説明

配線欠陥検査方法、配線欠陥検査装置、配線欠陥検査プログラム及び配線欠陥検査プログラム記録媒体

【課題】 TFTアレイ基板などの半導体基板の欠陥検出において、測定時間のばらつきを押さえ、適切な測定時間で正確に、且つ効率よく欠陥を検査することが出来る配線欠陥検査方法、配線欠陥検査装置、配線欠陥検査プログラム及び配線欠陥検査プログラム記録媒体を提供する。
【解決手段】 半導体基板における配線短絡部の検出を行う配線欠陥検査方法であって、検査対象の配線の端子間をショートさせるプリショート工程と、前記プリショート工程の後、前記検査対象の配線の抵抗値を測定することにより、前記配線短絡部の有無を判定する抵抗値測定工程を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどに使われるTFT(Thin film transistor)アレイ基板、あるいは太陽電池パネル等の半導体基板に形成された配線の欠陥検出に好適な、配線欠陥検査方法、配線欠陥検査装置、配線欠陥検査プログラム及び配線欠陥検査プログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶パネルの製造工程では、TFTアレイ工程、セル工程、及びモジュール工程などを経て液晶パネルが製造される。このうちTFTアレイ工程においては、透明基板上に、TFTの走査線として機能する複数本のゲート線が平行に配設されるとともに、信号線として機能する複数本のソース線がゲート線に直交して配設され、保護膜で被覆された後、透明電極が形成される。この後、アレイ検査が行われ、電極または配線の短絡の有無が検査される。
【0003】
例えば、特許文献1には、赤外線放射源を用いて、基板の短絡欠陥を検出する赤外線検査に関する技術が開示されている。図14は、該文献に示された薄膜トランジスタ基板欠陥検査・修正装置300の全体構成図である。この薄膜トランジスタ基板欠陥検査・修正装置300は、電圧を印加する前後の検査対象基板301の差画像を用いることにより、通電により発熱する基板の配線部と短絡欠陥部の赤外線画像を検出し、線状、あるいは点状の発熱パターンや欠陥の位置、欠陥の数量などに応じて印加電圧、検出位置、レンズ、赤外線検出器303等を切り換えて発熱している配線を検出し、欠陥位置を特定できるようにしている。
【0004】
また、特許文献2には、基板上に配置された複数種類の配線間の短絡を電気的検査により検出し、短絡が検出された場合は、赤外線検査を実施して短絡位置を特定する方法が開示されている。電気的検査は、配線間に電圧を印加して、抵抗値を測定する。抵抗値が無限大でなければ電流が流れていることになり、短絡があると判断する。あるいは配線間に電圧を印加して、電流値を測定し、電流が0でなければ、短絡があると判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−207914号公報(平成6年7月26日公開)
【特許文献2】特開平2−64594号公報(平成2年3月5日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献2に示されるような、基板上に配置された複数種類の配線間の抵抗を測定して、配線間の短絡を検査する方法においては、抵抗測定を開始後、測定値が変動し、安定して収束するまでに時間がかかる。これは、電子部品あるいは電子回路の中でそれらの物理的な構造により発生する設計者が意図しない容量成分、すなわち浮遊容量が存在することに起因する。
【0007】
例えば、図15に抵抗測定の場合の一般的な等価回路を示す。浮遊容量は、キャパシタ312の電荷容量値に相当するものとして記載している。抵抗311の抵抗値は、キャパシタ312と並列接続された抵抗成分である。抵抗315の抵抗値は、キャパシタ312と直列接続された抵抗成分である。ここでは、抵抗311と抵抗315の電気抵抗の合計値を測定することとする。すると、基板上の近接した配線や、配線と配線との間の絶縁層を介して静電容量ができてしまい、抵抗測定の動作に影響を与える。
【0008】
具体的には、図15においてスイッチ313を閉じ、電源314が電圧印加して抵抗測定を開始する場合、スイッチ313を閉じた直後は浮遊容量があるため、抵抗311の抵抗値にかかわらず、見かけ上キャパシタ312の両端のノード316とノード317が短絡しているように電流が流れる。最初はキャパシタ312のほうに電流が流れ、次にキャパシタ312と抵抗311に電流が流れ、キャパシタ312の充電が終わると、抵抗311だけに電流が流れる。この現象は誘電吸収と呼ばれ、誘電吸収が収束した後、抵抗311と抵抗315の電気抵抗の合計値を正確に測定できる。
【0009】
また、他の配線間の抵抗測定や静電気によって、キャパシタ312に事前にいくらか帯電していることもあり、このため、抵抗測定する直前までのキャパシタ312の充電量によって、誘電吸収が収束するまでの時間が変動し、抵抗測定に要するトータルの測定時間にばらつきが生じることがあった。測定時間にばらつきがあると、誘電吸収が収束するまでの時間を長めに見込んで測定を行ったり、過去の測定データに基づき、最も長くかかった測定時間に合わせて、個々の測定を行ったりしなければならない。このため、1回にかかる検査時間が長くなり、検査効率の低下につながるという課題があった。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、TFTアレイ基板などの半導体基板の欠陥検出において、測定時間のばらつきを押さえ、適切な測定時間で正確に、且つ効率よく欠陥を検査することが出来る配線欠陥検査方法、配線欠陥検査装置、配線欠陥検査プログラム及び配線欠陥検査プログラム記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る配線欠陥検査方法は、半導体基板における配線短絡部の検出を行う配線欠陥検査方法であって、検査対象の配線の端子間をショートさせるプリショート工程と、前記プリショート工程の後、前記検査対象の配線の抵抗値を測定することにより、前記配線短絡部の有無を判定する抵抗値測定工程を行うことを特徴とする。
【0012】
