配線接続管理システム
【課題】
操作盤等への配線接続にICタグを活用して、配線接続管理を行い正確な配線接続と作業進度管理を可能とする。
【解決手段】
本発明に係わるICタグを活用した配線接続管理装置とシステムに於いては、多芯ケーブル11の内にある全てのケーブルの両端に、ICタグ機能を有するケーブルICタグ2を取り付け、前記ケーブルICタグ2からID情報を読み取り可能な装置1を備え、そして、1本の内ケーブルの両端にあることを確認し、前記ケーブルICタグ2のID情報を読み取る。読み取られたICタグのID情報と図面のケーブルID情報を関連付ける。更に接続ターミナル6に内ケーブル7を固定後、前記ケーブルICタグ情報を読み取り、設計指示どおりの作業がなされたか判定可能な機能を備えたものである。
操作盤等への配線接続にICタグを活用して、配線接続管理を行い正確な配線接続と作業進度管理を可能とする。
【解決手段】
本発明に係わるICタグを活用した配線接続管理装置とシステムに於いては、多芯ケーブル11の内にある全てのケーブルの両端に、ICタグ機能を有するケーブルICタグ2を取り付け、前記ケーブルICタグ2からID情報を読み取り可能な装置1を備え、そして、1本の内ケーブルの両端にあることを確認し、前記ケーブルICタグ2のID情報を読み取る。読み取られたICタグのID情報と図面のケーブルID情報を関連付ける。更に接続ターミナル6に内ケーブル7を固定後、前記ケーブルICタグ情報を読み取り、設計指示どおりの作業がなされたか判定可能な機能を備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型発電所、製鉄所、化学プラントなどの工場施設、及び鉄道、大型建築物で機器を運転する各種動力やセンサーと制御盤等を接続する配線作業に於いて、ICタグを活用して配線接続管理を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケーブルの端末や中間部にICタグを取り付け、認識を容易にすることが述べられている。
【0003】
又、特許文献2には、建物の床や壁などに埋め込まれたケーブルがケーブル本体とケーブル両端に取り付けられたコネクターで構成され、そのケーブル本体の両端にICタグを取り付け、そのICタグ情報を読み取ることで、壁などに埋め込まれていても他端のケーブルがどれに繋がっているかを把握することも述べられている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−203527号公報
【特許文献2】特開2005−228689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大型の工場での機器を運転する各種動力やセンサーと図1、2に示す制御盤17等を接続する配線作業に於いては、1本のケーブル11の中に複数本のおのおのが被覆された内ケーブル7を有する多芯ケーブルが使われている。この内ケーブル7はそれぞれの相手機器の所定の端子に接続しなければならないので、それぞれの内ケーブル7にはケーブルIDを持つことが必要となる。現在このケーブルIDを正確に設定し、図示と違わないケーブル接続に多くの時間を必要としている。
【0006】
その理由は、ケーブル接続作業で作業ミスを発生させない為である。設備を建設し、試運転する時、ケーブル接続に間違いが有ると、電気を通す(通電)前に発見して、間違いを直さないと、モーターが逆に回転したり、装置が破損したりする恐れがある。
【0007】
従来は電気を通す(通電)前に配線を完了した内ケーブル7の接続1箇所毎に、微弱な電流を流して、導通により、図面に指示された所定の接続がなされているのを確認している。作業の確認の為に多くの時間を必要とする。
【0008】
又、何万本もあるケーブルの接続が、工事全体の作業量の中でどの程度完了したか、日々正確に把握して作業進度を把握する必要があるが、作業が細かく、見えないので正確な作業進度を把握することが困難であった。
【0009】
大規模な施設建設現場において、多くの現地作業員を雇用して建設を行うのであるが、作業者それぞれの作業に対する熟練度に差が出る。このような差は、作業品質低下に繋がるが、同じ作業者が繰り返し、同じミスを発生させることが多い。作業ミス防止の為、労働者管理、報告が必要であるが、どの作業を、どの作業者が担当したか、試運転段階になって把握することは困難で、改善することは難しい。
【0010】
本発明では、多くの機器を広い敷地内に配置し、その機器から離れた場所にある制御盤や機器間配線に於いて、配線を正確に接続する為に、ケーブル11内の内ケーブル7に正確にケーブルIDを記録にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的には、次の手段により解決できる。
【0012】
1本のケーブルに複数の内ケーブルを有する多芯ケーブルの接続作業に於いて、多芯ケーブル内のそれぞれのケーブル両端に固有のID情報を無線送信することが出来る機能を備えたケーブルICタグを取り付け、ケーブル接続作業前に前記ICタグに与えられたID情報を読み取り、同時に図面に記載されたケーブルIDと関連付けを行うことを可能とした。
【0013】
更に、内ケーブルの両端に設けられたケーブルICタグからケーブル接続作業後、各ケーブルのID情報を読取装置を用いて受信し、図面に記載されたケーブルIDと対比して、ケーブル接続の正、誤の判定を可能とした。
【0014】
更に既に接続済みのケーブルにケーブルICタグが取り付けられている場合は、既設ケーブルと接続する内ケーブルの両方のID情報を読み取り、図面に記載されたケーブルIDと対比して、ケーブル接続の正、誤の判定を可能とした。
【0015】
更に、内ケーブルの両端に設けられたケーブルICタグからの接続作業情報を読取装置を用いて受信し、作業管理センターへ送信し、配線工事の工事進度管理、工事品質管理に活用することを可能とした。
【0016】
