説明

配線欠陥検出方法および配線欠陥検出装置

【課題】パネルを複数回に亘り赤外線カメラを用いて撮像する際に、適正に欠陥検出できる配線欠陥検出方法および装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る配線欠陥検出方法は、各検査領域と各検査領域に対応するパッドとの対応関係を取得する。本発明に係る配線欠陥検出装置は、該対応関係に基づき、給電するパッドを各検査領域に対応するパッドに切り替えるパッド切替手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルおよび太陽電池パネル等のパネルに形成された配線の欠陥検出に好適な配線欠陥検出方法および配線欠陥検出装置に関し、特に、大型のパネルを対象とする配線欠陥検出方法および配線欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の一例として、例えば、液晶パネルの製造プロセスは、アレイ(TFT)工程、セル(液晶)工程、およびモジュール工程に大別される。このうち、アレイ工程においては、透明基板上に、ゲート電極、半導体膜、ソース・ドレイン電極、保護膜、および透明電極が形成された後にアレイ検出が行われ、電極または配線等の配線の短絡の有無が検出される。
【0003】
通常、アレイ検出においては、このような欠陥を、配線の端部にプローブを接触させ、配線両端における電気抵抗または隣接する配線間の電気抵抗および電気容量を測定することにより特定している。しかしながら、アレイ検出において、配線部の欠陥の有無を検出できたとしても、その欠陥の位置を特定するのは容易ではなかった。
【0004】
例えば、上記の問題を改善し、欠陥の位置を特定する方法として、リーク欠陥基板に電圧を印加させて発熱させ、赤外線カメラによりリーク欠陥基板表面温度を撮像したものを用いて欠陥位置を特定する赤外線検出がある。
【0005】
特許文献1は赤外線画像により基板の短絡欠陥を検出する赤外線検査に関するものであり、検査対象となる半導体基板(リーク欠陥基板)上の液晶パネルを複数の領域に分割している。そして、該液晶パネルの全体に対して電圧を印加した後に、電圧を印加する前後の該液晶パネルの赤外線画像の強度(温度)を複数に分割された領域ごとに測定し、発熱を顕在化させて欠陥を検出する欠陥検出方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−207914号公報(公開日:1994年7月26日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いると、半導体基板(リーク欠陥基板)上の液晶パネル全体に電圧を印加するため、パネル全体が発熱してしまい、赤外線画像を撮像していない領域も発熱してしまう。このため、或る分割された検査領域を赤外線検査した後に、分割された次の検査領域を赤外線検査する際、電圧印加前の当該分割された次の検査領域に熱が残り、電圧印加前の赤外線画像が適正なものではなくなり、電圧印加前後の赤外線画像に欠陥検出に必要となる強度差(温度差)が生じなくなってしまう。つまり、液晶パネル全体を複数の検査領域に分割し、複数回に亘り液晶パネルの赤外線画像を撮像する場合、この従来技術を用いると、欠陥の検出が困難になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、その目的は、半導体基板上の液晶パネルを複数の検査領域に分割し、複数回に亘り当該半導体基板上の当該液晶パネルの赤外線画像を撮像する場合においても、適正に欠陥の検出を行うことができる配線欠陥検出方法および配線欠陥検出装置を提供することにある。
【0009】
そこで、上記の課題を解決するために、本発明に係る配線欠陥検出方法は、
複数のパッドおよび配線を有するパネルを、赤外線カメラにより撮像することによって、上記配線の欠陥を検出するための配線欠陥検出方法であって、
上記赤外線カメラの撮像視野領域に合わせて上記パネルを複数に分割して得られる各検査領域と、上記複数のパッドのうちの各検出領域に対応するパッドとが対応付けられた対応関係データを、データ記憶部に記憶させる記憶工程と、
上記パネルと上記赤外線カメラとの相対位置を変化させるとともに、赤外線カメラの撮像視野領域の位置と上記データ記憶部に保存された上記対応関係データとに基づき、給電するパッドを切り替えるパッド切替工程と、
上記パッド切替工程にて切り替えられたパッドを介して、当該パッドに対応する上記配線に所定の電圧を印加する電圧印加工程と、
上記電圧印加工程にて上記電圧が印加された配線を含む検査領域を上記赤外線カメラにより撮像して、上記配線の欠陥を検出する欠陥検出工程と、
を含んでいることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、配線欠陥検出の対象となるパネル(リーク欠陥基板)であって、赤外線カメラの撮像視野領域よりも広い領域を有するパネルを、赤外線カメラとパネルとの相対位置を変えて赤外線カメラを用いて撮像する際に、当該相対位置の変化に合わせて赤外線カメラの撮像視野の領域に含まれるパネルの各々の検査領域のみに電圧を印加して発熱させることができる。
【0011】
また、このように或る検査領域のみに電圧を印加して発熱させて当該或る検査領域を撮像するため、当該或る検査領域とは異なる、赤外線検査が未だ為されていない検査領域においてパネルが、赤外線検査に不都合が生じるほどに発熱することはない。
【0012】
このため、1つの撮像視野領域に入りきらないような比較的大型のパネル(例えば60型の液晶パネル)を当該パネルの配線欠陥を電圧印加により発熱することを利用して検出する場合であっても、各検査領域において、欠陥の検出に必要な温度上昇を得ることができ、適正に欠陥を検出することができる。
【0013】
また、本発明に係る配線欠陥検出方法の一形態は、上記の構成に加えて、
上記記憶工程の前工程として、
上記赤外線カメラの撮像視野領域に合わせて上記パネルを複数の検査領域に分割し、各検査領域に対応するパッドを上記複数のパッドのなかから割り出して、検査領域と当該検査領域に対応するパッドとを対応付けて、上記対応関係データを作成する対応関係作成工程を含んでいることが好ましい。
【0014】
上記対応関係作成工程を含むことにより、赤外線カメラとの対応関係が予めデータ記憶部に記憶されていないパッドを有するパネルの配線欠陥検出をする際に、パネルを分割して得られる複数の検査領域のそれぞれと、そのそれぞれの検査領域に対応するパッドとを対応付けることができる。
【0015】
そのため、配線欠陥検出装置が、決められた大きさのパネルに限られた装置となったり、決められた撮像視野範囲と検査領域に対応するパッドとに限られる装置となったりすることがなく、検査の都度、あるいは、必要に応じて、対応関係データを作成して、良好な分割検出を実現することができる。
【0016】
また、本発明に係る配線欠陥検出方法の一形態は、上記の構成に加えて、
上記パネルの大きさと、上記赤外線カメラの撮像視野領域の大きさとから、パネルを複数の検査領域に分割しなければならないか否かを判断する検査領域数判断工程と、
上記検査領域数判断工程にて複数の検査領域に分割しなければならないと判断された場合、各検査領域の大きさを決定する検査領域決定工程と、
を上記対応関係作成工程の前工程として含んでいることが好ましい。
【0017】
上記検査領域数判断工程および上記検査領域決定工程を含むことにより、各検査領域の大きさが決定されていない液晶パネルを配線欠陥検出する際に、液晶パネルの大きさと赤外線カメラの撮像視野領域の大きさとから各検査領域の大きさを決定することができる。
【0018】
また、本発明に係る配線欠陥検出装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記パッド切替工程では、各パッドに接続して給電するプローブピンを、上記電圧印加工程にて電圧を印加するプローブピンに切り替えることによって、赤外線カメラの撮像視野領域の位置に合わせて、給電するパッドを検査領域に対応するパッドに切り替えることが好ましい。
【0019】
上記パッド切替工程を含むことにより、赤外線カメラの撮像視野領域に含まれる液晶パネルの各検査領域に対応するパッドのみを、対応するプローブピンを介して給電することにより、各検査領域のみを発熱させることができる。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る配線欠陥検出装置は、
複数のパッドおよび配線を有するパネルを、赤外線カメラにより撮像することによって、上記配線の欠陥を検出するための配線欠陥検出装置であって、
上記赤外線カメラと、
上記赤外線カメラの撮像視野領域に合わせて上記パネルを複数に分割して得られる各検査領域と、上記複数のパッドのうちの各検出領域に対応するパッドとが対応付けられた対応関係データを保存するデータ記憶部と、
上記パネルと上記赤外線カメラとの相対位置を変化させる移動手段と、
上記移動手段により上記相対位置が移動する赤外線カメラの撮像視野領域の位置と、上記データ記憶部に保存された上記対応関係データとに基づき、給電するパッドを切り替えるパッド切替手段と、
上記パッド切替手段によって切り替えられたパッドを介して、当該パッドに対応する配線に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、
上記電圧印加手段にて上記電圧が印加された配線を含む検査領域を上記赤外線カメラにより撮像して、上記配線の欠陥を検出する欠陥検出手段と、
を備えており、
上記パッド切替手段、および、上記欠陥検出手段は、制御部に設けられていることを特徴としている。
【0021】
上記の構成によれば、配線欠陥検出の対象となるパネル(リーク欠陥基板)であって、赤外線カメラの撮像視野領域よりも広い領域を有するパネルを、赤外線カメラとパネルとの相対位置を変えて赤外線カメラを用いて撮像する際に、当該相対位置の変化に合わせて赤外線カメラの撮像視野の領域に含まれるパネルの各々の検査領域のみに電圧を印加して発熱させることができる。
【0022】
また、このように或る検査領域のみに電圧を印加して発熱させて当該或る検査領域を撮像するため、当該或る検査領域とは異なる、赤外線検査が未だ為されていない検査領域においてパネルが、赤外線検査に不都合が生じるほどに発熱することはない。
【0023】
このため、1つの撮像視野領域に入りきらないような比較的大型のパネル(例えば60型の液晶パネル)を当該パネルの配線欠陥を電圧印加により発熱することを利用して検出する場合であっても、各検査領域において、欠陥の検出に必要な温度上昇を得ることができ、適正に欠陥を検出することができる。
【0024】
また、本発明に係る配線欠陥検出装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記赤外線カメラの撮像視野領域に合わせて上記パネルを複数の検査領域に分割し、各検査領域に対応するパッドを上記複数のパッドのなかから割り出して、検査領域と当該検査領域に対応するパッドとを対応付けて、上記対応関係データを作成する対応関係作成部を更に備えており、
上記データ記憶部は、上記対応関係作成部が作成した上記対応関係データを保存し、
上記対応関係作成部は、上記制御部に設けられていることが好ましい。
【0025】