また、前記プリショート工程は、検査対象の全端子間をショートさせることを特徴としてもよい。また、前記抵抗値測定工程においては、前記配線の抵抗測定器の指示値が安定する前に前記抵抗値を決定することを特徴としてもよい。また、前記抵抗値測定工程においては、前記指示値の変化率により前記抵抗値を決定することを特徴としてもよい。また、前記抵抗値測定工程においては、測定された前記指示値と測定開始からの測定時間により前記変化率を算出することを特徴としてもよいし、異なる時間の前記指示値から前記変化率を算出することを特徴としてもよい。また、前記抵抗値測定工程は、前記変化率が所定の値より小さいときに前記配線短絡部を有すると判定することを特徴としてもよい。さらに、前記抵抗値測定工程において前記配線短絡部を有すると判定された前記半導体基板の該配線短絡部を含む短絡経路に、電圧を印加して、該短絡経路を発熱させる発熱工程と、前記発熱工程において発熱した短絡経路を、赤外線により撮像し、前記配線短絡部の位置を特定する位置特定工程を含むことを特徴としてもよい。また、前記抵抗値測定工程または位置特定工程のうち少なくとも一つの工程の後に、配線の端子間をショートさせる工程を含むことを特徴としてもよい。
【0013】
本発明に係る配線欠陥検査装置は、半導体基板における配線短絡部の検出を行う配線欠陥検査装置であって、検査対象の配線の端子間をショートさせるプリショート部と、前記検査対象の配線に電圧を印加する電圧印加部と、前記配線の抵抗値を測定する抵抗測定部と、前記電圧印加部を制御する制御部とを備えており、前記抵抗測定部によって測定された抵抗値に基づいて、前記配線短絡部の有無を判定することを特徴とする。また、前記配線欠陥検査装置は、撮像部をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0014】
本発明に係る配線欠陥検査プログラムは、前記配線欠陥検査装置を動作させる配線欠陥検査プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る配線欠陥検査プログラム記録媒体は、上記に記載の配線欠陥検査プログラムが記録されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、TFTアレイ基板などの半導体基板の欠陥検出において、測定時間のばらつきを押さえ、適切な測定時間で正確に、且つ効率よく欠陥を検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1に係る配線欠陥検査装置の構成を示すブロック図と、液晶パネルを有するマザー基板の構成を示す斜視図である。
【図2】上記配線欠陥検査装置の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態において用いられる液晶パネルおよびプローブの平面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る配線欠陥検査方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態を等価回路で示したものある。
【図6】本発明の実施形態に係る経過時間と電流値を説明した図である。
【図7】本発明の実施形態に係る抵抗値測定工程を説明した図である。
【図8】本発明の実施形態の抵抗値測定工程において用いられる変化率と抵抗値の関係を示す図である。
【図9】本発明の実施形態において用いられる画素部の欠陥を示す模式図である。
【図10】本発明の実施形態1に係る3つの欠陥モードに対応したリレーの結線を説明した図である。
【図11】本発明の実施形態1に係るリレーの開閉を示す表である。
【図12】本発明の実施形態2に係る配線欠陥検査装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の実施形態2に係る配線欠陥検査方法を示すフローチャートである。
【図14】従来の配線欠陥検出方法を説明した図である。
【図15】従来の配線欠陥検出方法を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら以下に説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
<実施形態1>
図1(a)は、本実施形態における配線欠陥検査装置100の構成を示すブロック図であり、図1(b)は、配線欠陥検査装置100を用いて配線欠陥検査される対象であるマザー基板1の斜視図である。ここでは、図1(b)に示すように、P1〜P8の8枚の液晶パネルがマザー基板1上に形成されている。
【0019】
配線欠陥検査装置100は、図1(b)に示すマザー基板1上に形成された複数の液晶パネル2において配線等の欠陥を検査することができる。そのため、配線欠陥検査装置100は、液晶パネル2と導通させるためのプローブ3、および、プローブ3を各液晶パネル2上に移動させるプローブ移動手段4を備えている。また配線欠陥検査装置100は、赤外線画像を取得するための赤外線カメラ5、および、赤外線カメラ5を液晶パネル2上において移動させるカメラ移動手段6を備えている。更に配線欠陥検査装置100は、プローブ移動手段4およびカメラ移動手段6を制御する主制御部7を備えている。
【0020】
上記プローブ3には、液晶パネル2の配線間の抵抗を測定するための抵抗測定部8、および、液晶パネル2の配線間に電圧を印加するための電圧印加部9、あらかじめ測定対象の端子間をショートさせるスイッチであるプリショート部10が接続されている。これら抵抗測定部8、電圧印加部9およびプリショート部10は、主制御部7により制御されている。
【0021】
図2は、本実施形態における配線欠陥検査装置100の構成を示す斜視図である。配線欠陥検査装置100は、図2に示すように、基台上にアライメントステージ11が設置されており、アライメントステージ11にはマザー基板1が載置できるように構成されている。マザー基板1が載置されたアライメントステージ11は、プローブ移動手段4およびカメラ移動手段6のXY座標軸と平行に位置調整される。このとき、アライメントステージ11の位置調整には、アライメントステージ11の上方に設けられた、マザー基板1の位置を確認するための光学カメラ12が用いられる。