又、ケーブルICタグを接続作業後、読取装置でより読み取りやすくする為に、ケーブルの両端に設けられたケーブルICタグの内径側に、ケーブル外周を一定の力で押し付け出来る弾性機能を持たせ、ICタグが常に一定の方向を向いて維持されるようにした。
【発明の効果】
【0017】
作業者が、作業完了ごとに図面のケーブルIDと比較し、ケーブル接続の正、誤を確認することが可能となるため、作業の正確さが大きく向上する。
【0018】
検査員の再確認が不要となる為、作業全体のコスト、作業期間短縮が可能となる。
【0019】
作業完了ごとに、情報を作業管理センターに伝達するので、日々の作業進度などを正確に管理することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図2に示すように、一般に工場などの設備に電力を供給し、制御信号を伝達する為に制御盤17が用いられている。この制御盤17にはケーブル11と接続する為の多数の接続ターミナル6を有する。この接続ターミナル6に図面に指示された接続ターミナル6のIDを認識するためのタグを貼り付けるものである。このタグには非接触で接続ターミナル6の固有ID(今後ターミナル番号と称する)を持つICタグが埋め込まれている。このタグをターミナルICタグ14と称する。
【0021】
次に、工場などの各場所に設置された動力装置18やセンサーなどの機器から接続されたケーブル11が多数制御盤17などに配線される。これらの動力装置18と制御盤17とは、通常相当離れた場所に設置されているので、ケーブル11両端を同時に確認しながら接続作業をすることが困難になる。又、配線作業を少しでも軽減するため、1本のケーブル11の中に多数の内ケーブル7を持つ多芯ケーブル11で接続することが多い。
【0022】
一般に多芯ケーブル11の中に含まれる複数の配線は目的のターミナルに正しく接続されるように、内ケーブル7の被覆色が色分けされている。又、接続作業を行う為に、作業者がどの多芯ケーブル11のどの内ケーブル7を接続ターミナル6のどこの場所に接続すればよいか、指示された図面を準備している。
【0023】
この図面には、更に内ケーブル7毎にケーブルのIDを認識するための線番が表示されている。この線番をケーブルの両端に内ケーブル7それぞれにケーブル表面の色を基にしてケーブルIDを取り付ける。今まではこのケーブルIDを表示するため、内ケーブル7に穴の開いた短い円管を挿入していた。この円管を通称、線番カラー10と称する。図1のように、この線番カラー10の表面に数字文字が印刷されていて、三桁のケーブルIDの場合3種類の数字の印刷された線番カラー10を挿入し、ケーブルIDを線番カラー10表面の番号で確認出来るようにしていた。
【0024】
この線番カラー10の代わりに、内ケーブル7に取り付ける固有IDを記憶したICタグ3が埋め込まれているタグをケーブルICタグ2と称する。ケーブルICタグ2の穴を利用し内ケーブル7をそれぞれに挿入する。
【0025】
図10に示すように、隣の内ケーブル7のケーブルICタグ2からの電波を間違って読み取るのを避けるため、ケーブルICタグ2は近距離の電波発信能力を有する2.45GHz帯などの指向性の強いICタグ3が埋め込まれているのが望ましい。その為、2.45GHz帯などの指向性が強く、近距離型ICタグ3の場合、読み込み装置15とICタグ3が対面出来るように、常にICタグ3は正面を向いて、位置決め出来るようにしなければならない。その為、ケーブルICタグ2の内径側に軽い弾性力を持たせ、内ケーブル7を外側からホールド出来る機能を持たせると良い。図10では、ケーブルICタグ2にゴム性の材質で作られた、楕円形状の管体がより偏平に戻る力を用いて内ケーブル7外形をホールドする構造を有している。
【0026】
このような構造を有することにより、内ケーブル7外形とケーブルICタグ2内径間に多少の寸法差があっても、同じ形状のケーブルICタグ2を使用することが出来る。今まで使用されている線番カラー10のように、内ケーブル7外形と線番カラー10内径間に隙間があると、ケーブルICタグ2が容易に回転してしまい、ICタグ3の位置が不一致となり、読み込み装置15で容易に読み込みが出来ない恐れがある。ケーブル7外周への小さな押し付け力を確保するのに、楕円形状の管体がより偏平に戻る力を用いる手段を述べたが、それ以外の手段でも同じような機能を持たせることが出来る。
【0027】
図6に示すように、制御盤側から機器側までケーブル11を敷設後、ケーブル11を適当な長さに切断する。次に、多芯ケーブル11の被覆を剥がし、内ケーブル7を1本1本分離し、ICタグ2が取り付けられているケーブルICタグ2に内ケーブル7を挿入する。
【0028】
更に内ケーブル7表面の被覆を剥離する作業を行った後、内ケーブル7の両端に接続ターミナル6に接続するための結線端子4を圧着取り付ける。ケーブルICタグ2に取り付けられたICタグ3には、固有のIDが書き込まれている。
【0029】
1本のケーブルの結線端子4取り付け全て終了後、ケーブルICタグ2に取り付けられたICタグ3の固有IDと設計時指定されたケーブルIDの関連付けを行う。
【0030】
ICタグ3の固有IDを読み込ませるため、ID読み込み装置1を用いる。ID読み込み装置1はケーブル11の両端に同時に配置し、ケーブル11両端のICタグ3の固有IDを同時に読み込めるようにする。その為に、ID読み込み装置1は少なくとも2本以上の内ケーブル7に取り付けられた結線端子4を図3のように挟み込み、図5に示すように、微弱電流を電源9から内ケーブル7に通電し、電流計等8で通電を検知し、2本の内ケーブル7が正しく選択されていることを確認する。通電が確認出来ない場合は、ID読み込み装置1にセットした内ケーブル7が両端で異なることを示す。
【0031】
2本の内ケーブル7の中で、1本を基準ケーブルとする。基準ケーブルは、ケーブル内の内ケーブル7全数のICタグ3が有する固有IDを読み込み終了まで取り外さない。基準ケーブルにはケーブル11へのノイズを防止するためにケーブル11の中に組み込まれているシールド線や電力ケーブルではアース線などを用いても良い。