上記対応関係作成手段を含むことにより、赤外線カメラとの対応関係が予めデータ記憶部に記憶されていないパッドを有するパネルの配線欠陥検出をする際に、パネルを分割して得られる複数の検査領域のそれぞれと、そのそれぞれの検査領域に対応するパッドとを対応付けることができる。
【0026】
そのため、配線欠陥検出装置が、決められた大きさのパネルに限られた装置となったり、決められた撮像視野範囲と検査領域に対応するパッドとに限られる装置となったりすることがなく、検査の都度、あるいは、必要に応じて、対応関係データを作成して、良好な分割検出を実現することができる。
【0027】
また、本発明に係る配線欠陥検出装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記対応関係作成部には、
上記パネルの大きさと、上記赤外線カメラの撮像視野領域の大きさとから、パネルを複数の検査領域に分割しなければならないか否かを判断する検査領域数判断手段と、
上記検査領域数判断手段にて複数の検査領域に分割しなければならない判断された場合、各検査領域の大きさを決定する検査領域決定手段と、
が設けられていることが好ましい。
【0028】
上記検査領域数判断手段および上記検査領域決定手段を含むことにより、各検査領域の大きさが決定されていない液晶パネルを配線欠陥検出する際に、液晶パネルの大きさと赤外線カメラの撮像視野領域の大きさとから各検査領域の大きさを決定することができる。
【0029】
また、本発明に係る配線欠陥検出装置の一形態は、上記の構成に加えて、
上記パッドに接続して給電するプローブピンを備えており、
上記パッド切替手段は、上記電圧印加手段を用いて電圧を印加する上記プローブピンに切り替えることによって、赤外線カメラの撮像視野領域の位置に合わせて給電するパッドを検査領域に対応するパッドに切り替えることが好ましい。
【0030】
上記パッド切替手段を含むことにより、赤外線カメラの撮像視野領域に含まれる液晶パネルの各検査領域に対応するパッドのみを、対応するプローブピンを介して給電することにより、各検査領域のみを発熱させることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明に係る液晶パネル用配線欠陥検出方法および配線欠陥検出装置により、赤外線カメラの撮像視野領域に含まれる液晶パネルの各検査領域のみに電圧を印加して発熱させるため、配線欠陥検出のための赤外線検査が為されていない他の検査領域において、液晶パネルが発熱しすぎることはない。つまり、配線欠陥検出のための赤外線検査が為されていない他の検査領域において、液晶パネルの温度が上昇しすぎることはない。これにより、液晶パネルの次の検査領域において配線欠陥検出のための赤外線検査を為す際に、液晶パネルのパッドにすぐ給電し液晶パネルを発熱させたとしても、欠陥の検出に必要な温度上昇を得ることができ、適正に欠陥を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る配線欠陥検出装置の一形態の構成を示すブロック図、および、当該装置によって欠陥検出される液晶パネルを有するマザー基板の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る配線欠陥検出装置の一形態の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る配線欠陥検出装置によって欠陥検出される液晶パネル、および、当該装置に具備されるプローブの平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る配線欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る画素部の欠陥を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る配線欠陥検出方法の概要を示した図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る配線欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る液晶パネルの概略図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係る液晶パネルの概略図である。
【図10】本発明において用いられる短絡経路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔実施形態1〕
本発明に係る配線欠陥検出装置および配線欠陥検出方法の一実施形態について、図1〜図5および図8を参照して説明する。
【0034】
(配線欠陥検出装置の構成)
図1の(a)は、本実施形態における配線欠陥検出装置100の構成を示すブロック図であり、図1の(b)は、配線欠陥検出装置100を用いて配線欠陥検出される対象であるマザー基板1の斜視図である。
【0035】
配線欠陥検出装置100は、図1の(b)に示すマザー基板1上に形成された複数の液晶パネル2(パネル)において配線等の欠陥を検出することができる。液晶パネル2は、60型程度の比較的大型のものを適用することができる。
【0036】
配線欠陥検出装置100は、図1の(a)に示すように、液晶パネル2と導通させるためのプローブ3、および、プローブ3を各液晶パネル2上に移動させるプローブ移動手段4を備えている。また配線欠陥検出装置100は、赤外線画像を取得するための赤外線カメラ5、および、赤外線カメラ5を液晶パネル2上において移動させるカメラ移動手段6を備えている。更に配線欠陥検出装置100は、プローブ移動手段4およびカメラ移動手段6を制御する制御部7(パッド切替手段、欠陥検出手段)を備えている。
【0037】
上記プローブ3には、液晶パネル2の配線間の抵抗を測定するための抵抗測定部8、および、液晶パネル2の配線間に電圧を印加するための電圧印加部9(電圧印加手段)が接続されている。これら抵抗測定部8および電圧印加部9は、制御部7により制御される。
【0038】
上記制御部7は、液晶パネル2上の各検査領域とそれに対応するパッド(後述する)との関係を取得する対応関係取得部(図示なし)を備えており、配線間の抵抗値および画像データを記憶するデータ記憶部10に接続されている。
【0039】
図2は、本実施形態における配線欠陥検出装置100の構成を示す斜視図である。配線欠陥検出装置100は、図2に示すように、基台上にアライメントステージ11が設置されており、アライメントステージ11にはマザー基板1が載置できるように構成されている。マザー基板1が載置されたアライメントステージ11は、プローブ移動手段4およびカメラ移動手段6のXY座標軸と平行に位置調整される。このとき、アライメントステージ11の位置調整には、アライメントステージ11の上方に設けられた、マザー基板1の位置を確認するための光学カメラ12が用いられる。
【0040】
上記プローブ移動手段4は、アライメントステージ11の外側に配置されたガイドレール13aにスライド可能に設置されている。また、プローブ移動手段4の本体側にもガイドレール13bおよび13cが設置されており、マウント部14aがこれらのガイドレール13に沿ってXYZの各座標方向に移動できるように設置されている。このマウント部14aには、液晶パネル2に対応したプローブ3が搭載されている。
【0041】
上記カメラ移動手段6は、プローブ移動手段4の外側に配置されたガイドレール13dにスライド可能に設置されている。また、カメラ移動手段6の本体にもガイドレール13eおよび13fが設置されており、3箇所のマウント部14b、14c、および14dがこれらのガイドレール13に沿ってXYZの各座標方向に別々に移動することができる。
【0042】
本実施形態において、配線欠陥検出装置100に備えられている赤外線カメラ5は2種類ある。一方は、マクロ測定用の赤外線カメラ5aであり、もう一方はミクロ測定用の赤外線カメラ5bである。
【0043】
配線欠陥検出装置100のマウント部14cにはマクロ測定用の赤外線カメラ5aが搭載され、マウント部14bにはミクロ測定用の赤外線カメラ5bが搭載され、また、マウント部14dには光学カメラ16が搭載されている。
【0044】
マクロ測定用の赤外線カメラ5aは、視野が520×405mm程度まで広げられたマクロ測定が可能な赤外線カメラである。マクロ測定用の赤外線カメラ5aは、視野を広げるため、例えば、4台の赤外線カメラを組み合わせて構成されている。すなわち、マクロ測定用の赤外線カメラ1台当たりの視野は、マザー基板1の概ね1/9になっている。
【0045】
また、ミクロ測定用の赤外線カメラ5bは、視野が16×12mm程度と小さいが高分解能の撮影が行えるミクロ測定が可能な赤外線カメラである。
【0046】
なお、カメラ移動手段6には、マウント部を追加して、欠陥箇所を修正するためのレーザ照射装置を搭載することもできる。レーザ照射装置を搭載することにより、欠陥部の位置を特定した後、欠陥部にレーザを照射することにより連続して欠陥修正を行うことができる。
【0047】
プローブ移動手段4およびカメラ移動手段6は、それぞれが別々のガイドレール13aおよび13dに設置されている。そのため、アライメントステージ11の上方をX座標方向に、互いに干渉されずに移動することができる。これにより、液晶パネル2にプローブ3を接触させた状態のまま、赤外線カメラ5a、5b、および光学カメラ16を液晶パネル2上に移動させることができる。
【0048】
図3(a)は、マザー基板1に形成されている複数の液晶パネル2のうちの1つの液晶パネル2の平面図である。各液晶パネル2には、図3(a)に示すように、走査線および信号線が交差する各交点にTFTが形成された画素部17、および、走査線および信号線にそれぞれ接続されている周辺回路部18が形成されている。液晶パネル2の縁部には、パッド19a〜19dが設置されており、パッド19a〜19dは画素部17または周辺回路部18の配線と繋がっている。なお、パッド19に関しては、図3(a)に示されているような4方向(19a〜19d)に設置されているものに限定されるわけでなく、例えば、3方向(例えば、19a、19b、および19d)のように設置されているものであってもよい。
【0049】
図3(b)は、液晶パネル2に配設されたパッド19a〜19dと導通させるためのプローブ3(電圧印加手段)の平面図である。プローブ3は、図3(a)に示す液晶パネル2の大きさとほぼ同じ大きさの枠状の形状を成しており、液晶パネル2のパッド19a〜19dに対応した位置にプローブピン21a〜21dを備えている。
【0050】
プローブピン21a〜21dは、リレーON/OFF切替(図示なし)を介して、プローブピン21の一本ずつを個別に図1の(a)に示す抵抗測定部8および電圧印加部9に接続することができる。このため、プローブ3は、パッド19a〜19dに繋がる複数の配線を選択的に接続させたり、複数の配線をまとめて接続させたりすることができる。
【0051】
上述のようにプローブ3は液晶パネル2とほぼ同じ大きさの枠の形状を成しているため、パッド19a〜19dと、プローブピン21a〜21dとの位置を合わせる際に、プローブ3の枠の内側から光学カメラ16を用いて当該位置を確認することができる。
【0052】