【0022】
上記プローブ移動手段4は、アライメントステージ11の外側に配置されたガイドレール13aにスライド可能に設置されている。また、プローブ移動手段4の本体側にもガイドレール13bおよび13cが設置されており、マウント部14aがこれらのガイドレール13に沿ってXYZの各座標方向に移動できるように設置されている。このマウント部14aには、液晶パネル2に対応したプローブ3が搭載されている。
【0023】
上記カメラ移動手段6は、プローブ移動手段4の外側に配置されたガイドレール13dにスライド可能に設置されている。また、カメラ移動手段6の本体にもガイドレール13eおよび13fが設置されており、3箇所のマウント部14b、14c、および14dがこれらのガイドレール13に沿ってXYZの各座標方向に別々に移動することができる。
【0024】
マウント部14cにはマクロ計測用の赤外線カメラ5aが搭載され、マウント部14bにはミクロ計測用の赤外線カメラ5bが搭載され、また、マウント部14dには光学カメラ16が搭載されている。
【0025】
マクロ計測用の赤外線カメラ5aは、視野が520×405mm程度まで広げられたマクロ計測が可能な赤外線カメラである。マクロ計測用の赤外線カメラ5aは、視野を広げるため、例えば、4台の赤外線カメラを組み合わせて構成されている。すなわち、マクロ計測用の赤外線カメラ1台当たりの視野は、液晶パネル2の1枚の大きさの概ね1/4になっている。また、ミクロ計測用の赤外線カメラ5bは、視野が32×24mm程度と小さいが高分解能の撮影が行えるミクロ計測が可能な赤外線カメラである。
【0026】
なお、カメラ移動手段6には、マウント部を追加して、欠陥箇所を修正するためのレーザ照射装置を搭載することもできる。レーザ照射装置を搭載することにより、欠陥部の位置を特定した後、欠陥部にレーザを照射することにより連続して欠陥修正を行うことができる。
【0027】
プローブ移動手段4およびカメラ移動手段6は、それぞれが別々のガイドレール13aおよび13dに設置されている。そのため、アライメントステージ11の上方をX座標方向に、互いに干渉されずに移動することができる。これにより、液晶パネル2にプローブ3を接触させた状態のまま、赤外線カメラ5a、5b、および光学カメラ16を液晶パネル2上に移動させることができる。
【0028】
図3(a)は、マザー基板1に形成されている複数の液晶パネル2のうちの1つの液晶パネル2の平面図である。各液晶パネル2には、図3(a)に示すように、画素部17、周辺配線部18、端子部19a〜19dが形成されている。画素部17は、ゲート線とソース線が形成されており、さらにゲート線およびソース線が交差する各交点にTFTが形成されている。周辺配線部18は、ゲート線およびソース線と、端子部19a〜19dとを接続する配線が形成されている。
【0029】
図3(b)は、液晶パネル2に設置された端子部19a〜19dと導通させるためのプローブ3の平面図である。プローブ3は、図3(a)に示す液晶パネル2の大きさとほぼ同じ大きさの枠状の形状を成しており、液晶パネル2に設置された端子部19a〜19dに対応した複数のプローブ針21a〜21dを備えている。複数のプローブ針21a〜21dは、リレー(図示せず)を介して、プローブ針21の一本ずつを個別に図1の(a)に示す抵抗測定部8および電圧印加部9に接続することができる。このため、プローブ3は、端子部19a〜19dに繋がる複数の配線を選択的に接続させたり、複数の配線をまとめて接続させたりすることができる。また、プローブ3は液晶パネル2とほぼ同じ大きさの枠の形状を成している。なお、上述したように、光学カメラ12を用いてマザー基板1の位置調整を行うことで、端子部19a〜19dおよびプローブ針21a〜21dの位置を合わせている。
【0030】
上記のように、本実施形態に係わる配線欠陥検査装置100は、プローブ3、および、プローブ3と接続された抵抗測定部8を備えており、プローブ3を液晶パネル2に導通させて、それぞれの配線の抵抗値および隣接する配線間の抵抗値などを測定することができる。
【0031】
また、本実施形態に係わる配線欠陥検査装置100は、プローブ3、プローブ3と接続された電圧印加部9、および、赤外線カメラ5aおよび5bを備えている。そして、プローブ3を介して液晶パネル2の配線または配線間に電圧を印加し、欠陥部に電流が流れることによる発熱を赤外線カメラ5aおよび5bを用いて計測し、欠陥部の位置を特定することができる。したがって、本実施形態に係わる配線欠陥検査装置100によれば、1台の検査装置により、抵抗検査および赤外線検査を兼用して行うことができる。
【0032】
図4は、本実施形態に係る配線欠陥検査装置100を用いた配線欠陥検査方法のフローチャートである。フローチャートにおけるSは各ステップを表す。本実施形態に係る配線欠陥検査方法は、図4に示すように、マザー基板1に形成された複数の液晶パネル2について、ステップS1〜ステップS10のステップにより、順次、配線欠陥検査が実施される。
【0033】
まず、ステップS1において、配線欠陥検査装置100のアライメントステージ11にマザー基板1が載置され、XY座標軸と平行になるように基板の位置が調整される。次に、ステップS2において、プローブ移動手段4によりプローブ3が検査対象となる液晶パネル2の上部に移動され、プローブ針21a〜21dが液晶パネル2の端子部19a〜19dと接触する。ここで、ステップS3において、測定対象となる配線又は配線間の全端子をショートさせる。このショート処理は、プローブ針21a〜21dにそれぞれ接続されたリレー(図示せず)を閉じることにより、プローブ針の間を電気的に短絡させることをいう。液晶パネル2に形成されたゲート線およびソース線は、本来電気的に接続されていないのであるが、このショートの動作中は、測定対象となる配線又は配線間が、電気的に接続された状態になる。
【0034】