【0032】
図3に示すように、ケーブル11の通電を確認するためには、離れた場所にあるケーブル11の両端に、同時にID読み込み装置1を取り付ける。2本の内ケーブル7に通電が確認された後、ID読み込み装置1のデータを作業管理センター16に送信できるID入力、送信機5を両方のID読み込み装置1に接続する。
【0033】
ケーブル11の両端に取り付けたID読み込み装置1で同時に、ケーブル両端のICタグ3の固有IDを読み取る。次に、作業者がID入力、送信機5に図面に従ったケーブルIDを入力する。そして、ICタグ3の固有IDとケーブルIDをID入力、送信機5から作業管理センター16に情報送信機16−1を用いて無線送信する。作業管理センター16でICタグ3の固有IDとケーブルIDを関連付け記憶する。この作業は離れた場所で行うので、無線等の通信手段を持つ作業者が、ケーブル11の両端で連絡を取り合いながら作業を行う。
【0034】
この作業を内ケーブル7全てで行う。
【0035】
次に、図示指示に従って内ケーブル7の被覆色を参考に、内ケーブル7に取り付けられた結線端子4を所定の接続ターミナル6の場所にネジ等で締結する。
【0036】
図8のように、1つのターミナル6の接続が完了した後、接続ターミナル6のケーブルの接続状態を確認するため、ターミナルICタグ14をIDチェッカー15で読み取り後、ICタグ3の固有IDをIDチェッカー15で順次、読み出し、作業管理センター16に情報送信機16−1を用いて無線送信する。固有IDからケーブルIDに変換し、ケーブルID情報を作業管理センター16の各接続ターミナル6の図面情報データと対比して、図面指示どおりの作業がなされているか判断し、作業者に作業の正、誤を連絡することが出来る。この際、各作業者に電子IDを持たせ、その作業者の電子IDも接続ターミナル6の作業完了ごとに、IDチェッカー15で読み取り、同時に送信すれば誰がどの接続ターミナル6の作業を行ったか正確に記録に残すことが可能となる。
【0037】
IDチェッカー15にモバイル型の記録媒体を活用して、設計の結線図面指示データを入力可能としてあれば、IDチェッカー15内で作業の合否を判断して、表示することも可能となる。
【0038】
接続ターミナル6へ配線接続完了後、作業の視覚的仕上がり状態を記録に残すために、IDチェッカー15にデジタル写真を撮影する機能を付加しておけば、接続のケーブルの作業の視覚的な判断情報を接続ターミナル6ごとに記録として残すことが可能となる。
【0039】
ケーブル11の両端は離れた場所にあるので、作業者間で無線等にて連絡しながら作業を行うが、間違を発生させやすい。それを防ぐ為に、図13に示すように、ケーブル11を延線した時に、ケーブル11両端にICタグ3を付けた主ケーブルICタグ19を取り付け、ケーブル11の固有IDをIDチェッカー15で読み取り、作業管理センター16に送る。この固有IDとケーブルIDを関連付ける。次に、ID読み込み装置1に結線端子4を取り付ける際、作業者間で連絡をしながら、内ケーブル7の被覆色により判断し、セットするが、これをより分り安くする為、ID読み込み装置1にセットする内ケーブル7の被覆色を指示する為、液晶表示画面などで出来た表示器20をID読み込み装置1内に付ける。
【0040】
作業の流れは、主ケーブルICタグ19の固有IDから、内ケーブル7の配線被覆色を作業管理センター16で設計情報から読み出し、ID読み込み装置1にセットする内ケーブル7の被覆色を表示器20画面に同じ色彩で表示する。この表示は内ケーブル7の両端に配置したID読み込み装置1で同時に行い、作業者は表示器20画面の色を確認するだけで、内ケーブル7をセットすることになり、作業者間での連絡ミスなどによる、結線端子4セット間違いを低減出来る。
【0041】
更に、間違いを少なくする為、ID読み込み装置1で、ケーブル両端のICタグ3の固有IDを読み取った後、図面に従ったケーブルIDを作業者が送信機5を用いて入力しない。その代わりに、主ケーブルICタグ19の固有IDとID読み込み装置1の表示器20画面データから作業管理センター16の設計情報から読み出し、ケーブルIDと固有IDを自動的に関連付けすることも可能である。
【0042】
実施例では、内ケーブル7の被覆色を液晶表示画面などを用いて表示することを述べたが、屋外作業などで液晶表示画面は見づらい場合も有るので、被覆色の色毎に数字の番号を初めに決め、番号で表示することも、同じ効果を出すことが出来る。
【0043】
盤内側のケーブルの接続ターミナル6との接続部に、図11のようにケーブルICタグ2が取り付けられている場合は、配線接続終了後に、盤内側のケーブルに取り付けられたケーブルICタグ2−1と盤外側の内ケーブル7に取り付けられたケーブルICタグ2−2を交互に、IDチェッカー15で固有IDを読み取り、その情報を作業管理センター16に送信することにより、接続作業の正、誤を判断することが出来る。又、内ケーブル7の結線作業時に、作業者がその場で盤内側のケーブルに取り付けられたケーブルICタグ2−1と盤外側のケーブル7に取り付けられたケーブルICタグ2−2を交互に、IDチェッカー15で読み取り確認を行えば、1本1本確認しながら配線接続作業を進めることも可能である。
【0044】
盤内側のケーブルに取り付けられたケーブルICタグ2−1の固有IDをIDチェッカー15で読取後、盤外側のケーブル7のどの内ケーブル7を接続すべきか、IDチェッカー15から音声ガイダンスなどで、内ケーブル7の被覆色を指定し、作業指示することも可能となる。
【0045】
接続ターミナル6を介して、ケーブルを接続するケースに付いて以上述べて来たが、大型の機器内部で、図10のように、多芯ケーブル11とセンサーなどの装置からのケーブル7をケーブル同士接続することがある。この場合は、接続する両方のケーブルにケーブルICタグ2を取り付け、接続完了後、IDチェッカー15で両方の固有ID情報を読み取る。読み取った固有IDからケーブルIDへ作業管理センター16で関連付ける。このケーブルID情報から設計データと比較判定し、接続の正、誤を作業者に連絡することが出来る。
