を供給した後、ドクターバー46,46から一対のローラー45,45の表面の溝にCuぺースト41を供給するとともに、一対のローラー45,45間に図11に示す積層体を通過させることによって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに一対のローラ−45,45からCuペースト41を供給して充填するものである。
【0056】
図14は、スプレーコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図14に示すように、スプレーコーター法による場合は、Cuペースト供給管52及び混合ガス管53が設けられたノズル51から、Cuペースト供給管52内を搬送されてきたCuペースト41を、混合ガス管53内を流れてきた混合ガスで、図11に示す積層体に向けて噴射させ、積層体を矢印で示す方向に動かすことにより、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41を供給して充填するものである。
【0057】
図15は、カーテンコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図15に示すように、カーテンコーター法による場合は、Cuペースト41が充填されたヘッド部55からCuペースト41を、カーテン状の連続体として、矢印で示す方向に搬送されてきた図11に示す積層体に向けて噴出させ、この積層体に連続的に供給及び塗布して、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに供給し、充填するものである。
【0058】
図16は、スリットコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図16に示すように、スリットコーター法による場合は、長さ方向にスリット57Aが形成されたノズル57を用い、搬送台58によって矢印で示す方向に搬送されてきた図11に示す積層体の幅方向にCuペースト41を噴出させ、この積層体にCuペースト41を供給及び塗布し、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに供給して充填するものである。
【0059】
なお、ノズル57及び搬送台58は、スリットコーターと呼ばれる装置内に備え付けられており、通常は、汎用のスリットコーターを用いれば、図16に示すような工程によって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41が供給され、充填される。
【0060】
図17は、ディップコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。この場合、Cuペースト41の入った容器59に、図11に示す積層体を浸漬させ、この積層体にCuペースト41を塗布することによって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41を供給し、充填するものである。
【0061】
図18は、グラビアコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図18に示すように、グラビアコーター法による場合は、グラビアロール61とバックアップロール62とが対向配置され、グラビアロール61は、その下方に設けられた容器63内に入ったCuペースト41に、その溝部61Aが接触するように構成されたグラビアコーターという装置を用いる。
【0062】
この場合、グラビアロール61及びバックアップロール62間に、図11に示す積層体を配置してこれらロールの回転とともに矢印方向に搬送するとともに、グラビアロール61の溝部61Aに付着したCuペースト41を、積層体の表面に付着塗装し、これによって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41を供給して充填するものである。
【0063】
図19は、ダイコーター法によってCuペーストを供給する場合の工程を簡略に示す図である。図19に示すように、ダイコーター法による場合は、長さ方向にリップ65Aが形成されたヘッド65を用い、図示しない搬送台によって矢印で示す方向に搬送されてきた図11に示す積層体の幅方向にCuペースト41を吐出させ、この積層体にCuペースト41を供給及び塗布して、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに供給し、充填するものである。
【0064】
なお、ヘッド65等は、ダイコーターと呼ばれる装置内に備え付けられており、通常は、汎用のダイコーターを用いれば、図19に示すような工程によって、ビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bにCuペースト41が供給され、充填される。
【0065】
上述した方法によっては、例えば図12に示すように、絶縁膜V1上にCu膜残渣が堆積する場合がある。したがって、このような場合においては、適宜CMPなどの研磨処理を行うことによって、絶縁膜V1上のCu膜残渣を研削除去することができる。
【0066】
このように、本実施形態では、配線基板1を構成する絶縁層V1に対してビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bを形成した後、これらの溝部に対してCuペーストを供給して充填し、このCuペーストからビア導体34−1s、金属配線7b及びビアランド34−1lを形成するようにしている。すなわち、配線基板1のビアホール34−1h、配線溝6a及び溝6bに対して、ビア導体34−1s等の原料となるCuペーストを直接供給かつ充填しているので、ビアホール34−1h等の必要な個所に必要な量のCuペーストを充填することができる。
【0067】
したがって、ビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bの幅又は直径(面積)が大きいような場合においても、これら溝部内に均一にCuペーストを充填することができるので、溝部内の略中央部において凹みが生じるようなことがなく、溝部内に均一にCuペーストからなるビア導体34−1s、金属配線7b及びビアランド34−1lを形成することができる。したがって、ビア導体34−1s、金属配線7b及びビアランド34−1lからなる配線等のインピーダンス等、所望の電気特性を有する配線基板1を簡易に製造することができる。
【0068】
また、ビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bの必要な個所に必要な量のCuペーストを充填できるので、絶縁膜V1上に堆積するCu膜残渣の量を大幅に低減することができ、後のCMP等の研磨加工において研削除去すべきCu膜残渣の量も大幅に減少させることができる。したがって、配線基板1の製造における作業性が向上するとともに、省資源の観点からも好ましい。
【0069】
なお、上述した作用効果は、特にビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bの幅又は直径が100μm以上の場合に、メッキ法を用いて溝部内に導体層を形成する場合と比較すると、顕著になる。
【0070】