一般に液晶パネルにおいては、走査線として機能する複数本のゲート線が平行に配設されるとともに、信号線として機能する複数本のソース線がゲート線に直交して配設されるが、さらに、画素の電圧を一定に保つために、電荷を貯めておく補助容量線(以下、Cs線と称す)も配設される。また、これら以外に断線や短絡した配線を修復するために予備配線が配置されることもある。本発明はこれらの配線のいずれかとの抵抗を測定する際にも適用できる。本実施形態では、一例として、ゲート線、ソース線、Cs線の配線又は配線間の抵抗を測定する。ステップS3では、ゲート線、ソース線、Cs線の全端子をショートさせる。
【0035】
図5は、本実施形態の抵抗測定を等価回路で示したものである。定電圧電源59は、抵抗測定部8の一部である抵抗測定器に内蔵された電源である。図5(a)に示す等価回路は、測定対象の液晶パネル2において、短絡欠陥がある場合であり、ノード56とノード57との間は、抵抗55、抵抗53を介して導通している状態である。図5(b)に示す等価回路は、短絡欠陥のない良品の液晶パネル2の等価回路である。破線58に囲まれた回路部分は、液晶パネル2を表す。また、囲まれていない回路部分、すなわちノード56、57より紙面左側の部分は、抵抗測定部8およびプリショート部10を表す。キャパシタ54は浮遊容量を表し、抵抗53はキャパシタ54に並列接続された抵抗値を表し、抵抗55はキャパシタ54に直列接続された抵抗値を表す。
【0036】
スイッチ52を閉じている状態は、抵抗測定中であることを表す。スイッチ52を閉じることで、定電圧電源59は、2つの被測定配線に接続されたノード56とノード57との間に電圧を印加させる。もし2つの被測定配線間が短絡している場合は、電流が流れる。抵抗測定部8はノード56とノード57間の抵抗を測定する。
【0037】
また、抵抗を測定する代わりに、電流を測定しても良い。その場合は、電流を測定し、定電圧電源59の電圧値を電流値で除算して抵抗値を求める。もし2つの被測定配線間が短絡していない場合は、電流が流れないので、抵抗値は無限大となる
ステップS3においては、スイッチ52を開放した状態で、プリショート部10であるスイッチ51を閉じ、測定対象となる配線又は配線間の全端子をショートさせ、所定時間放置して自然に放電させる。放電させた後、スイッチ51を開放する。このスイッチ51を閉じ、所定の時間経過後に、スイッチ51を開く動作をプリショート処理と呼ぶ。次に、ステップS4において、各種欠陥のモードに対応して、抵抗検査するための配線または配線間が選択され、導通させるプローブ針21の切り替えが行われる。欠陥モードについては後で説明する。
【0038】
ステップS5において、図5におけるスイッチ52が閉じられ、抵抗検査が行われる。ステップS5では、選択された配線または配線間の抵抗値が測定され、該抵抗値と、欠陥が無い場合の抵抗値との比較により欠陥の有無が検査される。
【0039】
図6は、スイッチ52が閉じられた後の電流値の変化の一例であり、図6(a)は、液晶パネル2において短絡欠陥のある場合、図6(b)は、短絡欠陥の無い場合を示している。また、縦軸は電流値I、横軸は時間tである。スイッチ52が閉じられた直後より、電流はキャパシタ54と抵抗53の両方に流れ、キャパシタ54の充電が開始される。ここで液晶パネル2に短絡欠陥がある場合、図6(a)に示すように、キャパシタ54の充電が完了に近づくに連れて、キャパシタ54に流れていた電流は徐々に減少する一方、抵抗53すなわち、ここで言う短絡欠陥部分に流れる電流が徐々に増加する。やがてキャパシタ54の充電が完了する時間t以降は抵抗53に一定の電流Iが流れ続ける。
【0040】
一方、液晶パネル2に短絡欠陥が無く、良品である場合は、図6(b)に示すように、キャパシタ54の充電が完了する時間t以降は電流が流れなくなり、測定される抵抗値は無限大になる。
【0041】
図6(c)は、ステップS3に示された抵抗測定前に測定対象となる配線又は配線間の全端子をショートさせる工程、すなわちプリショート処理を行わず、従来の方法でいくつかの抵抗測定を行った場合の時間経過と電流値を示している。キャパシタ54の充電が完了する時間が一定ではなく、図6(a)、図6(b)に示すキャパシタの充電が完了する時間tよりも、時間が長い場合もあれば短い場合もある。すなわち、抵抗測定に要する時間にばらつきが生じている。
【0042】
本発明では、ステップS3において、あらかじめ抵抗測定前に測定対象となる配線又は配線間の全端子をショートさせ、キャパシタ54の放電を行っているので、キャパシタ54の帯電はゼロの状態から測定がスタートされる。このため、キャパシタ54の充電が完了する時間tが常に一定となり、液晶パネル2に短絡欠陥があるかどうかを判定するまでの時間も一定となり、測定時間のばらつきを抑えることができる。また、静電気による帯電も除去することが出来る。
【0043】
図7は、実施形態1における抵抗値測定工程を詳細に説明する図である。図7は、短絡欠陥部の抵抗値が異なるR1〜R4(抵抗値がR4=∞、R3>R2>R1)について、測定開始からの抵抗測定器の指示値Rの変化を時間tの経過で示したものである。
【0044】
短絡欠陥部の無い抵抗値が無限大となるR4は、配線間のキャパシタ54の充電が完了して抵抗測定が可能となる時間tよりも早く、指示値Rが測定限界を超えてオーバー・ロード(OL)となり、短絡欠陥なしと判定される。ここで、オーバー・ロードとは、抵抗測定部8が測定できる最大抵抗値を測定している状態を表す。この最大抵抗値は十分大きな抵抗値であるため、オーバー・ロード状態は短絡欠陥なしと判断されるのである。一方、短絡欠陥部の抵抗値が有限となるR1〜R3は、指示値Rが安定した後、時間tの指示値Rを短絡欠陥部の抵抗値として所定の閾値Tと比較することにより、短絡欠陥の有無を判定できる。例えば、R3のように抵抗値が液晶パネル2の表示上問題ない程度の高抵抗であれば良品と判定され、R1やR2のように抵抗値が所定の閾値T以下となる場合は短絡欠陥ありと判定される。
【0045】
実施形態1では、プリショート処理を行なうことで、抵抗測定器の指示値Rが安定するまでの時間tのばらつきが押さえられているので、適切な時間tを選択して測定することにより、抵抗値から正確に欠陥を検査することが可能となる 。
【0046】
しかしながら、指示値Rが安定するまでに要する時間tは、通常は3秒程度を要する。このため、例えば、液晶パネルのように多数の配線を検査する場合は、測定回数が多くなることから、抵抗値測定工程のタクト時間が長くなる。