【0046】
このように、接続ターミナル6ごとの接続情報を作業管理センター16に残しておいて、配線作業全体の作業進度を把握するデータとして活用が可能である。配線工事の作業進度管理は、大きくケーブル11を延線する作業と配線を接続する作業(結線作業)に分けることが出来る。延線する作業はケーブル11の消化量などからかなり正確に作業進度を把握することが出来るが、結線作業は作業内容が細かなことと作業場所が点在している為、把握が大変困難である。
【0047】
設計段階で、結線作業の総数は算出することが可能である。ケーブルICタグ2の結線完了情報を日々入手することが可能となるため、日々の結線作業の進行状況の把握と全作業量から判断した工事完成度なども正確に把握が可能となる。
【0048】
結線作業完了後、接続ターミナル6毎に情報を伝達するため作業結果と図面指示に違いが有る場合、不合格になり不具合箇所を確認し、再度結線作業を行うことになる。このようなことが、複数回発生しているかどうか作業者毎にデータを集積することが可能となり、作業者の熟練を把握することが出来る。このような作業者個人の技量判定のデータを用いて、再教育などの要否判断が可能となる。又作業者ごとの作業出来高も、同じように積算可能となる。
【0049】
以上離れた場所でのケーブル接続のケースを述べて来たが、例えば、同じ場所に配置された盤17や機器間を繋ぐ場合には、配線作業を行う前にケーブルを切断し、ケーブル7両端に結線端子4の圧着を実施することが多い。制御盤17や操作盤内の配線作業でも同じように作業している。
【0050】
この場合も、前に述べた内容と同じで、内ケーブル7両端にID読み込み装置1を取り付け、ケーブルICタグ2のICタグ3の固有IDとケーブルIDを関係付けることが出来る。
【0051】
以上の説明では、金属導体を使用したケーブルを対象として実施例を説明してきたが、近年通信の分野では光ファイバーケーブルを使用する場合が増えてきている。光ファイバーケーブルでも、1本のケーブル11に多くの芯線を被覆した内ケーブル7で構成されている。この場合も、ケーブル同士の接続に接続間違いを防ぐため図9のように、内ケーブル7の両端にICタグ3を持つケーブルICタグ2を取り付けることで、同じような効果を期待することが出来る。その際、ID読み込み装置1には光でケーブルの導通を確認できる機構を設ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来技術による、接続ターミナルへのケーブル接続の一例を示す図。
【図2】制御盤等の内部と接続ターミナル、及びケーブルの接続状態の一例を示す図。
【図3】ID読み込み装置を用いて、ケーブルICタグへの書込みの一例を示す正面図。
【図4】ID読み込み装置を用いて、ケーブルICタグへの書込みの一例を示す平面図。
【図5】両端のケーブルICタグが同じケーブルに取り付けられていることを確認する一例を示す図。
【図6】無線ICタグを用いた配線接続管理システムの構成図。
【図7】ID読み込み装置を用いて、ケーブルICタグ情報の読み込みの一例を示す図。
【図8】図7に示した接続ターミナルのA−A矢視図。
【図9】接続ターミナル部の内ケーブルとケーブルICタグのB−B断面図。
【図10】接続ターミナルを用いず、内ケーブル同士を直接結線した一例を示す図。
【図11】接続ターミナル部で盤内側のケーブルにもケーブルICタグを取り付けた一例を示す図。
【図12】ケーブルICタグを用いた、ケーブル接続作業の作業フローチャート。
【図13】表示器を有するID読み込み装置の一例を示す正面図。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・・ID読み込み装置
1−1・・・書込み器
2・・・・・ケーブルICタグ
3・・・・・ICタグ
4・・・・・結線端子
5・・・・・ID入力、送信機
6・・・・・接続ターミナル
7・・・・・内ケーブル
8・・・・・電流計等
9・・・・・電源
10・・・・・線番カラー
11・・・・・ケーブル
14・・・・・ターミナルICタグ
15・・・・・IDチェッカー
16・・・・・作業管理センター
16−1・・・情報送信機
17・・・・・制御盤
18・・・・・動力装置
19・・・・・主ケーブルICタグ
20・・・・・表示器
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型発電所、製鉄所、化学プラントなどの工場施設、及び鉄道、大型建築物で機器を運転する各種動力やセンサーと制御盤等を接続する配線作業に於いて、ICタグを活用して配線接続管理を行うシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケーブルの端末や中間部にICタグを取り付け、認識を容易にすることが述べられている。
【0003】
又、特許文献2には、建物の床や壁などに埋め込まれたケーブルがケーブル本体とケーブル両端に取り付けられたコネクターで構成され、そのケーブル本体の両端にICタグを取り付け、そのICタグ情報を読み取ることで、壁などに埋め込まれていても他端のケーブルがどれに繋がっているかを把握することも述べられている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−203527号公報
【特許文献2】特開2005−228689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大型の工場での機器を運転する各種動力やセンサーと図1、2に示す制御盤17等を接続する配線作業に於いては、1本のケーブル11の中に複数本のおのおのが被覆された内ケーブル7を有する多芯ケーブルが使われている。この内ケーブル7はそれぞれの相手機器の所定の端子に接続しなければならないので、それぞれの内ケーブル7にはケーブルIDを持つことが必要となる。現在このケーブルIDを正確に設定し、図示と違わないケーブル接続に多くの時間を必要としている。