本実施形態に係る配線欠陥検出装置100は、プローブ3、および、プローブ3と接続された抵抗測定部8を備えており、プローブ3を液晶パネル2に導通させて、後述する隣接する各配線間の抵抗値などを測定することができる。
【0053】
また、本実施形態に係る配線欠陥検出装置100は、プローブ3、プローブ3と接続された電圧印加部9、および、赤外線カメラ5を備えている。そして、プローブ3を介して液晶パネル2の配線または配線間に電圧を印加する前後に、赤外線カメラ5を用いて液晶パネル2の温度を測定する。
【0054】
このような構成を具備する本実施形態の配線欠陥検出装置100は、赤外線カメラ5の撮像視野範囲の大きさに比べて液晶パネル2の大きさが例えば上述した60型のように大きい場合であっても、撮像による欠陥検出を実現することができる態様となっている。詳細は後述するが、それを実現することができるのは、赤外線カメラ5の撮像視野範囲に合わせて、液晶パネル2を複数の検査領域に分割して、赤外線カメラ5を移動させながら、液晶パネル2の全領域の欠陥検出をおこなうためである。なかでも特に本発明に特徴的なのは、或る検査領域(つまり、或る撮像領域)を電圧印加により発熱させる際に、未検査領域を極力発熱させないようにしている。これにより、赤外線カメラ5が移動して新たな検査領域が検査対象となったときに当該検査領域から精度良く発熱データを取得することができ、よって、正確な欠陥検出が可能になる。
【0055】
以下では、本実施形態の配線欠陥検出装置100を用いた欠陥検出について詳述する。
【0056】
特に、本実施形態の配線欠陥検出装置100では、1台の装置により、抵抗検査および赤外線検査を兼用して行うことができる。
【0057】
(配線欠陥検出方法)
図4は、本実施形態に係る配線欠陥検出装置100を用いた配線欠陥検出方法のフローチャートである。
【0058】
本実施形態の配線欠陥検出方法は、
(i)赤外線カメラの撮像視野領域に合わせて液晶パネル2を複数の検査領域に分割し、各検査領域に対応するパッドを割り出して、検査領域とそれに対応するパッドとの対応付けた対応関係データを、データ記憶部に記憶させる記憶工程と、
(ii)パネルと赤外線カメラとの相対位置を変化させるとともに、上記記憶部に保存された上記対応関係データに基づき、赤外線カメラの撮像視野領域の位置に合わせて給電するパッド19を該検査領域Rに対応するパッド19に切り替えるパッド切替工程と、
(iii)上記パッド切替工程にて切り替えられたパッド19に給電して、当該パッド19に対応する配線に所定の電圧を印加する電圧印加工程と、
(iv)上記電圧印加工程にて上記電圧が印加された検査領域を、赤外線カメラ5を用いて撮像することにより欠陥を検出する欠陥検出方法と、
を含んでいる。
【0059】
本実施形態の配線欠陥検出方法は、図1の(b)に示すマザー基板1に形成された複数の液晶パネル2のそれぞれについて、ステップS1〜ステップS20のステップにより、順次、配線欠陥検出が実施される。
【0060】
以下、ステップS1〜ステップS20の各ステップについて説明する。
【0061】
ステップS1では、図2に示す配線欠陥検出装置100のアライメントステージ11にマザー基板1が載置され、XY座標軸と平行になるようにマザー基板1の位置が調整される。
【0062】
ステップS2では、図2に示すプローブ移動手段4によりプローブ3が、ステップS1において位置調整がされたマザー基板1の、或る液晶パネル2の上部に移動し、上下左右のプローブピン21a〜21dが液晶パネル2の上下左右のパッド19a〜19dと接触する。
【0063】
ステップS3では、ステップS2に続けて、各種欠陥の検出モードに対応して、抵抗検査するための配線間が選択され、導通させるプローブピン21の切り替えが行われる。
【0064】
ここで、各種欠陥の検出モードについて、図5(a)〜(c)を用いて説明する。図5(a)〜(c)では、一例として、画素部17に生じる欠陥部23(配線短絡部)の位置を模式的に示している。
【0065】
図5(a)は、例えば、走査線および信号線のように、配線Xおよび配線Yが上下に交差する液晶パネルにおいて、当該交差部分において配線Xと配線Yとが短絡している欠陥部23を示している。導通させるプローブピン21を、図3(b)に示した上側のプローブピン21aと左側のプローブピン21dとの組、または、右側のプローブピン21bと下側のプローブピン21cとの組に切り替え、図5(a)の配線X1〜X10および配線Y1〜Y10に関して1対1で配線間の抵抗値を測定することにより、欠陥部23の有無を特定することができる。今後、この配線X−配線Yに電圧を印加して欠陥検出をおこなう欠陥検出モードを‘欠陥検出モードA’と呼ぶことにする。
【0066】
図5(b)は、例えば、走査線および補助容量線のような、隣接する配線Xの配線間において短絡した欠陥部23を示している。このような欠陥部23は、図3(b)に示す導通させるプローブピン21を、右側のプローブピン21bの奇数番と左側のプローブピン21dの偶数番との組に切り替えて、配線X1〜X10の隣り合う配線間の抵抗値を測定することにより、欠陥部23の有る配線を特定することができる。今後、この配線X―Xに電圧を印加して欠陥検出をおこなう欠陥検出モードを‘欠陥検出モードB’と呼ぶことにする。
【0067】
図5(c)は、例えば、信号線および補助容量線のような、隣接する配線Yの配線間において短絡した欠陥部23を示している。このような欠陥部23は、図3(b)に示す導通させるプローブピン21を、上側のプローブピン21aの内の隣り合うプローブピンの対(奇数番のプローブピン21aと、その隣の偶数番のプローブピン21aとの組)に切り替えるか、下側のプローブピン21cの内の隣り合うプローブピンの対(奇数番のプローブピン21cと、その隣の偶数番のプローブピン21cとの組)に切り替えて、配線Y1〜Y10の隣り合う配線間の抵抗値を測定することにより、欠陥部23の有る配線を特定できる。今後、この配線Y−Yに電圧を印加して欠陥検出をおこなう欠陥検出モードを‘欠陥検出モードC’と呼ぶことにする。
【0068】
ステップS4では、ステップS3において切り替えられたプローブピン21を導通して、選択された配線間の抵抗値を測定し、取得する。取得された抵抗値は、選択された配線間の情報と併せてデータ記憶部10に記憶される。
【0069】
ステップS5では、欠陥検出モードA、B、およびCの全てにおいて抵抗値の測定が終了したか否かが判断される。例えば、欠陥検出モードA、B、およびCの順に抵抗値の測定が行われるとする。欠陥検出モードAにおける抵抗値の測定のみが終了している場合、ステップS3に戻り、プローブピン21が欠陥検出モードB用に切り替えられ、続くステップS4において抵抗値の測定が行われる。欠陥検出モードAおよびBにおける抵抗値の測定が終了している場合、ステップS3に戻り、プローブピンが欠陥検出モードC用に切り替えられ、続くステップS4において抵抗値の測定が行われる。欠陥検出モードA、B、およびCの全てにおいて抵抗値の測定が終了すると、続くステップS6に移行する。
【0070】
ステップS6では、検査中の液晶パネル2において赤外線検査が必要な欠陥が存在するか否かが判断される。
【0071】
まず、ステップS4において取得された抵抗値と予めデータ記憶部10に記憶されている抵抗検査閾値とが比較される。ここで、ステップS4で取得された抵抗値が、予めデータ記憶部10に記憶されている抵抗検査閾値よりも大きい場合、この検査中の液晶パネル2に欠陥は無いと特定することができ、後述するステップS19に移行する。一方、ステップS4において取得された抵抗値が、予めデータ記憶部10に記憶されている抵抗検査閾値以下である場合、この検査中の液晶パネル2において配線間に欠陥が有ると特定することができ、続くステップS7に移行する。
【0072】
例えば、図5(a)に示すように、配線Xおよび配線Yが交差する箇所において欠陥部23が生じる場合は、配線間の抵抗検査により、配線X4および配線Y4に異常が検出されるので、欠陥部23の位置まで特定することができる。そのため、図5(a)に示す欠陥部23の場合は、その位置を赤外線検出により特定(ステップS6)することを必ずしも要しない。つまり、配線Xと配線Yのすべての組み合わせ毎に抵抗検査するのであれば、位置特定もできるので、赤外線検出は不要となる。しかし、組み合わせ数は膨大であるため長時間を要する。例えば、フルハイビジョン用液晶パネルの場合、配線Xが1080本、配線Yが1920なので、全組み合わせは約207万となる。このような組み合わせ毎に抵抗検査をすると、タクトが長時間となり、検出処理能力が大幅に低くなってしまい、現実的ではない。そのため、配線Xと配線Yのすべての組み合わせをいくつかにまとめて抵抗検査をすることで、抵抗検査回数を削減できる。例えば、一つにまとめた配線Xと、一つにまとめた配線Yとの間で抵抗検査を行えば、この抵抗検査回数はわずか1回となる。しかしながら、抵抗検査により、配線間の短絡を検出することはできるが、位置を特定することはできない。そのため、欠陥部23の位置を赤外線検出により特定することが必要となる。
【0073】
一方、図5(b)または図5(c)のように、隣接する配線間において欠陥部23が生じる場合は、一対の配線、例えば、配線X3と配線X4との間に欠陥部が有ることは特定できる。しかし、その配線の長さ方向においては欠陥部23の位置は特定できないため、欠陥部23の位置を赤外線検出により特定することが必要となる。
【0074】
隣り合う配線間の抵抗検査は膨大な数であるため長時間を要する。例えば、フルハイビジョン用液晶パネルの場合、隣り合う配線X間の抵抗検査回数は1079、隣り合う配線Y間の抵抗検査回数は1919となる。図5(b)の場合のような隣り合う配線X間の抵抗検査の場合、すべてのX奇数番と、すべてのX偶数番との間で抵抗検査を行えば、この抵抗検査回数はわずか1回となる。図5(c)の場合のような隣り合う配線Y間の抵抗検査の場合、すべてのY奇数番と、すべてのY偶数番との間で抵抗検査を行えば、この抵抗検査回数はわずか1回となる。しかしながら、抵抗検査により、配線間の短絡を検出することはできるが、位置を特定することはできない。そのため、欠陥部23の位置を、続くステップS7以降の赤外線検出により特定することが必要となる。
【0075】
ここで本実施形態では、図6に示すように、1つの液晶パネル2を左右2つの検査領域(第一の検査領域R1と第二の検査領域R2)に分割して、それぞれの検査領域で赤外線カメラ5による撮像と欠陥検出をおこなう。詳細は以下のとおりである。
【0076】
ステップS7(記憶工程)では、検査対象となる液晶パネル2の大きさおよび赤外線カメラ5の撮像視野範囲の大きさから、各検査領域に対応する給電するパッドが割り出され、各検査領域とパッドとの関係を対応付けた対応関係データを取得し、データ記憶部10に保存する(記憶工程)。
【0077】
ステップS8では、図1に示されているカメラ移動手段6を用いて、赤外線カメラ5を液晶パネル2の第一の検査領域R1に移動する。
【0078】
ステップS9では、赤外線検査が必要な欠陥検出モードが、欠陥検出モードA、B、およびCの中から1つ選択される。具体的には、ステップS4にてデータ記憶部10に記憶された欠陥が存在する配線間に対応する欠陥検出モードが1つ選択される。
【0079】
ステップS10では、ステップS7にて保存された対応関係データと、ステップS8にて移動した赤外線カメラ5の位置と、ステップS9にて決定された欠陥検出モードの情報とに基づいて、給電用に使用されるプローブピンが決定される。