【0047】
そこで、指示値Rが安定する時間tまで待たず、指示値Rが安定する前の測定開始直後の過渡期に短絡欠陥の有無を判定できることが望ましい。図7に示すように、測定開始直後の過渡期において、時間t01と時間t02の間で指示値Rの変化率を求めると、抵抗R1〜R4に対して△r〜△rのようになる。
【0048】
この変化率△rと時間tにおける指示値Rすなわち短絡欠陥部の抵抗値を事前に測定しておき、測定データを集めてグラフにすると、例えば、図8に示すように、変化率△rと短絡欠陥部の抵抗値の関係は比例関係となった。したがって、この指示値Rの変化率△rを求めることにより、時間tのときに予測される抵抗値を決定して、短絡欠陥の有無を判定することが可能である。また、測定条件等によって、変化率△rと短絡欠陥部の抵抗値が完全に比例関係とならない場合であっても、対応関係は事前に測定データから求めておくことができ、同様の手法により短絡欠陥の有無を判定することが可能である。
【0049】
具体的には、図8に示すように、指示値Rの変化率△rを所定の閾値Tと比較し、閾値Tより小さい△r、△rの場合を短絡欠陥があるものと判定することができる。変化率△rは、測定スタート後の時間t01と時間t02の少なくとも2回の抵抗測定値の差分で求めることができる。例えば、最初の時間t01は、測定スタートから100ms後であり、次の時間t02は、測定スタートから300ms後であり、どちらも時間tよりもかなり早い測定時間にすることができる。また、所定の閾値Tは、実際に測定して集められた変化率△rと抵抗値のデータから経験的に適切な値を選択すればよい。このように、測定開始直後の過渡期に指示値Rの変化率△rを求めて抵抗値を決定することにより、多数の配線を検査するような場合であっても、抵抗値測定工程のタクト時間を短縮することができる 。

なお、実施形態1では、測定開始後の時間t01と時間t02の少なくとも2回の抵抗測定による指示値Rの差分を用いて変化率△rを求めているが、3回以上の抵抗測定を行い、得られた複数個の指示値Rを線形補間することにより変化率△rを求め、抵抗値測定工程で用いても良いことは勿論であり、短絡欠陥の検出精度をさらに向上させることができる 。
【0050】
また、短絡欠陥部の状態などによっては、過渡期のごく初期の段階でも短絡欠陥部の抵抗値に対応した変化率△rを検出できる場合があり、抵抗値測定工程において、指示値Rの変化率△rを時間t01で1回だけ測定し、時間0からの変化率△rを求めるようにしても良い 。この場合、抵抗測定が過渡期のごく初期の1回だけで済むため、測定時間をさらに短縮することができる。

なお、定電圧電源59を、定電流電源に替えても良い。スイッチ52を閉じることで、2つの被測定配線に接続されたノード56とノード57との間に定電流を流そうとする。もし2つの被測定配線間が短絡している場合は、定電流が流れる。抵抗測定部8はノード56とノード57との間の電圧を測定し、測定された電圧値を定電流値で除算して抵抗値を求める。もし2つの被測定配線間が短絡していない場合は、電流が流れないので、抵抗値は無限大となる。
【0051】
ここで、仮に抵抗測定していない状態を想定する。すなわち、スイッチ52が開かれている。図5(a)では、キャパシタ54と抵抗53は閉ループになっており、キャパシタ54に蓄積された電荷は、自然に放電される。一方、図5(b)では、開ループになっており、キャパシタ54に蓄積された電荷は放電されない。従って、短絡欠陥がない良品の液晶パネルは、自然に放電されないことになり、他の配線間の抵抗測定や静電気の影響を大きく受けて、誘電吸収が収束するまでの時間が大きく変動する。
【0052】
図9(a)〜(c)では、一例として、画素部17に生じる配線の短絡部、すなわち欠陥部23の位置を模式的に示している。図9(a)は、例えば、ゲート線およびソース線のように、配線Xおよび配線Yが交差する液晶パネルにおいて、当該交差部分において配線Xと配線Yとが短絡している欠陥部23を示している。導通させるプローブ針21を、図3に示した21aと21dとの組または21bと21cとの組に切り替え、配線X1〜X10および配線Y1〜Y10に関して1対1で配線間の抵抗値を測定することにより、欠陥部23の有無と位置を特定することができる。
【0053】
図9(b)は、例えば、ゲート線およびCs線のような、隣接する配線Xの配線間において短絡した欠陥部23を示している。このような欠陥部23は、導通させるプローブ針21を、21bの奇数番と21dの偶数番との組に切り替えて、配線X1〜X10の隣り合う配線間の抵抗値を測定することにより、欠陥部23の有る配線を特定することができる。
【0054】
図9(c)は、例えば、ソース線およびCs線のような、隣接する配線Yの配線間において短絡した欠陥部23を示している。このような欠陥部23は、導通させるプローブ針21を、21aの奇数番と21cの偶数番との組に切り替えて、配線Y1〜Y10の隣り合う配線間の抵抗値を測定することにより、欠陥部23の有る配線を特定できる。
【0055】
ステップS6において、ステップS5において検査された欠陥部23の有無により、赤外線検査を行うか否かが判断される。欠陥部23が有る場合は赤外線検査を行うためにステップS7に移行し、欠陥部23がない場合は赤外線検査を行わずにステップS10に移行する。このステップS6は、抵抗値測定工程の一部であるといえる。
【0056】
例えば、図9(a)に示すように、配線Xおよび配線Yが交差する箇所において欠陥部23が生じる場合は、配線間の抵抗検査により、配線X4および配線Y4に異常が検出されるので、欠陥部23の位置まで特定することができる。そのため、図9(a)に示す欠陥部23の場合は、ステップS7において、その位置を赤外線検査により特定することを必ずしも要しない。つまり、配線Xと配線Yのすべての組み合わせ毎に抵抗検査するのであれば、位置特定もできるので、赤外線検査は不要となる。しかし、組み合わせ数は膨大であるため長時間を要する。例えば、フルハイビジョン用液晶パネルの場合、配線Xが1080本、配線Yが1920なので、全組み合わせは約207万となる。このような組み合わせ毎に抵抗検査をすると、タクトが長時間となり、検査処理能力が大幅に低くなってしまい、現実的ではない。そのため、配線Xと配線Yのすべての組み合わせをいくつかにまとめて抵抗検査をすることで、抵抗検査回数を削減できる。例えば、一つにまとめた配線Xと、一つにまとめた配線Yとの間で抵抗検査を行えば、この抵抗検査回数はわずか1回となる。しかしながら、抵抗検査により、配線間の短絡を検出することはできるが、位置を特定することはできない。そのため、欠陥部23の位置を赤外線検査により特定することが必要となる。