【0006】
その理由は、ケーブル接続作業で作業ミスを発生させない為である。設備を建設し、試運転する時、ケーブル接続に間違いが有ると、電気を通す(通電)前に発見して、間違いを直さないと、モーターが逆に回転したり、装置が破損したりする恐れがある。
【0007】
従来は電気を通す(通電)前に配線を完了した内ケーブル7の接続1箇所毎に、微弱な電流を流して、導通により、図面に指示された所定の接続がなされているのを確認している。作業の確認の為に多くの時間を必要とする。
【0008】
又、何万本もあるケーブルの接続が、工事全体の作業量の中でどの程度完了したか、日々正確に把握して作業進度を把握する必要があるが、作業が細かく、見えないので正確な作業進度を把握することが困難であった。
【0009】
大規模な施設建設現場において、多くの現地作業員を雇用して建設を行うのであるが、作業者それぞれの作業に対する熟練度に差が出る。このような差は、作業品質低下に繋がるが、同じ作業者が繰り返し、同じミスを発生させることが多い。作業ミス防止の為、労働者管理、報告が必要であるが、どの作業を、どの作業者が担当したか、試運転段階になって把握することは困難で、改善することは難しい。
【0010】
本発明では、多くの機器を広い敷地内に配置し、その機器から離れた場所にある制御盤や機器間配線に於いて、配線を正確に接続する為に、ケーブル11内の内ケーブル7に正確にケーブルIDを記録にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的には、次の手段により解決できる。
【0012】
1本のケーブルに複数の内ケーブルを有する多芯ケーブルの接続作業に於いて、多芯ケーブル内のそれぞれのケーブル両端に固有のID情報を無線送信することが出来る機能を備えたケーブルICタグを取り付け、ケーブル接続作業前に前記ICタグに与えられたID情報を読み取り、同時に図面に記載されたケーブルIDと関連付けを行うことを可能とした。
【0013】
更に、内ケーブルの両端に設けられたケーブルICタグからケーブル接続作業後、各ケーブルのID情報を読取装置を用いて受信し、図面に記載されたケーブルIDと対比して、ケーブル接続の正、誤の判定を可能とした。
【0014】
更に既に接続済みのケーブルにケーブルICタグが取り付けられている場合は、既設ケーブルと接続する内ケーブルの両方のID情報を読み取り、図面に記載されたケーブルIDと対比して、ケーブル接続の正、誤の判定を可能とした。
【0015】
更に、内ケーブルの両端に設けられたケーブルICタグからの接続作業情報を読取装置を用いて受信し、作業管理センターへ送信し、配線工事の工事進度管理、工事品質管理に活用することを可能とした。
【0016】
又、ケーブルICタグを接続作業後、読取装置でより読み取りやすくする為に、ケーブルの両端に設けられたケーブルICタグの内径側に、ケーブル外周を一定の力で押し付け出来る弾性機能を持たせ、ICタグが常に一定の方向を向いて維持されるようにした。
【発明の効果】
【0017】
作業者が、作業完了ごとに図面のケーブルIDと比較し、ケーブル接続の正、誤を確認することが可能となるため、作業の正確さが大きく向上する。
【0018】
検査員の再確認が不要となる為、作業全体のコスト、作業期間短縮が可能となる。
【0019】
作業完了ごとに、情報を作業管理センターに伝達するので、日々の作業進度などを正確に管理することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図2に示すように、一般に工場などの設備に電力を供給し、制御信号を伝達する為に制御盤17が用いられている。この制御盤17にはケーブル11と接続する為の多数の接続ターミナル6を有する。この接続ターミナル6に図面に指示された接続ターミナル6のIDを認識するためのタグを貼り付けるものである。このタグには非接触で接続ターミナル6の固有ID(今後ターミナル番号と称する)を持つICタグが埋め込まれている。このタグをターミナルICタグ14と称する。
【0021】
次に、工場などの各場所に設置された動力装置18やセンサーなどの機器から接続されたケーブル11が多数制御盤17などに配線される。これらの動力装置18と制御盤17とは、通常相当離れた場所に設置されているので、ケーブル11両端を同時に確認しながら接続作業をすることが困難になる。又、配線作業を少しでも軽減するため、1本のケーブル11の中に多数の内ケーブル7を持つ多芯ケーブル11で接続することが多い。
【0022】
一般に多芯ケーブル11の中に含まれる複数の配線は目的のターミナルに正しく接続されるように、内ケーブル7の被覆色が色分けされている。又、接続作業を行う為に、作業者がどの多芯ケーブル11のどの内ケーブル7を接続ターミナル6のどこの場所に接続すればよいか、指示された図面を準備している。
【0023】
この図面には、更に内ケーブル7毎にケーブルのIDを認識するための線番が表示されている。この線番をケーブルの両端に内ケーブル7それぞれにケーブル表面の色を基にしてケーブルIDを取り付ける。今まではこのケーブルIDを表示するため、内ケーブル7に穴の開いた短い円管を挿入していた。この円管を通称、線番カラー10と称する。図1のように、この線番カラー10の表面に数字文字が印刷されていて、三桁のケーブルIDの場合3種類の数字の印刷された線番カラー10を挿入し、ケーブルIDを線番カラー10表面の番号で確認出来るようにしていた。
【0024】
この線番カラー10の代わりに、内ケーブル7に取り付ける固有IDを記憶したICタグ3が埋め込まれているタグをケーブルICタグ2と称する。ケーブルICタグ2の穴を利用し内ケーブル7をそれぞれに挿入する。
【0025】