また、特に図示しないものの、絶縁層V1に対してビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bを形成した後であって、Cuペーストの供給前において、ビアホール34−1h、配線溝6a、溝6bに、無電解メッキ等によりCu下地層を形成することができる。この場合、このCu下地層は、ビアホール34−1h等の内部に供給、充填したCuペーストに対して密着層として作用するため、Cuペーストから形成したビア導体34−1s等の、ビアホール34−1h等に対する密着性が増大し、剥離等の問題が生じることがない。
【0071】
次いで、第1の導体層M2,M12に粗化処理を施したのち、図20に示すように、第1の導体層M2,M12を被覆するように樹脂フィルム6をラミネートおよび硬化させて、絶縁層V2,V12を得る。この樹脂フィルムも、上述したように、必要に応じてフィラーを含んでいてもよい。
【0072】
次いで、図21に示すように、絶縁層V2,V12(ビア層)に対してその主表面からレーザを照射し、所定のパターンにてビアホール34−2hを形成し、ビアホール34−2hを含む絶縁層V2及びV12に対して粗化処理を実施する。絶縁層V2及びV12がフィラーを含む場合は、上述のようにして絶縁層V2及びV12に対して粗化処理を施すと、フィラーが遊離して、絶縁層V2及びV12上に残存するようになるので、上記同様に適宜水洗浄、エアーブローを行う。次いで、ビアホール34−2hに対して、デスミア処理及び外形エッチング(アウトラインエッチング)を実施してビアホール34−2h内を洗浄する。
【0073】
次いで、図22に示すように、図12〜図19及び段落[0040]〜[0070]に記載した方法と同様の方法によって、ビア導体34−2s、及びビアランド34−2l、金属端子パッド10,17を形成し、パターン化された第2の導体層M3,M13を形成する。
【0074】
その後、図23に示すように、第2の導体層M3,M13上に、レジスト層8及び18をそれぞれ形成し、レジスト塗布、及び露光現像処理を施すことによって、図24に示すように、開口部8a及び18aを形成する。
【0075】
次いで、無電解メッキによって開口部8a及び18aに露出した金属端子パッド10、17、及びビアランド34−2l上に、例えば導体層としての積層膜10a及び17aを形成した後、開口部8aにおいては積層膜10a上にはんだバンプ11が積層膜10aを介して、金属端子パッド10及びビアランド34−2lと電気的に接触するように形成し、図1〜4に示すような配線基板1を得る。
【0076】
以上、本発明を具体例を挙げながら詳細に説明してきたが、本発明は上記内容に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【0077】
例えば、本実施形態では、図8〜10に示すように、ビアホール34−1hを形成した後、配線溝6a及び溝6bを形成するようにしているが、配線溝6a及び溝6bを形成した後にビアホール34−1hを形成してもよい。但し、この場合は、ビアホール34−1hを形成した際に発生する、ビアホール34−1h底部に残存する絶縁層V1,V11の加工残渣をエキシマレーザによる面照射によって除去してクリーニングすることができない。したがって、デスミア工程における水洗浄及びこれに続くエアブローなどの操作の省略は困難となり、製造工程が多少煩雑化することになる。
【符号の説明】
【0078】
1 配線基板、
M1 コア導体層
V1 第1のビア層
M2 第1の導体層
V2 第2のビア層
M11 コア導体層
V11 第1のビア層
M12 第1の導体層
V12 第2のビア層
6a 配線溝
6b 溝
7a,7b 金属配線
8、18 ソルダーレジスト層
8a、18a 開口部
10a、17a ニッケル/金積層膜
34−1,34−2 ビア
34−1h,34−2h ビアホール
34−1l,34−2l ビアランド
34−1p ビアパッド
34−1s,34−2s ビア導体
41 第1のマスク
42 第2のマスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層と樹脂絶縁層とがそれぞれ少なくとも1層積層されてなる配線基板の製造方法であって、
前記樹脂絶縁層の主面側に溝部を形成する溝部形成工程と、
前記溝部及び前記樹脂絶縁層の主面上にCuペーストを供給し、このCuペーストから前記導体層を形成するCuペースト供給工程と、
を備えることを特徴とする、配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記溝部形成工程の後であって、前記Cuペースト供給工程の前に、前記溝部内にCu下地層を形成する下地層形成工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記Cuペースト供給工程において、スキージ法、ロールコーター法、スプレーコーター法、カーテンコーター法、スリットコーター法、ディップコーター法、グラビアコーター法、及びダイコーター法からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることによって前記Cuペーストを前記溝部内に充填することを特徴とする、請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記溝部の幅又は直径が100μm以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記Cuペースト供給工程において、前記樹脂絶縁層の主面上に供給された前記Cuペーストを研磨することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項1】
導体層と樹脂絶縁層とがそれぞれ少なくとも1層積層されてなる配線基板の製造方法であって、
前記樹脂絶縁層の主面側に溝部を形成する溝部形成工程と、
前記溝部及び前記樹脂絶縁層の主面上にCuペーストを供給し、このCuペーストから前記導体層を形成するCuペースト供給工程と、
を備えることを特徴とする、配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記溝部形成工程の後であって、前記Cuペースト供給工程の前に、前記溝部内にCu下地層を形成する下地層形成工程を備えることを特徴とする、請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記Cuペースト供給工程において、スキージ法、ロールコーター法、スプレーコーター法、カーテンコーター法、スリットコーター法、ディップコーター法、グラビアコーター法、及びダイコーター法からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることによって前記Cuペーストを前記溝部内に充填することを特徴とする、請求項1又は2に記載の配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記溝部の幅又は直径が100μm以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記Cuペースト供給工程において、前記樹脂絶縁層の主面上に供給された前記Cuペーストを研磨することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−99768(P2012−99768A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248562(P2010−248562)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
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