【0057】
一方、図9(b)または図9(c)のように、隣接する配線間において欠陥部23が生じる場合は、一対の配線、例えば、配線X3と配線X4との間に欠陥部が有ることは特定できる。しかし、その配線の長さ方向においては欠陥部23の位置は特定できないため、欠陥部23の位置を赤外線検査により特定することが必要となる。
【0058】
隣り合う配線間の抵抗検査は膨大な数であるため長時間を要する。例えば、フルハイビジョン用液晶パネルの場合、隣り合う配線X間の抵抗検査回数は1079、隣り合う配線Y間の抵抗検査回数は1919となる。図9(b)の場合のような隣り合う配線X間の抵抗検査の場合、すべてのX奇数番と、すべてのX偶数番との間で抵抗検査を行えば、この抵抗検査回数はわずか1回となる。図9(c)の場合のような隣り合う配線Y間の抵抗検査の場合、すべてのY奇数番と、すべてのY偶数番との間で抵抗検査を行えば、この抵抗検査回数はわずか1回となる。しかしながら、抵抗検査により、配線間の短絡を検出することはできるが、位置を特定することはできない。そのため、欠陥部23の位置を赤外線検査により特定することが必要となる。そこで、ステップS6において、赤外線検査が必要と判断された液晶パネル2に関して赤外線検査が行われる。
【0059】
ステップS8において、上記電圧が印加されることにより電流が生じて発熱した欠陥部23からの赤外光を検出するために、赤外線カメラを用いて欠陥部23を撮影し、欠陥部23の位置を特定する。本実施形態では、マクロ計測用の赤外線カメラ5aと、ミクロ計測用の赤外線カメラ5bとを備え、まずは液晶パネル2の広範囲を視野内に収めることができるマクロ計測用の赤外線カメラ5aを用いて、必要に応じてマクロ計測用の赤外線カメラ5aを走査して欠陥部23の位置を特定する。続いて、必要に応じて、発熱部の近傍をミクロ計測用の赤外線カメラ5bを用いて計測してもよい。マクロ計測用の赤外線カメラ5aにより、発熱部の位置が特定されているため、ミクロ計測用の赤外線カメラ5bの視野内に、発熱部が位置するように、カメラを移動させることができ、欠陥部23の座標位置を高精度に特定したり、あるいは修正に必要な形状等の情報についての計測を行うことができる。なお、本実施形態では、マクロ計測用の赤外線カメラ5aと、ミクロ計測用の赤外線カメラ5bとを備えて2段階での撮影を行っているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの赤外線カメラを用いて1段階での撮影を行う構成であってもよい。
【0060】
また、図2の光学カメラ16は、図1における主制御部7により制御され、ミクロ計測用の赤外線カメラ5bで検知された短絡欠陥を可視画像として撮影するために用いる。あるいは、光学カメラ16と上述のレーザ照射装置とを兼用した同軸光学ユニットにすることもできる。
【0061】
ステップS9において、検査中の液晶パネル2について、各種欠陥モードの全検査が終了しているか否かが判断され、未検査の欠陥モードがある場合、ステップS3に戻る。そして、測定対象の全端子をプリショートさせた後、欠陥検査が繰り返される。ここで、欠陥モードとは、図9に示したような欠陥部23の種類である。図9では、3つの欠陥モードを示している。すなわち、図9(a)の配線Xと配線Yとの短絡欠陥モード、図9(b)の配線X間の短絡欠陥モード、図9(c)の配線Y間の短絡欠陥モードである。
【0062】
ステップS10において、検査中のマザー基板1について、全ての液晶パネル2の欠陥検査が終了しているか否かが判断され、未検査の液晶パネル2が残っている場合、ステップS2に戻る。そして、次の検査対象となる液晶パネル2にプローブが移動されて、欠陥検査が繰り返される。
【0063】
図10は、図9を用いて説明した3つの欠陥モードに対応したリレーの結線を示した図である。抵抗測定器415は、抵抗測定部8の一部であり、抵抗を測定する。電源416は、電圧印加部9の一部であり、液晶パネル2の配線または配線間に電圧を印加する。図10における破線で囲まれた破線ブロック401、404、407、410は、プローブ針21a〜21dを表している。破線ブロック401は奇数番配線Xの端子部に接続されるプローブ針、破線ブロック404は偶数番配線Xの端子部に接続されるプローブ針、破線ブロック407は奇数番配線Yの端子部に接続されるプローブ針、破線ブロック410は偶数番配線Yの端子部に接続されるプローブ針を表す。破線ブロック402、403、405、406、408、409、411、412、413、414はリレーを表す。破線ブロック402、403は破線ブロック401に対応したリレーであり、同様に破線ブロック405、406は破線ブロック404に対応したリレー、破線ブロック408、409は破線ブロック407に対応したリレー、破線ブロック411、412は破線ブロック410に対応したリレーである。以下、破線ブロックN内のリレーをリレーNとする。例えば、破線ブロック402内のリレーを、リレー402とする。
【0064】
リレー402、405、408、411は、抵抗測定器415および電源416の正極性端子にリレー413を介して接続される。リレー403、406、409、412は、抵抗測定器415および電源416の負極性端子にリレー414を介して接続される。リレー413は、抵抗測定器の端子に接続されたリレーである。リレー414は、電源416の端子に接続されたリレーである。これら複数のリレーを切り替えることにより、ステップS3で示されたショート処理、ステップS4で示された抵抗測定、およびステップS7で示された電圧印加をそれぞれ実施することができる。
【0065】