【0080】
具体的には、欠陥検出モードAでは、図5(a)に示されているような欠陥部23を検出することができる。欠陥検出モードAを選択すると、図3(a)に図示されている上下左右のパッド19a〜19dの内、左のパッド19d、および、上のパッド19aのうちの第一の検査領域R1に対応する一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21a〜21dの内、プローブピン21d、および、第一の検査領域R1に対応するプローブピン21aの一部が給電用のプローブピンとして選択・決定される。具体的には、プローブピン21dおよび図8に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5に切り替えられる。図8に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5の各々と、パッド19d1から19d10に対応するプローブピン21d1から21d10の各々との間に後述する電圧を印加することにより、欠陥検出モードAに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0081】
欠陥検出モードBでは、図5(b)に示されているような欠陥部23を検出することができる。欠陥検出モードBが選択された場合、図3(a)に図示されているパッド19aから19dの内、パッド19dのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、プローブピン21dに切り替えられる。より具体的には、図8に示されているパッド19d1から19d10の内、隣り合うパッドの組(例えば、19d1と19d2との組、19d2と19d3との組等)に対応するプローブピン21の間(21d1と21d2との間、21d2と21d3との間等)に電圧を印加する。例えば、プローブピン21d1、21d3、および21d5にまとめて0ボルトを印加し、それぞれに対応する21d2、21d4、および21d6にまとめて30ボルトを印加してもよい。これにより、欠陥検出モードBに対応する欠陥部23は発熱し、赤外線カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0082】
欠陥検出モードCでは、図5(c)に示されているような欠陥部23を検出することができる。欠陥検出モードCが選択された場合、図3(a)に図示されているパッド19aから19dの内、パッド19aにのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、プローブピン21aに切り替えられる。より具体的には、図8に示されているパッド19a1から19a5の内、隣り合うパッドの組(例えば、19a1と19a2との組、19a2と19a3との組等)に対応するプローブピン21の間(21a1と21a2との間、21a2と21a3との間等)に電圧を印加する。例えば、プローブピン21a1、21a3、および21a5にまとめて0ボルトを印加し、それぞれに対応する21a2、21a4、および21a6にまとめて30ボルトを印加してもよい。これにより、欠陥検出モードCに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0083】
ステップS11では、液晶パネル2の配線間に印加する電圧値が、ステップS4においてデータ記憶部10に記憶された抵抗値に基づいて設定される。
【0084】
具体的には、ステップS11では、ステップS4において取得した抵抗値に比例する印加電圧V(ボルト)の電圧値を設定する。
【0085】
すなわち、本実施形態のステップS6では、印加電圧V(ボルト)を以下の式(1);
【0086】
【数1】

【0087】
と設定する。
【0088】
例えば、最大電流値mを20ミリアンペアと指定して、抵抗に比例した電圧値を算出する。
【0089】
また、算出される電圧値にも最大値を設定しておき(例えば、50ボルト)、この設定された最大電圧値が上記式(1)により算出された電圧値よりも大きくなる場合、このステップS11では、設定される電圧値は、上記式(1)から算出された電圧値ではなく、最大電圧値となる。これにより、液晶パネル2の配線間を流れる電流の電流値が最大電流値よりも小さくなる。
【0090】
ここで、電流I(アンペア)は次の式(2);
【0091】
【数2】

【0092】
となる。つまり、印加電圧を適切に定めることにより、電流を一定にすることができる。
【0093】
ここで、基板に形成された配線の抵抗値Rは、次の式(3);
【0094】
【数3】

【0095】
であり、電気抵抗率ρおよび断面積Aは、配線の種類および場所によって決まっている定数である。したがって、単位長さ当たりの配線の抵抗値R/L=ρ/Aも定数となる。すなわち、配線の種類および場所ごとに付与した番号をiとすると、配線iの単位長さ当たりの抵抗値r(i)は、次の式(4);
【0096】
【数4】

【0097】
と表される。
【0098】
ここで、単位時間当たりの発熱量J(ジュール)は、以下の式(5);
【0099】
【数5】

【0100】
と表されることを考慮すると、配線iの単位長さ当たりの配線iの発熱量は、上記式(2)、(4)および(5)より、次の式(6);
【0101】
【数6】

【0102】
となる。
【0103】
ここで、図10は、短絡経路を説明するための図であり、薄膜トランジスタ基板の電気的配線図の一例である。図10の薄膜トランジスタ基板は、ガラス基板上に走査線(配線)31〜35と信号線(配線)41〜45が格子状に配置され、各交点には図示しない薄膜トランジスタおよび透明画素電極が接続された、全体で5×5画素が形成された基板である。この薄膜トランジスタ基板と、図示しない共通電極基板とを平行に配置して、その間に液晶が封入したものが、液晶パネルである。また、薄膜トランジスタ基板には、図10に示すように、走査線の各引き出し線31p〜35pの先端部を共通線30により共通に接続して静電破壊を防止するようにしている。信号線についても同様である。図10に示す薄膜トランジスタ基板では、走査線33と信号線43との間に、短絡箇所50が形成されている。このような薄膜トランジスタ基板において、短絡経路が引き出し線33p→走査線33→短絡箇所50→信号線43→引き出し線43pのように分けられた場合を考えると、単位長さ当たりの走査線33および信号線43の発熱量を、それぞれ一定にすることができる。
【0104】
したがって、短絡箇所の電気抵抗の大小に関わらず、あらかじめ定数mを適切に定めておくことにより、赤外線画像により、走査線33および信号線43を安定して認識することができる。
【0105】
そして、この認識された配線部分を更に解析して、走査線33と信号線43とが短絡している部分を特定することにより、短絡箇所を特定することができる。もし、短絡箇所の抵抗値が高い場合、短絡箇所の発熱量が大きくなるため、赤外線画像から短絡箇所を容易に特定することができる。
【0106】
また、配線の抵抗値に基づいて電圧を定めるには、制御部7が上記式(1)を計算する処理をその都度実行すればよい。あるいは、抵抗値と電圧との関係を予めテーブルにして記憶しておき、制御部7がこのテーブルをその都度参照して、抵抗値から電圧を定めればよい。
【0107】
すなわち、式(1)に基づいて、抵抗値に比例する印加電圧V(ボルト)を液晶パネル2に印加することにより、単位時間当たりの発熱量を一定にすることができる。
【0108】
基板の種類、または基板上における欠陥の発生場所等の短絡原因により、例えば、図5に示されるような欠陥部23を含む短絡経路の抵抗値は大きく変動する。しかしながら、このステップS11を行えば、欠陥を含む短絡経路の単位時間当たりの発熱量を一定にすることができる。この発熱量が一定になることにより、欠陥の電気抵抗値が大きい場合は、欠陥自身がよく発熱し、欠陥の電気抵抗値が小さい場合は、短絡経路の配線部がよく発熱する。このため、何れの場合の赤外線検査においても、容易に欠陥を検出することができる。
【0109】
ステップS12では、まずステップS9で決定されたプローブピン21に、ステップS11にて設定された、式(1)によって表される電圧を印加する(電圧印加工程)。ここで、ステップS8において検査対象の欠陥が存在する第一の検査領域R1に移動されている赤外線カメラ5は、プローブピン21への当該電圧の印加と連動するように制御部7によって制御される。これにより、プローブピン21に当該電圧が印加され、欠陥が発熱し始めるのと同時に赤外線カメラ5が当該欠陥の赤外線画像の撮像を開始する。そして、欠陥が発熱する前の赤外線画像と欠陥が発熱した後の赤外線画像を用い、その赤外線画像の差画像(すなわち、電圧印加前後の液晶パネルの温度差)に基づいて赤外線検査が行われ、所定の温度差を越えた発熱箇所を、欠陥を含む配線間であると判断する。以上の工程によってマクロ計測用の赤外線カメラ5aを用いた発熱箇所の特定が完了する。そして、続いて、赤外線カメラ5をミクロ測定用の赤外線カメラ5bに切り替えて、ミクロ計測用の赤外線カメラ5bを移動させることによってミクロ計測用の赤外線カメラ5bの視野内に発熱箇所を位置させて、欠陥の座標位置を高精度に特定したり、あるいは修正に必要な形状等の情報についての計測を行うことができる。このミクロ測定用の赤外線カメラ5bを用いたミクロ測定においては、線欠陥だけではなく点欠陥の位置も特定することが可能である(欠陥検出工程)。なお、この実施形態においては、所定の温度差を1度と設定している。
【0110】
ステップS13では、赤外線検査が必要な全ての欠陥検出モードにて赤外線検査が為されているか否かが判断される。全ての欠陥検出モードに対して赤外線検査が為されている場合、次のステップS14に移行する。全ての欠陥検出モードに対して赤外線検査が為されていない場合、ステップS9に戻り、各ステップが繰り返される。
【0111】
ステップS14では、図1に示されているカメラ移動手段6を用いて、赤外線カメラ5を液晶パネル2の第一の検査領域R1から第二の検査領域R2に移動する。
【0112】
ステップS15では、実施する欠陥検出モードは、欠陥検出モードA、B、およびCの中から1つ選択される。具体的には、ステップS4にてデータ記憶部10に記憶された欠陥が存在する配線間に対応する欠陥検出モードが1つ選択される。
【0113】
ステップS16では、ステップS11にて設定された電圧値と同一の電圧値が設定される。つまり、式(1)で表される電圧の電圧値が設定される。
【0114】
ステップS17では、ステップS7にて保存された対応関係データと、ステップS14にて移動する赤外線カメラ5の位置と、ステップS15にて決定された欠陥検出モードの情報とに基づいて、給電用に使用されるプローブピンが決定され、リレーON/OFF切替により、ステップS10で決定されていたプローブピンから切り替えられる。
【0115】
具体的には、ステップS15にて欠陥検出モードAが選択された場合、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、パッド19bおよび第二の検査領域R2に対応するパッド19aの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、プローブピン21bおよび第二の検査領域R2に対応するプローブピン21aの一部に切り替えられる。具体的には、図8に示されているパッド19a6から19a10に対応するプローブピン21a6から21a10の各々と、パッド19b1から19b10に対応するプローブピン21b1から21b10の各々とに切り替えられる。