図10に示すように、隣の内ケーブル7のケーブルICタグ2からの電波を間違って読み取るのを避けるため、ケーブルICタグ2は近距離の電波発信能力を有する2.45GHz帯などの指向性の強いICタグ3が埋め込まれているのが望ましい。その為、2.45GHz帯などの指向性が強く、近距離型ICタグ3の場合、読み込み装置15とICタグ3が対面出来るように、常にICタグ3は正面を向いて、位置決め出来るようにしなければならない。その為、ケーブルICタグ2の内径側に軽い弾性力を持たせ、内ケーブル7を外側からホールド出来る機能を持たせると良い。図10では、ケーブルICタグ2にゴム性の材質で作られた、楕円形状の管体がより偏平に戻る力を用いて内ケーブル7外形をホールドする構造を有している。
【0026】
このような構造を有することにより、内ケーブル7外形とケーブルICタグ2内径間に多少の寸法差があっても、同じ形状のケーブルICタグ2を使用することが出来る。今まで使用されている線番カラー10のように、内ケーブル7外形と線番カラー10内径間に隙間があると、ケーブルICタグ2が容易に回転してしまい、ICタグ3の位置が不一致となり、読み込み装置15で容易に読み込みが出来ない恐れがある。ケーブル7外周への小さな押し付け力を確保するのに、楕円形状の管体がより偏平に戻る力を用いる手段を述べたが、それ以外の手段でも同じような機能を持たせることが出来る。
【0027】
図6に示すように、制御盤側から機器側までケーブル11を敷設後、ケーブル11を適当な長さに切断する。次に、多芯ケーブル11の被覆を剥がし、内ケーブル7を1本1本分離し、ICタグ2が取り付けられているケーブルICタグ2に内ケーブル7を挿入する。
【0028】
更に内ケーブル7表面の被覆を剥離する作業を行った後、内ケーブル7の両端に接続ターミナル6に接続するための結線端子4を圧着取り付ける。ケーブルICタグ2に取り付けられたICタグ3には、固有のIDが書き込まれている。
【0029】
1本のケーブルの結線端子4取り付け全て終了後、ケーブルICタグ2に取り付けられたICタグ3の固有IDと設計時指定されたケーブルIDの関連付けを行う。
【0030】
ICタグ3の固有IDを読み込ませるため、ID読み込み装置1を用いる。ID読み込み装置1はケーブル11の両端に同時に配置し、ケーブル11両端のICタグ3の固有IDを同時に読み込めるようにする。その為に、ID読み込み装置1は少なくとも2本以上の内ケーブル7に取り付けられた結線端子4を図3のように挟み込み、図5に示すように、微弱電流を電源9から内ケーブル7に通電し、電流計等8で通電を検知し、2本の内ケーブル7が正しく選択されていることを確認する。通電が確認出来ない場合は、ID読み込み装置1にセットした内ケーブル7が両端で異なることを示す。
【0031】
2本の内ケーブル7の中で、1本を基準ケーブルとする。基準ケーブルは、ケーブル内の内ケーブル7全数のICタグ3が有する固有IDを読み込み終了まで取り外さない。基準ケーブルにはケーブル11へのノイズを防止するためにケーブル11の中に組み込まれているシールド線や電力ケーブルではアース線などを用いても良い。
【0032】
図3に示すように、ケーブル11の通電を確認するためには、離れた場所にあるケーブル11の両端に、同時にID読み込み装置1を取り付ける。2本の内ケーブル7に通電が確認された後、ID読み込み装置1のデータを作業管理センター16に送信できるID入力、送信機5を両方のID読み込み装置1に接続する。
【0033】
ケーブル11の両端に取り付けたID読み込み装置1で同時に、ケーブル両端のICタグ3の固有IDを読み取る。次に、作業者がID入力、送信機5に図面に従ったケーブルIDを入力する。そして、ICタグ3の固有IDとケーブルIDをID入力、送信機5から作業管理センター16に情報送信機16−1を用いて無線送信する。作業管理センター16でICタグ3の固有IDとケーブルIDを関連付け記憶する。この作業は離れた場所で行うので、無線等の通信手段を持つ作業者が、ケーブル11の両端で連絡を取り合いながら作業を行う。
【0034】
この作業を内ケーブル7全てで行う。
【0035】
次に、図示指示に従って内ケーブル7の被覆色を参考に、内ケーブル7に取り付けられた結線端子4を所定の接続ターミナル6の場所にネジ等で締結する。
【0036】
図8のように、1つのターミナル6の接続が完了した後、接続ターミナル6のケーブルの接続状態を確認するため、ターミナルICタグ14をIDチェッカー15で読み取り後、ICタグ3の固有IDをIDチェッカー15で順次、読み出し、作業管理センター16に情報送信機16−1を用いて無線送信する。固有IDからケーブルIDに変換し、ケーブルID情報を作業管理センター16の各接続ターミナル6の図面情報データと対比して、図面指示どおりの作業がなされているか判断し、作業者に作業の正、誤を連絡することが出来る。この際、各作業者に電子IDを持たせ、その作業者の電子IDも接続ターミナル6の作業完了ごとに、IDチェッカー15で読み取り、同時に送信すれば誰がどの接続ターミナル6の作業を行ったか正確に記録に残すことが可能となる。
【0037】
IDチェッカー15にモバイル型の記録媒体を活用して、設計の結線図面指示データを入力可能としてあれば、IDチェッカー15内で作業の合否を判断して、表示することも可能となる。
【0038】
接続ターミナル6へ配線接続完了後、作業の視覚的仕上がり状態を記録に残すために、IDチェッカー15にデジタル写真を撮影する機能を付加しておけば、接続のケーブルの作業の視覚的な判断情報を接続ターミナル6ごとに記録として残すことが可能となる。
【0039】
ケーブル11の両端は離れた場所にあるので、作業者間で無線等にて連絡しながら作業を行うが、間違を発生させやすい。それを防ぐ為に、図13に示すように、ケーブル11を延線した時に、ケーブル11両端にICタグ3を付けた主ケーブルICタグ19を取り付け、ケーブル11の固有IDをIDチェッカー15で読み取り、作業管理センター16に送る。この固有IDとケーブルIDを関連付ける。次に、ID読み込み装置1に結線端子4を取り付ける際、作業者間で連絡をしながら、内ケーブル7の被覆色により判断し、セットするが、これをより分り安くする為、ID読み込み装置1にセットする内ケーブル7の被覆色を指示する為、液晶表示画面などで出来た表示器20をID読み込み装置1内に付ける。