図11は、図10で示した各リレーの開閉を示す表である。ショート処理では、破線ブロック401、404、407、410の各プローブの接続をすべて閉じて、配線または配線間の全端子を短絡させる。同時にリレー413、414をすべて開いて、抵抗測定器415および電源416を切り離している。
【0066】
抵抗測定および電圧印加では、欠陥モードに応じて、破線ブロック401、404、407、410の各プローブの接続をそれぞれ切り替える。例えば、図9(a)に示すような配線Xと配線Yとの短絡欠陥モードの抵抗測定では、リレー402、405、409、412、413を閉じ、リレー403、406、408、411、414を開いて、奇数及び偶数の配線Xを抵抗測定器415の正極性端子に接続し、奇数及び偶数の配線Yを抵抗測定器415の負極性端子に接続する。また、図9(a)に示すように配線Xと配線Yとの短絡欠陥モードの電圧印加では、リレー402、405、409、412、414を閉じ、リレー403、406、408、411、413を開いて、奇数及び偶数の配線Xを電源416の正極性端子に接続し、奇数及び偶数の配線Yを電源416の負極性端子に接続する。
【0067】
このように、複数のリレーを切り替えることにより、液晶パネル2の配線、抵抗測定器、および電源との間の結線を変更できる。なお、配線X、配線Y、Cs線、および予備配線に係わる欠陥モード(例えば、Cs線間欠陥モード、配線XとCs線との欠陥モード、配線YとCs線との欠陥モード、配線Xと予備配線との欠陥モード、配線Yと予備配線との欠陥モード)についても、適切にリレーを追加することで、ショート処理、抵抗測定、電圧印加を実施することができる。
【0068】
本実施形態によれば、抵抗検査を行う前に、検査対象の端子をプリショートさせ、端子間に充電された電荷を一旦ゼロにし、いつも帯電ゼロの状態から抵抗測定することで、初期状態を一定にし、収束時間の変動やばらつきを抑える。端子間により欠陥の有無を判断し、欠陥が有ると判断された場合は液晶パネル2の短絡経路における抵抗値が取得される。さらに、該抵抗値に基づいて特定された電圧を液晶パネル2に印加することにより、欠陥部23または配線部の何れかが十分に発熱するため、赤外線検査の際に欠陥の位置を容易に認識することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、ゲート線、ソース線、Cs線の配線又は配線間の抵抗を測定する場合に、ゲート線、ソース線、Cs線の配線又は配線間の全端子をプリショートさせた後、例えば、ゲート線とソース線の抵抗測定を行い、次に再度ゲート線、ソース線、Cs線の配線又は配線間の全端子をプリショートさせた後、今度はゲート線とCs線の抵抗測定というように、抵抗測定の直前に毎回測定対象となる全端子をプリショートさせる方法を説明した。この方法の場合、毎回全端子間をショートさせ、放電させるのでキャパシタの帯電はどの配線に対してもいつも0となり、且つ静電気も除去されるので測定時間のばらつきが極めて少なく、望ましい。しかしながら、この方法に限られることは無く、例えば、ゲート線とソース線の抵抗を測定する前に、ゲート線とソース線のみをプリショートさせ、抵抗測定を行うといったように、測定する対象の配線同士のみを都度プリショートさせる方法でもかまわない。
【0070】
なお、ステップS5またはステップS8のうち少なくとも一つの工程の後に、配線の端子間をショートさせる工程をさらに実施してもよい。ステップS5で実施される抵抗値測定を終えた後のショート工程は、ステップS5で実施される抵抗値測定によって液晶パネル2に充電された電荷を放電することができる。または、ステップS8で実施される欠陥位置特定を終えた後のショート工程は、ステップS8で実施される電圧印加によって液晶パネル2に充電された電荷を放電することができる。このショート工程によって、配線欠陥検査装置100が検査後に装置外に搬出したマザー基板1は、放電された状態になっている。その結果、マザー基板1の静電気破壊や表示品位劣化等を防止することができる。
<実施形態2>
実施形態1では、図1に示すように、欠陥部23を撮影する赤外カメラ5が設けられた構成について説明したが、抵抗測定を行って欠陥の有無を検査する機能のみを備える構成としてもよい。図12は、実施形態2に係る配線欠陥装置200の構成を示すブロック図である。図1に示された赤外線画像を取得するための赤外線カメラ5、および、赤外線カメラ5を液晶パネル2上において移動させるカメラ移動手段6が備わっていない以外は、実施形態1と構成は同じである。
【0071】
図13は、実施形態2に係る配線欠陥検査装置200を用いた配線欠陥検査方法のフローチャートである。本実施形態に係る配線欠陥検査方法は、図13に示すように、マザー基板1に形成された複数の液晶パネル2について、ステップS91〜ステップS97のステップにより、順次、配線欠陥検査が実施される。
【0072】
まず、ステップS91において、配線欠陥検査装置200のアライメントステージ11にマザー基板1が載置され、XY座標軸と平行になるように基板の位置が調整される。次に、ステップS92において、プローブ移動手段4によりプローブ3が検査対象となる液晶パネル2の上部に移動され、プローブ針21a〜21dが液晶パネル2の端子部19a〜19dと接触する。ここで、ステップS93において、測定対象となる配線又は配線間の全端子をプリショートさせる。
【0073】
次に、ステップS94において、各種欠陥のモードに対応して、抵抗検査するための配線または配線間が選択され、導通させるプローブ針21の切り替えが行われる。ステップS95において、抵抗検査が行われる。ステップS95では、選択された配線または配線間の抵抗値が測定され、該抵抗値と、欠陥が無い場合の抵抗値との比較により欠陥の有無が検査される。ステップS96において、検査中の液晶パネル2について、各種欠陥モードの全検査が終了しているか否かが判断され、未検査の欠陥モードがある場合、ステップS93に戻る。そして、測定対象の全端子をプリショートさせた後、欠陥検査が繰り返される。ステップS97において、検査中のマザー基板1について、全ての液晶パネル2の欠陥検査が終了しているか否かが判断され、未検査の液晶パネル2が残っている場合、ステップS92に戻る。そして、次の検査対象となる液晶パネル2にプローブが移動されて、欠陥検査が繰り返される。