【0116】
ステップS15にて欠陥検出モードBが選択された場合、図3(a)に図示されているパッド19aから19dの内、パッド19bのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、プローブピン21bに切り替えられる。具体的には、図8に示されているパッド19b1から19b10の内、隣り合うパッドの組(例えば、19b1と19b2との組、19b2と19b3との組等)に対応するプローブピン21の組(例えば、21b1と21b2との組、21b2と21b3との組等)に切り替えられる。
【0117】
ステップS15にて欠陥検出モードCが選択された場合、図3(a)に図示されているパッド19aから19dの内、パッド19aにのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、プローブピン21aに切り替えられる。具体的には、図8に示されているパッド19a6から19b10の内、隣り合うパッドの組(例えば、19a6と19a7との組、19a7と19a8との組等)に対応するプローブピン21の組(例えば、21a6と21a7との組、21a7と21a8との組等)に切り替えられる。
【0118】
ステップS18では、まずステップS16にて切り替えられたプローブピン21に、ステップS15にて設定された、式(1)によって表される電圧を印加する(電圧印加工程)。ここで、ステップ14において検査対象の欠陥が存在する第二の検査領域R2に移動されている赤外線カメラ5は、プローブピン21への当該電圧の印加と連動するように制御部7によって制御される。これにより、プローブピン21に当該電圧が印加され、欠陥が発熱し始めるのとほぼ同時に赤外線カメラが当該欠陥の赤外線画像の撮像を開始する。そして、欠陥が発熱する前の赤外線画像と欠陥が発熱した後の赤外線画像を用い、その赤外線画像の差画像(すなわち、電圧印加前後の液晶パネルの温度差)に基づいて赤外線検査が行われ、所定の温度差を越えた発熱箇所を、欠陥を含む配線間であると判断する。以上の工程によってマクロ計測用の赤外線カメラ5aを用いた発熱箇所の特定が完了する。そして、続いて、赤外線カメラ5をミクロ測定用の赤外線カメラ5bに切り替えて、上記と同様のミクロ測定を行う(欠陥検出工程)。なお、この実施形態においては、所定の温度差を1度と設定している。
【0119】
ここで、具体的な電圧印加方法について、図5および図8を参照しながら説明する。
【0120】
ステップS15にて欠陥検出モードAが選択された場合、つまり図5(a)に示されているような欠陥部23を検出する場合、図8に示されているパッド19a6から19a10に対応するプローブピン21a6から21a10の各々と、パッド19b1から19b10に対応するプローブピン21b1から21b10の各々との間に電圧を印加することにより、欠陥検出モードAに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0121】
ステップS15にて欠陥検出モードBが選択された場合、つまり図5(b)に示されているような欠陥部23を検出する場合、図8に示されているパッド19d1から19d10の内、隣り合うパッドの組(例えば、19d1と19d2との組、19d2と19d3との組等)に対応するプローブピン21の組(21d1と21d2との組、21d2と21d3との組等)に電圧を印加することにより、欠陥検出モードBに対応する欠陥部23は発熱し、赤外線カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0122】
ステップS15にて欠陥検出モードCが選択された場合、つまり図5(c)に示されているような欠陥部23を検出する場合、図8に示されているパッド19a6から19a10の内、隣り合うパッドの組(例えば、19a6と19a7との組、19a7と19a8との組等)に対応するプローブピン21の組(21a6と21a7との組、21a7と21a8との組等)に電圧を印加することにより、欠陥検出モードCに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0123】
ステップS19では、赤外線検査が必要な全ての欠陥検出モードにて赤外線検査が為されているか否かが判断される。全ての欠陥検出モードに対して赤外線検査が為されている場合、次のステップS19に移行する。全ての欠陥検出モードに対して赤外線検査が為されていない場合、ステップS14に戻り、各ステップが繰り返される。
【0124】
ステップS20では、配線欠陥検出中のマザー基板1上における60型液晶パネル2の全てにおいて配線欠陥検出が終了しているか否かが判定される。ここで、液晶パネル2の全てにおいて配線欠陥検出が終了していない場合、ステップS2に戻り、次の配線欠陥検出対象となる液晶パネル2にプローブが移動されて、配線欠陥検出が繰り返される。反対に、液晶パネル2の全てにおいて配線欠陥検出が終了している場合、配線欠陥検出のための全工程は終了となる。
【0125】
なお、本実施形態における配線欠陥検出方法の変形例として、ステップS12およびステップS18では、電圧の印加および赤外線画像の撮像のみを実施し、ステップS18の直後に新しいステップを設け、その新しいステップでステップS18にて撮像された赤外線画像の画像処理を実施するようなフローが挙げられる。
【0126】
(実施形態1の作用効果)
本実施形態によれば、半導体基板(リーク欠陥基板)上にある配線欠陥検出の対象となる液晶パネル2であって、赤外線カメラ5の撮像視野の範囲よりも広い範囲を有する液晶パネル2を、赤外線カメラ5と液晶パネル2との相対位置を変えて2回撮像する構成において、当該相対位置の変化に合わせて赤外線カメラの撮像視野の範囲に含まれる液晶パネル2の各々の検査領域にのみ電圧を印加して発熱させることができる。
【0127】
また、当該相対位置の変化に合わせて赤外線カメラ5の撮像視野の範囲に含まれる液晶パネルの各々の検査領域のみに電圧を印加して発熱させるため、配線欠陥検出のための赤外線検査が為されていない他の検査領域において、液晶パネル2が発熱しすぎることはない。つまり、配線欠陥検出のための赤外線検査が為されていない他の検査領域において、液晶パネル2の温度が上昇しすぎることはない。これにより、液晶パネル2の次の検査領域において配線欠陥検出のための赤外線検査を為す際に、液晶パネル2のパッド19にすぐ給電し液晶パネル2を発熱させたとしても、欠陥の検出に必要な温度上昇を得ることができ、適正に欠陥を検出することができる。
【0128】
なお本実施形態では、液晶パネル2の大きさに合わせたプローブ3を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、液晶パネルにおける検査領域の位置と、欠陥検出モードとに応じて、異なるプローブを使用することも可能である。
【0129】
〔実施形態2〕
本発明に係る配線欠陥検出装置および配線欠陥検出方法の他の実施形態について、図1〜図5および図9を参照して説明する。
【0130】
(配線欠陥検出装置の構成)
本発明に係る他の実施形態について説明する。
【0131】
この実施形態においては、実施形態1における装置と同様の装置を用いている。
【0132】
実施形態1においては、液晶パネル2を2つに分割した検査領域のそれぞれに対して、配線欠陥検出のための赤外線検査を行う構成であるのに対して、本実施形態では、液晶パネルの分割数を更に増やした場合の赤外線検査について説明する。
【0133】
(配線欠陥検出方法)
図7は、本実施形態に係る配線欠陥検出装置100を用いた配線欠陥検出方法のフローチャートである。
【0134】
実施形態1においては、配線欠陥検出のための赤外線検査が行われる液晶パネル2としては検査領域を2つに分割した例えば60型の比較的大型の液晶パネルを用いていたが、本実施形態においては、フリーサイズの大型の液晶パネル2を用いている。
【0135】
そのため、本実施形態では、まず、実施形態1において説明したステップ7に先立って、
(a)液晶パネルの大きさと、赤外線カメラの撮像視野範囲の大きさとから、液晶パネルを複数の検査領域に分割しなければならないか否かを、制御部の検査領域数判断手段が判断する検査領域数判断工程と、
(b)上記検査領域数判断工程にて複数の検査領域に分割しなければならないと判断した場合、制御部の検査領域決定手段が、各検査領域の大きさを決定する検査領域決定工程と、
をおこなう構成となっている。
【0136】
以下、本実施形態の配線欠陥検出方法を、ステップS100〜ステップS2400に基づいて説明する。
【0137】
ステップS100では、図2に示す配線欠陥検出装置100のアライメントステージ11にマザー基板1が載置され、XY座標軸と平行になるようにマザー基板1の位置が調整される。
【0138】
ステップS200では、図2に示すプローブ移動手段4によりプローブ3が、ステップS1において位置調整がされたマザー基板1の、検出対象となる液晶パネル2の上部に移動され、プローブピン21a〜21dが液晶パネル2のパッド19a〜19dと接触する。
【0139】
ステップS300では、ステップS200に続けて、各種欠陥の検出モードに対応して、抵抗検査するための配線間が選択され、導通させるプローブピン21の切り替えが行われる。ここでの、各種欠陥の検出モードは、実施形態1において記述されている欠陥検出モードA、B、およびCと同一である。
【0140】
ステップS400では、ステップS300において切り替えられたプローブピン21を導通して、選択された配線間の抵抗値を測定し、取得する。取得された抵抗値は、選択された配線間の情報と併せてデータ記憶部10に記憶される。
【0141】
ステップS500では、実施形態1と同様に欠陥検出モードA、B、およびCの全てにおいて抵抗値の測定が終了したか否かが判断される。全ての欠陥検出モードが終了していない場合、ステップS300に戻り、各ステップが繰り返される。全ての欠陥検出モードが終了している場合、次のステップS600に移行する。
【0142】
ステップS600では、実施形態1と同様に検査中の液晶パネル2において配線欠陥検出のための赤外線検査が必要な欠陥が存在するか否かが判断される。赤外線検査が必要な欠陥は無いと判断された場合、後述するステップS2400に移行する。赤外線検査が必要な欠陥は有ると判断された場合、続くステップS700に移行する。
【0143】
ステップS700(検査領域数判断工程)では、制御部の検査領域数判断手段が、検査対象となる液晶パネル2の大きさおよび赤外線カメラ5の撮像視野範囲の大きさから、液晶パネルを複数の検査領域に分割する必要があるか否かを判断する。すなわち、赤外線検査をする際の液晶パネル2上の検査領域数が、1であるか、それとも、縦n個×横m個の複数であるかが判断される。
【0144】