【0040】
作業の流れは、主ケーブルICタグ19の固有IDから、内ケーブル7の配線被覆色を作業管理センター16で設計情報から読み出し、ID読み込み装置1にセットする内ケーブル7の被覆色を表示器20画面に同じ色彩で表示する。この表示は内ケーブル7の両端に配置したID読み込み装置1で同時に行い、作業者は表示器20画面の色を確認するだけで、内ケーブル7をセットすることになり、作業者間での連絡ミスなどによる、結線端子4セット間違いを低減出来る。
【0041】
更に、間違いを少なくする為、ID読み込み装置1で、ケーブル両端のICタグ3の固有IDを読み取った後、図面に従ったケーブルIDを作業者が送信機5を用いて入力しない。その代わりに、主ケーブルICタグ19の固有IDとID読み込み装置1の表示器20画面データから作業管理センター16の設計情報から読み出し、ケーブルIDと固有IDを自動的に関連付けすることも可能である。
【0042】
実施例では、内ケーブル7の被覆色を液晶表示画面などを用いて表示することを述べたが、屋外作業などで液晶表示画面は見づらい場合も有るので、被覆色の色毎に数字の番号を初めに決め、番号で表示することも、同じ効果を出すことが出来る。
【0043】
盤内側のケーブルの接続ターミナル6との接続部に、図11のようにケーブルICタグ2が取り付けられている場合は、配線接続終了後に、盤内側のケーブルに取り付けられたケーブルICタグ2−1と盤外側の内ケーブル7に取り付けられたケーブルICタグ2−2を交互に、IDチェッカー15で固有IDを読み取り、その情報を作業管理センター16に送信することにより、接続作業の正、誤を判断することが出来る。又、内ケーブル7の結線作業時に、作業者がその場で盤内側のケーブルに取り付けられたケーブルICタグ2−1と盤外側のケーブル7に取り付けられたケーブルICタグ2−2を交互に、IDチェッカー15で読み取り確認を行えば、1本1本確認しながら配線接続作業を進めることも可能である。
【0044】
盤内側のケーブルに取り付けられたケーブルICタグ2−1の固有IDをIDチェッカー15で読取後、盤外側のケーブル7のどの内ケーブル7を接続すべきか、IDチェッカー15から音声ガイダンスなどで、内ケーブル7の被覆色を指定し、作業指示することも可能となる。
【0045】
接続ターミナル6を介して、ケーブルを接続するケースに付いて以上述べて来たが、大型の機器内部で、図10のように、多芯ケーブル11とセンサーなどの装置からのケーブル7をケーブル同士接続することがある。この場合は、接続する両方のケーブルにケーブルICタグ2を取り付け、接続完了後、IDチェッカー15で両方の固有ID情報を読み取る。読み取った固有IDからケーブルIDへ作業管理センター16で関連付ける。このケーブルID情報から設計データと比較判定し、接続の正、誤を作業者に連絡することが出来る。
【0046】
このように、接続ターミナル6ごとの接続情報を作業管理センター16に残しておいて、配線作業全体の作業進度を把握するデータとして活用が可能である。配線工事の作業進度管理は、大きくケーブル11を延線する作業と配線を接続する作業(結線作業)に分けることが出来る。延線する作業はケーブル11の消化量などからかなり正確に作業進度を把握することが出来るが、結線作業は作業内容が細かなことと作業場所が点在している為、把握が大変困難である。
【0047】
設計段階で、結線作業の総数は算出することが可能である。ケーブルICタグ2の結線完了情報を日々入手することが可能となるため、日々の結線作業の進行状況の把握と全作業量から判断した工事完成度なども正確に把握が可能となる。
【0048】
結線作業完了後、接続ターミナル6毎に情報を伝達するため作業結果と図面指示に違いが有る場合、不合格になり不具合箇所を確認し、再度結線作業を行うことになる。このようなことが、複数回発生しているかどうか作業者毎にデータを集積することが可能となり、作業者の熟練を把握することが出来る。このような作業者個人の技量判定のデータを用いて、再教育などの要否判断が可能となる。又作業者ごとの作業出来高も、同じように積算可能となる。
【0049】
以上離れた場所でのケーブル接続のケースを述べて来たが、例えば、同じ場所に配置された盤17や機器間を繋ぐ場合には、配線作業を行う前にケーブルを切断し、ケーブル7両端に結線端子4の圧着を実施することが多い。制御盤17や操作盤内の配線作業でも同じように作業している。
【0050】
この場合も、前に述べた内容と同じで、内ケーブル7両端にID読み込み装置1を取り付け、ケーブルICタグ2のICタグ3の固有IDとケーブルIDを関係付けることが出来る。
【0051】
以上の説明では、金属導体を使用したケーブルを対象として実施例を説明してきたが、近年通信の分野では光ファイバーケーブルを使用する場合が増えてきている。光ファイバーケーブルでも、1本のケーブル11に多くの芯線を被覆した内ケーブル7で構成されている。この場合も、ケーブル同士の接続に接続間違いを防ぐため図9のように、内ケーブル7の両端にICタグ3を持つケーブルICタグ2を取り付けることで、同じような効果を期待することが出来る。その際、ID読み込み装置1には光でケーブルの導通を確認できる機構を設ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来技術による、接続ターミナルへのケーブル接続の一例を示す図。
【図2】制御盤等の内部と接続ターミナル、及びケーブルの接続状態の一例を示す図。
【図3】ID読み込み装置を用いて、ケーブルICタグへの書込みの一例を示す正面図。
【図4】ID読み込み装置を用いて、ケーブルICタグへの書込みの一例を示す平面図。