【0074】
このように構成することによって、抵抗測定を別装置において実施するため、抵抗測定と赤外線カメラ撮像を並行して動作することができ、処理能力を向上させることが可能となる。
<実施形態3>
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、他のシステムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータCPUが記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0075】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。また、上記プログラムコードは、通信ネットワークのような伝送媒体を介して、他のコンピュータシステムから記録装置等へダウンロードされるものであってもよい。
【0076】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0077】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0078】
本発明を上記記録媒体に適用する場合、その記録媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードを格納することになる。
【0079】
以上、本発明に係わる実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。本請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、液晶パネルなどの配線を有する半導体基板の配線状態の検査に用いることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 マザー基板
2 液晶パネル
3 プローブ
4 プローブ移動手段
5a、5b 赤外線カメラ
6 カメラ移動手段
7 主制御部
8 抵抗測定部
9 電圧印加部
10 プリショート部
11 アライメントステージ
12、16 光学カメラ
13a、13b、13c、13d、13e、13f ガイドレール
14a、14b、14d、14d マウント部
17 画素部
18 周辺配線部
19a、19b、19c、19d 端子部
21a、21b、21c、21d プローブ部
23 欠陥部(配線短絡部)
51、52 スイッチ
53、55 抵抗
54 キャパシタ
56、57 ノード
59 定電圧電源
415 抵抗測定器
416 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板における配線短絡部の検出を行う配線欠陥検査方法であって、
検査対象の配線の端子間をショートさせるプリショート工程と、
前記プリショート工程の後、前記検査対象の配線の抵抗値を測定することにより、前記配線短絡部の有無を判定する抵抗値測定工程を行うことを特徴とする配線欠陥検査方法。
【請求項2】
前記プリショート工程は、検査対象の全端子間をショートさせることを特徴とする請求項1記載の配線欠陥検査方法。
【請求項3】
前記抵抗値測定工程においては、前記配線の抵抗測定器の指示値が安定する前に前記抵抗値を決定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配線欠陥検査方法。
【請求項4】
前記抵抗値測定工程においては、前記指示値の変化率により前記抵抗値を決定することを特徴とする請求項3に記載の配線欠陥検査方法 。
【請求項5】
前記抵抗値測定工程においては、測定された前記指示値と測定開始からの測定時間により前記変化率を算出することを特徴とする請求項4に記載の配線欠陥検査方法。
【請求項6】
前記抵抗値測定工程においては、異なる時間の前記指示値から前記変化率を算出することを特徴とする請求項4に記載の配線欠陥検査方法。
【請求項7】
前記抵抗値測定工程は、前記変化率が所定の値より小さいときに前記配線短絡部を有すると判定することを特徴とする請求項3から請求項6のいずれかに記載の配線欠陥検査方法。
【請求項8】
前記抵抗値測定工程において前記配線短絡部を有すると判定された前記半導体基板の該配線短絡部を含む短絡経路に、電圧を印加して、該短絡経路を発熱させる発熱工程と、
前記発熱工程において発熱した短絡経路を、赤外線により撮像し、前記配線短絡部の位置を特定する位置特定工程を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の配線欠陥検査方法。
【請求項9】
前記抵抗値測定工程または位置特定工程のうち少なくとも一つの工程の後に、配線の端子間をショートさせる工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の配線欠陥検査方法。
【請求項10】
半導体基板における配線短絡部の検出を行う配線欠陥検査装置であって、
検査対象の配線の端子間をショートさせるプリショート部と、
前記検査対象の配線に電圧を印加する電圧印加部と、
前記配線の抵抗値を測定する抵抗測定部と、
前記電圧印加部を制御する制御部を備えており、前記抵抗測定部によって測定された抵抗値に基づいて、前記配線短絡部の有無を判定することを特徴とする配線欠陥検査装置。
【請求項11】
前記配線欠陥検査装置は、撮像部をさらに備えることを特徴とする請求項10記載の配線欠陥検査装置 。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の配線欠陥検査装置を動作させる配線欠陥検査プログラムであって、
コンピュータを上記の各手段として機能させるための配線欠陥検査プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の配線欠陥検査プログラムが記録されたことを特徴とするコンピュータ読取可能なプログラム記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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