ステップS800(検査領域決定工程)では、ステップS700において、赤外線検査をする際の液晶パネル2上の検査領域数が複数(n×m個)であると判断された場合、制御部の検査領域決定手段により、検査対象となる液晶パネル2の大きさおよび赤外線カメラ5の撮像視野の範囲から、各検査領域の範囲が決定される。ここで、縦n×横mの検査領域に分割された液晶パネル2の各検査領域であるが、図9に示されているように、最も左の列は上から順にR1,R2,...,Rn、最も左から二番目の列は上から順にRn+1,Rn+2,...,R2×n、そして、最も右の列は上から順にRn×m−(n−1),Rn×m−(n−2),...,Rn×mとする。
【0145】
ステップS900では、ステップS800にて求められた各検査領域の範囲から、対応する給電のためのパッド19が割り出され、各検査領域Rとパッド19との関係を対応付けた対応関係データを制御部の対応関係作成部が作成し(対応関係作成工程)、データ記憶部10に記憶させる(記憶工程)。また、この対応関係取得部では、パネル内で2次元分布(例えば5cm間隔)の各点で欠陥検出モード毎に上下左右のどのパッド19を使うかを相関データとして登録してデータ記憶部10に記憶させておき、自動で領域分割した際には赤外線カメラの視野中央部の登録情報と当該相関データとに基づいて使用するパッドを決定する。
【0146】
ステップS1000では、図1に示されているカメラ移動手段6を用いて、赤外線カメラ5を液晶パネル2の図9に示されている第一の検査領域R1に移動させる。
【0147】
ステップS1100では、赤外線検査が必要な欠陥検出モードが、欠陥検出モードA、B、およびCの中から1つ選択される。具体的には、ステップS900にてデータ記憶部10に記憶された欠陥が存在する配線間に対応する欠陥検出モードが1つ選択される。
【0148】
ステップS1200では、ステップS900にて記憶された対応関係データおよび相関データと、ステップS1000にて移動した赤外線カメラ5の位置と、ステップS1100にて決定された欠陥検出モードの情報とに基づいて、給電用に使用されるプローブピンが決定される。
【0149】
具体的には、ステップS1100にて欠陥検出モードAが選択された場合、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第一の検査領域R1に対応するパッド19aの一部およびパッド19dの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第一の検査領域R1に対応するプローブピン21aの一部およびプローブピン21dの一部に切り替えられる。すなわち、図9に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5、および、パッド19d1から19d5に対応するプローブピン21d1から21d5に切り替えられる。
【0150】
ステップS1100にて欠陥検出モードBが選択された場合、図3(a)に図示されているパッド19aから19dの内、第一の検査領域R1に対応するパッド19dの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第一の検査領域R1に対応するプローブピン21dの一部に切り替えられる。すなわち図9に示されているパッド19d1から19d10に対応するプローブピン21d1から21d10に切り替えられる。
【0151】
ステップS1100にて欠陥検出モードCが選択された場合、図3(a)に図示されているパッド19aから19dの内、第一の検査領域R1に対応するパッド19aの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第一の検査領域R1に対応するプローブピン21aの一部に切り替えられる。すなわち図9に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5に切り替えられる。
【0152】
ステップS1300では、液晶パネル2の配線間に印加する電圧値が、ステップS400においてデータ記憶部10に記憶された抵抗値に基づいて設定される。具体的な電圧値の設定方法は、実施形態1と同様である。
【0153】
ステップS1400では、まずステップS1200にて決定されたプローブピン21に、ステップS1300にて設定された、式(1)によって表される電圧を印加する。ここで、ステップS1000において検査対象の欠陥が存在する第一の検査領域R1に移動されている赤外線カメラ5は、プローブピン21への当該電圧の印加と連動するように制御部7によって制御される。これにより、プローブピン21に当該電圧が印加され、欠陥が発熱し始めるのと同時に赤外線カメラ5が当該欠陥の赤外線画像の撮像を開始する。そして、欠陥が発熱する前の赤外線画像と欠陥が発熱した後の赤外線画像を用い、その赤外線画像の差画像(すなわち、電圧印加前後の液晶パネルの温度差)に基づいて赤外線検査が行われ、所定の温度差を越えた発熱箇所を欠陥を含む配線間だと判断する。以上の工程によってマクロ計測用の赤外線カメラ5aを用いた発熱箇所の特定が完了する。そして、続いて、赤外線カメラ5をミクロ測定用の赤外線カメラ5bに切り替えて、上記と同様のミクロ測定を行う(欠陥検出工程)。なお、この実施形態においては、所定の温度差を1度と設定している。
【0154】
ここで、具体的な電圧印加方法について、図5および図9を参照しながら説明する。
【0155】
ステップS1100にて欠陥検出モードAが選択された場合、つまり図5(a)に示されているような欠陥部23を検出する場合、図9に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5の各々と、パッド19d1から19d10に対応するプローブピン21d1から21d10の各々との間に電圧を印加することにより、欠陥検出モードAに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0156】
ステップS1100にて欠陥検出モードBが選択された場合、つまり図5(b)に示されているような欠陥部23を検出する場合、図9に示されているパッド19d1から19d10に対応するプローブピン21d1から21d10の内、隣接する2つのプローブピンの間(例えば、21d1と21d2との間、21d4と21d5との間等)に電圧を印加することにより、欠陥検出モードBに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0157】
ステップS1100にて欠陥検出モードCが選択された場合、つまり図5(c)に示されているような欠陥部23を検出する場合、図9に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21daの内、隣接する2つのプローブピンの間(例えば、21a1と21a2との間、21a4と21a5との間等)に電圧を印加することにより、欠陥検出モードCに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0158】
ステップS1500では、赤外線検査が必要な全ての欠陥検出モードにて赤外線検査が為されているか否かが判断される。全ての欠陥検出モードに対して赤外線検査が為されている場合、次のステップS1600に移行する。全ての欠陥検出モードに対して赤外線検査が為されていない場合、ステップS1100に戻り、各ステップが繰り返される。
【0159】
ステップS1600では、図1に示されているカメラ移動手段6を用いて、赤外線カメラ5を液晶パネル2の第一の検査領域R1から、縦q行目(1≦q≦n)および横r列目(1≦r≦m)に位置している第kの検査領域Rk(k=2,...,n×m)に移動させる。
【0160】
ステップS1700では、赤外線検査が必要な欠陥検出モードが、欠陥検出モードA、B、およびCの中から1つ選択される。具体的には、ステップS400にてデータ記憶部10に記憶された欠陥が存在する配線間に対応する欠陥検出モードが1つ選択される。
【0161】
ステップS1800では、ステップS1200にて設定された電圧値と同一の電圧値が設定される。つまり、式(1)で表される電圧の電圧値が設定される。
【0162】
ステップS1900(プローブピン切替工程)では、ステップS900にて記憶された対応関係データおよび相関データと、ステップS1600にて移動した赤外線カメラ5の位置と、ステップS1700にて選択された欠陥検出モードの情報とに基づいて、給電用に使用されるプローブピンが決定され、リレーON/OFF切替により、ステップS1200で決定されていたプローブピンから切り替えられる。
【0163】
具体的には、ステップS1700にて欠陥検出モードAが選択された場合、上述のqがn/2以下であり、かつ、上述のrがm/2以下であるならば、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19aの一部およびパッド19dの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21aの一部およびプローブピン21dの一部に切り替えられる。すなわち、図9に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5、および、パッド19d1から19d10に対応するプローブピン21d1から21d10に切り替えられる。また、上述のqがn/2より大きく、かつ、上述のrがm/2より大きければ、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19cの一部およびパッド19bの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21cの一部およびプローブピン21bの一部に切り替えられる。すなわち、図9に示されているパッド19c1から19c5に対応するプローブピン21c1から21c5、および、パッド19b1から19b10に対応するプローブピン21b1から21b10に切り替えられる。また、上述のqがn/2以下であり、かつ、上述のrがm/2よりも大きければ、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19aの一部およびパッド19bの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21aの一部およびプローブピン21bの一部に切り替えられる。すなわち、図9に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5、および、パッド19b1から19b10に対応するプローブピン21b1から21b10に切り替えられる。また、上述のqがn/2より大きく、かつ、上述のrがm/2以下であれば、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19cの一部およびパッド19dの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21cの一部およびプローブピン21dの一部に切り替えられる。すなわち、図9に示されているパッド19c1から19c5に対応するプローブピン21c1から21c5、および、パッド19d1から19d10に対応するプローブピン21d1から21d10に切り替えられる。
【0164】