【図5】両端のケーブルICタグが同じケーブルに取り付けられていることを確認する一例を示す図。
【図6】無線ICタグを用いた配線接続管理システムの構成図。
【図7】ID読み込み装置を用いて、ケーブルICタグ情報の読み込みの一例を示す図。
【図8】図7に示した接続ターミナルのA−A矢視図。
【図9】接続ターミナル部の内ケーブルとケーブルICタグのB−B断面図。
【図10】接続ターミナルを用いず、内ケーブル同士を直接結線した一例を示す図。
【図11】接続ターミナル部で盤内側のケーブルにもケーブルICタグを取り付けた一例を示す図。
【図12】ケーブルICタグを用いた、ケーブル接続作業の作業フローチャート。
【図13】表示器を有するID読み込み装置の一例を示す正面図。
【符号の説明】
【0053】
1・・・・・ID読み込み装置
1−1・・・書込み器
2・・・・・ケーブルICタグ
3・・・・・ICタグ
4・・・・・結線端子
5・・・・・ID入力、送信機
6・・・・・接続ターミナル
7・・・・・内ケーブル
8・・・・・電流計等
9・・・・・電源
10・・・・・線番カラー
11・・・・・ケーブル
14・・・・・ターミナルICタグ
15・・・・・IDチェッカー
16・・・・・作業管理センター
16−1・・・情報送信機
17・・・・・制御盤
18・・・・・動力装置
19・・・・・主ケーブルICタグ
20・・・・・表示器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本のケーブルに複数の導体を有する多芯ケーブルの接続作業に於いて、多芯ケーブル内の全ての内ケーブル両端に固有のID情報有し、ID情報を無線送信することが出来る機能を備えたICタグを配置し、基準となる内ケーブルと新たに配置した内ケーブルを接続し、2本のケーブルの導通が確認出来た時点で、新たなケーブルの両端に配置した前記ICタグのID情報を読み込み、図面上のケーブルIDと前記ID情報とを関連付けることが可能なID情報読込装置を設けたことを特徴とする配線接続管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の配線接続管理システムに於いて、ケーブルをケーブル接続作業後、ケーブルの両端に設けられた前記機能を備えたICタグからID情報を読取装置を用いて受信し、図面情報と対比して、図面と同じ順番のケーブル接続が行われているか判定可能な機能を有することを特徴とする配線接続管理システム。
【請求項3】
請求項1記載の配線接続管理システムに於いて、盤内ケーブルに取り付けられた前記ICタグの持つID情報と盤外ケーブルに取り付けられた前記ICタグの持つID情報を連続して、読取装置を用いて受信し、接続する2本のケーブルが図面情報と同じ接続がなされているか判定可能な機能を有することを特徴とする配線接続管理システム。
【請求項4】
請求項1記載の配線接続管理システムに於いて、ケーブルの両端に設けられた前記ICタグからの接続作業情報を収集し、配線工事の工事進度管理、工事品質管理に活用することを特徴とする配線接続管理システム。
【請求項5】
請求項1記載の配線接続管理システムに於いて、前記ICタグをケーブルに取り付けるケーブルICタグにケーブル外周を一定の力で押し付け可能な弾性機能を付加したことを特徴とする配線接続管理システム。
【請求項1】
1本のケーブルに複数の導体を有する多芯ケーブルの接続作業に於いて、多芯ケーブル内の全ての内ケーブル両端に固有のID情報有し、ID情報を無線送信することが出来る機能を備えたICタグを配置し、基準となる内ケーブルと新たに配置した内ケーブルを接続し、2本のケーブルの導通が確認出来た時点で、新たなケーブルの両端に配置した前記ICタグのID情報を読み込み、図面上のケーブルIDと前記ID情報とを関連付けることが可能なID情報読込装置を設けたことを特徴とする配線接続管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の配線接続管理システムに於いて、ケーブルをケーブル接続作業後、ケーブルの両端に設けられた前記機能を備えたICタグからID情報を読取装置を用いて受信し、図面情報と対比して、図面と同じ順番のケーブル接続が行われているか判定可能な機能を有することを特徴とする配線接続管理システム。
【請求項3】
請求項1記載の配線接続管理システムに於いて、盤内ケーブルに取り付けられた前記ICタグの持つID情報と盤外ケーブルに取り付けられた前記ICタグの持つID情報を連続して、読取装置を用いて受信し、接続する2本のケーブルが図面情報と同じ接続がなされているか判定可能な機能を有することを特徴とする配線接続管理システム。
【請求項4】
請求項1記載の配線接続管理システムに於いて、ケーブルの両端に設けられた前記ICタグからの接続作業情報を収集し、配線工事の工事進度管理、工事品質管理に活用することを特徴とする配線接続管理システム。
【請求項5】
請求項1記載の配線接続管理システムに於いて、前記ICタグをケーブルに取り付けるケーブルICタグにケーブル外周を一定の力で押し付け可能な弾性機能を付加したことを特徴とする配線接続管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−279914(P2007−279914A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103428(P2006−103428)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(301035194)株式会社ひたちなかテクノセンター (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(301035194)株式会社ひたちなかテクノセンター (11)
【Fターム(参考)】
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