なお、上下左右のパッドのうちの検査領域Rkに近いパッドを使用する上述の態様に限らず、上下のうちの一方を常に使用し、且つ、左右のうちの一方を常に使用するという態様とすることで、未検査領域を発熱させないようにしてもよい。例えば、図3(a)に図示されているパッド19cには給電せずに、常に図3(a)に図示されているパッド19aの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19aの一部に給電し、且つ、図3(a)に図示されているパッド19bには給電せずに、常に図3(a)に図示されているパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19dの一部に給電する態様としてもよい。
【0165】
ステップS1700にて欠陥検出モードBが選択された場合、上述のrがm/2以下であるならば、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19dの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21dの一部に切り替えられる。すなわち、図9に示されているパッド19d1から19d10に対応するプローブピン21d1から21d10に切り替えられる。一方、上述のrがm/2よりも大きければ、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19bの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21bの一部に切り替えられる。すなわち、図9に示されているパッド19b1から19b10に対応するプローブピン21b1から21b10に切り替えられる。なお、上述のrがm/2よりも大きい場合であっても、rがm/2以下である場合と同様に、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19dの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21dの一部に切り替えられてもよい。
【0166】
ステップS1700にて欠陥検出モードCが選択された場合、上述のqがn/2以下ならば、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19aの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21aの一部に切り替えられる。すなわち、図9に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5に切り替えられる。一方、上述のqがn/2よりも大きければ、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19cの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21cの一部に切り替えられる。すなわち、図9に示されているパッド19c1から19c5に対応するプローブピン21c1から21c5に切り替えられる。なお、上述のqがn/2よりも大きい場合であっても、qがn/2以下の場合と同様に、図3(a)に図示されているパッド19aからパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19aの一部にのみ給電されるように、図3(b)に図示されているプローブピン21aから21dの内、プローブピン21は、第kの検査領域Rkに対応するプローブピン21aの一部に切り替えられてもよい。
【0167】
ステップS2000では、まずステップS1900にて切り替えられたプローブピン21に、ステップS1800にて設定された、式(1)によって表される電圧を印加する。ここで、ステップS1600にて検査対象の欠陥が存在する第kの検査領域Rkに移動されている赤外線カメラ5は、プローブピン21への当該電圧の印加と連動するように制御部7によって制御される。これにより、プローブピン21に当該電圧が印加され、欠陥が発熱し始めるのと同時に赤外線カメラ5が当該欠陥の赤外線画像の撮像を開始する。そして、欠陥が発熱する前の赤外線画像と欠陥が発熱した後の赤外線画像を用い、その赤外線画像の差画像(すなわち、電圧印加前後の液晶パネルの温度差)に基づいて赤外線検査が行われ、所定の温度差を越えた発熱箇所を欠陥を含む配線間だと判断する。以上の工程によってマクロ計測用の赤外線カメラ5aを用いた発熱箇所の特定が完了する。そして、続いて、赤外線カメラ5をミクロ測定用の赤外線カメラ5bに切り替えて、上記と同様のミクロ測定を行う(欠陥検出工程)。この実施形態においては、所定の温度差を1度と設定している。
【0168】
ここで、具体的な電圧印加方法について、図5および図9を参照しながら説明する。
【0169】
ステップS1700にて欠陥検出モードAが選択された場合、つまり図5(a)に示されているような欠陥部23を検出する場合、上述のqがn/2以下であり、かつ、上述のrがm/2以下であるならば、図9に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5の各々と、パッド19d1から19d10に対応するプローブピン21d1から21d10の各々との間に電圧を印加することにより、欠陥検出モードAに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。また、上述のqがn/2より大きく、かつ、上述のrがm/2より大きければ、図9に示されているパッド19c1から19c5に対応するプローブピン21c1から21c5の各々と、パッド19b1から19b10に対応するプローブピン21b1から21b10の各々との間に電圧を印加することにより、欠陥検出モードAに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。また、上述のqがn/2以下であり、かつ、上述のrがm/2より大きければ、図9に示されているパッド19a1から19a5に対応するプローブピン21a1から21a5の各々と、パッド19b1から19b10に対応するプローブピン21d1から21d10の各々との間に電圧を印加することにより、欠陥検出モードAに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。また、上述のqがn/2より大きく、かつ、上述のrがm/2以下であれば、図9に示されているパッド19c1から19c5に対応するプローブピン21c1から21c5の各々と、パッド19d1から19d10に対応するプローブピン21d1から21d10の各々との間に電圧を印加することにより、欠陥検出モードAに対応する欠陥部23は発熱し、赤外カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0170】
なお、上下左右のパッドのうちの検査領域Rkに近いパッドに対応するプローブピンに電圧を印加する上述の態様に限らず、上下のうちの一方のパッドを常に使用し、且つ、左右のうちの一方のパッドを常に使用し、そのバッドに対応するプローブピンに電圧を印加するという態様とすることで、未検査領域を発熱させないようにしてもよい。例えば、図3(a)に図示されているパッド19cには給電せずに、常に図3(a)に図示されているパッド19aの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19aの一部に給電し、且つ、図3(a)に図示されているパッド19bには給電せずに、常に図3(a)に図示されているパッド19dの内、第kの検査領域Rkに対応するパッド19dの一部に給電する態様としてもよい。
【0171】
ステップS1700にて欠陥検出モードBが選択された場合、つまり図5(b)に示されているような欠陥部23を検出する場合、上述のrがm/2以下であるならば、図9に示されているパッド19d1から19d10の内、隣り合うパッドの組(例えば、19d1と19d2との組、19d2と19d3との組等)に対応するプローブピン21の組(21d1と21d2との組、21d2と21d3との組等)に電圧を印加することにより、欠陥検出モードBに対応する欠陥部23は発熱し、赤外線カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。一方、上述のrがm/2より大きければ、図9に示されているパッド19b1から19b10の内、隣り合うパッドの組(例えば、19b1と19b2との組、19b2と19b3との組等)に対応するプローブピン21の組(21b1と21b2との組、21b2と21b3との組等)に電圧を印加することにより、欠陥検出モードBに対応する欠陥部23は発熱し、赤外線カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。なお、上述したように、rがm/2よりも大きい場合であっても、rがm/2以下である場合と同様に、図9に示されているパッド19d1から19d10の内、隣り合うパッドの組(例えば、19d1と19d2との組、19d2と19d3との組等)に対応するプローブピン21の組(21d1と21d2との組、21d2と21d3との組等)に電圧を印加する構成であってもよい。
【0172】
ステップS1700にて欠陥検出モードCが選択された場合、つまり図5(c)に示されているような欠陥部23を検出する場合、上述のqがn/2以下であるならば、図9に示されているパッド19a1から19d5の内、隣り合うパッドの組(例えば、19a1と19a2との組、19a2と19a3との組等)に対応するプローブピン21の組(21a1と21a2との組、21a2と21a3との組等)に電圧を印加することにより、欠陥検出モードCに対応する欠陥部23は発熱し、赤外線カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。一方、上述のqがn/2より大きければ、図9に示されているパッド19c1から19c5の内、隣り合うパッドの組(例えば、19c1と19c2との組、19c2と19c3との組等)に対応するプローブピン21の組(21c1と21c2との組、21c2と21c3との組等)に電圧を印加することにより、欠陥検出モードCに対応する欠陥部23は発熱し、赤外線カメラ5は赤外線画像を撮像することが可能になる。
【0173】
なお、上述したように、qがn/2より大きい場合であっても、qがn/2以下である場合と同様に、図9に示されているパッド19a1から19d5の内、隣り合うパッドの組(例えば、19a1と19a2との組、19a2と19a3との組等)に対応するプローブピン21の組(21a1と21a2との組、21a2と21a3との組等)に電圧を印加する構成であってもよい。
【0174】
ステップS2100では、配線欠陥検出のための赤外線検査が必要な全ての欠陥検出モードにて赤外線検査が為されているか否かが判断される。全ての欠陥検出モードに対して赤外線検査が為されている場合、次のステップS2200に移行する。全ての欠陥検出モードに対して赤外線検査が為されていない場合、ステップS1700に戻り、各ステップが繰り返される。
【0175】
ステップS2200では、現時点で配線欠陥検出のための赤外線検査が行われている検査領域Rkが、最後の検査領域Rn×mであるか否かが判断される。k=n×mである場合、ステップS2400に移行する。k=n×mでない場合、ステップS2300に移行する。
【0176】
ステップS2300では、kをk+1とした上で、ステップS1600に戻り、各ステップが繰り返される。
【0177】
ステップS2400では、配線欠陥検出中のマザー基板1上における液晶パネル2の全領域において配線欠陥検出が終了しているか否かが判定される。ここで、液晶パネル2の全てにおいて配線欠陥検出が終了していない場合、ステップS200に戻り、次の配線欠陥検出対象となる液晶パネル2にプローブが移動されて、配線欠陥検出が繰り返される。反対に、液晶パネル2の全てにおいて配線欠陥検出が終了している場合、配線欠陥検出のための全工程は終了となる。
【0178】
ここで、本実施形態のように縦n×横mの検査領域を順次検査する場合、第kの検査領域Rkを検査する順序は、次の(A)から(D)の領域順に検査をすることが好ましい。
(A)q≦n/2、かつ、r≦m/2である領域
縦一列を上から下に向けて順次検査し、最初に検査する縦一列を最左列とし、その後、当該一列の隣の縦一列を上から下に向けて順次検査し、その後、更に隣の縦一列というように、各列を同一方向に走査するように検査する。
(B)q≦n/2、かつ、r>m/2である領域
縦一列を上から下に向けて順次検査し、最初に検査する縦一列を最右列とし、その後、当該一列の隣の縦一列を上から下に向けて順次検査し、その後、更に隣の縦一列というように、各列を同一方向に走査するように検査する。
(C)q>n/2、かつ、r≦m/2である領域
縦一列を下から上に向けて順次検査し、最初に検査する縦一列を最左列とし、その後、当該一列の隣の縦一列を上から下に向けて順次検査し、その後、更に隣の縦一列というように、各列を同一方向に走査するように検査する。
(D)q>n/2、かつ、r>m/2である領域
縦一列を下から上に向けて順次検査し、最初に検査する縦一列を最右列とし、その後、当該一列の隣の縦一列を上から下に向けて順次検査し、その後、更に隣の縦一列というように、各列を同一方向に走査するように検査する。
【0179】
なお、上記では縦列に関して上下方向に走査しているが、横列に関して左右方向に走査する構成であってもよい。
【0180】
このように各列を同一方向に走査するように検査することにより、未検査領域の発熱を極力抑えることが可能となる。
【0181】
また、本実施形態のように縦n×横mの検査領域を順次検査する場合、検査領域の移動方法として次のような変形例が考えられる。
【0182】
(変形例1)
第一の変形例として、縦一列を上から下に向けて順次検査する場合が挙げられる。最初に検査する縦一列を最左列とし、その後、当該一列の隣の縦一列を上から下に向けて順次検査し、その後、更に隣の縦一列というように、各列を同一方向に走査するように検査してもよい。なお、このように順次検査する場合、検査領域Rkに対応するパッドは、欠陥検出モードAのときは19a1〜19a5および19d1〜19d10が、欠陥検出モードBのときは19d1〜19d10が、欠陥検出モードCのときは19a1〜19a5が選択される。
【0183】
(変形例2)
第二の変形例として、横一列を左から右に向けて順次検査する場合が挙げられる。最初に検査する横一列を最上列とし、その後、当該一列の隣の横一列を上から下に向けて順次検査し、その後、更に隣の横一列というように、各列を同一方向に走査するように検査してもよい。なお、このように順次検査する場合、検査領域Rkに対応するパッドは、欠陥検出モードAのときは19a1〜19a5および19d1〜19d10が、欠陥検出モードBのときは19d1〜19d10が、欠陥検出モードCのときは19a1〜19a5が選択される。
【0184】
(実施形態2の作用効果)
本実施形態によれば、半導体基板(リーク欠陥基板)上にある配線欠陥検査の対象となる液晶パネル2であって、赤外線カメラ5の撮像視野の範囲よりも広い範囲を有する液晶パネル2を、赤外線カメラ5と液晶パネル2との相対位置を変えて複数回撮像する構成において、当該相対位置の変化に合わせて赤外線カメラの撮像視野の範囲に含まれる液晶パネル2の検査領域にのみ電圧を印加して発熱させる。
【0185】
また、当該相対位置の変化に合わせて赤外線カメラ5の撮像視野の範囲に含まれる液晶パネル2の検査領域にのみ電圧を印加して発熱させるため、配線欠陥検出のための赤外線検査が為されていない他の検査領域において、液晶パネル2が発熱しすぎることはない。つまり、配線欠陥検出のための赤外線検査が為されていない他の検査領域において、液晶パネル2の温度が上昇しすぎることはない。これにより、液晶パネル2の次の検査領域において配線欠陥検出するための赤外線検査を為す際に、液晶パネル2のパッド19にすぐに電圧を印加して液晶パネル2を発熱させたとしても、欠陥の検出に必要な温度上昇を得ることができ、適正に欠陥を検出することができる。
【0186】
以上、本発明に係わる実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態および変形例に限定されるものではない。本請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明は、液晶パネルなどの配線を有する半導体基板の配線状態の検出に用いることができる。
【符号の説明】
【0188】
1 マザー基板(パネル)
2 液晶パネル(パネル)
3 プローブ(電圧印加手段)
4 プローブ移動手段
5、5a、5b 赤外線カメラ
6 カメラ移動手段
7 制御部(パッド切替手段、対応関係作成部、検査領域数判断手段、検査領域決定手段、欠陥検出手段)
8 抵抗測定部
9 電圧印加部(電圧印加手段)
10 データ記憶部
11 アライメントステージ
12、16 光学カメラ
13a、13b、13c、13d、13e、13f ガイドレール
14a、14b、14d、14d マウント部
17 画素部
18 周辺回路部
19、19a、19b、19c、19d パッド
21、21a、21b、21c、21d プローブ部
23 欠陥部(配線短絡部)
30、40a、40b 共通線
31、32、33、34、35 走査線
31p、32p、33p、34p、35p 走査線引出線
41、42、43、44、45 信号線
41p、42p、43p、44p、45p 信号線引出線
50 短絡箇所
60 液晶パネル
100 配線欠陥検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパッドおよび配線を有するパネルを、赤外線カメラにより撮像することによって、上記配線の欠陥を検出するための配線欠陥検出方法であって、
上記赤外線カメラの撮像視野領域に合わせて上記パネルを複数に分割して得られる各検査領域と、上記複数のパッドのうちの各検出領域に対応するパッドとが対応付けられた対応関係データを、データ記憶部に記憶させる記憶工程と、
上記パネルと上記赤外線カメラとの相対位置を変化させるとともに、赤外線カメラの撮像視野領域の位置と上記データ記憶部に保存された上記対応関係データとに基づき、給電するパッドを切り替えるパッド切替工程と、
上記パッド切替工程にて切り替えられたパッドを介して、当該パッドに対応する上記配線に所定の電圧を印加する電圧印加工程と、
上記電圧印加工程にて上記電圧が印加された配線を含む検査領域を上記赤外線カメラにより撮像して、上記配線の欠陥を検出する欠陥検出工程と、
を含んでいることを特徴とする配線欠陥検出方法。
【請求項2】
上記記憶工程の前工程として、
上記赤外線カメラの撮像視野領域に合わせて上記パネルを複数の検査領域に分割し、各検査領域に対応するパッドを上記複数のパッドのなかから割り出して、検査領域と当該検査領域に対応するパッドとを対応付けて、上記対応関係データを作成する対応関係作成工程を含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載の配線欠陥検出方法。
【請求項3】
上記パネルの大きさと、上記赤外線カメラの撮像視野領域の大きさとから、パネルを複数の検査領域に分割しなければならないか否かを判断する検査領域数判断工程と、
上記検査領域数判断工程にて複数の検査領域に分割しなければならないと判断された場合、各検査領域の大きさを決定する検査領域決定工程と、
を上記対応関係作成工程の前工程として含んでいることを特徴とする請求項2に記載の配線欠陥検出方法。
【請求項4】
上記パッド切替工程では、各パッドに接続して給電するプローブピンを、上記電圧印加工程にて電圧を印加するプローブピンに切り替えることによって、赤外線カメラの撮像視野領域の位置に合わせて、給電するパッドを検査領域に対応するパッドに切り替える、ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の配線欠陥検出方法。
【請求項5】
複数のパッドおよび配線を有するパネルを、赤外線カメラにより撮像することによって、上記配線の欠陥を検出するための配線欠陥検出装置であって、
上記赤外線カメラと、
上記赤外線カメラの撮像視野領域に合わせて上記パネルを複数に分割して得られる各検査領域と、上記複数のパッドのうちの各検出領域に対応するパッドとが対応付けられた対応関係データを保存するデータ記憶部と、
上記パネルと上記赤外線カメラとの相対位置を変化させる移動手段と、
上記移動手段により上記相対位置が移動する赤外線カメラの撮像視野領域の位置と、上記データ記憶部に保存された上記対応関係データとに基づき、給電するパッドを切り替えるパッド切替手段と、
上記パッド切替手段によって切り替えられたパッドを介して、当該パッドに対応する配線に所定の電圧を印加する電圧印加手段と、
上記電圧印加手段にて上記電圧が印加された配線を含む検査領域を上記赤外線カメラにより撮像して、上記配線の欠陥を検出する欠陥検出手段と、
を備えており、
上記パッド切替手段、および、上記欠陥検出手段は、制御部に設けられていることを特徴とする配線欠陥検出装置。
【請求項6】
上記赤外線カメラの撮像視野領域に合わせて上記パネルを複数の検査領域に分割し、各検査領域に対応するパッドを上記複数のパッドのなかから割り出して、検査領域と当該検査領域に対応するパッドとを対応付けて、上記対応関係データを作成する対応関係作成部を更に備えており、
上記データ記憶部は、上記対応関係作成部が作成した上記対応関係データを保存し、
上記対応関係作成部は、上記制御部に設けられている、ことを特徴とする請求項5に記載の配線欠陥検出装置。
【請求項7】
上記対応関係作成部には、
上記パネルの大きさと、上記赤外線カメラの撮像視野領域の大きさとから、パネルを複数の検査領域に分割しなければならないか否かを判断する検査領域数判断手段と、
上記検査領域数判断手段にて複数の検査領域に分割しなければならない判断された場合、各検査領域の大きさを決定する検査領域決定手段と、
が設けられている、ことを特徴とする請求項6に記載の配線欠陥検出装置。
【請求項8】
上記パッドに接続して給電するプローブピンを備えており、
上記パッド切替手段は、上記電圧印加手段を用いて電圧を印加する上記プローブピンに切り替えることによって、赤外線カメラの撮像視野領域の位置に合わせて給電するパッドを検査領域に対応するパッドに切り替える、ことを特徴とする請求項5から7までの何れか1項に記載の配線欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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